(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033758
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ドレッシングフィルムおよび除菌方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20240306BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20240306BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20240306BHJP
【FI】
A61M25/02 500
A61M27/00
A61F13/02 A
A61F13/02 310D
A61F13/02 310Z
A61M25/02 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137556
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田邊 秀憲
(72)【発明者】
【氏名】松永 伸
(72)【発明者】
【氏名】柳生 英昭
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 龍志
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広行
(72)【発明者】
【氏名】木村 誠
(72)【発明者】
【氏名】奥村 善彦
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA03
4C267AA72
4C267BB23
4C267CC01
4C267JJ02
4C267JJ06
4C267JJ20
(57)【要約】
【課題】生体内に経皮的に導入されたカテーテルの刺入部およびその周囲を紫外線照射で殺菌する際に貼付したまま殺菌処理が可能な新規の殺菌方法に適用できるドレッシングフィルムを提供すること。
【解決手段】基材層10と、基材層10の一方の面に設けられる粘着層20と、を少なくとも有するフィルム本体部30を備え、血管内カテーテルまたは腹膜透析カテーテルに用いるドレッシングフィルム1であって、基材層10は、シリコーン樹脂で構成され、厚さが50μm以上200μm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の一方の面に設けられる粘着層と、を少なくとも有するフィルム本体部を備え、
血管内カテーテルまたは腹膜透析カテーテルに用いるドレッシングフィルムであって、
前記基材層は、シリコーン樹脂で構成され、厚さが50μm以上200μm以下である、ドレッシングフィルム。
【請求項2】
前記基材層の上面にはキャリアフィルムが設けられ、前記基材層と前記キャリアフィルムとの貼着面は、少なくとも一部に凹凸形状を有する、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項3】
前記フィルム本体部の少なくとも一部に、波長200~235nmの波長範囲内に属する紫外線を透過させる光透過領域を備える、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項4】
前記フィルム本体部は、生体管腔内に経皮的に導入される前記カテーテルが刺入される体表面上の殺菌対象領域に紫外線を透過させる光透過領域よりも外側の外周囲に、不織布で構成された外周部を備える、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項5】
前記フィルム本体部および前記外周部は、前記カテーテルの基端部に接続される接続部品を前記フィルム本体部の外側に露出させるためのスリットが形成される、請求項4に記載のドレッシングフィルム。
【請求項6】
経皮的に導入されたカテーテルの体表面からの露出部が前記体表面から離れるように前記露出部を持ち上げる台座部を備える、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項7】
前記基材層は、受光する紫外線を拡散して透過させる表面性状を有する、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項8】
前記基材層は、
外表面側に突出する凸面形状を有し、受光した紫外線を経皮的に導入されたカテーテルの刺入部に向けて集光する集光部と、
外表面側に凹む凹面形状を有し、受光した前記紫外線を体表面に向けて拡散する光拡散部の、少なくとも一方を備える、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項9】
紫外線の受光により不可逆的に変化して前記紫外線の照射の有無が確認可能な確認部を備える、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項10】
前記基材層は、生体管腔内に経皮的に導入される前記カテーテルが刺入される体表面上の殺菌対象領域に紫外線を透過させる光透過領域をシリコーン樹脂で構成し、前記光透過領域よりも外側の外周囲をポリウレタン樹脂で構成する、請求項1に記載のドレッシングフィルム。
【請求項11】
請求項3に記載の前記ドレッシングフィルムを備えた体表面の除菌方法であって、
波長200nm~235nmの波長範囲内に属する紫外線を照射し、
前記ドレッシングフィルムに設けられた前記光透過領域を介して、前記紫外線を前記体表面上に照射し、前記体表面上の病原微生物を除菌する、除菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔内に経皮的に導入されるカテーテル(特に、血管内カテーテルまたは腹膜透析カテーテル)の固定に用いるドレッシングフィルムおよび該フィルムを用いた除菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管などの生体管腔内に経皮的に導入されたカテーテルの固定やカテーテルの刺入部の保護を目的として、皮膚に貼付するドレッシングフィルムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1を含む従来のドレッシングフィルムにおいて、感染症を引き起こす病原微生物(細菌、真菌、ウイルスなど)によるカテーテル刺入部からの感染リスクを抑えるため、刺入部およびその周囲の体表面(表皮)に殺菌剤を含むスポンジやゲルなどの殺菌用部材を配置することがある。しかし、殺菌用部材による殺菌方法では、殺菌剤の成分によって皮膚が荒れることもあり、子供や皮膚の弱い患者には使えない。
【0005】
上記課題を解決するため、本願発明者等は刺入部およびその周囲を殺菌する新規の方法について研究を進める過程で、皮膚などの細胞内への透過性が低く、優れた殺菌効果を発揮する波長200~235nm(代表的には波長222nm)の紫外線に着目した。
【0006】
ところで、新規の殺菌方法に使用可能なドレッシングフィルムは、波長200~235nmの波長範囲内に属する紫外線による十分な殺菌効果を得るための「紫外線透過性」に加え、フィルム材として基本的性能である、刺入部の観察が容易な「透明性」、皮膚に対する貼付・剥離が可能な「粘着性(粘着強度)」、貼付時の破損防止や操作性を確保する「機械特性(機械的強度)」が求められる。
