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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033537
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】回路遮断器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 83/02 20060101AFI20240306BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20240306BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01H83/02 E
H01H83/02 H
H02B1/42
H02H7/26 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137168
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮村 雄介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 邦浩
(72)【発明者】
【氏名】一村 省互
【テーマコード(参考)】
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G030XX12
5G030YY13
5G211DD01
5G211DD04
(57)【要約】
【課題】組立性の向上を図る。
【解決手段】回路遮断器は、1以上の主接点と、主接点を開閉する開閉機構と、開閉機構を釈放して主接点を自動開路させる引外し装置6と、異常検出装置と、を備える。異常検出装置は、主接点が電気的に接続される配線に異常が生じていることを検出したときに主接点を自動開路させるように引外し装置6を動作させる。異常検出装置7は、第1回路基板71、第2回路基板72、及び第3回路基板73を含む3つ以上の回路基板を有する。第1回路基板71は、第3回路基板73と機械的かつ電気的に接続される。第2回路基板72は、第3回路基板73と機械的かつ電気的に接続される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の主接点と、
前記主接点を開閉する開閉機構と、
前記開閉機構を釈放して前記主接点を自動開路させる引外し装置と、
前記主接点が電気的に接続される配線に異常が生じていることを検出したときに前記主接点を自動開路させるように前記引外し装置を動作させる異常検出装置と、を備え、
前記異常検出装置は、第1回路基板、第2回路基板、及び第3回路基板を含む3つ以上の回路基板を有し、
前記第1回路基板は、前記第3回路基板と機械的かつ電気的に接続され、
前記第2回路基板は、前記第3回路基板と機械的かつ電気的に接続される
回路遮断器。
【請求項2】
前記第1回路基板は、前記第3回路基板と交差し、
前記第2回路基板は、前記第3回路基板と交差する
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記第1回路基板は、前記第3回路基板と直交し、
前記第2回路基板は、前記第3回路基板と直交する
請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記第1回路基板は、前記第3回路基板に制御信号を送信する第1回路を有し、
前記第3回路基板は、前記第1回路からの前記制御信号に基づいて、前記引外し装置を動作させる第3回路を有し、
前記第2回路基板は、前記第1回路及び前記第3回路に給電する第2回路を有する
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記第1回路は、前記異常を検出した場合に、前記第3回路に前記制御信号を送信する
請求項4に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記異常は、前記配線におけるアークの発生を含む
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記第2回路から前記第1回路への給電路は、前記第3回路基板上に配置される
請求項4に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記給電路である第1給電路は、前記第2回路から前記第3回路への第2給電路の一部を兼ねる
請求項7に記載の回路遮断器。
【請求項9】
電気絶縁性を有し、前記第2回路基板と前記第1回路基板とを離間させるスペーサ部材を更に備え、
前記第2回路から前記第1回路への給電路は、前記スペーサ部材の内部に配置される
請求項4に記載の回路遮断器。
【請求項10】
前記主接点、前記開閉機構、前記引外し装置及び前記異常検出装置を収容する器体を更に備え、
前記器体内において、前記第1回路基板、前記第2回路基板及び前記第3回路基板のうち、前記第2回路基板が前記主接点に最も近い位置に配置される
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記第2回路基板は、前記引外し装置と機械的かつ電気的に接続される
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項12】
主開閉器と、
複数の分岐開閉器と、
前記主開閉器及び前記複数の分岐開閉器を収容するキャビネットと、
を備え、
前記主開閉器及び前記複数の分岐開閉器の少なくとも1つが、請求項1に記載の回路遮断器である
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器及び分電盤に関し、より詳細には、ケースに回路基板を収容した回路遮断器、及び当該回路遮断器を内部機器とする分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の配線用遮断器を例示する。特許文献1記載の配線用遮断器(以下、従来例という。)は、固定接触子及び可動接触子と、可動接触子を固定接触子に対して当接・離間させるように動かす機構部と、引外し機構と、負荷電流を計測する計測用メイン基板と、電流警報出力部と、を備える。電流警報出力部は、計測用メイン基板で計測される負荷電流が増加したときに警報出力を行う。
【0003】
また、従来例は、電源と電気的に接続される電源側端子が一端に設けられ、負荷側端子が他端に設けられて上記構成要素を収容する筐体、を備えている。
【0004】
さらに、従来例では、筐体の中央に機構部が設けられ、機構部と電源側端子の間に電流警報出力部を構成するリレー用基板が配置され、機構部と負荷側端子の間に計測用メイン基板が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-288100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例においては、計測用メイン基板とリレー用基板の2枚の基板(異常検出装置)が機構部及び接点部(固定接触子及び可動接触子)を挟んで筐体の両端に配置される。そのため、従来例においては、計測用メイン基板とリレー用基板を配線によって電気的に接続する必要があり、組立性が低下する可能性があった。
【0007】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、組立性の向上を図ることができる回路遮断器及び分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る回路遮断器は、1以上の主接点と、前記主接点を開閉する開閉機構と、前記開閉機構を釈放して前記主接点を自動開路させる引外し装置と、異常検出装置と、を備える。前記異常検出装置は、前記主接点が電気的に接続される配線に異常が生じていることを検出したときに前記主接点を自動開路させるように前記引外し装置を動作させる。前記異常検出装置は、第1回路基板、第2回路基板、及び第3回路基板を含む3つ以上の回路基板を有する。前記第1回路基板は、前記第3回路基板と機械的かつ電気的に接続される。前記第2回路基板は、前記第3回路基板と機械的かつ電気的に接続される。
