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特開2024-3367セロトニン受容体結合活性を有する環状アミン誘導体を含有する医薬組成物
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  • 特開-セロトニン受容体結合活性を有する環状アミン誘導体を含有する医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003367
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】セロトニン受容体結合活性を有する環状アミン誘導体を含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20240105BHJP
   A61K 31/4523 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 453/02 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 451/04 20060101ALI20240105BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/4523
A61K31/55
A61P43/00 111
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/00
C07D409/12
C07D403/12
C07D405/14
A61K31/506
A61K31/497
C07D417/12
C07D413/12
C07D453/02
C07D451/04
C07D487/08
A61K31/438
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102454
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100209598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100219841
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 綾子
(72)【発明者】
【氏名】中原 健二
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA03
4C050BB07
4C050CC07
4C050EE01
4C050FF01
4C050GG07
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC10
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC31
4C063CC34
4C063CC42
4C063CC51
4C063CC52
4C063CC62
4C063CC72
4C063CC75
4C063CC76
4C063CC92
4C063DD02
4C063DD04
4C063DD10
4C063DD19
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC21
4C086BC27
4C086BC36
4C086CB05
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZC41
4C086ZC42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/もしくは逆作動作用を有する化合物またはその製薬上許容される塩を含有する医薬組成物等を提供する。
【解決手段】式(I):

(式中、Rは芳香族複素環式基等であり、Rは独立してH等であり、Rは独立してH等であり、nは1等であり、RL1は、H等であり、Rは、

であり、RおよびRは独立してH等であり、Rは特定の式で示される基である)で示される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、0、1、または2であり;
L1は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、式:
【化2】

(式中、
pおよびqはそれぞれ独立して、1、2、または3であり;
p’’およびq’’はそれぞれ独立して、1または2であり;
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
a’’は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、CRb’であり;
はそれぞれ独立して、CRc’であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
b’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
b’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
は、CRまたはNであり;
d’’は、CRまたはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のカルバモイルであり;
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;または
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよい)で示される基であり;
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、または、
およびRは、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は、式:
【化3】

(式中、
Aは、CR11またはNであり;
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;
10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または、
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基であり;
ただし、Rが式:
【化4】

で示される基であるとき、Rは置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基で置換されたアルキルおよび置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基で置換されたアルキルではない)で示される化合物(ただし、以下に示される化合物:
【化5】

を除く)、またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項2】
AがCR11である、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項3】
AがCHである、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項4】
nが1または2である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項5】
L1が水素原子である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項6】
がCRであり、Rが水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項7】
がCHである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項8】
が、式:
【化6】

(式中、pは2であり、qは2であり、その他の記号は請求項1と同義である)で示される基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項9】
がそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり、Rがそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項10】
およびRがそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項11】
が置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリダジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-5-イル、置換もしくは非置換のピラジニル、置換もしくは非置換の9員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の10員芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項12】
が置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項13】
式(I’):
【化7】

(式中、
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基であり;
は、式:
【化8】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;
はCRb’であり;
は、水素原子またはハロゲンであり;
b’は、水素原子またはハロゲンであり;
およびRb’は、結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は水素原子である)で示される基であり;
は、式:
【化9】

(式中、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
10は、水素原子またはハロゲンであり;
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基である)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項14】
化合物I-016、I-028、I-043、I-077、I-080、I-086、I-087、I-096、I-101、I-102、I-104、I-105、I-113、I-115、I-116、I-117、I-118、I-121およびI-122からなる群から選択される、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
【請求項15】
セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動薬である、請求項1~3、13および14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動薬、かつ5-HT2C受容体拮抗および/または逆作動薬である、請求項1~3、13および14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
式(I):
【化10】

(式中、
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、0、1、または2であり;
L1は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、置換もしくは非置換の非芳香族含窒素複素環式基または式:
【化11】

(式中、
pおよびqはそれぞれ独立して、1、2、または3であり;
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、CRb’であり;
はそれぞれ独立して、CRc’であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
b’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
は、CRまたはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のカルバモイルであり;
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;または
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよい)で示される基であり;
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、または、
およびRは、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は、式:
【化12】

(式中、
Aは、CR11またはNであり;
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;
10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または、
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基である)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物。
【請求項18】
が式:
【化13】

(式中、
p’’およびq’’はそれぞれ独立して、1または2であり;
a’’は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアルキニルであり;
b’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
d’’は、CRまたはNであり;
その他の記号は請求項17と同義である)で示される基である、請求項17記載のセロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物。
【請求項19】
セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物、かつ5-HT2C受容体拮抗および/または逆作動用組成物である、請求項17または18記載のセロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有し、セロトニン5-HT2A受容体に起因する疾患の治療および/または予防において有用な化合物またはその製薬上許容される塩、およびそれらを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性障害(ND)は、共通する病態生理学的特徴、すなわち時間の経過と共に起こる選択的ニューロン集団の進行性の変性を示す、一群の関連ヒト疾患である。これらの神経変性疾患には、たとえばアルツハイマー病および関連痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、レビー小体病および関連運動障害などが含まれるが、これらに限るわけではない。これらの各障害は、発症年齢、進行の時間経過、神経徴候および神経症状、神経精神症状、ならびに既知治療剤に対する感受性など、それぞれに特有の臨床面を持っている。また、これらの各障害の病態生理学的基礎は、各疾患に特有の遺伝的機序によって引き起こされる(非特許文献1)。
【0003】
本質的に異なるこれらの障害の基礎を成している遺伝的原因の解明はかなり進んでいるにもかかわらず、それらの全てに共通する選択的ニューロン変性を引き起こす生化学的機序については、分かっていることが比較的少ない。また、これらの障害のうち、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む最も一般的なものについては、稀にしか見られない家族型のこれらの疾患を引き起こす遺伝因子が発見されているものの、散発例の大部分については、その病態生理学的基礎はまだ分かっていない。そのため、疾患の進行を直接的に変化させることのできる特異的治療剤は、今のところ存在しない。その代わりに臨床医達は、これらの障害を特徴づける運動的発現、認知的発現および神経精神的発現の症状緩和を達成するために、様々な既存の薬剤を利用している(非特許文献2、3)。
【0004】
NDを特徴づける様々な神経症状のうち、動作緩慢、ジスキネジアおよび舞踏病を含む運動機能の異常、ならびに精神病および不安やうつ病などの情動症状を含む神経精神症状の出現は、共通する症状であり、患者の機能状態と生活の質に深刻な影響を及ぼす(非特許文献4、5)。抗精神病薬および抗うつ剤を含めてほとんどの既存治療剤は、これらの患者でしばしば効力を示すものの、その認容性は著しく低い(非特許文献6)。また、利用可能なパーキンソン病治療剤は、L-ドーパおよびドーパミンアゴニストを含めて、概して有効ではあるものの、現時点では薬物療法で対処できないほど重篤な処置制限副作用の出現を引き起こす。
【0005】
長らくNDに特化した承認薬がない状況が続いたが、2016年に米国において5-HT2A受容体逆作動薬ピマバンセリンが初めてパーキンソン病に伴う幻覚妄想の適応で承認された(非特許文献7)。本薬剤は、既存抗精神病薬のように運動症状悪化の副作用、認知機能の低下は報告されていない。ピマバンセリンの主たる薬理作用はセロトニン5-HT2A受容体逆作動性/拮抗性であるが、セロトニン5-HT2C受容体逆作動性も有する(非特許文献8)。ピマバンセリンのヒトにおけるPET試験で測定された5-HT2A占有率の結果及び、ピマバンセリンの臨床試験の結果から、ピマバンセリンは5-HT2A及び2Cを介して薬効を発揮していることが示唆されている(非特許文献9)。また、ピマバンセリンは心血管系に与える悪影響が大きく、使用が制限されている。
【0006】
これらの知見は、身体障害をもたらすこれら特定の症状に対して効力を示すだけでなく、これら特異的患者集団において認容性をも持つように特異的に設計された、新規治療剤を開発する必要性を浮き彫りにしている。これは、新しい治療剤の薬物標的相互作用の選択性を改善することによって、達成することができる。具体的には、ターゲットとなる5-HT2A、好ましくは5-HT2Aおよび2C、に対する強い活性及び選択性を持ち、心血管系に与える悪影響を低減することで達成される。
【0007】
セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有する化合物が特許文献3~14および16~25に記載されているが、いずれの文献においても本発明に関連する化合物は記載も示唆もされていない。
ムスカリンM受容体阻害活性を有するキヌクリジン誘導体が特許文献15に開示されているが、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用および幻覚妄想治療効果については記載されておらず、また、本発明に関連する化合物は記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2018/131672号
【特許文献2】米国特許第8377959号明細書
【特許文献3】国際公開第2001/066521号
【特許文献4】国際公開第2004/064738号
【特許文献5】国際公開第2019/040104号
【特許文献6】国際公開第2019/040105号
【特許文献7】国際公開第2019/040106号
【特許文献8】国際公開第2019/040107号
【特許文献9】国際公開第2010/111353号
【特許文献10】国際公開第2004/000808号
【特許文献11】国際公開第2003/057698号
【特許文献12】中国特許出願公開第109111385号明細書
【特許文献13】国際公開第2009/039461号
【特許文献14】国際公開第2007/124136号
【特許文献15】国際公開第2004/000840号
【特許文献16】国際公開第2021/147818号
【特許文献17】国際公開第2021/147909号
【特許文献18】中国特許出願公開第109111385号明細書
【特許文献19】中国特許出願公開第113214141号明細書
【特許文献20】中国特許出願公開第113214231号明細書
【特許文献21】中国特許出願公開第113214289号明細書
【特許文献22】国際公開第2021/218863号
【特許文献23】中国特許出願公開第113549006号明細書
【特許文献24】国際公開第2021/193790号
【特許文献25】国際公開第2022/017440号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nature Reviews Neurology volume 10, pages 620-633(2014)
【非特許文献2】Progress in Neurology and Psychiatry Vol.22,Iss.1,30-35,2018
【非特許文献3】Movement Disorders Vol. 24, No. 11, 2009, pp. 1641-1649
【非特許文献4】Parkinsonism and Related Disorders 15S3,(2009),S105-S109
【非特許文献5】Neurology. 2004; 63(2):293-300.
【非特許文献6】JAMA Neurol. 2016; 73(5):535-541.
【非特許文献7】The Lancet; 383:533-540(2014)
【非特許文献8】Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics May 2006, 317 (2) 910-918
【非特許文献9】CNS Spectrums (2016), 21, 271-275
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有する新規化合物を含有する医薬組成物を提供することにある。好ましくは、本発明は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有することによって、パーキンソン病および/または認知症に伴う幻覚妄想をはじめとした、セロトニンが関与する疾患に対する効果を有する新規化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の項目(1)~(19)および(8’)に関する。
(1)式(I):
【化1】

(式中、
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、0、1、または2であり;
L1は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、式:
【化2】

(式中、
pおよびqはそれぞれ独立して、1、2、または3であり;
p’’およびq’’はそれぞれ独立して、1または2であり;
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
a’’は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、CRb’であり;
はそれぞれ独立して、CRc’であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
b’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
b’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
は、CRまたはNであり;
d’’は、CRまたはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のカルバモイルであり;
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;または
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよい)で示される基であり;
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、または、
およびRは、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は、式:
【化3】

(式中、
Aは、CR11またはNであり;
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;
10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または、
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基であり;
ただし、Rが式:
【化4】

で示される基であるとき、Rは置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基で置換されたアルキルおよび置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基で置換されたアルキルではない)で示される化合物(ただし、以下に示される化合物:
【化5】

を除く)、またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(2)AがCR11である、上記項目(1)記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(3)AがCHである、上記項目(1)記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(4)nが1または2である、上記項目(1)~(3)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(5)RL1が水素原子である、上記項目(1)~(4)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(6)XがCRであり、Rが水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである、上記項目(1)~(5)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(7)XがCHである、上記項目(1)~(6)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(8)Rが、式:
【化6】

(式中、pは2であり、qは2であり、その他の記号は上記項目(1)と同義である)で示される基である、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(8’)Rが、式:
【化7】

