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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033787
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】媒体排出装置および記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/00 20060101AFI20240306BHJP
   B65H 31/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137616
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中田 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 当成
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 正人
(72)【発明者】
【氏名】丸山 克己
(72)【発明者】
【氏名】穴田 洋一
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC05
3F054BB12
3F054BB15
3F054BJ02
(57)【要約】
【課題】小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる媒体排出装置を提供する。
【解決手段】第1方向に向かって開口する凹部を有する筐体と、前記凹部内に開口し、記録部により記録が行われた媒体が前記第1方向に向かって排出される排出口と、前記凹部内に設けられ、前記排出口から排出された前記媒体の重心位置よりも前記第1方向において上流である付与位置に力を付与することで、前記媒体を前記第1方向に向かわせる媒体移動部と、を備える媒体排出装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に向かって開口する凹部を有する筐体と、
前記凹部内に開口し、記録部により記録が行われた媒体が前記第1方向に向かって排出される排出口と、
前記凹部内に設けられ、前記排出口から排出された前記媒体の重心位置よりも前記第1方向において上流である付与位置に力を付与することで、前記媒体を前記第1方向に向かわせる媒体移動部と、
を備える媒体排出装置。
【請求項2】
前記媒体移動部は、前記凹部の開口よりも前記排出口に近い位置において前記凹部の下方から上方に突出可能な突出部を有し、
前記突出部は、前記付与位置に接触することで前記媒体を前記第1方向に向かわせる、
請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記突出部の少なくとも一部は、前記第1方向に向かって下方に傾斜する傾斜部を有する、
請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記排出口から排出された前記媒体を受容可能な受容部を更に備え、
前記受容部は、
前記凹部の底面の少なくとも一部を構成する第1受容部と、
前記第1受容部に収納される収納位置と、少なくとも一部が前記第1受容部から前記第1方向に突出する支持位置と、の間で変位可能な第2受容部と、を有し、
前記突出部は、前記第2受容部の変位に連動して、前記凹部の底面から突出する位置である突出位置と、前記突出位置から下方に退避した位置である退避位置と、の間を移動する
請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記突出部は、
前記第2受容部の前記支持位置から前記収納位置への変位に連動して、前記退避位置から前記突出位置に移動し、
前記第2受容部の前記収納位置から前記支持位置への変位に連動して、前記突出位置から前記退避位置に移動する、
請求項4に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
前記媒体移動部は、前記凹部の底面より下方に設けられる回転軸を中心に回転することで、前記媒体の後端を前記第1方向に押圧する押圧部を有する、
請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
前記媒体移動部は、前記排出口から排出された前記媒体を前記第1方向に搬送する搬送ベルトを有する、
請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項8】
前記媒体移動部は、前記排出口から排出された前記媒体に対して、第1方向成分を有する方向に空気を排出する空気排出部を有する、
請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項9】
前記媒体移動部は、前記第1方向に向かって下方に傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記凹部の底面の少なくとも一部に設けられる
請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項10】
前記媒体に記録を行う記録部と、
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の媒体排出装置と、を備え、
前記記録部は、前記筐体内に収容される、
記録装置。
【請求項11】
前記記録部は、前記媒体に液体を吐出することで前記記録を行う液体吐出部を有する、
請求項10に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体排出装置および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能およびファクシミリ機能等の複数の機能を備えたマルチファンクションタイプのインクジェットプリンターでは、画像読取部をプリンターの装置の上部に配置している場合が多い。このようなプリンターでは、排紙部を装置の上部に設けることができず、排紙部を装置の前面あるいは側面に突出させて設けている。しかし、装置の前面あるいは側面に突出した排紙部は、装置の設置面積の増大を招き、近年の省スペース化および小型化の要求に相反してしまう。
【0003】
そこで、装置の前面あるいは側面に排紙用の内部空間を形成し、設置面積を低減させたプリンターが提供されている。
また、コンシューマー用途のプリンターでは、装置のさらなる小型化が求められており、排紙用の内部空間の開口面積は非常に小さくなっている。
【0004】
特許文献1には、排紙された小サイズの用紙を取り出し易くするために、用紙が載ったトレイを引き出して本体の前面より用紙を露出させる方式が記載されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-129534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された方式のように、小型化のために排紙部を前面に対してより奥まった位置に配置したプリンターでは、ユーザーは、小サイズの用紙が排紙されたかどうかを確認するために排紙部の内側を覗き込まなければならなかった。
