(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033588
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/12 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
F04B39/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137251
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】並木 謙
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】田邊 昭則
(72)【発明者】
【氏名】小西 貴史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆容
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 善崇
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AC03
3H003AD01
3H003CD01
3H003CE02
(57)【要約】
【課題】隣り合うハウジング構成体の等電位化及び組み付けを容易に実施できる電動圧縮機を提供すること。
【解決手段】電動圧縮機10は、圧縮部30と、電動モータ40と、インバータ50と、金属製のハウジング構成体を複数有しているハウジング11と、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の間に設けられた絶縁性を有する第1シール部材61と、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化する金属製の等電位化部材70と、を備えている。第1ハウジング構成体81の合わせ面のうち第1シール部材61のない部位には、第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qが形成されている。等電位化部材70は、第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに挿入される挿入部71と、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面の両方に接触する接触部72と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するインバータと、
前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータが収容されるとともに、金属製のハウジング構成体を複数有しているハウジングと、
隣り合う前記ハウジング構成体の間に設けられた絶縁性を有するシール部材と、
隣り合う前記ハウジング構成体の両方に接触させることにより隣り合う前記ハウジング構成体を等電位化する金属製の等電位化部材と、を備え、
隣り合う前記ハウジング構成体は、前記シール部材を挟む合わせ面を有している電動圧縮機であって、
隣り合う前記ハウジング構成体のいずれかの前記合わせ面のうち前記シール部材のない部位には、挿入孔が形成され、
前記等電位化部材は、
前記挿入孔に挿入される挿入部と、
対向する前記合わせ面の間に延びる板状の部位であり、且つ対向する前記合わせ面の両方に接触する接触部と、を有することを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記接触部は、対向する前記合わせ面同士を離れさせる方向に弾性力を発生させるばね構造を有している、請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記接触部は、
前記挿入部に連続して設けられ、前記挿入孔が形成されていない前記合わせ面に接触する第1板部と、
前記第1板部に対して屈曲することにより前記第1板部とともに前記ばね構造を形成し、且つ前記挿入孔が形成された前記合わせ面に接触する第2板部と、を有する、請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記接触部は、
前記挿入部に連続して設けられ、前記挿入孔が形成された前記合わせ面に接触する第1板部と、
前記第1板部に対して屈曲することにより前記第1板部とともに前記ばね構造を形成し、且つ前記挿入孔が形成されていない前記合わせ面に接触する第2板部と、を有する、請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記挿入部は、薄板を円筒状に湾曲させることにより形成され、
前記挿入部の外周面は、弾性力によって前記挿入孔の内周面に面接触しつつ押し付けられている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記挿入部は、
前記外周面を有する第1筒部と、
前記第1筒部と一体形成され、前記挿入部の軸方向において前記接触部から離れるほど徐々に外径が小さくなる第2筒部と、を有する、請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記接触部は、対向する前記合わせ面の両方に面接触する、請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、圧縮部と、電動モータと、インバータと、ハウジングと、シール部材と、を備えている。圧縮部は、流体を圧縮する。電動モータは、圧縮部を駆動する。インバータは、電動モータを駆動する。ハウジングには、圧縮部、電動モータ、及びインバータが収容されている。ハウジングは、金属製のハウジング構成体を複数有している。シール部材は、隣り合うハウジング構成体の間に設けられている。シール部材は、絶縁性を有している。隣り合うハウジング構成体は、シール部材を挟み込む合わせ面を有している。
【0003】
隣り合うハウジング構成体は、シール部材により絶縁されている。このため、例えば、特許文献1に記載の電動圧縮機は、シール部材により絶縁されている隣り合うハウジング構成体に接触することにより隣り合うハウジング構成体を等電位化する金属製の等電位化部材が採用されている。特許文献1に記載の電動圧縮機において、隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面のうちシール部材のない部位には、対向する挿入孔が形成されている。等電位化部材は、対向する挿入孔に挿入されている。等電位化部材は、挿入孔の内周面に接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
隣り合うハウジング構成体を組み付ける際に、例えば一方の挿入孔に等電位化部材の一端を挿入した後、他方の挿入孔に等電位化部材の他端を挿入することが考えられる。また、隣り合うハウジング構成体を組み付ける際に、例えば対向する挿入孔に同時に等電位化部材を挿入することが考えられる。
【0006】
ところで、隣り合うハウジング構成体の組み付けは、等電位化部材が挿入孔に挿入されているか否かを確認しながら実施する必要がある。よって、隣り合うハウジング構成体を、等電位化しつつ組み付けるのに手間がかかる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータと、前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータが収容されるとともに、金属製のハウジング構成体を複数有しているハウジングと、隣り合う前記ハウジング構成体の間に設けられた絶縁性を有するシール部材と、隣り合う前記ハウジング構成体の両方に接触させることにより隣り合う前記ハウジング構成体を等電位化する金属製の等電位化部材と、を備え、隣り合う前記ハウジング構成体は、前記シール部材を挟む合わせ面を有している電動圧縮機であって、隣り合う前記ハウジング構成体のいずれかの前記合わせ面のうち前記シール部材のない部位には、挿入孔が形成され、前記等電位化部材は、前記挿入孔に挿入される挿入部と、対向する前記合わせ面の間に延びる板状の部位であり、且つ対向する前記合わせ面の両方に接触する接触部と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、隣り合うハウジング構成体を組み付ける場合、一方のハウジング構成体に形成された挿入孔に等電位化部材の挿入部を挿入した状態にする。すると、隣り合うハウジング構成体を組み付けた際に互いに対向する合わせ面に接触部が成り行きで挟み込まれることにより、両合わせ面に接触する。つまり、等電位化部材の位置を確認しながら隣り合うハウジング構成体を組み付けしなくても、隣り合うハウジング構成体を、等電位化しつつ組み付けることができる。よって、隣り合うハウジング構成体の等電位化及び組み付けを容易に実施できる。
