(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033560
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 41/27 20230101AFI20240306BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240306BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240306BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20240306BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L27/11556
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L29/50 M
H01L29/44 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137203
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】澤 敬一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 智幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 優太
(72)【発明者】
【氏名】山下 博幸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 達典
【テーマコード(参考)】
4M104
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104BB30
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4M104GG09
5F083EP02
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5F101BE07
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】好適な性能を有する電荷蓄積層を形成することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の電極層および複数の第1絶縁膜を第1方向に交互に含む積層膜と、少なくとも1つの前記電極層の側面に第2絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層の側面に第3絶縁膜を介して設けられた半導体層とを備える。前記第2絶縁膜の前記電極層側の側面は、前記電極層に向かって突出する凸型の形状を有する。前記電荷蓄積層は、前記第1方向と交差する第2方向において第1膜厚を有し、前記電極層側に前記第2絶縁膜に接する第1面を有する第1部分と、前記第2方向において前記第1膜厚より薄い第2膜厚を有し、前記電極層側に前記第1面と異なる第2面を有する第2部分とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極層および複数の第1絶縁膜を第1方向に交互に含む積層膜と、
少なくとも1つの前記電極層の側面に第2絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層の側面に第3絶縁膜を介して設けられた半導体層とを備え、
前記第2絶縁膜の前記電極層側の側面は、前記電極層に向かって突出する凸型の形状を有し、
前記電荷蓄積層は、前記第1方向と交差する第2方向において第1膜厚を有し、前記電極層側に前記第2絶縁膜に接する第1面を有する第1部分と、前記第2方向において前記第1膜厚より薄い第2膜厚を有し、前記電極層側に前記第1面と異なる第2面を有する第2部分とを含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記電荷蓄積層は、半導体層である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電荷蓄積層は、P(リン)、As(ヒ素)、B(ボロン)、C(炭素)、N(窒素)、Ti(チタン)、Ni(ニッケル)、Ru(ルテニウム)、Co(コバルト)、W(タングステン)、またはMo(モリブデン)を含む、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電荷蓄積層は、絶縁膜である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1面は、前記電極層に向かって突出する凸型の形状を有する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1面または前記第2面の窒素濃度は、前記電荷蓄積層内の窒素濃度よりも高い、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1面または前記第2面の窒素濃度は、前記電荷蓄積層内の窒素濃度の2倍よりも高い、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2面は、テーパー形状を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電荷蓄積層は、1つの前記電極層の側面に設けられ、前記電極層ごとに分離されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2部分の前記第1方向の長さは、1nm以上である、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記電荷蓄積層は、2つ以上の前記電極層の側面に連続して設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2膜厚の最大値と最小値との差は、1nm以上である、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2膜厚の最大値は、5nm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1部分の前記第1方向の長さは、前記第2絶縁膜の前記第1方向の長さよりも短い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2絶縁膜は、
