(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033568
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ピトー管風速・風向観測装置
(51)【国際特許分類】
G01P 5/16 20060101AFI20240306BHJP
G01P 13/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01P5/16 C
G01P13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137218
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】522156106
【氏名又は名称】エスワイエス・エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梶村 武志
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034DA08
2F034DB20
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、観測機器として外気の雰囲気に設置し使用できるピトー管風速・風向観測装置を提供することである。
【解決手段】
本発明のピトー管風速・風向観測装置は、外気雰囲気に設置して使用する場合にピトー管の欠点となる測定穴詰を防止する穴詰防止手段を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、検出器と、前記基台に取付いた、ピトー管と、垂直尾翼と、穴詰防止手段と、を備え、前記検出器は、前記ピトー管の静圧と動圧を計測するものであり、
前記垂直尾翼の平片は前記基台の上面に直角に立設され、
前記基台の面は、前記垂直尾翼が風を受けて風向きに平行になるように水平方向で回転が可能であり、
前記垂直尾翼は、前記回転の軸に関して水平方向で片側又は非対称、且つ、前記垂直尾翼の前記平片又は前記平片の延長部は、前記回転の軸の延長線と略交差するように配置され、
静圧と動圧を測定するための測定穴を有する前記ピトー管は、前記ピトー管又は前記ピトー管の延長上で、前記回転の軸の延長線と略交差するように、且つ、前記測定穴のある先端の向きは、水平方向で前記垂直尾翼が主にある側とは反対方向を向いて配置されることで風に対し正対し、前記測定穴は、前記穴詰防止手段により穴詰防止がなされることを特徴とするピトー管風速・風向観測装置。
【請求項2】
前記穴詰防止手段として、前記ピトー管の上を覆う水濡れ防止の傘体を備えたことを特徴とする請求項1記載のピトー管風速・風向観測装置。
【請求項3】
前記穴詰防止手段として、前記ピトー管の前記測定穴に適度の時間間隔で高圧のエアを吹付ける手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のピトー管風速・風向観測装置。
【請求項4】
前記穴詰防止手段として、少なくとも前記ピトー管の前記測定穴付近に付着防止剤を施したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のピトー管風速・風向観測装置。
【請求項5】
前記付着防止剤は、フッ素コート剤又は光触媒塗料又は浸透性吸水防止剤であることを特徴とする請求項4記載のピトー管風速・風向観測装置。
【請求項6】
前記穴詰防止手段として、測定穴への虫詰まりを防止する虫詰防止手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のピトー管風速・風向観測装置。
【請求項7】
前記虫詰防止手段として、近づいた虫に対して電気的ショックを与えるものであることを特徴とする請求項6記載のピトー管風速・風向観測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピトー管を用いた風速・風向観測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のピトー管風速・風向測定装置を示す図である。
3-Aは、特許文献1に示されるものである。搭載された移動体が風に対して斜めになったことをスタビライザでその回転角を検出し、ピトー管を動かさずに数値補正するものである。3-Bは、特許文献2に示されるものである。搭載された移動体が風に対して斜めになったことをスタビライザでその回転角を検出し、回転に連動してピトー管を動かして風に向かうようにしたものである。移動体にピトー管を付設して、動圧と静圧から風速を測定する場合、測定装置が移動体を管理する者の近くに有る場合は、定期的にメンテナンスが可能であり問題が少ないのであるが、風速・風向観測装置として、管理者から遠隔に固定して設置されるように、測定装置が管理する者の近くにない場合は、メンテナンスが容易にできないという新たな課題を招来する。このため、ピトー管の圧力測定穴が詰まってしまい、動作不良となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭63-73670
【特許文献2】実全昭62-148960
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、容易に風に向かって正対し、ピトー管の圧力測定穴が詰まる課題を克服し、メンテナンスが容易なピトー管風速・風向観測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、ピトー管風速・風向観測装置であって、
基台と、検出器と、前記基台に取付いた、ピトー管と、垂直尾翼と、穴詰防止手段と、を備え、前記検出器は、前記ピトー管の静圧と動圧を計測するものであり、
前記垂直尾翼の平片は前記基台の上面に直角に立設され、
前記基台の面は、前記垂直尾翼が風を受けて風向きに平行になるように水平方向で回転が可能であり、
