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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033777
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】発泡粒子及び発泡粒子成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
C08J9/16 CES
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137592
(22)【出願日】2022-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 将武
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋介
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA24A
4F074AB03
4F074AB05
4F074AD12
4F074AD21
4F074AG04
4F074AG05
4F074BA32
4F074CA34
4F074CA39
4F074CA49
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA34
4F074DA35
4F074DA36
4F074DA59
(57)【要約】
【課題】型内成形性に優れると共に、外部に露出する環境で用いた場合であっても、長期間にわたって、良好な外観や良好な引張物性を維持できる発泡粒子成形体を製造可能な、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とし、ヒンダードアミン系化合物を含む発泡粒子であって、前記ポリプロピレン系樹脂の結晶化度が45%以下であり、前記ヒンダードアミン系化合物が下記式(I)で表される構造を有し、前記発泡粒子中の前記ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01質量%以上4質量%以下である、発泡粒子。
【化1】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とし、ヒンダードアミン系化合物を含む発泡粒子であって、前記ポリプロピレン系樹脂の結晶化度が45%以下であり、前記ヒンダードアミン系化合物が下記式(I)で表される構造を有し、前記発泡粒子中の前記ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01質量%以上4質量%以下である、発泡粒子。
【化1】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
【請求項2】
さらに無機顔料を含み、前記無機顔料の含有量に対する前記ヒンダードアミン系化合物の含有量の比が0.01以上8以下である、請求項1に記載の発泡粒子。
【請求項3】
さらに分子量が360以上である紫外線吸収剤Aを含み、前記発泡粒子中の前記紫外線吸収剤Aの含有量が0.01質量%以上2質量%以下である、請求項1又は2に記載の発泡粒子。
【請求項4】
前記ヒンダードアミン系化合物の分子量が500以上1000以下である、請求項1又は2に記載の発泡粒子。
【請求項5】
前記発泡粒子の嵩密度が10kg/m以上500kg/m以下である、請求項1又は2に記載の発泡粒子。
【請求項6】
前記発泡粒子の平均気泡径が50μm以上250μm以下である、請求項1又は2に記載の発泡粒子。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の発泡粒子を型内成形してなる、発泡粒子成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡粒子及び発泡粒子成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体は、耐薬品性、耐衝撃性、圧縮歪回復性等に優れている。このため、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、衝撃吸収材、断熱材及び各種包装材等として、食品の運搬容器、電気・電子部品の包装又は緩衝材、自動車用バンパー等の車両部材、住宅用断熱材等の建築部材、雑貨等の広い分野で利用されている。
【0003】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、上記のような優れた性質を有するが、例えば日光に長期間暴露されるなど過酷な環境で用いられる場合、使用環境によっては、発泡粒子成形体中の樹脂が劣化し、物性が低下するおそれがある。そこで、発泡粒子成形体の劣化を抑制するために、耐候剤を添加して発泡粒子成形体の耐候性を高める試みがなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、融着性と耐熱性に加え、耐候性を向上させることを目的として、ヒンダードアミン系化合物を含有し、表層及び内部発泡層のDSC曲線における表層の高温側の吸熱ピークの融解熱量と内部発泡層の高温側の吸熱ピークの融解熱量が特定の関係を満足するポリプロピレン系樹脂発泡粒子が開示されている。
【0005】
また、発泡粒子成形体の製造に用いられるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、型内成形に要するエネルギーを低減する観点等から、低い成形圧力条件でも良好な発泡粒子成形体を得ることができる発泡粒子であることが望ましい。かかる観点から、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂を用いて発泡粒子を製造する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-321567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、発泡粒子成形体の耐候性を向上させるために、耐候剤を添加しても長期間にわたる耐候性を付与することが困難であった。特に、近年では、より外部に露出するような用途でのポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の使用が求められる場合がある。しかしながら、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、過酷な条件下でも、数年から数十年という長期間にわたって使用できる発泡粒子成形体を得ることは困難であった。
【0008】
また、耐候剤を添加することにより、発泡粒子の型内成形性が低下する場合や、得られる発泡粒子成形体の引張強さなどが低下する場合があり、型内成形性に優れると共に、高い耐候性を有しつつ、物性にも優れる発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を得ることは困難であった。
【0009】
本発明は、型内成形性に優れると共に、外部に露出する環境で用いた場合であっても、長期間にわたって、良好な外観や良好な引張物性を維持できる発泡粒子成形体を製造可能な、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、特定のヒンダードアミン系化合物を含有する発泡粒子が、上記課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<1> ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とし、ヒンダードアミン系化合物を含む発泡粒子であって、前記ポリプロピレン系樹脂の結晶化度が45%以下であり、前記ヒンダードアミン系化合物が下記式(I)で表される構造を有し、前記発泡粒子中の前記ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01質量%以上4質量%以下である、発泡粒子。
【化1】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
<2> さらに無機顔料を含み、前記無機顔料の含有量に対する前記ヒンダードアミン系化合物の含有量の比が0.01以上8以下である、<1>に記載の発泡粒子。
<3> さらに分子量が360以上である紫外線吸収剤Aを含み、前記発泡粒子中の前記紫外線吸収剤Aの含有量が0.01質量%以上2質量%以下である、<1>又は<2>に記載の発泡粒子。
<4> 前記ヒンダードアミン系化合物の分子量が500以上1000以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の発泡粒子。
<5> 前記発泡粒子の嵩密度が10kg/m以上500kg/m以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の発泡粒子。
<6> 前記発泡粒子の平均気泡径が50μm以上250μm以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の発泡粒子。
<7> <1>~<6>のいずれか1つに記載の発泡粒子を型内成形してなる、発泡粒子成形体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、型内成形性に優れると共に、外部に露出する環境で用いた場合であっても、長期間にわたって、良好な外観や良好な引張物性を維持できる発泡粒子成形体を製造可能な、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[発泡粒子]
本発明の発泡粒子(以下、単に「発泡粒子」ともいう)は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とし、ヒンダードアミン系化合物を含む発泡粒子であって、前記ポリプロピレン系樹脂の結晶化度が45%以下であり、前記ヒンダードアミン系化合物が下記式(I)で表される構造を有し、前記発泡粒子中の前記ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01質量%以上4質量%以下である。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【化1】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
【0013】
<ポリプロピレン系樹脂>
前記発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする。なお、本明細書におけるポリプロピレン系樹脂とは、樹脂中のプロピレンに由来する構造単位の含有量が50質量%以上である樹脂であり、前記ポリプロピレン系樹脂中のプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上である。
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン系共重合体や、その混合物、プロピレン系共重合体とプロピレン単独重合体との混合物等を用いることができる。
前記プロピレン系共重合体としては、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体が例示される。前記α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ブテンなどが例示される。また、共重合成分としてプロピレン系共重合体中に含まれるエチレンに由来する成分及び/又は炭素数4~20のα-オレフィンに由来する成分の含有量は、1~15質量%であることが好ましく、2~12質量%であることがより好ましい。
これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂は、共重合成分としてエチレン及び/又は1-ブテンに由来する成分を含有するプロピレン系共重合体Aを主成分として含むことが好ましい。プロピレン系共重合体Aとしては、エチレン-プロピレン共重合体や、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等が挙げられる。また、この場合、ポリプロピレン系樹脂中の、プロピレン系共重合体Aの割合は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。なお、プロピレン系共重合体Aはプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。
