(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033679
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】HIV複製阻害作用を有する複素環誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 413/04 20060101AFI20240306BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240306BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240306BHJP
C07D 498/04 20060101ALI20240306BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240306BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240306BHJP
C07D 498/14 20060101ALI20240306BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240306BHJP
C07D 513/04 20060101ALI20240306BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20240306BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20240306BHJP
A61K 31/554 20060101ALI20240306BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C07D413/04 CSP
A61P31/12
A61P31/18
C07D498/04 116
C07D413/14
C07D417/14
C07D498/14
C07D471/04 104Z
C07D513/04 343
C07D519/00 301
C07D519/00
C07D513/04 391
A61K31/553
A61K31/554
C07D471/04 121
A61K31/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137414
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100209598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100219841
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 綾子
(72)【発明者】
【氏名】只野 元太
(72)【発明者】
【氏名】安尾 和也
(72)【発明者】
【氏名】岡野 梓
(72)【発明者】
【氏名】楠本 善史
(72)【発明者】
【氏名】堀口 透
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB02
4C063BB08
4C063CC57
4C063CC62
4C063CC78
4C063DD06
4C063DD10
4C063EE01
4C065AA04
4C065AA18
4C065BB04
4C065BB14
4C065CC01
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065HH02
4C065JJ01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP13
4C065PP18
4C072AA01
4C072AA06
4C072AA07
4C072BB02
4C072BB03
4C072BB06
4C072BB07
4C072CC02
4C072CC03
4C072CC11
4C072CC16
4C072EE09
4C072EE13
4C072EE19
4C072FF04
4C072FF07
4C072GG06
4C072GG07
4C072GG08
4C072GG09
4C072HH01
4C072HH02
4C072HH04
4C072HH05
4C072HH06
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4C072HH08
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC75
4C086BC82
4C086CB05
4C086CB11
4C086CB22
4C086CB27
4C086CB30
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の抗HIV薬とは基本骨格が異なり、またHIVの変異株や耐性株にも有効な新規の抗HIV薬を提供する。
【解決手段】本発明は、以下の式(I)で示される化合物を提供する。
(式中、A
1、A
2またはA
3はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、B
1、B
2、B
3またはB
4はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、X
1は、CR
4R
5等であり、R
4またはR
5は、それぞれ独立して水素等であり、X
2は、CR
7R
8等であり、R
7またはR
8は、それぞれ独立して水素等であり、R
1は置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基等であり、R
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシ等であり、R
3はそれぞれ独立して、ヒドロキシ等であり、nは0~3の整数であり、mは0~4の整数である)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
A
1、A
2およびA
3はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、A
1、A
2およびA
3を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0~2個であり、
B
1、B
2、B
3およびB
4はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、B
1、B
2、B
3およびB
4を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0~2個であり、
X
1は、CR
4R
5、NR
6、OまたはSであり、
R
4またはR
5は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、または置換もしくは非置換のアルキニルであり、
R
6は、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
X
2は、CR
7R
8、NR
9、OまたはSであり、
R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルケニルであり、
R
7とR
8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のエキソメチレンを形成してもよく、またはR
7とR
8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく、
R
9は水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
R
1は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり、
R
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のスルファモイルまたは以下の式:
【化2】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)であり、
R
3はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイル、または置換もしくは非置換のスルファモイルであり、および/または、隣接する2つのR
3が結合する環構成原子と一緒になって、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく、
nは0~3の整数であり、
mは0~4の整数である。)で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
R1が、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基である、請求項1記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項3】
R1が、置換もしくは非置換のフェニルまたは置換もしくは非置換のピペリジニルである、請求項1または2記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項4】
R
1が、
【化3】
(式中、R
1Aは、水素、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、R
1Bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルである。)で示される基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項5】
R
2が、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは以下の式:
【化4】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)である、請求項1~4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項6】
X1が、NR6であり、
R6が、水素、ハロゲンで置換されてもよいC1-C6アルキルである、請求項1~5のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項7】
X2が、CR7R8、OまたはSであり、
R7およびR8は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキルであり、
R7とR8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のエキソメチレンを形成してもよく、またはR7とR8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のC3-C6の非芳香族炭素環を形成してもよい、請求項1~6のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項8】
【化5】
で示される基が、
【化6】
(式中、環Dは置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、m-2は0~2の整数であり、R
3はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである)で示される基である、請求項1~7のいずれかに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項9】
環Dが置換もしくは非置換のベンゼン環、置換もしくは非置換のピリジン環、置換もしくは非置換のピラゾール環、置換もしくは非置換のシクロペンタン環、置換もしくは非置換のシクロヘキサン環または置換もしくは非置換のシクロヘプタン環である、請求項8記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項10】
【化7】
で示される基が、
【化8】
(式中、R
3Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基または置換もしくは非置換のカルバモイルであり、qは0~5の整数である。)で示される基である、請求項8記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項11】
式(I)が、以下の式(I-A):
(式中、
R
2Aは、水素、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは以下の式:
【化9】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)であり、
R
2Bは、水素、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基または置換もしくは非置換のカルバモイルであり、
その他の記号は、上記と同意義)である、請求項1~10のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、医薬組成物。
【請求項13】
抗ウイルス剤である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
抗HIV剤である、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~11のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、HIV感染症の治療および/または予防方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス作用を有する新規化合物、更に詳しくは、抗HIV薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスのなかでも、レトロウイルスの一種であるヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、以下HIVと略す)は、後天性免疫不全症候群(Acquired immunodeficiency syndrome、以下エイズ(AIDS)と略す)の原因となることが知られている。そのエイズの治療薬としては、これまでのところ逆転写酵素阻害剤(AZT、3TC等)、プロテアーゼ阻害剤(インディナビル等)、およびインテグラーゼ阻害剤(ラルテグラビル等)が主流であるが、腎臓障害等の副作用や耐性ウイルスの出現等の問題が判明しており、それらとは異なる作用メカニズムを有する抗HIV薬の開発が期待されている。
【0003】
また、エイズの治療においては、耐性ウイルスが容易に出現するという理由から、現在、多剤併用療法が効果的であると報告されている。抗HIV薬としては、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤の3種が臨床で使用されているが、同じ作用メカニズムを有する薬剤はしばしば交叉耐性を示し、または付加的な効果を示すに過ぎず、異なった作用メカニズムの抗HIV薬の開発が要望されている。
【0004】
このような状況下、新規メカニズムの抗HIV薬として、HIV-1 Integrase(IN)-Lens epitherium-derived growth factor(LEDGF)複合体アロステリック阻害剤が注目されている(非特許文献1)。また同作用を有する抗HIV薬として、特許文献1~42が報告されている。しかし、本発明の縮合環母核に直接カルボキシ基が結合している化合物は、これまで報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/147247号
【特許文献2】国際公開第2015/174511号
【特許文献3】国際公開第2015/179448号
【特許文献4】国際公開第2015/126376号
【特許文献5】国際公開第2015/126737号
【特許文献6】国際公開第2015/126726号
【特許文献7】国際公開第2015/126743号
【特許文献8】国際公開第2015/126758号
【特許文献9】国際公開第2015/127003号
【特許文献10】国際公開第2015/126765号
【特許文献11】国際公開第2015/126751号
【特許文献12】国際公開第2015/123230号
【特許文献13】国際公開第2015/123182号
【特許文献14】国際公開第2016/033009号
【特許文献15】国際公開第2016/005878号
【特許文献16】国際公開第2016/012930号
【特許文献17】国際公開第2016/012913号
【特許文献18】国際公開第2016/194806号
【特許文献19】国際公開第2017/006260号
【特許文献20】国際公開第2017/006261号
【特許文献21】国際公開第2017/006280号
【特許文献22】国際公開第2017/006281号
【特許文献23】国際公開第2017/025914号
【特許文献24】国際公開第2017/025915号
【特許文献25】国際公開第2017/025916号
【特許文献26】国際公開第2017/025917号
【特許文献27】国際公開第2017/025864号
【特許文献28】国際公開第2017/025913号
【特許文献29】国際公開第2017/029631号
【特許文献30】国際公開第2017/046707号
【特許文献31】国際公開第2017/093938号
【特許文献32】国際公開第2017/093937号
【特許文献33】国際公開第2017/093932号
【特許文献34】国際公開第2017/093930号
【特許文献35】国際公開第2017/195111号
【特許文献36】国際公開第2017/195112号
【特許文献37】国際公開第2017/195113号
【特許文献38】国際公開第2018/020357号
【特許文献39】国際公開第2018/064080号
【特許文献40】国際公開第2018/127801号
【特許文献41】国際公開第2018/127800号
【特許文献42】国際公開第2018/174320号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Expert. Opin. Ther. Patents (2014), 24(6), pages 609-632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、抗ウイルス活性を有する新規化合物を提供することである。本発明は、好ましくは、HIV複製阻害作用を有する抗HIV薬を提供する。より好ましくは、従来の抗HIV薬とは基本骨格が異なり、またHIVの変異株や耐性株にも有効な新規の抗HIV薬を提供する。さらに本発明は、それらの合成中間体や製法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、縮合複素環誘導体がHIV複製阻害剤として有用であることを見出した。さらに、本発明化合物およびそれらを含有する医薬が、抗ウイルス薬(例:抗レトロウイルス薬、抗HIV薬、抗HTLV-1(Human T cell leukemia virus type 1:ヒトT細胞白血病ウイルス1型)薬、抗FIV(Feline immunodeficiency virus :ネコエイズウイルス)薬、抗SIV(Simian immunodeficiency virus :サルエイズウイルス)薬)、特に抗HIV薬、抗AIDS薬、またはその関連疾患の治療薬等として有用であることを見出し、以下に示す本発明を完成した。
本発明は以下に関する。
【0009】
[1]式(I):
【化1】
(式中、
A
1、A
2およびA
3はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、A
1、A
2およびA
3を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0~2個であり、
B
1、B
2、B
3およびB
4はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、B
1、B
2、B
3およびB
4を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0~2個であり、
X
1は、CR
