(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033637
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】振動発電装置、及び、電力供給設備
(51)【国際特許分類】
H02P 9/00 20060101AFI20240306BHJP
H02K 35/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02P9/00 Z
H02K35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137347
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅彦
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590CA30
5H590CD01
5H590FC26
5H590FC27
5H590HA02
(57)【要約】
【課題】振動発電素子からの入力電圧の範囲を広くし、振動発電素子を効率よく使用する。
【解決手段】振動発電素子15と電源回路18を接続する際に、接続経路16に並列して、昇圧回路19を介して振動発電素子15の出力電圧を昇圧して電源回路18に送るための昇圧経路17を接続し、振動発電素子15の出力が低い場合は昇圧経路17で昇圧された電圧を電源回路18に送り、振動発電素子15の出力が十分にある場合は接続経路16でそのままの電圧を電源回路18に送り、低い出力から高い出力の範囲で、振動発電素子15の出力電圧を一つの電源回路18に送る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源に取り付けられる振動発電素子と、
前記振動発電素子の出力電圧を整流して所定の電圧を負荷に出力する電源回路と、
前記振動発電素子の出力電圧を前記電源回路に送る接続経路と、
前記接続経路と並列に配され、昇圧回路を介して前記振動発電素子の出力電圧を昇圧して前記電源回路に送るための昇圧経路と、
前記昇圧経路に設けられ、入力された前記振動発電素子の出力電圧を昇圧する昇圧回路とを備えた
ことを特徴とする振動発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発電装置において、
前記接続経路、前記昇圧経路への出力電圧の流通を選択する選択手段を備えた
ことを特徴とする振動発電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動発電装置において、
前記選択手段を動作させる制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記振動発電素子の出力電圧に由来する電圧状況に応じて前記選択手段を動作させる
ことを特徴とする振動発電装置。
【請求項4】
発電機が駆動されることで電力を得る発電手段を備え、
前記発電手段にかかわる振動の振動源に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の振動発電装置の前記振動発電素子を取り付けた
ことを特徴とする電力供給設備。
【請求項5】
交流電流を変圧する変圧器、もしくは、進相電流を補償する分路リアクトルを構成機器として備えた変圧器を備え、
前記構成機器を振動源として、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の振動発電装置の前記振動発電素子を前記構成機器に取り付けた
ことを特徴とする電力供給設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電素子を振動させて電力を得る振動発電装置、及び、振動発電装置を有する電力供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を供給するための設備である電力供給設備、例えば、水力発電設備では、発電用水により水車を回転させ、水車の回転により発電機(交流発電機)が駆動されて発電が行なわれる。交流発電機の駆動に伴い、励磁による電磁力に起因した電機子(固定子)等の揺れで交流発電機には振動が発生している。
【0003】
このように、電力を供給するための設備には、振動によるエネルギーが未利用のエネルギーとして存在しているのが現状である。例えば、特許文献1で開示された振動発電装置を用いて、電力を供給するための設備での振動によるエネルギーを電力に変換することが考えられる。電力を供給するための設備での振動によるエネルギーを電力に変換することができれば、未利用のエネルギーを有効に利用することが可能になる。
【0004】
