(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000336
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】水処理装置及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 24/00 20060101AFI20231225BHJP
C02F 1/64 20230101ALI20231225BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20231225BHJP
B01D 24/36 20060101ALI20231225BHJP
B01D 24/48 20060101ALI20231225BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20231225BHJP
C02F 1/76 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
B01D29/08 540Z
C02F1/64 A
B01D29/08 520Z
B01D29/38 510B
B01D29/08 510B
B01D29/36 C
B01D29/38 520A
C02F1/76 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099068
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】川村 理桜
(72)【発明者】
【氏名】木谷 圭太
(72)【発明者】
【氏名】葛籠 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】安井 亜祐美
(72)【発明者】
【氏名】柳川 英明
【テーマコード(参考)】
4D038
4D050
4D116
【Fターム(参考)】
4D038AA02
4D038AB66
4D038AB89
4D038BA02
4D038BA04
4D038BB16
4D050AA02
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4D116RR05
4D116RR16
4D116TT04
4D116TT07
4D116VV08
(57)【要約】
【課題】適正な活性炭の交換時期を検出することが可能な水処理装置及び水処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の一形態にかかる水処理装置は、活性炭を含む濾過材を収容する濾過槽を備える活性炭濾過装置と、前記活性炭濾過装置を通る流体の温度と、塩素濃度と、積算流量と、に基づいて塩素除去量を算出する、制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭を含む濾過材を収容する濾過槽を備える活性炭濾過装置と、
前記活性炭濾過装置を通る流体の温度と、塩素濃度と、積算流量と、に基づいて塩素除去量を算出する、制御部と、を備える水処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、Mnは単位積算流量あたりの塩素除去量、Vは単位積算流量、Cは原水塩素濃度、Knは温度補正係数、とし、
Mn = V × C × Kn、により、前記単位積算流量当たりの塩素除去量を算出する、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、流量と、前記温度と、積算流量と、前記塩素濃度と、塩素除去基準量と、に基づいて、残存塩素除去量を算出するとともに、
温度補正係数Knは単位積算流量あたりの平均水温のデータから得られる水温と単位積算流量の関係に基づいて演算して求められ、水温が高い程小さく、水温が低い程大きくなる、値である、請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記活性炭濾過装置の一次側に配され、通水することで水に含まれる鉄またはマンガンを除去する第1濾過装置と、
前記第1濾過装置の一次側において、前記第1濾過装置に供給される原水に塩素を注入する薬液注入装置と、
前記活性炭濾過装置の二次側において、濾過処理後の第2処理水に塩素を注入する第2薬液注入装置と、
前記塩素濃度及び塩素除去基準量を入力可能な入力部と、
前記活性炭濾過装置を通る流体の流量を検出する流量検出部と、
前記活性炭濾過装置を通る流体の温度を検出する温度検出部と、を備える、請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、単位積算流量あたりの塩素除去量の合計値= M1 + M2 + M3 + … +Mn (3)を、積算塩素除去量とし、前記流量と前記塩素濃度とから算出される積算塩素除去量を、前記塩素除去基準量から減じた値を前記残存塩素除去量とする、請求項3に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、検出または算出された、流体の温度、流量、単位積算流量、前記単位積算流量あたりの塩素除去量、前記積算塩素除去量、及び前記残存塩素除去量のうち少なくともいずれかの情報を外部の端末に送る、請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、残存塩素除去量が残存基準値を下回る場合、あるいは積算塩素除去量が除去基準値を超える場合に通知処理、報知処理、または通信処理を行う、請求項4に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記残存塩素除去量≦第2基準値となる場合に前記活性炭濾過装置の2次側への処理水供給を停止する請求項4に記載の水処理装置。
【請求項9】
単位積算流量における平均水温が所定範囲を外れる場合に、通知処理、報知処理、または通信処理を行い、あるいは前記活性炭濾過装置の2次側への処理水の供給を停止する、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記活性炭濾過装置に接続される複数の流路の接続状態を切替えることにより、濾過処理及び逆洗処理を含む複数の処理を切替える、流路切替手段を備える、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項11】
活性炭を含む濾過材を収容する濾過槽を備える活性炭濾過装置を通る流体の温度と、塩素濃度と、流量と、当該流量に基づいて算出される積算流量とに基づいて、単位積算流量あたりの塩素除去量を算出する、制御部を備える、処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、Mnは単位積算流量あたりの塩素除去量、Vは単位積算流量、Cは原水塩素濃度、Knは温度補正係数、Kn2は流量補正係数、とし、
Mn = V × C × Kn × Kn2により、前記単位積算流量当たりの塩素除去量を算出するとともに、
温度補正係数Knは単位積算流量あたりの平均水温のデータから得られる水温と単位積算流量の関係に基づいて演算して求められ、水温が高い程小さく、水温が低い程大きくなる値であり、
流量補正係数Kn2は、流量センサより入力される流量情報から算出されるSV値と塩素除去量との関係に基づいて演算して求められ、SV値が高い程大きく、SV値が低いほど小さくなる、値である、請求項11に記載の処理装置。
【請求項13】
第1濾過装置に通水することで水に含まれる鉄またはマンガンを除去する第1濾過処理と、
前記第1濾過装置の一次側において、前記第1濾過装置に供給される原水に塩素を注入する薬液注入処理と、
