(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033649
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20240306BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E04H6/18 610
E04H6/42 H
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137364
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 将之
(57)【要約】
【課題】トレーが格納部内で移動されていても、継続して車両の蓄電池に給電することができる機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、給電される車両Mを載置する受電部60を有するトレー4であって、トレー4は、車両Mに給電するためのバッテリー70を搭載し、受電部60と電気的に接続され、車両Mは、バッテリー70からの電力を、充電ケーブル48を介して車両Mに搭載される蓄電池に充電しながら、トレー4が移動可能とされる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電される車両を載置する受電部を有するトレーであって、前記トレーは、前記車両に給電するためのバッテリーを搭載し、前記受電部と電気的に接続される、機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項2】
前記トレーは、平坦な上面を有する、請求項1に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項3】
前記トレーは、前記トレーの上面の側で起倒可能に設置される車両給電装置を有し、前記バッテリーは、前記車両給電装置に内蔵される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項4】
前記車両給電装置は、前記トレーにおける前記車両の移動方向に交差する方向に起倒され、前記車両給電装置が前記トレーの収納部に倒伏された状態で前記車両の車路の一部となる、請求項3に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項5】
前記バッテリーは、前記トレーの上面の側であって、載置される前記車両と干渉しない位置に配置される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項6】
前記バッテリーは、前記トレーの下面の側であって、前記トレーを走行させる車輪の下面より上方に配置される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項7】
前記トレーは、前記トレーの一方の両端部に立ち上がり部を有し、前記バッテリーは、前記立ち上がり部の少なくとも一方の内面に配置される、請求項1に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【請求項8】
前記トレーは、前記トレーの前記立ち上がり部の上面の側で起立して設置される車両給電装置を有する、請求項7に記載の機械式駐車装置のバッテリー搭載トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の駐車空間と電源装置とを持つ駐車装置において車両を搭載するために使用され充電ケーブルで電力を給電される車両を搭載可能であり少なくとも駐車空間に置かれたときに電源装置から電力を給電されるパレットであって、上から見て略長方形の形状を持つ板構造体であり左右1対の長辺に沿って立ち上がる左右1対の立ち上がり部と左右1対の該立ち上がり部の間に並列し車両の左右の転動するタイヤを案内する左右1対の案内面とを設けられるパレット主構造体と、前記充電ケーブルに電気的に接合できる車両側中継端子と、前記車両側中継端子を支持する支持機構と、電源装置から給電された電力を前記車両側中継端子へ中継する中継機器と、を備え、前記パレット主構造体が前記立ち上がり部の前記案内面の側に向く側面に開口を設けられ、前記支持機構が前記車両側中継端子を前記開口を通して充電ケーブルと電気的に脱着可能になる様に前記立ち上がり部に格納する、ことを特徴とするパレットが記載されている。
【0003】
