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特開2024-3377電力制御装置、電力制御方法および電力制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003377
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】電力制御装置、電力制御方法および電力制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20240105BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H02J7/34 J
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102479
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 伸介
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正嗣
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503CA11
5G503DA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】パワーコンディショナと通信を行うことなく、太陽電池とパワーコンディショナと蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御装置を提供する。
【解決手段】電力制御装置7は、太陽電池200と、パワーコンディショナ300と、蓄電池6との間の電力の伝送を制御する電力制御装置7であって、太陽電池200から出力される第1電力P1、および、パワーコンディショナ300に出力される第2電力P2の少なくともいずれかを検知する電力検知部71と、第1電力P1および第2電力P2の少なくともいずれかに基づいて、蓄電池6の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御部74と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、前記太陽電池を電力系統に連系させるパワーコンディショナと、前記太陽電池が発電する電力を蓄電する蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御装置であって、
前記太陽電池から出力される第1電力、および、前記パワーコンディショナに出力される第2電力の少なくともいずれかを検知する電力検知部と、
前記第1電力および前記第2電力の少なくともいずれかに基づいて、前記蓄電池の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御部と、
を備える、電力制御装置。
【請求項2】
前記蓄電制御部は、前記充電電力を増加させたときに前記第1電力が増加しない場合、または、前記第2電力が減少した場合、前記充電電力を減少させる、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記蓄電制御部は、前記充電電力を増加させたときに前記第1電力が増加した場合、または、前記第2電力が減少しない場合、前記充電電力をさらに増加させる、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記蓄電制御部は、前記放電電力を増加させたときに前記第1電力が減少した場合、または、前記第2電力が増加しない場合、前記放電電力を減少させる、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記蓄電制御部は、前記放電電力を増加させたときに前記第1電力が減少しない場合、または、前記第2電力が増加した場合、前記放電電力をさらに増加させる、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記蓄電制御部は、前記充電電力を減少させたときに前記第2電力が増加しない場合、前記充電電力を前記減少させる前の値に戻す、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記蓄電制御部は、前記充電電力を減少させたときに前記第2電力が増加した場合、前記充電電力をさらに減少させる、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記蓄電制御部は、前記放電電力を減少させたときに前記第1電力が増加しない場合、前記放電電力を前記減少させる前の値に戻す、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記蓄電制御部は、前記放電電力を減少させたときに前記第1電力が増加した場合、前記放電電力をさらに減少させる、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項10】
