(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033772
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電動車両用空調制御装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240306BHJP
B60H 1/03 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60H1/22 611D
B60H1/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137579
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】仲條 直樹
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA32
3L211DA50
3L211GA03
3L211GA49
(57)【要約】
【課題】電動車両の電費を向上させることができる電動車両用空調制御装置を提供すること。
【解決手段】電動車両用空調制御装置は、空調装置20の暖房回路21中に配設された水温センサ25と、PTCヒータ22と、空調操作部27と、空調ファン26と、外気温センサ28と、PTCヒータ22及び空調ファン26を制御するVCU30と、を備え、VCU30は、空調操作部27による暖房設定に応じて、ECOモードと一般運転モードとを含む暖房制御モードを選択可能であり、外気温度及び水温に応じてPTCヒータ制御のデューティ比が定められた制御マップをECOモード及び一般運転モード毎に有しており、ECOモードが選択された場合にECOモードの制御マップに応じてPTCヒータ22を制御するとともに、水温センサ25により検出された水温が所定温度未満となると空調ファン26の送風量を抑制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の空調装置を制御する電動車両用空調制御装置であって、
前記空調装置の暖房回路中に配設され、前記暖房回路を循環する伝熱媒体の温度を検出する媒体温度センサと、
前記空調装置の前記暖房回路中に配設され、前記伝熱媒体を加熱可能なPTCヒータと、
暖房に関する設定操作が可能な空調操作部と、
前記空調操作部により設定された暖房設定に応じて車室内へ送風を行う送風部と、
外気温度を検出する外気温センサと、
前記PTCヒータ及び前記送風部を制御する空調制御部と、
を備え、
前記空調制御部は、
前記空調操作部による暖房設定に応じて、少なくとも電力消費量抑制モードと一般運転モードとを含む暖房制御モードを選択可能であり、
前記外気温度及び前記伝熱媒体の温度の少なくともいずれか一方に応じてPTCヒータ制御のデューティ比が定められた制御マップとして、前記一般運転モード用の制御マップと、当該一般運転モードよりも電力消費量が抑制された電力消費量抑制モード用の制御マップとを有しており、
前記電力消費量抑制モードが選択された場合に前記電力消費量抑制モードの制御マップに応じて前記PTCヒータを制御するとともに、前記媒体温度センサにより検出された前記伝熱媒体の温度が所定温度未満となると前記送風部による送風量を抑制する、
ことを特徴とする、電動車両用空調制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動車両用空調制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の空調装置(いわゆるカーエアコン)において暖房としてPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを用いることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関のような熱源を備える自動車であれば内燃機関の冷却水を暖房に利用することができるが、近年、環境負荷低減の観点から、電動モータによって駆動する電動車両が普及してきている。電動車両の場合、電動モータや駆動用バッテリを冷却する冷却水を暖房に利用することもできるが、冷却水を循環させる回路構成が複雑化するという問題がある。電動車両における主たる熱源としてはPTCヒータが利用しやすいが、PTCヒータは駆動用バッテリを電源とするため、PTCヒータの作動時間が増えれば、駆動用バッテリの電力消費が大きくなる。
