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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033508
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】一酸化炭素製造システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/40 20170101AFI20240306BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C01B32/40
H05H1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137125
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一哉
(72)【発明者】
【氏名】島村 遼一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智博
【テーマコード(参考)】
2G084
4G146
【Fターム(参考)】
2G084AA18
2G084AA26
2G084CC03
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD15
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD32
4G146JA01
4G146JB04
4G146JB09
4G146JC01
4G146JC37
4G146JD02
(57)【要約】
【課題】より効率的に、二酸化炭素から一酸化炭素を製造できる一酸化炭素製造システムを提供すること。
【解決手段】一酸化炭素製造システム1は、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する。一酸化炭素製造システム1は、プラズマリアクタ3と、プラズマリアクタ3に二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給ライン4と、プラズマリアクタ3から一酸化炭素を排出するための一酸化炭素排出ライン5とを備える。プラズマリアクタ3は、ケーシング30と、ケーシング30内に配置される複数の電極パネル31、および、二酸化炭素吸着部材35とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を一酸化炭素に変換する一酸化炭素製造システムであり、
プラズマリアクタと、
前記プラズマリアクタに二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給ラインと、
前記プラズマリアクタから一酸化炭素を排出するための一酸化炭素排出ラインとを備え、
前記プラズマリアクタは、
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置される、複数の電極パネルおよび二酸化炭素吸着部材と
を備える、一酸化炭素製造システム。
【請求項2】
前記一酸化炭素製造システムは、制御ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記プラズマリアクタの電力周波数を、20kHz以下に制御する、請求項1に記載の一酸化炭素製造システム。
【請求項3】
前記一酸化炭素製造システムは、制御ユニットを備え、
前記制御ユニットは、一酸化炭素生成効率に応じて、前記プラズマリアクタを停止させる、請求項1に記載の一酸化炭素製造システム。
【請求項4】
前記一酸化炭素製造システムは、制御ユニットを備え、
前記プラズマリアクタは、第1プラズマリアクタと第2プラズマリアクタとを備え、
前記第1プラズマリアクタは、
第1ケーシングと、
前記第1ケーシング内に配置される、複数の第1電極パネルおよび第1二酸化炭素吸着部材と
を備え、
前記第2プラズマリアクタは、
第2ケーシングと、
前記第2ケーシング内に配置される、複数の第2電極パネルおよび第2二酸化炭素吸着部材と
を備え、
前記制御ユニットは、第1モードまたは第2モードを選択的に制御し、
前記第1モードは、前記二酸化炭素を、前記第1プラズマリアクタに供給することによって、前記第1二酸化炭素吸着部材に二酸化炭素を吸着させるとともに、前記第2プラズマリアクタにおいて、前記第2二酸化炭素吸着部材に吸着する二酸化炭素を一酸化炭素に変換させ、
前記第2モードは、前記二酸化炭素を、前記第2プラズマリアクタに供給することによって、前記第2二酸化炭素吸着部材に二酸化炭素を吸着させるとともに、前記第1プラズマリアクタにおいて、前記第1二酸化炭素吸着部材に吸着する二酸化炭素を一酸化炭素に変換させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の一酸化炭素製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化炭素製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラルの観点から、二酸化炭素を一酸化炭素に変換することが、検討されている。二酸化炭素は、例えば、工場の排ガスに含まれる。一酸化炭素は、例えば、樹脂原料および燃料原料として、使用される。
【0003】
二酸化炭素を一酸化炭素に変換する方法としては、例えば、二酸化炭素をプラズマ処理する方法が、知られている。より具体的には、以下の一酸化炭素の製造方法が、提案されている。この一酸化炭素製造方法は、プラズマ粒子発生原料ガスからプラズマ粒子を発生させる工程と、プラズマ粒子を二酸化炭素含有原料ガスに接触させることにより、一酸化炭素を含有するガスを生成させる工程とを含む(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-252987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、一酸化炭素の製造では、二酸化炭素を効率よく一酸化炭素に変換することが、要求されている。
【0006】
