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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033742
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20240306BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J13/00 301B
H02J7/10 A
H02J7/00 B
H02J7/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137527
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000144544
【氏名又は名称】レシップホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 稔明
(72)【発明者】
【氏名】竹嶋 輝明
(72)【発明者】
【氏名】五十川 大舖
(72)【発明者】
【氏名】河合 惇
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛明
(72)【発明者】
【氏名】畑中 誠
(72)【発明者】
【氏名】市橋 辰彦
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064BA07
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA05
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA01
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】バッテリを適切に充電し得る充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムでは、充電装置50と、充電装置50に充電されるバッテリ20と充電装置50の間に介在する充電ケーブル70と、充電装置50と別体に設けられてバッテリ20の電流情報を取得するとともにバッテリ20の充放電に関する個別情報を無線通信回線90を介して充電装置50に送る監視装置30と、を含む。そして、監視装置30は、バッテリ20の負荷群に対して放電した電流および時間に基づいて放電量を求めこの放電量を個別情報として充電装置50に送信する。充電装置50は、監視装置30から受信した放電量に基づいてバッテリ20を充電する充電制御を行う。これにより、充電装置50は、監視装置30から受信した正確な放電量に基づいてバッテリ20を充電する充電制御を行うことが可能になるので、充電残量の多少に関係なくバッテリ20を適切に充電することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置と、
前記充電装置に充電されるバッテリと前記充電装置の間に介在する充電ケーブルと、
前記充電装置と別体に設けられて前記バッテリの電流情報を取得するとともに前記バッテリの充放電に関する個別情報を無線通信回線を介して前記充電装置に送る監視装置と、を含み、
前記監視装置は、前記バッテリの負荷に対して放電した電流および時間に基づいて放電量を求めてこの放電量を前記個別情報として前記充電装置に送信し、
前記充電装置は、前記監視装置から受信した前記放電量に基づいて前記バッテリを充電する充電制御を行う、ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記監視装置は、前記バッテリを充電する電流に関する情報(以下「充電電流情報」という)を前記個別情報として充電開始後の前記充電装置に逐次送信し、
前記充電装置は、前記監視装置から受信した前記充電電流情報に基づいて前記バッテリの充電量を求めてこの充電量に応じた前記バッテリの充電制御を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電装置は、充電開始直後または最新の前記充電電流情報の受信後から所定時間を経過しても前記監視装置から前記充電電流情報を受信できない場合には前記充電制御として前記バッテリの充電を中止する、ことを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記バッテリを充電する電流に関する情報に基づいて前記バッテリの充電量を求めてこの充電量から前記バッテリの充電が完了したと判定した場合には充電完了情報を前記個別情報として前記充電装置に送信し、
前記充電装置は、前記監視装置から前記充電完了情報を受信するまで前記充電制御を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電装置は、充電開始後から所定時間を経過しても前記監視装置から前記充電完了情報を受信できない場合には前記充電制御として前記バッテリの充電を中止する、ことを特徴とする請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、前記バッテリを充電する電流に関する情報(以下「充電電流情報」という)を充電期間中に前記監視装置以外から取得するとともに、この充電電流情報に基づいて前記バッテリの充電量を求めてこの充電量に応じた前記バッテリの充電制御を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリ式フォークリフト等の電動車両に搭載されるバッテリを充電する装置として、例えば、下記特許文献1に開示される充電装置がある。この充電装置では、充電開始後に電圧センサでバッテリの端子間電圧を測定し、その電圧やバッテリの内部抵抗等に基づいて、タイマー動作に移行するタイマー動作電圧を算出したりタイマー充電を行うタイマー動作時間を算出したりする。これにより、バッテリの劣化が進んだ場合においても適切な条件で充電を行うことを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-116114号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社GSユアサ、”準定電圧充電器 JYBシリーズ 電動車両用鉛蓄電池用充電器”、[online]、[令和4年8月23日検索]、インターネット<URL https://www.gs-yuasa.com/jp/products/charger/charger_jby.php>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の充電装置では、バッテリの端子間電圧を充電装置に設けられた電圧センサで測定する構成を採用している。即ち、充電装置とバッテリを接続する充電ケーブルやDCプラグを介在させてバッテリの端子間電圧を測定している。そのため、例えば、充電装置とバッテリの離隔距離が2,3m(メートル)程度である場合には充電装置の間近にバッテリが存在するので、充電ケーブルの長さも短くて済む。したがって、このような場合には、充電ケーブルの導体抵抗も小さくそれによる電圧降下もさほど大きくならないことから、バッテリの実際の端子間電圧と充電装置側の電圧センサで測定した電圧との電位差は問題になり難い。
【0006】
しかしながら、充電装置や電動車両の周囲環境等の諸事情に起因して両者の離隔距離が20~30mも離れざるを得ない場合がある。このような場合には充電ケーブルの長さも30m前後に達することから、充電ケーブルの導体抵抗も相当程度に大きくなるためそれによる電圧降下も無視することができなくなる。つまり、バッテリの実際の端子間電圧と充電装置側の電圧センサで測定した電圧との電位差が問題になり得る。例えば、上記充電装置では、充電装置側の電圧センサで測定した電圧がバッテリの実際の端子間電圧よりも低くなり、そのような電圧に基づいて算出されたタイマー動作電圧やタイマー動作時間が予定外の値になり得るため、必ずしも適切な条件で充電が行われるとは限らない。
【0007】
また、上記特許文献1においては、同文献の充電装置が鉛蓄電池に対して準定電圧充電方式で充電する場合、充電初期には大電流で充電が行われて充電の進行に伴い充電電流が減少した後、充電末期には小さな充電電流で仕上げ充電が行われる例が開示されている。この充電方式では、バッテリの端子間電圧が予め定められているタイマー動作電圧に到達すると、タイマーが動作して所定のタイマー動作時間が経過した時点で仕上げ充電が終了し得るように構成されている(特許文献1;段落0022~0024等)。
【0008】
準定電圧充電方式では、例えば、仕上げ充電が完了した状態においては、バッテリの放電量に対し約120%(2割増し)に充電する(上記非特許文献1;特長および充電特性の項)。これにより充電不足の発生は抑制され得るものの、バッテリの充電残量の多少にかかわらず所定時間が経過するまで仕上げ充電が行われることによって、例えば、放電量が少ないバッテリを繰り返し充電したり、充電途中に停電が発生して充電を最初からやり直したりした場合には、2割増しの仕上げ充電(所定量の割増し充電)分が蓄積されてバッテリの過充電に繋がり得るという問題がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バッテリを適切に充電し得る充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された充電システムは、充電装置と、前記充電装置に充電されるバッテリと前記充電装置の間に介在する充電ケーブルと、前記充電装置と別体に設けられて前記バッテリの電流情報を取得するとともに前記バッテリの充放電に関する個別情報を無線通信回線を介して前記充電装置に送る監視装置と、を含み、前記監視装置は、前記バッテリの負荷に対して放電した電流および時間に基づいて放電量を求めてこの放電量を前記個別情報として前記充電装置に送信し、前記充電装置は、前記監視装置から受信した前記放電量に基づいて前記バッテリを充電する充電制御を行う、ことを技術的特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の充電システムの発明では、充電装置と、充電装置に充電されるバッテリと充電装置の間に介在する充電ケーブルと、充電装置と別体に設けられてバッテリの電流情報を取得するとともにバッテリの充放電に関する個別情報を無線通信回線を介して充電装置に送る監視装置と、を含む。そして、監視装置は、バッテリの負荷に対して放電した電流および時間に基づいて放電量を求めてこの放電量を個別情報として充電装置に送信する。また充電装置は、監視装置から受信した放電量に基づいてバッテリを充電する充電制御を行う。これにより、充電装置に設けられたセンサ等で測定する場合等に比べて充電装置とバッテリを接続する充電ケーブルの長さに関係なく個別情報として、正確な放電量を得ることが可能になる。また充電装置は、監視装置から受信したこのような正確な放電量に基づいてバッテリを充電する充電制御を行うことが可能になる。例えば、充電開始前に充電装置が放電量を受信した場合には、バッテリが放電した分だけ充電し得るように充電量(充電電流および充電時間)を設定することが可能になる。また、充電開始後(充電期間中)に充電装置が放電量を受信した場合には、バッテリの充電が不足している分だけ充電し得るように充電量(充電電流および充電時間)を設定することが可能になる。