前記プロピレン系共重合体が、共重合成分としてエチレンに由来する成分(エチレン成分)及び/又はブテンに由来する成分(ブテン成分)を含有する場合、低い成形圧力条件における発泡粒子の型内成形性をより高める観点からは、プロピレン系共重合体中のエチレン成分及び/又はブテン成分の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。また、圧縮強度等が良好な発泡粒子成形体を安定して得ることができる観点からは、プロピレン系共重合体中のエチレン成分及び/又はブテン成分の含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。すなわち、プロピレン系共重合体中のエチレン成分及び/又はブテン成分の含有量は、好ましくは1~15質量%であり、より好ましくは2~12質量%であり、更に好ましくは3~10質量%である。なお、ポリプロピレン系共重合体中のα-オレフィンに由来する成分の含有量は、IRスペクトル測定により求められる。
【0014】
(結晶化度)
本発明におけるポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、45%以下である。
従来、型内成形に要するエネルギーを低減する観点等から、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂を用いて発泡粒子を製造する場合があった。しかしながら、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂は、結晶性が比較的高いポリプロピレン系樹脂に比べ、樹脂の耐候性が低いと共に、発泡粒子成形体の耐候性を向上させるために、耐候剤を添加しても、耐候性を付与することが困難な場合があった。また、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂を用いた場合、耐候剤を添加することにより、発泡粒子の型内成形性が低下する場合や、得られる発泡粒子成形体の引張強さなどが低下する場合があり、型内成形性に優れると共に、高い耐候性を有しつつ、物性にも優れる発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を得ることは困難であった。
一方、本発明においては、特定のヒンダードアミン系化合物を使用することで、結晶性が比較的低いポリプロピレン系樹脂を基材樹脂としつつ、比較的低い成形圧力条件でも発泡粒子同士が良好に融着し、広い成形圧力範囲で発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を得ることができる。また、融着状態が良好であり、長期にわたる耐候性を有する成形体を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、成形圧力が低い条件における発泡粒子の型内成形性を高める観点から、好ましくは42%以下、より好ましくは40%以下である。また、ポリプロピレン系樹脂の結晶化度の下限は、概ね20%であり、圧縮強度等が良好な発泡粒子成形体を安定して得ることができる観点からは、好ましくは25%、より好ましくは30%である。すなわち、ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、好ましくは20%~42%であり、より好ましくは25%~42%であり、更に好ましくは30%~40%である。
【0015】
ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、ポリプロピレン系樹脂の融解熱量をポリプロピレンの完全結晶体の融解熱量(207J/g)で除することで算出される(単位:%)。
ポリプロピレン系樹脂の融解熱量は、JIS K 7122:1987に基づいた、示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより得られるDSC曲線から求めることができる。具体的には、まず、試験片の状態調節としては「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、試験片を窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で23℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで加熱して、DSC曲線(2回目加熱時のDSC曲線)を得る。得られた2回目加熱時のDSC曲線上の温度80℃での点をαとし、融解終了温度に相当するDSC曲線上の点をβとする。点αと点βの区間におけるDSC曲線と、線分(α-β)とによって囲まれる部分の面積から、ポリプロピレン系樹脂の融解熱量を算出することができる。
ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、ポリプロピレン系樹脂中に共重合成分として含まれるα-オレフィンに由来する成分の種類やその含有量等により調整することができ、例えば、ポリプロピレン系樹脂中のα-オレフィン成分の含有量を高めることで、結晶化度を低く調整することができる。
【0016】
(融点)
ポリプロピレン系樹脂の融点は、本発明の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体の引張物性を高める観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは135℃以上である。一方、ポリプロピレン系樹脂の融点は、成形圧力が低い条件における発泡粒子の型内成形性を高める観点からは、好ましくは155℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは145℃以下である。すなわち、ポリプロピレン系樹脂の融点は、好ましくは120℃~155℃であり、より好ましくは125℃~150℃であり、更に好ましくは130℃~145℃であり、より更に好ましくは135℃~145℃である。
ポリプロピレン系樹脂の融点は、ポリプロピレン系樹脂を試験片として、JIS K 7121:2012に基づいて測定される。具体的には、試験片の状態調節としては「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、試験片を窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で23℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで加熱して、DSC曲線(2回目加熱時のDSC曲線)を得る。次いで、該DSC曲線における融解ピークの頂点温度を求め、この値をポリプロピレン系樹脂の融点とすることができる。DSC曲線に複数の融解ピークが現れる場合は、ベースラインを基準とした融解ピークの高さが最も高い融解ピークの頂点温度を融点として採用する。
【0017】
(メルトフローレイト(MFR))
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、樹脂粒子の発泡時における発泡性を高める観点や、発泡粒子の型内成形時における二次発泡性を高める観点から、好ましくは3g/10分以上、より好ましくは5g/10分以上である。また、発泡粒子の収縮を安定して抑制しやすくなる観点や、発泡粒子の型内成形時における成形体の過度なヒケを抑制しやすくなる観点から、好ましくは10g/10分以下、より好ましくは9g/10分以下である。すなわち、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、好ましくは3~10g/10分であり、より好ましくは5~9g/10分である。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K 7210-1:2014に基づき、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される値である。
【0018】
<ヒンダードアミン系化合物>
本発明の発泡粒子は、得られる発泡粒子成形体に長期にわたる耐候性を付与する観点から、ヒンダードアミン系化合物を含む。
【0019】
前記ヒンダードアミン系化合物は、下記式(I)で表される構造を有する。ヒンダードアミン系化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【化2】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
【0020】
前記ヒンダードアミン系化合物は、構造中に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン部を有することにより、特に光により生じるラジカルを消費し、酸化による樹脂の分子鎖切断(低分子量化)を抑制して、樹脂の耐候性を高めることができる。
また、前記ヒンダードアミン系化合物は、アルキレン基と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン部とがエステル結合により結合された構造を有することにより、気泡の微細化が抑制された発泡粒子を安定して得ることができると共に、発泡粒子の型内成形時における融着性を高めることができる。
【0021】
前記式(I)中、Xで示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上である。また、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは13以下、より更に好ましくは10以下である。すなわち、本発明の効果をより発揮させやすくする観点から、前記式(I)中のXで示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは3~15であり、更に好ましくは5~13であり、より更に好ましくは7~10である。
【0022】
前記式(I)中、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。Y及びYの炭化水素基の炭素数は、比較的長期間における耐候性を安定して付与できる観点から、それぞれ、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上である。また、Y及びYの炭化水素基の炭素数は、発泡粒子成形体の成形後から比較的短い時期における成形体の耐候性を安定して高めることができる観点から、それぞれ、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。すなわち、本発明の効果をより発揮させやすくする観点から、Y及びYの炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは3~16であり、更に好ましくは5~12である。また、Y及びYの炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。
【0023】
前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物において、Y及びYが炭化水素基であるヒンダードアミン系化合物は、NR型ヒンダードアミンと呼ばれる。前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物において、Y及びYが酸素原子を介して結合する炭化水素基であるヒンダードアミン系化合物は、NOR型ヒンダードアミンと呼ばれる。また、前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物において、Y及びYが水素原子であるヒンダードアミン系化合物は、NH型ヒンダードアミンと呼ばれる。
本発明の発泡粒子は、前記式(I)で表される構造を有するNR型ヒンダードアミン又はNOR型ヒンダードアミンを含有することにより、型内成形性に優れると共に、長期にわたって高い耐候性を示す発泡粒子成形体を得ることができる。この理由は定かではないが、次のようなことが考えられる。
