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特開2024-33692着色組成物、それを用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033692
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】着色組成物、それを用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240306BHJP
   C09B 25/00 20060101ALI20240306BHJP
   C09B 47/04 20060101ALI20240306BHJP
   C09B 47/10 20060101ALI20240306BHJP
   C09B 55/00 20060101ALI20240306BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240306BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G02B5/20 101
C09B25/00 B
C09B47/04
C09B47/10
C09B55/00 D
C09B67/20 G
C09D17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137441
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新戸 翔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【テーマコード(参考)】
2H148
4J037
【Fターム(参考)】
2H148BE13
2H148BE16
2H148BE18
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG11
2H148BH03
2H148BH17
4J037AA30
4J037CB08
4J037CB10
4J037EE08
4J037FF22
(57)【要約】
【課題】本発明は、保存安定性に優れ、薄膜であっても高明度、高コントラストで、かつ高温高湿環境下で異物が発生しにくい膜を形成できる着色組成物の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題は、着色剤(A)、樹脂(B)、及び有機溶剤(C)を含む着色組成物であって、
前記着色剤(A)が、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)、及びアゾメチン金属錯体顔料(A2)を含み、
前記着色組成物中での前記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)が、前記アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)より小さいことを特徴とする、着色組成物によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、樹脂(B)、及び有機溶剤(C)を含む着色組成物であって、
前記着色剤(A)が、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)、及びアゾメチン金属錯体顔料(A2)を含み、
前記着色組成物中での前記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)が、前記アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)より小さいことを特徴とする、着色組成物。
【請求項2】
顔料誘導体(D)を含む請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記顔料誘導体(D)の含有量が、前記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)100質量部に対して、0.1~50質量部である請求項2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記顔料誘導体(D)が、酸性顔料誘導体(D1)を含む請求項2に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)が、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59、及びC.I.ピグメントグリーン63からなる群から選択される1種以上を含む請求項1に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記着色剤(A)が、キノフタロン顔料(A3)を含む請求項1に記載の着色組成物。
【請求項7】
前記キノフタロン顔料(A3)が、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー231、及びC.I.ピグメントイエロー233からなる群から選択される1種以上を含む請求項6に記載の着色組成物。
【請求項8】
前記着色剤(A)が、金属フタロシアニン顔料(A4)(ただし、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)を除く)を含む請求項1に記載の着色組成物。
【請求項9】
重合性化合物(E)、及び重合開始剤(F)を含む請求項1に記載の着色組成物。
【請求項10】
前記着色剤(A)の含有量が、不揮発分100質量%中、25質量%以上である請求項1に記載の着色組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の着色組成物から形成されてなる膜。
【請求項12】
請求項11に記載の膜を有するカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項11に記載の膜を有する固体撮像素子。
【請求項14】
請求項11に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子、画像表示装置等に使用する着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置、有機EL表示装置、デジタルカメラ、スマートフォン、赤外線センサ等のカラーフィルタに用いられる着色剤は、耐性の観点から、顔料が用いられることが多く、緑色画素を形成する着色剤として、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料、及びアゾメチン金属錯体顔料を併用することが知られている。例えば、特許文献1には、フタロシアニン系顔料、及びアゾメチン銅錯体系顔料を含有するカラーフィルタ用顔料組成物が開示されている。また、特許文献2には、ピグメントグリーン7、及びピグメントイエロー129を含む着色感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/022051号
【特許文献2】特開2015-197677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2のいずれの組成物も顔料同士の平均二次粒子径の関係が悪く保存安定性が十分でないことが分かった。また、高温高湿環境下でカラーフィルタに異物が発生するということも分かった。
【0005】
本発明は、保存安定性に優れ、薄膜であっても高明度、高コントラストで、かつ高温高湿環境下で異物が発生しにくい膜を形成できる着色組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着色剤(A)、樹脂(B)、及び有機溶剤(C)を含む着色組成物であって、
前記着色剤(A)が、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)、及びアゾメチン金属錯体顔料(A2)を含み、
前記着色組成物中での前記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)が、前記アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)より小さいことを特徴とする、着色組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
上記の本発明によれば、保存安定性に優れ、薄膜であっても高明度、高コントラストで、かつ高温高湿環境下で異物が発生しにくい膜を形成できる着色組成物を提供できる。また、本発明は、膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び画像表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の着色組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0009】
本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
また、本発明における化合物の分子量に関しては、分子量が特定できる低分子化合物については、計算により算出した値、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物については、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、未反応状態であり、単量体単位は、単量体が重合後に樹脂を形成している状態である。
【0010】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、及び有機溶剤(C)を含む着色組成物であって、
前記着色剤(A)が、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)、及びアゾメチン金属錯体顔料(A2)を含み、
前記着色組成物中での前記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)が、前記アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)より小さいことを特徴とする。
【0011】
本発明において、二次粒子とは、着色組成物中で顔料の一次粒子が凝集して形成された粒子である。平均二次粒子径は、着色組成物中で二次粒子の体積基準の粒子径分布における小粒子側から50%体積積算部の二次粒子径であり、粒度分布測定装置を用いた動的光散乱測定によって得られた値である。
【0012】
上記構成の着色組成物で、本発明の課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
【0013】
アゾメチン金属錯体顔料(A2)は、分散安定性が悪い。そのため、着色組成物を長期保存した場合に会合・凝集し粘度が上昇しやすい。また、膜を高温高湿環境下に曝した場合にも会合・凝集し異物が発生しやすい。しかし、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)を、アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)より小さくすることで、アゾメチン金属錯体顔料(A2)の周囲にハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)が存在しやすくなり、着色組成物中や膜中でのアゾメチン金属錯体顔料(A2)の移動を妨げ会合・凝集し難くすると推測する。
【0014】
[着色剤(A)]
本発明の着色組成物は、着色剤(A)としてハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)、及びアゾメチン金属錯体顔料(A2)を含む。
【0015】
(ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1))
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)は、特に制限がなく、公知の顔料を使用できる。ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)を構成する金属としては、例えば、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等が挙げられる。これらの中でも、薄膜での明度、コントラストの観点から、亜鉛、アルミニウムが好ましく、アルミニウムがより好ましい。
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)を構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、単独又は2種類以上を併用して使用できる。これらの中でも、塩素、臭素が好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントグリーン7,36,37,58,59,63、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報、国際公開第2015/118720号、国際公開第2022/004261号、特許第4893859号公報、特開2016-57635号公報、特開2016-153481号公報、特開2017-197685号公報、特開2021-31652号公報、特開2021-54964号公報等に記載の顔料等が挙げられる。これらの中でも、薄膜での明度、コントラストの観点から、C.I.ピグメントグリーン58,59,63が好ましく、C.I.ピグメントグリーン63がより好ましい。
【0016】
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)は、明度、コントラストの観点から、50nm以上160nm以下が好ましく、70nm以上150nm以下がより好ましい。
【0017】
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0018】
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)は、着色剤(A)100質量%中、20~90質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましい。
【0019】
(アゾメチン金属錯体顔料(A2))
アゾメチン金属錯体顔料(A2)は、特に制限がなく、公知の顔料を使用できる。アゾメチン金属錯体顔料(A2)を構成する金属としては、例えば、銅、亜鉛等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー117,129、国際公開第2008/123294号、特開2016-176014号公報に記載の顔料等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、C.I.ピグメントイエロー129が好ましい。
【0020】
アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)は、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、60nm以上170nm以下が好ましく、80nm以上160nm以下がより好ましい。
【0021】
アゾメチン金属錯体顔料(A2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0022】
アゾメチン金属錯体顔料(A2)の含有量は、明度、保存安定性、及び高温高湿環境下での異物抑制の観点から、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)100質量部に対して、0.5~10質量部が好ましく、0.5~8質量部がより好ましく、0.5~6質量部が特に好ましい。
【0023】