(式中、pは2であり;
qは2であり;
は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
はそれぞれ独立して、CRb’であり;
はそれぞれ独立して、CRc’であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
b’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
c’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、CRであり;
は、水素原子であり;
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成してもよい)で示される基である、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(9)Rがそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり、Rがそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである、上記項目(1)~(8)および(8’)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(10)RおよびRがそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルである、上記項目(1)~(9)および(8’)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(11)Rが置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリダジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-5-イル、置換もしくは非置換のピラジニル、置換もしくは非置換の9員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の10員芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基である、上記項目(1)~(10)および(8’)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(12)Rが置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基である、上記項目(1)~(11)および(8’)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(13)式(I’):
【化8】

(式中、
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基であり;
は、式:
【化9】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;
はCRb’であり;
は、水素原子またはハロゲンであり;
b’は、水素原子またはハロゲンであり;
およびRb’は、結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は水素原子である)で示される基であり;
は、式:
【化10】

(式中、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
10は、水素原子またはハロゲンであり;
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基である)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(14)化合物I-016、I-028、I-043、I-077、I-080、I-086、I-087、I-096、I-101、I-102、I-104、I-105、I-113、I-115、I-116、I-117、I-118、I-121およびI-122からなる群から選択される、上記項目(1)記載の化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(15)セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動薬である、上記項目(1)~(14)および(8’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(16)セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動薬、かつ5-HT2C受容体拮抗および/または逆作動薬である、上記項目(1)~(15)および(8’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(17)式(I):
【化11】

(式中、
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、0、1、または2であり;
L1は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、置換もしくは非置換の非芳香族含窒素複素環式基または式:
【化12】

(式中、
pおよびqはそれぞれ独立して、1、2、または3であり;
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり;
はそれぞれ独立して、CRb’であり;
はそれぞれ独立して、CRc’であり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
b’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
は、CRまたはNであり;
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のカルバモイルであり;
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;または
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよく;
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよい)で示される基であり;
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、または、
およびRは、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は、式:
【化13】

(式中、
Aは、CR11またはNであり;
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;
10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または、
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基である)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物。
(18)Rが式:
【化14】

(式中、
p’’およびq’’はそれぞれ独立して、1または2であり;
a’’は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアルキニルであり;
b’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
c’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
d’’は、CRまたはNであり;
その他の記号は上記項目(17)と同義である)で示される基である、上記項目(17)記載のセロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物。
(19)セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物、かつ5-HT2C受容体拮抗および/または逆作動用組成物である、上記項目(17)または(18)記載のセロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る化合物(本明細書中、「本発明に係る化合物」とは、本発明化合物、本発明の5-HT2A受容体拮抗および/もしくは逆作動用組成物に係る化合物または本発明の医薬組成物に係る化合物を意味する。)は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有し、セロトニンが関与する疾患の治療剤および/または予防剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、溶媒(Vehicle)および実施例化合物I-016を投与した場合の、ラットMK801誘発運動量亢進に対する抑制効果試験の結果を示す。
図2図2は、溶媒(Vehicle)および実施例化合物I-043を投与した場合の、ラットMK801誘発運動量亢進に対する抑制効果試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0015】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子および塩素原子が好ましい。
【0016】
「アルキル」とは、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-へプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルが挙げられる。
におけるアルキルオキシのアルキル部分としては、C1-C4アルキルが好ましい。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。
におけるアミノがアルキルで置換されるとき、アルキルとしては、C1-C4アルキルが好ましい。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。
【0017】
「ハロアルキル」とは、1以上のハロゲンで置換された上記アルキルを意味する。2以上のハロゲンで置換されている場合、該ハロゲンは同一であっても、異なっていてもよい。例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、2、2-ジフルオロエチル、2、2、2-トリフルオロエチル、2、2-ジフルオロプロピル、3、3、3-トリフルオロプロピル、2、2、3、3-テトラフルオロプロピル、2、2、3、3、3-ペンタフルオロプロピル等が挙げられる。
【0018】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2~15、好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等が挙げられる。
「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルが挙げられる。さらに好ましい態様として、ビニル、n-プロペニル、等が挙げられる。
【0019】
「アルキニル」とは、任意の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2~10、好ましくは炭素数2~8、さらに好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。さらに任意の位置に二重結合を有していてもよい。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等を包含する。
「アルキニル」の好ましい態様として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルが挙げられる。さらに好ましい態様として、エチニル、プロピニル等が挙げられる。
【0020】
「芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状芳香族炭化水素基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
「芳香族炭素環式基」の好ましい態様として、フェニルが挙げられる。
【0021】
「芳香族炭素環」とは、上記「芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0022】
「非芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。2環以上の「非芳香族炭素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化15】

単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3~16が好ましく、より好ましくは炭素数3~12、さらに好ましくは炭素数4~8である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、炭素数8~20が好ましく、より好ましくは炭素数8~16である。例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0023】
「非芳香族炭素環」とは、上記「非芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0024】
「RおよびRb’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する非芳香族炭素環」、ならびに、「RおよびRc’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する非芳香族炭素環」とは、例えば以下の環が挙げられる。
【化16】
【0025】
「RおよびRが、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する非芳香族炭素環」とは、例えば、以下の非芳香族炭素環が挙げられる。
【化17】
【0026】
「RおよびR10が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する非芳香族炭素環」とは、例えば、以下の非芳香族炭素環が挙げられる。
【化18】
【0027】
「芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、芳香族環式基を意味する。
2環以上の芳香族複素環式基は、単環または2環以上の芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
単環の芳香族複素環式基としては、5~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。5員芳香族複素環式基としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。6員芳香族複素環式基としては、例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等が挙げられる。
2環の芳香族複素環式基としては、8~10員が好ましく、より好ましくは9員または10員である。例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。9員芳香族複素環式基としては、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。10員芳香族複素環式基としては、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プテリジニル、ピラジノピリダジニル等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環式基としては、13~15員が好ましい。例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
【0028】
「芳香族含窒素複素環式基」とは、Nを環内に1以上含み、さらにOまたはSから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有していてもよい、単環または2環以上の、芳香族複素環式基を意味する。2環以上の芳香族含窒素複素環式基は、単環または2環以上の芳香族含窒素複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
【0029】
単環の芳香族含窒素複素環式基としては、5~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。5員芳香族含窒素複素環式基としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。6員芳香族含窒素複素環式基としては、例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等が挙げられる。
2環の芳香族含窒素複素環式基としては、8~10員が好ましく、より好ましくは9員または10員である。例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。
3環以上の芳香族含窒素複素環式基としては、13~15員が好ましい。例えば、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル等が挙げられる。
【0030】
「非芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、非芳香族環式基を意味する。2環以上の非芳香族複素環式基は、単環または2環以上の非芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」、および/または「芳香族複素環式基」におけるそれぞれの環が縮合したもの、さらに、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族複素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
さらに、「非芳香族複素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化19】

単環の非芳香族複素環式基としては、3~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。
3員非芳香族複素環式基としては、例えば、チイラニル、オキシラニル、アジリジニルが挙げられる。4員非芳香族複素環式基としては、例えば、オキセタニル、アゼチジニルが挙げられる。5員非芳香族複素環式基としては、例えば、オキサチオラニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、ジオキソラニル、ジオキソリル、チオラニル等が挙げられる。6員非芳香族複素環式基としては、例えば、ジオキサニル、チアニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキサジニル、チイニル、チアジニル等が挙げられる。7員非芳香族複素環式基としては、例えば、ヘキサヒドロアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、オキセパニルが挙げられる。8員非芳香族複素環式基としては、例えば、アゾカン、チオカン、オキソカン等が挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環式基としては、8~20員が好ましく、より好ましくは8~10員である。例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル等が挙げられる。
【0031】
「非芳香族含窒素複素環式基」とは、窒素原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、非芳香族複素環式基を意味する。2環以上の非芳香族複素環式基は、単環または2環以上の非芳香族含窒素複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」、および/または「芳香族複素環式基」におけるそれぞれの環が縮合したものを包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
例えば、以下の環が示される。
【化20】

