(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003361
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】燃焼機
(51)【国際特許分類】
F24H 15/407 20220101AFI20240105BHJP
F24H 3/04 20220101ALI20240105BHJP
F23N 1/00 20060101ALI20240105BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20240105BHJP
F24H 15/25 20220101ALI20240105BHJP
F24H 15/296 20220101ALI20240105BHJP
F23N 5/02 20060101ALI20240105BHJP
H02J 9/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F24H15/407
F24H3/04 301
F23N1/00 105G
F24H15/10
F24H15/25
F24H15/296
F23N5/02 342
F23N5/02 343
H02J9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102445
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】霜鳥 敏之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 政和
【テーマコード(参考)】
3K005
3K068
3L028
5G015
【Fターム(参考)】
3K005AB03
3K005AC01
3K005CA05
3K068FA07
3K068FC02
3K068GA01
3K068HA07
3K068JA01
3L028AA00
5G015FA08
5G015GB01
5G015HA02
5G015JA01
5G015KA08
(57)【要約】
【課題】持ち運び容易な蓄電式の電源装置を使用できる燃焼機を提供する。
【解決手段】入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部27を備え、気化ヒータ8と電磁ポンプ11と燃焼ファン13と放電電極22と燃焼センサ23と気化温度センサ21には直流電源が通電されるので、入力電源として国内の商用電源や、持ち運び容易な蓄電式の電源装置を接続しても、出力電圧がスイッチング電源部27により所定の直流電圧に制御されて、直流電源用の気化ヒータ8と電磁ポンプ11と燃焼ファン13と放電電極22と燃焼センサ23と気化温度センサ21に所定の直流電圧が印加されて正常に運転され、災害発生時の停電や商用電源の無い野外でも使用することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃油を気化する気化部を備えた燃焼部と、前記気化部を加熱する気化部加熱手段と、前記気化部に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機と、前記気化部で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化部の温度を検知する気化部温度検知手段と、入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備えた燃焼機に於いて、前記気化部加熱手段と前記燃油供給手段と前記燃焼用送風機と前記着火手段と前記炎検知手段と前記気化部温度検知手段には前記スイッチング電源部からの直流電源が通電されることを特徴とする燃焼機。
【請求項2】
燃油を気化する気化部を備えた燃焼部と、前記気化部を加熱する気化部加熱手段と、前記気化部に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機と、前記気化部で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化部の温度を検知する気化部温度検知手段と、入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備えた燃焼機に於いて、前記燃油供給手段と前記燃焼用送風機と前記着火手段と前記炎検知手段と前記気化部温度検知手段には前記スイッチング電源部からの直流電源が通電され、前記気化部加熱手段には前記入力される交流電源を印加することを特徴とする燃焼機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃油を燃焼する燃焼機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、室内で商用電源に接続され、運転スイッチの運転開始指令により、気化温度センサの検知温度を監視して気化器を燃油が気化可能な温度まで気化ヒータに通電することで加熱し、気化器の温度を燃焼に適する温度まで上昇させると、電磁ポンプ及び燃焼ファンを駆動開始し、点火装置により混合ガスに点火して燃焼を開始させ、フレームロッドによる燃焼センサにより炎を検知し、気化ヒータへの通電を停止すると共に、器具本体背面の対流ファンの近傍に設けられた室温センサの検知室温と室温設定手段で設定された設定室温との偏差に応じて、電磁ポンプ及び燃焼ファンを制御して燃焼火力を可変して室温設定手段で設定された室温になるように制御を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、室内の暖房に使用され、電源としては国内の商用電源の交流電源を主電源とし、商用電源の交流電圧100Vを交流で駆動するモータ、ヒータ、イグナイタに印加し、直流で駆動する制御部のマイコン、電磁ポンプ、各種センサには、交流電圧100Vを巻線トランスにより交流12Vや24Vに降圧したあと、変換回路により直流に変換して印加していた。
そのため、野外や災害の発生等により長時間停電したときは、商用電源が使用できないために運転することができなかった。
【0005】
そこで、野外や長時間の停電時等でも運転できるように、持ち運び容易な蓄電式の電源装置を電源として使用する場合、持ち運び容易な蓄電式の電源装置は、交流の出力電圧が100から120Vのものや、220Vから240Vのものと様々なものがあり、220Vから240Vのものを接続した場合、交流で駆動するモータ、イグナイタに220Vや240Vが印加されて過電流が流れて故障してしまう。
【0006】
又、直流で駆動する制御部のマイコン、電磁ポンプ、各種センサには、国内の商用電源の交流電圧100Vに対応した巻線トランスに220Vや240Vが印加されて二次側電圧が上昇し、過電流が流れて故障してしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、燃油を気化する気化部を備えた燃焼部と、前記気化部を加熱する気化部加熱手段と、前記気化部に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機と、前記気化部で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化部の温度を検知する気化部温度検知手段と、入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備えた燃焼機に於いて、前記気化部加熱手段と前記燃油供給手段と前記燃焼用送風機と前記着火手段と前記炎検知手段と前記気化部温度検知手段には前記スイッチング電源部からの直流電源が通電されるものである。
【0008】
又、請求項2では、燃油を気化する気化部を備えた燃焼部と、前記気化部を加熱する気化部加熱手段と、前記気化部に燃油を供給する燃油供給手段と、前記気化部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機と、前記気化部で気化した燃油を着火する着火手段と、前記燃焼部の炎を検知する炎検知手段と、前記気化部の温度を検知する気化部温度検知手段と、入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部と、前記燃焼部の燃焼を制御する制御部とを備えた燃焼機に於いて、前記燃油供給手段と前記燃焼用送風機と前記着火手段と前記炎検知手段と前記気化部温度検知手段には前記スイッチング電源部からの直流電源が通電され、前記気化部加熱手段には前記入力される交流電源を印加するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部を備え、気化部加熱手段と燃油供給手段と燃焼用送風機と着火手段と炎検知手段と気化部温度検知手段には直流電源が通電されるので、入力電源として国内の商用電源や、持ち運び容易な蓄電式の電源装置を接続しても、出力電圧がスイッチング電源部により所定の直流電圧に制御されて、直流電源用の前記気化部加熱手段と前記燃油供給手段と前記燃焼用送風機と前記着火手段と前記炎検知手段と前記気化部温度検知手段に所定の直流電圧が印加されて正常に運転され、災害発生時の停電や商用電源の無い野外でも使用することができる。
【0010】
