(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033647
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】蓄電池設定システム、蓄電池設定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240306BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240306BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240306BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240306BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 170
H02J3/38 110
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137360
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】500395897
【氏名又は名称】株式会社電巧社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB10
5G064DA02
5G064DA03
5G066AA02
5G066AA03
5G066AA04
5G066AA09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JA05
5G066JB03
5G066KB06
5G066KB07
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB03
5G503CA01
5G503CA08
5G503DA04
5G503DA05
5G503DA07
5G503EA05
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】所定の電力需要に対して所定の発電設備に連携する所定の蓄電池を活用して、所定の目的を達成するための当該所定の蓄電池の充放電切替設定を得ることができる充放電切替設定システムを提供する。
【解決手段】サーバ1は、将来の所定期間における所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得部31と、所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得部32と、将来の所定期間における所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得部33と、所定の電力需要の推定情報、所定の発電設備の能力情報、及び所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように将来の所定期間における所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力部34とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電力需要に対応する所定の発電設備に連携する所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する蓄電池設定システムであって、
将来の所定期間における前記所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得手段と、
前記所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得手段と、
前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得手段と、
前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力手段と、
を備える蓄電池設定システム。
【請求項2】
前記充放電切替設定出力手段は、複数の前記所定の発電設備の能力情報、及び、複数の前記所定の発電設備に各々連携する前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における複数の前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する、
請求項1に記載の蓄電池設定システム。
【請求項3】
前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の発電設備に連携可能な複数種類の所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するための前記複数種類の所定の蓄電池から所定の蓄電池を特定する蓄電池特定手段、
をさらに備える請求項1に記載の蓄電池設定システム。
【請求項4】
前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するための最適な前記蓄電池の能力情報を出力する蓄電池最適化情報出力手段、
をさらに備える請求項1に記載の蓄電池設定システム。
【請求項5】
前記所定の電力需要の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するための最適な前記発電設備の能力情報及び最適な前記蓄電池の能力情報を出力する設備最適化情報出力手段、
をさらに備える請求項1に記載の蓄電池設定システム。
【請求項6】
所定の電力需要に対応する所定の発電設備に連携する所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する蓄電池設定方法であって、
将来の所定期間における所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得ステップと、
所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得ステップと、
前記将来の所定期間における所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得ステップと、
