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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003364
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20240105BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20240105BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20240105BHJP
   A61M 60/585 20210101ALI20240105BHJP
   A61M 60/279 20210101ALI20240105BHJP
   A61M 60/113 20210101ALI20240105BHJP
【FI】
A61M1/14 110
A61M1/16 161
A61M60/37
A61M60/585
A61M60/279
A61M60/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102449
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 俊介
(72)【発明者】
【氏名】真木 秀人
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD07
4C077EE01
4C077EE03
4C077HH10
4C077HH13
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】使用時においてカセットフレームが外れにくい血液浄化装置を提供することができる。
【解決手段】カセットフレーム28と、カセットフレーム装着部41と、を備え、カセットフレーム装着部41は、カセットフレーム28を表面側から係止する係止部51、52、53と、カセットフレーム28を裏面側から押圧する接触式センサ54と、を有し、カセットフレーム28には、係止部51、52、53が貫通する係止孔96と、接触式センサ54からの押圧を受ける押圧受け部97と、が形成され、押圧受け部97には、接触式センサ54による押圧力の一部を、係止部51、52、53の係止突起51b、52b、53bの向きとは反対方向の力に変換することで、カセットフレーム28を当該反対方向に移動させる押圧受け面97aが形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外循環回路の部品を取り付けて一体のカセットを成すカセットフレームと、
前記カセットフレームを着脱自在に装着するカセットフレーム装着部と、を備え、
前記カセットフレーム装着部は、
前記カセットフレームを表面側から係止する係止部と、
前記係止部によって係止された前記カセットフレームを裏面側から押圧する押圧部と、を有し、
前記カセットフレームには、
前記係止部が貫通する係止孔と、
前記押圧部からの押圧を受ける押圧受け部と、が形成され、
前記押圧部及び前記押圧受け部の一方には、前記押圧部及び前記押圧受け部の他方に接触して、前記押圧部による押圧力の一部を、前記係止部の係止突起の向きとは反対方向の力に変換することで、前記カセットフレームを前記係止突起の向きとは前記反対方向に移動させる傾斜面が形成されている、
血液浄化装置。
【請求項2】
前記カセットフレーム装着部は、前記係止部を、複数備え、
前記複数の係止部は、前記係止突起の向きが共通し、
前記傾斜面は、前記押圧部による押圧力の一部を、前記複数の係止部の前記係止突起の向きとは反対方向の力に変換する、
請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記カセットフレーム装着部は、前記カセットフレームを前記押圧部に接触させる第1係止部位置と、前記カセットフレームを前記押圧部から離脱させる第2係止部位置と、の間で前記係止部を変位させる変位部を、更に備えた、
請求項1又は2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記押圧受け部に接触して前記カセットフレームの装着を検出する接触式センサによって構成されている、
請求項1又は2に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記カセットフレームの裏面側に接触する接触部を有する、
請求項1又は2に記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記カセットフレームに取り付けられたポンプチューブ内の流体に圧力を付与するしごき型ポンプを、更に備え、
前記しごき型ポンプは、所定の回転位置からの駆動によって前記ポンプチューブを内部に導入する、
請求項1又は2に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記しごき型ポンプを制御して、前記しごき型ポンプを診断する自己診断動作と、前記しごき型ポンプを前記所定の回転位置に回転させるローディング準備動作と、を実行する制御部と、
自己診断操作を受け付ける操作部と、を更に備え、
前記制御部は、前記操作部によって前記自己診断操作を受け付けたとき、前記自己診断動作に加え、前記ローディング準備動作を実行する、