振動発電装置では、振動発電素子による出力電圧を直流の一定電圧に変換して負荷(機器類)に供給する必要がある。このため、振動発電装置には、AC/DC変換回路、整流回路などを有する電源回路が備えられ、振動発電素子による交流出力が電源回路により直流の一定電圧に変換され、直流の一定電圧に変換された電力が負荷(機器類)に供給される。
【0005】
しかし、振動発電素子の出力は振動加速度により左右され、例えば、水力発電設備などの振動源は振動加速度の大きさが経時変化するものが多く、振動が大きくなったり小さくなったりするのが現状である。
【0006】
一方、振動発電素子による交流出力を直流の一定電圧に変換する電源回路は、入力電圧に適用範囲があり、入力電圧が適用範囲を下回ると電源回路が起動せず、入力電圧が適用範囲を超えると、例えば、保護回路が作動して電源回路が停止することになっていた。
【0007】
したがって、例えば、水力発電設備などの振動源に適用される振動発電装置では、振動発電素子の振動加速度に応じた出力を電源回路の適用範囲に合わせるなどの調整が必要になっているのが実情であった。このため、例えば、水力発電設備などの振動源に振動発電装置を適用する場合、振動発電素子を効率よく使用する余地が残されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、振動源の振動加速度に係わらず振動発電素子の出力を効率よく電源回路に送り、負荷(機器類)に供給することができる振動発電装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、振動源の振動加速度に係わらず振動発電素子の出力を効率よく電源回路に送り、負荷(機器類)に供給することができる振動発電装置を有する電力供給設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に係る本願発明の振動発電装置は、振動源に取り付けられる振動発電素子と、前記振動発電素子の出力電圧を整流して所定の電圧を負荷に出力する電源回路と、前記振動発電素子の出力電圧を前記電源回路に送る接続経路と、前記接続経路と並列に配され、昇圧回路を介して前記振動発電素子の出力電圧を昇圧して前記電源回路に送るための昇圧経路と、前記昇圧経路に設けられ、入力された前記振動発電素子の出力電圧を昇圧する昇圧回路とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る本発明では、振動発電素子の振動加速度が小さく、出力電圧が低い場合、接続経路を経由する電圧値にならず、昇圧経路から昇圧回路に送られる。昇圧回路で昇圧された出力電圧は、電源回路の起動範囲に昇圧されて電源回路に送られる。振動発電素子の振動加速度が大きく、出力電圧が高い場合、電気抵抗の低い接続経路を経由してそのままの状態の出力電圧が電源回路に送られる。
【0013】
このため、振動発電素子の振動加速度に係わらず、一つの電源回路に入力する電圧を正常に起動する範囲に保つことができ、振動発電素子を効率よく使用して一つの電源回路に送ることが可能になる。
【0014】
そして、請求項2に係る本発明の振動発電装置は、請求項1に記載の振動発電装置において、前記接続経路、前記昇圧経路への出力電圧の流通を選択する選択手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明では、振動発電素子で発生した出力電圧を、選択手段の切り換えにより、接続経路、もしくは昇圧経路へ流通させることができる。このため、振動発電素子の振動加速度の状況などに応じて、効率よく出力電圧を電源回路に送ることができる。
【0016】
選択手段としては、接続経路、昇圧経路のそれぞれに設けられたスイッチ、接続経路、昇圧経路が並列に接続される部分の分岐部に設けられた切換え手段などを用いることができる。
【0017】
また、請求項3に係る本発明の振動発電装置は、請求項2に記載の振動発電装置において、前記選択手段を動作させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記振動発電素子の出力電圧に由来する電圧状況に応じて前記選択手段を動作させることを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る本発明では、振動発電素子の出力電圧に由来する電圧状況に応じて、例えば、振動発電素子の出力電圧の値や、振動源の状況(例えば、水力発電の運転状況)に応じて、選択手段を動作させることができる。
【0019】
例えば、振動発電素子の出力電圧の値に応じて選択手段を動作させることで、振動発電素子の出力の変化に対し速やかに対応して接続経路、昇圧経路への出力電圧の流通を選択することができる。また、昇圧経路へ出力電圧を流通させる必要がない場合であっても、要求に応じて出力電圧を更に昇圧させる運用を行うことができる。