前記式(I)で表される構造を有するNR型ヒンダードアミンやNOR型ヒンダードアミンは、NH型ヒンダードアミンと比較して、発泡粒子を製造するための樹脂粒子に添加された際に、カオリン等の無機分散剤と相互作用による引力が発生しにくいため、樹脂粒子を発泡させる際に、分散媒中の無機分散剤が樹脂粒子表面に付着することを抑制しやすいものと考えられる。また、前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン部以外にアミノ基を有さないため、カオリン等の無機分散剤と相互作用による引力が発生しにくく、無機分散剤が発泡粒子表面に保持されにくいと考えられる。これらの結果、ヒンダードアミン系化合物を添加しても、得られる発泡粒子の融着性を高く維持しやすくなるため、型内成形性に優れる発泡粒子を得ることができるものと考えられる。
また、前記式(I)で表される構造を有するNR型ヒンダードアミンやNOR型ヒンダードアミンは、NH型ヒンダードアミンと比べて、発泡粒子及び発泡粒子成形体を得るまでに接触する酸性物質等による影響を受けにくく、失活しにくいものと考えられる。そのため、長期にわたって優れた耐候性を有する発泡粒子成形体を得ることができるものと考えられる。
型内成形性に優れると共に、長期にわたって高い耐候性を示す発泡粒子成形体をより安定して得ることができる観点からは、ヒンダードアミン系化合物は、NOR型ヒンダードアミンを主成分として含むことが好ましい。この場合、ヒンダードアミン系化合物中の、NOR型ヒンダードアミンの割合は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
【0024】
ヒンダードアミン系化合物は、市販品を用いることができる。ヒンダードアミン系化合物の市販品としては、商品名「Tinuvin123」、「Tinuvin5100」、「Tinuvin292」、「Tinuvin765」(以上、BASF社製)等が例示される。
【0025】
(分子量)
ヒンダードアミン系化合物の分子量は、成形体からのブリードアウトを抑制し、長期にわたる耐候性を成形体に安定して発現させる観点から、好ましくは400以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは600以上である。また、樹脂中にヒンダードアミン系化合物を良好に分散させ、比較的短期間においても耐候性を成形体に安定して発現させる観点から、ヒンダードアミン系化合物の分子量は、好ましくは1000以下、より好ましくは900以下、更に好ましくは800以下である。すなわち、ヒンダードアミン系化合物の分子量は、好ましくは400~1000であり、より好ましくは500~900であり、更に好ましくは600~800である。
ヒンダードアミン系化合物の分子量は、ヒンダードアミン系化合物を構成する原子の原子量から求めることができる。
【0026】
発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量は、長期にわたる耐候性を安定的して実現させる観点から、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上である。また、発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量は、良好な型内成形性を有する発泡粒子を安定して得ることができると共に、優れた引張強度を有する発泡粒子成形体を得やすくなる観点から、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。すなわち、発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量は、好ましくは0.05~4質量%であり、より好ましくは0.1~3質量%であり、更に好ましくは0.1~2質量%であり、より更に好ましくは0.2~1質量%である。
なお、本発明の目的効果を阻害しない範囲内であれば、発泡粒子は前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物以外のヒンダードアミン系化合物を含んでいてもよい。一方、型内成形性が良好な発泡粒子を安定して得る観点からは、その場合の、発泡粒子中の前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物以外のヒンダードアミン系化合物の含有量は、前記式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましく、10質量部以下であることがより更に好ましい。
発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量は、例えば、発泡粒子に対して、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)測定を行うことで、算出することができる。具体的には、以下の方法を採用することができる。まず、発泡粒子を冷凍粉砕し、約2gを秤量する。次いで、冷凍粉砕した発泡粒子に対して、溶媒としてクロロホルムを用いてソックスレー抽出を行い、クロロホルム不溶部である重合体成分などを除去する。次いで、ソックスレー抽出で得られたクロロホルム可溶部をアセトンと混合し、アセトン不溶部を除去する。アセトン可溶部から溶媒を除去して得られた固体を測定試料として用い、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)による測定を行い、濃度既知の標準品(内部標準試料)に対する積分比より、測定試料中のヒンダードアミン系化合物の含有量を算出し、発泡粒子1個あたりのヒンダードアミン系化合物の含有量を算出する。
なお、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)としては、例えば、日本電子株式会社製AL-400型を使用することができる。また、溶媒:CDCl、内部標準試料:テトラクロロエタン(TCE)という測定条件を採用することができる。
【0027】
<顔料>
本発明の発泡粒子は、成形体に良好な外観を付与する観点から、さらに顔料を含むことが好ましい。顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよいが、無機顔料であることが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、鉄黒、チタンブラック等の黒色無機物、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、リトポン等の白色無機物、弁柄等の赤色無機物、鉄黄、亜鉛黄等の黄色無機物、ビリジアン、コバルト緑等の緑色無機物、ウルトラマリン青、プルシアンブルー、コバルト青、YInMn(インミン)ブルー等の青色無機物等が挙げられる。なお、本明細書において、顔料とは、発泡粒子を構成する樹脂成分中に存在することで、発泡粒子や発泡粒子成形体に色彩を付与する作用や、発泡粒子や発泡粒子成形体を調色する作用を有する物質を意味する。また、発泡粒子に含まれる顔料は、発泡粒子を構成する樹脂成分中に存在する顔料を指すものとする。
良好な黒色等の外観を付与できる観点からは、無機顔料は、カーボンブラック及び/又は酸化チタンを含むことが好ましい。また、無機顔料がカーボンブラックを含む場合、無機顔料中のカーボンブラックの割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることがより更に好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
【0028】
発泡粒子が無機顔料を含有する場合、発泡粒子中の無機顔料の含有量は、成形体における色むらの発生を抑制し、良好な外観を有する成形体を得やすくなる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上である。また、発泡粒子中の無機顔料の含有量は、良好な型内成形性を有する発泡粒子を安定して得る観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である。すなわち、発泡粒子中の無機顔料の含有量は、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.05~8質量%であり、更に好ましくは0.1~5質量%であり、より更に好ましくは2~4質量%である。
なお、従来、発泡粒子成形体に色彩を付与するために、発泡粒子に無機顔料を添加した場合、発泡粒子の型内成形性が低下する傾向にあった。一方で、本発明においては、特定のヒンダードアミン系化合物を使用することで、発泡粒子に無機顔料を添加した場合でも、比較的低い成形圧力条件でも発泡粒子同士が良好に融着し、広い成形圧力範囲で発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を得ることができる。また、融着状態が良好であり、長期にわたる耐候性を有する成形体を得ることができる。
【0029】
(ヒンダードアミン系化合物の含有量/無機顔料の含有量)
発泡粒子が無機顔料を含有する場合、発泡粒子中の、無機顔料の含有量に対するヒンダードアミン系化合物の含有量の比は、長期にわたって良好な耐候性を示す発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を安定して得る観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.04以上、より更に好ましくは0.05以上である。また、発泡粒子中の、無機顔料の含有量に対するヒンダードアミン系化合物の含有量の比は、融着性が良好であると共に、良好な型内成形性を有する発泡粒子を安定して得ることができる観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下であり、より更に好ましくは3以下である。すなわち、発泡粒子中の、無機顔料の含有量に対するヒンダードアミン系化合物の含有量の比は、好ましくは0.01~10であり、より好ましくは0.02~8であり、更に好ましくは0.04~6であり、より更に好ましくは0.05~3である。
【0030】
<紫外線吸収剤>
本発明の発泡粒子は、成形体の耐候性を高める観点から、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。前記紫外線吸収剤は、分子量が360以上である紫外線吸収剤Aを含むことが好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する性質を有する化合物であり、主に波長280nm~400nmの光を吸収し、吸収したエネルギーを熱等のエネルギーに変化させることで、紫外線による樹脂の劣化を抑制することができる化合物を意味する。ポリプロピレン系樹脂に用いられる紫外線吸収剤には、ベンゾフェノン誘導体等のベンゾフェノン系化合物(ベンゾエート系紫外線吸収剤)、ベンゾトリアゾール誘導体のベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)、トリアジン誘導体のトリアジン系紫外線吸収剤(トリアジン系紫外線吸収剤)、安息香酸エステルやその誘導体等のベンゾエート系化合物(ベンゾエート系紫外線吸収剤)等が挙げられる。
【0031】
(分子量)
紫外線吸収剤Aの分子量は、発泡粒子成形体に長期にわたって、より優れた耐候性を付与する観点から、好ましくは300以上、より好ましくは360以上、更に好ましくは380以上、より更に好ましくは400以上である。また、紫外線吸収剤Aの分子量の上限は、本発明の所期の目的を達成できる範囲であれば特に限定されるものではないが、紫外線吸収剤をポリプロピレン系樹脂に効率的に添加できると共に、得られる発泡粒子成形体の耐候性を安定して高めることができる観点からは、好ましくは600であり、より好ましくは550である。すなわち、紫外線吸収剤Aの分子量は、好ましくは300~600であり、より好ましくは360~600であり、更に好ましくは380~550であり、より更に好ましくは400~550である。
紫外線吸収剤Aの分子量は、紫外線吸収剤Aを構成する原子の原子量から求めることができる。また、電解脱離質量分析法(FD-MS)にて測定することもできる。この場合、例えば、次の方法で測定することができる。
装置は日本電子株式会社製ガスクロマトグラフ飛行時間質量分析計 JMD-T100GCV型を使用することができる。10mgの紫外線吸収剤を10mLのクロロホルム中に溶解して紫外線吸収剤溶液を得る。マイクロシリンジを用いて装置のエミッタ上に紫外線吸収剤溶液を1μL塗布して紫外線吸収剤を装置に導入する。その後、紫外線吸収剤の分子をイオン化させ、前記イオンのm/z値のスペクトルを得る。前記スペクトルのメインピークであるm/z値を紫外線吸収剤の分子イオンとして測定し、紫外線吸収剤の分子量として決定することができる。