前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力ステップと、
を有する蓄電池設定方法。
【請求項7】
所定の電力需要に対応する所定の発電設備に連携する所定の蓄電池の充放電切替設定を出力するコンピュータプログラムであって、
将来の所定期間における所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得ステップと、
所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得ステップと、
前記将来の所定期間における所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得ステップと、
前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池設定システム、蓄電池設定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の生活に電気は欠かせないものとなっているが、現在、その電気のほとんどが化石燃料による火力発電によってまかなわれている。しかしながら、化石燃料から発生する二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化による気候変動に影響を及ぼしているといわれている。そのため、最近では気候変動対策における脱炭素(CO2削減)に向けた取り組みが世界中で活発化し、地球環境に対する環境負荷の小さい発電方法が求められている。
【0003】
その一つとして、二酸化炭素を生まない非化石燃料による発電への切替えが広まっている。非化石燃料による発電としては、例えば、太陽光や風力、水力、地熱、バイオガス等を利用して発電する再生可能エネルギーが挙げられ、自分たちが使う電気を自らまかなう自家消費型の取り組みが電力需要家に注目されている。
【0004】
一方、地震や台風等の自然災害が多発する近年、自然災害によって大規模停電が発生した場合の非常用電源として、蓄電池が注目されている。この蓄電池は、太陽光等で発電した電気を蓄え、夜間や停電時に蓄えた電気を使用可能とする設備である。
【0005】
ここで、電力需要は増加の一途を辿っており、将来的に電力需給の逼迫が極めて深刻な問題になることが予測される。そのため、電力需給の逼迫を効果的に軽減するものとして、太陽光発電装置を保有する電力需要家の、年間のエネルギー収支を予測する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、蓄電池においては、パワーコンディショナ(PCS;Power Conditioning System)によって充放電の設定・制御が行われている。しかしながら、充放電の設定・制御を様々な状況に応じて綿密に行うことは困難であった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所定の目的を達成するために、所定の蓄電池の充放電切替設定を適切に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、所定の電力需要に対応する所定の発電設備に連携する所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する蓄電池設定システムであって、将来の所定期間における前記所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得手段と、前記所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得手段と、前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得手段と、前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力手段と、を備えることを特徴とする蓄電池設定システムである。
【0010】
また、前記充放電切替設定出力手段は、複数の前記所定の発電設備の能力情報、及び、複数の前記所定の発電設備に各々連携する前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における複数の前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力してもよい。
【0011】
また、上記態様の蓄電池設定システムにおいて、前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の発電設備に連携可能な複数種類の所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するための前記複数種類の所定の蓄電池から所定の蓄電池を特定する蓄電池特定手段をさらに備えてもよい。
【0012】
また、前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するための最適な前記蓄電池の能力情報を出力する蓄電池最適化情報出力手段をさらに備えてもよい。
【0013】
また、上記態様の蓄電池設定システムにおいて、前記所定の電力需要の推定情報に基づいて、前記所定の目的を達成するための最適な前記発電設備の能力情報及び最適な前記蓄電池の能力情報を出力する設備最適化情報出力手段をさらに備えてもよい。
【0014】
また、上記蓄電池設定システムに対応する設定方法は、所定の電力需要に対応する所定の発電設備に連携する所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する蓄電池設定方法であって、将来の所定期間における所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得ステップと、所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得ステップと、前記将来の所定期間における所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得ステップと、前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力ステップと、を有する蓄電池設定方法である。
【0015】