前記第1濾過装置の二次側において、濾過処理後の第1処理水の塩素を除去する活性炭を含む濾過槽に通水する第2濾過処理と、
前記活性炭を含む濾過槽を通る流体の温度と、塩素濃度と、積算流量とに基づいて、塩素除去量を検出する処理と、を備える水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸などの水源から供給される原水を濾過する水処理装置において、井戸水に含まれる鉄やマンガンを、次亜塩素酸ナトリウムによって酸化させ、濾過装置に充填した濾過材で除去している。除鉄除マンガン処理に必要な塩素が不足すると正常な処理が行われないため、濾過装置の二次側である程度の塩素が余剰するように、塩素を添加する必要があるが、余剰させる塩素濃度が高い場合、そのまま使用するのに支障となる場合がある。また、余剰させる塩素濃度が低い場合、原水の鉄やマンガンの濃度が変動した際処理に必要な塩素濃度が不足することで正常な処理が行われない可能性がある。対策として、十分な余剰塩素濃度を含有させた除鉄除マンガン処理水を活性炭濾過装置に通水し、塩素を取り除いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような水処理装置において、活性炭の除去能力は有限であり、限界に到達すると急激に塩素が処理水に流出するため、活性炭の除去能力が低下する前の適切な時期に活性炭の交換を実施する必要がある。活性炭の塩素除去能力は水温によって大きく変化することから、活性炭の交換時期を定めることは困難であり、活性炭及び交換作業費のコストダウンを図ることが難しい。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、適正な活性炭の交換時期を検出することが可能な水処理装置及び水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態にかかる水処理装置は、活性炭を含む濾過材を収容する濾過槽を備える活性炭濾過装置と、前記活性炭濾過装置を通る流体の温度と、塩素濃度と、積算流量と、に基づいて塩素除去量を算出する、制御部と、を備える。
【0007】
本発明の他の一形態に係る水処理方法は、第1濾過装置に通水することで水に含まれる鉄またはマンガンを除去する第1濾過処理と、前記第1濾過装置の一次側において、前記第1濾過装置に供給される原水に塩素を注入する薬液注入処理と、前記第1濾過装置の二次側において、濾過処理後の第1処理水の塩素を除去する活性炭を含む濾過槽に通水する第2濾過処理と、前記活性炭を含む濾過槽を通る流体の温度と、塩素濃度と、積算流量とに基づいて、塩素除去量を検出する処理と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば適正な活性炭の交換時期を検出することが可能な水処理装置及び水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の構成を示す説明図。
【
図2】同実施形態にかかる水処理装置における制御系の構成を示す説明図。
【
図3】同実施形態にかかる水処理装置の制御フローを示すフローチャート。
【
図4】同実施形態にかかる水処理装置における平均水温14.5℃時の積算塩素除去量を示すグラフ。
【
図5】同実施形態にかかる水処理装置における平均水温22.8℃時の積算塩素除去量を示すグラフ。
【
図6】同実施形態にかかる水処理装置における温度と積算塩素除去量の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態にかかる水処理装置1及び水処理方法について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る水処理装置1の構成及びフローを示す説明図であり、
図2は水処理装置1の制御部26及び通信端末100の構成を示す説明図である。
図3は報知処理のフローチャートである。
図4及び
図5は、水処理装置における平均水温が14.5℃と22.8℃の時の積算塩素除去量を示すグラフである。
図6は温度と積算塩素除去量の関係を示すグラフであり、
図7は温度補正係数の説明図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、水処理装置1は、原水の供給源10に設けられた原水ポンプ11と、第1薬液注入装置12Aと、第1濾過装置13と、第2濾過装置14と、第2薬液注入装置12Bと、処理水槽15と、処理水槽15に接続された逆洗ポンプ16と、給水ポンプ50と、処理水路17と、逆洗水路18と、排水路19a~19c、20a~20cと、流量検出部である流量センサ23と、温度検出部である温度センサとしての水温センサ24と、制御部26と、を備える。
【0012】
水処理装置1は、供給源からの原水に薬液注入装置12Aで薬液を注入し、第1濾過装置13により原水中に含まれる鉄及びマンガンを除去するとともに、原水中に存在する砂等の固形物を除去可能に形成されている。また、水処理装置1は、第1濾過装置13で鉄及びマンガンを除去した第1処理水の塩素濃度を、第2濾過装置14によって低減し、第2濾過装置14で塩素が除去された第2処理水に薬液注入装置12Bで再び塩素を注入することで、塩素濃度を調整する。
【0013】
処理水路17は配管部材で構成される通水路を複数備える。処理水路17は、供給源10から薬液注入装置12Aに至る原水路17a、薬液注入装置12Aから第1濾過装置13に至る供給路17b、処理流路の一次側の第2三方弁43に至る流路17c、第1濾過装置13から第2濾過装置14に至る第1処理水路17d、処理流路の二次側に配される三方弁46に至る流路17e、第2濾過装置14から処理水槽15に至る第2処理水路17f、処理水槽15を経て給水先に接続される給水路を備える。濾過処理時には、原水ポンプ11によって、供給源10の水が、薬液注入装置12A、第1濾過装置13、第2濾過装置14、薬液注入装置12B、処理水槽15を経て、給水先に送られる。
【0014】
逆洗水路18は配管部材で構成される通水路を複数備える。逆洗水路18は、処理水槽15から分岐して第1濾過装置13及び第2濾過装置14にそれぞれ接続される2系統の流路を構成する。逆洗処理において、逆洗ポンプ16によって、処理水槽15の水が、逆洗水路18を介して、第1濾過装置13または第2濾過装置14に送られる。
【0015】
排水路は、配管部材で構成される通水路を複数備える。第1の排水路としてポートP3から逆洗ドレンD1に接続される逆洗排水路19aと、ポートP9から洗浄ドレンD2に接続される洗浄排水路19bと、第1処理水路17dから分岐して試験ドレンD3に接続される試験排水路19cとを備える。
【0016】
また、排水路は、第2の排水路として、ポートP13から逆洗ドレンD11に接続される逆洗排水路20aと、ポートP19から洗浄ドレンD12に接続される洗浄排水路20bと、第2処理水路17fから分岐して試験ドレンD13に接続される試験排水路20cと、を備える。
【0017】
各流路の所定箇所には逆止弁S1及び開閉弁S2~S17が設けられる。逆止弁S1は、流路の流れを一方向に規制する。開閉弁S2~S17は、例えば電磁式の開閉弁であり、プロセッサ61の制御に応じて開閉することで、複数の流路の接続状態を切替える。
【0018】
供給源10は、例えば井戸である。供給源10に原水ポンプ11が設けられる。
【0019】
原水ポンプ11は、ポンプと、ポンプを駆動するモータと、を備える。原水ポンプ11は、供給源10の水を処理水路17において二次側に送る。なお、原水ポンプ11は例えば陸上ポンプであってもよいし、水中ポンプであってもよい。
【0020】