例えば、従来のプリンターでは、ユーザーにとって、小サイズの用紙が排出されたか否かを把握しづらく、それを把握できたとしても用紙を取り出すためにはユーザーがトレイを引き出す必要があった。
また、近年、無線LAN(Local Area Network)経由で接続されるプリンターが増えているため、プリンターから離れた位置からユーザーが、印刷が成功して正しく排紙されたかどうかを確認することができるように構成することが望まれていた。
このように、小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることが要求されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、第1方向に向かって開口する凹部を有する筐体と、前記凹部内に開口し、記録部により記録が行われた媒体が前記第1方向に向かって排出される排出口と、前記凹部内に設けられ、前記排出口から排出された前記媒体の重心位置よりも前記第1方向において上流である付与位置に力を付与することで、前記媒体を前記第1方向に向かわせる媒体移動部と、を備える媒体排出装置である。
【0008】
一態様は、前記媒体に記録を行う記録部と、前記媒体排出装置と、を備え、前記記録部は、前記筐体内に収容される、記録装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るプリンターの概略的な構成例を示す全体斜視図である。
図2】実施形態に係るプリンターを断面化して右側面から見た視点での図である。
図3】実施形態に係るプリンターから媒体が排出された様子の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る支持位置にある排紙トレイの上面側の外観斜視図である。
図5】実施形態に係る支持位置にある排紙トレイを断面化して右側面から見た視点での図である。
図6】実施形態に係る支持位置にある排紙トレイの下面側の外観斜視図である。
図7】実施形態に係る収納位置にある排紙トレイの上面側の外観斜視図である。
図8】実施形態に係る収納位置にある排紙トレイを断面化して右側面から見た視点での図である。
図9】実施形態に係る収納位置にある排紙トレイの下面側の外観斜視図である。
図10】実施形態に係る支持位置と収納位置との間にある排紙トレイを断面化して右側面から見た視点での図である。
図11A】実施形態の変形例に係る第2A媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図11B】実施形態の変形例に係る第2B媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図11C】実施形態の変形例に係る第2C媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図12】実施形態の変形例に係る第3媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図13】実施形態の変形例に係る第4媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図14】実施形態の変形例に係る第5媒体移動部の外観斜視図である。
図15】実施形態の変形例に係る第6媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図16】実施形態の変形例に係る第7媒体移動部を断面化して右側面から見た視点での図である。
図17】実施形態の変形例に係る第8媒体移動部の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係るプリンター1の概略的な構成例を示す全体斜視図である。
図1には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
本実施形態では、プリンター1の前面からプリンター1を見た視点で、X軸の正方向を左の方向とし、X軸の負方向を右の方向とし、Y軸の正方向を手前の方向とし、Y軸の負方向を奥の方向とし、Z軸の正方向を上の方向とし、Z軸の負方向を下の方向として、説明する。
ここで、本実施形態では、上から下に向かう方向は、重力の方向であり、鉛直下向きの方向であるとする。
なお、これらの方向の定義は説明の便宜上のものであり、例えば、左右が逆に捉えられる等してもよい。
【0012】
図1には、説明の便宜上、第1方向D1を示してある。
本実施形態では、第1方向D1は、プリンター1の奥側から手前側に向かう方向であり、Y軸の負側から正側に向かう方向である。
本実施形態では、プリンター1において、印刷後の媒体が排出される側が手前側であるとし、その反対側が奥側であるとしている。
なお、手前側は前面側などと呼ばれてもよく、奥側は背面側などと呼ばれてもよい。
【0013】
本実施形態では、プリンター1は、インクジェットプリンターである。
本実施形態では、プリンター1は、ドキュメントフィーダーと、図示を省略したスキャナーと、を有しており、複合機とも呼ばれる。
本実施形態では、媒体として、印刷対象となる用紙が用いられる。用紙は、紙、記録用紙、あるいは、記録紙などと呼ばれてもよい。
【0014】
プリンター1は、概略的な構成として、筐体11と、底部21と、第1凹部111と、排紙トレイ411と、を備える。
筐体11は、第1方向D1に向かって開口する第1凹部111を有する。第1凹部111は、排出用の内部空間であり、媒体が排出される空間である。プリンター1の筐体11における前面から媒体が排出される箇所が、第1凹部111に繋がっている開口部となっている。
本実施形態では、プリンター1の底の部分を構成する底部21の上方に、第1凹部111が形成されている。底部21は、例えば、プリンター1が設置される床あるいはテーブルなどに設置される。
【0015】
排紙トレイ411は、複数の部品から構成されており、メインの排紙トレイ部分となる第1メイン排紙トレイ431と、サブの排紙トレイ部分となるサブ排紙トレイ432と、を有する。
【0016】
ここで、排紙トレイ411は受容部の一例であり、第1メイン排紙トレイ431は第1受容部の一例であり、サブ排紙トレイ432は第2受容部の一例である。
なお、このようなメインとサブという呼び方は、説明の便宜上の区別であり、それぞれ他の名称で呼ばれてもよい。
【0017】
図2は、実施形態に係るプリンター1を断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図2には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
本実施形態では、プリンター1は、媒体排出装置31と、記録部32と、を備えている。
【0018】
媒体排出装置31は、概略的に、紙送りローラー151と、第1排紙ローラー152と、第2排紙ローラー153と、プラテン171を備える。
媒体排出装置31では、図示を省略したカセットから媒体が搬出されて、当該媒体が紙送りローラー151、プラテン171、第1排紙ローラー152、第2排紙ローラー153を経由して、排出口112から、およそ第1方向D1に搬送されながら排出される。媒体排出装置31は、このような媒体の搬送および排出を行う図示を省略した駆動部を備える。
