(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033628
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成プログラム、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/50 20220101AFI20240306BHJP
G06Q 10/10 20230101ALI20240306BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H04L67/50
G06Q10/10
G06T1/00 200D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137330
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 治久
【テーマコード(参考)】
5B050
5L049
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA10
5B050BA16
5B050CA08
5B050GA08
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】複数の装置が連携して指示された処理を行う場合に、処理の内容に影響を与える情報に変更があったとしても、何れか1つの装置に記憶された情報を変更することで、変更後の情報に対応した処理を実行する。
【解決手段】画像形成装置2は、共にファイアウォール5の内側に設置されている業務システム3から処理情報を取得し、処理情報により補完した指示書に従って指示された処理を実行し、実行した処理によって生成された画像と共に、補完後の指示書を、ファイアウォール5の外側に設置されているサーバ4に送信して、指示書に従って画像に対する画像処理を行うようにサーバ4に指示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
共にファイアウォールの内側に設置されている第1サーバから、指示書において指示する処理を補完する補完情報を取得し、
前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、
前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信して、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を行うように前記第2サーバに指示する
画像形成装置。
【請求項2】
前記補完情報には、前記第1サーバが保有する前記指示された処理の動作に影響を与える情報の変更内容が含まれる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記指示された処理の動作に影響を与える情報が、前記画像に対して画像処理が行われた処理画像の格納先の候補となるデータの格納領域に関する情報である
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記格納領域に関する情報が、前記格納領域の名称であり、
前記プロセッサは、前記補完情報に従って、前記第2サーバに対して前記画像に何れの前記格納領域の名称が含まれているかを認識させるように前記指示書を補完する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記処理画像を、前記処理画像の格納先を表す前記格納領域の名称と共に前記第2サーバから受信し、
前記処理画像を前記第1サーバに送信して、前記処理画像を前記格納領域の名称によって示される格納領域に記憶するように前記第1サーバに指示する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ファイアウォールの内側に設置されているコンピュータに、
共に前記ファイアウォールの内側に設置されている第1サーバから、指示書において指示する処理を補完する補完情報を取得し、
前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、
前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信して、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を行うように前記第2サーバに指示する処理を実行させるための
画像形成プログラム。
【請求項7】
共にファイアウォールの内側に設置されている画像形成装置及び第1サーバと、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバと、を含むシステムであって、
前記第1サーバは第1プロセッサを備え、
前記第1プロセッサは、
指示書において指示する処理を補完する補完情報を記憶装置に記憶し、
前記画像形成装置は第2プロセッサを備え、
前記第2プロセッサは、
前記第1サーバから、前記補完情報を取得し、
前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、
前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信し、
前記第2サーバは第3プロセッサを備え、
前記第3プロセッサは、
前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を実行する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、画像形成プログラム、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワークフロー情報により定義された複数の処理を実行する複数の情報処理装置を備える情報処理システムであって、前記ワークフロー情報は、複数の処理の順序、及び前記複数の処理のそれぞれの実行主体となる情報処理装置を定義する情報であって、前記複数の情報処理装置のうち選択された1つの情報処理装置を実行主体に定義可能であり、前記複数の情報処理装置は、前記ワークフロー情報に定義された複数の処理のそれぞれを、定義された順序で、実行主体として定義された情報処理装置が実行し、前記ワークフロー情報に実行主体が複数の情報処理装置のうち選択された1つの情報処理装置であると定義された処理を、予め定められた判定条件に従って選択された1つの情報処理装置が実行し、前記ワークフロー情報は、実行主体が第1の情報処理装置である処理と、実行主体が第2の情報処理装置である処理との間に、接続処理を定義し、前記接続処理において、前記第1の情報処理装置は、前記第1の情報処理装置から前記第2の情報処理装置へと対象データを送信して、次の処理の実行主体を前記第2の情報処理装置に変更し、後続に、実行主体が前記第1の情報処理装置に戻る可能性のある前記接続処理が含まれる場合には、次の接続処理に実行を移行し、前記次の接続処理において、前記第1の情報処理装置は、前記第2の情報処理装置から前記第1の情報処理装置に実行主体が変更されることを示す情報を受信し、実行主体が前記第1の情報処理装置に変更される場合には、前記対象データを前記第2の情報処理装置から受信する情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の装置が連携して、ユーザによって指示された処理を実行するワークフロー処理が行われることがある。ワークフロー処理によって実行される処理を変更する場合、ワークフロー処理で取り扱う情報の変更にあわせて各々の装置が参照する情報も個別に変更する必要があった。