4R
5、NR
6、OまたはSであり、
R
4またはR
5は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、または置換もしくは非置換のアルキニルであり、
R
6は、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
X
2は、CR
7R
8、NR
9、OまたはSであり、
R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルケニルであり、
R
7とR
8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のエキソメチレンを形成してもよく、またはR
7とR
8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよく、
R
9は水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
R
1は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり、
R
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のスルファモイルまたは以下の式:
【化2】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)であり、
R
3はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイル、または置換もしくは非置換のスルファモイルであり、および/または、隣接する2つのR
3が結合する環構成原子と一緒になって、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよく、
nは0~3の整数であり、
mは0~4の整数である。)で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
[2]R
1が、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基である、[1]記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[3]R
1が、置換もしくは非置換のフェニルまたは置換もしくは非置換のピペリジニルである、[1]または[2]記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[4]R
1が、
【化3】
(式中、R
1Aは、水素、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、R
1Bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルである。)で示される基である、[1]~[3]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[5]R
2が、それぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは以下の式:
【化4】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)である、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[6]X
1が、NR
6であり、
R
6が、水素、ハロゲンで置換されてもよいC1-C6アルキルである、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[7]X
2が、CR
7R
8、OまたはSであり、
R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキルであり、
R
7とR
8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のエキソメチレンを形成してもよく、またはR
7とR
8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のC3-C6の非芳香族炭素環を形成してもよい、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[8]
【化5】
で示される基が、
【化6】
(式中、環Dは置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、m-2は0~2の整数であり、R
3はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである)で示される基である、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[9]環Dが置換もしくは非置換のベンゼン環、置換もしくは非置換のピリジン環、置換もしくは非置換のピラゾール環、置換もしくは非置換のシクロペンタン環、置換もしくは非置換のシクロヘキサン環または置換もしくは非置換のシクロヘプタン環である、[8]記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[10]
【化7】
で示される基が、
【化8】
(式中、R
3Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基または置換もしくは非置換のカルバモイルであり、qは0~5の整数である。)で示される基である、[8]記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[11]式(I)が、以下の式(I-A):
(式中、
R
2Aは、水素、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは以下の式:
【化9】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)であり、
R
2Bは、水素、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基または置換もしくは非置換のカルバモイルであり、
その他の記号は、上記と同意義)である、[1]~[10]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
[12][1]~[11]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する、医薬組成物。
[13]抗ウイルス剤である、[12]記載の医薬組成物。
[14]抗HIV剤である、[13]記載の医薬組成物。
[15][1]~[11]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、HIV感染症の治療および/または予防方法。
[16]HIV感染症の治療の治療および/または予防に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【0010】
本発明は更に以下の発明を提供する。
上記化合物またはその製薬上許容される塩をヒトに投与することを特徴とする、ウイルス感染症(例:HIV感染症)の治療および/または予防方法。
ウイルス感染症(例:HIV感染症)の治療および/または予防のための上記化合物またはその製薬上許容される塩。
【発明の効果】
【0011】
本発明化合物は、ウイルス、特にHIV(例:HIV-1)やその変異ウイルス、耐性ウイルスに対して複製阻害活性を有する。よって、ウイルス感染症(例:エイズ)等の予防または治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0013】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子、および塩素原子が好ましい。
【0014】
「アルキル」とは、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖または分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-へプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルが挙げられる。
【0015】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2~15、好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖または分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等が挙げられる。
「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルが挙げられる。
【0016】
「アルキニル」とは、任意の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2~10、好ましくは炭素数2~8、さらに好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖または分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等を包含する。これらはさらに任意の位置に二重結合を有していてもよい。
「アルキニル」の好ましい態様として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルが挙げられる。
【0017】
「アルキレン」とは、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖または分枝状の2価の炭化水素基を包含する。例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。
【0018】
「芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、芳香族炭化水素基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
「芳香族炭素環式基」の好ましい態様として、フェニルが挙げられる。
【0019】
「芳香族炭素環」とは、上記「芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0020】
「非芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。2環以上の「非芳香族炭素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化10】
単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3~16が好ましく、より好ましくは炭素数3~12、さらに好ましくは炭素数4~8である。例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル等が挙げられる。
「シクロアルキル」としては、炭素数3~10が好ましく、より好ましくは炭素数3~7であり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられる。
「シクロアルケニル」としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、炭素数8~13が好ましく、より好ましくは炭素数9~10である。例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、ジヒドロインデニル等が挙げられる。
【0021】
「非芳香族炭素環」とは、上記「非芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0022】
「芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、芳香族環式基を意味する。
2環以上の芳香族複素環式基は、単環または2環以上の芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
単環の芳香族複素環式基としては、5~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。5員芳香族複素環式基としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。6員芳香族複素環式基としては、例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等が挙げられる。
2環の芳香族複素環式基としては、8~10員が好ましく、より好ましくは9員または10員である。例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環式基としては、13~15員が好ましい。例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
【0023】
「芳香族複素環」とは、上記「芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
【0024】
「非芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、非芳香族環式基を意味する。2環以上の非芳香族複素環式基は、単環または2環以上の非芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」、および/または「芳香族複素環式基」におけるそれぞれの環が縮合したもの、さらに、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族複素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
さらに、「非芳香族複素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化11】
単環の非芳香族複素環式基としては、3~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。
3員非芳香族複素環式基としては、例えば、チイラニル、オキシラニル、アジリジニルが挙げられる。4員非芳香族複素環式基としては、例えば、オキセタニル、アゼチジニルが挙げられる。5員非芳香族複素環式基としては、例えば、オキサチオラニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、ジオキソラニル、ジオキソリル、チオラニル等が挙げられる。6員非芳香族複素環式基としては、例えば、ジオキサニル、チアニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキサジニル、チイニル、チアジニル等が挙げられる。7員非芳香族複素環式基としては、例えば、ヘキサヒドロアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、オキセパニルが挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環式基としては、8~20員が好ましく、より好ましくは8~10員である。例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル等が挙げられる。
【0025】
「非芳香族複素環」とは、上記「非芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
【0026】
本明細書中、「置換基群αで置換されていてもよい」とは、「置換基群αから選択される1以上の基で置換されていてもよい」ことを意味する。置換基群β、γ、γ’、E、FおよびGについても同様である。
【0027】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換エキソメチレン」、「置換アルキルオキシ」、「置換アルケニルオキシ」、「置換アルキニルオキシ」、「置換アルキルカルボニルオキシ」、「置換アルケニルカルボニルオキシ」、「置換アルキニルカルボニルオキシ」、「置換アルキルカルボニル」、「置換アルケニルカルボニル」、「置換アルキニルカルボニル」、「置換アルキルオキシカルボニル」、「置換アルケニルオキシカルボニル」、「置換アルキニルオキシカルボニル」、「置換アルキルスルファニル」、「置換アルケニルスルファニル」、「置換アルキニルスルファニル」、「置換アルキルスルフィニル」、「置換アルケニルスルフィニル」、「置換アルキニルスルフィニル」、「置換アルキルスルホニル」、「置換アルケニルスルホニル」、「置換アルキニルスルホニル」等の置換基としては、次の置換基群Aが挙げられる。任意の位置の炭素原子が次の置換基群Aから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群A:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ホルミルオキシ、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、ペンタフルオロチオ、トリアルキルシリル、
置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0028】
置換基群α:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニルおよびシアノ。
【0029】
置換基群β:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0030】
置換基群γ:置換基群α、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル。
【0031】
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ。
【0032】
「置換芳香族炭素環」、「置換芳香族複素環」、「置換芳香族炭素環式基」、「置換芳香族複素環式基」、「置換芳香族炭素環オキシ」、「置換芳香族複素環オキシ」、「置換芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換芳香族複素環カルボニルオキシ」、「置換芳香族炭素環カルボニル」、「置換芳香族複素環カルボニル」、「置換芳香族炭素環オキシカルボニル」、「置換芳香族複素環オキシカルボニル」、「置換芳香族炭素環スルファニル」、「置換芳香族複素環スルファニル」、「置換芳香族炭素環スルフィニル」、「置換芳香族複素環スルフィニル」、「置換芳香族炭素環スルホニル」および「置換芳香族複素環スルホニル」等の「芳香族炭素環」および「芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基群Bが挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基群Bから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群B:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ホルミルオキシ、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、ペンタフルオロチオ、トリアルキルシリル、
置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシアルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシアルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0033】