また、上記蓄電池設定システムに対応するプログラムは、所定の電力需要に対応する所定の発電設備に連携する所定の蓄電池の充放電切替設定を出力するコンピュータプログラムであって、将来の所定期間における所定の電力需要の推定情報を取得する電力需要情報取得ステップと、所定の発電設備の能力情報を取得する発電電力情報取得ステップと、前記将来の所定期間における所定の蓄電池の状態の推定情報を取得する蓄電池情報取得ステップと、前記所定の電力需要の推定情報、前記所定の発電設備の能力情報、及び、前記所定の蓄電池の状態の推定情報に基づいて、所定の目的を達成するように前記将来の所定期間における前記所定の蓄電池の充放電切替設定を出力する充放電切替設定出力ステップと、をコンピュータによって実行させるコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の目的を達成するために、所定の蓄電池の充放電切替設定を適切に行う技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る蓄電池設定システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る蓄電池設定システムの構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るサーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】蓄電池設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】充放電切替設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】充放電切替設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】充放電切替設定処理の電力量の時間変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<概要>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る蓄電池設定システムの概要を示す図である。
図1の例では、自家消費に取り組むオンサイト型の電力需要家PC1やオフサイト型の電力需要家PC2が、所定の発電設備(発電所)PPで発電された電力を当該発電設備PPに連携する蓄電池SBを活用して、後述の所定の目的を達成している。
【0019】
所定の発電設備PPは、発電した電力を所定の電力需要者(上述の電力需要家等)へ供給する設備であって、例えば、太陽光発電設備、風力発電設備、水力発電設備、バイオマス発電設備、地熱発電設備等の再生可能エネルギー発電設備が挙げられる。本実施形態において、発電設備PPは、太陽光発電設備である例について説明する。
【0020】
太陽光発電設備は、太陽光を受けて発電を行う発電所である。この太陽光発電設備は、太陽光を直流電流(電力)に変換する太陽光パネル(太陽光モジュール)と、パワーコンディショナ2(PCS通信装置を含むとよい)とを含む。太陽光パネルは、太陽光を受けることにより直流の電力を発生し、この電力をパワーコンディショナ2へ入力する。
【0021】
パワーコンディショナ2は、太陽光パネルからの直流電力を交流電力に変換するインバータを含み、その交流電力のレベルを調整する。そして、パワーコンディショナ2は、電力会社から電気を買電したり、太陽光発電で余った電気を余剰電力として売電したりする際に、電力系統と発電設備PPとを連携させるための機能を有する。本実施形態において、パワーコンディショナ2は、太陽光発電を制御する機能と蓄電池SBを制御する機能とが一体化されたハイブリッド型である。ゆえに、パワーコンディショナ2は、発電設備PPと蓄電池SBの双方を制御し、変換された交流電流を蓄電池SBへの充電のために再度直流電流へ変換する。さらに、電力需要者が所定の目的を達成するために効率よく電力を利用できるように、パワーコンディショナ2は、蓄電池SBの充放電切替設定等を行う。
【0022】
また、パワーコンディショナ2は、インターネット等の所定のネットワークNに接続される、モデムやONU又はルータといった通信装置を備えている。また、パワーコンディショナ2は、通信装置を介して接続されるサーバ1からの指示に基づいて充放電切替設定を行うように蓄電池SBを制御する。また、パワーコンディショナ2は、気温計や日射計等の気象情報計測機器を備えていてもよい。
【0023】
なお、上述の発電設備PPは、太陽光の他、風力や水力等の再生可能エネルギーを分散型エネルギーとして利用し、数多くの分散型エネルギーをまとめて制御して、恰も一つの発電設備のように機能させるものであってもよい。さらに、発電設備PPには、電力系統PSから充電を行うと共に、所定の条件で電力系統PSに対して放電を行う蓄電池SBだけの設備を含めるものとしてもよい。
【0024】
所定の目的としては、例えば、所定の電力需要に対する所定の発電設備による発電電力の自家消費を最大化することや、所定の発電設備で発電された電力を売電する際の価格に基づいて実質的な収益を最大化すること等が挙げられる。
電力需要家PC1であれば、例えば、送電網や配電網といった電力系統PSや電力ネットワークPNを利用して電力の売電・買電を行いつつ、自家消費率を高める(最大化する)ことを目的とすることが考えられる。
電力需要家PC2であれば、例えば、送電網や配電網といった電力系統PSや電力ネットワークPNを利用して電力の売電・買電を行う際の売電による収益を最大化することを目的とすることが考えられる。
【0025】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る蓄電池設定システムのシステム構成を示す図である。本実施形態に係る蓄電池設定システムは、サーバ1と、パワーコンディショナ2と、発電設備管理装置3とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続して構成される。
【0026】
サーバ1は、蓄電池SBの充放電切替設定を出力する蓄電池設定装置であって、演算処理機能や、通信機能を有する。このサーバ1は、パワーコンディショナ2と、発電設備管理装置3と、にネットワークを介して通信可能に接続されている。このようなサーバ1は、例えば、サーバ装置や、パーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。