【0005】
電動車両は、駆動用バッテリの消費を抑えることが走行距離を延ばす(つまり電費を良くする)ため特に重要となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動車両の電費を向上させることができる電動車両用空調制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0008】
本適用例に係る電動車両用空調制御装置は、電動車両の空調装置を制御する電動車両用空調制御装置であって、前記空調装置の暖房回路中に配設され、前記暖房回路を循環する伝熱媒体の温度を検出する媒体温度センサと、前記空調装置の前記暖房回路中に配設され、前記伝熱媒体を加熱可能なPTCヒータと、暖房に関する設定操作が可能な空調操作部と、前記空調操作部により設定された暖房設定に応じて車室内へ送風を行う送風部と、外気温度を検出する外気温センサと、前記PTCヒータ及び前記送風部を制御する空調制御部と、を備え、前記空調制御部は、前記空調操作部による暖房設定に応じて、少なくとも電力消費量抑制モードと一般運転モードとを含む暖房制御モードを選択可能であり、前記外気温度及び伝熱媒体の温度の少なくともいずれか一方に応じてPTCヒータ制御のデューティ比が定められた制御マップを、少なくとも前記電力消費量抑制モード及び一般運転モード毎に有しており、前記電力消費量抑制モードが選択された場合に前記電力消費量抑制モードの制御マップに応じて前記PTCヒータを制御するとともに、前記媒体温度センサにより検出された前記伝熱媒体の温度が所定温度未満となると前記送風部による送風量を抑制する、ことを特徴とする。
【0009】
このように本適用例に係る電動車両用空調制御装置では、空調制御部が一般運転モードよりもPTCヒータによる電力消費を抑制した制御マップからなる電力消費量抑制モードを有し、空調操作部での暖房設定に応じて電力消費量抑制モードを実行することで、PTCヒータの消費電力を効率よく抑制することができる。また、空調制御部は、伝熱媒体温度が所定温度未満となると送風部による送風量を抑制することで、伝熱媒体温度の低下を抑え、PTCヒータの負荷を下げ、且つ送風による車内の乗員への体感温度の低下も抑えることで暖房効果も確保することができる。
【0010】
以上のことから、本適用例に係る電動車両用空調制御装置によれば、PTCヒータを効率的に制御することができ、電動車両の電費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動車両用空調制御装置を備えた電動車両の概略構成図である。
【
図2】VCUが有する暖房制御モード毎の制御マップ例(a)~(d)である。
【
図3】VCUによる暖房制御実行時のファン電圧の推移の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る電動車両用空調制御装置を適用した車両の概略構成図である。
図1に示す車両10は、例えば電動トラック等の電動車両であり、動力源として走行用モータ11(以下モータ11という)が搭載されている。モータ11の出力軸は減速装置及び差動装置から構成される動力伝達部12及び駆動軸13を介して左右の駆動輪14に接続される。また、モータ11は、インバータ15及び図示しない充放電回路等を介して駆動用バッテリ16に接続されている。駆動用バッテリ16に蓄えられた直流電力はインバータ15により交流電力に変換されてモータ11に供給され、モータ11が発生させた駆動力は駆動輪14に伝達されて車両10を走行させる。
【0014】
駆動用バッテリ16は、例えばリチウムイオン電池からなり、車両10を駆動するモータ11の他、本実施形態においては後述するPTCヒータ22などの他の電気機器にも電力供給が可能な比較的高電圧大容量の二次電池である。
【0015】
車両10は、また、駆動用バッテリ16とは別に、システム電源やVCU(車両制御ユニット:Vehicle Control Unit)、車内の各種電装品等に電力を供給するための図示しない補機バッテリも備える。補機バッテリは、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン電池からなり、駆動用バッテリ16よりも低電圧小容量の二次電池である。本実施形態において、補機バッテリは、後述する空調装置の電動ポンプ23、空調ファン26に電力を供給する。