【0009】
上記の電動圧縮機において、前記接触部は、対向する前記合わせ面同士を離れさせる方向に弾性力を発生させるばね構造を有しているとよい。
上記の電動圧縮機において、前記接触部は、前記挿入部に連続して設けられ、前記挿入孔が形成されていない前記合わせ面に接触する第1板部と、前記第1板部に対して屈曲することにより前記第1板部とともに前記ばね構造を形成し、且つ前記挿入孔が形成された前記合わせ面に接触する第2板部と、を有するとよい。
【0010】
上記の電動圧縮機において、前記接触部は、前記挿入部に連続して設けられ、前記挿入孔が形成された前記合わせ面に接触する第1板部と、前記第1板部に対して屈曲することにより前記第1板部とともに前記ばね構造を形成し、且つ前記挿入孔が形成されていない前記合わせ面に接触する第2板部と、を有するとよい。
【0011】
上記構成によれば、接触部はばね構造を有している。このため、シール部材の締め代を確保するために接触部の厚さの管理をしなくても、シール部材の締め代が確保されるまで、隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面により接触部を押し潰す余地がある。よって、隣り合うハウジング構成体を組み付ける際に、シール部材の締め代の確保が容易となる。
【0012】
また、隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面には、押し潰された接触部の弾性力により接触部が圧着される。このため、隣り合うハウジング構成体を組み付ける際に、接触部の合わせ面に対する接触状態を精密に管理しなくても、接触部の弾性力により隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面と接触部とが接触した状態を確保できる。よって、隣り合うハウジング構成体が等電位化した状態を維持しやすい。したがって、隣り合うハウジング構成体を組み付ける際のシール部材の締め代の確保を容易にしつつ、隣り合うハウジング構成体が等電位化した状態を維持しやすくなる。
【0013】
上記の電動圧縮機において、前記挿入部は、薄板を円筒状に湾曲させることにより形成され、前記挿入部の外周面は、弾性力によって前記挿入孔の内周面に面接触しつつ押し付けられているとよい。
【0014】
上記構成によれば、挿入孔の内周面に挿入部の外周面が面接触している。このため、隣り合うハウジング構成体と等電位化部材との接触面積を確保しやすい。したがって、隣り合うハウジング構成体の等電位化をより確実に実施できる。
【0015】
また、挿入部の弾性力により挿入部の外周面が挿入孔の内周面に押し付けられている。このため、隣り合うハウジング構成体を組み付ける際に、一方のハウジング構成体から等電位化部材が脱落することを抑制できる。
【0016】
上記の電動圧縮機において、前記挿入部は、前記外周面を有する第1筒部と、前記第1筒部と一体形成され、前記挿入部の軸方向において前記接触部から離れるほど徐々に外径が小さくなる第2筒部と、を有するとよい。
【0017】
上記構成によれば、等電位化部材の挿入部を挿入孔に挿入する際に、第2筒部が挿入孔の内周面に沿ってガイドされる。よって、等電位化部材の挿入部を挿入孔に対してスムーズに挿入することができる。したがって、一方のハウジング構成体に対する等電位化部材の組み付けを容易に実施できる。
【0018】
上記の電動圧縮機において、前記接触部は、対向する前記合わせ面の両方に面接触するとよい。
上記構成によれば、接触部が両合わせ面に面接触することにより、隣り合うハウジング構成体と等電位化部材との接触面積を確保しやすい。したがって、隣り合うハウジング構成体の等電位化をより確実に実施できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、隣り合うハウジング構成体の等電位化及び組み付けを容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】第1実施形態における等電位化部材の斜視図である。
【
図4】第1等電位化部材の配置を示す断面図である。
【
図5】第2等電位化部材の配置を示す断面図である。
【
図6】第2実施形態における等電位化部材の斜視図である。
【
図7】第2実施形態における第1等電位化部材の配置を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態における第2等電位化部材の配置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、電動圧縮機をスクロール型電動圧縮機に具体化した第1実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。なお、本実施形態の電動圧縮機は、車両に搭載されるとともに車両空調装置に用いられる。
【0022】
<電動圧縮機>
図1に示すように、電動圧縮機10は、筒状のハウジング11と、回転軸20と、圧縮部30と、電動モータ40と、インバータ50と、第1シール部材61と、第2シール部材62と、を備えている。回転軸20、圧縮部30、電動モータ40、及びインバータ50は、ハウジング11に収容されている。
【0023】
ハウジング11は、第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、第3ハウジング構成体83、第4ハウジング構成体84、及び第5ハウジング構成体85を有している。第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、第3ハウジング構成体83、第4ハウジング構成体84、及び第5ハウジング構成体85は、例えば、アルミニウム製である。第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、第3ハウジング構成体83、第4ハウジング構成体84、及び第5ハウジング構成体85は、ハウジング11を構成するハウジング構成部材である。したがって、ハウジング11は、金属製のハウジング構成体を複数有している。第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、及び第3ハウジング構成体83は、モータ収容室S1及び圧縮部収容室S2を形成している。モータ収容室S1には、電動モータ40が収容される。圧縮部収容室S2には、圧縮部30が収容される。第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、及び第3ハウジング構成体83には、流体としての冷媒を圧縮部30に吸入するための吸入通路90が形成されている。第4ハウジング構成体84及び第5ハウジング構成体85は、インバータ収容室S3を形成している。インバータ収容室S3には、インバータ50が収容される。
【0024】
圧縮部30は、冷媒を圧縮する。圧縮部30は、例えば、図示しない固定スクロール及び可動スクロールから構成されるスクロール式である。圧縮部30には、回転軸20の第1端部21が連結されている。電動モータ40は、回転軸20を回転させる。回転軸20の回転に伴い圧縮部30で冷媒が圧縮される。電動モータ40は、圧縮部30を駆動する。インバータ50は、電動モータ40を駆動する。
【0025】
<各ハウジング構成体、第1シール部材、第2シール部材>
第1ハウジング構成体81は、板状の端壁81aと、筒状の周壁81bと、複数の取付足81cと、を有している。周壁81bは、端壁81aの外周部から延びている。周壁81bの軸方向は、回転軸20の軸方向に一致している。取付足81cは、電動圧縮機10を車体に取り付けるときにボルトが挿入される部位である。
【0026】
第1ハウジング構成体81は、吸入口81dを有している。吸入口81dは、冷媒を吸入する。吸入口81dは、周壁81bにおける端壁81a側に位置する部分に形成されている。吸入口81dは、第1ハウジング構成体81の内外を連通している。
【0027】
第1ハウジング構成体81は、円筒状のボス部81eを有している。ボス部81eは、端壁81aの内面の中央部から突出している。回転軸20の第2端部22は、ボス部81e内に挿入されている。電動圧縮機10は、軸受81fを備えている。軸受81fは、例えば、転がり軸受である。軸受81fは、ボス部81eの内周面と回転軸20の第2端部22の外周面との間に設けられている。そして、回転軸20の第2端部22は、軸受81fを介して第1ハウジング構成体81に回転可能に支持されている。
