(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033615
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】内容物放出機構、およびこの内容物放出機構を備えたエアゾール式製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/66 20060101AFI20240306BHJP
B65D 83/20 20060101ALI20240306BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65D83/66
B65D83/20 100
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137290
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】菅野 博史
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC08
3E014PD01
3E014PD21
3E014PE09
3E014PE14
3E014PE23
3E014PF05
4F033RA02
4F033RA04
4F033RB04
4F033RB06
4F033RC01
4F033RC07
4F033RC08
4F033RC11
4F033RC15
(57)【要約】
【課題】放出対象の内容物を収容する内容物容器と噴射剤を収容する噴射剤容器とを個々に備えた内容物放出機構において、任意の残留状態での容器交換の容易化を図る。
【解決手段】噴射剤容器1の噴射剤流出弁2bと、内容物容器3の噴射剤流入弁5bと、内容物容器3の内容物流出弁5cと、噴射剤流出弁2bの下流側および噴射剤流入弁5bの上流側を連通する接続通路Aと、内容物流出弁5cの下流側と外部空間域に続く放出通路Bと、噴射剤流出弁2bの下流側と接続通路Aとの間の噴射剤側着脱部Cと、接続通路Aおよび内容物流出弁5cの上流側の間ならびに内容物流出弁5cの下流側および放出通路Bの間の内容物側着脱部Dと、を備えた。噴射剤側着脱部Cおよび内容物側着脱部Dの着状態での操作レバー8による内容物放出操作によって、噴射剤流出弁2b、噴射剤流入弁5b、内容物流出弁5cそれぞれが開の内容物放出状態となるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出対象の内容物を収容する内容物容器と噴射剤を収容する噴射剤容器とを個々に備え、内容物放出操作に基づく前記噴射剤の作用によって前記内容物を外部空間域に放出する内容物放出機構において、
前記噴射剤容器に設けられた噴射剤流出弁と、
前記内容物容器に設けられた噴射剤流入弁と、
前記内容物容器に設けられた内容物流出弁と、
前記噴射剤流出弁の下流側および前記噴射剤流入弁の上流側を連通する接続通路と、
前記内容物流出弁の下流側から前記外部空間域に至る放出通路と、
前記噴射剤流出弁の下流側および前記接続通路の間に設けられた第一の着脱部と、
前記接続通路および前記内容物流出弁の上流側の間ならびに前記内容物流出弁の下流側および前記放出通路の間に設けられた第二の着脱部と、を備え、
前記第一の着脱部および前記第二の着脱部の着状態での内容物放出操作によって、前記噴射剤流出弁、前記噴射剤流入弁、前記内容物流出弁それぞれが開の内容物放出状態となる、
ことを特徴とする内容物放出機構。
【請求項2】
前記接続通路は、
当該接続通路の内部の圧力が所定値を超過したときに当該接続通路の外部に連通する圧力逃し弁を備えた、
ことを特徴とする請求項1記載の内容物放出機構。
【請求項3】
前記圧力逃し弁は、当該接続通路の嵌合部の一部を変形可能に薄肉とした、
ことを特徴とする請求項1または2記載の内容物放出機構。
【請求項4】
前記内容物容器は、
押し込むことで噴射剤流入弁および内容物流出弁が開状態となる内容物ステムを備え、
前記噴射剤容器は、
押し込むことで前記噴射剤流出弁が開状態となる噴射剤ステムを備え、
前記内容物ステムおよび前記噴射剤ステムが、前記接続通路および前記放出通路を備えた通路部材を挟んで対向する態様で前記内容物容器および前記噴射剤容器が配置された、
ことを特徴とする請求項1または2記載の内容物放出機構。
【請求項5】
前記内容物容器は、
前記内容物流出弁の上流側に接続された袋体を収容し、
前記袋体の外周側に前記噴射剤流入弁の下流側が連通している、
ことを特徴とする請求項1または2記載の内容物放出機構。
【請求項6】
前記接続通路に前記噴射剤の流量を調整するレギュレータを備えた、
ことを特徴とする請求項1または2記載の内容物放出機構。
【請求項7】
請求項1または2記載の内容物放出機構を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出対象内容物を収容した容器を内容物放出操作機構から着脱可能とした内容物放出機構に関する。
【0002】
特に、内容物とその噴射剤とを個別の容器に収容した内容物放出機構に関する。
【0003】
本明細書では単なる説明の便宜上、内容物が外部空間域に噴射される方向、すなわち
図1,
図2および
図4~
図10の左方向、
図3の左下方向を「前」といい、その逆方向を「後」という。
