(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033774
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137583
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】時崎 哲平
(72)【発明者】
【氏名】小林 幹明
(72)【発明者】
【氏名】田村 敏
(72)【発明者】
【氏名】早田 聖基
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】川島 義親
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE31
(57)【要約】
【課題】レイアウト性を向上させることが可能なブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ワイパモータ10を形成する回転軸SH1および出力軸SH2を互いに平行となるように配置して、モータハウジング21およびギヤハウジング71を回転軸SH1(出力軸SH2)の軸方向にそれぞれ並べられるようにした。これにより、ワイパモータ10の外観を、回転軸SH1と出力軸SH2とを結ぶ線分を中心として線対称形状にできる。したがって、回転軸SH1と出力軸SH2とを結ぶ線分を中心として、その左右側で取り付けの方向性をなくすことが可能となる。よって、ワイパモータ10のレイアウト性を向上させることが可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部およびギヤ部を備えたブラシレスモータであって、
前記モータ部は、
先端側に第1ギヤが設けられた回転軸と、
底壁および側壁を有し、前記底壁が前記回転軸の基端側に固定されたロータと、
前記側壁に固定され、前記ロータの周方向に並べられた複数のマグネットと、
前記ロータの半径方向において、前記回転軸と前記マグネットとの間に設けられ、コイルが巻装されたステータと、
前記回転軸を回転自在に支持するとともに、前記ロータおよび前記ステータを収容するモータハウジングと、
を備え、
前記ギヤ部は、
前記第1ギヤに噛み合わされる第2ギヤと、
先端側に出力部が設けられ、基端側が前記第2ギヤに固定され、かつ前記回転軸に対して平行となった出力軸と、
前記出力軸を回転自在に支持するとともに、前記第2ギヤを収容するギヤハウジングと、
を備えている、
ブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ロータは、その軸方向における前記底壁が設けられる側とは反対側に、前記ギヤハウジングに向けて開口したロータ開口部を備えている、
ブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、
前記モータハウジングは、前記ギヤハウジングに向けて開口したモータ開口部を有し、
前記モータ開口部の少なくとも一部が、前記ステータを保持するステータブラケットで覆われており、
前記ステータブラケットに、前記回転軸の軸方向において前記マグネットと対向する磁気センサが設けられている、
ブラシレスモータ。
【請求項4】
前記ステータブラケットは、前記モータハウジングおよび前記ギヤハウジングにより挟持されている、
請求項3に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記第1ギヤは、螺旋状に連なった1つの歯を有するピニオンギヤであり、
前記第2ギヤは、前記歯が噛み合わされる斜歯を有するヘリカルギヤである、
請求項1に記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ部およびギヤ部を備えたブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されるワイパ装置やパワーウィンドウ装置等の駆動源には、小型でありながら大きなトルクを出力可能な減速機構付きのブラシレスモータが採用されている。このような車載用のブラシレスモータが、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたブラシレスモータは、ウォーム減速機を備えた減速機構付きモータであり、回転軸にウォーム部が一体に設けられ、当該ウォーム部に噛み合わされるウォームホイールに、回転軸に対して直交する出力軸が固定されている。このように、特許文献1に記載されたブラシレスモータでは、ウォーム減速機を採用することで、回転軸および出力軸が互いに直交している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術では、回転軸および出力軸が互いに直交するため、ブラシレスモータの外観が、減速部の側方にモータ部が大きく張り出した形状となる。したがって、車両へのレイアウト性が低いという問題があった。具体的には、例えば、当該ブラシレスモータをワイパモータとして使用する場合には、右ハンドル車および左ハンドル車で、それぞれ左右対称形状のワイパモータが必要となっていた。
【0006】