【0028】
第1ハウジング構成体81は、開口端面81gを有している。開口端面81gは、周壁81bにおける端壁81aとは反対側に位置する端面である。開口端面81gは、第1ハウジング構成体81における周壁81bの軸線に直交する方向に延びている。
【0029】
第1ハウジング構成体81は、雌ねじ溝81hを複数有している。各雌ねじ溝81hは、開口端面81gに形成されている。
図1では、説明の都合上、雌ねじ溝81hを1つだけ図示している。
【0030】
図1及び
図2に示すように、第1ハウジング構成体81は、溝81jを有している。溝81jは、吸入通路90の一部を形成している。溝81jは、第1ハウジング構成体81における周壁81bの内周面に形成されている。溝81jは、開口端面81gに開口している。溝81jは、円弧面81mを有している。円弧面81mは、溝81jを区画する面のうち回転軸20から最も離れた面である。なお、溝81jは、図示しないが第1ハウジング構成体81に複数設けられている。
図1及び
図2には、説明の都合上、溝81jを1つだけ図示している。
【0031】
図2に示すように、溝81jは、第1ハウジング構成体81における周壁81bの周方向に延びる円弧状である。第1ハウジング構成体81は、延設壁部81kを有している。延設壁部81kは、溝81jの円弧面81mから周壁81bの内側に向けて延設されている。延設壁部81kは、円弧面81mの一部に設けられている。
【0032】
図1に示すように、延設壁部81kは、軸端面81nを有している。軸端面81nは、延設壁部81kにおける端壁81aとは反対側に位置する端面である。軸端面81nは、開口端面81gに面一である。
【0033】
第1ハウジング構成体81は、第1挿入孔81pと、第2挿入孔81qと、を有している。第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qは、円形孔である。第1挿入孔81pは、延設壁部81kの軸端面81nに形成されている。第1挿入孔81pは、延設壁部81kを厚さ方向に貫通していない。第2挿入孔81qは、開口端面81gに形成されている。第2挿入孔81qは、
図1に示された雌ねじ溝81hと回転軸20の径方向において隣り合っている。第2挿入孔81qは、
図1に示された雌ねじ溝81hよりも回転軸20に近い位置に設けられている。第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qは、回転軸20の径方向において互いに対称的な位置に設けられている。
【0034】
図4に示すように、第1挿入孔81pは、内周面81rと、テーパ面81sと、を有している。内周面81rは、円筒面である。テーパ面81sは、第1挿入孔81pを形成したときの面取り箇所である。テーパ面81sは、第1挿入孔81pの入口に位置している。
【0035】
図5に示すように、第2挿入孔81qは、内周面81tと、テーパ面81uと、を有している。内周面81tは、円筒面である。テーパ面81uは、第2挿入孔81qを形成したときの面取り箇所である。テーパ面81uは、第2挿入孔81qの入口に位置している。
【0036】
図1に示すように、第2ハウジング構成体82は、板状の端壁82aと、筒状の周壁82bと、円環状のフランジ壁82cと、を有している。周壁82bは、端壁82aの外周部から延びている。周壁82bの軸方向は、回転軸20の軸方向に一致している。フランジ壁82cは、周壁82bにおける端壁82aとは反対側の端部の外周面から回転軸20の径方向外側に向けて延びている。
【0037】
第2ハウジング構成体82は、円孔状の挿通孔82dを有している。挿通孔82dは、端壁82aの中央部に形成されている。挿通孔82dは、端壁82aを厚さ方向に貫通している。挿通孔82dには、回転軸20が挿通されている。回転軸20の第1端部21は、周壁82bの内側に位置している。電動圧縮機10は、軸受82eを備えている。軸受82eは、例えば、転がり軸受である。軸受82eは、周壁82bの内周面と回転軸20の第1端部21の外周面との間に設けられている。そして、回転軸20の第1端部21は、軸受82eを介して第2ハウジング構成体82に回転可能に支持されている。回転軸20は、ハウジング11に回転可能に支持されている。
【0038】
フランジ壁82cは、第1面82fと、第2面82gと、を有している。第1面82f及び第2面82gは、フランジ壁82cの厚さ方向に位置する平面である。第1面82fは、フランジ壁82cにおける端壁82a側の面である。第2面82gは、フランジ壁82cにおける端壁82aとは反対側に位置する面である。
【0039】
第2ハウジング構成体82は、ボルト挿通孔82hを複数有している。各ボルト挿通孔82hは、フランジ壁82cに形成されている。各ボルト挿通孔82hは、フランジ壁82cを厚さ方向に貫通している。
図1では、説明の都合上、ボルト挿通孔82hを1つだけ図示している。
【0040】
第2ハウジング構成体82は、連通孔82jを複数有している。各連通孔82jは、吸入通路90の一部を形成している。各連通孔82jは、フランジ壁82cを厚さ方向に貫通している。
図1では、説明の都合上、連通孔82jを1つだけ図示している。
図1に示された連通孔82jと、
図1に示されたボルト挿通孔82hとは、回転軸20の径方向において互いに対称的な位置に設けられている。
図2に示すように、連通孔82jは、第2ハウジング構成体82におけるフランジ壁82cの周方向に延びる円弧状である。
【0041】
図1に示すように、第1ハウジング構成体81の周壁81b及び延設壁部81kと、第2ハウジング構成体82のフランジ壁82cとは、第1シール部材61を介して突き合されている。第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82は、隣り合うハウジング構成体である。第1ハウジング構成体81における各雌ねじ溝81hは、第2ハウジング構成体82における各ボルト挿通孔82hと対向している。第1ハウジング構成体81における各溝81jは、第2ハウジング構成体82における各連通孔82jと対向している。
【0042】
図2に示すように、溝81jと連通孔82jとが対向している状態において、延設壁部81kの一部が1つの連通孔82jの一部に対向するように配置されている。延設壁部81kは、1つの連通孔82jと、当該連通孔82jと対向する1つの溝81jとが少なくとも連通するように設けられている。
【0043】
図1に示すように、第1シール部材61は、ガスケットである。第1シール部材61は、絶縁性を有するシール部材である。第1シール部材61は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の間に設けられている。第1シール部材61は、回転軸20の軸方向において、第1ハウジング構成体81における開口端面81g及び軸端面81nと、第2ハウジング構成体82における第1面82fとの間に設けられている。開口端面81g及び軸端面81nと、第1面82fとは、第1シール部材61を挟む合わせ面である。第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82は、第1シール部材61を挟む合わせ面を有している。
【0044】
第1シール部材61は、第1ハウジング構成体81の開口端面81gにおける回転軸20の径方向で最も外側の部位の全周に設けられている。第1シール部材61は、第1ハウジング構成体81の各溝81jよりも回転軸20の径方向外側に設けられている。第1シール部材61は、各溝81jを覆っていない。第1シール部材61は、軸端面81nを覆っていない。軸端面81nは、第1ハウジング構成体81の合わせ面のうち第1シール部材61がない部位である。第1シール部材61は、第1挿入孔81pを覆っていない。第1シール部材61は、第2挿入孔81qを覆っていない。第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qは、第1ハウジング構成体81の合わせ面のうち第1シール部材61のない部位に形成された挿入孔である。第1シール部材61は、ボルト挿通孔61aを複数有している。各ボルト挿通孔61aは、各雌ねじ溝81hに連通している。
図1では、説明の都合上、ボルト挿通孔61aを1つだけ図示している。
【0045】