【0007】
しかし、特許文献1のドレッシング材は、基材層にポリウレタンフィルムを使用しているため、フィルム材としての基本的性能は満たしているが、肝心の紫外線透過性を備えておらず新規の殺菌方法には適用できない。
【0008】
本願発明者等は、新規の殺菌方法に使用可能な上記基本的性能と紫外線透過性とを兼ね備える新規のドレッシングフィルムについて検討を重ねた結果、特定の材料を基材層として使用し、さらに基材層の厚みを適切に制御することで上記性能を両立できることを突き止め、本発明の完成に至った。
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、具体的には、生体内に経皮的に導入されたカテーテルの刺入部およびその周囲を紫外線照射で殺菌する際に貼付したまま殺菌処理が可能な新規の殺菌方法に適用できるドレッシングフィルムおよび該フィルムを用いた除菌方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(1)基材層と、前記基材層の一方の面に設けられる粘着層と、を少なくとも有するフィルム本体部を備え、血管内カテーテルまたは腹膜透析カテーテルに用いるドレッシングフィルムであって、前記基材層は、シリコーン樹脂で構成され、厚さが50μm以上200μm以下である、ドレッシングフィルムである。
【0011】
ここで、本発明の実施形態は、
(2)上記(1)のドレッシングフィルムは、前記基材層の上面にはキャリアフィルムが設けられ、前記基材層と前記キャリアフィルムとの貼着面は、少なくとも一部に凹凸形状を有することが好ましい。
(3)上記(1)または(2)のドレッシングフィルムは、前記フィルム本体部の少なくとも一部に、波長200~235nmの波長範囲内に属する紫外線を透過させる光透過領域を備えることが好ましい。
(4)上記(1)~(3)の何れかに記載のドレッシングフィルムにおいて、前記フィルム本体部は、生体管腔内に経皮的に導入される前記カテーテルが刺入される体表面上の殺菌対象領域に紫外線を透過させる光透過領域よりも外側の外周囲に、不織布で構成された外周部を備えることが好ましい。
(5)上記(4)のドレッシングフィルムにおいて、前記フィルム本体部および前記外周部は、前記カテーテルの基端部に接続される接続部品を前記フィルム本体部の外側に露出させるためのスリットが形成されることが好ましい。
(6)上記(1)~(5)の何れかに記載のドレッシングフィルムにおいて、経皮的に導入されたカテーテルの体表面からの露出部が前記体表面から離れるように前記露出部を持ち上げる台座部を備えることが好ましい。
(7)上記(1)~(6)の何れかに記載のドレッシングフィルムにおいて、前記基材層は、受光する紫外線を拡散して透過させる表面性状を有することが好ましい。
(8)上記(1)~(6)の何れかに記載のドレッシングフィルムにおいて、外表面側に突出する凸面形状を有し、受光した紫外線を経皮的に導入されたカテーテルの刺入部に向けて集光する集光部と、外表面側に凹む凹面形状を有し、受光した前記紫外線を体表面に向けて拡散する光拡散部の、少なくとも一方を備えることが好ましい。
(9)上記(1)~(8)の何れかに記載のドレッシングフィルムは、紫外線の受光により不可逆的に変化して前記紫外線の照射の有無が確認可能な確認部を備えることが好ましい。
(10)上記(1)~(3)、(6)~(9)に記載のドレッシングフィルムにおいて、前記基材層は、生体管腔内に経皮的に導入される前記カテーテルが刺入される体表面上の殺菌対象領域に紫外線を透過させる光透過領域をシリコーン樹脂で構成し、前記光透過領域よりも外側の外周囲をポリウレタン樹脂で構成することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記(3)のドレッシングフィルムを備えた体表面の除菌方法であって、波長200nm~235nmの波長範囲内に属する紫外線を照射し、前記ドレッシングフィルムに設けられた前記光透過領域を介して、前記紫外線を前記体表面上に照射し、前記体表面上の病原微生物を除菌する、除菌方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、紫外線透過性を有するとともに、ドレッシングフィルムとしての基本的性能を満たすドレッシングフィルムを提供することができる。これにより、ドレッシングフィルムを貼付した状態であっても、該フィルムを介して紫外線照射装置を用いて所定波長の紫外線(皮膚への影響が少なく殺菌性に優れた波長200~235nmの波長範囲に属する紫外線)を照射し、体表面の殺菌対象領域となるカテーテルの刺入部およびその周囲を含む殺菌対象領域を殺菌することができる。したがって、このドレッシングフィルムを用いることで、カテーテル刺入部に対する感染症対策として行われていた従来の殺菌剤による殺菌方法の課題が解決され、患者を選ばず汎用性の高い新規の殺菌方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係るドレッシングフィルムの概略断面図である。
【
図2A】ドレッシングフィルムを貼付した状態で刺入部を殺菌する際に使用する紫外線照射装置の概略構成図である。
【
図2B】
図2Aに示す紫外線照射装置の光源部周辺の部分拡大断面図である。
【
図3】変形例1のドレッシングフィルムの概略断面図である。
【
図4】変形例2のドレッシングフィルムの概略斜視図である。
【
図5】
図4のA-A線で切断したドレッシングフィルムの概略断面図である。
【
図6A】
図5のP領域を拡大した変形例2のドレッシングフィルムの集光部による作用を示す概念図である。
【
図6B】
図5のQ領域を拡大した変形例2のドレッシングフィルムの光拡散部による作用を示す概念図である。
【
図7】変形例3のドレッシングフィルムの部分拡大断面図である。
【
図8】変形例4のドレッシングフィルムの概略平面図である。
【
図9A】変形例5のドレッシングフィルムの概略平面図である。
【
図9B】
図9Aに示すB-B線で切断したドレッシングフィルムの概略断面図である。
【
図10A】変形例6のドレッシングフィルムの概略平面図である。
【
図10B】
図10AのC-C線で切断したドレッシングフィルムの概略断面図である。
【
図11】本実施形態に係る除菌方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0016】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0017】
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0018】
本実施形態に係るドレッシングフィルム1は、血管などの生体管腔内に経皮的に導入し留置されるカテーテル200の体表面S(表皮)からの露出部やカテーテル200の基端部に接続されるハブなどの接続部品210の体表面Sへの固定や、カテーテル200の刺入部Xの保護を目的として使用される医療用部材である。
【0019】
ドレッシングフィルム1は、生体管腔内に導入されるカテーテル200として、血管内カテーテルまたは腹膜透析カテーテルの固定に使用することができる。但し、ドレッシングフィルム1は、用途として生体管腔内に導入されるカテーテル200の固定を目的とするため、固定対象のカテーテル200の種類としては血管内カテーテルや腹膜透析カテーテル以外のカテーテルにも適用することができる。