【背景技術】
【0004】
従来、内容物とその噴射剤とを個別の容器に収容し、内容物放出操作により双方を一体化させる内容物放出機構が提案されている(特許文献1,2参照)。
【0005】
この内容物放出機構では、噴射剤容器から流出する噴射剤を内容物容器に導入して、その噴射作用で内容物を内容物容器から押し出して放出口より外部空間域に放出する。
【0006】
ここでは、不使用時に内容物が内容物容器から漏出しないように、内容物容器と放出口との間に弁が設けられ、内容物放出操作に基づいて開の使用状態となる。
【0007】
内容物と噴射剤とを個別の容器に収容しているので、どちらか先に使い終わったときに消尽した方だけを個別に交換することで、内容物や噴射剤を最後まで使い切ることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11-262703号公報
【特許文献2】特開2007-062777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの内容物放出機構では、内容物容器および噴射剤容器のそれぞれを内容物または噴射剤を収容したままま内容物放出操作機構から取り外すことが容易でないという問題点があった。
【0010】
特許文献1において、内容物放出機構から取り外した液容器1(内容物容器)は開口状態であり、別途これを閉鎖する蓋を用意しないと、液容器内容物を保管することができなかった。
【0011】
また、特許文献2において、キャップ28に取り付けられたガス容器本体部11(噴射剤容器)のガス容器バルブ20は常に開状態であるため、押しボタン60から内容物容器を取り外すときにボタン内ガス通路61から噴射剤が噴出するので、まず先にガス容器本体部11(噴射剤容器)を取り外して噴射剤が押しボタン60に流入することを解除しておく必要があった。
【0012】
そのため、放出内容物を使い切らずにその使用途中で他の種類に変更することが容易でなく煩雑であった。
【0013】
そこで本発明では、内容物放出操作で連動するか弁を各着脱部の容器側に設けて、内容物容器および噴射剤容器それぞれの任意の残留状態での容器交換の容易化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
【0015】
(1)放出対象の内容物を収容する内容物容器(例えば後述の内容物容器3,43)と噴射剤を収容する噴射剤容器(例えば後述の噴射剤容器1,40)とを個々に備え、内容物放出操作に基づく前記噴射剤の作用によって前記内容物を外部空間域に放出する内容物放出機構において、
前記噴射剤容器に設けられた噴射剤流出弁(例えば後述の噴射剤流出弁2b)と、
前記内容物容器に設けられた噴射剤流入弁(例えば後述の噴射剤流入弁5b,45b)と、
前記内容物容器に設けられた内容物流出弁(例えば後述の内容物流出弁5c,45c)と、
前記噴射剤流出弁の下流側および前記噴射剤流入弁の上流側を連通する接続通路(例えば後述の接続通路A,E)と、
前記内容物流出弁の下流側と前記外部空間域に続く放出通路(例えば後述の放出通路B,F)と、
前記噴射剤流出弁の下流側と前記接続通路との間に設けられた第一の着脱部(例えば後述の噴射剤側着脱部C,G)と、
前記接続通路および前記内容物流出弁の上流側の間ならびに前記内容物流出弁の下流側および前記放出通路の間に設けられた第二の着脱部(例えば後述の内容物側着脱部D,H)と、を備え、
前記第一の着脱部および前記第二の着脱部の着状態での内容物放出操作によって、前記噴射剤流出弁、前記噴射剤流入弁、前記内容物流出弁それぞれが開の内容物放出状態となる、
構成態様のものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記接続通路は、
当該接続通路の内部の圧力が所定値を超過したときに当該接続通路の外部に連通する圧力逃し弁(例えば後述の薄肉部11a,逃し弁12b)を備えた、
構成態様のものを用いる。
(3)上記(1),(2)において、
前記圧力逃し弁は、当該接続通路の嵌合部の一部を変形可能に薄肉とした、
構成態様のものを用いる。
(4)上記(1)~(3)において、
前記内容物容器は、
押し込むことで噴射剤流入弁および内容物流出弁が開状態となる内容物ステム(例えば後述のステム45a)を備え、
前記噴射剤容器は、
押し込むことで前記噴射剤流出弁が開状態となる噴射剤ステム(例えば後述のステム41a)を備え、
前記内容物ステムおよび前記噴射剤ステムが、前記接続通路(例えば後述の接続通路E)および前記放出通路(例えば後述の放出通路F)を備えた通路部材(例えば後述の噴射剤用ボタン50,内容物用ボタン51)を挟んで対向する態様で前記内容物容器および前記噴射剤容器が配置された、
構成態様のものを用いる。
(5)上記(1)~(4)において、
前記内容物容器は、
前記内容物流出弁の上流側に接続された袋体(例えば後述の袋体22)を収容し、
前記袋体の外周側に前記噴射剤流入弁の下流側が連通している、
構成態様のものを用いる。
(6)上記(1)~(5)において、
前記接続通路に前記噴射剤の流量を調整するレギュレータ(例えば後述のレギュレータ31)を備えた、
構成態様のものを用いる。
【0016】
