IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 市光工業株式会社の特許一覧

特開2024-33768表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム
<>
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図1
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図2
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図3
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図4
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図5
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図6
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図7
  • 特開-表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033768
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240306BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240306BHJP
   G09G 5/24 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
G09G5/00 530M
G09G5/00 530T
G09G5/24 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137574
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(72)【発明者】
【氏名】山本 英恵
(72)【発明者】
【氏名】鷲 祐一郎
【テーマコード(参考)】
5C182
5H181
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB25
5C182AC03
5C182BA14
5C182BA27
5C182BA29
5C182BA46
5C182BA47
5C182CA54
5C182CB47
5C182CC21
5C182DA65
5C182FA04
5H181AA01
5H181AA06
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】自車両の前方を通過しようとする他車両の運転手による自車両との距離感や自車両が接近するまでの時間の認識を支援する。
【解決手段】車両1に搭載され車両1の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体11の表示を制御する制御ECU13であって、車両1に搭載された外界センサー21の認識結果に基づいて、車両1と車両1の進行方向に存在する他車両との距離を認識し、認識した車両1と他車両との距離を報知するための距離情報を表示媒体11に表示させ、表示媒体11に表示させる距離情報を、認識した車両1と他車両との距離の変化に応じて変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体の表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識し、
認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、
前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させる表示制御装置。
【請求項2】
前記距離情報を前記表示媒体に表示させた後、前記外界センサーの認識結果に基づいて、前記他車両が前記車両の進路の横断を開始したか否か、及び、前記車両と前記他車両との距離が前記車両においてブレーキ操作が必要となる距離であるか否かを判定し、
前記他車両が前記車両の進路の横断を開始し、且つ、前記車両と前記他車両との距離が前記車両においてブレーキ操作が必要となる距離である場合に、前記車両が停止することを報知するための停止情報を前記表示媒体に表示させる請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記他車両との衝突余裕時間を認識し、
認識した前記衝突余裕時間に前記他車両の運転手の反応時間を加算した時間に基づいて、前記車両と前記他車両との距離が前記車両においてブレーキ操作が必要となる距離であるか否かを判定する請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記距離情報は、文字情報又は画像情報である第1距離情報と、文字情報又は画像情報であり前記第1距離情報とは表示態様が異なる第2距離情報とを含み、
前記第1距離情報と前記第2距離情報とを交互に表示させる請求項1~3の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記車両が自動運転で優先道路を前記優先道路と非優先道路との交差点に向かって進行し、前記他車両が手動運転で前記非優先道路から前記交差点に進入する前の状況において、前記距離情報を前記表示媒体に表示させる請求項1~3の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体と、
