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特開2024-33517発泡プラスチック断熱材及び断熱ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033517
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】発泡プラスチック断熱材及び断熱ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20240306BHJP
   E04D 11/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E04B1/80 100B
E04D11/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137136
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000178619
【氏名又は名称】アーキヤマデ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕之
(72)【発明者】
【氏名】濱野 晃宏
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA16
2E001FA18
2E001GA12
2E001GA52
2E001HB02
2E001HB03
2E001HB04
2E001HD02
2E001HD03
2E001HD04
2E001HD08
2E001HD09
2E001KA05
2E001LA11
(57)【要約】
【課題】容易に発泡プラスチック断熱材同士を連結させることができ、発泡プラスチック断熱材の破損や発泡プラスチック断熱材の目違いの発生を防止することができる発泡プラスチック断熱材及び断熱ユニットを提供する。
【解決手段】板状の発泡プラスチック断熱材Dであって、小口部1に、小口部1の延び方向に沿って設けられた溝部2が備えられ、溝部2は、溝部2の底部20側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の発泡プラスチック断熱材であって、
小口部に、前記小口部の延び方向に沿って設けられた溝部が備えられ、
前記溝部は、前記溝部の底部側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成されている発泡プラスチック断熱材。
【請求項2】
前記溝部は、前記底部を境にして、厚さ方向一方側の第一部と、厚さ方向他方側の第二部とを有し、
前記第一部は、厚さ方向に直交する平面状に構成されている請求項1に記載の発泡プラスチック断熱材。
【請求項3】
前記溝部は、前記底部を境にして、厚さ方向一方側の第一部と、厚さ方向他方側の第二部とを有し、
前記第二部は、厚さ方向に対して傾斜する平面状に構成されている請求項1又は2に記載の発泡プラスチック断熱材。
【請求項4】
前記溝部は、前記小口部のうち、前記小口部の延び方向における一端部から他端部に亘って連続するように設けられている請求項1又は2に記載の発泡プラスチック断熱材。
【請求項5】
前記底部からさらに奥に入り込むスリット部が備えられ、
前記スリット部は、厚さ方向に直交する平面に沿って延びている請求項1又は2に記載の発泡プラスチック断熱材。
【請求項6】
平面視四角形状に構成され、
四辺全ての前記小口部に、前記溝部が備えられている請求項1又は2に記載の発泡プラスチック断熱材。
【請求項7】
断熱下地上に敷き詰められる発泡プラスチック断熱材と、敷き詰められて隣り合う前記発泡プラスチック断熱材を連結する連結部材と、を有する断熱ユニットであって、
前記発泡プラスチック断熱材の小口部に、前記小口部の延び方向に沿って設けられた溝部が備えられ、
前記溝部は、前記溝部の底部側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成され、
