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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033506
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ロボットハンド及びワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20240306BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B25J15/00 D
B65G61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137118
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000132231
【氏名又は名称】株式会社スター精機
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】武井 英治
(72)【発明者】
【氏名】筧 真純
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS03
3C707CY36
3C707DS06
3C707ES03
3C707ET08
3C707EV07
3C707NS02
3C707NS19
(57)【要約】
【課題】簡単な構造を有し、軽量なロボットハンド及びワーク搬送装置を提供すること。
【解決手段】ハンド部20は、水平方向に離間した位置において同じ方向に貫通する把手孔84がそれぞれ形成されたワークWを吊り上げるものである。このハンド部20は、各把手孔84に挿入される複数の爪部90を備え、複数の爪部90は、各把手孔84に対応するように、水平方向において所定距離離れた第1位置側と第2位置側とに分けられて設けられている。複数の爪部90の先端部92a,92bは、水平方向において、全て第1位置から前記第2位置への方向に向けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に離間した位置において同じ方向に貫通する把手孔がそれぞれ形成されたワークを吊り上げて、前記ワークを搬送するワーク搬送装置に取り付けられるロボットハンドであって、
前記各把手孔に挿入される複数の爪部を備え、
複数の前記爪部は、前記各把手孔に対応するように、水平方向において所定距離離れた第1位置側と第2位置側とに分けられて設けられ、
複数の前記爪部の先端部は、水平方向において、全て前記第1位置から前記第2位置への方向に向けられているロボットハンド。
【請求項2】
複数の前記爪部のうち、前記第1位置側に配置された第1爪部の前記先端部のみに、鉛直方向上方に突出する突起部が設けられており、
前記第1爪部が前記把手孔に挿入された場合、前記第1爪部が挿入される前記把手孔の前記第2位置側に前記突起部が配置される請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記ワークは、物品が1又は複数収容されるケースであり、
前記ケースは、その上部が開口しており、前記ケースの側壁には、前記把手孔が設けられており、
複数の前記爪部のうち、前記第2位置側に配置された第2爪部の先端部は、前記ケースを吊り上げるために、前記ケースの内部から前記把手孔に挿入され、かつ、前記ケースの外部に突出しない請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記第2爪部の前記先端部の長さは、前記把手孔が形成された側壁の厚さよりも短い請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
複数の前記爪部は、前記各把手孔に対して、それぞれ少なくとも2つ以上の前記爪部が挿入されるように設けられており、
同じ前記把手孔に挿入される前記爪部のうち両端の前記爪部同士の間隔を調整可能な調整部を備える請求項1~4のうちいずれか1項に記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記ロボットハンドは、2つの前記ワークをまとめて吊り上げ可能に構成されており、
まとめて吊り上げられる2つの前記ワークは、水平方向であって、前記第1位置から前記第2位置への第1方向とは直交する第2方向において、側壁同士が接触した状態で吊り上げられる請求項1~4のうちいずれか1項に記載のロボットハンド。
【請求項7】
前記第2方向において前記側壁同士が接触した状態の2つの前記ワークのうち一方の前記ワークの前記把手孔から他方の前記ワークの前記把手孔までの前記第2方向における離間距離と同じとなるように、その側壁側における前記爪部同士の間隔が設定されている請求項6に記載のロボットハンド。
【請求項8】
水平方向に離間した位置において同じ方向に貫通する把手孔がそれぞれ形成されたワークを吊り上げるロボットハンドを備え、前記ワークを前記ロボットハンドにより吊り上げて搬送するワーク搬送装置であって、
前記ロボットハンドが取り付けられ、前記ロボットハンドを移動させる搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御装置と、を備え、
前記ロボットハンドは、前記各把手孔に挿入される複数の爪部を有し、
複数の前記爪部は、前記各把手孔に対応するように、水平方向において所定距離離れた第1位置側と第2位置側とに分けられて設けられ、