「置換非芳香族炭素環」、「置換非芳香族複素環」、「置換非芳香族炭素環式基」、「置換非芳香族複素環式基」、「置換非芳香族炭素環オキシ」、「置換非芳香族複素環オキシ」、「置換非芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換非芳香族複素環カルボニルオキシ」、「置換非芳香族炭素環カルボニル」、「置換非芳香族複素環カルボニル」、「置換非芳香族炭素環オキシカルボニル」、「置換非芳香族複素環オキシカルボニル」、「置換非芳香族炭素環スルファニル」、「置換非芳香族複素環スルファニル」、「置換非芳香族炭素環スルフィニル」、「置換非芳香族複素環スルフィニル」、「置換非芳香族炭素環スルホニル」および「置換非芳香族複素環スルホニル」等の「非芳香族炭素環」および「非芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基群Cが挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基群Cから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群C:置換基群Bおよびオキソ。
【0034】
「非芳香族炭素環」および「非芳香族複素環」が「オキソ」で置換されている場合、以下のように炭素原子上の2個の水素が置換されている環を意味する。
【化12】
【0035】
「置換アミノ」、「置換カルバモイル」および「置換スルファモイル」の置換基としては、次の置換基群Dが挙げられる。置換基群Dから選択される1または2の基で置換されていてもよい。
置換基群D:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0036】
式(I)で示される化合物における、各定義の好ましい態様を以下に示す。式(I)で示される化合物としては、以下に示される具体例のすべての組み合わせの態様が例示される。
【0037】
A1、A2およびA3はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、A1、A2およびA3を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0~2個である。
A1、A2およびA3は、好ましくはそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、A1、A2およびA3を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0または1個である。
より好ましくは、A1が炭素原子であり、A2が炭素原子であり、A3が窒素原子である。
【0038】
R
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のスルファモイルまたは以下の式:
【化13】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-、-SO
2-または-N=であり、
置換基群γ:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルオキシカルボニルおよびシクロプロパニル;
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ)である。
【0039】
R
2は、好ましくはそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のスルファモイルまたは以下の式:
【化14】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換基群Bで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群Bで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群Cで置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群Cで置換されていてもよい非芳香族複素環であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-または-SO
2-である)である。
【0040】
R
2は、より好ましくはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のスルファモイル、または以下の式:
【化15】
(式中、環Eおよび環Fは、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環または置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環であり、環Gは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環(置換基:置換基群B)、置換もしくは非置換の芳香族複素環(置換基:置換基群B)、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環(置換基:置換基群C)または置換もしくは非置換の非芳香族複素環(置換基:置換基群C)であり、Lは単結合、C1-C3アルキレン、-C(=O)-または-SO
2-である)である。
R
2は、好ましくはそれぞれ独立して、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基:アルキル、芳香族炭素環アルキル、芳香族炭素環カルボニル)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基:ハロゲン、芳香族炭素環式基、非芳香族炭素環式基)、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基:ハロゲン)、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基(置換基:ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロプロパニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル)、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基(置換基:ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロプロパニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル)、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基(置換基:ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロプロパニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル)、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基(置換基:ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロプロパニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル)である。
R
2の更に好ましい態様は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアミノ(置換基:C1-C3アルキル)、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル(置換基:ハロゲン)、置換もしくは非置換の6員の芳香族炭素環式基(置換基:ハロゲン、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルキルオキシ、ハロC1-C3アルキルオキシ、C1-C3アルキルアミノ)、置換もしくは非置換の6員の芳香族複素環式基(置換基:ハロゲン、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルキルオキシ、ハロC1-C3アルキルオキシ、C1-C3アルキルアミノ)、置換もしくは非置換の3~6員の非芳香族炭素環式基(置換基:ハロゲン)または置換もしくは非置換の4~6員の非芳香族複素環式基(置換基:ハロゲン)である。
【0041】
B1、B2、B3またはB4はそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、B1、B2、B3およびB4を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0~2個である。
B1、B2、B3またはB4は、好ましくはそれぞれ独立して、炭素原子または窒素原子であり、ここで、B1、B2、B3およびB4を構成原子として含む環の環構成原子の窒素原子の数は、0または1個である。
より好ましくは、B1、B2、B3およびB4が炭素原子である。
【0042】
【化16】
で示される基は、好ましくは以下の基が挙げられる。
【化17】
別の好ましい態様は、以下である。
【化18】
【0043】
【0044】
環Dは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環である。
環Dは、好ましくは、置換もしくは非置換の6員の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の6員の芳香族複素環、置換もしくは非置換の5~6員の非芳香族炭素環、置換もしくは非置換の5~6員の非芳香族複素環が挙げられ、さらに好ましくは、置換もしくは非置換のベンゼン環、置換もしくは非置換のピリジン環、置換もしくは非置換のシクロペンタン環、置換もしくは非置換のシクロヘキサン環、置換もしくは非置換のシクロヘプタン環等が挙げられる。
環Dの置換基としては、R3Aである。
【0045】
R3はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルファニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルファニル、置換もしくは非置換のアルキルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルフィニル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアルケニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキニルスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換のアルキニルオキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルファニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルファニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルフィニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルフィニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環スルホニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環スルホニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシカルボニル、置換もしくは非置換のカルバモイルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルであり、および/または、隣接する2つのR3が結合する環構成原子と一緒になって、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成してもよい。
R3は、好ましくはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基:アルキル)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基:ヒドロキシ、アルキルアミノ、アルキル(ベンジル)アミノ、アルキルオキシ、オキソで置換されてもよい非芳香族複素環式基、芳香族複素環オキシ)、置換もしくは非置換のアルケニル(置換基:ヒドロキシ、アルキルアミノ、アルキル(ベンジル)アミノ、アルキルオキシ、オキソで置換されてもよい非芳香族複素環式基、芳香族複素環オキシ)、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基:ハロゲン)、置換もしくは非置換のアルケニルオキシ(置換基:ハロゲン)、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基(置換基:アルキル)、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基(置換基:アルキル)、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基(置換基:アルキル)、置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基(置換基:オキソ、アルキル)、または置換もしくは非置換のカルバモイル(置換基:アルキル)であり、および/または、隣接する2つのR3が結合する環構成原子と一緒になって、置換もしくは非置換の芳香族炭素環(置換基:R3A)、置換もしくは非置換の芳香族複素環(置換基:R3A)または置換もしくは非置換の非芳香族炭素環(置換基:R3A)を形成してもよい。
【0046】
R3Aはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルケニルオキシまたは置換もしくは非置換のアルキニルオキシである。
R3Aは、好ましくはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基:アルキル)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基:ハロゲン)、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基:ハロゲン)、置換もしくは非置換のアルケニルオキシまたは置換もしくは非置換のアルキニルオキシである。
【0047】
X1は、CR4R5、NR6、OまたはSである。
X1は、好ましくは、NR6である。
【0048】
R4またはR5は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアルキニルである。
R4またはR5は、好ましくはそれぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C4アルキル(置換基:ハロゲン)である。
【0049】
R6は水素または置換もしくは非置換のアルキルである。
R6は、好ましくは、水素または置換もしくは非置換のC1-C6アルキル(置換基:ハロゲン)である。
【0050】
X2は、CR7R8、NR9、OまたはSである。
X2は、好ましくは、CR7R8、OまたはSであり、より好ましくはOである。
【0051】
R7またはR8は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルケニルであり、
R7とR8が一緒になって、置換もしくは非置換のエキソメチレンを形成してもよく、またはR7とR8が結合する炭素原子と結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環を形成してもよい。
R7またはR8は、好ましくはそれぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基:ハロゲン)または置換もしくは非置換のアルケニル(置換基:ハロゲン)であり、
R7とR8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のエキソメチレン(置換基:アルキル、ハロアルキル)を形成してもよく、またはR7とR8が結合する炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のC3-C6の非芳香族炭素環(置換基:ハロゲン)を形成してもよい。
【0052】
R9は水素または置換もしくは非置換のアルキルである。
R9は、好ましくは、水素または置換もしくは非置換のアルキル(置換基:ハロゲン)である。
【0053】
R1は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基である。
R1は、好ましくは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり、好ましくは5~7員であるが、縮合されていてもよく、架橋構造を有していてもよい。縮合環部分は、5~10員で、単環でも2環性でも良い。置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基としては、以下の式で示されるフェニル基が例示される。
R1の別の好ましい態様としては、置換基群Fで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群Fで置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群Fで置換されていてもよい芳香族複素環式基、または置換基群Fで置換されていてもよい非芳香族複素環式基である。R1のより好ましい態様としては、置換基群Fで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、または置換基群Fで置換されていてもよい非芳香族複素環式基である。
置換基群F:ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、オキソ、シアノ。
【0054】
R
1のさらに別の好ましい態様としては、以下の基が挙げられる。
【化20】
R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、好ましくは、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシハロアルキル、ハロアルキルオキシ、カルボキシ、カルバモイル、またはアルキルアミノであり、より好ましくは、水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、アルキルまたはアルキルオキシであり、さらに好ましくは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、アミノ、メチル、エチルまたはメチルオキシであり、特に好ましくは、水素、ハロゲン、シアノ、メチルまたはエチルである。
またR
11とR
12、R
12とR
13、R
13とR
14ならびにR
14とR
15は、それぞれ独立して、隣接する原子と一緒になって、置換もしくは非置換の芳香族炭素環、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環、置換もしくは非置換の芳香族複素環または置換もしくは非置換の非芳香族複素環を形成していても良い。これらの環は、好ましくは5~8員、より好ましくは5員または6員であり、6員がより好ましい。
【0055】
R1は、より好ましくは、1~2個の炭素環または複素環(例:5~7員環)と縮合していてもよい、フェニルまたは非芳香族炭素環式基であり、より好ましくは以下に例示される環式基である。該炭素環、複素環、フェニル、非芳香族炭素環式基、または以下の環式基上には、同一または異なる1~4個の置換基(例:ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、オキソ、シアノ)が存在していてもよい。
【0056】
R
1は、さらに好ましくは、以下の基である。
【化21】
【0057】
またR
1は、結合手をN原子上に有する環状アミン、好ましくは飽和の環状アミンであってもよい。該環状アミンは、置換、縮合および/または架橋されていてもよい5~7員複素環であり、環構成原子としてN原子、O原子および/またはS原子が含まれていてもよい。置換基として好ましくは、アルキル、シクロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ等である。該環状アミンとしては、以下が例示される。
【化22】
【0058】
またR