前記連結部材は、前記発泡プラスチック断熱材よりも硬質な薄板状部材であり、かつ、隣り合う前記発泡プラスチック断熱材を連結した状態において、隣り合う前記発泡プラスチック断熱材のうちの一方の前記溝部における底部と、隣り合う前記発泡プラスチック断熱材のうちの他方の前記溝部における底部とに亘るように設けられる断熱ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱下地上に敷設される発泡プラスチック断熱材、及び、発泡プラスチック断熱材と発泡プラスチック断熱材同士を連結する連結部材とを有する断熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発泡プラスチック断熱材(以下、「断熱材」と称する。)においては、断熱材同士を連結させるとき、例えば、特許文献1に記載されているように、一方の断熱材(特許文献1における屋根面用断熱材)には凹部(特許文献1における嵌合用凹条)が設けられ、他方の断熱材には凸部(特許文献1における嵌合用凸条)が設けられている断熱材を用いていた。このような断熱材では、凹部に凸部を差し込むことにより、断熱材同士を連結させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-133639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋上防水工事においては、固定具を用いて断熱材及び防水シートを下地に固定する機械的固定工法を採用すると、ビス孔を削孔する際にドリルによる削孔音や振動が生じるため、階下への配慮から施工時間帯が限られてしまうといった事情があり、作業効率が低下するおそれがあった。そこで、近年、接着剤を用いて断熱材を下地に固定し、さらに接着剤を用いて防水シートを断熱材上に固定する接着工法を採用することが増えている。接着工法では、断熱下地上に断熱材を敷き詰めるとき、断熱下地上に接着剤を塗布した後に断熱材を敷設する。しかし、従来の断熱材では、断熱下地上に凹部を有する断熱材を敷設した後に、この断熱材に隣接する箇所に凸部を有する断熱材を置き、凹部に凸部を差し込むために凸部を有する断熱材を断熱下地上で摺動させる必要があった。しかし、接着剤が塗布された断熱下地上に断熱材を摺動させようとすると、接着剤の粘性により断熱材と断熱下地との間に大きな抵抗が生じ、断熱材を摺動させることが困難なものとなっていた。
【0005】
また、断熱材の摺動作業を回避するために、断熱材の凸部を斜め上から凹部に向けて移動させると、凹部に対して凸部が斜めに差し込まれる状態となり、凹部に凸部を嵌合させることが困難となっていた。また、無理矢理凹部に凸部を差し込もうとすると、凸部が折れてしまうことがあった。凸部を有する断熱材の代わりに雇いざねを取り付けた断熱材を用いる場合も、同様の課題を有していた。
【0006】
また、これらの課題を回避するために、断熱材同士を連結させない構成とすると、下地の不陸等で隣接する断熱材の小口付近の表面高さに差が発生し、目違いが生ずるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、容易に断熱材同士を連結させることができ、断熱材の破損や断熱材の目違いの発生を防止することができる断熱材及び断熱ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発泡プラスチック断熱材は、板状の発泡プラスチック断熱材であって、小口部に、前記小口部の延び方向に沿って設けられた溝部が備えられ、前記溝部は、前記溝部の底部側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成されている。
【0009】
この発明によれば、溝部は、溝部の底部側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成されていることから、溝部の内側空間のうち開口側に広い空間を有している構成となる。例えば、既設されている発泡プラスチック断熱材の小口部に、薄板状の連結部材を装着する場合、発泡プラスチック断熱材を隣接するように敷設するとき、発泡プラスチック断熱材を既設の発泡プラスチック断熱材に斜め上から近づけることで、連結部材が溝部の内側に入り込む状態にすることができる。そして、発泡プラスチック断熱材を断熱下地に近づけつつ、発泡プラスチック断熱材の小口部同士が当接するように発泡プラスチック断熱材を移動させれば、連結部材は、溝部の内側空間のうち開口側の広い空間内を移動するような状態となる。さらに、発泡プラスチック断熱材を断熱下地に近づけるように移動させれば、隣り合う発泡プラスチック断熱材同士が連結した状態で敷設される。このように敷設することにより、発泡プラスチック断熱材を破損させることなく、容易に発泡プラスチック断熱材同士を連結させることができる。
【0010】
また、薄板状の連結部材は、隣り合う発泡プラスチック断熱材のうちの一方の先尖り形状の溝部における底部と、隣り合う発泡プラスチック断熱材のうちの他方の先尖り形状の溝部における底部とに亘るように設けられる。先尖り形状の溝部の底部に当接した連結部材により、発泡プラスチック断熱材の厚さ方向のズレの発生が規制される。つまり、隣り合う発泡プラスチック断熱材の小口付近の表面高さの差が生じ難くなり、目違いが生ずることを防止することができる。