本発明は、より効率的に、二酸化炭素から一酸化炭素を製造できる一酸化炭素製造システムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する一酸化炭素製造システムであり、プラズマリアクタと、前記プラズマリアクタに二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給ラインと、前記プラズマリアクタから一酸化炭素を排出するための一酸化炭素排出ラインとを備え、前記プラズマリアクタは、ケーシングと、前記ケーシング内に配置される、複数の電極パネルおよび二酸化炭素吸着部材とを備える、一酸化炭素製造システムを、含んでいる。
【0008】
上記の一酸化炭素製造システムでは、二酸化炭素は、一旦、プラズマリアクタにおける二酸化炭素吸着部材に吸着する。そして、十分に吸着した二酸化炭素が、一酸化炭素に変換される。そのため、上記の一酸化炭素製造システムによれば、プラズマ処理によって、二酸化炭素を、優れた効率で、一酸化炭素に変換できる。その結果、上記の一酸化炭素製造システムによれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0009】
本発明[2]は、前記一酸化炭素製造システムは、制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記プラズマリアクタの電力周波数を、20kHz以下に制御する、上記[1]に記載の一酸化炭素製造システムを、含んでいる。
【0010】
上記の一酸化炭素製造システムでは、プラズマリアクタの電力周波数が、比較的低い。電力周波数が比較的低い場合には、電力周波数が比較的高い場合と比べて、印加電力の大きさが同じであっても、1パルスあたりの電流値が大きくなる。そのため、このような一酸化炭素製造システムによれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0011】
本発明[3]は、前記一酸化炭素製造システムは、制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、一酸化炭素生成効率に応じて、前記プラズマリアクタを停止させる、上記[1]または[2]に記載の一酸化炭素製造システムを、含んでいる。
【0012】
上記の一酸化炭素製造システムでは、プラズマリアクタの停止が、一酸化炭素の生成効率に応じて、調整される。そのため、上記の一酸化炭素製造システムによれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0013】
本発明[4]は、前記一酸化炭素製造システムは、制御ユニットを備え、前記プラズマリアクタは、第1プラズマリアクタと第2プラズマリアクタとを備え、前記第1プラズマリアクタは、第1ケーシングと、前記第1ケーシング内に配置される、複数の第1電極パネルおよび第1二酸化炭素吸着部材とを備え、前記第2プラズマリアクタは、第2ケーシングと、前記第2ケーシング内に配置される、複数の第2電極パネルおよび第2二酸化炭素吸着部材とを備え、前記制御ユニットは、第1モードまたは第2モードを選択的に制御し、前記第1モードは、前記二酸化炭素を、前記第1プラズマリアクタに供給することによって、前記第1二酸化炭素吸着部材に二酸化炭素を吸着させるとともに、前記第2プラズマリアクタにおいて、前記第2二酸化炭素吸着部材に吸着する二酸化炭素を一酸化炭素に変換させ、前記第2モードは、前記二酸化炭素を、前記第2プラズマリアクタに供給することによって、前記第2二酸化炭素吸着部材に二酸化炭素を吸着させるとともに、前記第1プラズマリアクタにおいて、前記第1二酸化炭素吸着部材に吸着する二酸化炭素を一酸化炭素に変換させる、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の一酸化炭素製造システムを、含んでいる。
【0014】
このような一酸化炭素製造システムは、第1モードまたは第2モードを選択的に制御する。これにより、第1プラズマリアクタの第1二酸化炭素吸着部材が、二酸化炭素を吸着するときには、第2プラズマリアクタが、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する。また、第2プラズマリアクタの第2二酸化炭素吸着部材が、二酸化炭素を吸着するときには、第1プラズマリアクタが、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する。そのため、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、連続的に供給される二酸化炭素を一酸化炭素に変換できる。その結果、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、優れた効率で、一酸化炭素を連続的に製造できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一酸化炭素製造システムによれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一酸化炭素製造システムの第1実施形態を示す概略図である。
図2図2は、一酸化炭素生成効率と時間との変化を示すグラフである。
図3図3は、本発明の一酸化炭素製造システムの第2実施形態を示す概略図である。
図4図4は、実施例1~4の一酸化炭素の生成量と時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)全体構成
一酸化炭素製造システムは、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する。より具体的には、一酸化炭素製造システムは、二酸化炭素を含むガス(未処理ガス)を、所定方向に通過させるとともに、二酸化炭素をプラズマ処理し、一酸化炭素を含むガス(被処理ガス)を製造する。なお、以下において、未処理ガスおよび被処理ガスの流れ方向を、ガス流れ方向と称する。
【0018】
一酸化炭素製造システムの第1実施形態について、図1を参照して、詳述する。
【0019】
図1において、一酸化炭素製造システム1は、プラズマリアクタ3と、二酸化炭素供給ライン4と、一酸化炭素排出ライン5と、電源ユニット8と、制御ユニット9とを備えている。
【0020】