1は、以下に例示されるような、環内に2重結合を1または2本有する置換または非置換の非芳香族炭素環式基、環内に2重結合を1または2本有する置換または非置換の非芳香族複素環式基であってもよい。該炭素環式基または該複素環式基は、好ましくは5~7員である。置換基として好ましくは、アルキル、シクロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ等である。
【化23】
【0059】
さらにR
1は以下の群から選択されてもよい。
【化24】
【0060】
さらにR
1は以下の群から選択されてもよい。
【化25】
(式中、R
1Aは、水素、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、R
1Bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルである。)
R
1Aは、好ましくは水素、ハロゲン、C1-C3アルキルまたはハロC1-C3アルキルである。より好ましくはメチルまたはエチルである。
R
1Bは、好ましくはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-C3アルキルまたはハロC1-C3アルキルである。より好ましくはメチルである。
【0061】
式(I)で示される化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(例えば、ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、光学異性体、回転異性体等)、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。これらの異性体は、多くの場合、例えば光学分割、晶析、クロマト分離等により容易に分離可能であるが、便宜上、同一の平面構造式で表示される場合もある。
化合物(I)の異性体の一態様は、R1の環の向きによって特定される立体異性体を包含するが、本発明はそれらのすべての異性体およびラセミ体を包含する。
【0062】
式(I)で示される化合物の一つ以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。式(I)で示される化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。該同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、式(I)で示される化合物のすべての放射性標識体を包含する。また該「放射性標識体」を製造するための「放射性標識化方法」も本発明に包含され、該「放射性標識体」は、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である。
【0063】
式(I)で示される化合物の放射性標識体は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)で示されるトリチウム標識化合物は、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)で示される特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、式(I)で示される化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、“Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)”を参照することができる。14C-標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0064】
式(I)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、式(I)で示される化合物と、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0065】
本発明の式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)、共結晶および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物、共結晶および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、式(I)で示される化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。「共結晶」は、式(I)で示される化合物または塩とカウンター分子が同一結晶格子内に存在することを意味し、任意の数のカウンター分子を含んでいても良い。
【0066】
本発明の式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、プロドラッグを形成する場合があり、本発明はそのような各種のプロドラッグも包含する。プロドラッグは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理学的条件下でインビボにおいて薬学的に活性な本発明化合物となる化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解等を受けて式(I)で示される化合物に変換される化合物、胃酸等により加水分解されて式(I)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えば “Design of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam, 1985”に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性を有する場合がある。
【0067】
式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩がヒドロキシル基を有する場合は、例えば、ヒドロキシル基を有する化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物、適当なスルホニルクロライド、適当なスルホニルアンハイドライド及びミックスドアンハイドライドとを反応させることにより或いは縮合剤を用いて反応させることにより製造されるアシルオキシ誘導体やスルホニルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、CH3COO-、C2H5COO-、tert-BuCOO-、C15H31COO-、PhCOO-、(m-NaOOCPh)COO-、NaOOCCH2CH2COO-、CH3CH(NH2)COO-、CH2N(CH3)2COO-、CH3SO3-、CH3CH2SO3-、CF3SO3-、CH2FSO3-、CF3CH2SO3-、p-CH3O-PhSO3-、PhSO3-、p-CH3PhSO3-が挙げられる。
【0068】
本発明化合物は、HIV複製阻害作用を有するため、エイズ等、ウイルス感染症の治療剤および/または予防剤として有用である。
【0069】
(本発明の化合物の製造法)
本発明に係る式(I)で示される化合物は、例えば、下記に示す一般的合成法によって製造することができる。抽出、精製等は、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
本発明の化合物は、当該分野において公知の手法を参考にしながら合成することができる。
【0070】
(一般的合成法1)
【化26】
(式中、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンなどの脱離基;Rは置換または非置換のアルキル基;P1はBoc等のアミノ基の保護基;その他の記号は前記と同意義)
X
2がOの場合を例として記載しているが、Sでも同様に合成可能である。
【0071】
工程1
化合物a1とa2を反応させ、化合物a3を得ることができる。
化合物a2は、化合物a1に対して1~5モル当量用いることができる。
反応温度は、室温~150℃、好ましくは室温~100℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1~12時間である。
反応溶媒としては、メタノール、THF等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程2
化合物a3を酸存在下、イソシアニドと反応させることで、化合物a4を得ることができる。
酸としては、酢酸、TFA等が挙げられ、化合物a3に対して1~5モル当量用いることができる。
イソシアニドとしては、アルキルイソシアニド等が挙げられ、化合物a3に対して1~2モル当量用いることができる。
反応温度は、-10~80℃、好ましくは室温~70℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、メタノール、THF等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程3
化合物a4とa5に芳香族求核置換反応またはカップリング反応を行うことにより、化合物a6を得ることができる。カップリング反応としては、鈴木クロスカップリング、Ullmannクロスカップリング、根岸クロスカップリング、Stilleカップリング、Buchwald-Hartwigカップリング等が例示される。
金属触媒としては、酢酸パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド等が挙げられ、化合物a7に対して、0.001~0.5モル当量用いることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられ、化合物a7に対して、1~10モル当量用いることができる。
アミン、置換ボロン酸、置換ボロン酸エステル、置換スズアルキル、置換ハロゲン化亜鉛a5は、化合物a4に対して、1~10モル当量用いることができる。
添加剤としては、ヨウ化銅(I)、フッ化セシウム等が挙げられ、必要に応じて化合物a4に対して、0.05~1モル当量用いることができる。
反応温度は、0~250℃、好ましくは50~220℃であり、マイクロ波照射下で行うこともできる。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、NMP、ジオキサン、DMF、DME、THF、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
【0072】
工程4
化合物a6に求核置換反応、還元的アミノ化等のアルキル化を行うことで、化合物a7を得ることができる。
試薬としては、ヨウ化エチル、アセトアルデヒド等が挙げられ、化合物a6に対して、1~20モル当量用いることができる。
反応温度は、-78~40℃、好ましくは-50℃~室温である。
反応時間は、0.05~24時間、好ましくは0.1時間~12時間である。
反応溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、THF、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
【0073】
工程5
化合物a7のアミド基のアミノを保護することで、化合物a8を得ることができる。
試薬としては、Boc2O、AC2O、アセチルクロライド等を用いることができ、化合物a7に対して1~3モル当量用いることができる。
塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ピリジン、トリエチルアミン、DMAP等が挙げられ、化合物a7に対して1~5モル当量用いることができる。
反応温度は、室温~180℃、好ましくは60~150℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、トルエン、キシレン、THF等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程6
化合物a8を加水分解することで、化合物I-aを得ることができる。
塩基として、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等が挙げられ、化合物a8に対して、1~50モル当量用いることができる。
反応温度は、10~150℃、好ましくは30~110℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、メタノ一ル、THF、ジオキサン、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
【0074】
(一般的合成法2)
【化27】
(式中、P2はカルボキシ基の保護基;その他の記号は前記と同意義)
【0075】
工程1
化合物b1、b2、酸、イソシアニドを反応させ、化合物b3を得ることができる。
化合物b2は、化合物b1に対して1~5モル当量用いることができる。
酸としては、酢酸、TFA等が挙げられ、化合物b1に対して1~5モル当量用いることができる。
イソシアニドとしては、アルキルイソシアニド等が挙げられ、化合物b1に対して1~3モル当量用いることができる。
反応温度は、-10~80℃、好ましくは室温~70℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、メタノール、THF等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程2
化合物b3に分子内カップリング反応を行うことにより、化合物b4を得ることができる。カップリング反応としては、溝呂木・ヘック反応が例示される。
金属触媒としては、酢酸パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)等が挙げられ、化合物b3に対して、0.001~0.5モル当量用いることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられ、化合物b3に対して、1~10モル当量用いることができる。
反応温度は、0~180℃、好ましくは50~150℃である。マイクロ波照射下で行うことが好ましい。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、アセトニトリル、ヘキサフルオロイソプロパノール、NMP、ジオキサン、DMF、DME、THF、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
【0076】
工程3
化合物b4に求核置換反応、還元的アミノ化等のアルキル化を行うことで、化合物b5を得ることができる。
試薬としては、ヨウ化エチル、アセトアルデヒド等が挙げられ、化合物b4に対して、1~20モル当量用いることができる。
反応温度は、-78~40℃、好ましくは-50℃~室温である。
反応時間は、0.05~24時間、好ましくは0.1時間~12時間である。
反応溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、THF、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
【0077】
工程4
化合物b5のアミド基のアミノを保護することで、化合物b6を得ることができる。
試薬としては、Boc2O、Ac2O、アセチルクロライド等を用いることができ、化合物b5に対して1~3モル当量用いることができる。
塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ピリジン、トリエチルアミン、DMAP等が挙げられ、化合物b5に対して1~5モル当量用いることができる。
反応温度は、室温~180℃、好ましくは60~150℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、トルエン、キシレン、THF等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程5
化合物b6を加水分解することで、化合物b7を得ることができる。
塩基としては、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられ、化合物b6に対して1~10モル当量用いることができる。
反応温度は、室温~150℃、好ましくは60~110℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、ジオキサン、THF等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程6
化合物b7をアルキル化することで、化合物b8を得ることができる。
試薬として、TMSジアゾメタン、O-tert-ブチル-N,N’-ジイソプロピルイソ尿素等が挙げられ、化合物b7に対して1~5モル当量用いることができる。
反応温度は、-10~50℃、好ましくは0℃~室温である。
反応時間は、0.1~24時間、好ましくは0.5時間~12時間である。
反応溶媒としては、メタノールとジオキサン、THF等の混合溶媒が用いることができる。
工程7
化合物b8とb9に芳香族求核置換反応またはカップリング反応を行うことにより、化合物b10を得ることができる。カップリング反応としては、鈴木クロスカップリング、Ullmannクロスカップリング、根岸クロスカップリング、Stilleカップリング、Buchwald-Hartwigカップリング等が例示される。
金属触媒としては、酢酸パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、Xphos Pd G3、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド等が挙げられ、化合物b8に対して、0.001~0.5モル当量用いることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられ、化合物b8に対して、1~10モル当量用いることができる。
化合物b9としては、アミン、置換ボロン酸、置換ボロン酸エステル、置換スズアルキル、置換ハロゲン化亜鉛が挙げられ、化合物b8に対して、1~10モル当量用いることができる。
添加剤としては、ヨウ化銅(I)、フッ化セシウム等が挙げられ、必要に応じて化合物b8に対して、0.05~1モル当量用いることができる。
反応温度は、0~250℃、好ましくは50~220℃であり、マイクロ波照射下で行うこともできる。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、NMP、ジオキサン、DMF、DME、THF、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
工程8
化合物b10を加水分解することで、化合物I-bを得ることができる。
塩基として、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等が挙げられ、化合物b10に対して、1~50モル当量用いることができる。
反応温度は、10~150℃、好ましくは30~110℃である。
反応時間は、0.5~24時間、好ましくは1時間~12時間である。
反応溶媒としては、メタノ一ル、エタノール、THF、ジオキサン、水等が挙げられ、単独又は混合して用いることができる。
【0078】
本発明化合物は、HIV複製阻害作用を有するため、エイズ等、ウイルス感染症の治療剤および/または予防剤として有用である。
本発明化合物のHIV複製阻害作用は、例えば、後記試験例1および/または試験例2において、好ましくは、EC50値が100nM以下、より好ましくは50nM以下、さらに好ましくは20nM以下、特に好ましくは10nM以下である。同作用の評価としては、EC90値も使用可能である。
本発明化合物は、ウイルス、特にHIV(例:HIV-1)やその変異ウイルス、耐性ウイルスに対しての複製阻害活性のみならず、医薬としての有用性を備えており、下記の1つ以上の優れた特徴を有している。
a)血清タンパク存在下における抗ウイルス活性(例:PA-EC50、PA-EC90等)が良好である。
b)CYP酵素(例えば、CYP1A2,CYP2C9,CYP3A4,CYP2D6,CYP2C19等)に対する阻害作用が弱い。
c)血中濃度が高い、効果持続時間が長い、適度なクリアランス、適度なバイオアベイラビリティ等の良好な薬物動態を示す。