【0011】
本発明においては、前記溝部は、前記底部を境にして、厚さ方向一方側の第一部と、厚さ方向他方側の第二部とを有し、前記第一部は、厚さ方向に直交する平面状に構成されていると好適である。
【0012】
この構成によれば、発泡プラスチック断熱材を、第二部に対して断熱下地側とは反対側に第一部が位置するように敷設すれば、隣り合う発泡プラスチック断熱材を連結した状態において、連結部材は第一部の面に当接した状態となる。連結部材は第一部と底部とに当接していることから、発泡プラスチック断熱材同士の厚さ方向のズレの発生をしっかりと規制し、より好適に目違いの発生を防止することができる。また、発泡プラスチック断熱材のうち連結部材が差し込まれた箇所に対応する部分に、人の歩行等により断熱下地に向けて応力が生じたとしても、連結部材により支持されるため、発泡プラスチック断熱材の沈み込みを軽減することができる。
【0013】
本発明においては、前記溝部は、前記底部を境にして、厚さ方向一方側の第一部と、厚さ方向他方側の第二部とを有し、前記第二部は、厚さ方向に対して傾斜する平面状に構成されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、第二部を形成する際に、直線的に形成すればよく、より簡易に溝部を形成することが可能となる。また、連結部材を第二部に当接させると、連結部材は平面状に構成されている第二部によって底部に向けて円滑に案内される。
【0015】
本発明においては、前記溝部は、前記小口部のうち、前記小口部の延び方向における一端部から他端部に亘って連続するように設けられていると好適である。
【0016】
この構成によれば、例えば、長尺の連結部材を用いることにより、小口部の延び方向における一端部から他端部に亘って発泡プラスチック断熱材同士を連結させることができる。また、小口部のいずれの箇所にも連結部材を差し込むことができるため、発泡プラスチック断熱材の素材や形状等の状況に応じて、連結部材の差込箇所や数を容易に変更することが可能となる。
【0017】
本発明においては、前記底部からさらに奥に入り込むスリット部が備えられ、前記スリット部は、厚さ方向に直交する平面に沿って延びていると好適である。
【0018】
この構成によれば、薄板状の連結部材をスリット部に差し込むことにより、連結部材はスリット部に支持される状態となる。つまり、人の手や別の部材等を使用して連結部材を支持する必要がなく、容易に敷設作業を行うことができる。また、底部を裂くように連結部材を無理矢理差し込むと、断熱材が破損してしまうおそれがあるが、本発明は予めスリット部が形成されているため、連結部材を無理矢理差し込むことによる断熱材の破損を防止することができる。
【0019】
本発明においては、平面視四角形状に構成され、四辺全ての前記小口部に、前記溝部が備えられていると好適である。
【0020】
この構成によれば、発泡プラスチック断熱材の四辺の小口部のうち、全ての小口部に対して他の発泡プラスチック断熱材の小口部が当接するように敷設することが可能となる。
【0021】
本発明の断熱材は、断熱下地上に敷き詰められる発泡プラスチック断熱材と、敷き詰められて隣り合う前記発泡プラスチック断熱材を連結する連結部材と、を有する断熱ユニットであって、前記発泡プラスチック断熱材の小口部に、前記小口部の延び方向に沿って設けられた溝部が備えられ、前記溝部は、前記溝部の底部側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成され、前記連結部材は、前記発泡プラスチック断熱材よりも硬質な薄板状部材であり、かつ、隣り合う前記発泡プラスチック断熱材を連結した状態において、隣り合う前記発泡プラスチック断熱材のうちの一方の前記溝部における底部と、隣り合う前記発泡プラスチック断熱材のうちの他方の前記溝部における底部とに亘るように設けられる。
【0022】