本発明の目的は、レイアウト性を向上させることが可能なブラシレスモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、モータ部およびギヤ部を備えたブラシレスモータであって、前記モータ部は、先端側に第1ギヤが設けられた回転軸と、底壁および側壁を有し、前記底壁が前記回転軸の基端側に固定されたロータと、前記側壁に固定され、前記ロータの周方向に並べられた複数のマグネットと、前記ロータの半径方向において、前記回転軸と前記マグネットとの間に設けられ、コイルが巻装されたステータと、前記回転軸を回転自在に支持するとともに、前記ロータおよび前記ステータを収容するモータハウジングと、を備え、前記ギヤ部は、前記第1ギヤに噛み合わされる第2ギヤと、先端側に出力部が設けられ、基端側が前記第2ギヤに固定され、かつ前記回転軸に対して平行となった出力軸と、前記出力軸を回転自在に支持するとともに、前記第2ギヤを収容するギヤハウジングと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転軸および出力軸が互いに平行であるため、モータハウジングおよびギヤハウジングを回転軸(出力軸)の軸方向に並べることが可能となる。これにより、ブラシレスモータの外観を、回転軸と出力軸とを結ぶ線分を中心として線対称形状にできる。したがって、回転軸と出力軸とを結ぶ線分を中心として、その左右側で取り付けの方向性をなくすことができる。よって、レイアウト性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ワイパモータをギヤ部側から見た斜視図である。
【
図2】ワイパモータをモータ部側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1はワイパモータをギヤ部側から見た斜視図を、
図2はワイパモータをモータ部側から見た斜視図を、
図3は
図1のA矢視図(ブラケット省略)を、
図4は
図3のB-B線に沿う断面図を、
図5は
図4の減速機構のみを示す断面図を、
図6はモータ部の内側を示す分解斜視図を、
図7はギヤ部の内側を示す分解斜視図をそれぞれ示している。
【0012】
[ワイパモータの概要]
図1ないし
図4に示されるワイパモータ10は、自動車等の車両の前方に搭載されるワイパ装置(図示せず)の駆動源である。ワイパモータ10は、本発明におけるブラシレスモータに相当し、車両のフロントガラス(図示せず)の近傍に搭載される。ワイパモータ10は、車室内に設けられたワイパスイッチ(図示せず)の操作により作動し、これにより、フロントガラス上に揺動自在に設けられたワイパ部材(図示せず)が往復払拭動作を行う。
【0013】
具体的には、ワイパモータ10は、運転席側および助手席側にそれぞれ設けられたワイパ部材を、フロントガラス上の下反転位置と上反転位置との間の払拭範囲(図示せず)で往復移動させる。これにより、それぞれのワイパ部材がフロントガラス上に付着した雨水等を払拭して、車両前方の視界が確保される。
【0014】
ワイパモータ10は、モータ部20およびギヤ部70を備えている。これらのモータ部20およびギヤ部70は、互いに合計5つの第1固定ねじS1(
図2参照)により強固に固定されている。
【0015】
また、
図3に示されるように、ワイパモータ10を回転軸SH1および出力軸SH2の軸方向から見たときに、これらの回転軸SH1および出力軸SH2を結んだ線分CTを中心として、ワイパモータ10は、図中左右側で線対称形状となっている。これにより、線分CTを中心にその左右側で取り付けの方向性をなくして、ワイパモータ10を、右ハンドル車の運転席側および左ハンドル車の運転席側のそれぞれに容易に設置可能としている。
【0016】
[モータ部]
図2,
図4ないし
図6に示されるように、モータ部20は、溶融したアルミ材料等を射出成形することで、段付きの略皿状に形成されたモータハウジング21を備えている。モータハウジング21は、モータ収容部22およびベース装着部23を備えており、モータ収容部22の深さの方が、ベース装着部23の深さよりも深くなっている。具体的には、モータ収容部22の深さ寸法は、ベース装着部23の深さ寸法の略5倍の大きさとなっている。
【0017】
モータ収容部22は、略円盤状に形成された第1底壁22aと、当該第1底壁22aの外縁部から回転軸SH1の軸方向に延出された第1側壁22bと、を有している。また、第1底壁22aの中央部分には、モータ収容部22の外側(
図4の下側)に突出された小径段部22cが一体に設けられている。そして、小径段部22cの径方向内側には、回転軸SH1の基端側(
図4の下側)を回転自在に支持する第1軸受B1が装着されている。なお、第1軸受B1は、小径段部22cに装着された抜け止め部材24により抜け止めされている。
【0018】
さらに、第1側壁22bの軸方向における第1底壁22aが設けられる側とは反対側(
図4の上側)には、第1側壁22bの径方向外側に突出された合計3つの第1フランジ22dが一体に設けられている。これらの第1フランジ22dには、モータハウジング21を、ギヤハウジング71に固定するための第1固定ねじS1(合計5つのうちの3つ)が、それぞれ挿通されている。
【0019】
また、ベース装着部23は、略三日月状に形成された第2底壁23aと、当該第2底壁23aの外縁部から回転軸SH1の軸方向に延出された第2側壁23bと、を備えている。そして、ベース装着部23の内側には、第2センサ基板SB2を保持するベース部材60が装着されている。具体的には、ベース装着部23の第2底壁23aおよび第2側壁23bは、それぞれベース部材60をガタつかないように保持している。
【0020】
さらに、第2側壁23bの軸方向における第2底壁23aが設けられる側とは反対側(
図4の上側)には、第2側壁23bの径方向外側に突出された合計2つの第2フランジ23cが一体に設けられている。これらの第2フランジ23cには、モータハウジング21を、ギヤハウジング71に固定するための第1固定ねじS1(合計5つのうちの2つ)が、それぞれ挿通されている。
