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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033525
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D5/54 311C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137149
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】大竹 純一
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060BA03
3E060CE14
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA14
(57)【要約】
【課題】2通りの方法で開封し得る包装箱における天板の破断性を向上する。
【解決手段】包装箱10は、底板11、側板13A,13B、一対の端板20、天板12、及び天板12の一部を破断して開封するための開封構造35を備え、開封構造35は、天板12と第1側板13Aとの間の第1稜部17、及び天板12と端板20との間の一対の第2稜部30の間にそれぞれ設けられた一対の第1破断線37と、一対の第2稜部30に沿ってそれぞれ設けられた一対の第2破断線32aとを備える。第2破断線32aは、複数の第1切断線32bと、第1切断線32bから天板12の中央側に延びる第2切断線32cと、第1切断線32bから端板20の底板11側に延びる第3切断線32dとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って延びる底板と、
前記底板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記第2方向、及び前記第1方向と前記第2方向の双方に交差する第3方向に沿って延びる一対の側板と、
前記底板の前記第2方向の両端にそれぞれ連なり、前記第1方向及び前記第3方向に沿って延びる一対の端板と、
前記一対の側板及び前記一対の端板それぞれの前記第3方向の上端に連なり、前記底板に対して前記第3方向に間隔をあけて配置された天板と、
少なくとも前記天板の一部を破断して開封するための開封構造と
を備え、
前記開封構造は、
前記天板と前記一対の側板のうちの一方である第1側板との間の第1稜部、及び前記天板と前記端板との間の一対の第2稜部の間にそれぞれ設けられ、前記第1側板側から前記一対の側板のうちの他方である第2側板側に向けて前記端板側に傾斜した一対の第1破断線と、
前記第1破断線の端部から前記第2側板に向けて、前記一対の第2稜部に沿って設けられた一対の第2破断線と
を備え、
前記第2破断線は、
前記第2稜部に沿って間隔をあけて設けられた複数の第1切断線と、
個々の前記第1切断線の前記第1側板側に設けられ、前記第1側板側に向かうに従って前記天板の前記第2方向の中央側に傾斜して延びる第2切断線と、
前記第1切断線の前記第1側板側に設けられ、前記第1側板側に向かうに従って前記端板の前記底板側に傾斜して延びる第3切断線と
を備える、包装箱。
【請求項2】
前記第1破断線は、前記第1側板側に位置する第1破断部と、前記端板側に位置する第2破断部とを備え、
前記第2破断部は、
前記第1破断部の端部と前記第2破断線の端部との間に間隔をあけて設けられた複数の第4切断線と、
前記第4切断線の前記第1破断部側の端に設けられ、前記天板の前記第2方向の中央側に延びる第5切断線と、
前記第4切断線の前記第1破断部側の端に設けられ、前記第1側板側に延びる第6切断線と
を備える、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第1破断部は、前記第1方向に間隔をあけて設けられ、前記第2側板側に近づくに従って前記端板に近づくように配置された複数の切断線を備え、
個々の前記切断線は前記第2方向に沿ってそれぞれ延び、前記第1方向から見て隣り合う前記切断線と一部が重複している、
請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第1破断線は、
前記第1側板側から前記第2側板側に向かうに従って前記端板側に傾斜した複数の第1破断部と、
隣り合う第1破断部間に設けられ、前記第2方向に沿って延びる第2破断部と、
前記第2破断線に隣接して設けられた1つの第3破断部と
を備え、
個々の前記第1破断部は、間隔をあけて設けられた複数の切断線からなり、
個々の前記第2破断部は、連続した1本の切断線からなり、
前記第3破断部は、連続した1本の切断線からなる、
請求項1に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第1破断部の前記複数の切断線のうち、隣り合う前記切断線間の連続部の全長は、1.0mm以上1.5mm以下である、請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記第1側板は、前記底板に連なる内側部分と、前記天板に連なり前記内側部分の外側に固着された外側部分とを備え、
前記外側部分には、前記一対の第1破断線の端にそれぞれ隣接するように、前記天板を破断するための操作部が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記天板の前記一対の第1破断線間に、前記第1側板側から前記第2側板側に延びる第1折曲線が設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項8】
前記第1折曲線の前記第2側板側の端は、前記第2側板に対して間隔をあけて位置しており、
前記天板には更に、
前記第1折曲線の前記第2側板側の端から前記第2側板側に向かうに従って前記端板側へそれぞれ傾斜して延びる一対の第2折曲線と、
前記第2折曲線に対して前記第2方向の外側に設けられ、前記第2側板側から前記第1側板側に向かうに従って前記端板側へそれぞれ傾斜して延びる一対の第3折曲線と
が設けられている、請求項7に記載の包装箱。
【請求項9】
