(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033767
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240306BHJP
G08B 21/16 20060101ALI20240306BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B21/16
G08B17/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137573
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 美里
【テーマコード(参考)】
5C085
5C086
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA05
5C085AA06
5C085AB01
5C085CA30
5C085FA11
5C086AA02
5C086BA01
5C086CB11
5C086DA02
5C086GA10
5G405AA01
5G405AB03
5G405CA51
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】側面の押しボタンについて配置の自由度を向上させることができる警報器を提供する。
【解決手段】ガス警報器は、基板平面に対して押下方向が側方に向いて設けられた通信スイッチ30と、通信スイッチ30を制御基板22と共に収納する筐体2と、筐体2の側面に設けられ押下方向が側方とされた押しボタン10と、筐体2の内部、且つ、押しボタン10と通信スイッチ30との間に配置され、押しボタン10の押下操作時に撓んで通信スイッチ30を押下する第2レバー部材L2とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板平面に対して押下方向が側方に向いて設けられたスイッチ部と、
前記スイッチ部を基板と共に収納する筐体と、
前記筐体の側面に設けられ押下方向が側方とされた押しボタンと、
前記筐体の内部、且つ、前記押しボタンと前記スイッチ部との間に配置され、前記押しボタンの押下操作時に撓んで前記スイッチ部を押下するレバー部材と、
を備えることを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記押しボタンは、前記筐体と別体により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記押しボタンは、特定方向に延びる中空部を有し、前記中空部に前記筐体の一部が挿入されている
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視領域における異常状態を検出してユーザに警報を行う警報器が知られている。このような警報器は、警報を停止させる等の操作を行うための押しボタンを有する(例えば特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-66284号公報
【特許文献2】特開2021-152902号公報
【特許文献3】特開2017-174010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1~3に記載のような警報器において、押しボタンを警報器の側面に設ける場合、押しボタンの配置に自由度が少ないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、側面の押しボタンについて配置の自由度を向上させることができる警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る警報器は、基板平面に対して押下方向が側方に向いて設けられたスイッチ部と、前記スイッチ部を基板と共に収納する筐体と、前記筐体の側面に設けられ押下方向が側方とされた押しボタンと、前記筐体の内部、且つ、前記押しボタンと前記スイッチ部との間に配置され、前記押しボタンの押下操作時に撓んで前記スイッチ部を押下するレバー部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、側面の押しボタンについて配置の自由度を向上させることができる警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るガス警報器の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るガス警報器が取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るガス警報器を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るガス警報器を示す側面図である。
【
図6】
図1~
図4に示したガス警報器のうちパネル部材を取り除いたときの様子を示す正面図である。
【
図7】
図1~