【0021】
ここで、モータハウジング21には、ギヤハウジング71に向けて開口した第1開口部25が設けられている。この第1開口部25は、本発明におけるモータ開口部に相当し、ギヤハウジング71の第2開口部76と対向している。そして、これらの第1開口部25および第2開口部76を突き合せた状態で、モータハウジング21は、ギヤハウジング71に対して、合計5つの第1固定ねじS1により、互いに強固に固定されている。また、第1開口部25および第2開口部76を突き合せた状態において、モータハウジング21およびギヤハウジング71は、回転軸SH1(出力軸SH2)の軸方向にそれぞれ並んでいる。
【0022】
さらに、
図6に示されるように、回転軸SH1の軸方向視において、モータ収容部22およびベース装着部23は、それぞれの一部が互いに重ねられている。これにより、モータハウジング21は、回転軸SH1の軸方向視において、略達磨形状となっている。
【0023】
図4および
図6に示されるように、モータ収容部22の内部には、モータ部20を形成するブラシレスモータ30が収容されている。ブラシレスモータ30は、ロータユニット40およびステータユニット50を備えている。
【0024】
[ロータユニット]
ロータユニット40は、丸鋼棒からなる回転軸SH1と、略皿状に形成されたロータ本体41と、を有している。回転軸SH1の基端側は第1軸受B1により回転自在に支持されており、回転軸SH1の先端側にはピニオンギヤ42が一体に設けられている。ここで、ピニオンギヤ42は、本発明における第1ギヤに相当し、例えば、ナーリング加工等により螺旋状に形成されている。
【0025】
また、ロータ本体41は、本発明におけるロータに相当し、回転軸SH1を回転させるものである。ロータ本体41は、鋼板(磁性体)をプレス加工等することで、断面が略U字形状に形成されている。ロータ本体41は、略円盤状に形成されたロータ底壁41aと、当該ロータ底壁41aの外縁部から回転軸SH1の軸方向に延出された筒状のロータ側壁41bと、を備えている。ここで、ロータ底壁41aは本発明における底壁に相当し、ロータ側壁41bは本発明における側壁に相当する。
【0026】
さらに、ロータ底壁41aの中心部分(回転中心)には、回転軸SH1の軸方向に延出された筒状の小径ボス部41cが一体に設けられている。そして、小径ボス部41cには、回転軸SH1の基端側が圧入により強固に固定されている。これにより、ロータ底壁41aに回転軸SH1の基端側が固定され、回転軸SH1はロータ本体41とともに回転される。
【0027】
また、ロータ側壁41bの径方向内側には、略瓦状(略円弧形状)に形成された複数のマグネットMGが固定されている。これらのマグネットMGは、ロータ本体41の周方向に等間隔で並べられ、かつロータ側壁41bに対して、エポキシ樹脂系の接着剤により強固に固定されている。したがって、ロータユニット40の回転によって、マグネットMGがロータ本体41から剥がれ落ちるようなことはない。
【0028】
ここで、ロータ本体41は、その軸方向におけるロータ底壁41aが設けられる側とは反対側に、ギヤハウジング71に向けて開口したロータ開口部41dを備えている。そして、当該ロータ開口部41dからロータ側壁41b(マグネットMG)の径方向内側に対して、ステータユニット50のステータコア51が入り込んでいる。
【0029】
[ステータユニット]
ステータユニット50は、略筒状に形成されたステータコア51を備えている。ステータコア51は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成され、略筒状のコア本体51aと、当該コア本体51aの径方向外側に放射状に突出された複数のティース51bと、を備えている。そして、それぞれのティース51bには、プラスチック等の絶縁体からなるインシュレータ52を介して、U相,V相,W相(三相)に対応したコイルCLが、それぞれ集中巻により所定の巻き数で巻装されている。なお、ステータコア51は、本発明におけるステータに相当する。
【0030】
ここで、三相のコイルCLのそれぞれには、車載コントローラ(図示せず)から所定のタイミングで交互に駆動電流が供給される。これにより、ステータコア51の径方向外側に配置されたロータユニット40が、所定の回転方向に所定の駆動トルクで回転される。
【0031】
このように、本実施の形態におけるワイパモータ10は、アウターローター型のブラシレスモータを採用している。したがって、同じ体格(大きさ)のインナーローター型のワイパモータに比して、本実施の形態におけるアウターローター型のワイパモータ10の方が、マグネットMGを大型化することが可能である。よって、アウターローター型のワイパモータ10においては、小型化かつ高出力化を実現することができる。
【0032】
その一方で、別の観点からみると、従前のワイパモータと同等の出力が得られれば良いという場合には、比較的大型で安価なフェライトマグネット等を、マグネットの選択肢にすることができる。したがって、アウターローター型のワイパモータ10においては、低コスト化が可能という面でも有利である。
【0033】
さらには、ワイパモータ10をアウターローター型とすることで、ステータコア51の形状を、複数のティース51bを径方向外側に放射状に突出させた形状にできる。よって、それぞれのティース51bにコイルCLを巻装する際に、汎用の(一般的な)フライヤ巻線機、例えば、ブラシ付きモータ(基本構造)に用いられるフライヤ巻線機を用いて巻装することが可能となり、製造の面(組み立て易さの面)においても有利である。