前記底板には、前記第3方向において前記第1折曲線と対応するように、前記第1側板側から前記第2側板側に延びる第4折曲線が設けられている、請求項7に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、底板、天板、一対の側板、及び一対の端板を備え、一対の側板のうち一方の第1側板が、底板に連なる内側部分と天板に連なる外側部分とで構成された包装箱が開示されている。外側部分には、外向きに傾斜した一対の第1破断線が設けられ、天板には、第1破断線の端から一対の側板のうち他方の第2側板に向けて延びる一対の第2破断線が設けられている。特許文献1には、第2破断線を端板に対して間隔をあけて設けた第1態様と、第2破断線を天板と端板の間の稜部に設けた第2態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-225229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の第1態様の包装箱は、2通りの方法で開封し得る。第1の開封方法は、一方の手で端板と第2破断線の間の非開封部分を持ち、他方の手で外側部分のうち一対の第1破断線間を持って操作し、第1破断線に沿って外側部分を破断した後、引き続いて第2破断線に沿って天板を破断するという手法である。第2の開封方法は、第1破断線に沿って外側部分を破断した後、一方の手で露出した内側部分を挟み込むように底板の中央部分を持ち、他方の手で破断した外側部分の一部を持って操作し、第2破断線に沿って天板を破断するという手法である。
【0005】
第1の開封方法の場合、底板と天板に第1側板から第2側板に向けた折目が生じることはないため、底板と天板が折れ曲がることはない。第2の開封方法の場合、把持した指を起点として底板と天板に第1側板から第2側板に向けた折目が生じ、底板と天板が折れ曲がり得る。天板に折れ曲がりが生じない場合と生じる場合とでは、操作力の伝わり方が変わるため、破断線に沿って天板を上手く破断できないことがある。つまり、第1の開封方法を想定して破断線を設計した場合、第2の開封方法で操作されたときに破断線に沿って天板を上手く破断できないことがある。逆に、第2の開封方法を想定して破断線を設計した場合、第1の開封方法で操作されたときに破断線に沿って天板を上手く破断できないことがある。このように2通りの方法で開封し得る包装箱における天板の破断性について、特許文献1では何ら考慮されていない。
【0006】
本発明は、2通りの方法で開封し得る包装箱における天板の破断性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って延びる底板と、前記底板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記第2方向、及び前記第1方向と前記第2方向の双方に交差する第3方向に沿って延びる一対の側板と、前記底板の前記第2方向の両端にそれぞれ連なり、前記第1方向及び前記第3方向に沿って延びる一対の端板と、前記一対の側板及び前記一対の端板それぞれの前記第3方向の上端に連なり、前記底板に対して前記第3方向に間隔をあけて配置された天板と、少なくとも前記天板の一部を破断して開封するための開封構造とを備え、前記開封構造は、前記天板と前記一対の側板のうちの一方である第1側板との間の第1稜部、及び前記天板と前記端板との間の一対の第2稜部の間にそれぞれ設けられ、前記第1側板側から前記一対の側板のうちの他方である第2側板側に向けて前記端板側に傾斜した一対の第1破断線と、前記第1破断線の端部から前記第2側板に向けて、前記一対の第2稜部に沿って設けられた一対の第2破断線とを備え、前記第2破断線は、前記第2稜部に沿って間隔をあけて設けられた複数の第1切断線と、個々の前記第1切断線の前記第1側板側に設けられ、前記第1側板側に向かうに従って前記天板の前記第2方向の中央側に傾斜して延びる第2切断線と、前記第1切断線の前記第1側板側に設けられ、前記第1側板側に向かうに従って前記端板の前記底板側に傾斜して延びる第3切断線とを備える、包装箱を提供する。
【0008】
本態様によれば、包装箱を2通りの方法で開封し得る。第1の開封方法は、一方の手で天板のうち第1破断線よりも第1側板側である非開封部分を持ち、他方の手で一対の第1破断線の間を持って操作するという手法である。第2の開封方法は、一方の手で第1側板を挟み込むよう底板の中央部分を持ち、他方の手で一対の第1破断線の間を持って操作するという手法である。いずれの開封方法を行っても、第1破断線に沿って天板を破断した後、引き続いて第2破断線に沿って天板と端板の間の第2稜部を破断できる。
【0009】
第1の開封方法では、底板と天板に第1側板から第2側板に向けた折目が生じることはないため、底板と天板が折れ曲がることはない。よって、第2破断線に沿って第2稜部を破断する際、破断は、第1切断線から天板側に進むため、第2切断線に繋がる。また、第2の開封方法では、把持した指を起点として底板と天板に第1側板から第2側板に向けた折目が生じ、底板と天板が折れ曲がり得る。よって、第2破断線に沿って第2稜部を破断する際、破断は、第1切断線から端板側に進むため、第3切断線に繋がる。
【0010】
このように、本態様では、第2破断線が、第1切断線と、第1切断線の第1側板側に設けた第2切断線と第3切断線を備えるYジッパによって構成されているため、第1の開封方法と第2の開封方法のいずれが行われても、天板を確実に破断できる。よって、2通りの方法で開封し得る包装箱における天板の破断性を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、2通りの方法で開封し得る包装箱における天板の破断性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の斜視図。
図2図1の包装箱の底面図。
図3図2のIII部分の拡大図。
図4図1の包装箱のブランクを示す平面図。
図5図4のブランクのV部分の拡大図。
図6】包装箱を製函する際の一過程を示す斜視図。
図7】第1の開封方法を示す斜視図。
図8図7の一部平面図
図9】包装箱の第1開封状態を示す斜視図。
図10】第2の開封方法を示す斜視図。
図11図10の一部平面図。
図12】包装箱の第2開封状態を示す斜視図。
図13】第2実施形態に係る包装箱の斜視図。
図14図13の包装箱のブランクを示す平面図。
図15図14のブランクのXV部分の拡大図。