このような構成からなる内容物放出機構および、当該内容物放出機構を備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上の構成をとることにより、
内容物容器および噴射剤容器それぞれの任意の残留状態での容器交換の容易化を、
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】噴射剤容器および内容物容器を個々に備えた内容物放出機構の不使用状態を示す説明図である。
【
図2】
図1の内容物放出機構の放出経路概要を示す説明図である。
【
図3】
図1の内容物放出機構の容器着脱関係を示す説明図である。
【
図4】
図1の内容物放出機構の噴射状態を示す説明図である。
【
図6】
図1の薄肉部に代えて逃し弁を用いた内容物放出機構を示す説明図である。
【
図7】
図1の内容物容器に代えて袋体を収容した二重容器の内容物放出機構を示す説明図である。
【
図8】噴射剤調整用のレギュレータを備えた内容物放出機構を示す説明図である。
【
図9】内容物容器の上方に噴射剤容器を倒立状態で縦列配置した内容物放出機構を示す説明図である。
【
図10】
図9の内容物放出機構の噴射状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至
図10を用いて、本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
なお、以下のアルファベット付き参照符号の構成要素(例えばステム2a)は原則として、当該参照符号の数字部分の構成要素(例えば噴射剤用バルブ2)の一部であることを示している。
【0021】
ここで、
図1~
図7において、
1は内容物を外部空間域に放出するための噴射剤を収容した噴射剤容器,
2は噴射剤容器1の上端に設けられた噴射剤用バルブ,
2aは付勢力に抗して押し下げることで、噴射剤容器1内部と連通して上端開口部より噴射剤が流出するステム,
2bはステム2aの押し下げによって開状態となり、噴射剤容器1内部とステム2a内部とを連通する噴射剤流出弁,
3は放出対象の内容物を収容した内容物容器,
4は内容物容器3の上端開口部に螺合するキャップ,
4aは後述のストッパー7cの孔部に係合する凸部,
5はキャップ4の内側天井部に係合固定された内容物用バルブ,
5aは内外二重の筒状部からなり、付勢力に抗して押し下げることで、上端中央開口部が後述の吸上管6と連通し、上端環状開口部が噴射剤容器1内部と連通するステム,
5bはステム5a押し下げによって開状態となり、内容物容器3内部の上部空間とステム5a内部の外周空間とを連通する噴射剤流入弁,
5cはステム5aの押し下げによって開状態となり、後述の吸上管6内部とステム5a内部の中央空間とを連通する内容物流出弁,
6は内容物用バルブ5に一端が接続され、内容物容器3の底部付近に他端が配置された吸上管,
7は噴射剤容器1と内容物容器3とが保持される容器ホルダー,
7aは容器ホルダー7の本体に螺合固定され、噴射剤容器1を収容し、利用者の把持部としても機能する噴射剤容器ケース,
7bは後述の噴射剤通路11を上下方向に変位可能なかたちで案内し、後述の噴射剤用ボタン9および後述の内容物用ボタン10が容器ホルダー7から脱落しないように保持するガイド部,
7cは前後二箇所の接続部以外の周囲が分離されるかたちで設けられ、この接続部が回動中心として揺動可能に設けられ、凸部4aが係止する孔部を備えたシーソー式のストッパー(
図3参照),
8は容器ホルダー7に回動可能に係合され、内容物放出操作のときに利用者に押し下げられる操作レバー,
8aは内容物放出操作の際に噴射剤用ボタン9に当接して下方に駆動する後方凹状部,
8bは内容物放出操作の際に内容物用ボタン10に当接して下方に駆動する前方凹状部,
9は噴射剤用バルブ2のステム2a上端に嵌合する噴射剤用ボタン,
9aは左右に突出する態様で噴射剤用ボタン9に設けられ、後方凹状部8aに当接して駆動される一対の円柱軸,
10は内容物用バルブ5のステム5a上端に嵌合する内容物用ボタン,
10aは左右に突出する態様で内容物用ボタン10に設けられ、前方凹状部8bに当接して駆動される一対の円柱軸,
10bは内容物が外部空間域に放出される噴射口,
10cはステム5aの外側筒状部の外周に嵌合する部分に設けられた溝部10c(
図5参照),
11は噴射剤用ボタン9の下流側と内容物用ボタン10の上流側を連通する噴射剤通路,
11aは噴射剤通路内部の圧力が所定値を超過したときに変形して、内容物用ボタン10との接続部から通路内部の噴射剤を外部空間域に漏出させる薄肉部,
Aは噴射剤用ボタン9とステム2aとの嵌合部(後述の噴射剤側着脱部C)から噴射剤用ボタン9,噴射剤通路11および内容物用ボタン10の内部を通り、この内容物用ボタン10とステム5aとの嵌合部(後述の内容物側着脱部D)に至る接続通路,
Bは内容物用ボタン10とステム5aとの嵌合部(内容物側着脱部D)から内容物用ボタン10の内部を通り、噴射口10bに至る放出通路,
Cは噴射剤用ボタン9とステム2aとの間で気密・液密に嵌合する噴射剤側着脱部,
Dは内容物用ボタン10とステム5aとの間で気密・液密に嵌合する内容物側着脱部,
をそれぞれ示している。
【0022】
また、
図6において、
12は内容物用バルブ5のステム5a上端に係合する噴射剤用ボタン,
12aは左右に突出する態様で設けられ、前方凹状部8bに当接して駆動される一対の円柱軸,