さらに、「非芳香族含窒素複素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化21】
【0032】
「非芳香族複素環」とは、上記「非芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
【0033】
「RおよびRb’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する非芳香族複素環」、ならびに、「RおよびRc’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する非芳香族複素環」とは、例えば以下の環が挙げられる。
【化22】
【0034】
「R、およびRが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRが、Rが結合する窒素原子およびRが結合する炭素原子と一緒になって形成する非芳香族複素環」、ならびに、「R、およびRが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRが、Rが結合する窒素原子およびRが結合する炭素原子と一緒になって形成する非芳香族複素環」とは、例えば以下の環が挙げられる。
【化23】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)
【0035】
「RおよびR10が一緒になって形成する非芳香族複素環」とは、例えば以下の環が挙げられる。
【化24】
【0036】
およびRb’ならびにRおよびRc’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成した場合、Rは、例えば以下のような基が挙げられる。
【化25】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)
【0037】
「トリアルキルシリル」とは、上記「アルキル」3個がケイ素原子に結合している基を意味する。3個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル等が挙げられる。
【0038】
本明細書中、「置換基群αで置換されていてもよい」とは、「置換基群αから選択される1以上の基で置換されていてもよい」ことを意味する。置換基群β、γおよびγ’についても同様である。
【0039】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アルキルオキシ」、「置換アルケニルオキシ」、「置換アルキニルオキシ」、「置換アルキルカルボニルオキシ」、「置換アルケニルカルボニルオキシ」、「置換アルキニルカルボニルオキシ」、「置換アルキルカルボニル」、「置換アルケニルカルボニル」、「置換アルキニルカルボニル」、「置換アルキルオキシカルボニル」、「置換アルケニルオキシカルボニル」、「置換アルキニルオキシカルボニル」、「置換アルキルスルファニル」、「置換アルケニルスルファニル」、「置換アルキニルスルファニル」、「置換アルキルスルフィニル」、「置換アルケニルスルフィニル」、「置換アルキニルスルフィニル」、「置換アルキルスルホニル」、「置換アルケニルスルホニル」、「置換アルキニルスルホニル」等の置換基としては、次の置換基群Aが挙げられる。任意の位置の炭素原子が次の置換基群Aから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群A:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ホルミルオキシ、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、ペンタフルオロチオ、トリアルキルシリル、
置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0040】
置換基群α:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、およびシアノ。
【0041】
置換基群β:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0042】
置換基群γ:置換基群α、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、およびアルキニルカルボニル。
【0043】
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ。
【0044】
「置換芳香族炭素環式基」、「置換芳香族複素環式基」、「置換芳香族含窒素複素環式基」、「置換芳香族炭素環オキシ」、「置換芳香族複素環オキシ」、「置換芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換芳香族複素環カルボニルオキシ」、「置換芳香族炭素環カルボニル」、「置換芳香族複素環カルボニル」、「置換芳香族炭素環オキシカルボニル」、「置換芳香族複素環オキシカルボニル」、「置換芳香族炭素環スルファニル」、「置換芳香族複素環スルファニル」、「置換芳香族炭素環スルフィニル」、「置換芳香族複素環スルフィニル」、「置換芳香族炭素環スルホニル」および「置換芳香族複素環スルホニル」等の「芳香族炭素環」および「芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基群Bが挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基群Bから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群B:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ホルミルオキシ、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、ペンタフルオロチオ、トリアルキルシリル、
置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシ、「置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニルオキシ」、および「置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニルオキシ」、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシアルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシアルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0045】
「置換非芳香族炭素環式基」、「置換非芳香族複素環式基」、「置換非芳香族含窒素複素環式基」、「RおよびR10が一緒になって形成する置換非芳香族複素環」、「置換非芳香族炭素環オキシ」、「置換非芳香族複素環オキシ」、「置換非芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換非芳香族複素環カルボニルオキシ」、「置換非芳香族炭素環カルボニル」、「置換非芳香族複素環カルボニル」、「置換非芳香族炭素環オキシカルボニル」、「置換非芳香族複素環オキシカルボニル」、「置換非芳香族炭素環スルファニル」、「置換非芳香族複素環スルファニル」、「置換非芳香族炭素環スルフィニル」、「置換非芳香族複素環スルフィニル」、「置換非芳香族炭素環スルホニル」、「置換非芳香族複素環スルホニル」「RおよびRb’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族炭素環」、「RおよびRc’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族炭素環」、「RおよびRb’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族複素環」、「RおよびRc’が、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族複素環」、「R、およびRが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRが、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族複素環」、「R、およびRが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRが、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族複素環」、「RおよびRが、結合する同一の炭素原子と一緒になって形成する置換非芳香族炭素環」、「RおよびR10が一緒になって形成する置換非芳香族炭素環」、および「RおよびR10が一緒になって形成する置換非芳香族複素環」の「非芳香族炭素環」および「非芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基群Cが挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基群Cから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群C:置換基群Bおよびオキソ。
【0046】
「非芳香族炭素環」、「非芳香族複素環」および「非芳香族含窒素複素環」が「オキソ」で置換されている場合、以下のように炭素原子上の2個の水素原子が置換されている環を意味する。
【化26】
【0047】
「置換アミノ」、「置換イミノ」、「置換カルバモイル」および「置換スルファモイル」の置換基としては、次の置換基群Dが挙げられる。置換基群Dから選択される1または2の基で置換されていてもよい。
置換基群D:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0048】
式(I)で示される化合物における、R、R、R、n、RL1、R、p、q、p’’、q’’、R、Ra’’、R、Rb’、R、Rc’、Rb’’、Rc’’、X、Xd’’、R、R、R、R、A、R、R10およびR11の好ましい態様を以下に示す。式(I)で示される化合物としては、以下に示される具体例のすべての組み合わせの態様が例示される。
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基が挙げられる(以下、A-1とする)。
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基が挙げられる(以下、A-2とする)。
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリダジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-5-イル、置換もしくは非置換のピラジニル、置換もしくは非置換の9員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の10員芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基が挙げられる(以下、A-3とする)。
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の6員芳香族複素環式基が挙げられる(以下、A-4とする)。
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリダジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-5-イルまたは置換もしくは非置換のピラジニルが挙げられる(以下、A-5とする)。
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基が挙げられる(以下、A-6とする)。
は、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリダジン-3-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-5-イルまたは置換もしくは非置換のピラジニルが挙げられる(以下、A-7とする)。
は、置換もしくは非置換のピラゾリル、置換もしくは非置換のピリジル、置換もしくは非置換のピロリル、置換もしくは非置換のフリル、置換もしくは非置換のチオフェニル、置換もしくは非置換のオキサゾリル、置換もしくは非置換のトリアゾリル、置換もしくは非置換のイソオキサゾリル、置換もしくは非置換のピラジニル、置換もしくは非置換のピリミジニルまたは置換もしくは非置換のベンゾフラニルが挙げられる(以下、A-8とする)。
は、置換もしくは非置換のピラゾリル、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-3-イル、置換もしくは非置換のピロリル、置換もしくは非置換のフリル、置換もしくは非置換のチオフェニル、置換もしくは非置換のオキサゾリル、置換もしくは非置換のトリアゾリル、置換もしくは非置換のイソオキサゾリル、置換もしくは非置換のピラジニル、置換もしくは非置換のピリミジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリミジン-5-イルまたは置換もしくは非置換のベンゾフラニルが挙げられる(以下、A-9とする)。
は、置換基群Bで置換されていてもよいピラゾリル、置換基群Bで置換されていてもよいピリジン-2-イル、置換基群Bで置換されていてもよいピリジン-3-イル、置換基群Bで置換されていてもよいピロリル、置換基群Bで置換されていてもよいフリル、置換基群Bで置換されていてもよいチオフェニル、置換基群Bで置換されていてもよいオキサゾリル、置換基群Bで置換されていてもよいトリアゾリル、置換基群Bで置換されていてもよいイソオキサゾリル、置換基群Bで置換されていてもよいピラジニル、置換基群Bで置換されていてもよいピリミジン-2-イル、置換基群Bで置換されていてもよいピリミジン-5-イルまたは置換基群Bで置換されていてもよいベンゾフラニルが挙げられる(以下、A-10とする)。
は、置換基群ωで置換されていてもよいピラゾリル、置換基群ωで置換されていてもよいピリジン-2-イル、置換基群ωで置換されていてもよいピリジン-3-イル、置換基群ωで置換されていてもよいピロリル、置換基群ωで置換されていてもよいフリル、置換基群ωで置換されていてもよいチオフェニル、置換基群ωで置換されていてもよいオキサゾリル、置換基群ωで置換されていてもよいトリアゾリル、置換基群ωで置換されていてもよいイソオキサゾリル、置換基群ωで置換されていてもよいピラジニル、置換基群ωで置換されていてもよいピリミジン-2-イル、置換基群ωで置換されていてもよいピリミジン-5-イルまたは置換基群ωで置換されていてもよいベンゾフラニルが挙げられる(置換基群ω:ハロゲン、シアノ、ハロアルキルおよび非置換アルキル)(以下、A-11とする)。
は、置換もしくは非置換のピラゾリルが挙げられる(以下、A-12とする)。
は、置換基群ω’で置換されたピラゾリルが挙げられる(置換基群ω’:ハロゲン、ハロアルキル、非芳香族炭素環式基および非置換アルキル)(以下、A-13とする)。
は、置換基群ω’’で置換されたピラゾリルが挙げられる(置換基群ω’’:ハロアルキル、非置換アルキルおよび非芳香族炭素環式基)(以下、A-14とする)。
は、アルキルで置換されたピラゾリルが挙げられる(以下、A-15とする)。
は、ハロアルキルで置換されたピラゾリルが挙げられる(以下、A-16とする)。
は、非芳香族炭素環式基で置換されたピラゾリルが挙げられる(以下、A-17とする)。
は、置換もしくは非置換のフリルが挙げられる(以下、A-18とする)。
は、置換基群ω’で置換されたフリルが挙げられる(置換基群ω’:ハロゲン、ハロアルキル、非芳香族炭素環式基および非置換アルキル)(以下、A-19とする)。
は、非置換フリルが挙げられる(以下、A-20とする)。
は、置換もしくは非置換のピリジン-2-イルが挙げられる(以下、A-21とする)。
は、置換基群ω’で置換されたピリジン-2-イルが挙げられる(置換基群ω’:ハロゲン、ハロアルキル、非芳香族炭素環式基および非置換アルキル)(以下、A-22とする)。
は、ハロゲンで置換されたピリジン-2-イルが挙げられる(以下、A-23とする)。
は、置換もしくは非置換のオキサゾリルが挙げられる(以下、A-24とする)。
は、置換基群ω’で置換されたオキサゾリルが挙げられる(置換基群ω’:ハロゲン、ハロアルキル、非芳香族炭素環式基および非置換アルキル)(以下、A-25とする)。
は、置換基群ω’’で置換されたオキサゾリルが挙げられる(置換基群ω’’:ハロアルキル、非置換アルキルおよび非置換の非芳香族炭素環式基)(以下、A-26とする)。
は、アルキルで置換されたオキサゾリルが挙げられる(以下、A-27とする)。
は、ハロアルキルで置換されたオキサゾリルが挙げられる(以下、A-28とする)。
は、非芳香族炭素環式基で置換されたオキサゾリルが挙げられる(以下、A-29とする)。
は、置換もしくは非置換のトリアゾリルが挙げられる(以下、A-30とする)。
は、置換基群ω’で置換されたトリアゾリルが挙げられる(置換基群ω’:ハロゲン、ハロアルキル、非芳香族炭素環式基および非置換アルキル)(以下、A-31とする)。
は、置換基群ω’’で置換されたトリアゾリルが挙げられる(置換基群ω’’:ハロアルキル、非置換アルキルおよび非置換の非芳香族炭素環式基)(以下、A-32とする)。
は、アルキルで置換されたトリアゾリルが挙げられる(以下、A-33とする)。
は、ハロアルキルで置換されたトリアゾリルが挙げられる(以下、A-34とする)。
は、非芳香族炭素環式基で置換されたトリアゾリルが挙げられる(以下、A-35とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、B-1とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、B-2とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、B-3とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、C-1とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、C-2とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、C-3とする)。
nは、0、1、または2が挙げられる(以下、D-1とする)。
nは、0または1が挙げられる(以下、D-2とする)。
nは、1または2が挙げられる(以下、D-3とする)。
nは、0が挙げられる(以下、D-4とする)。
nは、1が挙げられる(以下、D-5とする)。
nは、2が挙げられる(以下、D-6とする)。
L1は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、F-1とする)。
L1は、水素原子または非置換アルキルが挙げられる(以下、F-2とする)。
L1は、非置換アルキルが挙げられる(以下、F-3とする)。
L1は、水素原子が挙げられる(以下、F-4とする)。
は、置換もしくは非置換の非芳香族含窒素複素環式基が挙げられる(以下、G-1とする)。
は、置換もしくは非置換の4~7員非芳香族含窒素複素環式基が挙げられる(以下、G-2とする)。
は、置換もしくは非置換の6員非芳香族含窒素複素環式基が挙げられる(以下、G-3とする)。
は、式:
【化27】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-4とする)。
は、式:
【化28】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-5とする)。
は、式:
【化29】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-6とする)。
は、式:
【化30】

(式中、pは2であり、qは2であり、その他の記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-7とする)。

は、式:
【化31】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-8とする)。
は、式:
【化32】

(式中、Xはそれぞれ独立して、CHであり、Rc’’は水素原子であり、p、q、p’’、q’’、R、Ra’’、X、Rb’’およびRは上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-9とする)。
は、式:
【化33】

(式中、Xはそれぞれ独立して、CHであり、p、q、R、XおよびRは上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-10とする)。
は、式:
【化34】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-11とする)。
は、式:
【化35】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-12とする)。
は、式:
【化36】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義)で示される基が挙げられる(以下、G-13とする)。
は、式:
【化37】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;
はCRb’であり;
は、水素原子またはハロゲンであり;
b’は、水素原子またはハロゲンであり;
およびRb’は、結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は水素原子である)で示される基が挙げられる(以下、G-14とする)。
は、式:
【化38】