図16】第2実施形態の包装箱の第2の開封方法を示す斜視図。
図17】第2実施形態の包装箱の第2開封状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係る包装箱10は、ポストに投函可能なサイズのポストインケースである。添付図面において、X方向は、包装箱10の幅方向であり、本発明の第1方向である。Y方向は、包装箱10の長さ方向であり、本発明の第2方向である。Z方向は、包装箱10の高さ(厚さ)方向であり、本発明の第3方向である。
【0015】
図1を参照すると、包装箱10の幅方向Xの寸法は長さ方向Yの寸法よりも小さく、高さ方向Zの寸法は幅方向Xの寸法よりも小さい。包装箱10の幅方向Xの寸法は、115mm以上230mm以下の範囲に設定され、本実施形態では225mmに設定されている。包装箱10の長さ方向Yの寸法は、230mm以上340mm以下の範囲に設定され、本実施形態では310mmに設定されている。包装箱10の高さ方向Zの寸法は、20mm以上100mm以下、好ましくは20mm以上40mm以下に設定され、本実施形態では24mmに設定されている。
【0016】
包装箱10は、図4に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて貼着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱10の外側面)と裏ライナ(包装箱10の内面側)の間に波状の中しんを配設した周知の構成である。包装箱10がポストインケースの場合、厚みが0.5mm以上3.0mm以下の段ボールシートが用いられる。図4に一点鎖線で記載した部分は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図4に実線で記載した部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0017】
図1を参照すると、包装箱10は、底板11、天板12、側板13A,13B、及び一対の蓋壁(端板)20を備える。
【0018】
底板11と天板12は、いずれもXY平面に沿って延びる概ね同一の四角形状に形成され、高さ方向Zに間隔をあけて設けられている。但し、底板11と天板12は、包装箱10として製函できる範囲であれば、幾何学的に厳密な意味でXY平面に沿って延びる構成でなくてもよい。
【0019】
側板13A,13Bは、いずれもYZ平面に沿って延びる概ね同一の四角形状に形成され、幅方向Xに間隔をあけて設けられている。但し、側板13A,13Bは、包装箱10として製函できる範囲であれば、幾何学的に厳密な意味でYZ平面に沿って延びる構成でなくてもよい。
【0020】
図1及び図2を参照すると、側板13A,13Bは、底板11の幅方向Xの両端に、長さ方向Yに延びる折曲部16を介してそれぞれ連続するとともに、天板12の幅方向Xの両端に、長さ方向Yに延びる折曲部17を介してそれぞれ連続している。
【0021】
側板(第1側板)13Aは、側板本体14と継代15からなり、これらが例えば熱溶融樹脂(ホットメルト)等の接着剤によって貼着されている。側板(第2側板)13Bは、一枚の段ボールシートからなる。図4を参照すると、側板本体14、底板11、側板13B、天板12、及び継代15は、この順で上側から下側に連設されている。
【0022】
引き続いて図4を参照すると、底板11の上下には、折曲部16を構成する折曲線16aを介して、側板本体14と側板13Bがそれぞれ連設されている。折曲線16aは、長さ方向Yに間隔をあけて設けた複数の汎用罫線18と、隣り合う汎用罫線18間に設けた切断線19とからなる。隣り合う切断線19は、外力の付加によって互いに繋がり難い破断困難な間隔をあけて形成されている。切断線19は、円弧状で、隣り合う汎用罫線18に連なり、汎用罫線18よりも幅方向Xの外側へ突出している。
【0023】
天板12の上下には、折曲部17を構成する折曲線17a,17bを介して、側板13Bと継代15がそれぞれ連設されている。天板12と側板13Bの間の折曲線17aは、折曲線16aと同様に、複数の汎用罫線18と、隣り合う汎用罫線18間に設けた切断線19とで構成されている。天板12と継代15の間の折曲線17bは、長さ方向Yに延びる汎用罫線と、この汎用罫線上に長さ方向Yに間隔をあけて設けた複数の切断線とを備えるリード罫からなる。折曲線17bの隣り合う切断線は、外力の付加によって互いに繋がり難い破断困難な間隔をあけて形成されている。
【0024】
図1を参照すると、一対の蓋壁20は、いずれもXZ平面に沿って延びる同一の四角形状に形成され、長さ方向Yに間隔をあけて設けられている。但し、蓋壁20は、包装箱10として製函できる範囲であれば、幾何学的に厳密な意味でXZ平面に沿って延びる構成でなくてもよい。
【0025】
蓋壁20は、天板12、底板11、及び側板13A,13Bにそれぞれ連なり、これらで画定された長さ方向Yの両端の開口をそれぞれ塞ぐ。個々の蓋壁20は、内板21、内板21の外側面に配置された一対の貼着片22、及び内板21と貼着片22それぞれの外側面に配置された被覆板23を備える。一対の貼着片22が内板21の外側面に熱溶融樹脂等の接着剤によって貼着された後、被覆板23が内板21の外側面と一対の貼着片22の外側面に熱溶融樹脂等の接着剤によって貼着されている。但し、貼着片22は、内板21の内側面に貼着されてもよい。
【0026】
内板21と被覆板23はいずれも細長い短冊状で、一対の貼着片22は概ね台形状である。内板21の高さ方向Zの寸法、及び被覆板23の高さ方向Zの寸法はいずれも、側板13A,13Bの高さ方向Zの寸法よりも小さく、側板13A,13Bの高さ方向Zの寸法の半分よりも大きい。貼着片22の高さ方向Zの寸法は、内板21の高さ方向Zの寸法よりも小さい。
【0027】
図1及び図2を参照すると、内板21は、折曲部24を介して底板11に連なっている。一対の貼着片22は、折曲部29を介して側板13A,13Bにそれぞれ連なっている。被覆板23は、折曲部30を介して天板12に連なっている。
【0028】
図2及び図3を参照すると、底板11と内板21の間の折曲部24は、一対の折曲部25と1本の折曲部26を備え、全体として幅方向Xに延びている。折曲部25と折曲部26の間にはそれぞれ、打抜部27が設けられている。一対の折曲部25と1本の折曲部26とは、長さ方向Yに間隔をあけて位置しており、これらの位置関係を成立させるために打抜部27が形成されている。