12bは噴射剤用ボタン12の内部通路の圧力が所定値を超過したときにスプリングの付勢に抗して移動し、内部通路を外部空間域に連通して圧力を逃がす逃し弁,
13は噴射剤用ボタン12の下流側と内容物用ボタン10の上流側を連通する噴射剤通路,
をそれぞれ示している。
【0023】
また、
図7において、
20は後述の袋体22を収容して二重容器を構成する外側内容物容器,
21は上流側が後述のジョイント22aに接続可能な内容物用バルブ,
21aは付勢力に抗して押し下げることで、噴射剤容器1内部と連通して上端開口部より噴射剤が流出するステム,
22は外側内容物容器20に収容された袋体,
22aは袋体22の上縁に設けられ内容物取り出しのためのジョイント,
22bは袋体22の内部でジョイント22aに接続され吸上管,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
図8において、
30は後述のレギュレータユニット31を収容して噴射剤用ボタン9の代わりとなる噴射剤用ボタン,
31は噴射剤の流量を調整する既知のレギュレータユニット,
をそれぞれ示している。
【0025】
また、
図9および
図10において、
40は内容物を外部空間域に放出するための噴射剤を収容した噴射剤容器,
41は噴射剤容器40の上端に設けられた噴射剤用バルブ,
41aは付勢力に抗して押し下げることで噴射剤流出弁が開状態となり、噴射剤容器40内部と連通して上端開口部より噴射剤が流出するステム,
42は噴射剤用バルブ41に一端が接続され、気化した噴射剤が滞留する噴射剤容器40の上部空間域付近に他端が配置された通気管,
43は放出対象の内容物を収容した内容物容器,
44は内容物容器3の上端開口部に螺合するキャップ,
45はキャップ44の内側天井部に係合固定された内容物用バルブ,
45aは内外二重の筒状部からなり、付勢力に抗して押し下げることで、上端中央開口部が後述の吸上管46と連通し、上端環状開口部が噴射剤容器1内部と連通するステム,
45bはステム45a押し下げによって開状態となり、内容物容器43内部の上部空間とステム45a内部の外周空間とを連通する噴射剤流入弁,
45cはステム45aの押し下げによって開状態となり、後述の吸上管46内部とステム45a内部の中央空間とを連通する内容物流出弁,
46は内容物用バルブ45に一端が接続され、内容物容器43の底部付近に他端が配置された吸上管,
47は内容物容器3が保持される容器ホルダー,
47aは後述の壁部47bより左右に突出する態様で設けられ、後述の操作レバー49の凹部に係合してその回動中心となる円柱状の一対の凸部,
47bは内容物容器3のキャップ44の保持部の上部に左右および後方を囲う形の起立態様で設けられ壁部,
47cは壁部47bの上部左右に設けられてその内面で後述の蓋部48aを案内する膨出部,
47dは後述の内容物用ボタン51の垂直通路部を上下方向に変位可能なかたちで案内・保持するC字断面起立部,
47eは内容物用ボタン51の水平通路部を上下方向に変位可能なかたちで案内し、内容物用ボタン51が容器ホルダー47から脱落しないように保持するガイド部,
48は容器ホルダー47の膨出部47cに案内・保持され、噴射剤容器40を収容する噴射剤容器ケース,
48aは螺合によりケース本体を着脱できる蓋部,
48bは左右に突出する態様で蓋部48aに設けられ、前後の平面が膨出部47cの内面の縦溝(図示省略)に案内されて蓋部48a着脱の際の容器ホルダー47と蓋部48aとの相対回動を防止し、かつ上側の曲面が後述の凹状部49aに当接して上下方向に駆動される一対のU字断面軸,
49は容器ホルダー47に回動可能に係合され、内容物放出操作のときに前面下端部を利用者に引き下げられるトリガー操作式の操作レバー,
49aは内容物放出操作の際に噴射剤容器ケースのU字断面軸48bに当接して下方に駆動する凹状部,
50は噴射剤用バルブ41のステム41a下端に嵌合する噴射剤用ボタン,
51は内容物用バルブ45のステム45a上端に嵌合する内容物用ボタン,
51aは内容物が外部空間域に放出される噴射口,
をそれぞれ示している。
Eは噴射剤用ボタン50とステム41aとの嵌合部(噴射剤側着脱部G)から噴射剤用ボタン50および内容物用ボタン51の内部を通り、この内容物用ボタン51とステム45aとの嵌合部(内容物側着脱部H)に至る接続通路,
Fは内容物用ボタン51とステム45aとの嵌合部(内容物側着脱部H)から内容物用ボタン51の内部を通り、噴射口51aに至る放出通路,
Gは噴射剤用ボタン50とステム41aとの間で気密・液密に嵌合する噴射剤側着脱部,
Hは内容物用ボタン51とステム45aとの間で気密・液密に嵌合する内容物側着脱部,
をそれぞれ示している。
【0026】
ここで、噴射剤用バルブ2のハウジング,ステム2a,キャップ4,内容物用バルブ5のハウジング,内容物用バルブ5の内部カラー,ステム5a,吸上管6,容器ホルダー7,操作レバー8,噴射剤用ボタン9,内容物用ボタン10,噴射剤通路11,噴射剤用ボタン12,内容物用バルブ21のハウジング,内容物用バルブ21の内部カラー,ステム21a,ジョイント22a,吸上管22b,噴射剤用バルブ41のハウジング,ステム41a,通気管42,キャップ44,内容物用バルブ45のハウジング,内容物用バルブ45の内部カラー,ステム45a,吸上管46,容器ホルダー47,噴射剤容器ケース48,操作レバー49,噴射剤用ボタン50および内容物用ボタン51は例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0027】