第1シール部材61は、第2ハウジング構成体82の第1面82fにおける回転軸20の径方向で最も外側の部位の全周に設けられている。第1シール部材61は、第2ハウジング構成体82の各連通孔82jよりも回転軸20の径方向外側に設けられている。第1シール部材61は、各連通孔82jを覆っていない。第1シール部材61の各ボルト挿通孔61aは、各ボルト挿通孔82hに連通している。第1シール部材61は、各ボルト挿通孔82hを覆っていない。
【0046】
第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82とを第1シール部材61を介して突き合せることにより、モータ収容室S1が形成される。モータ収容室S1は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82により区画されている。モータ収容室S1は、吸入口81dと連通している。モータ収容室S1には、吸入口81dからの冷媒が吸入される。
【0047】
第3ハウジング構成体83は、板状の端壁83aと、筒状の周壁83bと、複数の取付足83cと、を有している。周壁83bは、端壁83aの外周部から延びている。周壁83bの軸方向は、回転軸20の軸方向に一致している。周壁83bは、圧縮部30を囲繞している。取付足83cは、電動圧縮機10を車体に取り付けるときにボルトが挿入される部位である。
【0048】
第3ハウジング構成体83は、吐出室形成凹部83dを有している。吐出室形成凹部83dは、回転軸20の軸方向において端壁83aの一部を圧縮部30から離すように凹ませることにより形成される。吐出室形成凹部83dと圧縮部30とにより区画されることにより吐出室S4が形成される。吐出室S4は、吐出室形成凹部83dと図示しない固定スクロールとにより区画される。
【0049】
第3ハウジング構成体83は、開口端面83eを有している。開口端面83eは、周壁83bにおける端壁83aとは反対側に位置する端面である。開口端面83eは、第3ハウジング構成体83における周壁83bの軸線に直交する方向に延びている。
【0050】
第3ハウジング構成体83は、ボルト挿通孔83fを複数有している。各ボルト挿通孔83fは、開口端面83eに形成されている。
図1では、説明の都合上、ボルト挿通孔83fを1つだけ図示している。
【0051】
第3ハウジング構成体83は、溝83gを複数有している。各溝83gは、吸入通路90の一部を形成している。各溝83gは、第3ハウジング構成体83における周壁83bの内周面に形成されている。各溝83gは、開口端面83eに開口している。
図1には、説明の都合上、溝83gを1つだけ図示している。
【0052】
第2ハウジング構成体82のフランジ壁82cと、第3ハウジング構成体83の周壁83bとは、第2シール部材62を介して突き合されている。第2ハウジング構成体82における各ボルト挿通孔82hは、第3ハウジング構成体83における各ボルト挿通孔83fと対向している。第2ハウジング構成体82における各連通孔82jは、第3ハウジング構成体83における各溝83gと対向している。
【0053】
第2シール部材62は、ガスケットである。第2シール部材62は、絶縁性を有している。第2シール部材62は、第2ハウジング構成体82及び第3ハウジング構成体83の間に設けられている。第2シール部材62は、第2ハウジング構成体82における第2面82gと、第3ハウジング構成体83の開口端面83eとの間に設けられている。
【0054】
第2シール部材62は、第2ハウジング構成体82の第2面82gにおける回転軸20の径方向で最も外側の部位の全周に設けられている。第2シール部材62は、第2ハウジング構成体82の各連通孔82jよりも回転軸20の径方向外側に設けられている。第2シール部材62は、各連通孔82jを覆っていない。第2シール部材62は、ボルト挿通孔62aを複数有している。各ボルト挿通孔62aは、各ボルト挿通孔82hに連通している。
図1では、説明の都合上、ボルト挿通孔62aを1つだけ図示している。
【0055】
第2シール部材62は、第3ハウジング構成体83の開口端面83eにおける回転軸20の径方向で最も外側の部位の全周に設けられている。第2シール部材62は、第3ハウジング構成体83の各溝83gよりも回転軸20の径方向外側に設けられている。第2シール部材62は、各溝83gを覆っていない。第2シール部材62の各ボルト挿通孔62aは、各ボルト挿通孔83fに連通している。第2シール部材62は、各ボルト挿通孔83fを覆っていない。
【0056】
第2ハウジング構成体82と第3ハウジング構成体83とを第2シール部材62を介して突き合せることにより、圧縮部収容室S2が形成される。圧縮部収容室S2は、第2ハウジング構成体82及び第3ハウジング構成体83により区画されている。第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、及び第3ハウジング構成体83が回転軸20の軸方向で突き合わされることにより、各溝81jと、各連通孔82jと、各溝83gとにより吸入通路90が形成される。
【0057】
第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、及び第3ハウジング構成体83が回転軸20の軸方向で突き合された状態において、ボルトB1が、各ボルト挿通孔83f,62a,82h,61aに挿通される。各ボルト挿通孔83f,62a,82h,61aの内径は、ボルトB1の直径よりも大きい。ボルトB1の先端は、第1ハウジング構成体81の各雌ねじ溝81hに螺合される。ボルトB1は、第1ハウジング構成体81及び第3ハウジング構成体83に接触する一方で、第2ハウジング構成体82に接触していない。ボルトB1の締結力により第1シール部材61及び第2シール部材62が圧縮される。第1シール部材61は、第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82との間をシールする。第2シール部材62は、第2ハウジング構成体82と第3ハウジング構成体83との間をシールする。圧縮部収容室S2には、モータ収容室S1に吸入された冷媒が吸入通路90を介して導入される。このとき、第1シール部材61及び第2シール部材62により吸入通路90を通過する冷媒がハウジング11の外部に洩れない。圧縮部収容室S2に導入された冷媒を圧縮部30が圧縮した後、圧縮部30が吐出室S4に向けて圧縮した冷媒を吐出する。
【0058】
第4ハウジング構成体84は、板状の端壁84aと、筒状の周壁84bと、開口端面84cと、を有している。周壁84bは、端壁84aの外周部から延びている。開口端面84cは、周壁84bにおける端壁84aとは反対側に位置する端面である。開口端面84cは、第4ハウジング構成体84における周壁84bの軸線に直交する方向に延びている。第4ハウジング構成体84の端壁84aは、回転軸20の軸方向において第1ハウジング構成体81の端壁81aに突き合されている。第1ハウジング構成体81と第4ハウジング構成体84との間には、図示しない絶縁性を有するガスケットが設けられている。
【0059】
第5ハウジング構成体85は、第4ハウジング構成体84における周壁84bの開口端面84cに突き合されている。本実施形態のハウジング11は、全てのハウジング構成体を回転軸20の軸方向に重ね合わせることにより形成されている。第4ハウジング構成体84と第5ハウジング構成体85とを突き合せることによりインバータ収容室S3が形成される。インバータ収容室S3は、第4ハウジング構成体84及び第5ハウジング構成体85により区画されている。第4ハウジング構成体84と第5ハウジング構成体85との間には、図示しない絶縁性を有するガスケットが設けられている。第4ハウジング構成体84及び第5ハウジング構成体85は、図示しないボルトにより固定されている。なお、第5ハウジング構成体85と第1ハウジング構成体81とは、図示しないボルトにより固定される。当該ボルトは、第4ハウジング構成体84に接触しないように設けられている。
【0060】
<等電位化部材>
電動圧縮機10は、2つの等電位化部材70を備えている。各等電位化部材70は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の両方に接触させることにより第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化する金属製の部材である。等電位化部材70は、例えば、真鍮製である。等電位化部材70は、例えば、銅製であってもよい。
【0061】