【0034】
[ステータホルダ]
図4および
図6に示されるように、ステータコア51は、ステータホルダ53によって保持されている。ステータホルダ53は、本発明におけるステータブラケットに相当する。ステータホルダ53は、溶融したアルミ材料等を射出成形することで略半円の皿状に形成され、ステータコア51をロータ本体41に対して、規定の位置に精度良く位置決めする機能を有する。
【0035】
ステータホルダ53は、モータハウジング21を形成する第1開口部25の一部を覆っている。そして、ステータホルダ53は、モータハウジング21側に第1面SF1を備えており、ギヤハウジング71側に第2面SF2を備えている。
【0036】
ステータホルダ53の略中央部で、かつ第1面SF1側には、軸受保持部54が一体に設けられている。軸受保持部54は、第2軸受B2を保持しており、当該第2軸受B2は、回転軸SH1の軸方向中央部を回転自在に支持している。なお、第2軸受B2は、軸受保持部54および軸受固定部材55により挟持されている。軸受固定部材55は、合計3つの第2固定ねじS2(
図4および
図6参照)により、軸受保持部54に対して強固に固定されている。なお、軸受固定部材55においても、アルミニウム製となっている。
【0037】
また、ステータホルダ53の第1面SF1側には、ステータコア51が固定されている。具体的には、ステータコア51のコア本体51aが、合計3つの第3固定ねじS3(
図4および
図6参照)により、ステータホルダ53の第1面SF1側に固定されている。そして、回転軸SH1は、コア本体51aの径方向内側に、非接触の状態で回転自在に配置されている。このように、ステータコア51は、ロータ本体41の半径方向において、回転軸SH1とマグネットMGとの間に設けられている。
【0038】
さらに、ステータホルダ53の第1面SF1側で、かつ軸受保持部54の径方向外側の部分には、第1センサ基板固定部56が一体に設けられている。第1センサ基板固定部56は、回転軸SH1の軸方向に窪むようにして第1面SF1に設けられ、当該第1センサ基板固定部56には、第1センサ基板SB1が設けられている。具体的には、第1センサ基板SB1は、一対の第4固定ねじS4(
図6参照)により、第1センサ基板固定部56に固定されている。
【0039】
ここで、第1センサ基板SB1には、合計3つのホールセンサHS(
図4では1つのみ示す)が実装されている。これらのホールセンサHSは、本発明における磁気センサに相当し、それぞれU相,V相,W相に対応している。このように、ステータホルダ53には、3つのホールセンサHSが設けられており、これらのホールセンサHSは、それぞれ回転軸SH1の軸方向において、ロータ側壁41bに固定されたマグネットMGと対向している。
【0040】
これにより、車載コントローラは、それぞれのホールセンサHSからの検出信号(矩形波信号)に基づいて、回転軸SH1の回転状態(回転速度や回転方向等)を把握し、かつ回転軸SH1の回転状態を精度良く制御する。このように、本実施の形態におけるワイパモータ10では、回転軸SH1の回転状態を検出するために、ロータ本体41に固定されたマグネットMGを利用している。したがって、従前のように回転軸の回転状態を検出するための専用のセンサマグネットが不要となる。よって、ワイパモータ10の部品点数を削減しつつ、より小型化および軽量化が図られている。
【0041】
また、
図6に示されるように、ステータホルダ53の第2面SF2側には、ギヤ部70を形成するヘリカルギヤ78の第2側面78f(
図7参照)を摺動自在に支持する一対の円弧状支持突起57が一体に設けられている。これにより、ヘリカルギヤ78の傾斜が抑えられて、ワイパモータ10をスムーズに作動させることができる。よって、ワイパモータ10の静粛性が向上する。
【0042】
さらに、ステータホルダ53の第2面SF2側には、回転軸SH1を囲うようにして、円弧状係合突起58が一体に設けられている。この円弧状係合突起58は、ギヤハウジング71のステータホルダ位置決め凹部73d(
図7参照)に嵌合するようになっている。これにより、ステータホルダ53は、ギヤハウジング71に対しても、正規の位置に精度良く位置決めされる。
【0043】
ここで、
図6に示されるように、ステータホルダ53の外縁部分には、合計3つのねじ挿通穴53aが設けられている。これらのねじ挿通穴53aには、モータハウジング21を、ギヤハウジング71に固定するための第1固定ねじS1(合計5つのうちの3つ)が、それぞれ挿通されている。
【0044】
そして、ステータホルダ53のねじ挿通穴53aが設けられた部分が、モータハウジング21の第1フランジ22dと、ギヤハウジング71の第4フランジ73cとの間に挟持されている。つまり、ステータホルダ53は、モータハウジング21およびギヤハウジング71により挟持されている。また、ステータホルダ53の略中央部には、ピニオンギヤ42が非接触の状態で挿通されるピニオン挿通孔53bが設けられている。
【0045】
[ベース部材]
図4および
図6に示されるように、ベース装着部23の内側には、プラスチック等の樹脂材料により略三日月状に形成されたベース部材60が装着されている。ベース部材60の略中央部で、かつギヤ部70側には、略長方形の壁部により区画された第2センサ基板固定部61が一体に設けられている。第2センサ基板固定部61の内側には、第2センサ基板SB2が装着されており、当該第2センサ基板SB2は、出力軸SH2の軸方向においてヘリカルギヤ78と対向している。