前記垂直尾翼は、前記回転の軸に関して水平方向で片側又は非対称、且つ、前記垂直尾翼の前記平片又は前記平片の延長部は、前記回転の軸の延長線と略交差するように配置され、
静圧と動圧を測定するための測定穴を有する前記ピトー管は、前記ピトー管又は前記ピトー管の延長上で、前記回転の軸の延長線と略交差するように、且つ、前記測定穴のある先端の向きは、水平方向で前記垂直尾翼が主にある側とは反対方向を向いて配置されることで風に対し正対し、前記測定穴は、前記穴詰防止手段により穴詰防止がなされることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のピトー管風速・風向観測装置において、
前記穴詰防止手段として、前記ピトー管の上を覆う水濡れ防止の傘体を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のピトー管風速・風向観測装置において、前記穴詰防止手段として、前記ピトー管の前記測定穴に適度の時間間隔で高圧のエアを吹付ける手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のピトー管風速・風向観測装置において、前記穴詰防止手段として、少なくとも前記ピトー管の前記測定穴付近に付着防止剤を施したことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のピトー管風速・風向観測装置において、
前記付着防止剤は、フッ素コート剤又は光触媒塗料又は浸透性吸水防止剤であることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のピトー管風速・風向観測装置において、
前記穴詰防止手段として、測定穴への虫詰まりを防止する虫詰防止手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のピトー管風速・風向観測装置において、
前記虫詰防止手段として、近づいた虫に対して電気的ショックを与えるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の様に構成されているので、本発明によるピトー管風速・風向観測装置では、ピトー管の圧力測定穴が詰まる課題を克服し、メンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明にかかるピトー管風速・風向観測装置の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかるピトー管風速・風向観測装置の他の一実施態様を示す図である。
【
図3】従来のピトー管風速・風向測定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明にかかるピトー管風速・風向観測装置の一実施態様を示す図である。
ピトー管風速・風向観測装置は、
基台140と、検出器120と、基台140に取付いた、ピトー管110と、垂直尾翼130と、穴詰防止手段150と、を備え、検出器120は、ピトー管110の静圧と動圧を計測するものであり、
垂直尾翼130の平片は基台140の上面に直角に立設され、
基台140の面は、垂直尾翼130が風を受けて風向きに平行になるように水平方向で回転が可能であり、
垂直尾翼130は、回転の軸に関して水平方向で片側又は非対称、且つ、垂直尾翼130の平片又は平片の延長部は、回転の軸の延長線と略交差するように配置され、
静圧と動圧を測定するための測定穴を有するピトー管110は、ピトー管110又はその延長上で、回転の軸の延長線と略交差するように、且つ、測定穴のある先端の向きは、水平方向で垂直尾翼130が主にある側とは反対方向を向いて配置されることで風に対し正対し、測定穴は、穴詰防止手段により穴詰防止がなされるように構成されている。
【0015】
穴詰防止手段150としては、以下のことが適用できる。穴詰の原因は、埃等の粉体付着、カビの発生、苔の発生がある。これらの促進要因としては、濡れや水分付着がある。
濡れや水分付着対策としての穴詰防止手段150は、雨対策として、ピトー管110の上を覆う水濡れ防止の傘体151が簡単でよい。次に、埃等の粉体付着、カビの発生、苔の発生対策として、適度の時間間隔で高圧のエアの吹付けを行うことで、付着を防止できる。尚、吹付時は、風速の測定を一時中止する。又、少なくともピトー管110の測定穴付近を被覆する付着防止剤も利用できる。付着防止剤としては、フッ素コート剤、光触媒塗料、浸透性吸水防止剤がある。
穴詰防止手段150としては、虫の付着、侵入による穴詰を防止するために、虫詰防止手段を有して、近づいた虫に対して電気的ショックを与える手段を利用できる。
【0016】
尚、検出器120は、静圧と動圧を測定する圧力検出の回路となるので、駆動制御の電源として、ソーラー電源160を備えるのが好ましい。測定された風速データを遠隔の管理センターや風速表示器に通信で送付する発信機等の通信手段があるとよい。
更に、風速は、ピトー管110により測定されるが、風向は、垂直尾翼130によって風の流れに向いた角度を(ロータリー)ポテンシオメータ等で角度検出をしている。
【0017】
図2は、本発明にかかるピトー管風速・風向観測装置の他の一実施態様を示す図である。
2-Aでは、垂直尾翼130が回転の軸に関して水平方向で非対称の場合であり、2-Bでは、ピトー管110の配置が
図1と違うものであるが、ピトー管の向きは
図1と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように本発明にかかるピトー管風速・風向観測装置は、穴詰防止手段を備えて測定穴詰を防止するので、観測機器として外気の雰囲気に設置し使用できるので、産業上利用して極めて好都合である。
【符号の説明】
【0019】
110 ピトー管
120 検出器
130 垂直尾翼
140 基台
150 穴詰防止手段
151 水濡れ防止の傘体
160 ソーラー電源