【0032】
紫外線吸収剤Aとしては、例えば、ベンゾエート系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等を好適に用いることができる。これらの中でも、引張強さに優れる発泡粒子成形体を得やすい観点からは、紫外線吸収剤Aは、ベンゾエート系化合物及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ベンゾエート系化合物及びトリアジン系化合物を含むことがより好ましい。この場合、紫外線吸収剤A中のベンゾエート系化合物及び/又はトリアジン系化合物の割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
また、前記紫外線吸収剤Aが、ベンゾエート系化合物及びトリアジン系化合物を含む場合、ベンゾエート系化合物の含有量に対するトリアジン系化合物の含有量の比は0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.2以上0.6以下であることがより好ましい。この場合、より優れた長期の耐候性を有する発泡粒子成形体を得ることができる。
【0033】
発泡粒子が紫外線吸収剤Aを含有する場合、発泡粒子中の紫外線吸収剤Aの含有量は、長期にわたって優れた耐候性を示す発泡粒子成形体を安定して得る観点から、好ましくは0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上である。また、発泡粒子中の前記紫外線吸収剤Aの含有量は、良好な型内成形性を有する発泡粒子を安定して得ることができる観点から、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。すなわち、発泡粒子が紫外線吸収剤Aを含有する場合、発泡粒子中の紫外線吸収剤Aの含有量は、好ましくは0.01~2質量%であり、より好ましくは0.05~2質量%であり、更に好ましくは0.1~1質量%であり、より更に好ましくは0.2~1質量%である。
なお、発泡粒子は紫外線吸収剤A以外の紫外線吸収剤を含んでいてもよい。一方、型内成形性が良好な発泡粒子を安定して得る観点からは、その場合の、発泡粒子中の紫外線吸収剤A以外の紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤A100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましく、10質量部以下であることがより更に好ましい。
発泡粒子中の紫外線吸収剤Aの含有量は、上述した発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量の測定と同様に、例えば、発泡粒子に対して、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)測定を行うことで、算出することができる。
【0034】
(融点)
紫外線吸収剤Aの融点は、発泡粒子における紫外線吸収剤の樹脂中での移動を抑制しやすくなり、良好な型内成形性を有する発泡粒子を安定して得ることができる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上、より更に好ましくは130℃以上である。また、紫外線吸収剤Aの融点は、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下である。すなわち、紫外線吸収剤Aの融点は、好ましくは50℃~220℃であり、より好ましくは100℃~220℃であり、更に好ましくは120℃~200℃であり、より更に好ましくは130℃~200℃である。
紫外線吸収剤Aの融点は、JIS K 0064:1992に基づいて測定される。具体的には、まず、ガラス製のキャピラリー中に試料である紫外線吸収剤を投入し、キャピラリーの閉じた面側に試料を詰める。温度計を取り付けたガラス製の加熱用容器中にシリコーン油を入れ、前述のキャピラリーの閉じた面側を浸漬する。その後シリコーン油の昇温速度が一定となるように加熱を行い続け、キャピラリー内部に固体を目視で認めなくなった時点の温度を融点とする。
【0035】
紫外線吸収剤Aは、市販品を用いることができる。紫外線吸収剤Aの市販品としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、BASF社製 商品名「Tinuvin99-2」、「Tinuvin326」、「Tinuvin384-2」、「Tinuvin900」、「Tinuvin928」、「Tinuvin1130」、ベンゾエート系紫外線吸収剤として、BASF社製 商品名「Tinuvin120」、Solvay社製 商品名「Cyasorb UV-2908」、トリアジン系紫外線吸収剤として、BASF社製 商品名「Tinuvin1577」、Solvay社製 商品名「Cyasorb UV-1164」等が例示される。
【0036】
(紫外線吸収剤Aの含有量/ヒンダードアミン系化合物の含有量)
長期にわたって優れた耐候性を示す発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を安定して得る観点から、発泡粒子が紫外線吸収剤Aを含有する場合における、発泡粒子中の、ヒンダードアミン系化合物の含有量に対する紫外線吸収剤Aの含有量の比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.6以上、より更に好ましくは0.8以上である。また、型内成形性が良好な発泡粒子を安定して得る観点から、発泡粒子中の、ヒンダードアミン系化合物の含有量に対する紫外線吸収剤Aの含有量の比は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である。すなわち、発泡粒子中の、ヒンダードアミン系化合物の含有量に対する紫外線吸収剤Aの含有量の比は、好ましくは0.1~5であり、より好ましくは0.3~4であり、更に好ましくは0.6~3であり、より更に好ましくは0.8~2である。
【0037】
(紫外線吸収剤Aの含有量/無機顔料の含有量)
色むらのない良好な外観を有すると共に、長期にわたって優れた耐候性を示す発泡粒子成形体を製造できる発泡粒子を安定して得る観点からは、発泡粒子が無機顔料を含有する場合における、発泡粒子中の、無機顔料の含有量に対する紫外線吸収剤Aの含有量の比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上である。また、引張物性に優れる発泡粒子成形体を安定して得る観点から、発泡粒子中の、無機顔料の含有量に対する紫外線吸収剤Aの含有量の比は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である。すなわち、発泡粒子中の、無機顔料の含有量に対する紫外線吸収剤Aの含有量の比は、好ましくは0.01~5であり、より好ましくは0.05~4であり、更に好ましくは0.1~3であり、より更に好ましくは0.1~2である。
【0038】
<発泡粒子の物性等>
(嵩密度)
発泡粒子の嵩密度は、発泡粒子成形体の機械的強度と軽量性とをバランスよく両立する観点から、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは15kg/m以上、更に好ましくは20kg/m以上、より更に好ましくは25kg/m以上であり、そして、好ましくは500kg/m以下、より好ましくは100kg/m以下、更に好ましくは70kg/m以下、より更に好ましくは60kg/m以下である。すなわち、発泡粒子の嵩密度は、好ましくは10~500kg/mであり、より好ましくは15~100kg/mであり、更に好ましくは20~70kg/mであり、より更に好ましくは25~60kg/mである。
発泡粒子の嵩密度は、以下のように求められる。発泡粒子群から発泡粒子を無作為に取り出して容積1Lのメスシリンダーに入れ、自然堆積状態となるように多数の発泡粒子を1Lの目盛まで収容し、収容された発泡粒子の質量W1[g]を収容体積V1(1[L])で除して(W1/V1)、単位を[kg/m]に換算することにより、発泡粒子の嵩密度が求められる。
【0039】
(平均気泡径)
発泡粒子の平均気泡径は、発泡粒子の型内成形性を高めて、引張物性に優れると共に、長期にわたって優れた耐候性を示す成形体を製造可能な発泡粒子を安定して得る観点から、好ましくは50μm以上、より好ましく55μm以上、更に好ましくは60μm以上であり、そして、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、より更に好ましくは120μm以下である。すなわち、発泡粒子の平均気泡径は、好ましくは50~250μmであり、より好ましくは55~200μmであり、更に好ましくは60~150μmであり、より更に好ましくは60~120μmである。
発泡粒子の平均気泡径は、2分割した発泡粒子の断面の拡大写真において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで線分を複数本引き、各線分と交差する気泡数を、線分の合計長さで除することで測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
発泡粒子の平均気泡径は、樹脂粒子に添加する気泡調整剤の種類及び添加量や、ヒンダードアミン系化合物の添加量を調整することや、樹脂粒子の発泡時における、発泡時の圧力を調整すること等により所望の範囲にすることができる。
【0040】
(結晶構造)
発泡粒子は、有機過酸化物による表面改質が行われていない樹脂粒子を発泡させてなる発泡粒子であることが好ましい。この場合、比較的低い成形圧力での型内成形が可能な発泡粒子を生産性良く製造することができる。
かかる観点から、発泡粒子は、JIS K 7122:1987に準拠し、10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱して得られるDSC曲線において、前記ポリプロピレン系樹脂に固有の融解ピーク(固有ピーク)と、固有ピークよりも高温側に1以上の融解ピーク(高温ピーク)とが現れる結晶構造を有することが好ましい。また、発泡粒子は、前記結晶構造を有すると共に、以下の式(1)の関係を満足することがより好ましい。
ΔHs≧ΔHi×0.86・・・(1)
(式(1)中、ΔHsは発泡粒子表層部の高温ピークの融解熱量であり、ΔHiは発泡粒子内部の高温ピークの融解熱量である。)
【0041】
また、比較的低い成形圧力での型内成形を可能とすると共に、良好な引張物性を有する成形体を安定して得る観点から、発泡粒子が、式(1)及び以下の式(2)を満たすことが好ましい。
ΔHi×1.2≧ΔHs・・・(2)
ΔHsは、発泡粒子の表層部から切り出した試料を用いる以外は、前記発泡粒子の高温ピークの融解熱量の測定方法と同じ方法で測定することができる。また、ΔHiは、表層部を含まないように発泡粒子の内部から切り出した試料を用いる以外は、前記発泡粒子の高温ピークの融解熱量の測定方法と同じ方法で測定することができる。
なお、発泡粒子の表層部は、発泡粒子の表面から発泡粒子の中心に向かって200μmまでの範囲に含まれる部位を意味する。なお、試料を準備するにあたり、複数の発泡粒子から表層部又は内部の試料を切り出すことで所定量の試料を準備し、これを測定に用いてもよい。
【0042】
上記の融解ピークは、具体的には、以下に示す方法によって得ることができる。示差走査熱量計によって、発泡粒子1~3mgを23℃から200℃まで10℃/分の加熱速度で昇温することによってDSC曲線を得ることができ、該DSC曲線から前記融解ピーク(高温ピーク)を確認することができる。
この場合のDSC曲線とは、前記測定方法により、発泡粒子を加熱することにより得られるDSC曲線(第1回目の加熱におけるDSC曲線)を意味する。また、樹脂に固有の吸熱ピーク(固有ピーク)とは、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂に固有の結晶の融解による吸熱ピークを意味する。なお、固有ピークは、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂が通常有する結晶の融解による吸熱によって現れる吸熱ピークであると考えられる。