請求項6に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液浄化装置として、ポンプチューブを取り付けたカセットフレームを着脱自在に取り付けるものがある(特許文献1参照)。この血液浄化装置は、ポンプチューブを搭載したカセットフレーム(取付部材)と、カセットフレームを表面側から係止する複数の係止爪と、を備えている。この血液浄化装置では、カセットフレームを、複数の係止爪に取り付けることで、カセットフレームを装着する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6777721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の血液浄化装置において、使用時にカセットフレームがより外れにくい構造が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、使用時においてカセットフレームが外れにくい血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、体外循環回路の部品を取り付けて一体のカセットを成すカセットフレームと、前記カセットフレームを着脱自在に装着するカセットフレーム装着部と、を備え、前記カセットフレーム装着部は、前記カセットフレームを表面側から係止する係止部と、前記係止部によって係止された前記カセットフレームを裏面側から押圧する押圧部と、を有し、前記カセットフレームには、前記係止部が貫通する係止孔と、前記押圧部からの押圧を受ける押圧受け部と、が形成され、前記押圧部及び前記押圧受け部の一方には、前記押圧部及び前記押圧受け部の他方に接触して、前記押圧部による押圧力の一部を、前記係止部の係止突起の向きとは反対方向の力に変換することで、前記カセットフレームを前記係止突起の向きとは前記反対方向に移動させる傾斜面が形成されている、血液浄化装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用時においてカセットフレームが外れにくい血液浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る血液浄化装置の構造を示した概略構造図である。
図2】血液浄化装置を示した斜視図である。
図3】カセットフレーム装着部周りを示した正面図である。
図4】(a)は、係止部が第1係止部位置に位置する状態のカセットフレーム装着部周りを示した平面図であり、(b)は、係止部が第2係止部位置に位置する状態のカセットフレーム装着部周りを示した平面図である。
図5】(a)は、カセットフレームが接近フレーム位置に位置する状態のカセットフレーム及びカセットフレーム装着部周りを示した平面図であり、(b)は、カセットフレームが離間フレーム位置に位置する状態のカセットフレーム及びカセットフレーム装着部周りを示した平面図である。
図6】カセットフレーム装着部へのカセットフレームの装着方法を示した説明図である。
図7】カセットフレーム装着部からのカセットフレームの取外し方法を示した説明図である。
図8】(a)は、右係止部を示した側面図であり、(b)は、左係止部を示した側面図である。
図9】(a)は、カセットフレームを示した斜視図であり、(b)は、カセットフレームを示した正面図である。
図10】カセットフレームを示した図9(b)のA‐A´線断面図である。
図11】カセットフレーム装着動作を示したフローチャートである。
図12】カセットフレーム取外し動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る血液浄化装置について説明する。この血液浄化装置は、ダイアライザ(血液浄化器)を用いて患者の血液を浄化する医療機器であり、いわゆる血液透析装置である。特に、本血液浄化装置は、カセットフレームの着脱構造として、カセットフレームが使用時に外れにくく且つ非使用時に取り外しやすい構造を有したものである。
【0010】
(血液浄化装置の構成)
図1に示すように、血液浄化装置1は、患者Cの血液を浄化するダイアライザ10と、ダイアライザ10を介して患者Cの血液を循環させる体外循環回路33を有した体外循環ユニット11と、ダイアライザ10に接続され、ダイアライザ10に透析液を供給すると共に、ダイアライザ10からの排液を排出する透析液給排ユニット12と、を備えている。ダイアライザ10は、固定用治具13を介して体外循環ユニット11に着脱自在に取り付けられている。また、図2に示すように、体外循環ユニット11と、透析液給排ユニット12とは別体で構成されており、透析液給排ユニット12の上に、体外循環ユニット11を載置固定可能に構成されている。
【0011】
ダイアライザ10は、血液浄化膜(中空糸型の血液透析膜、あるいは血液透析濾過膜、平膜型の血液透析膜、あるいは血液濾過膜)を内在している。また、図1に示すように、ダイアライザ10は、血液を導入する血液導入口10a及び導入した血液を導出する血液導出口10bを有すると共に、透析液を導入する透析液導入口10c及び導入した透析液を排出する透析液排出口10dを有している。ダイアライザ10では、血液浄化膜を介して血液と透析液とを接触させることで、血液を浄化する。
【0012】
透析液給排ユニット12は、透析液を精製する透析液調製部21と、ダイアライザ10の透析液導入口10cに接続され、透析液調製部21で精製された透析液をダイアライザ10に供給する透析液供給流路22と、ダイアライザ10の透析液排出口10dに接続され、ダイアライザ10からの排液を回収し排出する排液排出流路23と、を備えている。また、透析液給排ユニット12は、透析液供給流路22に配設され、透析液調製部21から透析液を送液する給液ポンプ24と、排液排出流路23に配設され、ダイアライザ10からの排液を送液する排液ポンプ25と、を備えている。給液ポンプ24及び排液ポンプ25を駆動することで、透析液調製部21で精製された透析液をダイアライザ10に供給しつつ、ダイアライザ10からの排液を排出する。給液ポンプ24及び排液ポンプ25を制御して、ダイアライザ10への給液の流量とダイアライザ10からの排液の流量とを調整することで、ダイアライザ10における血液の除水収支量を調整可能となっている。なお、独立駆動可能な給液ポンプ24及び排液ポンプ25に代えて、透析液供給流路22及び排液排出流路23に配設された複式ポンプと、複式ポンプをバイパスするバイパス流路に配設された除水ポンプとを有し、複式ポンプ及び除水ポンプによって、ダイアライザ10に対する給液及び排液を行う構成であってもよい。
