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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003354
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H01L21/88 J
H01L21/88 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102436
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】水垣 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 知之
(72)【発明者】
【氏名】松澤 勇介
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH23
5F033JJ01
5F033JJ07
5F033JJ08
5F033JJ11
5F033JJ23
5F033KK08
5F033MM30
5F033NN06
5F033NN07
5F033NN32
5F033PP15
5F033PP19
5F033PP26
5F033PP27
5F033PP28
5F033QQ07
5F033QQ09
5F033QQ11
5F033QQ19
5F033QQ28
5F033QQ34
5F033RR04
5F033RR21
5F033RR22
5F033RR27
5F033SS08
5F033SS11
5F033SS21
5F033XX12
(57)【要約】
【課題】電極パッドと貫通電極との電気的接続を安定させ、半導体装置の歩留まりを向上させる製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1面から第2面まで貫通する第1貫通孔を形成し、半導体基板の第1面および第1貫通孔の側面に第2絶縁膜を形成し、半導体基板の第1面から第1貫通孔の側面における第1面側の端部に亘って第2絶縁膜の表面にレジストを配置し、レジストをマスクとして第2絶縁膜をウェットエッチングし、半導体基板の第1面および第1貫通孔の側面を有機絶縁膜で覆い、有機絶縁膜の表面に第2導電膜を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と第2面とを有する半導体基板の前記第2面に第1絶縁膜と第1導電膜とをこの順で配置することと、
前記半導体基板の前記第1面から前記第2面まで貫通する第1貫通孔を形成し、前記第2面に配置される前記第1絶縁膜を前記第1貫通孔から露出することと、
前記半導体基板の前記第1面、および前記第1貫通孔の側面に、第2絶縁膜を形成することと、
前記半導体基板の前記第1面から前記第1貫通孔の前記側面における前記第1面側の端部に亘って、前記第2絶縁膜の表面にレジストを配置することと、
前記レジストをマスクとして、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜をウェットエッチングし、前記第1絶縁膜に前記第1貫通孔に連続する第2貫通孔を形成することと、
前記半導体基板の前記第1面、前記第1貫通孔の前記側面、前記第2貫通孔の側面、および前記第2貫通孔から露出する前記第1導電膜の表面を有機絶縁膜で覆うことと、
前記有機絶縁膜に前記第1導電膜を露出する開口を形成することと、
前記有機絶縁膜の表面、および前記有機絶縁膜に形成される前記開口から露出する前記第1導電膜の前記表面に、第2導電膜を形成することと、を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記有機絶縁膜に前記第1導電膜を露出する前記開口を形成することは、前記第1貫通孔の内側において、前記有機絶縁膜の前記表面を前記第1面から前記第2面に向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状に形成すること、を含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記有機絶縁膜は、ポジ型感光性樹脂により形成され、
前記有機絶縁膜に前記第1導電膜を露出する前記開口を形成することは、前記半導体基板の前記第1面側から、前記有機絶縁膜の前記開口に対応する部分を露光および現像し、前記開口を形成すること、を含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2導電膜によって囲まれる凹部を金属材料で埋設すること、を含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2導電膜の表面に第3導電膜を配置すること、を含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一主面から一主面とは反対側の他の主面までを貫通する貫通孔を有するシリコン基板と、貫通孔の側面に設けられるCVD酸化膜と、CVD酸化膜上に設けられる有機絶縁膜と、貫通孔の底部に露出するAl膜と、有機絶縁膜上に設けられ、Al膜に接続されるシリコン貫通電極と、を備える半導体装置の製造方法が開示されている。Al膜は、半導体装置を接続するためのデバイスパッドなどとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-113466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置の製造方法では、貫通孔の側面に設けられるCVD酸化膜は、貫通孔の底部に向かうにしたがって膜厚が薄くなる傾向がある。なお、この傾向は、貫通孔のアスペクト比が大きくなるにしたがって顕著になる。また、アスペクト比が大きな貫通孔を形成するためには、ボッシュ法が用いられる。ボッシュ法を用いて貫通孔を形成すると、貫通孔の側面にスキャロップが形成されるため、貫通孔の側面に設けられるCVD酸化膜は、膜厚が不均一になり易い。これらに起因して、貫通孔の側面に設けられるCVD酸化膜は、貫通孔の底部に向かうにしたがって、貫通孔の側面との密着性が低下する傾向がある。貫通孔の底部に近い側面に設けられるCVD酸化膜は貫通孔の側面との密着性が低下しているため、半導体装置の製造工程の途中でCVD酸化膜が脱落し、貫通孔の底部に露出するAl膜に付着するおそれがある。
Al膜にCVD酸化膜が脱落すると、Al膜とシリコン貫通電極との電気的な接続が不安定となり、半導体装置の歩留まりが低下するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