特許文献2には、走行用の電力を蓄える蓄電池を有する車両を積載可能なパレット、前記パレットを支持する支持体、及び前記パレットを前記支持体に対して移動させる移動手段を備えた駐車設備に設けられ、前記パレット及び前記支持体のうち何れか一方に固定され、第1の充電電流供給用接点を有する第1の接点ユニットと、前記パレット及び前記支持体のうち何れか他方に固定され、第2の充電電流供給用接点を有する第2の接点ユニットと、前記パレットが前記第1及び第2の充電電流供給用接点が互いに接触する充電可能位置にあるとき、前記第1及び第2の充電電流供給用接点を介して前記車両に前記蓄電池の充電のための充電電流を供給することが可能な充電手段と、前記車両に前記充電電流を低減させる充電電流低減手段とを備え、前記第1及び第2の接点ユニットは、前記充電可能位置にある前記パレットが前記第1及び第2の充電電流供給用接点が非接触となる充電不能位置に向かって移動する際、前記充電不能位置への移動完了前に互いの接触状態が変化する前記第1の接点ユニット側の第1の先行動作接点及び前記第2の接点ユニット側の第2の先行動作接点をさらに有し、前記充電電流低減手段は、前記充電可能位置にある前記パレットが前記充電不能位置に向かって移動する際において、前記第1の先行動作接点と前記第2の先行動作接点との接触状態が変化したとき、前記車両に前記充電電流を低減させる、車両用充電システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-188894号公報
【特許文献2】特開2014-050241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、電源装置から電力を給電されるパレットにバッテリーが搭載されてなく、パレットの移動の際に給電が一時的に断絶されてしまう。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明は、走行用の電力を蓄える蓄電池を有する車両を積載可能なパレットにバッテリーが搭載されてなく、パレットの移動の際に給電が一時的に断絶されてしまう。
【0007】
本発明は、トレーが格納部内で移動されていても、継続して車両の蓄電池に給電することができる機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、給電される車両を載置する受電部を有するトレーであって、前記トレーは、前記車両に給電するためのバッテリーを搭載し、前記受電部と電気的に接続される。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第1態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーにおいて、前記トレーは、平坦な上面を有する。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第1態様又は第2態様に係るバッテリー搭載トレーにおいて、前記トレーは、前記トレーの上面の側で起倒可能に設置される車両給電装置を有し、前記バッテリーは、前記車両給電装置に内蔵される。
【0011】
第4態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第3態様に係るバッテリー搭載トレーにおいて、前記車両給電装置は、前記トレーにおける前記車両の移動方向に交差する方向に起倒され、前記車両給電装置が前記トレーの収納部に倒伏された状態で前記車両の車路の一部となる。
【0012】
第5態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第1態様又は第2態様に係るバッテリー搭載トレーにおいて、前記バッテリーは、前記トレーの上面の側であって、載置される前記車両と干渉しない位置に配置される。
【0013】
第6態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第1態様又は第2態様に係るバッテリー搭載トレーにおいて、前記バッテリーは、前記トレーの下面の側であって、前記トレーを走行させる車輪の下面より上方に配置される。
【0014】
第7態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第1態様に係るバッテリー搭載トレーにおいて、前記トレーは、前記トレーの一方の両端部に立ち上がり部を有し、前記バッテリーは、前記立ち上がり部の少なくとも一方の内面に配置される。
【0015】