【0005】
したがって、例えば情報の変更対象となる装置の数が多くなるに従って、ワークフロー処理の変更に伴う各々の装置に対する情報の更新作業に時間を要することになる。
【0006】
本開示は、複数の装置が連携して指示された処理を行う場合に、処理の内容に影響を与える情報に変更があったとしても、何れか1つの装置に記憶された情報を変更することで、変更後の情報に対応した処理を実行することができる画像形成装置、画像形成プログラム、及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る画像形成装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、共にファイアウォールの内側に設置されている第1サーバから、指示書において指示する処理を補完する補完情報を取得し、前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信して、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を行うように前記第2サーバに指示する。
【0008】
第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置において、前記補完情報には、前記第1サーバが保有する前記指示された処理の動作に影響を与える情報の変更内容が含まれる。
【0009】
第3態様に係る画像形成装置は、第2態様に係る画像形成装置において、前記指示された処理の動作に影響を与える情報が、前記画像に対して画像処理が行われた処理画像の格納先の候補となるデータの格納領域に関する情報である。
【0010】
第4態様に係る画像形成装置は、第3態様に係る画像形成装置において、前記格納領域に関する情報が、前記格納領域の名称であり、前記プロセッサは、前記補完情報に従って、前記第2サーバに対して前記画像に何れの前記格納領域の名称が含まれているかを認識させるように前記指示書を補完する。
【0011】
第5態様に係る画像形成装置は、第4態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサは、前記処理画像を、前記処理画像の格納先を表す前記格納領域の名称と共に前記第2サーバから受信し、前記処理画像を前記第1サーバに送信して、前記処理画像を前記格納領域の名称によって示される格納領域に記憶するように前記第1サーバに指示する。
【0012】
第6態様に係る画像形成プログラムは、ファイアウォールの内側に設置されているコンピュータに、共に前記ファイアウォールの内側に設置されている第1サーバから、指示書において指示する処理を補完する補完情報を取得し、前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信して、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を行うように前記第2サーバに指示する処理を実行させるためのプログラムである。
【0013】
第7態様に係る情報処理システムは、共にファイアウォールの内側に設置されている画像形成装置及び第1サーバと、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバと、を含むシステムであって、前記第1サーバは第1プロセッサを備え、前記第1プロセッサは、指示書において指示する処理を補完する補完情報を記憶装置に記憶し、前記画像形成装置は第2プロセッサを備え、前記第2プロセッサは、前記第1サーバから、前記補完情報を取得し、前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信し、前記第2サーバは第3プロセッサを備え、前記第3プロセッサは、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
第1態様、第6態様、及び第7態様によれば、複数の装置が連携して指示された処理を行う場合に、処理の内容に影響を与える情報に変更があったとしても、何れか1つの装置に記憶された情報を変更することで、変更後の情報に対応した処理を実行することができる、という効果を有する。
【0015】
第2態様によれば、第1サーバが保有する情報を変更すれば、複数の装置が変更後の情報に対応した処理を連携して実行することができる、という効果を有する。
【0016】
第3態様によれば、第1サーバに格納領域を追加するだけで、追加した格納領域に対応した処理画像を、追加した格納領域に格納させることができる、という効果を有する。
【0017】
第4態様によれば、第1サーバに追加した格納領域の名称が画像に含まれているかを第2サーバに認識させることができる、という効果を有する。
【0018】
第5態様によれば、処理画像に含まれる格納領域の名称と同じ名称を有する第1サーバの格納領域に処理画像を格納することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の情報処理システムにおけるシステム構成例を示す図である。
【
図2】情報処理システムにおけるデータの流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図3】画像形成装置の電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図4】業務システムの電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図5】サーバの電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図6】画像形成装置における画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】業務システムにおける情報収集処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】サーバにおける画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態の情報処理システムにおけるシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の情報処理システム1におけるシステム構成例を示す図である。情報処理システム1は、画像形成装置2、業務システム3、サーバ4、及びファイアウォール5を含み、画像形成装置2及び業務システム3が通信回線6に接続され、サーバ4が通信回線7に接続される。
【0022】
説明の便宜上、ファイアウォール5を境界として、通信回線6に接続される画像形成装置2及び業務システム3が設置されている場所を「ファイアウォール5の内側」という。また、ファイアウォール5を境界として、通信回線7に接続されるサーバ4が設置されている場所を「ファイアウォール5の外側」という。ファイアウォール5の内側は、例えばユーザが勤める会社の建物の空間に相当し、ファイアウォール5の外側は、例えばインターネット上に構築されたクラウド空間に相当する。
【0023】