半導体装置の製造方法は、第1面と第2面とを有する半導体基板の前記第2面に第1絶縁膜と第1導電膜とをこの順で配置することと、前記半導体基板の前記第1面から前記第2面まで貫通する第1貫通孔を形成し、前記第2面に配置される前記第1絶縁膜を前記第1貫通孔から露出することと、前記半導体基板の前記第1面、および前記第1貫通孔の側面に、第2絶縁膜を形成することと、前記半導体基板の前記第1面から前記第1貫通孔の前記側面における前記第1面側の端部に亘って、前記第2絶縁膜の表面にレジストを配置することと、前記レジストをマスクとして、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜をウェットエッチングし、前記第1絶縁膜に前記第1貫通孔に連続する第2貫通孔を形成することと、前記半導体基板の前記第1面、前記第1貫通孔の前記側面、前記第2貫通孔の側面、および前記第2貫通孔から露出する前記第1導電膜の表面を有機絶縁膜で覆うことと、前記有機絶縁膜に前記第1導電膜を露出する開口を形成することと、前記有機絶縁膜の表面、および前記有機絶縁膜に形成される前記開口から露出する前記第1導電膜の前記表面に、第2導電膜を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る半導体装置の断面図。
図2】実施形態1に係る半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャート。
図3】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図4】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図5図4中のD部の拡大断面図。
図6】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図7図6中のE部の拡大断面図。
図8】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図9】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図10】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図11】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図12】半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
図13図12中のG部の拡大断面図。
図14】実施形態2に係る半導体装置の断面図。
図15】実施形態3に係る半導体装置の断面図。
図16】実施形態4に係る半導体装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.実施形態1
実施形態1に係る半導体装置1について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、半導体装置1は、半導体基板2と、第1絶縁膜4と、第1導電膜6と、第2絶縁膜8と、有機絶縁膜10と、第2導電膜12と、を有する。
【0008】
半導体基板2は、第1面としての上面2Aと、上面2Aとは互いに表裏関係にある第2面としての下面2Bと、を有する。本実施形態では、半導体基板2は、シリコンにより構成される。なお、半導体基板2を構成する材料は、シリコンに限定されない、例えば、半導体基板2は、ゲルマニウムや窒化ガリウムなどにより構成されても構わない。
【0009】
また、半導体基板2は、上面2Aから下面2Bまでを貫通する第1貫通孔21を有する。第1貫通孔21は、半導体基板2の上面2Aに開口する第1開口211と、半導体基板2の下面2Bに開口する第2開口212と、第1開口211と第2開口212と接続する側面213と、を有する。本実施形態では、側面213は、半導体基板2の厚さ方向と平行に形成される。半導体基板2の厚さ方向とは、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かう方向である。
【0010】
また、半導体基板2は、トランジスターなどの能動素子を含む図示しない回路を有する。本実施形態では、この回路は、半導体基板2の下面2Bに設けられる。
【0011】
第1絶縁膜4は、半導体基板2の下面2Bに配置される。第1絶縁膜4は、半導体基板2の下面2Bに設けられる図示しない回路を覆っている。本実施形態では、第1絶縁膜4は、酸化シリコンにより構成される。なお、第1絶縁膜4を構成する材料は、酸化シリコンに限定されない。例えば、第1絶縁膜4は、窒化シリコンなどにより構成されても構わない。
【0012】
また、第1絶縁膜4は、第1絶縁膜4の上面から第1絶縁膜4の下面までを貫通する第2貫通孔41を有する。
第2貫通孔41は、半導体基板2が有する第1貫通孔21と連通する位置に設けられる。詳細には、第2貫通孔41は、第1貫通孔21の下方に位置し、第1貫通孔21と連続して設けられる。
【0013】
第1導電膜6は、第1絶縁膜4の下面に配置される。つまり、第1導電膜6は、第1絶縁膜4を介して、半導体基板2の下面2Bに配置される。換言すると、半導体基板2と、第1絶縁膜4と、第1導電膜6と、はこの順で配置される。
【0014】
詳細には、第1導電膜6は、第1絶縁膜4が有する第2貫通孔41の下方に配置される。第1導電膜6は、第2貫通孔41を介して、半導体基板2が有する第1貫通孔21の第2開口212を覆っている。
【0015】
第1導電膜6は、図示しない配線を介して、半導体基板2の下面2Bに設けられる図示しない回路と電気的に接続される。第1導電膜6は、回路と半導体装置1の外部とを接続するための電極パッドとして用いられる。
【0016】
本実施形態では、第1導電膜6は、アルミニウムにより構成される。なお、第1導電膜6を構成する材料は、アルミニウムに限定されない。例えば、第1導電膜6は、銅などにより構成されても構わない。
【0017】
第2絶縁膜8は、半導体基板2の上面2Aから第1貫通孔21の側面213における上面2A側の端部に亘って配置される。換言すると、第2絶縁膜8は、第1貫通孔21の肩部25を覆うように配置される。肩部25は、半導体基板2の上面2Aと第1貫通孔21の側面213とが交差する角部である。
【0018】
本実施形態では、第2絶縁膜8は、酸化シリコンにより構成される。なお、第2絶縁膜8を構成する材料は、酸化シリコンに限定されない。例えば、第2絶縁膜8は、窒化シリコンなどにより構成されても構わない。
【0019】
有機絶縁膜10は、半導体基板2の上面2Aと、第1貫通孔21の側面213と、第2貫通孔41の側面413と、第1導電膜6の表面である第1導電膜6の上面6Aと、に連続的に配置される。有機絶縁膜10と半導体基板2の上面2Aとの間、および有機絶縁膜10と第1貫通孔21の側面213における上面2A側の端部との間には、第2絶縁膜8が配置される。
【0020】
有機絶縁膜10は、第1導電膜6の上面6Aと接続する面において開口101を有する。
【0021】
また、有機絶縁膜10は、表面111を有する、有機絶縁膜10の表面111は、有機絶縁膜10において、後述する第2導電膜12が配置される面であり、半導体基板2の上面2A、第1貫通孔21の側面213、および第2貫通孔41の側面413にそれぞれ対向する面とは反対側の面である。有機絶縁膜10の表面111は、第1表面112、第2表面113、および第3表面114を有する。第1表面112および第2表面113は、第1貫通孔21の内側における有機絶縁膜10の表面111である。第3表面114は、第1貫通孔21の外側における有機絶縁膜10の表面111である。