(式中、Rは水素原子である)で示される基が挙げられる(以下、G-15とする)。
は、式:
【化39】

(式中、Rは非置換アルキルである)で示される基が挙げられる(以下、G-16とする)。
は、式:
【化40】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;RおよびRb’は、水素原子またはハロゲン)で示される基が挙げられる(以下、G-17とする)。
は、式:
【化41】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルである)で示される基が挙げられる(以下、G-18とする)。
pおよびqはそれぞれ独立して、1、2、または3が挙げられる(以下、H-1とする)。
pおよびqはそれぞれ独立して、2または3が挙げられる(以下、H-2とする)。
pは2、qは1が挙げられる(以下、H-3とする)。
pは2、qは2が挙げられる(以下、H-4とする)。
pは2、qは3が挙げられる(以下、H-5とする)。
pは、1、2または3が挙げられる(以下、H-6とする)。
pは、2または3が挙げられる(以下、H-7とする)。
qは、1、2または3が挙げられる(以下、H-8とする)。
qは、2または3が挙げられる(以下、H-9とする)。
pは、1が挙げられる(以下、H-10とする)。
pは、2が挙げられる(以下、H-11とする)。
pは、3が挙げられる(以下、H-12とする)。
qは、1が挙げられる(以下、H-13とする)。
qは、2が挙げられる(以下、H-14とする)。
qは、3が挙げられる(以下、H-15とする)。
p’’およびq’’はそれぞれ独立して、1または2が挙げられる(以下、J-1とする)。
p’’およびq’’はそれぞれ独立して、1が挙げられる(以下、J-2とする)。
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基が挙げられる(以下、K-1とする)。
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアルキニルが挙げられる(以下、K-2とする)。
は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、K-3とする)。
は、水素原子、ハロゲンで置換されたアルキルまたは非置換アルキルが挙げられる(以下、K-4とする)。
は、水素原子または非置換アルキルが挙げられる(以下、K-5とする)。
は、水素原子が挙げられる(以下、K-6とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、K-7とする)。
は、非置換アルキルが挙げられる(以下、K-8とする)。
a’’は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基が挙げられる(以下、L-1とする)。
a’’は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアルキニルが挙げられる(以下、L-2とする)。
a’’は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、L-3とする)。
a’’は、水素原子が挙げられる(以下、L-4とする)。
a’’は、置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、L-5とする)。
はそれぞれ独立して、CRb’が挙げられる(以下、M-1とする)。
はそれぞれ独立して、CRc’が挙げられる(以下、M-2とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、N-1とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、N-2とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、N-3とする)。
はそれぞれ独立して、ハロゲンが挙げられる(以下、N-4とする)。
b’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、N-5とする)。
b’はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、N-6とする)。
b’はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、N-7とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、O-1とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、O-2とする)。
はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、O-3とする)。
はそれぞれ独立して、ハロゲンが挙げられる(以下、O-4とする)。
c’はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、O-5とする)。
c’はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、O-6とする)。
c’はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、O-7とする)。
b’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、P-1とする)。
b’’は、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、P-2とする)。
c’’は、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、Q-1とする)。
c’’は、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、Q-2とする)。
は、CRまたはNが挙げられる(以下、R-1とする)。
は、CRが挙げられる(以下、R-2とする)。
d’’は、CRまたはNが挙げられる(以下、S-1とする)。
d’’は、CRが挙げられる(以下、S-2とする)。
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のカルバモイルが挙げられる(以下、T-1とする)。
は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、T-2とする)。
は、水素原子が挙げられる(以下、T-3とする)。
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成する(以下、U-1とする)。
およびRb’ならびにRおよびRc’は、結合する同一の炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成する(以下、U-2とする)。
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成する(以下、U-3とする)。
と、Rが結合する窒素原子に隣接する炭素原子に結合するRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成する(以下、U-4とする)。
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよい(以下、U-5とする)。
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成する(以下、U-6とする)。
およびRは、一緒になって、(C2―C3)架橋を形成する(以下、U-7とする)。
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成し、該架橋を構成する炭素原子の1つは酸素原子で置き換えられてもよい(以下、U-8とする)。
およびRは、一緒になって、(C1―C3)架橋を形成する(以下、U-9とする)。
およびRは、一緒になって、(C2―C3)架橋を形成する(以下、U-10とする)。
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、V-1とする)。
およびRはそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、V-2とする)。
およびRはそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、V-3とする)。
は、式:
【化42】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;R10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または、RおよびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく;AおよびR11は上記項目(1)と同義である)で示される基が挙げられる(以下、W-1とする)。
は、式:
【化43】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;R10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;AおよびR11は上記項目(1)と同義である)で示される基が挙げられる(以下、W-2とする)。
は、式:
【化44】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;R11は水素原子またはハロゲンである)で示される基が挙げられる(以下、W-3とする)。
は、式:
【化45】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノであり;R11は水素原子またはハロゲンである)で示される基が挙げられる(以下、W-4とする)。

は、式:
【化46】

(式中、Rは上記項目(1)と同義である)で示される基が挙げられる(以下、W-5とする)。
Aは、CR11またはNが挙げられる(以下、X-1とする)。
Aは、CR11が挙げられる(以下、X-2とする)。
Aは、CHが挙げられる(以下、X-3とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基またはシアノが挙げられる(以下、Y-1とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換の非芳香族炭素環が挙げられる(以下、Y-2とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシまたは置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、Y-3とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアミノまたは置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、Y-4とする)。
は、置換アルキルオキシ(置換基:ハロゲン)、非置換アルキルオキシ、置換アミノ(置換基:アルキル)、置換アルキル(置換基:ハロゲン)、非置換アルキル、が挙げられる(以下、Y-5とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、Y-6とする)。
は、ハロゲンで置換されたもしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、Y-7とする)。
は、非置換アルキルオキシが挙げられる(以下、Y-8とする)。
は、ハロゲンで置換されたアルキルオキシが挙げられる(以下、Y-9とする)。
は、置換もしくは非置換のアミノが挙げられる(以下、Y-10とする)。
は、アルキルで置換されたアミノが挙げられる(以下、Y-11とする)。
は、置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、Y-12とする)。
は、ハロゲンで置換されたもしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、Y-13とする)。
は、非置換アルキルが挙げられる(以下、Y-14とする)。
は、ハロゲンで置換されたアルキルが挙げられる(以下、Y-15とする)。
10は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、Y-16とする)。
10は、水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、Y-17とする)。
10は、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、Y-18とする)。
10は、水素原子が挙げられる(以下、Y-19とする)。
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよい(以下、Y-20とする)。
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよい(以下、Y-21とする)。
およびR10が一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよい(以下、Y-22とする)。
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、Y-23とする)。
11はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、Y-24とする)。
11はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンが挙げられる(以下、Y-25とする)。
11はそれぞれ独立して、水素原子が挙げられる(以下、Y-26とする)。
【0049】
式(I)で示される化合物において、例えば以下に挙げられる態様がより好ましい。下記具体例のすべての組み合わせの態様が例示される。
(I) 式(I’):
【化47】

で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
式中、Rは、上記(A-4)、(A-5)、(A-6)、(A-7)、(A-8)、(A-9)、(A-10)、(A-11)、(A-12)、(A-13)、(A-14)、(A-15)、(A-16)、(A-17)、(A-18)、(A-19)、(A-20)、(A-21)、(A-22)、(A-23)、(A-24)、(A-25)、(A-26)、(A-27)、(A-28)、(A-29)、(A-30)、(A-31)、(A-32)、(A-33)、(A-34)または(A-35)が挙げられる。
は、上記(G-13)、(G-14)、(G-15)、(G-16)、(G-17)、または(G-18)が挙げられる。
は、式:
【化48】

で示される基が挙げられる。
式中、Rは、上記(Y-4)、(Y-5)、(Y-6)、(Y-7)、(Y-8)、(Y-9)、(Y-10)、(Y-11)、(Y-12)、(Y-13)、(Y-14)または(Y-15)が挙げられる。
10は、上記(Y-17)、(Y-18)または(Y-19)が挙げられる。
11はそれぞれ独立して、上記(Y-24)、(Y-25)または(Y-26)が挙げられる。
(ii) 式(I’):
【化49】

で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
式中、Rは、上記(A-6)、(A-12)、(A-13)、(A-14)、(A-15)、(A-16)、(A-23)、(A-24)、(A-25)、(A-26)、(A-27)、(A-28)、(A-29)、(A-30)、(A-31)、(A-32)、(A-33)、(A-34)または(A-35)が挙げられる。
は、上記(G-14)、(G-15)、(G-16)、(G-17)、または(G-18)が挙げられる。
は、式:
【化50】

で示される基が挙げられる。
式中、Rは、上記(Y-6)、(Y-7)、(Y-8)、(Y-9)、(Y-12)、(Y-13)、(Y-14)または(Y-15)が挙げられる。
10は、上記(Y-18)または(Y-19)が挙げられる。
11はそれぞれ独立して、上記(Y-25)または(Y-26)が挙げられる。
【0050】
特に以下の態様が好ましい。
(i)式(I’):
【化51】

(式中、
は、置換もしくは非置換の5員芳香族複素環式基であり;
は、式:
【化52】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;
はCRb’であり;
は、水素原子またはハロゲンであり;
b’は、水素原子またはハロゲンであり;
およびRb’は、結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は水素原子である)で示される基であり;
は、式:
【化53】

(式中、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または置換もしくは非置換のアルキルであり;
10は、水素原子またはハロゲンであり;
11はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される基である)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
(ii)式(I’):
【化54】

(式中、
は、置換もしくは非置換のオキサゾリル、置換もしくは非置換のトリアゾリルまたは置換もしくは非置換のピラゾリルであり;
は、式:
【化55】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;
はCRb’であり;
は、水素原子またはハロゲンであり;
b’は、水素原子またはハロゲンであり;
およびRb’は、結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく;
は水素原子である)で示される基であり;
は、式:
【化56】

(式中、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、または置換もしくは非置換のアルキルであり;
10は、水素原子またはハロゲンであり;
11はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンである)で示される基である)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
(iii) 式(I’):
【化57】

(式中、
は、置換基群ω’’で置換されたオキサゾリル、置換基群ω’’で置換されたトリアゾリルまたは置換基群ω’’で置換されたピラゾリル(置換基群ω’’:ハロアルキル、非置換アルキルおよび非芳香族炭素環式基)であり;
は、式:
【化58】

(式中、Rは水素原子または非置換アルキルであり;
はCRb’であり;
は、水素原子またはフッ素原子であり;
b’は、水素原子またはフッ素原子であり;
およびRb’は、結合する炭素原子と一緒になって、非置換のシクロプロパン環を形成してもよく;
は水素原子である)で示される基であり;
は、式:
【化59】

(式中、
は、ハロゲンで置換されたアルキルオキシ、非置換のアルキルオキシ、ハロアルキルまたは非置換のアルキルであり;
10は、水素原子またはハロゲンであり;
11はそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲンである)で示される基である)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【0051】
式(I)または式(I’)で示される化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(例えば、ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体、回転異性体等)、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。
【0052】
式(I)または式(I’)で示される化合物の一つ以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。式(I)または式(I’)で示される化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。該同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、式(I)または式(I’)で示される化合物のすべての放射性標識体を包含する。また該「放射性標識体」を製造するための「放射性標識化方法」も本発明に包含され、該「放射性標識体」は、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である。
【0053】
式(I)または式(I’)で示される化合物の放射性標識体は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)または式(I’)で示される化合物のトリチウム標識化合物は、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)または式(I’)で示される特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、式(I)または式(I’)で示される化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、“Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)”を参照することができる。14C-標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0054】
式(I)または式(I’)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、式(I)または式(I’)で示される化合物と、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0055】
本発明の式(I)または式(I’)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)、共結晶および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物、共結晶および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、式(I)または式(I’)で示される化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。式(I)または式(I’)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、式(I)または式(I’)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。「共結晶」は、式(I)または式(I’)で示される化合物または塩とカウンター分子が同一結晶格子内に存在することを意味し、任意の数のカウンター分子を含んでいても良い。
【0056】
本発明の式(I)または式(I’)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、プロドラッグを形成する場合があり、本発明はそのような各種のプロドラッグも包含する。プロドラッグは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する本発明に係る化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理学的条件下でインビボにおいて薬学的に活性な本発明に係る化合物となる化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解等を受けて式(I)または式(I’)で示される化合物に変換される化合物、胃酸等により加水分解されて式(I)または式(I’)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えば “Design of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam, 1985”に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性を有する場合がある。
【0057】
式(I)または式(I’)で示される化合物またはその製薬上許容される塩がヒドロキシル基を有する場合は、例えば、ヒドロキシル基を有する化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物、適当なスルホニルクロライド、適当なスルホニルアンハイドライド及びミックスドアンハイドライドとを反応させることにより或いは縮合剤を用いて反応させることにより製造されるアシルオキシ誘導体やスルホニルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、CHCOO-、CCOO-、tert-BuCOO-、C1531COO-、PhCOO-、(m-NaOOCPh)COO-、NaOOCCHCHCOO-、CHCH(NH)COO-、CHN(CHCOO-、CHSO-、CHCHSO-、CFSO-、CHFSO-、CFCHSO-、p-CHO-PhSO-、PhSO-、p-CHPhSO-が挙げられる。
【0058】
本発明に係る化合物は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有するため、セロトニン5-HT2A受容体が関与する疾患の治療剤および/または予防剤として有用である。セロトニン5-HT2A受容体が関与する疾患としては、パーキンソン病に伴う幻覚妄想、認知症に伴う幻覚妄想、統合失調症に伴う幻覚妄想、うつに伴う幻覚妄想、神経変性疾患に伴う幻覚妄想、うつ、統合失調症、自閉症、依存症、ジスキネジア、睡眠障害、パーキンソン病に伴う易怒性、認知症に伴う易怒性、統合失調症に伴う易怒性、性機能不全等、セロトニンが介在する疾患が挙げられる。好ましくは、パーキンソン病に伴う幻覚妄想、認知症に伴う幻覚妄想、統合失調症に伴う幻覚妄想、うつに伴う幻覚妄想、パーキンソン病に伴う易怒性、認知症に伴う易怒性、統合失調症に伴う易怒性等が挙げられる。より好ましくは、パーキンソン病に伴う幻覚妄想、認知症に伴う幻覚妄想等が挙げられる。
「セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動薬」とは、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有する医薬品を意味する。
「セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動用組成物」とは、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有する組成物を意味し、医薬用途に限定されない。
【0059】
(本発明の化合物の製造法)
本発明に係る式(I)または式(I’)で示される化合物は、例えば、下記に示す一般的合成法によって製造することができる。抽出、精製等は、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
本発明の化合物は、当該分野において公知の手法を参考にしながら合成することができる。
【0060】
A法
【化60】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義であり、R1’-はR-またはR-(CRn-1-である。)
工程1
化合物(a-1)および化合物(a-2)を、酢酸の存在下または非存在下、適切な還元剤および適当な溶媒中で反応させることにより、化合物(a-3)を得ることができる。別法としては化合物(a-1)および化合物(a-2)の代わりに化合物(a’-1)および化合物(a’-2)を用いても同様に化合物(a-3)を得ることができる。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられ、化合物(a-1)に対して1.0モル当量またはそれ以上、好ましくは1.0~2.0モル当量使用することができる。
酢酸は、化合物(a-1)に対して1.0モル当量またはそれ以上、好ましくは1.0~2.0モル当量使用することができる。
反応溶媒としては、アルコール類(例、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、イソプロパノールなど)、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタンなど)、DMF、DMSO、NMP、アセトニトリル、ピリジン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
反応温度は、0~80℃、好ましくは0~20℃である。
反応時間は、0.1~48時間、好ましくは0.5~24時間である。
得られた所望の化合物(a-3)は、要すれば常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製することができる。
【0061】
工程2
化合物(a-4)およびCDIを、適当な溶媒中で反応させ、次いで化合物(a-3)と適当な溶媒中で反応させることにより化合物(I-a)を得ることができる。
CDIは、化合物(a-4)に対して1.0モル当量またはそれ以上、好ましくは1.2モル等量使用することができる。
反応溶媒としては、アルコール類(例、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、イソプロパノールなど)、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタンなど)、DMF、DMSO、NMP、アセトニトリル、ピリジン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
反応温度は、0~80℃、好ましくは0~20℃である。
反応時間は、0.1~24時間、好ましくは0.5~6時間である。
得られた所望の化合物(I-a)は、要すれば常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製することができる。
【0062】
A’法
【化61】