画像形成装置2は、ユーザの指示に従って画像を形成する装置である。例えばプリンタ、スキャナ、コピー機、及びファックス装置等は画像形成装置2の一例であるが、これらの装置が有する機能を少なくとも2つ以上備えた装置も画像形成装置2の一例である。一例として、本開示の画像形成装置2は、少なくともスキャナが有する機能を含んでおり、ユーザは、画像形成装置2に対して、文書をスキャナで光学的に読み取った画像を生成するように指示するものとして説明を行う。画像形成装置2で読み取る文書の内容に制約はなく、文字の他、図や写真が含まれていてもよい。
【0024】
画像形成装置2は、単に文書の画像を形成するだけでなく、例えば文書の画像に対して文字認識を行うOCR(Optical Character Recognition)処理等の画像処理のメニューをユーザに提供する。以降では、スキャナで読み取った文書の画像に対してOCR処理を伴った処理を実行するように、ユーザが画像形成装置2に指示する例について説明する。
【0025】
文書の画像は、例えば文字データに比べてデータ容量が多いため、指示された画像処理を画像形成装置2で実行すると画像形成装置2に負荷がかかり、画像処理が終了するまで時間を要することがある。したがって、画像形成装置2は、形成した画像をサーバ4に送信して、画像に対する画像処理をサーバ4に実行させる。
【0026】
サーバ4は、画像形成装置2から画像を受け付け、受け付けた画像に対して、画像形成装置2によって指示された画像処理を実行する第2サーバの一例である。サーバ4は、指示された画像処理を実行した後の画像を画像形成装置2に送信する。なお、サーバ4によって画像処理が実行された後の画像を「処理画像」という。
【0027】
業務システム3は、ファイアウォール5の内側に設けられた第1サーバの一例である。業務システム3は、例えば文書の処理画像を同じ種別毎にまとめてフォルダに格納したり、取引先毎にまとめてフォルダに格納したりする、いわゆる「帳票整理」といった業務を行う。なお、業務システム3が実行する処理は帳票整理に限定されない。業務システム3は、例えば製本処理や見積処理といった、処理画像を用いた他の処理を実行するものであればよい。
【0028】
ファイアウォール5は、ファイアウォール5の外側からファイアウォール5の内側に向けたアクセスを制限する。したがって、サーバ4は画像形成装置2及び業務システム3に処理画像を直接転送することは許可されていない。この場合、サーバ4は、画像形成装置2からのポーリングに対する応答として処理画像を画像形成装置2に送信する。また、サーバ4は画像形成装置2及び業務システム3の情報を参照することも許可されていない。この場合、画像形成装置2及び業務システム3から、サーバ4へ必要な情報を送信する。
【0029】
一方、ファイアウォール5は、画像形成装置2からサーバ4に向けたアクセスは許可している。
【0030】
ファイアウォール5の内側に設けられた通信回線6、及びファイアウォール5の外側に設けられた通信回線7の接続形態に制約はなく、無線若しくは有線、又は、無線及び有線の混在の何れであってもよい。通信回線6は、例えば社内LAN(Local Area Network)に相当し、通信回線7は、例えばインターネットに相当する。
【0031】
なお、情報処理システム1には、画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4がそれぞれ複数含まれていてもよい。
【0032】
次に、情報処理システム1におけるデータの流れについて説明する。
【0033】
図2は、画像形成装置2で文書の画像を生成し、生成した画像に対してサーバ4で画像処理を実行して文書の処理画像を生成し、生成した処理画像を業務システム3に格納する場合の情報処理システム1におけるデータの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0034】
まず、画像形成装置2は、ユーザから何らかの処理に対する指示を受け付けると、指示された処理の動作に影響を与える情報を業務システム3から取得し、取得した情報を用いて補完した指示書を生成する。
【0035】
指示書とは、ユーザが実行しようとしている処理に対して、情報処理システム1における処理の開始から終了までの処理内容を規定した情報のことである。すなわち、画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4は、ユーザが指示した処理に対応した指示書の内容に沿って、それぞれが役割を分担しながら予め定められた処理を実行する。このように情報処理システム1に含まれる複数の装置が連携して予め定められた処理を実行することを「ワークフロー処理」という。したがって、指示書とは、ワークフロー処理の内容を規定した情報の一例である。
【0036】
また、ユーザによって指示された処理の動作に影響を与える情報とは、画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4で実行される処理に影響を与える情報のことである。
【0037】
指示書を生成した画像形成装置2は、文書の画像を生成する前に、指示書によって指示された処理の動作に影響を与える情報を取得するため、情報取得要求を業務システム3に送信する(
図2:F1)。指示書によって指示された処理の動作に影響を与える情報には、例えば画像形成装置2の動作パラメータ、及び指示された処理を実行する上で必要になる情報が含まれる。
【0038】
動作パラメータとは、画像形成装置2で生成される画像の内容に影響を与える値である。例えば画像形成装置2がスキャナを用いて文書を読み取って文書の画像を生成する場合、文書の読み取り解像度や、文書を白黒、グレースケール、及びカラーの何れのモードで読み取るのかを指定するカラー指定といった、スキャナの読み取り動作を規定する値が動作パラメータに相当する。
【0039】
指示された処理を実行する上で必要になる情報には、例えば指示された処理が帳票整理であれば、文書の画像に対して画像処理が行われた後の処理画像の格納先の候補となる格納領域に関する情報が含まれる。
【0040】
これに対して、業務システム3は、指示された処理に対して予め設定されている動作パラメータ、及び指示された処理を実行する上で必要になる情報を含んだ処理情報を、情報処理要求の送信元である画像形成装置2に送信する(
図2:F2)。
【0041】
画像形成装置2は、業務システム3から処理情報を受信すると、指示された処理の指示書に処理情報の内容を反映し、指示書を補完する。
【0042】
その後、画像形成装置2は、指示書に含まれる動作パラメータを画像形成装置2に設定した上で文書の画像を生成し、指示書及び生成した画像をサーバ4に送信する(
図2:F3)。
【0043】
指示書及び画像を受信したサーバ4は、指示書によって指示された画像処理を受信した画像に対して実行する。
【0044】
一方、画像形成装置2は、指示書及び画像をサーバ4に送信した後、サーバ4に依頼した画像処理の処理結果を得るために、画像処理の処理結果を要求する処理結果要求をサーバ4に送信する(
図2:F4)。
【0045】
これに対して、サーバ4は、取得結果要求に対する応答として、画像処理の処理結果と、画像に対して画像処理を行うことで得られた処理画像を画像形成装置2に送信する(
図2:F5)。
【0046】
処理結果及び処理画像を受信した画像形成装置2は、指示書によって指示された業務システム3の格納先に処理結果及び処理画像を格納する(
図2:F6)。なお、画像形成装置2は、処理結果及び処理画像と共に、指示書を業務システム3の指示された格納先に格納してもよい。
【0047】
以上により、情報処理システム1は、ユーザによって指示されたワークフロー処理を終了する。
【0048】