前記蓄電制御部は、前記第1電力および前記第2電力が減少した場合、または、前記太陽電池の最大出力可能電力が増加した場合、前記放電電力を減少させる制御、および、前記充電電力を増加させる制御の少なくともいずれかを行う、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項11】
前記蓄電制御部は、前記太陽電池の最大出力可能電力が増加した場合、前記放電電力を減少させる制御、および、前記充電電力を増加させる制御の少なくともいずれかを行う、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の電力制御装置と、
蓄電池と、
を備える蓄電池システム。
【請求項13】
太陽電池と、前記太陽電池を電力系統に連系させるパワーコンディショナと、前記太陽電池が発電する電力を蓄電する蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御方法であって、
前記太陽電池から出力される第1電力、および、前記パワーコンディショナに出力される第2電力の少なくともいずれかを検知する電力検知ステップと、
前記第1電力および前記第2電力の少なくともいずれかに基づいて、前記蓄電池の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御ステップと、
を備える、電力制御方法。
【請求項14】
太陽電池と、前記太陽電池を電力系統に連系させるパワーコンディショナと、前記太陽電池が発電する電力を蓄電する蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御プログラムであって、
前記太陽電池から出力される第1電力、および、前記パワーコンディショナに出力される第2電力の少なくともいずれかを検知する電力検知部、および、
前記第1電力および前記第2電力の少なくともいずれかに基づいて、前記蓄電池の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御部、
としてコンピュータを動作させる電力制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池とパワーコンディショナと蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御装置、電力制御方法および電力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電技術の発展により、太陽電池が出力した電力を、パワーコンディショナを介して電力系統に供給するだけでなく、蓄電池に蓄電する蓄電池システムが普及している。また、太陽電池の普及に伴い、将来的には、太陽電池から電力系統への電力供給量を調整するため、電力会社からパワーコンディショナに出力抑制指示がなされることが想定されている。その場合、太陽電池が出力可能な電力とパワーコンディショナの出力可能な電力との差分電力を蓄電池に充電することができれば、エネルギー効率を向上させることができる。
【0003】
これに対し、特許文献1には、太陽電池の出力電力がパワーコンディショナの出力電力よりも大きい場合に、それらの差分電力を蓄電池へ充電するように制御する電力制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6895145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された電力制御装置は、パワーコンディショナと通信を行い、パワーコンディショナの出力電力を取得することで、蓄電池への充電制御を行っている。そのため、当該電力制御装置を備える従来の蓄電池システムを既設の太陽光発電システムに導入する場合、電力制御装置の通信仕様をパワーコンディショナごとに合わせる必要がある。また、パワーコンディショナに通信機能が無い場合は、従来の蓄電池システムを導入することができない。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、パワーコンディショナと通信を行うことなく、太陽電池とパワーコンディショナと蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電力制御装置は、太陽電池と、前記太陽電池を電力系統に連系させるパワーコンディショナと、前記太陽電池が発電する電力を蓄電する蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御装置であって、前記太陽電池から出力される第1電力、および、前記パワーコンディショナに出力される第2電力の少なくともいずれかを検知する電力検知部と、前記第1電力および前記第2電力の少なくともいずれかに基づいて、前記蓄電池の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御部と、を備える。