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)の平均二次粒子径(SP)と、アゾメチン金属錯体顔料(A2)の平均二次粒子径(SP)の差は、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。なお、SPとSPの差の上限は100nmが好ましく、80nmがより好ましい。
【0024】
(キノフタロン顔料(A3))
本発明の着色組成物は、薄膜での明度、コントラストの観点から、キノフタロン顔料(A3)を含むことが好ましい。
【0025】
キノフタロン顔料(A3)は、特に制限がなく、公知の顔料を使用できる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー138,231,233、特許第4993026号公報、特許第5267696号公報、国際公開第2018/220994、国際公開第2018/159372号、国際公開第2020/012865号に記載の顔料等が挙げられる。これらの中でも、薄膜での明度、コントラストの観点から、C.I.ピグメントイエロー231,233がより好ましい。
【0026】
キノフタロン顔料(A3)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0027】
キノフタロン顔料(A3)は、着色剤(A)100質量%中、10~70質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましい。
【0028】
(金属フタロシアニン顔料(A4))
本発明の着色組成物は、硬化性の観点から、金属フタロシアニン顔料(A4)(但し、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)を除く)を含むことも好ましい。
【0029】
金属フタロシアニン顔料(A4)は、特に制限がなく、公知の顔料を使用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,75、C.I.ピグメントグリーン62等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15:3,15:4、C.I.ピグメントグリーン62が好ましい。
【0030】
金属フタロシアニン顔料(A4)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0031】
金属フタロシアニン顔料(A4)は、着色剤(A)100質量%中、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0032】
(その他顔料(A5))
本発明の着色組成物は、着色剤(A)として(A1)~(A4)以外の顔料(以下、単に、その他顔料(A5)ともいう)を含有できる。
【0033】
その他顔料(A5)は、特に制限がなく、公知の顔料を使用できる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,118,119,120,123,126,127,128,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,8,10,13,14,15,17,18,19,26,45,48,50,51,54,55、C.I.ピグメントブルー1,16,56,60,C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31,32等が挙げられる。
【0034】
また、シリカ、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等の無機顔料が挙げられる。
【0035】
(染料)
本発明の着色組成物は、着色剤(A)として染料を含有できる。
【0036】
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料は、これらの誘導体、または染料をレーキ化したレーキ顔料も使用できる。
【0037】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。直接染料は、酸性染料の無機塩、または酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物を形成することが好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性着色組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0038】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と造塩化する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0039】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0040】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0041】
着色剤(A)の含有量は、薄膜での明度、コントラストの観点から、着色組成物の不揮発分100質量%中、25質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上が特に好ましい。なお、含有量の上限は、60質量%以下が好ましい。
【0042】
[樹脂(B)]
本発明の着色組成物は、樹脂(B)を含む。
【0043】
樹脂(B)は、例えば、着色剤(A)を分散させる目的や、膜の耐性を付与させるための目的で用いる。なお、主に着色剤(A)を分散させるために用いる樹脂(B)を分散樹脂、主に膜の耐性を付与させるために用いる樹脂(B)をバインダー樹脂ともいう。樹脂(B)は、1種の樹脂で分散樹脂及びバインダー樹脂の両方の機能を有してもよい。ただし、樹脂(B)のこのような用途は一例であって、それ以外の目的で使用することもできる。
【0044】
樹脂(B)は、特に制限がなく、公知の樹脂を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0045】
樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、3,000~200,000が好ましく、4,000~150,000がより好ましい。
【0046】
樹脂(B)の含有量は、着色剤組成物の不揮発分100質量%中、1~60質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0047】
(樹脂(B1))
樹脂(B)は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、バインダー樹脂として脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)、及び重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を有する樹脂(B1)(以下、単に樹脂(B1)ともいう)を含むことが好ましい。疎水性が高く、剛直性な脂環式炭化水素構造は、強靭な膜を形成できる。更に、重合性不飽和基を有することで、露光により樹脂同士が架橋することで、膜中でアゾメチン金属錯体顔料(A2)の移動が抑制され高温高湿環境下で異物の発生が少ない膜が形成できると推測する。
【0048】
樹脂(B1)は、例えば、脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)を形成する単量体と、重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を形成する単量体との共重合体や、脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)を形成する単量体と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体に、重合性不飽和基を有する化合物を反応させて重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を導入した共重合体や、特開2008-165059号公報に記載の方法で得られた共重合体等が挙げられる。
【0049】
〔脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)〕
脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)を形成する単量体は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0050】
脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)の含有量は、樹脂(B1)の全構成単位中、1~60モル%が好ましく、1~40モル%がより好ましい。
【0051】
〔重合性不飽和基含有単量体単位(b2)〕
樹脂(B1)に、重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を導入する方法は、例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法がある。
【0052】
<方法(i)>
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体、及びその他単量体の重合体(前駆体)を重合する。次いで、前記前駆体のエポキシ基に、カルボキシル基含有単量体(変性化合物)を付加する。
【0053】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0054】
カルボキシル基含有単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0055】
エポキシ基含有単量体単位のエポキシ基に、カルボキシル基含有単量体のカルボキシル基を付加させた部位に、酸無水物を反応させた部位も重合性不飽和基含有単量体単位(b2)として好ましい。
【0056】
酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0057】
<方法(ii)>
方法(ii)は、例えば、まず、カルボキシル基含有単量体、及びその他単量体の重合体(前駆体)を重合する。次いで、前記前駆体のカルボキシル基にエポキシ基含有単量体(変性化合物)を付加する。
【0058】
<方法(iii)>
方法(iii)は、例えば、まず、水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、及びその他単量体の重合体(前駆体)を重合する。次いで、前記前駆体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体(変性化合物)のイソシアネート基を反応させる。
【0059】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0060】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0061】
重合性不飽和基含有単量体単位(b2)の含有量は、樹脂(B1)の全構成単位中、5~80モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましい。
【0062】
樹脂(B1)は、脂環式炭化水素含有単量体単位(b1)、及び重合性不飽和基含有単量体単位(b2)以外の単量体単位を含有できる。例えば、水酸基含有単量体単位(b3)、酸性基含有単量体単位(b4)、エポキシ基含有単量体単位(b5)、芳香環含有単量体単位(b6)、イソシアネート基含有単量体単位(b7)、及びその他単量体単位(b8)が挙げられる。これらの単量体単位は、単独又は2種類以上を含有できる。
【0063】
〔水酸基含有単量体単位(b3)〕
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0064】
〔酸性基含有単量体単位(b4)〕
酸性基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、けい皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0065】
〔エポキシ基含有単量体単位(b5)〕
エポキシ基含有単量体は、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0066】
〔芳香環含有単量体単位(b6)〕
芳香環含有単量体は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、フェノールEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO又はPO変性(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0067】
〔イソシアネート基含有単量体単位(b7)〕
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。また、2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネート化合物との等モル反応生成物も使用できる。
【0068】
また、イソシアネート基含有単量体は、イソシアネート基を、熱で離脱する化合物(ブロック剤)で保護したブロックイソシアネート基含有単量体であってもよい。
【0069】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、イミド化合物、尿素化合物、イミン化合物、及び重亜硫酸塩化合物等が挙げられる。
【0070】
オキシム化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等が挙げられる。これらの中でも、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
ラクタム化合物としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、エチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ナフトール、p-ニトロフェノール等が挙げられる。これらの中でも、3,5-キシレノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチルが好ましい。
アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコールが挙げられる。
アミン化合物としては、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等が挙げられる。
活性メチレン化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられ、マロン酸ジエチルが好ましい。
ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられ、3,5-ジメチルピラゾールが好ましい。
メルカプタン化合物としては、ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。
イミド化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、マレイミド、フタルイミド等が挙げられる。
尿素化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
イミン化合物としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
重亜硫酸塩化合物としては、重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0071】
ブロック剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0072】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、保護反応、脱保護反応の観点から、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0073】