説明の便宜上、以降では、情報処理システム1におけるワークフロー処理の例として、画像形成装置2に備えられているスキャナで読み取った文書の画像に対して、サーバ4がOCR処理を行って文書の種別を判別し、種別の判別を行った文書の処理画像を、業務システム3に予め設けられている文書の種別に応じた格納領域に格納する、文書の格納処理について説明を行う。
【0049】
ワークフロー処理を行う画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4は、それぞれコンピュータ10、コンピュータ30、及びコンピュータ40を用いて構成することができる。
図3は、コンピュータ10を用いて構成した画像形成装置2の電気系統の要部構成例を示す図である。
【0050】
コンピュータ10は、画像形成装置2での処理を実行する第2プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)11、コンピュータ10の起動処理を行う起動プログラム(Basic Input Output System:BIOS)を記憶するROM(Read Only Memory)12、CPU11の一時的な作業領域として利用されるRAM(Random Access Memory)13、不揮発性メモリ14、及び入出力インターフェース(I/O)15を備える。CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、及びI/O15はバス16を介して各々接続されている。
【0051】
不揮発性メモリ14は、不揮発性メモリ14に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。
【0052】
I/O15には、例えば通信ユニット17、入力ユニット18、表示ユニット19、及び画像形成ユニット20が接続される。
【0053】
通信ユニット17は通信回線6に接続され、ファイアウォール5の内側に設置された装置(例えば業務システム3や外部装置(図示省略))とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。また、通信ユニット17は、ファイアウォール5を経由してサーバ4とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0054】
入力ユニット18は、画像形成装置2に対するユーザの操作を受け付けてCPU11に通知するユニットの一例であり、例えばボタン、タッチパネル、及びポインティングデバイス等が含まれる。
【0055】
表示ユニット19は、CPU11によって処理された情報を視覚的に表示するユニットの一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が含まれる。
【0056】
画像形成ユニット20は画像を形成するユニットである。画像形成ユニット20には、例えば文書の内容を光学的に読み取って文書の画像を生成するスキャナユニットが含まれる。
【0057】
図4は、コンピュータ30を用いて構成した業務システム3の電気系統の要部構成例を示す図である。業務システム3が複数のコンピュータ30によって構成される場合もあるが、一例として、業務システム3は1台のコンピュータ30によって構成されているものとする。
【0058】
コンピュータ30は、業務システム3での処理を実行する第1プロセッサの一例であるCPU31、コンピュータ30の起動処理を行うBIOSを記憶するROM32、CPU31の一時的な作業領域として利用されるRAM33、不揮発性メモリ34、及びI/O35を備える。CPU31、ROM32、RAM33、不揮発性メモリ34、及びI/O35はバス36を介して各々接続されている。
【0059】
また、I/O35には通信ユニット37、入力ユニット38、及び表示ユニット39が接続される。
【0060】
通信ユニット37は通信回線6に接続され、ファイアウォール5の内側に設置された装置(例えば画像形成装置2や外部装置(図示省略))とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0061】
入力ユニット38は、業務システム3に対するユーザの操作を受け付けてCPU31に通知するユニットの一例であり、例えばボタン、タッチパネル、キーボード、マウス、及びポインティングデバイス等が含まれる。
【0062】
表示ユニット39は、CPU31によって処理された情報を視覚的に表示するユニットの一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等が含まれる。
【0063】
一方、
図5は、コンピュータ40を用いて構成したサーバ4の電気系統の要部構成例を示す図である。
【0064】
コンピュータ40は、サーバ4での処理を実行する第3プロセッサの一例であるCPU41、コンピュータ40の起動処理を行うBIOSを記憶するROM42、CPU41の一時的な作業領域として利用されるRAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45を備える。CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45はバス46を介して各々接続されている。
【0065】
また、I/O45には通信ユニット47、入力ユニット48、及び表示ユニット49が接続される。
【0066】
通信ユニット47は通信回線7に接続され、ファイアウォール5の外側に設置された外部装置(図示省略)とデータ通信を行う通信プロトコルを備えると共に、ファイアウォール5を経由して画像形成装置2とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0067】
入力ユニット48は、サーバ4に対するユーザの操作を受け付けてCPU41に通知するユニットの一例であり、例えばボタン、タッチパネル、キーボード、マウス、及びポインティングデバイス等が含まれる。
【0068】
表示ユニット49は、CPU41によって処理された情報を視覚的に表示するユニットの一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等が含まれる。
【0069】
なお、サーバ4として機能するコンピュータ40は、クラウドサービスを用いて実現してもよい。
【0070】
次に、情報処理システム1で実行される文書の格納処理について説明する。
【0071】
図6は、ユーザから文書の格納処理を行う実行指示を受け付けた場合に、画像形成装置2のCPU11によって実行される画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成処理を規定する画像形成プログラムは、例えば画像形成装置2の不揮発性メモリ14に予め記憶されている。画像形成装置2のCPU11は、不揮発性メモリ14に記憶される画像形成プログラムを読み込み、画像形成処理を実行する。
【0072】
図7は、文書の格納処理に伴い、業務システム3のCPU31によって実行される情報収集処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報収集処理を規定する業務プログラムは、例えば業務システム3の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。業務システム3のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される業務プログラムを読み込み、情報収集処理を実行する。
【0073】