薬液注入装置12A、12Bは、薬液槽21と、注入ポンプ22と、流量検出装置と、を備える。薬液注入装置12A、12Bは、処理水路17に、所定量の薬液を注入する。第1の薬液注入装置12Aは原水ポンプ11の二次側であって、第1濾過装置13の一次側の水路である原水路17aに設けられる。第2の薬液注入装置12Bは第2濾過装置14の二次側であって、処理水槽15の一次側の第2処理水路17fに設けられる。
【0021】
薬液槽21は、内部に酸化剤、具体的には次亜塩素酸ナトリウムを含有する薬液を貯留する。注入ポンプ22は、例えばソレノイドによって駆動するダイヤフラムポンプである。注入ポンプ22は、薬液槽21に接続され、処理水路17に、所定量の薬液を注入する。
【0022】
第1濾過装置13は、濾過槽31と、吸込管32と、回収管33と、流路切替手段としての流路切替ユニット34と、を備える。
【0023】
濾過槽31は、例えば上壁と下壁と周壁とを有する円筒状に構成される。濾過槽31は、内部に濾過材部と、濾過材部の下方に配される支持層としての砂利部と、を備える。濾過材部は、複数種類の濾過材が積層されて構成される。複数の濾過材の一は、薬液が注入された原水から鉄を除去可能に構成されている。複数の濾過材の一は、薬液が注入された原水からマンガンを除去可能に構成されている。複数の濾過材の一は、原水に含まれる固形物を除去可能に形成されている。
【0024】
吸込管32は、濾過槽31に接続される。吸込管32の一方の端部は流路切替ユニット34に接続され、吸込管32の他方の端部は、濾過槽31の上部、例えば複数の濾過材の最上層の上方に、配置される。
【0025】
回収管33は、例えば濾過槽31に接続される。回収管33の一方の端部は、流路切替ユニット34に接続され、他方の端部は、濾過槽31の下部、例えば複数の濾過材の最下層の下方に、配置される。回収管33の他方の端部は例えば砂利層の位置に配される。すなわち、回収管33は、濾過槽31の下端部から、鉛直方向に沿って上方に延び、管部の下端は濾過槽31の底面近傍に配されている。回収管33の下端部には、フィルタを備える回収口が設けられる。管部の上端部は、流路切替ユニット34に接続され、複数の流路へ接続可能に構成されるとともに、接続先及び開閉状態が切替え可能に構成されている。
【0026】
流路切替ユニット34は、例えば3つの三方弁41、42、43を備え、複数の流路の接続状態を切替える。三方弁41、42、43は、電磁弁であり、制御部26に接続されて接続先及び開閉状態が切替え可能に構成されている。三方弁41、42、43は、それぞれ3つのポートP1~P3、P4~P6、P7~P9を有しており、制御部26によって内部の流路を切り替えることで、これらのいずれか2つのポートを接続する。例えば流路切替ユニット34において、三方弁43を省略して二つの三方弁41、42によって流路を切り替えることも可能である。
【0027】
流路切替ユニット34は、3つの三方弁41、42、43によって、一次側の処理水路17bと、逆洗水路18と、吸込管32と、回収管33と、二次側の処理水路17c、17dと、逆洗排水路19aと、洗浄排水路19bの接続状態を切替える。
【0028】
三方弁41は、供給側の処理水路17bと、吸込管32と、逆洗排水路19aとにそれぞれ接続される3つのポートP1、P2、P3を備え、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。第1の三方弁41は、例えば供給路17bと吸込管32を接続し、あるいは吸込管32と逆洗排水路19aを接続する。
【0029】
三方弁42は、逆洗水路18と回収管33と処理流路の二次側に配される三方弁43に至る流路17cにそれぞれ接続されるポートP4、P5、P6を有し、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。第2の三方弁42は、例えば回収管33と流路17cとを接続し、あるいは逆洗水路18と回収管33を接続する。
【0030】
三方弁43は、処理流路の一次側の第2三方弁42に至る流路17cと二次側の流路である第1処理水路17dと試験排水側の洗浄排水路19bとにそれぞれ接続される3つのポートP7、P8、P9を有し、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。三方弁43は、例えば流路17cと第1処理水路17dを接続し、あるいは流路17cと洗浄排水路19bを接続する。
【0031】
第2濾過装置14は、濾過槽35と、吸込管36と、回収管37と、流路切替手段としての流路切替ユニット38と、を備える。
【0032】
濾過槽35は、内部に濾過材が収容されるとともに、通水可能に構成されている。濾過槽35は、例えば上壁と下壁と周壁とを有する円筒状に構成される。濾過材は少なくとも活性炭を備え、第1処理水の塩素を除去可能に構成される。一例として濾過槽35内に、濾過材としての活性炭と、活性炭の下側に配される砂利とが配される。
【0033】
吸込管36は、濾過槽35に接続される。吸込管36の一方の端部は流路切替ユニット38に接続され、吸込管36の他方の端部は、複数の濾過材の最上層の上方に配置される。
【0034】
回収管37は、濾過槽35に接続される。回収管37の一方の端部は、流路切替ユニット38に接続され、他方の端部は複数の濾過材の最下層の下方に配置される。すなわち、回収管37は、濾過槽35の下端部から、鉛直方向に沿って上方に延び、管部の下端は濾過槽35の底面近傍に配されている。回収管37の下端部には、フィルタを備える回収口が設けられる。管部の上端部は、流路切替ユニット38に接続され、複数の流路へ接続可能に構成されるとともに、接続先及び開閉状態が切替え可能に構成されている。
【0035】
流路切替ユニット38は、3つの三方弁44、45、46と、を備える。流路切替ユニット38は、複数の流路の接続状態を切替える。第1の流路切替弁としての三方弁44、第2の流路切替え弁としての三方弁45、第3の流路切替え弁としての三方弁46は、電磁弁であり、内部のボールの回転により流路が切り替わるボール弁である。三方弁44、45、46は制御部26に接続されて開閉状態が切替え可能に構成されている。三方弁44、45、46は、それぞれ3つのポートを有しており、制御部26によって内部の流路を切り替えることで、これらのいずれか2つのポートを接続する。例えば流路切替ユニット38において、三方弁46を省略して二つの三方弁44、45によって流路を切り替えることも可能である。
【0036】
三方弁44は、供給側の第1処理水路17dと、吸込管36と、排水側の逆洗排水路20aとにそれぞれ接続される3つのポートP11、P12、P13を備え、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。三方弁44は、例えば第1処理水路17dと吸込管36を接続し、あるいは吸込管36と逆洗排水路20aを接続する。
【0037】
三方弁45は、回収管37と逆洗水路18と処理流路の二次側に配される三方弁46に至る流路17eとにそれぞれ接続されるポートP14、P15、P16を有し、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。三方弁45は、例えば回収管37と流路17eとを接続し、あるいは逆洗水路18と回収管37を接続する。
【0038】
三方弁46は、処理流路の一次側の三方弁45に至る流路17eと二次側の第2処理水路17fと試験排水側の洗浄排水路20bとにそれぞれ接続される3つのポートP17、P18、P19を有し、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。三方弁46は、例えば流路17eと第2処理水路17fを接続し、あるいは流路17eと洗浄排水路20bを接続する。
