(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033733
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137510
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】谷本 聖太
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 圭太
(72)【発明者】
【氏名】弓削 文哉
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA06
3C064BA11
3C064BB01
3C064BB02
3C064BB42
3C064BB43
3C064BB44
3C064BB53
3C064BB76
3C064BB79
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA24
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA53
3C064CB03
3C064CB05
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB75
3C064CB77
3C064CB79
3C064CB82
3C064CB92
(57)【要約】
【課題】冷却性の良い作業機を提供する。
【解決手段】作業機は、モータ収容部11内に第1の壁部41及び第2の壁部42を有する。第1の壁部41は、シフトノブ21を後方に投影した領域の少なくとも一部と重なる。第1の壁部41は、前後方向においてシフトノブ21とファン35との間に位置する。第2の壁部42は、シフトノブ21の後端部の前後方向の可動域Rを下方に投影した領域の少なくとも一部に重なる。第2の壁部42は、第1の壁部41の下部から前方に延びる。第2の壁部42は、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間を気流が通ることを抑制し、シフトノブ21とモータ30の外周部との間の少なくとも一部を仕切る第1の仕切部を構成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ及びロータを有するモータと、
前記モータに駆動されて気流を発生するファンと、
前記モータ及び前記ファンを収容するハウジングであって、内部に前記気流が通る風路を有するハウジングと、
前記モータの駆動、停止を指示する指示部と、
前記指示部とは別の操作部であって、外部から操作できるように前記ハウジングに移動可能に支持された操作部と、
を有する作業機において、
前記操作部と前記風路を仕切るよう構成された第1の仕切部であって、前記操作部と前記ハウジングとの間の隙間から前記ハウジングの内部に前記気流が入って前記風路に流入することを抑制する第1の仕切部、及び/又は、前記ステータの下部と前記ハウジングの内面との間を前記気流が通ることを抑制する第2の仕切部、を有する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機であって、
前記操作部の少なくとも一部が前記モータの径方向外側に位置し、
前記第1の仕切部は、前記モータの軸方向に延在して前記操作部と前記モータの外周部との間の少なくとも一部を仕切る第2の壁部を含む、
ことを特徴とする作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機であって、
前記第1の仕切部は、さらに前記第2の壁部から前記モータの軸方向と交差する方向に延在する第1の壁部を有し、
前記操作部は前記第1の壁部より前方かつ前記第2の壁部より上方の位置に設けられ、前記ステータは前記第2の壁部より下方の位置に設けられる、
ことを特徴とする作業機。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機であって、
前記第1の仕切部は、さらに前記第2の壁部から前記モータの軸方向と交差する方向に延びる第3の壁部を有し、
前記ステータは前記第2の壁部より下方かつ前記第3の壁部より後方の位置に設けられる、
ことを特徴とする作業機。
【請求項5】
請求項2に記載の作業機であって、
前記第1の仕切部は、前記ハウジングの一部である、
ことを特徴とする作業機。
【請求項6】
請求項2に記載の作業機であって、
前記第2の壁部は、前記モータの軸方向において前記ステータの一方側の端部よりも一方側に延在する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機であって、
前記第1の仕切部は、さらに前記第2の壁部から前記モータの軸方向と交差する方向に延びる第3の壁部を有し、
前記第3の壁部は、前記第2の壁部の前記軸方向における一方側の端部から延び、前記ステータの前記軸方向における一方側を覆う第1覆い部として構成される、
ことを特徴とする作業機。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記モータの回転を減速する減速機構と、