【0012】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された充電システムは、請求項1に記載された充電システムにおいては、前記監視装置は、前記バッテリを充電する電流に関する情報(以下「充電電流情報」という)を前記個別情報として充電開始後の前記充電装置に逐次送信し、前記充電装置は、前記監視装置から受信した前記充電電流情報に基づいて前記バッテリの充電量を求めてこの充電量に応じた前記バッテリの充電制御を行う、ことを技術的特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の充電システムの発明では、監視装置は、バッテリの充電電流情報を個別情報として充電開始後の充電装置に逐次送信する。また充電装置は、監視装置から受信した充電電流情報に基づいてバッテリの充電量を求めてこの充電量に応じたバッテリの充電制御を行う。これにより、充電装置は、充電電流情報を検出可能なセンサ等を備えていない場合においても、監視装置から充電電流情報を受信しそれに基づいてバッテリの充電量を求めることが可能になり、またその充電量に応じたバッテリの充電制御を行うことが可能になる。
【0014】
さらに、特許請求の範囲の請求項3に記載された充電システムは、請求項2に記載された充電システムにおいて、前記充電装置は、充電開始直後または最新の前記充電電流情報の受信後から所定時間を経過しても前記監視装置から前記充電電流情報を受信できない場合には前記充電制御として前記バッテリの充電を中止する、ことを技術的特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の充電システムの発明では、充電装置は、充電開始直後または最新の充電電流情報の受信後から所定時間を経過しても監視装置から充電電流情報を受信できない場合には充電制御としてバッテリの充電を中止する。これにより、例えば、充電期間中において無線通信回線の障害等により監視装置から充電電流情報を受信できない事態が生じても、所定時間を経過した場合にはバッテリの充電を中止する。そのため、予定した充電量の充電が完了した後も継続して充電し続けることが抑制されるので、バッテリの過充電を防ぐことが可能になる。
【0016】
また、特許請求の範囲の請求項4に記載された充電システムは、請求項1に記載された充電システムにおいて、前記監視装置は、前記バッテリを充電する電流に関する情報に基づいて前記バッテリの充電量を求めてこの充電量から前記バッテリの充電が完了したと判定した場合には充電完了情報を前記個別情報として前記充電装置に送信し、前記充電装置は、前記監視装置から前記充電完了情報を受信するまで前記充電制御を行う、ことを技術的特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の充電システムの発明では、監視装置は、バッテリを充電する電流に関する情報に基づいてバッテリの充電量を求めてこの充電量からバッテリの充電が完了したと判定した場合には充電完了情報を個別情報として充電装置に送信する。また充電装置は、監視装置から充電完了情報を受信するまで充電制御を行う。これにより、充電装置は、充電電流情報を検出可能なセンサ等を備えていない場合において、監視装置から充電完了情報を受信すると直ちに充電制御を中止、つまりバッテリの充電を停止することが可能になる。充電完了の判定処理等を監視装置に委ねることが可能になるので、充電装置における充電制御処理の負担を軽減することができる。
【0018】
また、特許請求の範囲の請求項5に記載された充電システムは、請求項4に記載された充電システムにおいて、前記充電装置は、充電開始後から所定時間を経過しても前記監視装置から前記充電完了情報を受信できない場合には前記充電制御として前記バッテリの充電を中止する、ことを技術的特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の充電システムの発明では、充電装置は、充電開始後から所定時間を経過しても監視装置から充電完了情報を受信できない場合には充電制御としてバッテリの充電を中止する。これにより、例えば、充電期間中において無線通信回線の障害等により監視装置から充電完了情報を受信できない事態が生じても、所定時間を経過した場合にはバッテリの充電を中止する。そのため、予定した充電量の充電が完了した後も継続して充電し続けることが抑制されるので、バッテリの過充電を防ぐことが可能になる。
【0020】
また、特許請求の範囲の請求項6に記載された充電システムは、請求項1に記載された充電システムにおいて、前記充電装置は、前記バッテリを充電する電流に関する情報(以下「充電電流情報」という)を充電期間中に前記監視装置以外から取得するとともに、この充電電流情報に基づいて前記バッテリの充電量を求めてこの充電量に応じた前記バッテリの充電制御を行う、ことを技術的特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の充電システムの発明では、充電装置は、バッテリの充電電流情報を充電期間中に監視装置以外から取得するとともに、この充電電流情報に基づいてバッテリの充電量を求めてこの充電量に応じたバッテリの充電制御を行う。これにより、例えば、充電装置が充電電流情報を検出可能なセンサ等を備えている場合や監視装置以外からバッテリの充電電流情報を充電装置が得る場合においては、監視装置から充電電流情報を得なくてもバッテリの充電量を求めることが可能になり、またその充電量に応じたバッテリの充電制御を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の充電システムでは、充電装置に設けられたセンサ等で測定する場合等に比べて充電装置とバッテリを接続する充電ケーブルの長さに関係なく個別情報として、正確な放電量を得ることが可能になる。また充電装置は、監視装置から受信したこのような正確な放電量に基づいてバッテリを充電する充電制御を行うことが可能になる。例えば、放電した分だけバッテリを充電することが可能になるので、バッテリの充電残量の多少に関係なく過充電になり難い。したがって、バッテリを適切に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態および第2実施形態に係る充電システムの構成例を示す説明図である。
図2】本第1実施形態の充電システムを構成する充電装置等のブロック図である。
図3】本第1実施形態の充電システムにより充電され得るバッテリと本システムを構成する監視装置のブロック図である。
図4】本第1実施形態の充電システムの充電装置により実行される充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5(A)は、図4に表されている個別情報取得処理の流れを示すフローチャートである。図5(B)は、図4に表されている充電中情報取得処理の流れを示すフローチャートである。
図6図4に表されている充電処理により行われる充電方式の一例を示す説明図である。
図7図7(A)は、本第1実施形態の充電システムの監視装置により実行される放電量取得処理の流れを示すフローチャートである。図7(B)は、同監視装置により実行される充電前バッテリ情報送出処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8(A)は、本第1実施形態の充電システムの監視装置により実行される充電電流取得処理の流れを示すフローチャートである。図8(B)は、同監視装置により実行される充電中バッテリ情報送出処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9(A)は、本第1実施形態の充電システムの監視装置により実行される充電量取得処理の流れを示すフローチャートである。図9(B)は、同監視装置により実行される充電完了未了判定処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本第2実施形態の充電システムを構成する充電装置等のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の充電システムの各実施形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1図3に示すように、本第1実施形態に係る充電システム2は、バッテリ式フォークリフト(以下「フォークリフト」という)10のバッテリ20を充電装置50が充電するものであり、バッテリ20は監視装置30によりその充放電等の状態が監視されている。フォークリフト10は、バッテリ収容室11に搭載したバッテリ20から供給される電力で駆動する電動車両の一例であり、本第1実施形態の電動車両には、例えば、無人搬送車(AGV;Automated guided vehicle)、電動カートや電動車椅子等が含まれる。
【0025】
本第1実施形態では、フォークリフト10に搭載されたバッテリ20は、充電装置側ケーブル71とバッテリ側ケーブル75で構成される充電ケーブル70を介して充電装置50により充電される。この例では、充電ケーブル70のケーブル長は約30mであり、バッテリ20と充電装置50の間の距離が離れている。例えば、充電装置50が収容される建屋の構造上の都合により、当該充電装置50に接近した位置にフォークリフト10を駐停車させることができない場合等にこのような長尺の充電ケーブル70が用いられる。
【0026】
このため、本第1実施形態では、後述するように、フォークリフト10のバッテリ20を監視する監視装置30と充電装置50との間における情報通信を無線通信回線90を介して行うことができるように構成されている。なお、図1においては、1台のフォークリフト10が図示されているが、充電装置50は、特定の1台のフォークリフト10にだけ対応し得るものではなく、複数台のフォークリフト10に対応してそれらに搭載されたバッテリ20を充電することが可能に構成されている。