又、請求項2によれば、入力される交流電源を直流に変換するスイッチング電源部を備え、燃油供給手段と燃焼用送風機と着火手段と炎検知手段と気化部温度検知手段には直流電源が通電されるので、入力電源として国内の商用電源や、持ち運び容易な蓄電式の電源装置を接続しても、出力電圧がスイッチング電源部により所定の直流電圧に制御されて、直流電源用の前記燃油供給手段と前記燃焼用送風機と前記着火手段と前記炎検知手段と前記気化部温度検知手段に所定の直流電圧が印加されて正常に運転され、災害発生時の停電や商用電源の無い野外でも使用することができる。
【0011】
又、気化部加熱手段には入力される交流電源を印加するので、スイッチング電源部の容量を、燃焼機内の電装品の中で最も消費電力が大きい気化ヒータに直流電圧を印加するための大容量にする必要がなく、スイッチング電源部の容量を抑えて、スイッチング電源部の大型化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【0013】
次に、この発明を適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は燃焼機の機器本体で、機器本体1内部に設けられ、燃焼を行う燃焼部であるバーナ2と、この燃焼機の作動を制御するマイコンを主体として構成された制御部3と、機器本体1背面開口部に設けられ、前記バーナ2での燃焼ガスを室内に放出する送風装置である対流ファン4と、機器本体1前面の温風吹出口5と、機器本体1前面側上部の操作部6とを備えているもので、バーナ2での燃焼ガスを対流ファン4により温風吹出口5から室内に吹き出すことで暖房を行うものである。
【0014】
前記バーナ2は、複数の炎孔を有したバーナヘッド7の下部に、気化部加熱手段である気化ヒータ8を有した気化部9を備えて構成され、気化ヒータ8によって加熱された気化部9内に油受け皿10から燃油供給手段である容積型の電磁ポンプ11の駆動で送油ノズル12を通じて液体燃料を供給し、この液体燃料が気化した気化ガスと燃焼用送風機である燃焼ファン13から送風路14を通じて供給される燃焼用空気との混合ガスを前記バーナヘッド7の炎孔で燃焼させ、また燃焼中は前記気化部9の上端に複数の炎孔に対向する如く備えた環状の熱回収リング15によって炎から熱回収を行い気化ヒータ8の通電を低減している。
【0015】
前記操作部6には、運転の開始/停止を指令するための運転スイッチ16と、室温上昇スイッチ17と室温下降スイッチ18とにより構成され所望の室温を設定する室温設定手段19と、タイマースイッチや予熱待機スイッチなどの各種の操作スイッチと、時刻や設定室温を表示する表示部20が設けられている。
【0016】
21は前記気化ヒータ8で加熱される気化部9の温度を検知する気化部温度検知手段で温度サーミスタからなる気化温度センサで、前記制御部3はこの気化温度センサ21の検知温度が所定の上限温度になると前記気化ヒータ8をオフし、また所定の下限温度になると前記気化ヒータ8をオンして気化部9の温度を液体燃料が良好に気化できる温度範囲内に保持するものである。
【0017】
又、前記制御部3は、運転スイッチ16の運転開始指令により、前記気化温度センサ21の検知温度を監視して前記気化部9を液体燃料が気化可能な温度まで気化ヒータ8により加熱し、気化部9の温度を燃焼に適する温度まで上昇させると、前記電磁ポンプ11及び燃焼ファン13を駆動開始し、着火手段である放電電極22により混合ガスに点火して燃焼を開始させ、炎検知手段であるフレームロッドからなる燃焼センサ23により炎を検知し、機器本体1背面の対流ファン4の近傍に設けられた室温センサ24の検知室温と前記室温設定手段19で設定された設定室温との偏差に応じて、前記電磁ポンプ11及び燃焼ファン13を制御して燃焼火力を可変して前記室温設定手段19で設定された室温になるように制御する。
【0018】
又、前記制御部3は、計時手段であるタイマー手段25を有し、前記タイマー手段25は制御部3から計時開始信号を受けると計時を開始し、計時している時間を制御部3に出力し、制御部3から計時停止信号を受けると計時を停止してリセットするものである。
【0019】
又、前記制御部3は、運転スイッチ16の運転停止指令を受けると、前記対流ファン4と気化ヒータ8と電磁ポンプ11と燃焼ファン13とを前記タイマー手段25のカウントに応じて適宜消火制御して、臭い及び煙のない快適な消火を実現すると共に、燃焼センサ23により不完全燃焼を検出すると計時を開始し、所定時間経過後に計時を停止するものである。
【0020】
26は金属製で中空円筒状の炎筒で、バーナ2の上部を内包するように設けられ、バーナ2の上部の炎形成部分に直接対流ファン4からの空気が当たらないようにして燃焼を安定化させると共に、炎が対流ファン4からの空気にあおられて温風吹出口5から吹き出すのを防止しているものである。