前記減速機構によって減速された前記モータの回転が伝達される出力軸と、を有し、
前記操作部は、前記モータの回転数に対する前記出力軸の回転数の比である減速比を変更する変速操作部として構成された、
ことを特徴とする作業機。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記操作部は、前記ハウジングに前記モータの軸方向に移動可能に支持される、
ことを特徴とする作業機。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記ハウジングは、
前記モータ及び前記ファンを収容する第1収容部と、
前記第1収容部から前記モータの軸方向と交差する方向に延びるハンドル部と、
前記ハンドル部の前記第1収容部とは反対側の端部に設けられ、風窓を有する第2収容部と、を含み、
前記第2収容部に収容され、前記モータへの電力供給用のスイッチング素子を搭載した制御基板を有し、
前記操作部は、前記第1収容部に支持される、
ことを特徴とする作業機。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記ハウジングは、左ハウジング及び右ハウジングを互いに組み合わせたものであり、前記左ハウジング及び前記右ハウジングで前記操作部を左右方向から挟んで支持する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記ファンは、前記モータの軸方向において前記ステータの他方側に位置し、前記軸方向の一方側から気流を吸い込むよう構成され、
前記操作部の少なくとも一部が前記ステータの上側に位置し、
前記第2の仕切部として、前記ステータの下側に、前記ステータの下部と前記ハウジングの内面との間を前記気流が通ることを抑制する第4の壁部を有する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記操作部は、
所定の相対位置で前記ハウジングと凹凸係合する係合部と、
前記係合部を弾性変形可能とする貫通孔と、を含み、
前記ハウジングは、前記貫通孔の開口であって前記モータの径方向において外側に位置する開口を覆う第2覆い部を有する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機であって、
前記ハウジングは、前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータ収容部から下方に延びるハンドル部と、を有し、
前記風路は、前記ハンドル部の下方の位置に設けられた吸気口から、前記ハンドル部の内部及び前記モータ収容室の内部を経由して、前記モータ収容部に設けられた排気口に繋がるよう構成される、
ことを特徴とする作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバドリル等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、シフトノブを操作することによりギヤ比を変更可能としたドライバドリルを開示する。ドライバドリル等の作業機では、一般的にファンの回転によってハウジング内に負圧を発生させ、吸気口から外気を取り込み、制御基板やモータを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、シフトノブとハウジングの間の隙間を通る気流が冷却に効果的に利用されず、冷却機能が低いという課題を見出した。
【0005】
本発明の目的は、冷却性の良い作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、作業機である。この作業機は、
ステータ及びロータを有するモータと、
前記モータに駆動されて気流を発生するファンと、
前記モータ及び前記ファンを収容するハウジングであって、内部に前記気流が通る風路を有するハウジングと、
前記モータの駆動、停止を指示する指示部と、
前記指示部とは別の操作部であって、外部から操作できるように前記ハウジングに移動可能に支持された操作部と、
を有する作業機において、
前記操作部と前記風路を仕切るよう構成された第1の仕切部であって、前記操作部と前記ハウジングとの間の隙間から前記ハウジングの内部に前記気流が入って前記風路に流入することを抑制する第1の仕切部、及び/又は、前記ステータの下部と前記ハウジングの内面との間を前記気流が通ることを抑制する第2の仕切部、を有する。
【0007】
本発明は「電動作業機」や「電動工具」、「電気機器」等と表現されてもよく、そのように表現されたものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却性の良い作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る作業機1の左側面図。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る作業機の要部左側断面図。
【