【0027】
パワーコンディショナ2は、直流を交流に変換するインバータを含み、上述のように、サーバ1と、発電設備管理装置3とに対して、ネットワークを介して通信可能に接続されている。その他、電力会社から買電や逆に太陽光発電で余った電気を余剰電力として売電したりする際に、電力系統と連携させるための系統連系保護機能を有する。このようなパワーコンディショナ2は、前述のモデム等の通信機器インバータ、回路基板、冷却用のファン等の電子部品を含んでいてもよい。
【0028】
発電設備管理装置3は、発電設備PPを管理する発電設備管理会社PMに設置されたコンピュータであり、演算処理機能、通信機能を有する装置である。この発電設備管理装置3は、蓄電池設定処理を実行するために必要な情報を記憶する記憶部を備える。記憶部として、発電設備管理装置3は、例えば、昨年一年間の実績に基づく送電端における需要電力量、直近(例えば、30分前)の実績値(需要電力量)、天気予報情報、といった所定の電力需要の推定情報となり得る情報を記憶する。
このような発電設備管理装置3は、例えば、サーバ装置や、パーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。
【0029】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0030】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。すなわち、CPU11は、プログラムに従って各種の処理を実行する、サーバ1全体の動作を制御するプロセッサである。また、プログラムは、例えば、サーバ1の各部を動作させるためのオペレーティングシステムやファームウェア、或いは、後述の機能ブロックを実現するためのアプリケーションソフトウェアといったプログラムである。
【0031】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0032】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス、マイク等で構成され、ユーザUの指示操作を受け付け、受け付けた指示操作に応じて各種情報を入力する。なお、例えば、タッチパネルにより、出力部16と入力部17とを一体にして実現してもよい。
【0033】
記憶部18は、サーバ1が情報処理を実行するために必要な各種データを記憶するものであって、例えば、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0034】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0035】
なお、サーバ1は単体で動作する装置に限らず、ネットワークNを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、一般にクラウドサーバ又はクラウドストレージと称される、インターネット等のネットワークNに接続された一つ以上のサーバが含まれ得る。
なお、パワーコンディショナ2、発電設備管理装置3のハードウェア構成は、サーバ1のハードウェア構成と同様のため、説明を省略する。
【0036】
<機能構成>
図4は、本実施形態に係るサーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ1のCPU11においては、動作する際に、電力需要情報取得部31、発電電力情報取得部32、蓄電池情報取得部33、充放電切替設定出力部34、蓄電池特定部35、蓄電池最適化情報出力部36、設備最適化情報出力部37等が機能する。
すなわち、本実施形態に係るサーバ1は、補助記憶装置(例えば、ROM)に記憶された各種のプログラム(OS、アプリケーション等)が主記憶装置(RAM)にロードされ、CPU11により実行されることによって、電力需要情報取得部31、発電電力情報取得部32、蓄電池情報取得部33、充放電切替設定出力部34、蓄電池特定部35、蓄電池最適化情報出力部36、設備最適化情報出力部37を含む装置として機能する。
【0037】
電力需要情報取得部31は、将来の所定期間における所定の電力需要の推定情報である電力需要情報を取得する。
将来の所定期間とは、これからどれくらいの電力需要があるかを推定する際の単位となる期間のことであり、例えば、30分とすることができる。
電力需要情報とは、将来の所定期間において需要が見込まれる電力量の推定値である。例えば、
図8には、12:00から12:30までの30分間において需要が見込まれる電力量の推定値は、約12kWh(需要_平均)である例が示されている。
なお、電力需要情報は、推定値に限定されず、例えば、電力需要情報取得部31は、推定に用いられるパラメータを取得してもよい。この場合、所定の機能部によって、パラメータから推定値が導出されるとよい。パラメータの例としては、上述した昨年一年間の実績に基づく送電端における需要電力量や、直近(例えば、30分前)の需要電力量実績値、その日の天候(日射量)、気温、湿度、又は天気予報等を挙げることができる。天気予報は、AIが予測した天候、気温、湿度を用いられてもよい。
なお、電力需要情報取得部31は、電力需要情報として、時間ごとの売電価格(売電単価)を取得してもよい。
【0038】
このような電力需要情報は、例えば、パワーコンディショナ2や発電設備管理装置3から取得することができる。また、この電力需要情報には、電力需要家の在宅(勤務)スケジュールや、イベント情報を含めるものとしてもよい。この電力需要情報は、例えば、パワーコンディショナ2の制御を指示操作するコントロールパネルやリモコン、又は電力需要家が利用するパーソナルコンピュータや、タブレット、スマートフォン等の電子機器を用いて入力され、パワーコンディショナ2を介してサーバ1へ送信される。
【0039】
発電電力情報取得部32は、所定の発電設備PPの能力情報を取得する。
発電設備PPの能力情報とは、所定の発電設備PPが出力することが出来る電力量の最大値や発電設備の諸元に関する能力情報をいう。例えば、太陽光発電設備の場合、PV(Photovoltaic)パネル容量や数、パワーコンディショナ2の種類や台数、定格出力、発電力量リミット、DCDCコンバータ定格容量等を挙げることができる。
このような発電設備PPの能力情報は、パワーコンディショナ2や発電設備管理装置3から取得される。