図3に示すように、各等電位化部材70は、1枚の薄板により形成されている。各等電位化部材70は、筒状の挿入部71と、円板状の接触部72と、を有している。挿入部71は、薄板を円筒状に湾曲させることにより形成されている。接触部72は、挿入部71における軸方向の第1端から挿入部71における径方向外側に向けて延びている。各等電位化部材70には、隙間Gが形成されている。隙間Gは、挿入部71における軸方向の第2端から接触部72における外縁に至るまで延びている。挿入部71は、挿入部71の周方向において隙間Gの間隔が小さくなるほど挿入部71の径方向において挿入部71の外径が小さくなる。挿入部71は、挿入部71の径方向において弾性変形可能なばね構造である。
【0062】
図4及び
図5に示すように、各等電位化部材70の挿入部71は、第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに挿入されている。挿入部71は、第1筒部71aと、第2筒部71bと、を有している。第1筒部71aには、接触部72が連続している。第1筒部71aは、外周面711aを有している。挿入部71は、外周面711aを有している。挿入部71の外周面711aは、挿入部71の軸方向において外径が一定の円筒面である。挿入部71の外周面711aの外径は、挿入部71が第1挿入孔81p又は第2挿入孔81qに挿入される前の状態において、第1挿入孔81pの内周面81rの内径及び第2挿入孔81qの内周面81tの内径よりも大きい。挿入部71を第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに挿入すると、
図3に記載の等電位化部材70の隙間Gが挿入部71の周方向において小さくなる。このため、挿入部71の外周面711aは、挿入部71の弾性力により第1挿入孔81pの内周面81r及び第2挿入孔81qの内周面81tに面接触しつつ押し付けられている。
【0063】
第2筒部71bは、第1筒部71aにおける接触部72とは反対側に設けられている。第2筒部71bは、第1筒部71aと一体形成されている。第2筒部71bは、円錐面711bを有している。円錐面711bは、第2筒部71bの外面である。円錐面711bは、第1筒部71aの外周面711aに連続している。円錐面711bは、挿入部71の軸方向において接触部72から離れるほど徐々に外径が小さくなる傾斜面である。第2筒部71bは、挿入部71の軸方向において接触部72から離れるほど徐々に外径が小さくなる。
【0064】
第1挿入孔81pに挿入される挿入部71を有する等電位化部材70を第1等電位化部材701とする。第2挿入孔81qに挿入される挿入部71を有する等電位化部材70を第2等電位化部材702とする。
【0065】
図4に示すように、第1等電位化部材701の接触部72は、一部分が第2ハウジング構成体82の連通孔82jに対向している。第1等電位化部材701の接触部72は、第2ハウジング構成体82の連通孔82jと対向していない部分が第2ハウジング構成体82の第1面82fと、第1ハウジング構成体81の軸端面81nとの間に延びている。第1等電位化部材701の接触部72における第2ハウジング構成体82の連通孔82jと対向していない部分は、第1面82f及び軸端面81nの両方に接触している。
【0066】
図5に示すように、第2等電位化部材702の接触部72は、第2ハウジング構成体82の第1面82fと、第1ハウジング構成体81の開口端面81gとの間に延びている。第2等電位化部材702の接触部72は、第1面82f及び開口端面81gの両方に接触している。
【0067】
図4及び
図5に示すように、等電位化部材70の接触部72は、隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面の間に延びる部位であり、且つ対向する合わせ面の両方に接触する。
【0068】
図3に示すように、等電位化部材70の接触部72は、第1板部721と、第2板部722と、を有している。第1板部721は、挿入部71と連続して設けられている。第1板部721は、円板状である。第1板部721は、平板状である。第1板部721は、挿入部71における軸方向の第1端から挿入部71の径方向外側に向けて延びている。第2板部722は、第1板部721の外縁に連続している。
【0069】
第2板部722は、円錐板部722aと、円板部722bと、を有している。円錐板部722aは、第1板部721に連続している。円錐板部722aは、第1板部721の外縁から挿入部71における軸方向の第2端に向かうほど挿入部71の径方向外側に向けて延びている。円錐板部722aは、挿入部71の軸方向に対して傾斜している。円錐板部722aは、第1板部721に対して屈曲している。円錐板部722aは、第1板部721とともに挿入部71の軸方向に弾性変形可能なばね構造を形成している。第2板部722は、第1板部721に対して屈曲することにより第1板部721とともにばね構造を形成している。
【0070】
円板部722bは、円錐板部722aに連続している。円板部722bは、平板状である。円板部722bは、円錐板部722aの外縁から挿入部71の径方向外側に向けて延びている。円板部722bは、第1板部721と同じ方向に延びている。円板部722bは、円錐板部722aに対して屈曲している。円板部722bは、円錐板部722aとともに挿入部71の軸方向に弾性変形可能なばね構造を形成している。第2板部722は、単独で挿入部71の軸方向に弾性変形可能なばね構造を有している。
【0071】
図4に示すように、第1等電位化部材701の接触部72において、第1板部721の一部は、第2ハウジング構成体82の第1面82fに面接触している。第1等電位化部材701の接触部72において、第2板部722の円板部722bは、第1ハウジング構成体81の軸端面81nに面接触している。第2板部722の円板部722bは、挿入部71の径方向において、第1挿入孔81pのテーパ面81sから離れた位置で軸端面81nに面接触している。
【0072】
図5に示すように、第2等電位化部材702の接触部72において、第1板部721は、第2ハウジング構成体82の第1面82fに面接触している。第2等電位化部材702の接触部72において、第2板部722の円板部722bは、第1ハウジング構成体81の開口端面81gに面接触している。第2板部722の円板部722bは、挿入部71の径方向において、第2挿入孔81qのテーパ面81uから離れた位置で開口端面81gに面接触している。
【0073】
図4及び
図5に示すように、第1板部721と第2板部722とにより形成されるばね構造、及び第2板部722のばね構造は、
図1に示すボルトB1の締結力により挿入部71の軸方向で圧縮された状態となる。よって、第1板部721は、接触部72の弾性力により第2ハウジング構成体82の第1面82fに押し付けられる。第1板部721は、隣り合うハウジング構成体における挿入孔が形成されていない合わせ面に接触する。
【0074】
第2板部722は、接触部72の弾性力により第1ハウジング構成体81の開口端面81g及び軸端面81nに押し付けられる。第2板部722は、隣り合うハウジング構成体における挿入孔が形成された合わせ面に接触する。
【0075】
等電位化部材70の接触部72は、隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面同士を離れさせる方向に弾性力を発生させるばね構造を有している。本実施形態の接触部72は、隣り合うハウジング構成体において対向する合わせ面の両方に面接触する。なお、等電位化部材70において、第1ハウジング構成体81に対する接触面積及び第2ハウジング構成体82に対する接触面積は、第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82との等電位化が確実に実施される大きさに設定されている。
【0076】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
電動圧縮機10を車両に搭載する場合、第1ハウジング構成体81の取付足81c及び第3ハウジング構成体83の取付足83cをボルトにより車体に取り付けることにより電動圧縮機10が車体に取り付けられる。第1ハウジング構成体81及び第3ハウジング構成体83は、車体に電気的に接続される。つまり、第1ハウジング構成体81及び第3ハウジング構成体83は、車体を介して接地される。また、第1ハウジング構成体81、第4ハウジング構成体84、及び第5ハウジング構成体85は、上述した図示しない複数のボルトにより電気的に接続されている。このため、第4ハウジング構成体84及び第5ハウジング構成体85も接地されている。
【0077】