前記表示媒体の表示を制御する表示制御装置と
を備える情報表示システムであって、
前記表示制御装置は、
前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識し、
認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、
前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させる情報表示システム。
【請求項7】
車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体の表示を制御する表示制御装置が実行する表示制御方法であって、
前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識するステップと、
認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させるステップと
を備える表示制御方法。
【請求項8】
車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体の表示を制御する表示制御装置に、
前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識する手順と、
認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させる手順と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の前方を通過しようとする他車両に対して、当該他車両の死角領域に存在する車両の情報を報知する報知装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の報知装置では、他車両を認識した場合に、認識した他車両の死角領域に車両が存在するか否かを判定し、当該死角領域に車両が存在すると判定した場合に、車両の前面等に設けたディスプレイに、当該死角領域に存在する車両の情報を表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-107163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自車両が無人の自動運転で優先道路を走行する自動運転車両、他車両が有人の手動運転で非優先道路を走行する手動運転車両であり、自車両が信号の無い交差点に向かって進行し、他車両が当該交差点に進入しようとしているケースを想定する。このケースでは、他車両の運転手が、自動運転車両との距離感や自動運転車両が接近するまでの時間を誤認する可能性がある。その場合、他車両が誤ったタイミングで交差点に進入し、自動運転車両の減速、停止が誘発される。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、自車両の前方を通過しようとする他車両の運転手による自車両との距離感や自車両が接近するまでの時間の認識を支援する表示制御装置、情報表示システム、表示制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示制御装置は、車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体の表示を制御する表示制御装置であって、前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識し、認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させる。
【0007】
本発明に係る情報表示システムは、車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体と、前記表示媒体の表示を制御する表示制御装置とを備える情報表示システムであって、前記表示制御装置は、前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識し、認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させる。
【0008】
本発明に係る表示制御方法は、車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体の表示を制御する表示制御装置が実行する表示制御方法であって、前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識するステップと、認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させるステップとを備える。
【0009】
本発明に係るプログラムは、車両に搭載され前記車両の進行方向に向けて情報を表示する表示媒体の表示を制御する表示制御装置に、前記車両に搭載された外界センサーの認識結果に基づいて、前記車両と前記車両の進行方向に存在する他車両との距離を認識する手順と、認識した前記車両と前記他車両との距離を報知するための距離情報を前記表示媒体に表示させ、前記表示媒体に表示させる前記距離情報を、認識した前記車両と前記他車両との距離の変化に応じて変化させる手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自車両の前方を通過しようとする他車両の運転手による自車両との距離感や自車両が接近するまでの時間の認識を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車両に搭載された情報表示システムの概略を示すブロック図である。