図4に示したガス警報器のうち蓋体及びパネル部材を取り除いたときの様子を示す正面図である。
【
図8】
図3に示したA-A断面図であり、(a)は押しボタンの非押下時の断面を示し、(b)は押しボタンの押下時の断面を示している。
【
図9】
図8の断面図であり、(a)は
図8(a)のB1-B1断面を示し、(b)は
図8(b)のB2-B2断面を示している。
【
図10】第2レバー部材付近の拡大断面図であり、(a)は本実施形態を示し、(b)は比較例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、以下に示す実施形態においては警報器の一例としてガス警報器を説明するが、特にガス警報器に限らず、火災警報器やガス及び火災を検知のうえ警報可能なガス火災一体型警報器であってもよい。さらには、侵入者等を検知する防犯警報器であってもよい。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器の使用状態を示す斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係るガス警報器が取り付けられる様子を示す斜視図である。また、
図3は、本発明の実施形態に係るガス警報器を示す正面図であり、
図4は、本発明の実施形態に係るガス警報器を示す側面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るガス警報器1は、天井に設けられた回転取付部Aに対して取り付けられる天井設置型の警報器である。このガス警報器1は、
図2に示すように、既存の照明装置と同様に、回転取付部Aに回転させながら取り付けられる構造となっている。
【0012】
ガス警報器1は、
図4に示すように、天井側となる背面に接点Cを有している。接点Cは、背面側に突出する金属部材である。また、
図2に示すように、回転取付部Aについても電気接点Bを有している。電気接点Bは回転取付部Aに設けられた第1の溝G1の溝奥部に位置している。ガス警報器1は、回転取付部Aに対して取り付けられると、ガス警報器1側の接点Cが回転取付部Aの電気接点Bに接触する。これにより、ガス警報器1は、電源がオンされることとなる。
【0013】
さらに、ガス警報器1は、
図4に示すように、接点Cのほか、背面側に信号端子(有電圧接点)Dを備えている。この信号端子Dは、回転取付部Aへの取付状態において
図2に示す第2の溝G2に嵌り込む構成となっており、いわゆる有電圧信号を送信するものとして機能する。有電圧信号は、例えば、ガス警報器1が回転取付部Aから取り外されたときや断線時等に0V信号となり、ガス警報器1が通常の監視状態において6V信号となり、ガス警報器1が警報状態において12V信号となる。有電圧信号は、例えばマンションの管理室等の警報監視盤等に送信される。
【0014】
このようなガス警報器1は、少なくとも通信スイッチ(スイッチ部)30、制御基板(基板)22、スピーカ34及びガスセンサ24(後述の
図7参照)等を収納する筐体2を備えている。筐体2は、外観視して薄型の略円柱形状とされており、
図3及び
図4に示すように、筐体本体2aと、蓋体2bと、パネル部材2cとを有している。筐体本体2aは、筐体2の背面側を構成する下ケースであって、正面側が開放された有底筒状の部材である。蓋体2bは、筐体本体2aを開放側となる正面側(回転取付部Aへの取付状態において下側)から覆う上ケースである。パネル部材2cは、蓋体2bの正面側に形成された凹部D1(後述の
図6参照)に対して嵌り込む板材である。パネル部材2cは、筐体2の形状に合わせて略円形とされている。
【0015】
また、ガス警報器1は、
図4に示すように、筐体2の側面に押しボタン10を備えている。本実施形態に係るガス警報器1は、外部サーバ(不図示)と通信する機能を備えている。押しボタン10は、外部サーバと通信接続されるよう通信設定を行うための操作部であって、後述する
図5に示すように筐体2とは別体によって構成され押下方向が側方とされている。押しボタン10が押下されると通信スイッチ30がオンされる。
【0016】
さらに、ガス警報器1は、
図3に示すように、正面側に、停止ボタン12を備えている。停止ボタン12は、ガス警報器1が警報動作(音出力及び発光)を行っているときに、警報動作を停止させるための操作部である。この停止ボタン12は、パネル部材2cの一部(右側下部)によって形成されており、凹部D2(後述の
図6参照)が蓋体2bに設けられることで背面方向に弾性変形可能とされている。停止ボタン12の背面側には、警報停止スイッチ32(後述の
図7参照)が設けられている。停止ボタン12の弾性変形時には第1レバー部材L1(後述の
図6参照)が撓み警報停止スイッチ32がオンされる。
【0017】
このように、本実施形態に係るガス警報器1は、押しボタン10と停止ボタン12とを別個に設けている。ここで、押しボタン10と停止ボタン12とを1つの操作部で形成すると、通信設定と警報停止の操作とを異ならせる必要があり、各操作が複雑化する傾向にあるが、別個に設けることで操作の複雑化を抑制することができる。
【0018】
図5は、