第8態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーは、第7態様に係るバッテリー搭載トレーにおいて、前記トレーは、前記トレーの前記立ち上がり部の上面の側で起立して設置される車両給電装置を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、受電部のみを有するトレーに比べて、トレーの移動中においても車両への給電が継続される。
【0017】
第2態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、立ち上がり部を有するトレーに比べて、車両の移動スペースを広く確保することができる。
【0018】
第3態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、バッテリーがトレーの上面の側又は下面の側に配置されるものに比べて、トレーに対するバッテリー配置スペースを確保する必要がない。
【0019】
第4態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、車両給電装置を倒伏した状態で車両の進入の妨げになるものに比べて、トレー上の車両の移動が円滑にされる。
【0020】
第5態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、バッテリーがトレーの下面の側に配置されるものに比べて、バッテリーのメンテナンスや取り換えが容易となる。
【0021】
第6態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、バッテリーがトレーの上面の側に配置されるものに比べて、トレー上を走行する車両とバッテリーとの干渉が回避される。また、車両が持ち込む水分の影響を受けない。
【0022】
第7態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、平坦な上面を有するトレーに比べて、トレーの立ち上がり部にバッテリーを収納することでスペース効率の向上に寄与する。
【0023】
第8態様に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーによれば、車両給電装置がトレーの車路に起立するものに比べて、トレー上の車両の移動の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態における機械式駐車装置の格納部の全体構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるバッテリー搭載トレーと、バッテリー搭載トレーに設置される受電部と縦送りフレームに設置される給電部とが接触している状態を示す側面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態におけるバッテリー搭載トレーを示す側面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態におけるバッテリー搭載トレーを示す平面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態における車両給電装置を示す側面断面図である。
【
図6】本発明の第二実施形態におけるバッテリー搭載トレーを示す側面図である。
【
図7】本発明の第二実施形態におけるバッテリー搭載トレーを示す平面図である。
【
図8】本発明の第三実施形態におけるバッテリー搭載トレーを示す側面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態におけるバッテリー搭載トレーを示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態における車両給電装置をトレーの長手方向両端部に2つ設けた状態を示す平面図である。
【
図11】本発明の変形例におけるバッテリー搭載トレーを示す側面断面図である。
【
図12】本発明の変形例におけるバッテリー搭載トレーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態に係る機械式駐車装置のバッテリー搭載トレーの一例について図面を参照しながら説明する。なお、図中に示す矢印Wは装置幅方向を示し、矢印Dは装置奥行方向を示し、矢印Hは装置高さ方向を示す。また、装置幅方向Wは「トレーの短手方向」と、また、装置奥行方向Dは「トレーの長手方向」と、また、装置高さ方向Hの側から見ることを「平面視」と、また、装置高さ方向Hの方向を「上方」と、またその反対の方向を「下方」と、それぞれ言い換えることがある。