第1表面112は、有機絶縁膜10の表面111のうち、有機絶縁膜10の開口101から半導体基板2の上面2A側に向かう領域である。第2表面113は、有機絶縁膜10の表面111のうち、第1表面112の上方に位置し、第1貫通孔21の第1開口211から半導体基板2の下面2B側に向かう領域である。第3表面114は、有機絶縁膜10の表面111のうち、半導体基板2の上面2Aに配置される領域である。
第3表面114は、第2表面113の第1開口211側の端部と、接続している。第2表面113における半導体基板2の下面2B側の端部は、第1表面112における半導体基板2の上面2A側の端部と接続している。第1表面112における開口101側の端部は、第1導電膜6の上面6Aと接続している。
【0022】
本実施形態では、有機絶縁膜10の第1表面112と、第2表面113と、は連続的に接続している。また、有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113は、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状である。つまり、第1貫通孔21の内側における有機絶縁膜10の表面111、すなわち有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113は、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状である。
【0023】
なお、有機絶縁膜10の表面111は、第1貫通孔21の内側において、さらに図示しない中継面を、第1表面112と第2表面113との間に有していても構わない。つまり、第1表面112と第2表面113とは、第1表面112と第2表面113との間に配置される中継面を介して接続されても構わない。なお、中継面は、テーパー形状でなくても構わない。例えば、中継面は、半導体基板2の厚さ方向に平行であっても構わない。
【0024】
本実施形態では、有機絶縁膜10は、エポキシ樹脂により構成される。なお、有機絶縁膜10を構成する樹脂材料は、エポキシ樹脂に限定されない。例えば、有機絶縁膜10は、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などにより構成されても構わない。
【0025】
第2導電膜12は、有機絶縁膜10の表面111と、第1導電膜6の上面6Aと、に配置される。第2導電膜12と、第1導電膜6と、は第1導電膜6の上面6Aにおいて電気的に接続される。
【0026】
詳細には、第2導電膜12は、第1貫通孔21の内側において、有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113と、有機絶縁膜10の開口101から露出する第1導電膜6の上面6Aと、を覆うように配置される。有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113と、第1導電膜6の上面6Aと、が第2導電膜12により覆われることにより、第1貫通孔21の内側において、第2導電膜12によって囲まれる凹部121が形成される。凹部121は、半導体基板2の上面2A側に開口を有する。また、第2導電膜12は、第1貫通孔21の外側において、有機絶縁膜10の第3表面114を覆うように配置される。このようにして、第2導電膜12は、半導体基板2を貫通する貫通電極100として機能する。
【0027】
本実施形態では、第2導電膜12は、図示しないバリア層と、バリア層上に積層される図示しない金属層と、を有する金属膜である。バリア層は、チタンとタングステンの合金により構成される。金属層は、銅により構成される。なお、第2導電膜12を構成する材料は、上述した材料に限定されない。例えば、バリア層は、チタンとニッケルの合金などにより構成されても構わないし、金属層は、アルミニウムなどにより構成されても構わない。また、バリア層は無くても構わない。
【0028】
また、本実施形態では、半導体装置1は、第3絶縁膜14を有する。
第3絶縁膜14は、第1導電膜6を介して、第1絶縁膜4の下面に配置される。本実施形態では、第3絶縁膜14は、酸化シリコンにより構成される。なお、第3絶縁膜14を構成する材料は、酸化シリコンに限定されない。例えば、第3絶縁膜14は、窒化シリコンなどにより構成されても構わない。
【0029】
ここまで、半導体装置1について、説明した。
次に、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法について、図2図13を参照して説明する。図2図13に示す各工程は、例えば、図示しない製造装置によって行われる。
【0030】
図2に示すように、半導体装置1の製造方法は、半導体基板2に第1絶縁膜4と第1導電膜6とを配置する工程S1と、半導体基板2に第1貫通孔21を形成する工程S2と、半導体基板2に第2絶縁膜8を形成する工程S3と、第2絶縁膜8の表面にレジスト53を配置する工程S4と、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8をウェットエッチングする工程S5と、半導体基板2および第1導電膜6を有機絶縁膜10で覆う工程S6と、有機絶縁膜10に開口101を形成する工程S7と、有機絶縁膜10の表面111および第1導電膜6の表面に第2導電膜12を形成する工程S8と、を含む。
【0031】
工程S1は、半導体基板2に第1絶縁膜4と第1導電膜6とを配置する工程である。詳細には、工程S1は、上面2Aと下面2Bとを有する半導体基板2の下面2Bに第1絶縁膜4と第1導電膜6とをこの順で配置する工程である。
【0032】
図3に示すように、工程S1では、半導体基板2の下面2Bには、第1絶縁膜4と第1導電膜6がこの順で配置される。詳細には、半導体基板2の下面2Bには図示しない回路が設けられており、第1絶縁膜4は、この回路を覆うように下面2Bに配置される。そして、第1絶縁膜4を介して、半導体基板2の下面2Bには、第1導電膜6が配置される。
【0033】
また、本実施形態では、第3絶縁膜14が、第1導電膜6を介して、第1絶縁膜4の下面に配置される。
【0034】
上述したように、本実施形態では、半導体基板2はシリコンにより構成され、第1絶縁膜4および第3絶縁膜14は酸化シリコンにより構成され、第1導電膜6はアルミニウムにより構成される。
【0035】
工程S2は、半導体基板2に第1貫通孔21を形成する工程である。詳細には、半導体基板2の上面2Aから下面2Bまで貫通する第1貫通孔21を形成し、下面2Bに配置される第1絶縁膜4を第1貫通孔21から露出する工程である。
【0036】
図4に示すように、工程S2では、半導体基板2にその上面2Aから下面2Bまでを貫通する第1貫通孔21が形成される。第1貫通孔21は、周知のフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いて、半導体基板2に形成される。
【0037】