ブロックイソシアネート基含有単量体は、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0074】
【化1】
【0075】
ブロックイソシアネート基含有単量体の市販品としては、昭和電工社製のカレンズMOI-DEM(ブロック剤の脱離温度:85~95℃),MOI-BP(ブロック剤の脱離温度:105~115℃),MOI-BM(ブロック剤の脱離温度:125~135℃)等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0076】
〔その他単量体単位(b8)〕
その他単量体は、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン等のN-置換マレイミド類;
ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0077】
(樹脂(B2))
樹脂(B)は、分散樹脂として樹脂(B2)を含むことが好ましい。
【0078】
樹脂(B2)は、着色剤(A)に親和性が高い吸着基を有している樹脂が好ましい。吸着基は、塩基性基、及び酸性基のうち1種以上有していることが好ましい。
【0079】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、及び含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0080】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、及びスルホン酸基等が挙げられる。
【0081】
樹脂(B2)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0082】
樹脂(B2)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、及び星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散性の観点から、ブロック構造、又はくし型構造が好ましい。
【0083】
本発明の着色組成物は、保存安定性の観点から、樹脂(B2)として塩基性基を有する樹脂(B2a)を含むことがより好ましい。
【0084】
塩基性基を有する樹脂(B2a)は、塩基性基として、下記一般式(1)~(3)で表される単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体単位を有することが好ましい。
【0085】
一般式(1)
【化2】

【0086】
一般式(1)中、R1~R3は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を表し、R1~R3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R4は、水素原子、又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を表し、Yは対アニオンを表す。
【0087】
一般式(2)
【化3】

【0088】
一般式(2)中、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を表し、R、及びRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。Rは水素原子、又はメチル基を表し、Xは2価の連結基を表す。
【0089】
一般式(3)
【化4】


【0090】
一般式(3)中、Rは水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、又はOR12を表し、R12は、水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~12のアラルキル基、又はアシル基を表し、R、R、R10、R11は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、又はフェニル基を示す。Rは、水素原子、またはメチル基を表し、Xは2価の連結基を表す。
【0091】
一般式(1)におけるR~Rは、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~16のアラルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
【0092】
一般式(2)におけるR5、R6は、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
【0093】
一般式(3)のRにおいて、炭素原子数1~18のアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。
炭素原子数6~20のアリール基は、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
炭素原子数7~12のアラルキル基は、例えば、炭素原子数6~10のアリール基に炭素原子数1~8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等が挙げられる。
また、アシル基は、例えば、炭素原子数2~8のアルカノイル基およびアロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
この中でも、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0094】
一般式(1)~(3)において、2価の連結基Xは、例えば、メチレン基、炭素原子数2~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R13-、-COO-R14-(但し、R13及びR14は、単結合、メチレン基、炭素原子数2~10のアルキレン基、又は炭素原子数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは-COO-R1 4-である。また、一般式(16)において、対アニオンのYは、例えば、Cl、Br、I、ClO4 、BF4、CH3COO、PF6 等が挙げられる。
【0095】
一般式(1)で表される単量体単位を形成する単量体は、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0096】
一般式(2)で表される単量体単位を形成する単量体は、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0097】
一般式(3)で表される単量体単位を形成する単量体は、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下の構造式中、R4は水素、又はメチル基を表す。
【0098】
【化5】
【0099】
上記化合物の中でも、2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましく、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートがより好ましい。
【0100】
一般式(1)~(3)で表される単量体単位は、それぞれ単独又は2種類以上を含有してよい。
【0101】
一般式(1)~(3)で表される単量体単位の含有量は、塩基性基を有する樹脂(B2a)の全構成単位中、5~90モル%が好ましく、10~80モル%であることがより好ましい。
【0102】
塩基性基を有する樹脂(B2a)は、塩基性基を有する単量体単位以外の単量体単位(その他単量体単位ともいう)を有することができる。その他単量体単位を形成する単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類が挙げられる。これらの単量体は、単独または2種以上併用して使用できる。
【0103】
更に、塩基性基を有する樹脂(B2a)は、塩基性基の一部に下記一般式(4)、又は一般式(5)で表される化合物が結合して塩を形成した樹脂も好適に用いることができる。
【0104】
一般式(4)
【化6】
【0105】
一般式(4)中、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、又は-O-Rを表し、Rは、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、又は炭素原子数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R、及びRの少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
【0106】
一般式(5)
【化7】
【0107】
一般式(5)中、Rは、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基またはベンジル基、又は-O-Rを表し、Rは、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基またはベンジル基、又は炭素原子数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。
【0108】
一般式(4)で表される化合物は、例えば、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、メチルリン酸、ジベンジルリン酸、ジフェニルリン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0109】
一般式(5)で表される化合物は、例えば、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、モノメチル硫酸、モノエチル硫酸、モノn-プロピル硫酸等が挙げられる。なお、p-トルエンスルホン酸一水和物のような水和物を用いても良い。
【0110】
塩基性基を有する樹脂(B2a)の構造は、保存安定性の観点から、ブロック構造が好ましい。
【0111】
塩基性基を有する樹脂(B2a)のアミン価は、保存安定性の観点から、20~250mgKOH/gが好ましく、30~200mgKOH/gであることがより好ましい。
【0112】
塩基性基を有する樹脂(B2a)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0113】
塩基性基を有する樹脂(B2a)の含有量は、保存安定性の観点から、着色剤(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~150質量部がより好ましい。
【0114】
本発明の着色組成物は、保存安定性の観点から、更に樹脂(B2)として酸性基を有する樹脂(B2b)を含むことがより好ましい。
【0115】
酸性基を有する樹脂(B2b)は、カルボキシル基を有する樹脂を含むことが好ましい。例えば、下記(B2b1)、又は(B2b2)で示される樹脂が挙げられる。
【0116】
酸性基を有する樹脂(B2b1)は、テトラカルボン酸二無水物、およびトリカルボン酸無水物の群から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分、並びに、単量体をラジカル重合してなるビニル重合体部分、を含む樹脂である。
まず、前記ポリエステル部分を説明する。ポリエステル部分は、酸無水物基と水酸基との反応に由来するエステル基が複数存在する部位である。
【0117】
前記テトラカルボン酸二無水物は、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらの中でも顔料に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0118】
テトラカルボン酸二無水物は、水酸基含有化合物との反応により、テトラカルボン酸二無水物一単位に二個のカルボキシル基を有する樹脂を形成するため、顔料吸着性が向上する面で好ましい。
【0119】
前記トリカルボン酸無水物は、脂肪族トリカルボン酸無水物、または芳香族トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0120】
前記脂肪族トリカルボン酸無水物は、例えば、3-カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4-ブタントリカルボン酸-1,2-無水物、cis-プロペン-1,2,3-トリカルボン酸-1,2-無水物、1,3,4-シクロペンタントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0121】
前記芳香族トリカルボン酸無水物は、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも顔料に対する吸着性の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物である。
【0122】
前記テトラカルボン酸二無水物、およびトリカルボン酸無水物から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と、水酸基含有化合物中の水酸基のモル比率は、酸無水物基/水酸基=0.5~1.5が好ましい。適度な比率で反応させると分散性が良好な樹脂を得易い。
【0123】
前記水酸基含有化合物は、モノオール、ポリオールがあり、ポリオールが好ましい。ポリオール中の水酸基は、ビニル重合体部分との結合起点として機能する。
ビニル重合体部分との結合起点となるポリオールとして、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物が挙げられる。分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物は、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリンあるいは1-チオグリセロール)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0124】
酸性基を有する樹脂(B2b1)としては、下記(B2b3)、又は(B2b4)で示される樹脂も挙げられる。
【0125】
酸性基を有する樹脂(B2b3)のビニル重合体部位は、(i)水酸基、オキセタン基、tert-ブチル基、およびブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性基を有する単量体と、(ii)カルボキシル基含有単量体と、必要に応じて、(iii)その他の単量体とをラジカル重合して得られる。
【0126】
(i-1)〔水酸基含有単量体〕
熱架橋性基として水酸基含有単量体は、水酸基含有(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル-α-ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、
あるいは水酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、
あるいは、水酸基含有ビニルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、
あるいは水酸基含有アリルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
【0127】
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、N-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られる単量体も好ましい。付加されるアルキレンオキサイドは、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-、1,4-、2,3-又は1,3-ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンは、例えば、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、炭素原子数1~6のアルキル基で置換されたε-カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