【0039】
第2流路切替ユニット38は、3つの三方弁44、45、46によって、第1処理水路17dと、逆洗水路18と、吸込管36と、回収管37と、二次側の流路17eと、逆洗排水路20aと、洗浄排水路20bとの、流路の接続状態を切替える。
【0040】
具体的には第4の三方弁44は、供給側の第1処理水路17dと、吸込管36と、排水側の逆洗排水路20aとに接続される3つのポートP11、P12、P13を備え、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。第5の三方弁45は、逆洗水路18と回収管37と処理流路の二次側に配される第6三方弁46に至る流路17eにそれぞれ接続されるポートP14、P15、P16を有し、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。第6の三方弁46は、処理流路の一次側の第5三方弁45に至る流路17eと排水側の洗浄排水路20bと二次側の第2処理水路17fとにそれぞれ接続される3つのポートP17、P18、P19を有し、ポートの開閉によってこれらのうち2つの流路を接続する。
【0041】
処理水槽15は、第2濾過装置14を通過した処理水を貯留可能に構成された容器である。処理水槽15には、処理水の液面位置を検出する液面センサが設けられている。液面センサは信号線を介してプロセッサ61に接続されている。液面センサは、処理水の液面位置を検出し、液位情報を電気信号としてプロセッサ61に送る。
【0042】
逆洗ポンプ16は、モータと、モータに接続されたインペラを有するポンプ部と、を備える。逆洗ポンプは、処理水槽15からの水を増圧して二次側の給水先に圧送する。
【0043】
給水ポンプ50は、モータと、モータに接続されたインペラを有する単段または多段のポンプ部と、を備える。給水ポンプ50は、処理水槽15からの水を増圧して二次側の給水先に圧送する。
【0044】
流量センサ23は処理水路17に設けられ、処理水路17を通過する流体の流量を検出し、検出した流量情報を制御部26へ送る。例えば流量センサ23として、例えば羽根車式,超音波式など各種のセンサを用いることができる。流量センサ23は、外部へ流量情報を発信する機能を有する。一例として本実施形態において例えば流量センサ23は第2濾過装置14の二次側であって第2の薬液注入装置12Bの一次側に設けられている。なお、流量センサ23は第2濾過装置14の一次側に設けられていてもよいし、第2の薬液注入装置12Bの二次側に設けられていてもよい。あるいは、流量情報は薬液注入装置12A,12B内にある流量検出装置の流量信号を使用しても良い。
【0045】
水温センサ24は第2濾過装置14の一次側の流路に設けられ、第2濾過装置14に供給される流体の温度を検出し、検出した温度情報を制御部26へ送る。水温センサ24は、例えばIC温度センサであり、外部へ温度情報を発信する機能を有する。本実施形態において例えば水温センサ24は第2濾過装置14の一次側に設けられている。なお、水温センサ24は第2濾過装置14の二次側に設けられていてもよい。
【0046】
制御部26は、所定のプログラムに基づいて各部の動作を制御するプロセッサ61と、各種データを記憶する記憶部としてのメモリ62と、通信部63と、入力部64と、表示部65と、インターフェース66と、を備える。なお、入力部64や表示部65は水処理装置の各ポンプ装置や第1濾過処理部、第2濾過処理装置に個別に設けられているディスプレイや入力ボタンによって構成されていてもよい。
【0047】
例えばプロセッサ61は、各センサによって検出される検出値に基づき、各種の演算処理を行い、各ポンプ11、16、50のモータを変速運転または停止させる。プロセッサ61は、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ61は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。プロセッサ61は、例えば、処理回路とメモリとを含む。プロセッサ61は、例えば、インターフェース66等を介して、水処理装置1の各部に接続され、通信部63を介して、外部の端末に接続される。
【0048】
プロセッサ61は、各種センサからの検出信号に基づいて、水処理装置1の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データをメモリ62に記憶する。なお、運転データの取得は、積算値のように、水処理装置1の運転実態に応じて、運転データを算出することを含んでもよい。
【0049】
具体的には、例えばプロセッサ61は、各ポンプ11、16、50、22に対応するインバータを制御することでポンプ11、16、50、22の動作を制御する。
【0050】
また、プロセッサ61は、例えばセンサによって検出される検出値や操作入力に基づき、各種の演算処理を行い、流路切替え手段としての流路切替ユニット34、38に設けられる複数の弁41~46や各流路に配される逆止弁S1及び開閉弁S2~S17の開閉を制御することで流路の接続状態を切替える。
【0051】
水処理装置1は、これらの流路の切替とポンプ11、16の動作制御により、複数種類の処理を行わせる。具体的には、水処理装置1は、プロセッサ61の制御により、濾過処理、逆洗処理、及び洗浄処理を行う。
【0052】
また、プロセッサ61は、例えばセンサによって検出される検出値や操作入力に基づき、各種の演算処理を行い、流路切替ユニット34、38のポートや、逆止弁S1及び開閉弁S2~S17の開閉を制御することで流路の接続状態を切替える。
【0053】
さらに、プロセッサ61は、上述の濾過処理を行う際、活性炭の塩素除去性能情報を検出し、活性炭の残存能力不足の報知処理を行う。
【0054】
プロセッサ61は、流量情報と、塩素濃度情報と、に基づき、塩素除去性能情報を検出する。具体的には、例えば流量センサ23で検出した流量値に基づいて、積算流量を算出する。そして、積算流量及び塩素濃度情報に基づいて、積算塩素除去量を算出する。例えば積算塩素除去量[g]=積算流量[L]×塩素濃度[g/L]となる。
【0055】
図4及び
図5は積算流量と残留塩素濃度の関係を示すグラフである。
図4及び
図5において、経過時間及び積算流量毎に、原水(第1処理水)及び処理水(第2処理水)の残留塩素濃度、積算塩素除去量、水温の対応を示している。
図4及び
図5によれば、一定濃度の残留塩素が処理水(第2処理水)へ漏れ出すまでの積算塩素除去量(活性炭の寿命)は水温に応じて変化することがわかる。例えば
図4では平均水温14.5℃の時は積算塩素除去量が約1000gであり、同じ流量であっても,
図5では平均水温22.8℃の時は積算塩素除去量が約2900gと、水温が高くなるほどに活性炭の塩素除去能力が高くなることが分かる。
【0056】
例えばプロセッサ61は、単位積算流量あたりの塩素除去量を、下記式(1)に基づいて算出する。ここで、Mnは単位積算流量[L]あたりの塩素除去量、Vは単位積算流量、Cは原水塩素濃度、Knは温度補正係数である。
Mn = V × C × kn (1)
ここで、
Mn = V × C × kn
Mn: 単位積算流量あたりの塩素除去量 [g]
V : 単位積算流量 [L]
C : 原水塩素濃度 [g/L]
kn: 温度補正係数である。
例えば温度補正係数knは、単位体積流量あたりの平均水温を用いて演算して求められる。例えば平均水温は水温センサ24から入力されるデータを元に得られる。
【0057】
式(2)に示すように、単位積算流量あたりの塩素除去量の合計値を積算塩素除去量とする。
積算塩素除去量=M1+M2+M3+・・・・・+Mn・・・(2)
【0058】