図1~
図4に示したガス警報器1の分解斜視図である。
図6は、
図1~
図4に示したガス警報器1のうちパネル部材2cを取り除いたときの様子を示す正面図であり、
図7は、
図1~
図4に示したガス警報器1のうち蓋体2b及びパネル部材2cを取り除いたときの様子を示す正面図である。
【0019】
図5に示すように、パネル部材2cは、複数のツメCL(
図5においては1つだけ図示)を備えている。複数のツメCLは、凹部D1内に形成されたツメ係合部2d(
図5及び
図6参照)にツメCLの引っ掛かりを利用して係合するものである。この係合によって、パネル部材2cは、蓋体2bに組み付けられる。さらに、本実施形態において筐体本体2aは貫通孔TH(
図5及び
図7参照)を有している。貫通孔THには背面側からネジ(不図示)が挿入され、パネル部材2cは貫通孔THに挿入されるネジによっても筐体2に組み付けられる。
【0020】
図3及び
図6に示すように、ガス警報器1は、第1レンズ14と、第2レンズ16とを備えている。第1レンズ14は、ガス警報器1の正面側上部に設けられ正面視(前面側から平面視)して円形となる光透過部材である。この第1レンズ14の背面側には人感センサ26(
図7参照)が設けられている。第1レンズ14は、筐体2の前面側からの光を人感センサ26に導く役割を果たす。
【0021】
第2レンズ16は、ガス警報器1の正面側上部に設けられ正面視して円弧状となる光透過部材である。この第2レンズ16の背面側には、導光レンズ(不図示)が設けられている。導光レンズの背面側には発光部36(
図7参照)が設けられている。発光部36によって発せられた光は、導光レンズに入射し導光レンズを通じて第2レンズ16まで至り、第2レンズ16から筐体2の前面側に出射される。
【0022】
また、
図3に示すように、ガス警報器1は、正面側にスピーカ孔18とガス孔20とが形成されている。スピーカ孔18は、正面視して停止ボタン12の略右側に形成された円弧状の孔部である。スピーカ孔18の背面側にはスピーカ34(
図5及び
図6参照)が設けられている。ガス孔20は、正面視してガス警報器1の左側下部に形成された円弧状の孔部である。ガス孔20の背面側にはガスセンサ24(
図5及び
図7参照)が設けられている。これらスピーカ孔18とガス孔20とによって、スピーカ34からの音や検知対象ガスが好適に通過し易くされている。
【0023】
図5及び
図7に示すように、ガス警報器1は、筐体本体2a内に、回転取付部A(
図1及び
図2参照)への取付状態において水平方向に延びる制御基板22を備えている。また、
図5~
図7に示すように、ガス警報器1は、ガスセンサ24と、人感センサ26と、通信モジュール28と、通信スイッチ30と、警報停止スイッチ32と、スピーカ34と、発光部36とを備えている。
【0024】
図5及び
図7に示す制御基板22は、ガス警報器1の主要構成となる各部を搭載するものである。
図7に示すガスセンサ24は、監視領域における異常を検知するためのものである。本実施形態においてガスセンサ24は、都市ガスや一酸化炭素等の検知対象ガスに反応する半導体式ガスセンサであって、検知対象ガスの濃度に応じた信号をメインマイコン等の制御部(不図示)に出力するものである。このガスセンサ24は、制御基板22に形成された切欠き部22aに対応して設けられている。ガスセンサ24のガス導入部24aは、ガス孔20に対応して形成されたガス貯留室GRに面するように設置されている。
【0025】
図7に示す人感センサ26は、周辺における人の存在を検知するためのものである。人感センサ26の前面側には第1レンズ14が設けられており、例えば生体からの赤外線(筐体2の外部からの光)が第1レンズ14によって人感センサ26まで導かれる。人感センサ26は、第1レンズ14によって導かれた赤外線に応じた信号をメインマイコン等の制御部に出力する。制御部は、人感センサ26からの信号に基づいて人の有無を判断することとなる。なお、人感センサ26は、赤外線を利用するものに限らず、例えば超音波により移動物体を検出して移動物体を生体であると判断するためのもの等であってもよい。
【0026】
図7に示す通信モジュール28は、通信回線を通じて、ガス事業者等が所有する外部サーバと通信接続されるものである。この通信モジュール28は、例えば無線通信規格であるWi-Fi(登録商標)により宅内のルータ(不図示)と無線接続されることで外部サーバと通信接続され、外部サーバと情報の送受信が可能となる。
【0027】
図7に示す通信スイッチ30は、通信設定を実行するための設定モードを開始させる操作スイッチである。この通信スイッチ30は、押しボタン10の方向に向いて、すなわち基板平面に対して押下方向が側方に向いた状態で制御基板22上に搭載されている。この通信スイッチ30は、押しボタン10が押下されたときにオンするものである。本実施形態に係るガス警報器1は、電源オン時に通信スイッチ30がオンされていると、設定モードを開始する。この設定モードにおいて通信モジュール28は、宅内のルータと無線接続されて外部サーバと通信接続される。
【0028】
図8は、