【0128】
(i-2)〔オキセタン基含有単量体〕
オキセタン基含有単量体は、(ビニルオキシアルキル)アルキルオキセタン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキセタン、〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕アルキルオキセタン等が挙げられる。中でも好ましくは、メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル等が挙げられる。市販品は、例えば、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル)(宇部興産社製)が挙げられる。
【0129】
(i-3)〔tert-ブチル基含有単量体〕
熱架橋性官能基としてtert-ブチル基含有単量体は、例えば、tert-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート等が挙げられる。
【0130】
(i-4)〔ブロックイソシアネート基含有単量体〕
熱架橋性基としてブロックイソシアネート基含有単量体は、メタクリル酸2-(0-[1‘-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等が挙げられる。市販品は、例えば、カレンズMOI-BM(メタクリル酸2-(0-[1‘-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)(昭和電工社製)、カレンズMOI-BP(2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0131】
オキセタン基含有単量体、tert-ブチル基含有単量体、およびブロックイソシアネート基含有単量体の含有量は、全単量体中に5~90質量%が好ましく、20~60質量%がよい好ましい。5質量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた膜を得ることが可能となり、90質量%以下であれば、着色組成物の安定性も良好であるために好ましい。
【0132】
(ii)〔カルボキシル基含有単量体〕
カルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等が挙げられる。これらの中でも、共重合性が良く、入手が容易な(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0133】
(iii)〔その他単量体〕
酸性基を有する樹脂(B2b3)のビニル重合体部分には、熱架橋性含有単量体、カルボキシル基含有単量体以外のその他単量体を使用できる。
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類が挙げられる。
【0134】
また、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0135】
酸性基を有する樹脂(B2b4)は、ビニル重合体部分に、重合性不飽和基を有する。
【0136】
酸性基を有する樹脂(B2b4)の製造方法は、例えば、重合性不飽和基である(メタ)アクリロイル基と官能基とを有する化合物と、前記官能基と反応する官能基含有単量体を含む単量体の重合体とを反応させて合成できる。例えば、グリシジルメタクリレートと、水酸基またはカルボキシル基を有する重合体との反応物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと、水酸基またはカルボキシル基を有する重合体との反応物等が挙げられる。
水酸基またはカルボキシル基を有する重合体は、グリシジル基を有する重合体を、酸無水物化合物と開環反応させて得る、または酸無水物基を有する重合体を開環反応させて得ることもできる。例えば、特開2011-157416号公報記載の樹脂が挙げられる。
【0137】
酸性基を有する樹脂(B2b2)は、下記一般式(6)で表される樹脂であり、具体的には、特開2007-140487号公報に記載された樹脂である。
【0138】
一般式(6)
(HOOC-)-R-(-COO-[-R-COO-]-R
(一般式(6)中、Rは4価のテトラカルボン酸化合物残基、Rはモノアルコール残基、Rはラクトン残基、mは2、または3、nは1~50の整数、tは(4-m)を表す。)
【0139】
酸性基を有する樹脂(B2b)の酸価は、保存安定性の観点から、20~250mgKOH/gが好ましく、30~200mgKOH/gがより好ましい。
【0140】
酸性基を有する樹脂(B2b)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0141】
酸性基を有する樹脂(B2b)の含有量は、保存安定性の観点から、着色剤(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0142】
[有機溶剤(C)]
本発明の着色組成物は、有機溶剤(C)を含む。
【0143】
有機溶剤(C)は、特に制限はなく、公知の化合物を使用できる。例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、トルエン、o-クロロトルエン、ベンゼン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0144】
本発明の着色組成物は、環境面の観点から、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等)である有機溶剤は、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、着色組成物中、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下がさらに好ましい。
【0145】
有機溶剤(C)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0146】
有機溶剤(C)の含有量は、着色組成物の不揮発分が5~70質量%となる量であることが好ましい。
【0147】
[顔料誘導体(D)]
本発明の着色組成物は、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、顔料誘導体(D)を含有することが好ましい。
【0148】
顔料誘導体(D)は、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、顔料の一部を、酸性基、塩基性基、中性基等で置換した構造を有する化合物が挙げられる。本明細書では、酸性基を有する化合物を酸性顔料誘導体(D1)、塩基性基を有する化合物を塩基性顔料誘導体(D2)、中性基を有する化合物を中性顔料誘導体(D3)という。
【0149】
(酸性顔料誘導体(D1))
本発明の着色組成物は、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、顔料誘導体(D)として、酸性顔料誘導体(D1)を含むことがより好ましい。
【0150】
酸性基は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基及びそれらの塩が挙げられ、これらの中でも、スルホ基が好ましい。塩を構成する原子又は原子団は、金属イオン、アルキルアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスフォニウムイオン等が挙げられる。金属イオンの金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、ストロンチウム、銅、クロム、銀、亜鉛、ガリウム等が挙げられる。
【0151】
酸性基の数は、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、顔料に対して、1~3個が好ましく、1個又は2個がより好ましい。
【0152】
顔料は、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、ジケトピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、チアジンインジゴ顔料、トリアジン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ベンゾイソインドール等のインドール顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ナフトール顔料、キナクリドン顔料、スレン顔料、金属錯体顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ顔料等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、キノフタロン顔料が好ましい。
【0153】
以下、酸性顔料誘導体(D1)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0154】
【化8】
【0155】
上記化合物の中でも、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、(D1-1)~(D1-3)で表される化合物及びそれらの塩が好ましく、(D1-2)、又は(D1-3)で表される化合物及びそれらの塩がより好ましい。
【0156】
(塩基性顔料誘導体(D2))
塩基性基は、アミノ基、ピリジル基及びそれらの塩、アンモニウム基の塩が挙げられる。アミノ基は、-NH、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基等が挙げられる。ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基は、更に置換基を有してもよい。置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、複素環基等が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団は、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオン等が挙げられる。
【0157】
顔料は、上述した酸性顔料誘導体(D1)と同じ化合物が挙げられる。
【0158】
以下、塩基性顔料誘導体(D2)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0159】
【化9】
【0160】
(中性顔料誘導体(D3))
中性基は、フェニル基やフタルイミドアルキル基等が挙げられる。
【0161】
顔料は、上述した酸性顔料誘導体(D1)と同じ化合物が挙げられる。
【0162】
以下、中性顔料誘導体(D3)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0163】
【化10】
【0164】
顔料誘導体(D)の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、特公昭50-4019号公報、特開昭55-108466号公報、特公平1-34268号公報、特開2009-35671号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0165】
顔料誘導体(D)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0166】
顔料誘導体(D)の含有量は、保存安定性、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1)100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、0.5~25質量部がより好ましい。
【0167】
[重合性化合物(E)]
本発明の着色組成物は、重合性化合物(E)を含むことが好ましい。
【0168】
重合性化合物(E)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーが挙げられる。重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。重合性化合物(E)は、例えば、水酸基を有する重合性化合物、ラクトン変性された重合性化合物、酸性基を有する重合性化合物、ウレタン結合を有する重合性化合物、3級アミン構造を有する重合性化合物、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物、その他重合性化合等が挙げられる。
【0169】
(水酸基を有する重合性化合物)
水酸基を有する重合性化合物は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、エポキシ化合物のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0170】
水酸基を有する重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R-167、日油製のブレンマーGLM,GLM-R,GMR-M,GMR-R,GAM,GAM-R,G-FA80、東亞合成社製のアロニックスM-5700,M-920、新中村化学社製のNKエステル701A、共栄社化学社製のライトエステルHOP(N)、HOA(N),HOP-A(N),HOB(N),G-201P、エポキシエステルM-600A,40EM,70PA,200PA,80MFA,3002M(N),3002A(N),3000A、大阪ガスケミカル社製のOGSOL GA-5060P,GA-2800等が挙げられる。
【0171】
(ラクトン変性された重合性化合物)
ラクトン変性された重合性化合物は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性された重合性化合物は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンもしくはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。
【0172】
ラクトン変性された重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60等が挙げられる。
【0173】
(酸性基を有する重合性化合物)
酸性基を有する重合性化合物は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ジカルボン酸とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。なお、酸性基を有する重合性化合物は、ウレタン結合を有しない化合物である。
【0174】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0175】
上記ジカルボン酸は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
【0176】
上記多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0177】
上記モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0178】
酸性基を有する重合性化合物の市販品は、大阪有機化学工業社製のビスコート#2500P、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521、ダイセル・オルネクス社製のβ-CEA等が挙げられる。
【0179】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