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電力制御方法は、太陽電池と、前記太陽電池を電力系統に連系させるパワーコンディショナと、前記太陽電池が発電する電力を蓄電する蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御方法であって、前記太陽電池から出力される第1電力、および、前記パワーコンディショナに出力される第2電力の少なくともいずれかを検知する電力検知ステップと、前記第1電力および前記第2電力の少なくともいずれかに基づいて、前記蓄電池の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御ステップと、を備える。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電力制御プログラムは、太陽電池と、前記太陽電池を電力系統に連系させるパワーコンディショナと、前記太陽電池が発電する電力を蓄電する蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御プログラムであって、前記太陽電池から出力される第1電力、および、前記パワーコンディショナに出力される第2電力の少なくともいずれかを検知する電力検知部、および、前記第1電力および前記第2電力の少なくともいずれかに基づいて、前記蓄電池の充電電力および放電電力の少なくともいずれかを制御する蓄電制御部、としてコンピュータを動作させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パワーコンディショナと通信を行うことなく、太陽電池とパワーコンディショナと蓄電池との間の電力の伝送を制御する電力制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】蓄電池システムのブロック図である。
図2】制御装置のブロック図である。
図3】電力制御方法の処理工程を示すフローチャートである。
図4】太陽電池、パワーコンディショナおよび蓄電池のPV特性を示すグラフである。
図5】蓄電制御部による電力制御の一例を示すグラフである。
図6】蓄電制御部による電力制御の一例を示すグラフである。
図7】蓄電制御部による電力制御の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(システム構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池システム100のブロック図である。蓄電池システム100は、太陽電池200と、太陽電池200を電力系統に連系させるパワーコンディショナ300との間に接続されている。
【0014】
蓄電池システム100は、3つの電力計2~3と、電圧計4と、DC/DCコンバータ5と、蓄電池6と、電力制御装置7と、を備えている。
【0015】
電力計1は、太陽電池200およびパワーコンディショナ300の接続ノードNと太陽電池200との間に設けられ、太陽電池200から出力される第1電力P1を計測する。なお、太陽電池200に対してパワーコンディショナ300の下流側に電力計1を設けてもよい。
【0016】
電力計2は、接続ノードNとパワーコンディショナ300との間に設けられ、パワーコンディショナ300に出力される第2電力P2を計測する。
【0017】
電力計3は、接続ノードNとDC/DCコンバータ5との間に設けられ、DC/DCコンバータ5を介して蓄電池6へ出力される充電電力、および蓄電池6からDC/DCコンバータ5を介してパワーコンディショナ300に放電される放電電力を計測する。以下、充電電力および放電電力を第3電力P3と称することもあり、その場合、第3電力P3は、充電電力で正電力となり、放電電力で負電力となる。なお、DC/DCコンバータ5と蓄電池6との間に電力計3を設けてもよい。
【0018】
電圧計4は、太陽電池200と電力計1との間に設けられ、太陽電池200の出力電圧を計測する。なお、太陽電池200、パワーコンディショナ300およびDC/DCコンバータ5を接続する配線上であれば、電圧計4を設ける位置は特に限定されない。
【0019】
電力計1~3および電圧計4は、電力制御装置7に接続されている。なお、3つの電力計1~3は必須構成ではなく、これらのいずれか1つを省略してもよい。また、電圧計4も必須構成ではない。
【0020】
DC/DCコンバータ5は、接続ノードNと蓄電池6との間に設けられており、太陽電池200からの出力電力を所定の電圧に変換して蓄電池6に充電するとともに、蓄電池6からの放電電力を所定の電圧に変換してパワーコンディショナ300に出力する。
【0021】
電力制御装置7は、太陽電池200とパワーコンディショナ300と蓄電池6との間の電力の伝送を制御するコンピュータである。本実施形態では、電力制御装置7は、DC/DCコンバータ5を介して上記制御を行う。また、電力制御装置7は、先行技術とは異なり、パワーコンディショナ300と通信は行わない。
【0022】
なお、電力制御装置7をDC/DCコンバータ5に内蔵させてもよい。また、図1では、電力制御装置7のCC制御およびCV制御や保護素子に関わる計測系は省略されている。
【0023】
(電力制御装置の構成)
図2は、電力制御装置7のブロック図である。電力制御装置7は、ハードウェア構成として、CPUやGPUなどのプロセッサ(図示省略)、DRAMやSRAMなどの主記憶装置(図示省略)、および、HDDやSSDなどの補助記憶装置70を備えている。補助記憶装置70には、電力制御プログラムPなどの電力制御装置7を動作させるための各種プログラムの他、定格出力情報D1、定格発電容量情報D2および開放電圧情報D3が格納されている。