排出口112は、第1凹部111の内に開口している。記録部32による印刷によって画像の記録が行われた媒体が排出口112からおよそ第1方向D1に向かって排出される。
【0019】
記録部32は、筐体11の内に収容されている。記録部32は、媒体に記録を行う。
本実施形態では、記録部32は、液体吐出部211を備えている。
液体吐出部211は、媒体に液体を吐出することで記録を行う。本実施形態では、当該液体はインクである。
記録部32は、プラテン171の付近に位置する媒体に対して、液体吐出部211からインクを吐出させることで、当該媒体に印刷画像を形成する。
【0020】
排紙トレイ411は、排出口112から排出された媒体を受容可能な受容部として機能する。
排紙トレイ411の第1メイン排紙トレイ431は、第1凹部111の底面の少なくとも一部を構成する。
排紙トレイ411のサブ排紙トレイ432は、第1メイン排紙トレイ431に収納される収納位置と、少なくとも一部が第1メイン排紙トレイ431から第1方向D1に突出する支持位置と、の間で変位可能である。
サブ排紙トレイ432が支持位置にある状態では、サブ排紙トレイ432は第1メイン排紙トレイ431に対して手前側に延長された状態となる。
本実施形態では、ユーザーが手動でサブ排紙トレイ432を手前側に引き出すことで支持位置に変位させられ、ユーザーが手動でサブ排紙トレイ432を奥側に押し込むことで収納位置に変位させられる。他の例として、支持位置と収納位置との変位が、プリンター1による電動で行われてもよい。
なお、図1に示されるプリンター1の状態では、サブ排紙トレイ432は収納位置にある状態である。
【0021】
排紙トレイ411は、第1媒体移動部131を備える。図2の例では、第1媒体移動部131の概略的な配置を示してあり、詳細な図示を省略してある。
第1媒体移動部131は、第1凹部111の内に設けられている。
第1媒体移動部131は、排出口112から排出された媒体の重心位置よりも第1方向D1において上流である付与位置に力を付与することで、当該媒体を第1方向D1に向かわせる構成を有する。
ここで、本実施形態では、上流は、第1方向D1とは逆の方向を表しており、Y軸の正側から負側に向かう方向を表している。また、下流は、第1方向D1と同じ方向を表しており、Y軸の負側から正側に向かう方向を表している。
【0022】
図2の例では、説明の便宜上、排出口112から排出された第1媒体P1を示してある。
第1媒体P1は、L判のような小さいサイズの紙である。
【0023】
図3は、実施形態に係るプリンター1から媒体が排出された様子の一例を示す図である。
図3には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
図3の例では、説明の便宜上、支持位置にある排紙トレイ411のサブ排紙トレイ432に排出された第2媒体P21を示してある。
第2媒体P21は、L判よりも大きいサイズの紙であり、例えば、A4サイズのような普通紙である。
【0024】
サブ排紙トレイ432は、手前側に、排紙された媒体を停止させる排紙ストッパーとなる蓋部471を有している。蓋部471による排紙ストッパーは、左右方向に平行な平面状の形状を有しており、サブ排紙トレイ432が支持位置にある状態で、平面状の部分が第1方向D1に向かって下方から上方に傾く。当該排紙ストッパーは、排紙された媒体が下方に落下することを防止する。
【0025】
図4図10を参照して、排紙トレイ411および第1媒体移動部131について、より詳しい構成を説明する。
なお、本実施形態では、排紙トレイ411が第1媒体移動部131を備える構成を示すが、他の例として、排紙トレイ411と第1媒体移動部131とは別体であると捉えられてもよい。
【0026】
図4は、実施形態に係る支持位置にある排紙トレイ411の上面側の外観斜視図である。
図5は、実施形態に係る支持位置にある排紙トレイ411を断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図6は、実施形態に係る支持位置にある排紙トレイ411の下面側の外観斜視図である。
図7は、実施形態に係る収納位置にある排紙トレイ411の上面側の外観斜視図である。
図8は、実施形態に係る収納位置にある排紙トレイ411を断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図9は、実施形態に係る収納位置にある排紙トレイ411の下面側の外観斜視図である。
図10は、実施形態に係る支持位置と収納位置との間の状態にある排紙トレイ411を断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
【0027】
図4図10には、それぞれ、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
図8には、説明の便宜上、第1媒体P1も示してある。
図10は、排紙トレイ411が支持位置と収納位置との間で変位する途中の状況を示してある。
ここで、本実施形態では、説明の便宜上、排紙トレイ411の上方から排紙トレイ411を見る視点で見える面を上側面と呼んでおり、排紙トレイ411の下方から排紙トレイ411を見る視点で見える面を下側面と呼んでいる。
【0028】
図4図10を参照して説明する。
第1媒体移動部131は、突出部311と、突起状の第1レバー341と、を備える。
突出部311は、第1移動部材321と、回転部材322と、支持部材323と、第1軸部材331と、第2軸部材332と、を備える。
また、第1メイン排紙トレイ431は、左右方向の中央またはその付近で奥の方の位置に、第1方向D1と平行またはほぼ平行に伸びる孔部であるレール351を備えている。
【0029】
ここで、本実施形態では、突出部311と第1レバー341とが別の部材であるとして説明するが、他の例として、第1レバー341が突出部311に含まれると捉えられてもよい。
また、本実施形態では、第1媒体移動部131がレール351を含まない構成であるとして説明するが、他の例として、第1媒体移動部131がレール351を含むと捉えられてもよい。
【0030】
第1移動部材321は、レール351に嵌められており、レール351に沿って手前方向および奥方向に移動することが可能である。
概略的に平行な2本の棒状の形状を有する第1レバー341の一端と、第1移動部材321とが固定的に接続されている。
第1移動部材321と、概略的に平行な2本の棒状の形状を有する第1軸部材331の一端とが固定的に接続されている。
ここで、第1レバー341の一端から他端へは、第1移動部材321の延びる方向とは異なる方向に延びている。
第1軸部材331の他端と、回転部材322とが、回転部材322を左右方向に貫く中心軸を中心にして相対的に回転可能に、接続されている。概略的に平行な2本の棒状の形状を有する第2軸部材332の一端と、回転部材322とが、当該中心軸を中心にして相対的に回転可能に、接続されている。
支持部材323は、排紙トレイ411の奥側の面に固定されている。