プラズマリアクタ3は、プラズマを生じさせる装置である。プラズマリアクタ3は、ケーシング30と、ケーシング30内に配置される、複数の電極パネル31および二酸化炭素吸着部材35とを備えている。
【0021】
ケーシング30は、中空の筒形状を有する。ケーシング30は、その長手方向が、ガス流れ方向に沿うように、配置されている。ケーシング30のガス流れ方向上流側(紙面右側)の側壁には、ガス供給口が形成されている。ガス供給口は、二酸化炭素供給ライン4に接続されている。ケーシング30のガス流れ方向下流側(紙面左側)の側壁には、ガス排出口が形成されている。ガス排出口は、一酸化炭素排出ライン5に接続されている。
【0022】
複数の電極パネル31は、ケーシング30内において、ケーシング30の長手方向(ガス流れ方向)に沿って、配置されている。また、複数の電極パネル31は、ケーシング30の長手方向(ガス流れ方向)に直交する方向に沿って、互いに間隔を隔てて配置されている。電極パネル31の数は、特に制限されない。図1では、3つの電極パネル31が、ケーシング30内に配置されている。
【0023】
各電極パネル31は、薄板形状を有している。電極パネル31は、図1の拡大図で示されるように、導体33および誘電体34を備えている。
【0024】
導体33は、金属材料を含み、好ましくは、金属材料からなる。金属材料として、例えば、タングステンが挙げられる。導体33の形状は、特に制限されない。例えば、導体33は、薄板形状を有している。なお、導体33のサイズは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。導体33は、電源ユニット8(後述)に電気的に接続される(図1破線参照)。これにより、導体33は、電源ユニット8(後述)から電力を供給される。
【0025】
誘電体34は、導体33を被覆している。例えば、導体33が薄板形状を有する場合、誘電体34は、導体33の表面および裏面の両面を被覆している。
【0026】
誘電体34は、例えば、誘電材料を含み、好ましくは、誘電材料からなる。誘電材料としては、例えば、アルミナが挙げられる。なお、誘電体34のサイズは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0027】
二酸化炭素吸着部材35は、電極パネル31の表面を被覆している。より具体的には、二酸化炭素吸着部材35は、電極パネル31の表面および裏面の両面において、誘電体34に積層されている。
【0028】
二酸化炭素吸着部材35は、例えば、二酸化炭素吸着材料を含み、好ましくは、二酸化炭素吸着材料からなる。二酸化炭素吸着材料としては、例えば、アルミナ、ゼオライト、Ba/CeO、Ca/CeO、または、これらの組み合わせが挙げられる。入手容易性の観点から、好ましくは、アルミナ、ゼオライト、または、これらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
二酸化炭素吸着部材35は、例えば、二酸化炭素吸着材料を含むスラリーを、誘電体34に塗布し、さらに、スラリーの塗膜を焼成することによって、形成される。これにより、二酸化炭素吸着部材35が、ケーシング30内に配置される。なお、二酸化炭素吸着部材35のサイズ(厚み)は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0030】
プラズマリアクタ3は、さらに、必要に応じて、二酸化炭素吸着量センサ32を備える。
【0031】
二酸化炭素吸着量センサ32は、二酸化炭素吸着量センサ32は、例えば、ケーシング30内に配置され、二酸化炭素吸着部材35による二酸化炭素の吸着量を検知する。
【0032】
二酸化炭素吸着センサ32としては、特に制限されず、公知のセンサが採用される。二酸化炭素吸着量センサ32は、制御ユニット9(後述)に電気的に接続される(図1破線参照)。これにより、二酸化炭素吸着量センサ32は、二酸化炭素の吸着量を電気信号として制御ユニット9(後述)に入力できる。
【0033】
二酸化炭素供給ライン4は、プラズマリアクタ3に二酸化炭素を供給するために設けられている。二酸化炭素供給ライン4は、例えば、二酸化炭素供給管40を備えている。
【0034】
二酸化炭素供給管40は、プラズマリアクタ3に二酸化炭素を供給するための管である。二酸化炭素供給管40のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、二酸化炭素の供給源(図示せず)に接続されている。二酸化炭素供給管40のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、ケーシング30のガス流れ方向上流側(紙面右側)のガス供給口に接続されている。
【0035】
なお、二酸化炭素の供給源(図示せず)は、特に制限されない。二酸化炭素の供給源としては、例えば、各種工場設備、および、二酸化炭素貯留タンクが挙げられる。
【0036】
二酸化炭素供給ライン4は、必要に応じて、開閉弁(図示せず)および/またはポンプ(図示せず)を備えることができる。開閉弁(図示せず)および/またはポンプ(図示せず)は、例えば、二酸化炭素供給管40の流れ方向途中部分に、介在される。
【0037】
一酸化炭素排出ライン5は、プラズマリアクタ3から一酸化炭素を排出するために設けられている。一酸化炭素排出ライン5は、例えば、一酸化炭素排出管50を備えている。
【0038】
一酸化炭素排出管50は、プラズマリアクタ3から一酸化炭素を排出させるための管である。一酸化炭素排出管50のガス流れ方向上流側(紙面右側)は、ケーシング30のガス流れ方向下流側(紙面左側)のガス排出口に接続されている。一酸化炭素排出管50のガス流れ方向下流側(紙面左側)端部は、一酸化炭素の供給先(図示せず)に接続されている。
【0039】
なお、一酸化炭素の供給先(図示せず)は、特に制限されない。一酸化炭素の供給先としては、例えば、樹脂製造設備、燃料製造設備、および、一酸化炭素貯留タンクが挙げられる。
【0040】
一酸化炭素排出ライン5は、必要に応じて、開閉弁(図示せず)および/またはポンプ(図示せず)を備えることができる。開閉弁(図示せず)および/またはポンプ(図示せず)は、例えば、一酸化炭素排出管50の流れ方向途中部分に、介在される。
【0041】