前記凸型の形状の側面を有する第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜と前記電荷蓄積層との間に設けられた第5絶縁膜と、
前記第5絶縁膜と前記電荷蓄積層との間に設けられ、シリコン窒化膜の誘電率より高い誘電率を有する第6絶縁膜とを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
複数の第1層および複数の第1絶縁膜を第1方向に交互に含む積層膜を形成し、
前記第1層の側面に、電荷蓄積層の少なくとも一部を形成し、
前記電荷蓄積層の側面に第3絶縁膜を形成し、
前記第3絶縁膜の側面に半導体層を形成し、
前記第1層を除去して、前記積層膜内に複数の第1凹部を形成し、
前記第1凹部から前記電荷蓄積層の側面に、複数の第2絶縁膜を形成し、
前記第1凹部内に、前記第2絶縁膜を介して複数の電極層を形成する、
ことを含み、
前記第2絶縁膜は、前記第2絶縁膜の前記第1凹部側の側面が、前記第1凹部に向かって突出する凸型の形状を有するように形成され、
前記電荷蓄積層は、前記第1方向と交差する第2方向において第1膜厚を有し、前記第1凹部側に前記第2絶縁膜に接する第1面を有する第1部分と、前記第2方向において前記第1膜厚より薄い第2膜厚を有し、前記第1凹部側に前記第1面と異なる第2面を有する第2部分と、を含むように形成される、
半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2部分は、前記第1凹部の形成後に前記電荷蓄積層内に形成される、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第2絶縁膜の形成前に、前記第1凹部内に前記電荷蓄積層の残部を形成することをさらに含む、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第2絶縁膜の一部は、前記第1凹部内の前記電荷蓄積層の側面、前記第1絶縁膜の上面、および前記第1絶縁膜の下面のうちの、前記電荷蓄積層の側面に選択的に形成される、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2絶縁膜は、前記第1凹部内の前記第1絶縁膜の上面および前記第1絶縁膜の下面に所定の物質を付着させた後に、前記電荷蓄積層の側面に形成される、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元半導体メモリでは、電荷蓄積層の体積が小さくなると、電荷蓄積層の性能が低くなるおそれがある。例えば、電荷蓄積層の側面の断面形状が平坦ではなく凸型になると、電荷蓄積層の体積が小さくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2021/0296354号公報
【特許文献2】米国特許出願公開US2021/0296458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適な性能を有する電荷蓄積層を形成することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、複数の電極層および複数の第1絶縁膜を第1方向に交互に含む積層膜と、少なくとも1つの前記電極層の側面に第2絶縁膜を介して設けられた電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層の側面に第3絶縁膜を介して設けられた半導体層とを備える。前記第2絶縁膜の前記電極層側の側面は、前記電極層に向かって突出する凸型の形状を有する。前記電荷蓄積層は、前記第1方向と交差する第2方向において第1膜厚を有し、前記電極層側に前記第2絶縁膜に接する第1面を有する第1部分と、前記第2方向において前記第1膜厚より薄い第2膜厚を有し、前記電極層側に前記第1面と異なる第2面を有する第2部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/5)である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/5)である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/5)である。
【
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/5)である。
【
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/5)である。
【
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図9】第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図10】第2実施形態の第1変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態の半導体装置の利点を説明するための断面図である。