複数の前記爪部の先端部は、水平方向において、全て前記第1位置から前記第2位置への方向に向けられており、
前記制御装置は、
水平方向において前記把手孔の側方に前記爪部の前記先端部を配置するように、前記ロボットハンドを移動させる第1ステップと、
前記第1ステップの後、前記把手孔に前記爪部の前記先端部を挿入するように、前記第1位置側から前記第2位置側に向かって水平方向に前記ロボットハンドを移動させる第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記ロボットハンドを上方に移動させて、前記ワークを吊り上げる第3ステップと、を実施するワーク搬送装置。
【請求項9】
前記ワークは、物品が1又は複数収容されるケースであり、
前記ケースは、その上部が開口しており、前記ケースの側壁には、前記把手孔が設けられており、
前記制御装置は、
前記第1ステップにおいて、前記第1位置に配置される第1爪部が前記ケースの外部に配置され、前記第2位置に配置される第2爪部が前記ケースの内部に配置されるように、前記ロボットハンドを移動させ、
前記第2ステップにおいて水平方向に前記ロボットハンドを移動させる際、前記第2爪部の先端部が、前記ケースの内部から外部に突出しないように制御する請求項8に記載のワーク搬送装置。
【請求項10】
複数の前記爪部のうち、前記第1位置側に配置された第1爪部の前記先端部のみに、鉛直方向上方に突出する突起部が設けられており、
前記第1爪部が前記把手孔に挿入された場合、前記第1爪部が挿入される前記把手孔の前記第2位置側に前記突起部が配置され、
前記制御装置は、前記第2ステップにおいて水平方向に前記ロボットハンドを移動させるときに前記突起部が前記ワークと係合しないように、前記第1ステップにおいて前記突起部の突出量を考慮して前記把手孔の側方に前記第1爪部の前記先端部を配置する請求項8又は9に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの輸送のために、パレットにワークを積載するパレタイズ、及びパレットからワークを積み下ろすデパレタイズを実施するワーク搬送装置が知られている。これらのワーク搬送装置では、ロボットハンドを利用して、ワークを保持してからワークを搬送する。ワークを保持するロボットハンドには、さまざまな構造のものがあり、例えば、特許文献1に記載されているように、ワークを左右両側から爪で挟み込んで、ワークを把持するロボットハンドや、また、特許文献2に記載されているように、ワークの上面を吸着装置にて吸着するロボットハンドなどが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-334484号公報
【特許文献2】特開2020-163480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いずれにしても、爪の駆動機構や吸着装置をロボットハンドに搭載する必要があり、ロボットハンド自体の重量が重くなるという課題があった。このため、ワーク搬送装置に負担がかかり、搬送速度が遅くなる、若しくはモータなどの駆動源を大型化する必要があった。また、ロボットハンドの構造が複雑化及び大型化し、製造コストが大きくなり、また、メンテナンスにも負担がかかるという課題もある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造を有し、軽量なロボットハンド及びワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するロボットハンドは、
水平方向に離間した位置において同じ方向に貫通する把手孔がそれぞれ形成されたワークを吊り上げて、前記ワークを搬送するワーク搬送装置に取り付けられるロボットハンドであって、
前記各把手孔に挿入される複数の爪部を備え、
複数の前記爪部は、前記各把手孔に対応するように、水平方向において所定距離離れた第1位置側と第2位置側とに分けられて設けられ、
複数の前記爪部の先端部は、水平方向において、全て前記第1位置から前記第2位置への方向に向けられている。
【0007】
上記構成を採用することにより、ロボットハンドを第1位置から第2位置に向かう方向へスライド移動させることにより、爪部を把手孔に挿入して、ワークを吊り上げることができる。これにより、ロボットハンドに爪部の駆動機構や、吸引装置を設ける必要がなくなり、ロボットハンドを小型、軽量化することができる。また、ロボットハンドの構成を簡素化することができ、メンテナンスの負担や、製造コストを小さくすることができる。
【0008】
上記課題を解決するワーク搬送装置は、
水平方向に離間した位置において同じ方向に貫通する把手孔がそれぞれ形成されたワークを吊り上げるロボットハンドを備え、前記ワークを前記ロボットハンドにより吊り上げて搬送するワーク搬送装置であって、
前記ロボットハンドが取り付けられ、前記ロボットハンドを移動させる搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御装置と、を備え、
前記ロボットハンドは、前記各把手孔に挿入される複数の爪部を有し、
複数の前記爪部は、前記各把手孔に対応するように、水平方向において所定距離離れた第1位置側と第2位置側とに分けられて設けられ、
複数の前記爪部の先端部は、水平方向において、全て前記第1位置から前記第2位置への方向に向けられており、
前記制御装置は、
水平方向において前記把手孔の側方に前記爪部の前記先端部を配置するように、前記ロボットハンドを移動させる第1ステップと、