【0029】
図4及び図6を参照すると、一対の内板21は、折曲部25を構成する折曲線25aと、折曲部26を構成する折曲線26aを介して、底板11の長さ方向Yの両側にそれぞれ連設されている。
【0030】
図2及び図3を参照すると、折曲部25は、貼着片22と対応するように、内板21の幅方向Xの両端に設けられ、幅方向Xに延びている。折曲部25の幅方向Xの長さは、貼着片22の幅方向Xの全長以上に形成されている。図4を参照すると、折曲部25を構成する折曲線25aは、折曲線17bと同様に、汎用罫線上に間隔をあけて一対の切断線を設けたリード罫からなる。
【0031】
図2及び図3を参照すると、折曲部26は、折曲部25に対して長さ方向Yの外側に間隔をあけて設けられ、一対の折曲部25間を幅方向Xに延びている。折曲部26の両端と一対の折曲部25の端とはそれぞれ、幅方向Xにおいて同じ位置に配置され、長さ方向Yにおいて間隔をあけて位置している。図4を参照すると、折曲部26を構成する折曲線26aは、折曲線17bと同様に、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けたリード罫からなる。折曲線25aと折曲線26aの間隔である段違い寸法は、段ボールシート1枚の厚み分に設定することが好ましい。
【0032】
図2及び図3を参照すると、打抜部27は、底板11と内板21それぞれの一部を貫通した切断線からなり、内板21の長さ方向Yの変形を部分的に許容するために設けられている。打抜部27は、折曲部25及び折曲部26にそれぞれ一部が連なり、底板11では長さ方向Yに延び、内板21では高さ方向Zに延びている。図4及び図6を参照すると、打抜部27の内板21側の上端は、内板21の上縁に対して間隔をあけて位置している。打抜部27の上端と内板21の上縁の間には、内板21の折曲部25と対応する部分と折曲部26と対応する部分の段差形成を促進するための折曲線28が設けられている。
【0033】
図1及び図3を参照すると、側板13A,13Bと貼着片22の間の折曲部29は、高さ方向Zに延びている。図4及び図6を参照すると、合計で4枚の貼着片22は、側板13Bと側板本体14の長さ方向Yの両側に、折曲部29を構成する折曲線29aを介してそれぞれ連設されている。折曲線29aは、折曲線17bと同様に、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けたリード罫からなる。
【0034】
図1を参照すると、天板12と被覆板23の間の折曲部30は、外力の付加によって破断困難な非破断部31と、外力の付加によって破断可能な2種の破断部32,33とを備え、全体として幅方向Xに直線状に延びている。これらは、側板13Aから側板13Bに向けて、破断部33、非破断部31、及び破断部32の順で設けられている。図1及び図4を参照すると、被覆板23は、非破断部31を構成する折曲線31a、破断部32を構成する破断線32a、及び破断部33を構成する破断線33aを介して、天板12の長さ方向Yの両側にそれぞれ連設されている。
【0035】
図1を参照すると、非破断部31は、側板13A側、より具体的には折曲部30を3等分したときに側板13Aに隣接する領域に設けられている。図1及び図4を参照すると、非破断部31を構成する折曲線31aは、汎用罫線と複数の切断線によって構成されたリード罫からなる。隣り合う切断線は、外力の付加によって互いに繋がり難い破断困難な間隔をあけて形成されている。
【0036】
図1を参照すると、破断部32は、非破断部31の側板13B側、より具体的には折曲部30を3等分したときに側板13Aに隣接する領域以外に設けられている。図1及び図4を参照すると、破断部32を構成する破断線32aは、複数のY字状切断線を破断可能な間隔をあけて設けたYジッパからなり、後に詳述する開封構造35の一部を構成する。ここで、破断可能な間隔とは、外力の付加による破断によって、隣り合うY字状切断線が互いに繋がることが可能な距離を意味する。
【0037】
図1を参照すると、破断部33は、非破断部31の側板13A側に設けられている。図1及び図4を参照すると、破断部33を構成する破断線33aは、複数の一文字状切断線を破断可能な間隔をあけて設けたミシン刃からなり、後に詳述する開封構造35の一部を構成する。ここでの破断可能な間隔とは、外力の付加による破断によって、隣り合う一文字状切断線が互いに繋がることが可能な距離を意味する。
【0038】
次に、包装箱10の製函方法の一例を説明する。
【0039】
まず、図4に示すブランクの状態で、底板11に対して一対の内板21を折曲線25a,26aに沿ってそれぞれ折り曲げる。これにより、内板21は、部分的に折曲部25からXZ平面に沿って延びるとともに、部分的に折曲部26からXZ平面に沿って延び、打抜部27と対応する部分が概ねS字状に湾曲する。つまり、内板21には、折曲部25と対応する部分と折曲部26と対応する部分の間に、段差が形成される。
【0040】
続いて、底板11に対して側板13Bと側板本体14を折曲線16aに沿ってそれぞれ折り曲げる。その後、側板13Bと側板本体14に対して貼着片22を折曲線29aに沿ってそれぞれ折り曲げ、内板21の外側面に貼着片22を接着剤によって貼着する。これにより、図6に示す封緘過程の状態になる。この状態では、内板21のうち折曲部26と対応する部分の外側面は、折曲部25と対応する部分の外側面よりも長さ方向Yの外側に位置し、貼着片22の外側面と概ね面一に位置する。
【0041】
続いて、底板11上に物品を収容させた後、側板13Bに対して天板12を折曲線17aに沿って折り曲げる。その後、天板12に対して一対の被覆板23をそれぞれ折り曲げ、内板21と貼着片22それぞれの外側面に被覆板23を接着剤によって貼着する。また、天板12に対して継代15を折り曲げ、側板本体14の外側面に継代15を接着剤によって貼着する。これにより、図1に示す封緘状態の包装箱10が完成する。
【0042】