【0009】
本開示の一態様に係る分電盤は、主開閉器と、複数の分岐開閉器と、前記主開閉器及び前記複数の分岐開閉器を収容するキャビネットと、を備える。前記主開閉器及び前記複数の分岐開閉器の少なくとも1つが、前記回路遮断器である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、組立性の向上を図ることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る回路遮断器の斜視図である。
図2図2は、同上の回路遮断器の分解斜視図である。
図3図3は、同上の回路遮断器のカバーを省略した正面図である。
図4図4は、同上の回路遮断器のカバーを省略した要部の正面図である。
図5図5は、同上の回路遮断器のボディを省略した背面図である。
図6図6は、同上の回路遮断器のボディを省略した要部の背面図である。
図7図7は、同上の回路遮断器における引外し装置の斜視図である。
図8図8は、同上の回路遮断器における引外し装置の分解斜視図である。
図9図9は、同上の回路遮断器における異常検出装置の回路ブロック図である。
図10図10は、同上の回路遮断器における異常検出装置及び引外し装置の一部を省略した前方斜視図である。
図11図11は、同上の回路遮断器における異常検出装置及び引外し装置の一部を省略した前方分解斜視図である。
図12図12は、同上の回路遮断器における異常検出装置及び引外し装置の一部を省略した後方斜視図である。
図13図13は、同上の回路遮断器における異常検出装置及び引外し装置の一部を省略した後方分解斜視図である。
図14図14は、本開示の実施形態に係る分電盤の正面図である。
図15図15は、変形例1の回路遮断器における異常検出装置の回路ブロック図である。
図16図16は、変形例2の回路遮断器における異常検出装置及び引外し装置の一部を省略した前方斜視図である。
図17図17は、同上の回路遮断器における異常検出装置の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る回路遮断器A1及び分電盤B1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)概要
本開示の実施形態に係る回路遮断器A1は、図1及び図2に示すように、1以上の主接点と、主接点を開閉する開閉機構4と、開閉機構4を釈放して主接点を自動開路させる引外し装置(第2引外し装置)6と、異常検出装置7と、を備える。具体的には、主接点は、図3図6に示すように、固定接点20A、20Bと可動接点21A、21Bを有している。可動接点21A、21Bは、固定接点20A、20Bとそれぞれ接離可能に接触する。開閉機構4は、可動接点21A、21Bを、開路位置(固定接点20A、20Bから規定の空間距離を確保している位置)から閉路位置(固定接点20A、20Bと接触して規定の導通状態を確保している位置)、及び閉路位置から開路位置に移動させるように構成される。
【0014】
異常検出装置7は、主接点が電気的に接続される配線に異常が生じていることを検出したときに主接点を自動開路させるように引外し装置を動作させる。
【0015】
異常検出装置7は、図9に示すように、第1回路基板71、第2回路基板72、及び第3回路基板73を含む3つ以上の回路基板を有する。図9図13に示すように、第1回路基板71は、第3回路基板73と機械的かつ電気的に接続される。また、第2回路基板72は、第3回路基板73と機械的かつ電気的に接続される。ここにおいて、「機械的に接続」とは、力学的に固定される状態の接続を意味し、直接的な接続だけでなく、例えば中間部材を介した間接的な接続も含む。
【0016】
本実施形態の回路遮断器A1によれば、第1回路基板71と第2回路基板72とが第3回路基板73を介して電気的に接続されるため、第1回路基板71と第2回路基板72とを配線によって電気的に接続する必要がない。これにより、本実施形態の回路遮断器A1は、組立性の向上を図ることができる。また、第1回路基板71と第2回路基板72とが第3回路基板73を介して機械的に固定されるため、第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73の安定性が向上する。
【0017】
また、本開示の実施形態に係る分電盤B1は、図14に示すように、主開閉器B10と、複数の分岐開閉器B11と、主開閉器B10及び複数の分岐開閉器B11を収容するキャビネットB12と、を備える。主開閉器B10及び複数の分岐開閉器B11の少なくとも1つが、実施形態に係る回路遮断器A1である。
【0018】
実施形態に係る分電盤B1は、例えば、交流50Hz又は60Hzの単相3線式100/200Vの電路において、主に住宅などの引込口装置として用いられる住宅用分電盤(住宅盤と略される場合がある。)である。ただし、本開示の分電盤は、住宅用分電盤に限定されない。
【0019】
キャビネットB12は、電気絶縁性を有する合成樹脂材料によって四角形の箱状に形成される。キャビネットB12は、例えば、住宅内の壁に設置される。キャビネットB12内の横方向の一端部(左端部)に主開閉器B10が収容されている。また、キャビネットB12内において、主開閉器B10の隣(右隣)に、複数の分岐開閉器B11が上下2段に分かれて収容されている。主開閉器B10と複数の分岐開閉器B11は、複数の母線を介して電気的に接続されている。複数の母線は、帯板状の導体(導電バーと呼ばれる場合がある。)で構成されている。複数の母線は、単相3線式電路の2つの電圧側線に対応する2つの母線(電圧側線の導電バー)と、単相3線式電路の1つの中性線に対応する1つの母線(中性線の導電バー)と、を含んでいる。複数の分岐開閉器B11のうち、母線から100Vの分岐回路を分岐する分岐開閉器B11は、1つの電圧側線の導電バーと中性線の導電バーに電気的に接続される。また、複数の分岐開閉器B11のうち、母線から200Vの分岐回路を分岐する分岐開閉器B11は、2つの電圧側線の導電バーに電気的に接続される。
【0020】
(2)詳細
以下、図1図13を参照して、実施形態に係る回路遮断器A1を詳細に説明する。
【0021】
回路遮断器A1は、器体1、接点部2、第1端子部3A、第2端子部3B、開閉機構4、第1引外し装置5、第2引外し装置6、及び異常検出装置7を備えている。なお、以下の説明においては、図1等において矢印で示す上下、前後、及び左右の各方向を、回路遮断器A1の上下、前後、及び左右の各方向と定義する。ただし、回路遮断器A1の上下、前後、及び左右の各方向は、説明のために便宜上定義した方向であって、実際に回路遮断器A1が使用されるときの方向を限定する趣旨ではない。
【0022】
(2.1)器体
器体1は、全体として、上下方向の高さ寸法及び左右方向の幅寸法に比べて、前後方向の厚み寸法が十分に小さい箱状に形成されている。器体1は、器体1の後半部分を構成する合成樹脂製のボディ10と、器体1の前半部分を構成する合成樹脂製のカバー11と、を有している(図1及び図2参照)。つまり、ボディ10とカバー11が前後方向に結合されることで器体1が形成されている。
【0023】
器体1内の左端部に第1端子部3Aが収容される。また、器体1内の右端部に第2端子部3Bが収容される。そして、器体1内において、第1端子部3Aが収容された左端部と、第2端子部3Bが収容された右端部の間に、接点部2、開閉機構4、第1引外し装置5、第2引外し装置6、及び異常検出装置7が収容される(図2及び図3参照)。
【0024】
器体1の左側面の上部は、第1端子部3Aの一部を露出させるために開放されている(図2参照)。また、器体1の右端部には、器体1の右側面、前面、及び後面にそれぞれ開放された3つの差込口12A、12B、12Cが設けられている(図1参照)。これら3つの差込口12A、12B、12Cは、器体1の右端部において、上下方向に沿って等間隔に並んでいる。