また、噴射剤容器1,内容物容器3,外側内容物容器20,噴射剤容器40,および内容物容器43は例えばプラスチック製,金属製,ガラスのものであり、噴射剤用バルブ2,内容物用バルブ5,内容物用バルブ21,逃し弁12b,レギュレータユニット31,噴射剤用バルブ41および内容物用バルブ45それぞれのスプリングは例えばプラスチック製,金属製のものであり、噴射剤用バルブ2,内容物用バルブ5,内容物用バルブ21,噴射剤用バルブ41および内容物用バルブ45それぞれ内外のガスケットや逃し弁12b,レギュレータユニット31下流側のOリングは例えゴム製,エラストマー製のものである。
【0028】
図1は、噴射剤容器1および内容物容器3を個々に備えた内容物放出機構の不使用状態を示している。
【0029】
噴射剤容器1は、噴射剤が収容され、噴射剤用バルブ2が取り付けられて内容物が漏出しない状態となっている。
【0030】
また、内容物容器3は、内容物が収容され、キャップ4,内容物用バルブ5および吸上管6が取り付けられて内容物が漏出しない状態となっている。
【0031】
噴射剤用バルブ2のステム2aは筒状部からなり、その筒状部の内側が噴射剤流出弁2bの下流側に連通している。なお、噴射剤流出弁2bの上流側は噴射剤容器1の内部に連通している。
【0032】
内容物用バルブ5のステム5aは二重の筒状部からなり、内側筒状部の内側の中央通路と内外筒状部の間の環状通路とを有し、中央通路が内容物流出弁5cの下流側に連通し、環状通路が噴射剤流入弁5bの上流側に連通している。
【0033】
噴射剤流入弁5bの下流側は内容物用バルブ5のハウジング外周面の孔部を介して内容物容器3の内部上側に連通し、内容物流出弁5cの上流側は吸上管6を介して内容物容器3の内部下側で内容物の存在する部分に連通している。
【0034】
噴射剤用バルブ2のおよび内容物用バルブ5は、それぞれの内部に設けられたスプリングによってステム2aおよびステム5aを上方に付勢し、噴射剤流出弁2b,噴射剤流入弁5bおよび内容物流出弁5cを閉状態にしている。
【0035】
噴射剤用バルブ2のステム2aと噴射剤用ボタン9とは噴射剤側着脱部Cとして嵌合し、内容物用バルブ5のステム5aと内容物用ボタン10とは内容物側着脱部Dとして嵌合している。これらの間に設けられた噴射剤通路11の両端はそれぞれ噴射剤用ボタン9と内容物用ボタン10とに嵌合している。
【0036】
内容物用ボタン10のステム5aとの嵌合部は、ステム5aの外側筒状部の外周に嵌合する大径部と、ステム5aの内側筒状部の外周に嵌合する小径部とを備え、ステム5aと同様に中央通路と環状通路とを有し、内容物用ボタン10とステム5aとが嵌合したときに中央通路同士と環状通路同士とがそれぞれ独立して連通する。
【0037】
噴射剤用ボタン9のステム2aとの嵌合部から、噴射剤用ボタン9,噴射剤通路11および内容物用ボタン10の内部を通り、内容物用ボタン10のステム5aとの嵌合部の環状通路までが連通した接続通路Aとなっている。また、内容物用ボタン10のステム5aとの嵌合部の中央通路から噴射口10bまでが連通した放出通路Bとなっている。
【0038】
噴射剤側着脱部Cでは、ステム2aの内側通路が接続通路Aに接続されている。また、内容物側着脱部Dでは、ステム5aの中央通路、すなわち内容物流出弁5c側通路が放出通路Bに、ステム5aの環状通路、すなわち噴射剤流入弁5b側通路が接続通路Aに接続されている。
【0039】
操作レバー8は、その前側に設けられた一対の円柱部が回動軸となるかたちで容器ホルダー7の孔部に係合している。
【0040】
また、操作レバー8は、その前方凹状部8bが内容物用ボタン10の円柱軸10aの上側に当接した状態で保持されている。なお、後方凹状部8aと噴射剤用ボタン9の円柱軸9aとは離間した状態となっている。
【0041】
図2は、
図1における前述の放出経路の概略を示している。
【0042】
図3は、内容物放出機構の噴射剤容器1および内容物容器3の着脱関係を示している。
【0043】
噴射剤容器1の装着は、噴射剤容器ケース7aに収容してから、容器ホルダー7の後部下側に螺合する。このときステム2aが噴射剤用ボタン9に嵌合する。
【0044】
噴射剤容器1の取り外しは、容器ホルダー7から噴射剤容器ケース7aを取り外してから、噴射剤容器1を下方に引き抜き、噴射剤用ボタン9からステム2aを外す。
【0045】
内容物容器3の装着は、内容物容器3を容器ホルダー7の前部下側に挿入する。このときステム5aが内容物用ボタン10に嵌合するとともに、キャップ4の凸部4aがストッパー7cの孔部に内側から係止される。
【0046】
内容物容器3の取り外しは、ストッパー7cの上側を押し込んでその孔部を外側に移動させ、キャップ4の凸部4aの係止を解除してから、内容物容器3を下方に引き抜き、内容物用ボタン10からステム5aを外す。
【0047】
ストッパー7cは容器ホルダー7との接続部によって弾性的に回動可能で、押し込みを解除すると凸部4aを係止可能な状態に復帰する。
【0048】