【0021】
27はスイッチング電源部で、交流の入力電源28を直流に変換して出力する。
【0022】
次にこの一実施形態の作動について第一の実施形態として
図2及び
図3により説明する。
まず、スイッチング電源部27は、絶縁型の低圧スイッチング電源部29と絶縁型の高圧スイッチング電源部30とにより構成され、入力電源として商用電源の交流電圧100Vが接続されると、スイッチング電源部27は交流電圧100Vを整流して、低圧スイッチング電源部29が安定した直流電圧12Vと24Vとを生成し、高圧スイッチング電源部30が安定した直流電圧100Vを出力電圧として生成する。
【0023】
そして、生成された直流電圧12Vは制御部3のマイコンに印加され、直流電圧24Vは電磁ポンプ11と燃焼ファン13と気化温度センサ21と放電電極22と燃焼センサ23と室温センサ24に印加され、直流電圧100Vは気化ヒータ8に印加される。
【0024】
又、入力電源として持ち運び容易な蓄電式の電源装置の交流電圧220Vが接続されると、スイッチング電源部27は交流電圧220Vを整流して、低圧スイッチング電源部29が直流電圧12Vと24Vとを出力電圧として生成すると共に、高圧スイッチング電源部30が直流電圧100Vを出力電圧として生成する。
【0025】
そして、生成された直流電圧12Vは制御部3のマイコンに印加され、直流電圧24Vは電磁ポンプ11と燃焼ファン13と気化温度センサ21と放電電極22と燃焼センサ23と室温センサ24に印加され、直流電圧100Vは気化ヒータ8に印加され、入力電源として持ち運び容易な蓄電式の電源装置で運転を行うことができる。
【0026】
又、蓄電式の電源装置の交流電圧が矩形波を組み合わせた疑似正弦波であっても、スイッチング電源部27で疑似正弦波の交流電圧を整流して安定した直流電圧に変換して使用するので、出力する交流電圧が疑似正弦波の蓄電式の電源装置も使用することができる。
【0027】
次にこの一実施形態の作動について第二の実施形態として
図4及び
図5により説明する。
まず、入力電源として商用電源の交流電圧100Vが接続されると、スイッチング電源部27は絶縁型の低圧スイッチング電源部29が交流電圧100Vを整流して、安定した直流電圧12Vと24Vとを出力電圧として生成する。
又、気化ヒータ8には、入力電源の交流電圧100Vがそのまま印加される。
【0028】
これによりスイッチング電源部27は、燃焼機内の電装品の中で最も消費電力が大きい気化ヒータ8に直流電圧100Vを印加するための大容量な高圧スイッチング電源部30が不要となり、スイッチング電源部27の容量を抑えて、スイッチング電源部27の大型化を防止できる。
【0029】
又、入力電源として持ち運び容易な蓄電式の電源装置の交流電圧220Vが接続されると、スイッチング電源部27は低圧スイッチング電源部29が交流電圧220Vを整流して、直流電圧12Vと24Vとを出力電圧として生成する。
又、気化ヒータ8には、入力電源の交流電圧220Vがそのまま印加される。
【0030】
そして、生成された直流電圧12Vは制御部3のマイコンに印加され、直流電圧24Vは電磁ポンプ11と燃焼ファン13と気化温度センサ21と放電電極22と燃焼センサ23と室温センサ24に印加されると共に、入力電源の交流電圧220Vが気化ヒータ8に印加される。
【0031】
これによりスイッチング電源部27は、燃焼機内の電装品の中で最も消費電力が大きい気化ヒータ8に直流電圧100Vを印加するための大容量な高圧スイッチング電源部30が不要となり、スイッチング電源部27の容量を抑えて、スイッチング電源部27の大型化を防止でき、入力電源として持ち運び容易な蓄電式の電源装置で運転を行うことができる。
【0032】
尚、気化ヒータ8は交流電圧240Vが印加されても大丈夫なものが備えられており、又、入力電源として商用電源の交流電圧100Vが接続された場合と比べて、気化部9の温度上昇が早くなるので、制御部3はそれに対応して着火制御を行うものである。
【0033】
又、第一の実施形態として高圧スイッチング電源部30を絶縁型で説明したが、比較的安価な非絶縁型のスイッチング電源を使用してもよいものである。
【符号の説明】
【0034】
2 バーナ(燃焼部)
3 制御部
8 気化ヒータ(気化部加熱手段)
9 気化部
11 電磁ポンプ(燃油供給手段)
13 燃焼ファン(燃焼用送風機)
16 運転スイッチ
21 気化温度センサ(気化部温度検知手段)
22 放電電極(着火手段)
23 燃焼センサ(炎検知手段)
25 タイマー手段(計時手段)
27 スイッチング電源部