さらに、プロセッサ61は、式(1)(2)に基づいて残存塩素除去量を算出する。すなわち、メモリに記憶され、あるいは入力された濾過装置の塩素除去基準量(最大塩素除去量)から、積算流量を用いて算出した積算塩素除去量を差し引いた値(=残存塩素除去量)を算出する。
【0059】
単位積算流量とは、ある一定時間(単位時間)における、濾過流量の積算値である。換言すると一定時間に第2濾過装置を通過した流体の体積である。単位積算流量あたりの塩素除去量は、当該単位時間において塩素を除去した量の推定値であり、単位時間で通過した流量に、原水塩素濃度と、温度補正係数Knを乗じて算出する。
【0060】
ここで、温度補正係数Knは単位積算流量あたりの平均水温(水温センサから入力されるデータに基づいて得た値)を用いて、水温と単位積算流量の関係に基づき、演算して求められる値である。
【0061】
図6は水温と積算塩素除去量の関係を示すグラフであり、水温毎の積算塩素除去量(活性炭の寿命)を示している。
図7は水温と温度補正係数Knの説明図である。温度補正係数Knの算出方法として、異なる温度での積算塩素除去量の複数のデータから、積算塩素除去量と水温との関係を取得する。例えば
図4における平均水温14.5度のときの積算塩素除去量と、
図5に示される平均水温22.8度のときの積算塩素除去量を複数プロットし、
図6に示すように、積算塩素除去量と水温との関係を示す曲線が得られる。そして、この水温と積算塩素除去量の関係から、ある基準温度における積算塩素除去量を基準値とした場合の、各水温の積算塩素除去量を、基準温度の積算塩素除去量(基準値)に対する比でグラフ化することにより、単位積算流量あたりの平均水温に対する温度補正係数Knが求められる。例えば
図7は、一例として、水温15度における積算塩素除去量を基準値とした場合の、水温と温度補正係数Knとの関係を示すグラフである。この温度補正係数Knにより、通過する際の平均水温に応じて単位積算流量あたりの塩素除去量の補正を行う。例えば、
図7に示すように、水温が高い程温度補正係数Knが低く、水温が低い程温度補正係数Knは大きくなる。したがって、単位積算流量あたりの塩素除去量を算出する際、温度補正係数Knを乗じることで、水温が低い程塩素除去量が大きく、水温が高い程塩素除去量が小さくなる様に、補正される。
【0062】
なお、数値やグラフは、値によって適宜変化するものである。例えば、温度補正係数Knは、例えば安全率など、他のパラメータを含めて算出してもよい。
【0063】
なお、原水塩素濃度は、濾過装置の一次側における塩素の濃度であり、例えばユーザが入力部にて入力する。そして、式(1)で求められる単位時間当たりの積算流量に対応する塩素除去量を、基準時から経過した時間の分、合計した合計値を、積算塩素除去量とする。例えば直前に活性炭を交換した時を基準時とすると、その時点からの積算流量に対応する積算塩素除去量わかる。この積算塩素除去量を、塩素除去基準量から差し引いた値を、活性炭の残りの塩素除去性能を表す残存塩素除去量とする。なお、塩素除去基準量は、ある基準時の活性炭の塩素除去量である。塩素除去基準量は、例えば活性炭の交換時、通水がされていない状態(通水量0の時)の塩素除去能力である。例えば塩素除去基準量は、活性炭の量に応じて例えばユーザが入力部にて入力する。あるいは塩素除去基準量は、各種情報に基づいてプロセッサ61により算出してもよい。
【0064】
プロセッサ61は残存塩素除去量に応じて、通信処理、通知処理、報知処理、の少なくてもいずれかを行う。例えばプロセッサ61は、残存塩素除去量が残存基準値を下回る場合、あるいは積算塩素除去量が除去基準値を超える場合に、通信処理、通知処理、報知処理、の少なくともいずれかを行う。
【0065】
本実施形態において、プロセッサ61は、活性炭の残存塩素除去量が所定の第1基準値Y1(0<Y1<塩素除去基準量)に到達すると、残存塩素除去量不足として、通知処理、あるいは報知処理を行う。例えば第1基準値Y1は、最大塩素除去量の1~2割に設定される。すなわち、活性炭の残存塩素除去量が最大塩素除去量の1~2割を下回った場合に、活性炭交換のタイミングが近づいていることを知らせる通知処理を行うように、設定される。通知処理または報知処理として、例えば残量不足を報知する表示部65に表示し、あるいは照明を点灯する。また、プロセッサ61は、上記通知または報知処理に加え、あるいは通知処理や報知処理に代えて、活性炭の残存塩素除去量が所定の第1基準値Y1(0<Y1<基準除去量)に到達すると、通信部63を介して通信を行う。具体的には、通信部63と通信端末100との間で通信を接続し、各種運転データ及び外部パラメータを通信端末100へ送信する。なお、Y1は対応する通知、報知、あるいは通信処理の内容に応じて段階的に複数設定されていてもよい。
【0066】
さらに、プロセッサ61は、活性炭の残存塩素除去量が所定の第2基準値Y2以下となると活性炭濾過装置の2次側への処理水供給を停止する。例えば第2基準値Y2は0以上であって、かつ第1基準値Y1よりも小さい値とする。例えば第2基準値Y2は、最大塩素除去量の1割未満に設定される。すなわちプロセッサ61は活性炭の残存塩素除去量が最大塩素除去量の1割以下となった場合に発報するように設定される。
【0067】
また、プロセッサ61は、単位積算流量における平均水温が任意の第3基準値Y3あるいは任意の流量範囲を超過すると、水温が低くなると塩素の除去能力が著しく低下する為、注意喚起の警告をする警報を表示する。例えば第3基準値Y3は、通常運転範囲(12℃~30℃)を設定される。すなわち単位積算流量における平均水温がこの通常運転範囲値から外れた場合に発報する。例えば通常運転範囲の下限(12℃)は、基準15℃の積算塩素除去量と比較して半分の値になる温度であり、上限(30℃)は製品仕様の上限値等に基づいて設定する。
【0068】
なお、プロセッサ61は活性炭の残存塩素除去量が所定の第2基準値Y2に到達したときや単位積算流量または単位時間における平均水温が任意の第3基準値Y3あるいは任意の水温範囲を超過したときに、通信処理を行うこととしてもよい。
【0069】
メモリ62は、データの読出及び書込が可能である。メモリ62は、プロセッサ61によって使用されるデータ、水処理装置1の運転データや水処理装置1の制御に用いる各種データやプログラム等を格納する。メモリ62は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)、ROM(Read only memory)又はNAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。また、メモリ62は、フラッシュメモリを搭載したSSD(Solid State Drive)を含む。なお、メモリ62は、不揮発性メモリに加え、電源遮断時に消去してもよいデータが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。
【0070】
メモリ62に格納されるデータとしては、例えば、制御部26を識別する識別情報、コード、テーブルなどが適宜記憶される。メモリ62は、例えば、制御に必要な情報として、各種プログラムや、各種基準値や閾値を記憶する。なお、各種閾値や設定値は、例えば操作入力によってユーザが任意に設定変更可能に構成されている。また、メモリ62に格納される運転データとして、水処理装置1の運転状態を示す運転データのうちの定期的に取得される積算値に関する積算運転データが記憶される。また、メモリ62には、各ポンプ11、16、50、22、流路切替ユニット34、38、各種開閉弁S11-18の制御に要するパラメータが記憶される。
【0071】