【0027】
図2に示すように、充電装置50は、交流電源ACから入力された3相交流電力をバッテリ20に適した直流電力に変換して出力する機能を有する。充電装置50は、例えば、主に、整流部52、電圧変換部53、制御部54、表示部58、通信部59等により構成されており、これらは金属製のハウジング51内に収容されている。ハウジング51には、例えば、3相交流電源ACからの3相交流電力が入力される入力端子、充電ケーブル70の充電装置側ケーブル71の入力コネクタ73が接続され得る出力端子等が設けられている。
【0028】
整流部52は、例えば、3相交流電源ACから供給される3相200Vの交流電圧の全相(U相,V相,W相)について全波整流可能に複数のダイオードにより構成される半導体モジュールであり、入力側にハウジング51に設けられる入力端子に接続され、出力側に電圧変換部53が接続されている。なお、本第1実施形態では、整流部52の入力側には、後述するゼロクロス検出部57も接続されている。
【0029】
電圧変換部53は、整流部52から出力される直流電圧を降圧するDC-DCコンバータであり、例えば、半導体スイッチング素子とインダクタ等からなる降圧チョッパ回路により構成されている。半導体スイッチング素子には、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)が用いられ、スイッチング周波数(周期)を変化させることによって出力電圧を制御する。電圧変換部53の出力側には、出力電圧に含まれ得るスイッチングノイズやリップル成分を除去可能な平滑コンデンサ55が出力と並列に設けられている。
【0030】
制御部54は、電圧変換部53の出力電圧や出力電流を制御するコントローラであり、例えば、MPU、メモリ(RAM、ROM)、入出力インタフェース等により構成されるマイコンモジュールである。本第1実施形態では、制御部54には、電圧センサ56やゼロクロス検出部57等が接続されており、これらから出力される出力電圧や入力電圧の情報が入力される。
【0031】
即ち、電圧変換部53の出力側に並列に接続されている電圧センサ56から、電圧変換部53の出力電圧の情報が制御部54に入力される。また、3相交流電源ACから供給される3相交流電圧の所定の2相間に接続されているゼロクロス検出部57から、ゼロクロス点のタイミング情報が制御部54に入力される。ゼロクロス点は、交流電圧の極性が周期的に切り替わる点のことである。
【0032】
制御部54では、電圧センサ56やゼロクロス検出部57から入力される、出力電圧およびゼロクロスタイミングの情報に加えて、本第1実施形態では、充電対象のバッテリ20を監視する監視装置30から無線通信回線90を介して通信部59に送られてくるバッテリ20の端子間電圧(充電前電圧VBb、充電中電圧VBc)、端子電流(充電中電流IBc)や放電量等の情報にも基づいて、電圧変換部53のスイッチング素子をオンオフする制御(スイッチング制御)を3相交流電圧に同期させて行っている(後述の充電処理)。
【0033】
監視装置30から無線通信回線90を介して通信部59に送られてくるバッテリ20の端子間電圧の情報は、後述するように、出力コネクタ78内に収容されてバッテリ20の両端子21a,21bに接続される電圧センサ35が検出する。そのため、充電装置50内の電圧センサ56により検出される出力電圧よりも、充電ケーブル70の導体抵抗分の電圧低下した正確な電圧情報として、バッテリ20の高精度な端子間電圧を得ることが可能になる。これにより、後述する充電制御処理で実行される充電処理(図4;S111,S116)においては、充電装置50内の電圧センサ56から得られる出力電圧に加えてバッテリ20の高精度な端子間電圧に基づいた出力電圧の制御を行うことができる。
【0034】
同様に無線通信回線90を介して通信部59に送られてくるバッテリ20の端子電流の情報も出力コネクタ78内に収容されてバッテリ20のプラス端子21aに接続される電流センサ36が検出する。なお、放電量は、後述するように、バッテリ20の放電時、つまり使用時にバッテリ20から流れる放電電流を電流センサ36により検出しそれを監視装置30が積算することにより得られる。
【0035】
表示部58は、充電装置50の制御に関する情報等を表示可能な表示パネルであり、制御部54に接続されている。表示部58は、例えば、複数のLEDを備えたLED表示ユニットであったり、ドットマトリクス状の液晶表示パネルを備えた液晶表示ユニットであったりする。液晶表示ユニットの場合には操作用のタッチパネルを兼ね備えている場合もある。本第1実施形態では、例えば、後述の充電制御処理において充電完了情報やエラー情報等を表示する際に表示部58が用いられる。
【0036】
通信部59は、無線通信回線90を介して監視装置30と情報通信可能な近距離無線通信が可能な無線ユニット(例えば、Bluetooth(登録商標)や ZigBee(登録商標)等の無線規格に準拠したもの)であり、ハウジング51の外に設けられるアンテナを備えている。本第1実施形態では、通信部59は、制御部54に接続されており、監視装置30から送られてくるバッテリ20の充電情報を受信して制御部54に出力したり、制御部54から送出する制御情報を監視装置30に送信したりし得るように構成されている。
【0037】
このように構成される充電装置50は、ハウジング51に取り付けられた充電ケーブル70を介して出力電力(出力電圧、出力電流)をバッテリ20に出力する。つまり、充電電力(充電電圧、充電電流)をバッテリ20に供給する。ここで、本第1実施形態の充電システム2において用いられる充電ケーブル70の構成について説明する。
【0038】
充電ケーブル70は、充電装置側ケーブル71とバッテリ側ケーブル75により構成されている。充電装置側ケーブル71は、充電装置50に接続される電力ケーブルであり、例えば、ケーブル本体72と、ケーブル本体72の一端側に接続される入力コネクタ73と、同他端側に接続される出力コネクタ74とにより構成されている。一端側の入力コネクタ73は、充電装置50の出力端子に電気的に、また同出力端子の周囲に機械的にそれぞれ接続可能に構成されている。また入力コネクタ73は、ケーブル本体72を介して他端側の出力コネクタ74に電気的に接続されている。出力コネクタ74は、バッテリ側ケーブル75の入力コネクタ77と互いに機械的かつ電気的に接続可能に構成されている。
【0039】
バッテリ側ケーブル75は、バッテリ20に接続される電力ケーブルであり、例えば、ケーブル本体76と、ケーブル本体76の一端側に接続される出力コネクタ78と、同他端側に接続される入力コネクタ77とにより構成されている。一端側の出力コネクタ78は、バッテリ20のバッテリ端子に電気的に、また同バッテリ端子の周囲に機械的にそれぞれ接続可能に構成されている。また出力コネクタ78は、ケーブル本体76を介して他端側の入力コネクタ77に電気的に接続されている。入力コネクタ77は、充電装置側ケーブル71の出力コネクタ74と互いに機械的かつ電気的に接続可能に構成されている。
【0040】
図2および図3に示すように、バッテリ20は、例えば、フォークリフト10の運転席の下方に設けられたバッテリ収容室11に収容されている。バッテリ収容室11は、上部開口を除いた側面および底面が壁12により区画され、また蓋13として機能する運転席のシート座部により上部開口が閉塞され得るように構成されている。
【0041】
本第1実施形態では、フォークリフト10のバッテリ20には、バッテリ側ケーブル75の出力コネクタ78が常に接続されており、出力コネクタ78の内部または外部においてバッテリ20の両端子21a,21bに対してスイッチボックス79を介在させて負荷群RLが電気的に並列に接続されている。負荷群RLは、フォークリフト10の稼動時にバッテリ20から出力される直流電力の供給先(走行用、荷役用や操舵用のモータ等)であり、充電時においてはスイッチボックス79によって負荷群RLとバッテリ20の接続が電気的に遮断されるように構成されている。なお、フォークリフト10の稼働時には、バッテリ側ケーブル75は、シート座部により閉じられたバッテリ収容室11の収容空間11a内にバッテリ20と一緒に収容される。
【0042】
バッテリ20は、主に、バッテリケース21とバッテリケース21内に収容されている複数のバッテリセル23とから構成された組電池である。本第1実施形態では、複数のバッテリセル23は、例えば、電気的に直列に接続されて48Vの直流電圧を出力し得るように構成されている。24Vの直流電圧を出力し得るものもある。定格容量は、バッテリセルの単体容量または並列接続数により異なり、例えば、280Ahや450Ah等である。これらのバッテリセル23は、例えば、物理的にはマトリクス状に配置されている。
【0043】
本第1実施形態では、バッテリセル23は、鉛蓄電池(以下「鉛電池」という)で構成されている場合やリチウムイオン二次電池(以下「リチウム電池」という)で構成されている場合等がある。例えば、バッテリセル23が開放タイプ(非密閉タイプ)の鉛電池である場合には、バッテリセル23に注入された電解液を適宜補充する必要がある。そのため、その液量を検出し得る液量センサ38が、複数のバッテリセル23のうち配置上中央付近に位置するバッテリセル23内に設けられている。バッテリセル23が密閉タイプの鉛電池である場合やリチウム電池である場合には、電解液を補充する必要がないのでバッテリセル23には液量センサ38は設けられていない。
【0044】
バッテリケース21には、プラス端子21aとマイナス端子21bが設けられている。プラス端子21aはバッテリセル23の陽極端子に接続され、マイナス端子21bはバッテリセル23の陰極端子に接続されている。これらの端子21a,21bは、出力コネクタ78のカバーで覆われている。本第1実施形態では、出力コネクタ78内には、後述する電圧センサ35や電流センサ36が収容されている。
【0045】
図3に示すように、監視装置30は、例えば、ハウジング31、制御部32、通信部33、各種のセンサ35~39等により構成されている。監視装置30は、BMU;Battery Management Unitと呼ばれる場合もある。監視装置30は、制御部32および通信部33を収容したハウジング31がバッテリ20のバッテリケース21に取り付けられる。各種のセンサ35~39は、温度センサ37を除いてハウジング31の外に設けられている。
【0046】