【0020】
上記目的を達成するための請求項4に係る本願発明の電力供給設備は、発電機が駆動されることで電力を得る発電手段を備え、前記発電手段にかかわる振動の振動源に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の振動発電装置の前記振動発電素子を取り付けたことを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る本発明では、振動発電素子の振動加速度に係わらず、一つの電源回路に入力する電圧を正常に起動する範囲に保つことができ、振動発電素子を効率よく使用して一つの電源回路に送ることが可能な振動発電装置を有する電力供給設備とすることができる。
【0022】
電力供給設備である発電手段としては、発電用の水車を備えた水力発電設備や、発電機を駆動する膨張タービンを備えた火力発電設備などに適用することができる。水力発電設備に適用する場合、発電用の水車を回転させるための発電用水を導入する通路(通路に備えられた流体計測装置)に振動発電素子を取り付けることができる。火力発電設備に適用する場合、圧縮流体を膨張タービンに送る経路、例えば、蒸気タービンに送られる蒸気の経路、もしくは、ガスタービンに送られる膨張用のガスの経路に振動発電素子を取り付けることができる。
【0023】
上記目的を達成するための請求項5に係る本願発明の電力供給設備は、交流電流を変圧する変圧器、もしくは、進相電流を補償する分路リアクトルを構成機器として備えた変圧器を備え、前記構成機器を振動源として、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の振動発電装置の前記振動発電素子を前記構成機器に取り付けたことを特徴とする。
【0024】
請求項5に係る本発明では、励磁による電磁力の引っ張り力の繰り返しにより振動が発生する変電所の変圧器、もしくは、分路リアクトルの振動を用いて電力を得ることができ、振動発電素子の振動加速度に係わらず、一つの電源回路に入力する電圧を正常に起動する範囲に保つことができ、振動発電素子を効率よく使用して一つの電源回路に送ることが可能な振動発電装置を有する電力供給設備とすることができる。
【0025】
電源回路から出力される電力は、例えば、設備の状態監視・計測を行い、状態監視・計測の結果情報を通信により送受信し、結果情報を複数の部門で共有し、設備のメンテナンスの計画、実行等を行う技術である、IoT(Internet of Things)技術による機器の監視におけるセンシング(デジタル計測計による計測)、通信のための電源として使用することができる。このため、IoT技術に適用した際に、電源としてのバッテリの交換、メンテナンスの時間、労力を省略することができ、電力供給設備において、IoT技術の構築に貢献できる技術となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の振動発電装置は、振動源の振動加速度に係わらず振動発電素子の出力を効率よく電源回路に送り、負荷(機器類)に供給することが可能になる。
【0027】
本発明の電力供給設備は、振動源の振動加速度に係わらず振動発電素子の出力を効率よく電源回路に送り、負荷(機器類)に供給することができる振動発電装置を有する電力供給設備とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例に係る振動発電装置を備えた水力発電設備(電力供給設備)の全体の説明図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る振動発電装置の概略系統図である。
【
図3】振動加速度と得られる電力との関係を表すグラフである。
【
図4】振動加速度と電源回路の効率との関係を表すグラフである。
【
図5】本発明の他の実施例に係る振動発電装置の概略系統図である。
【
図6】本発明の振動発電装置を備えた変電設備(電力供給設備)の全体説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には本発明の一実施例に係る振動発電装置を備えた水力発電設備(電力供給設備)の全体、
図2には本発明の一実施例に係る振動発電装置の概略系統、
図3には振動加速度と得られる電力との関係を表すグラフ、
図4には振動加速度と電源回路の効率との関係を表すグラフを示してある。
【0030】
図1に示すように、水力発電設備1は、貯水池2からの発電用水が水圧管3を介して送られる水車4を備えている。水車4の回転により発電手段としての水力発電機5が駆動され発電が行われ、水車4を回転させた発電用水は放水管6から河川7に放出される。発電された電力は送電線8を介して事業所や一般の需要地である負荷に送られる。
【0031】