この発明によれば、発泡プラスチック断熱材よりも硬質な薄板状部材で構成された連結部材によって、発泡プラスチック断熱材同士を接続させる構成となる。既設されている発泡プラスチック断熱材の小口部に連結部材を装着した後、発泡プラスチック断熱材を隣接するように敷設するとき、発泡プラスチック断熱材を既設の発泡プラスチック断熱材に斜め上から近づけることで、連結部材が溝部の内側に入り込む状態にする。そして、発泡プラスチック断熱材を断熱下地に近づけつつ、発泡プラスチック断熱材の小口部同士が当接するように発泡プラスチック断熱材を移動させれば、連結部材は、溝部の内側空間のうち開口側の広い空間内を移動するような状態となる。このとき、連結部材は、薄板状部材にて構成されていることから、容易に溝部の内側空間を移動させることが可能にある。さらに、発泡プラスチック断熱材を断熱下地に近づけるように移動させれば、連結部材は、隣り合う発泡プラスチック断熱材のうちの一方の溝部における底部と、隣り合う発泡プラスチック断熱材のうちの他方の溝部における底部とに亘るように設けられる。先尖り形状の溝部の底部に当接した連結部材により、発泡プラスチック断熱材の厚さ方向のズレの発生が規制される。つまり、隣り合う発泡プラスチック断熱材の小口付近の表面高さの差が生じ難くなり、目違いが生ずることを防止することができる。
【0023】
また、発泡プラスチック断熱材のうち連結部材が差し込まれた箇所に対応する部分に、人の歩行等により断熱下地に向けて応力が生じたとしても、隣り合う発泡プラスチック断熱材のうちの一方の溝部における底部と、隣り合う発泡プラスチック断熱材のうちの他方の溝部における底部との間において、連結部材により支持される。連結部材は、発泡プラスチック断熱材よりも硬質な薄板状部材で構成されているため、連結部材が断熱材よりも軟質な部材により構成されている場合と比べて、よりしっかりと発泡プラスチック断熱材を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】発泡プラスチック断熱材の溝部の構成を示す断面図である。
図2】発泡プラスチック断熱材の側面図である。
図3】発泡プラスチック断熱材の全体の構成を示す斜視図である。
図4】既設の断熱ユニットに別の断熱材を近づけるときの作業を示す図である。
図5】既設の断熱ユニットに別の断熱材が当接したときの作業の流れを示す図である。
図6】敷設後の発泡プラスチック断熱材と連結部材との構成を示す断面図である。
図7】敷設後の発泡プラスチック断熱材と連結部材との構成を示す平面図である。
図8】別実施形態における発泡プラスチック断熱材の溝部の構成を示す断面図である。
図9】別実施形態における発泡プラスチック断熱材の溝部の構成を示す断面図である。
図10】別実施形態における発泡プラスチック断熱材の溝部の構成を示す断面図である。
図11】別実施形態における敷設後の発泡プラスチック断熱材と連結部材との構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態については、屋根等の断熱下地Bに対して屋外側を「上方」、「上」とし、断熱下地Bに対して屋内側を「下方」、「下」とする。
【0026】
〔断熱ユニットの構成について〕
図1に示すように、断熱ユニットUは、断熱下地B上に敷き詰められる発泡プラスチック断熱材Dと、敷き詰められて隣り合う発泡プラスチック断熱材Dを連結する連結部材Lと、を有する。
【0027】
〔発泡プラスチック断熱材の構成について〕
図1に示すように、発泡プラスチック断熱材D(以下、「断熱材」と称する。)は、例えば、断熱下地Bにおいて、塩化ビニル系等の合成樹脂製の防水シート(図示せず)を、断熱下地Bに設置する際に、断熱下地Bと防水シートとの間に敷設される。断熱材Dは、建築用断熱材であってJISA9521の規格を満たすものであり、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、及びフェノールフォーム等の発泡プラスチックからなり、無数の気泡が内在している。また、断熱材Dは、適度な強度と断熱性とを備えている。
【0028】
図2及び図3に示すように、断熱材Dは、平面視四角形状に構成され、四辺全ての小口部1に、小口部1の延び方向に沿って設けられた溝部2が備えられている。
【0029】
溝部2は、溝部2の底部20側ほど溝幅が狭くなる先尖り形状に形成されている。溝部2のうちの最も溝幅が狭くなっている端部が底部20となる。溝部2は、小口部1の延び方向における小口部1の一端部から他端部に亘って連続するように設けられている。
【0030】
図1に示すように、溝部2は、溝部2の底部20を境にして、厚さ方向一方側の第一部21と、厚さ方向他方側の第二部22とを有する。本実施形態では、断熱下地Bに敷設された状態において、第一部21は断熱下地B側とは反対側に位置し、第二部22は断熱下地B側に位置する。
【0031】
第一部21は、厚さ方向に直交する平面状に構成されており、第二部22は、厚さ方向に対して傾斜する平面状に構成されている。
【0032】