図8】本発明の実施の形態3に係る作業機の要部左側断面図。
【
図9】本発明の実施の形態4に係る作業機の要部左側断面図。
【
図10】実施の形態4の作業機におけるハウジングの左部の斜視図。
【
図11】実施の形態4の作業機の要部斜視図であり、ハウジングの右部、テールカバー15、及びモータ収容部11の内部構成を省略した斜視図。
【
図12】実施の形態3又は4におけるハウジングの上部を後方側から見た斜視図。
【
図13】本発明の実施の形態5に係る作業機の平面図。
【
図15】本発明の実施の形態6に係る作業機の要部左側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1~
図4、
図6は、本発明の実施の形態1に係る作業機1に関する。
図5は、比較例の作業機に関する。比較例の作業機は、
図6に示す第2の壁部42を有さないことを除いて作業機1と同構成である。このため、作業機1の説明において
図5を参照することがある。
【0011】
作業機1は、ドライバドリルである。
図1及び
図2により、作業機1の互いに直交する前後、上下、左右方向を定義する。前後方向は、モータ軸31の軸線方向と平行な方向である。
【0012】
作業機1は、ハウジング10を備える。ハウジング10は、例えば左右二分割構造の樹脂成形体である。ハウジング10は、第1収容部としてのモータ収容部11、ハンドル部12、第2収容部としての電池パック装着部13を有する。
【0013】
モータ収容部11は、中心軸が前後方向と平行な筒状部である。作業機1は、モータ収容部11の後部開口を覆うテールカバー15を備える。作業機1は、テールカバー15の左右両側部に排気口となる風窓16を備える。すなわち排気口となる風窓16はモータ収容部11に設けられる。
【0014】
作業機1は、モータ収容部11の上部に操作部としてのシフトノブ21を備える。シフトノブ21は、
図5等に示す減速機構50の減速比を切り替える変速操作部(変速スイッチ)であり、外部から操作できるようにモータ収容部11の上部に前後方向に移動可能に支持される。シフトノブ21の少なくとも一部は、モータ30の径方向外側に位置し、前後方向における存在範囲がモータ30と重複する。モータ収容部11は、シフトノブ21の前部及び後部のそれぞれ上方を覆う防塵リブ47を有する。
【0015】
ハンドル部12は、モータ収容部11の下部から下方に延出する。作業機1は、ハンドル部12の上端部に、モータ30の駆動、停止を指示する指示部としてのトリガスイッチ17を備える。作業機1は、モータ収容部11とハンドル部12との境界部分に、モータ30の正転、逆転を切替え可能な正逆切替スイッチ19を備える。
【0016】
電池パック装着部13は、ハンドル部12の下端部に接続される。電池パック装着部13は、作業機1の電源となる図示しない電池パックを着脱可能に装着する。
【0017】
図4に示すように、作業機1は、電池パック装着部13に吸気口となる風窓14を備える。すなわち風窓14はハンドル部12の下方の位置に設けられる。風窓14の総面積は、風窓14以外の吸気口、すなわち電池パック装着部13に設けられた吸気口以外の吸気口の総面積よりも大きい。
【0018】
図5に示すように、作業機1は、電池パック装着部13内に、第1制御基板23及び基板ケース24を備える。第1制御基板23は、モータ30の駆動等を制御するマイクロコントローラや、モータ30への電流供給用のスイッチング素子(インバータ回路)等を搭載する。基板ケース24は、第1制御基板23を収容する。
【0019】
図5に示すように、作業機1は、モータ収容部11内に、モータ30、ファン35、第2制御基板37を備える。
【0020】
モータ30は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータであり、電池パック装着部13に装着した電池パックの電力で駆動される。
図6に示すように、モータ30は、モータ軸31、ステータ38、ロータ39を有する。
【0021】
ファン35は、ステータ38及びロータ39の後方に設けられ、遠心ファンであって、前方側から気流を吸い込むよう構成される。ファン35は、モータ軸31と一体に回転し、モータ30や第1制御基板23、基板ケース24等を冷却する冷却風を発生する。冷却風の流れは、
図3、
図5、
図6に矢印で示される。ハウジング10は、内部に気流が通る風路を有するよう構成される。
【0022】
第2制御基板37は、ステータ38及びロータ39の前方に設けられる。第2制御基板37は、例えばセンサ基板であり、モータ30の回転位置に応じた信号を出力するホールIC等の磁気センサを搭載する。
【0023】
図1、
図2、
図5に示すように、作業機1は、モータ収容部11の前方に、後方から順に、ギヤケース26、クラッチダイヤル27、フロントケース28、出力軸としてのチャック29を備える。
【0024】
ギヤケース26は、モータ収容部11の前部にねじ止め等により固定される。クラッチダイヤル27は、前後方向においてギヤケース26とフロントケース28との間に挟まれる。クラッチダイヤル27を回すことで締付トルクが設定される。フロントケース28は、ギヤケース26に対してネジ止め等により固定される。チャック29は、減速機構50の出力側に接続され、ビット等の図示しない先端工具を保持する。