【0026】
[実施形態]
<機械式駐車装置の全体構成>
本発明の一実施形態として、機械式駐車装置の格納部の全体構成を
図1に示す。
【0027】
図1に示すように、機械式駐車装置1は、給電される車両Mを載置する受電部60を有するトレー4と、前記トレー4が格納される格納部2と、前記格納部2に、少なくともひとつの空き区画3を有し、前記受電部60に電力を給電する給電部50を有する複数の格納区画3と、を含んで構成される。
【0028】
[格納部]
格納部2は、複数の格納区画3が、装置幅方向Wと装置奥行方向Dの両方向に複数列が設定され、各格納区画3は、トレー4を装置幅方向W又は装置奥行方向Dの方向に移動可能に構成されている。本実施形態ではひとつの層のみを図示しているが、格納部2は装置高さ方向Hの方向に沿って複数設けて、複数層の機械式駐車装置1としている。また、本実施形態では、空き区画3を複数設定し、トレー4の循環移動に要する時間を短縮するようにしている。
【0029】
また、格納部2の一部には、特定の格納区画3に隣接して昇降装置6が配置され、格納部2において循環移動されたトレー4を格納部2よりも上方又は下方に設置される図示しない乗降室と連絡してトレー4を昇降させる。また、昇降装置6は、複数層とされる格納部2において、特定の層の格納部2とは別の層の格納部2との間でトレー4を移動させることも可能となっている。
【0030】
〔格納区画〕
格納区画3は、縦送りフレーム32及び横送りフレーム34を含んで構成され、各縦送りフレーム32及び横送りフレーム34はそれぞれ隣接する格納区画3を連絡するように構成されている。格納区画3にはそれぞれ、トレー4を装置幅方向W又は装置奥行方向Dの方向に移動させる図示しない縦横送り装置が設置され、制御盤10の制御により、装置幅方向W又は装置奥行方向Dの方向に適宜移動されて、格納部2の中で移動される。また、格納区画3にはそれぞれ、後述する給電部50が設けられ、充電が必要な蓄電池を搭載した車両が載置されたトレー4に対して給電が行い得るように構成されている。なお、本実施形態では、
図1に示すように、格納区画3のすべて及びトレー4のすべてに給電部50及び受電部60を有するように図示しているが、すべての格納区画3に給電部50を備える必要がない場合は、一例として、昇降装置6から遠い位置の複数の格納区画3にのみ給電部50を設けてもよい。
【0031】
〔トレー〕
図1、2に示すように、トレー4は、本実施形態では、装置幅方向Wに沿う側が短く、装置奥行方向Dに沿う側が長い平面視矩形状であって、装置高さ方向Hに沿う方向に厚みを有する。トレー4の下面には、縦送り車輪4Aと横送り車輪4Bとが一組となって、トレー4の四隅近傍に合計4組が設けられ、縦送り車輪4Aは縦送りフレーム32上を走行可能であり、横送り車輪4Bは横送りフレーム34上を走行可能となっている。
【0032】
また、トレー4には、
図2、
図10に示すように、トレー4の装置奥行方向Dの一方又は両端部に車両給電装置44がトレー4に対して軸44を支点として、車両Mの走行方向に交差する方向に起倒自在に設けられている。車両給電装置44には、起立したときに上方となる自由端の側に給電用のコンセント46が設けられている。車両給電装置44は、
図10に示すように、トレー4に設けられる収納部44Bに収納されるように倒伏され、車両給電装置44が収納部44Bに収納されると、車両給電装置44は、車両の走行が可能なように車路の一部として利用される。また、トレー4は、上面が平坦であり、トレー4の上面の周囲には止水部材42が設けられ、車両が持ち込む雨水や雪氷による融水等の水分が周囲に流下することを防止する。トレー4上に溜まる水分は、トレー4の長手方向の両端部の切り欠き42Aに設けられる図示しない水分誘導手段によって、図示しない排水樋に流下されるようになっている。また、止水部材42は、蓄電池を搭載する車両Mに給電する際に用いられる充電ケーブル48がトレー4の外に落ちないようにする落下防止の機能を兼ね備えている。
【0033】
(受電部)
図2に示すように、受電部60は、トレー4の下面に設置され、装置高さ方向Hの下方を向いて受電端子62が設けられている。本実施形態では、受電端子62の3本の端子は3相の各相を示し、装置幅方向Wの方向に沿って長い部材が、装置奥行方向Dの方向に所定の間隔を隔てて3本設けられている(
図1も参照)。受電部60は、縦送りフレーム32に設けられる図示しないブラケットに設置される給電部50が装置高さ方向Hのトレー4の下方から接触して給電を行うようになっている。
【0034】
(給電部)