断熱材Dには、底部20からさらに奥に入り込むスリット部3が備えられる。スリット部3は、断熱材Dの厚さ方向に直交する平面に沿って延びている。本実施形態では、スリット部3は、幅狭の溝状に形成されており、スリット部3の底部分には、幅狭の底面が形成されている構成となる。スリット部3の底部分に、幅狭の底面が形成されている構成とすることで、スリット部3に差し込まれた連結部材Lは、スリット部3の底面に当接する構成となる。ここで、スリット部3が刃物等で切り込まれて形成されている場合には、底面を有さない構成となり、このようなスリット部3に連結部材Lが差し込まれ、さらに底部分に到達した連結部材Lに対して底部分側に向けて応力が生ずると、連結部材Lによりスリット部3が裂かれるおそれがある。しかし、スリット部3の底部分は、面にて連結部材Lの進行を止めるので、刃物等で切り込まれて面を有さない構成と比べて、スリット部3が裂かれ難い構成となる。
【0033】
〔連結部材の構成について〕
連結部材Lは、断熱材Dよりも硬質な薄板状部材である。本実施形態では、連結部材Lは、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属から構成されている。
【0034】
〔断熱材の敷設について〕
本実施形態では、断熱下地Bは、所定の厚さを有するコンクリート下地であり、断熱材Dが、接着剤Gを用いて断熱下地Bに敷設される場合について説明する。なお、断熱下地Bとしては、コンクリート下地の他にデッキプレートや折板屋根等からなる金属下地が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
図4に示すように、断熱下地Bに、予め接着剤Gを塗布してから、一枚目の断熱材D1を敷設する。本実施形態では、断熱材D1は、平面視四角形状のものであり、四辺全てに溝部2及びスリット部3が備えられている。
【0036】
本実施形態では、断熱材D1を底部20に対して断熱下地B側とは反対側に第一部21が位置するように敷設してある。本実施形態では、敷設された断熱材D1に備えられたスリット部3に、図1に示すように、連結部材Lを差し込む。
【0037】
図4に示すように、断熱材D2を底部20に対して断熱下地B側とは反対側に第一部21が位置する状態で、断熱材D2のうち断熱材D1と当接させる小口部1を断熱材D2に向けて、断熱材D2を断熱材D1に斜め上から近づける。ここで、本実施形態では、断熱材D2は、断熱材D1と同様に平面視四角形状のものであり、四辺全てに溝部2及びスリット部3が備えられている。断熱材D1に差し込まれた連結部材Lが断熱材D2に備えられた溝部2に入り込むように、断熱材D2を移動させる。
【0038】
図5に示すように、断熱材D2が断熱材D1及び連結部材Lに接触したとき、断熱材D2を断熱下地Bに近づけるように移動させる。そして、断熱材D2を断熱下地Bに近づけつつ、断熱材D1と断熱材D2との小口部1同士が当接するように、断熱材D2を移動させる。このとき、連結部材Lが、断熱材D2の溝部2の内部空間を移動するような状態となる。
【0039】
さらに、断熱材D2を断熱下地Bに近づけるように移動させれば、図6に示すように、断熱材D2が断熱下地Bに敷設された状態になる。本実施形態では、連結部材Lは、断熱材D2に備えられたスリット部3に差し込まれた状態となる。なお、断熱材D2がスリット部3を備えない構成の場合、断熱材D2に備えられた溝部2の底部20に当接する状態となる。
【0040】
隣り合う断熱材D1と断熱材D2とを連結した状態において、連結部材Lは、隣り合う断熱材Dのうちの一方の断熱材D1の溝部2における底部20と、他方の断熱材D2の溝部2における底部20とに亘る状態となる。
【0041】
ここで、連結部材Lについて、断熱材Dの一つの辺に対して、1つの連結部材Lを差し込んでもよく、図7に示すように、また2つ以上の連結部材Lを夫々間隔をあけて差し込んでもよい。また、小口部1の延び方向における端部部分、つまり、平面視四角形状の断熱材Dの角に連結部材Lを差し込むことで、連結部材Lが4つの断熱材Dの底部20に亘るように設けられてもよい。
【0042】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0043】
(1)上記実施形態では、第一部21と第二部22とは、平面状に形成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、第一部21と第二部22とは、例えば、図8に示すように、局面状に形成されていてもよい。
【0044】