ウレタン結合を有する重合性化合物は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0180】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0181】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0182】
ウレタン結合を有する重合性化合物は、更に、酸性基を含有できる。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
【0183】
ウレタン結合を有する重合性化合物に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、水酸基含有(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0184】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0185】
ウレタン結合を有する重合性化合物の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H、U-6LPA、UA-33H、U-10HA、U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290、KRM8452等が挙げられる。
【0186】
ウレタン結合を有する重合性化合物は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、脂環式ウレタン(メタ)アクリレート、及び芳香族ウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。なお、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。これにより剛直な脂環式構造、又は芳香環構造を有することで、より強靭な膜を得ることができ、異物の発生を抑制する。
【0187】
(3級アミン構造を有する重合性化合物)
3級アミン構造を有する重合性化合物は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミンや、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0188】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0189】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0190】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0191】
アミン化合物(Y)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0192】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0193】
3級アミン構造を有する重合性化合物は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0194】
3級アミン構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041,3042等が挙げられる。
【0195】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物)
デンドリマー構造を有する重合性化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0196】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miramer SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9)、CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6)、CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8)、Etercure6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12)、Etercure6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、EtercureDR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0197】
(その他重合性化合物)
その他重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0198】
その他重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD NPGDA,PEG400DA,FM-400,HX-200,HX-620,R-551,R-712,R-604,R-684,GPOD-303,TMPTA,T-1420(T),RP-1040,DPEA-12,D-310、東亞合成社製のアロニックスM-101A,M-102,M-111,M-113,M-120,M-140,M-208,M-211B,M-220,M-225,M-270,M-240,M-309,M-310,M-321,M-350,M-360,M-408,M-460,M-930、大阪有機化学工業社製のビスコート#150,#155,#160,#192,#MTG,#200,#196,#195、#230、#260、#310、#700HV、#295、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N,A-NPG,A-200,A-400,APG-200,APG-400,A-DCP,ABE-300,A-BPE-4,A-BPE-10,A-TMPT,A-TMPT-9EO,A-GLY-3E,A-GLY-9E,A-TMMT,ATM-35E,AD-TMP等が挙げられる。
【0199】
重合性化合物(E)は、水酸基を有する重合性化合物、酸性基を有する重合性化合物、及びウレタン結合を有する重合性化合物からなる群から選択される重合性化合物を1つ以上含むことが好ましく、2つ以上含むことがより好ましい。
【0200】
重合性化合物(E)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0201】
重合性化合物(E)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、1~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましい。
【0202】
[重合開始剤(F)]
本発明の着色組成物は、重合開始剤(F)を含むことが好ましい。
【0203】
重合開始剤(F)は、特に制限がなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、光又は熱の作用によってラジカルを発生させて、ラジカル重合反応を開始または促進させる化合物が挙げられる。
光によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に光重合開始剤ともいう)は、紫外線から可視領域の光線に対してラジカルを発生させる化合物が好ましい。
熱によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に熱重合開始剤ともいう)は、熱及び光の作用によってラジカルを発生させる化合物であってもよい。
【0204】
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0205】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907,369E,379EG,127,184,1173,2959、アシルホスフィン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819,TPO、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919T,NCI-730,NCI-831E,NCI-930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,345,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOmnirad1312,1314,1316,サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,306,EOX-01等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開第2015/036910号、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報、国際公開第2021/175855号等に記載の化合物も挙げられる。これらの中でも、高温高湿環境下の異物抑制の観点から、少なくともオキシム系化合物を含むことが好ましい。
【0206】
以下、オキシム系化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0207】
【化11】
【0208】
また、光重合開始剤は、下記一般式(7)で表される化合物を含むことも好ましい。
【0209】
一般式(7)
【化12】
【0210】
一般式(7)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。Rは、水素原子、または1価の置換基を表す。
【0211】
一般式(7)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。
炭素原子数1~8のアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。なかでも、炭素原子数3~8の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数4~6の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0212】
一般式(7)中、Rは、水素原子、または任意の1価の置換基を表す。
1価の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素原子数1~20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1~20のアルコキシ基;F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアシル基;炭素原子数1~20のアルキルエステル基;炭素原子数1~20のアルコキシカルボニル基;炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数4~20の芳香族環基;アミノ基;炭素原子数1~20のアミノアルキル基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;置換基を有してよいベンゾイル基;置換基を有してよいテノイル基等が挙げられる。ベンゾイル基、またはテノイル基が有してよい置換基としては、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、ラジカル生成効率の観点から、水素原子、ニトロ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0213】
一般式(7)で表される化合物の製造方法は、例えば、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0214】
以下、一般式(7)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0215】
【化13】
【0216】
熱重合開始剤は、例えば、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-tert-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等のピナコール系化合物;
2,2’-アゾビス(4-メトキシ2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ系化合物;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、ピナコール系化合物が好ましい。
【0217】
重合開始剤(F)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0218】
重合開始剤(F)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0219】
[増感剤(G)]
本発明の着色組成物は、増感剤(G)を含有できる。
【0220】
増感剤(G)は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリ-ルメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0221】
増感剤(G)の中で、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましい。具体的な化合物は、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が好ましい。
【0222】
増感剤(G)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0223】
増感剤(G)の含有量は、重合開始剤(F)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~150質量部がより好ましい。
【0224】
[熱硬化性化合物(H)]
本発明の着色組成物は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、熱硬化性化合物(H)を含むことが好ましい。これにより、加熱工程時に熱硬化性化合物(H)が架橋し、高温高湿環境下での異物の発生を抑制する。
【0225】
熱硬化性化合物(H)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。これらの中でも、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。
【0226】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0227】
エポキシ化合物の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0228】
エポキシ化合物は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましく、10~30個のエポキシ基を有する化合物がより好ましい。また、エポキシ化合物は、芳香族環及び/又は脂肪族環を有するエポキシ化合物が好ましく、脂肪族環を有するエポキシ化合物がより好ましい。エポキシ基は、単結合又は連結基を介して、芳香族環及び/又は脂肪族環に結合していることが好ましい。連結基は、例えば、アルキル基、アリーレン基、-O-、-NR-(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を表す)、-SO-、-CO-、-O-、-S-が挙げられる。脂肪族環を有する構造の場合、エポキシ基は単結合を介して、脂肪族環に結合していることがより好ましい。
【0229】
エポキシ化合物のエポキシ当量は、50~400g/eqが好ましく、100~200g/eqがより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
【0230】
脂肪族環を有するエポキシ化合物は、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
【0231】