d)光毒性(例:光溶血作用等)、変異原性、心毒性(例:QTc延長等)、肝毒性、腎毒性、痙攣等の毒性を示さない。
e)CYP酵素(例えば、CYP3A4)に対し、本明細書に記載する測定条件の濃度範囲内で不可逆的阻害作用を示さず、MBI能が低い。
f)化合物の安定性(例えば、各種液性における溶液安定性、光安定性、着色安定性等)が高い。
g)代謝安定性が高い。
h)消化管障害(例:出血性腸炎、消化管潰瘍、消化管出血等)を起こさない。
i)本願化合物自身または他剤との組み合わせによる耐性ウイルス出現の頻度・確率が低い。
j)耐性ウイルスに対しても強い薬効を示す。
【0079】
本発明の医薬組成物は、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。非経口投与の方法としては、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳、膣内投与等が挙げられる。
【0080】
経口投与の場合は常法に従って、内用固形製剤(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、内用液剤(例えば、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)等の通常用いられるいずれの剤型に調製して投与すればよい。錠剤は、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であってもよく、散剤および顆粒剤はドライシロップであってもよく、カプセル剤は、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤であってもよい。
【0081】
非経口投与の場合は、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)等の通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンであってもよい。
【0082】
本発明化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬組成物とすることができる。さらに、該医薬組成物は、本発明化合物の有効量、剤型および/または各種医薬用添加剤を適宜変更することにより、小児用、高齢者用、重症患者用または手術用の医薬組成物とすることもできる。例えば、小児用医薬組成物は、新生児(出生後4週未満)、乳児(出生後4週~1歳未満)幼児(1歳以上7歳未満)、小児(7歳以上15歳未満)若しくは15歳~18歳の患者に投与されうる。例えば、高齢者用医薬組成物は、65歳以上の患者に投与されうる。
【0083】
本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、経口投与する場合、通常0.05~100mg/kg/日であり、好ましくは0.1~10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005~10mg/kg/日であり、好ましくは0.01~1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回~数回に分けて投与すれば良い。
【0084】
本発明化合物は、該化合物の作用の増強または該化合物の投与量の低減等を目的として、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、その他の抗HIV薬等(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明化合物と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類以上の製剤として投与されてもよいし、それらの活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
【0085】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。
また、本発明化合物は、遺伝子治療の分野において、HIVやMLVをもとにしたレトロウイルスベクターを用いる際に、目的の組織以外にレトロウイルスベクターの感染が広がるのを防止するために使用することができる。特に、試験管内で細胞等にベクターを感染しておいてから体内にもどすような場合に、本発明化合物を事前に投与しておくと、体内での余計な感染を防ぐことができる。
【0086】
以下に実施例および参考例、ならびに試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0087】
各実施例で得られたNMR分析は300MHzまたは400MHzで行い、DMSO-d6、CDCl3を用いて測定した。また、NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
実施例中、「No.」は化合物番号、「Structure」は化学構造、「MS」はLC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)での質量を表す。MS(m/z)は、以下の測定条件によって測定することができるが、これらの条件に限定されない。
【0088】
(LC/MS測定条件)
(1)カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 (1.7μm i.d.2.1x50mm)(Waters)
流速:0.8 mL/分;UV検出波長:254nm;
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液、[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
3.5分間で5%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
【0089】
(2)カラム:Shim-pack XR-ODS (2.2μm、i.d.50x3.0mm) (Shimadzu)
流速:1.6 mL/分;UV検出波長:254nm;
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液、[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジェント:3分間で10%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
【0090】
(略語)
Ac2O:無水酢酸
Boc:tert-ブトキシカルボニル
Boc2O:二炭酸ジ-tert-ブチル
DMAP:N,N-ジメチル-4-アミノピリジン
DME:1,2-ジメトキシエタン
DMEAD:アゾジカルボン酸ビス(2-メトキシエチル)
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート
IPE:イソプロピルエーテル
LHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド
mCPBA:メタクロロ過安息香酸
Me:メチル
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
mol/L:M
NBS:N-ブロモスクシンイミド
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
TBHP:tert-ブチルヒドロペルオキシド
tBu:tert-ブチル
THF:テトラヒドロフラン
TFA:トリフルオロ酢酸
TMS:トリメチルシリル
XantPhos Pd G3:[(4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)-2-(2′-アミノ-1,1′-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホナート
【0091】
【0092】
工程1
化合物c1(3.0g、14mmol)のメタノール(120mL)溶液に、1-アミノナフタレン-2-オール 塩酸塩(2.7g、14mmol)、トリエチルアミン(2.8ml、20mmol)を加え、65℃で1時間撹拌した。反応液にシクロヘキシルイソシアニド(5.0ml、41mmol)、TFA(3.7ml、48mmol)を加え、65℃で5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物c2(2.3g、収率38%)を得た。
MS(m/z) = 452 [M+H]+
工程2
化合物c2(1.0g、2.2mmol)のNMP(10mL)溶液に、4,4-ジメチルピペリジン(0.75g、6.6mmol)を加え、150℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物c3(1.2g、収率100%)を得た。
MS(m/z) = 529 [M+H]+
【0093】
工程3
化合物c3(1.2g、2.2mmol)のTHF(23mL)溶液に、-78℃下LHMDS(1.0M、6.6mL、6.6mmol)を加え、10分間撹拌した。反応液にヨウ化エチル(1.8ml、22mmol)を加え、-40℃で10分間撹拌した。反応液をクエン酸水溶液に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物c4(0.79g、収率64%)を得た。
m/z= 557 [M+H]+
工程4
化合物c4(0.79g、1.4mmol)のキシレン(7.9mL)の溶液に、Boc2O(6.6ml、28mmol)、DMAP(0.34g、2.8mmol)を加え、140℃で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、得られた固体をヘキサンで洗うことで化合物c5(0.35g、収率38%)を得た。
MS(m/z) = 657 [M+H]+
【0094】
工程5
化合物c5(0.35g、0.53mmol)のメタノール(4.9mL)とTHF(7.4mL)の溶液に、10%パラジウム炭素(0.11g)を加え、水素雰囲気化室温で3.5時間撹拌した。反応液をろ過し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物c6(0.33g、収率100%)を得た。
MS(m/z) = 627 [M+H]+
工程6
化合物c6(50mg、0.080mmol)のジクロロメタン(0.50mL)の溶液に、ピリジン(0.065ml、0.80mmol)、ナフタレン-1-スルホニルクロライド(72mg、0.32mmol)を加え、室温で19時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物c7(50mg、収率77%)を得た。
MS(m/z) = 817 [M+H]+
【0095】
工程7
化合物c7(50mg、0.061mmol)のジオキサン(1.8mL)の溶液に、水酸化リチウム水溶液(1.0M、0.43mL、0.43mmol)を加え、100℃で5時間加熱撹拌した。反応液を室温に冷却し、塩酸を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム-メタノール-水)で精製し、化合物c8(21mg、収率53%)を得た。
MS(m/z) = 636 [M+H]+
工程8
化合物c8(17mg、0.027mmol)をSFC光学分割し、化合物I-0059を単一の立体異性体(6.6mg)として得た。
SFC光学分割
カラム:CHIRALPAK IA/SFC (5μm、i.d.250x20mm)を2本直列で使用
流速:20mL/分
UV検出波長:220nm
分取条件:MeOH/CO2=60/40の組成比を維持して、42分間送液した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.00 (s, 6H), 1.07 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 2.05-2.13 (m, 1H), 2.49-2.61 (m, 1H), 2.67-2.77 (m, 3H), 3.03 (br s, 1H), 5.68 (s, 1H), 6.66 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 6.96 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.20-7.52 (m, 7H), 7.57-7.62 (m, 2H), 7.70-7.75 (m, 2H), 8.06 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 8.14-8.17 (m, 1H), 8.64 (d, 1H, J = 8.5 Hz).
【0096】
【0097】
工程1
化合物d1(2.7g、10mmol)のメタノール(50mL)溶液に、1-アミノナフタレン-2-オール(1.6g、10mmol)、TFA(0.79ml、10mmol)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応液にシクロヘキシルイソシアニド(2.6ml、20mmol)、TFA(1.58ml、20mmol)を加え、65℃で13.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にTHF(14mL)、メタノール(14mL)、2N水酸化ナトリウム水溶液(5.2ml、10mmol)を加え、室温で2.5時間攪拌した。反応液に2M塩酸を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d2(4.1g、収率78%)を得た。
MS(m/z) = 514[M+H]+
工程2
化合物d2(2.8g、5.5mmol)のNMP(13mL)溶液に、4,4-ジメチルピペリジン(7.7ml、55mmol)を加え、マイクロ波照射下220℃で2時間撹拌した。反応液に1M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d3(1.3g、収率49%)を得た。
MS(m/z) = 499 [M+H]+
【0098】
工程3
実施例1工程3と同様の反応を行うことで、化合物d4(1.1g、収率78%)を得た。
MS(m/z) = 527 [M+H]+
工程4
実施例1工程4と同様の反応を行うことで、化合物d5(0.32g、収率56%)を得た。
MS(m/z) = 627 [M+H]+
【0099】
工程5
化合物d5(0.38g、0.61mmol)のクロロホルム(4.0mL)溶液に、mCPBA(0.31g、1.8mmol)を加え、室温で2時間半撹拌した。反応液に重曹水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物d6(0.38g、収率96%)を得た。
MS(m/z) = 643 [M+H]+
工程6
化合物d6(0.38g、0.59mmol)のオキシ塩化リン(3.0mL)溶液に、テトラブチルアンモニウムクロリド(0.82g、3.0mmol)を加え、80℃で30分撹拌した。反応液をアセトニトリル-水溶液に加え、得られた反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて一時間攪拌した。反応液をジクロロメタンで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d7(0.27g、収率71%)を得た。
MS(m/z) = 661 [M+H]+
【0100】
工程7
化合物d7(0.25g、0.38mmol)のジオキサン(3.0mL)-水(3.0mL)溶液に、シアン化亜鉛(90mg、0.77mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(65mg、0.15mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(70mg、0.077mmol)を加え、110℃で5時間半撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d8(0.25g、収率100%)を得た。
MS(m/z) = 652 [M+H]+
工程8
化合物d8(0.25g、0.38mmol)のTHF(1.5mL)-エタノール(1.5mL)溶液に、10M水酸化ナトリウム水溶液(0.77mL、7.7mmol)を加え、90℃で17時間加熱した。反応液に1M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。
MS(m/z) = 490 [M+H]+
【0101】
工程9
粗生成物である化合物d9(0.38mmol)のメタノール(2.0mL)-ジクロロメタン(2.0mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルジアゾメタン(0.6Mヘキサン溶液、1.6mL、0.96mmol)を加え、1時間攪拌した。反応液に酢酸を加え、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d10(85mg、収率43%)を得た。
MS(m/z) = 518 [M+H]+
工程10
化合物d10(85mg、0.17mmol)のメタノール(1.0mL)-THF(1.0mL)溶液に、0℃で1M水酸化ナトリウム水溶液(0.99mL、0.99mmol)を加え、6時間攪拌した。反応液に1M塩酸を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。
MS(m/z) = 504 [M+H]+
【0102】
工程11
粗生成物である化合物d11(0.17mmol)のDMF(2.0mL)溶液に、4-クロロベンゼン-1,2-ジアミン(56mg、0.40mmol)、HATU(150mg、0.40mmol)、トリエチルアミン(0.11mL、0.79mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d12(62mg、収率60%)を得た。
MS(m/z) = 628 [M+H]+
工程12
化合物d12(62mg、0.098mmol)に、酢酸(1.0mL)を加え、80℃で14時間半攪拌した。反応液に5M水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物d13(39mg、収率65%)を得た。
MS(m/z) = 610 [M+H]+
【0103】
工程13
化合物d13(39mg、0.064mmol)のエタノール(1.5mL)溶液に、2M水酸化ナトリウム水溶液(0.64mL、1.3mmol)を加え、70℃で20時間半攪拌した。反応液に1M塩酸を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、固体化(ヘキサン-酢酸エチル)させ、化合物d14(14mg、収率36%)を得た。
MS(m/z) = 596 [M+H]+
工程14
化合物d14(26mg、0.037mmol)をSFC光学分割し、化合物I-0068を単一の立体異性体(10mg)として得た。
SFC光学分割
カラム:CHIRALPAK IE/SFC (5μm、i.d.250x20mm)を2本直列で使用
流速:30mL/分
UV検出波長:220nm
分取条件:EtOH/CO2=45/55の組成比を維持して、31分間送液した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.60 (1H, br s), 8.35 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.85-7.74 (2H, m), 7.67 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.56-7.51 (2H, m), 7.45-7.44 (1H, m), 7.35 (1H, d, J = 8.5 Hz), 6.00 (1H, s), 3.62-3.60 (1H, m), 3.34-3.32 (1H, m), 3.24-3.20 (1H, m), 3.08-3.06 (1H, m), 2.91 (3H, s), 2.88-2.80 (2H, m), 1.26-1.23 (7H, m), 1.06-1.03 (6H, m).