【0024】
定格出力情報D1は、パワーコンディショナ300の定格出力を示す情報であり、定格発電容量情報D2は、太陽電池200の定格発電容量を示す情報であり、開放電圧情報D3は、太陽電池200の開放電圧を示す情報である。これらの情報は、ユーザによって事前に設定される。
【0025】
電力制御装置7は、機能ブロックとして、電力検知部71と、電圧検知部72と、残量検知部73と、蓄電制御部74と、を備えている。これらの各部は、論理回路などによってハードウェア的に実現してもよいが、本実施形態では、電力制御装置7のプロセッサが電力制御プログラムPを主記憶装置に読み出して実行することによってソフトウェア的に実現される。電力制御プログラムPは、インターネットなどの通信ネットワークを介して電力制御装置7にダウンロードしてもよいし、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に電力制御プログラムPを記録しておき、当該記録媒体を介して電力制御装置7にインストールしてもよい。
【0026】
電力検知部71は、第1電力検知部711と、第2電力検知部712と、第3電力検知部713とを備えている。
【0027】
第1電力検知部711は、電力計1によって計測された第1電力P1を検知する。なお、電力計1が設けられていない場合、第1電力検知部711は、電力計2によって計測された第2電力P2、および電力計3によって計測された第3電力P3から第1電力P1を演算してもよい。
【0028】
第2電力検知部712は、電力計2によって計測された第2電力P2を検知する。なお、電力計2が設けられていない場合、第2電力検知部712は、電力計1によって計測された第1電力P1、および電力計3によって計測された第3電力P3から第2電力P2を演算してもよい。
【0029】
第3電力検知部713は、電力計3によって計測された第3電力P3を検知する。なお、電力計3が設けられていない場合、第3電力検知部713は、電力計2によって計測された第2電力P2、および電力計1によって計測された第1電力P1から第3電力P3を演算してもよい。
【0030】
また、第1電力検知部711、第2電力検知部712および第3電力検知部713は必須構成ではなく、電力検知部71は、第1電力検知部711および第2電力検知部712の少なくともいずれかを備えていればよい。
【0031】
電圧検知部72は、電圧計4によって計測された太陽電池200の出力電圧を検知する。
【0032】
残量検知部73は、蓄電池6の蓄電残量(state of charge:SOC)を検知する。
【0033】
蓄電制御部74は、第1電力P1、第2電力P2、第3電力P3、SOC、定格出力情報D1、定格発電容量情報D2および開放電圧情報D3などに基づいて、蓄電池6の充放電を制御する。本実施形態では、蓄電制御部74は、DC/DCコンバータ5を介してPV制御を行うことにより、蓄電池6の充電電力および放電電力を制御する。具体的には、蓄電制御部74は、充電電力を増加させたときに第1電力P1が増加しない場合、または、第2電力P2が減少した場合、充電電力を減少させ、充電電力を増加させたときに第1電力P1が増加した場合、または、第2電力P2が減少しない場合、充電電力をさらに増加させる。また、蓄電制御部74は、放電電力を増加させたときに第1電力P1が減少した場合、第2電力P2が増加しない場合、放電電力を減少させ、放電電力を増加させたときに第1電力P1が減少した場合、または、第2電力P2が増加した場合、放電電力をさらに増加させる。さらに具体的な制御内容については、図3を参照して説明する。
【0034】
(電力制御の流れ)
図3は、本実施形態に係る電力制御方法の処理工程を示すフローチャートである。主な工程は蓄電制御部74によって実行される。
【0035】
ステップS1において、DC/DCコンバータ5の運転指令がなされると、ステップS2に移行し、蓄電制御部74は、放電フラグの有無を確認する。なお、蓄電制御部74は、パワーコンディショナ300が運転しているかを判定するために、第2電力P2をモニタリングすると同時に、太陽電池200の出力電圧が一定以上あることを確認し、パワーコンディショナ300が運転していると判定した場合に、ステップS2に移行してもよい。
【0036】
放電フラグがOFFの場合(ステップS2においてYES)、ステップS3に移行し、放電フラグがONの場合(ステップS2においてNO)、ステップS14に移行する。
【0037】
ステップS3では、残量検知部73がSOCを検知する。SOCがあまり大きくない場合、具体的には、SOCが所定(例えば80%)未満である場合(ステップS3においてYES)、ステップS4に移行する。一方、SOCが十分に大きい場合、具体的には、SOCが所定以上である場合(ステップS3においてNO)、ステップS25に移行する。
【0038】
ステップS4では、蓄電制御部74が充放電タイマーを起動し、充電時間を加算する。充放電タイマーが所定時間(例えば30秒)以上である場合(ステップS5においてYES)、ステップS6に移行し、蓄電制御部74は、充電フラグを立てて、蓄電池6の充電を開始する。充放電タイマーが所定時間未満である場合(ステップS5においてNO)、ステップS2に戻る。