【
図12】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
【
図13】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
【
図14】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
【
図15】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
【
図16】第2実施形態の第2変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図16において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。本実施形態の半導体装置は、例えば3次元半導体メモリを備えている。
【0009】
本実施形態の半導体装置は、基板1と、積層膜2と、複数のブロック絶縁膜3と、複数の電荷蓄積層4と、トンネル絶縁膜5と、チャネル半導体層6と、コア絶縁膜7と、複数の絶縁膜8と、複数の絶縁膜9とを備えている。積層膜2は、複数の電極層11と、複数の絶縁膜12とを含み、各電極層11は、バリアメタル層11aと、電極材層11bとを含んでいる。各ブロック絶縁膜3は、絶縁膜3aと、絶縁膜3bと、絶縁膜3cとを含んでいる。絶縁膜12、ブロック絶縁膜3、トンネル絶縁膜5、絶縁膜3a、絶縁膜3b、および絶縁膜3cはそれぞれ、第1~第6絶縁膜の例である。
【0010】
基板1は例えば、Si(シリコン)基板などの半導体基板である。
図1は、基板1の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板1の表面に垂直なZ方向とを示している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。なお、-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。Z方向は、第1方向の例である。X方向は、第2方向の例である。
【0011】
積層膜2は、基板1上に形成されており、複数の電極層11および複数の絶縁膜12をZ方向に交互に含んでいる。積層膜2は、基板1上に直接形成されていてもよいし、基板1上に他の層を介して形成されていてもよい。各電極層11は例えば、ワード線として機能する。各電極層11内では、バリアメタル層11aが電極材層11bの側面、上面、および下面に形成されている。バリアメタル層11aは例えば、TiN膜(チタン窒化膜)である。電極材層11bは例えば、W(タングステン)層などの金属層である。各絶縁膜12は例えば、SiO2膜(シリコン酸化膜)である。
【0012】
各ブロック絶縁膜3は、Z方向に互いに隣接する絶縁膜12間で、1つの電極層11の側面、上面、および下面に形成されている。絶縁膜3aは、電極層11の側面、上面、および下面に形成されており、電極層11と絶縁膜12との間に介在している。絶縁膜3aは、例えばAl2O3膜(アルミニウム酸化膜)である。絶縁膜3bは、絶縁膜3aの側面に形成されている。絶縁膜3bは、例えばSiO2膜である。絶縁膜3cは、絶縁膜3bの側面に形成されている。絶縁膜3cは、例えばSiN膜(シリコン窒化膜)である。この場合、絶縁膜3a~3cの誘電率εa~εcは「εa>εc>εb」の関係を有している。本実施形態では、絶縁膜3a~3cの各々の電極層11側の側面が、電極層11側に突出した凸型の形状を有している。絶縁膜3aの電極層11側の側面は、ブロック絶縁膜3の電極層11側の側面を形成しており、電極層11に接している。
【0013】
各電荷蓄積層4は、1つの電極層11の側面に、1つのブロック絶縁膜3を介して形成されている。各電荷蓄積層4は例えば、ポリシリコン層などの半導体層であり、電荷を蓄積する浮遊ゲート(FG)として機能する。各電荷蓄積層4は、n型不純物原子、p型不純物原子、粒径制御原子、金属原子などの不純物原子を含んでいてもよい。n型不純物原子は例えば、P(リン)原子またはAs(ヒ素)原子である。p型不純物原子は例えば、B(ボロン)原子である。粒径制御原子は例えば、C(炭素)原子またはN(窒素)原子である。金属原子は例えば、Ti(チタン)原子、Ni(ニッケル)原子、Ru(ルテニウム)原子、Co(コバルト)原子、W(タングステン)原子、またはMo(モリブデン)原子である。
【0014】
各電荷蓄積層4は、膜厚T1を有し、電極層11側にブロック絶縁膜3に接する面S1を有する1つの中心部と、膜厚T2を有し、電極層11側に絶縁膜9に接する面S2を有する2つの端部とを含んでいる。これらの端部の一方は、上端部であり、これらの端部の他方は、下端部である。中心部は第1部分の例であり、端部は第2部分の例である。膜厚T1は第1膜厚の例であり、膜厚T2は、第1膜厚より薄い第2膜厚の例である。面S1は第1面の例であり、面S2は、第1面と異なる第2面の例である。
図1において、膜厚T1は、X方向における中心部の幅となっており、膜厚T2は、X方向における端部の幅となっている。
【0015】
図1において、中心部の電極層11側の側面(外周面:面S1)と、中心部のチャネル半導体層6側の側面(内周面)は、平坦な断面形状を有している。よって、膜厚T1が、Z方向に一定となっている。膜厚T1は例えば、5nm以下である。
図1では、中心部のZ方向の長さが、対応するブロック絶縁膜3のZ方向の長さと同じになっている。
【0016】
一方、
図1において、各端部のチャネル半導体層6側の側面(内周面)は、平坦な断面形状を有しているが、各端部の電極層11側の側面(外周面:面S2)は、テーパー形状を有している。よって、膜厚T2が、Z方向に沿って変化している。膜厚T2の最大値は膜厚T1であり、膜厚T2の最小値はゼロである。よって、膜厚T2の最大値は、例えば5nm以下である。各端部のZ方向の長さLは、例えば1nm以上である。