図2に示すように、給電部50は、トレー4の下方でトレー4を支持するフレームに、受電部60に対向して接触する位置に設けられている。具体的には、給電部50は、トレー4に設けられる縦送り車輪4Aを支持する縦送りフレーム32に図示しないブラケットにより、給電端子52が上方を向く方向で設けられている。本実施形態では、給電端子52の3本の端子は3相の各相を示し、受電端子62に対向する位置で、装置幅方向Wの方向に沿って長い部材が、装置奥行方向Dの方向に所定の間隔を隔てて設けられている。
【0035】
<要部の構成>
次に、要部の構成について、各実施形態ごとに説明する。
【0036】
[第一実施形態]
第一実施形態に係るバッテリー搭載トレーについて、
図3から
図5を用いて説明する。
【0037】
〔第一実施形態の構成〕
第一実施形態に係るバッテリー搭載トレーは、
図3、
図4に示すように、トレー4の平坦な上面4Cに起倒可能に設けられる車両給電装置44の支柱44Cの内部44C1にバッテリー70が設けられている。バッテリー70の一方の端部は、トレー4の下方に設けられる受電部60と給電側配線74によって電気的に接続されている。また、バッテリー70の他方の端部は、車両給電装置44の上方に設けられるコンセント46と充電側配線76によって電気的に接続されている。
【0038】
コンセント46には、車両Mに搭載される図示しない蓄電池を充電するための充電ケーブル48が接続される。
【0039】
図4に示すように、トレー4の上面4Cには、車両給電装置44が倒伏される際に、車両給電装置44が収納される収納部44Bが開口されている。
図3、
図4では、車両給電装置44は起立した状態を示しているが、車両給電装置44は、
図10に示すように、軸44Aを旋回中心として、車両Mの移動方向と交差する方向に設けられる収納部44Bに倒伏されて収納される。このとき、車両給電装置44の倒伏状態における上面はトレー4の上面4Cとほぼ同じ高さとされ、車両給電装置44の上面は車両Mの移動の際の車路の一部とされる。また、車両給電装置44は、
図10に示すように、トレー4における車両Mの前後に設けることができる。これは、バッテリー70の位置に関係なく、車両Mにおける充電コネクタ48Cを接続する位置が車両Mの前方側である車種や車両Mの後方側である車種の両方に対応することを想定している。
【0040】
車両給電装置44の詳細について、
図5を参照して説明する。
図5では、車両給電装置44の部分は断面として表している。
図5に示すように、車両給電装置44はバッテリー70を内蔵しているが、本実施形態では、バッテリー70は、支柱44Cの内部44C1において、下方と上方とが固定部材72によって着脱自在に固定されている。バッテリー70は、性能が劣化した場合に固定部材72から離脱され、新しいバッテリー70に交換可能とされている。
【0041】
バッテリー70は、本実施形態では、バッテリー70の一方の端部である下方の端部は、トレー4の下方に設けられる受電部60と給電側配線74によって電気的に接続されている。また、バッテリー70の他方の端部である上方の端部は、車両給電装置44の上方に設けられるコンセント46と充電側配線76によって電気的に接続されている。支柱44Cには、後述する充電ケーブル48の各部を支持する載置台45と充電ケーブル受45Aとが設けられている。
【0042】
充電ケーブル48は、電源プラグ48A、コントロールボックス48B、充電コネクタ48Cがそれぞれ充電ケーブル48に接続され、電源プラグ48Aはコンセント46に接続され、コントロールボックス48Bは載置台45に載置されて支持され、充電ケーブル48のコントロールボックス48Bと充電コネクタ48Cとに挟まれた部分は充電ケーブル受45Aに支持される。充電コネクタ48Cは、車両Mに接続される部分である。
【0043】
〔第一実施形態の作用〕
第一実施形態は上記の構成を有しており、車両給電装置44に内蔵されたバッテリー70は、受電部60が給電部50から給電され、給電側配線74を介して充電される。充電されたバッテリー70は、充電側配線76に接続されるコンセント46を介して充電ケーブル48の電源プラグ48Aに電力を供給する。電源プラグ48Aに供給された電力は、コントロールボックス48B、充電コネクタ48Cを介して、車両Mに搭載される図示しない蓄電池を充電する。トレー4は、格納部2において、入出庫動作により各格納区画3を移動して循環されるが、バッテリー70は、トレー4が格納部2において各格納区画3を移動している最中においても、車両Mに搭載される蓄電池の充電を途切れることなく行う。
【0044】