【0020】
ドレッシングフィルム1は、カテーテル200の刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Yを被覆するように貼付した状態でカテーテル200の刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Yを殺菌する新規の殺菌方法に適用可能である。新規の殺菌方法は、カテーテル200の固定のために体表面Sに貼付したドレッシングフィルム1の上面から所定波長の紫外線(好適には、皮膚などの細胞内への透過性が低く、優れた殺菌効果を発揮する波長200~235nmの紫外線U)を所定時間(例えば30秒~1分程度)照射し、ドレッシングフィルム1を透過した紫外線Uにより体表面Sの殺菌対象領域Yを殺菌する方法である。この方法によれば、ドレッシングフィルム1を介して紫外線Uが殺菌対象領域Yに到達し、皮膚炎などを起こすことなく該領域Yを殺菌することができる。また、新規の殺菌方法は、ドレッシングフィルム1を貼付したまま殺菌対象領域Yを殺菌することができるため簡便である。
【0021】
ドレッシングフィルム1は、新規の殺菌方法に適用可能な性能(紫外線透過性や基本的性能(例えば透明性、粘着性、機械特性)など)を備えた構成とするため、基材層10に紫外線透過性を有するシリコーン樹脂を使用し、さらに基本的性能を満たすように基材層10の厚さを所定の厚さ(50μm以上200μm以下)に制御した。以下、本発明のドレッシングフィルム1の構成について詳述する。
【0022】
[ドレッシングフィルム]
ドレッシングフィルム1の構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0023】
ドレッシングフィルム1は、
図1に示すように、基材層10と、基材層10の一方の面(ドレッシングフィルム1の貼付面に相当する面、以下「下面」と称する)に設けられる粘着層20と、を少なくとも備えるフィルム本体部30を備える。また、ドレッシングフィルム1は、基材層10の上面にキャリアフィルム40を有し、粘着層20の体表面Sとの粘着面に剥離フィルム50を有して構成される。フィルム本体部30を構成する基材層10および粘着層20は、共に紫外線透過性を有するため、フィルム本体部30の全面は紫外線Uが透過可能な光透過領域Wとなる。
【0024】
〈基材層〉
基材層10は、紫外線透過性を有するシリコーン樹脂を含んで構成される。基材層10は、紫外線透過性の観点からシリコーン樹脂のみで構成するのが好ましい。但し、基材層10は、フィルム本体部30として透過する紫外線Uの殺菌作用を発揮し得る紫外線透過率が確保できる構成を有していれば、シリコーン樹脂に他の材料を含有して構成することができる。基材層10として含有可能な材料としては、紫外線透過性を阻害しない若しくは紫外線透過性を極力阻害しない材料が好ましい。
【0025】
ドレッシングフィルム1は、紫外線透過性に加えてフィルムとしての基本的性能を満たすため、少なくとも以下のフィルム特性を備える必要がある。
【0026】
シリコーン樹脂は柔軟性に富んでいるため、フィルム状に成形した場合、薄くすればするほど機械特性が低下してコシが弱くなる傾向にある。そのため、ドレッシングフィルム1は、第1の特性として貼付時などの破損強度や操作性の低下を防止するための機械特性(適度な剛性(コシ)や引張強度を満たす特性)を必要とする。また、ドレッシングフィルム1は、第2の特性として貼付状態で刺入部Xおよびその周囲の観察を容易とする適度な透明性を必要とする。さらに、ドレッシングフィルム1は、第3の特性として貼付時に体表面Sに密着し、かつ剥離が可能な適度な粘着性を必要とする。
【0027】
ドレッシングフィルム1は、紫外線透過性およびフィルムの基本的性能(機械特性、透明性、粘着性)を満足するため、基材層10をシリコーン樹脂で構成し、さらに基材層10の厚さを50μm以上200μm以下とする。
【0028】
基材層10の厚さを50μm(製品A)、100μm(製品B)、200μm(製品C)とした場合、機械特性、透過性、粘着性は次のような傾向を示す。製品A~製品Cは、何れもドレッシングフィルムとしての基本的性能を十分に満たす機械特性、透明性、および粘着性を備える。このうち、製品Aと製品Bは、製品Cよりも薄いため、製品Cより透明性が向上する傾向にある。製品Bと製品Cは、製品Aよりも厚いため、製品Aより機械特性(剛性、引張強度)が向上する傾向にある。また、基材層10は、厚さを50μm以上200μm以下にすると、紫外線Uの透過率を60%以上となり、紫外線Uによる殺菌作用を享受できる十分な透過率が得られる。
【0029】
ここで、基材層10の厚さ50μm未満(例えば20μm)とすると、ドレッシングフィルム1の厚みが薄くなるため透明性は高まるが、その反面、機械特性が低下してコシが弱くなりフィルムとしての基本的性能を満たさない。基材層10の厚みが200μmを超えると、機械特性が向上してコシや引張強度は向上するが、厚くなることで透明性が低下して刺入部Xなどの観察がし難くなり、フィルムとしての基本的性能を満たさない。また、紫外線Uの透過率が60%未満となり、紫外線Uによる殺菌作用を十分享受できない。
【0030】
〈粘着層〉
粘着層20は、ドレッシングフィルム1の貼付面として機能し、基材層10の下面の全面に亘って設けられる。
【0031】
粘着層20は、基材層10を透過した紫外線Uを体表面Sに到達させるため、基材層10と同様に紫外線透過性を有するシリコーン樹脂で構成することができる。粘着層20は、紫外線Uの透過率が殺菌作用を享受できる程度の厚さに制御する必要がある。そのため、粘着層20は、厚さ50μm以上100μm以下とするのが好ましい。
【0032】
粘着層20は、基材層10と同様、紫外線透過性の観点からシリコーン樹脂のみで構成するのが好ましい。但し、粘着層20は、フィルム本体部30として透過する紫外線Uの殺菌作用を発揮し得る紫外線透過率が確保できる構成を有していれば、シリコーン樹脂に他の材料を含有して構成することができる。粘着層20として含有可能な材料としては、紫外線透過性を阻害しない若しくは紫外線透過性を極力阻害しない材料が好ましい。
【0033】
粘着層20は、貼付時の固定安定性(剥がれ難さ)の観点から基材層10の全面に設けるのが好ましい。但し、フィルム本体部30は、カテーテル200を固定したまま貼付した状態が維持可能であればよいため、例えば粘着層20を点在して配置したり、所定の間隔を空けて帯状に複数本設けて配置したりするなど、基材層10の下面に粘着層20が存在しない領域を設けてもよい。
【0034】
フィルム本体部30は、カテーテル200の固定と刺入部Xおよびその周囲の保護が可能な形状を有していれば、厚み方向から見た場合の形状について特に限定されない。フィルム本体部30は、一例として四角形状、各頂点部が曲線状の角丸四角形状、円形状、楕円形状、多角形形状とすることができる。
【0035】
〈キャリアフィルム〉
キャリアフィルム40は、
図1に示すように、基材層10の上面に剥離可能に設けられる。キャリアフィルム40は、ドレッシングフィルム1の剛性を高め、貼付時などに粘着層20との合着などを防止する支持層として機能するとともに、使用前に基材層10の損傷などを防止する保護層としても機能する。
【0036】