本実施形態では、まず、半導体基板2の上面2Aに、第1貫通孔21に対応する開口を有する酸化シリコン膜51を形成する。この酸化シリコン膜51をマスクとして用いて、半導体基板2をエッチングすることにより、第1貫通孔21が形成される。なお、第1貫通孔21を形成するためのマスクは、酸化シリコン膜51に限らない。第1貫通孔21を形成するためのマスクは、例えば、第1貫通孔21に対応する開口を有するレジストでも構わない。
【0038】
また、本実施形態では、半導体基板2をドライエッチングすることにより、第1貫通孔21を形成している。詳細には、ボッシュ法を用いて第1貫通孔21を形成している。
ボッシュ法は、エッチングガスによるエッチングを行うエッチング工程と、第1貫通孔21の側面213に保護膜を形成するデポジション工程と、を交互に行う。これにより、ボッシュ法は、アスペクト比の高いエッチングを行うことができる。
【0039】
図5に示すように、ボッシュ法を用いて形成される第1貫通孔21の側面213には、エッチング工程の等方性エッチングに起因して、エッチング工程を実施した回数分のスキャロップ23が形成される。スキャロップ23は、半導体基板2の厚さ方向と交差する平面に沿って、第1貫通孔21の外側に向かって窪む凹部である。
これにより、第1貫通孔21の側面213の表面形状は、複数のスキャロップ23が連続して形成された凹凸形状となる。
【0040】
半導体基板2の上面2Aから下面2Bまで貫通する第1貫通孔21が形成されることにより、半導体基板2の下面2Bに配置される第1絶縁膜4は、第1貫通孔21から露出する。
【0041】
なお、図4および図5では、説明の便宜上、第1貫通孔21を形成するためのマスクとしての酸化シリコン膜51が図示されているが、工程S2では、酸化シリコン膜51は、第1貫通孔21が形成された後、除去される。
【0042】
工程S3は、半導体基板2に第2絶縁膜8を形成する工程である。詳細には、半導体基板2の上面2A、および第1貫通孔21の側面213に、第2絶縁膜8を形成する工程である。
【0043】
図6に示すように、工程S3では、半導体基板2の上面2Aおよび第1貫通孔21の側面213に、第2絶縁膜8が形成される。また、工程S3では、さらに第1貫通孔21から露出する第1絶縁膜4の上面にも、第1貫通孔21の第2開口212を介して第2絶縁膜8が形成される。
【0044】
本実施形態では、第2絶縁膜8は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成される。なお、第2絶縁膜8を形成する方法は、CVD法に限らない。例えば、第2絶縁膜8は、スパッタ法を用いて形成されても構わない。
【0045】
上述したように、本実施形態では、第2絶縁膜8は、酸化シリコンにより構成される。
【0046】
図7に示すように、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8は、側面213の表面形状に沿って形成される。これにより、第2絶縁膜8には、側面213に形成されるスキャロップ23に対応する凹部81が形成され、第2絶縁膜8の表面形状は、複数のスキャロップ23にそれぞれ対応する複数の凹部81が連続して形成された凹凸形状となる。
【0047】
工程S4は、第2絶縁膜8の表面にレジスト53を配置する工程である。詳細には、半導体基板2の上面2Aから第1貫通孔21の側面213における半導体基板2の上面2A側の端部に亘って、第2絶縁膜8の表面にレジスト53を配置する工程である。第2絶縁膜8の表面は、半導体基板2の上面2Aおよび第1貫通孔21の側面213にそれぞれ対向する面とは反対側の面である。
【0048】
工程S4では、まず、レジスト53を第2絶縁膜8の表面に塗布し、次に、第2絶縁膜8の表面に塗布されたレジスト53をパターニングする。
【0049】
図8に示すように、レジスト53は第2絶縁膜8の表面に塗布される。詳細には、半導体基板2の上面2Aに形成される第2絶縁膜8と、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8のうち半導体基板2の上面2A側の端部に配置される第2絶縁膜8と、のそれぞれの表面にレジスト53が塗布される。第1貫通孔21の第1開口211は、レジスト53により塞がれている。本実施形態では、スピンコート法を用いて、レジスト53を第2絶縁膜8に塗布している。
【0050】
次に、第2絶縁膜8に塗布されたレジスト53をパターニングする。レジスト53のパターニングは、周知のフォトリソグラフィー技法を用いて行われる。詳細には、第1貫通孔21の第1開口211を塞ぐように形成されているレジスト53のうち、半導体基板2の厚さ方向から見て第1貫通孔21の中央部に位置する領域55を除去する。これにより、レジスト53は、図9のようになる。
【0051】
図9に示すように、半導体基板2の上面2Aに形成される第2絶縁膜8の表面と、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8のうち半導体基板2の上面2A側の端部に配置される第2絶縁膜8の表面と、にレジスト53が配置される。つまり、半導体基板2の上面2Aから第1貫通孔21の側面213における半導体基板2の上面2A側の端部に亘って、第2絶縁膜8の表面にレジスト53が配置される。換言すると、第1貫通孔21の肩部25を覆うように、レジスト53が配置される。
【0052】
工程S5は、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8をウェットエッチングする工程である。詳細には、レジスト53をマスクとして、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8をウェットエッチングし、第1絶縁膜4に第1貫通孔21に連続する第2貫通孔41を形成する工程である。
【0053】
図10に示すように、工程S5では、まず、レジスト53をマスクとして、第2絶縁膜8がウェットエッチングされる。これにより、第1貫通孔21の内側において、半導体基板2の上面2A側の端部以外に配置される第2絶縁膜8が除去される。ここで、第1貫通孔21の内側において、半導体基板2の上面2A側の端部以外に配置される第2絶縁膜8とは、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8のうち半導体基板2の下面2B側に配置される第2絶縁膜8、および第1貫通孔21の第2開口212を介して第1絶縁膜4の上面に形成される第2絶縁膜8である。
【0054】
第1絶縁膜4の上面に形成される第2絶縁膜8が除去されることにより、第1絶縁膜4は、第1貫通孔21から露出する。本実施形態では、第1絶縁膜4と、第2絶縁膜8と、は酸化シリコンにより構成される。そのため、工程S5では、第1絶縁膜4の上面に形成される第2絶縁膜8とともに、第1貫通孔21から露出する第1絶縁膜4もエッチングされる。このようにして、工程S5では、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8が一括してエッチングされ、第1絶縁膜4に第1貫通孔21に連続する第2貫通孔41が形成される。第2貫通孔41が形成されることにより、第1導電膜6の上面6Aが第2貫通孔41を介して、第1貫通孔21に露出する。
【0055】