図2及び図3を参照すると、封緘状態の包装箱10には、内板21の外側面と貼着片22の外側面との間に段差はない。よって、内板21と貼着片22に対する被覆板23の貼着性を向上できる。しかも、内板21の外側面と貼着片22の外側面とを面一に配置し得るため、最も外側に位置する被覆板23も凹凸がない平坦な状態に貼着でき、包装箱10を設計通りの外形寸法に製函し得る。また、内板21と被覆板23の間には、段差による隙間も形成されない。よって、内板21、一対の貼着片22、及び被覆板23からなる蓋壁20の封緘性を向上できる。
【0043】
図1及び図4を参照すると、このように構成された包装箱10には、天板12側を開封するための開封構造35が設けられている。
【0044】
開封構造35は、1つの操作部36、一対の破断線(第1破断線)37、及び一対の第2破断線を備える。そのうち、一対の第2破断線は、折曲部30が備える破断線32aによって構成されている。また、開封構造35には、破断線37,32aに沿った天板12の破断を促進するための折曲線42~45が更に設けられている。
【0045】
操作部36は、継代15の長さ方向Yの中央に設けられている。操作部36は、継代15の先端(図1において下端)から天板12との間の折曲部17に向けて延びる一対の破断線36aによって、継代15の他の部分と区画されている。一対の破断線36aそれぞれの上端は、一対の破断線37の端にそれぞれ隣接し、破断可能な間隔をあけて位置している。ここで、破断可能な間隔とは、外力の付加による破断によって、破断線36aの上端と破断線37の端とが互いに繋がることが可能な距離を意味する。
【0046】
図5を参照すると、破断線36aは、2種の切断線36b,36cを有する複数のL字状切断線を、破断可能な間隔をあけて設けた片ジッパからなる。ここで、破断可能な間隔とは、外力の付加による破断によって、隣り合うL字状切断線が互いに繋がることが可能な距離を意味する。切断線36bは、下側から上側に向けて継代15の長さ方向Yの外側に傾斜している。一方の切断線36cは、他方の切断線36bの下端から継代15の長さ方向Yの中央に向けて延びている。
【0047】
図1及び図4を参照すると、一対の破断線37は、天板12と側板13Aの間の折曲部(第1稜部)17、及び天板12と蓋壁20の間の折曲部(第2稜部)30の間に位置するように、天板12にそれぞれ設けられている。一対の破断線37は、側板13A側から側板13B側に向けて長さ方向Yの外側、つまり近傍の蓋壁20側に全体として傾斜して延びている。個々の破断線37は、折曲部17側に位置する第1破断部38と、折曲部30側に位置する第2破断部39とで構成されている。
【0048】
図1及び図5を参照すると、第1破断部38は、2種の切断線38a,38bを有する複数のL字状切断線を、破断可能な間隔をあけて設けた片ジッパからなる。複数の切断線38aは、幅方向Xに間隔をあけて設けられ、側板13Bに近づくに従って蓋壁20に近づくように配置されている。個々の切断線38aは、長さ方向Yに沿ってそれぞれ延びている。隣り合う切断線38aの一部は、幅方向Xから見て互いに重複している。切断線38bは、切断線38aの長さ方向Yの外端に連なり、側板13Bに向けて幅方向Xに延びている。切断線38bの側板13B側の端は、隣り合うL字状切断線の切断線38aに対して破断可能な間隔をあけて位置している。但し、第1破断部38は、切断線38bを設けることなく、複数の切断線38aのみによって構成されてもよい。
【0049】
第2破断部39は、天板12の長さ方向Yの外側領域、より具体的には天板12を長さ方向Yに12等分したときに端板20に隣接する領域に設けられている。第2破断部39は、第1切断線(第4切断線)39a、第2切断線(第5切断線)39b、及び第3切断線(第6切断線)39cを有する複数のY字状切断線を、破断可能な間隔をあけて設けたYジッパからなる。第1切断線39aは、第1破断部38の長さ方向Yの外端と破断線32aの側板13A側の端との間に、全体として直線状をなすように間隔をあけて設けられている。第2切断線39bは、第1切断線39aの第1破断部38側の端に連なり、天板12の長さ方向Yの中央側に延びている。第3切断線39cは、第1切断線39aの第1破断部38側の端に連なり、側板13A側に延びている。
【0050】
一対の破断線32aは、破断線37の長さ方向Yの外端から側板13Bの折曲部17に向けて、折曲部30に沿って延びている。より具体的には、破断線32aは、折曲部30を3等分したときに側板13B側に位置する2つ領域にかけて設けられている。破断線32aは、第1切断線32b、第2切断線32c、及び第3切断線32dを有する複数のY字状切断線を、破断可能な間隔をあけて設けたYジッパからなる。第1切断線32bは、全体として直線状をなすように、折曲部30に沿って間隔をあけて設けられている。第2切断線32cは、第1切断線32bの側板13A側の端に連なり、側板13A側に向かうに従って天板12の長さ方向Yの中央側に傾斜して延びている。第3切断線32dは、第1切断線32bの側板13A側の端に連なり、側板13A側に向かうに従って被覆板23の底板11側に傾斜して延びている。
【0051】
一対の破断線32aの第2側板13B側の端部には、蓋壁20から側板13Bにかけて長さ方向Yの中央に向けて傾斜した破断線40がそれぞれ設けられている。破断線40は、2種の切断線を有する複数のL字状切断線を、破断可能な間隔をあけて設けた片ジッパからなる。そのうち、一方の切断線は、他方の切断線の蓋壁20側の端に連なり、蓋壁20に向けて延びている。
【0052】
図1図9、及び図12を参照すると、一対の破断線37、一対の破断線32a、及び天板12と側板13Bの間の折曲部17で囲まれた領域が、天板12の開封部分12aである。また、破断線37、非破断部31と破断部33、及び天板12と側板13Aの間の折曲部17で囲まれた領域、つまり破断線37よりも側板13A側の領域が、天板12の非開封部分12bである。そのうち、非開封部分12bには、破断線37から破断線33aにかけて延びる破断線41が設けられ、開封部分12aの開封後、破断線41,33aに沿った破断によって非開封部分12bを更に開封可能としている。なお、破断線41は、複数のL字状切断線を備える片ジッパからなる。
【0053】
