(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033549
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】テープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G02B6/44 391
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137186
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 省吾
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 文一
【テーマコード(参考)】
2H201
【Fターム(参考)】
2H201BB76
2H201KK34C
2H201KK62
(57)【要約】
【課題】テープ張力を安定させてテープの走行を安定させることができるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法を提供する。
【解決手段】本開示のテープ供給装置は、光ケーブルにテープを供給するテープ供給装置であって、複数の可動ローラと複数の固定ローラとを有するユニット毎に分割され、前記各ユニットが直列に接続されている多段ユニット式のアキュムレータ部と、前記各ユニットからのテープの供給順序を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルにテープを供給するテープ供給装置であって、
複数の可動ローラと複数の固定ローラとを有するユニット毎に分割され、前記各ユニットが直列に接続されている多段ユニット式のアキュムレータ部と、
前記各ユニットからのテープの供給順序を制御する制御部と、
を備える、テープ供給装置。
【請求項2】
前記テープは、縦添えテープである、請求項1に記載のテープ供給装置。
【請求項3】
前記各ユニットには前記可動ローラを停止するブレーキを備え、
前記制御部が、ユニット切り替え時に、切り替える前後の2つのユニットのブレーキが同時に作動しないように制御する、請求項1に記載のテープ供給装置。
【請求項4】
前記各ユニットの前記可動ローラには、前記テープの張力制御用の錘が取り付けられており、
前記各ユニットの前記錘の重量が異なる、請求項1に記載のテープ供給装置。
【請求項5】
前記各ユニットの前記可動ローラと前記固定ローラとによる前記テープのターン回数が5往復以下である、請求項1に記載のテープ供給装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のテープ供給装置を用いた光ケーブル製造装置。
【請求項7】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のテープ供給装置を用いた光ケーブル製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルは、ケーブルコアの外側に、押さえ巻き用のテープ、及びシースが設けられている。ケーブルコアの外周にテープを縦添えする場合、テープはボビンなどから供給されるが、製造するケーブルの長さの方がテープの供給長(残長)より長くなる場合は、テープのボビンを交換する必要がある。ボビンを交換する間にも連続してテープを供給し続けるために、予めテープを貯めておくことができるアキュムレータが使用される。
【0003】
例えば、特許文献1には、固定ローラ群及び移動ローラ群の間に交互にテープを掛け渡すことにより、テープを貯める、アキュムレータが開示されている。そして、テープを補充する時には、移動ローラ群を固定ローラ群に近付ける方向に移動させることにより、アキュムレータに貯めておいたテープを供給することにより、テープを補充する間にも連続してテープの供給を続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示されているアキュムレータは、多数のローラが設けられた移動ローラ群と、多数のローラが設けられた固定ローラとを用いているので、テープ補充時にボビンを交換する間にも、アキュムレータに貯めておいたテープを供給し続けることができる。しかしながら、テープの往復回数が多いとテープが途中で捻れ、走行不良が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、アキュムレータを用いてテープを供給しつつ、テープの走行を安定させることができるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のテープ供給装置は、光ケーブルにテープを供給するテープ供給装置であって、複数の可動ローラと複数の固定ローラとを有するユニット毎に分割され、前記各ユニットが直列に接続されている多段ユニット式のアキュムレータ部と、前記各ユニットからのテープの供給順序を制御する制御部と、を備える。