【0017】
本実施形態の各絶縁膜12の膜厚は、長さLの2倍よりも厚くなっている。その結果、各電荷蓄積層4の端部は、他の電荷蓄積層4の端部と接していない。よって、各電荷蓄積層4は、1つの電極層11の側面に形成されており、
図1に示すように電極層11ごとに分離されている。
【0018】
トンネル絶縁膜5は、複数の電荷蓄積層4の側面に形成されている。トンネル絶縁膜5は、例えばSiO2膜である。
【0019】
チャネル半導体層6は、複数の電荷蓄積層4の側面に、トンネル絶縁膜5を介して形成されている。チャネル半導体層6は、例えばポリシリコン層である。
【0020】
コア絶縁膜7は、チャネル半導体層6の側面に形成されている。コア絶縁膜7は、例えばSiO2膜である。
【0021】
各絶縁膜8は、1つの絶縁膜12の側面に形成されている。各絶縁膜8は、例えばSiO2膜である。
【0022】
各絶縁膜9は、1つの絶縁膜8の側面に形成されている。本実施形態の各絶縁膜9は、
図1に示すように、2つの電荷蓄積層4の面S2や、トンネル絶縁膜5の外周面に接している。各絶縁膜9は、例えばSiO
2膜である。
【0023】
なお、本実施形態のコア絶縁膜7は、Z方向に延びる柱状の形状を有し、平面視で円形の形状を有している。また、本実施形態のチャネル半導体層6、トンネル絶縁膜5、電荷蓄積層4、絶縁膜3c、および絶縁膜3bの各々は、Z方向に延びる管状の形状を有し、平面視でリング状の形状を有している。よって、本実施形態のチャネル半導体層6は、トンネル絶縁膜5、電荷蓄積層4、絶縁膜3c、および絶縁膜3bによりリング状に包囲されている。
【0024】
次に、引き続き
図1を参照し、本実施形態のブロック絶縁膜3および電荷蓄積層4のさらなる詳細について説明する。
【0025】
図1は、Z方向に互いに分離された複数の電荷蓄積層4を示している。後述するように、これらの電荷蓄積層4を形成する際には、1つの電荷蓄積層4(ポリシリコン層)を形成し、その後にこの電荷蓄積層4を部分的に酸化する。その結果、この電荷蓄積層4内に複数の絶縁膜9(SiO
2膜)が形成されることで、この電荷蓄積層4が複数の電荷蓄積層4に分断される。テーパー形状の面S2は、この酸化により形成される。
【0026】
図1は、電極層11ごとに形成されたブロック絶縁膜3および電荷蓄積層4を示している。一般に、電極層11ごとにブロック絶縁膜3および電荷蓄積層4を形成すると、ブロック絶縁膜3の外周面の断面形状と、電荷蓄積層4の外周面の断面形状が、凸型になる。その結果、電荷蓄積層4の体積が小さくなって、電荷蓄積層4の性能が低くなるおそれがある。しかしながら、本実施形態の各電荷蓄積層4は、1つの電荷蓄積層4を複数の電荷蓄積層4に分断することで形成されるため、各電荷蓄積層4の外周面(面S1)の断面形状が、平坦になる。よって、本実施形態によれば、各電荷蓄積層4の体積が凸型形状により小さくなることを抑制することが可能となり、各電荷蓄積層4の性能を好適化することが可能となる。また、本実施形態によれば、各電荷蓄積層4が中心部だけでなく端部を含むことで、各電荷蓄積層4の体積をより大きくすることが可能となる。また、本実施形態によれば、各電荷蓄積層4を電極層11ごとに分離することで、メモリセル間で信号電荷がリークすることを抑制することが可能となる。
【0027】
本実施形態では、各電荷蓄積層4の外周面(面S1)の断面形状が、平坦になっているが、絶縁膜3a~3cの各々の外周面の断面形状は、凸型になっている。本実施形態によれば、絶縁膜3c(SiN膜)の外周面を凸型とすることで、絶縁膜3cの表面積を大きくし、トンネル絶縁膜5にトンネル電界が掛かりやすくすることが可能となる。これにより、各メモリセルの書込特性や消去特性を向上させることが可能となる。なお、絶縁膜3cは、SiN膜の誘電率より高い誘電率を有する絶縁膜としてもよい。
【0028】
図2~
図6は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0029】
まず、基板1上に積層膜2を形成する(
図2(a))。積層膜2は、基板1上に複数の犠牲層21および複数の絶縁膜12を交互に積層することで形成される。各犠牲層21は、例えばSiN膜である。各犠牲層21は、第1層の例である。
【0030】
次に、リソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により、積層膜2内に複数のメモリホールH1を形成する(
図2(b))。
図2(b)は、これらのメモリホールH1のうちの1つを例示している。本実施形態の各メモリホールH1は、平面視で円形の形状を有し、積層膜2を貫通している。
【0031】
次に、各メモリホールH1内の積層膜2の側面に、絶縁膜8、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜5、チャネル半導体層6、およびコア絶縁膜7を順に形成する(
図3(a))。
図3(a)では、1つの電荷蓄積層4が、複数の犠牲層21および複数の絶縁膜12の側面に連続して形成されている。
【0032】
次に、積層膜2内に不図示のスリットを形成し、スリットからのウェットエッチングにより犠牲層21を除去する(
図3(b))。その結果、積層膜2内に複数の凹部H2が形成される。この際、絶縁膜8(例えばSiO
2膜)は、ウェットエッチングのストッパとして機能する。ウェットエッチングは、例えばリン酸水溶液を用いて行われる。凹部H2は、第1凹部の例である。
【0033】
次に、凹部H2に露出した絶縁膜8を除去する(
図4(a))。その結果、絶縁膜8が、絶縁膜12の側面に残存しつつ凹部H2から除去されることにより、複数の絶縁膜8に分断される。さらには、各凹部H2内に電荷蓄積層4の側面が露出する。絶縁膜8は例えば、フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングにより除去される。