支持部材323と、第2軸部材332の他端とが、支持部材323を左右方向に貫く中心軸を中心にして相対的に回転可能に、接続されている。
【0031】
ここで、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431にしまい込まれた収納位置では、サブ排紙トレイ432の奥側の一部が第1レバー341を奥側に押すことで、第1移動部材321がレール351の奥側に移動して、突出部311が突出するように、構成されている。
突出部311が突出した状態では、第1移動部材321と支持部材323とを結ぶ線に対して、回転部材322が上方に突出する。これにより、当該線と、第1軸部材331に沿った線と、第2軸部材332に沿った線と、で三角形が形成される。当該三角形が形成された状態において、当該三角形の上方の頂点となる回転部材322の位置は、排出口112の位置よりも、低い位置になるように構成されている。
この状態では、第1軸部材331は、回転部材322から第1移動部材321に向かって、上方から下方へ傾斜する。本実施形態では、この傾斜の部分を第1傾斜部312とも呼ぶ。
【0032】
一方、本実施形態では、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431から引き出された支持位置では、第1移動部材321がレール351の手前側に移動するように構成されている。
本実施形態では、バネなどの弾性体によって奥側から手前側に向かう力を第1移動部材321に付勢する構成が用いられているが、他の任意の構成が用いられてもよい。
本実施形態では、サブ排紙トレイ432の支持位置では、第1軸部材331および第2軸部材332はレール351の上面と直線状に並ぶが、例えば、第1軸部材331および第2軸部材332がレール351の上面から少し上方に突出するなどのように、他の構成が用いられてもよい。
【0033】
本実施形態では、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431に格納される途中で、図10に示されるように、サブ排紙トレイ432の奥側の後端が第1レバー341を押し始め、これにより、第1傾斜部312の面が傾斜するように立ち上がり始める。
そして、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431に格納されると、図7および図8に示されるように、第1傾斜部312の斜面が立ち上がる。サブ排紙トレイ432の収納時には、サブ排紙トレイ432は第1メイン排紙トレイ431の下側に配置される。
本実施形態では、第1傾斜部312の面により、第1方向D1について、小さいサイズの媒体の排出距離を増やすことが実現されている。
【0034】
このように、本実施形態では、第1媒体移動部131は、リンク機構を有している。
第1媒体移動部131は、当該リンク機構により、突出部311を有する。
また、突出部311は、第1傾斜部312を備える。
突出部311は、第1凹部111の開口よりも排出口112に近い位置において第1凹部111の下方から上方に突出可能である。
突出部311は、重力で落下する第1媒体P1の付与位置H1に接触することで、第1媒体P1を第1方向D1に向かわせる。
ここで、突出部311が下方から上方に突出する態様としては、例えば、真下から真上に突出する態様が用いられてもよく、あるいは、斜め上の向きに突出する態様が用いられてもよい。
【0035】
図8の例では、説明の便宜上、排出口112から排出された第1媒体P1を示してある。
第1媒体P1は、L判のような小さいサイズの紙である。
図8の例では、第1媒体移動部131は、排出口112から排出された第1媒体P1の重心G1の位置よりも第1方向D1において上流である付与位置H1に対して、接触による力を付与することで、第1媒体P1を第1方向D1に向かわせる。
本実施形態では、第1媒体P1は均一な長方形の用紙であり、重心G1の位置は当該用紙の長方形の中心位置である。
【0036】
突出部311は、サブ排紙トレイ432の変位に連動して、第1凹部111の底面から突出する位置である突出位置と、当該突出位置から下方に退避した位置である退避位置と、の間を移動する。
突出部311は、サブ排紙トレイ432の支持位置から収納位置への変位に連動して、退避位置から突出位置に移動する。
また、突出部311は、サブ排紙トレイ432の収納位置から支持位置への変位に連動して、突出位置から退避位置に移動する。
【0037】
ここで、突出部311は、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431に収容された収納位置にある状態で、突出する。
この状態で、突出部311の山の頂点が、第1媒体P1の付与位置H1に接触する。
また、この状態で、突出部311の少なくとも一部は、第1方向D1に向かって下方に傾斜する第1傾斜部312を有することになる。
【0038】
なお、第1傾斜部312の斜面となる上面は、滑り易い構成とされてもよい。
例えば、第1傾斜部312の斜面となる上面は、他の部分よりも摩擦係数が小さい材質で構成されてもよい。
一例として、第1傾斜部312または少なくとも当該上面の材質として、摩擦係数が小さい材質が用いられる。
他の例として、当該上面に対して、その上側に、摩擦係数が小さい材質のシート部材が貼り付け等により設けられてもよい。
摩擦係数が小さい材質としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、フッ素樹脂(PTFE)、あるいは、ポリエチレン(PE)などが用いられてもよい。
【0039】
また、別の構成例として、第1傾斜部312の斜面となる上面に、1個または2個以上の回転可能なコロが備えられてもよい。
また、別の構成例として、第1傾斜部312の斜面となる上面において、その表面に複数の凸部を設けて、当該表面と媒体との接触面積を小さくして抵抗を小さくすることで、摩擦係数を小さくする構成が用いられてもよい。
【0040】
一方、当該斜面は、サブ排紙トレイ432が引き出された状態で第1メイン排紙トレイ431に格納可能な形状となっており、大きいサイズの媒体を排出する場合には第1メイン排紙トレイ431に格納される。
図2および図8の例では、第2排紙ローラー153の下方において、排紙トレイ411の根本にある回転軸を中心に、リンクを2箇所持つことで断面が三角形になったスロープが突出部311として立ち上がる。例えば、L判の用紙は、第1方向D1において短いため、第2排紙ローラー153から略水平方向に排出された後、出現した三角形のスロープの頂点に支えられて排紙される。
その後、当該用紙の奥側の後端が第2排紙ローラー153から外れた際には、当該三角形のスロープより前方に当該用紙の重心があるように構成することで、当該用紙は第1傾斜部312の斜面に沿って滑り落ちる。
この結果、当該三角形の底辺と同じ長さの分だけ排紙位置が前方に移動する。これにより、印刷後の媒体が、プリンター1において見易い位置に搬送される。
【0041】
サブ排紙トレイ432は、最も手前側に、平面状の蓋部471を有している。
サブ排紙トレイ432において、蓋部471は、他の部分に対して、左右に平行な軸を中心軸として、所定の角度の範囲で回転可能である。