【0039】
なお、蓄電制御部74は、第1電力P1または第2電力P2の変化量から、パワーコンディショナ300が最大電力点付近に達している、もしくは、出力抑制がかかっており、この値がパワーコンディショナの定格出力に達していないと判定した場合に、充電フラグを立ててもよい。
【0040】
ステップS6において、太陽電池200の出力電力(第1電力P1)がパワーコンディショナ300の出力可能電力よりも小さければ、蓄電制御部74が充電を開始したとき、すなわち、充電電力を増加させたときに、第2電力P2は減少する(ステップS6においてYES)。この場合、ステップS7に移行し、蓄電制御部74は、充電電力を減少させる(すなわち、充電を中止する)。
【0041】
なお、ステップS6において、第2電力P2が減少する場合、第1電力P1は増加しないため、蓄電制御部74は、第1電力P1が増加しないことに応じて、充電電力を減少させてもよい。
【0042】
一方、太陽電池200の出力電力(第1電力P1)がパワーコンディショナ300の出力可能電力よりも大きければ、蓄電制御部74が充電電力を増加させたときに、第2電力P2は減少しない(ステップS6においてNO)。この場合、ステップS8に移行し、蓄電制御部74は、充電電力をさらに増加させる。増加幅は特に限定されないが、増加幅が小さいほど精密な制御が可能となる。そして、第2電力P2が減少するまで(ステップS6においてYES)ステップS8を繰り返す。すなわち、充電電力を徐々に増加させることで、ステップS7において、第1電力P1が太陽電池200のほぼ最大出力電力になるように、MPPT制御することができる。より具体的には、蓄電制御部74は、充電電力を徐々に増加させることで、第1電力P1が、太陽電池200のPV特性(図4)における最大出力可能電力P1maxまたはその付近になるように制御することができる。これにより、太陽電池200の最大出力電力とパワーコンディショナ300の出力可能電力との差分を蓄電池6に充電することができる。
【0043】
なお、ステップS6において、第2電力P2が減少しない場合、第1電力P1は増加するため、蓄電制御部74は、第1電力P1が増加したことに応じて、充電電力をさらに増加させてもよい。
【0044】
その後、充電タイマーが終了して、充電指令値が0になった場合(ステップS9においてNO)、ステップS10に移行して、蓄電制御部74は、放電フラグをONにする。
【0045】
その後、蓄電制御部74は、ステップS11において、第1電力P1の計測値を保存し、ステップS12において、充放電タイマーをリセットする。その後、ステップS2に戻る。なお、ハンチング動作を防止するため、充電停止状態を一定期間保持してもよい。
【0046】
前述のように、ステップS2において、放電フラグがONの場合、ステップS13に移行する。ステップS13では、残量検知部73がSOCを検知する。SOCが十分に大きい場合、具体的には、SOCが所定(例えば30%)以上である場合(ステップS13においてYES)、ステップS14に移行する。一方、SOCがあまり大きくない場合、具体的には、SOCが所定未満である場合(ステップS13においてNO)、ステップS21に移行する。
【0047】
ステップS14では、蓄電制御部74が充放電タイマーを起動し、充電時間を加算する。充放電タイマーが所定時間(例えば30秒)以上である場合(ステップS15においてYES)、ステップS16に移行し、蓄電制御部74は、放電フラグを立てて、蓄電池6の放電を開始する。充放電タイマーが所定時間未満である場合(ステップS15においてNO)、ステップS2に戻る。
【0048】
ステップS16において、太陽電池200の出力電力(第1電力P1)と放電電力との和がパワーコンディショナ300の出力可能電力よりも大きければ、蓄電制御部74が放電を開始したときに、すなわち、放電電力を増加させたときに、第2電力P2は増加しない(ステップS17においてNO)。この場合、ステップS17に移行し、蓄電制御部74は、放電電力を減少させる(すなわち、放電を中止する)。
【0049】
なお、ステップS16において、第2電力P2が増加しない場合、第1電力P1は減少するため、蓄電制御部74は、第1電力P1が減少したことに応じて、放電電力を減少させてもよい。
【0050】
一方、太陽電池200の出力電力(第1電力P1)と放電電力との和がパワーコンディショナ300の出力可能電力よりも小さければ、蓄電制御部74が放電電力を増加させたときに、第2電力P2は増加する(ステップS16においてYES)。この場合、ステップS18に移行し、蓄電制御部74は、放電電力をさらに増加させる。そして、第2電力P2が減少するまで(ステップS16においてNO)ステップS19を繰り返す。すなわち、放電電力を徐々に増加させることで、ステップS17において、パワーコンディショナ300の出力可能電力と太陽電池200の最大出力電力との差分を蓄電池6から放電することができる。
【0051】
なお、ステップS16において、第2電力P2が増加する場合、第1電力P1は減少しないため、蓄電制御部74は、第1電力P1が減少しないことに応じて、放電電力をさらに増加させてもよい。
【0052】