ところで、等電位化部材70が省略された電動圧縮機10を想定すると、第2ハウジング構成体82は、第1シール部材61及び第2シール部材62により第1ハウジング構成体81及び第3ハウジング構成体83と絶縁された状態となる。さらに、ボルトB1により第1ハウジング構成体81と第3ハウジング構成体83とが電気的に接続される一方で、第2ハウジング構成体82がボルトB1と接触しない。その結果、第1ハウジング構成体81、第2ハウジング構成体82、第3ハウジング構成体83、第4ハウジング構成体84、及び第5ハウジング構成体85のうち第2ハウジング構成体82のみが接地されていない状態となる。したがって、第2ハウジング構成体82の電位が、第1ハウジング構成体81、第3ハウジング構成体83、第4ハウジング構成体84、及び第5ハウジング構成体85の電位よりも高くなる虞がある。その点、本実施形態では、等電位化部材70により第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82とが電気的に接続されている。このため、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82が等電位化される。
【0078】
本実施形態の電動圧縮機10において、第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82とを組み付ける場合を想定する。この場合、第1挿入孔81pに第1等電位化部材701の挿入部71を挿入して、且つ第2挿入孔81qに第2等電位化部材702の挿入部71を挿入した状態にする。すると、第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82を組み付けた際に互いに対向する合わせ面に接触部72が成り行きで挟み込まれることにより、両合わせ面に接触する。つまり、等電位化部材70の位置を確認しながら第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82とを組み付けしなくても、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化しつつ組み付けられる。
【0079】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82とを組み付ける場合、第1挿入孔81pに第1等電位化部材701の挿入部71を挿入して、且つ第2挿入孔81qに第2等電位化部材702の挿入部71を挿入した状態にする。すると、第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82を組み付けた際に互いに対向する合わせ面に接触部72が成り行きで挟み込まれることにより、両合わせ面に接触する。つまり、等電位化部材70の位置を確認しながら第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82とを組み付けしなくても、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化しつつ組み付けることができる。よって、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の等電位化及び組み付けを容易に実施できる。
【0080】
(1-2)等電位化部材70の接触部72が平板状である場合を想定する。この場合、第1シール部材61の締め代を確保できるように接触部72の厚さを管理する必要がある。このため、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を組み付ける際に、第1シール部材61の締め代を確保するのに手間がかかる。
【0081】
本実施形態では、接触部72はばね構造を有している。このため、接触部72の厚さの管理をしなくても、第1シール部材61の締め代が確保されるまで、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面により接触部72を押し潰す余地がある。よって、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を組み付ける際に、第1シール部材61の締め代の確保が容易となる。
【0082】
また、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面には、押し潰された接触部72の弾性力により接触部72が圧着される。このため、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を組み付ける際に、接触部72の合わせ面に対する接触状態を精密に管理しなくても、接触部72の弾性力により第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面と接触部72とが接触した状態を確保できる。よって、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82が等電位化した状態を維持しやすい。したがって、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を組み付ける際の第1シール部材61の締め代の確保を容易にしつつ、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82が等電位化した状態を維持しやすくなる。
【0083】
(1-3)第1挿入孔81pの内周面81r、及び第2挿入孔81qの内周面81tに挿入部71の外周面711aが面接触している。このため、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82と、等電位化部材70との接触面積を確保しやすい。したがって、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の等電位化をより確実に実施できる。
【0084】
また、挿入部71の弾性力により挿入部71の外周面711aが第1挿入孔81pの内周面81r及び第2挿入孔81qの内周面81tに押し付けられている。このため、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を組み付ける際に、第1ハウジング構成体81から等電位化部材70が脱落することを抑制できる。
【0085】
(1-4)等電位化部材70の挿入部71を第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに挿入する際に、第2筒部71bが第1挿入孔81pの内周面81r及び第2挿入孔81qの内周面81tに沿ってガイドされる。よって、等電位化部材70の挿入部71を第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに対してスムーズに挿入することができる。したがって、第1ハウジング構成体81に対する等電位化部材70の組み付けを容易に実施できる。
【0086】
(1-5)接触部72が第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する両合わせ面に面接触することにより、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82と等電位化部材70との接触面積を確保しやすい。したがって、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の等電位化をより確実に実施できる。
【0087】
(1-6)第1等電位化部材701を配置するにあたり、開口端面81gを広くしつつ当該開口端面81gに第1等電位化部材701を配置する場合を想定する。この場合、開口端面81gを広くすることにより第1ハウジング構成体81の周壁81bが厚くなる。すると、第1ハウジング構成体81が大型化することにより電動圧縮機10が大型化する虞がある。
【0088】
その点、延設壁部81kは、溝81jの円弧面81mから周壁81bの内側に向けて延設されるとともに溝81jから連通孔82jに向けて流れる冷媒の流れを遮断しないように設けられている。そして、第1等電位化部材701が延設壁部81kに設けられている。これにより、第1ハウジング構成体81の周壁81bの厚さを変更せずに、第1等電位化部材701が配置可能となるとともに圧縮部30による冷媒の吸入を妨げることがない。よって、電動圧縮機10を大型化させずに、且つ電動圧縮機10による冷媒の圧縮を妨げることなく、第1等電位化部材701を適切に配置できる。
【0089】