【0016】
車両10は、車室(キャブ)内の空調を行う空調装置20を備えている。空調装置20は冷房機能及び暖房機能を有する。冷房機能については公知の構成でよく、説明を省略する。本実施形態では空調装置20における暖房機能に関する構成について説明する。
【0017】
本実施形態の空調装置20は、車両10の車室内の空気又は外気を導入し、加熱した水(温水)により暖房するいわゆる温水ヒータ方式の暖房機能を有する。
【0018】
詳しくは、空調装置20は、伝熱媒体である水が循環する暖房回路21を有している。暖房回路21には、PTCヒータ22、電動ポンプ23、ヒータコア24、水温センサ25(媒体温度センサ)が設けられている。
【0019】
PTCヒータ22は、所定の抵抗値を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)素子であり、駆動用バッテリ16から供給される電力により作動する。具体的には、PTCヒータ22は、暖房回路21を循環する水と熱交換可能に構成されており、通電されると発熱して暖房用の熱源として機能する。PTCヒータ22は、PWM(Pulse Width Modulation)回路を有し、後述するVCU30からのPWM信号のデューティ比に応じて出力が調整される。
【0020】
電動ポンプ23は、水が暖房回路21内を循環するよう、水を圧送するポンプである。
【0021】
ヒータコア24は、暖房回路21を循環する水と外部の空気とを熱交換させる熱交換器である。ヒータコア24の空気流上流側に空調ファン26が設けられている。空調ファン26は羽根を回転駆動させることでヒータコア24を介して車室内に空気を送る送風部である。
【0022】
水温センサ25は、暖房回路21を循環する水の温度(以下、水温という)を検出する温度センサである。本実施形態では、水温センサ25は暖房回路においてPTCヒータ22の下流側、ヒータコア24の上流側に設けられている。つまり、水温センサ25は、PTCヒータ22により加熱された直後の水の温度、ヒータコア24に送られる前の水の温度を検出する。
【0023】
また、車両10には、空調装置20に対する設定操作を行う空調操作部27が設けられている。空調操作部27は、例えばインストルメントパネルに設けられた温調ダイヤルであり、運転者等の乗員の操作により目標温度に相当する車室内温度等の暖房に関する設定(暖房設定)が可能である。また、空調操作部27は、冷暖房機能の作動又は非作動を操作する機能が含まれてもよい。
【0024】
さらに、車両10には、車両10外部の温度(以下、外気温という)を検出する外気温センサ28が設けられている。
【0025】
上述のPTCヒータ22、水温センサ25、空調ファン26、空調操作部27、外気温センサ28は、車両10に搭載されたVCU30と電気的に接続されている。VCU30はCPU等の演算処理装置、メモリ等の記憶装置を備えたコンピュータであり、各種装置の制御が可能である。
【0026】
VCU30は空調装置20に対する暖房制御として、空調操作部27により設定された車室内温度、水温センサ25により検出された水温、外気温センサ28により検出された外気温に応じて、PTCヒータ22及び空調ファン26を制御する。
【0027】
詳しくは、VCU30は、空調操作部27における操作に応じて、電力消費量抑制モード(以下、ECOモードという)と、一般運転モードとを含む暖房制御モードを選択可能である。ECOモードは一般運転モードよりも電力消費が抑制された暖房制御モードである。一般運転モードとして、本実施形態では、PTCヒータ出力(暖房能力)が低いLowモード、PTCヒータ出力が中程度のMidモード、PTCヒータ出力が高いHiモード、の3つの暖房制御モードが設定されている。
【0028】
VCU30は、各暖房制御モードに応じてPTCヒータ22のPWM制御のデューティ比が定められた制御マップを有している。各制御マップは、外気温及び水温に応じてデューティ比が設定されている。また、各制御マップは空調操作部27により設定される車室内温度に応じて設定されている。
【0029】
図2(a)~(d)には各暖房制御モードの制御マップ例が示されている。