図3に示したA-A断面図であり、(a)は押しボタン10の非押下時の断面を示し、(b)は押しボタン10の押下時の断面を示している。
【0029】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、ガス警報器1は、蓋体2bの背面側から延びて筐体2内に位置する第2レバー部材(レバー部材)L2を備えている。第2レバー部材L2は、蓋体2bから制御基板22に向かって延びる片持ち状の部材であって、先端は押しボタン10と通信スイッチ30との間に介在するようにされている。第2レバー部材L2は、
図8(a)に示すように、外力が加わっていない状態で通信スイッチ30を押すことがないように位置している。また、第2レバー部材L2は、
図8(b)に示すように、押しボタン10が押下操作された際に通信スイッチ30側に撓んで通信スイッチ30をオンする。押下操作が解除されると第2レバー部材L2は
図8(a)に示す位置に弾性復帰する。このような動作において、第2レバー部材L2は、押しボタン10の押下時におけるクリック感を表現すると共に、押しボタン10が押下されたままで保持されてしまうこと(すなわち押しっぱなし状態)を防止する役割を果たす。
【0030】
さらに、本実施形態に係るガス警報器1は第2レバー部材L2を備えることで、押しボタン10の配置の自由度を向上させている。まず、本実施形態に係るガス警報器1は、押しボタン10が側面に設けられ、通信スイッチ30が制御基板22に対して横向きに設けられている。ここで、ガス警報器1が第2レバー部材L2を備えない場合には、押しボタン10によって直接通信スイッチ30を操作する必要があり、押しボタン10についても制御基板22上の通信スイッチ30に併せて制御基板22に或る程度近づけて設置する必要がある。このため、押しボタン10の配置には制限を受け易くなる。しかし、ガス警報器1が第2レバー部材L2を備える場合には、押しボタン10は第2レバー部材L2を撓ませる位置であればよく、或る程度制御基板22から離れた位置に配置されても良くなる。よって、押しボタン10の配置について自由度が高められている。
【0031】
図9は、
図8の断面図であり、(a)は
図8(a)のB1-B1断面を示し、(b)は
図8(b)のB2-B2断面を示している。
【0032】
図5、
図9(a)、及び
図9(b)に示す押しボタン10は、操作部10aと、作用部10bと、中空部10cと、側方切欠き部10dとを備えている。操作部10aは、ガス警報器1の設置等を行う作業者やユーザによって押下操作される部位である。この操作部10aは、平面視して長方形状となる板材であって、筐体本体2aの側面に形成される凹部D3に大凡嵌まり込む構造となっている。また、操作部10aは、中央側がガス警報器1の外側に向けて、やや膨らんだ湾曲膨出構造となっている。膨出部分10a1は中空部10cを覆う面積を有している。また、膨出部分10a1は、
図9(a)に示すように、非押下時に筐体本体2aの側面から突出する構造となっている。このため、作業者等は、指の感触によって操作部10aの位置を確認することもできる。
【0033】
作用部10bは、操作部10aの押下方向側に位置し、押下操作時において第2レバー部材L2に接触する部位である。作用部10bは、第2レバー部材L2の幅方向(押下方向に直交する方向)に並ぶ2枚の板材によって構成されている。作用部10bは、この2枚の板材によって安定的なスイッチ操作と第2レバー部材L2の保護とを図っている。
【0034】
図10は、第2レバー部材L2付近の拡大断面図であり、(a)は本実施形態を示し、(b)は比較例を示している。
図10(b)に示す比較例のように、作用部10b’が1枚の板材によって構成されている場合、寸法公差等によって1枚の板材が第2レバー部材L2の中心位置からズレてしまったとする。このとき、作用部10b’は、第2レバー部材L2に対して回転方向の力を付与してしまうこととなる。このため、第2レバー部材L2に対して捻じれの力を作用させてしまい、破損可能性を高めることとなる。また、第2レバー部材L2は、回動しながら撓むことから、通信スイッチ30に対しても回動状態で当接することとなり、うまくオンできなかったり、オンする際に多くの力を要したりすることにもなり得る。
【0035】
これに対して、
図10(a)に示す本実施形態では、作用部10bが2枚の板材によって構成されている。このため、寸法公差等によって2枚の板材の中心が第2レバー部材L2の中心からズレてしまったとしても、第2レバー部材L2に対して回動する力を付与し難くなる。この結果、通信スイッチ30をうまくオンできなかったりオンする際に多くの力を要したりする問題が生じ難くなり、より操作性を向上させることができる。
【0036】
再度
図9を参照する。中空部10cは、操作部10aと作用部10bとの間に位置するものであり、
図5に示すように高さ方向(特定方向の一例)に延びた貫通部として形成されている。この中空部10cには筐体本体2aの一部(以下挿入部)2eが挿入されている。このため、押しボタン10の側方への脱落について防止が図られている。特に、挿入部2eの幅は中空部10cの幅と略一致しており、押しボタン10の押下操作の際に挿入部2eを中心として押しボタン10が回動してしまうことの防止が図られている。