【0046】
ここで、第2センサ基板SB2には、単一のMRセンサMSが実装されており、当該MRセンサMSは、出力軸SH2の軸方向においてヘリカルギヤ78の回転中心に固定されたセンサマグネットSMと対向している。これにより、車載コントローラは、MRセンサMSからの検出信号(正弦波信号)に基づいて、出力軸SH2の回転状態(回転位置等)を把握し、ワイパ部材のフロントガラスに対する払拭位置を精度良く制御する。
【0047】
なお、ステータコア51に巻装された三相のコイルCLのそれぞれや、第1センサ基板SB1および第2センサ基板SB2には、コネクタ接続部(図示せず)を介して車両側の外部コネクタ(図示せず)が電気的に接続可能となっている。これにより、車載コントローラは、第1,第2センサ基板SB1,SB2からの検出信号に応じて、モータ部20を精度良く駆動することが可能となっている。
【0048】
[ギヤ部]
図1,
図3,
図4および
図7に示されるように、ギヤ部70は、溶融したアルミ材料等を射出成形することで、段付きの略皿状に形成されたギヤハウジング71を備えている。ギヤハウジング71は、ヘリカルギヤ収容部72およびステータホルダ被覆部73を備えており、ヘリカルギヤ収容部72の深さの方が、ステータホルダ被覆部73の深さよりも深くなっている。具体的には、ヘリカルギヤ収容部72の深さ寸法は、ステータホルダ被覆部73の深さ寸法の略7倍の大きさとなっている。
【0049】
ヘリカルギヤ収容部72は、ヘリカルギヤ78を回転自在に収容しており、略円盤状に形成された第3底壁72aと、当該第3底壁72aの外縁部から出力軸SH2の軸方向に延出された第3側壁72bと、を有している。また、第3底壁72aの中央部分には、ヘリカルギヤ収容部72の外側(
図4の上側)に突出された大径ボス部72cが一体に設けられている。そして、大径ボス部72cの径方向内側には、出力軸SH2を回転自在に支持する筒状の第3軸受B3が装着されている。これにより、出力軸SH2は、ギヤハウジング71を形成する大径ボス部72cに対して、ガタつくことなくスムーズに回転自在に支持される。
【0050】
また、大径ボス部72cの径方向内側で、かつ大径ボス部72cの先端側(
図4の上側)には、ゴム等の弾性材料からなるOリング74が装着されている。これにより、出力軸SH2と第3軸受B3との間に、雨水や埃等が進入することが阻止される。
【0051】
さらに、ギヤハウジング71の外側の部分で、かつ大径ボス部72cの径方向外側には、略三角形に形成された複数の補強リブ72dが一体に設けられている。これらの補強リブ72dは、大径ボス部72cの第3底壁72aに対する固定強度を高めるものであり、大径ボス部72cの周方向に等間隔(45度間隔)となるように、8個配置されている。
【0052】
ここで、出力軸SH2の軸方向中央部には、止め輪75が固定されており、当該止め輪75は、大径ボス部72cの先端部分に引っ掛けられている。これにより、ヘリカルギヤ78と止め輪75との間に大径ボス部72cが挟まれて、出力軸SH2は大径ボス部72cに対して抜け止めされている。よって、出力軸SH2の大径ボス部72cに対するがガタつきが抑えられ、ひいてはワイパモータ10の静粛性が確保される。
【0053】
また、第3側壁72bの外縁部分には、当該第3側壁72bの径方向外側に突出された合計2つの第3フランジ72eが一体に設けられている。これらの第3フランジ72eには、モータハウジング21を、ギヤハウジング71に固定するための第1固定ねじS1(合計5つのうちの2つ)が、それぞれねじ結合される。
【0054】
さらに、ステータホルダ被覆部73は、略三日月状に形成された第4底壁73aと、当該第4底壁73aの外縁部から出力軸SH2の軸方向に延出された第4側壁73bと、を備えている。そして、ステータホルダ被覆部73は、モータ部20に設けられるステータホルダ53(
図6参照)を覆う部分となっている。
【0055】
また、第4底壁73aの外縁部分には、当該第4底壁73aの径方向外側に突出された合計3つの第4フランジ73cが一体に設けられている。これらの第4フランジ73cには、モータハウジング21を、ギヤハウジング71に固定するための第1固定ねじS1(合計5つのうちの3つ)が、それぞれねじ結合される。
【0056】
ここで、ギヤハウジング71には、モータハウジング21に向けて開口した第2開口部76が設けられている。この第2開口部76は、モータハウジング21の第1開口部25と対向している(
図4参照)。なお、
図7に示されるように、出力軸SH2の軸方向視において、ヘリカルギヤ収容部72およびステータホルダ被覆部73は、それぞれの一部が互いに重ねられている。これにより、ギヤハウジング71は、出力軸SH2の軸方向視において、略達磨形状となっている。
【0057】
図4に示されるように、第3底壁72aの大径ボス部72cから偏心した位置には、軸受部材収容部72fが設けられている。軸受部材収容部72fの径方向内側は、略筒状に形成されており、ギヤハウジング71の内部において、出力軸SH2の先端側(
図4の上側)に向けて窪んでいる。そして、軸受部材収容部72fの内部には、回転軸SH1の先端側を回転自在に支持する第4軸受B4が収容されている。
【0058】
このように、出力軸SH2を支持する大径ボス部72cおよび回転軸SH1を支持する第4軸受B4は、精度良く形成されたアルミ製のギヤハウジング71にそれぞれ設けられている。したがって、出力軸SH2および回転軸SH1を互いに精度良く配置して、ギヤハウジング71の内部においてピニオンギヤ42およびヘリカルギヤ78をそれぞれ精度良く噛み合わせることができる。よって、ワイパモータ10の静粛性をより向上させることが可能となっている。