電源ユニット8は、プラズマリアクタ3に電力(電圧)を供給(印加)するユニットである。電源ユニット8としては、例えば、直流電源ユニット、交流電源ユニット、および、パルス電源ユニットが挙げられる。電源ユニット8は、好ましくは、パルス電源ユニットである。
【0042】
電源ユニット8は、プラズマリアクタ3の電極パネル31に電気的に接続されている(図1破線参照)。これにより、電源ユニット8は、プラズマリアクタ3に電力を供給し、電極パネル31間にプラズマを発生させる。
【0043】
また、電源ユニット8は、制御ユニット9に電気的に接続されている(図1破線参照)。これにより、電源ユニット8の作動および停止が、制御ユニット9によって電気的に制御される。
【0044】
制御ユニット9は、電源ユニット8を電気的に制御するユニットである。制御ユニット9は、例えば、マイクロコンピュータである。制御ユニット9は、例えば、メモリおよび中央処理装置(CPU)を備えている。メモリは、ROMおよびRAMを備えている。ROMは、各種プログラムおよび固定データを格納する。RAMは、一時的な入力データを格納する。中央処理装置(CPU)は、各種プログラムに基づいて、電源ユニット8を作動および停止させる。これにより、制御ユニット9は、プラズマリアクタ3を制御する。
【0045】
また、制御ユニット9は、二酸化炭素吸着量センサ32に電気的に接続されている(図1破線参照)。これにより、制御ユニット9は、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量に応じて、プラズマリアクタ3を制御できる。
【0046】
(2)プラズマリアクタの運転
上記の一酸化炭素製造システム1では、まず、二酸化炭素が、プラズマリアクタ3に供給される。より具体的には、二酸化炭素とキャリア(空気など)とを含む未処理ガスが、二酸化炭素の供給源(図示せず)から、排出される。未処理ガスは、二酸化炭素供給ライン4を介して、プラズマリアクタ3に、供給される。
【0047】
未処理ガスにおける二酸化炭素の濃度は、例えば、100ppm以上、好ましくは、300ppm以上である。また、未処理ガスにおける二酸化炭素の濃度は、例えば、10000ppm以下、好ましくは、5000ppm以下である。
【0048】
未処理ガスの供給流速は、プラズマリアクタ3のサイズおよび性能に応じて、設定される。未処理ガスの供給流速は、例えば、0.1L/min、好ましくは、0.5L/minである。また、二酸化炭素の供給流速は、例えば、20L/min、好ましくは、10L/minである。
【0049】
未処理ガス中の二酸化炭素は、プラズマリアクタ3内において、二酸化炭素吸着部材35に吸着される。そして、二酸化炭素吸着部材35に吸着された二酸化炭素が、一酸化炭素製造システム1において、プラズマ処理される。
【0050】
より具体的には、この方法では、制御ユニット9の制御によって、電源ユニット8が作動し、電力がプラズマリアクタ3に供給される。これにより、電極パネル31間にプラズマが発生する。そして、二酸化炭素吸着部材35に吸着された二酸化炭素が、プラズマにより分解し、一酸化炭素が生成する。
【0051】
一酸化炭素は、一酸化炭素排出ライン5を介して、プラズマリアクタ3から排出される。より具体的には、一酸化炭素とキャリア(空気など)とを含む被処理ガスが、プラズマリアクタ3から排出される。被処理ガスは、プラズマリアクタ3から排出された後、一酸化炭素排出ライン5を介して、一酸化炭素の供給先(図示せず)に供給される。
【0052】
被処理ガスにおける一酸化炭素の濃度は、例えば、100ppm以上、好ましくは、300ppm以上である。また、被処理ガスにおける一酸化炭素の濃度は、例えば、10000ppm以下、好ましくは、5000ppm以下である。
【0053】
以上のように、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、二酸化炭素を二酸化炭素吸着部材35に吸着させることにより、二酸化炭素を効率よく一酸化炭素に変換することができる。
【0054】
つまり、上記の一酸化炭素製造システム1では、二酸化炭素は、一旦、プラズマリアクタ3における二酸化炭素吸着部材35に吸着する。そして、十分に吸着した二酸化炭素が、一酸化炭素に変換される。そのため、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、プラズマ処理によって、二酸化炭素を、優れた効率で、一酸化炭素に変換できる。その結果、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0055】
(3)印加電力および電力周波数
上記の一酸化炭素製造システム1において、プラズマリアクタ3に供給される電力(印加電力)の大きさは、制御ユニット9により、制御される。プラズマリアクタ3に供給される電力(印加電力)の大きさは、電極パネル31間にプラズマを発生させることができれば、特に制限されず、目的および用途に応じて、設定される。
【0056】
より具体的には、プラズマリアクタ3の印加電力の大きさは、例えば、10W以上、好ましくは、20W以上である。また、プラズマリアクタ3の印加電力の大きさは、例えば、200W以下、好ましくは、100W以下である。
【0057】
また、上記の一酸化炭素製造システム1において、プラズマリアクタ3に供給される電力の周波数(電力周波数)は、制御ユニット9により、制御される。
【0058】
より具体的には、プラズマリアクタ3の電力周波数は、例えば、0.01kHz以上、好ましくは、0.1kHz以上、より好ましくは、1kHz以上である。また、プラズマリアクタ3の電力周波数は、例えば、100kHz以下、好ましくは、60kHz以下、より好ましくは、40kHz以下である。
【0059】
一酸化炭素の製造効率の観点から、好ましくは、プラズマリアクタ3の電力周波数は、比較的低く調整される。プラズマリアクタ3の電力周波数は、さらに好ましくは、20kHz以下、さらに好ましくは、10kHz以下、とりわけ好ましくは、5kHZ以下である。
【0060】
上記の一酸化炭素製造システム1では、プラズマリアクタ3の電力周波数が、比較的低い。電力周波数が比較的低い場合には、電力周波数が比較的高い場合と比べて、印加電力の大きさが同じであっても、1パルスあたりの電流値が大きくなる。そのため、このような一酸化炭素製造システム1によれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0061】