制御部32は、例えば、MPU、メモリ、入出力インタフェース等が同一モジュール内に組み込まれたワンチップマイコンにより構成されている。また通信部33は、充電装置50の通信部59と無線通信可能な近距離無線モジュール(例えば、Bluetooth(登録商標)や ZigBee(登録商標)等の無線規格に準拠したもの)でありアンテナを備えている。制御部32と通信部33は電気的に接続されており、制御部32は、無線通信回線90を介して充電装置50の制御部54と情報通信可能に構成されている。
【0047】
電圧センサ35は、バッテリ20の端子間電圧を計測可能にプラス端子21aとマイナス端子21bの間に接続されている。電流センサ36は、プラス端子21aに流れる電流(端子電流)とその方向または極性とを計測可能にバッテリセル群23の陽極端子とプラス端子21aの間(またはプラス端子21aに直列)に接続されている。これらのセンサ35,36は、例えば、出力コネクタ78のカバー内に収容されている。
【0048】
温度センサ37は、バッテリセル23の表面温度や電解液の温度を直接的または間接的に計測可能にハウジング31内において露出するバッテリケース21の壁面に設けられている。また、液量センサ38は、前述したようにバッテリ20のバッテリセル23内に設けられ、さらに、ガスセンサ39は、バッテリ収容室11(収容空間11a)内の所定のガスのガス濃度を計測可能にハウジング31外に設けられている。所定のガスは、例えば、バッテリ20が鉛電池である場合には硫化水素であり、バッテリ20がリチウム電池である場合には二酸化炭素である。また、本第1実施形態では、バッテリ収容室11の内外の温度を計測するため、収容空間11a内に温度センサ81が設けられ、収容空間11a外に温度センサ83が設けられている。
【0049】
これらのセンサ35~39,81,83は、いずれもその出力が制御部32に接続されており、電圧情報、電流情報、温度情報、液量情報、ガス濃度情報等が制御部32に入力され得るように構成されている。なお、図3には図示されていないが、バッテリ収容室11内(収容空間11a)やバッテリ収容室11外の湿度を計測する湿度センサを備えている場合がある。これらの湿度センサを備えている場合には、それらの出力は制御部32に接続されて、湿度情報が制御部32に入力され得るように構成される。
【0050】
このように構成される監視装置30は、バッテリ20の充電状態、放電状態やメンテナンス状態等の当該バッテリ20に関する情報(個別情報)を取得して外部に送信する。また、監視装置30は、バッテリ20または自分に付与されたID(identifier)(以下「バッテリID」という)を、例えば、一定時間ごとに充電装置50等に送信し得るように構成されている。なお、上述した監視装置30は、バッテリ20の外部に設けられる構成を採用しているが、例えば、バッテリ20の中に組み込まれ得るように監視装置30を構成してもよい。
【0051】
次に、充電装置50により実行される充電制御処理について図4図6を参照しながら説明する。この充電制御処理は、制御部54のメモリ(ROM)に記憶された充電制御プログラムを制御部54のMPUが実行することにより実現される。充電制御プログラム(充電制御処理)は、充電装置50とバッテリ20が充電ケーブル70を介して接続されてフォークリフト10が充電可能な状態で待機しているときに、例えば、充電装置50が備える図略の充電スイッチがオン操作された直後から制御部54により起動される。
【0052】
図4に示すように、充電制御処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部54のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域やフラグをクリアしたり、電圧変換部53、表示部58や通信部59に初期設定用の制御コマンドを送出したりする。
【0053】
次のステップS103ではバッテリID受信処理が行われる。前述したように、充電可能な状態で待機しているフォークリフト10の監視装置30からは、そのバッテリIDが無線通信回線90を介して送信されてくる。そのため、この処理では、監視装置30から送信されてくるバッテリIDを受信することによって、充電装置50に接続されている充電予定のバッテリ20を特定する。
【0054】
続くステップS105では、ステップS103により受信したバッテリIDが充電装置50に登録されているID(既登録ID)であるか否かを判定する処理が行われる。例えば、充電装置50の制御部54が有するメモリには、当該充電装置50により充電可能なバッテリ20またはその監視装置30のバッテリIDを登録したIDリストが記憶されている。そのため、このIDリストと照合して、先に受信したバッテリIDが既登録IDである場合には(S105;Yes)、このバッテリ20は当該充電装置50により充電可能であるため、次のステップS107に処理を移行する。
【0055】
これに対して、先に受信したバッテリIDが既登録IDでない場合には(S105;No)、このバッテリ20は所定の理由により当該充電装置50では充電することができないため、ステップS120のエラー情報表示処理に移行する。所定の理由は、充電装置50とバッテリ20の間において、バッテリの種類が不適合である場合(鉛電池用の充電装置50に対してバッテリ20がリチウム電池であるとき等)や、バッテリの仕様が不適合である場合(充電装置50の出力電圧がバッテリ20の公称電圧に適合しないとき等)等である。ステップS120のエラー情報表示処理については後述する。
【0056】
ステップS107では個別情報取得処理が行われる。この処理は、充電装置50がこれから充電を行う予定のバッテリ20の個別情報を監視装置30から取得するものであり、サブルーチンとして図5(A)にその流れが図示されている。そのため、ここからは図5(A)を主に参照しながら説明する。
【0057】
図5(A)に示すように、個別情報取得処理では、まずステップS201により監視装置30に対して充電の開始前においてバッテリ情報を問い合わせる充電前問合せ処理が行われる。例えば、問い合わせ対象のバッテリ20等を特定するバッテリIDとバッテリ情報の問合せコマンドが、無線通信回線90を介して充電装置50の通信部59から監視装置30の通信部33に送信される。
【0058】
問合せコマンドを受信した監視装置30は、図7を参照して後述するように、問い合わせの時点またはその前後の直近数秒以内におけるバッテリ20のバッテリ情報を前述の各種のセンサ35~39等から取得したり、放電量を算出したりしてそれらをバッテリ20の個別情報として充電装置50に送信する。
【0059】
このため、充電装置50の制御部54は、バッテリ20の個別情報を受信した場合には(S203;有り)、続くステップS205によりバッテリ情報受信処理を行い、受信しない場合には所定時間(例えば5~10秒間)が経過するまで充電前問合せ処理(S201)を繰り返し行う(S203;無し)。そして、この所定時間を経過しても個別情報を受信できない場合には(S203;Time's Up)、ステップS211のエラー情報生成処理に移行して当該バッテリ20の個別情報を受信できない旨を表すエラー情報を生成した後、図4の充電制御処理に戻る。
【0060】
この個別情報取得処理により取得されるバッテリ情報は、充電開始前に電圧センサ35等から得られる情報であり、例えば、次の(1)~(7)である。
(1) 充電前電圧VBb(バッテリ20の端子間電圧)
(2) 充電前液量LRb(バッテリ20の電解液量)
(3) 充電前バッテリ温度TBb(バッテリ20の温度)
(4) 充電前室内温度TRb(バッテリ収容室11内の温度)
(5) 充電前室外温度TXb(バッテリ収容室11外の温度)
(6) 充電前ガス濃度GCb(バッテリ20の収容空間11a内の所定ガスの濃度)
(7) 放電量ADb(バッテリ20の放電量)
【0061】
充電前電圧VBbは電圧センサ35、充電前液量LRbは液量センサ38、充電前バッテリ温度TBbは温度センサ37、充電前室内温度TRbは温度センサ81、充電前室外温度TXbは温度センサ83、充電前ガス濃度GCbはガスセンサ39、によりそれぞれ計測され、放電量ADbは後述する放電量取得処理により算出される。放電量ADbは、バッテリ20が前回の満充電された後、負荷群RL等に経時的に供給した直流電気量の情報であり、単位はAh(アンペア時)である。
【0062】
これらのバッテリ情報のうち、(1)~(3),(7)の充電前電圧VBb、充電前液量LRb、充電前バッテリ温度TBbおよび放電量ADbは、バッテリ20の状態を充電前において把握した静的な情報であり、また(4)~(6)の充電前室内温度TRb、充電前室外温度TXbおよび充電前ガス濃度GCbは、バッテリ20の周囲環境情報である。なお、(4)~(6)の温度やガス濃度は、バッテリ20自体の情報ではないが、これらはバッテリ20の充電条件を左右するものであることから、バッテリ情報に含めている。
【0063】
監視装置30は、制御部32のメモリに次の(8)~(11)の履歴情報を記憶している。そのため、問合せコマンドを受信した監視装置30は、制御部32のメモリに記憶しているこれらの履歴情報も、バッテリ情報(バッテリ20の個別情報)として充電装置50に送信する。
【0064】
(8) 使用回数NTu(バッテリ20の累積使用回数)
(9) 使用時間TMu(バッテリ20の累積使用時間)
(10)充電回数NTc(バッテリ20の累積充電回数)
(11)充電時間TMc(バッテリ20の累積充電時間)
【0065】
使用回数NTuは、バッテリ20がこれまでに使用された回数の合計である。例えば、監視装置30の制御部32は、フォークリフト10の運転開始(キースイッチをオン)から運転終了(キースイッチをオフ)までの単位期間を1回としてカウントする。キースイッチのオンオフ情報は、例えば、フォークリフト10の車載LAN(例えば、CAN(Controller Area Network))から制御部32が取得する。使用時間TMuは、バッテリ20がこれまでに使用された時間の合計である。フォークリフト10の運転開始から運転終了までの単位期間の所要時間をすべての単位期間について合計した時間である。
【0066】
充電回数NTcは、バッテリ20がこれまでに充電された回数の合計である。また、充電時間TMcは、バッテリ20がこれまでに充電された時間の合計である。例えば、制御部32は、電流センサ36により検出される端子電流の方向(極性)に基づいて当該バッテリ20の放電や充電を判定することが可能である。そのため、制御部32は、バッテリ20の端子電流を監視することによって、充電の開始から終了までの時間(充電時間)を計測したり、充電の開始から終了までの回数、つまり充電回数をカウントしたりする。
【0067】