また、工程S5では、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8のうち、半導体基板2の下面2B側に配置される第2絶縁膜8は除去されるが、半導体基板2の上面2A側の端部に配置される第2絶縁膜8は除去されない。これにより、半導体基板2の上面2Aから第1貫通孔21の側面213における半導体基板2の上面2A側の端部に亘って、第2絶縁膜8が配置される。
【0056】
ここで、例えば、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8のうち、半導体基板2の下面2B側に配置される第2絶縁膜8が除去されない場合は、従来技術と同様に、半導体装置1の歩留まりが低下するおそれがある。
その理由は、第1貫通孔21の側面213において半導体基板2の下面2B側に配置される第2絶縁膜8は、半導体装置1の製造工程の途中で、側面213から脱落し易いからである。そして、側面213から脱落した第2絶縁膜8が第1貫通孔21に露出する第1導電膜6の上面6Aに付着すると、第1導電膜6と、後述する工程S8において形成される第2導電膜12と、の電気的な接続が不安定となり、半導体装置1の歩留まりが低下する。
しかし、本実施形態では、上述したように、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8のうち、半導体基板2の下面2B側に配置される第2絶縁膜8は除去されるため、第1貫通孔21の側面213からの第2絶縁膜8の脱落が低減する。そのため、第1導電膜6と第2導電膜12との電気的な接続が安定し、半導体装置1の歩留まりが向上する。
【0057】
また、本実施形態では、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8は、ウェットエッチングによってエッチングされる。半導体基板2を枚葉処理するドライエッチングと比べ、複数の半導体基板2を一括してバッチ処理することができるウェットエッチングを用いることにより、半導体装置1を効率的に製造することができる。
【0058】
また、本実施形態では、第1絶縁膜4は、その側面413において、半導体基板2の下面2Bに沿った方向にオーバーエッチングされる。これにより、第1絶縁膜4に形成される第2貫通孔41の開口幅41Dは、第1貫通孔21の下面2B側の開口幅21Dよりも大きくなっている。
【0059】
また、本実施形態では、第1貫通孔21の側面213における半導体基板2の上面2A側の端部に配置される第2絶縁膜8は、その端面83において、側面213に沿って上面2Aに向かう方向にオーバーエッチングされる。
【0060】
このように、工程S5では、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8がそれぞれオーバーエッチングされる。第1絶縁膜4および第2絶縁膜8がそれぞれオーバーエッチングされるようにウェットエッチングのエッチング条件を設定することにより、第1貫通孔21の側面213において半導体基板2の下面2B側に配置される第2絶縁膜8を確実に除去することができる。これにより、半導体装置1の歩留まりがさらに向上する。
【0061】
なお、図10では、説明の便宜上、レジスト53が図示されているが、工程S5では、レジスト53は、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8がエッチングされた後、除去される。
【0062】
工程S6は、半導体基板2および第1導電膜6を有機絶縁膜10で覆う工程である。詳細には、工程S6は、半導体基板2の上面2A、第1貫通孔21の側面213、第2貫通孔41の側面413、および第2貫通孔41から露出する第1導電膜6の上面6Aを有機絶縁膜10で覆う工程である。
【0063】
図11に示すように、半導体基板2の上面2A、第1貫通孔21の側面213、第2貫通孔41の側面413、および第2貫通孔41から露出する第1導電膜6の上面6Aは、有機絶縁膜10により覆われる。詳細には、半導体基板2の上面2Aおよび第1貫通孔21の側面213における半導体基板2の上面2A側の端部は、第2絶縁膜8を介して、有機絶縁膜10により覆われる。
【0064】
工程S6では、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料を含む塗料を被塗工面に塗布することにより、有機絶縁膜10を形成する。被塗工面は、半導体基板2の上面2A、第1貫通孔21の側面213、第2貫通孔41の側面413、および第2貫通孔41から露出する第1導電膜6の上面6Aである。詳細には、工程S6では、まず、被塗工面のプリウェット処理を行い、次に、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料を含む塗料を被塗工面に塗布する。
【0065】
プリウェット処理とは、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料を含む塗料を塗布する前に、この塗料の溶剤などにより被塗工面を濡らす処理である。プリウェット処理により、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料を含む塗料に対する被塗工面の濡れ性は向上する。本実施形態では、プリウェット処理は、まず、被塗工面に紫外線を照射することにより被塗工面の活性化を行い、次に、被塗工面に溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを塗布することにより行われる。
【0066】
プリウェット処理が終了すると、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料を含む塗料を被塗工面に塗布する。本実施形態では、スピンコート法を用いて、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料を含む塗料を、半導体基板2の上面2A、第1貫通孔21の側面213、第2貫通孔41の側面413、および第2貫通孔41から露出する第1導電膜6の上面6Aに塗布している。
【0067】
本実施形態では、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料は、ポジ型感光性樹脂である。なお、有機絶縁膜10を形成する樹脂材料は、ポジ型感光性樹脂に限らない。例えば、ネガ型感光性樹脂であっても構わない。
【0068】
上述したように、本実施形態では、有機絶縁膜10は、エポキシ樹脂により構成される。
【0069】
また、図11に示すように、工程S6では、有機絶縁膜10は、第2貫通孔41を完全に埋めるとともに、第2貫通孔41の上方に位置する第1貫通孔21における半導体基板2の下面2B側を埋めるように形成される。有機絶縁膜10は、第1貫通孔21の内側において、半導体基板2の下面2B側に窪む凹部103を形成している。凹部103は、側面105と、底面106と、を有する。側面105は、半導体基板2の下面2B側に向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状を有する。底面106は、半導体基板2の下面2B側に窪むメニスカス形状を有する。