【0059】
特に、ピニオンギヤ42の軸方向両側が、第2軸受B2および第4軸受B4によって回転自在に支持されている。したがって、ピニオンギヤ42の反り等の変形が抑えられる。よって、ピニオンギヤ42とヘリカルギヤ78との噛み合いが外れることが効果的に抑えられている。
【0060】
また、第3底壁72aのステータホルダ被覆部73寄りの部分には、バックアップ部材収容部72gが設けられている。バックアップ部材収容部72gは、軸受部材収容部72fの近傍に配置されている。バックアップ部材収容部72gの内部には、バックアップ部材77が収容されている。
【0061】
ここで、バックアップ部材77は、プラスチック等の樹脂材料からなり、バックアップ部材収容部72gの内部に固定されている。そして、バックアップ部材77は、ピニオンギヤ42の周囲に、微小隙間を介して囲うように配置されている。これにより、バックアップ部材77は、出力軸SH2に大きな外力が付加されたときに、ピニオンギヤ42が湾曲することを防止する。よって、これによっても、ピニオンギヤ42とヘリカルギヤ78との噛み合いが外れることが抑えられている。
【0062】
さらに、第3底壁72aの内側には、略環状に形成された支持突起72hが設けられている。支持突起72hは、ギヤハウジング71の内側(
図4の下側)に向けて所定の高さで突出されている。そして、支持突起72hは、出力軸SH2に大きな外力が付加されたときに、ヘリカルギヤ78が傾斜することを抑制する。よって、ギヤハウジング71の内部でヘリカルギヤ78が傾斜することが抑えられ、これによっても、ピニオンギヤ42とヘリカルギヤ78との噛み合いが保持される。具体的には、支持突起72hは、ヘリカルギヤ78の第1側面78e(
図5参照)を摺動自在に支持している。これによっても、ワイパモータ10をスムーズに作動させることが可能となり、ひいてはワイパモータ10の静粛性が向上する。
【0063】
また、
図7に示されるように、第4底壁73aには、ステータホルダ位置決め凹部73dが設けられている。ステータホルダ位置決め凹部73dは、バックアップ部材収容部72gの周囲を囲うようにして設けられ、バックアップ部材収容部72gに向けて窪んでいる。そして、ステータホルダ位置決め凹部73dには、ステータホルダ53の円弧状係合突起58(
図6参照)が嵌合するようになっている。
【0064】
[ブラケット]
図1および
図2に示されるように、ギヤハウジング71の第3底壁72aには、ワイパモータ10を車両に固定するためのブラケット80が固定されている。ブラケット80は、肉厚の鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成されている。具体的には、ブラケット80は、ギヤハウジング71に固定される環状のブラケット本体81と、当該ブラケット本体81の外縁部に一体に設けられた合計3つの取り付け脚82と、を備えている。
【0065】
また、ブラケット本体81の径方向内側には、略長方形に切り欠かれた切り欠き83が設けられている。当該切り欠き83は、ギヤハウジング71に設けられた回転軸支持部79に係合される。ここで、回転軸支持部79は、軸受部材収容部72f(
図4参照)が設けられる箇所に配置され、略直方体形状に形成されている。これにより、ブラケット80をギヤハウジング71に組み付ける際に、ブラケット80のギヤハウジング71に対する回り止めがなされ、ひいてはブラケット80がギヤハウジング71に対して精度良く位置決めされる(組み立て性向上)。
【0066】
そして、ブラケット本体81は、合計6つの第5固定ねじS5により、第3底壁72aに対して強固に固定されている。なお、それぞれの取り付け脚82には、ゴムブッシュ(図示せず)が装着され、かつそれぞれのゴムブッシュが固定ボルト(図示せず)により、車両に対して固定される。これにより、ワイパモータ10の作動時に発生する振動が車両に伝達され難くなり、かつ車両側の振動もワイパモータ10に伝達され難くなる。
【0067】
ここで、
図1および
図2に示されるブラケット80のギヤハウジング71に対する取り付け姿勢は、例えば、右ハンドル車に対する取り付け姿勢である。言い換えれば、
図1および
図2に示される姿勢でブラケット80が取り付けられたワイパモータ10は、右ハンドル車用のワイパモータ10となる。
【0068】
ここで、本実施の形態のワイパモータ10では、ブラケット80を裏返してギヤハウジング71に取り付けることも可能である。すなわち、ブラケット80のギヤハウジング71に対する取り付け姿勢を、右ハンドル車用または左ハンドル車用とすることができる。このように、本実施の形態のワイパモータ10では、ブラケット80の表裏を選んで第3底壁72aに固定可能となっており、一のワイパモータ10により、右ハンドル車用または左ハンドル車用に対応可能となっている。
【0069】
[減速機構]
図4および
図5に示されるように、ギヤハウジング71の内部には、ギヤ部70を形成する減速機構SDが回転自在に収容されている。減速機構SDは、回転軸SH1に一体に設けられたピニオンギヤ42と、当該ピニオンギヤ42に噛み合わされ、ピニオンギヤ42よりも低速で回転されるヘリカルギヤ78と、を備えている。ここで、ヘリカルギヤ78は、本発明における第2ギヤに相当する。
【0070】