噴射剤用ボタン9,内容物用ボタン10および噴射剤通路11の移動範囲は、これらを挟み込むように設けられた一対のガイド部7bで規制されている。ガイド部7bの上端は対向する間隔が噴射剤通路11より狭く設定されているので、噴射剤通路11が当接してそれ以上移動することができない。
【0049】
そのため、噴射剤容器1や内容物容器3が取り付けられていない状態であっても、容器ホルダー7から噴射剤用ボタン9,内容物用ボタン10および噴射剤通路11が脱落することはない。
【0050】
図1の不使用状態であれば、噴射剤流入弁5b,内容物流出弁5cおよび噴射剤流出弁2bは閉状態であるので、噴射剤や内容物が漏出することなく噴射剤容器1および内容物容器3をそれぞれ自由に取り外すことができる。
【0051】
なお、取り外した状態の噴射剤容器1や内容物容器3には、ステム2aやステム5aを保護するためのカバー体を装着できる。
【0052】
図4および
図5は、内容物放出機構の噴射状態を示している。
図5は、この噴射状態の内容物用バルブ5の拡大図を示している。
【0053】
図1の状態から内容物放出操作によって操作レバー8の後部を押し下げると、前方凹状部8bが円柱軸12aに当接し、その後、後方凹状部8aが円柱軸10aに当接して、内容物用ボタン10,噴射剤通路11および噴射剤用ボタン12の全体が下方に移動する。
【0054】
同時に、内容物用ボタン10に嵌合したステム5aと、噴射剤用ボタン12に嵌合したステム2aとがそれぞれ付勢に抗して押し下げられ、噴射剤流入弁5b,内容物流出弁5cおよび噴射剤流出弁2bが開状態となる。
【0055】
そして、噴射剤容器1の噴射剤が「噴射剤流出弁2b-ステム2aの内部-噴射剤用ボタン12の内部(接続通路A)-噴射剤通路11の内部(接続通路A)-内容物用ボタン10の内部(接続通路A)-ステム5aの筒状通路-噴射剤流入弁5b-内容物用バルブ5の下側外周部の孔部」を通って内容物容器3の上側空間域に流入する。
【0056】
この噴射剤の流入によって、内容物容器3の内部が加圧され、収容された内容物の液面に圧力が加わって、内容物が「吸上管6の内部-内容物用バルブ5の下端側内部-内容物流出弁5c-ステム5aの中央通路-内容物用ボタン10の内部(放出通路B)」を通って噴射口10bより外部空間域に放出される。
【0057】
次に放出を停止するために操作レバー8の押し下げを解除すると、ステム2aおよびステム5aの復帰力によって、内容物用ボタン10,噴射剤通路11および噴射剤用ボタン12は上動し、円柱軸10aおよび円柱軸12aは操作レバー8を不使用時の位置に復帰させる。
【0058】
そして、ステム2aおよびステム5aの復帰によって、噴射剤流入弁5b,内容物流出弁5cおよび噴射剤流出弁2bは閉状態となり、噴射口10bからの内容物の放出は停止して、
図1の状態に戻る。
【0059】
各弁は、内容物放出操作の開始時に接続通路Aからの噴射剤の作用で内容物着脱部Dに圧力が加わり内容物用ボタン10からステム5aが抜けるのを防止するため、内容物放出操作の際にまず噴射剤流入弁5bおよび内容物流出弁5cが開状態となりその後噴射剤流出弁2bが開状態となるようにする。また内容物放出操作の終了後に接続通路Aの残留圧力を低減するため、操作からの復帰の際にまず噴射剤流出弁2bが閉状態として接続通路Aの圧力を放出通路Bに逃した後に噴射剤流入弁5bおよび内容物流出弁5cが閉状態となるようにする。
【0060】
なお、内容物放出の開始・停止の節度の良好を優先する場合には、各弁は内容物放出操作の際に内容物流出弁5cが最後に開状態となるようにし、操作からの復帰の際に最初に閉状態となるようにしてもよい。
【0061】
なお、内容物の放出停止後に、噴射剤が接続通路Aに圧力を保持したまま残留する。その状態で周囲温度が上昇して残留した噴射剤が膨張し、接続通路Aの圧力が所定値まで高まった場合には、噴射剤通路11の薄肉部11aがその圧力を受けて内側に接する内容物用ボタン10の後方筒状部から離間し、その隙間から膨張した噴射剤を外部空間域に逃がすことで内容物放出機構の破損を防止できる。
【0062】
この所定値は、内容物放出に必要な圧力以上で、かつ長期間保持されても接続通路Aを構成する各部材の変形・割れや、各嵌合部の抜け・緩みが生じない圧力以下に設定される。
【0063】
また、接続通路Aに噴射剤が残留している状態で、内容物用ボタン10のステム5aとの嵌合部(内容物着脱部D)において内容物容器3を取り外すときに、ステム5aの内側筒状部の外周に密接する小径嵌合部の嵌合が解除されるより先に接続通路Aが溝部10c(
図5参照)に連通し、接続通路Aの噴射剤は溝部10cを介して外部空間域に放出される。その後にステム5aの内側筒状部の嵌合が解除されるので、接続通路Aの噴射剤が放出通路Bにその圧力で直接流入して残留する内容物とともに噴射口10bより意図せず放出されることがない。
【0064】
溝部10cは省略してもよい。この場合、接続通路Aに噴射剤が残留している状態で、内容物用ボタン10のステム5aとの嵌合部(内容物着脱部D)において内容物容器3を取り外すときに、ステム5aの内側筒状部の外周に密接する小径嵌合部は、ステム5aの外側筒状部の外周に密接する大径嵌合部より先に嵌合が解除されて、接続通路Aに残留した噴射剤はその圧力で放出通路Bに直接流入して残留内容物とともに噴射口10bより放出される。その後にステム5aの外側筒状部の嵌合が解除されるので、交換後の内容物が異なる場合に、放出通路Bにおいて残留内容物の混和が低減できる