【0070】
工程S7は、有機絶縁膜10に第1導電膜6を露出する開口101を形成する工程である。
【0071】
図12に示すように、有機絶縁膜10に開口101が形成されることにより、開口101から、第1導電膜6の上面6Aが露出する。
【0072】
本実施形態では、上述したように有機絶縁膜10はポジ型感光性樹脂により形成される。そこで、まず、半導体基板2の上面2A側から、有機絶縁膜10のうち開口101に対応する部分を、図示しないマスクを用いて露光する。次に、露光後の有機絶縁膜10を現像する。これにより、有機絶縁膜10のうち開口101に対応する部分は除去されて、有機絶縁膜10に開口101が形成される。
【0073】
また、ポジ型感光性樹脂により形成される有機絶縁膜10を、半導体基板2の上面2A側から露光および現像することにより、第1貫通孔21の内側における有機絶縁膜10の表面111、すなわち有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113は、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状に形成される。
【0074】
本実施形態では、開口101に対応する部分を図示しないマスクを用いて露光するときの露光領域57は、第1貫通孔21の第2開口212の外縁よりも内側に位置している。そのため、露光領域57の外縁と、第1貫通孔21の第2開口212の外縁と、の間に位置する有機絶縁膜10は露光されない。換言すると、露光領域57の外縁と第1貫通孔21の第2開口212の外縁との間に位置する有機絶縁膜10は、工程S7において除去されない。露光領域57の外縁と第1貫通孔21の第2開口212の外縁との間に位置する有機絶縁膜10の表面111は、主に図11に示す凹部103の側面105に対応する。そのため、露光領域57の外縁と第1貫通孔21の第2開口212の外縁との間に位置する有機絶縁膜10の表面111は、半導体基板2の下面2B側に向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状に形成される。
【0075】
また、露光領域57において、半導体基板2の上面2A側から有機絶縁膜10に照射される光は、半導体基板2の下面2B側に向かうにしたがい減衰する。さらに、半導体基板2の上面2A側から有機絶縁膜10に照射される光は、図11に示す凹部103の底面106のメニスカス形状により回折する。露光領域57においてこのような光の減衰および回折が生じるため、露光後の有機絶縁膜10を現像すると、露光領域57における有機絶縁膜10の表面111は、半導体基板2の下面2B側に向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状に形成され易い。
【0076】
また、現像後の有機絶縁膜10において、露光領域57の外縁と第1貫通孔21の第2開口212の外縁との間に位置する有機絶縁膜10の表面111と、露光領域57における有機絶縁膜10の表面111と、は連続的に接続している。
【0077】
このようにして、第1貫通孔21の内側における有機絶縁膜10の表面111、すなわち有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113は、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状に形成される。
【0078】
つまり、工程S7では、開口101とともに、有機絶縁膜10の第1表面112と、第2表面113と、が形成される。有機絶縁膜10の第1表面112と、第2表面113と、は連続的に接続している。また、有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113は、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状となる。
【0079】
なお、本実施形態では、露光領域57において、有機絶縁膜10の第1表面112を形成しているが、露光領域57において、第1表面112とともに、図示しない中継面を形成しても構わない。上述したように、中継面は、第1表面112と第2表面113との間に配置される。露光領域57における露光条件や図11に示す凹部103の底面106の形状などを適宜調整することにより、中継面を、例えば、半導体基板2の厚さ方向に平行に形成することができる。
【0080】
また、図13に示すように、第1貫通孔21の側面213には複数のスキャロップ23が形成されており、第1貫通孔21の側面213に形成される第2絶縁膜8には、側面213に形成されるスキャロップ23に対応する複数の凹部81が形成されている。スキャロップ23および凹部81は、第1貫通孔21の側面213に配置される有機絶縁膜10により埋められる。これにより、第1貫通孔21の側面213に配置される有機絶縁膜10の第2表面113は、平滑な面となる。図13では図示されないが、有機絶縁膜10の第1表面112も、第2表面113と同様に、平滑な面となる。このため、後述する工程S8において、有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113に、第2導電膜12を安定して形成することができる。
【0081】
工程S8は、有機絶縁膜10の表面111および第1導電膜6の表面である上面6Aに第2導電膜12を形成する工程である。詳細には、有機絶縁膜10の第1表面112、第2表面113、および第3表面114と、有機絶縁膜10に形成される開口101から露出する第1導電膜6の上面6Aと、に第2導電膜12を形成する工程である。
【0082】
本実施形態では、第2導電膜12は、スパッタ法を用いて形成される。なお、第2導電膜12を形成する方法は、スパッタ法に限らない。例えば、第2導電膜12は、蒸着法を用いて形成されても構わない。
【0083】
上述したように、本実施形態では、第2導電膜12は、図示しないバリア層と、バリア層上に積層される図示しない金属層と、を有する金属膜である。バリア層は、チタンとタングステンの合金により構成される。金属層は、銅により構成される。
【0084】
工程S8において、有機絶縁膜10の第1表面112、第2表面113、および第3表面114と、第1導電膜6の上面6Aと、に第2導電膜12が形成されることにより、図1に示す半導体装置1が製造される。
このようにして、上述した工程S1~工程S8により、半導体装置1が製造される。
【0085】
上述したように、第1貫通孔21の側面213から脱落した第2絶縁膜8が第1導電膜6の上面6Aに付着すると、工程S8において形成される第2導電膜12と、第1導電膜6と、の電気的な接続が不安定になり、半導体装置1の歩留まりが低下するおそれがある。しかし、本実施形態では、工程S5により、第1貫通孔21の側面213からの第2絶縁膜8の脱落を低減させることにより、工程S8において形成される第2導電膜12と、第1導電膜6と、の電気的な接続が安定し、半導体装置1の歩留まりが向上する。
【0086】