【0025】
また、器体1の上側面における左右方向のほぼ中央に、長方形状の窓13が開口している(図2参照)。この窓13の内側に、開閉機構4のハンドル40が、器体1に対して回転可能に配置されている。
【0026】
さらに、器体1の上側面における窓13の右側に、長方形状の貫通穴14が設けられている(図2参照)。貫通穴14は、器体1の上側面を貫通して器体1の内部と通じている。
【0027】
(2.2)接点部
接点部2は、2組の主接点及び2つの可動接触子22A、22Bを有している。一方の組の主接点は、固定接点20Aと可動接点21Aを有し(図5参照)、他方の組の主接点は、固定接点20Bと可動接点21Bを有している(図3参照)。可動接点21Aは、可動接触子22Aの先端に固定され、可動接点21Bは、可動接触子22Bの先端に固定されている。
【0028】
可動接触子22Aは、金属材料によって帯板状に形成されている(図6参照)。可動接触子22Bは、金属材料製の帯板の長手方向の両端部を当該帯板の厚み方向(上下方向)に沿って逆向きに折り曲げて形成されている(図3参照)。なお、可動接触子22Bを形成する帯板の厚みは、可動接触子22Aを形成する帯板の厚みよりも薄い。
【0029】
固定接点20Aは、図5に示すように、第1端子部3Aの第1端子板31Aの端部に設けられている。固定接点20Bは、図3に示すように、第1端子部3Aの第2端子板32Aの端部に設けられている。これら2つの固定接点20A、20Bは、前後方向に沿って隣り合うように器体1内に収容される。
【0030】
(2.3)第1端子部
第1端子部3Aは、図3及び図5に示すように、仕切部材30A、第1端子板31A、第2端子板32A、2つの錠ばね33A、2つの解除レバー34A、を有している。
【0031】
仕切部材30Aは、電気絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、器体1内の左端部に収容されている。器体1内の左端部は、仕切部材30Aによって、前方の収容空間と後方の収容空間に仕切られている。
【0032】
第1端子板31Aは、後方の収容空間に収容される。第1端子板31Aの端部に固定接点20Aが設けられている。第2端子板32Aは、前方の収容空間に収容される。第2端子板32Aの端部に固定接点20Bが設けられている。
【0033】
第1端子板31Aは、1つの錠ばね33A及び1つの解除レバー34Aとともにねじなし端子を構成している。同様に、第2端子板32Aは、もう1つの錠ばね33A及びもう1つの解除レバー34Aとともにねじなし端子を構成している。
【0034】
第1端子部3Aの2つのねじなし端子はそれぞれ、仕切部材30Aに設けられた2つの挿入穴300Aに挿入される導体と電気的かつ機械的に接続され、かつ、それぞれの解除レバー34Aが操作された状態で導体との電気的かつ機械的な接続が解除可能である。
【0035】
(2.4)第2端子部
第2端子部3Bは、図3及び図5に示すように、第1刃受ばね31B及び第2刃受ばね32Bを有している(図3及び図5参照)。第1刃受ばね31B及び第2刃受ばね32Bは、いずれも金属製の帯状の板材が曲げ加工されることによって、ギリシャ文字の「Ω(オメガ)」に似た形状に形成されている。
【0036】
第1刃受ばね31Bは、器体1内の右端の下部に収容される。第1刃受ばね31Bは、器体1の最下段の差込口12Cに差し込まれる導体(分電盤B1の1つの電圧極の導電バー)と電気的に接続される。
【0037】
第2刃受ばね32Bは、器体1内の右端の中部に収容される。第2刃受ばね32Bは、器体1の中段の差込口12Bに差し込まれる導体(分電盤B1のもう1つの電圧極の導電バー)と電気的に接続される。なお、第2刃受ばね32Bは、器体1内の右端の上部に収容されてもよい。この場合第2刃受ばね32Bは、器体1の最上段の差込口12Aに差し込まれる導体(分電盤B1の中性極の導電バー)と電気的に接続される。
【0038】
このように、第1刃受ばね31B及び第2刃受ばね32Bは、分電盤B1を介して、電力系統AC1(図9参照)と接続される。
【0039】
(2.5)開閉機構
開閉機構4は、可動接触子22A、22Bを駆動することによって、2つの主接点(固定接点20Aと可動接点21A、及び固定接点20Bと可動接点21B)を開閉するように構成される。
【0040】
開閉機構4は、ハンドル40、クロスバー41、レバー42、リンク43、引外し板44、連動板45、及び複数のばねなどを有している(図2図6参照)。
【0041】
ハンドル40は、ハンドル本体400、操作片401、及び一対の回転軸402を有している。ハンドル本体400は、おおよそ円柱状に形成されている。操作片401は、長方形の平板状に形成され、ハンドル本体400の外周面から接線方向に突出している。一対の回転軸402は、ハンドル本体400の前後両端面から前後方向にそれぞれ突出している。なお、ハンドル本体400、操作片401、及び一対の回転軸402は、合成樹脂成形体として一体に形成されている。
【0042】
ハンドル40は、ボディ10及びカバー11の各々の内側面に設けられた軸穴に、一対の回転軸402が1つずつ挿入されることによって、器体1に対して回転可能に保持される。なお、操作片401は、器体1の上側面に設けられた窓13内に配置される。また、ハンドル40は、第1ばね47Aによって、操作片401を窓13から離す向きに付勢されている(図6参照)。
【0043】
リンク43は、棒状の金属材料によってU字状に形成されている。リンク43の一端部は、ハンドル本体400の下部に設けられている軸受穴403に挿入される(図2図4参照)。
【0044】
レバー42は、レバー本体420と、一対の軸受片421と、を有する。レバー本体420は、長方形の平板状に形成されている。一対の軸受片421はそれぞれ、U字状に形成され、レバー本体420の長手方向の中央における前後両端から下向きに突出している。レバー42は、一対の軸受片421にリンク43の他端部が挿入されることによって、リンク43を介してハンドル40と連結される。
【0045】
クロスバー41は、おおよそ三角柱状に形成されている。クロスバー41は、前後両側面から突出する一対の回転軸410を有している(図6参照)。クロスバー41は、ボディ10及びカバー11の各々の内側面に設けられた軸受穴に、一対の回転軸410が1つずつ挿入されることによって、器体1に対して回転可能に保持される。また、クロスバー41の後側(ボディ10側)の側面における中央部分に、ばね収容部411及び第1保持溝412が設けられている(図6参照)。なお、第1保持溝412は、ばね収容部411とつながっている。さらに、クロスバー41の前側(カバー11側)の側面における下部に、第2保持溝413が設けられている(図4参照)。
【0046】
クロスバー41は、第1保持溝412に挿入された可動接触子22Aを保持し、かつ、第2保持溝413に挿入された可動接触子22Bを保持する。また、可動接触子22Aは、ばね収容部411に収容されるコイルばね(第2ばね47B)のばね力を受けて上向きに付勢されている。なお、第2ばね47Bは、可動接触子22Aを介して、固定接点20Aに対する接触圧を可動接点21Aに付与している。
【0047】
さらに、クロスバー41は、器体1内の左右方向の中央における下部に圧縮状態で収容されているコイルばね(第3ばね47C)のばね力により、可動接点21A、21Bを固定接点20A、20Bから引き離す向きの回転力が付与されている。
【0048】
引外し板44は、軸部440、ラッチ部441、第1脚部442、及び第2脚部443を有している(図4及び図6参照)。軸部440、ラッチ部441、第1脚部442、及び第2脚部443は、合成樹脂成形体として一体に形成されている。
【0049】