また、本開示の光ケーブル製造装置は、上記テープ供給装置を用いた。
さらに、本開示の光ケーブル製造方法は、上記テープ供給装置を用いた。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、アキュムレータを用いてテープを供給しつつ、テープの走行を安定させることができるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様の内容を列記して説明する。
本開示のテープ供給装置は、(1)光ケーブルにテープを供給するテープ供給装置であって、複数の可動ローラと複数の固定ローラとを有するユニット毎に分割され、前記各ユニットが直列に接続されている多段ユニット式のアキュムレータ部と、前記各ユニットからのテープの供給順序を制御する制御部と、を備える。
このように各ユニットが直列に接続されている多段ユニット式のアキュムレータ部を備えることにより、テープの走行を安定させることができる。
【0011】
上記(1)のテープ供給装置において、(2)前記テープは、縦添えテープであることが好ましい。
このようにテープとして、縦添えテープを供給することができるので、本開示のテープ供給装置を光ケーブル製造装置に用いることによって、ケーブルコアの外周に縦添えする縦添えテープを、テープのボビンを交換する際にも常時、供給することができる。
【0012】
上記(1)又は(2)のテープ供給装置において、(3)前記各ユニットには可動ローラを停止するブレーキを備え、前記制御部が、ユニット切り替え時に、切り替える前後の2つのユニットのブレーキが同時に作動しないように制御することが好ましい。
このように切り替える前後の2つのユニットのブレーキが同時に作動しないように制御することにより、ユニット切り替え時に、2つのユニットが同時に停止してテープに大きな張力が発生し、テープが切れてしまうことを防ぐことができる。
【0013】
上記(1)から(3)のいずれかのテープ供給装置において、(4)前記各ユニットの前記可動ローラには、前記テープの張力制御用の錘が取り付けられており、前記各ユニットの前記錘の重量が異なることが好ましい。
ユニット切り替え時に、切り替える前後の2つのユニットのブレーキが同時に作動しない場合に、各ユニットの錘の重量を異ならせることにより、先にテープを使い切るユニットを選択することが可能となる。
【0014】
上記(1)から(4)のいずれかのテープ供給装置において、(5)前記各ユニットの前記可動ローラと前記固定ローラとによる前記テープのターン回数が5往復以下することが好ましい。
各ユニットの可動ローラと固定ローラとによるテープのターン回数が多すぎると、テープの捻れが発生し、テープの走行不良が生じるおそれがある。そこで、各ユニットの可動ローラと固定ローラとによるテープのターン回数を5往復以下することにより、各ユニットにおいて、テープ張力を安定させてテープの走行を安定させることができる。
【0015】
本開示の光ケーブル製造装置は、(1)から(5)のいずれかのテープ供給装置を用いることが好ましい。
これにより、上記(1)と同様の効果を奏する光ケーブル製造装置を提供することができる。
【0016】
本開示の光ケーブル製造方法は、(1)から(5)のいずれかのテープ供給装置を用いることが好ましい。
これにより、上記(1)と同様の効果を奏する光ケーブル製造方法を提供することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して本開示の実施形態に係るテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法を説明する。但し、以下に示す実施形態は本開示の技術思想を具体化するためのテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法を例示するものであって、本開示をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0018】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態にかかるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法について、