図2(a)~(d)に示す制御マップは、空調操作部27により設定されている車室内温度の制御マップであり、横軸を外気温、縦軸を水温とし、それぞれ所定の温度範囲ごとにデューティ比が設定されている。本実施形態では設定されるデューティ比を100%、高デューティ比(例えば90~60%内の所定値)、中デューティ比(例えば60~30%内の所定値)、低デューティ比(10~30%内の所定値)、0%(PTCヒータ非作動)の5段階で設定している。
【0030】
いずれの制御マップも全体としては外気温が高くなるほど、及び、水温が高くなるほど、デューティ比が低くなる傾向に設定されているが、ECOモード用の制御マップは一般運転モード(Lowモード、Midモード、Hiモード)用の制御マップに比べて、電力消費量を抑えるために全般的に一般運転モードよりも低いデューティ比に設定されている。
【0031】
具体的には、
図2(a)にECOモード用の制御マップが示されている。同図に示すようにECOモードでは、いずれの温度範囲にもデューティ比100%は設定されていない。ECOモードでは高デューティ比が設定されているのは外気温が-20℃未満、水温が10℃未満の範囲のみである。ECOモードでは外気温が20℃以上、又は外気温が-10℃以上20℃未満且つ水温が20℃以上である範囲ではデューティ比0%に設定されている。
【0032】
図2(b)にLowモード用の制御マップ、
図2(c)にMidモード用の制御マップ、
図2(d)にHiモード用の制御マップがそれぞれ示されている。これらの制御マップは、LowモードからHiモードに向かうにつれて、各温度範囲において設定されるデューティ比が同じ又はより高いデューティ比に設定されている。
【0033】
VCU30は、空調操作部27により設定された車室温度に応じて暖房制御モードを選択する。例えば、設定された車室温度が第1温度範囲(例えば20℃以上23℃未満)である場合はECOモード、第1温度範囲より高い第2温度範囲(例えば23℃以上26℃未満)である場合はLowモード、第2温度範囲より高い第3温度範囲(例えば26℃以上30℃未満)である場合はMidモード、第3温度範囲より高い第4温度範囲(例えば30℃以上である場合)はHiモードを選択する。
【0034】
また、VCU30は、水温センサ25により検出される水温Twに応じて空調ファン26の送風量制御を行う。詳しくは、VCU30は、空調ファン26の出力電圧(以下ファン電圧Vfという)を調整することで送風量を制御する。つまり、ファン電圧Vfを上げると羽根の回転数が増加して送風量が増え、ファン電圧Vfを下げると羽根の回転数が低下して送風量が下がる。
【0035】
具体的な送風量制御として、VCU30は、水温Twが第1所定温度Tw1未満(例えば40℃)ではファン電圧Vfを第1ファン電圧Vf1(例えば4V)とし、水温Twが第1所定温度Tw1以上となると第1増加率ΔVi1(例えば0.03V/秒)でファン電圧Vfを増加させ、水温Twが第2所定温度Tw2(例えば60℃)以上となると第1増加率ΔVi1よりも高い第2増加率ΔVi2(例えば0.20V/秒)でファン電圧Vfを増加させる。なお、ファン電圧Vfには上限電圧Vmax(例えば12V)が設定されている。
【0036】
さらに、VCU30は、水温Twが第1所定温度Tw1を超えた後、例えばヒータコア24での空気との熱交換が促進され、水温Twがファン抑制温度Tdown(例えば40℃)にまで低下した場合(Tw<Tdown)には、ファン電圧Vfを抑制するファン出力抑制制御を実行する。ファン出力抑制制御は、具体的には、第2増加率ΔVi2の絶対値よりも大きな所定の低下率ΔVdown(例えば-0.25V/秒)でファン電圧Vfを所定のファン抑制出力Vdown(例えば4V)まで低下させる。
【0037】
このようにしてVCU30は、ECOモードを含む暖房制御モードごとにPTCヒータ22のデューティ比を定めた制御マップに基づきPTCヒータ22を制御するとともに、水温Twに応じた空調ファン26の送風量制御を行う。
【0038】
図3には本実施形態のVCU30による暖房制御実行時のファン電圧の推移の一例を示すタイムチャートが示されており、以下同図に基づき本実施形態の電動車両用空調制御装置の作用及び効果について説明する。
【0039】
まず
図3では、空調操作部27により車室内温度が第1温度範囲内に設定されており、VCU30はECOモードの制御マップに応じてPTCヒータ22を制御する。
【0040】