第1メイン排紙トレイ431は、最も手前側に、サブ排紙トレイ432の蓋部471が嵌合する蓋受け部472を有している。蓋受け部472は、第1メイン排紙トレイ431の最も手前側において、左右の中央を含む所定の範囲の部分であり、蓋部471と嵌合する空隙の部分である。
【0042】
図7に示されるように、収納位置において、サブ排紙トレイ432の蓋部471は、第1メイン排紙トレイ431の蓋受け部472と嵌合する。
収納位置から支持位置へ変位する場合、例えばユーザーによって蓋部471が持たれて、サブ排紙トレイ432が手前側に引き出され、蓋部471が他の部分から開かれるように回転させられる。
図4に示されるように、支持位置において、サブ排紙トレイ432の蓋部471は、他の部分に対して所定の角度傾いた位置にある。当該所定の角度は、例えば、90度未満の角度である。
支持位置から収納位置へ変位する場合、例えばユーザーによって蓋部471が奥側に押し込まれ、そして、蓋部471が第1メイン排紙トレイ431の方に閉じられるように回転させられる。
本実施形態では、蓋部471は、ユーザーによってサブ排紙トレイ432の把手のように扱われてもよい。
【0043】
ここで、本実施形態では、蓋部471の面の形状と、当該蓋部471が嵌合する蓋受け部472の面の形状とは、ほぼ同じ形状である。当該形状は、図4および図7に示されるように、第1メイン排紙トレイ431を上方から、手前側を上にして奥側を下にして見る視点で、U字型の形状である。
このように、収納位置において第1メイン排紙トレイ431の一部である蓋受け部472を埋めるサブ排紙トレイ432の蓋部471がU字型に構成されることで、支持位置において、L判のように小さいサイズの紙が収まる幅の段差E1が形成される。この段差E1により、小さいサイズの媒体が手前側に移動し易くなる。
なお、他の構成例として、蓋部471の面の形状および蓋受け部472の面の形状は、U字型以外の形状であってもよい。例えば、蓋部471の面の形状および蓋受け部472の面の形状は、U字型以外の形状と比べて、小さいサイズの形状であってもよい。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るプリンター1では、第1媒体移動部131によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、本実施形態に係るプリンター1では、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
本実施形態では、小サイズの媒体に専用の突出部311および第1傾斜部312によって、排出口112から排出された媒体をより前方に移動し易くすることができる。
本実施形態に係るプリンター1では、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431に対して収納位置と支持位置とで変位可能であり、収納位置にある小サイズの媒体に適した状態において突出部311を突出させることができる。
なお、第1媒体移動部131は、例えば、電動の駆動部が不要な構成とすることが可能である。
【0045】
また、本実施形態に係るプリンター1では、例えば、サブ排紙トレイ432の支持位置では大きいサイズの媒体の積載量を損なうことがなく、サブ排紙トレイ432の収納位置では小さいサイズの媒体の排出位置を第1方向D1に移動させることができ、小さいサイズの媒体の積載量が少なくなることもない。
【0046】
本実施形態では、例えば、媒体の排出口112の位置が奥まった箇所にあるプリンター1において、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンター1を構成する媒体排出装置31においても、プリンター1と同様な効果を奏することができる。
【0047】
ここで、本実施形態では、記録部32がインクジェット方式の印刷機構である場合を示したが、これに限られず、例えば、レーザー方式の印刷機構などが用いられてもよい。
また、本実施形態では、記録装置の一例として複合機であるプリンター1を示したが、これに限られず、例えば、プリンターの機能を単体で有する装置、または、スキャナーの機能を単体で有する装置などが用いられてもよい。
なお、プリンターは、例えば、画像形成装置などと呼ばれてもよい。
【0048】
図11Aは、実施形態の変形例に係る第2A媒体移動部511aを断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図11Aには、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0049】
図11Aの例では、図8の例と比べて、図8に示される第1媒体移動部131の代わりに第2A媒体移動部511aが備えられている点が異なっており、他の点で同様な構成である。このため、図11Aでは、説明の便宜上、図8の例と同様な構成については、同じ符号を用いて示してある。
【0050】
第2A媒体移動部511aは、第2レバー541と、第2移動部材521と、第3軸部材531と、を備える。
ここで、第2レバー541および第2移動部材521は、例えば、図8に示される第1レバー341および第1移動部材321と同様な構成を有する。
第2移動部材521は、レール351に嵌められており、レール351に沿って手前方向および奥方向に移動することが可能である。
第2移動部材521と、概略的に平行な2本の棒状の形状を有する第3軸部材531の一端とが固定的に接続されている。
第3軸部材531の他端は、立ち上がった状態において、手前側から奥側に向かって所定の角度で上方から下方に延びる向きで曲がった先端部分を有している。
【0051】
ここで、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431にしまい込まれた収納位置では、サブ排紙トレイ432の奥側の一部が第2レバー541を奥側に押すことで、第2移動部材521がレール351の奥側に移動して、第3軸部材531が上方に立ち上がる。
この状態では、第3軸部材531は、その奥側の先端部分を除いて、第1方向D1に向かって上方から下方へ傾斜した状態となり、傾斜板の役割を果たす。
【0052】
このように、奥側の先端が下方に曲がっている第3軸部材531が片持ちで設けられる構成においても、第3軸部材531の曲がった箇所の頂点に、排出口112から排出された媒体が接触するように構成することで、図8に示される突出部311の場合と同様な効果が得られる。
【0053】
図11Bは、実施形態の変形例に係る第2B媒体移動部511bを断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図11Bには、説明の便宜上、図11Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0054】
第2B媒体移動部511bは、第2レバー541と、第2移動部材521と、第4軸部材571と、を備える。
図11Bの例では、図11Aの例と比べて、図11Aに示される第3軸部材531の代わりに第4軸部材571が備えられている点が異なっており、他の点で同様な構成である。このため、図11Bでは、説明の便宜上、図11Aの例と同様な構成については、同じ符号を用いて示してある。