(式中、各記号は上記項目(1)と同義であり、PGはアミノ基の適切な保護基(例:Boc、Cbz等)であり、YおよびYは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル等が挙げられる。)
工程1
化合物(I-a’)を酸存在下、無溶媒もしくは適当な溶媒中でPGを脱保護すること、または金属触媒存在下、無溶媒もしくは適当な溶媒中で水素ガスと反応させ、PGを脱保護することにより、化合物(I-a’’)を得ることができる。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、TFA、ギ酸などが挙げられ、化合物(I-a’)に対して1.0モル当量またはそれ以上、好ましくは1.0~30モル当量使用することができる。
金属触媒としては、パラジウム-炭素(Pd/C)、アダムス触媒(PtO)、パールマン触媒(Pd(OH))、ロジウム-酸化アルミニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)などが挙げられ、化合物(I-a’)に対して0.01~100重量パーセント用いることができる。
水素気圧は、1~50気圧が挙げられる。なお、水素源として、シクロへキセン、1,4-シクロヘキサジエン、ギ酸、ギ酸アンモニウム等も用いることができる。
反応溶媒としては、アルコール類(例、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、イソプロパノールなど)、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタンなど)、DMF、DMSO、NMP、アセトニトリル、ピリジン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
反応温度は、0~80℃、好ましくは0~20℃である。
反応時間は、0.1~24時間、好ましくは0.5~6時間である。
得られた所望の化合物(I-a’’)は、要すれば常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製することができる。
【0063】
工程2
化合物(I-a’’)をおよび化合物(a-5)を、適切な還元剤、必要に応じて酢酸と適当な溶媒中で反応させることにより化合物(I-a’’’)を得ることができる。
還元剤としては、例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられ、化合物(I-a’’)に対して1.0モル当量またはそれ以上、好ましくは1.0~2.0モル当量使用することができる。
酢酸は、化合物(I-a’’)に対して1.0モル当量またはそれ以上、好ましくは1.0~2.0モル当量使用することができる。
反応溶媒としては、アルコール類(例、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、イソプロパノールなど)、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタンなど)、DMF、DMSO、NMP、アセトニトリル、ピリジン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
反応温度は、0~80℃、好ましくは0~20℃である。
反応時間は、0.1~24時間、好ましくは0.5~6時間である。
得られた所望の化合物(I-a’’’)は、要すれば常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製することができる。
【0064】
本発明に係る化合物は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有するため、パーキンソン病および/または認知症に伴う幻覚妄想の治療剤および/または予防剤として有用である。
さらに本発明に係る化合物は、医薬としての有用性を備えており、好ましくは、下記のいずれか、または複数の優れた特徴を有している。
a)CYP酵素(例えば、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4等)に対する阻害作用が弱い。
b)高いバイオアベイラビリティー、適度なクリアランス等良好な薬物動態を示す。
c)代謝安定性が高い。
d)CYP酵素(例えば、CYP3A4)に対し、本明細書に記載する測定条件の濃度範囲内で不可逆的阻害作用を示さない。
e)変異原性を有さない。
f)心血管系のリスクが低い。
g)高い溶解性を示す。
h)高いセロトニン5-HT2A受容体結合能を有している。
i)高いセロトニン5-HT2C受容体結合能を有している。
j)脳移行性が高い。
k)P-gp基質性が低い。
【0065】
本発明の医薬組成物は、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。非経口投与の方法としては、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳、膣内投与等が挙げられる。
【0066】
経口投与の場合は常法に従って、内用固形製剤(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、内用液剤(例えば、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)等の通常用いられるいずれの剤型に調製して投与すればよい。錠剤は、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であってもよく、散剤および顆粒剤はドライシロップであってもよく、カプセル剤は、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤であってもよい。
【0067】
非経口投与の場合は、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)等の通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンであってもよい。
【0068】
本発明に係る化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬組成物とすることができる。さらに、該医薬組成物は、本発明に係る化合物の有効量、剤型および/または各種医薬用添加剤を適宜変更することにより、小児用、高齢者用、重症患者用または手術用の医薬組成物とすることもできる。例えば、小児用医薬組成物は、新生児(出生後4週未満)、乳児(出生後4週~1歳未満)幼児(1歳以上7歳未満)、小児(7歳以上15歳未満)若しくは15歳~18歳の患者に投与されうる。例えば、高齢者用医薬組成物は、65歳以上の患者に投与されうる。
【0069】
本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、経口投与する場合、通常0.05~300mg/kg/日であり、好ましくは0.1~10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005~10mg/kg/日であり、好ましくは0.01~1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回~数回に分けて投与すれば良い。
【0070】
本発明に係る化合物は、該化合物の作用の増強または該化合物の投与量の低減等を目的として、抗パーキンソン病薬、抗アルツハイマー薬、抗精神病薬、抗うつ薬(以下、併用薬剤と称する)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明に係る化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明に係る化合物と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類以上の製剤として投与されてもよいし、それらの活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
【0071】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明に係る化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明に係る化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。
【0072】
抗パーキンソン病薬としては、例えば、レボドパ製剤等が挙げられる。
抗アルツハイマー薬としては、例えば、ドネペジル等が挙げられる。
抗精神病薬としては、例えば、クエチアピン等が挙げられる。
抗うつ薬としては、例えば、エスシタロプラム等が挙げられる。
【実施例0073】
以下に実施例および参考例、ならびに試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0074】
また、本明細書中で用いる略語は以下の意味を表す。
Boc:tert-ブトキシカルボニル
CDCl3:重クロロホルム
CDI:カルボニルジイミダゾール
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
NMP:N-メチルピロリドン
TFA:トリフルオロ酢酸
NMM:N-メチルモルホリン
THF:テトラヒドロフラン
PdCl(dppf):[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
【0075】
(化合物の同定方法)
各実施例で得られたNMR分析は400MHzで行い、DMSO-d、CDClを用いて測定した。また、NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
明細書中の保持時間(RT)は、LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析でのリテンションタイムを表し、以下の条件で測定した。
(測定条件1)
カラム: Shim-pack XR-ODS (2.2μm i.d.3.0x50mm)(Shimadzu)
流速:1.6mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸含有水溶液、[B]は0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジエント:3分間で10%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
(測定条件2)
カラム: ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 (1.7μm i.d.2.1x50mm)(Waters)
流速:0.8mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸含有水溶液、[B]は0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジエント:3.5分間で5%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
なお、明細書中、MS(m/z)との記載は、質量分析で観測された値を示す。
【実施例0076】
化合物(I-016)の合成
【化62】

工程1 化合物2の合成
5-フルオロピコリンアルデヒド(1.54g、12.3mmol)をエタノール(20mL)に溶解し、化合物1(2.00g、11.2mmol)(合成法はBioorganic and Medicinal Chemistry Letters、2015年、第25巻、第5号、pp.1053-1056に記載)を加え、80℃で30分間撹拌した。氷冷下で水素化ホウ素ナトリウム(506mg、13.4mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。酢酸エチル(10mL)を加え、室温でしばらく撹拌した。水(10mL)及び炭酸カリウム(2g)を加え、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を水(20mL)で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20-100% 酢酸エチル-ヘキサン)およびジオールシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20-100% 酢酸エチル-ヘキサン)により精製して、黄色油状物として化合物2(2.11g、7.30mmol、収率66%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.02 (6H, d, J = 6.8 Hz), 2.02-2.12 (1H, m), 3.71 (2H, d, J = 6.5 Hz), 3.76 (2H, s), 3.89 (2H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.25 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.29-7.40 (2H, m), 8.41 (1H, d, J = 2.0 Hz).
【0077】
工程2 化合物(I-016)の合成
カルボニルジイミダゾール(0.843g、5.20mmol)のアセトニトリル(3.0mL)懸濁液に、1-メチルピペリジン-4-アミン(0.634g、5.55mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液を室温で2分間かけて滴下した。反応液を室温で30分間撹拌した。化合物2(1.00g、3.47mmol)のアセトニトリル(5.0mL)溶液及びトリエチルアミン(0.961mL,6.94mmol)を加え、80℃で1.5時間撹拌した。別の反応容器で、カルボニルジイミダゾール(0.843g、5.20mmol)のアセトニトリル(3.0mL)懸濁液に、1-メチルピぺリジン-4-アミン(0.634g、5.55mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液を室温で2分間かけて滴下し、室温で30分間撹拌した。この反応液を化合物2の反応液に加え、80℃で1.5時間撹拌した。水(10mL)を加えて反応を停止させた。酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層は水(45mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(5mL)の混合液で3回、水(10mL)で1回洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をジオールシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-5% メタノール-クロロホルム)により精製して、無色油状物として化合物(I-016)(1.27g、2.97mmol、収率86%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.02 (6H, d, J = 6.8 Hz), 1.35-1.48 (2H, m), 1.86-2.00 (2H, m), 2.00-2.17 (3H, m), 2.25 (3H, s), 2.54-2.83 (2H, m), 3.61-3.73 (1H, m), 3.70 (2H, d, J = 6.5 Hz), 4.42 (2H, s), 4.49 (2H, s), 5.78 (1H, s), 6.84 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.03 (1H, dd, J = 8.5, 4.0 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.31 (1H, td, J = 8.4, 2.8 Hz), 8.35 (1H, d, J = 2.4 Hz).
[参考例1]
【0078】
化合物3の合成
【化63】

工程1 化合物3の合成
1-メチル-1-ピラゾール-3-カルバアルデヒド(2.50g、22.70mmol)のエタノール(25mL)溶液に、化合物1(3.39g、18.92mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。0℃に冷却後、水素化ホウ素ナトリウム(0.71g、18.92mmol)を加え、0℃で1.5時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加え、15分間攪拌した。20%炭酸カリウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製して化合物3(4.5g、収率87%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.01 (6H, d, J = 6.8 Hz), 2.04-2.10 (1H, m), 3.72 (2H, d, J = 10.2 Hz), 3.76 (2H, s), 3.80 (2H, s), 3.86 (3H, s), 6.17 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.85 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.23-7.28 (4H, m).
【実施例0079】
化合物(I-043)の合成
【化64】