前記第1ステップの後、前記把手孔に前記爪部の前記先端部を挿入するように、前記第1位置側から前記第2位置側に向かって水平方向に前記ロボットハンドを移動させる第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記ロボットハンドを上方に移動させて、前記ワークを吊り上げる第3ステップと、を実施する。
【0009】
これにより、ロボットハンドに爪部の駆動機構や、吸引装置を設ける必要がなくなり、ロボットハンドを小型、軽量化することができる。また、ロボットハンドの構成を簡素化することができ、メンテナンスの負担や、製造コストを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ワーク搬送装置の斜視図。
図2】ハンド部の斜視図。
図3】パレットに積載されたワークの斜視図。
図4】ハンド部の正面図。
図5】(a)は、一方側から見たハンド部の側面図であり、(b)は、他方側から見たハンド部の側面図。
図6】ハンド部の上面図。
図7】吊り上げる際のハンド部の様子を示す正面図。
図8】ワーク搬送処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる「ロボットハンド」及び「ワーク搬送装置」を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態及び変形例において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。また、実施形態及び変形例の説明において、明示している構成の組み合わせだけでなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、実施形態及び変形例を組み合わせることも可能である。
【0012】
図1に示すように、ワーク搬送装置10は、ワークWを供給場所から順次搬送して、予め決められた位置に設置された可搬式のパレットP上に整列させて積載する装置、すなわち、パレタイズをする装置である。なお、ワーク搬送装置10は、予め決められた位置に設置された可搬式のパレットP上に整列させて積載されたワークWを、所定の排出場所に順次搬送する装置、すなわち、デパレタイズする装置でもある。デパレタイズを実施する場合には、基本的にパレタイズする場合の逆の動作を行えばよいため、本実施形態では、パレタイズについて主に説明する。
【0013】
図2及び図3に示すように、ワークWは、物品81が1又は複数収容可能なケース82である。物品81は、例えば、ビール瓶などの瓶類や、牛乳パックなどの紙容器類、ペットボトルなどが主に想定されているが、任意に変更してもよい。例えば、果物や野菜等であってもよい。なお、ケース82内に中身が入っていてもいなくてもよく、ケース82内に収容される容器等に中身が入っていてもいなくてもよい。本実施形態の物品81は、牛乳パックとしている。
【0014】
ケース82は、その上部が開口している直方体形状の入れ物であり、例えばボトルコンテナである。具体的には、ビール瓶ケース、牛乳ケース、牛乳瓶ケースである。ケース82の各側壁83の上部には、横長の把手孔84が形成されている。つまり、ケース82には、水平方向に離間した位置において同じ方向に貫通する把手孔84がそれぞれ形成されていることとなる。そして、ワークWの各側壁83の上部(把手孔84の直上)に、横長の棒状の把手85(取っ手)が形成される。
【0015】
ワークWは、外部の搬送設備(ベルトコンベヤなど)から、ワーク搬送装置10に設けられているローラコンベヤ1に供給される。そして、供給されたワークWは、ローラコンベヤ1に設けられたストッパ(図示略)により、所定の静止位置に位置決めされて静止する。ワーク搬送装置10は、ローラコンベヤ1上に位置決めされて静止しているワークWをセンサなどでワークWの位置を検出し、吊り上げて搬送するように構成されている。
【0016】
なお、デパレタイズを実施する場合には、上述したパレタイズの逆の動作が行われる。つまり、ワークWは、ワーク搬送装置10によりパレットPから吊り上げられて、ローラコンベヤ1等を介して外部の搬送設備に排出されることとなる。
【0017】
次に、ワーク搬送装置10の構成について詳しく説明する。図1に示すように、ワーク搬送装置10は、ワークWを吊り上げるロボットハンドとしてのハンド部20と、ハンド部20を移動させる搬送機構30と、搬送機構30が固定される直方体の枠体70と、を備える。また、ワーク搬送装置10は、ハンド部20及び搬送機構30の動作を制御する制御装置100と、各種情報を入出力可能な情報端末としてのコントローラ(図示略)と、を備える。
【0018】
本実施形態において、枠体70の長手方向をX軸方向とし、短手方向(X軸に直交する方向)をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に垂直となる方向をZ軸方向と示す。なお、ワーク搬送装置10は、通常、平面に設置されるため、Z軸方向が上下方向(鉛直方向)に相当する。また、X軸方向及びY軸方向が、水平方向に相当する。
【0019】
搬送機構30は、枠体70に固定され、Z軸方向に沿って伸びるように形成されている柱部50と、柱部50に固定され、Y軸方向に沿って伸びるように形成されているアーム部60と、を有する。
【0020】
枠体70には、X軸ガイドレール51がX軸方向に沿って設けられており、柱部50は、X軸ガイドレール51に対して、X軸方向に沿って移動可能に固定されている。柱部50は、枠体70の底部に配置されるX軸サーボモータ(図示略)の出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、柱部50は、X軸サーボモータの駆動力に基づき、X軸ガイドレール51に沿ってX軸方向に往復移動するように構成されている。