図1及び図2を参照すると、折曲線(第1折曲線)42は、天板12の一対の破断線37間に設けられている。折曲線(第4折曲線)43は、高さ方向Zにおいて折曲線42と対応するように底板11に設けられている。図4を参照すると、折曲線42,43はそれぞれ、汎用罫線からなり、側板13A側の折曲線17a,16aの近傍から側板13B側に直線状に延びている。折曲線42,43の側板13B側の端はそれぞれ、天板12と底板11をそれぞれ幅方向Xに3等分したときの中央領域に配置され、側板13Bに対して間隔をあけて位置している。図1及び図5を参照すると、継代15の長さ方向Yの中央にも、折曲線42,43と対応する折曲線(第5折曲線)46が、高さ方向Zに延びるように設けられている。
【0054】
図1及び図4を参照すると、折曲線(第2折曲線)44は、天板12において折曲線42の側板13B側の端に連なるように一対設けられている。但し、折曲線44は、折曲線42に対して間隔をあけて設けられていてもよい。一対の折曲線44は、それぞれ汎用罫線からなり、折曲線42から側板13B側に向かうに従って互いに離れる向き、つまり蓋壁20側へ傾斜して延びている。図5を参照すると、折曲線44の側板13B側の端は、折曲部17aに対して間隔をあけて位置している。また、折曲線44の側板13B側の端は、長さ方向Yにおいて折曲線42と破断線32aの間の概ね中央に位置している。
【0055】
図1及び図4を参照すると、折曲線(第3折曲線)45は、折曲線44に対して長さ方向Yの外側に一対設けられている。一対の折曲線45は、それぞれ汎用罫線からなり、側板13B側から側板13A側に向かうに従って互いに離れる向き、つまり蓋壁20側へそれぞれ傾斜して延びている。図5を参照すると、折曲線45の側板13Bの端は、折曲部17aに対して間隔をあけて位置している。折曲線44,45それぞれを延長すると、これらは折曲部17a上で交差する。折曲線45の長さ方向Yの外端は、破断線32aに対して間隔をあけて位置している。また、折曲線45の外端は、天板12を幅方向Xに4等分したときに側板13Bに隣接する領域に位置している。
【0056】
以上のように構成された包装箱10は、2通りの方法で開封し得る。
【0057】
例えば、第1の開封方法は、左手で天板12のうち図7に二点鎖線で示す非開封部分12bを持ち、右手で操作部36を操作するという手法である。第2の開封方法は、まず操作部36を操作して破断線36aに沿って継代15を破断した後、左手で側板13Aを挟み込むように底板11のうち図10に二点鎖線で示す中央部分を持ち、右手で操作部36を操作するという手法である。いずれの開封方法を行っても、破断線37に沿って天板12が破断された後、引き続いて破断線32aに沿って天板12と蓋壁20の間の折曲部30が破断される。
【0058】
具体的には、図7に示すように、第1の開封方法では、まず、一対の破断線36a間を持ち、操作部36を上向きに持ち上げる。これにより、一対の破断線36aに沿って継代15が破断される。
【0059】
続いて、破断線37の第1破断部38に沿って天板12が破断される。この際、第1破断部38は、幅方向Xに間隔をあけて設けられた複数の切断線38aを備え、個々の切断線38aの長さ方向Yの外端から破断は、操作部36を操作する向きである切断線38bを経て側板13B側に進む。そして、隣り合う第1破断部38は、幅方向Xから見て重複しているため、脱線することなく破断によって互いに繋がる。
【0060】
第1破断部38に沿った天板12の破断が終了すると、引き続いて第2破断部39に沿って天板12が破断される。この際、個々の第1切断線39aの長さ方向Yの外端から破断は、操作部36を操作する向き、つまり天板12の長さ方向Yの内側に進む。そして、第2破断部39はYジッパからなるため、図8に示すように、破断が進む向きに位置する隣接したY字状切断線の第2切断線39bに脱線することなく繋がる。
【0061】
第2破断部39に沿った天板12の破断が終了すると、引き続いて破断線32aに沿って天板12と蓋壁20の間の折曲部30が破断される。この際、個々の第1切断線32bの側板13B側の端から破断は、天板12の長さ方向Yの内側に進む。そして、破断線32aはYジッパからなるため、破断が進む向きに位置する隣接したY字状切断線の第2切断線32cに脱線することなく繋がる。
【0062】
破断線32aに沿った折曲部30の破断が終了すると、引き続いて破断線40に沿って天板12が破断され、図9に示すように、天板12のうち非開封部分12bを残した状態で、包装箱10を開封できる。
【0063】
図10に示すように、第2の開封方法では、操作部36の操作によって、一対の破断線36aに沿って継代15が破断されている。この状態で、底板11と天板12の側板13A側の中央を持つと、把持した指を起点として底板11と天板12に側板13Aから側板13Bに向けた折目が生じ、底板11と天板12が折れ曲がり得る。この際、底板11、天板12、及び継代15には、それぞれ折曲線43,42,46が設けられているため、これらの折曲位置を定めることができ、意図しない位置での折れ曲がりを抑制できる。
【0064】
続いて、天板12側を操作すると、破断線37の第1破断部38に沿って天板12が破断される。この際の第1破断部38による天板12の破断は、第1の開封方法と同様である。
【0065】
第1破断部38に沿った天板12の破断が終了すると、引き続いて第2破断部39に沿って天板12が破断される。この際、個々の第1切断線39aの長さ方向Yの外端から破断は、天板12の折れ曲がりによって、天板12の長さ方向Yの外側に進む。そして、第2破断部39はYジッパからなるため、図11に示すように、破断が進む向きに位置する隣接したY字状切断線の第3切断線39cに脱線することなく繋がる。
【0066】
第2破断部39に沿った天板12の破断が終了すると、引き続いて破断線32aに沿って天板12と蓋壁20の間の折曲部30が破断される。この際、個々の第1切断線32bの側板13B側の端から破断は、天板12の折れ曲がりによって、天板12の長さ方向Yの外側に進む。そして、破断線32aはYジッパからなるため、破断が進む向きに位置する隣接したY字状切断線の第3切断線32dに脱線することなく繋がる。
【0067】
一般的に、破断線32aの側板13B側は、天板12を操作する位置から離れているため、力が伝わり難い傾向にある。これに対し、本実施形態では、天板12の側板13B側に全体としてM字状を呈する折曲線44,45が設けられているため、これらに沿った天板12の折れ曲がりによって、天板12が蓋壁20から離れる向きに変位するように引っ張り力が作用する。よって、破断線32aに沿って折曲部30を側板13B側まで確実に破断できる。