【0055】
第4軸部材571は、第3軸部材531と比べて、奥側の曲がった先端部分が曲率をもって曲がっている点で異なっており、他の点で同様な構成を有する。
このような第4軸部材571が用いられる場合においても、図11Aに示される第3軸部材531の場合と同様な効果が得られる。
【0056】
図11Cは、実施形態の変形例に係る第2C媒体移動部511cを断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図11Cには、説明の便宜上、図11Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0057】
第2C媒体移動部511cは、第2レバー541と、第2移動部材521と、第5軸部材591と、を備える。
図11Cの例では、図11Aの例と比べて、図11Aに示される第3軸部材531の代わりに第5軸部材591が備えられている点が異なっており、他の点で同様な構成である。このため、図11Cでは、説明の便宜上、図11Aの例と同様な構成については、同じ符号を用いて示してある。
【0058】
第5軸部材591は、第3軸部材531と比べて、奥側の先端部分が複数段にわたって所定の角度ずつ曲がった部分を有している点で異なっており、他の点で同様な構成を有する。
当該先端部分では、曲がりの角度の異なる傾斜が連続して設けられており、奥側の先端にいくほど当該角度が大きくなっていく。なお、このような角度の変化は一例であり、これに限られない。
このような第5軸部材591が用いられる場合においても、図11Aに示される第3軸部材531の場合と同様な効果が得られる。
【0059】
以上のように、プリンターでは、第2A媒体移動部511a、第2B媒体移動部511b、または、第2C媒体移動部511cによって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
第3軸部材531、第4軸部材571、または、第5軸部材591が形成する傾斜部によって、排出口112から排出された媒体をより前方に移動し易くすることができる。
プリンターでは、サブ排紙トレイ432が第1メイン排紙トレイ431に対して収納位置と支持位置とで変位可能であり、収納位置にある小サイズの媒体に適した状態において、第3軸部材531、第4軸部材571、または、第5軸部材591が形成する突出部を突出させることができる。
なお、第2A媒体移動部511a、第2B媒体移動部511b、または、第2C媒体移動部511cは、例えば、電動の駆動部が不要な構成とすることが可能である。
【0060】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0061】
図12は、実施形態の変形例に係る第3媒体移動部611を断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図12には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
また、図12には、説明の便宜上、図1と同様な第1方向D1を示してある。
【0062】
図12には、第2メイン排紙トレイ621および第2凹部622を概略的に示してある。
第2メイン排紙トレイ621は、例えば、図7および図8に示されるレール351を備えていない点および図示を省略している回転用孔部を備えている点を除いて、概略的に、図1などに示される第1メイン排紙トレイ431と同様な構成を有している。
また、第2凹部622は、概略的に、図1などに示される第1凹部111と同様な構成を有している。
【0063】
第3媒体移動部611は、第1回転軸631と、第1押圧部632と、を備える。
第1押圧部632は、例えば、ゴムなどの弾性体により構成されている。
第1回転軸631と、第1押圧部632の一端とが固定的に接続されている。
第1押圧部632は、一端から他端に向かって概略的に棒状の部分を有しており、さらに、第1押圧部632の他端は、立ち上がった状態において、奥側から手前側に向かって所定の角度で下方から上方に延びる向きで曲がった先端部分を有している。
【0064】
第1回転軸631は、例えば、第2メイン排紙トレイ621の左右方向の中央またはその付近に位置するように配置されている。
第1回転軸631は、第2凹部622の底面より下方に設けられている。
第1押圧部632は、第1回転軸631を中心に回転することで、媒体の奥側の後端を第1方向D1に押圧する。
第2メイン排紙トレイ621は、第1押圧部632が1回転するときに通過する部分に図示を省略している回転用孔部を有している。これにより、第1押圧部632は、第2メイン排紙トレイ621と接触せずに、回転用孔部を通過して回転することが可能である。
【0065】
図12の例では、第2メイン排紙トレイ621の上方に、第3媒体P31を示してある。
第1回転軸631の回転によって、第1押圧部632が第1回転方向R1に回転することで、第1押圧部632が第3媒体P31の奥側の後端に接触する。これにより、第3媒体P31は、第3a媒体P31aのように、第1方向D1に押圧される。
【0066】
ここで、第1回転方向R1は、概略的には、第2メイン排紙トレイ621の上方において、第1押圧部632が奥側から手前側に向かう向きである。
第3媒体P31は、L判のような小さいサイズの紙である。
また、図12に示される第3a媒体P31aは、第3媒体P31が移動した結果を模式的に示している。
【0067】
例えば、1枚の媒体が図示を省略している排出口から排出されるごとに、第1押圧部632が1回転する構成が用いられてもよい。他の例として、1つのジョブが完了して複数枚の媒体が図示を省略している排出口から排出されてからまとめて、第1押圧部632が1回転する構成が用いられてもよい。
第1回転軸631の回転は、例えば、プリンターにおける図示を省略している電動の駆動部によって駆動されてもよい。当該駆動部の駆動源としては、例えば、媒体を搬送する媒体搬送部の駆動源が共通に用いられてもよく、あるいは、別の駆動源が用いられてもよい。
なお、第3媒体移動部611は、蹴飛ばし爪などと呼ばれてもよい。
【0068】
以上のように、プリンターでは、第3媒体移動部611によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
第3媒体移動部611によって、簡単な構成で、媒体の後端を押圧することができる。
【0069】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
また、第3媒体移動部611では、例えば、媒体への押圧が不要であるときには、第1方向D1に向かって開口する凹部の底面より下方に第1押圧部632を位置させることで、第1押圧部632が媒体排出時に邪魔にならないようにする制御が行われてもよい。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0070】