【0021】
柱部50には、Z軸ガイドレール61がZ軸方向に沿って設けられており、アーム部60は、Z軸ガイドレール61に対して、Z軸方向に沿って移動可能に固定されている。アーム部60は、柱部50に設けられているZ軸サーボモータの出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、アーム部60は、Z軸サーボモータの駆動力に基づき、Z軸ガイドレール61に沿ってZ軸方向に往復移動するように構成されている。
【0022】
アーム部60には、Y軸ガイドレール21がY軸方向に沿って設けられており、ハンド部20は、Y軸ガイドレール21に対して、Y軸方向に沿って移動可能に固定されている。ハンド部20は、アーム部60に設けられているY軸サーボモータの出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、ハンド部20は、Y軸サーボモータの駆動力に基づき、Y軸ガイドレール21に沿ってY軸方向に往復移動するように構成されている。
【0023】
以上に説明したように、搬送機構30は、ハンド部20を水平方向において直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)、及び上下方向(Z軸方向)に直動可能に構成されている。
【0024】
図1に示すように、ハンド部20は、旋回部としての回転機構23を介してアーム部60に固定されている。回転機構23は、内蔵する旋回サーボモータ(図示略)の駆動力に基づき、回転機構23を中心としてZ軸周り(図1において矢印Rの方向)にハンド部20を旋回可能に構成されている。
【0025】
図2に示すように、ハンド部20は、水平方向に離間した位置において同じ方向(本実施形態ではワークWの長手方向)に貫通する把手孔84にそれぞれ爪部90を挿入し、ワークWを吊り上げるものである。このハンド部20は、2つのワークWをまとめて吊り上げ可能に構成されている。まとめて吊り上げられる2つのワークWは、水平方向であって、側壁83同士が接触した状態で吊り上げられる。以下、このハンド部20の詳しい構成について説明する。
【0026】
ハンド部20は、回転機構23に取り付けられる長板状のベース部材24を有する。ベース部材24の長手方向両端には、複数の爪部90が取り付けられる取付板25がそれぞれ固定されている。なお、以降では、説明の都合上、図2におけるベース部材24の短手方向を、S方向(第1方向)と定義し、ベース部材24の長手方向を、L方向(第2方向)と定義する。なお、S方向及びL方向に垂直な方向が、上下方向(Z軸方向)である。また、図4,6,7では、ワークWを破線で示す。
【0027】
図2及び図6に示すように、取付板25は、略長板状に形成されており、S方向が、取付板25の長手方向となるように、ベース部材24のL方向両端にそれぞれ固定されている。取付板25の長手方向(S方向)の長さは、ワークW(ケース82)の長手方向(S方向)の長さとほぼ同じ長さで形成されている。また、取付板25の長手方向(S方向)の両端部における幅(L方向の長さ寸法)は、ワークW(ケース82)の短手方向(L方向)の長さよりも短く、ワークWの長手方向(S方向)両端に設けられた把手孔84の長さよりも長く形成されている。
【0028】
そして、取付板25のS方向の両端には、爪部90の台座27が固定されるためのボルト孔26aが複数形成されている。爪部90の台座27は、図4図5に示すように、このボルト孔26aを介して固定部材としてのボルト26によって取付板25の下方(Z軸方向下方)に固定される。
【0029】
図6に示すように、ボルト孔26aは、S方向に沿って縦長に形成されており、1つの爪部90の台座27に対して、2つずつ設けられている。この2つのボルト孔26aは、L方向において所定距離離れた位置に設けられている。爪部90の台座27は、縦長に形成されたボルト孔26aを介して固定されているため、ボルト26による固定位置を調整することにより、S方向において、爪部90の台座27の位置を調整することができる。それに伴い、台座27に固定される爪部90のS方向における位置も調整できる。なお、2つのボルト孔26aの間には、略四角形状の貫通孔28が設けられており、台座27の底面(Z軸方向上面)が貫通孔28を介して露出している。
【0030】
図2及び図4に示すように、複数の爪部90は、ワークWの水平方向両端(本実施形態では、ワークWの長手方向両端)に設けられる各把手孔84に対応するように、水平方向において所定距離離れた第1位置側と第2位置側のいずれかに分けられて設けられている。図4において、取付板25の左側(S方向左側)が第1位置に相当し、右側(S方向右側)が第2位置に相当する。
【0031】
図2及び図5に示すように、取付板25のS方向両端には、それぞれ2つずつの爪部90が配置されている。そして、図2に示すように、第1位置に配置される第1爪部90aは、第1位置においてL方向に沿って1列に配置される。同様に、第2位置に配置される第2爪部90bは、第2位置においてL方向に沿って1列に配置される。なお、本実施形態では、第1爪部90a及び第2爪部90bをまとめて、爪部90と示す場合がある。
【0032】