【0034】
次に、各凹部H2内の電荷蓄積層4の側面に、絶縁膜3cを形成する(
図4(b))。本実施形態の絶縁膜3cは、各凹部H2内の電荷蓄積層4の側面からの選択成長により形成される。その結果、本実施形態の絶縁膜3cは、各凹部H2内の電荷蓄積層4の側面、絶縁膜12、8の上面、および絶縁膜12、8の下面のうちの、電荷蓄積層4の側面に選択的に形成される。さらには、絶縁膜3cの凹部H2側の側面の断面形状が、凸型となる。
【0035】
この選択成長は例えば、電荷蓄積層4をポリシリコン層とし、絶縁膜3cをSiN膜とすることで実現可能である。この場合、絶縁膜3cは、選択成長が可能なSiN膜以外の絶縁膜でもよい。この選択成長のさらなる詳細については、後述する。
【0036】
次に、H
2O(水)を用いて電荷蓄積層4を部分的に酸化する(
図5(a))。その結果、絶縁膜12の側方の電荷蓄積層4(例えばポリシリコン層)が酸化され、電荷蓄積層4内に複数の絶縁膜9(例えばSiO
2膜)が形成される。これにより、この1つの電荷蓄積層4が、複数の電荷蓄積層4に分断される。各電荷蓄積層4は、この酸化により、平坦な形状の面S1と、テーパー形状の面S2とを有するように形成される(
図1を参照)。この酸化は、ラジカル酸化により行われてもよい。
【0037】
次に、絶縁膜3cを部分的に酸化する(
図5(b))。その結果、絶縁膜3c(例えばSiN膜)内に絶縁膜3b(例えばSiO
2膜)が形成される。この酸化は絶縁膜3cの凹部H2側の側面から進行するため、
図5(b)では、絶縁膜3cの凹部H2側の側面に絶縁膜3bが形成されている。これにより、絶縁膜3b、3cの各々の凹部H2側の側面の形状が、凸型になる。
【0038】
次に、各凹部H2内に絶縁膜3aを形成する(
図6(a))。その結果、各凹部H2内の絶縁膜3bの側面、絶縁膜12の上面、および絶縁膜12の下面に、絶縁膜3aが形成される。このようにして、各凹部H2内にブロック絶縁膜3が形成される。本実施形態の絶縁膜3aは、コンフォーマルに形成されるため、凹部H2側に凸型の形状の側面を有するように形成される。
【0039】
次に、各凹部H2内にバリアメタル層11aおよび電極材層11bを順に形成する(
図6(b))。その結果、各凹部H2内にブロック絶縁膜3を介して電極層11が形成され、複数の電極層11および複数の絶縁膜12を含む積層膜2が基板1上に形成される。
【0040】
その後、基板1上に種々のプラグ、配線層、層間絶縁膜などが形成される。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0041】
図7は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【0042】
図7(a)は、
図4(a)の一部を示している。本実施形態では、各凹部H2内の電荷蓄積層4(例えばポリシリコン層)の側面に絶縁膜3c(例えばSiN膜)を形成する前に、絶縁膜12、8(例えばSiO
2膜)の表面にインヒビタを付着させてもよい(
図7(b))。その結果、絶縁膜12、8の表面にインヒビタ領域22が形成される。インヒビタ領域22は、インヒビタを含む領域である。インヒビタは、Siプリカーサが絶縁膜12、8の表面に付着することを抑制する物質である。
図7(b)では、インヒビタ領域22が、凹部H2内の絶縁膜12、8の上面および絶縁膜12、8の下面と、凹部H2外の絶縁膜12の側面とに形成されている。
【0043】
次に、Siプリカーサを用いて、各凹部H2内の電荷蓄積層4の側面に絶縁膜3cを形成する(
図7(c))。
図7(c)では、絶縁膜12、8の表面にインヒビタ領域22が形成されているため、Siプリカーサが、電荷蓄積層4の側面には付着するが、絶縁膜12、8の表面には付着しにくい。よって、本実施形態によれば、絶縁膜3cを、各凹部H2内の電荷蓄積層4の側面、絶縁膜12、8の上面、および絶縁膜12、8の下面のうちの、電荷蓄積層4の側面に選択的に形成することが可能となる。
【0044】
本実施形態の絶縁膜3cは、各凹部H2内の電荷蓄積層4の側面から選択的に成長していくため、絶縁膜3cの側面の形状が凸型となる。また、
図7(a)~
図7(c)に示す各絶縁膜8は、
図4(a)の工程でのウェットエッチングが不十分であると、絶縁膜12の表面に対し凹部H2の内部に突出している場合がある。この突出部の表面がテーパー形状を有していると、この表面にインヒビタが付着しにくい。よって、このような絶縁膜8も、絶縁膜3cの側面の形状が凸型となることをさらに促進する可能性がある。
【0045】
図8は、第1実施形態の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0046】
本変形例の電荷蓄積層4も、膜厚T1を有し、電極層11側にブロック絶縁膜3に接する面S1を有する1つの中心部と、膜厚T2を有し、電極層11側に絶縁膜9に接する面S2を有する2つの端部とを含んでいる。ただし、本変形例の中心部のZ方向の長さ、すなわち、面S1のZ方向の長さは、ブロック絶縁膜3のZ方向の長さよりも短くなっている。このような構造は例えば、
図5(a)の工程における酸化時間を長くすることで実現可能である。本変形例によれば、電荷蓄積層4の形状をこのように設定することで、例えば各メモリセルのサイズを縮小することが可能となる。
【0047】
以上のように、本実施形態の各ブロック絶縁膜3は、電極層11側に凸型の形状の側面を有している。また、本実施形態の各電荷蓄積層4は、膜厚T1を有し、ブロック絶縁膜3に接する面S1を有する中心部と、膜厚T1より薄い膜厚T2を有し、面S1と異なる面S2を有する端部とを含んでいる。よって、本実施形態によれば、上述のように、好適な性能を有する電荷蓄積層4を形成することが可能となる。