図8は、文書の格納処理に伴い、サーバ4のCPU41によって実行される画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像処理を規定するサーバプログラムは、例えばサーバ4の不揮発性メモリ44に予め記憶されている。サーバ4のCPU41は、不揮発性メモリ44に記憶されるサーバプログラムを読み込み、画像処理を実行する。
【0074】
なお、業務システム3には、例えば管理者によって、文書の格納処理で用いるスキャナの動作パラメータ、及びサーバ4で生成された処理画像の格納先の候補となる格納領域に関する情報が予め設定され、不揮発性メモリ34に記憶されているものとする。処理画像の格納領域に関する情報は処理画像の格納先を規定する情報であるため、文書の格納処理の動作に影響を与える情報の一例である。以降では、サーバ4での画像処理によって得られる処理画像の格納領域のことを「文書の格納領域」ということにする。
【0075】
図6のステップS10において、CPU11は、スキャナで文書を読み取る前に、スキャナの動作パラメータ、及び文書の格納領域に関する情報を取得するための情報取得要求を業務システム3に送信する。
【0076】
情報取得要求を受信した業務システム3のCPU31は、
図7のステップS100において、文書の格納処理に対応した動作パラメータ、及び文書の格納領域に関する情報を不揮発性メモリ34から収集し、処理情報を生成する。
【0077】
例えば文書の格納領域として「見積書」、「発注書」、「納品書」、「請求書」、及び「領収書」とそれぞれ名付けられたフォルダ名が不揮発性メモリ34に記憶されていれば、CPU31は、各々のフォルダ名と文書の格納処理に対応した動作パラメータを含む処理情報を生成する。文書の格納領域のフォルダ名は、文書の格納領域の名称の一例である。
【0078】
ステップS110において、CPU31は通信ユニット37を制御して、ステップS100で生成した処理情報を、情報取得要求の送信元である画像形成装置2に送信して、
図7に示す情報収集処理を終了する。
【0079】
一方、業務システム3が情報収集処理を実行している間、
図6のステップS20において、情報取得要求を送信した画像形成装置2のCPU11は、業務システム3から処理情報を受信したか否かを判定する。処理情報を受信していない場合、CPU11は、ステップS20の判定処理を繰り返し実行して、業務システム3から処理情報を受信するまで待機する。処理情報を受信した場合にはステップS30に移行する。
【0080】
ステップS30において、CPU11は、文書の格納処理に対応した指示書に処理情報の内容を反映して、指示書の内容を補完する。具体的には、CPU11は、処理情報に含まれるスキャナの動作パラメータを、スキャナで文書を読み取る前に画像形成装置2に設定する指示を指示書に追加する。また、CPU11は、サーバ4でのOCR処理によって認識する文書の種別を、文書の格納領域のフォルダ名によって表される種別とする指示を指示書に追加する。更に、CPU11は、サーバ4から受信した処理結果及び処理画像を、処理結果に含まれる文書の種別と同じ名称を有する業務システム3のフォルダに格納する指示を指示書に追加する。
【0081】
これにより、ユーザが画像形成装置2のスキャナで読み取らせた文書を、「見積書」、「発注書」、「納品書」、「請求書」、及び「領収書」といった5種類の文書の格納領域に分類するための指示書が完成する。
【0082】
このように、業務システム3の処理情報は、文書の格納処理に対応した指示書の内容を補完することから、補完情報の一例である。
【0083】
ステップS40において、CPU11は、スキャナの動作パラメータを指示書に指示された動作パラメータに設定してから、スキャナによる文書の読み取りを行い、文書の画像を生成する。
【0084】
ステップS50において、CPU11は、ステップS40で生成した画像と共に、処理情報を用いて内容の補完を行った補完後の指示書をサーバ4に送信し、画像に対して指示書に従った画像処理を行うようにサーバ4に指示する。
【0085】
これにより、サーバ4では指示書に従った画像処理が実行されることから、CPU11は、画像処理の処理結果を取得する。しかしながら、サーバ4での画像処理には時間を要することから、ステップS60において、CPU11は、ステップS50でサーバ4に画像及び指示書を送信してから規定時間が経過したか否かを判定する。規定時間は、サーバ4が指示書によって指示された画像処理を実行するのに要すると考えられる時間であり、画像処理の種別毎に予め不揮発性メモリ14に記憶されている。本開示の例の場合、CPU11は、画像のOCR処理と対応付けられている規定時間が経過したか否かを判定する。
【0086】
規定時間が経過していない場合、CPU11は、ステップS60の判定処理を繰り返し実行して、規定時間が経過するまで待機する。一方、規定時間が経過した場合にはステップS70に移行する。
【0087】
この場合、サーバ4での画像処理は終了したと考えられるため、ステップS70において、CPU11は、画像処理の処理結果を要求する処理結果要求をサーバ4に送信する。
【0088】
一方、画像及び指示書を受信したサーバ4のCPU41は、
図8のステップS200において、受信した指示書に従って画像処理を実行する。本開示の例の場合、CPU41は、画像に対してOCR処理を実行し、OCR処理を行った画像、すなわち、処理画像に「見積書」、「発注書」、「納品書」、「請求書」、及び「領収書」の何れの文字が含まれているかを認識して文書の種別を判別する。例えばCPU41は、処理画像に「見積書」の文字が含まれていれば、処理画像が示す文書の種別は「見積書」であると判別する。
【0089】
ステップS210において、CPU41は、画像形成装置2から処理結果要求を受信したか否かを判定する。画像形成装置2から処理結果要求を受信していない場合、CPU41は、ステップS210の判定処理を繰り返し実行して、処理結果要求の受信を監視する。一方、処理結果要求を受信した場合にはステップS220に移行する。
【0090】
ステップS220において、CPU41は、画像処理の処理結果と画像処理によって得られた処理画像を、処理結果要求の応答として処理結果要求の送信元である画像形成装置2に送信して、
図8に示す画像処理を終了する。本開示の例の場合、処理結果には処理画像が示す文書の種別が含まれる。すなわち、本開示の例における処理結果には、処理画像の格納先を表す格納領域の名称が含まれる。
【0091】
一方、画像形成装置2のCPU11は、
図6のステップS70で処理結果要求を送信した後、ステップS80において、サーバ4から処理結果及び処理画像を受信したか否かを判定する。処理結果及び処理画像を受信していない場合、CPU11は、ステップS80の判定処理を繰り返し実行して、処理結果及び処理画像を受信するまで待機する。なお、CPU11は、処理結果及び処理画像の受信を待機している間、予め定めた間隔で処理結果要求をサーバ4に送信してもよい。サーバ4から処理結果及び処理画像を受信した場合にはステップS90に移行する。
【0092】
ステップS90において、CPU11は、指示書に従って、処理結果に含まれる文書の種別と同じ名称が付された業務システム3の格納領域に処理結果及び処理画像を送信することによって、業務システム3に対して処理結果及び処理画像を送信先の格納領域に記憶するように指示する。
【0093】
例えば処理結果に含まれる文書の種別が「見積書」であれば、CPU11は、フォルダ名が「見積書」となっている業務システム3のフォルダにサーバ4から受信した処理結果及び処理画像を送信する。以上により、