(4)作動および停止のタイミング
上記の一酸化炭素製造システム1において、プラズマリアクタ3の作動および停止のタイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0062】
例えば、一酸化炭素製造システム1の稼働中、常時、プラズマリアクタ3を作動させ続けてもよい。また、例えば、一酸化炭素製造システム1の稼働中、適宜のタイミングで、プラズマリアクタ3を作動させ、また、適宜のタイミングで、プラズマリアクタ3を停止させてもよい。
【0063】
一酸化炭素の製造効率の観点から、好ましくは、一酸化炭素製造システム1の稼働中、適宜のタイミングで、プラズマリアクタ3を作動させ、また、適宜のタイミングで、プラズマリアクタ3を停止させる。
【0064】
プラズマリアクタ3を作動および停止させるタイミングは、特に制限されない。例えば、予め設定された所定の時間間隔で、プラズマリアクタ3を作動および停止させてもよい。
【0065】
また、例えば、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量に応じて、プラズマリアクタ3を作動させてもよい。
【0066】
より具体的には、この方法では、予め、プラズマリアクタ3を作動させるための二酸化炭素の吸着量の閾値が、設定される。なお、二酸化炭素の吸着量の閾値は、プラズマリアクタ3のサイズおよび性能に応じて、適宜設定される。
【0067】
二酸化炭素の吸着量の閾値は、例えば、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量の最大値(限界値)に対して、50~100%の値である。
【0068】
そして、この方法では、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量が、二酸化炭素吸着量センサ32によって、検知される。また、二酸化炭素の吸着量は、電気信号として、制御ユニット9に入力される。
【0069】
制御ユニット9は、二酸化炭素の吸着量が、上記の所定の閾値以上であるか否かを判断する。そして、二酸化炭素の吸着量が所定の閾値未満である間は、プラズマリアクタ3が停止する。一方、二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上である場合に、制御ユニット9の制御によって、電源ユニット8が作動し、プラズマリアクタ3に電力が供給される。このようにプラズマリアクタ3を作動させると、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0070】
このような場合、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量に応じて、プラズマリアクタ3を停止させてもよい。
【0071】
すなわち、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量が、予め設定された所定の閾値未満である場合に、プラズマリアクタ3に対する電力の供給を、停止してもよい。
【0072】
また、例えば、プラズマリアクタ3における一酸化炭素生成効率を測定し、その一酸化炭素生成効率に応じて、プラズマリアクタ3を停止させてもよい。
【0073】
一酸化炭素生成効率は、プラズマリアクタ3に対して印加される電力量(印加電力量)に対して一酸化炭素の製造に使用された電力が占める割合である。より具体的には、一酸化炭素生成効率は、下記式に従って、算出される。
【0074】
一酸化炭素生成効率(%)=一酸化炭素生成量(mol)×一酸化炭素生成エンタルピー(279.8kJ/mol)/プラズマリアクタの印加電力量(kJ)
【0075】
上記式において、一酸化炭素生成量(mol)は、プラズマリアクタ3から排出される一酸化炭素の量である。通常、一酸化炭素生成量(mol)は、プラズマリアクタ3を作動させると、時間経過とともに、増加する。また、一酸化炭素の生成に伴って、二酸化炭素の吸着量が減少する。そのため、プラズマリアクタ3を作動させ続けると、一酸化炭素生成量(mol)は、時間経過とともに増加した後、減少する。
【0076】
一酸化炭素生成量(mol)は、公知の方法によって測定される。例えば、一酸化炭素排出管50に、公知の一酸化炭素センサが配置される。一酸化炭素センサは、一酸化炭素排出管50内の一酸化炭素の量を、一酸化炭素生成量(mol)として検出する。一酸化炭素生成量(mol)は、電気信号として、制御ユニット9に入力される。
【0077】
上記式において、一酸化炭素生成エンタルピー(279.8kJ/mol)は、固定の係数である。
【0078】
上記式において、プラズマリアクタの印加電力量(kJ)は、プラズマリアクタ3の作動が開始されてから、一酸化炭素生成量(mol)の測定時点までに、プラズマリアクタ3に供給された電力量の積算値(合計値)である。つまり、プラズマリアクタの印加電力(積算値)は、時間の経過に伴って増加する。
【0079】
プラズマリアクタの印加電力量(kJ)は、プラズマリアクタ3が作動するとともに、測定される。また、プラズマリアクタの印加電力量(kJ)は、プラズマリアクタ3が停止すると、リセットされる。つまり、プラズマリアクタの印加電力量(kJ)は、プラズマリアクタ3の1回の作動中において、プラズマリアクタ3に供給された電力量の積算値(合計値)である。
【0080】
そして、制御ユニット9は、一酸化炭素生成量(mol)と、一酸化炭素生成エンタルピー(279.8kJ/mol)と、プラズマリアクタ3の印加電力の積算値(kJ)とから、上記式に従って、一酸化炭素生成効率を算出する。
【0081】
一酸化炭素生成効率は、通常、図2に示されるように、プラズマリアクタ3を作動させると、時間経過とともに、増加する。一方、プラズマリアクタ3を作動させ続けると、時間経過とともに、プラズマリアクタ3の印加電力(積算値)が増加する。また、一酸化炭素生成量が減少する。そのため、一酸化炭素生成効率は、時間経過とともに増加した後、減少する。
【0082】
そこで、好ましくは、プラズマリアクタ3の停止のタイミングが、一酸化炭素生成効率に応じて、制御される。