軸部440は、円柱状に形成されている。ラッチ部441は、長方形の平板状に形成されて軸部440から上向きに突出している。ラッチ部441の上端には、レバー本体420の右端部を引掛け可能な引掛け部444が設けられている。第1脚部442は、L字状に形成されて軸部440の下部後方から下向きに突出している。第2脚部443は、L字状に形成されて軸部440の下部前方から下向きに突出している。
【0050】
引外し板44は、ボディ10及びカバー11の各々の内側面に設けられた軸受穴に、軸部440の両端が1つずつ挿入されることによって、器体1に対して回転可能に保持される。
【0051】
連動板45は、L字状に形成されている。連動板45の角部分に軸穴が設けられている。連動板45は、後述する第1引外し装置5の隔壁部材54に設けられた軸が軸穴に挿入されることによって、回転可能に隔壁部材54に支持される。また、連動板45の上部には、第1引外し装置5のバイメタル50Bの下端と対向する突起451が設けられている(図4参照)。
【0052】
(2.6)第1引外し装置
第1引外し装置5は、2つの主接点に流れる負荷電流を各別に監視し、いずれかの主接点に過負荷電流が所定時間以上流れたときに開閉機構4を釈放して、2つの主接点を自動開路させるように構成されている。
【0053】
第1引外し装置5は、図4及び図6に示すように、2つのバイメタル50A、50Bと、2つの導電板51A、51Bと、2つの調整板52A、52Bと、2つの調整ねじ53A、53Bと、1つの隔壁部材54と、を有している。
【0054】
2つのバイメタル50A、50Bはそれぞれ、L字形に形成され、上端部において、2つの調整板52A、52Bの下面の右端に固定されている。2つの調整板52A、52Bはそれぞれ、薄い金属板によって長方形状に形成されている。2つの調整板52A、52Bのそれぞれの左端部が、2つの導電板51A、51Bの下面の左端に1つずつ固定されている。2つの導電板51A、51Bはそれぞれ、2つの調整板52A、52Bよりも十分に厚みが大きい金属板によって長方形状に形成されている。つまり、2つの調整板52A、52Bは、2つの導電板51A、51Bに固定された左端を支点として上下方向に変位可能である。
【0055】
2つの導電板51A、51Bのそれぞれ右端にねじ穴が設けられている。各ねじ穴には、調整ねじ53A、53Bが1つずつねじ込まれている。2つの調整ねじ53A、53Bの下端は、2つの調整板52A、52Bのそれぞれの右端部に接している。つまり、2つの調整ねじ53A、53Bが2つの導電板51A、51Bの下面から突出する量に応じて、2つの導電板51A、51Bに対する2つの調整板52A、52Bの変位量(2つのバイメタル50A、50Bの下端位置)が調整可能である。
【0056】
2つの導電板51A、51Bはそれぞれ、電気絶縁性を有する合成樹脂成形体からなる隔壁部材54に保持される。隔壁部材54は、平板状の隔壁540と、隔壁540の周縁より隔壁540の厚み方向(前後方向)に沿って隔壁540の両側に突出する周壁541と、を有している。隔壁部材54は、隔壁540の後面と周壁541に囲まれた第1凹所542に、バイメタル50A、導電板51A、及び調整板52Aを収容している。また、隔壁部材54は、隔壁540の前面と周壁541に囲まれた第2凹所543に、バイメタル50B、導電板51B、及び調整板52Bを収容している。なお、隔壁540の前面の下部には、連動板45の軸穴に挿入される軸が前方に向かって突出している。
【0057】
ここで、一方のバイメタル50Aの上端部は、編組線からなる第1導体34Bを介して、第2端子部3Bの第1刃受ばね31Bと電気的に接続されている(図5参照)。また、バイメタル50Aの中間部は、編組線23Aを介して可動接触子22Aの右端部と電気的に接続されている(図5参照)。他方のバイメタル50Bの上端部は、編組線からなる第2導体35Bを介して、第2端子部3Bの第2刃受ばね32Bと電気的に接続されている(図3参照)。また、バイメタル50Bの中間部は、編組線23Bを介して、可動接触子22Bに連結された導体板66の第1突片661(後述する)と電気的に接続されている(図4参照)。
【0058】
一方のバイメタル50Aに過負荷電流が所定時間以上流れた場合、過負荷電流による温度上昇で変位したバイメタル50Aに押されて引外し板44が反時計回りに回転し(図6参照)、引外し板44によるレバー42のラッチが解除される。その結果、開閉機構4が釈放されて2つの主接点が自動開路される。また、他方のバイメタル50Bに過負荷電流が所定時間以上流れた場合、過負荷電流による温度上昇で変位したバイメタル50Bが連動板45を反時計回りに回転させ(図4参照)、連動板45を介して引外し板44によるレバー42のラッチを解除する。その結果、開閉機構4が釈放されて2つの主接点が自動開路される。
【0059】
(2.7)第2引外し装置
第2引外し装置6は、一方の主接点(固定接点20B、可動接点21B)に短絡電流が流れたとき、及び異常検出装置7によって制御されたときに開閉機構4を釈放して2つの主接点を自動開路させるように構成されている。
【0060】
第2引外し装置6は、固定鉄心60、可動鉄心61、コイルボビン62、コイル63、ばね部材64、一対の端子ピン651、652、及び導体板66を有している(図7及び図8参照)。
【0061】
固定鉄心60は、4角形の主片600と、主片600の両端から下向きに突出する一対の側片601と、を有して、ケイ素鋼板などの磁性材料によってU字状に形成されている。主片600の上面における両端には、それぞれ凹部602が1つずつ設けられている。
【0062】
可動鉄心61は、固定鉄心60と同じ磁性材料によって4角形の平板状に形成されている。可動鉄心61の上面に2つの突起610が設けられている。
【0063】
ばね部材64は、中央片640と、一対の側片641と、連結片642と、有している。ただし、中央片640、一対の側片641、及び連結片642は、薄い金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。
【0064】
中央片640は、長方形の平板状に形成されている。中央片640の先端(左端)に2つの穴6400が設けられている。連結片642は、中央片640よりも前後方向の長さが長い帯状に形成され、中央片640の長手方向の一端(右端)から下向きに突出している。一対の側片641は、それぞれ4角形の平板状に形成されている。一対の側片641は、連結片642の長手方向(前後方向)の両端から左方及び上方に突出している。各側片641の上端に係止片6410が設けられている。
【0065】
ばね部材64の中央片640は、2つの穴6400に挿入される突起610がかしめられることにより、可動鉄心61と結合される。ばね部材64の一対の側片641は、固定鉄心60の一対の側片601の外側面に沿うように配置され、各側片641の上端の係止片6410を、固定鉄心60の各側片601の凹部602に係止させて固定鉄心60と結合される(図7参照)。このとき、固定鉄心60の各側片601の先端(下端)の磁極が可動鉄心61と上下方向に対向する。
【0066】
導体板66は、U字状の主片660と、主片660の上部の先端から上向きに突出する第1突片661と、主片660の中央部から前方へ突出する第2突片662と、主片660の下部の前端から前方へ突出する第3突片663と、を有している。なお、主片660、第1突片661、第2突片662、及び第3突片663は、銅又は銅合金などの金属製の板材が曲げ加工されることで一体に形成されている。
【0067】
ここで、第1突片661は、一端がバイメタル50Bの中間部に接続された編組線23Bの他端と電気的に接続される(図4参照)。また、第3突片663は、可動接触子22Bの右端部と機械的かつ電気的に接続される(図8参照)。
【0068】
コイルボビン62は、U字形の本体620と、本体620の両端(前端及び後端)から外向きに突出する一対のフランジ部621と、各フランジ部621の上部の先端(左端)から上向きに突出する一対の突部622と、一対の嵌合片624と、を有する。なお、本体620、一対のフランジ部621、一対の突部622、及び一対の嵌合片624は、電気絶縁性を有する合成樹脂成形体として一体に形成されている。