【0025】
図5に示す比較例の課題を説明する。
図5の実線の矢印は、ファン35の発生する気流の主な流れ、すなわち、
図4等に示す風窓14からハウジング10内に入り、
図1等に示す風窓16からハウジング10外に排出される気流の流れを示す。ハウジング10の内部で気流を通す風路は、ハンドル部12の下方の位置に設けられた吸気口である風窓14から、ハンドル部12の内部及びモータ収容室11の内部を経由して、モータ収容部11に設けられた排気口である風窓16に繋がっている。
図5の破線の矢印は、ファン35の発生する気流のうち、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間を通ってハウジング10内に入る気流の流れを示す。
【0026】
電池パック装着部13に設けられた風窓14から取り込まれた空気は、第1制御基板23及び基板ケース24を冷却した後、ハンドル部12内を通って上方に流れ、第2制御基板37とモータ30を冷却して風窓16から排気される。シフトノブ21とハウジング10のすき間から流入する空気はモータ30の後方の一部のみに接触して排出され、第1制御基板23及び基板ケース24に対する冷却効果は無く、モータ30に対する冷却効果も小さい。
【0027】
第1制御基板23及び基板ケース24の冷却の観点では、風窓14からハウジング10内に入る外気の単位時間当たりの流量(以下「気流量」)が多いことが望ましい。
図5の比較例では、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間を通ってハウジング10内に入る気流量が多く、それに起因して風窓14からハウジング10内に入る気流量が少なく、第1制御基板23及び基板ケース24に対する冷却機能が小さい。本実施の形態の作業機1は、こうした課題の解決を目的とする。
【0028】
図6に示すように、作業機1は、モータ収容部11内に第1の壁部41及び第2の壁部42を有する。第1の壁部41及び第2の壁部42は、好ましくはハウジング10の一部である。すなわち、好ましくはハウジング10が第1の壁部41及び第2の壁部42を有する。これにより製造工程を減少させ、製造コストおよび製造時間を低減できる。
【0029】
第1の壁部41は、前後方向と垂直であり、シフトノブ21を後方に投影した領域の少なくとも一部と重なる。第1の壁部41は、前後方向においてシフトノブ21とファン35との間に位置する。第1の壁部41は、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間を気流が通ることを抑制する第1の仕切部を構成する。第1の仕切部を構成する第1の壁部41は、操作部であるシフトノブ21とハウジング10の内部の風路を仕切るよう構成される。
【0030】
第2の壁部42は、上下方向と垂直であり、シフトノブ21の後端部の前後方向の可動域Rを下方に投影した領域の少なくとも一部に重なる。第2の壁部42は、第1の壁部41の下部から前方に延びる。第2の壁部42は、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間を気流が通ることを抑制し、シフトノブ21とモータ30の外周部との間の少なくとも一部を仕切る第1の仕切部を構成する。第1の仕切部を構成する第2の壁部42は、操作部であるシフトノブ21とハウジング10の内部の風路を仕切るよう構成される。
【0031】
図6に示す実線の矢印は、ファン35により実際に発生する気流の流れを示す。破線の矢印は、第2の壁部42が無い場合にシフトノブ21とハウジング10との間の隙間から流入する空気の流れを示す。第2の壁部42があることにより、隙間から流入する空気が前方にガイドされ、第2の壁部42が無い場合よりも前方においてモータ30の外周部に接触して後方に流れることが分かる。
【0032】
本実施の形態は、下記の作用効果を奏する。
【0033】
(1)
図6に示すようにシフトノブ21とハウジング10との間の隙間から流入する空気は第2の壁部42によって前方にガイドされてからモータ30の外周部に接触する。このため、第2の壁部42が無い場合に比べて、隙間から流入する空気とモータ30の外周部との接触面積が増加し、モータ30に対する冷却性能を向上させることができる。
【0034】
(2) シフトノブ21とハウジング10の隙間から流入する空気は、第2の壁部42の前方を迂回するため、流路抵抗が増加する。このため、第2の壁部42が無い場合に比べて、隙間から流入する気流量を減少させることができる。よって、電池パック装着部13の風窓14から取り込む気流量を増加させることができ、第1制御基板23、基板ケース24、第2制御基板37およびモータ30に接触する空気の流速を増加し、冷却能力を向上させることができる。
【0035】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る作業機の要部左側断面図である。この作業機は、