【0083】
より具体的には、一酸化炭素生成効率の増加が、制御ユニット9により確認される。その後、一酸化炭素生成効率の減少が、制御ユニット9により確認される。これにより、一酸化炭素生成効率のピーク(図2の矢印A)が、制御ユニット9により確認される。
【0084】
そして、一酸化炭素生成効率がピーク(図2の矢印A)に至ったタイミングで、プラズマリアクタ3に対する電力の供給が、制御ユニット9により停止される。つまり、制御ユニット9は、一酸化炭素生成効率が低下し始めたタイミングで、プラズマリアクタ3に対する電力の供給を停止させる。
【0085】
上記の一酸化炭素製造システム1では、プラズマリアクタ3の停止が、一酸化炭素の生成効率に応じて、調整される。そのため、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0086】
また、プラズマリアクタ3に対する電力の供給は、上記の方法で停止された後、上記の方法で、再開される。より具体的には、二酸化炭素吸着部材35における二酸化炭素の吸着量が、所定の閾値以上である場合に、プラズマリアクタ3に対する電力の供給が、開始される。また、このような操作が、制御ユニット9によって、繰り返される。これにより、二酸化炭素が、上記の一酸化炭素製造システム1によって、断続的に、一酸化炭素に変換される。
【0087】
このような一酸化炭素製造システム1によれば、より効率的に、一酸化炭素を製造できる。
【0088】
2.第2実施形態
上記の一酸化炭素製造システム1は、2つ以上のプラズマリアクタ3を備えることができる。さらに、一酸化炭素製造システム1は、2つ以上のプラズマリアクタ3のいずれかを、選択的に使用することができる。
【0089】
(1)全体構成
以下、図3を参照して、一酸化炭素製造システムの第2実施形態について、詳述する。
【0090】
図3において、一酸化炭素製造システム1は、プラズマリアクタ3と、二酸化炭素供給ライン4と、一酸化炭素排出ライン5と、上記の電源ユニット8と、上記の制御ユニット9とを備えている。
【0091】
プラズマリアクタ3は、第1プラズマリアクタ3Aと、第2プラズマリアクタ3Bとを備えている。
【0092】
第1プラズマリアクタ3Aおよび第2プラズマリアクタ3Bは、それぞれ、図1に示すプラズマリアクタ3と同じ構成を、有している。
【0093】
すなわち、第1プラズマリアクタ3Aは、図1が参照されるように、ケーシング30(以下、第1ケーシング30A)と、複数の電極パネル31(以下、第1電極パネル31A)と、二酸化炭素吸着部材35(以下、第1二酸化炭素吸着部材35A)とを備えている。第1電極パネル31Aは、図1の拡大図で示されるように、導体33(以下、第1導体33A)および誘電体34(以下、第1誘電体34A)を備えている。また、第1プラズマリアクタ3Aは、さらに、二酸化炭素吸着量センサ32(以下、第1二酸化炭素吸着量センサ32A)を備えている。
【0094】
また、第2プラズマリアクタ3Bも、図1が参照されるように、ケーシング30(以下、第2ケーシング30B)と、複数の電極パネル31(以下、第2電極パネル31B)と、二酸化炭素吸着部材35(以下、第2二酸化炭素吸着部材35B)とを備えている。第2電極パネル31Bは、図1の拡大図で示されるように、導体33(以下、第2導体33B)および誘電体34(以下、第2誘電体34B)を備えている。また、第2プラズマリアクタ3Bも、さらに、二酸化炭素吸着量センサ32(以下、第2二酸化炭素吸着量センサ32B)を備えている。
【0095】
図3において、二酸化炭素供給ライン4は、供給側主管45と、供給側第1管41と、供給側第2管42と、供給側三方弁43とを備えている。
【0096】
供給側主管45は、供給側第1管41または供給側第2管42に、二酸化炭素を供給するための管である。供給側主管45のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、二酸化炭素の供給源(図示せず)に接続されている。供給側主管45のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、供給側三方弁43に接続されている。
【0097】
供給側第1管41は、第1プラズマリアクタ3Aに、二酸化炭素を供給するための管である。供給側第1管41のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、供給側三方弁43に接続されている。供給側第1管41のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、第1プラズマリアクタ3Aに接続されている。
【0098】
供給側第2管42は、第1プラズマリアクタ3Bに、二酸化炭素を供給するための管である。供給側第2管42のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、供給側三方弁43に接続されている。供給側第2管42のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、第2プラズマリアクタ3Bに接続されている。
【0099】
供給側三方弁43は、供給側主管45のガス流れ方向下流側端部と、供給側第1管41のガス流れ方向上流側端部と、供給側第2管42のガス流れ方向上流側端部とを、接続している。
【0100】
また、供給側三方弁43は、制御ユニット9(後述)に電気的に接続される。これにより、供給側三方弁43の開閉が、制御ユニット9(後述)により制御される。
【0101】
図3において、一酸化炭素排出ライン5は、排出側第1管51と、排出側第2管52と、排出側主管55とを備えている。
【0102】
排出側第1管51は、第1プラズマリアクタ3Aから、一酸化炭素を排出するための管である。排出側第1管51のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、第1プラズマリアクタ3Aに接続されている。排出側第1管51のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、排出側主管55に接続されている。
【0103】