【0040】
蓄電池情報取得部33は、将来の所定期間における所定の蓄電池SBの状態の推定情報である蓄電池情報を取得する。
蓄電池情報とは、所定の蓄電池SBにおいて将来の所定期間にどれくらいの充電や放電が可能かを推定することに役立つ様々な情報のことであり、例えば、蓄電池容量や、蓄電池残量、最大充放電出力等を挙げることができる。
このような蓄電池情報は、パワーコンディショナ2や発電設備管理装置3から取得される。
【0041】
充放電切替設定出力部34は、上述した電力需要情報、発電設備PPの能力情報、及び蓄電池情報に基づいて、所定の目的を達成するように将来の所定期間における所定の蓄電池SBの充放電切替設定を出力する。パワーコンディショナ2は、例えば、充放電切替設定に応じて、充電開始又は放電開始もしくは充放電なしの何れかに動作を変更するものとする。
なお、本実施形態では、蓄電池SBに充電を行う場合、発電設備PPから充電する例について説明するが、これに限定されず、電力系統PSから蓄電池SBに充電してもよい。
なお、充放電切替設定は、所定の電力需要に対応した、所定の発電設備PPに連携する所定の蓄電池SBの充放電切替設定と捉えることもできる。
例えば、大きな需要が予想される日には、発電設備PPの能力情報(PV電力)が大きいエリアにある蓄電池SBの充電量を必要に応じて大きくする設定を行う。
これにより、電力需要家が複数の発電設備PP及びこれに連携する蓄電池SBを保有して自家消費する場合において、例えば、電力需要家の利益を最大化するという所定の目的を達成するための当該所定の蓄電池SBの充放電切替設定を得ることができる。
【0042】
なお、複数の蓄電池SBを組合せて使用する場合、一つの蓄電池SBとして同期してパワーコンディショナ2により制御するが、それぞれ個別に制御することもできる。
例えば、蓄電池SBが5台ある場合、需要に対して、蓄電池が新しいもの(例えば、製造日が新しい蓄電池;劣化が少ない蓄電池)を優先して、充放電する蓄電池を割り当てていく設定を行う。これにより、何れかの蓄電池SBが故障した場合であっても、所定の目的を効率よく達成することができる。
【0043】
蓄電池特定部35は、所定の電力需要情報、所定の発電設備PPの能力情報、及び所定の発電設備PPに連携可能な複数種類の所定の蓄電池SBの蓄電池情報に基づいて、複数種類の所定の蓄電池SBから所定の目的を達成するための所定の蓄電池SBを特定する。
例えば、蓄電池SBが10台ある場合、需要に対して、蓄電池残量が多いものから順に、放電する蓄電池を割り当てていく設定を行う。つまり、電力需要情報に対して、発電設備PPの発電量が不足する場合に、蓄電池残量が多いものから順に、電力需要を満たすまで、蓄電池SBを割り当てる。
これにより、電力需要家が選択可能な複数種類の所定の蓄電池について、所定の目的を達成するための蓄電池を特定することができる。
【0044】
蓄電池最適化情報出力部36は、所定の電力需要情報、所定の発電設備PPの能力情報、及び所定の蓄電池SBの蓄電池情報に基づいて、所定の目的を達成するための最適な蓄電池SBの能力情報を出力する。
蓄電池SBの能力情報とは、蓄電池容量や、最大充放電出力により定まる能力情報をいう。
例えば、電力需要が200kWh、所定の発電設備PPの能力情報が100kWh、既存の蓄電池SBの蓄電池容量(蓄電池情報;推定値)が50kWhの場合に、蓄電池最適化情報出力部36は、上述の電力需要を満たすように最適な蓄電池SBの能力情報を出力する。具体的には、蓄電池最適化情報出力部36は、最適な蓄電池SBの能力情報として50kWh(=200-100-50)を出力する。
また、例えば、最大需要電力(デマンド値)が300kW、所定の発電設備PPの能力情報(定格出力)が100kW、既存の蓄電池SBの最大充放電出力(蓄電池情報)が50kWの場合に、蓄電池最適化情報出力部36は、上述の最大需要電力を満たすように最適な蓄電池SBの能力情報を出力する。具体的には、蓄電池最適化情報出力部36は、最適な蓄電池SBの能力情報として150kW(=300-100-50)を出力する。
ここで、最大需要電力は、例えば、所定期間の中で使用電力の最大値が、当該所定期間の中の最大需要電力となる。
これにより、電力需要家は、どのような蓄電池を準備すればよいかを把握できるので、準備すべき蓄電池SBに伴って準備するパワーコンディショナ2を把握できる。
【0045】
設備最適化情報出力部37は、所定の電力需要情報に基づいて、所定の目的を達成するための最適な発電設備PPの能力情報を出力する。
最適な発電設備PPの能力情報としては、例えば、PVパネル(ソーラーパネル)の容量や数、パワーコンディショナ2の種類や台数、パワーコンディショナ2の定格出力、パワーコンディショナ2の発電力量リミット、パワーコンディショナ2のDCDCコンバータ定格容量、蓄電池SBの容量選定等が挙げられる。
【0046】
例えば、発電所を増強・追加する場合に、所定の電力需要に対して、現在の最大需要電力から『50kWのピークカット』を行うために、削減分の50kWを補うために、新たに定格出力(システム出力)が50kWである発電設備PPを設ける例に説明する。
この場合、設備最適化情報出力部37は、最適なパワーコンディショナ2の容量として、50kWを選定する。
また、設備最適化情報出力部37は、上述のシステム出力に応じた、PVパネルの容量選定、蓄電池SBの容量選定を行う。具体的には、PVパネルの容量、および蓄電池SBの容量を均等に割り当てる場合には、設備最適化情報出力部37は、最適な蓄電池SBの容量(最大充放電出力)として25kW、最適なPVパネルの容量(最大出力)として25kWを選定する。
【0047】
また、例えば、発電所を増強・追加する場合に、所定の電力需要に対して、現在の最大需要電力から『50kWhの電力需要削減』を行うために、削減分の50kWhを補うために、新たに定格出力(システム出力)が50kWhである発電設備PPを設ける例に説明する。
この場合、設備最適化情報出力部37は、最適なパワーコンディショナ2の容量として、50kWを選定する。
また、設備最適化情報出力部37は、上述のシステム出力に応じた、PVパネルの容量選定、蓄電池SBの容量選定を行う。具体的には、PVパネルの容量、および蓄電池SBの容量を均等に割り当てる場合には、設備最適化情報出力部37は、最適な蓄電池SBの容量(最大充放電出力)として25kWh、最適なPVパネルの容量(最大出力)として25kWhを選定する。