このように、第一実施形態におけるバッテリー搭載トレーは、受電部のみを有するトレーに比べて、トレー4の移動中においても車両への給電が継続される。また、バッテリー70が車両給電装置44の支柱44Cの内部44C1に内蔵されていることから、バッテリーがトレーの上面の側又は下面の側に配置されるものに比べて、トレーに対するバッテリー配置スペースを確保する必要がない。さらに、バッテリー70が内蔵された車両給電装置44がトレー4の収納部44Bに倒伏して収納されることから、車両給電装置を倒伏した状態で車両の進入の妨げになるものに比べて、トレー4上の車両Mの移動が円滑にされる。
【0045】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について、
図6、
図7を参照して説明する。なお、各構成における符号は第一実施形態と同様であるので同一の符号を用いて説明する。
【0046】
〔第二実施形態の構成〕
第二実施形態は、バッテリー70は、トレー4の上面4Cの側であって、載置される車両Mと干渉しない位置に配置される。具体的には、
図6及び
図7に示すとおり、バッテリー70がトレー4の平坦な上面4Cに設置される。
図7に示すとおり、バッテリー70は、トレー4の平面視、車両Mにおける前方左側のトレー4の縁部に配置される。バッテリー70の両端部は固定部材72によって着脱自在に固定されている。バッテリー70のトレー4上の配置は、車両Mの移動に干渉しない位置であればいずれの位置でもよく、例えば、車両Mにおける後方左側であってもよく、右ハンドル車における運転者である利用者の車両Mでの乗降及び充電ケーブル48の車両Mと車両給電装置44との接続作業に支障がない位置であればいずれの位置でもよい。
【0047】
バッテリー70は、その両端部が固定部材72によってトレー4の上面4Cに着脱自在に固定される。バッテリー70は給電側配線74を介して受電部60と接続され、また、充電側配線を介して車両給電装置44に設けられるコンセント46と接続されている。
【0048】
車両給電装置44は、
図10に示すように、軸44Aを旋回中心として、車両Mの移動方向と交差する方向に設けられる収納部44Bに倒伏されて収納される。このとき、車両給電装置44の倒伏状態における上面はトレー4の上面4Cとほぼ同じ高さとされ、車両給電装置44の上面は車両Mの移動の際の車路の一部とされる。また、車両給電装置44は、
図10に示すように、トレー4における車両Mの前後に設けることができる。これは、バッテリー70の位置に関係なく、車両Mにおける充電コネクタ48Cを接続する位置が車両Mの前方側である車種や車両Mの後方側である車種の両方に対応することを想定している。
【0049】
〔第二実施形態の作用〕
第二実施形態におけるバッテリー70は、第一実施形態におけるバッテリー70が車両給電装置44に内蔵されていない点が異なるのみで、その作用は第一実施形態と同様である。一方、第二実施形態では、バッテリー70がトレー4の上面4Cに配置されていることから、バッテリー70がトレー4の下面4Dの側に配置されるものに比べて、バッテリー70のメンテナンスや取り換えが容易となる。
【0050】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について、
図8、
図9を参照して説明する。なお、各構成における符号は第一実施形態と同様であるので同一の符号を用いて説明する。
【0051】
〔第三実施形態の構成〕
第三実施形態は、バッテリー70は、トレー4の下面4Dの側であって、トレー4を走行させる車輪4A、4Bの下面より上方に配置される。具体的には、
図7、
図8に示すように、バッテリー70は、トレー4の下面4Dを支持する骨部材4Fに固定部材72を介して着脱自在に固定される。また、バッテリー70の下面は、トレー4の下面の側に設けられる縦送り車輪4A及び横送り車輪4Bの下面よりも上方に配置される。
【0052】
また、
図9に示すとおり、バッテリー70は、平坦なトレー4の平面視、車両Mにおける側部の近傍であって、トレー4の縁部の近傍に配置される。バッテリー70は固定部材72によって骨部材4Fに着脱自在に固定されている。バッテリー70のトレー4下方での配置は、トレー4の縁部近傍の位置であればいずれの位置でもよい。これは、トレー4の下面4Dの側のトレー短手方向の中央部付近には、トレー4を走行させる駆動装置に接触する下方を向く図示しない駆動レールが設けられることによる。
【0053】
