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  • 特開-熱式流量計 図1A
  • 特開-熱式流量計 図1B
  • 特開-熱式流量計 図1C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033769
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】熱式流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G01F1/684 A
G01F1/684 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137576
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】池 信一
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA05
2F035EA08
(57)【要約】
【課題】熱式流量計の配管内壁に設けられる測温抵抗体、発熱抵抗体の配線パターンの流れの方向に占有する面積を、配線パターンの線幅を細くすることなく小さくする。
【解決手段】主配管101より小さい管径とされた測定配管102の内壁102aに、流体を加熱する発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106を設け、発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106の各々を構成する配線パターンは、速度分布が均一となっている範囲で測定配管102の周方向に延在して形成されている。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の流体が流れる主配管に接続され、主配管より小さい管径とされた測定配管と、
前記測定配管の内壁に設けられて前記流体を加熱する発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体の上流側で前記測定配管の内壁に設けられて前記流体の温度を測定する第1測温抵抗体と、
前記発熱抵抗体の下流側で前記測定配管の内壁に設けられて前記流体の温度を測定する第2測温抵抗体と、
前記発熱抵抗体の熱影響を受けない上流側の位置における前記流体の温度を測定する第3測温抵抗体と
を備え、
前記発熱抵抗体、第1測温抵抗体、第2測温抵抗体、第3測温抵抗体の各々を構成する配線パターンは、速度分布が均一となっている範囲で前記測定配管の周方向に延在して形成されている
ことを特徴とする熱式流量計。
【請求項2】
請求項1記載の熱式流量計において、
前記主配管から前記測定配管にかけて、管径が徐々に変化していることを特徴とする熱式流量計。
【請求項3】
請求項1記載の熱式流量計において、
前記測定配管は、断面視矩形とされていることを特徴とする熱式流量計。
【請求項4】
請求項1記載の熱式流量計において、
前記発熱抵抗体、第1測温抵抗体、第2測温抵抗体、第3測温抵抗体の各々を構成する配線パターンは、Ptから構成されていることを特徴とする熱式流量計。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱式流量計において、
前記発熱抵抗体の温度と前記第3測温抵抗体により測定された温度との差が設定されている設定温度差となるように前記発熱抵抗体を制御するように構成された制御部と、
前記発熱抵抗体が前記制御部に制御されている状態で、前記第1測温抵抗体で測定された前記流体の温度と前記第2測温抵抗体で測定された前記流体の温度との温度差から前記流体の流量を算出するように構成された流量算出部と
を備えることを特徴とする熱式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサとする測温抵抗体およびヒータとする発熱抵抗体を備えるセンサチップを、配管内壁に設けている熱式流量計がある(特許文献1)。これら抵抗体の配線パターン(抵抗体パターン)は、いわゆるミアンダ配線とされ、所定の配線長を得るために平面視で折り返して形成されている。抵抗体パターンは、抵抗体パターンに接続する配線の抵抗の影響を低減し、分解能を上げるためにも、大きい抵抗値であることが望ましい。
【0003】
抵抗値を大きくするためには、例えば、折り返しの数を増やして配線をより長くすることが考えられる。ただし、折り返しの数を増やすと、抵抗体パターンの占有する領域を流れの方向に増やすことになる。
【0004】
一方、測定対象が液体の場合、気体と比較して流体が奪う熱が大きいため、抵抗体パターンの流れの方向に占有する面積を極力小さくして、局所的な温度を測定することが必要となる。また、流れている液体には、放物線の速度分布が形成されるため、この分布の影響を受けないためにも局所的に測定を実施する必要があり、センサチップの面積を小さくすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-102023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、抵抗体パターンが占有する面積を小さくしつつ、抵抗値を上げるには、抵抗体パターンの線幅を細くし、かつ薄くすることが考えられるが、製作上の限界がある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、熱式流量計の配管内壁に設けられる測温抵抗体、発熱抵抗体の配線パターンの流れの方向に占有する面積を、配線パターンの線幅を細くすることなく小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱式流量計は、測定対象の流体が流れる主配管に接続され、主配管より小さい管径とされた測定配管と、測定配管の内壁に設けられて流体を加熱する発熱抵抗体と、発熱抵抗体の上流側で測定配管の内壁に設けられて流体の温度を測定する第1測温抵抗体と、発熱抵抗体の下流側で測定配管の内壁に設けられて流体の温度を測定する第2測温抵抗体と、発熱抵抗体の熱影響を受けない上流側の位置における流体の温度を測定する第3測温抵抗体と備え、発熱抵抗体、第1測温抵抗体、第2測温抵抗体、第3測温抵抗体の各々を構成する配線パターンは、速度分布が均一となっている範囲で測定配管の周方向に延在して形成されている。
【0009】
上記熱式流量計の一構成例において、主配管から測定配管にかけて、管径が徐々に変化している。
【0010】
上記熱式流量計の一構成例において、測定配管は、断面視矩形とされている。