一方、固有ピークの高温側の吸熱ピーク(高温ピーク)とは、第1回目のDSC曲線で固有ピークよりも高温側に現れる吸熱ピークである。この高温ピークが現れる場合、樹脂中に二次結晶が存在するものと推定される。なお、発泡粒子を10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱(第1回目の加熱)した後、10℃/分の冷却速度で200℃から23℃まで冷却し、その後再び10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱(第2回目の加熱)したときに得られるDSC曲線(第2回目の加熱におけるDSC曲線)においては、発泡粒子の基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂に固有の結晶の融解による吸熱ピークのみが現れる。この固有ピークは前記第1回目の加熱におけるDSC曲線にも第2回目の加熱におけるDSC曲線にも現れるため、第1回目、第2回目のDSC曲線の形状や、各DSC曲線におけるピークの位置を比較することで、いずれのピークが固有ピークであるかを確認することができる。
なお、前記発泡粒子は、10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱し、次いで10℃/分の冷却速度で200℃から23℃まで冷却し、次いで10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱したときに得られる第2回目の加熱におけるDSC曲線において、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂に固有の融解ピーク(固有ピーク)のみが現れる発泡粒子である。
【0043】
(高温ピークの融解熱量)
発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、良好な発泡粒子成形体を得ることができる成形条件範囲をより広くする観点から、好ましくは5J/g以上、より好ましくは7J/g以上、更に好ましくは10J/g以上であり、そして、好ましくは40J/g以下、より好ましくは30J/g以下、更に好ましくは20J/g以下である。すなわち、発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、好ましくは5~40J/gであり、より好ましくは7~30J/gであり、更に好ましくは10~20J/gである。
発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、前記の方法によって測定されるが、より具体的には実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0044】
(結晶化度)
発泡粒子の結晶化度は、成形圧力が低い条件における発泡粒子の型内成形性を高める観点から、好ましくは42%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは38%以下である。また、発泡粒子の結晶化度の下限は、好ましくは概ね20%以上であり、圧縮強度等が良好な発泡粒子成形体を安定して得ることができる観点からは、好ましくは22%、より好ましくは25%である。すなわち、発泡粒子の結晶化度は、好ましくは20%~42%であり、より好ましくは22%~40%であり、更に好ましくは25%~38%である。
発泡粒子の結晶化度は、発泡粒子の融解熱量を、ポリプロピレンの完全結晶体の融解熱量(207J/g)で除することで算出される(単位:%)。
発泡粒子の融解熱量は、JIS K 7122:1987に準拠して測定される前記第1回目のDSC曲線に現れる全ての融解ピーク(吸熱ピーク)の融解熱量の合計として算出される。より具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
なお、発泡粒子の結晶化度は、発泡粒子を製造するために用いられるポリプロピレン系樹脂の結晶化度と近い値をとるため、用いられるポリプロピレン系樹脂の種類等を調整することにより、調整することができる。
【0045】
発泡粒子には、本発明の効果を阻害しない程度であれば添加剤が適宜添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性フィラー、難燃剤、染料及び気泡調整剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、例えば、樹脂粒子を造粒する際に添加することで発泡粒子中に含有させることができる。
【0046】
気泡調整剤としては、例えば、無機粉末や有機粉末を用いることができる。無機粉末としては、ホウ酸亜鉛やホウ酸マグネシウム等のホウ酸金属塩等が挙げられ、有機粉末としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂粉末等が挙げられる。発泡粒子の平均気泡径を所望の範囲に調整しやすい観点からは、気泡調整剤として、ホウ酸金属塩を用いることが好ましく、ホウ酸亜鉛を用いることがより好ましい。
ホウ酸亜鉛を用いる場合、その個数基準の算術平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上8μm以下であることがより好ましい。ホウ酸亜鉛の個数基準の算術平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布をもとに、粒子の形状を球と仮定して個数基準の粒度分布に換算することにより、個数基準の粒度分布を得、この個数基準の粒度分布に基づく粒子径を算術平均することにより求めることができる。なお、上記粒子径は、粒子と同体積を有する仮想球の直径を意味する。
樹脂粒子中の気泡調整剤の配合量は、所望の嵩密度を有すると共に、気泡径のばらつきが少ない発泡粒子を安定して得られる観点からは、好ましくは50質量ppm以上、より好ましくは100質量ppm以上、更に好ましくは150質量ppm以上であり、そして、好ましくは5000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、更に好ましくは1500質量ppm以下である。すなわち、樹脂粒子中の気泡調整剤の配合量は、好ましくは50~5000質量ppmであり、より好ましくは100~2000質量ppmであり、更に好ましくは150~1500質量ppmである。
【0047】
発泡粒子は、本発明の目的効果を阻害しない範囲内で、前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂又はエラストマーを含んでいてもよい。
発泡粒子中の前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂又はエラストマーの含有量は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
【0048】
発泡粒子は、その表面に型内成形時の発泡粒子同士の融着性を高めるための融着層を有していてもよい。融着層は、発泡粒子の表面全体に存在していても、表面の一部に存在していてもよい。融着層を構成する樹脂としては、発泡粒子の基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂の融点よりも低い融点を有する結晶性のポリオレフィン系樹脂、発泡粒子の基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂の融点よりも低い軟化点を有する非晶性のポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂などの接着性樹脂などが例示される。
発泡粒子の表面に融着層を形成する方法は特に限定されず、例えば、融着層を有する樹脂粒子を発泡させる方法や、発泡粒子を得てから発泡粒子に融着層を付着させる方法が例示される。融着層を有する樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得る場合には、樹脂粒子を造粒する際に、共押出により樹脂粒子の表面に融着層を積層する方法を採用することが好ましい。
【0049】
[発泡粒子の製造方法]
本発明の発泡粒子は、例えば、容器内の水性媒体中に分散させた、発泡剤及びヒンダードアミン系化合物を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、前記水性媒体と共に、前記容器から前記容器内の圧力よりも低い圧力雰囲気下に放出して前記樹脂粒子を発泡させることにより製造することができる。以下に好適な製造方法の一例を示す。
【0050】
本発明の発泡粒子の好ましい製造方法は、結晶化度が45%以下のポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とし、ヒンダードアミン系化合物を含む樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を製造する方法であって、前記ヒンダードアミン系化合物が下記式(I)で表される構造を有し、前記発泡粒子中の前記ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01質量%以上4質量%以下であり、容器内の水性媒体中に分散させた、発泡剤を含む前記樹脂粒子を、前記水性媒体と共に、前記容器から前記容器内の圧力よりも低い圧力雰囲気化に放出して前記樹脂粒子を発泡させる、製造方法である。
【化3】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
【0051】
<樹脂粒子の製造>
本発明の発泡粒子の製造に用いられる前記樹脂粒子は、押出機内に前記ポリプロピレン系樹脂と、前記ヒンダードアミン系化合物と、必要に応じて添加される、気泡調整剤、顔料、紫外線吸収剤等の他の添加剤とを供給し、加熱、混練して樹脂溶融物とした後、該樹脂溶融物を押出機から押出すと共に、ストランドカット方式、ホットカット方式、水中カット方式等によりペレタイズすることにより得ることができる。
【0052】
樹脂粒子1個当たりの平均質量(無作為に選んだ200個の質量を測定した1個当たりの相加平均値)は、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは0.3mg以上、更に好ましくは0.5mg以上であり、そして、好ましくは10mg以下、より好ましく5mg以下、更に好ましくは3mg以下、より更に好ましくは2mg以下である。すなわち、樹脂粒子1個当たりの平均質量は、好ましくは0.1~10mgであり、より好ましくは0.3~5mgであり、更に好ましくは0.5~3mgであり、より更に好ましくは0.5~2mgである。また、樹脂粒子の外形形状は、本発明の所期の目的を達成できるものであれば特に限定されないが、好ましくは円柱状である。
樹脂粒子の外形形状が円柱状である場合、前記樹脂粒子の粒子径(押出方向における長さ)は、好ましくは0.1~3.0mmであり、より好ましくは0.3~1.5mmである。また、樹脂粒子の押出方向における長さLと、前記樹脂粒子の押出方向と直交する方向における長さ(樹脂粒子の直径)Dとの比(L/D)は、好ましくは0.5~5.0であり、より好ましくは1.0~3.0である。
ストランドカット法における、樹脂粒子の粒子径、L/Dや平均質量の調整は、樹脂溶融物を押出す際に、押出速度、引取速度、カッタースピードなどを適宜変えて切断することにより行うことができる。
【0053】
<発泡粒子の製造>
発泡粒子の好ましい製造方法において、最初の工程として、容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ヒンダードアミン系化合物及び必要に応じて添加される他の添加剤を含む樹脂粒子を分散させる分散工程を含む。
樹脂粒子を密閉容器内で分散させるための分散媒としては水性分散媒が用いられる。該水性分散媒は、水を主成分とする分散媒である。水性分散媒における水の割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。水性分散媒中の水以外の分散媒としては、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0054】