(1-7)第1等電位化部材701及び第2等電位化部材702は、回転軸20の径方向において対称的な位置に設けられている。このため、第1等電位化部材701及び第2等電位化部材702の各々の接触部72の弾性力は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面の間において、対称的な位置に作用する。よって、第1シール部材61の締め代が局所的に小さくなる箇所がない。よって、第1ハウジング構成体81と第2ハウジング構成体82との間のシール性を好適に維持することができる。
【0090】
(1-8)例えば、第2ハウジング構成体82のフランジ壁82cに第1挿入孔81pに対向する第3挿入孔を形成して、且つ筒状の等電位化部材を第1挿入孔81p及び第3挿入孔に挿入する場合を想定する。この場合、第1挿入孔81pと第3挿入孔との位置が製造誤差によりずれるときがある。すると、第1挿入孔81p及び第3挿入孔に等電位化部材を挿入しつつ第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を組み付けた際に、第1ハウジング構成体81の軸線と第2ハウジング構成体82の軸線とが一致しない虞がある。つまり、ハウジング11の芯出しができなくなる。
【0091】
その点、本実施形態では、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面の間に接触部72が延びている。よって、等電位化部材70による第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82の等電位化を妨げずにハウジング11の芯出しを実施できる。等電位化部材70がハウジング11の芯出しに影響しないため、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化しつつもハウジング11の芯出しが可能である。
【0092】
(1-9)第1等電位化部材701において、第2板部722の円板部722bは、挿入部71の径方向において、第1挿入孔81pのテーパ面81sから離れた位置で軸端面81nに面接触している。また、第2等電位化部材702において、第2板部722の円板部722bは、挿入部71の径方向において、第2挿入孔81qのテーパ面81uから離れた位置で開口端面81gに面接触している。つまり、接触部72は、テーパ面81s,81uに乗り上げないように第1ハウジング構成体81の合わせ面に接触する。よって、接触部72の第1ハウジング構成体81に対する接触面積を減少させることがなくなる。
【0093】
[第2実施形態]
以下、電動圧縮機を具体化した第2実施形態を
図6~
図8にしたがって説明する。なお、本実施形態の第1実施形態との主な相違点は、接触部72の構成が変更された点である。その点について詳しく説明し、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を割愛する。
【0094】
<等電位化部材の接触部>
図6に示すように、等電位化部材70の接触部72において、第2板部722の円錐板部722aは、第1板部721の外縁から挿入部71における軸方向の第1端から離れるほど挿入部71の径方向外側に向けて延びている。円錐板部722aは、挿入部71の軸方向に対して傾斜している。円錐板部722aは、第1板部721に対して屈曲している。円錐板部722aは、第1板部721とともに挿入部71の軸方向に弾性変形可能なばね構造を形成している。第2板部722は、第1板部721に対して屈曲することにより第1板部721とともにばね構造を形成している。
【0095】
図7に示すように、第1等電位化部材701の接触部72において、第1板部721は、第1ハウジング構成体81の軸端面81nに面接触している。第1等電位化部材701の接触部72において、第2板部722の円板部722bの一部は、第2ハウジング構成体82の第1面82fに面接触している。
【0096】
図8に示すように、第2等電位化部材702の接触部72において、第1板部721は、第1ハウジング構成体81の開口端面81gに面接触している。第2等電位化部材702の接触部72において、第2板部722の円板部722bは、第2ハウジング構成体82の第1面82fに面接触している。
【0097】
図7及び
図8に示すように、第1板部721と第2板部722とにより形成されるばね構造、及び第2板部722のばね構造は、
図1に示すボルトB1の締結力により挿入部71の軸方向で圧縮された状態となる。よって、第1板部721は、接触部72の弾性力により第1ハウジング構成体81の軸端面81n及び開口端面81gに押し付けられる。
【0098】
第1板部721は、隣り合うハウジング構成体における挿入孔が形成された合わせ面に接触する。第2板部722は、接触部72の弾性力により第2ハウジング構成体82の第1面82fに押し付けられる。第2板部722は、隣り合うハウジング構成体における挿入孔が形成されていない合わせ面に接触する。
【0099】
等電位化部材70の接触部72は、隣り合うハウジング構成体における対向する合わせ面同士を離れさせる方向に弾性力を発生させるばね構造を有している。本実施形態の接触部72は、隣り合うハウジング構成体において対向する合わせ面の両方に面接触する。
【0100】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態は、第1実施形態と同様の作用を奏するとともに上述した(1-1)~(1-8)と同様の効果を得ることができる。
【0101】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0102】
○ 等電位化部材70の接触部72は、挿入部71の径方向に周期的に波形状を繰り返す構成であってよい。このように変更する場合であっても、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面の間において、接触部72は、ボルトB1の締結力により押し潰される。このとき、接触部72における各波形の幅が、挿入部71の径方向に広がる。接触部72は、挿入部71の径方向において弾性変形可能なばね構造であってもよい。等電位化部材70の接触部72は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面に面接触していなくてもよい。本変更例を採用する場合、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面に対する接触部72の接触面積が、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化できる程度の大きさとなるようにする。
【0103】
○ 第2板部722は、単独でばね構造を有していなくてもよい。接触部72の第2板部722は、円板部722bを省略して、円錐板部722aにより形成されてもよい。
○ 接触部72は、平板状をなしていてもよい。接触部72の厚さ方向の両面が、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面に対して面接触しているとよい。
【0104】
○ 接触部72は、円板状でなくてもよい。接触部72は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面の間に延びる板状であればよい。なお、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面に対する接触部72の接触面積が、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化できる程度の大きさとなるように接触部72の形状を適宜変更する。
【0105】
○ 等電位化部材70の挿入部71は、第2筒部71bを省略して、第1筒部71aのみで形成してもよい。
○ 挿入部71の外周面711aの外径は、挿入部71が第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに挿入される前の状態で、第1挿入孔81pの内周面81rの内径及び第2挿入孔81qの内周面81tの内径以下であってもよい。このように変更する場合、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面に対する接触部72の接触面積が、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82を等電位化できる程度の大きさとなるように接触部72の形状を適宜変更する。
【0106】
○ 等電位化部材70において、隙間Gを省略してもよい。