【0069】
一対の突部622はそれぞれ、前後方向に貫通する角穴623を有している。これらの角穴623には、一対のL字形の端子ピン651、652の端部がそれぞれ1つずつ挿入される。つまり、一対の突部622はそれぞれ、端子ピン651、652を保持している(図7参照)。
【0070】
一対の嵌合片624は、長尺の角柱状に形成されている。これら一対の嵌合片624は、一対のフランジ部621の上面における右端から外向きに突出している(図8参照)。
【0071】
コイル63は、固定鉄心60の主片600を内側に収容したコイルボビン62の本体620に巻回されている(図7参照)。コイル63の2つの端末630は、コイルボビン62の一対の突部622に1つずつ保持されている端子ピン651、652に電気的に接続されている(図7参照)。
【0072】
ここで、コイル63が巻回されたコイルボビン62と可動鉄心61の間に、導体板66の主片660の上部が挟み込まれている。したがって、第1突片661と可動接触子22Bの間に流れる電流によって、固定鉄心60と可動鉄心61を通る磁束が発生する。そして、短絡電流のような非常に大きな電流が流れた場合、固定鉄心60の一対の側片601と可動鉄心61の間にはたらく電磁吸引力がばね部材64の中央片640のばね力を上回り、可動鉄心61が固定鉄心60に吸着される。このとき、可動鉄心61の自由端(左端)が、開閉機構4の連動板45の右端部を上向きに押して連動板45を回転させ、連動板45を介して引外し板44によるレバー42のラッチを解除する(図4参照)。その結果、開閉機構4が釈放されて2つの主接点が自動開路される。
【0073】
(2.8)異常検出装置
(2.8.1)異常検出装置の回路構成
図9に異常検出装置7の回路構成を示す。異常検出装置7は、第1回路7Aと、第2回路7Bと、第3回路7Cと、を有している。
【0074】
第2回路7Bは、電源回路Ct3とヒューズF1を有している。電源回路Ct3は、2つの主接点を介して電力系統AC1から供給される100V又は200Vの交流電圧を、数十Vの交流電圧に降圧するように構成される。電源回路Ct3は、降圧した交流電圧を第1回路7Aに給電する。ヒューズF1は、電源回路Ct3に流れる電流の大きさが一定時間を超えて上限値を上回ったときに溶断して電源回路Ct3を保護する。また、ヒューズF1と電源回路Ct3との接続点は第3回路7Cのスイッチング素子SW1に接続されている。つまり、第2回路7Bは、電力系統AC1から供給される交流電圧をヒューズF1を介して第3回路7Cに給電する。
【0075】
第1回路7Aは、処理回路Ct1と、交直変換回路Ct2と、2つのLED(第1LED714、第2LED715)と、を有している。
【0076】
交直変換回路Ct2は、第2回路7Bの電源回路Ct3から出力される数十Vの交流電圧を数Vの直流電圧に変換するように構成される。交直変換回路Ct2から出力される直流電圧は、制御電圧Vccとして処理回路Ct1に給電される。
【0077】
処理回路Ct1は、第3回路7Cに制御信号を送信する。処理回路Ct1は、マイクロコントローラを主構成要素とする。処理回路Ct1は、主接点に流れる交流電流の高周波成分を検出する。処理回路Ct1は、検出した高周波成分から、主接点が電気的に接続される配線に異常が生じているか否を判定する。ここで、主接点が電気的に接続される配線に報じる異常は、例えば、アークの発生(アーク故障)を含む。本開示における「アーク故障」は、配線に用いられる被覆電線における絶縁体の絶縁劣化又は半断線等の異常によって発生し得る。本開示でいう「半断線」は、配線の導体が部分的に断線している状態を意味し、例えば、導体がより線であれば、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。アーク故障は、一例として、配線が2心の被覆電線で構成される場合に、一対の導体が短絡することでアーク放電(いわゆるパラレルアーク放電)が発生することを含み得る。また、アーク故障は、別の一例として、配線が2心の被覆電線で構成される場合に、一対の導体のうちの一方の導体が半断線することでアーク放電(いわゆるシリーズアーク放電)が発生することを含み得る。なお、パラレルアーク放電によって配線に流れる電流の大きさは数十~数百A程度であるのに対して、シリーズアーク放電によって配線に流れる電流の大きさは数A~30A程度である。つまり、処理回路Ct1は、検出した高周波成分が、シリーズアーク放電の発生時の特徴を有するか否か、及びパラレルアーク放電の発生時の特徴を有するか否かを判定する。処理回路Ct1は、検出した高周波成分がシリーズアーク放電の発生時の特徴又はパラレルアーク放電の発生時の特徴を有していると判定することによって、第1端子部3Aに電気的に接続されている配線(分岐配線)のアーク故障を検出する。ただし、処理回路Ct1がアーク故障を検出する検出方法は、上述した検出方法に限定されず、例えば、主接点に流れる電流値をしきい値と比較することでアーク放電の発生の有無を判定してアーク故障を検出するような検出方法でもよい。処理回路Ct1は、第1端子部3Aに電気的に接続されている分岐配線のアーク故障を検出した場合に、第3回路7Cに制御信号を送信する。なお、処理回路Ct1は、漏電故障、中性線欠相故障等を検出してもよい。漏電故障とは、絶縁不良などに起因して、規定値を超える漏電電流が配線から大地に流れる状態である。また、中性線欠相故障とは、単相3線式回路において中性線が何らかの原因で欠相し、電圧側線と中性線の間に接続されている100Vの負荷機器に対して100Vを超過する電圧が印加されてしまう状態である。
【0078】
2つのLEDは、例えば緑色のLEDである第1LED714と、例えば赤色のLEDである第2LED715である。これら2つのLEDは、いずれも処理回路Ct1によって駆動される。第1LED714は、処理回路Ct1がアーク故障などの異常を検出していないときに駆動されて緑色光を放射する。一方、第2LED715は、処理回路Ct1がアーク故障などの異常を検出したときに駆動されて赤色光を放射する。つまり、異常検出装置7は、第1LED714から緑色光を放射することで異常が生じていないことを報知し、第2LED715から赤色光を放射することで異常が生じていることを報知することができる。
【0079】
第3回路7Cは、スイッチング素子SW1を有している。スイッチング素子SW1は、例えば、サイリスタのような半導体スイッチング素子が好ましい。ただし、スイッチング素子SW1は、電磁リレーであっても構わない。
【0080】
スイッチング素子SW1は、第1回路7Aの処理回路Ct1によってオン・オフされる。具体的には、スイッチング素子SW1は、処理回路Ct1からの制御信号に基づいてオン・オフされ、第2引外し装置6を動作させる。スイッチング素子SW1は、第2引外し装置6のコイル63と電気的に直列接続される。スイッチング素子SW1がオンされたときにコイル63に励磁電流が流れて第2引外し装置6が引外し動作を行い、スイッチング素子SW1がオフされているときはコイル63に励磁電流が流れずに第2引外し装置6が引外し動作を行わない。つまり、第1回路7Aの処理回路Ct1は、第3回路7Cのスイッチング素子SW1をオン・オフすることによって、第2引外し装置6の引外し動作を制御することができる。
【0081】
(2.8.2)異常検出装置の構造
異常検出装置7は、第1回路基板71、第2回路基板72、第3回路基板73、導光部材75及び電源接続板76を有している(図3及び図5参照)。
【0082】
第1回路基板71、第2回路基板72、及び第3回路基板73はそれぞれリジッドプリント配線板で構成されている。
【0083】
第1回路基板71には、第1回路7Aを構成する回路素子(処理回路Ct1、交直変換回路Ct2など)が実装されている。また、図示しないが、第1回路基板71の上部には、第1LED714と第2LED715が前後方向に並ぶように実装されている。第2回路基板72には、第2回路7Bを構成する回路素子(電源回路Ct3、ヒューズF1など)が実装されている。第3回路基板73には、第3回路7Cを構成する回路素子(スイッチング素子SW1など)が実装されている。