【0037】
側方切欠き部10dは、中空部10cの幅方向の両側に位置する部位であり、
図9に示すように、凹部D3内において中央側に突出する突出部2fが挿入される部位である。この突出部2fの挿入によって押しボタン10は幅方向へのガタが抑制されている。特に、本実施形態において突出部2fは側方切欠き部10dに近接することで極力ガタが抑制される構造となっている。
【0038】
次に、本実施形態に係るガス警報器1の作用を説明する。まず、本実施形態に係るガス警報器1は、筐体2の側面に押しボタン10が設けられている。特に、本実施形態に係るガス警報器1は、天井設置型であって回転取付部Aへの回転取付時に押しボタン10を押下していることで、通信設定が行われる。このため、回転取付をするときに作業者等の指が位置し易い側面に押しボタン10を設けることで、通信設定を行い易くすることとなる。
【0039】
また、制御基板22上には押しボタン10側に向いた状態で通信スイッチ30が設けられている。さらに、押しボタン10と通信スイッチ30との間には第2レバー部材L2が設けられている。ここで、第2レバー部材L2が存在しない場合には、操作部10aや作用部10bの高さを制御基板22の近くにする等、通信スイッチ30の位置に応じた制約を受け易くなる。しかし、本実施形態に係るガス警報器1は、押しボタン10と通信スイッチ30との間に第2レバー部材L2を備えることから、押しボタン10は第2レバー部材L2を撓ませることができる位置であればよく、構造上の制約を受け難くなる。特に、本実施形態においては第2レバー部材L2が高さ方向に延びて形成されていることから、押しボタン10は高さ方向への制約を受け難くすることができる。
【0040】
さらに、ガス警報器1等の機器においては、例えば冬場に作業者等の指を通じて静電気が制御基板22の部品に対して流れ込み故障等の原因となることがある。本実施形態に係るガス警報器1は、第2レバー部材L2を備えることから、沿面距離を確保することとなり、静電気耐性の向上も図られている。
【0041】
また、押しボタン10は筐体2とは別体によって構成されていることから、筐体2と一体であるときのように筐体2の外壁を撓ませるように筐体2の外壁の一部を薄肉に形成する必要が無く、筐体2の強度の低下を抑制することができる。
【0042】
さらに、押しボタン10は、中空部10cに挿入部2eが挿入されることから、脱落の可能性が大きく低減されることとなる。特に中空部10cと挿入部2eとの幅が略一致することで幅方向へのガタも抑制される。加えて、押しボタン10は、側方切欠き部10dに対して突出部2fが近接して極力ガタが抑えられている。
【0043】
このようにして、本実施形態に係るガス警報器1によれば、押しボタン10と通信スイッチ30との間に配置され、押しボタン10の押下操作時に撓んで通信スイッチ30を押下する第2レバー部材L2を備えるため、押しボタン10自体を制御基板22の近くに配置させる必要が無く、第2レバー部材L2を撓ませることができる位置に配置すればよい。従って、側面の押しボタン10について配置の自由度を向上させることができる。
【0044】
また、押しボタン10は筐体2と別体により構成されているため、押しボタン10が筐体2と一体であるときのように筐体2の外壁を撓ませる必要が無い。このため、操作性の向上のため外壁を薄肉に形成する必要もなく、ガス警報器1の外壁強度を確保し易くすることができる。
【0045】
また、押しボタン10は中空部10cを有し、筐体2の一部が中空部10cに挿入されているため、押しボタン10が脱落してしまう可能性を低減することができる。
【0046】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0047】
例えば、本実施形態に係るガス警報器1は、検知対象となる還元性ガスがメタンガスである都市ガス向けの警報器として説明したが、これに限らず、検知対象となるガスがプロパンガスやブタンガス等であるLPガス向けの警報器であってもよい。また、ガス警報器1は、火災警報機能をさらに有するガス火災警報器として構成されてもよい。また、本実施形態に係るガス警報器1は、天井設置型に限らず、天井付近や足元の壁部等、他の箇所に設置される定置式の警報器であってもよい。
【0048】
さらに、本実施形態に係るガス警報器1は、第2レバー部材L2が蓋体2bから延びて形成されているが、特にこれに限らず、筐体本体2aやパネル部材2cから延びて形成されていてもよい。さらに、第2レバー部材L2は、制御基板22等の筐体2以外からの形成されていてもよい。また、第2レバー部材L2は、高さ方向に延びる場合に限らず、側方に延びるものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 :ガス警報器(警報器)
2 :筐体
2e :挿入部(一部)
10 :押しボタン
10c :中空部
22 :制御基板(基板)
30 :通信スイッチ(スイッチ部)
L2 :第2レバー部材(レバー部材)