排出側第2管52は、第2プラズマリアクタ3Bから、一酸化炭素を排出するための排出するための管である。排出側第2管52のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、第2プラズマリアクタ3に接続されている。排出側第2管52のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、排出側主管55に接続されている。
【0104】
排出側主管55は、排出側第1管51および排出側第2管52から、一酸化炭素を排出するための管である。排出側主管55のガス流れ方向上流側(紙面右側)端部は、排出側第1管51と、排出側第2管52とに接続され、これらを集合させている。排出側主管55のガス流れ方向下流側(紙面左側)の端部は、一酸化炭素の供給先(図示せず)に接続されている。
【0105】
(2)プラズマリアクタの運転
上記の一酸化炭素製造システム1では、供給側三方弁43の開閉が、制御ユニット9により制御され、二酸化炭素が、第1プラズマリアクタ3Aまたは第2プラズマリアクタ3Bのいずれかに対して、選択的に供給される。
【0106】
例えば、まず、供給側三方弁43が、制御ユニット9により制御され、供給側主管45と供給側第1管41とが、連通する。また、供給側第2管42が、供給側三方弁43により閉塞される。
【0107】
これにより、二酸化炭素は、二酸化炭素の供給源(図示せず)から、供給側主管45および供給側第1管41を介して、第1プラズマリアクタ3Aの第1ケーシング30A内に、連続的に供給される。第1ケーシング30A内において、二酸化炭素は、第1二酸化炭素吸着部材35Aに吸着される。
【0108】
そして、上記の一酸化炭素製造システム1では、第1二酸化炭素吸着部材35Aに対する二酸化炭素の吸着量が、第1二酸化炭素吸着量センサ32Aにより検知され、電気信号として、制御ユニット9に入力される。
【0109】
制御ユニット9は、第1二酸化炭素吸着部材35Aの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上であるか否かを判断する。
【0110】
第1二酸化炭素吸着部材35Aの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値未満である場合には、制御ユニット9の制御により、上記の状態が維持される。すなわち、二酸化炭素が、第1プラズマリアクタ3Aに供給され、第1二酸化炭素吸着部材35Aに吸着される。また、このとき、後述するように、第2プラズマリアクタ3Bに、電力が供給される(第1モード)。
【0111】
一方、第1二酸化炭素吸着部材35Aの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上である場合には、制御ユニット9の制御により、供給側三方弁43が切り替えられる。また、これとともに、第1プラズマリアクタ3Aに電力が供給され、第2プラズマリアクタ3Bに対する電力の供給が停止される。
【0112】
より具体的には、第1二酸化炭素吸着部材35Aの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上である場合には、供給側三方弁43の開閉が、制御ユニット9により変更され、供給側第1管41が、供給側三方弁43によって閉塞される。
【0113】
これにより、第1プラズマリアクタ3Aに対する二酸化炭素の供給が、停止される。そして、二酸化炭素の供給が停止された状態で、第1プラズマリアクタ3Aに電力が供給され、第1プラズマリアクタ3Aの第1電極パネル31Aの間において、プラズマが発生する。そして、第1二酸化炭素吸着部材35Aに吸着された二酸化炭素が、プラズマにより分解し、一酸化炭素が生成する。
【0114】
一酸化炭素は、第1プラズマリアクタ3Aから排出される。より具体的には、一酸化炭素とキャリア(空気など)とを含む被処理ガスが、第1プラズマリアクタ3Aから排出される。被処理ガスは、第1プラズマリアクタ3Aから排出された後、排出側第1管51および排出側主管55を介して、一酸化炭素の供給先(図示せず)に供給される。
【0115】
また、これとともに、供給側三方弁43の開閉が、制御ユニット9により変更され、供給側主管45と供給側第2管42とが連通する。
【0116】
これにより、二酸化炭素は、二酸化炭素の供給源(図示せず)から、供給側主管45および供給側第2管42を介して、第2プラズマリアクタ3Bの第2ケーシング30B内に、連続的に供給される。そして、二酸化炭素は、第2ケーシング30B内において、第2二酸化炭素吸着部材35Bに吸着される。
【0117】
すなわち、制御ユニット9は、二酸化炭素を、第2プラズマリアクタ3Bに供給することによって、第2二酸化炭素吸着部材35に二酸化炭素を吸着させるとともに、第1プラズマリアクタ3Aにおいて、第1二酸化炭素吸着部材35に吸着する二酸化炭素を一酸化炭素に変換させる(第2モード)。
【0118】
そして、第2二酸化炭素吸着部材35Bに対する二酸化炭素の吸着量が、第2二酸化炭素吸着量センサ32Bにより検知され、電気信号として、制御ユニット9に入力される。
【0119】
制御ユニット9は、第2二酸化炭素吸着部材35Bの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上であるか否かを判断する。
【0120】
第2二酸化炭素吸着部材35Bの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値未満である場合には、制御ユニット9の制御により、上記の状態が維持される。すなわち、二酸化炭素が、第2プラズマリアクタ3Bに供給され、第2二酸化炭素吸着部材35Bに吸着される。また、このとき、上記したように、第1プラズマリアクタ3Aに、電力が供給される(第2モード)。
【0121】
一方、第2二酸化炭素吸着部材35Bの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上である場合には、制御ユニット9の制御により、供給側三方弁43が切り替えられる。また、これとともに、第2プラズマリアクタ3Bに電力が供給され、第1プラズマリアクタ3Aに対する電力の供給が停止される。
【0122】