(2)上記実施形態では、溝部2は、全ての小口部1に設けられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、断熱材Dが備える複数の小口部1のうち一部の小口部1にのみ溝部2が形成されていてもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では、第一部21は、厚さ方向に直交する平面状に構成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、厚さ方向に対して傾斜する傾斜面状に形成されていてもよい。このとき、図9に示すように、第一部21と第二部22とが、局面状に形成されていてもよい。このとき、底部20は屈曲するように形成される。また、図10に示すように、第一部21と第二部22とが、平面状の傾斜になるように構成されていてもよい。
【0046】
(4)上記実施形態では、小口部1の延び方向における一端部から他端部に亘って連続するように設けられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、各小口部1の一部分のみに溝部2が形成されていてもよい。このとき、図11に示すように、溝部2が、例えば、平面視で底部20側ほど溝幅が狭くなる台形形状に形成されていれば、断熱材Dを敷設するとき、溝部2に入り込んだ連結部材Lが、平面視で台形形状の溝部2の横壁に当接し、断熱材Dを水平方向に案内する構成となる。この構成により、隣り合う断熱材Dの水平方向位置を容易に合わせることが可能となる。
【0047】
(5)上記実施形態では、連結部材Lは、硬質な円盤型の薄板状部材からなる構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、矩形形状、三角形状、又は図11に示すような小判形状の薄板状部材からなる構成としてもよい。また、連結部材Lは、断熱材Dの小口部1の延び方向における一端部から他端部に亘って断熱材D同士を連結させることができる長尺の連結部材Lであってもよい。また、連結部材Lの縁を折り曲げ加工したものを用いてもよい。
【0048】
(6)上記実施形態では、断熱材Dに、スリット部3が形成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、断熱材Dに、スリット部3が形成されていない構成としてもよい。
【0049】
(7)上記実施形態では、断熱材D1及び断熱材D2はともに溝部2とスリット部3とが備えられた構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、断熱材D1は、スリット部3のみを備える構成としてもよい。
【0050】
(8)上記実施形態では、連結部材Lは、鉄やステンレス等の金属から構成されており、円盤型に形成されている構成を例に説明したが、連結部材Lは、断熱材Dよりも硬質な部材であればよく、樹脂、セラミック等から構成されていてもよい。
【0051】
(9)上記実施形態では、敷設された断熱材D1に備えられたスリット部3に、連結部材Lを差し込む敷設方法を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、断熱材D1の敷設後に敷設する断熱材D2のスリット部3に、連結部材Lを差し込んでもよい。
【0052】
(10)上記実施形態では、隣り合う断熱材Dのうちの一方の断熱材D1の溝部2における底部20と、他方の断熱材D2の溝部2における底部20とに亘る状態で連結部材Lが設けられる構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、さらに、断熱材D1の上面及び断熱材D2の上面のうち連結部材Lの設置位置に対応する位置に、ネジ貫通孔が形成された板状の固定具を配置し、ネジ貫通孔に挿通させたネジ部材を用いて、当該固定具と連結部材Lとを緊結する構成としてもよい。この構成により、断熱材D1の上部と断熱材D2の上部とは、連結部材Lと当該固定具とでサンドイッチされ、より好適に断熱材Dの目違いの発生を防止することができる。
【0053】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、屋根だけではなく、建築物の壁部等にも利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
B :断熱下地
U :断熱ユニット
D,D1,D2 :断熱材(発泡プラスチック断熱材)
L :連結部材
1 :小口部
2 :溝部
3 :スリット部
20 :底部
21 :第一部
22 :第二部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11