振動源としての水力発電機5には、振動発電装置11が取り付けられている。振動発電装置11から出力される電力は、例えば、水力発電設備1の状態監視・計測を行い、状態監視・計測の結果情報を通信により送受信し、結果情報を複数の部門で共有し、設備のメンテナンスの計画、実行等を行う技術である、IoT(Internet of Things)技術による機器の監視におけるセンシング(デジタル計測計による計測)、通信のための電源として使用される。このため、IoT技術に適用した際に、電源としてのバッテリの交換、メンテナンスの時間、労力を省略することができ、水力発電設備1において、IoT技術の構築に貢献できる技術となる。
【0032】
図2から
図4に基づいて振動発電装置11を説明する。
【0033】
図2に示すように、振動発電装置11は、振動源としての水力発電設備1(
図1参照)に取り付けられる振動発電素子15を備えている。振動発電素子15には、並列に配された接続経路16、及び、昇圧経路17を介して電源回路18が接続されている。
【0034】
昇圧経路17には昇圧回路19が設けられ、昇圧回路19では、入力された振動発電素子15の出力電圧が昇圧される。電源回路18では、保護回路により、所定の電圧よりも高い電圧が入力されると、所定の電圧を超える電圧がカットされる。
【0035】
振動発電素子15で得られた出力電圧は、接続経路16、もしくは、昇圧経路17を通して電源回路18に送られ、電源回路18で整流されて所望の直流電圧とされ、負荷に出力される。
【0036】
振動発電素子15の振動加速度が小さく、出力電圧が低い場合、接続経路16を経由する電圧値にならず(電源回路18を起動する電圧値にならず)、昇圧経路17から昇圧回路19に送られる。昇圧回路19では振動発電素子15から入力された電圧が昇圧され、昇圧された出力電圧は、電源回路18を起動する起動範囲に昇圧されて電源回路18に送られる。
【0037】
振動発電素子15の振動加速度が大きく、出力電圧が高い場合、電気抵抗の低い接続経路16を経由してそのままの状態の出力電圧が電源回路18に送られる。
【0038】
このため、振動発電素子15の振動加速度に係わらず、一つの電源回路18に入力する電圧を正常に起動する範囲に保つことができ、振動発電素子15を効率よく使用して一つの電源回路18に送ることが可能になる。
【0039】
図3、
図4を用いて、低い振動加速度から高い振動加速度の範囲で、一つの電源回路18を起動させた場合の状況(実線で示した状況)を説明する。一点鎖線は昇圧回路19で昇圧された状態、点線は接続経路16で送られた状態を示してある。
【0040】
グラフを用いて、振動加速度と出力電圧、電源回路18の効率の関係を説明する。振動加速度S1よりも小さい振動加速度では、昇圧回路19で昇圧されて電源回路18を起動する起動範囲になった出力電圧が電源回路18に送られる。得られる電力、電源回路の効率は一点鎖線に近い状態になる。
【0041】
電源回路18には、所定の入力電圧の最大値よりも高い電圧が入力されると、電圧をカットする保護回路が備えられているので、振動加速度S1を超えた状態では、得られる電力の上昇はわずかとなる。振動加速度S1以上の振動加速度では、電気抵抗の低い接続経路16を経由してそのままの状態で電源回路18を起動する起動範囲にされた電圧が電源回路18に送られる。得られる電力、電源回路の効率は点線に近い状態になる。
【0042】
従って、振動発電素子15の振動加速度がS1を超えるまでは振動発電素子15の出力電圧が昇圧回路19で昇圧されて電源回路18に送られ、低い振動加速度であっても電源回路18を効率よく起動することができる。振動発電素子15の振動加速度がS1を超えると、電気抵抗の低い接続経路16を経由した出力電圧が電源回路18に送られ、大きい振動加速度であっても保護回路の影響を受けずに電源回路18を効率よく起動することができる。
【0043】
上述した実施例では、振動源として、水力発電機5(
図1参照)に振動発電装置11(振動発電素子15)を取り付けた例を挙げて説明したが、振動発電装置11(振動発電素子15)を取り付ける振動源の例としては、電力供給設備としての火力発電設備の機器に適用することができる。この場合、圧縮流体を膨張タービンに送る経路、例えば、蒸気タービンに送られる蒸気の経路、もしくは、ガスタービンに送られる膨張用のガスの経路が振動源とされ、これらの経路に振動発電装置11(振動発電素子15)を取り付けることができる。
【0044】
図5に基づいて振動発電装置の他の実施例を説明する。
図5には本発明の他の実施例に係る振動発電装置の概略系統を示してある。尚、
図2に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
【0045】
図に示すように、振動発電装置21は、振動源としての水力発電設備1(