【0104】
【0105】
工程1
化合物e1(10g、45mmol)のDMF(100mL)溶液に、炭酸カリウム(12g、89mmol)、1-アミノナフタレン-2-オール 塩酸塩(8.7g、45mmol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(100mL)、水(250mL)を加え、析出した固体をろ取した。
MS(m/z) = 291 [M+H]+
工程2
化合物e2(2.4g、8.3mmol)のメタノール(40mL)溶液に、TFA(1.28mL、16.6mmol)、シクロヘキシルイソシアニド(2.0mL、16.6mmol)を加え、65℃で12時間撹拌した。固体をろ取後、メタノールで洗浄し、化合物e3(2.8g、収率65%)を得た。
MS(m/z) = 514 [M+H]+
【0106】
工程3
化合物e3(2.8g、5.5mmol)のTHF(15mL)-メタノール(15mL)溶液に、2M水酸化ナトリウム水溶液(5.5ml、11mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。固体をろ取後、メタノールで洗浄し、化合物e4(2.3g、収率100%)を得た。
MS(m/z) = 418 [M+H]+
工程4
化合物e4(2.3g、5.5mmol)のジクロロメタン(23mL)溶液に、ピリジン(3.6ml、43.7mmol)、塩化アセチル(1.56ml、22mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた固体をIPEで洗浄し、化合物e5(2.0g、収率81%)を得た。
MS(m/z) = 460 [M+H]+
【0107】
工程5
化合物e5(4.1g、8.8mmol)のエタノール(40mL)-水(20mL)溶液に、塩化アンモニウム(1.9g、35mmol)、鉄(2.0g、35mmol)を加え、80℃で2.5時間攪拌した。反応液にジクロロメタン(100mL)、飽和重曹水(100mL)を加え、セライト(登録商標)ろ過した。有機層を減圧濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄し、化合物e6(3.6g、収率96%)を得た。
MS(m/z) = 430 [M+H]+
工程6
化合物e6(8.3g、19mmol)のアセトニトリル(80mL)溶液に、0℃下NBS(3.3g、18mmol)を加え、0℃で2時間撹拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液、重曹水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、固体をろ取し、化合物e7(5.6g、収率60%)を得た。母液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物e7(2.5g、収率23%)を得た。
MS(m/z) = 508 [M+H]+
【0108】
工程7
化合物e7(11g、21mmol)のアセトニトリル(100mL)-水(10mL)溶液に、ヨウ化カリウム(1.0g、6.3mmol)を加え、62℃に加熱した。反応液にTBHP(27.5mL、200mmol)を2.5時間かけて滴下し、更に10時間攪拌した。反応液に重曹水、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、不溶物をろ過した。ろ液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、固体をろ取し、化合物e8(1.2g、収率10%)を得た。母液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物e8(2.6g、収率23%)を得た。
MS(m/z) = 538 [M+H]+
工程8、9
実施例1工程2と同様の反応を行うことで、化合物e9(1.8g、収率44%)を得た。
MS(m/z) = 571 [M+H]+
実施例3工程5と同様の反応を行うことで、化合物e10(1.1g、収率67%)を得た。
MS(m/z) = 541 [M+H]+
【0109】
工程10
化合物e10(1.1g、2.1mmol)のアセトニトリル(15mL)-水(1.5mL)溶液に、ヨウ化カリウム(1.7g、10mmol)、亜硝酸tert-ブチル(1.2mL、10mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液、重曹水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物e11(1.0g、収率76%)を得た。
MS(m/z) = 652 [M+H]+
工程11
実施例1工程4と同様の反応を行うことで、化合物e12(0.76g、収率64%)を得た。
MS(m/z) = 752 [M+H]+
【0110】
工程12
化合物e12(0.76g、1.0mmol)のTHF(7.0mL)の溶液に、テトラヒドロフラン-ボラン THF溶液(0.91M、4.4ml、4.0mmol)を加え、50℃で6時間攪拌した。反応液にメタノールを加え、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物e13(0.60g、収率81%)を得た。
MS(m/z) = 738 [M+H]+
工程13
実施例1工程7と同様の反応を行うことで、ラセミ化合物e14(0.43g、収率95%)を得た。
得られたラセミ化合物e14(0.43g)をSFC光学分割し、化合物e14を単一の立体異性体(69mg、収率15%)として得た。
SFC光学分割
カラム:CHIRALPAK IE/SFC (5μm、i.d.250x20mm)を2本直列で使用
流速:30 mL/分
UV検出波長:220nm
分取条件:MeOH/CO2=25/75の組成比を維持して、18分間送液した。
MS(m/z) = 557 [M+H]+
【0111】
工程14
実施例2工程9と同様の反応を行うことで、化合物e15(56mg、収率79%)を得た。
MS(m/z) = 571 [M+H]+
工程15
化合物e15(56mg、0.098mmol)のDMF(1.5mL)溶液に、4-ヒドロキシフェニルボロン酸ピナコール(43mg、0.20mmol)、2M炭酸カリウム水溶液(0.15ml、0.29mmol)、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(6.4mg、9.8μmol)を加え、100℃で3時間半撹拌した。反応液に1N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物e16(37mg、収率70%)を得た。
MS(m/z) = 537 [M+H]+
【0112】
工程16
化合物e16(37mg、0.068mmol)のTHF(1.5mL)溶液に、2-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル)エタン-1-オール(132mg、0.82mmol)、DMEAD(160mg、0.68mmol)、トリフェニルホスフィン(178mg、0.68mmol)を加え、50℃で11.5時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物e17(46mg、収率100%)を得た。
MS(m/z) = 681 [M+H]+
工程17
化合物e17(46mg、0.068mmol)のエタノール(2.0mL)溶液に、2M水酸化ナトリウム水溶液(0.34mL、0.68mmol)を加え、マイクロ波照射下150℃で1時間攪拌した。反応液にジエチルエーテル、水を加え逆抽出した。水層に1M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-0110(17mg、収率38%)を得た。
MS(m/z) = 667 [M+H]+
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.46 (1H, dd, J = 4.6, 1.3 Hz), 8.26 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.77 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.59 (1H, d, J = 8.9 Hz), 7.54-7.50 (1H, m), 7.47 (1H, d, J = 3.3 Hz), 7.40 (1H, t, J = 6.9 Hz), 7.23-7.20 (2H, m), 7.15 (1H, dd, J = 8.3, 4.6 Hz), 7.02 (2H, d, J = 1.1 Hz), 6.86 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.72 (1H, d, J = 2.8 Hz), 6.07 (1H, s), 4.56 (2H, t, J = 5.3 Hz), 4.33 (2H, t, J = 5.1 Hz), 3.18-3.15 (1H, m), 2.97-2.94 (1H, m), 2.89-2.87 (2H, m), 2.46-2.43 (2H, m), 1.49-1.45 (3H, m), 1.29-1.27 (3H, m), 1.14 (2H, t, J = 14.7 Hz), 0.88 (3H, s), 0.65 (3H, s).
【0113】
【0114】
工程1
化合物f1(12g、55mmol)のメタノール(66mL)溶液に、2-エテニル-6-メチルアニリン(7.4g、55mmol)、TFA(8.5ml、110mmol)を加え、1時間還流撹拌した。反応液にシクロヘキシルイソシアニド(13ml、110mmol)を加え、2時間還流撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物f2(5.5g、収率22%)を得た。
MS(m/z) = 462 [M+H]+
工程2
化合物f2(1.4g、3.1mmol)のアセトニトリル(14mL)-ヘキサフルオロイソプロパノール(5.8mL)溶液に、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.20g、0.31mmol)、炭酸カリウム(1.3g、9.2mmol)を加え、マイクロ波照射下120℃で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物f3(0.68g、収率58%)を得た。
MS(m/z) = 382 [M+H]+
【0115】
工程3
化合物f3(0.50g、1.3mmol)のジクロロメタン(7.5mL)、酢酸(0.75ml)溶液に、氷冷下アセトアルデヒド(0.74mL、13mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.4g、6.6mmol)を加え、氷冷下で30分間撹拌した。反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物f4(0.37g、収率68%)を得た。
MS(m/z) = 410 [M+H]+
工程4
実施例2工程4と同様の反応を行うことで、化合物f5(0.33g、収率73%)を得た。
MS(m/z) = 510 [M+H]+
【0116】
工程5
実施例1工程7と同様の反応を行うことで、化合物f6(0.18g、収率83%)を得た。
MS(m/z) = 329 [M+H]+
工程6
実施例2工程9と同様の反応を行うことで、化合物f7(0.17g、収率91%)を得た。
MS(m/z) = 343 [M+H]+
【0117】
工程7
化合物f7(0.13g、0.37mmol)の水(1.0mL)-テトラヒドロフラン(2.0mL)溶液に、4-メチルフェニルボロン酸(0.15g、1.1mmol)、Xphos G3(0.032g、0.037mmol)、リン酸カリウム(0.16g、0.75mmol)を加え、50℃で30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物f8(0.13g、収率89%)を得た。
MS(m/z) = 399 [M+H]+
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.64 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.24 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 2.59-2.76 (m, 2H), 3.50 (s, 3H), 5.28 (s, 1H), 5.65 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 5.78 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 6.95 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 7.11-7.16 (m, 2H), 7.21-7.32 (m, 5H), 8.57 (d, 1H, J = 4.9 Hz).
工程8
実施例2工程13と同様の反応を行うことで、化合物I-0122(0.022g、収率30%)を得た。
MS(m/z) = 385 [M+H]+
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.63 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.27 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 2.53-2.73 (m, 2H), 5.34 (s, 1H), 5.73 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 5.75 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 6.98 (t, 1H, J = 7.4 Hz), 7.15 (d, 1H, J = 7.4 Hz), 7.19 (d, 1H, J = 5.0 Hz), 7.27-7.31 (m, 4H), 7.35-7.39 (m, 1H), 8.59 (d, 1H, J = 5.0 Hz).