ステップS205のバッテリ情報受信処理において、充電装置50の通信部59により上記(1)~(11)のバッテリ情報が受信されると、充電装置50の制御部54はそれらを取得してステップS207のバッテリ情報記憶処理によりメモリに記憶する。制御部54のメモリには、当該バッテリ20のバッテリIDと紐付けられて記憶される。
【0068】
続くステップS209では仕様情報読出処理が行われる。制御部54のメモリには、充電装置50により充電可能なバッテリ20のバッテリIDが登録されたIDリストが記憶されており、このIDリストには当該バッテリ20の仕様情報として、バッテリ20の種類、公称電圧や定格容量等の情報が当該バッテリ20のバッテリIDと紐付けられて記憶されている。そのため、この処理では、制御部54のメモリに記憶されている、バッテリ20の種類、公称電圧や定格容量等の情報もバッテリ20の個別情報として、同メモリから読み出す。
【0069】
(12)バッテリ種類
(13)公称電圧
(14)定格容量
【0070】
ステップS209の仕様情報読出処理が完了すると、図4の充電制御処理に戻ってステップS109による充電開始可否判定処理が行われる。即ち、これから充電装置50が充電を行う予定のバッテリ20の個別情報(上記(1)~(11))をステップS107により取得しているので、制御部54は、これらの個別情報に基づいて当該バッテリ20の充電開始の可否判定を行う。
【0071】
例えば、バッテリ20の充電前電圧VBbが所定電圧値以上である場合やバッテリ20の放電量ADbが所定量(例えば10%)未満である場合には、まだ充電を行う必要がないため「不可」の判定を行う。また、充電前液量LRbが所定量未満の場合、充電前バッテリ温度TBb、充電前室内温度TRbや充電前室外温度TXbが所定温度範囲(例えば0℃~40℃)外の場合には、充電を開始するとバッテリ20の性能劣化に繋がり得るため「不可」の判定を行う。
【0072】
さらに、充電前ガス濃度GCbが所定濃度を超えている場合には、バッテリ20の電解液が不足している可能性が高いため「不可」の判定を行う。また、バッテリ20の使用回数NTuや充電回数NTcがバッテリ交換を要する所定回数を超えていたり、バッテリ20の使用時間TMuや充電時間TMcがバッテリ交換を要する所定時間を超えていたりする場合には、当該バッテリ20の交換作業の必要性を告知するため「不可」の判定を行う。
【0073】
ステップS109による充電開始可否判定処理により「不可」の判定が行われた場合には(S109;不可)、ステップS120に処理を移行してエラー情報表示処理が行われる。ステップS120のエラー情報表示処理では、充電装置50の表示部58に該当するエラーの内容を表示する。例えば、ステップS109により充電前電圧VBbが所定電圧値以上であると判定された場合やバッテリ20の放電量ADbが所定量未満である場合には、充電を行う必要がない旨の情報をLEDの発光色もしくは点滅パターンまたは液晶表示パネルによる文字情報により明示する。
【0074】
また、ステップS109により、充電前液量LRbが所定量未満であると判定されたり、充電前バッテリ温度TBb、充電前室内温度TRbや充電前室外温度TXbが所定温度範囲外であると判定されたりした場合には、バッテリ20の性能劣化に繋がるおそれがあるため、充電を行うことができない旨の情報をLEDの発光色等や液晶表示パネルによる文字情報により表示部58に明示する。
【0075】
同様に、充電前ガス濃度GCbが所定濃度を超えていると判定された場合には、バッテリ20の電解液が不足している旨の情報を表示部58に明示する。さらに、使用回数NTu等がバッテリ交換を要する所定回数を超えていると判定されたり、使用時間TMu等がバッテリ交換を要する所定時間を超えていると判定されたりした場合には、当該バッテリ20等を交換する必要があるため充電を行うことができない旨の情報をLEDの発光色等や液晶表示パネルの文字情報により表示部58に明示する。また個別情報取得処理(S107)により当該バッテリ20の個別情報を受信できない旨を表すエラー情報が生成されている場合にはその旨の情報をLEDの発光色等や液晶表示パネルの文字情報により明示する。
【0076】
なお、前述したステップS105による判定処理によって、充電することができないと判定された場合には(S105;No)、ステップS120のエラー情報表示処理では、そのような判定の根拠になった所定の理由(例えば、バッテリの種類や仕様の不適合)に関する情報をLEDの発光色もしくは点滅パターンまたは液晶表示パネルによる文字情報により表示部58に明示する。
【0077】
これに対して、ステップS109により「不可」の判定が行われなかった場合、つまり「可能」の判定が行われた場合には(S109;可能)、続くステップS111により充電処理が行われる。本第1実施形態では、前述したように「不可」に該当する所定条件を例示してこの条件に該当しない場合に「可能」であると判定したが、これとは逆に「可能」に該当する所定条件に該当しない場合に「不可」であると判定してもよい。
【0078】
ステップS111の充電処理では、制御部54のメモリから読み出される所定の充電パターンに従ってバッテリ20を充電する。所定の充電パターンは、例えば、予め定められた一律の充電パターンや、バッテリIDに紐付けられた当該バッテリ20用の充電パターンである。バッテリ20が鉛電池で構成されている場合には、例えば、図6に表されているような充電パターンに従った準定電圧充電方式で充電が行われる。図6において、紙面左端が充電開始時点であり、同右端が充電完了時点である。また実線カーブがバッテリ20の単セル当たりの端子間電圧(例えば2.0V~2.7V)を表し、破線カーブが充電電流(例えば0A~80A)を表す。
【0079】
典型的な準定電圧充電方式では、[発明が解決しようとする課題]の欄で述べたように、仕上げ充電においては所定量(例えば15%)の割増し充電が行われる。そのため、例えば、放電量が少ないバッテリ20を繰り返し充電したり、充電途中に停電が発生してバッテリ20の充電を最初からやり直したりした場合には、割増し分が蓄積されてバッテリ20の過充電に繋がり得る。そこで、本第1実施形態の充電制御処理では、次のような情報処理を行う。
【0080】
例えば、バッテリ20の端子間電圧(充電中電圧VBc)が予め定められている単セル当たりのタイマー動作電圧Vt(=2.4V/セル)に到達するまでの期間Taは、典型的な準定電圧充電方式と同様に、比較的大きな充電電流で定電圧充電を行う。そして、その後の期間Tbは、所定のタイマー動作時間Ttが経過するか、またはそれまでの充電量が前述の放電量ADbに所定量(例えば15%)の割増し分を加えた量に達するかのいずれか早い方が到来するまで、比較的小さな充電電流で仕上げ充電を行う(図6においては、タイマー動作時間Ttが経過するよりも放電量ADb+15%に到達する方が時間的に早い(Tb>Tb’))。所定のタイマー動作時間Ttを計時することなく、バッテリ20の充電量が前述の放電量ADb+15%に達するまで仕上げ充電を行ってもよい。また、このような所定量(例えば15%)の割増しを行うことなく、充電量が放電量ADbに達するまで仕上げ充電を継続してもよい。
【0081】
このため、次のステップS113では、充電中電圧VBcや充電中電流IBc等、充電中のバッテリ20の個別情報を充電中情報として監視装置30等から取得する充電中情報取得処理を行う。この充電中情報取得処理は、サブルーチンとして図5(B)にその流れが図示されているので、ここからは図5(B)を主に参照しながら説明する。
【0082】
図5(B)に示すように、充電中情報取得処理ではステップS301により監視装置30に対して充電の開始後においてバッテリ情報を問い合わせる充電中問合せ処理が行われる。例えば、充電前問合せ処理の場合と同様に、当該バッテリ20等のバッテリIDとバッテリ情報の問合せコマンドが、無線通信回線90を介して充電装置50の通信部59から監視装置30の通信部33に送信される。問合せコマンドを受信した監視装置30は、図8(A)を参照して後述するように、問い合わせの時点またはその前後直近におけるバッテリ20のバッテリ情報を前述の各種のセンサ35~39等から取得し、バッテリ20の個別情報として充電装置50に送信する。
【0083】
このため、充電装置50の制御部54は、バッテリ20の個別情報を受信した場合には(S303;有り)、続くステップS305によりバッテリ情報受信処理を行い、受信できない場合には所定時間(例えば数秒間)が経過するまで充電中問合せ処理(S301)を繰り返し行う(S303;無し)。そして、この所定時間を経過しても個別情報を受信できない場合には(S303;Time's Up)、ステップS311のエラー情報生成処理に移行して当該バッテリ20の個別情報を受信できない旨を表すエラー情報を生成し、その後、図4の充電制御処理に戻る。この場合のバッテリ情報は、充電中の電圧センサ35等から得られる情報であり、例えば、次の(15)~(21)である。
【0084】
(15)充電中電圧VBc(バッテリ20の充電電圧)
(16)充電中電流IBc(バッテリ20の充電電流(充電電流情報))
(17)充電中液量LRc(バッテリ20の電解液量)
(18)充電中バッテリ温度TBc(バッテリ20の温度)
(19)充電中室内温度TRc(バッテリ収容室11内の温度)
(20)充電中室外温度TXc(バッテリ収容室11外の温度)
(21)充電中ガス濃度GCc(バッテリ20の収容空間11a内の所定ガスの濃度)
【0085】
本第1実施形態では、充電中電圧VBcは電圧センサ35、充電中電流IBcは電流センサ36、充電中液量LRcは液量センサ38、充電中バッテリ温度TBcは温度センサ37、充電中室内温度TRcは温度センサ81、充電中室外温度TXcは温度センサ83、充電中ガス濃度GCcはガスセンサ39、によりそれぞれ計測される。
【0086】
これらのバッテリ情報のうち、(15)~(18)の充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRcおよび充電中バッテリ温度TBcは、バッテリ20の状態を充電中において把握した動的な情報であり、また(19)~(21)の充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXcおよび充電中ガス濃度GCcは、バッテリ20の周囲環境情報である。
【0087】
なお、(19)~(21)の温度やガス濃度は、バッテリ20自体の情報ではない。しかし、(19),(20)はバッテリ20の充電条件を左右するものである。また、(21)は、後述するように、バッテリ20の充電に伴い増加したり上昇したりする場合もある。そのため、本第1実施形態では(19)~(21)もバッテリ情報に含めている。
【0088】