そして、ピニオンギヤ42の軸線およびヘリカルギヤ78の軸線は互いに平行となっている。つまり、回転軸SH1と出力軸SH2とは、互いに平行となっている。これにより、減速機構SDでは、互いの軸線が交差するウォームおよびウォームホイールを備えたウォーム減速機よりも、その体格をよりコンパクトにすることが可能となっている。
【0071】
また、ピニオンギヤ42はワイパモータ10の回転軸SH1側(入力側)に配置され、ヘリカルギヤ78はワイパモータ10の出力軸SH2側(出力側)に配置されている。すなわち、減速機構SDは、歯数が少ないピニオンギヤ42の高速回転を、歯数が多いヘリカルギヤ78の低速回転に減速するようになっている。よって、ヘリカルギヤ78は、ピニオンギヤ42よりも低速で回転される。
【0072】
図5および
図6に示されるように、ピニオンギヤ42の周囲には、螺旋状歯(歯)42aが一体に設けられ、当該螺旋状歯42aの軸方向長さは、ヘリカルギヤ78の軸方向長さよりも若干長い長さ寸法となっている。これにより螺旋状歯42aは、ヘリカルギヤ78に確実に噛み合わせられる。
【0073】
螺旋状歯42aは、ピニオンギヤ42の軸方向に螺旋状に連なるように延びており、ピニオンギヤ42には、1つの螺旋状歯42aのみが設けられている。つまり、ピニオンギヤ42の歯数は「1」となっている。そして、螺旋状歯42aは、その断面形状が円形となるように形成され、ヘリカルギヤ78の噛合凹部78dに入り込む(噛み合う)ようになっている。このように、ピニオンギヤ42の歯数を「1」とすることで、ギヤの伝達効率を高めており、これにより、モータ部20の省電力化を実現している。
【0074】
減速機構SDを形成するヘリカルギヤ78は、プラスチック等の樹脂材料製である。
図5および
図7に示されるように、ヘリカルギヤ78は、略円盤状に形成されたギヤ本体78aを備えており、当該ギヤ本体78aの回転中心に、出力軸SH2の回転中心が一致するように強固に固定されている。これにより、出力軸SH2は、ヘリカルギヤ78とともに回転される。また、ギヤ本体78aの回転中心でかつ第2センサ基板SB2側(
図5の下側)には、センサマグネットSMが固定されている。
【0075】
ここで、出力軸SH2は、丸鋼棒を切削加工等することにより、段付きに形成されており、その軸方向における先端側には、ワイパ部材を形成するリンク機構等(図示せず)が固定される出力部OPが一体に設けられている。具体的には、出力部OPは雄ねじとなっており(詳細図示せず)、当該出力部OPには、リンク機構等を固定するためのナット(図示せず)がねじ結合される。
【0076】
ギヤ本体78aの径方向外側には、略筒状に形成されたギヤ形成部78bが設けられている。ギヤ形成部78bには、その周方向に並ぶようにして、複数の斜歯78cが設けられている。これらの斜歯78cは、ヘリカルギヤ78の軸方向に対して所定角度で傾斜しており、これにより、螺旋状歯42aの回転に伴いヘリカルギヤ78は回転される。具体的には、隣り合う斜歯78c同士の間に噛合凹部78dが設けられ、当該噛合凹部78dに螺旋状歯42aが入り込んで噛み合わされている。なお、噛合凹部78dにおいても、その断面形状が円形となるように形成されている。
【0077】
ギヤ形成部78bの軸方向両側には、第1側面78eおよび第2側面78fがそれぞれ設けられている。そして、出力軸SH2の軸方向において、第1側面78eは、ヘリカルギヤ収容部72の支持突起72h(
図4参照)と対向している。また、出力軸SH2の軸方向において、第2側面78fは、ステータホルダ53の一対の円弧状支持突起57(
図6参照)と対向している。これにより、出力軸SH2に大きな外力が付加されたときに、ヘリカルギヤ78が傾斜することが抑制される。
【0078】
ここで、ヘリカルギヤ78に設けられる斜歯78c(噛合凹部78d)の数は「45」となっており、本実施の形態では、ピニオンギヤ42およびヘリカルギヤ78からなる減速機構SDの減速比は「45」となっている。すなわち、ピニオンギヤ42が45回転することでヘリカルギヤ78が漸く1回転する。このように、従前のウォーム減速機に比して、その体格をコンパクトにすることができ、しかも大きな減速比を得ることが可能となっている。ただし、ヘリカルギヤ78に設けられる斜歯78c(噛合凹部78d)の数は、上述のような「45」に限らず、減速機構SDの仕様に合わせて、例えば「40」や、それ以外の数に設定しても良い。
【0079】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、回転軸SH1および出力軸SH2が互いに平行であるため、
図4に示されるように、モータハウジング21およびギヤハウジング71を回転軸SH1(出力軸SH2)の軸方向に並べることができる。これにより、ワイパモータ10の外観を、回転軸SH1と出力軸SH2とを結ぶ線分CTを中心として線対称形状にできる。したがって、回転軸SH1と出力軸SH2とを結ぶ線分CTを中心として、その左右側で取り付けの方向性をなくすことができる。よって、レイアウト性を向上させることが可能となる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、ロータ本体41は、その軸方向におけるロータ底壁41aが設けられる側とは反対側に、ギヤハウジング71に向けて開口したロータ開口部41dを備えている。これにより、ロータ開口部41dからロータ側壁41bの径方向内側に、ステータユニット50を形成するステータコア51を配置することができる。よって、回転軸SH1の軸方向におけるワイパモータ10の寸法を詰めることが可能となる。