通信部63は、プロセッサ61により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末100などの外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。通信部63は、例えば、通信モジュール又は通信基板等として実装されていてもよい。通信モジュールは、例えばコネクタを介して制御部26の制御基板に着脱自在に設けられてもよい。具体的には、通信部63は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて、通信端末100等の外部装置に接続できる。
【0072】
例えば、通信部63は、制御部26の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。また、例えば、通信部63は、当該アドバタイズパケットを受信する通信端末100から接続要求を受けると、通信端末100との間の通信を接続してもよい。通信部63は、プロセッサ61に電気的に接続され、通信端末100との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。なお、アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は制御部26の通信部63と外部の通信端末100の一方が行い、他方が受信する構成でもよい。
【0073】
例えば通信部63は、プロセッサ61の制御により、残存塩素除去量が所定値Y1以下となった場合に、報知処理として外部の通信端末100と通信して報知データを出力することにより、通信端末100を通じてユーザに再生材の残量不足を知らせる。
【0074】
入力部64は、例えば、ボタンを含む操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、等のユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロフォン、カメラなどのセンサとの、少なくともいずれかを有する。入力部64は、パラメータ設定、各運転モードの設定等の任意のユーザからの指令であるユーザ入力を受け付ける装置である。入力部64は、各種ボタンやスイッチをユーザが操作することにより、各種の設定や指示入力が可能に構成される。例えば入力部64は、塩素濃度の情報を入力可能に構成される。入力部64に入力された情報はプロセッサ61によってメモリ62へ記憶され、あるいは演算処理に用いられる。
【0075】
表示部65は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを有する。また、表示部65は、表示デバイスに代えて、又は、表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部等を有していても良い。表示部65は、ユーザへの報知処理として表示デバイスに報知メッセージを表示し、スピーカから音声を出力し、あるいは点灯部を点灯することで再生材の残量不足を知らせる報知処理を行う。
【0076】
インターフェース66は、各種ポンプ装置、センサ、開閉弁、外部端末等が電気的に接続可能な端子又は回路である。
【0077】
次に、このような水処理装置1とデータ通信を行う通信端末100の例について、以下説明する。通信端末100は、管理サーバ、プログラマブルコントローラ、情報処理や入力処理を行う処理端末等である。通信端末100は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォン、携帯端末)、ゲーム機等が挙げられるが、これらに限定されず、専用の通信機器であってもよい。
【0078】
このような通信端末100は、
図5に例示するように、通信部101、入力部102、表示部103、メモリ104及びプロセッサ105を備える。
【0079】
通信部101は、プロセッサ105により制御され、例えば、無線通信技術を用いて、水処理装置1等の外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。具体的には、通信部101は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて水処理装置1のプロセッサ61に接続できる。また、通信部101は、無線通信に加え、USBなどの有線通信技術を用いて、他の外部装置に接続できる構成であってもよい。具体例として、通信部101は、BLE規格に基づいて、水処理装置1のプロセッサ61と無線通信を行う。なお、通信部101は、前述したBLE規格の通信とは別に、基地局及びネットワークを介して管理サーバや他の通信端末に通信可能なモバイル端末の通常の通信インターフェースを含んでもよい。例えば、通信部101は、プロセッサ105により制御され、機能パラメータ、内部パラメータ、外部パラメータ等のデータや、目標圧力一定制御を行うための各種プログラム、及び、これらデータやプログラムを変更する変更指示を制御部26の通信部63に送信する。
【0080】
入力部102は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末100に内蔵されてもよいし、通信端末100に外付けされてもよい。入力部102は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ここで、ユーザ入力とは、例えば、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下、マイクロフォンによって捉えられる音声等を含む。
【0081】
表示部103は、プロセッサ105の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部103は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。表示部103は表示手段の一例である。
【0082】
メモリ104は、プロセッサ105が各処理を実現するために当該プロセッサ105によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ105によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ104は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。
【0083】
プロセッサ105は、典型的にはCPUであるが、マイコン、FPGA、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)またはその他の汎用または専用のプロセッサ等であってもよい。プロセッサ105は、通信部101を介して水処理装置1との間で無線通信を行い、水処理装置1を管理する処理を実行するものである。プロセッサ105は、メモリ104に保存されたプログラムを実行することで、通信端末100を機能し得る。なお、プロセッサ105内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0084】
プロセッサ105は、通信部101を制御して、水処理装置1との無線通信を行う。例えば、プロセッサ105は、アドバタイズパケットを送信した制御部26に接続要求を送信する。また、プロセッサ105は、通信部101を介して、水処理装置1との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、水処理装置1にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、プロセッサ105は、通信端末100と水処理装置1との接続を確立するための何らかのデータ、例えば水処理装置1及び通信端末100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての水処理装置1からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0085】