また、取付板25は、ベース部材24の長手方向両端に、2枚固定される。このため、図5(a)に示すように、ハンド部20において、第1爪部90aは、合計4つ設けられ、第1位置において1列で整列している。また、図5(a)に示すように、各把手孔84に対して、それぞれ2つずつ第1爪部90aが挿入されるように設けられている。なお、図5(a)は、S方向において、第1位置の側から見たときにおけるハンド部20の側面図である。
【0033】
同様に、図5(b)に示すように、ハンド部20において、第2爪部90bは、合計4つ設けられ、第2位置において1列で整列している。また、図5(b)に示すように、各把手孔84に対して、それぞれ2つずつ第2爪部90bが挿入されるように設けられている。なお、図5(b)は、S方向において、第2位置の側から見たときにおけるハンド部20の側面図である。
【0034】
また、図4に示すように、S方向における把手孔84の距離L2と、第1爪部90aから第2爪部90bまでの距離L20とが、略同じとなるように、ボルト26によって、爪部90のS方向における位置が調整されている。
【0035】
図2図4及び図5に示すように、各爪部90は、台座27を介して取付板25の下方に取り付けられている。詳しく説明すると、台座27には、Z軸方向に貫通する貫通孔27a(図6において破線で示す)が設けられている。この貫通孔27aは、L方向に横長に形成されている。爪部90のZ軸方向の上端部には、2つのボルト孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔27aを介して2本のボルト29によって台座27にねじ止めされる。なお、ねじ止めする際、ボルト29と台座27の間に、座金27bを介在させている。また、貫通孔27aは、L方向に長く形成されているため、ボルト29の位置をL方向にずらすことができる。すなわち、爪部90は、台座27に対してL方向の位置を調整可能となっている。
【0036】
図5に示すように、各把手孔84に対して、一対(2つ)の爪部90が配置されるように爪部90のL方向の位置が調整されている。より詳しくは、把手85(つまり、把手孔84)のL方向両端に、爪部90がそれぞれ配置されるように、爪部90のL方向の位置が調整されている。
【0037】
その際、側壁83同士が接触した2つのワークWのうち一方のワークWの把手孔84から他方のワークWの把手孔84までのL方向(第2方向)における離間距離L10に応じて、ワークW同士が接触する側壁83側の爪部90同士の間隔が設定されている。本実施形態では、図5(a)に示すように、把手孔84の内側端部間における離間距離L10と略一致するように、図5(a)において内側の第1爪部90a同士の間隔が設定されている。同様に、図5(b)に示すように、把手孔84の内側端部間における離間距離L10と略一致するように、図5(b)において内側の第2爪部90b同士の間隔が設定されている。
【0038】
そして、図4に示すように、複数の爪部90は、鉤状又はL字状に形成され、その先端部92a,92bは、水平方向(本実施形態ではS方向)において、全て第1位置から第2位置への方向(一方側)に向けられている。詳しく説明すると、第1爪部90aは、Z軸方向に延びる基部91aと、基部91aからS方向に延びる先端部92aと、を有する。また、第2爪部90bは、Z軸方向に延びる基部91bと、基部91bからS方向に延びる先端部92bと、を有する。爪部90の先端部92a,92bは、第1爪部90a及び第2爪部90bのいずれであっても、第1位置から第2位置に向くように、つまり、図4において、左側から右側に向くように、設けられている。
【0039】
各爪部90の先端部92a,92bは、ケース82の側壁83に設けられた把手孔84に挿入され、把手85を引っ掛けるように構成されている。詳しく説明すると、S方向において、第1爪部90aの先端部92aの長さ寸法(基部91aからのS方向における突出量)は、当該先端部92aが挿入される把手孔84が設けられる側壁83の厚さ寸法よりも長い。このため、第1爪部90aの先端部92aが、ケース82の外部から把手孔84に挿入されると、先端部92aの一部がケース82の内部に突出することとなる。
【0040】
そして、先端部92aの先端には、Z軸方向上方(取付板25の側)に突出する突起部93が設けられている。第1爪部90aの先端部92aが把手孔84に挿入されると、図4に示すように、第1爪部90aの先端部92aの突起部93は、ケース82の内部に収容される。つまり、第1爪部90aが把手孔84に挿入された場合、第1爪部90aが挿入される把手孔84の第2位置側に突起部93が配置されることとなる。
【0041】
この状態で、第1爪部90aが上方に移動して、第1爪部90aの先端部92aによって把手85を引っ掛けると、当該先端部92aの突起部93は、ケース82の内部においてケース82の把手85(側壁83)に対して係合することとなる。つまり、ケース82の内部において突起部93が把手85に対して係合するので、把手85が水平方向にずれて第1爪部90aから外れることを規制する。
【0042】
一方、S方向において、第2爪部90bの先端部92bの長さ寸法(基部91bからの突出量)は、当該先端部92bが挿入される把手孔84が設けられる側壁83の厚さ寸法よりも短い。このため、第2爪部90bの先端部92bが、ケース82の内部から把手孔84に挿入されても、先端部92aの一部がケース82の外部に突出することはない。したがって、図4においてケース82の右側(第2位置側)に、他のワークWが存在しても、隣接するワークWに第2爪部90bが干渉することがない。つまり、ワークW同士を極力隙間なく隣接させて並べることが可能となる。
【0043】