【0065】
図6は、薄肉部11aに代えて移動弁体を用いた逃し弁12bを備えた内容物放出機構を示している。
【0066】
図6では、
図1の噴射剤用ボタン9に代えて噴射剤用ボタン12を用い、噴射剤用ボタン12は逃し弁12bが設けられていることを除き噴射剤用ボタン9と同じ機能を備えている。また、
図1の噴射剤通路11に代えて、薄肉部11aが設けられていないかたちの噴射剤通路13が用いられている。
【0067】
接続通路Aの圧力が所定値まで高まった場合には、噴射剤用ボタン12の接続通路Aに設けた孔部を介して逃し弁12bが圧力を受け、スプリングの付勢に抗して孔部から離間し、その孔部から膨張した噴射剤を外部空間域に逃がすことで内容物放出機構の破損を防止できる。
【0068】
逃し弁12bやこれを付勢するスプリングを独立した部品とすることで、逃がし弁の開状態となる圧力が所定値からばらつくのを小さくできる。
【0069】
図7は、内容物容器3に代えて袋体22を収容した二重容器を備えた内容物放出機構を示している。
【0070】
図7では、
図1の内容物容器3,内容物用バルブ5および吸上管6に代えて外側内容物容器20,内容物用バルブ21,袋体22を用い、内容物用バルブ21は下端部が延長されていることを除き内容物用バルブ5と同じ機能を備えている。
【0071】
袋体22は、内容物や噴射剤が透過しないプラスチック製フィルムの周囲をジョイント22aとともに熱溶着して袋状に形成され、その内部に内容物が収容される。
【0072】
この内容物放出機構の噴射状態において、接続通路Aからの噴射剤は外側内容物容器20と袋体22との間の空間域に流入し袋体22を圧縮する。そして袋体22に収容された内容物はジョイント22a下側の隙間や吸上管22bの下端からジョイント22aの内部を通って内容物用バルブ21に内部に流入し、
図1と同じく内容物用ボタン10を通って外部空間域に放出される。
【0073】
噴射剤と内容物とが接触しないため、接触によって内容物が変質する場合や、内容物に噴射剤が溶解すると問題が発生する場合など用いられる。
【0074】
図8は、噴射剤調整用のレギュレータユニット31を備えた内容物放出機構を示している。
【0075】
図8では、
図1の噴射剤用ボタン9に代えて噴射剤の流量を一定化するためのレギュレータユニット31を備えた噴射剤用ボタン30を用い、噴射剤用ボタン30はレギュレータユニット31を備えていることを除き噴射剤用ボタン9と同じ機能を備えている。なお、レギュレータユニット31については、国際公開第2007/034564号で開示されている。
【0076】
ステム2aにはレギュレータユニット31の流入側が嵌合し(噴射剤側着脱部C)、レギュレータユニット31の流出側はシール用のOリングを挟んで噴射剤用ボタン30の流出側通路に接続されている。
【0077】
接続通路Aを通過する噴射剤が一定化するので、噴射口10bから放出される内容物の状態が安定化し、また過剰な噴射剤が薄肉部11aから漏出して無駄になることがない。
【0078】
図9は、
図1~
図8の内容物放出機構と異なり、内容物容器43の上方に噴射剤容器40を倒立状態で縦列配置した内容物放出機構を示している。
【0079】
この内容物放出機構は、重心が利用者の把持部の上下方向付近に配置されるので、
図1~
図8の内容物放出機構では生じてしまう内容物などの重みによる前側への傾倒傾向が少なく、また、壁部47bの後方張出部が利用者の親指・人差し指の根元の上に乗ることで下方への滑り落ちを防止するので、利用者の大きな把持力を不要としている。
【0080】
同様に、重心を内容物容器43の底面の範囲上中央付近に設定することが容易なため、この内容物放出機構を水平面に安定して縦置き保管できる。
【0081】
ステム41a,45aそれぞれを対向させ近い位置に配置することで、接続通路Eの容積を小さくして残留噴射剤が少なくなり、また噴射剤通路11相当の省略により接続箇所が減るので、破損を低減できる。
【0082】
噴射剤用バルブ41には、ステム41aの押し下げによって開状態となって、噴射剤容器40内部とステム41a内部とを連通し、噴射剤流出弁2bと同様の作用をする噴射剤流出弁(図示せず)が設けられている。
【0083】
なお、キャップ44を容器ホルダー47に保持するために、それぞれ凸部4aおよびストッパー7cと同様の構造をそなえている。
【0084】
図10は、
図9の内容物放出機構の噴射状態を示している。
【0085】
図9の状態から内容物放出操作によって操作レバー49の前面を押圧すると、操作レバー49は凸部47aを中心に回動して、その凹状部49aが当接するU字断面軸48bに作用して噴射剤容器ケース48を押下げるので、噴射剤容器40と内容物容器43がステム41a,45aをお互いに近づけるかたちで接近する。
【0086】
ステム41a,45aは、噴射剤用ボタン50および内容物用ボタン51と嵌合して一体化しているので、この接近により、各ステムは噴射剤容器40と内容物容器43それぞれに相対的に押し込まれ、噴射剤流入弁45b,内容物流出弁45cおよび噴射剤用バルブ41の噴射剤流出弁が開状態となる。
【0087】