脂肪族環を有するエポキシ化合物は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、下記一般式(3)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0232】
一般式(8)
【化14】
【0233】
一般式(8)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。
【0234】
Rは、m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表す。
m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基は、炭素原子数2~20のアルキル基が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよい。炭素原子数2~20のアルキル基は、例えば、エチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数3~12の分岐のアルキル基がより好ましい。
【0235】
mは1~6、nは1~30の整数を表す。
mが2以上の場合、一般式(8)中のそれぞれのカッコ内の基におけるnは同一でもよく、異なっていてもよい。
【0236】
一般式(8)で表される化合物は、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。市販品としては、ダイセル社製のEHPE-3150、EHPE-3150CE等が挙げられる。
【0237】
エポキシ化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0238】
エポキシ化合物の含有量は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0239】
(オキセタン化合物)
オキセタン化合物は、オキセタン基を有する公知の化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0240】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0241】
市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のOXE-10,30、東亞合成社製のOXT-101,212等が挙げられる。
【0242】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコ-スビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0243】
市販品は、例えば、宇部興産社製のOXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121,221等が挙げられる。
【0244】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロ-ルプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0245】
オキセタン化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0246】
オキセタン化合物の含有量は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0247】
(メラミン化合物)
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロール基を有する化合物が好ましい。
【0248】
市販品は、例えば、三和ケミカル社製のニカラックMW-30HM,MW-390,MW-100LM,MX-750LM,MW-30M,MW-30,MW-22,MS-21,MS-11,MW-24X,MS-001,MX-002,MX-730,MX-750,MX-708,MX-706,MX-042,MX-45,MX-500,MX-520,MX-43,MX-417,MX-410、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,285,300,301,303,350,370等が挙げられる。
【0249】
メラミン化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0250】
メラミン化合物の含有量は、高温高湿環境下での異物抑制の観点から、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0251】
熱硬化性化合物(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0252】
[硬化剤(硬化促進剤)]
本発明の着色組成物は、熱硬化性化合物(H)の硬化を補助するため、硬化剤(硬化促進剤)を含有できる。
【0253】
硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0254】
硬化剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0255】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(H)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0256】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
本発明の着色組成物は、チオール系連鎖移動剤(I)を含有できる。
【0257】
チオール系連鎖移動剤(I)は、重合開始剤(F)と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、着色組成物の光感度が向上する。
【0258】
チオール系連鎖移動剤(I)は、チオール基(SH基)を2以上有する多官能チオールが好ましい。なお、チオール系連鎖移動剤は、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0259】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオ-ルビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオ-ルビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0260】
チオール系連鎖移動剤(I)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0261】
チオール系連鎖移動剤(I)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。
【0262】
[重合禁止剤(J)]
本発明の着色組成物は、重合禁止剤(J)を含有できる。
【0263】
重合禁止剤(J)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシン等が挙げられる。
【0264】
重合禁止剤(J)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0265】
重合禁止剤(J)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。
【0266】
[紫外線吸収剤(K)]
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤(K)を含有できる。
【0267】
紫外線吸収剤(K)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物等が挙げられる。
【0268】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0269】
市販品は、例えば、BASFジャパン社製のTINUVIN P,PS,234,326,329,384-2,900,928,99-2,1130、ADEKA社製のアデカスタブLA-29,LA-31RG,LA-32,LA-36、ケミプロ化成社製のKEMISORB71,73,74,79,279、大塚化学社製のRUVA-93等が挙げられる。
【0270】
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0271】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB102、BASFジャパン社製のTINUVIN400,405,460,477,479,1577ED、ADEKA社のアデカスタブLA-46,LA-F70、サンケミカル社製のCYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0272】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0273】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB10,11,11S,12,111、シプロ化成社製のSEESORB101,107、ADEKA社製のアデカスタブ1413、サンケミカル社製のUV-12等が挙げられる。
【0274】
サリチル酸エステル系化合物は、例えば、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。
【0275】
紫外線吸収剤(K)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0276】
紫外線吸収剤(K)の含有量は、重合開始剤(F)と紫外線吸収剤(K)との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。
【0277】
[酸化防止剤(L)]
本発明の着色組成物は、酸化防止剤(L)を含有できる。
【0278】
酸化防止剤(L)は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本発明で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0279】
これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0280】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオ-ルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0281】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-20,AO-30,AO-40,AO-50,AO-60,AO-80,AO-330、ケミプロ社製のKEMINOX101,179,76,9425、BASFジャパン社製のIRGANOX1010,1035,1076,1098,1135,1330,1726,1425WL,1520L,245,259,3114,5057,565、サンケミカル社製のサイアノックスCY-1790,CY-2777等が挙げられる。
【0282】
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0283】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-77G,LA-81,LA-82,LA-87,LA-402F,LA-502XP、ケミプロ化成社製のKAMISTAB29,62,77,94、BASFジャパン社製のTinuvin111FDL,123,144,249,292,5100、サンケミカル社製のサイアソーブUV-3346,UV-3529,UV-3853等が挙げられる。
【0284】
リン系酸化防止剤は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0285】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブPEP-36,PEP-8,HP-10,2112,1178,1500,C,135A,3010,TPP、BASFジャパン社製のIRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製のHostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0286】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0287】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-412S,AO-503、ケミプロ化成社製のKEMINOXPLS等が挙げられる。
【0288】
酸化防止剤(L)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0289】
酸化防止剤(L)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。
【0290】
[レベリング剤(M)]
本発明の着色組成物は、レベリング剤(M)を含有できる。
【0291】
レベリング剤(M)は、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0292】
シリコン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0293】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコーニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0294】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0295】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0296】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0297】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0298】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0299】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0300】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0301】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0302】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0303】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0304】
レベリング剤(M)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0305】
レベリング剤(M)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。
【0306】
[貯蔵安定剤(N)]
本発明の着色組成物は、貯蔵安定剤(N)を含有できる。
【0307】
貯蔵安定剤(N)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0308】
貯蔵安定剤(N)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0309】
貯蔵安定剤(N)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
【0310】
[密着向上剤(O)]
本発明の着色組成物は、密着向上剤(O)を含有できる。