【0048】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0049】
本実施形態の半導体装置(
図9)は、第1実施形態の半導体装置(
図1)と同様の構造を有している。ただし、本実施形態の半導体装置は、上述の複数のブロック絶縁膜3、複数の電荷蓄積層4、および複数の絶縁膜9の代わりに、複数のブロック絶縁膜3’、電荷蓄積層4’、および複数の絶縁膜9’を備えている。ブロック絶縁膜3’は、ブロック絶縁膜3と同様に、第2絶縁膜の例である。
【0050】
各ブロック絶縁膜3’は、絶縁膜3aおよび絶縁膜3bを含んでいるが、絶縁膜3cを含んでいない。本実施形態の絶縁膜3a、3bの形状および材料は、第1実施形態の絶縁膜3a、3bの形状および材料と同様である。よって、本実施形態の絶縁膜3aは、例えばAl2O3膜である。また、本実施形態の絶縁膜3bは、例えばSiO2膜である。
【0051】
電荷蓄積層4’は、複数のブロック絶縁膜3’を介して、複数の電極層11の側面に連続して形成されている。電荷蓄積層4’は、複数の電荷蓄積絶縁膜4aと、電荷蓄積絶縁膜4bとを含んでいる。電荷蓄積絶縁膜4a、4bの各々は例えば、SiN膜などの絶縁膜であり、電荷をトラップして蓄積する電荷トラップ膜(CT膜)として機能する。電荷蓄積絶縁膜4a、4bの各々は、何らかの不純物原子を含んでいてもよい。
【0052】
本実施形態の各電荷蓄積絶縁膜4aの材料および形状は、第1実施形態の絶縁膜3cの形状および材料と同様である。よって、各電荷蓄積絶縁膜4aは、絶縁膜4bの側面に形成されており、各電荷蓄積絶縁膜4aの電極層11側の側面は、電極層11側に突出した凸型の形状を有している。
【0053】
一方、本実施形態の電荷蓄積絶縁膜4bの形状は、第1実施形態の複数の電荷蓄積膜4の形状と類似している。ただし、電荷蓄積絶縁膜4bは、電極層11ごとに分離されていない。電荷蓄積絶縁膜4bは、
図9に示すように、複数の電荷蓄積絶縁膜4aの側面に連続して形成されている。
【0054】
電荷蓄積層4’は、膜厚T1’を有し、電極層11側にブロック絶縁膜3’に接する面S1’を有する複数の中心部と、膜厚T2’を有し、電極層11側に絶縁膜9’に接する面S2’を有する複数の端部とを含んでいる。中心部は第1部分の例であり、端部は第2部分の例である。膜厚T1’は第1膜厚の例であり、膜厚T2’は、第1膜厚より薄い第2膜厚の例である。面S1’は第1面の例であり、面S2’は、第1面と異なる第2面の例である。
【0055】
図9の各中心部は、電荷蓄積絶縁膜4aと、電荷蓄積絶縁膜4bとを含んでいる。
図9において、各中心部のチャネル半導体層6側の側面(内周面)は、平坦な断面形状を有しているが、各中心部の電極層11側の側面(外周面:面S1’)は、凸型の形状を有している。よって、膜厚T1’が、Z方向に沿って変化している。
図9では、各中心部のZ方向の長さが、対応するブロック絶縁膜3のZ方向の長さと同じになっている。なお、各中心部のZ方向の長さは、
図8の場合と同様に、対応するブロック絶縁膜3のZ方向の長さより短くなっていてもよい。
【0056】
一方、
図9の各端部は、電荷蓄積絶縁膜4bからなる。
図9において、各端部のチャネル半導体層6側の側面(内周面)は、平坦な断面形状を有しているが、各端部の電極層11側の側面(外周面:面S2’)は、テーパー形状を有しており、より詳細には、凹型の形状を有している。よって、膜厚T2’が、Z方向に沿って変化している。
図9において、膜厚T2’の最大値は、各端部の上端および下端における膜厚T2’であり、膜厚T2’の最小値は、各端部の上端と下端との中間地点における膜厚T2’である。膜厚T2’の最大値は、例えば5nm以下である。膜厚T2’の最大値と最小値との差は、例えば1nm以上である。本実施形態の膜厚T2’の最大値は、電荷蓄積絶縁膜4bの膜厚の最大値に相当する。
【0057】
各絶縁膜9’は、1つの絶縁膜8の側面に形成されている。本実施形態の各絶縁膜9’は、
図9に示すように、電荷蓄積層4’の1つの端部の面S2’に接している。各絶縁膜9’は、例えばSiO
2膜である。
【0058】
なお、本実施形態のコア絶縁膜7は、Z方向に延びる柱状の形状を有し、平面視で円形の形状を有している。また、本実施形態のチャネル半導体層6、トンネル絶縁膜5、電荷蓄積絶縁膜4b、電荷蓄積絶縁膜4a、および絶縁膜3bの各々は、Z方向に延びる管状の形状を有し、平面視でリング状の形状を有している。よって、本実施形態のチャネル半導体層6は、トンネル絶縁膜5、電荷蓄積絶縁膜4b、電荷蓄積絶縁膜4a、および絶縁膜3bによりリング状に包囲されている。
【0059】
次に、引き続き
図9を参照し、本実施形態のブロック絶縁膜3’および電荷蓄積層4’のさらなる詳細について説明する。
【0060】
図9は、複数の電荷蓄積絶縁膜4aと、電荷蓄積絶縁膜4aの側面に形成された1つの電荷蓄積絶縁膜4bとを示している。後述するように、電荷蓄積絶縁膜4aは、第1実施形態の絶縁膜3cと同様に形成され、電荷蓄積絶縁膜4bは、第1実施形態の電荷蓄積層4と同様に形成される。よって、電荷蓄積絶縁膜4bの端部を形成する際には、電荷蓄積絶縁膜4bを部分的に酸化する。その結果、電荷蓄積絶縁膜4b(SiN膜)内に複数の絶縁膜9(SiO
2膜)が形成されることで、電荷蓄積絶縁膜4bの端部が形成される。この際、電荷蓄積絶縁膜4bは、第1実施形態の電荷蓄積層4とは異なり、複数の電荷蓄積絶縁膜4bに分断されないように酸化されてもよい。テーパー形状の面S2は、この酸化により形成される。
【0061】
図9は、電極層11ごとに形成されたブロック絶縁膜3’および電荷蓄積絶縁膜4aを示している。一般に、電極層11ごとにブロック絶縁膜3’および電荷蓄積絶縁膜4aを形成すると、ブロック絶縁膜3’の外周面の断面形状と、電荷蓄積絶縁膜4aの外周面の断面形状が、