これにより、電力需要家は、どのような発電設備と蓄電池を準備すれば最適であるかと共に、これに伴って準備するパワーコンディショナ2の種類や台数等を把握できる。
【0048】
また、
図4に示すサーバ1の記憶部18においては、電力需要情報DB41、発電電力情報DB42、蓄電池情報DB43が設けられている。
電力需要情報DB41は、電力需要を推定するための電力需要情報を記憶する。
発電電力情報DB42は、発電設備PPの能力や発電最適化情報に関する情報を記憶する。
蓄電池情報DB43は、蓄電池SBの能力、状態や蓄電池最適化情報に関する蓄電池情報を記憶する。
この電力需要情報DB41、発電電力情報DB42、蓄電池情報DB43は、必ずしもサーバ1の記憶部18に設けられる必要はなく、サーバ1とネットワークNを介して通信可能な装置であって、例えば、クラウドサーバ等の外部記憶装置に記憶させるものとしてもよい。
【0049】
<処理内容>
≪蓄電池設定処理≫
図5は、本実施形態に係る蓄電池設定処理の一例を示す図である。本実施形態では、所定の発電電力の自家消費を最大化することや、所定の電力を売電する際の価格に基づいて実質的な収益を最大化するために、将来の所定期間における蓄電池SBの充放電切替設定情報を出力する場合を例に説明する。
【0050】
ステップS11において、電力需要情報取得部31は、電力需要情報を取得する。
【0051】
ステップS12において、発電電力情報取得部32は、所定の発電設備PPの能力情報を取得する。
【0052】
ステップS13において、蓄電池情報取得部33は、蓄電池情報を取得する。
【0053】
ステップS14において、充放電切替設定出力部34は、充放電切替設定処理を行う。充放電切替設定処理の詳細は後述する。
【0054】
ステップS15において、充放電切替設定出力部34は、所定の蓄電池SBの充放電切替設定を出力する。
【0055】
ステップS16において、蓄電池特定部35は、所定の発電設備PPに連携可能な複数種類の蓄電池SBの中から所定の目的を達成するための所定の蓄電池SBを特定する。具体的には、電力需要家の利益を最大にするための、蓄電池容量や蓄電池残量に従った蓄電池種類を特定する。
【0056】
ステップS17において、蓄電池最適化情報出力部36は、取得した電力需要情報と、所定の発電設備PPの能力情報と、蓄電池情報とに基づいて、所定の目的を達成するための最適な蓄電池SBの能力情報を出力する。具体的な処理内容は上述の通りである。
【0057】
ステップS18において、設備最適化情報出力部37は、所定の電力需要情報に基づいて、所定の目的を達成するための最適な発電設備PPの能力情報及び最適な蓄電池SBの能力情報を出力する。具体的な処理内容は上述の通りである。
【0058】
以上がサーバ1での基本的な蓄電池設定処理の流れとなる。つまり、サーバ1は、パワーコンディショナ2が持っている充放電の切替設定の機能をそのまま活かして、所定の目的を達成するための蓄電池SBの最大出力設定を行う。これにより、例えば、売電単価が低い場合に、自家消費用の発電電力の自家消費率を高めて効率化して使用するための充放電切替設定を出力することができる。
【0059】
≪蓄電池切替設定処理(S14)≫
次に、充放電切替設定出力部34における蓄電池SBの充放電切替設定を出力する処理の流れについて説明する。
図6は、サーバ1が出力する蓄電池SBの充放電切替設定処理の一例を示す図である。
【0060】
ステップS21において、充放電切替設定出力部34は、日付単位のループ処理を開始する。
【0061】
ステップS22において、充放電切替設定出力部34は、該当月のPCS設定出力Pst(所定の発電設備PPの能力情報)を取得する。
PCS設定出力Pstは、PCS設定出力であって、PCSの定格出力Pnに対してその出力を制限した設定値(所定の発電設備PPの能力情報)である。
【0062】
ステップS23において、充放電切替設定出力部34は、時間単位(例えば30分毎)のループ処理を開始する。
【0063】
ステップS24において、充放電切替設定出力部34は、超過分電量Povが0より大きく、かつ、充電量余裕CY(蓄電池情報)が0より大きいか否か判定する。超過分電量Povが0より大きく、かつ、充電量余裕CYが0より大きい場合(S24-YES)はステップS25(充電モード処理)に進み、そうでない場合(S24-NO)はステップS26に進む。ステップS25の詳細は後述する。
【0064】
超過分電量Povは、ソーラーパネルの発電量PvとPCS設定出力Pstの差分であって、以下の式(1)で表される。
発電量Pvは、ソーラーパネルの発電量(所定の発電設備PPの能力情報)である。
ηpcは、PCSの効率を表す係数である。
Pov=Pv-Pst/ηpc・・・(1)
【0065】
充電量余裕CYは、蓄電池SBに充電可能な容量であって、例えば、蓄電池容量から蓄電池残量を減じた値である。
【0066】
ステップS26において、充放電切替設定出力部34は、放電量余裕HY(蓄電池情報)が0より大きく、かつ、充電残量(蓄電量Ct;蓄電池情報)が0より大きいか否か判定する。放電量余裕HYが0より大きく、かつ、充電残量が0より大きい場合(S26-YES)はステップS27(放電モード処理)に進み、そうでない場合(S26-NO)はステップS28に進む。ステップS27の詳細は後述する。
【0067】
放電量余裕HYは、発電量PvおよびPCS設定出力Pst(定格出力制限)に基づいて、蓄電池SBからパワーコンディショナ2へ放電できる電量である。例えば、PCS設定出力Pstが10kWh、ソーラーパネルの発電量Pvが8kWhの場合に、放電量余裕HYは2kWh(=10-8)である。
【0068】
ステップS28において、充放電切替設定出力部34は、将来の所定期間における充放電の切替設定を、充放電をしない設定にする。これにより、充放電はされない予定のために、蓄電量Ctに変動はなく、PCS入力Pmは、設定時点のソーラーパネルの発電量Pvとなる。
【0069】
ステップS29において、充放電切替設定出力部34は、PCS入力Pm(例えば、システム出力)が、所定期間毎に設定されるPCS設定出力Pst(≦PCS定格出力Pn)をオーバーしている場合(S29-YES)はステップS30に進み、そうでない場合(S29-NO)はステップS31に進む。
【0070】
ステップS30では、充放電切替設定出力部34は、以下の式(2)のとおり、PCS入力PmをPCS定格出力に修正する。