ステップS305のバッテリ情報受信処理において、充電装置50の通信部59により上記(15)~(21)のバッテリ情報が受信されると、充電装置50の制御部54はそれらを取得してステップS307のバッテリ情報記憶処理によりメモリに記憶する。制御部54のメモリには、当該バッテリ20のバッテリIDと紐付けられて記憶される。ステップS307のバッテリ情報記憶処理が完了すると、図4の充電制御処理に戻ってステップS115による充電量算出処理が行われる。
【0089】
ステップS115の充電量算出処理では、それまでにバッテリ20に充電された直流電気量(単位はAh)の情報、つまり充電量を算出する。本第1実施形態では、当該バッテリ20に充電されている電流の直近の電流値が充電中電流IBcとして前述の充電中情報取得処理(S113)によって監視装置30から取得されている。例えば、この充電中電流IBcは、充電中情報取得処理(S113)により監視装置30から約1秒間隔で取得される。また充電量(単位Ah)は、電流値と時間の積により算出することが可能である。
【0090】
このため、この約1秒間隔で取得される充電中電流IBcが当該約1秒間内においてほぼ同値または平均値であると仮定した場合には、充電中電流IBcとこの充電中電流IBcが取得された間隔時間(取得間隔時間ITc)との積により当該間隔時間内における所定時間内充電量ΔACc(=IBc×ITc)を算出することができ、さらにそれらを積算(時間積分)することでその時点におけるそれまでの充電量ACc(=∫(ΔACc)dt)を求めることが可能になる。したがって、充電量算出処理(S115)では、取得間隔時間ITcごとに算出した所定時間内充電量ΔACcを、充電開始直後からその都度加算することにより積算し(ACc←ACc+ΔACc)、充電開始から当該処理時点における充電量ACcを算出する。
【0091】
続くステップS117では充電継続判定処理が行われる。現在、充電装置50が充電しているバッテリ20の充電中の個別情報(上記(15)~(21))をステップS113により取得しており、また充電開始から当該処理時点における充電量ACcをステップS115により算出している。そのため、この処理では、これらの個別情報や充電量情報に基づいて当該バッテリ20の充電継続の可否等の判定を行う。
【0092】
例えば、先の鉛電池の例では、バッテリ20の充電中電圧VBcがタイマー動作電圧Vtに到達するまでの間において、バッテリ20の充電中電圧VBcや充電中電流IBcが所定の充電パターンに従った範囲内の電圧値や電流値である場合には、そのまま充電を継続するため「可能」の判定を行う。これに対して、バッテリ20の充電中電圧VBcや充電中電流IBcが所定の充電パターンに従った範囲外の電圧値や電流値である場合には、例えば、充電処理を中止するため「不可」の判定を行う。
【0093】
また、例えば、充電中液量LRcが所定量未満である場合や、充電中ガス濃度GCcが所定濃度を超えている場合には、充電時における硫化水素のさらなる発生を防止するため「不可」の判定を行う。また、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRcや充電中室外温度TXcが所定温度範囲(例えば0℃~40℃)外である場合にもバッテリ20の性能劣化がさらに進むことを防止するため「不可」の判定を行う。
【0094】
ステップS117による充電継続判定処理により「不可」の判定が行われた場合には(S117;不可)、ステップS120に処理を移行してエラー情報表示処理が行われる。エラー情報表示処理(S120)により充電装置50の表示部58に表示されるエラーの内容等については、ステップS109の判定処理において既に説明したものとほぼ同じであるので、ここでは説明を省略する。なお、これらのエラー情報(エラーコード)は、当該バッテリ20のバッテリIDに関連付けて制御部54のメモリに記憶してもよい。
【0095】
これに対して、ステップS117により「不可」の判定が行われなかった場合、つまり「可能」の判定が行われた場合には(S117;可能)、現在、行われているバッテリ20の充電が完了したか否かを判定するため、ステップS119に処理を移行する。
【0096】
ステップS119ではバッテリ20の充電が完了したか否かの判定処理が行われる。例えば、先の鉛電池の例では、充電中情報取得処理(S113)により取得される充電中電圧VBcと、所定のタイマー動作時間Tまたは充電量ACcとに基づいて、当該バッテリ20の充電完了の判定が行われる。
【0097】
即ち、バッテリ20の充電中電圧VBcがタイマー動作電圧Vt未満である場合、またはバッテリ20の充電中電圧VBcがタイマー動作電圧Vt以上であってもタイマー動作電圧Vtに到達後、所定のタイマー動作時間Tが経過していない場合やそれまでの充電量ACcがステップS107で取得した放電量ADbに到達していない場合には(ACc<ADb)、いずれも充電が完了していないと判定する(S119;No)。充電が完了していないと判定した場合には(S119;No)、再度、ステップS111による充電処理に戻り、充電処理(S111)、充電中情報取得処理(S113)、充電量算出処理(S115)、充電継続判定処理(S117)が行われた後、再び充電完了判定処理(S119)が行われる。なお、これらのステップS111~S119による一連の情報処理は、例えば、最短で約1秒間の処理時間を要する。
【0098】
これに対して、バッテリ20の充電中電圧VBcがタイマー動作電圧Vt以上であってタイマー動作電圧Vtに到達後、所定のタイマー動作時間Tが経過した場合、またはそれまでの充電量ACcがステップS107で取得した放電量ADbに到達しまたは超えた場合には(ACc≧ADb)、充電が完了したと判定する(S119;Yes)。そして、充電が完了したと判定した場合には(S119;Yes)、充電を完了した旨を告知し得る充電完了情報を表示部58に表示した後、次のステップS121に処理を移行する。
【0099】
ステップS121の充電情報記憶処理では、上述した各判定処理(S105,S109,S117)により判定された結果や、前述したバッテリ20の個別情報のうち、少なくとも、一旦登録された後は変動することのない上記(12)~(14)の各情報(バッテリ種類、公称電圧、定格容量)と、充電中の上記(15)~(21)の各情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc、充電中ガス濃度GCc)とを除いた上記(1)~(11)の情報が、充電された当該バッテリ20のバッテリIDに関連付けられて制御部54のメモリに記憶される。
【0100】
例えば、上記(1)~(7)の各情報(充電前電圧VBb、充電前液量LRb、充電前バッテリ温度TBb、充電前室内温度TRb、充電前室外温度TXb、充電前ガス濃度GCb、放電量ADb)については、取得された年月日時分秒の日時情報とともにメモリに保存される。また、上記(10),(11)の各情報(充電回数NTc、充電時間TMc)については、今回の充電に関して、充電回数NTcが1回加算され、また充電に要した時間が充電時間TMcに加算された情報がメモリに保存される。
【0101】
なお、制御部54のメモリ容量に余裕がある場合には、例えば、当該バッテリ20が今回充電されていた最中に取得された上記(15)~(21)の各情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc、充電中ガス濃度GCc)についても、充電された当該バッテリ20のバッテリIDに関連付けて取得された年月日時分秒の情報とともにメモリに保存してもよい。これにより、各バッテリ20の充電情報を経時的に蓄積することができるので、例えば、バッテリ20に関する統計処理の元データとしてこれらのデータを活用することが可能になる。
【0102】
次に、監視装置30で実行される放電量取得処理や充電前バッテリ情報送出処理について図7を参照して説明する。放電量取得処理は、監視装置30の制御部32が所定タイミング(例えば10ミリ秒ごと)で繰り返し実行することで、バッテリ20が負荷群RL等に経時的に供給する直流電気量、つまり放電量を取得して制御部32のメモリに記憶する。充電前バッテリ情報送出処理は、放電量取得処理によって記憶された放電量をバッテリ情報として充電装置50に送信する。そのため、この処理は、放電量取得処理よりも遅い周期(例えば1秒間隔)で制御部32に起動されて繰り返し実行される。
【0103】
図7(A)に示すように、放電量取得処理では、まずステップS501により電流情報取得処理が行われる。バッテリ20の使用時においても、当該バッテリ20から出る直流電流は監視装置30の電流センサ36により計測可能であることから、この処理ではバッテリ20の放電時(使用時)の放電電流IBbの情報を当該電流センサ36から取得する。この処理は制御部32により所定タイミング(例えば10ミリ秒ごと)で繰り返し実行され、充電量と同様、放電量(単位Ah)も電流値と時間の積で算出することが可能である。
【0104】
このため、この所定タイミング(取得間隔時間ITb)で取得される充電中電流IBcが当該取得間隔時間ITb内においてほぼ同値または平均値であると仮定した場合には、放電電流IBbと取得間隔時間ITbの積により当該間隔時間内における微小時間内放電量ΔADb(=IBb×ITb)を算出することができ、さらにそれらを積算(時間積分)することでその時点におけるそれまでの放電量ADb(=∫(ΔADb)dt)を求めることが可能になる。
【0105】
したがって、ステップS503では例えば10ミリ秒ごとに計測した電流値を逐次積算し、その積算結果を当該算出時点までの放電量としてステップS505の放電量記憶処理により制御部32のメモリの所定領域に記憶して本放電量取得処理を終了する。つまり、所定タイミング(取得間隔時間ITb)ごとに電流値の取得、積算、記憶を繰り返して最新の放電量ADbをメモリの所定領域に保存する。
【0106】
なお、この所定領域は、前述した(1)~(11)のバッテリ情報(充電前電圧VBb、充電前液量LRb、充電前バッテリ温度TBb、充電前室内温度TRb、充電前室外温度TXb、充電前ガス濃度GCb、放電量ADb、使用回数NTu、使用時間TMu、充電回数NTc、充電時間TMc)を充電装置50に送信するために制御部32のメモリに設定される送信バッファを構成する。放電量ADb以外の充電前電圧VBbや充電前液量LRb等は、制御部32により実行される図略の情報処理によって電圧センサ35や液量センサ38等からそれぞれ取得されて送信バッファ内のそれぞれに対応する所定領域に格納される。
【0107】
図7(B)に示すように、充電前バッテリ情報送出処理では、まずステップS601により受信処理が行われる。充電装置50が送信した問合せコマンドや制御コマンドを監視装置30が受信すると、これらの問合せコマンド等は通信部33の受信バッファに格納される。そのため、受信処理(S601)では、通信部33の受信バッファを読み出して問合せコマンド等を取得する。