ここで、第3媒体移動部611は、例えば、図7および図8に示される第1媒体移動部131、図11Aに示される第2A媒体移動部511a、図11Bに示される第2B媒体移動部511b、または、図11Cに示される第2C媒体移動部511cとともにプリンターに備えられてもよい。
この場合、例えば、第3媒体移動部611の構成は、第1媒体移動部131、第2A媒体移動部511a、第2B媒体移動部511b、または、第2C媒体移動部511cの構成と比べて、手前側に備えられてもよい。
なお、複数の媒体移動部の構成が一体として備えられる場合、これら複数の構成がまとめて1つの媒体移動部であると捉えられてもよい。
【0071】
図13は、実施形態の変形例に係る第4媒体移動部711を断面化して右側面から見た視点での図である。なお、この断面は、プリンター1における排紙トレイ411の左右の中央付近での断面であるが、これに限られない。
図13には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
また、図13には、説明の便宜上、図1と同様な第1方向D1を示してある。
【0072】
図13の例では、図12の例と比べて、図12に示される第3媒体移動部611の代わりに第4媒体移動部711が備えられている点で異なっており、他の点で同様な構成である。
【0073】
第4媒体移動部711は、第2回転軸731と、第2-1押圧部741と、第2-2押圧部742と、第2-3押圧部743と、を備える。
第2-1押圧部741、第2-2押圧部742、および、第2-3押圧部743は、それぞれ、例えば、ゴムなどの弾性体により構成されている。
第2-1押圧部741、第2-2押圧部742、および、第2-3押圧部743は、それぞれ、概略的に棒状の形状を有している。
第2回転軸731に、第2-1押圧部741の一端と、第2-2押圧部742の一端と、第2-3押圧部743の一端と、が互いに所定の回転角度ずれて固定的に接続されている。
【0074】
第4媒体移動部711は、第3媒体移動部611に対して、概略的には、3個の押圧部を備える点で異なっている。
なお、図13の例では、第2-1押圧部741、第2-2押圧部742、および、第2-3押圧部743は、先端に折れ曲がった部分を有していないが、図12に示される第1押圧部632のように、先端に折れ曲がった部分を有していてもよい。
【0075】
図13の例では、第4媒体P41を示してある。
第2回転軸731の回転によって、第2-1押圧部741と第2-2押圧部742と第2-3押圧部743が第2回転方向R21に回転することで、いずれかの押圧部が第4媒体P41の奥側の後端に接触する。これにより、第4媒体P41は、第1方向D1に押圧される。
【0076】
ここで、第2回転方向R21は、概略的には、図示を省略しているメイン排紙トレイの上方において、それぞれの押圧部が奥側から手前側に向かう向きである。
第4媒体P41は、L判のような小さいサイズの紙である。
【0077】
例えば、1枚の媒体が図示を省略している排出口から排出されるごとに、第2-1押圧部741、第2-2押圧部742および第2-3押圧部743が所定の角度だけ回転する構成が用いられてもよい。他の例として、1つのジョブが完了して複数枚の媒体が図示を省略している排出口から排出されてからまとめて、第2-1押圧部741、第2-2押圧部742および第2-3押圧部743が所定の角度だけ回転する構成が用いられてもよい。
第2回転軸731の回転は、例えば、プリンターにおける図示を省略している電動の駆動部によって駆動されてもよい。当該駆動部の駆動源としては、例えば、媒体を搬送する媒体搬送部の駆動源が共通に用いられてもよく、あるいは、別の駆動源が用いられてもよい。
【0078】
なお、第4媒体移動部711は、蹴飛ばし爪などと呼ばれてもよい。
図13の例では、羽根に相当する押圧部が複数設けられたパドル状の機構が用いられている。
図13の例では、複数の羽根の数が3である場合を示したが、他の例として、当該数は2であってもよく、あるいは、4以上であってもよい。
例えば、第1方向D1に向かって開口する凹部の底面より下方に第2回転軸731が設けられており、複数の羽根が回転することで、媒体を徐々に第1方向D1に移動させることが可能である。
【0079】
以上のように、プリンターでは、第4媒体移動部711によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
第4媒体移動部711によって、簡単な構成で、媒体の後端を押圧することができる。
【0080】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0081】
図14は、実施形態の変形例に係る第5媒体移動部811の外観斜視図である。
図14には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
また、図14には、説明の便宜上、図1と同様な第1方向D1を示してある。
【0082】
図14には、第3メイン排紙トレイ821を概略的に示してある。
第3メイン排紙トレイ821は、例えば、図7および図8に示されるレール351を備えていない点を除いて、概略的に、図1などに示される第1メイン排紙トレイ431と同様な構成を有している。
【0083】
第5媒体移動部811は、第3メイン排紙トレイ821の左右方向の中央またはその付近に、配置されている。
第5媒体移動部811は、搬送ベルト831と、回転駆動部851と、を備える。
搬送ベルト831は、第1方向D1に延びて第1方向D1を長手方向とする形状を有しており、回転駆動部851の周囲に巻かれている。
【0084】
回転駆動部851は、搬送ベルト831の上方面が第1方向D1と同じ第2方向D21に向かって回転し、搬送ベルト831の下方面が第1方向D1とは逆の第3方向D31に向かって回転するように、搬送ベルト831を回転駆動する。
これにより、搬送ベルト831は、その上方面によって、図示を省略している排出口から排出された媒体を第1方向D1に搬送する。
【0085】
例えば、1枚の媒体が図示を省略している排出口から排出されるごとに、搬送ベルト831が1回転等する構成が用いられてもよい。他の例として、1つのジョブが完了して複数枚の媒体が図示を省略している排出口から排出されてからまとめて、搬送ベルト831が1回転等する構成が用いられてもよい。他の例として、印刷中などのように媒体が搬送されるときには常に搬送ベルト831が回転する構成が用いられてもよい。
搬送ベルト831の回転は、例えば、プリンターにおける図示を省略している電動の駆動部によって駆動されてもよい。当該駆動部の駆動源としては、例えば、媒体を搬送する媒体搬送部の駆動源が共通に用いられてもよく、あるいは、別の駆動源が用いられてもよい。
【0086】
以上のように、プリンターでは、第5媒体移動部811によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
【0087】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0088】
ここで、第5媒体移動部811は、例えば、図7および図8に示される第1媒体移動部131、図11Aに示される第2A媒体移動部511a、図11Bに示される第2B媒体移動部511b、または、図11Cに示される第2C媒体移動部511cとともにプリンターに備えられてもよい。