Pm=Pst/ηpc×0.5・・・(2)
ここで、ηpcは、パワーコンディショナ2の効率を表す係数である。また、PCS設定出力Pstについては、60分単位の電力を表すので、0.5を乗ずることにより、本実施形態における所定の期間である30分単位の電力に変換している。
【0071】
ステップS31において、充放電切替設定出力部34は、前述の充放電量ΔC及びPCS入力Pmによるパワーコンディショナ2の発電量を記録する。
【0072】
ステップS32において、充放電切替設定出力部34は、蓄電池残量の情報を、以下の式(3)のように更新する。ここで、ΔCは、充放電量で、充電された場合は+、放電された場合は-である。また、C(t-1)は、時刻t-1における蓄電量である。
Ct=C(t-1)+ΔC・・・(3)
【0073】
ステップS33において、充放電切替設定出力部34は、該当日の時間区分をすべて処理したか否か判定する。該当日の時間区分をすべて処理している場合(S33-YES)はステップS34に進み、時間単位のループ処理を終了し、そうでない場合(S33-NO)はステップS23に戻る。
【0074】
ステップS35において、充放電切替設定出力部34は、1年分の日付をすべて処理したか否か判定する。1年分の日づけをすべて処理している場合(S35-YES)はステップS36に進み、日付単位のループ処理を終了してサーバ1での一連の動作は終了し(END)そうでない場合(S35-NO)は、ステップS21に戻る。
【0075】
次に、充放電切替設定出力部34における蓄電池SBの充放電切替設定を出力する処理の詳細な流れについて説明する。
図7(A)は、
図6におけるステップS25(充電モード処理)の詳細を示し、
図7(B)は、
図6におけるステップS27(放電モード処理)の詳細を示したものである。
【0076】
≪充電モード処理(S25)≫
先ず、
図7(A)について説明する。
ステップS251において、充放電切替設定出力部34は、超過分電量Povに対し充電量余裕CYが十分(例えば、CY>Pov×n。nは自然数。)、かつ、DCDC定格DCnを超えていないか否か判定する。超過分電量Povに対し充電量余裕CYが十分、かつ、DCDC定格DCnを超えていない場合(S251-YES)はステップS252に進み、そうでない場合(S251-NO)はステップS253に進む。
【0077】
DCDC定格DCnは、蓄電池SBにおける充放電最大出力(蓄電池情報)であって、例えば、単位はkWである。
【0078】
ステップS252において、充放電切替設定出力部34は、超過分電量Povを充電する設定の処理を行い、一連の充電モード処理を終了する(END)。
蓄電量Ctは、このステップS252では、太陽光発電又は系統電力により所定の蓄電池SBに蓄電された電力量であって、以下の式(4)で表される。ここで、ηdcは直流電流充電の際の定数を示す。
蓄電量Ct=C(t-1)+Pov×ηdc・・・(4)
ここで、式(4)は、余剰分電力(超過分電量Pov)をすべて充電するケースである。
また、PCS入力Pmは、太陽光パネルの発電量Pvと蓄電池電量の合計である。ここで、ステップS252では、蓄電池SBからは放電せず(蓄電池電量=0)、かつ発電量Pvのうち、超過分電量Povが蓄電池SBに充電されるため、PCS入力Pmは、以下の式(5)で表される。なお、式(5)は、式(4)の結果を受けて求めた超過分電量Povにより、PCS入力が決まることを意味する。
Pm=Pv-Pov・・・(5)
【0079】
ステップS253において、充放電切替設定出力部34は、DCDC定格DCnに対し超過分電量Povが定格を超えており、かつ、充電量余裕CYが十分か否か判定する。DCDC定格DCnに対し超過分電量Povがこの定格を超えており、かつ、充電量余裕CYが十分(例えば、CY>0)である場合(S253-YES)はステップS254に進み、そうでない場合(S253-NO)、例えば蓄電池容量の余裕が不十分である場合はステップS255に進む。
ここで、定格は、単位時間当たりの蓄電池SBにおける定格出力(kWh)である。
【0080】
ステップS254において、充放電切替設定出力部34は、DCDC定格DCn分を蓄電池SBに充電する設定とする。
蓄電量Ctは、このステップS254では上述に加えて、以下の式(6)で表される。
Ct=C(t-1)+DCn×0.5・・・(6)
【0081】
また、PCS入力Pmは、このステップS254でもPCS設定出力Pstであって、以下の式(7)で表される。
Pm=Pst/ηdc・・・(7)
【0082】
ステップS255において、充放電切替設定出力部34は、蓄電池の空き容量に応じて、その空き容量を満たすように充電する設定の処理を行い、一連の充電モード処理を終了する(END)。
【0083】
≪放電モード処理(S27)≫
次に、
図7(B)について説明する。
ステップS271において、充放電切替設定出力部34は、蓄電池残量に対し放電量余裕HYが十分、かつ、DCDC定格DCnを超えていないか否か判定する処理を行う。蓄電池残量に対し放電量余裕HYが十分、かつ、DCDC定格DCnを超えていない場合(S271-YES)はステップS272に進み、そうでない場合(S271-NO)は、ステップS273に進む。
【0084】
ステップS272において、充放電切替設定出力部34は、蓄電池電量を放電する設定の処理を行い、一連の放電モード処理を終了する(END)。
蓄電量Ctは、このステップS272では、すべて放電するので以下の式(8)で表される。
Ct=0・・・(8)
また、PCS入力Pmは、太陽光パネルの発電量Pvと蓄電池放電量の合計であって、以下の式(9)で表される。
PCS入力Pm=Pv+C(t-1)×ηdc・・・(9)
【0085】
ステップS273において、充放電切替設定出力部34は、DCDC定格DCnに対し蓄電池残量が定格を超えており、かつ、放電量余裕HYが十分か否か判定する。DCDC定格DCnに対し蓄電池残量が定格を超えており、かつ、放電量余裕HYが十分である場合(S273-YES)はステップS274に進み、そうでない場合(S273-NO)はステップS275に進む。
【0086】
ステップS274において、充放電切替設定出力部34は、DCDC定格DCn分を放電する設定の処理を行い、一連の放電モード処理を終了する(END)。
蓄電量Ctは、このステップS274では、以下の式(10)で表される。