ちなみに、第2爪部90bの先端部92bの先端には、第1爪部90aと異なり、上方に突出する突起部93が設けられていない。このため、第2爪部90bの先端部92bが把手孔84に挿入され、把手85を引っ掛ける際、突起部93がないため、把手85を第2爪部90bの先端部92bにより安定的に引っ掛けることができる。
【0044】
また、図5(b)に示すように、爪部90の先端部92a,92bは、L方向において幅広に形成されており、把手85に対して面接触するように構成されている。また、図5(b)に示すように、爪部90の先端部92a,92bの幅方向両側には、下面が上面に比較して幅広となるように、テーパ面が設けられている。なお、図示しないが、先端部92a,92bを先細り形状にして、把手孔84に挿入しやすくなるように構成されていてもよい。
【0045】
次に制御装置100について説明する。制御装置100は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置である。制御装置100は、前述した各種サーボモータを駆動させるための駆動回路を備えており、駆動回路を介して各種サーボモータの動作を制御可能に構成されている。
【0046】
この制御装置100は、各種センサ、各種サーボモータ及びコントローラ等と接続されており、各種情報を取得可能に構成されている。また、制御装置100は、各種機能を備え、取得した各種情報に基づき、各種機能を実行する。これらの機能は、制御装置100が備える記憶装置(記憶用メモリ)に記憶されたプログラムが実行されることで、各種機能が実現される。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
【0047】
各種機能の中には、例えば、ワークWを搬送し、パレットPに積載するパレタイズ機能が存在する。パレタイズ機能について簡単に説明すると、制御装置100は、所定の静止位置に位置決めされて静止しているワークWをセンサなどで検出し、ハンド部20により吊り上げて、ワークWごとハンド部20を搬送機構30によりパレットP上に移動させ、解放することにより、ワークWを積載する機能である。この機能により、ワークWは、例えば、図3に示すように、パレットP上に、各段において、所定方向(X軸方向又はY軸方向)に複数の列に整列させて積載される。なお、上下方向(Z軸方向)に複数段に亘って積み重ねられてもよい。
【0048】
また、各種機能の中には、例えば、パレットPに積載されているワークWを搬送するデパレタイズ機能が存在してもよい。デパレタイズ機能について簡単に説明すると、パレットPに積載されている各ワークWの位置を検出し、位置を検出したワークWをハンド部20により吊り上げて、パレットPから所定の排出場所に搬送する機能である。
【0049】
次に、ワークWをパレタイズ又はデパレタイズを実施する際に、制御装置100が実施する具体的なワーク搬送処理(ワーク搬送方法)について図8を参照して説明する。なお、本実施形態では、短手方向側の側壁83同士が接触した状態の2つのケース82がまとめて搬送されるものとして説明する。ワーク搬送処理は、所定のタイミング(例えば、コントローラの指示が入力されたタイミング)で実行される。ワーク搬送処理を開始すると、制御装置100は、各種センサからの情報等を利用して、ワークWがハンド部20の下方に位置するように、ハンド部20を搬送機構30により移動させる(ステップS101)。
【0050】
その際、制御装置100は、ワークWの長手方向が、取付板25の長手方向(S方向)に沿うようにハンド部20を回転させる。また、S方向において、ケース82の側壁83から、所定距離離れた位置(側方)に、各爪部90が配置されるように、ハンド部20を移動させる。つまり、ハンド部20を下降させたとき、図7(a)に示すようにS方向において、爪部90が、ケース82の側壁83から左側へ所定距離離れた位置に配置されるように、ハンド部20を移動させる。なお、所定距離は、例えば、爪部90の先端部92a,92bの突出量(水平方向の長さ寸法)よりも大きい距離である。
【0051】
また、L方向において、1対の爪部90が、ケース82の把手孔84の範囲内に収まるように、ハンド部20を移動させる。つまり、ハンド部20を下降させたとき、図5に示すようにL方向において、1対の爪部90が、側壁83の把手孔84に相対するように、ハンド部20を移動させる。
【0052】
次に、制御装置100は、爪部90の先端部92a,92bが把手85よりも下側に位置するように、ハンド部20を下降させる(ステップS102)。すなわち、図7(a)に示すように、制御装置100は、Z軸方向において、各爪部90の先端部92a,92bとケース82の把手孔84との位置が同じとなるように、ハンド部20を下降させる。その際、制御装置100は、ハンド部20をS方向に移動させた場合に第1爪部90aの先端部92aの突起部93が把手85と衝突しないように、突起部93の高さ寸法を考慮してハンド部20を下降させる。本実施形態においてステップS101,S102が第1ステップに相当する。
【0053】
次に、制御装置100は、図7(b)に示すように、S方向において、第1位置から第2位置に向かう方向(図7において右側)へハンド部20を移動させて、各爪部90の先端部92a,92bをケース82の把手孔84に挿入させる(ステップS103)。ステップS103が第2ステップに相当する。
【0054】
その際、第1爪部90aの先端部92aの一部(突起部93が形成されている箇所)が、ケース82の内部に収容されるまで挿入する。本実施形態では、第1爪部90aの基部91aが側壁83の外側面に当接する程度までスライド移動させることにより、第1爪部90aの先端部92aの一部が、ケース82の内部に収容されることとなる。