上記水性媒体中に、容器内で加熱された樹脂粒子同士が互いに融着しないように、分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、樹脂粒子の容器内での融着を防止するものであればよく、有機分散剤、無機分散剤のいずれも使用できるが、無機分散剤が好ましく、取り扱いの容易さから微粒状無機分散剤がより好ましい。例えば、カオリン、マイカ、クレー等の天然又は合成粘土鉱物や、酸化アルミニウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、酸化鉄等が挙げられる。これらの中でも、天然又は合成粘土鉱物が好ましい。分散剤は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。分散剤の添加量は、樹脂粒子100質量部あたり、好ましくは0.001~5質量部である。
なお、樹脂粒子に配合されるヒンダードアミン系化合物の種類によっては、分散媒中の無機分散剤が樹脂粒子表面に付着しやすくなり、得られる発泡粒子の表面に付着する無機分散剤が多くなることで、型内成形時に発泡粒子同士の融着が悪化する場合がある。一方、本発明においては、特定のヒンダードアミン系化合物を使用することで、比較的低い成形圧力条件でも発泡粒子同士が良好に融着し、広い成形圧力範囲で発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を得ることができる。また、融着状態が良好であり、長期にわたる耐候性を有する成形体を得ることができる。
【0055】
分散剤を使用する場合、分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤や硫酸アルミニウムを併用することが好ましい。分散助剤の添加量は、樹脂粒子100質量部あたり、好ましくは0.001~1質量部である。
【0056】
発泡粒子の製造方法において、前記分散工程の後に、前記水性媒体に発泡剤を添加する発泡剤添加工程を有することが好ましい。樹脂粒子を発泡させるための発泡剤としては、物理発泡剤を用いることが好ましい。物理発泡剤としては、無機物理発泡剤と有機物理発泡剤が挙げられる。無機物理発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。有機物理発泡剤としては、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、エチルクロライド、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。発泡剤は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、無機物理発泡剤と有機物理発泡剤とを混合して用いることもできる。これらの中でも、発泡剤は、環境に対する負荷や取扱い性の観点から、好ましくは無機物理発泡剤であり、より好ましくは二酸化炭素である。
また、発泡剤の種類や、所望とする発泡粒子の嵩密度等にもよるが、樹脂粒子100質量部に対する発泡剤の添加量は、好ましくは概ね0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~15質量部である。
前記発泡剤添加工程により、発泡剤を含む樹脂粒子を得ることができる。発泡剤添加工程においては、例えば、樹脂粒子を密閉容器内の水性分散媒中に分散させると共に、密閉容器内に発泡剤を圧入し、密閉容器を加熱及び加圧して、所定の温度・圧力下で保持することで、樹脂粒子に発泡剤を含浸させることができる。
【0057】
発泡粒子の好ましい製造方法において、前記発泡剤添加工程の後に、発泡剤を含む前記ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる発泡工程を含む。
発泡時の密閉容器内の圧力(内圧)は、好ましくは0.5MPa(G)以上、より好ましくは0.8MPa(G)以上であり、そして、好ましくは4MPa(G)以下、より好ましくは3MPa(G)以下である。なお、単位中のGは、ゲージ圧であることを示す。また、密閉容器内の圧力は、密閉容器内に発泡剤を添加することにより調整することができる。
また、好ましくは100~200℃、より好ましくは130~160℃に昇温し、その温度で5~30分間程度保持してから発泡剤を含む樹脂粒子を密閉容器内から、密閉容器内の圧力よりも低い圧力の雰囲気下(例えば、大気圧下)に放出して発泡させることが好ましい。
【0058】
また、前記第1回目のDSC曲線において、固有ピークと、高温ピークとが現れる結晶構造を有する発泡粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、密閉容器内の分散媒中に分散させた樹脂粒子を、(樹脂粒子を構成するポリプロピレン系樹脂の融点-15℃)~(樹脂粒子を構成するポリプロピレン系樹脂の融点+10℃)の温度に加熱すると共に、この温度で十分な時間、好ましくは10~60分間程度保持する(保持工程)。次いで、この保持工程を経た樹脂粒子を発泡させることで、上述の融解ピークを示す発泡粒子を得ることができる。
発泡粒子の製造においては、前記保持工程を経た樹脂粒子を予め準備し、この保持工程を経た樹脂粒子を発泡させることで、発泡粒子を得てもよい。また、例えば、前記分散工程や、前記発泡剤添加工程の一部として、前記保持工程を樹脂粒子に対して行い、この保持工程を経た樹脂粒子を発泡させることで、発泡粒子を得てもよい。
発泡粒子の生産性を高める観点からは、発泡剤の存在下で、密閉容器内の分散媒中に分散させた樹脂粒子を加熱して上記保持工程を行った後、密閉容器の内容物を密閉容器内から密閉容器内の圧力よりも低い圧力雰囲気下に放出して、樹脂粒子を発泡させることにより、上述の融解ピークを示す発泡粒子を得ることが好ましい。
【0059】
上記のようにして得られる発泡粒子は、空気等により加圧処理して発泡粒子の気泡内の圧力(内圧)を高めた後、スチーム等で加熱して発泡させ(二段発泡)、さらに発泡倍率の高い(嵩密度の低い)発泡粒子とすることもできる。
【0060】
[発泡粒子成形体]
本発明の発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」又は「成形体」ともいう)は、発泡粒子の型内成形体であり、前記発泡粒子を型内成形してなる。具体的には、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とし、ヒンダードアミン系化合物を含み、ポリプロピレン系樹脂の結晶化度が45%以下であり、前記ヒンダードアミン系化合物が下記式(I)で表される構造を有し、前記発泡粒子中の前記ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01質量%以上4質量%以下である、発泡粒子を型内成形してなる。
【化4】

(式(I)中、Xはアルキレン基を示し、Y及びYは、それぞれ独立して、炭化水素基又は酸素原子を介して結合する炭化水素基を示す。)
【0061】
発泡粒子成形体は、発泡粒子の型内成形体であり、前記発泡粒子を型内成形して得られるものであることが好ましい。型内成形法は、発泡粒子を成形型内に充填し、スチーム等の加熱媒体を用いて加熱成形することにより行うことができる。具体的には、発泡粒子を成形型内に充填した後、成形型内にスチーム等の加熱媒体を導入することにより、発泡粒子を加熱して二次発泡させると共に、相互に融着させて成形空間の形状が賦形された発泡粒子成形体を得ることができる。発泡粒子を成形型内に充填する方法としては、公知の方法を採用することができる。発泡粒子の成形型内への充填は、発泡粒子を型内に充填する前に予め型を開いて成形空間を広げておき、充填後に型を閉じることで発泡粒子を圧縮するクラッキング充填法(例えば、特公昭46-38359号公報)、発泡粒子を空気等の加圧気体により予め加圧処理して発泡粒子の気泡内の圧力を高めて、発泡粒子内の圧力を大気圧よりも0.01~0.3MPa高い圧力に調整した後、大気圧下又は減圧下で該発泡粒子を成形型内に充填する加圧充填法(例えば、特公昭51-22951号公報)が挙げられる。また、型内にスチーム等の加熱媒体を供給して発泡粒子を加熱融着させる加圧成形法(例えば、特公昭51-22951号公報)により成形することもできる。また、圧縮ガスにより大気圧以上に加圧した成形型内に、当該圧力以上に加圧した発泡粒子を充填する圧縮充填法(特公平4-46217号公報)により成形型内に充填することもできる。その他に、特殊な条件にて得られる二次発泡力の高い発泡粒子を、大気圧下又は減圧下で成形型のキャビティ内に充填する常圧充填法(特公平6-49795号公報)又は上記の方法を組み合わせた方法(特公平6-22919号公報)などによっても発泡粒子を充填することができる。また、スチーム等を利用した加熱方法として、公知の方法により、一方加熱、逆一方加熱、本加熱等の加熱方法を適宜組み合わせた方法により加熱成形を行うことができる。
【0062】
<密度>
発泡粒子成形体の密度は、軽量であると共に、引張物性に優れる発泡粒子成形体を安定して得る観点から、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは20kg/m以上、更に好ましくは30kg/m以上であり、そして、好ましくは500kg/m以下、より好ましくは200kg/m以下であり、更に好ましくは100kg/m以下であり、更に好ましくは70kg/m以下である。すなわち、発泡粒子成形体の密度は、好ましくは10~500kg/mであり、より好ましくは20~200kg/mであり、更に好ましくは20~100kg/mであり、より更に好ましくは30~100kg/mである。
発泡粒子成形体の密度は、発泡粒子成形体の質量を寸法に基づいて算出される体積で除することにより算出され、実施例に記載の方法によって測定できる。
【0063】
<比(引張強さ/密度)>
発泡粒子成形体の密度に対する、発泡粒子成形体の引張強さの比(引張強さ/密度)は、好ましくは10kPa/[kg/m]以上、より好ましくは13kPa/[kg/m]以上、更に好ましくは15kPa/[kg/m]以上であり、そして、その上限には制限はないが、実用上30kPa/[kg/m]以下であり、好ましくは25kPa/[kg/m]以下である。すなわち、成形体の比(引張強さ/密度)は、好ましくは10~30kPa/[kg/m]であり、より好ましくは13~25kPa/[kg/m]であり、更に好ましくは15~25kPa/[kg/m]である。発泡粒子成形体の密度に対する発泡粒子成形体の引張強さの比が前記範囲であることによって、融着状態が良好で、引張物性に優れると共に、長期にわたる耐候性が安定して発現する成形体となり、好ましい。
発泡粒子成形体の引張強さは、成形体を構成する発泡粒子同士の融着状態と関連し、同じ成形体密度であれば、引張強さが大きいほど、成形体を構成する発泡粒子同士の融着性が高いことを意味する。一方、成形体の引張強さは、成形体の密度にも依存するため、密度に対する発泡粒子成形体の引張強さの比を採用することで、成形体の融着状態を好適に評価できる。
発泡粒子成形体の引張強さは、JIS K 6767:1999に準拠して測定することができ、例えば実施例に記載の方法によって測定することができる。なお、引張強さは、引張試験において、試験片が切断にいたるまでに生じた最大の公称応力を意味する。また、測定された引張強さの値を前記密度の値で除することで密度に対する引張強さの比(単位密度当たりの引張強さ)を算出できる。
【0064】
<引張伸び>
発泡粒子成形体の引張伸びは、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上であり、更に好ましくは20%以上である。また、上限には制限はないが、実用上50%以下であり、好ましくは40%以下である。すなわち、発泡粒子成形体の引張伸びは、好ましくは15%~50%であり、より好ましくは18%~40%であり、更に好ましくは20%~35%である。発泡粒子成形体の引張伸びが前記範囲であることによって、発泡粒子同士の融着状態が良好で、特に成形体の内部の発泡粒子まで良好に融着した成形体となる。その結果として、耐久性に優れる成形体となり、好ましい。
発泡粒子成形体の引張伸びは、JIS K 6767:1999に準拠して測定することができ、例えば実施例に記載の方法によって測定することができる。なお、引張伸びは、引張試験において、試験片が切断した際の試験片の伸び率を意味する。
【0065】
本発明の発泡粒子成形体は、長期にわたる耐候性に優れ、引張物性に優れることから、衝撃吸収材、断熱材及び各種包装材等として、食品の運搬容器、電気・電子部品の包装・緩衝材、自動車用バンパー等の車両用部材、住宅用断熱材等の建築部材、雑貨、家具、スポーツ用品等の用途に用いることができる。