そして、噴射剤容器40の噴射剤が「噴射剤用バルブ41の噴射剤流出弁-ステム41aの内部-噴射剤用ボタン50の内部(接続通路E)-内容物用ボタン51の内部(接続通路E)-ステム45aの筒状通路-噴射剤流入弁45b-内容物用バルブ45の下側外周部の孔部」を通って内容物容器43の上側空間域に流入する。
【0088】
この噴射剤の流入によって、内容物容器43の内部が加圧され、収容された内容物の液面に圧力が加わって、内容物が「吸上管46の内部-内容物用バルブ45の下端側内部-内容物流出弁45c-ステム45aの中央通路-内容物用ボタン51の内部(放出通路F)」を通って噴射口51aより外部空間域に放出される。
【0089】
操作レバー49前面の押圧を解除すると、噴射剤容器40と内容物容器43のステム41a,45aが付勢力で元の位置に復帰して各弁が閉鎖し噴射口51aからの内容物の放出は停止して、操作レバー49と噴射剤容器40が不使用時の位置に復帰した
図9の状態に戻る。
【0090】
各弁の開閉順序はステム41a,45aそれぞれの閉状態に移行させる付勢力(ステム付勢スプリング,ステムガスケットの変形復帰力,噴射剤容器内部の圧力など)のバランスによって設定され、連動機構は不要である。
【0091】
図9のおいては、ステム45aの噴射剤流入弁45bおよび内容物流出弁45cそれぞれに対応する二枚のステムガスケットの変形抵抗力による付勢力が、ステム41aに対応する一枚のステムガスケットの変形抵抗力によるものより大きいため、内容物放出操作の際には、まず噴射剤用バルブ41の噴射剤流出弁が開状態となり、その後噴射剤流入弁45bおよび内容物流出弁45cが開状態となる。
なお、ステム41aを付勢するスプリングを強化することで弁の開閉順を変更することができる。
【0092】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり、
(11)回動式の操作レバー8,49に代えてスライド式部材を用い、これに設けたカム面によって円柱軸9a,10a,U字断面軸48bなどを駆動する、
(12)溝部10cに代えてステム5aの外側筒状部の外周に密接する大径嵌合部の嵌合長を短くして、内容物容器3を取り外すときにステム5aの内側筒状部の外周に密接する小径嵌合部より先に嵌合が解除されるようにする、
ようにしてもよい。
【0093】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0094】
内容物容器3,43,袋体22に収容される内容物としては、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0095】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0096】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0097】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0098】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0099】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0100】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤、リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0101】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0102】
噴射剤容器1,40に収容される噴射剤としては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0103】
1:噴射剤容器
2:噴射剤用バルブ
2a:ステム
2b:噴射剤流出弁
3:内容物容器
4:キャップ
4a:凸部
5:内容物用バルブ
5a:ステム
5b:噴射剤流入弁
5c:内容物流出弁
6:吸上管
7:容器ホルダー
7a:噴射剤容器ケース
7b:ガイド部
7c:ストッパー
8:操作レバー
8a:後方凹状部
8b:前方凹状部
9:噴射剤用ボタン
9a:円柱軸
10:内容物用ボタン
10a:円柱軸
10b:噴射口
10c:溝部
11:噴射剤通路
11a:薄肉部
A:接続通路
B:放出通路
C:噴射剤側着脱部
D:内容物側着脱部
【0104】
12:噴射剤用ボタン
12a:円柱軸
12b:逃し弁
13:噴射剤通路
【0105】
20:外側内容物容器
21:内容物用バルブ
21a:ステム
22:袋体
22a:ジョイント
22b:吸上管
【0106】
30:噴射剤用ボタン
31:レギュレータユニット
【0107】
40:噴射剤容器
41:噴射剤用バルブ
41a:ステム
42:通気管
43:内容物容器
44:キャップ
45:内容物用バルブ
45a:ステム
45b:噴射剤流入弁
45c:内容物流出弁
46:吸上管
47:容器ホルダー
47a:凸部
47b:壁部
47c:膨出部
47d:C字断面起立部
47e:ガイド部
48:噴射剤容器ケース
48a:蓋部
48b:U字断面軸
49:操作レバー
49a:凹状部
50:噴射剤用ボタン
51:内容物用ボタン
51a:噴射口
E:接続通路
F:放出通路
G:噴射剤側着脱部
H:内容物側着脱部