図6に示す実施の形態1の第2の壁部42を前方に延長したものである。本実施の形態において第2の壁部42は、前端部がステータ38、ロータ39、第2制御基板37よりも前方に存在する。すなわち、第1の仕切部を構成する第2の壁部42は、モータ30の軸方向において、ステータ38の一方側の端部よりも一方側に延在している。
【0036】
本実施の形態によれば、シフトノブ21とハウジング10の隙間から流入する空気は、第2の壁部42によってステータ38、ロータ39、第2制御基板37よりも前方にガイドされてからモータ軸31側に流れ、第2制御基板37、ステータ38、ロータ39を冷却する。隙間から流入する空気の一部は第2の壁部42によりモータ30の内部(ステータ38の内部)に導かれる。このため、第2の壁部42が無い場合に比べて、隙間から流入する空気を第2制御基板37及びモータ30の冷却に効果的に利用でき、第2制御基板37及びモータ30に対する冷却性能を向上させることができる。本実施の形態は、第2制御基板37に高い発熱を伴う電子部品が搭載される場合に特に大きな効果を奏する。
【0037】
また、実施の形態1と比較して第2の壁部42が前方に延長されていることで、第2の壁部42の前方を迂回することによる流路抵抗が更に増加し、隙間から流入する気流量を更に減少させることができる。よって、電池パック装着部13の風窓14から取り込む気流量を更に増加させることができ、第1制御基板23、基板ケース24、第2制御基板37およびモータ30に接触する空気の流速を更に増加し、冷却能力を更に向上させることができる。
【0038】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係る作業機の要部左側断面図である。この作業機は、
図7に示す実施の形態2の作業機に第1覆い部としての第3の壁部43を追加したものである。第3の壁部43は、好ましくはハウジング10の一部である。第3の壁部43は、前後方向と垂直であり、第2の壁部42の前部から下方に延びる。第3の壁部43は、ステータ38、ロータ39、第2制御基板37より前方に存在する。第3の壁部43については後述の実施の形態4においても更に説明する。第3の壁部43は、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間を気流が通ることを抑制する第1の仕切部を構成する。第1の仕切部を構成する第3の壁部43は、操作部であるシフトノブ21とハウジング10の内部の風路を仕切るよう構成される。
【0039】
本実施の形態によれば、第1の壁部41、第2の壁部42、第3の壁部43により、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間からの空気の流入を防止するか、隙間からの気流量を大きく減少させることができる。このため、電池パック装着部13の風窓14から取り込む気流量を大きく増加させることができ、第1制御基板23、基板ケース24、第2制御基板37およびモータ30に接触する空気の流速を増加し、冷却能力を向上させることができる。
【0040】
(実施の形態4)
図9~
図12は、本発明の実施の形態5に係る作業機に関する。この作業機は、
図8に示す実施の形態3の作業機に第4の壁部44を追加したものである。第4の壁部44は、好ましくはハウジング10の一部である。第4の壁部44は、前後方向と垂直であり、ステータ38の下側に位置し、ステータ38の下部とハウジング10の内面との間を気流が通ることを抑制する第2の仕切部を構成する。
【0041】
図9に示す実線の矢印は、ファン35により実際に発生する気流の流れを示す。破線の矢印は、第4の壁部44が無い場合に存在する空気の流れを示す。
【0042】
図11に示すように、モータスペーサ34及びリヤケース36が、ギヤケース26の後方にネジ止め等により固定される。モータスペーサ34は、モータ軸31の前部を支持する軸受32を支持する軸受保持部33を有する。モータスペーサ34、リヤケース36は、ギヤケース26と共に
図5等に示す減速機構50を収容する。シフトノブ21は、
図11に現れるシフトアーム54を回動させて
図5等に示す減速機構50の減速比を切り替える。
図10に示すように、モータ収容部11の上部にシフトノブ保持部46が設けられる。ハウジングの左部と右部のシフトノブ保持部46同士が突き合わされて、シフトノブ21を左右方向から挟んで支持する。
【0043】
図10及び
図12に示すように、第3の壁部43は、半円状の切欠部45を有する。ハウジングの左部と右部の半円状の切欠部45同士が突き合わされて円状の貫通孔が形成される。切欠部45の内縁部は、軸受保持部33の外周面に沿い、当該外周面に近接ないし接触する。第3の壁部43は、前後方向において、軸受32及び軸受保持部33の存在範囲内に位置し又は延在する。
【0044】
本実施の形態によれば、第4の壁部44が無い場合と比較して、ハンドル部12内を上昇しステータ38の下部とハウジング10の内面との間を通ってファン35に吸い込まれる気流量を減少させ、ハンドル部12内を上昇してきた空気の多くをステータ38及びロータ39と第2制御基板37との間に導き、第2制御基板37、ステータ38、ロータ39に対する冷却性能が高められる。