図9に示すように凸型になる。その結果、電荷蓄積層4’の体積が小さくなって、電荷蓄積層4’の性能が低くなるおそれがある。しかしながら、本実施形態の電荷蓄積層4’は、電荷蓄積絶縁膜4aだけでなく電荷蓄積絶縁膜4bを用いて形成されるため、大きな体積を有している。よって、本実施形態によれば、電荷蓄積層4’の体積が凸型形状により小さくなることを抑制することが可能となり、電荷蓄積層4’の性能を好適化することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態によれば、電荷蓄積層4’が中心部だけでなく端部を含むことで、電荷蓄積層4’の体積をより大きくすることが可能となる。電荷蓄積絶縁膜4bが複数の電荷蓄積絶縁膜4bに分断されていないことも、電荷蓄積層4’の体積をより大きくすることに寄与している。
【0063】
本実施形態では、電荷蓄積絶縁膜4bが複数の電荷蓄積絶縁膜4bに分断されていないが、電荷蓄積層4’の端部の膜厚T2’が薄くなっている。これにより、メモリセル間で信号電荷がリークすることを抑制することが可能となる。この観点からは、膜厚T2’の最大値と最小値との差は、大きく設定することが望ましい。膜厚T2’の最大値と最小値との差は、例えば1nm以上である。
【0064】
図10は、第2実施形態の第1変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0065】
図10に示す本変形例の半導体装置は、
図9に示す半導体装置と同様の構造を有している。ただし、本変形例の半導体装置は、電極層11ごとに分離された複数の電荷蓄積絶縁膜4bを備えており、その結果、電極層11ごとに分離された複数の電荷蓄積層4’を備えている。
【0066】
本変形例の各電荷蓄積層4’は、
図10に示すように、膜厚T1’を有し、電極層11側にブロック絶縁膜3’に接する面S1’を有する1つの中心部と、膜厚T2’を有し、電極層11側に絶縁膜9’に接する面S2’を有する2つの端部とを含んでいる。各端部のZ方向の長さL’は、例えば1nm以上である。本変形例の各電荷蓄積絶縁膜4bは、第1実施形態の各電荷蓄積層4と同様に形成することが可能である。
【0067】
本変形例によれば、各電荷蓄積層4’を電極層11ごとに分離することで、メモリセル間で信号電荷がリークすることを抑制することが可能となる。
【0068】
図11は、第2実施形態の半導体装置の利点を説明するための断面図である。
【0069】
図11(a)は、本実施形態の第1比較例の半導体装置を示している。本比較例の半導体装置は、電極層11ごとに分離されていない電荷蓄積絶縁膜4bを備えている。本比較例の電荷蓄積絶縁膜4bの膜厚は、一定である。本比較例の半導体装置は、電荷蓄積層4’の体積が大きいため、メモリセルの書込特性が良いという利点を有する。しかしながら、本比較例の電荷蓄積絶縁膜4bは電極層11ごとに分離されていないため、メモリセルの電荷保持特性が不十分となるおそれがある。
【0070】
図11(b)は、本実施形態の第2比較例の半導体装置を示している。本比較例の半導体装置は、電極層11ごとに分離された複数の電荷蓄積絶縁膜4bを備え、その結果、電極層11ごとに分離された複数の電荷蓄積層4’を備えている。ただし、本比較例の各電荷蓄積層4’は、上述の中心部は含んでいるが、上述の端部は含んでいない。本比較例の半導体装置は、電荷蓄積絶縁膜4bが電極層11ごとに分離されているため、メモリセルの電荷保持特性が良いという利点を有する。しかしながら、本比較例の電荷蓄積層4’の体積は小さいため、メモリセルの書込特性が不十分となるおそれがある。
【0071】
図11(c)は、
図9と同様に、本実施形態の半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置は、電極層11ごとに分離されていない電荷蓄積絶縁膜4bを備えている。ただし、本実施形態の各電荷蓄積層4’は、上述の中心部および端部を含んでいる。よって、本実施形態によれば、端部により電荷蓄積層4’の体積を大きくすることで、メモリセルの書込特性を向上させることが可能となる。さらに、本実施形態によれば、端部の膜厚T2’を薄くすることで、メモリセルの電荷保持特性を向上させることが可能となる。
【0072】
図12~
図15は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。以下の説明において、第1実施形態と共通の事項については、説明を適宜省略する。
【0073】
まず、基板1上に積層膜2を形成する(
図12(a))。積層膜2は、基板1上に複数の犠牲層21および複数の絶縁膜12を交互に積層することで形成される。
【0074】
次に、積層膜2内に複数のメモリホールH1を形成する(
図12(b))。
図12(b)は、これらのメモリホールH1のうちの1つを例示している。
【0075】
次に、各メモリホールH1内の積層膜2の側面に、絶縁膜8、電荷蓄積絶縁膜4b、トンネル絶縁膜5、チャネル半導体層6、およびコア絶縁膜7を順に形成する(
図13(a))。電荷蓄積絶縁膜4bは、電荷蓄積層4’の一部の例である。
【0076】
次に、積層膜2内に不図示のスリットを形成し、スリットからのウェットエッチングにより犠牲層21を除去する(
図13(b))。その結果、積層膜2内に複数の凹部H2が形成される。この際、絶縁膜8(例えばSiO
2膜)は、ウェットエッチングのストッパとして機能する。ウェットエッチングは、例えばリン酸水溶液を用いて行われる。
【0077】
次に、凹部H2に露出した絶縁膜8を除去する(
図14(a))。その結果、絶縁膜8が、絶縁膜12の側面に残存しつつ凹部H2から除去されることにより、複数の絶縁膜8に分断される。さらには、各凹部H2内に電荷蓄積絶縁膜4bの側面が露出する。絶縁膜8は例えば、フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングにより除去される。