その後、放電タイマーが終了して、放電指令値が0になった場合(ステップS19においてNO)、ステップS20に移行して、蓄電制御部74は、放電フラグをOFFにする。その後、ステップS11に移行する。
【0053】
一方、ステップS13からステップS21に移行した場合、放電は行われない。具体的には、第2電力P2が一定以上である場合は(ステップS21においてYES)、ステップS22に移行し、蓄電制御部74は、放電フラグをOFFにする。その後、蓄電制御部74は、ステップS23において、充放電タイマーをリセットして、ステップS24において、DC/DCコンバータ5を停止させる。一方、第2電力P2が一定未満である場合は(ステップS21においてNO)、放電フラグをONにしたままステップS23に移行する。これにより、蓄電池6の稼働率を上げることができる。
【0054】
また、ステップS3からステップS25に移行した場合、充電は行われない。具体的には、第2電力P2が一定未満である場合は(ステップS25においてYES)、ステップS26に移行し、蓄電制御部74は、放電フラグをONにする。その後、蓄電制御部74は、ステップS27において、充放電タイマーをリセットして、ステップS28において、DC/DCコンバータ5を停止させる。一方、第2電力P2が一定以上である場合は(ステップS25においてNO)、放電フラグをOFFにしたままステップS27に移行する。これにより、蓄電池6の稼働率を上げることができる。
【0055】
以上のように、蓄電制御部74は、充電電力を増加させたときに第1電力P1が増加しない場合、または、第2電力P2が減少した場合(ステップS6においてYES)、充電電力を減少させ(ステップS7)、充電電力を増加させたときに第1電力P1が増加した場合、または、第2電力P2が減少しない場合(ステップS6においてNO)、充電電力をさらに増加させる(ステップS8)。また、蓄電制御部74は、放電電力を増加させたときに第1電力P1が減少した場合、または、第2電力P2が増加しない場合(ステップS16においてNO)、放電電力を減少させ(ステップS17)、放電電力を増加させたときに第1電力P1が減少した場合、または、第2電力P2が増加した場合(ステップS16においてYES)、放電電力をさらに増加させる(ステップS18)。
【0056】
(他の制御)
図5は、蓄電制御部74による電力制御の一例を示すグラフである。初期状態では、パワーコンディショナ300には出力抑制がかかっているため、第2電力P2は、出力抑制時の最大出力P2max’となっている。また、第1電力P1は第2電力P2よりも大きいため、第3電力P3は正電力、すなわち充電電力となっている。
【0057】
ここで、蓄電制御部74は、周期的に充電電力を減少させる制御を行い、充電電力を減少させたときに第2電力P2が増加しない場合、充電電力を減少させる前の値に戻す。一方、蓄電制御部74は、充電電力を減少させたときに第2電力P2が増加した場合、充電電力をさらに減少させる。
【0058】
図5に示す例では、時間t1において、蓄電制御部74は、第3電力P3を△Pだけ減少させ、所定の判定待ち時間△tの間、第2電力P2の変化を監視する。このとき、パワーコンディショナ300には出力抑制がかかっており、第2電力P2は最大出力P2max’のまま増加しないため、時間t2において、蓄電制御部74は、第3電力P3を減少させる前の値に戻す。
【0059】
その後、出力抑制が解除された場合、時間t3において、蓄電制御部74が第3電力P3を△Pだけ減少させると、第2電力P2は減少分△Pだけ増加する。そのため、時間t4において、蓄電制御部74は、第3電力P3をさらに減少させる。このときの第2電力P2が、パワーコンディショナ300の出力抑制が無い場合の最大出力P2max未満である場合、さらに、第2電力P2は増加するため、時間t5において、蓄電制御部74は、第3電力P3をさらに減少させる。このときの第2電力P2が、最大出力P2maxに達した場合、第2電力P2は増加しないため、時間t6において、蓄電制御部74は、第3電力P3を減少させる前の値に戻す。
【0060】
これにより、第1電力P1を最大出力P1maxまたはその付近に維持し、第2電力P2を最大出力P2max、P2max’またはその付近に維持しながら、充電を行うことができる。
【0061】
図6は、蓄電制御部74による電力制御の一例を示すグラフである。初期状態では、第1電力P1は最大出力P1maxであり、第2電力P2は、最大出力P2maxとなっている。また、第1電力P1は第2電力P2よりも小さいため、第3電力P3は負電力、すなわち放電電力となっている。
【0062】
ここで、蓄電制御部74は、周期的に放電電力を減少させる制御を行い、放電電力を減少させたときに第1電力P1が増加しない場合、放電電力を減少させる前の値に戻す。一方、蓄電制御部74は、放電電力を減少させたときに第1電力P1が増加した場合、放電電力をさらに減少させる。
【0063】
図6に示す例では、時間t11において、蓄電制御部74は、第3電力P3を△Pだけ増加させ(放電電力を減少させ)、所定の判定待ち時間△tの間、第1電力P1の変化を監視する。このとき、第1電力P1は最大出力P1maxであり、第1電力P1は増加しないため、時間t12において、蓄電制御部74は、第3電力P3を増加させる(放電電力を減少させる)前の値に戻す。