ここで、例えば、第1貫通孔21の側面213からの第2絶縁膜8の脱落を低減ためには、工程S3を省略することにより第2絶縁膜8を形成しないことや、工程S5において第1貫通孔21の側面213に配置される第2絶縁膜8を全て除去することが考えられる。しかし、第2絶縁膜8を形成しない場合、あるいは第1貫通孔21の側面213に配置される第2絶縁膜8を全て除去した場合、図1に示す肩部25において、半導体基板2と第2導電膜12との間の絶縁性を確保できないおそれがある。
その理由は、有機絶縁膜10の膜厚は、肩部25において薄くなり易いからである。つまり、第2絶縁膜8を形成しない場合、あるいは第1貫通孔21の側面213に配置される第2絶縁膜8を全て除去した場合、肩部25における半導体基板2と第2導電膜12との間の電気的な絶縁は、有機絶縁膜10のみにより行われることになる。しかし、肩部25において、有機絶縁膜10の膜厚は薄くなり易いため、半導体基板2と第2導電膜12との間の絶縁性を確保できないおそれがある。
一方、本実施形態では、上述したように、第2絶縁膜8は第1貫通孔21の肩部25を覆うように配置される。つまり、肩部25は、第2絶縁膜8および有機絶縁膜10により覆われる。そのため、肩部25において、有機絶縁膜10の膜厚が薄くなった場合でも、半導体基板2と第2導電膜12との間の絶縁性を確保できる。
【0087】
また、本実施形態では、図12に示すように、第1貫通孔21の内側における有機絶縁膜10の表面111、すなわち有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113は、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に狭まるテーパー形状となっている。そのため、工程S8において、スパッタ法などにより第2導電膜12を形成するとき、有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113に第2導電膜12を安定して形成できる。
【0088】
また、本実施形態では、第1導電膜6の上面6Aと接続している第1表面112がテーパー形状となっているため、第1表面112に形成される第2導電膜12と、第1導電膜6の上面6Aに形成される第2導電膜12と、の電気的接続を確実に行うことができる。
【0089】
また、本実施形態では、第3表面114と接続している第2表面113がテーパー形状となっているため、第3表面114に形成される第2導電膜12と、第2表面113に形成される第2導電膜12と、の電気的接続を確実に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態では、図13に示すように、有機絶縁膜10の第2表面113は平滑な面である。また、第2表面113と同様に、第1表面112も平滑な面である。そのため、工程S8において、有機絶縁膜10の第1表面112および第2表面113に第2導電膜12を安定して形成できる。
【0091】
以上述べた通り、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
半導体装置1の製造方法は、第1面である上面2Aと第2面である下面2Bとを有する半導体基板2の下面2Bに第1絶縁膜4と第1導電膜6とをこの順で配置することと、半導体基板2の上面2Aから下面2Bまで貫通する第1貫通孔21を形成し、下面2Bに配置される第1絶縁膜4を第1貫通孔21から露出することと、半導体基板2の上面2A、および第1貫通孔21の側面213に、第2絶縁膜8を形成することと、半導体基板2の上面2Aから第1貫通孔21の側面213における半導体基板2の上面2A側の端部に亘って、第2絶縁膜8の表面にレジスト53を配置することと、レジスト53をマスクとして、第1絶縁膜4および第2絶縁膜8をウェットエッチングし、第1絶縁膜4に第1貫通孔21に連続する第2貫通孔41を形成することと、半導体基板2の上面2A、第1貫通孔21の側面213、第2貫通孔41の側面413、および第2貫通孔41から露出する第1導電膜6の表面である上面6Aを有機絶縁膜10で覆うことと、有機絶縁膜10に第1導電膜6を露出する開口101を形成することと、有機絶縁膜10の表面111、および有機絶縁膜10に形成される開口101から露出する第1導電膜6の上面6Aに、第2導電膜12を形成することと、を含む。
これにより、半導体装置1の製造工程の途中における第1貫通孔21の側面213からの第2絶縁膜8の脱落を低減することができる。そのため、第1導電膜6と第2導電膜12との電気的な接続が安定し、半導体装置1の歩留まりが向上する。
【0092】
2.実施形態2
次に、実施形態2に係る半導体装置1aの製造方法について、図14を参照して説明する。半導体装置1aの製造方法は、実施形態1における工程S7において、有機絶縁膜10の第1表面112とともに、第1表面112と第2表面113との間に中継面としての第4表面115を形成すること以外は、実施形態1と同様である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
図14に示すように、半導体装置1aは、有機絶縁膜10を有する。有機絶縁膜10の表面111は、第1表面112、第2表面113、第3表面114、および第4表面115を有する。
第4表面115は、第1表面112と第2表面113との間に配置される。第1表面112と第2表面113とは、第4表面115を介して接続する。
【0094】
本実施形態では、第4表面115は、製造ばらつきを無視すれば、半導体基板2の厚さ方向に平行に形成される。なお、本実施形態では、第4表面115は、半導体基板2の厚さ方向に平行に形成されるが、第4表面115は、半導体基板2の厚さ方向に平行でなくても構わない。例えば、第4表面115は、テーパー形状であっても構わない。また、例えば、第4表面115は、工程S8において有機絶縁膜10の第1表面112および第4表面115に第2導電膜12が形成される限りにおいて、半導体基板2の上面2Aから下面2Bに向かうにしたがって徐々に広がる逆テーパー形状であっても構わない。
【0095】
半導体装置1aの製造方法は、図2に示す工程S1~工程S8を含む。
詳細には、半導体装置1aの製造方法は、工程S7において、有機絶縁膜10の第1表面112とともに、第1表面112と第2表面113との間に中継面としての第4表面115を形成する。
【0096】
工程S7において、第4表面115を所望の形状に形成するためには、例えば、工程S6において図11に示す凹部103の底面106の形状を調整しても構わないし、工程S7において図12に示す露光領域57の露光条件を調整しても構わない。露光領域57の露光条件は、例えば、グラデーションマスクを用いることにより調整することができる。グラデーションマスクは、光の透過率の2次元的な分布を有するマスクである。
【0097】
以上述べた通り、本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0098】
3.実施形態3