より具体的には、第2二酸化炭素吸着部材35Bの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上である場合には、供給側三方弁43の開閉が、制御ユニット9により変更され、供給側第2管42が、供給側三方弁43によって閉塞する。
【0123】
これにより、第2プラズマリアクタ3Bに対する二酸化炭素の供給が、停止される。そして、二酸化炭素の供給が停止された状態で、第2プラズマリアクタ3Bに電力が供給される。これにより、第2プラズマリアクタ3Bの第2電極パネル31Bの間において、プラズマが発生する。そして、第2二酸化炭素吸着部材35Bに吸着された二酸化炭素が、プラズマにより分解し、一酸化炭素が生成する。
【0124】
一酸化炭素は、第2プラズマリアクタ3Bから排出される。より具体的には、一酸化炭素とキャリア(空気など)とを含む被処理ガスが、第2プラズマリアクタ3Bから排出される。被処理ガスは、第2プラズマリアクタ3Bから排出された後、排出側第2管52および排出側主管55を介して、一酸化炭素の供給先(図示せず)に供給される。
【0125】
また、これとともに、供給側三方弁43の開閉が、制御ユニット9により変更され、
供給側主管45と供給側第1管41とが連通する。
【0126】
これにより、二酸化炭素は、二酸化炭素の供給源(図示せず)から、供給側主管45および供給側第1管41を介して、第1プラズマリアクタ3Aの第1ケーシング30A内に、連続的に供給される。そして、二酸化炭素は、第1ケーシング30A内において、第1二酸化炭素吸着部材35Aに吸着される。
【0127】
すなわち、制御ユニット9は、二酸化炭素を、第1プラズマリアクタ3Aに供給することによって、第1二酸化炭素吸着部材35に二酸化炭素を吸着させるとともに、第2プラズマリアクタ3Bにおいて、第2二酸化炭素吸着部材35に吸着する二酸化炭素を一酸化炭素に変換させる(第1モード)。
【0128】
そして、第1二酸化炭素吸着部材35Aに対する二酸化炭素の吸着量が、第1二酸化炭素吸着量センサ32Aにより検知され、電気信号として、制御ユニット9に入力される。
【0129】
制御ユニット9は、第1二酸化炭素吸着部材35Aの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上であるか否かを判断する。そして、第1二酸化炭素吸着部材35Aの二酸化炭素の吸着量が所定の閾値以上である場合に、上記の第2モードが実施される。
【0130】
このようにして、第1モードと第2モードとの切り替えは、一酸化炭素製造システム1の作動中において、繰り返される。
【0131】
換言すると、上記の一酸化炭素製造システム1では、制御ユニット9が、第1モードまたは第2モードを選択的に制御する。
【0132】
これにより、第1プラズマリアクタ3Aの第1二酸化炭素吸着部材35が、二酸化炭素を吸着するときには、第2プラズマリアクタ3Bが、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する。また、第2プラズマリアクタ3Bの第2二酸化炭素吸着部材35が、二酸化炭素を吸着するときには、第1プラズマリアクタ3Aが、二酸化炭素を一酸化炭素に変換する。そのため、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、連続的に供給される二酸化炭素を一酸化炭素に変換できる。その結果、上記の一酸化炭素製造システム1によれば、優れた効率で、一酸化炭素を連続的に製造できる。
【0133】
なお、プラズマリアクタ3の数は、特に限定されず、例えば、3つ以上でもよい。
【0134】
また、上記の第2実施形態では、制御ユニット9は、二酸化炭素の吸着量に基づいて、第1モードおよび第2モードを制御するが、例えば、予め設定された時間間隔に基づいて、第1モードおよび第2モードを制御することもできる。
【0135】
また、上記の第2実施形態では、制御ユニット9は、供給側三方弁43を切り替えることにより、第1モードまたは第2モードを選択的に制御しているが、例えば、制御ユニット9は、公知の回転部材を使用して、第1プラズマリアクタ3Aの位置と、第2プラズマリアクタ3Bの位置とを、入れ替え可能とし、第1モードまたは第2モードを選択的に制御することもできる。
【実施例0136】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0137】
実施例1
二酸化炭素吸着部材として、ゼオライトおよびアルミナの混合粉末(ゼオライト:アルミナ=7:3(質量比))を準備した。この混合粉末のスラリーを、プラズマリアクタの電極パネルの表面に塗布し、500℃で焼成した。これにより、プラズマリアクタの電極パネルに、二酸化炭素吸着部材を積層した。
【0138】
上記の電極パネルをプラズマリアクタにセットした。そして、プラズマリアクタのケーシングに、二酸化炭素と空気との混合ガス(CO+キャリアAir)を、1L/minの速度で供給した。これにより、二酸化炭素吸着部材に、二酸化炭素を吸着させた。なお、混合ガスのCO濃度は、600ppmであった。
【0139】
また、プラズマリアクタに、高圧パルス電源を接続し、電極パネルに高電圧パルス(電力30W、電力周波数5kHz)を印加した。これにより、電極パネル間にプラズマを発生させ、二酸化炭素を一酸化炭素に変換した。
【0140】
そして、プラズマリアクタの出口において、被処理ガスを採取し、一酸化炭素の含有量(ppm)を、ガス分析計(NDIR;非分散型赤外線吸収法)により測定した。これを、一酸化炭素の生成量とした。一酸化炭素の生成量と、時間との関係を、図4に示す。
【0141】
実施例2~4
高電圧パルスの電力を30Wに維持した。一方、電力周波数を以下の通り変更した。これ以外は、実施例1と同じ方法で、二酸化炭素を一酸化炭素に変換した。
【0142】
実施例2では、電力周波数を、10kHzに変更した。また、実施例3では、電力周波数を15kHzに変更した。また、実施例4では、電力周波数を20kHzに変更した。
【0143】
そして、実施例1と同じ方法で、プラズマリアクタの出口において、一酸化炭素の生成量を測定した。一酸化炭素の生成量と、時間との関係を、図4に示す。
【符号の説明】
【0144】
1 一酸化炭素製造システム
3 プラズマリアクタ
4 二酸化炭素供給ライン
5 一酸化炭素排出ライン
30 ケーシング
31 電極パネル
35 二酸化炭素吸着部材
図1
図2
図3
図4