【0084】
まず、第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73の機械的な接続状態について以下に説明する。
【0085】
図10図13に示すように、第1回路基板71の後部には、前方に向けて切り欠かれた嵌込溝711が設けられる。また、第3回路基板73の右方には上下方向の幅が第3回路基板73の他の部分よりも狭い嵌込部731が設けられている。嵌込部731は、第3回路基板73の左方の上側に嵌込溝732を設けることによって形成される。なお、図10図13においては第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73の各々に実装された回路素子、可動接触子22B及びコイル63については図示を省略している。
【0086】
第1回路基板71は、嵌込溝711に嵌込部731が嵌め込まれることにより、第3回路基板73と機械的に接続されている。このとき、第1回路基板71の嵌込溝711の上側の部位(突出部712)は嵌込溝732に嵌め込まれる。
【0087】
第1回路基板71は第3回路基板73と機械的に接続した状態において、第3回路基板73と交差している。本実施形態では、上下方向から見て、第1回路基板71は第3回路基板73と機械的に接続した状態において、第3回路基板73と例えば直交している。なお、ここでいう「直交」とは、2者が厳密に直交する場合に加えて、2者間の角度が90度を基準に数度(例えば5度未満)程度の範囲に収まる関係にあることをいう。
【0088】
また、第2回路基板72の後方には、前方に向けて切り欠かれた嵌込溝721が設けられている。また、第3回路基板73の左方には上下方向の幅が第3回路基板73の他の部分よりも狭い嵌込部733が設けられている。嵌込部733は、第3回路基板73の左方の上側に嵌込溝734を設け、第3回路基板73の左方の下側に嵌込溝735を設けることによって形成される。
【0089】
第2回路基板72は、嵌込溝721に嵌込部733が嵌め込まれることにより、第3回路基板73と機械的に接続されている。このとき、第2回路基板72における嵌込溝721の上側の部位(突出部722)は嵌込溝734に嵌め込まれ、第2回路基板72における嵌込溝721の下側の部位(突出部723)は嵌込溝735に嵌め込まれる。
【0090】
第2回路基板72は第3回路基板73と機械的に接続した状態において、第3回路基板73と交差している。本実施形態では、上下方向から見て、第2回路基板72は第3回路基板73と機械的に接続した状態において、第3回路基板73と例えば直交している。
【0091】
このように、第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73は上下方向から見た場合に、第1回路基板71と第2回路基板72とが対向したU字形状となるように機械的に接続されている。ここで、接続された第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73のU字形状の内側に各基板の回路素子を配置することで、省スペース化を図ることができる。
【0092】
ここで、第1回路基板71、第2回路基板72、及び第3回路基板73は、器体1内において、第1引外し装置5、第2引外し装置6、及び第2端子部3Bに囲まれた空間に収容される(図3及び図5参照)。このとき、第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73のうち、第2回路基板72が主接点に最も近い位置に配置される。つまり、第2回路基板72と対向する第1回路基板71は主接点と反対側である第2端子部3B側に配置される。これにより、主接点の周辺等で発生するノイズの第1回路基板71(第1回路7A)への影響を低減することができる。
【0093】
次に、第1回路基板71、第2回路基板72及び第3回路基板73の電気的な接続状態について以下に説明する。
【0094】
第1回路基板71は第3回路基板73と電気的に接続される。詳細には、図9に示すように、第1回路基板71上に形成された交直変換回路Ct2の入力端子である端子C8、C9の各々と、第3回路基板73上に形成された端子C1、C2の各々とが電気的に接続される。また、第1回路基板71上に形成された端子C10と、第3回路基板73上に形成された端子C3が電気的に接続される。端子C10は、処理回路Ct1からの制御信号の出力端子である。端子C3は、第3回路7C(スイッチング素子SW1)への制御信号の入力端子である。つまり、処理回路Ct1から出力された制御信号は、端子C10、端子C3及び第3回路基板73上にプリント配線によって形成された信号伝達路Ls1を介してスイッチング素子SW1に入力される。ここで、端子C8、C9の各々と端子C1、C2の各々とは第1回路基板71と第3回路基板73との機械的な接続部G1において電気的に接続され、端子C10と端子C3とは接続部G1において電気的に接続される。第1回路基板71と第3回路基板73との機械的な接続部G1は、図10図13示すように、嵌込部731と嵌込溝711との接触部J1と、突出部712と嵌込溝732との接触部J2と、を含む。例えば、端子C8、C9の各々と端子C1、C2の各々とは、接続部G1においてはんだ接合されることで電気的に接続される。また、端子C10と端子C3とは、接続部G1においてはんだ接合されることで電気的に接続される。
【0095】
また、第2回路基板72は第3回路基板73と電気的に接続される。詳細には、図9に示すように、第2回路基板72上に形成された電源回路Ct3の出力端子である端子C11、C12の各々と、第3回路基板73上に形成された端子C4、C5の各々とが電気的に接続される。また、第2回路基板72上に形成された端子C13、C14の各々と、第3回路基板73上に形成された端子C6、C7の各々が電気的に接続される。端子C6と端子C7との間にスイッチング素子SW1が接続され、スイッチング素子SW1がオンの場合に端子C6と端子C7は導通状態となり、スイッチング素子SW1がオフの場合に端子C6と端子C7は遮断状態となる。端子C13は、第2回路基板72上にプリント配線によって形成された第2給電路Le2によって、ヒューズF1と電源回路Ct3との接続点と電気的に接続されている。端子C14は、後述する第2回路基板72の表面におけるスルーホールH1の周囲に形成されたランドである端子C15に電気的に接続されている。ここで、端子C11、C12の各々と端子C4、C5の各々とは第2回路基板72と第3回路基板73との機械的な接続部G2において電気的に接続され、端子C13、C14の各々と端子C6、C7の各々とは機械的な接続部G2において電気的に接続される。接続部G2は、図10図13に示すように、嵌込部733と嵌込溝721との接触部J3と、突出部722と嵌込溝734との接触部J4と、突出部723と嵌込溝735との接触部J5と、を含む。例えば、端子C11、C12の各々と端子C4、C5の各々とは、接続部G2においてはんだ接合されることで電気的に接続される。また、端子C13、C14の各々と端子C6、C7の各々とは、接続部G2においてはんだ接合されることで電気的に接続される。
【0096】