図1から
図4を参照して説明する。
【0019】
<1.光ケーブル製造装置>
まず、
図1に基づき、本開示の第1実施形態に係る光ケーブルの製造方法、及び光ケーブルの製造装置について説明する。
図1は、光ケーブル製造装置を説明する図である。光ケーブルSCの長さは、例えば数km程度の単位で製造される。これに対して、1つのボビンに巻回された縦添えテープTの長さは、製造するケーブルの長さより短くなる場合があり、その場合は、ケーブルコアCに対して縦添えテープTを供給しながら、ボビンを交換する必要がある。そこで、ボビンの交換時にも縦添えテープTを供給し続け、光ケーブルSCの製造を連続して続けることができるように、テープ供給装置20には、アキュムレータ部24が設けられている。
【0020】
光ケーブル製造装置10は、ケーブルコアサプライ11、テープ供給装置20、テープ巻き器12、外被押出成形機13、キャプスタン14、及び巻取機15を含んでいる。
【0021】
テープ巻き器12には、ケーブルコアサプライ11からケーブルコアCが、テープ供給装置20から縦添えテープTが、それぞれ供給される。テープ巻き器12では、ケーブルコアCの周りに縦添えテープTが縦添えされる。テープ巻き器12でケーブルコアCが縦添えテープTにより被覆された後に、外被押出成形機13において縦添えテープTの周囲に外被が押出成形される。外被は特に限定されるものではないが、例えば難燃ポリエチレン樹脂等の樹脂材料からなる。
【0022】
外被押出成形機13において外被が押出成形された光ケーブルSCは、キャプスタン14により搬送されて、巻取機15によりボビンに巻き取られる。
【0023】
テープ供給装置20は、第1ボビン21、第2ボビン22、第1テープキャッチャ23、アキュムレータ部24、第2テープキャッチャ25、及びキャプスタン26を含んでいる。
【0024】
第1ボビン21及び第2ボビン22の内の一つのボビン(例えば第1ボビン21)から縦添えテープTが供給され、もう一つのボビン(例えば第2ボビン22)は交換用のボビンとなっている。第1ボビン21に巻かれている縦添えテープTの量が所定量よりも少なくなると、アキュムレータ部24の入口側において、第1テープキャッチャ23により縦添えテープTを把持する。第1テープキャッチャ23により縦添えテープTを把持すると同時またはそれよりも前に、可動ローラ45のロックを解除する。
【0025】
アキュムレータ部24の入口側において、第1テープキャッチャ23により縦添えテープTが掴まれている時には、アキュムレータ部24の複数の可動ローラ45と複数の固定ローラ47との間に交互に掛け渡すことにより貯めておいた縦添えテープTが、アキュムレータ部24の出口からキャプスタン26により搬送され、テープ巻き器へ供給される。このため、ボビンの交換のために、第1テープキャッチャ23により縦添えテープTが把持されている間にも、アキュムレータ部24に貯められた縦添えテープTが出口側に供給され続けられ、光ケーブルSCの製造を連続的に続けることができる。
【0026】
第1テープキャッチャ23により縦添えテープTが把持された後に、第1ボビン21の縦添えテープTを切断し、第1テープキャッチャ23により把持された縦添えテープTの後端に、第2ボビン22の縦添えテープTの先端を接着する。
【0027】
2つの縦添えテープTの端部の接着が完了した後に、第1テープキャッチャ23による縦添えテープTの把持を解除して、第2ボビン22からアキュムレータ部24への縦添えテープTの供給を再開する。第2ボビン22からアキュムレータ部24への縦添えテープTの供給を再開されると、アキュムレータ部24からテープ巻き器12への縦添えテープTの供給は継続されると共に、アキュムレータ部24の内部に縦添えテープTが再び貯えられていく。
【0028】
アキュムレータ部24とキャプスタン26との間には、第2テープキャッチャ25が設けられている。この第2テープキャッチャ25は、光ケーブルSCの製造終了時や、光ケーブル製造装置10のメンテナンス時や、アキュムレータ部24のメンテナンス時に、アキュムレータ部24の出口側で縦添えテープTを把持することができる。
【0029】
本実施形態の光ケーブル製造装置10においては、縦添えテープTとして、押さえ巻きテープ用の紙テープを例示するが、本開示における縦添えテープTは、紙テープに限定されるものではなく、アキュムレータ部24は、紙テープ以外にも、樹脂テープや金属テープ等、様々な種類のテープTに対応している。また、例えば紙テープとして、吸水性、吸湿性のある素材、吸水パウダーを含んだ素材等を採用することができる。