【0108】
そして、続くステップS603により受信したコマンドが、自分宛のものであって充電前の問合せコマンドであるか否かを判定する。自分宛のものであるか否かは、例えば、コマンドとともに送信された宛先IDを参照してそれが当該監視装置30に付与されたバッテリIDに一致するか否かを判定する。また充電前の問合せコマンドであるか否かは、例えば、コマンドを特定し得るコードに基づいて判定する。
【0109】
ステップS603の判定処理により自分宛の充電前の問合せコマンドであると判定した場合には(S603;有り)、次のステップS605によりバッテリ情報送信処理を行い、自分宛の充電前の問合せコマンド等ではないと判定した場合には(S603;無し)、次の問合せコマンド等の受信に備えて本充電前バッテリ情報送出処理を終了する。
【0110】
次のステップS605のバッテリ情報送信処理では、前述した放電量取得処理によって制御部32のメモリの所定領域(送信バッファ)に保存された放電量ADbを含むバッテリ情報を充電装置50に送信する。これにより、前述した図5(A)の個別情報取得処理により充電装置50から送信された問合せコマンドに呼応して所定のバッテリ情報(前述の(1)~(11))が送信されるため、当該充電装置50ではこれらを受信することが可能になる。
【0111】
続いて、監視装置30で実行される充電電流取得処理や充電中バッテリ情報送出処理について図8を参照して説明する。充電電流取得処理は、監視装置30の制御部32が所定タイミング(例えば10ミリ秒ごと)で繰り返し実行することで、充電装置50からバッテリ20に供給する直流電流、つまり充電電流の情報を取得して制御部32のメモリに記憶する。充電中バッテリ情報送出処理は、充電電流取得処理によって記憶された充電電流の情報をバッテリ情報として充電装置50に送信する。そのため、この処理は、充電電流取得処理よりも遅い周期かつ前述した図5(B)の充電中情報取得処理の最短実行周期よりも早い周期(例えば100ミリ秒間隔)で制御部32に起動されて繰り返し実行される。
【0112】
図8(A)に示すように、充電電流取得処理では、まずステップS701により電流情報取得処理が行われ、監視装置30の電流センサ36により計測される充電中の充電電流、つまり充電中電流IBcの情報が取得される。そして、この充電中電流IBcの情報は、次のステップS703の充電電流記憶処理により制御部32のメモリの所定領域に記憶されて、本充電電流取得処理を終了する。つまり、所定タイミング(取得間隔時間ITc)ごとに電流値の取得、記憶を繰り返して最新の充電中電流IBcをメモリの所定領域に保存する。
【0113】
なお、この所定領域は、前述した(15)~(21)のバッテリ情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc、充電中ガス濃度GCc)を充電装置50に送信するために制御部32のメモリに設定される送信バッファを構成する。なお、充電中電圧VBcや充電中液量LRc等についても、当該充電電流取得処理とほぼ同様に構成される、図略の情報処理によって電圧センサ35や液量センサ38等からそれぞれ取得されて送信バッファ内のそれぞれに対応する所定領域に格納される。
【0114】
図8(B)に示すように、充電中バッテリ情報送出処理は、前述した図7(B)の充電前バッテリ情報送出処理とほぼ同様に構成されている。そのため、ここでは両者が異なる点について説明する。ステップS803の判定処理では、ステップS801により受信したコマンドが、自分宛のものであって充電中の問合せコマンドであるか否かを判定する。また充電中の問合せコマンドであるか否かは、例えば、コマンドを特定し得るコードに基づいて判定する。
【0115】
ステップS803の判定処理により自分宛の充電中の問合せコマンドであると判定した場合には(S803;有り)、次のステップS805によりバッテリ情報送信処理を行い、自分宛の充電中の問合せコマンド等ではないと判定した場合には(S803;無し)、次の問合せコマンド等の受信に備えて本充電中バッテリ情報送出処理を終了する。
【0116】
次のステップS805のバッテリ情報送信処理では、前述した充電電流取得処理によって制御部32のメモリの所定領域(送信バッファ)に保存された充電中電流IBcを含むバッテリ情報を充電装置50に送信する。これにより、前述した図5(B)の充電中情報取得処理により充電装置50から送信された問合せコマンドに呼応して所定のバッテリ情報(前述の(15)~(21))が送信されるため、当該充電装置50ではこれらを受信することが可能になる。
【0117】
なお、監視装置30において充電量を算出しそれを充電装置50に送信するように制御部32による情報処理のアルゴリズムを構成してもよい。即ち、監視装置30の制御部32が所定タイミング(例えば10ミリ秒ごと)で繰り返し実行する情報処理として、図9(A)に示すような充電量取得処理を構成してもよい。この充電量取得処理は、監視装置30の制御部32が所定タイミングで繰り返し実行することによって、充電装置50からバッテリ20に経時的に供給する直流電気量、つまり充電量の情報を取得して制御部32のメモリに記憶する。
【0118】
図9(A)に示すように、充電量取得処理では、まずステップS701の電流情報取得処理によりバッテリ20の充電電流IBcの情報が当該電流センサ36から取得される。次のステップS702では充電量算出処理が行われる。この処理は、図4を参照しながら説明した充電制御処理における充電量算出処理(S115)とほぼ同様に行われる。この充電量取得処理では、ステップS701の電流情報取得処理によって充電電流IBcの情報が所定タイミング(例えば10ミリ秒ごと)に取得される。
【0119】
このため、この10ミリ秒ごとに取得される充電中電流IBcが当該時間内においてほぼ同値または平均値であると仮定した場合、充電中電流IBcとこの充電中電流IBcが取得された間隔時間(取得間隔時間ITc)との積により当該間隔時間内における所定時間内充電量ΔACc(=IBc×ITc)を算出することができる。またそれらを積算(時間積分)することでその時点におけるそれまでの充電量ACc(=∫(ΔACc)dt)を求められる。
【0120】
したがって、ステップS702では例えば10ミリ秒ごとに計測した電流値を逐次積算し、その積算結果を当該算出時点までの充電量としてステップS704の充電量記憶処理により制御部32のメモリの所定領域に記憶して本充電量取得処理を終了する。つまり、所定タイミング(取得間隔時間ITb)ごとに電流値の取得、積算、記憶を繰り返して最新の充電量ACcをメモリの送信バッファの所定領域に保存する。なお、充電開始は、例えば、電流センサ36で計測される電流方向(放電方向から充電方向へ)または電流値の符号(放電時のマイナスから充電時のプラスへ)の変化で検出することが可能である。
【0121】
これにより、図8(B)に示す充電中バッテリ情報送出処理においては、前述した(15)~(21)のバッテリ情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc、充電中ガス濃度GCc)に加えて、(22)充電量ACcもバッテリ情報送信処理(S805)により充電装置50に送信される。したがって、前述した図5(B)の充電中情報取得処理により充電装置50から送信された問合せコマンドに呼応してこれらのバッテリ情報(前述の(15)~(22))が送信されるため、当該充電装置50ではこれらを受信することが可能になる。なお、この場合、充電装置50で実行される図4の充電制御処理においては、ステップS115の充電量算出処理は不要になるため削除される。
【0122】
また、監視装置30において充電の完了または未了を判定しその情報を充電装置50に送信するように制御部32による情報処理のアルゴリズムを構成してもよい。即ち、監視装置30の制御部32が所定タイミング(例えば10ミリ秒ごと)で繰り返し実行する情報処理として、図9(B)に示すような充電完了未了判定処理を構成してもよい。この充電完了未了判定処理は、監視装置30の制御部32が所定タイミングで繰り返し実行することで、その都度算出したそれまでの充電量に基づいて充電完了の可否判定を行いその判定結果を充電完了フラグにセットして制御部32のメモリに記憶する。
【0123】
図9(B)に示すように、充電完了未了判定処理では、まずステップS701の電流情報取得処理によりバッテリ20の充電電流IBcの情報が当該電流センサ36から取得され、それに基づいて次のステップS702により充電量算出処理が行われる。ここまでは前述した図9(A)の充電量取得処理と同様である。ステップS705では、バッテリ20の充電量に基づいて当該バッテリ20の充電が完了したか否かの判定処理が行われる。
【0124】
前述した図4の充電制御処理の充電完了判定処理(S119)においては、例えば、鉛電池の例では、充電中情報取得処理(S113)により取得される充電中電圧VBcと、所定のタイマー動作時間Tまたは充電量ACcとに基づいて、当該バッテリ20の充電完了の判定が行われたが、このステップS705の判定処理は監視装置30で行われるため、専ら充電量ACcだけに基づいて充電完了未了の判定処理が行われる。
【0125】
即ち、監視装置30では、前述した図7(A)の放電量取得処理によりバッテリ20の放電量ADbを算出して制御部32のメモリに記憶している。そのため、当該バッテリ20の充電量ACcが充電開始前の放電量ADbに到達しまたは超えた場合(ACc≧ADb)には当該バッテリ20の充電は完了したと判定し(S705;Yes)、充電量ACcが放電量ADbに到達していない場合(ACc<ADb)には当該バッテリ20の充電は完了していない(未了である)と判定する(S705;No)。
【0126】
そして、ステップS705の判定処理により当該バッテリ20の充電は完了したと判定された場合には(S705;Yes)、続くステップS707により充電完了フラグが「1」に設定される。この充電完了フラグは、「1」である場合には充電完了を意味し(充電完了情報)、「0」である場合には充電未了を意味して、23番目のバッテリ情報((23)充電完了フラグFLc)として、制御部32のメモリの所定領域(送信バッファ)に保存される。なお、充電完了フラグは、バッテリ20の充電が開始されたタイミングでクリア(「0」にセット)される。また、充電開始は、前述したように、電流センサ36で計測される電流方向や電流値の符号の変化により検出することが可能である。
【0127】