工程1 化合物(I-043)の合成
1-メチルピペリジン-4-アミンおよび化合物3を用いて、実施例1の工程2と同様にして、黄色油状物として化合物(I-043)(126mg、0.304mmol、収率56%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.02 (6H, d, J = 6.8 Hz), 1.30-1.49 (2H, m), 1.85-1.96 (2H, m), 2.01-2.17 (3H, m), 2.25 (3H, s), 2.54-2.80 (2H, m), 3.61-3.74 (1H, m), 3.71 (2H, d, J = 6.5 Hz), 3.83 (3H, s), 4.26 (2H, s), 4.48 (2H, s), 5.36 (1H, d, J = 5.3 Hz), 5.89 (1H, d, J = 1.5 Hz), 6.85 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.23 (1H, d, J = 1.8 Hz).
【実施例0080】
化合物(I-028)の合成
【化65】

工程1 化合物5の合成
氷冷下、(S)-1-フェネチル-1-アミン(1.29g、10.7mmol)に化合物4(3.39g、18.92mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。ジエチルエーテル(60mL)を加え、室温で30分間攪拌した。生じた固体をろ過で除去した後、溶媒を減圧除去し、化合物5(2.8g、収率96%)を得た。
【0081】
工程2 化合物6の合成
-78℃の化合物5(2.8g、8.52mmol)のエタノール(28mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.16g、4.26mmol)を加え、-78℃で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製して化合物6(2.1g、収率75%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.29-0.50 (m, 4H), 1.30 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.45-1.70 (m, 2H), 2.18 (s, 1H), 2.92-3.06 (s, 1H), 3.28-3.49 (m, 3H), 3.83 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 8.7, 4.5 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 4.3 Hz, 4H).
【0082】
工程3 化合物7の合成
化合物6(157mg、0.48mmol)にメタノール(1.6mL)、ギ酸アンモニウム(150mg、2.38mmol)、および水酸化パラジウム炭素(40mg、0.14mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応液をろ過して水酸化パラジウム炭素を除去した。溶媒を減圧除去し、化合物7(102mg、収率95%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.32-0.50 (m, 4H), 1.45 (s, 9H), 1.50-1.62 (m, 1H), 1.80-1.88 (m, 1H), 2.62 (dd, J = 10.0, 6.4 Hz, 1H), 3.05 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 3.41 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.45-3.62 (m, 2H).
【0083】
工程4 化合物8の合成
化合物7および化合物3を用いて、実施例1の工程2と同様にして、化合物8を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.30 (1H, s), 0.42 (4H, s), 1.01 (3H, s), 1.03 (3H, s), 1.44 (9H, s), 1.61-1.64 (1H, m), 1.79 (1H, br s), 2.08-2.09 (1H, m), 3.14-3.17 (1H, m), 3.27-3.31 (1H, m), 3.47 (2H, br s), 3.70 (1H, s), 3.72 (1H, s), 3.82 (3H, s), 4.23 (2H, s), 4.47 (1H, d, J = 14.7 Hz), 4.52 (1H, d, J = 14.7 Hz), 5.65 (1H, s), 5.83 (1H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.24 (1H, s).
【0084】
工程5 化合物(I-028)の合成
化合物8にジクロロメタン(1.1mL)、トリフルオロ酢酸(230μL、2.99mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水(1mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル、酢酸エチル-メタノール)により精製して無色油状物として化合物(I-028)(38.8mg、収率41%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.14-0.18 (1H, m), 0.27-0.31 (1H, m), 0.35-0.37 (1H, m), 0.44-0.46 (1H, m), 1.02 (6H, d, J = 6.5 Hz), 1.56-1.57 (2H, m), 1.75-1.80 (1H, m), 2.08-2.09 (1H, m), 2.53 (1H, d, J = 13.0 Hz), 2.66 (1H, d, J = 13.0 Hz), 2.81-2.86 (1H, m), 2.91-2.93 (1H, m), 3.71 (3H, d, J = 6.5 Hz), 3.85 (3H, s), 4.25 (2H, s), 4.46 (1H, d, J = 15.1 Hz), 4.53 (1H, d, J = 15.3 Hz), 5.51 (1H, s), 5.85 (1H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.24 (1H, s).
【実施例0085】
化合物(I-037)の合成
【化66】

工程1 (I-037)の合成
化合物(I-028)(186.2mg、0.43mmol)にテトラヒドロフラン(1.1mL)、メタノール(1.1mL)、ホルムアルデヒド(36.2μL、1.31mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(186.0g、0.87mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水(1mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル、酢酸エチル-メタノール)により精製して無色油状物として化合物(I-037)(4.9mg、収率3%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.20-0.24 (1H, m), 0.33-0.36 (1H, br m), 0.40 (1H, dd, J = 8.8, 4.1 Hz), 0.46 (1H, dd, J = 8.8, 4.1 Hz), 1.01 (3H, s), 1.03 (3H, s), 1.85 (3H, s), 2.07-2.10 (2H, m), 2.15-2.18 (1H, br m), 2.23 (3H, s), 2.38-2.40 (2H, br m), 3.70 (1H, s), 3.72 (1H, s), 3.84 (3H, s), 4.26 (2H, s), 4.45 (1H, d, J = 15.2 Hz), 4.51 (1H, d, J = 15.2 Hz), 5.36 (1H, br s), 5.87 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.86 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.24 (1H, d, J = 1.9 Hz).
【実施例0086】
化合物(I-030)の合成
【化67】

工程1 化合物9の合成
4-フルオロベンゾニトリル(5.00g、41.3mmol)のジメチルスルホキシド(50.0mL)溶液に、イソブチルアミン(20.7mL、206mmol)及び炭酸セシウム(16.1g、49.5mmol)を加え、70℃で4時間撹拌した。反応液に水(200mL)を加え、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を水(100mL)で3回洗浄し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩化メチレン(37mL)に溶解し、二炭酸ジ-tert-ブチル(9.86mL、42.5mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.519g、4.25mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。4-ジメチルアミノピリジン(5.19g、42.5mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。二炭酸ジ-t-ブチル(9.86mL、42.5mmol)を加え、室温で5日間静置した。氷冷下、N-メチルピペリジン(9.45mL、85.0mmol)を加えて反応を停止させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-30% 酢酸エチル-ヘキサン)により精製して、白色固体として化合物9(2.32g、8.45mmol、収率20%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.87 (6H, d, J = 6.8 Hz), 1.45 (9H, s), 1.74-1.81 (1H, m), 3.54 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.35 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.62 (2H, d, J = 8.5 Hz).
【0087】
工程2 化合物10の合成
化合物9(750mg、2.73mmol)をメタノール(7.5mL)及び酢酸(0.75mL)に溶解させた。10%パラジウム炭素(375mg)を加え、1気圧水素雰囲気下室温で19時間撹拌した。酢酸エチル30mLを加え、セライトを通してろ過した。ろ液に10%炭酸カリウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を水(20mL)で2回洗浄し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30-100% 酢酸エチル-ヘキサン)により精製して、無色油状物として化合物10(488g、1.75mmol、収率64%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, d, J = 6.5 Hz), 1.43 (9H, s), 1.50-1.61 (2H, m), 1.72-1.79 (1H, m), 3.47 (2H, d, J = 7.3 Hz), 3.86 (2H, s), 7.16 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.27 (2H, d, J = 9.8 Hz).
【0088】
工程3、工程4および工程5 化合物(I-030)の合成
1-メチル-1-ピラゾール-3-カルバアルデヒドおよび化合物10を用いて、参考例1と同様にして、化合物11を合成し、実施例2の工程1と同様にして、化合物12を合成し、次いで実施例3の工程5と同様にして、無色油状物として化合物(I-030)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.97 (3H, s), 0.99 (3H, s), 1.39-1.41 (2H, m), 1.87-1.91 (3H, m), 2.08-2.11 (2H, br m), 2.24 (3H, s), 2.65 (2H, br s), 2.92 (2H, d, J = 4.3 Hz), 3.67 (2H, br s), 3.83 (3H, s), 4.28 (2H, s), 4.41 (2H, s), 5.28 (1H, br s), 5.92 (1H, d, J = 1.9 Hz), 6.56 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.10 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.23 (1H, d, J = 1.9 Hz).
【実施例0089】
化合物(I-112)の合成
【化68】
【0090】
工程1 化合物13の合成
2-フルオロ-4-ヒドロキシベンゾニトリル(5.00g、36.5mmol)をDMF(50mL)に溶解し、炭酸カリウム(15.12g、109mmol)、2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(5.52mL、38.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。水(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水(100mL)で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物13(7.90g、収率98%)を粗生成物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.41 (2H, q, J = 7.8 Hz), 6.72-6.89 (2H, m), 7.58-7.64 (1H, m).
【0091】
工程2
化合物13(4.17g、19.0mmol)をTHF(41.7mL)に溶解し、0.89mol/Lボラン-THF溶液(32.1mL、28.5mmol)を加え、70分間加熱還流した。氷冷下、2mol/L塩酸(28.5mL、57.1mmol)を加え、その後1時間加熱還流した。酢酸エチル(100mL)を加え、分液した。得られた水層に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(28.5mL、57.1mmol)を加え、クロロホルム(100mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、溶媒を減圧下留去して化合物14(1.46g、収率34%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.85 (2H, s), 4.33 (2H, q, J = 8.1 Hz), 6.65-6.70 (2H, m), 7.23-7.29 (1H, m).
【0092】
工程3 化合物15の合成
化合物14および2-シクロプロピル-4-オキサゾール-カルバアルデヒドを用いて、実施例1の工程1と同様にして、化合物15(614mg、収率61%)を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.98-1.08 (4H, m), 1.98-2.06 (1H, m), 3.65 (2H, s), 3.80 (2H, s), 4.29-4.36 (2H, m), 6.64-6.74 (2H, m), 7.30 (1H, t, J = 8.4 Hz), 7.35 (1H, s).
【0093】
工程4 化合物(I-112)の合成
化合物15および1-メチルピペリジン-4-アミンを用いて、実施例1の工程2と同様にして、化合物(I-112)(219mg、収率72%)を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.00-1.05 (4H, m), 1.45-1.57 (2H, m), 1.93-2.03 (3H, m), 2.08-2.17 (2H, m), 2.28 (3H, s), 2.72-2.81 (2H, m), 3.61-3.72 (1H, m), 4.09 (2H, s), 4.33 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.46 (2H, s), 6.07 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.63-6.73 (2H, m), 7.23 (1H, s), 7.39 (1H, t, J = 8.6 Hz).
【実施例0094】
化合物(I-086)の合成
【化69】

工程1 化合物16の合成
1-ブタノール(9.00g、121mmol)をDMF(56mL)およびTHF(14mL)に溶解し、氷冷下水素化ナトリウム(60w/w%、4.62g、116mmol)を加え、30分間撹拌した。氷冷下4-フロオロベンゾニトリル(7.00g、57.8mmol)のDMF(14mL)溶液を滴下し、室温で1時間撹拌した。水(300mL)でクエンチし、酢酸エチル(60mL)で2回抽出した。有機層を水(300mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物16(12.1g)を粗生成物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.98 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.44-1.55 (2H, m), 1.74-1.83 (2H, m), 4.00 (2H, t, J = 6.5 Hz), 6.93 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.57 (2H, d, J = 8.9 Hz).
【0095】
工程2 化合物17の合成
化合物16(12.1g、68.9mmol)をメタノール(217mL)に溶解し、酢酸(7.89mL、138mmol)および10w/w%炭素担持パラジウム(1.47g)を加え、1気圧水素雰囲気化2.5時間撹拌した。反応液をセライトを通してろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(150mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、溶媒を減圧下留去し、化合物17(12.1g、収率98%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.97 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.44-1.53 (2H, m), 1.71-1.81 (2H, m), 3.80 (2H, s), 3.95 (2H, t, J = 6.5 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.21 (2H, d, J = 8.5 Hz).
【0096】
工程3 化合物18の合成
化合物17および2-メチル-4-オキサゾール-カルバアルデヒドを用いて、実施例1の工程1と同様にして、化合物18(2.79g、収率90%)を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.97 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.42-1.55 (2H, m), 1.72-1.80 (2H, m), 2.44 (3H, s), 3.66 (2H, s), 3.74 (2H, s), 3.95 (2H, t, J = 6.5 Hz), 6.85 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.23 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.40 (1H, s).
【0097】
工程4 化合物(I-086)の合成
化合物18および1-メチルピペリジン-4-アミンを用いて、実施例1の工程2と同様にして、化合物(I-086)(0.125g、収率40%)を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.20 (1H, s), 7.18 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.84 (2H, d, J = 9.2 Hz), 5.60 (1H, s), 4.43 (2H, s), 4.16 (2H, s), 3.95 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.67 (1H, br s), 2.69 (2H, br s), 2.41 (3H, s), 2.26 (3H, s), 2.11 (2H, t, J = 9.4 Hz), 1.96-1.92 (2H, m), 1.78-1.74 (2H, m), 1.54-1.40 (4H, m), 0.98 (3H, t, J = 7.4 Hz).
【実施例0098】
化合物(I-108)の合成
【化70】