図2図2は、他車両に対して車両の接近を報知すべき状況の一例を示す図である。
図3図3は、他車両に対して車両の接近を報知すべき状況の一例を示す図である。
図4図4は、他車両に対して車両の接近を報知すべき状況の一例を示す図である。
図5図5は、表示媒体が表示する距離情報の例を示す表である。
図6図6は、車両が停止して他車両に道を譲る時に表示媒体が表示する情報の例を示す表である。
図7図7は、表示媒体の距離情報の表示方法の一例を示す図である。
図8図8は、制御ECUの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、構成の図示や説明を省略している箇所が一部あるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報表示システム10が搭載された車両1の概略を示すブロック図である。この図に示す車両1は、優先道路3(図2参照)を無人の自動運転で走行する自動運転車両であり、自動運転レベルがレベル4又はレベル5のバス車両である。
【0014】
車両1は、情報表示システム10と、先進運転支援システム(以下、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)という)20とを備える。情報表示システム10は、表示媒体11と、ドライバ12と、制御ECU(Electronic Control Unit)13とを備える。
【0015】
表示媒体11は、車両1の前部に搭載されるディスプレイであり、車両1の進行方向に向けて情報を表示する。表示媒体11としては、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、及びOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等が挙げられる。この表示媒体11は、車両1の前方を横断しようとする他車両2(図2参照)の運転手が視認できる位置に配され、車両1の50m程先に位置する他車両2の運転手が視認できる態様で情報を表示する。
【0016】
ドライバ12は、表示媒体11を制御するディスプレイドライバであり、制御ECU13から送信される表示情報に基づいて、表示媒体11に情報を表示させる。表示媒体11に表示される情報は、車両1とその前方の他車両2との距離を示す距離情報を含む。この距離情報は、文字情報、画像情報を含む。文字情報は、30m、20m等の車両1とその前方の他車両2との距離を文字で直接的に認識させる情報であり、画像情報は、ピクトグラム、信号灯等の車両1とその前方の他車両2との距離を画像で感覚的に認識させる情報を含む。各種の距離情報は、それぞれ、車両1とその前方の他車両2との距離に応じて複数パターンずつ設けられている。なお、この距離情報の詳細については後述する。
【0017】
制御ECU13は、表示媒体11の表示の制御を実行するためのプログラムを格納しており、当該プログラムにより動作される。この制御ECU13は、ADAS20から送信される各種情報に基づいて、車両1が接近しているという情報を報知すべき他車両2の有無を判定し、当該他車両2が車両1の前方に存在する場合に、車両1と当該他車両2との距離を算出する。ADAS20から送信される各種情報は、優先道路3と非優先道路4(図2参照)とを識別するための情報、交差点5(図2参照)を識別するための情報、車両1と他車両2との車速の情報、車両1と他車両2との距離の情報、車両1と他車両2との相対角度の情報、車両1のブレーキ操作についての情報を含む。そして、制御ECU13は、算出した車両1と他車両2との距離に応じた表示情報を生成してドライバ12に送信する。
【0018】
ADAS20は、外界センサー21と、ナビゲーションシステム22と、ADAS_ECU23とを備える。外界センサー21は、画像データを取得するカメラ211、距離データを取得する距離センサー212、速度、加速度、姿勢等の車両1の挙動データを取得するIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測ユニット)213、及び、位置データを取得するGPS(Global Positioning System)受信器214等を含む。
【0019】
カメラ211は、画像認識技術により、取得した画像から車両1の周辺の車両や道路標識や歩行者等の対象物を検知するセンシングカメラである。このカメラ211は、車両1の前部、側部、後部等に搭載されており、車両1の前方、側方、後方に位置する車両や道路標識や歩行者等の対象物を検知し、検知情報をADAS_ECU23に送信する。
【0020】
距離センサ212は、レーザーレーダー(LiDAR(Light Imaging Detection and Ranging))やミリ波レーダー等であり、車両1の前方に存在する対象物までの距離を検出し、検知情報をADAS_ECU23に送信する。レーザーレーダーは、当該対象物までの距離の測定、当該対象物の性質の分析を行う。当該対象物の性質の分析としては、縁石等による道路形状の認識、反射率を利用した白線認識等が挙げられる。ミリ波レーダーは、対象物までの距離の直接計測を行う。
【0021】
IMU213は、3軸加速センサー、3軸ジャイロセンサー等を備え、車両1の速度、加速度、姿勢等を検知し、検知情報をADAS_ECU23に送信する。また、GPS受信器214は、GPS信号を受信して車両1の位置情報を算出する。GPS受信器214は、算出した位置情報をナビゲーションシステム22に送信する。