【0045】
(実施の形態5)
図13は、本発明の実施の形態5に係る作業機の平面図である。
図14は、
図13のシフトノブ21の平面図である。本実施の形態の作業機は、実施の形態1~4のいずれかにおいて、ハウジング10の上部に第2覆い部としての防塵リブ48を設けたものである。防塵リブ48は、
図2及び
図14に現れるシフトノブ21の貫通孔22の上方を覆う。すなわち、防塵リブ48は、貫通孔22の開口であってモータ30の径方向において外側に位置する開口(上部開口)を覆う。
【0046】
図14に示すように、シフトノブ21は、上下方向と垂直な平板状の基部56と、基部56の上面から上方に突出するつまみ部57と、基部56の左右両側にそれぞれ設けられて前後方向に延びるバネ部58と、を有する。バネ部58の前後方向の中央部(中間部)に係合部としての突起25が設けられる。バネ部58は、ハウジング側の図示しない凹溝とレール係合する。突起25は、シフトノブ21がハウジングに対して所定の前後方向位置にあるときにハウジング側の図示しない凹部と係合し、シフトノブ21の位置を定める。貫通孔22は、バネ部58が左右方向に弾性変形可能とするために設けられる。
【0047】
本実施の形態によれば、防塵リブ48が貫通孔22の上方を覆うため、
図2に示すように貫通孔22が上方から見て外気に露出する場合と比較して、防塵性が高められる。前述の第2の壁部42や第3の壁部43は、シフトノブ21とハウジング10との間の隙間からの空気の流入を抑制する一方、粉塵がハウジングの内方に流れることも抑制するため、第2の壁部42の上方の空間、すなわちシフトノブ21の可動空間に粉塵が溜まりやすくなる。その結果、シフトノブ21の前後方向の移動を阻害し、操作性が低下する可能性がある。本実施の形態のように防塵リブ48を設けることで、シフトノブ21の可動空間への粉塵の流入を防止し、シフトノブ21の操作性の低下を抑制できる。なお、シフトノブ21に上下方向に貫通する穴がない場合は、シフトノブ21の外周部を全てを覆うように防塵リブを設けることで同様の効果を得ることができる。
【0048】
(実施の形態6)
図15は、本発明の実施の形態6に係る作業機の要部左側断面図である。この作業機では、モータ130の前方にファン135が存在し、モータ130の後方に吸気口となる風窓114及び制御基板137がある。ファン135は遠心ファンであり、ファン135の側方に排気口となる風窓が設けられる。ハウジングのモータ収容部111の上部にシフトノブ121が設けられる。第1の壁部141及び第2の壁部142は、前述の実施の形態の第1の壁部41及び第2の壁部42に対応する。第2の壁部142は、前後方向においてファン135に近接するまで前方に延びる。
【0049】
図15に示す実線の矢印は、ファン135により実際に発生する気流の流れを示す。破線の矢印は、第2の壁部142が無い場合にシフトノブ121とハウジングとの間の隙間から流入する空気の流れであって、モータ130や制御基板137の冷却にほとんど寄与しない空気の流れを示す。
【0050】
本実施の形態によれば、第2の壁部142の存在によって、シフトノブ121とハウジングとの間の隙間から流入する空気の流量を低減でき、制御基板137およびモータ130に対する冷却性能を向上させることができる。
【0051】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されない。実施の形態で具体的に説明した各事項には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【0052】
本発明の作業機は、実施の形態で例示したドライバドリルに限定されず、インパクトドライバ等の他の種類のものであってもよい。モータは、ブラシ付きモータであってもよい。
図9等に示す第4の壁部44は、
図6又は
図7の構成に対して追加されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…作業機、10…ハウジング、11…モータ収容部(第1収容部)、12…ハンドル部、13…電池パック装着部(第2収容部)、14…風窓(吸気口)、15…テールカバー、16…風窓(排気口)、17…トリガスイッチ(指示部)、19…正逆切替スイッチ、21…シフトノブ(操作部)、22…貫通孔、23…第1制御基板、24…基板ケース、25…突起(係合部)、26…ギヤケース、27…クラッチダイヤル、28…フロントケース、29…チャック、30…モータ、31…モータ軸、32…軸受、33…軸受保持部、34…モータスペーサ、35…ファン、36…リヤケース、37…第2制御基板(センサ基板)、38…ステータ、39…ロータ、41…第1の壁部(第1の仕切部)、42…第2の壁部(第1の仕切部)、43…第3の壁部(第1の仕切部、第1覆い部)、44…第4の壁部(第2の仕切部)、45…切欠部、46…シフトノブ保持部、47、48…防塵リブ(第2覆い部)、50…減速機構、54…シフトアーム、56…基部、57…つまみ部、58…バネ部。