【実施例0066】
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、これらの例によって本発明はなんら限定されるものではない。
【0067】
[測定及び評価]
実施例、比較例に使用したポリプロピレン系樹脂、ヒンダードアミン系化合物、紫外線吸収剤、発泡粒子、発泡粒子成形体について、以下の測定及び評価を実施した。なお、発泡粒子又は発泡粒子成形体の評価は、これらを相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置して状態調節した後に行った。
【0068】
<ポリプロピレン系樹脂>
(結晶化度)
ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、ポリプロピレン系樹脂の融解熱量をポリプロピレンの完全結晶体の融解熱量(207J/g)で除することにより算出した(単位:%)。
ポリプロピレン系樹脂の融解熱量は、JIS K 7122:1987に基づいた、示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより得られるDSC曲線から求めた。具体的には、試験片の状態調節としては「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、試験片を窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で23℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで加熱して、DSC曲線(2回目加熱時のDSC曲線)を得た。得られた2回目加熱時のDSC曲線上の温度80℃での点をαとし、融解終了温度に相当するDSC曲線上の点をβとした。点αと点βの区間におけるDSC曲線と、線分(α-β)とによって囲まれる部分の面積を測定し、これをポリプロピレン系樹脂の融解熱量とした。
【0069】
(融点)
ポリプロピレン系樹脂の融点は、ポリプロピレン系樹脂を試験片として、JIS K 7121:2012に基づいて測定した。具体的には、試験片の状態調節としては「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、試験片を窒素流入量30mL/分の条件下で、10℃/分の加熱速度で23℃から200℃まで加熱してから、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で23℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで加熱して、DSC曲線(2回目加熱時のDSC曲線)を得た。次いで、該DSC曲線における融解ピークの頂点温度を求め、この値をポリプロピレン系樹脂の融点とした。DSC曲線に複数の融解ピークが現れる場合は、ベースラインを基準とした融解ピークの高さが最も高い融解ピークの頂点温度を融点として採用した。
【0070】
(MFR)
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K 7210-1:2014に基づき、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
【0071】
<発泡粒子>
(嵩密度)
発泡粒子の嵩密度は、約500cmの発泡粒子群をメスシリンダー内に充填し、メスシリンダー底面で床面を数度、軽く叩くことにより、メスシリンダー内の発泡粒子群の充填高さを安定させた。メスシリンダーの目盛りが指す発泡粒子群のかさ容積を読み取り、これをV1[L]とした。次に発泡粒子群の質量を測定し、これをW1[g]とした。
発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m]に換算することにより、発泡粒子の嵩密度を求めた。
【0072】
(平均気泡径)
発泡粒子の平均気泡径は、次のように測定した。発泡粒子群から無作為に30個の発泡粒子を選択した。発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割し、一方の断面の拡大写真をそれぞれ撮影した。各断面写真において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、隣接する2線分の成す角が等角度となるように4本の線分を引いた。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを、線分と交差する全気泡数で除することで、各発泡粒子の平均気泡径を求め、これらの値を算術平均することにより、発泡粒子の平均気泡径を求めた。
【0073】
(融解熱量及び高温ピークの融解熱量)
発泡粒子の融解熱量及び高温ピークの融解熱量は、JIS K 7122:1987に準拠した熱流束示差走査熱量測定により測定した。具体的には、発泡粒子約2mgを採取し、示差熱走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製 DSC7020)によって23℃から200℃まで10℃/分で昇温測定を行い、1つ以上の融解ピークを有するDSC曲線を得た。次の説明における樹脂に固有の固有ピークをA、それより高温側に現れる高温ピークをBとする。
該DSC曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度Tに相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線(α-β)を引いた。なお、上記融解終了温度Tとは、高温ピークBにおける高温側の端点であり、高温ピークと、高温側ベースラインとの交点をいう。次に上記の固有ピークAと高温ピークBとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記直線(α-β)と交わる点をδとした。
DSC曲線の高温ピークB部分の曲線と、線分(δ-β)と、線分(γ-δ)とによって囲まれる部分の面積を求め、この面積から高温ピークの融解熱量を算出した。また、DSC曲線の固有ピークA部分の曲線と高温ピークB部分の曲線と、線分(α-β)とによって囲まれる部分の面積を求め、この面積から発泡粒子の融解熱量(全融解熱量)を算出した。異なる3つの試験片に対して、上記発泡粒子の融解熱量及び高温ピークの融解熱量の測定を行い、得られた値の算術平均値を発泡粒子の融解熱量及び高温ピークの融解熱量とした。
【0074】
(結晶化度)
発泡粒子の結晶化度は、発泡粒子の融解熱量(全融解熱量)を、ポリプロピレンの完全結晶体の融解熱量(207J/g)で除することで算出した(単位:%)。
【0075】
(発泡粒子表層部の高温ピークの融解熱量(ΔHs)及び発泡粒子内部の高温ピークの融解熱量(ΔHi))
各実施例及び比較例において、複数の発泡粒子から、発泡粒子の表面から発泡粒子の重心に向かって200μmまでの範囲に含まれる部位を切り出し、約2mgの試料を準備した。この試料を発泡粒子表層部とした。
各実施例及び比較例において、複数の発泡粒子から、前記表層部を含まないように発泡粒子の内部を切り出し、約2mgの試料を準備した。この試料を発泡粒子内部とした。
前記発泡粒子表層部と前記発泡粒子内部のそれぞれを、前記<発泡粒子の融解熱量及び高温ピークの融解熱量>と同様の方法で熱流束示差走査熱量測定を行い、高温ピーク融解熱量を得た。
発泡粒子表層部の高温ピークの融解熱量をΔHs、発泡粒子内部の高温ピークの融解熱量をΔHiとし、ΔHiの0.86倍の値とΔHiの1.2倍の値とを計算し、それぞれをΔHi×0.86及びΔHi×1.2とした。その結果を表1及び2に示す。
【0076】
(スチーム圧範囲(良品を成形可能な成形圧力範囲))
後述の<発泡粒子成形体の製造>の方法で、成形圧(成形スチーム圧)を0.01MPaずつ変化させて発泡粒子成形体を成形し、得られた成形体の融着性、表面外観(間隙=ボイドの度合い)、回復性(型内成形後の膨張又は収縮の回復性)の項目について、型内成形性を評価した。下記で示した基準に達したものを合格とし、全ての項目で合格となったスチーム圧をスチーム圧範囲とした。なお、(G)を付した圧力は、ゲージ圧、つまり、大気圧を基準とした圧力の値である。成形可能なスチーム圧の下限値から上限値までの幅が広いものほど、成形可能範囲が広く、好適である。
【0077】
≪融着性≫
得られた発泡粒子成形体を折り曲げて破断させ、その破断面に存在する発泡粒子の数(C1)と、破壊した発泡粒子の数(C2)とを求めた。上記発泡粒子の数に対する破壊した発泡粒子の数の比率(C2/C1×100)を材料破壊率として算出した。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均した材料破壊率が80%以上であるときを合格とし、80%未満であるときを不合格とした。
【0078】
≪表面外観≫
得られた発泡粒子成形体の中央部に100mm×100mmの正方形を描き、該正方形の一の角から対角線上に線を引き、その線上の1mm×1mmの大きさ以上のボイド(間隙)の数を数えた。ボイドの数が5個未満であり、かつ表面に凹凸がないときを合格とし、それ以外を不合格とした。
【0079】
≪回復性≫
型内成形により得られた縦250mm、横200mm、厚み50mmの平板形状の発泡粒子成形体における、四隅部付近(角より中心方向に10mm内側)の厚みと、中心部(成形体を、縦方向において2等分する線と、横方向において2等分する線との交点部分)の厚みとをそれぞれ計測した。次いで、四隅部付近のうち最も厚みの厚い箇所の厚みに対する中心部の厚みの比(%)を算出した。比が95%以上であるときを合格とし、95%未満を不合格とした。
【0080】
<発泡粒子成形体>
(密度)
発泡粒子成形体の密度は、まず、発泡粒子成形体を、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した。次に、その質量を測定し、これをW[g]とした。次に、発泡粒子成形体の寸法に基づいて、発泡粒子成形体の体積V[cm]を測定した。発泡粒子成形体の質量W[g]を体積Vで割り算し(W/V)、単位を[kg/m]に換算することにより、発泡粒子成形体の密度を求めた。
【0081】
(引張試験)
発泡粒子成形体の引張試験は、JIS K 6767:1999に準拠し、以下の条件で行った。
発泡粒子成形体又は後述する耐候性評価の光照射条件で光を照射した後の発泡粒子成形体から、バーチカルスライサーを用いて、照射面側の表皮部分のみが残るようにして切り出し片を作製した。この切り出し片から、打ち抜き金型を用いてダンベル状1号形(標線間距離40mm、幅10mm、厚み10mm)の試験片を作製した。試験片に対して、500mm/分の引張速度で引張試験を実施し、その間の最大荷重及び切断時の標線間距離を測定した。引張試験における最大公称応力を引張強さとし、試験片の破断時の伸び([切断時の標線間距離-試験前の標線間距離]÷試験前の標線間距離×100)を引張伸びとした。なお、測定装置としては、テンシロン万能試験機(株式会社オリエンテック製)を用いた。また、密度あたりの引張強さ(発泡粒子成形体の密度に対する発泡粒子成形体の引張強さの比[引張強さ/密度])は、最大引張強さを前記密度で除して求めた。
【0082】
(耐候性評価)
JIS K 7350-2:2008に準拠して下記の条件で成形体に光を照射した。光照射後の成形体に対して、引張試験による引張物性(引張強さ、引張伸び、密度あたりの引張強さ)を測定すること及び外観の変化(光照射前と光照射後の変化)を観察することにより、発泡粒子成形体の耐候性を評価した。
≪光照射条件≫
使用装置:アイ スーパー キセノンテスター XER-W83 岩崎電気株式会社製
光源:キセノンアークランプ
フィルター:インナーフィルター:石英ガラス、アウターフィルター:硼珪酸ガラス
放射照度:120W/m
放射時間:330時間(太陽光0.5年相当)、又は1980時間(太陽光3年相当)
ブラックパネル温度:63℃
噴霧サイクル:120分間中18分水噴霧(102分光照射後、18分光照射及び水噴霧)
槽内湿度:50%
試験片サイズ:150×70×10mm
【0083】
≪外観評価≫
上記のとおり光を照射した発泡粒子成形体について、光照射前の成形体の外観を標準品として、次の基準で評価を行った。
A:外観の変化なし。また、成形体表面に触れた際に手に粉の付着が認められない。
B:目視では外観の変化を確認できないが、成形体表面に触れた際に、樹脂の粉化により発生した粉が手に付着する。