バッテリー70は、その両端部付近が固定部材72によってトレー4の下面4Dを支持する骨部材4Fに固定部材72を介して着脱自在に固定される。バッテリー70は給電側配線74を介して受電部60と接続され、また、充電側配線76を介して車両給電装置44に設けられるコンセント46と接続されている。
【0054】
車両給電装置44は、
図10に示すように、軸44Aを旋回中心として、車両Mの移動方向と交差する方向に設けられる収納部44Bに倒伏されて収納される。このとき、車両給電装置44の倒伏状態における上面はトレー4の上面4Cとほぼ同じ高さとされ、車両給電装置44の上面は車両Mの移動の際の車路の一部とされる。また、車両給電装置44は、
図10に示すように、トレー4における車両Mの前後に設けることができる。これは、バッテリー70の位置に関係なく、車両Mにおける充電コネクタ48Cを接続する位置が車両Mの前方側である車種や車両Mの後方側である車種の両方に対応することを想定している。
【0055】
〔第三実施形態の作用〕
第三実施形態におけるバッテリー70は、第一実施形態におけるバッテリー70が車両給電装置44に内蔵されていない点が異なるのみで、その作用は第一実施形態と同様である。一方、第三実施形態では、バッテリー70がトレー4の下面4Dの側に配置されていることから、バッテリー70がトレー4の上面4Cの側に配置されるものに比べて、トレー4上を走行する車両Mとバッテリー70との干渉が回避される。また、車両Mが持ち込む水分の影響を受けない。
【0056】
[変形例]
次に、変形例について、
図11から
図13を参照して説明する。なお、第一実施形態から第三実施形態と同一の構成は同一の符号で示し、異なる構成について新たな符号で示す。
【0057】
変形例は、第一実施形態から第三実施形態とはトレーの形状が異なる。変形例におけるトレー104は、トレー104の一方の両端部に外側立ち上がり部104Bを有し、バッテリー70は、立ち上がり部104Bの少なくとも一方の内面104B1に配置される。具体的には、
図12、
図13に示すように、トレー104の上面である車路部104Aが平坦でなく、車路部104Aは、トレー104の長手方向に沿ってトレー104の短手方向である左右に分かれて形成される。左右に分かれた車路部104A、104Aは骨部材104Fに固定され、全体としてトレー104が形成されている。ここで、外側立ち上がり部104Bは、立ち上がり部の一例である。
【0058】
車路部104Aは、
図13に示すように、踏面104Dの装置幅方向Wの両側に立ち上がり部を有し、トレー104の外側となる装置幅方向Wの側に外側立ち上がり部104Bと、トレー104の内側となる外側立ち上がり部104Bと反対側に内側立ち上がり部104Cと、が形成されている。左右の車路部104A、104Aの間には、水受材104Eが骨部材104Fに設けられている。本変形例では、水受材104Eにキーストンプレートが用いられている。
【0059】
バッテリー70は、車路部104Aの外側立ち上がり部104Bの内面104B1に収納されるように、固定部材72を介して着脱自在に設置されている。本変形例では、
図12に示すように、バッテリー70は、車両Mの右側面の側の外側立ち上がり部104Bに配置しているが、車両Mの左側面の側の外側立ち上がり部104Bに配置してもよく、また、その両方に配置してもよい。
【0060】
バッテリー70は、本変形例においても、給電側配線74を介して受電部60と接続され、また、充電側配線76を介して車両給電装置44に設けられるコンセント46と接続されている。本変形例では、車両給電装置44は、外側立ち上がり部104Bのトレー104の長手方向の端部に起立して固定される。なお、本変形例において、車両給電装置44を起倒可能とする場合は、外側立ち上がり部104Bの長手方向に沿った方向に倒伏するようにしてもよい。
【0061】
〔変形例の作用〕
本変形例はトレー104の形状が異なることで、バッテリー70を外側立ち上がり部104Bの内面104B1の側に収納されるように配置できることから、平坦な上面を有するトレー4に比べて、スペース効率の向上に寄与する。また、車両給電装置44がトレーの車路に起立するものに比べて、トレー104上の車両Mの移動の邪魔にならない。
【0062】
このように、本発明のバッテリー搭載トレーは、給電される車両Mを載置する受電部60を有するトレー4であって、トレー4は、車両Mに給電するためのバッテリー70を搭載し、受電部60と電気的に接続される。
【0063】
これにより、受電部60のみを有するトレー4に比べて、トレー4の移動中においても車両Mへの給電が継続される。
【0064】
また、トレー4は、平坦な上面4Cを有する。
【0065】