【0013】
(体外循環ユニットの構成)
図1及び図2に示すように、体外循環ユニット11は、ユニット本体27を有し、ユニット本体27の前面には、体外循環回路33の消耗部品が取り付けられたカセットフレーム28が着脱自在に装着されている。カセットフレーム28は、体外循環回路33の消耗部品を取り付けて、一体のカセット(いわゆるカセット回路)を成すフレームであり、すなわち、体外循環回路33の消耗部品をユニット本体27に対し一体として着脱するための支持フレームである。図5では、後述のポンプチューブ31aを除いて、図示を省略するが、消耗部品として、後述の動脈側血液配管31及び静脈側血液配管32を含む複数の部品が取り付けられている。なお、カセットフレーム28の詳細については、後述する。
【0014】
(体外循環回路33の構成)
体外循環ユニット11では、ユニット本体27に対してカセットフレーム28を装着することで、カセットフレーム28に取り付けられた消耗部品と、ユニット本体27に配設された部品とによって、体外循環回路33が構成されている。図1に示すように、体外循環回路33は、ダイアライザ10の血液導入口10aに接続され、患者Cの血管から採取した血液をダイアライザ10に導く動脈側血液配管31と、ダイアライザ10の血液導出口10bに接続され、ダイアライザ10から排出された血液を患者Cの血管に戻す静脈側血液配管32と、を有している。また、体外循環回路33は、動脈側血液配管31に配設され、血液を循環させるしごき型ポンプ34と、静脈側血液配管32に配設され、体外循環回路33を流動する血液の圧力を測定する静脈圧検出器35と、静脈側血液配管32に配設され、血液中の気泡を検出する気泡検出器36と、を有している。動脈側血液配管31は、しごき型ポンプ34に取り付けられるポンプチューブ31aを含んでいる。
【0015】
(ユニット本体の構成)
図2に示すように、ユニット本体27の前面側には、カセットフレーム28を着脱自在に装着するカセットフレーム装着部41と、上記しごき型ポンプ34と、後述の3つの係止部51、52、53を一体として進退させる変位部55と、が配設されている。カセットフレーム28は、その表面側が前方となり、その裏面側が後方となる姿勢でカセットフレーム装着部41に装着される。また、ユニット本体27は、上部に配設された操作表示部42と、制御部43(図1参照)と、を有している。操作表示部42は、操作部の一例である。操作表示部42及び制御部43については、後述する。
【0016】
図3に破線で示すように、カセットフレーム装着部41は、カセットフレーム28を表面側(前側)から係止する3つの係止部51、52、53と、3つの係止部51、52、53によって係止されたカセットフレーム28を裏面側(後側)から押圧すると共にカセットフレーム28の装着を検出する接触式センサ54と、を有している。
【0017】
図4に示すように、変位部55は、例えば、3つの係止部51、52、53をそれぞれ支持する3本の支持ロッド61と、ユーザによって操作される操作レバー62と、操作レバー62の操作に連動して3本の支持ロッド61を前後方向に進退動させる連動機構(図示省略)と、を有している。変位部55は、操作レバー62の回動操作に連動し、連動機構及び支持ロッド61を介して、各係止部51、52、53を、第1係止部位置P1(図4(a)参照)と、第1係止部位置P1よりも前方に位置する第2係止部位置P2(図4(b)参照)との間で変位させる。図5(a)及び図6(c)に示すように、この第1係止部位置P1は、各係止部51、52、53に取り付けられたカセットフレーム28をユニット本体27に接近させた接近位置(以下、接近フレーム位置P3)に位置させ、各係止部51、52、53によって、カセットフレーム28を接触式センサ54に接触させる位置である。一方、図5(b)及び図6(b)に示すように、第2係止部位置P2は、各係止部51、52、53に取り付けられたカセットフレーム28をユニット本体27から離間させた離間位置(以下、離間フレーム位置P4)に位置させ、各係止部51、52、53によって、カセットフレーム28を接触式センサ54から離脱させる位置である。
【0018】
図6に示すように、カセットフレーム28をカセットフレーム装着部41に装着するときには、各係止部51、52、53を第2係止部位置P2に位置させた状態で、カセットフレーム28を各係止部51、52、53に取り付ける(図6(b)参照)。その後、操作レバー62を倒れ込むように回動操作し、変位部55によって、各係止部51、52、53を第1係止部位置P1に後退させることで、カセットフレーム28を離間フレーム位置P4から接近フレーム位置P3に移動させる(図6(c)参照)。これによって、カセットフレーム28を、接触式センサ54に接触、係合させる。
【0019】
一方、図7に示すように、カセットフレーム28をカセットフレーム装着部41から取り外すときには、操作レバー62を立ち上がるように回動操作し、変位部55によって、各係止部51、52、53を第2係止部位置P2に前進させることで、カセットフレーム28を接近フレーム位置P3から離間フレーム位置P4に移動させる(図7(b)参照)。これによって、カセットフレーム28を、接触式センサ54から離脱させる。その後、第2係止部位置P2に位置した各係止部51、52、53から、カセットフレーム28を、各係止部51、52、53から取り外す(図7(c)参照)。
【0020】