C:明らかな樹脂の粉化(チョーキング)が見られる又は、成形体表面に触れた際に、樹脂の粉化により発生した粉が著しく手に付着する。
【0084】
[原料]
実施例及び比較例において使用した原料を次に示す。
【0085】
<ポリプロピレン系樹脂>
・PP1:エチレン-プロピレン-ブテンランダム共重合体、エチレンの含有量4.3質量%、ブテンの含有量3.0質量%、結晶化度38%、融点140℃、MFR7g/10分
・PP2:エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレンの含有量3.1質量%、結晶化度36%、融点141℃、MFR7g/10分
・PP3:エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレンの含有量3.4質量%、結晶化度30%、融点139℃、MFR7g/10分
・PP4:プロピレン単独重合体、結晶化度50%、融点162℃、MFR18g/10分
【0086】
<ヒンダードアミン系化合物>
・HALS1:NOR型ヒンダードアミン、商品名「Tinuvin123」、BASF社製、分子量737、式(I)中、Xはオクチレン基を示し、Y及びYは、それぞれ酸素原子を介して結合するオクチル基を示す。
【化5】

・HALS2:NR型ヒンダードアミン、商品名「Tinuvin765」、BASF社製、分子量509、式(I)中、Xはオクチレン基を示し、Y及びYは、それぞれメチル基を示す。
【化6】

・HALS3:NH型ヒンダードアミン、商品名「Tinuvin770」、BASF社製、分子量481、式(I)中、Xはオクチレン基を示し、Y及びYは、それぞれ水素原子を示す。
【化7】

・HALS4:NH型ヒンダードアミン、商品名「Uvinul4050」、BASF社製、分子量451
【化8】

・HALS5:NH型ヒンダードアミン、商品名「Chimassorb944」、BASF社製、ポリスチレン換算数平均分子量2550
【化9】
【0087】
<紫外線吸収剤>
・UVA1:ベンゾエート系紫外線吸収剤、商品名「Tinuvin120」、2,4-ジ-t-ブチルフェニル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、BASF社製、分子量439、融点195℃
【化10】

・UVA2:トリアジン系紫外線吸収剤、商品名「Tinuvin1577」、2-[4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、BASF社製、分子量426、融点148℃
【化11】

・UVA3:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、商品名「Tinuvin326」、2-t-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、BASF社製、分子量316、融点140℃
【化12】

・UVA4:UVA1とUVA2との混合物(UVA1:UVA2=1:1)
【0088】
[発泡粒子の製造]
実施例1~9、比較例2~9
下流側にストランド形成用ダイを付設した、内径26mmの押出機を用意した。押出機に、表1又は2に示す樹脂、表1又は2に示すヒンダードアミン系化合物、気泡調整剤としてホウ酸亜鉛(個数基準の算術平均粒子径:7μm)、カーボンブラック(ファーネスブラック、一次粒径:15nm)を供給し、溶融混練して樹脂溶融物を形成した。なお、発泡粒子中のホウ酸亜鉛の含有量が500質量ppm、発泡粒子中の無機顔料としてのカーボンブラックの含有量が表1又は2に示す含有量、発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量が表1又は2に示す含有量となるように、各添加剤を供給した。
得られた樹脂溶融物をストランド形成用ダイからストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーにて切断し、1個当たりの平均質量が1.0mgの円柱状の樹脂粒子を得た。
5Lの密閉容器内に、前記樹脂粒子500g、分散媒としての水3.5L、分散剤としてカオリン3g、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:ネオゲン、第一工業製薬株式会社製)0.2gを仕込んだ。
次に、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、ゲージ圧で2.5MPa(G)となるまで加圧した。次に、密閉容器の内容物を撹拌しながら、2℃/分の昇温速度で発泡温度(146℃)まで加熱昇温した。更に同温度で15分間保持した。保持温度、保持時間によって高温ピーク熱量(DSC測定による吸熱曲線から得られる)を調整できる。その後、密閉容器の内容物を大気圧下に放出して発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の物性等の測定結果を表1又は2に示す。なお、表1及び2中の「スチーム圧範囲」とは、上述した評価方法に基づき、発泡粒子の型内成形性に優れ、良品が得られる圧力の範囲を意味する。
[発泡粒子成形体の製造]
発泡粒子を、縦250mm×横200mm×厚さ50mmの平板を成形可能な金型に充填して、以下の加熱方法で加熱を行った。まず、金型の両面に設けられたドレン弁を開放した状態で当該金型にスチームを供給して予備加熱(排気工程)を行った。その後、金型の一方側からスチームを供給して加熱し、さらに金型の他方側からスチームを供給して加熱を行った。続いて、所定の成形加熱スチーム圧力で、金型の両側からスチームを供給して加熱した(本加熱)。本加熱終了後、放圧し、金型の成形面に生じる圧力が0.04MPa(G)になるまで水冷した後、金型を開放し発泡粒子成形体を取り出した。得られた成形体を80℃のオーブン中で12時間養生し、発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子成形体の物性等の測定結果を表1又は2に示す。結晶化度が比較的低いポリプロピレン系樹脂を用いた実施例1~4、比較例2~4及び比較例7~9においては、添加したヒンダードアミン系化合物の種類によって、発泡粒子のスチーム圧範囲が異なっており、式(I)で表される構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有する実施例1~4の発泡粒子は、式(I)で表される構造を有しないヒンダードアミン系化合物を含有する比較例2~4及び比較例7~9の発泡粒子に比べ、スチーム圧範囲が広く、型内成形性に優れていた。
【0089】
実施例10~15
表1に示す紫外線吸収剤を表1に示す含有量となるように添加した以外は実施例1と同様にして発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の物性等の測定結果を表1に示す。
【0090】
実施例16
実施例1の発泡工程の操作後に、以下の二段発泡工程を行った。加圧可能な密閉容器に、実施例1の発泡工程で得られた発泡粒子を60℃12時間養生した後の発泡粒子(以下、一段発泡粒子という)を充填し、当該密閉容器内の圧力を常圧(大気圧)から上昇させて発泡粒子を0.6MPa(G)まで加圧した。発泡粒子を加圧した状態を12時間維持して発泡粒子の気泡内の圧力を高めた。その後、密閉容器から一段発泡粒子を取り出し、発泡粒子の気泡の内圧が0.5MPa(G)である一段発泡粒子を得た。その後、この一段発泡粒子を二段発泡装置に供給した。該装置内にスチームを供給して一段発泡粒子を発泡させて、嵩密度27kg/mの発泡粒子(二段発泡粒子)を得た。得られた発泡粒子の物性等の測定結果を表1に示す。
得られた発泡粒子を加圧可能な密閉容器に入れて加圧し、気泡内の圧力を0.05MPa(G)まで高めた。実施例1で用いた発泡粒子にかえてこの発泡粒子を用いた以外は実施例1と同様の方法で型内成形を行い、発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子成形体の物性等の測定結果を表1に示す。
【0091】
実施例17
表1に示す紫外線吸収剤を表1に示す含有量となるように添加した以外は実施例16と同様にして発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の物性等の測定結果を表1に示す。
【0092】
比較例1
ヒンダードアミン系化合物を用いなかった以外は実施例1と同様にして発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の物性等の測定結果を表2に示す。なお、得られた発泡粒子成形体に光を1980時間(太陽光3年相当)照射したところ、サンプルが崩壊し、測定及び評価を行えなかった。
【0093】
比較例10~14
[発泡粒子の製造]
前記押出機に、表2に示す樹脂、表2に示すヒンダードアミン系化合物、気泡調整剤としてホウ酸亜鉛及びカーボンブラック含有マスターバッチ(エチレン-プロピレンゴム(エチレン成分60重量%):カーボンブラック=60:40)を供給し、溶融混練して樹脂溶融物を形成した。なお、発泡粒子中のホウ酸亜鉛の含有量が500質量ppm、発泡粒子中の無機顔料としてのカーボンブラックの含有量が3質量%、発泡粒子中のヒンダードアミン系化合物の含有量が表2に示す含有量となるように、各添加剤を供給した。
得られた樹脂溶融物をストランド形成用ダイからストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷した後、ペレタイザーにて切断し、1個当たりの平均質量が1mgの円柱状の樹脂粒子を得た。
5Lの密閉容器内に、前記樹脂粒子500g、分散媒としての水3.5L、分散剤としてカオリン3g、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「ネオゲン」、第一工業製薬株式会社製)0.2g、分散助剤として硫酸アルミニウム0.05g、有機過酸化物としてビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート5gを仕込んだ。次に、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、ゲージ圧で2.5MPa(G)となるまで加圧すると共に、密閉容器の内容物を撹拌しながら、2℃/分の昇温速度で発泡温度(167℃)まで加熱昇温した。さらに、同温度で15分間保持した。その後、密閉容器の内容物を大気圧下に放出して発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を水洗し遠心分離機にかけた後、温度23℃の大気圧下に48時間放置して養生した。得られた発泡粒子の物性等の測定結果を表2に示す。なお、表2中の「スチーム圧範囲」とは、上述した評価方法に基づき、発泡粒子の型内成形性に優れ、良品が得られる圧力の範囲を意味する。
なお、比較例10~14では、低い成形圧力条件(具体的には、スチーム圧力が0.32MPa(G)以下の条件)では良好な型内成形体を得ることはできなかった。
また、結晶化度が比較的高いポリプロピレン系樹脂を用いた比較例10~14においては、添加したヒンダードアミン系化合物の種類によらず、発泡粒子のスチーム圧範囲は同じであった。
[発泡粒子成形体の製造]
発泡粒子成形体は、実施例1と同様にして得た。得られた発泡粒子成形体の物性等の測定結果を表2に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
表1及び2に示す結果から、実施例の発泡粒子は、低い成形圧力条件であっても型内成形性に優れ、広い成形圧力範囲において良好な発泡粒子成形体を製造可能であることがわかる。また、実施例の発泡粒子成形体は、引張試験における引張伸びや引張強さといった引張物性に優れ、更に太陽光を約3年間照射したことに相当する条件での耐候性試験においても、引張物性を維持し、外観の変化もないことがわかる。このことから、本発明の発泡粒子は、長期にわたる耐候性に優れ、引張物性に優れる発泡粒子成形体を作製でき、本発明の発泡粒子成形体は、長期にわたる耐候性に優れ、引張物性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係る発泡粒子成形体は、長期にわたる耐候性に優れ、引張物性に優れることから、衝撃吸収材、断熱材及び各種包装材等として、食品の運搬容器、電気・電子部品の包装・緩衝材、自動車用バンパー等の車両用部材、住宅用断熱材等の建築部材、雑貨、家具、スポーツ用品等の用途に用いることができる。