【0311】
密着向上剤(O)は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類等が挙げられる。
【0312】
密着向上剤(O)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0313】
密着向上剤(O)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.1~5.0質量%が好ましい。
【0314】
[水の含有量]
本発明の着色組成物は、着色組成物に含まれる水の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。
【0315】
水の含有量が、上記範囲内の着色組成物であると、保存安定性に優れる。
【0316】
着色組成物に含まれる水の含有量は、1.5質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。また、水の含有量の下限は、特に制限はない。
【0317】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した各成分について十分に乾燥等を行い、成分に含まれる水分量を減らしたもの使用する。また、乾燥した空気や不活性ガス、それらの混合ガスを吹き込みながら、着色組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブを投入し脱水する方法等が挙げられる。
【0318】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0319】
[特定金属元素の含有量]
本発明の着色組成物は、保存安定性、高温高湿環境下の異物抑制の観点から、着色組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe及びCr(以下、単に特定金属元素ともいう)の金属の合計量が、300質量ppm以下であることが好ましい。
【0320】
特定金属元素の合計量が、上記範囲内の着色組成物であると、保存安定性に優れ、高温高湿環境下の異物が少ないカラーフィルタを形成できる。
【0321】
着色組成物に含まれる特定金属元素の合計量は、200質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属元素の合計量の下限は、特に限定されないが、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。
【0322】
着色組成物に含まれる各特定金属元素の量は、各々40質量ppm以下が好ましく、各々20質量ppm以下であることがより好ましい。
【0323】
着色組成物に含まれる特定金属元素を低減させる方法は、特に限定されないが、特定金属元素は、着色剤(A)に多く含まれることから、着色剤(A)の特定金属元素を除去することが好ましい。また、着色組成物を製造する装置からも混入するため、装置からの混入を抑えることも好ましい。
【0324】
着色剤(A)に含まれる特定金属元素の低減方法、除去方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、製造過程での装置からの混入を避ける方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報等に記載の方法が挙げられる。また、例えば、着色剤(A)からの除去する方法としては、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報、特開2010-83997号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの中でも、着色剤(A)を特定金属元素の含有量が少ない水、例えば、イオン交換水等で洗浄する方法が好ましい。
【0325】
着色剤(A)の洗浄の方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、合成後の着色剤(A)を、イオン交換水が入った容器に投入し、撹拌する。一定時間撹拌後、フィルタープレスにてろ過し、着色剤(A)とイオン交換水をと分離する。特定金属元素量が所望の値になるまで、この作業を繰り返し行う。洗浄は、加温しながら行うことが好ましい。その後、着色剤(A)を熱風乾燥及び粉砕する。
【0326】
特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0327】
本発明の着色組成物は、特定金属元素以外の金属元素の含有量も低減することが好ましい。特定金属元素以外の金属は、例えば、Mn、Cs、Ti、Co、Si、Pd等が挙げられる。
【0328】
[着色組成物の製造方法]
本発明の着色組成物は、上述の各成分を混合して調整できる。調整に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を有機溶剤に溶解や分散した後に逐次配合してもよい。例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、及び有機溶剤(C)を加えて分散処理を行う。その後、乾燥した空気を吹き込みながら、樹脂(B)、重合性化合物(E)、及び重合開始剤(F)等を配合・混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。また、大気からの水の混入を避けるため、湿度が制御された場所で作業することが好ましい。
【0329】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0330】
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0331】
<膜>
本発明の膜は、上述した着色組成物を用いて形成される。膜は、基材上に積層した状態で用いてもよく、膜を基材から剥離してもよい。また、膜は、平坦膜であってもパターンを形成した膜のいずれでもよいが、パターンを形成した膜が好ましい。
【0332】
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、本発明の着色組成物を基材上に塗工する工程を経て製造できる。
【0333】
基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等の材質で構成された基板が挙げられる。これらの基材上には有機発光層が形成されてもよい。また、基材には、CCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0334】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0335】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0336】
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥等を行う。
【0337】
以下、パターンを形成する方法について詳細に説明する。
【0338】
(フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合)
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基材上に本発明の着色組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて乾燥(プレベーク)した後、マスクを介してパターン状に露光し(露光工程)、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、必要に応じてパターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
【0339】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
【0340】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ現像液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0341】
〔ポストベーク工程〕
現像後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。
温度は、80~300℃が好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。基材に耐熱性の低い素材を用いた場合や、発光層として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた場合などは、温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0342】
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基材上に本発明の着色組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法等が挙げられる。
【0343】
<カラーフィルタ>
本発明の膜は、カラーフィルタに用いることができる。本発明のカラーフィルタは、CCDやCMOS等の固体撮像素子や画像表示装置等に用いることができる。カラーフィルタは、上述の膜と同様の方法で製造できる。
【0344】
<固体撮像素子>
本発明の膜は、固体撮像素子に用いることができる。固体撮像素子に用いる形態は、特に制限されないが、例えば、基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、フィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する本発明の膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、本発明の膜を含む各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(スマートフォン、タブレット端末等)、車載カメラ、監視カメラ、センサ等様々な用途に使用できる。
【0345】
<画像表示装置>
本発明の膜は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。画像表示装置に用いる形態は、特に制限されないが、カラーフィルタ、ブラックマトリックスとして用いることができる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)に記載されている構成等が挙げられる。
画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【実施例0346】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明で不揮発分もしくは不揮発分濃度は、230℃で30分間オーブン静置後の質量残分をいう。
【0347】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0348】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0349】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0350】
(樹脂のアミン価)
樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0351】
(平均二次粒子径)
着色剤(A)を含む分散体0.1質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.9質量部で希釈し測定用試料を作製した。動的平均光散乱式粒子径分布測定装置(大塚電子社製nanoSAQLA)を用い、25℃の環境下で測定用試料の平均二次粒子径を測定した。
【0352】
(水の含有量測定)
カールフィッシャー滴定装置(三菱化学社製 容量滴定式水分測定装置KF-06型)を用いて、着色組成物に含まれる水の含有量を測定した。
【0353】
(特定金属元素の含有量測定)
ICP発光分光分析装置(島津製作所社製ICPE-9800)を用いて、着色組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、及びCrの含有量を測定した。
【0354】
<樹脂(B)の製造>
(樹脂(B1-1))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAcともいう)100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりグリシジルメタクリレート56.86部、ジシクロペンタニルメタクリレート66.09部、及びスチレン31.25部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5.0部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し前駆体を得た。次にフラスコ内を空気置換し、変性化合物としてアクリル酸28.82部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基とアクリル酸のカルボキシル基を反応させ、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により水酸基を生じさせると同時に重合性不飽和基を導入した。
次いで、変性化合物としてテトラヒドロ無水フタル酸48.68部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により生じた水酸基の一部とテトラヒドロ無水フタル酸を反応させカルボキシル基を導入した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B1-1)を調製した。重量平均分子量(Mw)10,000、酸価77mgKOH/gであった。
【0355】
(樹脂(B1-2))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc262.0部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管より2-エチルヘキシルアクリレート49.7部、グリシジルメタクリレート99.4部、ジシクロペンタニルメタクリレート6.6部と、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート19.0部、PGMAcの混合物を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し前駆体を得た。その後、フラスコ内を空気に置換し、変性化合物としてアクリル酸50.4部と、触媒であるトリフェニルホスフィン0.6部及びメチルハイドロキノン0.2部を投入し、110℃で10時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基とアクリル酸のカルボキシル基を反応させ、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により水酸基を生じさせると同時に重合性不飽和基を導入した。
次いで、変性化合物としてテトラヒドロ無水フタル酸21.3部を加え、110℃で4時間反応させた。これにより、これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により生じた水酸基の一部とテトラヒドロ無水フタル酸を反応させカルボキシル基を導入した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B1-2)を調製した。樹脂(B1-2)は、酸価38mgKOH/g、重量平均分子量12,000であった。
【0356】