Ct=C(t-1)-DCn×0.5/ηdc・・・(10)
また、PCS入力Pmは、太陽光パネルの発電量Pvと蓄電池電量の合計であって、以下の式(11)で表される。
Pm=Pv+DCn×0.5・・・(11)
蓄電量Ctは、このステップS275では上述に加えて、以下の式(12)で表される。
Ct=C(t-1)-HY/ηdc・・・(12)
【0087】
ステップS275において、充放電切替設定出力部34は、放電余裕分のみ放電する設定の処理を行い、一連の充電モード処理を終了する(END)。
ここで、PCS入力Pmは、ステップS275では、太陽光パネルの発電量Pvと蓄電池放電量の合計であって、以下の式(13)で表される。
PCS入力Pm=Pv+HY・・・(13)
【0088】
以上のように、本実施形態では、パワーコンディショナ2が備えている充電モード・放電モード・何もしない、といった充放電の切替設定機能をそのまま活かしつつ、所定の目的を達成するように発電設備PPと蓄電池SBを制御し、パワーコンディショナ2の最大出力電力量の設定をする。つまり、発電設備PPと蓄電池SBを共に制御するハイブリッド型のパワーコンディショナ2だけでは、きめ細やかな充放電の切替設定を自動で行うことは難しいが、本実施形態のように、電力需要情報と充電量余裕CY(蓄電池情報)と蓄電池情報とに基づいて、将来の所定期間における電力需要と発電設備PPの発電能力と蓄電池SBの状態をシミュレーションする。これにより、所定の目的を達成するように将来の所定期間における所定の蓄電池SBの充放電切替設定を行うことができるものとなる。
【0089】
充放電切替設定出力部34は、所定の目的を達成するために、例えば、天気が良く大きな発電が見込める場合は、発電設備PPから蓄電池SBへゆっくり充電し、天気は悪く十分な発電が見込めない場合は、発電設備PPから蓄電池SBへ早めに充電する、といった蓄電池SBの充放電切替設定を出力する。また、充放電切替設定出力部34は、所定の目的を達成するために、例えば、発電の買取価格が高いときに蓄電池SBへは充電せずに電力系統PSへ送電(放電)し、買取価格が安いときに蓄電池SBへ充電する、といった蓄電池SBの充放電切替設定を出力する。
このようにして、上述した、電力需要情報と、発電設備の能力情報と、蓄電池情報とから、充放電切替設定が出力される。
以上がサーバ1での基本的な蓄電池切替設定処理の流れとなる。
【0090】
<表示例>
図8は、本実施形態に係る蓄電池設定処理の出力結果を電力需要の推定値等のグラフ及び表で表した図である。
図8の表中には、月ごとの電力需要パターンとして、パターン1からパターン3における出力値が示されている。これらの設定パターンは季節(春夏秋冬)に応じた電力需要の予測パターンであって、パターン1は夏、パターン2は冬、パターン3は春秋を表す。
次に、需要(送電端)電力量の平均値と、PVパネルの年間、3月から8月の間、9月から2月の間それぞれの平均電力量出力値が示されている。さらに、PCS定格出力の30分ごと値(kWh)が示されている。
これらの値の一日の30分ごとでの予測がされ、この値を基に、横軸を時間、縦軸を電力量(kWh)として、上側のグラフを描画している。なお、図中で表中のデータは、3時間ごとの値を代表値として記載している。
【0091】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、所定の発電設備PPにそれぞれ連携する複数の蓄電池SBがある場合でも、充電モード・放電モード・何もしない、といったパワーコンディショナ2が備える充放電切替設定機能を生かしつつ、所定の目的を達成するための蓄電池SBのきめ細かな充放電切替設定を自動化して行うことができる。
【0092】
また、所定の発電設備PPに連携可能な複数種類の蓄電池SBがある場合、所定の目的を達成するために、どの蓄電池SBを選べばよいのかがわかる。さらに、所定の目的を達成するために、現在の電力需要と発電設備PPの能力から、どのような蓄電池SBを選べばよいのか、又は現在の電力需要から、どの程度の発電設備PPにどのような蓄電池SBを組合せればよいのかといった参考情報を得ることもできる。
また、
図8に示すようなグラフが出力されることにより、電力需要家は、季節毎に一日のPVパネルの平均電力量出力値(kWh)の推移を視覚的に把握することができる。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【0094】
(その他)
また、例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実装させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるかは、特に上述の例に限定されない。
【0095】
また、機能ブロックの存在場所も、
図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。
また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組合せで構成してもよい。
【0096】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば、サーバの他、汎用のスマートフォンや、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0097】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0098】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0099】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、上記実施形態と変形例の各構成を組合せることも可能である。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1:サーバ 2:パワーコンディショナ 3:発電設備管理装置
11:CPU 18:記憶部 19:通信部
31:電力需要情報取得部 32:発電電力情報取得部 33:蓄電池情報取得部
34:充放電切替設定出力部 35:蓄電池特定部 36:蓄電池最適化情報出力部 37:設備最適化情報出力部 41:電力需要情報DB
42:発電電力情報DB 43:蓄電池情報DB