そして、同図に示すt0時点からVCU30による暖房制御が開始される。このときVCU30は空調ファン26のファン電圧Vfを第1ファン電圧Vf1に制御する。
【0041】
t1時点にて水温センサ25により検出される水温Twが第1所定温度Tw1に達すると、VCU30は空調ファン26のファン電圧Vfを第1ファン電圧Vf1から第1増加率ΔVi1で増加させ、送風量を増加させていく。
【0042】
t2時点にて水温Twが第2所定温度Tw2にまで十分に加熱されると、VCU30は、空調ファン26のファン電圧Vfの増加率を第1増加率ΔVi1から第2増加率ΔVi2に増加させ、さらに送風量を増加させていく。
【0043】
一方、例えば送風量を上げたことで水温Twが低下し、t3時点にて水温Twがファン抑制温度Tdownにまで低下すると、VCU30は、所定のファン抑制率ΔVdwonで空調ファン26のファン電圧Vfを低下させ、送風量を抑制する。
【0044】
そして、t4時点にて空調ファン26のファン電圧Vfがファン抑制出力Vdown(本実施形態では第1ファン電圧Vf1と同じ)まで低下すると、ファン電圧Vfを当該所定のファン抑制出力Vdownで維持する。これ以降は、例えば再び水温Twが第1所定温度Tw1まで上昇したら第1増加率ΔVi1でファン電圧Vfを上昇させてもよい。
【0045】
このように暖房制御を行うVCU30は、一般運転モードよりもPTCヒータ22による電力消費を抑制した制御マップからなるECOモードを有し、空調操作部27で設定された車室温度に応じてECOモードを実行することで、PTCヒータ22の消費電力を効率よく抑制することができる。また、VCU30は、暖房回路21を循環する水の温度(水温Tw)がファン抑制温度Tdown未満となると空調ファン26の送風量を抑制する。これにより、ヒータコア24での水温の低下を抑えてPTCヒータ22の負荷を下げ、且つ送風による車内の乗員への体感温度の低下も抑えることで暖房効果も確保することができる。
【0046】
以上のことから、本実施形態に係る電動車両用空調制御装置によれば、PTCヒータ22を効率的に制御することができ、電動車両の電費を向上させることができる。
【0047】
以上で本発明に係る電動車両用空調制御装置の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0048】
上記実施形態では、空調操作部27を温調ダイヤルとしたが、空調操作部の具体的な構成はこれに限られるものではない。例えばレバー式やスイッチ式の温度設定手段であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、VCU30は空調操作部27により設定された車室温度に応じて暖房制御モードを選択しているが、暖房制御モードの選択はこれに限られるものではない。例えば、ECOモードについては、専用のスイッチ(暖房ECOモードスイッチ)を設け、当該スイッチがON状態であるときには空調操作部により設定される車室温度に関わらずECOモードを選択するようにしてもよい。なお、暖房ECOモードスイッチは、車両の駆動用モータに対する運転ECOモードと兼用であってもよく、運転ECOモード時は暖房ECOモードを実行するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、各暖房制御モードにおける制御マップは、外気温且つ水温に応じてPTCヒータのデューティ比が設定されているが、外気温及び水温のいずれか一方のみに応じてPTCヒータのデューティ比を設定してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、
図3を用いてECOモード時における空調ファン26の送風量制御を説明したが、一般運転モード時においても同様の空調ファン26の送風量制御を行ってもよいし、空調ファン26の送風量制御のうちファン出力抑制制御については特にECOモード時に限定して行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 :車両
11 :モータ
12 :動力伝達部
13 :駆動軸
14 :駆動輪
15 :インバータ
16 :駆動用バッテリ
20 :空調装置
21 :暖房回路
22 :PTCヒータ
23 :電動ポンプ
24 :ヒータコア
25 :水温センサ(伝熱媒体温度センサ)
26 :空調ファン
27 :空調操作部
28 :外気温センサ
30 :VCU(空調制御部)