端子C1と端子C4とは、プリント配線によって第3回路基板73上に配置(形成)された配線S1によって電気的に接続されている。また、端子C2と端子C5とは、プリント配線によって第3回路基板73上に配置(形成)された配線S2によって電気的に接続されている。これにより、電源回路Ct3の出力端子である端子C11、C12から出力される交流電圧は配線S1、S2を介して交直変換回路Ct2の入力端子である端子C8、C9に入力される。つまり、第3回路基板73上に配置される配線S1及び配線S2は、第2回路7Bから第1回路7Aへの給電路Le1を構成する。換言すると、第3回路基板73上には、第2回路7Bから第1回路7Aへの給電路(第1給電路)Le1が配置される。このため、回路遮断器A1は、第2回路7Bと第1回路7Aとが電線で接続される場合に比べて、断線の可能性を低下させ、かつ、器体1内の占有スペースの削減を図ることができる。ここで、第1給電路Le1、第2給電路Le2及び信号伝達路Ls1は第3回路基板73上の同一面に配置されてもよいし、給電路(第1給電路Le1及び第2給電路Le2)と信号伝達路Ls1とが第3回路基板73の表面と裏面にそれぞれ配置されてもよい。
【0097】
第2回路基板72上に形成された端子C17は、バイメタル50A、可動接点21A及び可動接触子22Aを介して、第1刃受ばね31Bと電気的に接続されている。また、第2回路基板72上に形成された端子C18は、バイメタル50B、可動接点21B及び可動接触子22Bを介して、第2刃受ばね32Bと電気的に接続されている。つまり、端子C17、C18には、電力系統AC1から交流電圧が供給される。端子C17、C18は電源回路Ct3に電気的に接続される。また第2回路基板72上に形成された端子C19は、電源接続板76(図4参照)及び電源接続板76と接触する可動接触子22Bを介して、第2刃受ばね32Bと電気的に接続される。つまり端子C19は、端子C18と電気的に接続される。
【0098】
図10及び図11に示すように、第2回路基板72の下部には、前後方向に並んだ2つのスルーホールH1、H2が貫通している。スルーホールH1には、第2引外し装置6の後方の端子ピン651の端部が挿通される。スルーホールH1に挿通された端子ピン651の端部は、図9に示すように、第2回路基板72の表面におけるスルーホールH1の周囲に形成されたランドである端子C15とはんだ接合される。端子C15は、第2回路基板72上に形成されたプリント配線によって端子C14と電気的に接続される。また、スルーホールH2には、第2引外し装置6の前方の端子ピン652の端部が挿通される。スルーホールH2に挿通された端子ピン652の端部は、図9に示すように、第2回路基板72の表面におけるスルーホールH2の周囲に形成されたランドである端子C16とはんだ接合される。端子C16は、第2回路基板72上に形成されたプリント配線によって端子C19と電気的に接続される。このように、第2回路基板72は、第2引外し装置6と機械的かつ電気的に接続される。これにより、第1回路基板71と第2引外し装置6との接続距離を長く保つことができ、第2引外し装置6で発生するノイズの第1回路基板71(第1回路7A)への影響を低減することができる。
【0099】
電源接続板76は、図4に示すように、ベース板760と、ベース板760の端部から後方に延伸する接続片と、ベース板760の端部から斜め上方に曲げ起こされた接触片762とを有する。ただし、ベース板760、接続片、及び接触片762は、1枚の金属板が曲げ加工されて一体に形成されている。また、接続片は、図示しない電線によって第2回路基板72(第2回路7B)と電気的に接続される。詳細には、接続片は、第2回路基板72上に形成された端子C19に接続される。
【0100】
電源接続板76は、可動接触子22Bの中央部の下に配置される(図4参照)。そして、開閉機構4によって可動接点21Bが固定接点20Bと接続されているとき、開閉機構4のクロスバー41によって下向きに撓められた可動接触子22Bが電源接続板76の接触片762に接触する(図4参照)。つまり、電源接続板76は、主接点(固定接点20Bと可動接点21B)が閉じているときに、可動接触子22B及び主接点を介して第2刃受ばね32Bと電気的に接続される。すなわち、電源接続板76は、主接点(固定接点20Bと可動接点21B)が閉じているときに、可動接触子22B及び主接点を介して、電力系統AC1と電気的に接続される。
【0101】
導光部材75は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂で形成されている。導光部材75は、第1導光部751、第2導光部752、を有している(図3参照)。第1導光部751の先端面(下端面)は、第1LED714及び第2LED715と対向しており、第1LED714及び第2LED715から放射される光の入射面となる。第1LED714及び第2LED715から放射された光は、第1導光部751によって導光され、第2導光部752から出射される。ここで、第2導光部752から出射された光は貫通穴14から器体1の外部に出射される。
【0102】
(2.8.3)異常検出装置の動作
以下に、異常検出装置7の動作を説明する。なお、以下の説明においては、初期状態として、2つの主接点がともに閉状態となっており、処理回路Ct1がアーク故障を検出していない場合を想定する。つまり、初期状態において、電源接続板76は、可動接触子22B及び主接点を介して電力系統AC1と電気的に接続され、電源接続板76と接続される端子C19(図9参照)は電力系統AC1と電気的に接続される。
【0103】
初期状態において、第2回路7Bは第3回路基板73上に形成された第1給電路Le1を介して第1回路7Aに給電している。また、第2回路7Bは第2回路基板72上に形成された第2給電路Le2を介して第3回路7C(スイッチング素子SW1)に給電している。ここで、初期状態においては処理回路Ct1がアーク故障を検出していないため、スイッチング素子SW1はオフになっている。つまり、初期状態においては第2引外し装置6に励磁電流が流れない。
【0104】
処理回路Ct1はアーク故障を検出すると、スイッチング素子SW1に制御信号を送信する。
【0105】
スイッチング素子SW1は処理回路Ct1から受信した制御信号に基づいてオフからオンに切り替わる。スイッチング素子SW1がオンになると、電力系統AC1から第2引外し装置6に給電され、第2引外し装置6に励磁電流が流れる。
【0106】
第2引外し装置6は、コイル61に励磁電流が流れると開閉機構4を釈放して2つの主接点を開状態とする。
【0107】
2つの主接点が開状態となると、電源接続板76と可動接触子22Bとが非接触状態となるため、端子C19は電力系統AC1から遮断され、第2引外し装置6には励磁電流が流れなくなる。
【0108】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0109】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0110】
(3.1)変形例1
本変形例1は、第2回路7Bから第1回路7Aへの給電路である第1給電路Le1が、第2回路7Bから第3回路7Cへの第2給電路Le2の一部を兼ねる点で上記実施形態と相違する。以下、実施形態と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0111】
具体的には、本変形例1では、図15に示すように、第1給電路Le1に含まれる配線S1上の中間点P1から第3回路7C(スイッチング素子SW1)に接続される配線S3が分岐している。つまり、本変形例1では、第2回路7Bから第3回路7Cへの第2給電路Le2は、配線S1上の端子C4から中間点P1までの区間と、配線S3を含む。配線S3は例えばプリント配線によって配線S1と一体に形成される。このように、第1給電路Le1と第2給電路Le2とを一部共通化することによって、第3回路基板73上の基板面積を縮小することができる。
【0112】
(3.2)変形例2
本変形例2は、電気絶縁性を有し、第2回路基板72と第1回路基板71とを離間させるスペーサ部材SP1を更に備え、第2回路7Bから第1回路7Aへの第1給電路Le1は、スペーサ部材SP1の内部に配置される点で、上記実施形態及び変形例1と相違する。
【0113】