ドレッシングフィルム1は、キャリアフィルム40によって剛性を付与されながらも、穿刺状態のカテーテル200を覆う際にはカテーテル200の盛り上がりに追従して好適に固定することができる。また、キャリアフィルム40は、ドレッシングフィルム1を貼付した後には、端部などを捲るだけで容易に剥離することができる。
【0037】
キャリアフィルム40の材料としては、プラスチックフィルム(例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、およびこれらの積層複合体など)、紙(例えば上質紙、クラフト紙など)などを好適に用いることができる。中でも、透明性を有するプラスチックフィルムは、ドレッシングフィルム1を通して刺入部X周辺を視認しながら貼付することができるため、カテーテル200を固定する際には特に有用である。キャリアフィルム40の形状は、少なくとも基材層10の全面を覆っていれば特に限定されない。
【0038】
〈剥離フィルム〉
剥離フィルム50は、
図1に示すように、粘着層20の体表面Sとの貼付面を覆って剥離可能に設けられる。剥離フィルム50は、体表面Sへの貼付前に粘着層20の他の部材との合着を防止する。剥離フィルム50は、剥離を容易とするため、複数の分割片に分割された構成や、粘着層20に触れることなく剥離するための折り返し部を設けた構成とすることができる。
【0039】
剥離フィルム50は、プラスチックフィルム(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの積層複合体など)、紙(例えば上質紙、クラフト紙など)などを好適に用いることができる。また、剥離フィルム50の粘着層20との貼付面には、粘着層20からの剥離を容易とするための表面加工(フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂などの剥離剤の塗布)を施すこともできる。
【0040】
ドレッシングフィルム1は、体表面Sの殺菌対象領域Yを殺菌する際、経皮的に導入されたカテーテル200の露出部や接続部品210を固定するように体表面Sに貼付された状態で紫外線照射装置300から紫外線Uが照射される。以下、新規の殺菌方法に使用可能な紫外線照射装置300について
図2A、
図2Bを参照しながら説明する。
【0041】
[紫外線照射装置]
紫外線照射装置300は、波長222nmの紫外線Uを照射してドレッシングフィルム1を介して体表面Sの殺菌対象領域Yを殺菌するために使用するデバイスである。
【0042】
紫外線照射装置300は、
図2Aに示すように、筐体である本体部320の内部に設置され光源部311や光出射部312で構成される投光部310を備える。本体部320は、その一部が使用者(例えば、医師や看護師などの医療従事者)の手指などで把持可能な形状をなしている。本体部320は、体表面Sに対して所定曲率の凹曲面となる投光面321を備える。投光部310は、投光面321の面形状に沿って複数配置される。
【0043】
紫外線照射装置300は、
図2Aに示すように、投光面321をカテーテル200や殺菌対象領域Yを全体的に覆うように投光面321をカテーテル200の導入部位(例えば腕)に近接させる。投光面321は凹形状を有するため、投光面321と体表面Sとの間に内部空間Tが形成される。この内部空間Tは、体表面Sと投光面321とで区画された閉鎖空間となり、紫外線Uの外部への漏出を防止できる。
【0044】
紫外線照射装置300は、
図2Aに示すように、操作部330と、制御部340と、記憶部350と、を備える。
【0045】
操作部330は、紫外線照射装置300を使用する際、使用者により操作される機械式スイッチやタッチ方式のスイッチなどの各種スイッチ(例えば、電源ON/OFFスイッチや紫外線照射量の調整用の操作ボタンなど)で構成することができる。制御部340は、例えばCPU、ROM、RAMのような各種プロセッサで構成され、紫外線照射装置300を構成する各部の駆動制御を行う。記憶部350は、紫外線照射装置300を構成する各部の駆動プログラムなどを記憶する。
【0046】
紫外線照射装置300の各部を駆動する駆動電力は、図示しない外部電源(AC電源など)または電池(一次電池、二次電池を問わず)から供給される。紫外線照射装置300は、操作部330を操作して紫外線Uの照射量の調整、照射時間の設定、紫外線Uのピーク波長の調整なども行える機能を備える。
【0047】
投光部310は、本体部320の投光面321に沿って複数配置される。投光部310は、
図2Bに示すように、紫外線Uの光源となる光源部311と、光源部311から出射された紫外線Uを体表面Sに向けて出射させる光出射部312と、を備える。
【0048】
光源部311は、所定波長の紫外光(紫外線U)を照射する。光源部311は、例えばエキシマランプ(好適には、主たるピーク波長が222nm近傍の紫外光が出射可能な発光管の内部にKrClを含む発光ガスが封入されたKrClエキシマランプ)で構成することができる。
【0049】
光源部311は、
図2Aに示すように、投光面321に沿って所定間隔を空けて複数配置することができる。これにより、光源部311は、カテーテル200の周囲を囲むように配置でき、光源部311から出射された紫外線Uを殺菌対象領域Yに向けて効率的に出射することができる。
【0050】
光出射部312は、
図2Bに示すように、光源部311と対向する位置に配置され、光源部311から出射された紫外線Uを体表面Sに向けて出射させる。光出射部312は、紫外線Uを透過させる窓部312aが設けられている。窓部312aは、所定形状に開口しており、この開口部分に例えば石英ガラスからなる紫外線透過部材や、不要な光を遮断する光学フィルタなどを配置することができる。
【0051】
図2Bに示す窓部312aの開口部分の幅寸法Lは、大きいほどカテーテル200の下方に影が出来難くなる。そのため、幅寸法Lは、少なくともカテーテル200の外径寸法よりも2倍~5倍程度とするのが好ましい。例えば、16G(φ1.5mm)のカテーテル200に対し、光源部311から体表面Sまで3cmの距離から紫外線Uを照射した場合、奥行き2cmの窓部312aの幅寸法Lを5cm~10cm程度に設定すると、幅寸法Lが大きくなるほどにカテーテル200の下方の影が薄くなってカテーテル200の直下にも紫外線Uを照射させることができる。
【0052】
紫外線照射装置300の使用方法は、まず経皮的に導入されたカテーテル200を固定したドレッシングフィルム1の上方に投光部310が位置するように配置する。この際、投光部310の投光面321と体表面Sとの間に閉鎖された内部空間Tが形成されるように投光部310の縁部を体表面Sに当接させるとよい。
【0053】
次に、紫外線照射装置300の電源を投入し、紫外線Uの照射が可能なスタンバイ状態に移行させた後、殺菌処理を行うタイミングで操作部330を操作して殺菌に必要な照射時間だけ紫外線Uを照射する。紫外線照射装置300から照射された紫外線Uは、ドレッシングフィルム1を透過して殺菌対象領域Yに到達して該領域Yを殺菌する。
【0054】
[変形例]
以下、本実施形態に係るドレッシングフィルムの変形例について説明する。本実施形態に係るドレッシングフィルムは、以下に示す各変形例のように使用環境などに応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変更点は、本発明の要旨を逸脱しない範囲の中において、各変形例で示した構成のうち必要な構成を適宜選択して他の変形例と組み合わせて実施することもできる。