なお、本実施形態では、変位部55が、3本の支持ロッド61、操作レバー62及び連動機構を有し、ユーザが操作レバー62を操作して手動で各係止部51、52、53を変位させる構成としたが、操作レバー62に代えて、電動のアクチュエータを備え、電動で各係止部51、52、53を変位させる構成であってもよい。また、3本の支持ロッド61が、それぞれ、各係止部51に対し一体として形成されている構成であってもよい。
【0021】
図4に示すように、3つの係止部51、52、53は、右側に配設された1つの右係止部51と、左側に配設された2つの左係止部52、53と、から成る。
【0022】
図8(a)に示すように、右係止部51は、先端部51dを有し当該先端部51dがカセットフレーム28に形成された後述の係止孔96を貫通しつつ係止孔96と係合する胴部51aと、胴部51aの先端部51dから突き出した係止突起51bと、を有している。右係止部51の係止突起51bは、係止孔96を貫通した先において、前方から見て(カセットフレーム28の表面側から見て)左方向に突き出して形成されており、その先端がカセットフレーム28の表面側に接触してカセットフレーム28を係止する。すなわち、右係止部51の係止突起51bの向きは、左方向となっている。係止突起51bの先端は、カセットフレーム28の表面側に向かって係止突起底部51eの底面から突出した楔状に形成されている。本実施形態では、楔状部分も含めて係止突起底部51eとする。なお、係止突起51bの形状は、カセットフレーム28を表面側から係止可能な形状であればよく、爪状であってもよいし、単なる突起状(四角形や山なり)であってもよい。また、右係止部51の胴部51aには、カセットフレーム28の裏面側に接触する接触部51cが形成されている。
【0023】
図8(b)に示すように、各左係止部52、53は、先端部52d、53dを有し当該先端部52d、53dがカセットフレーム28に形成された後述の係止孔96を貫通しつつ係止孔96と係合する胴部52a、53aと、胴部52a、53aの先端部52d、53dから突き出した係止突起52b、53bと、を有している。各左係止部52、53の係止突起52b、53bは、係止孔96を貫通した先において、前方から見て(カセットフレーム28の表面側から見て)左方向に突き出して形成されており、その先端がカセットフレーム28の表面側に接触してカセットフレーム28を係止する。すなわち、各左係止部52、53の係止突起52b、53bの向きは、左方向となっている。係止突起52b、53bの先端は、カセットフレーム28の表面側に向かって係止突起底部52e、53eの底面から突出した楔状に形成されている。本実施形態では、楔状部分も含めて係止突起底部52e、53eとする。なお、係止突起52b、53bの形状は、カセットフレーム28を表面側から係止可能な形状であればよく、爪状であってもよいし、単なる突起状(四角形や山なり)であってもよい。また、各左係止部52、53の胴部52a、53aには、カセットフレーム28の裏面側に接触する接触部52c、53cが形成されている。
【0024】
これらのように、右係止部51及び2つの左係止部52、53は、係止突起51b、52b、53bの向き、すなわち、カセットフレーム28の係止孔96を貫通した先の突出し方向が、左方向で共通している。これによって、右係止部51及び2つの左係止部52、53からのカセットフレーム28の取外し方向がいずれも左方向となるため、右係止部51からのカセットフレーム28の取外しと、2つの左係止部52、53からのカセットフレーム28の取外しを同時に行うことができる。また、右係止部51及び2つの左係止部52、53からカセットフレーム28の取付け方向がいずれも右方向となるため、右係止部51へのカセットフレーム28の取付けと、2つの左係止部52、53へのカセットフレーム28の取付けを同時に行うことができる。
【0025】
また、各係止部51、52、53の胴部51a、52a、53aに、カセットフレーム28の裏面側に接触する接触部51c、52c、53cが形成されていることで、係止突起51b、52b、53bによるカセットフレーム28の係止と、接触部51c、52c、53cによるカセットフレーム28への接触とによって、取外しに支障が出ない程度にカセットフレーム28を軽く保持することができる。これによって、カセットフレーム28が離間フレーム位置P4に位置している状態において、カセットフレーム28が係止部51、52、53から意図せずに脱落してしまうのを防止することができる。
【0026】
図3及び図4に示すように、接触式センサ54は、カセットフレーム28の裏面側に接触する棒状の接触子71と、接触子71を前方に付勢する付勢バネ(図示省略)と、接触子71の後退を検知する検知部(図示省略)と、を有している。カセットフレーム28が離間フレーム位置P4から接近フレーム位置P3に変位すると、接触子71がカセットフレーム28の裏面側に(後述の押圧受け部97に)接触し、接触子71が付勢バネの付勢力に抗して後退する。接触子71が後退すると、検知部によって、接触子71の後退が検知され、この検知によって、カセットフレーム28の装着が検出される。また、カセットフレーム28が接近フレーム位置P3に変位した状態では、接触子71が、付勢バネの付勢力(復元力)によって、カセットフレーム28を裏面側から押圧する。このように、本実施形態では、接触式センサ54が、3つの係止部51、52、53に表面側から係止されたカセットフレーム28を、裏面側から押圧する押圧部を構成している。
【0027】
図3に示すように、しごき型ポンプ34は、ポンプチューブ31a内の血液(流体)に圧力を付与して血液を送液するものであり、取付け凹部を有するステータ81と、取付け凹部内に配設され、図外のモータによって回転するロータ82と、ロータ82に取り付けられた複数のローラ83と、ロータ82の周面に形成され、ポンプチューブ31aをガイドする複数のガイドピン84と、を有している。複数のガイドピン84は、上下一対のガイドピン84の組をロータ82の周方向に複数組有しており、上下一対のガイドピン84の間にポンプチューブ31aを導入した状態で、ロータ82を回転させることで、ローラ83によってポンプチューブ31aがしごかれて、血液が送液される。以下、この上下一対のガイドピン84の間を、しごき型ポンプ34の内部とし、上下一対のガイドピン84の外側を、しごき型ポンプ34の外部とする。