【0068】
破断線32aに沿った折曲部30の破断が終了すると、引き続いて破断線40に沿って天板12が破断され、図12に示すように、天板12のうち非開封部分12bを残した状態で、包装箱10を開封できる。
【0069】
図9及び図12に示す開封状態で、非開封部分12bを更に開封する場合、破断線37による破断縁を持って上向きに操作する。これにより、破断線41に沿って非開封部分12bを破断し、破断線33aに沿って折曲部30を破断することで、天板12の残りの部分を更に開封できる。
【0070】
このように構成した包装箱10は、以下の特徴を有する。
【0071】
本実施形態の包装箱10は、2通りの方法で開封することができる。第1の開封方法では、底板11と天板12に側板13Aから側板13Bに向けた折目が生じることはないため、底板11と天板12が折れ曲がることはない。よって、破断線32aに沿って折曲部30を破断する際、破断は、第1切断線32bから天板12側に進むため、第2切断線32cに繋がる。第2の開封方法では、把持した指を起点として底板11と天板12に側板13Aから側板13Bに向けた折目が生じ、底板11と天板12が折れ曲がり得る。よって、破断線32aに沿って折曲部30を破断する際、破断は、第1切断線32bから蓋壁20側に進むため、第3切断線32dに繋がる。
【0072】
このように、破断線32aが、第1切断線32bと、第1切断線32bの側板13A側に設けた第2切断線32cと第3切断線32dを備えるYジッパによって構成されている。そのため、第1の開封方法と第2の開封方法のいずれが行われても、天板12を確実に破断できる。よって、2通りの方法で開封し得る包装箱10における天板12の破断性を向上できる。
【0073】
第1の開封方法のように天板12に折れ曲がりが生じない場合と、第2の開封方法のように天板12に折れ曲がりが生じる場合では、天板12のうち蓋壁20の近傍の領域においても、操作力の伝わり方が変わることがある。これに対し、破断線37は、側板13A側に位置する第1破断部38と、蓋壁20側に位置する第2破断部39とを備え、第2破断部39が、複数の第1切断線39aと、第1切断線39aの第1破断部38側の端に設けられた第2切断線39bと第3切断線39cとを備えるYジッパによって構成されている。そのため、第2破断部39に沿って天板12を破断する際、第1の開封方法では破断が第1切断線39aから天板12の内側に進んで第2切断線39bに繋がり、第2の開封方法では破断が第1切断線39aから天板12の外側に進んで第3切断線39cに繋がる。よって、第1の開封方法と第2の開封方法のいずれが行われても、天板12を確実に破断できる。
【0074】
第1破断部38が幅方向Xに間隔をあけて設けられた複数の切断線38aを備え、幅方向Xから見て隣り合う切断線38aの一部が重複している。第1破断部38に沿って天板12を破断する際、第1の開封方法と第2の開封方法のいずれでも、破断は、切断線38aの端から側板13B側に進むため、幅方向Xから見て一部が重複した隣の切断線38aに繋がる。よって、第1の開封方法と第2の開封方法のいずれが行われても、天板12を確実に破断できる。しかも、第1破断部38は、長さ方向Yに延びる複数の切断線38aからなるため、第1破断部38全体を傾斜した破断部にする場合と比較して、天板12の非開封部分12bの領域を少なくでき、天板12を大きく開封できる。
【0075】
側板13Aは、底板11に連なる側板本体14と天板12に連なる継代15とを備え、継代15には一対の破断線37の端にそれぞれ隣接するように操作部36が設けられている。これにより、継代15の操作部36を持って操作することで、破断線37及び破断線32aに沿って天板12を容易に破断できる。
【0076】
天板12の一対の破断線37間に側板13A側から側板13B側に延びる折曲線42が設けられている。これにより、第2の開封方法が行われたとき、天板12が折れ曲がる位置を折曲線42の形成位置に定めることができる。よって、天板12が意図しない位置で折れ曲がることを抑制できるため、折曲線42を設けない場合と比較して、操作力の伝わり方を一様化できる。その結果、破断線37と破断線32aに沿って天板12を確実に破断できる。
【0077】
折曲線42の側板13B側に、M字状をなすように一対の折曲線44と一対の折曲線45とが設けられている。これにより、特に第2の開封方法が行われた際、折曲線42から折曲線45に沿った天板12の折れ曲がりによって、破断線32aに沿って側板13Bに近い部分を破断するときに、蓋壁20から離れる向きの引っ張り力を作用させることができる。よって、破断線32aに沿って天板12を確実に破断できる。
【0078】
底板11に折曲線42と対応する折曲線43が設けられている。これにより、第2の開封方法が行われたとき、底板11が折れ曲がる位置を折曲線43の形成位置に定めることができる。よって、底板11が意図しない位置で折れ曲がることを抑制できるため、折曲線43を設けない場合と比較して、操作力の伝わり方を一様化できる。その結果、破断線37と破断線32aに沿って天板12を確実に破断できる。
【0079】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0080】
(第2実施形態)
図13を参照すると、第2実施形態の包装箱10は、一対の破断線(第1破断線)37の構成のみが、図1に示す第1実施形態の包装箱10と異なっている。
【0081】
図13及び図14を参照すると、一対の破断線37は、第1実施形態と同様に、全体として側板13A側から側板13B側に向けて長さ方向Yの外側に傾斜して延びている。個々の破断線37は、複数の第1破断部50、複数の第2破断部51、及び1つの第3破断部52を備える。複数の第1破断部50と複数の第2破断部51は側板13A側に交互に設けられ、1つの第3破断部52は蓋壁20に隣接して設けられている。
【0082】
第1破断部50は、直線状で、側板13A側から側板13B側に向かうに従って蓋壁20側に傾斜している。但し、第1破断部50は、天板12の破断を阻害しない範囲であれば曲線状であってもよい。複数(本実施形態では3本)の第1破断部50のうち1つは、継代15に隣接して設けられている。それ以外の第1破断部50は、幅方向Xに間隔をあけて設けられ、側板13Bに近づくに従って蓋壁20に近づくように配置されている。図15を参照すると、個々の第1破断部50は、複数の一文字状の切断線50aを破断可能な間隔をあけて設けたミシン刃からなる。隣り合う切断線50aの間には、打ち抜かれていない連続部50bが設けられている。