【0055】
〈変形例1〉
変形例1のドレッシングフィルム1Aについて説明する。
【0056】
変形例1のドレッシングフィルム1Aは、キャリアフィルム40の剥離容易性の観点から、基材層10の上面(キャリアフィルム40との貼付面)の少なくとも一部に凹凸形状を設けた構成である。
【0057】
図3には、基材層10の上面とキャリアフィルム40の下面(基材層10との貼付面)にそれぞれ凹凸形状(第1凹凸部11、第2凹凸部41)を設けた構成について示されている。
図3に示すように、第1凹凸部11は、基材層10の上面の少なくとも一部に形成された複数の凹部および凸部で構成される。第2凹凸部41は、
図3に示すように、キャリアフィルム40の下面の少なくとも一部に形成された複数の凹部および凸部で構成される。第1凹凸部11および第2凹凸部41は、基材層10とキャリアフィルム40との剥離強度を低減させ、キャリアフィルム40の剥離を容易にする。
【0058】
第1凹凸部11と第2凹凸部41は、凹凸形状の形状、サイズ(凹部の深さや凸部の高さなど)、凹部と凸部の配置間隔などを異なる形態とすることで、基材層10とキャリアフィルム40との接触面積をより低減させることができる。また、第1凹凸部11と第2凹凸部41は、凹部および凸部を整列して配置してもよいし、任意の位置に配置してもよい。
【0059】
ドレッシングフィルム1Aは、
図3に示すように第1凹凸部11および第2凹凸部41の両方を備えることで、両者の接着強度が弱まりキャリアフィルム40の剥離が容易となる。しかし、ドレッシングフィルム1Aは、第1凹凸部11または第2凹凸部41の少なくとも一方を備えた構成としても、基材層10とキャリアフィルム40との接触面積が低減するため、剥離容易性の向上を図ることができる。
【0060】
以上のように、変形例1のドレッシングフィルム1Aは、基材層10の上面やキャリアフィルム40の貼付面に凹凸形状となる第1凹凸部11や第2凹凸部41を設けている。これにより、ドレッシングフィルム1Aは、基材層10とキャリアフィルム40との接着強度を適度に低減させる効果が得られ、貼付時に容易にキャリアフィルム40を剥離することができる。
【0061】
〈変形例2〉
変形例2のドレッシングフィルム1Bについて説明する。
【0062】
変形例2のドレッシングフィルム1Bは、カテーテル200の直下にある体表面Sに紫外線Uを照射させるため、体表面Sから露出したカテーテル200の露出部が体表面Sから離れるように(カテーテル200の露出部を体表面Sから離隔するように)該露出部の少なくとも一部を持ち上げるための台座部100を備えた構成である。
【0063】
ドレッシングフィルム1Bは、
図4または
図5に示すようにフィルム本体部30と、台座部100と、を備える。
【0064】
台座部100は、
図4に示すように、フィルム本体部30の粘着層20に接着した状態で配置され、カテーテル200の露出部の一部を持ち上げて体表面Sから離隔させるための部材である。
【0065】
台座部100は、
図4に示すように、その周囲を囲うように厚み方向から見て略U字状をなす本体部101を有する。本体部101は、
図4に示すように、刺入部Xおよびカテーテル200の露出部の一部の周囲を囲うようにカテーテル200の延在方向に沿って延びる一対の延在部102と、延在部102のそれぞれの基端部102a(
図4中の点線部分)と連結する連結部103とで構成される。台座部100は、一対の延在部102の間に紫外線Uを取り入れるための開口部101aを有するため、刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Yに紫外線Uを照射することができる。
【0066】
本体部101は、
図5に示すように、延在部102の先端部102bから連結部103に向かって上り勾配を有する。本体部101は、このような傾斜を設けることにより、カテーテル200の露出部の一部が持ち上がって体表面Sから離隔し、カテーテル200と体表面Sとの間に空間を設けることができる。また、本体部101が傾斜することで、フィルム本体部30と体表面Sとの間に不要な空間が形成されないため、フィルム貼付状態において体表面Sからの突出部分を最小限にすることができ、邪魔にならない。また、本体部101は、フィルム本体部30との当接面以外に角部が無いため、貼付時などにフィルムの破損を防止できる。
【0067】
本体部101は、体表面Sからの高さ(連結部103の最も厚さの有る部分の高さ)を1mm以上10mm以下とすることで、カテーテル200の露出部の一部を体表面Sから4°以上持ち上げ、カテーテル200と体表面Sとの間に紫外線Uが入射可能な空間を設けることができる。
【0068】
図4や
図5に示すように、連結部103の略中央部には、カテーテル200の露出部の一部を持ち上げたまま維持させるための溝部104が設けられている。溝部104は、カテーテル200の延在方向に沿って形成される凹状の溝であり、連結部103の内縁103a(開口部101aと接する縁部)側から外縁103b側に連通している。カテーテル200は、露出部の一部を溝部104に嵌め入れることで、露出部と体表面Sとの間が離隔して空間が形成できる。そのため、紫外線Uを照射した際、照射された紫外線Uがカテーテル200の直下まで到達して殺菌対象領域Yを殺菌することができる。また、ドレッシングフィルム1Bは、本体部101の溝部104にカテーテル200を嵌め入れることで、カテーテル200を過度に持ち上げずに体表面Sとカテーテル200との間に紫外線Uが照射可能な適度な空間を形成することができる。したがって、ドレッシングフィルム1Bを貼付した際に、体表面Sからの突出量が低減され邪魔にならない。
【0069】
台座部100の構成材料は特に制限されず、医療分野で使用可能な樹脂材料や金属材料などを適宜使用することができる。また、台座部100は、照射した紫外線Uが殺菌対象領域Yの全面に届くように、カテーテル200を囲う内周面などに紫外線Uが反射するような表面加工を施したり、台座部100の構成材料として紫外線反射効率のよい材料を用いたりして作製してもよい。
【0070】
変形例2のドレッシングフィルム1Bは、
図6A、
図6Bに示すように、照射された紫外線Uを刺入部Xに集光する集光部12と、照射された紫外線Uを体表面Sに向けて拡散する光拡散部13の、少なくとも一方を備える。集光部12と光拡散部13は、体表面Sの殺菌対象領域Yに紫外線Uを効率よく照射するために基材層10に設けるものである。そのため、集光部12および光拡散部13は、基材層10における少なくとも台座部100の取り付け部分(フィルム本体部30との接着部分)を除いた領域に設けることができる。
【0071】
集光部12は、
図6Aに示すように、基材層10の外表面側(紫外線Uの光源部311側)に突出する凸面形状を有し、受光した紫外線Uを刺入部Xに集光する。集光部12を通過した紫外線Uは、集光部12が凸レンズの如く機能することで刺入部Xに向かって集光されるため、刺入部Xを効率よく殺菌することができる。集光部12は、受光した紫外線Uを刺入部Xに集光可能な位置(例えば、
図5に示す配置領域G)に配置することができる。なお、集光部12の形状は、凸形状に限らず、紫外線Uを刺入部Xに集光可能な形状であれば他の形状でもよい。
【0072】
光拡散部13は、
図6Bに示すように、基材層10の外表面側(紫外線Uの光源部311側)に凹む凹面形状を有し、受光した紫外線Uを体表面Sに拡散する。光拡散部13を通過した紫外線Uは、