【0028】
また、しごき型ポンプ34は、ポンプチューブ31aの自動取付け及び取外し(オートローディング)機能を有している。すなわち、しごき型ポンプ34は、ロータ82の駆動によって、ポンプチューブ31aを内部に導入して取り付けるローディングの機能と、ロータ82の駆動によって、ポンプチューブ31aを外部に排出して取り外すアンローディングの機能と、を有している。ローディングでは、ステータ81とロータ82との間隙に沿って引き回したポンプチューブ31aを前方から押し付けた状態で、ロータ82を所定の回転位置であるローディング準備位置から駆動することで、ガイドピン84よって、ポンプチューブ31aをしごき型ポンプ34の内部に巻き込んで導入する(図5(a)の仮想線参照)。一方、アンローディングでは、ポンプチューブ31aを前方に引っ張った状態で、ロータ82を所定の回転位置であるアンローディング準備位置から駆動することで、ガイドピン84よって、ポンプチューブ31aをしごき型ポンプ34の外部に巻き出して排出する(図5(b)の仮想線参照)。
【0029】
(カセットフレームの構成)
次に図9及び図10を参照して、カセットフレーム28について説明する。図9及び図10に示すように、カセットフレーム28は、例えば、後面を開放するブロック状に形成された樹脂成形品であり、ポンプチューブ取付け部91を含む各部品の取付け部が形成された前壁92と、前壁92の周端から後方に延びる側壁93と、側壁93の後端から外側に張り出して形成された鍔部94と、を一体として有している。なお、鍔部94は、省略してもよい。
【0030】
また、カセットフレーム28のポンプチューブ取付け部91及び前壁92には、3つの係止部51、52、53に対応する位置に、3つの係止孔96が形成されている。さらに、カセットフレーム28の前壁92の略中央には、接触式センサ54からの押圧を受ける押圧受け部97が形成されている。なお、押圧受け部97の配設位置は、接触式センサ54からの押圧を受けることができる位置であれば、カセットフレーム28の略中央位置に限るものではない。
【0031】
3つの係止孔96は、3つの係止部51、52、53がそれぞれ貫通し係合する貫通孔である。具体的には、各係止部51、52、53が各係止孔96を貫通した状態において、各係止孔96の内縁が、対応する各係止部51、52、53の胴部51a、52a、53aにおける先端部51d、52d、53dの上下側面に接触して、カセットフレーム28が、上下方向において、各係止部51、52、53に係止される。また、詳細は後述するが、各係止部51、52、53が各係止孔96を貫通した状態において、接触式センサ54の押圧力によって、各係止孔96の内縁が各係止部51、52、53の係止突起側側面51f、52f、53f(図8参照)に押し付けられることで、カセットフレーム28が、左右方向において、各係止部51、52、53に係止される。なお、係止孔96の大きさは、係止部51、52、53が挿入可能な大きさであれば、本実施形態の大きさに限るものではないが、係止部51、52、53を係止孔96に押し込むことで、係止部51、52、53が係止孔96に挿入される大きさであることが好ましい。また、係止孔96の形状についても、係止部51、52、53によって係止し得る形状であれば、本実施形態の四角形状に限らず、円形状であってもよいし、四角形以外の多角形状であってもよい。
【0032】
図10に示すように、押圧受け部97は、後方(裏面側)に向かって凸を成す凸状に形成されており、その先端部に、接触式センサ54の接触子71が接触する押圧受け面97aが形成されている。そして、押圧受け面97aは、左側から右側に向かって後方に徐々に迫り出す傾斜面となっている。そのため、図6(c)に示すように、押圧受け面97aによって、接触式センサ54による押圧力の一部を、右方向の力に変換する。これにより、接触式センサ54による押圧力によって、カセットフレーム28を右方向に移動させ、カセットフレーム28の各係止孔96の内縁を、各係止部51、52、53の係止突起側側面51f、52f、53fに押し付ける。3つの係止部51、52、53の係止突起51b、52b、53bの向きが左方向であり、各係止部51、52、53からのカセットフレーム28の取外し方向が左方向であるのに対し、押圧受け面97aによって、接触式センサ54による押圧力の一部を、当該係止部51、52、53の係止突起51b、52b、53bの向き及び当該取外し方向とは反対方向(右方向)の力に変換し当該反対方向に移動することで、血液浄化装置1の使用時において、カセットフレーム28が各係止部51、52、53から外れにくくなっている。
【0033】
なお、本実施形態では、押圧受け部97が凸状に形成された構成であるが、押圧受け面97aを有する構成であれば、押圧受け部97が凸状に形成されていない構成であってもよい。例えば、押圧受け部97が凹状に形成されていてもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、押圧受け面97aがまっすぐな平面状であるが、接触式センサ54による押圧力の一部を、右方向の力に変換可能な構成であれば、これに限るものではない。例えば、押圧受け面97aが湾曲したR面状であってもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、接触式センサ54による押圧力によって、カセットフレーム28を右方向に移動させ、カセットフレーム28の各係止孔96の内縁を、各係止部51、52、53の係止突起側側面51f、52f、53fに押し付ける構成であったが、接触式センサ54による押圧力によって、各係止孔96の内縁が係止突起側側面51f、52f、53fに接触しない程度に、カセットフレーム28を右方向に移動させる構成であってもよい。