工程1 化合物20の合成
4-ブロモベンゾニトリル(2.0g、11mmol)をトルエン(10mL)に溶解し、プロピルボロン酸(1.45g、16.5mmol)、炭酸セシウム(8.95g、27.5mmol)およびPdCl(dppf)(0.40g、0.55mmol)を加え、窒素雰囲気下、100℃で8時間撹拌した。反応液をセライトを通してろ過した後、水(5mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、溶媒を減圧下留去しシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(ヘキサン/酢酸エチル)し、化合物20(1.40g、88%)を淡黄色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.94 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.66 (2H, sextet, J = 7.4 Hz), 2.64 (2H, J = 7.4 Hz), 7.27 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.57 (2H, d, J = 8.3 Hz).
【0099】
工程2 化合物21の合成
化合物20(1.39g)をTHF(13.9mL)に溶解し、窒素雰囲気下室温でボラン-THF錯体THF溶液(0.89mol/L)を16.1mL加え、3時間還流した。氷浴で冷やした後、2mol/L塩酸(14.4mL)をゆっくりと加え、その後2.5時間還流した。反応液を冷却後、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を2mol/L塩酸(5mL)で2回抽出した。水層を合わせて2mol/L水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にし、クロロホルム(20mL)で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、溶媒を減圧下留去し、化合物21(1.39g、97%)を無色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.94 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.63 (2H, sextet, J = 7.7 Hz), 2.57 (2H, t, J = 7.7 Hz), 3.83 (2H, s), 7.15 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.0 Hz).
【0100】
工程3 化合物22の合成
化合物21および2-メチル-4-オキサゾール-カルバアルデヒドを用いて、実施例1の工程1と同様にして、化合物22(680mg、収率83%)を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.93 (3H, t, J = 7.5 Hz), 1.63 (2H, sextet, J = 7.5 Hz), 2.43 (3H, s), 2.57 (2H, t, J = 7.5 Hz), 3.67 (2H, s), 3.78 (2H, s), 7.13 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.24 (2H, d, J = 8.0 Hz).
【0101】
工程4 化合物(I-108)の合成
化合物22および1-メチルピペリジン-4-アミンを用いて、実施例1の工程2と同様にして、化合物(I-108)(374mg、収率95%)を合成した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.93 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.40-1.50 (2H, m), 1.58-1.71 (2H, m), 1.92-1.96 (2H, m), 2.11 (2H, t, J = 10.2 Hz), 2.26 (3H, s), 2.41 (3H, s), 2.57 (2H, t, J = 7.6 Hz), 2.68 (2H, br), 3.69 (1H, br), 4.18 (2H, s), 4.47 (2H, s), 5.59 (1H, br), 7.13 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.18 (1H, s).
【0102】
上記一般的合成法および実施例に記載の方法に準じて、以下の化合物を合成した。構造および物性(LC/MSデータ、NMRスペクトル)を以下の表に示す。
なお、構造式中、「くさび形」および「破線」は立体配置を示す。特に、立体配置が記載された化合物において、「立体」の項目に「a」と記載されている化合物は、相対立体配置が特定されたラセミ体化合物である。「立体」の項目に「b」と記載されている化合物は、相対立体配置が特定されている、絶対配置不明の単一のエナンチオマーである。「立体」の項目に「c」と記載されている化合物は、化学構造に示した通りに立体が決定されていることを示す。
また、不斉炭素を形成する結合が実線で記載されている化合物において、「立体」の項目に「d」と記載されている化合物はラセミ体化合物である。「立体」の項目に「e」と記載されている化合物はラセミ体化合物かつそれらのジアステレオマー混合物である。「立体」の項目に「f」と記載されている化合物は立体配置が特定されていない単一のエナンチオマーである。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】

【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
【表7】
【0110】
【表8】
【0111】
【表9】
【0112】
【表10】
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】
【表13】
【0116】
【表14】
【0117】
【表15】
【0118】
【表16】
【0119】
【表17】
【0120】
【表18】
【0121】
【表19】
【0122】
【表20】
【0123】
【表21】
【0124】
【表22】
【0125】
【表23】
【0126】
【表24】
【0127】
【表25】
【0128】
【表26】
【0129】
【表27】
【0130】
【表28】
【0131】
【表29】
【0132】
以下に、本発明に係る化合物の生物試験例を記載する。本発明に係る化合物の生物試験には、以下の生物試験例に記載の試験手順またはそれと本質的に同じ試験手順を用いることができる。
本発明に係る式(I)または式(I’)で示される化合物は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有し、ヒトセロトニン5-HT2A受容体を拮抗するものであればよい。
本発明に係る式(I)または式(I’)で示される化合物は、セロトニン5-HT2Aおよび2C受容体拮抗および/または逆作動作用を有し、ヒトセロトニン5-HT2Aおよび2C受容体を拮抗するものであればよい。
具体的には、以下に記載する評価方法において、Ki値は5000nM以下が好ましく、より好ましくは、1000nM以下、さらに好ましくは100nM以下である。
【0133】
試験例1:5-HT2A受容体結合阻害試験
(各実験条件)
細胞膜:Jump-In HEK細胞膜(ヒト組換5-HT2A受容体を発現)
アッセイバッファー:NaCl 120mmol/L、MgCl・6HO 1mmol/L、KCl 5mmol/L、0.1%BSAおよびCaCl 2mmol/Lを含むTris-HCl 50mmol/L(pH7.4)
放射活性リガンド:下記手法で算出するKd値付近の[H]-Ketanserin
非特異的リガンド:Serotonin HCl
Kd値は細胞膜のロット変更時に算出した。あらかじめ、DMSOに溶解した1mmol/Lノンスペシフィックバインディング算出用化合物またはDMSOをマイクロプレートに0.5μL分注し、細胞膜をAssay bufferで希釈した。放射活性リガンド溶液は段階希釈し、液体シンチレーターでカウントを確認した。希釈した細胞膜を含むAssay bufferをマイクロプレートに50μL/well分注した。その後、放射活性リガンド溶液をマイクロプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。室温(25℃)で1.5時間静置した。この間にGF/B UniFilterプレートに50mmol/LTris-HCl (pH7.4)を50μL/well分注し、4℃で1時間以上静置した。その後、Cell harvester(PerkinElmer)でフィルトレーションを行った。GF/B UniFilterプレートの空きwellに放射活性リガンド溶液を10μL/well分注した。GF/B UniFilterプレートを室温で乾燥させた後に、MicroScinti20をGF/B UniFilterプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。GF/B UniFilterプレートを室温でオーバーナイト静置した。5-HT2A受容体と結合した[H]-Ketanserinの放射活性は、Microbeta2(PerkinElmer)を用いて測定時間1min/wellで測定した。測定値からSaturation curveを書き、Scatchard Plotの傾きからKd値を算出した。
(本発明に係る化合物の結合試験)
あらかじめ、DMSOに溶解した化合物溶液をマイクロプレートに0.5μL分注し、細胞膜およびホットリガンドをそれぞれAssay bufferで希釈した。その後、希釈した細胞膜を含むAssay bufferをマイクロプレートに50μL/well分注した。その後、放射活性リガンド溶液をマイクロプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。その後、室温(25℃)で1.5時間静置した。この間にGF/B UniFilterプレートに50mmol/L Tris-HCl (pH7.4)を50μL/well分注し、4℃で1時間以上静置した。その後、Cell harvester(PerkinElmer)でフィルトレーションを行った。GF/B UniFilterプレートを室温で乾燥させた後に、MicroScinti20をGF/B UniFilterプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。GF/B UniFilterプレートを室温でオーバーナイト静置した。5-HT2A受容体と結合した[H]-Ketanserinの放射活性は、Microbeta2(PerkinElmer)を用いて測定時間1min/wellで測定した。非特異的結合は、リガンド非標識の500μmol/L Serotonin HCl存在下、総結合は本発明に係る化合物非存在下(Vehicle)での[H]-Ketanserinの放射活性から算出した。最終的に用量反応曲線から、Ki値を算出した。
(本発明に係る化合物の結合活性は、以下の結合阻害率(%)から算出した。)
阻害率(%) = [1-(c-a)/(b-a)]×100
a ; 非特異結合の平均cpm
b ; 総結合の平均cpm
c ; 試験化合物存在下でのcpm
(結果)
本発明に係る化合物のヒトセロトニン5-HT2A受容体結合活性に関する評価結果を以下に示す。なお、Ki値は、10nM未満を「A」、10nM以上100nM未満を「B」、100nM以上5000nM以下を「C」とする。
化合物I-003:9.93nM
化合物I-004:4.51nM
化合物I-006:0.968nM
化合物I-015:45.5nM
化合物I-029:4.33nM
化合物I-030:2.17nM
化合物I-031:0.709nM
化合物I-033:4.01nM
化合物I-037:4.70nM
化合物I-043:2.14nM
化合物I-046:3.09nM
化合物I-086:0.503nM
化合物I-101:0.683nM
化合物I-102:0.642nM
化合物I-103:1.89nM
化合物I-104:0.952nM
化合物I-107:0.549nM
化合物I-109:0.430nM
化合物I-110:0.537nM
化合物I-117:0.820nM
化合物I-118:1.03nM
化合物I-122:0.824nM
【表30】

【表31】
【0134】
試験例2:5-HT2C受容体結合阻害試験
(各実験条件)
細胞膜:Jump-In HEK細胞膜(ヒト組換5-HT2C受容体を発現)
アッセイバッファー:NaCl 120mmol/L、MgCl・6HO 1mmol/L、KCl 5mmol/L、0.1%BSAおよびCaCl 2mmol/Lを含むTris-HCl 50mmol/L(pH7.4)
放射活性リガンド:下記手法で算出するKd値付近の[H]-Mesulergine
非特異的リガンド: Serotonin HCl
Kd値は細胞膜のロット変更時に算出した。あらかじめ、DMSOに溶解した1mmol/Lノンスペシフィックバインディング算出用化合物またはDMSOをマイクロプレートに0.5μL分注し、細胞膜をAssay bufferで希釈した。放射活性リガンド溶液は段階希釈し、液体シンチレーターでカウントを確認した。希釈した細胞膜を含むAssay bufferをマイクロプレートに50μL/well分注した。その後、放射活性リガンド溶液をマイクロプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。室温(25℃)で1.5時間静置した。この間にGF/B UniFilterプレートに50mmol/L Tris-HCl(pH7.4)を50μL/well分注し、4℃で1時間以上静置した。その後、Cell harvester(PerkinElmer)でフィルトレーションを行った。GF/B UniFilterプレートの空きwellに放射活性リガンド溶液を10μL/well分注した。GF/B UniFilterプレートを室温で乾燥させた後に、MicroScinti20をGF/B UniFilterプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。GF/B UniFilterプレートを室温でオーバーナイト静置した。5-HT2A受容体と結合した[H]-Ketanserinの放射活性は、Microbeta2(PerkinElmer)を用いて測定時間1min/wellで測定した。測定値からSaturation curveを書き、Scatchard Plotの傾きからKd値を算出した。
(本発明に係る化合物の結合試験)
あらかじめ、DMSOに溶解した化合物溶液をマイクロプレートに0.5μL分注し、細胞膜およびホットリガンドをそれぞれAssay bufferで希釈した。その後、希釈した細胞膜を含むAssay bufferをマイクロプレートに50μL/well分注した。その後、放射活性リガンド溶液をマイクロプレートに50μL/well分注し、プレートをシールした。その後、37℃で2時間静置した。この間にGF/B UniFilterプレートに50mmol/L Tris-HCl (pH7.4)を50μL/well分注し、4℃で1時間以上静置した。その後、Cell harvester(PerkinElmer)でフィルトレーションを行った。GF/B UniFilterプレートを室温で乾燥させた後に、MicroScinti20をGF/B UniFilterプレートに50μL/well分注し、シールした。GF/B UniFilterプレートを室温でオーバーナイト静置した。5-HT2A受容体と結合した[H]-Mesulergineの放射活性は、Microbeta2(PerkinElmer)を用いて測定時間1min/wellで測定した。非特異的結合は、リガンド非標識の500μmol/L Serotonin HCl存在下、総結合は本発明に係る化合物非存在下(Vehicle)での[H]-Mesulergineの放射活性から算出した。最終的に用量反応曲線から、Ki値を算出した。
(本発明に係る化合物の結合活性は、以下の結合阻害率(%)から算出した。)
阻害率(%) = [1-(c-a)/(b-a)]×100
a ; 非特異結合の平均cpm
b ; 総結合の平均cpm
c ; 試験化合物存在下でのcpm
(結果)
本発明に係る化合物のヒトセロトニン5-HT2C受容体結合阻害活性に関する評価結果を以下に示す。なお、Ki値は、10nM未満を「A」、10nM以上100nM未満を「B」、100nM以上5000nM以下を「C」とする。
化合物I-003:8.39nM
化合物I-004:11.5nM
化合物I-006:2.47nM
化合物I-015:136nM
化合物I-029:20.5nM
化合物I-030:7.76nM
化合物I-031:1.89nM
化合物I-033:28.9nM
化合物I-037:2.11nM
化合物I-043:3.07nM
化合物I-046:14.5nM
化合物I-086:0.241nM
化合物I-101:0.461nM
化合物I-102:0.412nM
化合物I-103:0.634nM
化合物I-104:0.484nM
化合物I-107:0.340nM
化合物I-109:0.463nM
化合物I-110:0.301nM
化合物I-117:0.315nM
化合物I-118:0.371nM
化合物I-122:0.281nM
【表32】