○ 等電位化部材70は、1枚の薄板により形成されていなくてもよい。例えば、等電位化部材70は、中実円柱状の挿入部71と、接触部72により形成されていてもよい。この場合、接触部72のみが薄板により形成されていればよい。なお、接触部72に形成された隙間Gは省略してもよい。また、挿入部71は、第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに圧入されていてもよいし、隙間嵌めされていてもよい。
【0107】
○ 第1挿入孔81pの内周面81r及び第2挿入孔81qの内周面81tは、円筒面でなくてもよい。例えば、四角筒面であってもよい。第1挿入孔81pの内周面81r及び第2挿入孔81qの内周面81tは、適宜形状を変更してもよい。このように変更する場合、挿入部71と内周面81r,81tとの接触面積をより大きくしたいのであれば、挿入部71の形状を内周面81r,81tの形状に合わせることが好ましい。
【0108】
○ 第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qを第1ハウジング構成体81の合わせ面から省略し、第2ハウジング構成体82の合わせ面に形成してもよい。この場合、第2ハウジング構成体82の第1面82fは、挿入孔が形成された合わせ面であり、第1ハウジング構成体81の開口端面81g及び軸端面81nは、挿入孔が形成されていない合わせ面である。
【0109】
○ 第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qは、回転軸20の径方向において互いに対称的な位置に設けられていなくてもよい。つまり、第1等電位化部材701及び第2等電位化部材702は、回転軸20の径方向において対称的な位置に配置されていなくてもよい。
【0110】
○ 第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qのいずれかを省略してもよい。つまり、第1等電位化部材701及び第2等電位化部材702のいずれかを省略してもよい。第1挿入孔81pを省略する場合、延設壁部81kも省略するとよい。ただし、第1等電位化部材701及び第2等電位化部材702のいずれか省略する場合、残った等電位化部材70により第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82が等電位化されるように、残った等電位化部材70と第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82との接触面積を確保する。
【0111】
○ 等電位化部材70の数は、3つ以上であってもよい。この場合、第1挿入孔81p及び第2挿入孔81qに加えて、新たに等電位化部材70の挿入部71が挿入される挿入孔を追加する。
【0112】
○ 等電位化部材70は、第1ハウジング構成体81及び第2ハウジング構成体82における対向する合わせ面の間に設けられていたが、これに限らない。例えば、第2ハウジング構成体82及び第3ハウジング構成体83における対向する合わせ面の間に等電位化部材70が設けられてもよい。第2ハウジング構成体82及び第3ハウジング構成体83は、隣り合うハウジング構成体である。第3ハウジング構成体83の開口端面83eは、第3ハウジング構成体83の合わせ面である。第2ハウジング構成体82の第2面82gは、第2ハウジング構成体82の合わせ面である。第2シール部材62は、第2ハウジング構成体82及び第3ハウジング構成体83の間に設けられた絶縁性を有するシール部材である。そして、第2ハウジング構成体82及び第3ハウジング構成体83のいずれかの合わせ面における第2シール部材62がない部位に挿入孔を形成して、且つ当該挿入孔に等電位化部材70の挿入部71を挿入する。等電位化部材70の接触部72は、開口端面83eと第2面82gとの間に延びつつ、開口端面83e及び第2面82gの両方に接触する。なお、本変更例と同様に、第1ハウジング構成体81と第4ハウジング構成体84との間に等電位化部材70を配置してもよい。また、第4ハウジング構成体84と第5ハウジング構成体85との間に等電位化部材70を配置してもよい。
【0113】
○ 本実施形態のハウジング11は、全てのハウジング構成体を回転軸20の軸方向に重ね合わせることにより形成されていたが、これに限らない。例えば、第4ハウジング構成体84及び第5ハウジング構成体85を回転軸20の径方向において第1ハウジング構成体81と隣り合うように配置する電動圧縮機10であってもよい。
【0114】
○ 圧縮部30は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 電動圧縮機10は、車両空調装置に用いられていたが、これに限らない。電動圧縮機10は、冷媒を圧縮するものであればよく、電動圧縮機10の用途は適宜変更可能である。
【0115】
○ 電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部30により圧縮するものであってもよい。
[付記]
実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0116】
[1]流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータと、前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータが収容されるとともに、金属製のハウジング構成体を複数有しているハウジングと、隣り合う前記ハウジング構成体の間に設けられた絶縁性を有するシール部材と、隣り合う前記ハウジング構成体の両方に接触させることにより隣り合う前記ハウジング構成体を等電位化する金属製の等電位化部材と、を備え、隣り合う前記ハウジング構成体は、前記シール部材を挟む合わせ面を有している電動圧縮機であって、隣り合う前記ハウジング構成体のいずれかの前記合わせ面のうち前記シール部材のない部位には、挿入孔が形成され、前記等電位化部材は、前記挿入孔に挿入される挿入部と、対向する前記合わせ面の間に延びる板状の部位であり、且つ対向する前記合わせ面の両方に接触する接触部と、を有することを特徴とする電動圧縮機。
【0117】
[2]前記接触部は、対向する前記合わせ面同士を離れさせる方向に弾性力を発生させるばね構造を有している、[1]に記載の電動圧縮機。
[3]前記接触部は、前記挿入部に連続して設けられ、前記挿入孔が形成されていない前記合わせ面に接触する第1板部と、前記第1板部に対して屈曲することにより前記第1板部とともに前記ばね構造を形成し、且つ前記挿入孔が形成された前記合わせ面に接触する第2板部と、を有する、[2]に記載の電動圧縮機。
【0118】
[4]前記接触部は、前記挿入部に連続して設けられ、前記挿入孔が形成された前記合わせ面に接触する第1板部と、前記第1板部に対して屈曲することにより前記第1板部とともに前記ばね構造を形成し、且つ前記挿入孔が形成されていない前記合わせ面に接触する第2板部と、を有する、[2]に記載の電動圧縮機。
【0119】
[5]前記挿入部は、薄板を円筒状に湾曲させることにより形成され、前記挿入部の外周面は、弾性力によって前記挿入孔の内周面に面接触しつつ押し付けられている、[1]~[4]のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【0120】
[6]前記挿入部は、前記外周面を有する第1筒部と、前記第1筒部と一体形成され、前記挿入部の軸方向において前記接触部から離れるほど徐々に外径が小さくなる第2筒部と、を有する、[5]に記載の電動圧縮機。
【0121】
[7]前記接触部は、対向する前記合わせ面の両方に面接触する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【符号の説明】
【0122】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、30…圧縮部、40…電動モータ、50…インバータ、61…シール部材としての第1シール部材、70…等電位化部材、71…挿入部、71a…第1筒部、71b…第2筒部、72…接触部、81…第1ハウジング構成体、81g…合わせ面としての開口端面、81n…合わせ面としての軸端面、81p…挿入孔としての第1挿入孔、81q…挿入孔としての第2挿入孔、81r…第1挿入孔の内周面、81t…第2挿入孔の内周面、82…第2ハウジング構成体、82f…合わせ面としての第1面、83…第3ハウジング構成体、84…第4ハウジング構成体、85…第5ハウジング構成体、711a…挿入部の外周面、721…第1板部、722…第2板部。