【0036】
ポンプチューブ取付け部91は、ポンプチューブ31aを、しごき型ポンプ34のステータ81とロータ82との間隙に添わせるように「U」字状にした状態で、ポンプチューブ31aの両端部を支持している。そして、ポンプチューブ取付け部91は、カセットフレーム28が接近フレーム位置P3に位置する状態では、しごき型ポンプ34外のポンプチューブ31aを前方からしごき型ポンプ34に押し付け(図5(a)参照)、カセットフレーム28が離間フレーム位置P4に位置する状態では、しごき型ポンプ34内のポンプチューブ31aを前方に引っ張る(図5(b)参照)ように、ポンプチューブ31aの両端部を支持する。これにより、カセットフレーム28が接近フレーム位置P3に位置する状態では、しごき型ポンプ34におけるローディングを行うことができ、カセットフレーム28が離間フレーム位置P4に位置する状態では、しごき型ポンプ34におけるアンローディングを行うことができる。
【0037】
(操作表示部及び制御部の構成)
次に図1を参照して、操作表示部42及び制御部43について説明する。図1に示すように、操作表示部42は、操作ボタン及びタッチパネルを有するモニタによって構成されており、各種情報を表示すると共に、ユーザからの各種操作を受け付ける。本実施形態では、操作表示部42は、自己診断操作、ローディング操作、アンローディング準備操作及びアンローディング操作を受け付ける。
【0038】
制御部43は、CPU等の演算素子、メモリ、ソフトウェア、インターフェイス、通信ユニット等を適宜組み合わせて実現されており、血液浄化装置1の各種制御を行う。本実施形態では、制御部43は、しごき型ポンプ34を制御して、自己診断動作、ローディング準備動作、ローディング動作、アンローディング準備動作及びアンローディング動作を実行する。
【0039】
自己診断動作は、しごき型ポンプ34のテスト駆動(正転駆動、逆転駆動及び停止)を行って、しごき型ポンプ34を診断(異常判定)する動作である。ローディング準備動作は、ロータ82をローディング準備位置に回転させる動作である。ローディング動作は、ロータ82がローディング準備位置にある状態からしごき型ポンプ34を駆動して、ポンプチューブ31aをしごき型ポンプ34の内部に導入する動作である。アンローディング準備動作は、ロータ82をアンローディング準備位置に回転させる動作である。アンローディング動作は、ロータ82がアンローディング準備位置にある状態からしごき型ポンプ34を駆動して、ポンプチューブ31aをしごき型ポンプ34の外部に排出する動作である。
【0040】
特に、制御部43は、操作表示部42によって自己診断操作を受け付けたとき、自己診断動作に加えて、ローディング準備動作を実行する。このように、1つの操作で、自己診断動作と、ローディング準備動作と、を実行することで、ユーザによる操作の手間を軽減することができる。
【0041】
(カセットフレーム装着動作の説明)
次に図6及び図11を参照して、カセットフレーム装着動作について説明する。カセットフレーム装着動作は、カセットフレーム28をカセットフレーム装着部41に装着する動作であり、各係止部51、52、53が第2係止部位置P2に位置した状態から行われる(図6(a)参照)。図11に示すように、まず、ユーザは、操作表示部42によって自己診断操作を行う(S1)。これに対し、制御部43は、操作表示部42によって自己診断操作を受け付け、しごき型ポンプ34を制御して、自己診断動作を実行する(S2)。その後、しごき型ポンプ34を制御して、ローディング準備動作を実行する(S3)。すなわち、しごき型ポンプ34のテスト駆動を行ってしごき型ポンプ34を診断し、その後、ロータ82をローディング準備位置に回転させる。
【0042】
自己診断動作及びローディング準備動作を実行したら、ユーザは、各係止部51、52、53にカセットフレーム28を取り付ける(S4)(図6(b)参照)。その後、操作レバー62を操作し、変位部55によって、カセットフレーム28を離間フレーム位置P4から接近フレーム位置P3に変位させる(S5)(図6(c)参照)。この変位によって、接触式センサ54の接触子71がカセットフレーム28の押圧受け部97に接触し、押圧受け部97の押圧受け面97aによって、接触式センサ54がカセットフレーム28を前方及び右方向に押圧する状態になる。また、カセットフレーム28に取り付けられたポンプチューブ31aが、しごき型ポンプ34に前方から押し付けられた状態になる。
【0043】
カセットフレーム28を接近フレーム位置P3に変位させたら、ユーザは、操作表示部42によってローディング操作を行う(S6)。これに対し、制御部43は、操作表示部42によってローディング操作を受け付け、しごき型ポンプ34を制御して、ローディング動作を実行する(S7)。これにより、ポンプチューブ31aがしごき型ポンプ34の内部に導入される。これにより、カセットフレーム装着動作を終了する。
【0044】
(カセットフレーム取外し動作の説明)
次に図7及び図12を参照して、カセットフレーム取外し動作について説明する。カセットフレーム取外し動作は、カセットフレーム28をカセットフレーム装着部41から取り外す動作であり、各係止部51、52、53が第1係止部位置P1に位置しカセットフレーム28が接近フレーム位置P3に位置した状態から行われる(図7(a)参照)。図12に示すように、まず、ユーザは、操作表示部42によってアンローディング準備操作を行う(S11)。これに対し、制御部43は、操作表示部42によってアンローディング準備操作を受け付け、しごき型ポンプ34を制御して、アンローディング準備動作を実行する(S12)。すなわち、ロータ82をアンローディング準備位置に回転させる。