【0030】
また、本実施形態のアキュムレータ部24で対応可能な縦添えテープTの幅や厚みについても特に限定されるものではなく、例えば、縦添えテープTの幅が10mm~100mm程度のものにも、縦添えテープTの厚みが0.05~1mm程度のものにも、対応可能である。
【0031】
アキュムレータ部24の可動ローラ45及び固定ローラ47には、クラウンローラ、太鼓ローラ、逆クラウンローラ、棒ローラ、又は平溝ローラ等のローラを用いている。ローラは、縦添えテープTがローラの幅方向の中央に案内され、しかも、縦添えテープTがローラの幅方向に蛇行するのを防ぐことができるとよい。
【0032】
また、本実施形態のケーブルコアCは特に限定されるものではなく、撚り線、スロットロッドを有するケーブル等、様々なケーブルコアに適用可能である。
【0033】
<2.ボビンの交換>。
図2は、テープ供給装置20を説明する図である。第1ボビン21は、軸32、軸32を支持する支持部、及び軸32に巻回された縦添えテープTの積層体である巻回テープ31からなる。第1ボビン21から引き出された縦添えテープTaは、複数のガイド34に案内されて、アキュムレータ部24に供給される。巻回テープ31の残りが所定量よりも少なくなると、軸32が支持部から取り外され、長尺の縦添えテープTが巻回された状態の軸32と交換される。なお、軸32はそのままで、巻回テープ31のみを交換してもよい。
【0034】
同じく、第2ボビン22は、軸36、軸36を支持する支持部、及び軸36に巻回された縦添えテープTの積層体である巻回テープ35からなる。第2ボビン22から引き出された縦添えテープTbは、複数のガイド38に案内されて、アキュムレータ部24に供給される。巻回テープ35の残りが所定量よりも少なくなると、軸36が支持部から取り外され、長尺の縦添えテープTが巻回された状態の軸36と交換される。なお、軸36はそのままで、巻回テープ35のみを交換してもよい。
【0035】
前述のように、第1ボビン21及び第2ボビン22の内の一つのボビン(例えば第1ボビン21)は、縦添えテープTを供給するボビンであり、もう一つのボビン(例えば第2ボビン22)は交換用のボビンとなっている。第1ボビン21に巻かれている縦添えテープTの量が所定量よりも少なくなると、縦添えテープTの供給が第2ボビン22に切り替えられる。
【0036】
縦添えテープTの供給が第1ボビン21から、第2ボビン22に切り替えられる際には、まず、アキュムレータ部24の入口側において、第1テープキャッチャ23により縦添えテープTが把持される。次に、第1ボビン21の縦添えテープTを交換装置27において切断し、第1テープキャッチャ23により把持された縦添えテープTの後端に、第2ボビン22の縦添えテープTの先端を接着する。この接着には例えば熱硬化接着剤等の接着剤が用いられる。熱硬化接着材を用いる場合には、縦添えテープTの端部に接着剤を塗布して、2つの縦添えテープTの端部を貼り合わせた後に、加熱することにより接着剤が不可逆的に硬化され、2つの縦添えテープTが完全に接着される。
【0037】
2つの縦添えテープTの端部の接着が完了した後に、第1テープキャッチャ23による縦添えテープTの把持を解除して、第2ボビン22からアキュムレータ部24への縦添えテープTの供給を再開する。
【0038】
このような2つの縦添えテープTの端部の接着工程を含むボビンの切り替え作業は、手動で行うことができるが、その一部又は全部を交換装置27等により自動的に行うようにしてもよい。
【0039】
縦添えテープTの残りが所定量よりも少なくなった第2ボビン22は、長尺の縦添えテープTが巻回された状態のものと交換され、今度は第1ボビン21に切り替えられる。このようにして第1ボビン21と第2ボビン22は縦添えテープTの残量が所定量よりも少なくなる度に交互に切り替えられる。
【0040】
<3.アキュムレータ部24の全体構成>。
アキュムレータ部24は、第1テープキャッチャ23、複数の可動ローラ45、及び複数の固定ローラ47を有している。可動ローラ45及び固定ローラ47は、複数のユニット、例えば
図2では、4つのユニットに分けられており、入口側から順に第1ユニット40、第2ユニット41、第3ユニット42、及び第4ユニット43に分けられている。各ユニット40~43の複数の可動ローラ45、例えば
図2では、5つの可動ローラ45は、可動フレーム46に回転可能に固定されている。
【0041】