さらに、ロータ側壁41bの径方向内側に固定されるマグネットMGと、ステータホルダ53に支持されるホールセンサHSとを、互いに何も介さずに対向させることができる。したがって、ホールセンサHSの検知精度を向上させることが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、モータハウジング21は、ギヤハウジング71に向けて開口した第1開口部25を有し、当該第1開口部25の少なくとも一部が、ステータコア51を保持するステータホルダ53で覆われており、ステータホルダ53に、回転軸SH1の軸方向においてマグネットMGと対向するホールセンサHSが設けられている。このように、ステータホルダ53にステータコア51およびホールセンサHSの双方を設けるため、組み立て性を向上させつつ、両者の位置精度を高めることが可能となる。これによっても、ホールセンサHSの検知精度を向上させることができる。さらに、回転検出専用のセンサマグネットが不要となり、ワイパモータ10の部品点数を削減でき、より小型化および軽量化を図ることが可能となる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、ステータホルダ53は、モータハウジング21およびギヤハウジング71により挟持されているので、ステータホルダ53を挟むだけで固定できる。したがって、ステータホルダ53を固定するための固定構造を別途設ける必要がなくなり、ワイパモータ10の組み立て性を向上させることが可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態によれば、減速機構SDを、螺旋状に連なった1つの螺旋状歯42aを有するピニオンギヤ42と、1つの螺旋状歯42aが噛み合わされる斜歯78cを有するヘリカルギヤ78とで形成したので、ギヤの伝達効率を高めることが可能となり、モータ部20の省電力化を実現することができる。また、ウォーム減速機に比して、その体格を小さくしつつ、減速比を大きくすることが可能となる。
【0084】
さらに、本実施の形態によれば、ワイパモータ10を右ハンドル車用および左ハンドル車用で共通化して左右側で作り分ける必要がなく、部品点数の削減も図れるため、ワイパモータ10を製造するためのエネルギーを省力化することが可能となる。よって、国連で定められた持続可能な開発目標(SDGs)における特に目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる)を実現することできる。
【0085】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、ブラシレスモータを、車両に搭載されるワイパ装置の駆動源(ワイパモータ10)に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、パワーウィンドウ装置やサンルーフ装置等の他の駆動源にも適用することができる。
【0086】
また、上記実施の形態では、ギヤ部70と、取り付け脚82を有するブラケット80と、を別体としたものを示したが、本発明はこれに限らず、ブラケット80を省略しつつ、ギヤ部70を形成するギヤハウジング71に、取り付け脚を一体に設けても良い。
【0087】
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
10:ワイパモータ(ブラシレスモータ),20:モータ部,21:モータハウジング,22:モータ収容部,22a:第1底壁,22b:第1側壁,22c:小径段部,22d:第1フランジ,23:ベース装着部,23a:第2底壁,23b:第2側壁,23c:第2フランジ,24:抜け止め部材,25:第1開口部(モータ開口部),30:ブラシレスモータ,40:ロータユニット,41:ロータ本体(ロータ),41a:ロータ底壁(底壁),41b:ロータ側壁(側壁),41c:小径ボス部,41d:ロータ開口部,42:ピニオンギヤ(第1ギヤ),42a:螺旋状歯(歯),50:ステータユニット,51:ステータコア(ステータ),51a:コア本体,51b:ティース,52:インシュレータ,53:ステータホルダ(ステータブラケット),53a:挿通穴,53b:ピニオン挿通孔,54:軸受保持部,55:軸受固定部材,56:第1センサ基板固定部,57:円弧状支持突起,58:円弧状係合突起,60:ベース部材,61:第2センサ基板固定部,70:ギヤ部,71:ギヤハウジング,72:ヘリカルギヤ収容部,72a:第3底壁,72b:第3側壁,72c:大径ボス部,72d:補強リブ,72e:第3フランジ,72f:軸受部材収容部,72g:バックアップ部材収容部,72h:支持突起,73:ステータホルダ被覆部,73a:第4底壁,73b:第4側壁,73c:第4フランジ,73d:ステータホルダ位置決め凹部,74:Oリング,75:止め輪,76:第2開口部,77:バックアップ部材,78:ヘリカルギヤ(第2ギヤ),78a:ギヤ本体,78b:ギヤ形成部,78c:斜歯,78d:噛合凹部,78e:第1側面,78f:第2側面,79:回転軸支持部,80:ブラケット,81:ブラケット本体,82:取り付け脚,83:切り欠き,B1:第1軸受,B2:第2軸受,B3:第3軸受,B4:第4軸受,CL:コイル,CT:線分,HS:ホールセンサ(磁気センサ),MG:マグネット,MS:MRセンサ,OP:出力部,SB1:第1センサ基板,SB2:第2センサ基板,SD:減速機構,SF1:第1面,SF2:第2面,SH1:回転軸,SH2:出力軸,SM:センサマグネット