【0045】
アンローディング準備動作を実行したら、ユーザは、操作レバー62を操作し、変位部55によって、カセットフレーム28を接近フレーム位置P3から離間フレーム位置P4に変位させる(S13)(図7(b)参照)。この変位によって、カセットフレーム28が接触式センサ54から離脱した状態となる。また、カセットフレーム28に取り付けられたポンプチューブ31aが、前方に引っ張られた状態になる。
【0046】
カセットフレーム28を離間フレーム位置P4に変位させたら、ユーザは、操作表示部42によってアンローディング操作を行う(S14)。これに対し、制御部43は、操作表示部42によってアンローディング操作を受け付け、しごき型ポンプ34を制御して、アンローディング動作を実行する(S15)。これにより、ポンプチューブ31aがしごき型ポンプ34の外部に排出される。その後、ユーザは、カセットフレーム28を、各係止部51、52、53から取り外す(S16)(図7(c)参照)。これにより、カセットフレーム取外し動作を終了する。
【0047】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、使用時においてカセットフレーム28が外れにくいと共に、カセットフレーム28を容易に取り外すことができる。すなわち、押圧受け部97に、接触式センサ54による押圧力の一部を、各係止部51、52、53の係止突起51b、52b、53bの向きとは反対方向の力に変換する押圧受け面97aを設けたことで、カセットフレーム28が各係止部51、52、53の取外し方向とは反対方向に押圧され、カセットフレーム28が当該反対方向に移動した状態となるため、血液浄化装置1の使用時において、カセットフレーム28が外れにくくなる。これにより、血液浄化装置1の使用時において、意図せずに、カセットフレーム28が外れてしまうのを抑制することができる。また、3つの係止部51、52、53の係止突起51b、52b、53bの向きを共通化したことで、各係止部51、52、53からのカセットフレーム28の取外しを同時に行うことができるため、カセットフレーム28を容易に取り外すことができる。これにより、カセットフレーム28の取外しの手間を軽減することができる。
【0048】
また、上記実施形態の構成によれば、カセットフレーム28を接近フレーム位置P3と離間フレーム位置P4との間で移動させる変位部55を設けたことで、使用時には、カセットフレーム28を接近フレーム位置P3に移動して、カセットフレーム28を接触式センサ54に接触させ、非使用時には、カセットフレーム28を離間フレーム位置P4に移動して、カセットフレーム28を接触式センサ54から離脱させることができる。これにより、非使用時には、接触式センサ54からの押圧力を受けることなく、カセットフレーム28を取り外すことができるため、使用時においてカセットフレーム28がより外れにくく非使用時においてカセットフレーム28をより取り外しやすい血液浄化装置1を実現することができる。
【0049】
また、上記実施形態の構成によれば、係止部51、52、53によって係止されたカセットフレーム28を裏面側から押圧する押圧部を、接触式センサ54によって構成することで、接触式センサ54とは別に押圧部を設ける必要がなく、カセットフレーム装着部41及び血液浄化装置1を簡単な構成にすることができる。
【0050】
また、上記実施形態の構成によれば、係止部51、52、53が、カセットフレーム28の裏面側に接触する接触部51c、52c、53cを有することで、係止突起51b、52b、53bによるカセットフレーム28の係止と、接触部51c、52c、53cによるカセットフレーム28への接触とによって、取外しに支障が出ない程度にカセットフレーム28を軽く保持することができる。これによって、カセットフレーム28が離間フレーム位置P4に位置している状態において、カセットフレーム28が係止部51、52、53から意図せずに脱落してしまうのを防止することができる。なお、接触部51c、52c、53cは、各係止部51、52、53を第1係止部位置P1から第2係止部位置P2に変位させるときに、カセットフレーム28の裏面側に接触して、接触式センサ54からカセットフレーム28を離脱させる役割も担っている。
【0051】
また、上記実施形態の構成によれば、しごき型ポンプ34がオートローディング機能を有することで、カセットフレーム28の装着を容易に行うことができる。
【0052】
また、上記実施形態の構成によれば、操作表示部42によって自己診断操作を受け付けたとき、自己診断動作に加えて、ローディング準備動作を実行する構成であるため、1つの操作で、自己診断動作及びローディング準備動作を実行させることができ、ユーザによる操作の手間を軽減することができる。
【0053】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記に記載した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0054】
例えば、上記実施形態においては、接触式センサ54の押圧力の一部を係止部51、52、53の係止突起51b、52b、53bの向きとは反対方向の力に変換する傾斜面を、押圧受け部97側に設ける構成であったが、当該傾斜面を、接触式センサ54側に設ける構成であってもよい。すなわち、当該傾斜面を接触式センサ54の接触子71の先端部に設ける構成であってもよい。また、当該傾斜面を、押圧受け部97及び接触式センサ54の両方に設ける構成であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、係止部51、52、53を3つ有する構成であったが、これに限るものではない。すなわち、係止部51、52、53を、1つ又は2つのみ有する構成であってもよいし、4つ以上有する構成であってもよい。なお、係止部51、52、53が1つの場合には、係止突起51b、52b、53bの向きを共通化することなく、カセットフレーム28を容易に取り外すことができる旨の効果を奏することができる。