各ユニット40~43の固定ローラ47は、図示省略されたアキュムレータ部24の下部フレームに回転可能に固定されている。入口側から導入された縦添えテープTは、一番入り口側の固定ローラ47でガイドされた後、可動ローラ45と固定ローラ47との間を交互に掛け渡されて、一番出口側の固定ローラ47でガイドされた縦添えテープTは、出口側に供給される。
【0042】
可動フレーム46は、アキュムレータ部24のフレームに沿って図示省略されたスライダーに摺動可能にガイドされている。
【0043】
アキュムレータ部24のフレームには、各ユニット40~43の可動フレーム46の位置を検出する近接スイッチ50~53が複数、特に限定されるものではないが、例えば
図2では4個設けられている。より具体的には、
図2の例では、近接スイッチ50~53として、下から順に、下限近接スイッチ50、ブレーキ解除近接スイッチ51、上方減速近接スイッチ52、及び上限近接スイッチ53が設けられている。
【0044】
アキュムレータ部24には、図示省略されているが、各ユニット40~43からのテープTの供給順序を制御する制御部が設けられている。また、アキュムレータ部24の上方には、モータ60が設けられ、また、各ユニット40~43に対して、クラッチ61及びディスクブレーキ62等の可動フレーム駆動機構が設けられている。制御部は近接スイッチ50~53からの信号に基づき、これらの可動フレーム駆動機構を制御することにより、各ユニット40~43からのテープTの供給順序を制御している。
【0045】
制御部は、第1ユニット40が縦添えテープTを放出すると、次に第2ユニット41の縦添えテープTを放出し、その次に第3ユニット42の縦添えテープTを放出し、最後に第4ユニット43の縦添えテープTを放出するように制御する。
【0046】
このように本実施形態のアキュムレータ部24では、複数の可動ローラ45と複数の固定ローラ47が、直列に接続される第1~第4ユニット40~43からなる複数ユニットに分割されている。このようにアキュムレータ部24は、各ユニット40~43が直列に接続されている多段ユニット式のアキュムレータとなっている。特に限定されるものではないが、各ユニット40~43には5個の可動ローラ45と5個の固定ローラ47により、各ユニット40~43の縦添えテープTのターン回数は5往復となっている。
【0047】
特許文献1のように縦添えテープTの往復回数が多いと縦添えテープTが途中で捻れ、走行不良が生じるおそれがある。特に、往復回数が多い状態で、全ての可動ローラを同時に動かしてテープの蓄積と放出を行うと、張力が変動し、縦添えテープTが可動ローラ45又は固定ローラ47から外れてずれたり、脱落したり、ゆるんだりすることがある。これに対して、本実施形態のように可動ローラ45又は固定ローラ47が複数ユニットに分割されている場合には、同時に動く可動ローラの数が少なく、縦添えテープTに付与される張力を安定化することができるため、縦添えテープTが可動ローラ45又は固定ローラ47から外れてずれたり、脱落したり、ゆるんだりすることを防止し、縦添えテープTに安定して張力を付与し、縦添えテープTの走行を安定させることができる。
【0048】
本実施形態では、各ユニット40~43は5個の可動ローラ45と5個の固定ローラ47とを有しており、各ユニット40~43の縦添えテープTのターン回数は5往復となっており、この場合、縦添えテープTに安定して張力を付与し、縦添えテープTの走行を安定させることを確認できた。このため、本開示では、各ユニット40~43の縦添えテープTのターン回数を5往復以下とすることで、縦添えテープTに安定して張力を付与し、縦添えテープTの走行を安定させるものとする。
【0049】
<4.可動フレーム46の駆動機構>。
図3は、アキュムレータ部24の側面図であり、
図4は、アキュムレータ部の平面図である。錘駆動機構70は、錘側歯車71、ローラ側歯車72、及びローラ用チェーン73を含んでいる。可動フレーム46は、ワイヤー65を介して錘設置台49と繋がれている。ワイヤー65は、錘側歯車71の滑車と、ローラ側歯車72の滑車とに引き回されており、ワイヤー65の一端には可動フレーム46が取り付けられ、ワイヤー65の他端には錘設置台49が取り付けられている。錘設置台49には、複数の錘48を設置することが可能であり、特に限定するものではないが、例えば500gの錘48を横4列、縦8段まで設置することができる。錘設置台49に設置する錘48の数は変更することが可能であり、可動フレーム46側よりも、錘48側の重さの方が所定重さだけ重くなるように設定される。
【0050】
錘側歯車71とローラ側歯車72には、ローラ用チェーン73が噛み合っており、錘側歯車71とローラ側歯車72とは、同期して回転するようになっている。錘側歯車71は錘側軸74に取り付けられている。