プロセッサ105は、通信部101を介して通信端末100と通信部63との間で通信を接続した場、各種運転データや各種パラメータ等をプロセッサ61から受信する。
【0086】
プロセッサ105は、水処理装置1の点検、メンテナンス、管理、パラメータ閲覧・変更、プログラム更新など、作業員の作業に応じた情報処理を実行する。
【0087】
プロセッサ105は、例えば、各種運転データ及び外部パラメータを通信部101が受信すると、当該受信した内容の一部分を表示部103に表示させ、操作者のスクロール操作に応じて、当該表示させる一部分を変更する。
【0088】
以下、本実施形態にかかる水処理装置1が行う各種動作について
図1を参照して説明する。
図1中実線矢印は濾過処理、破線矢印は逆洗処理をそれぞれ示している。
【0089】
濾過処理は、薬液注入装置12Aを駆動して原水に薬液を注入し、濾過槽31で濾過処理することで原水から鉄、マンガン及び固形物からなる不純物を除去する通常運転を行う機能である。濾過処理は、プロセッサ61は濾過装置13、14を駆動して原水に薬液を注入し、濾過槽31で濾過処理することにより原水から鉄、マンガン及び固形物からなる不純物を除去するとともに、濾過槽35で塩素を除去する通常運転を行う機能である。
【0090】
濾過処理は、第1濾過装置の一次側において、原水に塩素を注入する薬液注入処理と、第1濾過装置に通水することで水に含まれる鉄またはマンガンを除去する第1濾過処理と、第1濾過装置の二次側において濾過処理後の第1処理水の塩素を除去する第2濾過処理と、第2濾過装置の二次側において濾過処理された第2処理水に塩素を注入する第2薬液注入処理と、を備える。
【0091】
濾過処理において、プロセッサ61は、濾過装置13、14の一次側から二次側への流路が、処理水路17a、17b、吸込管32、濾過槽31、回収管33、処理水路17c、17d、吸込管36、濾過槽35、回収管37、処理水路17e、17fの順に流れるように、三方弁41、42、43、44、45、46及び通水路の開閉弁Sを切り替える。
【0092】
つまり、プロセッサ61は、第1濾過装置13において、ポートP1、P2、P5、P6、P7、P8を開け、その他を閉じ、濾過処理用の流路を設定する。また、プロセッサ61は、第2濾過装置14において、ポートP11~19を開け、その他を閉じ、濾過処理用の流路を設定する。
【0093】
この状態で、プロセッサ61は、所定のタイミングで、原水ポンプ11を駆動する。例えばプロセッサ61は、例えば液面センサで検出される液位情報に基づき、処理水槽15の液位が所定のポンプ起動基準値まで下がったことを検知すると、原水ポンプ11を駆動する。原水ポンプ11の駆動により、原水は、揚水され、薬液注入装置12A、12B、第1濾過槽31、及び第2濾過槽35、を通り、濾過処理される。すなわち、第1濾過装置13において除鉄、除マンガン及び固形物等の不純物が取り除かれて第1処理水L1(処理水)となり、さらに第2濾過装置14の濾過槽35を通ることにより塩素が取り除かれる。
【0094】
本実施形態における濾過処理中の検出処理及び報知処理について、
図3のフローチャートに従って説明する。プロセッサ61は、ST1として、濾過処理中の所定のタイミングで、流量及び水温を検出する。すなわち、流量センサ23及び水温センサ24の検出結果を取得する。そして、プロセッサ61は、ST2として、予め入力された塩素除去基準量と、流量と、水温と、に基づいて、式(2)により単位積算流量あたりの塩素除去量を求める。さらにプロセッサ61は、ST3として、式(3)により、積算塩素除去量を求める。さらにプロセッサ61は、活性炭濾過装置の塩素除去基準量から積算塩素除去量を減算した値を、残存塩素除去量として、算出する。なお、上記ST1、ST2、ST3において、プロセッサ61は、検出した流量、水温、算出した単位積算流量、単位積算流量あたりの塩素除去量、及び残存塩素除去量等の各種データを、メモリ62に記憶する。なお、活性炭濾過装置の塩素除去基準量の情報は例えばユーザが入力部を操作する等により入力され、記憶される。
【0095】
ST4として、プロセッサ61は、活性炭の残存塩素除去量が所定の値Y1(0<Y1<基準除去量)以下であるか否かを判定する。また、さらに、ST5として、プロセッサ61は、活性炭の残存塩素除去量が所定のY2以下であるか否かを判定する。
【0096】
ST4において残存塩素除去量がY1以下である場合には(ST4のYes、ST4のNo)、残存塩素除去量不足として、報知処理を行う(ST6,ST7)。例えば報知処理として、残量不足を報知するメッセージの表示、照明の点灯、通信部63から外部信号を出力する等の処理を行う。例えばユーザは、各種報知処理を受けて再生材の補充を認識することで、再生材の補充を行う。
【0097】
さらに、プロセッサ61は、ST5において残存塩素除去量がY2以下となる場合には(ST5のYes)、活性炭濾過装置の2次側への処理水供給を停止する(ST8)。具体的には、プロセッサ61は、処理水供給を停止する処理として、原水ポンプ11、給水ポンプ50を停止させる。
【0098】
また、濾過処理において、プロセッサ61は、単位積算流量における平均水温が任意の値Y3または所定範囲を超過すると(ST9)、第2の通知処理または報知処理を行う(ST10)。プロセッサ61は、例えば平均流量が過大である旨のメッセージ表示、照明点灯、あるいは通信部63から外部信号を出力する、等の処理を行う。例えばY3は、当該水温では十分に濾過がされない流量値を示し、例えば任意の値に設定される。例えばユーザは、これらの通知、報知または通信処理を受けて平均水温が過大であることを認識することで、塩素除去が十分に行われていない場合を検出する。なお、ST9において、平均水温ではなく所定のタイミングで検出した水温値が所定値Y3または所定範囲を超えた場合に、通知処理、報知処理、通信処理を行うこととしてもよい。
【0099】
逆洗処理は、回収管33から逆洗水を流し、濾過槽31、35の濾過材を通って下から上へ流れる用に通水して排水することで、濾過材を逆洗し、濾過槽35の内部の濾過材を攪拌して除去能力を持続させる処理である。
【0100】
具体的には、濾過装置13及び14の流路が、逆洗水路18、回収管33、37、濾過槽31、35、吸込管32、36、逆洗排水路19a、20aの順に流れるように、三方弁41、42、43、44、45、46及び通水路の開閉弁Sを切り替える。
【0101】
つまり、プロセッサ61は、第1濾過装置13において、ポートP4、P5、P2、P3、及び開閉弁S4、S5、S15、S16を開け、その他を閉じ、逆洗用の流路を設定する。また、プロセッサ61は、第2濾過装置14において、ポートP14、P15、P12、P13と、弁S9、S10、S15、S16の流路を開け、その他を閉じ、逆洗処理用の流路を設定する。
【0102】
この状態で、プロセッサ61は所定のタイミングで逆洗ポンプ16を駆動して逆洗水L3を流路切替ユニット34、38にそれぞれ送ると、回収管33、37から濾過材を通り、吸込管32、36に流れ、逆洗排水路19a、20aから排水される。この逆洗処理によって、濾過槽31、35の下から上へ原水を流すことで、濾過材を洗浄し、濾過槽31、35内にたまった酸化物や微粒子を排出する。
【0103】
洗浄処理は逆洗処理の際に濾過槽31、35の内部に残存した逆洗水を排水として捨て水し、濾過槽を洗浄する処理である。洗浄処理は、濾過処理と同じ流路である濾過槽31、35を通った後、濾過槽31の処理水が第1処理水路17dには流れずに試験排水路19cに排水される。濾過槽35の処理水は第2処理水路17fには流れずに試験排水路20cに排水される。