図6に示す画像形成処理を終了する。
【0094】
こうした文書の格納処理において、例えば「見積書」、「発注書」、「納品書」、「請求書」、及び「領収書」といった5種類の文書の種別に加えて、判別する文書の種別として新たに「受領書」を追加する場合の処理について考えてみる。
【0095】
情報処理システム1におけるワークフロー処理では、業務システム3から取得した処理情報に基づいて、ユーザが実行しようとしているワークフロー処理の指示書が生成され、画像形成装置2が生成した指示書に基づいて、業務システム3及びサーバ4が指示された処理を行う。
【0096】
したがって、例えば管理者が、業務システム3に「受領書」というフォルダ名を有するフォルダを新たに追加すれば、業務システム3によって、追加されたフォルダを含む各々のフォルダのフォルダ名と動作パラメータを含んだ処理情報が生成されるため、サーバ4がOCR処理によって認識する文書の種別として「受領書」が追加された指示書が生成される。
【0097】
すなわち、画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4の各々に対して、管理者が文書の判別対象として「受領書」が追加されたことを示す情報を個別に登録しなくても、業務システム3に「受領書」というフォルダ名を有するフォルダを追加するだけで、サーバ4が判別する文書の種別は「見積書」、「発注書」、「納品書」、「請求書」、「領収書」、及び「受領書」であることが指示書に記載される。したがって、サーバ4が「受領書」と思われる文書の判別も行うようになると共に、画像形成装置2が「受領書」と認識された文書の処理画像を、業務システム3の指定された格納領域(この場合、フォルダ名が「受領書」となっているフォルダ)に格納するようになる。
【0098】
<第2実施形態>
第1実施形態では、1台の画像形成装置2に着目して、情報処理システム1におけるワークフロー処理について説明した。しかしながら、既に説明したように、情報処理システム1には複数の画像形成装置2が含まれていてもよい。第2実施形態では、情報処理システム1に複数の画像形成装置2が含まれる場合におけるワークフロー処理について説明する。
【0099】
図9は、第2実施形態の情報処理システム1Aにおけるシステム構成例を示す図である。
図9に示す情報処理システム1Aが
図1に示した第1実施形態の情報処理システム1のシステム構成例と異なる点は、ファイアウォール5の内側に複数の画像形成装置2-1~画像形成装置2-N(Nは自然数)が設置され、各々の画像形成装置2-1~画像形成装置2-Nが通信回線6に接続されている点である。説明の便宜上、画像形成装置2-1~画像形成装置2-Nを総称して「画像形成装置2」と表すことにする。
【0100】
一例として、
図9に示す情報処理システム1Aは、各々の画像形成装置2がそれぞれ異なる支店に1台ずつ設置され、業務システム3及びファイアウォール5が、本店に設置されているようなシステム構成となっている。
【0101】
こうしたシステム構成を有する情報処理システム1Aでは、各支店の画像形成装置2のスキャナが読み取った文書の画像に対して、サーバ4がOCR処理を行って画像に含まれる特定の項目の内容を読み取り、画像形成装置2が業務システム3に予め設けられている読み取った項目の内容に応じた格納領域に文書を格納することで、本社の業務システム3に各支店における文書の処理画像を集約する文書の格納処理を行うことがある。
【0102】
第2実施形態に係る文書の格納処理も、
図2に示したワークフロー処理におけるデータの流れに従って実行される。具体的には、画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4がそれぞれ
図6に示した画像形成処理、
図7に示した情報収集処理、及び
図8に示した画像処理を実行することで、第2実施形態に係る文書の格納処理が実行される。
【0103】
一例として、各々の文書に含まれる「取引先の金融会社名」という項目の内容を読み取り、各々の文書を取引先の金融会社毎に設けられた業務システム3の格納領域に格納する文書の格納処理について、
図6~
図8を参照しながら説明する。
【0104】
なお、情報処理システム1Aにおける画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4の電気系統の要部構成は、
図3~
図5にそれぞれ示した第1実施形態に係る画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4の電気系統の要部構成例と同じである。
【0105】
図6のステップS10において、CPU11は、スキャナで文書を読み取る前に、スキャナの動作パラメータ、及び文書の格納領域に関する情報を取得するための情報取得要求を業務システム3に送信する。
【0106】
情報取得要求を受信した業務システム3のCPU31は、
図7のステップS100において、文書の格納処理に対応した動作パラメータ、及び文書の格納領域に関する情報を不揮発性メモリ34から収集し、処理情報を生成する。
【0107】
例えば文書の格納領域として「A銀行」、「B保険会社」、及び「C信託銀行」とそれぞれ名付けられたフォルダ名が不揮発性メモリ34に記憶されていれば、CPU31は、各々のフォルダ名と動作パラメータを含んだ処理情報を生成する。
【0108】
ステップS110において、CPU31は通信ユニット37を制御して、ステップS100で生成した処理情報を、情報取得要求の送信元である画像形成装置2に送信して、
図7に示す情報収集処理を終了する。
【0109】
一方、業務システム3が情報収集処理を実行している間、
図6のステップS20において、情報取得要求を送信した画像形成装置2のCPU11は、業務システム3から処理情報を受信したか否かを判定する。処理情報を受信していない場合、CPU11は、ステップS20の判定処理を繰り返し実行して、業務システム3から処理情報を受信するまで待機する。処理情報を受信した場合にはステップS30に移行する。
【0110】
ステップS30において、CPU11は、文書の格納処理に対応した指示書に処理情報の内容を反映して、指示書の内容を補完する。具体的には、CPU11は、処理情報に含まれるスキャナの動作パラメータを、スキャナで文書を読み取る前に画像形成装置2に設定する指示を指示書に追加する。また、CPU11は、サーバ4でのOCR処理によって内容の読み取りを行う項目を、「取引先の金融会社名」とする指示を指示書に追加する。更に、CPU11は、サーバ4から受信した処理結果及び処理画像を、処理結果に含まれる金融会社名と同じ名称を有する業務システム3のフォルダに格納する指示を指示書に追加する。
【0111】
これにより、ユーザが画像形成装置2のスキャナで読み取らせた文書を、取引先の金融会社名に応じて「A銀行」、「B保険会社」、及び「C信託銀行」と名付けられた3種類の文書の格納領域に分類して格納するための指示書が完成する。
【0112】
ステップS40において、CPU11は、スキャナの動作パラメータを指示書に指定された動作パラメータに設定してから、スキャナによる文書の読み取りを行い、文書の画像を生成する。
【0113】
ステップS50において、CPU11は、ステップS40で生成した画像と共に、処理情報を用いて内容の補完を行った補完後の指示書をサーバ4に送信し、画像に対して指示書に従った画像処理を行うようにサーバ4に指示する。
【0114】
ステップS60において、CPU11は、ステップS50でサーバ4に画像及び指示書を送信してから規定時間が経過したか否かを判定する。