図6Bに示すように、光拡散部13が凹レンズの如く機能することで体表面Sに向かって拡散されるため、刺入部Xやその周囲を含む殺菌対象領域Y全体を効率よく殺菌することができる。光拡散部13は、刺入部Xやその周囲を含む殺菌対象領域Y全体に紫外線Uが行き届くように紫外線Uが拡散可能な位置(例えば
図5に示す配置領域H)に配置することができる。なお、光拡散部13の形状は、凹形状に限らず、紫外線Uを体表面Sに拡散可能な形状であれば他の形状でもよい。
【0073】
集光部12は、
図6Aに示すように、基材層10の上面に設けることができ、光拡散部13は、
図6Bに示すように、基材層10の下面に設けることができる。但し、集光部12および光拡散部13は、基材層10に対して紫外線Uの集光や拡散が行える位置に設けられていればよいため、基材層10の上面または下面の何れでもよい。集光部12と光拡散部13は、少なくとも体表面S上の殺菌対象領域Yに紫外線Uが集光または拡散可能であればよく、基材層10における殺菌対象領域Yと対向する面に設けるのが好ましい。
【0074】
以上のように、変形例2のドレッシングフィルム1Bは、紫外線Uをカテーテル200の直下の体表面Sまで及ぶように、カテーテル200の体表面Sからの露出部の一部を持ち上げるための台座部100を備えている。これにより、刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Y全体に紫外線Uを照射できるので、適切な殺菌処理を行うことができる。
【0075】
また、ドレッシングフィルム1Bの基材層10は、
図6Aや
図6Bに示すような受光した紫外線Uを刺入部Xに向けて集光する集光部12と、受光した紫外線Uを体表面Sに向けて拡散して透過させる光拡散部13の少なくとも一方を備えている。これにより、紫外線Uは、集光部12により刺入部Xに向けて集光され、光拡散部13により殺菌対象領域Yに対応する体表面Sに拡散して照射され、殺菌対象領域Y全体を効果的に殺菌することができる。
【0076】
〈変形例3〉
変形例3のドレッシングフィルム1Cについて説明する。
【0077】
変形例3のドレッシングフィルム1Cは、
図7に示すように、受光した紫外線Uを体表面Sに向けて拡散して透過させる表面性状を有する基材層10を備えた構成である。
【0078】
変形例3のドレッシングフィルム1Cは、
図7に示すように、受光した紫外線Uを拡散させて透過させる表面性状として、基材層10の上面に形成される凹凸形状の拡散透過部14より構成することができる。拡散透過部14は、凹部と凸部の形状、サイズ、配置間隔などは特に制限されず、少なくとも入射角0°で入光した紫外線Uの拡散透過率を20%以上となるように適宜調整可能であればよい。ドレッシングフィルム1Cは、拡散透過率を20%以上の表面性状を有することで、透過する紫外線Uを体表面Sに向かって拡散できるため、拡散透過率0%の場合と比べ、体表面Sへの照射面積が広がり効率的に体表面S(特に殺菌対象領域Y)を殺菌することができる。
【0079】
以上のように、変形例3のドレッシングフィルム1Cは、基材層10に受光した紫外線Uを拡散して透過させる表面性状として、基材層10の上面に拡散透過部14を設けている。これにより、ドレッシングフィルム1Cは、体表面Sに対し、受光した紫外線Uを拡散して透過させることが可能となり、体表面Sの殺菌対象領域Yを効果的に殺菌することができる。
【0080】
〈変形例4〉
変形例4のドレッシングフィルム1Dについて説明する。
【0081】
変形例4のドレッシングフィルム1Dは、
図8に示すように、紫外線Uを受光した際に不可逆的な変化をして紫外線Uの照射の有無を確認するための確認部60を備えた構成である。
【0082】
図8に示すように、確認部60は、基材層10の上面であって、ドレッシングフィルム1を貼付した際に少なくとも紫外線照射装置300から照射された紫外線Uを受光可能な位置であって、体表面Sの殺菌対象領域Yと重ならない位置に設けることができる。
図8において、確認部60は、殺菌対象領域Yよりも外側に配置されている。
【0083】
確認部60は、紫外線Uを受光することで不可逆的に変化(例えば、
図8に示すような無色→有色に変化する色調変化)する。これにより、紫外線照射装置300による紫外線Uの照射の有無を視認することができるので、殺菌処理のし忘れを防止することができる。
【0084】
また、確認部60は、紫外線Uの受光の有無に限らず、紫外線Uの照射量(受光量)に応じて段階的に変化するように構成することもできる。これにより、照射した紫外線Uは、殺菌処理に必要な照射量に達しているか否かを判断することができる。
【0085】
なお、確認部60は、紫外線Uを受光した際に不可逆的な変化をする構成であれば不可逆的変化の形態は制限されない。確認部60は、少なくとも使用者が視覚や触覚などにより紫外線Uの照射の有無が容易に確認可能な不可逆的な変化が生じればよい。
【0086】
確認部60は、
図8に示すように、紫外線Uを遮光する剥離可能な保護部材61を備える。保護部材61は、例えば紫外線不透過性を示す遮光シールで構成され、確認部60を覆うように貼付されている。保護部材61は、紫外線Uによる殺菌処理を行う際、使用者により剥離される。これにより、紫外線Uを照射した際、保護部材61を剥離した確認部60にのみ紫外線Uが照射され、保護部材61で覆われた他の確認部60には紫外線Uが照射されない。
【0087】
確認部60は、
図8に示すように、紫外線Uの照射回数が複数回確認可能なように、複数個(図示では8個)設けることができる。これにより、例えば1日1回ずつ1週間続けて紫外線照射による殺菌処理を行う場合、照射の都度、保護部材61を剥がして紫外線Uを照射すれば、殺菌処理を行ったか否か(紫外線照射の有無)を毎日確認することができる。
【0088】
以上のように、変形例4のドレッシングフィルム1Dによれば、紫外線Uを受光した際に不可逆的に変化する確認部60を備えているため、紫外線Uが照射されたか否かを容易に確認することができる。カテーテル200を経皮的に導入している間は、定期的に殺菌処理を必要とするため、確認部60により日々の紫外線照射による殺菌処理のし忘れを防止できる。
【0089】
〈変形例5〉
変形例5のドレッシングフィルム1Eについて説明する。
【0090】
変形例5のドレッシングフィルム1Eのフィルム本体部30は、
図9A、
図9Bに示すように、基材層10における少なくとも刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Yと対向する領域であって体表面Sに紫外線Uを透過させる光透過領域Wとして機能する第1領域10Aをシリコーン樹脂で構成し、光透過領域Wよりも外側の外周囲となる第2領域10Bをポリウレタン樹脂で構成する。
【0091】
上述したドレッシングフィルム1は、基材層10の全面が光透過領域Wとなるが、変形例5のドレッシングフィルム1Eでは、
図9A、
図9Bに示すように、シリコーン樹脂で構成された第1領域10Aのみを光透過領域Wとしている。ドレッシングフィルム1Eの光透過領域Wは、ドレッシングフィルム1Eを貼付した状態で、フィルム本体部30における少なくとも刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Yと対向する領域となる。
【0092】