【0022】
ナビゲーションシステム22は、GPS受信器214から送信された車両1の位置情報と、メモリ(不図示)に記憶された地図情報とに基づいて、車両1の走行位置を算出し、算出結果をADAS_ECU23に送信する。この際、ナビゲーションシステム22は、車両1の走行位置が優先道路3上であるか否か、車両1がT字路や十字路等の交差点5に向かって走行しているか否か等を判定し、判定結果をADAS_ECU23に送信する。
【0023】
ADAS_ECU23は、外界センサー21から送信された各種の検出情報とナビゲーションシステム22から送信された各種のナビゲーション情報とに基づいて、車両1の自動運転制御を実行する。また、ADAS_ECU23は、外界センサー21から送信された各種の検出情報とナビゲーションシステム22から送信された各種のナビゲーション情報とを制御ECU13に送信する。
【0024】
制御ECU13は、ADAS_ECU23から送信された外界センサー21の各種の検出情報とナビゲーションシステム22から送信された各種のナビゲーション情報とに基づいて、車両1が接近しているという情報を報知すべき他車両2の有無を判定する。具体的には、制御ECU13は、下記(1)式で表される衝突余裕時間TTC(Time to Collision)が、下記(2)式で表される条件を満たすか否かを判定する。
TTC=L/V …(1)
但し、Lは、車両1と他車両2との距離であり、Vは、車両1と他車両2との相対速度(絶対値)である。
TTC+α≦T’ …(2)
但し、αは、他車両2の運転手が危険な状況を把握して反応できる時間(以下、反応時間という)であり、T’は、他車両2が交差点5を通過するのに要する時間(以下、通過時間という)T0に所定の余裕時間βを加算した時間(T0+β)であり、予め定められた所定値又は外界センサー21の各種の検出情報及びナビゲーション情報に基づいて算出される値である。なお、αは、0.75sec以上であることが好ましく、αとしては、0.75sec、1.0sec、1.5sec等が挙げられる。
【0025】
図2図4は、他車両2に対して車両1の接近を報知すべき状況の一例を示す図である。これらの図には、優先道路3、非優先道路4、及び優先道路3と非優先道路4との交差点5を示している。図2に示すように、車両1が優先道路3を交差点5に向かって進行し、他車両2が非優先道路4から交差点5に進入しようとしている状況において、制御ECU13(図1参照)は、車両1の接近を報知すべき他車両2が存在すると判定する。なお、図3に示すように、他車両2が右折して交差点5を通過する場合と、図4に示すように、他車両2が直進して交差点5を通過する場合とが想定される。
【0026】
図5は、表示媒体11が表示する距離情報の例を示す表である。この表に示すように、車両1と他車両2との距離(以下、車両間距離という)に応じて、表示媒体11が表示する距離情報の表示態様が変化する。
【0027】
例えば、車両間距離が50m以上である場合のように、他車両2が車両1の前方を横断しても車両1のブレーキ操作が不要である程、車両間距離が長い場合には、表示媒体11は、非表示、又は他車両2の運転手に安心感を抱かせるような情報を表示する。例えば、図5の左から1列目の第1距離の例では、画像情報のうちのピクトグラムA(表情)については、他車両2の運転手に安心感を抱かせるような笑顔の絵記号としている。なお、図5の左から1列目の第1距離の例では、文字情報と、画像情報のうちのピクトグラムB(車両と対象物)及び信号灯とについては非表示としている。
【0028】
また、例えば、車両間距離が40~30mである場合のように、他車両2が車両1の前方を横断した際における車両1のブレーキ操作の要否を分ける境界に車両間距離が近づいている場合には、表示媒体11は、他車両2の運転手に慎重な判断を要請するような情報を表示する。例えば、図5の左から2列目の第2距離の例では、文字情報については、車両間距離の実測値とし、画像情報のうちのピクトグラムAについては、他車両2の運転手に注意を促すような真剣な表情の絵記号としている。また、画像情報のうちのピクトグラムBについては、車両1と対象物との距離が慎重を期す必要の有る程の距離であることを意味する絵記号とし、画像情報のうちの信号灯については、3段のうちの1段(最下段)が点灯する状態としている。
【0029】
また、例えば、車両間距離が29~20mである場合のように、他車両2が車両1の前方を横断すると車両1のブレーキ操作が必要になる程の距離である場合には、表示媒体11は、他車両2の運転手に横断を止めることを促すような情報を表示する。例えば、図5の左から3列目の第3距離の例では、文字情報については、車両間距離の実測値とし、画像情報のうちのピクトグラムAについては、他車両2の運転手に横断中止を促すような困惑した表情の絵記号としている。また、画像情報のうちのピクトグラムBについては、車両1と対象物との距離がブレーキを踏まなければ衝突する程の近距離であることを意味する絵記号とし、画像情報のうちの信号灯については、3段のうちの2段(最下段及び中段)が点灯する状態としている。
【0030】
また、例えば、車両間距離が19~1mである場合のように、他車両2が車両1の前方を横断すると車両1の急ブレーキ操作が必要になる程の距離である場合には、表示媒体11は、他車両2の運転手に横断を止めることを警告するような情報を表示する。例えば、図5の左から4列目の第4距離の例では、文字情報については、車両間距離の実測値とし、画像情報のうちのピクトグラムAについては、他車両2の運転手に横断中止を警告するようなパニック状態の表情の絵記号としている。また、画像情報のうちのピクトグラムBについては、対象物と車両1との距離が急ブレーキを踏まなければ衝突する程の至近距離であることを意味する絵記号とし、画像情報のうちの信号灯については、3段のうちの3段が点灯する状態としている。