【0104】
洗浄処理において、プロセッサ61は第1濾過装置13の1次側から2次側への流路が、処理水路17a、17b、吸込管32、濾過槽31、回収管33、処理水路17c、洗浄排水路19bの順で流れるように、流路を設定する。また、プロセッサ61は、第2濾過装置14の1次側から2次側への流路を、処理水路17a、17b、吸込管32、濾過槽31、回収管33、処理水路17c、17d、吸込管36、濾過槽35、回収管37、処理水路17e、洗浄排水路20bの順に流れるように設定する。
【0105】
試験排水処理は、例えば水質をチェックする目的で、処理水を一部採水する処理である。試験排水処理として、プロセッサ61は、濾過処理の開閉状態から、試験排水路19c、20c側の開閉弁S7、S12を開け試験排水路19c、20cから処理水を再水して試験ドレンD3、D13にメンテナンスのための処理水を導くことができる。このとき、処理水路17d、17eの開閉弁S8、S14は閉じていても開いていてもよい。例えば水質に異常が見られる場合には処理水槽15に水が流れないように、開閉弁S8、S14、を閉じ、D3、D13から処理水を排水させてメンテナンスを実施する。
【0106】
本実施形態にかかる水処理装置1及び水処理方法によれば、以下のような効果が得られる。すなわち、水処理装置1において、濾過槽を通る流量を検出し、通過する際の水温に応じた補正を行って、濾過材の塩素除去量を算出したことにより、使用状況に応じた積算塩素除去量を求めることができる。すなわち、水温の違いによる塩素除去量の違いを考慮して、積算流量に基づいて、残存塩素除去量を求めることができる。また、水処理装置1及び水処理方法によれば、予め記憶されあるいは入力された濾過装置の塩素除去基準量から、積算塩素除去量を差し引いた値を、残存塩素除去量とすることで、使用環境に応じた適正な活性炭の交換時期を導き出すことができる。
【0107】
また、水処理装置1及び水処理方法によれば、活性炭の残存塩素除去量が所定の値Y1(0<Y1<基準除去量)以下となった場合に、残存塩素除去量不足として、報知処理を行うことにより、使用環境に応じた適正な活性炭の交換時期をユーザに促すことができる。また、活性炭の残存塩素除去量が所定のY1よりもさらに低い値Y2以下となった場合に、活性炭濾過装置の2次側への処理水供給を停止することにより、活性炭の限界を超えて装置の2次側に塩素が流出するリスクを回避できる。したがって、安全な処理水を提供することができる。一方で、過大に除去能力の余力を残した状態で活性炭を交換することが無くなるため,活性炭及び交換作業費のコストダウンを図ることができる。
【0108】
さらに、水処理装置1及び水処理方法によれば、平均水温が所定の通常運転の範囲から外れる場合に警報を発出することで、例えば水温が低すぎて十分に濾過がされない場合を検出することができる。
【0109】
本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、各部の具体的な構成や処理は適宜変更可能である。
【0110】
例えば上述した実施形態においては第2濾過装置14を備える水処理装置1に設けられるプロセッサ61が、検出した流量、水温、算出した単位積算流量、単位積算流量あたりの塩素除去量、及び残存塩素除去量等の各種データを算出、検出する例を示したが、これに限られるものではない。例えば他の実施形態として、水処理装置1とは別装置である処理装置としての通信端末または管理端末において各種検出及び算出を行ってもよい。すなわち、例えば処理装置としての通信端末または管理端末にプロセッサ61が設けられ、当該端末において、各センサで検出された流量及び水温から、単位積算流量、単位積算流量あたりの塩素除去量、及び残存塩素除去量等の各種データを算出及び検出し、通信処理、通知処理あるいは報知処理を行ってもよい。
【0111】
また、上述した水処理装置1は、構成、無線通信技術、無線通信の方法、データやプログラムの内容、動作処理等の一例を述べたにすぎず、適宜設定変更可能であることは勿論である。例えば上記実施形態においては一例として、塩素除去基準量をユーザが設定し、算出された積算塩素除去量の合計値を減じる例を示したが、これに限られるものではない。例えば予め設定され、あるいは入力された塩素除去基準量から、一定時間毎に算出された単位時間当たりの塩素除去量を差し引き、塩素除去基準量を更新して減じて記憶しておくことも可能である。この場合、単位時間毎に積算された塩素除去基準量を、更新後の塩素除去基準量から減じることで、残存塩素除去量を求めることができる。
【0112】
また、各時点で算出された積算塩素除去量、残存塩素除去量等のデータを記憶テーブルに記憶し、プロセッサが検出時に当該記憶テーブルを参照することで残存塩素除去量を検出することも可能である。
【0113】
また、他の実施形態として、水温による補正に加え、濾過流量による補正をさらに考慮して塩素除去量を算出しても良い。例えばプロセッサはSV値を求め、SV値が高い程、塩素除去量を大きく、SV値が低いほど塩素除去量が減るように、補正する。
【0114】
例えば活性炭濾過装置を通る流体の流量と、塩素濃度と、当該流量に基づいて算出される積算流量とに基づいて塩素除去量を算出具体例として、制御部は、Mnは単位積算流量あたりの塩素除去量、Vは単位積算流量、Cは原水塩素濃度、Knは温度補正係数、Kn2は流量補正係数とし、
Mn= V × C × Kn ×Kn2 により、前記単位積算流量当たりの塩素除去量を算出する。
【0115】
ここでKn2は、例えば流量センサより入力される流量情報を用いて求められる流量補正係数であり、プロットした複数のSV値と活性炭1Lあたりの塩素除去量の関係から求められる。例えばプロセッサは、流量センサより入力される流量情報を用いて、単位積算流量あたりの平均流量Qを算出する。そして、※SV(空間速度)=Q(流量m3/hr)/Vf(濾過材体積m3)…(式3)から、SV値を求める。そして、ある基準SV値における活性炭1Lあたりの塩素除去量を基準値とした場合の、各SV値の塩素除去量を、基準SV値の活性炭1Lあたりの塩素除去量(基準値)に対する比でグラフ化することにより補正係数Kn2が求められる。例えば流量補正係数Kn2はSV値が高い程が大きく、SV値が低いほど小さくなる値である。
【0116】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0117】
1…水処理装置、10…供給源、11…原水ポンプ、12A、12B…薬液注入装置、13…第1濾過装置、14…第2濾過装置、15…処理水槽、16…逆洗ポンプ、17…処理水路、17a…原水路、17b…供給路、17c…流路、17d…第1処理水路、17e…流路、17f…第2処理水路、18…逆洗水路、19a…逆洗排水路、19b…洗浄排水路、19c…試験排水路、20a…逆洗排水路、20b…洗浄排水路、20c…試験排水路、21…薬液槽、22…注入ポンプ、23…流量センサ、24…水温センサ、26…制御部、31…濾過槽、32…吸込管、33…回収管、34…流路切替ユニット、35…濾過槽、36…吸込管、37…回収管、38…流路切替ユニット、41~46…三方弁、50…給水ポンプ、61…プロセッサ、62…メモリ、63…通信部、64…入力部、65…表示部、66…インターフェース、100…通信端末、101…通信部、102…入力部、103…表示部、104…メモリ、105…プロセッサ、D1、D11…逆洗ドレン、D2、D12…洗浄ドレン、D3、D13…試験ドレン、Kn2…補正係数、L1…処理水、L3…逆洗水、P1~P9、P11~19…ポート、S1…逆止弁、S2~S17…開閉弁。