【表33】
【0135】
試験例3:hERG試験
本発明に係る化合物の心電図QT間隔延長リスク評価を目的として、human ether-a-go-go related gene (hERG)チャネルを発現させたCHO細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K電流(IKr)への本発明に係る化合物の作用を検討する。
全自動パッチクランプシステム(QPatch;Sophion Bioscience A/S)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を-80mVの膜電位に保持し、-50mVのリーク電位を与えた後、+20mVの脱分極刺激を2秒間、さらに-50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるIKrを記録する。ジメチルスルホキシドを0.1%に調整した細胞外液(NaCl:145 mmol/L、KCl:4 mmol/L、CaCl:2 mmol/L、MgCl:1 mmol/L、グルコース:10 mmol/L、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、pH=7.4)を媒体とし、媒体及び本発明に係る化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液をそれぞれ室温条件下で、15分以上細胞に適用させる。得られたIKrから、解析ソフト(QPatch Assay software;Sophion Bioscience A/S)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を計測する。媒体適用後の最大テール電流に対する本発明に係る化合物適用後の最大テール電流を阻害率として算出し、さらに陰性対照の阻害率結果を用いた補正を行うことで,本発明に係る化合物のIKrへの影響を評価する。なお、希釈濃度は、必要に応じて変更する。
【0136】
試験例3-2:hERG試験
本発明に係る化合物の心電図QT間隔延長リスク評価を目的として、human ether-a-go-go related gene (hERG)チャネルを発現させたCHO細胞を用いて、カリウムチャネルの活性を評価することで化合物の作用を検討する。
FluxORII Green Potassium IonCgannel Assayキット(インビトロジェン:モレキュラープローブ社)を用いて評価する。
384アッセイプレートに細胞を播種(8000cells/well/40μL)し、一晩インキュベート(37℃、5% CO)させる。培地をマイクロプレートウォッシャーでWash buffer(1xHBSS、20mM HEPES)に交換後、蛍光指示色素を培地に添加し、蛍光指示色素を細胞に取り込ませるため1時間インキュベート(37℃、5% CO)させる。
セルベースカイネティックアッセイシステムFLIPR(モレキュラーデバイス社)に細胞プレートを設置し、化合物を目的の濃度になるよう細胞に添加し10分反応させる。そこへ刺激物質であるカリウム及びタリウム混合液を加えるとカリウムチャネルが開口し、細胞内に流入したタリウムは蛍光指示色素と結合することで、細胞内の蛍光シグナルが増加し、カリウムチャネル電流が蛍光シグナルとして検出される。各濃度の阻害率はE-4031を細胞に終濃度10.3μmol/Lの濃度で添加した際のシグナル強度を阻害率100%、及びDMSOを終濃度0.7%で細胞に添加した際のシグナル強度を阻害率0%と規定し、各濃度のシグナル強度から阻害率を算出する。各濃度における阻害率からIC50を算出する。
【0137】
試験例4:BA試験
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)使用動物:マウスあるいはラットを使用する。
(2)飼育条件:マウスあるいはラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させる。
(3)投与量、群分けの設定:所定の投与量で経口投与および静脈内投与する。以下のように群を設定する。投与量は、必要に応じて化合物毎に変更する。
経口投与 2~60μmol/kgあるいは1~30mg/kg(n=2~3)
静脈内投与 1~30μmol/kgあるいは0.5~10mg/kg(n=2~3)
(4)投与液の調製:経口投与は溶液または懸濁液として投与する。静脈内投与は可溶化して投与する。
(5)投与方法:経口投与は、経口ゾンデにより強制的に胃内に投与する。静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与する。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明に係る化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定する。
(7)統計解析:血漿中本発明に係る化合物濃度推移について、モーメント解析法により血漿中濃度‐時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群の投与量比およびAUC比から本発明に係る化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出する。
なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0138】
試験例5:クリアランス評価試験
実験材料と方法
(1)使用動物:SDラットを使用する。
(2)飼育条件:SDラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させる。
(3)投与量、群分けの設定:静脈内投与を所定の投与量により投与した。以下のように群を設定する。
静脈内投与 1μmol/kg(n=2)
(4)投与液の調製:ジメチルスルホキシド/プロピレングリコール=1/1溶媒を用いて可溶化して投与する。
(5)投与方法:注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与する。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明に係る化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定する。
(7)統計解析:血漿中本発明に係る化合物濃度推移について、モーメント解析法により全身クリアランス(CLtot)を算出する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0139】
試験例6:代謝安定性試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームと本発明に係る化合物を一定時間反応させ、反応サンプルと未反応サンプルの比較により残存率を算出し、本発明に係る化合物が肝で代謝される程度を評価する。
ヒト肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris-HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分あるいは30分間反応させる(酸化的反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液の100μLに反応液50μLを添加、混合し、3000rpmで15分間遠心する。その遠心上清中の本発明に係る化合物をLC/MS/MSまたは固相抽出(SPE)/MSにて定量し、0分反応時の化合物量を100%として反応後の本発明に係る化合物の残存量を計算する。なお、加水分解反応はNADPH非存在下で、グルクロン酸抱合反応はNADPHに換えて5mmol/L UDP-グルクロン酸の存在下で反応を行い、以後同じ操作を実施する。希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0140】
試験例6-2:代謝安定性試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームと本発明に係る化合物を一定時間反応させ、反応サンプルと未反応サンプルの比較により残存率を算出し、本発明に係る化合物が肝で代謝される程度を評価した。
ヒト肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris-HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分あるいは30分間反応させた(酸化的反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液の140μLに反応液70μLを添加、混合し、3000rpmで15分間遠心した。その遠心上清中の本発明に係る化合物をLC/MS/MSまたは固相抽出(SPE)/MSにて定量し、0分反応時の化合物量を100%として反応後の本発明に係る化合物の残存率を計算した。
(結果)化合物濃度0.5μmol/Lでの残存率を示す。
化合物I-016:99.6%
化合物I-028:90.2%
化合物I-043:85.0%
化合物I-077:85.3%
化合物I-086:75.5%
化合物I-088:80.0%
化合物I-102:97.3%
【0141】
試験例7:P-gp基質試験
ヒトMDR1発現細胞または親細胞を単層培養したトランズウェル(登録商標、CORNING社)の片側に本発明に係る化合物を添加し、一定時間反応させる。MDR1発現細胞と親細胞についてApical側からBasolateral側方向(A→B)とBasolateral側からApical側方向(B→A)の膜透過係数を算出し,MDR1発現細胞と親細胞のEfflux Ratio(ER;B→AとA→Bの膜透過係数の比)値を算出する.MDR1発現細胞と親細胞のEfflux Ratio(ER値)を比較し、本発明に係る化合物がP-gp基質であるか否かを判断する。
【0142】
試験例8:MK801誘発運動亢進抑制試験
6-10週齢のWistar系雄性ラットを使用した。試験化合物の投与液調製には溶媒として30mmol/L HClを用いて溶解して使用、MK801の投与液調製には溶媒として生理食塩水を用い、溶解して使用した。MK801誘発運動亢進抑制試験メルクエスト社製のSCANET、データ集録プログラムSCL-40と透明プラスチック製ケージを利用し、以下のように実施した。
飼育室において、化合物投与液(溶媒または試験化合物溶解液)を皮下投与し、飼育ケージに戻した。30分後に、動物を実験室に搬入し、実験室馴化を行った。その15分後、静かにラットを取り出し、MK801投与液(溶媒またはMK801溶解液)を腹腔内投与し飼育ケージに戻した。腹腔投与から15分後にラットを取り出し、静かにSCANET内に入れ、運動量測定開始した。測定開始から30分後に測定を終了し、それぞれ個体の30分間の運動量を総計した。
試験結果の解析は以下の通り実施した。
試験化合物投与群と溶媒投与群において、One-way ANOVA(有意水準:両側5%)を行った。試験化合物投与群において、溶媒投与群と比較して有意な運動量の抑制を示した場合、抗精神病作用を有すると判断した。
上記試験の結果を図1および図2に示す。図中の●は溶媒投与時のラットの総自発運動活性を示し、■は本願実施例化合物(3mg/kg)投与時のラットの総自発運動活性を示し、▲は本願実施例化合物(10mg/kg)投与時のラットの総自発運動活性を示す。
【0143】
試験例8-2:MK801誘発運動亢進抑制試験
6-10週齢のWistar系雄性ラットを使用する。試験化合物の投与液調製には溶媒として30mmol/L HClを用いて溶解して使用、MK801の投与液調製には溶媒として生理食塩水を用い、溶解して使用する。MK801誘発運動亢進抑制試験メルクエスト社製のSCANET、データ集録プログラムSCL-40と透明プラスチック製ケージを利用し、以下のように実施する。
飼育室において、化合物投与液(溶媒または試験化合物溶解液)を皮下投与し、飼育ケージに戻す。30分後に、動物を実験室に搬入し、実験室馴化を行う。その15分後、静かにラットを取り出し、MK801投与液(溶媒またはMK801溶解液)を腹腔内投与し飼育ケージに戻す。腹腔投与から15分後にラットを取り出し、静かにSCANET内に入れ、運動量測定開始する。測定開始から30分後に測定を終了し、それぞれ個体の30分間の運動量を総計する。
試験結果の解析は以下の通り実施する。
試験化合物投与群と溶媒投与群において、Student-TTest(有意水準:両側5%)を行う。試験化合物投与群において、溶媒投与群と比較して有意な運動量の抑制を示した場合、抗精神病作用を有すると判断する。
【0144】
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
本発明の化合物は、任意の従来の経路により、特に、経腸、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経口で、例えば注射液剤または懸濁剤の形態で、局所で、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形態で、または経鼻形態または座剤形態で医薬組成物として投与することができる。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒にして、遊離形態または薬学的に許容される塩の形態の本発明の化合物を含む医薬組成物は、従来の方法で、混合、造粒またはコーティング法によって製造することができる。例えば、経口用組成物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等および有効成分等を含有する錠剤、顆粒剤、カプセル剤とすることができる。また、注射用組成物としては、溶液剤または懸濁剤とすることができ、滅菌されていてもよく、また、保存剤、安定化剤、緩衝化剤等を含有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明に係る化合物は、セロトニン5-HT2A受容体拮抗および/または逆作動作用を有し、セロトニン5-HT2A受容体が関与する疾患または状態の治療剤および/または予防剤として有用であると考えられる。
図1
図2