【0078】
次に、各凹部H2内の電荷蓄積絶縁膜4bの側面に、電荷蓄積絶縁膜4aを形成する(
図14(b))。本実施形態の電荷蓄積絶縁膜4aは、各凹部H2内の電荷蓄積絶縁膜4bの側面からの選択成長により形成される。その結果、本実施形態の電荷蓄積絶縁膜4aは、各凹部H2内の電荷蓄積絶縁膜4bの側面、絶縁膜12、8の上面、および絶縁膜12、8の下面のうちの、電荷蓄積絶縁膜4bの側面に選択的に形成される。さらには、電荷蓄積絶縁膜4aの凹部H2側の側面の断面形状が、凸型となる。電荷蓄積絶縁膜4aは、電荷蓄積層4’の残部の例である。
【0079】
本実施形態の選択成長は例えば、電荷蓄積絶縁膜4bをSiN膜とし、電荷蓄積絶縁膜4aをSiN膜とすることで実現可能である。本実施形態の選択成長は、第1実施形態の選択成長と同様に、インヒビタを用いて行ってもよい(
図7(a)~
図7(c)を参照)。
【0080】
次に、H
2Oを用いて電荷蓄積絶縁膜4a、4bを部分的に酸化する(
図15(a))。その結果、絶縁膜12の側方の電荷蓄積絶縁膜4b(例えばSiN膜)が酸化され、電荷蓄積絶縁膜4b内に複数の絶縁膜9(例えばSiO
2膜)が形成される。この際、電荷蓄積絶縁膜4bは、第1実施形態の電荷蓄積層4とは異なり、複数の電荷蓄積絶縁膜4bに分断されないように酸化される。このような酸化は例えば、酸化時間を短くすることで実現可能である。一方、
図10に示す半導体装置を製造する際には、電荷蓄積絶縁膜4bは、第1実施形態の電荷蓄積層4と同様に、複数の電荷蓄積絶縁膜4bに分断されるように酸化される。
【0081】
この酸化ではさらに、電荷蓄積絶縁膜4a(例えばSiN膜)内に絶縁膜3b(例えばSiO
2膜)が形成される。この酸化は電荷蓄積絶縁膜4aの凹部H2側の側面から進行するため、
図15(a)では、電荷蓄積絶縁膜4aの凹部H2側の側面に絶縁膜3bが形成されている。これにより、電荷蓄積絶縁膜4aの凹部H2側の側面の形状と、絶縁膜3bの凹部H2側の側面の形状が、凸型になる。電荷蓄積層4’は、この酸化により、凸型の形状の面S1と、テーパー形状(凹型の形状)の面S2とを有するように形成される(
図9を参照)。この酸化は、ラジカル酸化により行われてもよい。
【0082】
なお、この酸化は、H2O以外の酸化剤を用いて行われてもよい。このような酸化剤の例は、O2(酸素)、D2O(重水)、OHラジカル、ODラジカルなどである。ただし、Hは水素を表し、Dは重水素を表す。酸化剤の状態は、分子、原子、ラジカルのいずれでもよい。
【0083】
次に、各凹部H2内に絶縁膜3aを形成する(
図15(b))。その結果、各凹部H2内の絶縁膜3bの側面、絶縁膜12の上面、および絶縁膜12の下面に、絶縁膜3aが形成される。このようにして、各凹部H2内にブロック絶縁膜3’が形成される。本実施形態の絶縁膜3aは、コンフォーマルに形成されるため、凹部H2側に凸型の形状の側面を有するように形成される。
【0084】
次に、各凹部H2内にバリアメタル層11aおよび電極材層11bを順に形成する(
図15(b))。その結果、各凹部H2内にブロック絶縁膜3’を介して電極層11が形成され、複数の電極層11および複数の絶縁膜12を含む積層膜2が基板1上に形成される。
【0085】
その後、基板1上に種々のプラグ、配線層、層間絶縁膜などが形成される。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0086】
図16は、第2実施形態の第2変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0087】
図16に示す本変形例の半導体装置は、
図9(または
図10)に示す半導体装置と同様の構造を有している。ただし、本変形例では、電荷蓄積層4’の電極層11側の表面23の窒素濃度が、電荷蓄積層4’内の窒素濃度より高くなっている。表面23は、上述の面S1や面S2を含んでいる。例えば、電荷蓄積層4’の表面23の窒素濃度は、電荷蓄積層4’内の窒素濃度の2倍より高くなっていてもよい。
【0088】
図15(a)の工程で電荷蓄積絶縁膜4a、4bを部分的に酸化する際、電荷蓄積絶縁膜4aの一部が絶縁膜3bに変化し、かつ、電荷蓄積絶縁膜4bの一部が絶縁膜9’に変化する。この際、酸化前の絶縁膜3b、9’の領域に存在していた原子は、電荷蓄積層4’の表面23へと拡散する場合がある。その結果、
図16に示すように、電荷蓄積層4’の表面23の窒素濃度が、電荷蓄積層4’内の窒素濃度より高くなる。高濃度に窒素を含む表面23は例えば、電荷蓄積層4’内の信号電荷が表面23を通ってリークするのを抑制することができる。
【0089】
以上のように、本実施形態の各ブロック絶縁膜3’は、電極層11側に凸型の形状の側面を有している。また、本実施形態の電荷蓄積層4’は、膜厚T1’を有し、ブロック絶縁膜3’に接する面S1’を有する中心部と、膜厚T1’より薄い膜厚T2’を有し、面S1’と異なる面S2’を有する端部とを含んでいる。よって、本実施形態によれば、上述のように、好適な性能を有する電荷蓄積層4’を形成することが可能となる。
【0090】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0091】
1:基板、2:積層膜、3:ブロック絶縁膜、3’:ブロック絶縁膜、
3a:絶縁膜、3b:絶縁膜、3c:絶縁膜、4:電荷蓄積層、4’:電荷蓄積層、
4a:電荷蓄積絶縁膜、4b:電荷蓄積絶縁膜、5:トンネル絶縁膜、
6:チャネル半導体層、7:コア絶縁膜、8:絶縁膜、9:絶縁膜、9’:絶縁膜、
11:電極層、11a:バリアメタル層、11b:電極材層、12:絶縁膜、
21:犠牲層、22:インヒビタ領域、23:表面