次に、実施形態3に係る半導体装置1bの製造方法について、図15を参照して説明する。半導体装置1bの製造方法は、第2導電膜12によって囲まれる凹部121を金属材料123で埋設する工程を含むこと以外は、実施形態1と同様である。つまり、半導体装置1bの製造方法は、実施形態1における工程S1~工程S8に加え、さらに、第2導電膜12によって囲まれる凹部121を金属材料123で埋設する工程を含む。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
図15に示すように、半導体装置1bには、第2導電膜12によって囲まれる凹部121が形成される。そして、凹部121は、金属材料123により埋められる。これにより、第1貫通孔21の内側において、第2導電膜12と、凹部121に埋設される金属材料123と、は貫通電極100bとして機能する。
【0100】
本実施形態では、金属材料123は、銅である。なお、金属材料123は、銅に限らない。金属材料123は、導電性を有する金属であれば、特に限定されない。
【0101】
半導体装置1bの製造方法は、図2に示す工程S1~工程S8に加え、さらに、第2導電膜12によって囲まれる凹部121を金属材料123で埋設する工程を含む。なお、以下の説明では、凹部121を金属材料123で埋設する工程を「金属埋設工程」と言う場合がある。
【0102】
金属埋設工程は、工程S8の後に行われる。
【0103】
金属埋設工程では、第2導電膜12によって囲まれる凹部121を金属材料123で埋設する。
本実施形態では、金属埋設工程において、金属材料123を含む導電性ペーストを半導体基板2の上面2A側から印刷する。これにより、凹部121は、金属材料123により埋められる。なお、凹部121に金属材料123を埋設する方法は、導電性ペーストを印刷する印刷法に限らない。例えば、めっき法を用いて、凹部121を金属材料123で埋めても構わない。
【0104】
本実施形態では、凹部121に金属材料123を埋設することにより、第1貫通孔21の内側において、第2導電膜12と、凹部121に埋設される金属材料123と、は貫通電極100bとして機能する。工程S8において形成される第2導電膜12のカバレージが低いとき、第2導電膜12の電気的接続が不安定になるおそれがあるが、第2導電膜12のカバレージを金属材料123により補強することにより、貫通電極100bの信頼性は向上する。
【0105】
以上述べた通り、本実施形態によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、第1貫通孔21の内側において第2導電膜12によって囲まれる凹部121を金属材料123で埋設することにより、第2導電膜12と、凹部121に埋設される金属材料123と、を貫通電極100bとして機能させることができる。これにより、貫通電極100bにおける電気的接続の信頼性が向上する。
【0106】
4.実施形態4
次に、実施形態4に係る半導体装置1cの製造方法について、図16を参照して説明する。半導体装置1cの製造方法は、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置する工程を含むこと以外は、実施形態1と同様である。つまり、半導体装置1cの製造方法は、実施形態1における工程S1~工程S8に加え、さらに、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置する工程を含む。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0107】
図16に示すように、半導体装置1cは、第3導電膜16を有する。
第3導電膜16は、第2導電膜12の表面に配置される。第2導電膜12の表面は、第2導電膜12において、有機絶縁膜10の表面111および第1導電膜6の上面6Aにそれぞれ対向する面とは反対側の面である。第1貫通孔21の内側において、第2導電膜12と、第2導電膜12の表面に配置される第3導電膜16と、は貫通電極100cとして機能する。
【0108】
本実施形態では、第3導電膜16は、銅により構成される。なお、第3導電膜16を構成する材料は、銅に限定されない。第3導電膜16を構成する材料は、例えば、ニッケルやアルミニウムであっても構わない。
【0109】
半導体装置1cの製造方法は、図2に示す工程S1~工程S8に加え、さらに、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置する工程を含む。なお、以下の説明では、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置する工程を「第3導電膜配置工程」と言う場合がある。
【0110】
第3導電膜配置工程は、工程S8の後に行われる。
【0111】
第3導電膜配置工程では、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置する。
本実施形態では、第3導電膜配置工程において、めっき法を用いて、第3導電膜16を形成する。なお、第3導電膜16を形成する方法は、めっき法に限らない。例えば、スパッタ法を用いて、第3導電膜16を形成しても構わない。
【0112】
本実施形態では、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置することにより、第1貫通孔21の内側において、第2導電膜12と、第2導電膜12の表面に配置される第3導電膜16と、が貫通電極100cとして機能する。工程S8において形成される第2導電膜12のカバレージが低いとき、第2導電膜12の電気的接続が不安定になるおそれがあるが、第2導電膜12のカバレージを第3導電膜16により補強することにより、貫通電極100cの信頼性は向上する。
【0113】
以上述べた通り、本実施形態によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、第1貫通孔21の内側において、第2導電膜12の表面に第3導電膜16を配置することにより、第2導電膜12と、第3導電膜16と、を貫通電極100cとして機能させることができる。これにより、貫通電極100cにおける電気的接続の信頼性が向上する。
【0114】
以上、本発明の半導体装置の製造方法について、実施形態に基づいて説明した。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていても構わない。また、各実施形態を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0115】
1~1c…半導体装置、2…半導体基板、2A…半導体基板の上面(第1面)、2B…半導体基板の下面(第2面)、4…第1絶縁膜、6…第1導電膜、6A…第1導電膜の上面(表面)、8…第2絶縁膜、10…有機絶縁膜、12…第2導電膜、14…第3絶縁膜、21…第1貫通孔、25…第1貫通孔の肩部、41…第2貫通孔、53…レジスト、101…有機絶縁膜の開口、111…有機絶縁膜の表面、112…有機絶縁膜の第1表面、113…有機絶縁膜の第2表面、114…有機絶縁膜の第3表面、115…有機絶縁膜の第4表面、213…第1貫通孔の側面、413…第2貫通孔の側面、S1~S8…工程。
図1
図2
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図16