【0115】
規定時間が経過していない場合、CPU11は、ステップS60の判定処理を繰り返し実行して、規定時間が経過するまで待機する。一方、規定時間が経過した場合にはステップS70に移行する。
【0116】
この場合、サーバ4での画像処理は終了したと考えられるため、ステップS70において、CPU11は、画像処理の処理結果を要求する処理結果要求をサーバ4に送信する。
【0117】
一方、画像及び指示書を受信したサーバ4のCPU41は、
図8のステップS200において、受信した指示書に従って画像処理を実行する。本開示の例の場合、CPU41は、画像に対してOCR処理を実行し、OCR処理を行った画像、すなわち、処理画像から「取引先の金融会社名」の項目を抽出し、「取引先の金融会社名」の項目に記載されている文字を読み取る。その上で、CPU41は、「取引先の金融会社名」の項目に「A銀行」、「B保険会社」、及び「C信託銀行」の何れの文字が記載されているかを認識して、処理画像から取引先の金融会社名を取得する。
【0118】
ステップS220において、CPU41は、画像処理の処理結果と画像処理によって得られた処理画像を、処理結果要求の応答として処理結果要求の送信元である画像形成装置2に送信して、
図8に示す画像処理を終了する。本開示の例の場合、処理結果には文書に記載されていた取引先の金融会社名が含まれる。すなわち、本開示の例における処理結果には、処理画像の格納先を表す格納領域の名称が含まれる。
【0119】
一方、画像形成装置2のCPU11は、
図6のステップS70で処理結果要求を送信した後、ステップS80において、サーバ4から処理結果及び処理画像を受信したか否かを判定する。処理結果及び処理画像を受信していない場合、CPU11は、ステップS80の判定処理を繰り返し実行して、処理結果及び処理画像を受信するまで待機する。サーバ4から処理結果及び処理画像を受信した場合にはステップS90に移行する。
【0120】
ステップS90において、CPU11は、指示書に従って、処理結果に含まれる取引先の金融会社名と同じ名称が付された業務システム3の格納領域に処理結果及び処理画像を送信することによって、業務システム3に対して処理結果及び処理画像を送信先の格納領域に記憶するように指示する。
【0121】
例えば処理結果に含まれる取引先の金融会社名が「A銀行」であれば、CPU11は、フォルダ名が「A銀行」となっている業務システム3のフォルダにサーバ4から受信した処理結果及び処理画像を送信する。以上により、
図6に示す画像形成処理を終了する。
【0122】
こうした文書の格納処理において、例えば「A銀行」、「B保険会社」、及び「C信託銀行」といった3種類の取引先の金融会社に加えて、新たに取引を始めた「D信用金庫」を追加する場合の処理について考えてみる。
【0123】
既に説明したように、情報処理システム1におけるワークフロー処理では、業務システム3から取得した処理情報に基づいて、ユーザが実行しようとしているワークフロー処理の指示書が生成され、画像形成装置2が生成した指示書に基づいて、業務システム3及びサーバ4が指示された処理を行う。
【0124】
したがって、例えば管理者が、業務システム3に「D信用金庫」というフォルダ名を有するフォルダを新たに追加すれば、業務システム3によって、追加されたフォルダを含む各々のフォルダのフォルダ名と動作パラメータを含んだ処理情報が生成されるため、サーバ4がOCR処理によって認識する「取引先の金融会社名」の項目の内容として「D信用金庫」が追加された指示書が生成される。
【0125】
すなわち、画像形成装置2、業務システム3、及びサーバ4の各々に対して、管理者が新たな取引先として「D信用金庫」が追加されたことを示す情報を個別に登録しなくても、業務システム3に「D信用金庫」というフォルダ名を有するフォルダを追加するだけで、「取引先の金融会社名」の項目には「A銀行」、「B保険会社」、「C信託銀行」、及び「D信用金庫」が含まれることが指示書に記載される。したがって、サーバ4が「取引先の金融会社名」の項目に「D信用金庫」と記載されている文書を認識するようになる。また、画像形成装置2は、「取引先の金融会社名」の項目に「D信用金庫」と記載されている文書の処理画像を、業務システム3の指定された格納領域(この場合、フォルダ名が「D信用金庫」となっているフォルダ)に格納するようになる。
【0126】
このように、本開示の情報処理システム1、1Aによれば、ワークフロー処理に対する変更内容を業務システム3に反映させるだけで、ワークフロー処理に対応した指示書の内容が更新され、情報処理システム1、1Aに含まれる各々の装置が更新後の指示書に沿って処理を実行する。
【0127】
なお、本開示の例では、既に画像形成装置2に存在するユーザの実行指示に対応した指示書を、画像形成装置2が業務システム3から受信した処理情報の内容に基づいて補完して指示書を生成したが、指示書の生成方法はこれに限られない。
【0128】
例えば画像形成装置2は、指示書を生成することなく、ユーザによって指示された処理に対応した指示書を取得するための指示取得要求を業務システム3に送信する。これに対して、業務システム3は、指示された処理に対して予め設定されている動作パラメータ、及び指示された処理を実行する上で必要になる情報を収集し、収集した動作パラメータ及び情報を反映して指示された処理の指示書を生成し、生成した指示書を画像形成装置2に送信してもよい。この場合、画像形成装置2及びサーバ4は、業務システム3が生成した指示書に従って各々の処理を実行すればよい。
【0129】
以上、実施形態を用いて情報処理システム1の一態様について説明したが、開示した情報処理システム1の形態は一例であり、情報処理システム1の形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。例えば本開示の要旨を逸脱しない範囲で、
図6に示した画像形成処理、
図7に示した情報収集処理、及び
図8に示した画像処理といった各処理における内部の処理順序を変更してもよい。
【0130】
また、上記の実施形態では、一例として、
図6、
図7、及び
図8に示した各処理をソフトウェアで実現する形態について説明した。しかしながら、各処理のフローチャートと同等の処理をハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0131】
上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサや、専用のプロセッサ(例えば GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0132】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0133】
上記の実施形態では、不揮発性メモリ14に画像形成プログラムが記憶され、不揮発性メモリ34に業務プログラムが記憶され、不揮発性メモリ44にサーバプログラムが記憶されている例について説明した。しかしながら、各々のプログラムの記憶先は不揮発性メモリ14、不揮発性メモリ34、及び不揮発性メモリ44に限定されない。
【0134】
本開示の画像形成プログラムは、コンピュータ10で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。本開示の業務プログラムは、コンピュータ30で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。また、本開示のサーバプログラムは、コンピュータ40で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0135】