ドレッシングフィルム1Eは、シリコーン樹脂とポリウレタン樹脂により基材層10を構成し、シリコーン樹脂で構成される光透過領域Wの外周囲にポリウレタン樹脂を配置する。ポリウレタン樹脂は、シリコーン樹脂と比べて透湿性に優れ、さらにドレッシングフィルムに必要な適度なコシが得られる機械特性を有する材料である。ドレッシングフィルム1Eは、厚さを50μmとした場合、透湿度が400g/m2/24hのシリコーン樹脂を採用し、透湿度が800g/m2/24hのポリウレタン樹脂を採用することができる。ドレッシングフィルム1Eは、光透過領域Wの外周囲をポリウレタン樹脂で構成することで、貼付時に体表面Sの発汗などで生じる水蒸気を外部に放出できるため、蒸れによる意図しない剥離が防止できる。
【0093】
また、ドレッシングフィルム1Eは、
図9Aに示すように、カテーテル200の基端部に接続されるハブなどの接続部品210の少なくとも一部をフィルム外に逃がすためのスリット70を設けることができる。スリット70を設けることにより、ドレッシングフィルム1Eは、接続部品210を覆って貼付する形態と比べてカテーテル200の固定力が安定し剥がれ難くなる。
【0094】
以上のように、変形例5のドレッシングフィルム1Eは、殺菌対象領域Yと対向する光透過領域Wをシリコーン樹脂で構成することで、紫外線Uを殺菌対象領域Yに透過させることができる。また、ドレッシングフィルム1Eは、光透過領域Wの外周囲を透湿性と適度なコシが得られる機械特性に優れたポリウレタン樹脂で構成することで、操作性が向上するとともに貼付時の蒸れを抑えて意図しない剥離を防止できる。さらに、ドレッシングフィルム1Eは、接続部品210の少なくとも一部をフィルム外に逃がすスリット70を設ければ、カテーテル200の固定力を安定させることができる。
【0095】
〈変形例6〉
変形例6のドレッシングフィルム1Fについて説明する。
【0096】
変形例6のドレッシングフィルム1Fのフィルム本体部30は、
図10A、
図10Bに示すように、シリコーン樹脂で構成される第1基材層15と、不織布で構成される第2基材層16とで構成される基材層10を備える。基材層10は、
図10Bに示すように、上面を第1基材層15、下面を第2基材層16として上下に積層させた2層構造を有する。また、
図10Bに示すように、第1基材層15の下面には、第1基材層15を第2基材層16と接着するための第1粘着層21が設けられる。また、
図10Bに示すように、第2基材層16の下面には、ドレッシングフィルム1Fを体表面Sと接着するための第2粘着層22が設けられる。
【0097】
第2基材層16は、
図10A、
図10Bに示すように、殺菌対象領域Yと対向する領域に開口部16aを有する。この開口部16aは、第1基材層15を透過した紫外線Uを体表面Sに通過させる。すなわち、フィルム本体部30は、第1基材層15と第2基材層16とを積層した形態であって、開口部16aを通じて第1基材層15を透過した紫外線Uを体表面Sの殺菌対象領域Yまで透過させることができる。
【0098】
ドレッシングフィルム1Fは、第2基材層16を不織布で構成することにより、基材層10をシリコーン樹脂のみで構成する形態と比べて機械特性(特にコシ)が向上する。そのため、ドレッシングフィルム1Fは、貼付時の操作性が高まるとともに、貼付後の状態も皺にならず崩れ難くなるため、カテーテル200を安定的に固定することができる。第2基材層16は、フィルム本体部30の光透過領域Wよりも外側の外周囲を構成する外周部として機能する。
【0099】
また、ドレッシングフィルム1Fは、変形例5のドレッシングフィルム1Eと同様、カテーテル200の基端部に接続されるハブなどの接続部品210の少なくとも一部をフィルム外に逃がすためのスリット70を設けることができる。これにより、ドレッシングフィルム1Fは、カテーテル200の固定力が安定し剥がれ難くなる。
【0100】
以上のように、変形例6のドレッシングフィルム1Fは、基材層10が、シリコーン樹脂で構成された第1基材層15と、第1基材層15の下面に貼付され、体表面S上の殺菌対象領域Yと対向する位置に第1基材層15を透過した紫外線Uを通過させる開口部16aが形成される不織布からなる第2基材層16と、で構成される。すなわち、ドレッシングフィルム1Fは、外側の外周囲(詳細には、体表面Sの殺菌対象領域Yと対向する光透過領域Wの外側の外周囲)に、不織布で構成された外周部を備えた構成となる。これにより、ドレッシングフィルム1Fは、紫外線Uが透過可能な光透過領域Wを有しつつ、光透過領域Wよりも外側の外周囲に設けられた第2基材層16によりコシが強くなるため、貼付時の操作性が向上し、さらに貼付後の状態も皺にならず崩れ難くなり、カテーテル200を安定的に固定することができる。
【0101】
次に、本実施形態に係るドレッシングフィルムを用いた除菌方法について説明する。
【0102】
図11は、一実施形態に係る除菌方法を示すフローチャートである。
【0103】
図11に示す動作に先立って、使用者は、ドレッシングフィルム1を準備し、ドレッシングフィルム1を体表面Sに貼付する。ドレッシングフィルム1を貼付するにあたり、生体管腔内に経皮的に導入されるカテーテル200が刺入される体表面Sに紫外線Uが照射されるように、ドレッシングフィルム1に設けられた光透過領域Wを体表面S上の殺菌対象領域Yに位置合わせして体表面Sに貼付する。
【0104】
図11に示すように、波長200nm~235nmの波長範囲内に属する紫外線Uを照射する(ST1)。使用者は、紫外線照射装置300などを用いて波長200nm~235nmの波長範囲内に属する紫外線Uをドレッシングフィルム1の光透過領域Wに向けて照射する。
【0105】
次に、ドレッシングフィルム1に設けられた光透過領域Wを介して、紫外線Uを体表面S上に照射し、体表面S上の病原微生物を除菌する(ST2)。ドレッシングフィルム1に照射された紫外線Uは、ドレッシングフィルム1の光透過領域Wを透過して体表面S上の殺菌対象領域Yに到達する。体表面Sは、波長200nm~235nmの波長範囲内に属する紫外線Uが照射されると、体表面S(詳細には殺菌対象領域Y)上に存在する病原微生物(細菌、真菌、ウイルスなど)が紫外線Uの殺菌作用により除菌される。これにより、一連の除菌方法に関する処理は終了する。
【0106】
なお、本実施形態に係る除菌方法は、ドレッシングフィルム1の光透過領域Wを介して照射した紫外線Uにより体表面S上の病原微生物の除菌を行う方法であり、
図11に示す処理(紫外線照射処理、除菌処理)を少なくとも含む方法であれば、他の処理が含まれていてもよい。
【0107】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係るドレッシングフィルム1は、基材層10と、基材層10の一方の面に設けられる粘着層20と、を少なくとも有するフィルム本体部30を備え、血管内カテーテルまたは腹膜透析カテーテルに用いるものであって、基材層10は、シリコーン樹脂で構成され、厚さが50μm以上200μm以下である。
【0108】
このような構成により、ドレッシングフィルム1は、紫外線透過性を有するとともに、ドレッシングフィルムとしての基本的性能を満たすことができる。そのため、ドレッシングフィルム1を貼付した状態で、紫外線照射装置300を用いて所定波長の紫外線(波長200~235nmの紫外線U)を体表面Sの殺菌対象領域Yとなるカテーテル200の刺入部Xおよびその周囲に照射して殺菌する新規の殺菌方法に適用することができる。