【0011】
上記熱式流量計の一構成例において、発熱抵抗体、第1測温抵抗体、第2測温抵抗体、第3測温抵抗体の各々を構成する配線パターンは、Ptから構成されている。
【0012】
上記熱式流量計の一構成例において、発熱抵抗体の温度と第3測温抵抗体により測定された温度との差が設定されている設定温度差となるように発熱抵抗体を制御するように構成された制御部と、発熱抵抗体が制御部に制御されている状態で、第1測温抵抗体で測定された流体の温度と第2測温抵抗体で測定された流体の温度との温度差から流体の流量を算出するように構成された流量算出部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、主配管より小さい管径とした測定配管を設け、発熱抵抗体、第1測温抵抗体、第2測温抵抗体、第3測温抵抗体の各々を構成する配線パターンを、速度分布が均一となっている範囲で測定配管の周方向に延在して形成するので、熱式流量計の配管内壁に設けられる測温抵抗体、発熱抵抗体の配線パターンの流れの方向に占有する面積を、配線パターンの線幅を細くすることなく小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、本発明の実施の形態に係る熱式流量計の構成を示す構成図である。
図1B図1Bは、本発明の実施の形態に係る熱式流量計の一部構成を示す構成図である。
図1C図1Cは、本発明の実施の形態に係る熱式流量計の一部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る熱式流量計について図1A図1B図1Cを参照して説明する。なお、図1Cは、流れの方向に垂直な面の断面を示している。
【0016】
この熱式流量計は、まず、測定対象の流体が流れる主配管101と、主配管101に接続されて主配管101より小さい管径とされた測定配管102とを備える。測定配管102は、絞り部101aを介して主配管101に接続する。主配管101から測定配管102にかけての絞り部101aにおいては、管径が徐々に変化している(徐々に小さくなっている)。また、測定配管102は、外形を断面視矩形とすることができる。また、主配管101も、外形を断面視矩形とすることができる。また、主配管101は、外形を断面視円形とすることもできる。
【0017】
測定配管102の内壁102aには、流体を加熱する発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106が設けられている。これらは、内壁102aに固定された測定チップ110の上に形成されている。絞り部101aの直後の測定配管102に、発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106が設けられている。言い換えると、発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106が形成されている測定チップ110を配置する測定配管102の直前に絞り部101aを配置する。なお、発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106を構成する配線パターンは、例えば、Ptまたはパーマロイから構成することができる。
【0018】
第1測温抵抗体104は、発熱抵抗体103の上流側に設けられて流体の温度を測定する。第2測温抵抗体105は、発熱抵抗体103の下流側に設けられて流体の温度を測定する。第3測温抵抗体106は、発熱抵抗体103の熱影響を受けない上流側の位置における流体の温度を測定する。
【0019】
また、発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106の各々を構成する配線パターンは、速度分布が均一となっている範囲で測定配管102の周方向に延在して形成されている。
【0020】
また、この熱式流量計は、制御部107、流量算出部108を備える。制御部107は、発熱抵抗体103の温度と第3測温抵抗体106により測定された温度との差が設定されている設定温度差となるように発熱抵抗体103を制御する。流量算出部108は、発熱抵抗体103が制御部107に制御されている状態で、第1測温抵抗体104で測定された流体の温度と第2測温抵抗体105で測定された流体の温度との温度差から流体の流量を算出する。
【0021】
主配管101に絞り部101aを介して接続した測定配管102においては、特に絞り部101aの直後において、流れの方向に平行な面における断面視で、速度分布が一様な台形状となる。この速度分布が一様な台形状となっている箇所に発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106を配置し、測定配管102の周方向において、速度分布が一様となっている台形の上辺長さに沿って、これらを構成する配線パターンを延在させる。
【0022】
上述したことにより、発熱抵抗体103、第1測温抵抗体104、第2測温抵抗体105、第3測温抵抗体106の各々を構成する配線パターンの長さを延長することが可能となり、折り返しの数を増やすことなく抵抗値を上げることが可能となる。折り返しの数を増やす必要が無いので、各配線パターンが占有する領域を流れの方向に増やす必要が無いので、配線パターンの線幅を細くすること無く流れの方向に占有する面積を極力小さくすることができ、局所的な温度を測定することが可能となる。
【0023】
なお、図1Bでは、各配線パターンを1回折り返す構成としているが、これに限るものではない、各配線パターンを折り返すことの無い構成とすることができる。また、流れの方向における配線パターンが占有する領域の制限によっては、複数回折り返す構成とすることもできる。
【0024】
上述したように、本発明によれば、主配管より小さい管径とした測定配管を設け、発熱抵抗体、第1測温抵抗体、第2測温抵抗体、第3測温抵抗体の各々を構成する配線パターンを、速度分布が均一となっている範囲で測定配管の周方向に延在して形成するので、熱式流量計の配管内壁に設けられる測温抵抗体、発熱抵抗体の配線パターンの流れの方向に占有する面積を、配線パターンの線幅を細くすることなく小さくすることができるようになる。
【0025】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0026】
101…主配管、101a…絞り部、102…測定配管、102a…内壁、103…発熱抵抗体、104…第1測温抵抗体、105…第2測温抵抗体、106…第3測温抵抗体、107…制御部、108…流量算出部、110…測定チップ。
図1A
図1B
図1C