スペーサ部材SP1は、図16に示すように、電気絶縁性を有する材料(例えば樹脂材料)で形成される角筒状の部材である。スペーサ部材SP1は、互いに対向する第1回路基板71と第2回路基板72との間の空間に設置される。スペーサ部材SP1の角筒の軸方向における一端は、第1回路基板71に固定されており、スペーサ部材SP1の角筒の軸方向における他端は第2回路基板72に固定されている。つまり、第1回路基板71と第2回路基板72とはスペーサ部材SP1を間に挟んだ状態で離間している。
【0114】
ここで、本変形例2では、図17に示すように、第1回路基板71及び第2回路基板72に固定されたスペーサ部材SP1の内部(角筒形状の内部)に第1給電路Le1である配線S1及び配線S2が配置される。この場合、配線S1及び配線S2は例えばピン等の剛体によって形成される。これらにより、第1回路基板71と第2回路基板72との離間と、第1給電路Le1の外部との絶縁とをスペーサ部材SP1によって実現できるため、部品点数を削減することができる。
【0115】
(3.3)その他の変形例
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0116】
本開示における処理回路Ct1はコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理回路Ct1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field- Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0117】
(4)まとめ
以上述べたように、第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、1以上の主接点と、主接点を開閉する開閉機構(4)と、開閉機構(4)を釈放して主接点を自動開路させる引外し装置(6)と、異常検出装置(7)と、を備える。異常検出装置(7)は、主接点が電気的に接続される配線に異常が生じていることを検出したときに主接点を自動開路させるように引外し装置(6)を動作させる。異常検出装置(7)は、第1回路基板(71)、第2回路基板(72)、及び第3回路基板(73)を含む3つ以上の回路基板を有する。第1回路基板(71)は、第3回路基板(73)と機械的かつ電気的に接続される。第2回路基板(72)は、第3回路基板(73)と機械的かつ電気的に接続される。
【0118】
この態様によれば、第1回路基板(71)と第2回路基板(72)とを配線によって電気的に接続する必要がないため組立性の向上を図ることができる。また、第1回路基板(71)と第2回路基板(72)とが第3回路基板(73)を介して機械的に固定されるため、安定性の向上を図ることができる。
【0119】
第2の態様に係る回路遮断器(A1)では、第1の態様において、第1回路基板(71)は、第3回路基板(73)と交差し、第2回路基板(72)は、第3回路基板(73)と交差する。
【0120】
この態様によれば、第1回路基板(71)と、第2回路基板(72)と、第3回路基板(73)とによって形成される空間に各基板に実装される回路素子を配置することによって、省スペース化を図ることができる。
【0121】
第3の態様に係る回路遮断器(A1)では、第2の態様において、第1回路基板(71)は、第3回路基板(73)と直交し、第2回路基板(72)は、第3回路基板(73)と直交する。
【0122】
この態様によれば、第1回路基板(71)と、第2回路基板(72)と、第3回路基板(73)とによって形成される空間に各基板に実装される回路素子を配置することによって、省スペース化を図ることができる。
【0123】
第4の態様に係る回路遮断器(A1)では、第1の態様において、第1回路基板(71)は、第3回路基板(73)に制御信号を送信する第1回路(7A)を有する。第3回路基板(73)は、第1回路(7A)からの制御信号に基づいて、引外し装置(6)を動作させる第3回路(7C)を有する。第2回路基板(72)は、第1回路(7A)及び第3回路(7C)に給電する第2回路(7B)を有する。
【0124】
この態様によれば、引外し装置(6)を自動で動作させることができる。
【0125】
第5の態様に係る回路遮断器(A1)では、第4の態様において、第1回路(7A)は、異常を検出した場合に、第3回路(7C)に制御信号を送信する。
【0126】
この態様によれば、異常を検出した場合に、引外し装置(6)を自動で動作させることができる。
【0127】
第6の態様に係る回路遮断器(A1)では、第1の態様において、第1回路(7A)が検出する異常は、配線におけるアークの発生を含む。
【0128】
この態様によれば、アークの発生を検出した場合に、引外し装置(6)を自動で動作させることができる。
【0129】
第7の態様に係る回路遮断器(A1)では、第4の態様において、第2回路(7B)から第1回路(7A)への給電路(Le1)は、第3回路基板(73)上に配置される。
【0130】
この態様によれば、第2回路(7B)と第3回路(7C)が電線で接続される場合に比べて、断線の可能性を低下させ、かつ、省スペース化を図ることができる。
【0131】
第8の態様に係る回路遮断器(A1)では、第7の態様において、給電路(Le1)である第1給電路(Le1)は、第2回路(7B)から第3回路(7C)への第2給電路(Le2)の一部を兼ねる。
【0132】
この態様によれば、第3回路基板(73)上の基板面積を縮小することができる。
【0133】
第9の態様に係る回路遮断器(A1)は、第4の態様において、電気絶縁性を有し、第2回路基板(72)と第1回路基板(71)とを離間させるスペーサ部材(SP1)を更に備える。第2回路(7B)から第1回路(7A)への給電路(Le1)は、スペーサ部材(SP1)の内部に配置される。
【0134】
この態様によれば、第1回路基板(71)と第2回路基板(72)との離間と、給電路(Le1)の外部との絶縁とをスペーサ部材(SP1)によって実現できるため、部品点数を削減することができる。
【0135】
第10の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1の態様において、主接点、開閉機構(4)、引外し装置(6)及び異常検出装置(7)を収容する器体(1)を更に備える。器体(1)内において、第1回路基板(71)、第2回路基板(72)及び第3回路基板(73)のうち、第2回路基板(72)が主接点に最も近い位置に配置される。
【0136】
この態様によれば、主接点の周辺等で発生するノイズの第1回路基板(71)への影響を低減することができる。
【0137】
第11の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1の態様において、第2回路基板(72)は、引外し装置(6)と機械的かつ電気的に接続される。
【0138】
この態様によれば、第1回路基板(71)と引外し装置(6)との接続距離を長く保つことができ、引外し装置(6)で発生するノイズの第1回路基板(71)への影響を低減することができる。
【0139】
第12の態様に係る分電盤(B1)は、主開閉器(B10)と、複数の分岐開閉器(B11)と、主開閉器(B10)及び複数の分岐開閉器(B11)を収容するキャビネット(B12)と、を備える。主開閉器(B10)及び複数の分岐開閉器(B11)の少なくとも1つが、第1の態様の回路遮断器(A1)である。
【0140】
この態様によれば、組立性の向上を図ることができる。
【0141】
なお、第2~第11の態様は回路遮断器(A1)に必須の構成ではなく、適宜省略が可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 器体
4 開閉機構
6 第2引外し装置
7 異常検出装置
71 第1回路基板
72 第2回路基板
73 第3回路基板
7A 第1回路
7B 第2回路
7C 第3回路
A1 回路遮断器
B1 分電盤
B10 主開閉器
B11 分岐開閉器
B12 キャビネット
Le1 第1給電路
Le2 第2給電路
SP1 スペーサ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17