これにより、図8(B)に示す充電中バッテリ情報送出処理においては、前述した(15)~(21)のバッテリ情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc、充電中ガス濃度GCc)に加えて、充電完了情報としての(23)充電完了フラグFLcもバッテリ情報送信処理(S805)により充電装置50に送信される。したがって、前述した図5(B)の充電中情報取得処理により充電装置50から送信された問合せコマンドに呼応してこれらのバッテリ情報(前述の(15)~(21),(23))が送信されるため、当該充電装置50ではこれらを受信することが可能になる。なお、この場合、充電装置50で実行される図4の充電制御処理においては、ステップS115の充電量算出処理は不要になるため削除される。また、ステップS119の充電完了判定処理による充電量ACcとに基づく判定に代えて、充電完了フラグFLcが「1」にセットされている場合にはバッテリ20の充電が完了している判定が行われ、「0」にセットされている場合にはバッテリ20の充電が完了していない判定が行われる。
【0128】
以上説明したように、本第1実施形態に係る充電システム2では、充電装置50と、充電装置50に充電されるバッテリ20と充電装置50の間に介在する充電ケーブル70と、充電装置50と別体に設けられてバッテリ20の電流情報を取得するとともにバッテリ20の充放電に関する個別情報を無線通信回線90を介して充電装置50に送る監視装置30と、を含む。そして、監視装置30は、バッテリ20の負荷群RLに対して放電した電流および時間に基づいて放電量ADbを求めてこの放電量ADbを個別情報として充電装置50に送信する。また充電装置50は、監視装置30から受信した放電量ADbに基づいてバッテリ20を充電する充電制御を行う。
【0129】
これにより、充電装置50に設けられた電圧センサ56等で測定する場合等に比べて充電装置50とバッテリ20を接続する充電ケーブル70の長さに関係なく個別情報として、正確な放電量ADbを得ることが可能になる。また充電装置50は、監視装置30から受信したこのような正確な放電量ADbに基づいてバッテリ20を充電する充電制御を行うことが可能になる。例えば、充電開始前に充電装置50が放電量ADbを受信した場合には、バッテリ20が放電した分だけ(または所定量の割増し分を加えて)充電し得るように充電量ACcを設定することが可能になる。また、充電開始後(充電期間中)に充電装置50が放電量ADbを受信した場合には、バッテリ20の充電が不足している分だけ(または所定量の割増し分を加えて)充電し得るように充電量ACcを設定することが可能になる。そのため、バッテリ20の充電残量の多少に関係なく過充電になり難い。したがって、バッテリ20を適切に充電することができる。
【0130】
[第2実施形態]
次に、本発明の充電システムの第2実施形態について図10を参照して説明する。上述したように、第1実施形態の充電システム2では、充電装置50は充電中電流IBc(充電電流)を検出(計測)する電流センサを備えていない構成を採用した。そのため、充電装置50は、バッテリ20の充電時における充電電流として、監視装置30が備える電流センサ36により計測された充電中電流IBcを、監視装置30から送信されてくるバッテリ情報から取得して充電制御処理に用いていた。しかし、このような構成を採用することなく、充電装置50’が電流センサを備える構成を採ってもよい。なお、図10に表されている充電装置50’において、図2に示す第1実施形態の充電装置50と実質的に同一の構成部分については同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0131】
例えば、図10に示すように、電圧変換部53の出力側に並列に電圧センサ56aを接続し、また同出力側に電流センサ56bを直列に接続するように、充電装置50’の出力側の回路を構成してもよい。これにより、充電装置50’においても、電流センサ56bによりバッテリ20の充電時における充電電流を検出することが可能になるので、監視装置30から充電中電流IBcを取得することなく、充電制御処理を行うことができる。
【0132】
即ち、本第2実施形態の充電装置50’では、図4に示す充電制御処理のステップS113の充電中情報取得処理において、監視装置30から取得される充電中の個別情報(上記(15)~(21))のうち、(16)充電中電流IBcに代えて、電流センサ56bにより検出されたバッテリ20の充電電流(充電電流情報)を用いる。なお、充電ケーブル70の入力コネクタ73や出力コネクタ74の内部に電流センサを設けて当該電流センサから充電電流情報を有線通信回線または無線通信回線を経由してバッテリ20の充電電流情報を取得し得るように充電装置50を構成してもよい。
【0133】
本第2実施形態の充電装置50’は、バッテリ20の充電電流情報を充電期間中に監視装置30以外から取得するとともに、この充電電流情報に基づいてバッテリ20の充電量ACcを求めてこの充電量ACcに応じたバッテリ20の充電制御を行う。これにより、例えば、充電装置50’が充電電流情報を検出可能な電流センサ56bを備えている場合や監視装置30以外からバッテリ20の充電電流情報を充電装置50が得る場合においては、監視装置30から充電電流情報を得なくてもバッテリ20の充電量ACcを求めることが可能になり、またその充電量ACcに応じたバッテリの充電制御を行うことが可能になる。
【0134】
なお、上述した本第1,第2実施形態に係る充電システム2では、充電制御処理(図4)を構成するステップS107の個別情報取得処理において監視装置30から放電量ADbを受信して取得する場合を例示して説明した。つまり、バッテリ20の充電開始前に放電量ADbを監視装置30から取得した。しかし、例えば、バッテリ20の充電開始後(充電中)に放電量ADbを監視装置30から取得してもよい。この場合には、例えば、充電制御処理(図4)を構成するステップS113の充電中情報取得処理において、充電開始直後のタイミングで監視装置30から放電量ADbを受信して取得し得るようにアルゴリズムを構成する。これにより、ステップS107の個別情報取得処理で放電量ADbを取得しない構成であってもステップS113の充電中情報取得処理に取得できるため、例えば、バッテリ20が放電した分だけ充電し得るように充電量ACcを設定することが可能になる。したがって、このようなアルゴリズムの構成であってもバッテリ20を適切に充電することができる。
【0135】
また、上述した本第1,第2実施形態に係る充電システム2では、バッテリ20として、バッテリセル23が鉛電池で構成されている場合を例示して、準定電圧充電方式をベースにしてタイマー動作電圧Vt(=2.4V/セル)に到達した後の期間Tbにおいて、所定のタイマー動作時間Ttが経過するか、またはそれまでの充電量ACcが前述の放電量ADbに達するかのいずれか早い方が到来するまで、比較的小さな充電電流で仕上げ充電を行う充電制御について説明した。しかし、準定電圧充電方式をベースにすることなく、バッテリ20の充電量ACcがその放電量ADbに到達するまで、任意の充電特性に従って充電電圧および充電電流を制御するように充電装置50,50’を構成してもよい。
【0136】
さらに、上述した本第1,第2実施形態に係る充電システム2では、充電装置50の制御部54により実行される充電制御処理(図4)のステップS115の充電量算出処理、監視装置30の制御部32により実行される放電量取得処理(図7(A))のステップS503の放電量算出処理や、同制御部32により実行される充電量取得処理(図9(A))および充電完了未了判定処理(図9(B))のそれぞれステップS702の充電量算出処理において、放電電流の取得間隔時間ITbや充電電流の取得間隔時間ITcがほぼ一定である場合を例示して説明した。しかし、これらの取得間隔時間ITb,ITcが変動し得る場合には、それぞれの取得間隔時間をその都度計時して、それぞれの取得間隔時間ごとに対応する電流値(放電電流や充電電流)を乗算した結果を積算することによって、バッテリ20の放電量ADbや充電量ACcを算出してもよい。
【0137】
また、上述した本第1,第2実施形態に係る充電システム2では、充電制御処理(図4)のステップS115の充電量算出処理、放電量取得処理(図7(A))のステップS503の放電量算出処理や、充電量取得処理(図9(A))および充電完了未了判定処理(図9(B))のそれぞれステップS702の充電量算出処理においては、放電電流IBbとこの放電電流IBbが取得された取得間隔時間ITbとの積により当該取得間隔時間ITb内における所定時間内充電量ΔADb(=IBb×ITb)を算出したり、充電中電流IBcとこの充電中電流IBcが取得された取得間隔時間ITcとの積により当該取得間隔時間ITc内における所定時間内充電量ΔACc(=IBc×ITc)を算出したりする場合を例示して説明した。つまり、これらの放電量や充電量は、電流と時間の積で算出した(単位はAh)。しかし、これらの放電量や充電量は、電力(放電電流と放電電圧の積、または充電電流と充電電圧の積)と時間の積で算出してもよい(単位はWh)。
【0138】
また、上述した本第1,第2実施形態に係る充電システム2では、バッテリ20として、バッテリセル23が鉛電池で構成されている場合を例示して説明したが、バッテリセル
23がリチウム電池で構成されている場合においても、所定のタイマー動作時間による充電処理を除いて、鉛電池の場合と同様に、例えばバッテリ20が放電した分だけ充電し得るように充電量ACcを設定することが可能になる。また電解液が注入されるタイプのバッテリであれば、その他の二次電池の充電システムにも本発明を適用することが可能である。
【0139】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。
【符号の説明】
【0140】
2…充電システム
10…フォークリフト
11…バッテリ収容室
11a…収容空間
20…バッテリ
21a…プラス端子
21b…マイナス端子
23…バッテリセル
30…監視装置
32…制御部
33…通信部
35…電圧センサ
36…電流センサ
37…温度センサ
38…液量センサ
39…ガスセンサ
50,50’…充電装置
54…制御部
56,56a…電圧センサ
56b…電流センサ
58…表示部
59…通信部
70…充電ケーブル
71…充電装置側ケーブル
74…出力コネクタ
75…バッテリ側ケーブル
77…入力コネクタ
79…スイッチボックス
81,83…温度センサ
90…無線通信回線
RL…負荷群(負荷)
ADb…放電量
ACc…充電量
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10