【0056】
また、上記実施形態においては、カセットフレーム28を裏面側から押圧する押圧部を、接触式センサ54で構成したが、これに限るものではない。すなわち、接触式センサ54とは別に、当該押圧部を有する構成であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、血液浄化装置1に本発明を適用したが、他の医療機器(例えば、各種治療装置や各種検査装置)に本発明を適用してもよい。
【0058】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施形態から把握される技術思想について、実施形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0059】
《1》体外循環回路(33)の部品を取り付けて一体のカセットを成すカセットフレーム(28)と、前記カセットフレーム(28)を着脱自在に装着するカセットフレーム装着部(41)と、を備え、前記カセットフレーム装着部(41)は、前記カセットフレーム(28)を表面側から係止する係止部(51、52、53)と、前記係止部(51、52、53)によって係止された前記カセットフレーム(28)を裏面側から押圧する押圧部(54)と、を有し、前記カセットフレーム(28)には、前記係止部(51、52、53)が貫通する係止孔(96)と、前記押圧部(54)からの押圧を受ける押圧受け部(97)と、が形成され、前記押圧部(54)及び前記押圧受け部(97)の一方には、前記押圧部(54)及び前記押圧受け部(97)の他方に接触して、前記押圧部(54)による押圧力の一部を、前記係止部(51、52、53)の係止突起(51b、52b、53b)の向きとは反対方向の力に変換することで、前記カセットフレーム(28)を前記係止突起(51b、52b、53b)の向きとは前記反対方向に移動させる傾斜面(97a)が形成されている、血液浄化装置(1)。
これにより、使用時においてカセットフレームが外れにくい。
《2》前記カセットフレーム装着部(41)は、前記係止部(51、52、53)を、複数備え、前記複数の係止部(51、52、53)は、係止突起(51b、52b、53b)の向きが共通し、前記傾斜面(97a)は、前記押圧部(54)による押圧力の一部を、前記複数の係止部(51、52、53)の係止突起(51b、52b、53b)の向きとは反対方向の力に変換する、《1》に記載の血液浄化装置(1)。
これにより、カセットフレームを、より安定して保持することができる。また、複数の係止部の係止突起の向きを共通化したことで、各係止部からのカセットフレームの取外しを同時に行うことができるため、カセットフレームを容易に取り外すことができる。これにより、カセットフレームの取外しの手間を軽減することができる。
《3》前記カセットフレーム装着部(41)は、前記カセットフレーム(28)を前記押圧部(54)に接触させる第1係止部位置(P1)と、前記カセットフレーム(28)を前記押圧部(54)から離脱させる第2係止部位置(P2)と、の間で前記係止部(51、52、53)を変位させる変位部(55)を、更に備えた、《1》又は《2》に記載の血液浄化装置(1)。
これにより、使用時においてカセットフレームがより外れにくく非使用時においてカセットフレームをより取り外しやすい血液浄化装置を実現することができる。
《4》押圧部(54)は、前記押圧受け部(97)に接触して前記カセットフレーム(28)の装着を検出する接触式センサ(54)によって構成されている、《1》乃至《3》のいずれか1つに記載の血液浄化装置(1)。
これにより、カセットフレーム装着部及び血液浄化装置を簡単な構成にすることができる。
《5》前記係止部(51、52、53)は、前記カセットフレーム(28)の裏面側に接触する接触部(51c、52c、53c)を有する、《1》乃至《4》のいずれか1つに記載の血液浄化装置(1)。
これにより、カセットフレームが係止部から意図せずに脱落してしまうのを防止することができる。
《6》前記カセットフレーム(28)に取り付けられたポンプチューブ(31a)内の流体に圧力を付与するしごき型ポンプ(34)を、更に備え、前記しごき型ポンプ(34)は、所定の回転位置からの駆動によって前記ポンプチューブ(31a)を内部に導入する、《1》乃至《5》のいずれか1つに記載の血液浄化装置(1)。
これにより、カセットフレームの装着を容易に行うことができる。
《7》前記しごき型ポンプ(34)を制御して、前記しごき型ポンプ(34)を診断する自己診断動作と、前記しごき型ポンプ(34)を前記所定の回転位置に回転させるローディング準備動作と、を実行する制御部(43)と、自己診断操作を受け付ける操作部(42)と、を更に備え、前記制御部(43)は、前記操作部(42)によって前記自己診断操作を受け付けたとき、前記自己診断動作に加え、前記ローディング準備動作を実行する、《6》に記載の血液浄化装置(1)。
これにより、ユーザによる操作の手間を軽減することができる。
【符号の説明】
【0060】
1:血液浄化装置、 28:カセットフレーム、 31a:ポンプチューブ、 33:体外循環回路、 34:しごき型ポンプ、 41:カセットフレーム装着部、 42:操作表示部、 43:制御部、 51:右係止部、 51b:係止突起、 51c:接触部、 52、53:左係止部、 52b、53b:係止突起、 52c、53c:接触部、 54:接触式センサ、 55:変位部、 96:係止孔、 97:押圧受け部、 97a:押圧受け面、 P1:第1係止部位置、 P2:第2係止部位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12