【0031】
また、例えば、車両1又は他車両2が交差点5を通過した後は、表示媒体11は、非表示、又は他車両2の運転手に安心感を抱かせるような情報を表示する。例えば、図5の左から5列目の通過後の例では、画像情報のうちのピクトグラムAについては、他車両2の運転手に安心感を抱かせるような笑顔の表情の絵記号としている。なお、図5の左から1列目の第1距離の例では、文字情報と、画像情報のうちのピクトグラムB及び信号灯とについては非表示としている。
【0032】
図6は、車両1が停止して他車両2に道を譲る時に表示媒体11が表示する情報の例を示す表である。この表に示すように、表示媒体11は、文字情報については、「停車します」等の停車することを知らせるメッセージとし、画像情報のうちのピクトグラムAについては、親近感を頂くような表情の絵記号としている。また、画像情報のうちのピクトグラムBについては、停車を意味する絵記号とし、画像情報のうちの信号灯については、ゆっくり点滅する状態としている。
【0033】
なお、表示媒体11は、車両1の走行時及び停止時に、文字情報、ピクトグラムA、ピクトグラムB、及び信号灯の何れか一つを表示してもよく、これらの2つ以上を表示してもよい。後者の場合、表示媒体11は、例えば、ピクトグラムA、ピクトグラムB、又は信号灯と文字情報とを交互に表示したり、文字情報、ピクトグラムA、ピクトグラムB、及び信号灯の3つ以上を順番に表示したりしてもよい。
【0034】
図7は、表示媒体11の距離情報の表示方法の一例を示す図である。この図に示すように、表示媒体11は、車両間距離が長距離から短距離に変化していく際に、文字情報と画像情報(例えば、図示するようにピクトグラムA)とを交互に表示させる。これにより、他車両2の運転手は、文字情報により直接的に認識される数字が持つ意味を、画像情報により感覚的に理解することができる。
【0035】
図8は、制御ECU13の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、制御ECU13は、車両1が優先道路3を走行しているか否かを判定する。ステップS1において肯定判定がされた場合にはステップS2に移行し、ステップS1において否定判定がされた場合にはステップS16に移行する。ステップS16において、制御ECU13は、通常の表示を表示媒体11に継続して表示させる。なお、ステップS1の開始前から、通常の表示が表示媒体11に表示されている。
【0036】
ステップS2において、制御ECU13は、車両1の進行方向に他車両2が存在するか否かを判定する。ステップS2において肯定判定がされた場合にはステップS3に移行し、ステップS2において否定判定がされた場合にはステップS16に移行する。ステップS16において、制御ECU13は、通常の表示を表示媒体11に継続して表示させる。
【0037】
ステップS3において、制御ECU13は、他車両2が非優先道路から車両1の予測経路に進入する可能性があるか否かを、TTCに基づいて判定する。ステップS3において肯定判定がされた場合にはステップS4に移行し、ステップS3において否定判定がされた場合にはステップS16に移行する。ステップS16において、制御ECU13は、通常の表示を表示媒体11に継続して表示させる。
【0038】
ステップS4において、制御ECU13は、車両1が停止しているか否かを判定する。ステップS4において肯定判定がされた場合にはステップS13に移行し、ステップS4において否定判定がされた場合にはステップS5に移行する。なお、ステップS1からS4では、制御ECU13は、通常の表示を表示媒体11に継続して表示させる。
【0039】
ステップS5において、制御ECU13は、ADAS_ECU23から送信された外界センサー21の各種の検出情報に基づいて、車両1と前方の他車両2との距離(車両間距離)が50m以上であるか否かを判定する。ステップS5において肯定判定がされた場合にはステップS6に移行し、ステップS5において否定判定がされた場合にはステップS7に移行する。
【0040】
ステップS6において、制御ECU13は、車両間距離が50m以上である場合の表示を表示媒体11に表示させる。他方で、ステップS7において、制御ECU13は、ADAS_ECU23から送信された外界センサー21の各種の検出情報に基づいて、車両間距離が30m以上であるか否かを判定する。ステップS7において肯定判定がされた場合にはステップS8に移行し、ステップS7において否定判定がされた場合にはステップS9に移行する。
【0041】
ステップS8において、制御ECU13は、車両間距離が49~30mである場合の表示を表示媒体11に表示させる。他方で、ステップS9において、制御ECU13は、ADAS_ECU23から送信された外界センサー21の各種の検出情報に基づいて、車両間距離が20m以上であるか否かを判定する。ステップS9において肯定判定がされた場合にはステップS10に移行し、ステップS9において否定判定がされた場合にはステップS11に移行する。
【0042】
ステップS10において、制御ECU13は、車両間距離が29~20mである場合の表示を表示媒体11に表示させる。他方で、ステップS11において、制御ECU13は、ADAS_ECU23から送信された外界センサー21の各種の検出情報に基づいて、車両間距離が1m以上であるか否かを判定する。ステップS11において肯定判定がされた場合にはステップS12に移行し、ステップS11において否定判定がされた場合にはステップS13に移行する。