【0055】
なお、第2爪部90bの先端部92bの長さ寸法は、側壁83の厚さ寸法よりも短いため、第2爪部90bの基部91bが側壁83の内側面に当接する程度までスライド移動させても、その先端部92bがケース82の外部に突出することはない。
【0056】
また、前述したように、把手孔84の内側端部間における離間距離L10と略一致するように、L方向内側の爪部90同士の間隔が設定されている。このため、一対の爪部90を各把手孔84に挿入すると、内側の爪部90によって把手孔84のL方向の移動が規制され、接触している側壁83同士が離れないようにすることができる。
【0057】
次に、制御装置100は、図7(c)に示すように、各爪部90で把手85を引っ掛けるように、ハンド部20を上昇させる(ステップS104)。ステップS104が第3ステップに相当する。
【0058】
その後、制御装置100は、搬送先の直上まで水平方向に移動させる(ステップS105)。この際、突起部93が側壁83と係合するため、水平方向に移動させても、爪部90が、ケース82から外れてしまうことを抑制できる。
【0059】
搬送先の直上まで移動させた後、制御装置100は、ハンド部20を下降させて、ワークWを載置する(ステップS106)。載置する際、水平方向においてケース82の側壁83と突起部93が係合しないように、突起部93の突出量を考慮して、ハンド部20を十分に下降させる。
【0060】
その後、制御装置100は、把手孔84から爪部90を引き抜くように、ハンド部20をスライド移動させる(ステップS107)。最後に、制御装置100は、ハンド部20を上昇させ、ハンド部20を所定位置(初期位置など)に移動させる(ステップS108)。制御装置100は、これら一連の処理を、すべてのワークWが搬送されるまで繰り返し実行する。
【0061】
上記実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0062】
第1位置に配置される第1爪部90a及び第2位置に配置される第2爪部90bの先端部92a,92bは、水平方向(S方向)において、全て第1位置から第2位置への方向に向けられている。そして、制御装置100は、ハンド部20をS方向において、第1位置から第2位置に向かう方向へスライド移動させることにより、爪部90を把手孔84に挿入して、ワークWを吊り上げるようにしている。これにより、ハンド部20に爪部90の駆動機構や、吸引装置を設ける必要がなくなり、ハンド部20を小型、軽量化することができる。また、ハンド部20の構成を簡素化することができ、メンテナンスの負担や、製造コストを小さくすることができる。
【0063】
第1爪部90aの先端部92aのみに、鉛直方向(Z軸方向)上方に突出する突起部93を設けた。そして、第1爪部90aが把手孔84に挿入された場合、第1爪部90aが挿入される把手孔84の第2位置側に突起部93が配置されるようにした。これにより、第1爪部90aの先端部92aを、ワークWを吊り上げた際、突起部93を把手85に対して係合させることができる。このため、突起部93によって、第1爪部90aが水平方向にずれて把手孔84から外れることを規制することができる。
【0064】
第2爪部90bの先端部92bの長さは、先端部92bが挿入される把手孔84が設けられた側壁83の厚さよりも短く構成れている。これにより、ワークWを吊り上げる際、ケース82の外部に第2爪部90bの先端部92bが突出しないようにすることができる。このため、図4においてケース82の右側(第2位置側)に隣接する他のワークWが存在しても、当該隣接するワークWに第2爪部90bが干渉することがない。つまり、ワークW同士を極力隙間なく隣接させて並べることが可能となる。
【0065】
複数の爪部90は、各把手孔84に対して、それぞれ少なくとも2つの爪部90が挿入されるように設けられている。そして、同じ把手孔84に挿入される爪部90のうち両端の爪部90同士の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、台座27に、L方向に横長の貫通孔27aを設けて、爪部90を、台座27に対してL方向の位置を調整可能としている。これにより、同じ把手孔84に挿入される爪部90を、把手孔84の両端近傍に配置させることができ、安定的に吊り上げることが可能となる。この場合、台座27が、調整部として機能する。
【0066】
また、ハンド部20は、2つのワークWをまとめて吊り上げ可能に構成されている。このため、効率的にワークWを搬送することができる。また、ハンド部20によってまとめて吊り上げられる2つのワークWは、水平方向であって、第1位置から第2位置への第1方向とは直交するL方向(第2方向)において、側壁83同士が接触した状態で吊り上げられる。これにより、ワークWが離間した状態で吊り上げられる場合に比較して、安定した状態で吊り上げることが可能となり、振動などを押さえることができる。
【0067】
また、把手孔84の内側端部間における離間距離L10と略一致するように、L方向における内側の第1爪部90a同士の間隔が設定されている。これにより、一対の爪部90を各把手孔84に挿入すると、内側の爪部90によって把手孔84のL方向の移動が規制され、接触している側壁83同士が離れないようにすることができる。したがって、吊り上げられたワークWが離間することを抑制し、安定した状態で搬送することが可能となる。
【0068】