【0118】
【0119】
工程1
トリメチルスルホキソニウムヨージド(0.11g、0.50mmol)のDMSO(1.0mL)溶液に、カリウム tert-ブトキシド(0.042g、0.38mmol)を加え、室温で20分間撹拌した。反応液に化合物f8(0.050g、0.13mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液に氷冷下クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物f9(0.020g、収率39%)を得た。
MS(m/z) = 413 [M+H]+
工程2
実施例1工程7と同様の反応を行うことで、化合物I-0138(1.1mg、収率5.7%)を得た。
MS(m/z) = 399 [M+H]+
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.79 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.14-1.28 (m, 2H), 1.70-1.80 (m, 2H), 2.27 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.83 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 5.38 (s, 1H), 6.93 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 7.05 (d, 2H, J = 5.0 Hz), 7.13-7.16 (m, 1H), 7.31-7.22 (m, 4H), 8.44 (d, 1H, J = 5.0 Hz).
【0120】
【0121】
化合物I-0122(0.014g、0.036mmol)の酢酸エチル(1.4mL)溶液に、10%パラジウム炭素(0.013g)を加え、水素雰囲気下室温で4時間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物I-0139(2.6mg、収率19%)を得た。
MS(m/z) = 387 [M+H]+
1H-NMR (CDCl3) δ: 0.75 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 1.67 (d, 3H, J = 7.7 Hz), 2.25 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.61-2.80 (m, 2H), 4.87 (q, 1H, J = 7.7 Hz), 5.32 (s, 1H), 6.96-7.31 (m, 8H), 8.50 (d, 1H, J = 5.0 Hz).
【0122】
【0123】
工程1
化合物g1(17g、96mmol)のDMF(85mL)溶液に、トリエチルアミン(40mL、0.29mol)、4,4-ジメチルピペリジン(11g、0.10mol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物g2(21g、収率86%)を得た。
MS(m/z) = 253 [M+H]+
工程2
化合物g2(21g、81mmol)のDMF(410mL)溶液に、ジブロモイソシアヌル酸(23g、81mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、クロロホルムを加え、攪拌した。得られた混合液を濾過した。得られた有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物g3(14g、収率53%)を得た。
MS(m/z) = 331 [M+H]+
【0124】
工程3
化合物g3(28g、84mmol)、1-アミノナフタレン-2-オール(16g、0.10mol)のDMA(140mL)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(18mL、0.10mol)を加え、100℃で3時間攪拌した。反応液に水(140mL)を滴下し、放冷攪拌した。析出した固体を濾取し、水、メタノールで洗浄し、乾燥し、化合物g4(34g、収率92%)を得た。
MS(m/z) = 436 [M+H]+
工程4
化合物g4(33g、75mmol)、シクロヘキシルイソシアニド(46mL、0.38mol)のジクロロエタン(300mL)溶液に、TFA(43g、0.38mol)のジクロロエタン(27mL)溶液を、氷冷下加え、50℃で40分間攪拌した。反応液にメタノール(330mL)、2M水酸化ナトリウム水溶液(260mL)を、水浴下加え、50℃で40分間攪拌した。反応液に2M塩酸水溶液(75mL)、水(300mL)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(酢酸エチル-クロロホルム)で精製し、化合物g5(22g、収率53%)を得た。
MS(m/z) = 563 [M+H]+
【0125】
工程5
化合物g5(23g、40mmol)、アセトアルデヒド(11mL、0.20mol)および酢酸(12mL、0.20mol)のジクロロメタン(230mL)溶液に、氷浴下トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(26g、0.12mol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液に水(500mL)、炭酸水素ナトリウム(61g、0.73mol)を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、乾燥し、化合物g6(23g、収率95%)を得た。
MS(m/z) = 591 [M+H]+
工程6
実施例1工程4および工程7と同様の反応を行うことで、化合物g7(18g、79%)を得た。
MS(m/z) = 510 [M+H]+
【0126】
工程7
化合物g7(18g、35mmol)のクロロホルム(180mL)溶液に、2-tert-ブチル-1,3-ジイソプロピルイソ尿素(34mL、138mmol)を加え、50℃で2.5時間撹拌した。反応液に水(3.1mL、170mmol)を加え、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、得られた固体をヘキサン-ジイソプロピルエーテルで洗い、化合物g8(16g、収率82%)を得た。
MS(m/z) = 566 [M+H]+
工程8
化合物g8(16g、28mmol)をSFC光学分割し、化合物g9を単一の立体異性体(7.1g)として得た。
カラム:CHIRALPAK IE /SFC(5μm、i.d.250x20mm)を2本直列で使用
移動相 A: MeOH+0.1%DEA 65%, B: CO2 35%
流速:20 mL/分
UV検出波長:220nm
分取条件:MeOH+0.1%DEA/CO2=65/35の組成比を維持して、18分間送液した。
【0127】
工程9
化合物g9(40mg、0.071mmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(16mg、0.11mmol)、リン酸三カリウム(45mg、0.21mmol)のTHF(1.0mL)-水(0.10mL)溶液に、XPhos G3(6.0mg、7.1μmol)を加え、65℃で5時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物g10(40mg、収率95%)を得た。
MS(m/z) = 594 [M+H]+
工程10
化合物g10(40mg、0.067mmol)に、4M塩酸ジオキサン(1mL、4.00mmol)および水(0.20mL)を加え、室温で7時間攪拌した。反応液に2N水酸化ナトリウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ卜グラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物I-0189(32mg、87%)を得た。
MS(m/z) = 538 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.81 (br.s, 6 H) 1.16, 1.33 (m, 7H) 2.25-3.03 (m, 4H), 2.89 (br dd, J=13.18, 6.78 Hz, 1 H) 3.12 (dd, J=13.05, 7.28 Hz, 1 H) 3.65 (s, 1 H) 3.87 (s, 3 H) 5.80 (s, 1 H) 6.94, 6.99 (m, 2 H) 7.16, 7.22 (m, 3 H) 7.33, 7.39 (m, 1 H) 7.48 (ddd, J=8.31, 6.93, 1.19 Hz, 1 H) 7.53 (d, J=8.91 Hz, 1 H) 7.72 (d, J=7.91 Hz, 1 H) 7.88 (s, 1 H) 8.29 (d, J=8.53 Hz, 1 H)
【0128】
上記実施例や一般合成法に記載の方法に従い、市販の化合物または上記中間体から以下の化合物を合成した。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
各化合物の物理化学データを以下に示す。
表中に「MS」とあるのは、LC/MSでの質量(M+H)を表し、「Stereo」とあるのは、化合物が単一のエナンチオマー(Single)であるか、ラセミ体(Racemate)であるのか、ジアステレオマー混合物(Stereomixture)であるか、不明(Unknown)を表す。
【表32】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
以下に、本発明化合物の生物試験例を記載する。本発明化合物は、本質的に下記試験例のとおり試験することができる。
本発明に係る式(I)で示される化合物は、HIV複製阻害作用を有し、HIV複製を阻害するものであればよい。
具体的には、以下に記載する評価方法において、EC50は1000nM以下が好ましく、より好ましくは、100nM以下、さらにより好ましくは50nM以下である。
【0165】
試験例1 HIV複製阻害試験
HIV-1 NL432組み換え分子クローンのプラスミドを293T細胞に遺伝子導入し、培養2日後の上清を濾過してウイルス液とし、-80℃保存した。また、HIV-1のインテグラーゼ(IN)遺伝子上の124および125番目のアミノ酸はHIV-1感染患者において多型変異が確認されており、それらに対する薬効を確認するため、HIV-1 NL432組み換え分子クローンのIN遺伝子上に突然変異を導入して124および125番目のアミノ酸に関する変異ウイルスのプラスミドを作製し、上記の通りHIV含有上清を調製した。一方、各抗HIV活性物質を所定の濃度になるようにあらかじめ分注した384ウェルマイクロプレートに、10%牛胎児血清添加RPMI 1640培地で調製したMT-4細胞浮遊液を20μL(1250細胞)ずつ添加し、更に上記HIV含有上清を上記の培養培地で希釈したものを20μL(multiplicity of infection = 0.1~0.5 TCID
50 [50% tissue culture infectious dose])ずつ添加した。陽性コントロールとしてウイルスを添加しないウェルには培養培地のみを20μLずつ添加した。炭酸ガス培養器内で37℃、4日間培養した後、すべてのウェルにCellTiter-Glo(登録商標) 2.0試薬を10μLずつ添加し、室温で20分間プレートミキサーで混和し反応させた。マイクロプレートリーダーを用いて発光量を測定し、細胞生存率を指標に抗HIV活性を評価した。ウイルスによる細胞障害を50%抑制する化合物濃度をEC
50とした。
(結果)EC
50を以下に示す。
【表36】
【表37】
【0166】
試験例2 ポテンシーシフト値の算出
ヒト血清による抗HIV活性への影響を確認するために、ヒト血清を添加してEC50を算出した。HIV(HTLV-IIIB株)持続感染ヒトT細胞株Molt-4 clone8を培養し、上清を濾過してウイルス液とし、-80℃保存した。あらかじめ384ウェルマイクロプレートに所定の濃度になるように分注した各抗HIV活性物質に、50%ヒト血清/10%牛胎児血清添加RPMI 1640培地を20μLずつ添加し、室温で1時間静置した。ヒト血清非添加用のプレートには10%牛胎児血清添加RPMI 1640培地を添加した。3×10
4細胞/wellのMT-4細胞と、3μL/wellの適度な濃度に希釈したHIV液(multiplicity of infection = 0.005~0.025 TCID
50)を、必要ウェル数分混ぜ、37℃で1時間反応させた。また、陽性コントロールとして非感染細胞を3×10
4細胞/wellで必要ウェル数分調製した。感染細胞および非感染細胞を1200 rpmで5分間遠心し、上清を廃棄後、10%牛胎児血清添加RPMI 1640培地で再懸濁し、あらかじめ準備しておいた抗HIV活性物質およびヒト血清が入った384ウェルマイクロプレートに20μL(1500細胞)ずつ添加した。プレートミキサーで混和し、炭酸ガス培養器内で37℃、4日間培養した。試験例1と同様の方法にてヒト血清添加でのEC
50を算出し、ヒト血清存在下のEC
50/ヒト血清非存在下のEC
50の比をポテンシーシフト値として算出した。
(結果)ヒト血清25%添加時のポテンシーシフト値を以下に示す。
【表38】
ヒトの血中において、化合物は血清タンパクと結合し血中のフリー体量が減少し、抗ウイルス活性が低下することがある。HIVの分野においては、血中化合物濃度のトラフ値がPA-EC
90(Protein adjusted-EC
90)値を超えていれば薬効が出ることが知られている。臨床における抗ウイルス活性のより正確な予測を行うために、上記で算出したヒト血清25%添加時のポテンシーシフト値を用いて、下式に示す計算式によりヒト血清100%添加時のPA-EC
50値を外挿した。
PA-EC
50=EC
50×(ヒト血清25%添加時のポテンシーシフト値)×4
その結果、本発明化合物は良好なPA-EC
50値を示した。
【0167】
試験例3 CYP阻害試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームを用いて、ヒト主要CYP5分子種(CYP1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)の典型的基質代謝反応である7-エトキシレゾルフィンのO-脱エチル化(CYP1A2)、トルブタミドのメチル-水酸化(CYP2C9)、メフェニトインの4’-水酸化(CYP2C19)、デキストロメトルファンのO脱メチル化(CYP2D6)、テルフェナジンの水酸化(CYP3A4)を指標とし、それぞれの代謝物生成量が本発明化合物によって阻害される程度を評価する。