【0051】
ローラ側歯車72は、ローラ側軸63に取り付けられている。ローラ側軸63の一端にはディスクブレーキ62が取り付けられ、ローラ側軸63の他端にはクラッチ61が取り付けられている。ローラ側軸63はローラ側歯車72と一体に回転し、ローラ側軸63の回転はクラッチ61及びディスクブレーキ62に伝達される。クラッチ61は、クラッチ側歯車82の回転をローラ側軸63に伝達したり、ローラ側軸63の回転を切断したりすることができる。
【0052】
モータ駆動機構80は、モータ側歯車81、クラッチ側歯車82、及びモータ用チェーン83を含む。クラッチ側歯車82とモータ側歯車81には、モータ用チェーン83が噛み合っている。モータ側歯車81は、モータ60により駆動されるモータ側軸64に取り付けられている。モータ60の駆動力は、モータ側歯車81、モータ用チェーン83、クラッチ側歯車82、及びクラッチ61を介して、ローラ側軸63に伝達される。なお、モータ側軸64は全てのユニットにモータ60の動力を伝達するように、全てのユニットに亘って設けられているが、各ユニットにモータを設けてもよい。
【0053】
可動フレーム46には、錘設置台49に設置された錘48により上方に持ち上げられるような駆動力が働いている。すなわち、ディスクブレーキ62が解除された場合には、可動フレーム46には可動ローラ45を介して下降する方向に縦添えテープTの張力が作用すると共に、可動フレーム46には錘48により上方に持ち上げられるような駆動力が働いている。縦添えテープTが第1テープキャッチャ23により把持された状態で、縦添えテープTを放出しているユニットにおいては、可動フレーム46に作用する駆動力としては、縦添えテープTの張力により可動ローラ45を介して下降する方向に作用する駆動力の方が、錘48により上方に持ち上げられる駆動力よりも大きい。このため、縦添えテープTを放出しながら、可動フレーム46は下降していき、下限位置において、ディスクブレーキ62が作動することによって、可動フレーム46は固定される。全てのユニットの可動フレーム46が同時に固定されないように、1つのユニットにおいて可動フレーム46がブレーキ解除近接スイッチ51によってブレーキ解除位置に達した場合には、次のユニットのディスクブレーキ62が解除される。例えば、第1ユニット40において可動フレーム46がブレーキ解除近接スイッチ51によってブレーキ解除位置に達した場合には、第2ユニット41のディスクブレーキ62が解除される。
【0054】
縦添えテープTを放出するユニットを切り替えるときには、2つのユニットにおいてディスクブレーキ62が解除されている。この時に、一つのユニットから先に縦添えテープTを放出できるように、各ユニット40~43の錘設置台49に設置される錘48の量(重さ)が異なるように設定されている。第1ユニット40と第2ユニット41の錘48の重さの差は、後に縦添えテープTを放出する第2ユニットの錘48の方が、第1ユニット40の錘48よりも重くなるように設定されている。特に限定されるものではないが、第1ユニット40と第2ユニット41との錘48の重さの差は、5%程度となるように設定されている。第2ユニット41と第3ユニット42、第3ユニット42と第4ユニット43における錘48の重さの差も、同様に、5%程度となるように設定されている。
【0055】
ボビンの切り替えが完了し、第1テープキャッチャ23による縦添えテープTの把持を解除して、アキュムレータ部24への縦添えテープTの供給を再開されると、アキュムレータ部24に縦添えテープTを貯めるために、モータ60を駆動すると共に、クラッチ61をローラ側軸63に接続することによって、モータ60の駆動力により可動フレーム46を上昇する方向に持ち上げていく。
【0056】
<5.制御部による可動フレーム46の制御>
ボビンの交換時には第1テープキャッチャ23により縦添えテープTを把持する。第1テープキャッチャ23が縦添えテープTを把持すると同時又はそれよりも前のタイミングで、第1ユニット40のディスクブレーキ62が解除される。第1ユニット40のディスクブレーキ62が解除されると、可動フレーム46には可動ローラ45を介して下降する方向に縦添えテープTの張力が作用するので、可動フレーム46が錘48の重さに抗して下降しながら、第1ユニット40は可動ローラ45と固定ローラ47との間に貯められた縦添えテープTを放出していく。
【0057】