【0064】
その後、日射量が増加し、第1電力P1は最大出力がP1max’に増加した場合、時間t13において、蓄電制御部74が第3電力P3を△Pだけ増加させると(放電電力を△Pだけ減少させると)、第1電力P1は減少分△1だけ増加する。そのため、時間t14において、蓄電制御部74は、第3電力P3をさらに増加させる(放電電力をさらに減少させる)。このときの第1電力P1が、最大出力P1max’未満である場合、さらに、第1電力P1は増加するため、時間t15において、蓄電制御部74は、第3電力P3をさらに増加させる(放電電力をさらに減少させる)。このときの第1電力P1が、最大出力P1max’に達した場合、第1電力P1は増加しないため、時間t16において、蓄電制御部74は、第3電力P3を増加させる(放電電力を減少させる)前の値に戻す。
【0065】
これにより、第1電力P1を最大出力P1max、P1max’またはその付近に維持し、第2電力P2を最大出力P2maxまたはその付近に維持しながら、放電を行うことができる。
【0066】
図7は、蓄電制御部74による電力制御の一例を示すグラフである。初期状態では、第1電力P1は最大出力P1maxであり、第2電力P2は、出力抑制が無いときの最大出力P2maxとなっている。また、第1電力P1は第2電力P2よりも小さいため、第3電力P3は負電力、すなわち放電電力となっている。
【0067】
ここで、蓄電制御部74は、第1電力P1および第2電力P2が減少した場合、または、太陽電池200の最大出力可能電力が増加した場合、放電電力を減少させる制御、および、充電電力を増加させる制御の少なくともいずれかを行う。
【0068】
図7に示す例では、時間t21において、パワーコンディショナ300に出力抑制がかかったため、第2電力P2の最大出力がP2maxからP2max’に減少し、これに伴い、第1電力P1も同様に減少する。すなわち、第1電力P1および第2電力P2が減少したため、時間t2において、蓄電制御部74は、第3電力P3を前記減少分だけ増加させる。本例では、蓄電制御部74は、放電から充電に切り替え、放電電力を減少させるとともに、充電電力を増加させる。
【0069】
その後、日射量の減少により第1電力P1が減少したため、時間t23において、第2電力P2も同様に減少する。この場合も、上記と同様に、第1電力P1および第2電力P2が減少したため、蓄電制御部74は、時間t24において、第3電力P3を前記減少分だけ増加させる。
【0070】
その後、日射量の増加により太陽電池の最大出力可能電力が増加した場合、図4に示すPV特性により、第1電力P1が一定であっても、電圧検知部72が検知する太陽電池200の出力電圧は変化する。時間t25において、蓄電制御部74は、太陽電池200の出力電圧から、太陽電池200の最大出力可能電力P1maxが増加したと判断した場合、時間t26において、第3電力P3を増加させる。本例では、蓄電制御部74は、充電電力を増加させるが、第1電力P1が第2電力P2よりも小さい場合は、放電電力を減少させる。
【0071】
これにより、第1電力P1を最大出力P1maxまたはその付近に維持し、第2電力P2を最大出力P2max、P2max’またはその付近に維持しながら、充電または放電を行うことができる。
【0072】
(総括)
以上のように、蓄電制御部74は、第1電力P1および前記第2電力P2に基づいて、蓄電池6の充放電を制御する。これにより、蓄電制御部74は、太陽電池200の最大出力およびパワーコンディショナ300の出力電力を自律的に判断することができ、出力抑制指令の有無に関わらず、太陽電池200の出力電力を最大出力またはその付近に維持し、パワーコンディショナ300の出力電力を最大出力またはその付近に維持しながら、蓄電池6の充放電を行うことができる。さらに、電力制御装置7は、パワーコンディショナ300と通信を行う必要はないので、パワーコンディショナ300の通信機能の有無や通信仕様に関わらず、蓄電池システム100を既設の太陽光発電システムに適用することが可能となる。
【0073】
(付記事項)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、上記実施形態では、蓄電制御部74は、第1電力P1および第2電力P2に基づいて、蓄電池6の充放電を制御しているが、第1電力P1および第2電力P2のいずれかのみに基づいて、蓄電池6の充放電を制御してもよい。また、蓄電制御部74は、蓄電池6の充電電力および放電電力のいずれかのみを制御してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1~3 電力計
4 電圧計
5 DC/DCコンバータ
6 蓄電池
7 電力制御装置
70 補助記憶装置
71 電力検知部
711 第1電力検知部
712 第2電力検知部
713 第3電力検知部
72 電圧検知部
73 残量検知部
74 蓄電制御部
100 蓄電池システム
200 太陽電池
300 パワーコンディショナ
P 電力制御プログラム
P1 第1電力
P2 第2電力
P3 第3電力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7