図1参照)の水力発電機5(
図1参照)に取り付けられる振動発電素子15を備えている。振動発電素子15には、並列に配された接続経路16、及び、昇圧経路17を介して電源回路18が接続されている。
【0046】
接続経路16には選択手段としての第1スイッチ22が設けられ、第1スイッチ22がオンにされることで、振動発電素子15で得られた出力電圧が接続経路16を通して電源回路18に送られる。昇圧回路19の後流側の昇圧経路17には選択手段としての第2スイッチ23が設けられ、第2スイッチ23がオンにされることで、振動発電素子15で得られた出力電圧が昇圧回路19を通して電源回路18に送られる。
【0047】
第1スイッチ22、第2スイッチ23の動作(オン、オフ)は、制御手段24の指示により行われる。昇圧回路19と第2スイッチ23の間の昇圧経路17には電圧検出手段25が設けられ、電圧検出手段25の検出情報は制御手段24に入力される。また、制御手段24には、発電設備のデータ(発電設備の運転状況)や、振動発電素子15の状況が入力される。
【0048】
振動発電素子15の振動加速度が小さく、出力電圧が低い状態が制御手段24で判断されると、第1スイッチ22がオフにされると共に、第2スイッチ23がオンにされる。これにより、振動発電素子15の出力電圧は、昇圧経路17から昇圧回路19に送られる。振動発電素子15で得られた出力電圧は、昇圧経路17(昇圧回路19)を通して、昇圧された状態で電源回路18に送られる。
【0049】
振動発電素子15の振動加速度が大きく、出力電圧が高い状態が制御手段24で判断されると、第1スイッチ22がオンにされると共に、第2スイッチ23がオフにされる。これにより、振動発電素子15の出力電圧は、接続経路16を経由してそのままの状態で電源回路18に送られる。
【0050】
上述した実施例では、振動発電素子15の出力の変化(昇圧回路19の下流側の電圧の変化)に対し速やかに対応して接続経路16、昇圧経路17への出力電圧の流通を選択することができる。また、昇圧経路17へ出力電圧を流通させる必要がない場合であっても、要求に応じて出力電圧を更に昇圧させる運用を行うことができる。
【0051】
尚、選択手段として、第1スイッチ22、第2スイッチ23に代えて、接続経路16、昇圧経路17が並列に接続される部分の分岐部に切換え手段を設けることも可能である。
【0052】
第1スイッチ22、第2スイッチ23を設けたので、第1スイッチ22、第2スイッチ23のオン、オフの切り換えにより、接続経路16、もしくは昇圧経路17へ振動発電素子15の出力電圧を流通させることができる。このため、振動発電素子15の振動加速度の状況などに応じて、効率よく出力電圧を電源回路18に送ることができる。
【0053】
尚、振動発電装置11(
図2参照)と同様に、
図5に示した振動発電装置21(振動発電素子15)を、電力供給設備としての火力発電設備の機器、例えば、蒸気タービンに送られる蒸気の経路、もしくは、ガスタービンに送られる膨張用のガスの経路(振動源)に取り付けることができる。
【0054】
図6に基づいて振動発電装置11(21)を備えた電力供給設備の他の実施例を説明する。
図6には変電設備(電力供給設備)の全体構成を示してある。
【0055】
変電所の変圧器30は、交流電力を需要地の希望に応じて変圧する機器であり、建屋の外に設置された、冷却油を冷却するためのラジエータ31が配管32を介して接続されている。変圧器30では、励磁による電磁力の引っ張り力の繰り返しにより振動が発生している。図に示すように、変圧器30とラジエータ31を接続する配管32には、振動により電力を得る振動発電装置11(21)が取り付けられている。
【0056】
したがって、励磁による電磁力の引っ張り力の繰り返しにより振動が発生する変電所の変圧器30の振動(もしくは、分路リアクトルの振動)を用いて電力を得ることができ、振動発電素子15(
図2、
図5参照)の振動加速度に係わらず、一つの電源回路に入力する電圧を正常に起動する範囲に保つことができ、振動発電素子15(
図2、
図5参照)を効率よく使用して一つの電源回路18に送ることが可能な振動発電装置11(21)を有する電力供給設備とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、振動発電装置、電力供給設備の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 水力発電設備
2 貯水池
3 水圧管
4 水車
5 水力発電機
6 放水管
7 河川
8 送電線
11、21 振動発電装置
15 振動発電素子
16 接続経路
17 昇圧経路
18 電源回路
19 昇圧回路
22 第1スイッチ
23 第2スイッチ
24 制御手段
25 電圧検出手段
30 変圧器
31 ラジエータ
32 配管