本実施形態では、制御部は、近接スイッチ50~53からの信号に基づき、可動フレーム駆動機構、すなわち、錘駆動機構70及びモータ駆動機構80を制御することにより、各ユニット40~43からの縦添えテープTの供給順序を制御している。制御部は、第1ユニット40が縦添えテープTを放出すると、次に第2ユニット41の縦添えテープTを放出し、その次に第3ユニット42の縦添えテープTを放出し、最後に第4ユニット43の縦添えテープTを放出するように制御する。
【0058】
第1ユニット40のブレーキ解除近接スイッチ51が、可動フレーム46が次ユニットのブレーキ解除位置に達したことを検知すると、第2ユニット41のディスクブレーキ62が解除される。この時、第2ユニット41の錘48の方が、第1ユニット40の錘48よりも重くなるように設定されているので、第1ユニット40が下降し続け、第1ユニット40から先に、縦添えテープTが放出される。
【0059】
第1ユニット40の下限近接スイッチ50が、可動フレーム46が下限近接に達したことを検知すると、制御部は第1ユニット40のディスクブレーキ62を作動させ、第1ユニット40の可動フレーム46を固定する。
【0060】
次に第2ユニット41のブレーキ解除近接スイッチ51が、可動フレーム46が次ユニットのブレーキ解除位置に達したことを検知すると、第3ユニット42のディスクブレーキ62が解除され、以下、第1ユニット40から第2ユニット41への切り替え同様に、第2ユニット41から第3ユニット42、次に、第3ユニット42から第4ユニット43への切り替えが行われる。
【0061】
制御部がユニットの切り替え時、すなわち、ブレーキ解除近接スイッチ51が、可動フレーム46が次ユニットのブレーキ解除位置に達したことを検知すると、次のユニットのディスクブレーキ62を解除するため、両ユニットのディスクブレーキ62が同時に作動することを防止することができる。これにより、全ての可動フレーム46が同時にロックされることを防ぐことができるので、縦添えテープTの張力が急激に増大することを防ぎ、縦添えテープTの走行を安定させることができる。
【0062】
ボビンの切り替えが完了すると、制御部は第1テープキャッチャ23による縦添えテープTの把持を解除し、アキュムレータ部24への縦添えテープTの供給を再開される。アキュムレータ部24に縦添えテープTを貯めるために、モータ60を駆動すると共に、クラッチ61をローラ側軸63に接続することによって、モータ60の駆動力により可動フレーム46を上昇する方向に持ち上げていく。可動フレーム46を持ち上げていく順番は、第4ユニット43、第3ユニット42、第2ユニット41、第1ユニット40の順とする。可動フレーム46には、錘48による荷重が上昇する方向にかけられているが、縦添えテープTによる張力との関係で、錘48による荷重だけでは、確実に安定して可動フレーム46を引き上げていくことができない。そこで、モータ60の駆動力により可動フレーム46を上昇する方向に持ち上げていくことによって、安定して可動フレーム46を引き上げていくことができる。
【0063】
制御部は第4ユニット43のディスクブレーキ62を解除し、モータ60を駆動すると共に、クラッチ61をローラ側軸63に接続することによって、モータ60の駆動力により第4ユニット43の可動フレーム46を上昇する方向に持ち上げていく。第4ユニット43の上方減速近接スイッチ52が、可動フレーム46が減速位置に達したことを検知すると、制御部はモータ60の回転速度を低減し、可動フレーム46の上昇速度を低減させる。次に、第4ユニット43の上限近接スイッチ53が、可動フレーム46が上限位置に達したことを検知すると、制御部はディスクブレーキ62を作動させると共に、クラッチ61を切断し、第4ユニット43の可動フレーム46を固定する。可動フレーム46がロックされる前、すなわち、上方減速近接スイッチ52が、可動フレーム46が減速位置に達したことを検知すると、制御部はモータ60の回転速度を低減し、可動フレーム46の上昇速度を低減させるため、可動フレーム46の上昇速度の急激を防ぐことにより、縦添えテープTの走行を安定させることができる。
【0064】
次に、制御部は第3ユニット42のディスクブレーキ62を解除し、モータ60を駆動すると共に、クラッチ61をローラ側軸63に接続することによって、モータ60の駆動力により第4ユニット43の可動フレーム46を上昇する方向に持ち上げていく。以下、第4ユニット43の場合と同様にして、第3ユニット42、第2ユニット41、及び第1ユニット40の順で、各ユニット40~43に縦添えテープTを貯めていく。なお、ボビンの切り替えが完了して、アキュムレータ部24への縦添えテープTの供給が再開されたときに、すでに第4ユニット43の可動フレーム46が上限位置に達している場合には、制御部は、第3ユニット42の可動フレーム46を上昇させるように制御を行い、同様に、第3ユニット42がすでに上限位置に達している場合には、制御部は、第2ユニット41の可動フレーム46を上昇させるように制御を行い、また、第2ユニット41がすでに上限位置に達している場合には、制御部は、第1ユニット40の可動フレーム46を上昇させるように制御を行い、各ユニット40~43に対して縦添えテープTを貯めていく。