【0168】
反応条件は以下のとおり:基質、0.5μmol/L エトキシレゾルフィン(CYP1A2)、100μmol/L トルブタミド(CYP2C9)、30μmol/Lあるいは50μmol/L S-メフェニトイン(CYP2C19)、5μmol/L デキストロメトルファン(CYP2D6)、1μmol/L テルフェナジン(CYP3A4);反応時間、15分;反応温度、37℃;酵素、プールドヒト肝ミクロソーム0.2mg タンパク質/mL;本発明化合物濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
【0169】
96穴プレートに50mmol/L Hepes緩衝液中に各5種の基質、ヒト肝ミクロソーム、本発明化合物を上記組成で加え、補酵素であるNADPHを添加して、指標とする代謝反応を開始する。37℃、15分間反応した後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を添加することで反応を停止する。3000rpm、15分間の遠心後、遠心上清中のレゾルフィン(CYP1A2代謝物)を蛍光マルチラベルカウンタまたはLC/MS/MSで定量し、トルブタミド水酸化体(CYP2C9代謝物)、メフェニトイン4’水酸化体(CYP2C19代謝物)、デキストロルファン(CYP2D6代謝物)、テルフェナジンアルコール体(CYP3A4代謝物)をLC/MS/MSで定量する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0170】
本発明化合物の代わりに化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応溶液に添加したものをコントロール(100%)とし、残存活性(%)を算出し、濃度と抑制率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50を算出する。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験した。
【0171】
試験例3-2 CYP3A4(MDZ)MBI試験
本発明化合物のCYP3A4阻害に関して、本発明化合物の代謝反応に起因した阻害作用の増強からMechanism based inhibition(MBI)能を評価する試験である。プールドヒト肝ミクロソームを用いてミダゾラム(MDZ)の1-水酸化反応を指標としてCYP3A4阻害を評価する。
【0172】
反応条件は以下のとおり:基質、10μmol/L MDZ;プレ反応時間、0または30分;基質代謝反応時間、2分;反応温度、37℃;プールドヒト肝ミクロソーム、プレ反応時0.5mg/mL、反応時0.05mg/mL(10倍希釈時);本発明化合物プレ反応時の濃度、0.83、5、10、20μmol/Lあるいは1、5、10、20μmol/L(4点)。
【0173】
96穴プレートにプレ反応液としてK-Pi緩衝液(pH7.4)中にプールドヒト肝ミクロソーム、本発明化合物溶液を上記のプレ反応の組成で加え、別の96穴プレートに基質を含むK-Pi緩衝液で1/10希釈されるようにその一部を移行し、補酵素であるNADPHを添加して指標とする反応を開始し(Preincubataion 0min)、所定の時間反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を加えることによって反応を停止する。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加しプレ反応を開始し(Preincubataion 30min)、所定時間プレ反応後、別のプレートに基質を含むK-Pi緩衝液で1/10希釈されるように一部を移行し指標とする反応を開始する。所定の時間反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(V/V)溶液を加えることによって反応を停止する。それぞれの指標反応を行ったプレートを3000rpm、15分間の遠心後、遠心上清中の1-水酸化ミダゾラム をLC/MS/MSで定量する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験した。
【0174】
本発明化合物の代わりに化合物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応液に添加したものをコントロール(100%)とし、本発明化合物をそれぞれの濃度添加したときの残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりICを算出する。Preincubataion 0minのIC/Preincubataion 30minのICをShifted IC値とし,Shifted ICが1.5以上であればPositiveとし、Shifted ICが1.0以下であればNegativeとする。
【0175】
試験例4 静脈内投与試験
実験材料と方法
(1)使用動物:SDラットを使用する。
(2)飼育条件:SDラットは、飼料および水は自由摂取とする。
(3)投与量、群分けの設定:静脈内投与を所定の投与量により投与する。以下のように群を設定する。
静脈内投与 1μmol/kg(n=2)
(4)投与液の調製:ジメチルスルホキシド/プロピレングリコール=1/1溶媒を用いて可溶化して投与する。
(5)投与方法:注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与する。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、モーメント解析法により全身クリアランス(CLtot)、半減期(T1/2)を算出した。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験した。
【0176】
試験例5 代謝安定性試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームと本発明化合物を一定時間反応させ、反応サンプルと未反応サンプルの比較により残存率を算出し、本発明化合物が肝で代謝される程度を評価する。
【0177】
ヒト肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris-HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分あるいは30分間反応させる(酸化反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液の100μLに反応液50μLを添加、混合し、3000rpmで15分間遠心する。その遠心上清中の本発明化合物をLC/MS/MSまたは固相抽出(SPE)/MSにて定量し、0分反応時の化合物量を100%として反応後の本発明化合物の残存量を計算する。なお、加水分解反応はNADPH非存在下で、グルクロン酸抱合反応はNADPHに換えて5mmol/L UDP-グルクロン酸の存在下で反応を行い、以後同じ操作を実施する。希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験した。
【0178】
試験例6 Fluctuation Ames Test
本発明化合物の変異原性を評価する。
凍結保存しているネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98株、TA100株)20μLを10mL液体栄養培地(2.5% Oxoid nutrient broth No.2)に接種し37℃にて10時間、振盪前培養した。TA98株は7.70~8.00mLの菌液を遠心(2000×g、10分間)して培養液を除去する。遠心に用いた菌液と同容量のMicro F緩衝液(K2HPO4:3.5g/L、KH2PO4:1g/L、(NH4)2SO4:1g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物:0.25g/L、MgSO4・7H20:0.1g/L)に菌を懸濁し、120mLのExposure培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mLを含むMicroF緩衝液)に添加する。TA100株は3.10~3.42mLの菌液をExposure培地120~130mLに添加し試験菌液を調製する。本発明化合物DMSO溶液(最高用量50mg/mLから2~3倍公比で数段階希釈)、陰性対照としてDMSO、陽性対照として非代謝活性化条件ではTA98株に対しては50μg/mLの4-ニトロキノリン-1-オキシドDMSO溶液、TA100株に対しては0.25μg/mLの2-(2-フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリルアミドDMSO溶液、代謝活性化条件ではTA98株に対して40μg/mLの2-アミノアントラセンDMSO溶液、TA100株に対しては20μg/mLの2-アミノアントラセンDMSO溶液それぞれ12μLと試験菌液588μL(代謝活性化条件では試験菌液498μLとS9 mix 90μLの混合液)を混和し、37℃にて90分間、振盪培養する。本発明化合物を曝露した菌液460μLを、Indicator培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mL、ブロモクレゾールパープル:37.5μg/mLを含むMicroF緩衝液)2300μLに混和し、50μLずつマイクロプレート48ウェル/用量に分注し、37℃にて3日間、静置培養する。アミノ酸(ヒスチジン)合成酵素遺伝子の突然変異によって増殖能を獲得した菌を含むウェルは、pH変化により紫色から黄色に変色するため、1用量あたり48ウェル中の黄色に変色した菌増殖ウェルを計数し、陰性対照群と比較して評価する。変異原性が陰性のものを(-)、陽性のものを(+)として示す。
なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0179】
試験例7 hERG試験
本発明化合物の心電
図QT間隔延長リスク評価を目的として、human ether-a-go-go related gene (hERG)チャネルを発現させたCHO細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K
+電流(I
Kr)への本発明化合物の作用を検討する。
全自動パッチクランプシステム(QPatch;Sophion Bioscience A/S)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を-80mVの膜電位に保持し、-50mVのリーク電位を与えた後、+20mVの脱分極刺激を2秒間、さらに-50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるI
Krを記録する。ジメチルスルホキシドを0.1%に調整した細胞外液(NaCl:145 mmol/L、KCl:4 mmol/L、CaCl
2:2 mmol/L、MgCl
2:1 mmol/L、グルコース:10 mmol/L、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、pH=7.4)を媒体とし、媒体及び本発明化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液をそれぞれ室温条件下で、7分以上細胞に適用させる。得られたI
Krから、解析ソフト(QPatch Assay software;Sophion Bioscience A/S)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を計測する。さらに、媒体適用後の最大テール電流に対する本発明化合物適用後の最大テール電流を阻害率として算出し、本発明化合物のI
Krへの影響を評価する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0180】
試験例8 Ames試験
サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)TA98株、TA100株、TA1535株、TA1537株および大腸菌(Escherichia coli)WP2uvrA株を試験菌株としたAmes試験により、本発明化合物の変異原性を評価した。本発明化合物のDMSO溶液0.1mLに、代謝活性化条件ではS9mixを0.5mL、非代謝活性化条件ではリン酸緩衝液を0.5mLと試験菌液0.1mLを混和し、ヒスチジン及びビオチン、またはトリプトファン含有の重層用軟寒天2mLと共に最少グルコース寒天平板に重層する。同時に、陰性対照物質(DMSO)および陽性対照物質(2-(2-フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリルアミド、アジ化ナトリウム、9-アミノアクリジン、または2-アミノアントラセン)についても同様に実施した。37℃で48時間培養した後、出現した復帰変異コロニーを計数し、陰性対照群と比較して評価する。復帰変異コロニー数が濃度依存的に増加し、かつ陰性対照群のコロニー数の2倍以上となる場合を陽性(+)と判断する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
【0181】
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
本発明の化合物は、任意の従来の経路により、特に、経腸、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経口で、例えば注射液剤または懸濁剤の形態で、局所で、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形態で、または経鼻形態または座剤形態で医薬組成物として投与することができる。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒にして、遊離形態または薬学的に許容される塩の形態の本発明の化合物を含む医薬組成物は、従来の方法で、混合、造粒またはコーティング法によって製造することができる。例えば、経口用組成物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等および有効成分等を含有する錠剤、顆粒剤、カプセル剤とすることができる。また、注射用組成物としては、溶液剤または懸濁剤とすることができ、滅菌されていてもよく、また、保存剤、安定化剤、緩衝化剤等を含有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明に係る化合物は、エイズ等、ウイルス感染症の治療または予防剤、またはその中間体として有用である。