(樹脂(B1-3))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc182部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら、100℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート70.5部、メタクリル酸43.0部、ジシクロペンタニルメタクリレート22.0部、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル3.6部、及びPGMAcの混合物を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5部(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続けた。これにより、メタクリル酸のカルボキシル基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基とを反応させ、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により水酸基を生じさせると同時に重合性不飽和基を導入した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B1-3)を調製した。樹脂(B1-3)は、酸価79mgKOH/g、重量平均分子量13,000であった。
【0357】
(樹脂(B2a-1))
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート40部、nーブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc50部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。室温まで冷却した後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して樹脂(B2a-1)を得た。アミン価が169.8mgKOH/gであった。
【0358】
(樹脂(B2b4-1))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、不揮発分が30質量%となるようPGMAcを添加して樹脂樹脂(B2b4-1)を得た。樹脂(B2b4-1)は、酸価68mgKOH/g、不飽和二重結合当量は1,593、重量平均分子量は13,000であった。
【0359】
(樹脂(B3-1))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc160部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート109.25部、メタクリル酸24.1部、ジシクロペンタニルメタクリレート22.03部と、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.0部、PGMAcとの混合物を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌を行った。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B3-1)を調製した。重量平均分子量17,500、酸価98mgKOH/gであった。
【0360】
(樹脂(B3-2))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート25.1部、n-ブチルメタクリレート23.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート14.3部、メタクリル酸13.4部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)24.1部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応させた。室温まで冷却した後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B3-2)を調製した。酸価87mgKOH/g、重量平均分子量25,000であった。
【0361】
<重合性化合物(E)の製造>
【0362】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(E-3))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からトルエンジイソシアネート66部とPGMAc66部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2,180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。ついで、メルカプト酢酸35部、4-メトキシフェノール0.6部を仕込み、50~60℃の温度で6時間反応させた。不揮発分が50質量%となるようにPGMAcを添加し、平均重合性不飽和基数9の酸性基を有する芳香族ウレタンアクリレートを得た。
【0363】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(E-4))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からヘキサメチレンジイソシアネート64部とPGMAc64部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2,180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。不揮発分が50質量%となるようにPGMAcを添加し、平均重合性不飽和基数10の脂肪族ウレタンアクリレートを得た。
【0364】
<分散体の製造>
(分散体1)
容器に、乾燥した空気を吹き込みながら、下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミル(淺田鉄工社製「PCM-LR」)で平均二次粒子径が82nmになるまで分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。
着色剤(A1-1) :15.0部
樹脂(B2a-1) :15.0部
有機溶剤(C-1) :70.0部
【0365】
(分散体2~26)
表1-1~表1-3に記載した成分、量に変え、平均二次粒子径が所定の値になるまで分散時間を調整しながら分散を行い、分散体2~26を作製した。
【0366】
【表1-1】
【0367】
【表1-2】
【0368】
【表1-3】
【0369】
表1-1~表1-3に記載したそれぞれの成分は、以下の通りである。
【0370】
[着色剤(A)]
(ハロゲン化金属フタロシアニン顔料(A1))
A1-1:C.I.ピグメントグリーン36
A1-2:C.I.ピグメントグリーン58
A1-3:C.I.ピグメントグリーン59
A1-4:C.I.ピグメントグリーン63
【0371】
(アゾメチン金属錯体顔料(A2))
A2-1:C.I.ピグメントイエロー129
A2-2:下記黄色化合物
【0372】
【化15】
【0373】
A2-3:C.I.ピグメントイエロー117
【0374】
(キノフタロン顔料(A3))
A3-1:C.I.ピグメントイエロー138
A3-2:C.I.ピグメントイエロー231
A3-3:C.I.ピグメントイエロー233
【0375】
(金属フタロシアニン顔料(A4))
A4-1:C.I.ピグメントブルー15:3
A4-2:C.I.ピグメントグリーン62
【0376】
(その他顔料(A5))
A5-1:C.I.ピグメントイエロー150
A5-2:C.I.ピグメントイエロー185
【0377】
顔料(A1)~(A5)は、いずれもソルトミリング処理による微細化を行い、着色組成物に含まれる特定金属元素の合計含有量が所定の値になるようにイオン交換水で複数回洗浄し、十分に乾燥した上で使用した。
【0378】
[有機溶剤(C)]
C-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0379】
[顔料誘導体(D)]
(酸性顔料誘導体(D1))
D1-1:上述した(D1-1)で表される化合物のアルミニウム塩
D1-2:上述した(D1-2)で表される化合物
D1-4:上述した(D1-4)で表される化合物
【0380】
<着色組成物の製造>
[実施例1]
(着色組成物1)
容器に、乾燥した空気を吹き込みながら、以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して着色組成物1を得た。
分散体4 :20.0部
分散体8 : 1.0部
分散体19 :20.0部
樹脂(B1-1) :12.0部
樹脂(B3-1) : 4.0部
水酸基を有する重合性化合物(E-2) : 0.4部
ウレタン結合を有する重合性化合物(E-3) : 2.0部
その他重合性化合物(E-5): 0.6部
重合開始剤(F-1) : 0.2部
重合開始剤(F-4) : 0.1部
重合開始剤(F-13) : 0.1部
熱硬化性化合物(H-1): 0.7部
チオール系連鎖移動剤(I-1) : 0.1部
レベリング剤(M) : 1.0部
有機溶剤(C-1) :32.8部
有機溶剤(C-2) : 5.0部
【0381】
得られた着色組成物1について、水の含有量、及び特定金属元素の合計の含有量を測定した。結果、水の含有量は2.0質量%以下、特定金属元素の合計の含有量は300質量ppm以下であった。
【0382】
[実施例2~38、及び比較例1]
(着色組成物2~39)
実施例1の着色組成物1を、表2-1~表2-4に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして着色組成物2~39を作製し、水の含有量、及び特定金属元素の合計の含有量を測定した。結果、いずれの着色組成物も、水の含有量は2.0質量%以下、特定金属元素の合計の含有量は300質量ppm以下であった。
【0383】
【表2-1】
【0384】
【表2-2】
【0385】
【表2-3】
【0386】
【表2-4】
【0387】
表2-1~表2-4に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0388】
[有機溶剤(C)]
C-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C-2:3-エトキシプロピオン酸エチル
【0389】
[重合性化合物(E)]
E-1:アロニックスM-520(東亞合成社製、酸性基を有する多官能アクリレート)
E-2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
E-5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
【0390】
[重合開始剤(F)]
F-1:上述した(F-1)で表される化合物
F-3:上述した(F-3)で表される化合物
F-4:上述した(F-4)で表される化合物
F-9:上述した(F-9)で表される化合物
F-13:Omnirad 369(IGM Resins社製)
【0391】
[熱硬化性化合物(H)]
H-1:EHPE-3150(ダイセル社製、一般式(8)で表される化合物、エポキシ基数が約15個、エポキシ当量が170~190g/eq)
【0392】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
I-1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
【0393】
[レベリング剤(M)]
BYK-330(ビックケミー社製)、メガファックF-551(DIC社製)をそれぞれ1部混合し、PGMAc98部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(M)とした。
【0394】
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物1~39について、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0395】
[明度評価]
得られた着色組成物を縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス(コーニング社製イーグル2000)に、熱処理後の塗膜の色度値がC光源でy=0.64となるようにスピンコーターを用いて塗布し、70℃5分ホットプレートで乾燥させた。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm、50mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンで230℃30分間熱処理を行い、明度評価用基板を得た。
得られた明度評価用基板のXYZ表色系における明度を、LVmicroZ(ラムダビジョン社製)で測定した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:52.0pts以上
4:51.0pts以上、52.0pts未満
3:50.0pts以上、51.0pts未満
2:49.0pts以上、50.0pts未満
1:49.0pts未満
【0396】
[膜厚評価]
Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて、明度評価で作製した基板の塗膜の厚さを測定した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:2.2μm未満
4:2.2μm以上、2.4μm未満
3:2.4μm以上、2.6μm未満
2:2.6μm以上、3.0μm未満
1:3.0μm以上
【0397】
[コントラスト比評価]
BM-5A(トプコン社製)を用いて、明度評価で作製した基板のコントラスト比を測定した。測定に際しては、偏光板として日東電工社製「NPF-G1220DUN」を使用した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:5,500以上
4:5,000以上、5,500未満
3:4,500以上、5,000未満
2:4,000以上、4,500未満
1:4,000未満
【0398】
[保存安定性評価]
得られた着色組成物を、密閉した容器に入れ40℃1週間保管し、保管前後の粘度の変化率を下記式で算出し評価した。粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。2以上が実用可能である。
[粘度変化率]=|([初期粘度]-[保存後粘度])/[初期粘度]|×100
3:変化率が5%未満
2:変化率が5%以上、10%未満
1:変化率が10%以上
【0399】
[高温高湿耐性評価]
得られた着色組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス(コーニング社製イーグル2000)に、熱処理後の塗膜の色度値がC光源でy=0.64となるようにスピンコーターを用いて塗布し、70℃5分ホットプレートで乾燥させた。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm、50mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンで230℃30分間熱処理を行い、高温高湿耐性評価用基板を得た。膜上の異物の数を計測し、得られた着色組成物全てで10個未満であった。これを初期の異物の数とした。計測は、金属顕微鏡「BX60」(オリンパスシステム社製)を用いて、倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を積算で計測した。
基板を、温度80℃、湿度85%の条件下で336時間保管した。保管後、異物の数を計測し、以下の基準で評価した。3以上が実用可能である。
5:保管後の異物の数が、初期の異物の数の110%未満
4:保存後の異物の数が、初期の異物の数の110%以上、130%未満の範囲
3:保存後の異物の数が、初期の異物の数の130%以上、150%未満の範囲
2:保存後の異物の数が、初期の異物の数の150%以上、170%未満の範囲
1:保存後の異物の数が、初期の異物の数の170%以上
【0400】
【表3】