例えば画像形成プログラム、業務プログラム、及びサーバプログラムをCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)及びDVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)のような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、画像形成プログラム、業務プログラム、及びサーバプログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。ROM12、ROM32、ROM42、不揮発性メモリ14、不揮発性メモリ34、不揮発性メモリ44、CD-ROM、DVD-ROM、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0136】
更に、画像形成装置2は通信ユニット17を通じて、通信回線6又は通信回線7に接続された外部装置(図示せず)から画像形成プログラムをダウンロードし、ダウンロードした画像形成プログラムを記憶装置に記憶してもよい。業務システム3は通信ユニット37を通じて外部装置から業務プログラムをダウンロードし、ダウンロードした業務プログラムを記憶装置に記憶してもよい。また、サーバ4は通信ユニット47を通じて外部装置からサーバプログラムをダウンロードし、ダウンロードしたサーバプログラムを記憶装置に記憶してもよい。
【0137】
この場合、画像形成装置2のCPU11は、外部装置からダウンロードした画像形成プログラムを記憶装置から読み込んで画像形成処理を実行する。業務システム3のCPU31は、外部装置からダウンロードした業務プログラムを記憶装置から読み込んで情報収集処理を実行する。また、サーバ4のCPU41は、外部装置からダウンロードしたサーバプログラムを記憶装置から読み込んで画像処理を実行する。
【0138】
以下に本実施形態に係る付記を示す。
【0139】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
共にファイアウォールの内側に設置されている第1サーバから、指示書において指示する処理を補完する補完情報を取得し、
前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、
前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信して、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を行うように前記第2サーバに指示する
画像形成装置。
【0140】
(((2)))
前記補完情報には、前記第1サーバが保有する前記指示された処理の動作に影響を与える情報の変更内容が含まれる
(((1)))に記載の画像形成装置。
【0141】
(((3)))
前記指示された処理の動作に影響を与える情報が、前記画像に対して画像処理が行われた処理画像の格納先の候補となるデータの格納領域に関する情報である
(((2)))に記載の画像形成装置。
【0142】
(((4)))
前記格納領域に関する情報が、前記格納領域の名称であり、
前記プロセッサは、前記補完情報に従って、前記第2サーバに対して前記画像に何れの前記格納領域の名称が含まれているかを認識させるように前記指示書を補完する
(((3)))に記載の画像形成装置。
【0143】
(((5)))
前記プロセッサは、前記処理画像を、前記処理画像の格納先を表す前記格納領域の名称と共に前記第2サーバから受信し、
前記処理画像を前記第1サーバに送信して、前記処理画像を前記格納領域の名称によって示される格納領域に記憶するように前記第1サーバに指示する
(((4)))に記載の画像形成装置。
【0144】
(((6)))
画像形成処理を実行するように、ファイアウォールの内側に設置されたコンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、
前記画像形成処理が、
共に前記ファイアウォールの内側に設置されている第1サーバから、指示書において指示する処理を補完する補完情報を取得する取得ステップと、
前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行する実行ステップと、
前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信して、前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を行うように前記第2サーバに指示する処理を実行させる送信ステップと、
を含む非一時的記憶媒体。
【0145】
(((7)))
共にファイアウォールの内側に設置されている画像形成装置及び第1サーバと、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバと、を含むシステムであって、
前記第1サーバは第1プロセッサを備え、
前記第1プロセッサは、
指示書において指示する処理を補完する補完情報を記憶装置に記憶し、
前記画像形成装置は第2プロセッサを備え、
前記第2プロセッサは、
前記第1サーバから、前記補完情報を取得し、
前記補完情報により補完した前記指示書に従って指示された処理を実行し、
前記指示された処理によって生成された画像と共に、補完後の前記指示書を、前記ファイアウォールの外側に設置されている第2サーバに送信し、
前記第2サーバは第3プロセッサを備え、
前記第3プロセッサは、
前記指示書に従って前記画像に対する画像処理を実行する
情報処理システム。
【0146】
(((1)))、(((6)))、及び(((7)))によれば、複数の装置が連携して指示された処理を行う場合に、処理の内容に影響を与える情報に変更があったとしても、何れか1つの装置に記憶された情報を変更することで、変更後の情報に対応した処理を実行することができる、という効果を有する。
【0147】
(((2)))によれば、第1サーバが保有する情報を変更すれば、複数の装置が変更後の情報に対応した処理を連携して実行することができる、という効果を有する。
【0148】
(((3)))によれば、第1サーバに格納領域を追加するだけで、追加した格納領域に対応した処理画像を、追加した格納領域に格納させることができる、という効果を有する。
【0149】
(((4)))によれば、第1サーバに追加した格納領域の名称が画像に含まれているかを第2サーバに認識させることができる、という効果を有する。
【0150】
(((5)))によれば、処理画像に含まれる格納領域の名称と同じ名称を有する第1サーバの格納領域に処理画像を格納することができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0151】
1(1A) 情報処理システム
2 画像形成装置
3 業務システム
4 サーバ
5 ファイアウォール
6(7) 通信回線
10(30、40) コンピュータ
11(31、41) CPU
12(32、42) ROM
13(33、43) RAM
14(34、44) 不揮発性メモリ
15(35、45) I/O
16(36、46) バス
17(37、47) 通信ユニット
18(38、48) 入力ユニット
19(39、49) 表示ユニット
20 画像形成ユニット