【0065】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態にかかるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法について説明する。第2実施形態にかかるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法は、第1実施形態にかかるテープ供給装置、光ケーブル製造装置、及び光ケーブル製造方法と比較して、第1テープキャッチャ23により縦添えテープTを把持した状態で、アキュムレータ部24から縦添えテープTを供給する際の、各ユニット40~43から縦添えテープTを供給する順序が異なっている。
【0066】
第1実施形態では、制御部は、第1ユニット40が縦添えテープTを放出すると、次に第2ユニット41の縦添えテープTを放出し、その次に第3ユニット42の縦添えテープTを放出し、最後に第4ユニット43の縦添えテープTを放出するように制御する。これに対して、本実施形態では、制御部は、最初に第4ユニット43が縦添えテープTを放出すると、次に第3ユニット42の縦添えテープTを放出し、その次に第2ユニット41の縦添えテープTを放出し、最後に第1ユニット40の縦添えテープTを放出するように制御する。
【0067】
第4ユニット43は、アキュムレータ部24の出口に一番近いユニットであるため、第4ユニット43から縦添えテープTを放出している時には、第1~第3ユニット40~42の可動ローラ45及び固定ローラ47は止まった状態となる。第4ユニット43から先に縦添えテープTを放出するように制御すると、回転する可動ローラ45及び固定ローラ47の数が最小限に抑えられるため、縦添えテープTが可動ローラ45又は固定ローラ47から外れてずれたり、脱落したり、ゆるんだりすることをより防止し易くできる。これにより、縦添えテープTにより安定して張力を付与し、縦添えテープTの走行をより安定させることができる。
【0068】
本実施形態においても、ボビンの切り替えが完了し、アキュムレータ部24への縦添えテープTの供給を再開されると、アキュムレータ部24に縦添えテープTを貯めるために、モータ60を駆動すると共に、クラッチ61をローラ側軸63に接続することによって、モータ60の駆動力により可動フレーム46を上昇する方向に持ち上げていく。この時、可動フレーム46を持ち上げていく順番は、第1ユニット40、第2ユニット41、第3ユニット42、及び第4ユニット43の順とする。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の技術思想を具体化するための光ケーブルの製造方法及び製造装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、その他の実施形態のものにも等しく適用し得るものであり、また、これらの実施形態の一部を省略、追加、変更することや、各実施形態の態様を組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 光ケーブル製造装置
11 ケーブルコアサプライ
12 テープ巻き器
13 押出成形機
14 キャプスタン
15 巻取機
20 テープ供給装置
21 第1ボビン
22 第2ボビン
23 第1テープキャッチャ
24 アキュムレータ部
25 第2テープキャッチャ
26 キャプスタン
27 交換装置
31 巻回テープ
32 軸
34 ガイド
35 巻回テープ
36 軸
38 ガイド
40 第1ユニット
41 第2ユニット
42 第3ユニット
43 第4ユニット
45 可動ローラ
46 可動フレーム
47 固定ローラ
48 錘
49 錘設置台
50 下限近接スイッチ
51 ブレーキ解除近接スイッチ
52 上方減速近接スイッチ
53 上限近接スイッチ
60 モータ
61 クラッチ
62 ディスクブレーキ
63 ローラ側軸
64 モータ側軸
65 ワイヤー
70 錘駆動機構
71 錘側歯車
72 ローラ側歯車
73 ローラ用チェーン
74 錘側軸
80 モータ駆動機構
81 モータ側歯車
82 クラッチ側歯車
83 モータ用チェーン
C ケーブルコア
SC 光ケーブル
T、Ta、Tb 縦添えテープ