これにより、立ち上がり部を有するトレーに比べて、車両Mの移動スペースを広く確保することができる。
【0066】
また、トレー4は、トレー4の上面4Cの側で起倒可能に設置される車両給電装置44を有し、バッテリー70は、車両給電装置44に内蔵される。
【0067】
これにより、バッテリー70がトレー4の上面4Cの側又は下面4Dの側に配置されるものに比べて、トレー4に対するバッテリー70の配置スペースを確保する必要がない。
【0068】
また、車両給電装置44は、トレー4における車両Mの移動方向に交差する方向に起倒され、車両給電装置44がトレー4の収納部44Bに倒伏された状態で車両Mの車路の一部となる。
【0069】
これにより、車両給電装置44を倒伏した状態でも車両Mの進入の妨げになるものに比べて、トレー4上の車両Mの移動が円滑にされる。
【0070】
また、バッテリー70は、トレー4の上面4Cの側であって、載置される車両Mと干渉しない位置に配置される。
【0071】
これにより、バッテリー70がトレー4の下面4Dの側に配置されるものに比べて、バッテリー70のメンテナンスや取り換えが容易となる。
【0072】
また、バッテリー70は、トレー4の下面4Dの側であって、トレー4を走行させる車輪4A、4Bの下面より上方に配置される。
【0073】
これにより、バッテリー70がトレー4の上面4Cの側に配置されるものに比べて、トレー4上を走行する車両Mとバッテリー70との干渉が回避される。また、車両Mが持ち込む水分の影響を受けない。
【0074】
また、トレー104は、トレー104の一方の両端部に外側立ち上がり部104Bを有し、バッテリー70は、外側立ち上がり部104Bの少なくとも一方の内面104B1に配置される。
【0075】
これにより、平坦な上面4Cを有するトレー4に比べて、トレー104の外側立ち上がり部104Bにバッテリー70を収納することでスペース効率の向上に寄与する。
【0076】
また、トレー104は、トレー104の外側立ち上がり部104Bの上面の側で起立して設置される車両給電装置44を有する。
【0077】
これにより、車両給電装置44がトレー104の車路部104Aに起立するものに比べて、トレー104上の車両Mの移動の邪魔にならない。
【0078】
以上、各実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0079】
例えば、バッテリー70は、トレー4にひとつ設置されるように記載したが、これに限らず、トレー4に対して複数に分けたバッテリー70を搭載するようにしてもよい。
【0080】
また、バッテリー70は直方体として例示したが、これに限らず、バッテリー70の形状は、トレー4又はトレー104上の車両Mの移動又は運転者である利用者の歩行等の邪魔にならない形状としてもよい。
【0081】
また、給電部50及び受電部60はトレー4に対して一組として例示したが、これに限らず、トレー4に対して複数の給電部50及び受電部60を対応させるようにしてもよい。
【0082】
また、トレー4の上面4Cは平坦であると説明したが、これに限らず、水勾配をとる程度に山形又はV字形等の折り曲げ又は湾曲を有するものでもよく、また、せん断補強を目的としたプレス凸加工等が施されたものでもよい。
【0083】
また、車両給電装置44は、図示しない乗降室において、手動で倒伏させてもよいが、車両給電装置44の下方に駆動装置を設置して、手動によらない倒伏形態としてもよい。この場合、車両給電装置44は、乗降室にある操作盤にて充電が必要な車両であることを操作することで、トレー4が乗降室に着床した時点で自動で起立させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 機械式駐車装置
10 制御盤
12 電力供給部
2 格納部
3 格納区画
32 縦送りフレーム
34 横送りフレーム
4 トレー
4A 縦送り車輪
4B 横送り車輪
4C 上面
4D 下面
4F 骨部材
42 止水部材
42A 排水部
44 車両給電装置
44A 軸
44B 収納部
44C 支柱
44C1 内部
45 載置台
45A 充電ケーブル受
46 コンセント
48 充電ケーブル
48A 電源プラグ
48B コントロールボックス
48C 充電コネクタ
50 給電部
52 給電端子
6 昇降装置
60 受電部
62 受電端子
70 バッテリー
72 固定部材
74 給電側配線
76 充電側配線
104 トレー
104A 車路部
104B 外側立ち上がり部(立ち上がり部の一例)
104B1 内面
104C 内側立ち上がり部
104D 踏面
104E 水受材
104F 骨部材