【0043】
ステップS12において、制御ECU13は、車両間距離が19~1mである場合の表示を表示媒体11に表示させる。他方で、ステップS13において、制御ECU13は、停止時の表示を表示媒体11に表示させる。
【0044】
ステップS6,S8,S10,S12,S13からステップS14に移行し、ステップS14において、制御ECU13は、ADAS_ECU23から送信された外界センサー21の各種の検出情報に基づいて、車両1の前方の他車両2が通過したか否かを判定する。ステップS14において肯定判定がされた場合にはステップS15に移行し、ステップS14において否定判定がされた場合にはステップS4に移行する。
【0045】
ステップS15において、制御ECU13は、他車両2が通過した後の表示を表示媒体11に表示させる。以上で処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、制御ECU13が、車両1に搭載された外界センサー21の認識結果に基づいて、車両1と車両1の進行方向に存在する他車両2との距離(車両間距離)を認識し、認識した車両間距離を報知するための距離情報を表示媒体11に表示させる。これにより、自動運転車両である車両1が進行する優先道路3を他車両2が横断しようとしている際に、当該他車両2の運転手による車両1との距離感や車両1が接近するまでの時間についての認識を支援することができる。特に、制御ECU13は、表示媒体11に表示させる距離情報を、認識した車両間距離の変化に応じて変化させる。これにより、当該他車両2の運転手に対して、車両間距離が次第に短くなっていることを認識させることができ、横断するか否かについて慎重な判断を促すことができる。従って、当該他車両2の運転手が、自動運転車両である車両1との距離感や当該車両1が接近するまでの時間を誤認することを抑制でき、他車両2が誤ったタイミングで車両1の進路に進入することによる車両1の減速、停止の誘発を抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では、制御ECU13が、距離情報を表示媒体11に表示させた後、外界センサー21の認識結果に基づいて、他車両2が車両1の進路の横断を開始したか否か、及び、車両間距離が車両1においてブレーキ操作が必要となる距離であるか否かを判定する。制御ECU13は、他車両2が車両1の進路の横断を開始し、且つ、車両間距離が車両1においてブレーキ操作が必要となる距離である場合に、車両1が停止することを報知するための停止情報を表示媒体11に表示させる。これにより、自動運転車両である車両1が進行する優先道路3を他車両2が横断しようとしている際に、当該他車両2の運転手に対して、自動運転車両である車両1が停止するという情報を報知することができる。
【0048】
また、本実施形態では、制御ECU13が、外界センサー21の認識結果に基づいて、車両1と他車両2との衝突余裕時間TTCを認識し、認識した衝突余裕時間TTCに運転手の反応時間αを加算した時間に基づいて、車両間距離が車両1のブレーキ操作が必要となる距離であるか否かを判定する。これにより、車両間距離が車両1のブレーキ操作が必要となる距離であるという情報を、余裕をもって他車両2の運転手に報知できる。
【0049】
また、本実施形態では、制御ECU13が、文字情報と画像情報とを交互に表示媒体11に表示させる。これにより、他車両2の運転手は、文字情報により直接的に認識される数字が持つ意味を、画像情報により感覚的に理解することができる。従って、他車両2の運転手による横断を開始するべきか否かの判断を支援することができる。
【0050】
以上、上述の実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、実施形態同士の技術や公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0051】
例えば、上述の実施形態では、表示媒体11の表示を制御する制御ECU13と、ADAS20による車両1の自動運転制御を実行するADAS_ECU23とをそれぞれ設けたが、ADAS_ECU23が、表示媒体11の表示を制御するようにしてもよい。また、上述の実施形態では、車両1をレベル4又はレベル5の自動運転車両とし、他車両2を手動運転車両としたが、車両1及び他車両2をレベル3以下の自動運転車両としたり、車両1を手動運転車両としたりしてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、表示媒体11を前照灯や信号灯に対して機能的且つ構造的に独立に設けたが、表示媒体11を前照灯や信号灯に対してこれらの機能を阻害しないように構造的に一体で設けてもよい。また、上述の実施形態では、外界センサー21を、表示媒体11に対して構造的に独立に設けたが、外界センサー21を表示媒体11に対して構造的に一体で設けてもよい。
【0053】
さらに、上述の実施形態では、制御ECU13を動作させるプログラムは、制御ECU13のメモリに格納され、更新されることはない。しかしながら、当該プログラムは、ADAS20等の車両1側のシステムを通じて、更新可能としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 :車両
2 :他車両
3 :優先道路
4 :非優先道路
5 :交差点
10 :情報表示システム
11 :表示媒体
13 :制御ECU(表示制御装置)
21 :外界センサー
L :距離
TTC :衝突余裕時間
α :反応時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8