【0109】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1A)において、基材層10の上面にはキャリアフィルム40が設けられ、基材層10とキャリアフィルム40との貼着面は、少なくとも一部に凹凸形状(第1凹凸部11)を有する構成としてもよい。
【0110】
このような構成とすることで、ドレッシングフィルム1(1A)は、基材層10とキャリアフィルム40との接着強度を適度に低減させる効果が奏されるため、貼付時に容易にキャリアフィルム40を剥離することができる。
【0111】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1において、フィルム本体部30の少なくとも一部に、波長200~235nmの波長範囲内に属する紫外線Uを透過させる光透過領域Wを備える構成としてもよい。
【0112】
このような構成とすることで、ドレッシングフィルム1を貼付した状態で、紫外線照射装置300を用いて所定波長の紫外線(波長200~235nmの紫外線U)を体表面Sに照射することができる。
【0113】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1F)において、フィルム本体部30は、生体管腔内に経皮的に導入されるカテーテル200が刺入される体表面S上の殺菌対象領域Yに紫外線Uを透過させる光透過領域Wよりも外側の外周囲に、不織布で構成された外周部(第2基材層16)を備える構成としてもよい。
【0114】
このような構成により、ドレッシングフィルム1(1F)は、紫外線Uが透過可能な光透過領域Wを有しつつ、フィルムの外周囲がシリコーン樹脂よりもコシの強い不織布からなる外周部を有するため、貼付時の操作性が向上するとともに、貼付後の状態も皺にならず崩れ難くなり、カテーテル200を安定的に固定することができる。
【0115】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1F)において、フィルム本体部30および外周部は、経皮的に導入されたカテーテル200の基端部に接続される接続部品210をフィルム本体部30の外側に露出させるためのスリット70を形成した構成としてもよい。
【0116】
このような構成により、ドレッシングフィルム1(1F)は、接続部品210をフィルム本体部30の外側に露出させることができるため、接続部品210を覆って貼付する形態と比べてカテーテル200の固定力が安定し剥がれ難くなる。
【0117】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1B)において、経皮的に導入されたカテーテル200の体表面Sからの露出部が体表面Sから離れるように露出部を持ち上げる台座部100を備えた構成としてもよい。
【0118】
このような構成により、ドレッシングフィルム1(1B)の台座部100は、紫外線Uをカテーテル200の直下の体表面Sまで及ぶように、カテーテル200の体表面Sからの露出部の一部を持ち上げることができるため、カテーテル200の直下に空間が形成でき、刺入部Xおよびその周囲を含む殺菌対象領域Y全体に紫外線Uを照射することができる。
【0119】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1C)において、基材層10は、受光する紫外線Uを拡散して透過させる表面性状(拡散透過部14)を有する構成としてもよい。
【0120】
このような構成により、ドレッシングフィルム1(1C)は、体表面Sに対し、受光した紫外線Uを拡散して透過させることが可能となり、体表面Sの殺菌対象領域Yを効果的に殺菌することができる。
【0121】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1B)において、基材層10は、外表面側に突出する凸面形状を有し、受光した紫外線Uを経皮的に導入されたカテーテル200の刺入部Xに向けて集光する集光部12と、外表面側に凹む凹面形状を有し、受光した紫外線Uを体表面Sに向けて拡散する光拡散部13の少なくとも一方を備える構成としてもよい。
【0122】
このような構成により、紫外線Uは、集光部12により刺入部Xに向けて集光され、光拡散部13により殺菌対象領域Yに対応する体表面Sに拡散して照射され、殺菌対象領域Y全体を効果的に殺菌することができる。そのため、ドレッシングフィルム1(1B)を体表面Sに貼付した状態であっても、集光部12や光拡散部13により紫外線Uを効果的に集光または拡散して殺菌対象領域Y全体に照射できる。
【0123】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1D)において、紫外線Uの受光により不可逆的に変化して紫外線Uの照射の有無が確認可能な確認部60を備える構成としてもよい。
【0124】
殺菌対象領域Yとなるカテーテル200の刺入部Xおよびその周囲は、カテーテル200を経皮的に導入している間、定期的に殺菌処理する必要があるため、確認部60により紫外線Uを照射したか否かを容易に確認できるようになれば、医療従事者などの紫外線照射装置300の使用者は、殺菌処理のし忘れが防止できる。
【0125】
また、本実施形態に係るドレッシングフィルム1(1E)において、基材層10は、光透過領域Wをシリコーン樹脂で構成し、光透過領域Wよりも外側の外周囲をポリウレタン樹脂で構成してもよい。
【0126】
このような構成により、ドレッシングフィルム1Eは、殺菌対象領域Yと対向する光透過領域Wとなる第1領域10Aをシリコーン樹脂で構成され、光透過領域W(第1領域10A)の外周囲となる第2領域10Bを透湿性と適度なコシが得られる機械特性に優れたポリウレタン樹脂で構成されるため、紫外線Uを殺菌対象領域Yに透過でき、さらに操作性が向上や貼付時の蒸れを抑えて意図しない剥離を防止する効果も奏される。
【0127】
また、本実施形態に係る除菌方法は、ドレッシングフィルム1を備えた体表面Sの除菌方法であって、波長200nm~235nmの波長範囲内に属する紫外線Uを照射し、ドレッシングフィルム1に設けられた光透過領域Wを介して、紫外線Uを体表面S上に照射し、体表面S上の病原微生物を除菌する。
【0128】
紫外線透過性を有するとともに、フィルムの基本的性能を満たすドレッシングフィルム1の光透過領域Wを体表面Sの殺菌対象領域Yに位置合わせして体表面Sに貼付し、この状態で紫外線照射装置300を用いて波長200~235nmの波長範囲内に属する紫外線Uを照射することで、光透過領域Wを透過した紫外線Uにより体表面S上の病原微生物を除菌することができる。
【符号の説明】
【0129】
1A~1F ドレッシングフィルム、
10 基材層、
11 第1凹凸部、
12 集光部、
13 光拡散部、
14 拡散透過部、
15 第1基材層、
16 第2基材層、
20 粘着層、
21 第1粘着層、
22 第2粘着層、
30 フィルム本体部、
40 キャリアフィルム、
41 第2凹凸部、
50 剥離フィルム、
60 確認部、
61 保護部材、
70 スリット
100 台座部、
101 本体部(101a 開口部)、
104 溝部、
200 カテーテル、
300 紫外線照射装置、
S 体表面、
U 紫外線、
W 光透過領域、
X カテーテルの刺入部、
Y 体表面上の殺菌対象領域。