【0083】
切断線50aの全長を過度に長くすると天板12の剛性が弱くなり、切断線50aの全長を過度に短くすると第1破断部50に沿った天板12の破断が不安定になり得る。連続部50bの全長を過度に長くすると、切断線50aの蓋壁20側の端から破断が意図しない向きに進み、隣接した切断線50aに繋がらない可能性が生じ得る。連続部50bの全長を過度に短くすると、外力によって天板12が直ぐに破断し得る。そのため、個々の切断線50aの全長は、1.0mm以上2.0mm以下の数値範囲で形成することが好ましく、本実施形態では1.3mmで形成されている。連続部50bの全長は、1.0mm以上1.5mm以下の数値範囲で形成することが好ましく、本実施形態では1.2mmで形成されている。より具体的には、段ボールシートの厚みが2mmの場合、連続部50bの全長は1.0mm以上1.2mm以下の数値範囲で形成することが好ましく、段ボールシートの厚みが3mmの場合、連続部50bの全長は1.2mm以上1.5mm以下の数値範囲で形成することが好ましい。
【0084】
第2破断部51は、隣り合う第1破断部50間に設けられ、全体として長さ方向Yに沿って延びている。第2破断部51が延びる長さ方向Yは、開封操作する幅方向Xに対して直交している。そのため、第2破断部51を第1破断部50と同様のミシン刃で構成した場合、意図しない向きに破断が進み、隣り合う切断線が繋がらない可能性がある。そこで、第2破断部51は、連続した1本の切断線51aによって構成されている。
【0085】
第3破断部52は、図1に示す第2破断部39と同様に、天板12の長さ方向Yの外側領域、より具体的には天板12を長さ方向Yに12等分したときに端板20に隣接する領域に設けられている。第3破断部52は、全体として直線状で、側板12A側から側板13B側に向かうに従って蓋壁20側に傾斜し、破断線32aに隣接して設けられている。第3破断部52は、連続した1本の切断線52aによって構成されている。
【0086】
天板12には、操作部36の操作性を向上するための折曲線53が設けられている。折曲線53は、側板13A側から側板13B側へ突出する円弧状で、汎用罫線によって構成されている。
【0087】
このように構成した第2実施形態の包装箱10は、第1実施形態と同様に2通りの方法で開封できる。
【0088】
具体的には、第1の開封方法のように天板12に折れ曲がりが生じない場合と、第2の開封方法のように天板12に折れ曲がりが生じる場合では、天板12のうち蓋壁20の近傍の領域で操作力の伝わり方が変わり得る。これに対し、本態様では、天板12のうち蓋壁20の近傍の領域には、連続した1本の切断線52aからなる第3破断部52が設けられているため、この領域で破断が意図しない向きに進むことを防止できる。
【0089】
また、破断線37は、傾斜した複数の第1破断部50と、長さ方向Yに沿って延びる複数の第2破断部51とを備える。そして、第1破断部50の隣り合う切断線50a間の連続部50bの全長は1.0mm以上1.5mm以下mm以下で形成されているため、第1の開封方法と第2の開封方法のいずれが行われても、連続部50bの破断によって隣り合う切断線50aが繋がり、天板12を確実に破断できる。また、天板12を操作する向きに対して直交する長さ方向Yに延びる第2破断部51は、連続した1本の切断線51aからなるため、この部分においても破断が意図しない向きに進むことを防止できる。
【0090】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0091】
例えば、開封構造35は、側板13Aを構成する継代15は破断することなく、天板12のみを破断する構成であってもよい。つまり、一対の破断線37の間に、天板12と側板12Aの間の折曲部17に沿って破断線を設け、天板12の一端中央を操作部としてもよい。
【0092】
端板は、内板21、一対の貼着片22、及び被覆板23を備える蓋壁20に限られず、底板11の長さ方向Yの両端にそれぞれ連なり、XZ平面に沿って延びる構成であればよい。
【0093】
第1側板13Aは、一枚の段ボールシートからなる構成でもよい。
【0094】
包装箱10の素材は、紙製の段ボールシートに限らず、樹脂製の段ボールシートであってもよい。また、包装箱10の素材は、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 包装箱(容器)
11 底板
12 天板
12a 開封部分
12b 非開封部分
13A 側板(第1側板)
13B 側板(第2側板)
14 側板本体(内側部分)
15 継代(外側部分)
16 折曲部
16a 折曲線
17 折曲部(第1稜部)
17a,17b 折曲線
18 汎用罫線
19 切断線
20 蓋壁(端板)
21 内板
22 貼着片
23 被覆板
24 折曲部
25 折曲部
25a 折曲線
26 折曲部
26a 折曲線
27 打抜部
28 折曲線
29 折曲部
29a 折曲線
30 折曲部(第2稜部)
31 非破断部
31a 折曲線
32 破断部
32a 破断線(第2破断線)
32b 第1切断線
32c 第2切断線
32d 第3切断線
33 破断部
33a 破断線
35 開封構造
36 操作部
36a 破断線
36b 切断線
36c 切断線
37 破断線(第1破断線)
38 第1破断部
38a 切断線
38b 切断線
39 第2破断部
39a 第1切断線(第4切断線)
39b 第2切断線(第5切断線)
39c 第3切断線(第6切断線)
40 破断線
41 破断線
42 折曲線(第1折曲線)
43 折曲線(第4折曲線)
44 折曲線(第2折曲線)
45 折曲線(第3折曲線)
46 折曲線
50 第1破断部
50a 切断線
50b 連続部
51 第2破断部
51a 切断線
52 第3破断部
52a 切断線
53 折曲線
X 幅方向(第1方向)
Y 長さ方向(第2方向)
Z 高さ方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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