図5(b)に示すように、爪部90の先端部92a,92bは、L方向において幅広に形成されており、把手85に対して面接触するように構成されている。このため、ワークWを吊り上げる際、安定的に吊り上げることができる。また、図5(b)に示すように、爪部90の先端部92a,92bの幅方向両側には、下面が上面に比較して幅広となるように、テーパ面が設けられている。このため、把手孔84に挿入しやすくなる。
【0069】
ワーク搬送装置10の制御装置100は、把手孔84の側方に爪部90を配置し、第1位置側から第2位置側に向かう方向にハンド部20をスライド移動させて、把手孔84に爪部90を挿入し、その後、ハンド部20を上方向に移動させることにより、ワークWを吊り上げる。このため、簡単な動作でワークWを吊り上げることができ、制御負担を少なくすることができる。また、爪部にてワークを挟持させる、又は吸引動作を実行させる、等の制御を行う必要がないため、素早くワークWを吊り上げて、移動させることができる。
【0070】
制御装置100は、ステップS101において、把手孔84の側方に爪部90を配置する際、第1爪部90aをケース82の外部に配置させるとともに、第2爪部90bをケース82の内部に配置されるようにハンド部20を移動させる。そして、制御装置100は、ステップS103において、第1爪部90aの先端部92aを、ケース82の外部から把手孔84に挿入するとともに、第2爪部90bの先端部92bを、ケース82の内部から把手孔84に挿入するように、スライド移動させる。このため、ケース82の第2位置側の側面に他のワークWが配置されていても、爪部90が干渉することがない。したがって、ワークWが隙間なく配置されていても、容易に吊り上げることが可能となる。
【0071】
制御装置100は、ステップS103において把手孔84に第1爪部90aの先端部92aを挿入する前に、又はステップS107において把手孔84から第1爪部90aの先端部92aを引き抜く前に、突起部93が把手85に対して係合しない程度に第1爪部90aを下方に移動させてから、水平移動させる。これにより、ワークWをずらすことなく、第1爪部90aの先端部92aを引き抜くことができる。
【0072】
制御装置100は、ハンド部20をスライド移動させる際、第2爪部90bの先端部92bが、ケース82の外部に突出しないように制御する。これにより、ケース82の第2位置側の側面に他のワークWが配置されていても、爪部90が干渉することがない。このため、ワークWを隙間なく載置することができる。また、ワークWが隙間なく配置されていても、容易に吊り上げることが可能となる。
【0073】
爪部90のS方向の位置、及びL方向の位置を調整できるように構成している。これにより、ワークW(ケース82)の大きさを変更することができる。
【0074】
爪部90を把手孔84に挿入する場合、その基部91a,91bを側壁83に当接させている。これにより、当接させない場合に比較して、ワークWを安定させることができる。
【0075】
(変形例)
上記実施形態の構成の一部を変更してもよい。以下に変形例について説明する。
【0076】
・上記実施形態において、爪部90の形状を任意に変更してもよい。例えば、第1爪部90aの先端部92aの先端に突起部93を設けなくてもよい。この場合、第1爪部90aの先端部92aの長さ寸法を変更し、例えば、側壁83の厚さ寸法以下にしてもよい。すなわち、把手孔84に第1爪部90aを挿入する際に、ケース82の内部に先端部92aが突出しないようにしてもよい。これにより、ケース82の把手孔84の近傍に物品81が配置されていても、先端部92aが接触することを防止できる。
【0077】
また、第2爪部90bの先端部92bの長さ寸法を変更し、例えば、側壁83の厚さ寸法よりも大きくしてもよい。この場合、第2爪部90bの先端部92bの先端に突起部93を設けてもよい。これにより、把手85を爪部90で引っ掛けて水平方向に移動させる場合、係合箇所を増やして、より安定させることができる。
【0078】
また、爪部90の先端部92a,92bの幅方向両側にテーパ面を設けなくてもよい。また、爪部90の先端部92a,92bを幅広に形成しなくてもよい。
【0079】
・上記実施形態において、爪部90の数を任意に変更してもよい。例えば、1つの把手孔84に対して、1つの爪部90だけを挿入してもよく、3つ以上の爪部90を挿入してもよい。また、第1爪部90aの数と、第2爪部90bの数が一致しなくてもよい。
【0080】
・上記実施形態において、取付板25を2枚用意して、2つのワークWを1度に運べるように構成したが、取付板25を1枚に変更して、ワークWを1つずつ運ぶようにしてもよい。また、取付板25を3枚以上に変更して、ワークWを3つ以上ずつ運べるようにしてもよい。
【0081】
・上記実施形態において、ワークWの側壁83同士が接触しない状態で搬送してもよい。
【0082】
・上記実施形態において、第2爪部90bの先端部92bの長さ寸法が、側壁83の厚さ寸法以上である場合、制御装置100は、ステップS103において、ケース82の外部に突出しないように、先端部92bの挿入量(スライド移動量)を制御してもよい。
【0083】
・上記実施形態において、爪部90の位置調整機構が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…ワーク搬送装置、20…ハンド部(ロボットハンド)、30…搬送機構、82…ケース、84…把手孔、85…把手、90…爪部、90a…第1爪部、90b…第2爪部、92a…第1爪部の先端部、92b…第2爪部の先端部、93…突起部、100…制御装置、W…ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8