この場合、例えば、第5媒体移動部811の構成は、第1媒体移動部131、第2A媒体移動部511a、第2B媒体移動部511b、または、第2C媒体移動部511cの構成と比べて、手前側に備えられてもよい。
【0089】
また、第5媒体移動部811は、例えば、図12に示される第3媒体移動部611、または、図13に示される第4媒体移動部711とともにプリンターに備えられてもよい。
なお、複数の媒体移動部の構成が一体として備えられる場合、これら複数の構成がまとめて1つの媒体移動部であると捉えられてもよい。
【0090】
図15は、実施形態の変形例に係る第6媒体移動部911を断面化して右側面から見た視点での図である。
図15には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
また、図15には、説明の便宜上、図1と同様な第1方向D1を示してある。
また、図15には、説明の便宜上、図2と同様な第2排紙ローラー153を示してある。
【0091】
図15には、第4メイン排紙トレイ921を概略的に示してある。
第4メイン排紙トレイ921は、例えば、図7および図8に示されるレール351を備えていない点を除いて、概略的に、図1などに示される第1メイン排紙トレイ431と同様な構成を有している。
【0092】
第6媒体移動部911は、空気排出部931を備える。
図15の例では、第2排紙ローラー153の下方に、上下方向に延びる第1壁部951が配置されている。また、第1壁部951は、第1壁部951の上流側と下流側とを貫通する第1孔部952を有している。
図15の例では、空気排出部931は、第1壁部951よりも上流側に備えられている。
空気排出部931は、排出口から排出された媒体に対して、第1方向D1の成分である第1方向成分を有する方向に空気を排出する。
【0093】
図15の例では、第5媒体P51と、空気排出部931から第1孔部952を通して第5媒体P51に対して排出された第1空気W1を示してある。第1空気W1によって、第5媒体P51は第1方向D1に移動させられる。
第5媒体P51は、L判のような小さいサイズの紙である。
【0094】
ここで、空気排出部931から排出される空気の方向は、例えば、第1方向D1であってもよく、あるいは、第1方向D1の成分を有して、第1方向D1に対して斜めの方向であってもよい。
【0095】
例えば、1枚の媒体が排出口から排出されるごとに、空気排出部931から空気を排出してもよい。他の例として、1つのジョブが完了して複数枚の媒体が排出口から排出されてからまとめて、空気排出部931から空気を排出してもよい。他の例として、印刷中などのように媒体が搬送されるときには常に空気排出部931から空気を排出する構成が用いられてもよい。
空気排出部931からの空気の排出は、例えば、プリンターにおける図示を省略している電動の駆動部によって駆動されてもよい。当該駆動部の駆動源としては、例えば、媒体を搬送する媒体搬送部の駆動源が共通に用いられてもよく、あるいは、別の駆動源が用いられてもよい。
【0096】
以上のように、プリンターでは、第6媒体移動部911によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
【0097】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0098】
ここで、図15の例では、水平方向に空気を排出する空気排出部931が圧空装置として備えられる場合を示したが、空気の排出方向はこの例に限られない。
他の構成例として、第1方向D1に向かって開口する凹部の底面に開口部を設けて、その開口部の下側などに、その開口部から斜め上の方向に空気を排出する空気排出部を備える構成が用いられてもよい。当該斜め上の方向は、上方向の成分と、第1方向D1の成分を有する方向である。このような構成では、例えば、空気が斜め上の方向に排出されることで、媒体が当該空気を受ける面積を広くすることができ、これにより、媒体をより移動させ易くすることができる。
【0099】
このように、空気排出部931が配置される位置は、他の位置であってもよい。
また、空気排出部931から空気を排出する方向は任意の方向であってもよく、例えば、空気排出部931から排出された空気の方向を、第1方向D1の成分を有する方向へ導く通路などが備えられてもよい。
【0100】
ここで、第6媒体移動部911は、例えば、図7および図8に示される第1媒体移動部131、図11Aに示される第2A媒体移動部511a、図11Bに示される第2B媒体移動部511b、または、図11Cに示される第2C媒体移動部511cとともにプリンターに備えられてもよい。
また、第6媒体移動部911は、例えば、図12に示される第3媒体移動部611、図13に示される第4媒体移動部711、または、図14に示される第5媒体移動部811とともにプリンターに備えられてもよい。
なお、複数の媒体移動部の構成が一体として備えられる場合、これら複数の構成がまとめて1つの媒体移動部であると捉えられてもよい。
【0101】
図16は、実施形態の変形例に係る第7媒体移動部1011を断面化して右側面から見た視点での図である。
図16には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
また、図16には、説明の便宜上、図1と同様な第1方向D1を示してある。
また、図16には、説明の便宜上、図2と同様な第2排紙ローラー153を示してある。
【0102】
図16には、第5メイン排紙トレイ1021および第3凹部1022を概略的に示してある。
第5メイン排紙トレイ1021は、例えば、図7および図8に示されるレール351を備えていない点を除いて、概略的に、図1などに示される第1メイン排紙トレイ431と同様な構成を有している。
また、第3凹部1022は、概略的に、図1などに示される第1凹部111と同様な構成を有している。
【0103】
第7媒体移動部1011は、第2傾斜部1031を備える。
図16の例では、第2排紙ローラー153の下方の壁部の部分に繋がるように、第2傾斜部1031が備えられている。
ここで、第2傾斜部1031は、第1方向D1に向かって下方に傾斜する。
また、第2傾斜部1031は、第3凹部1022の底面の少なくとも一部に設けられる。第2傾斜部1031は、他の位置に備えられてもよく、例えば、第2排紙ローラー153の下方の壁部に対して手前側に離隔した位置に備えられてもよい。
【0104】
図16の例では、第6媒体P61を示してある。排出口から排出された第6媒体P61は、第2傾斜部1031によって、第1方向D1に移動させられる。
第6媒体P61は、L判のような小さいサイズの紙である。
【0105】
なお、第2傾斜部1031の斜面となる上面は、滑り易い構成とされてもよい。
例えば、第2傾斜部1031の斜面となる上面は、他の部分よりも摩擦係数が小さい材質で構成されてもよい。
一例として、第2傾斜部1031または少なくとも当該上面の材質として、摩擦係数が小さい材質が用いられる。
他の例として、当該上面に対して、その上側に、摩擦係数が小さい材質のシート部材が貼り付け等により設けられてもよい。
摩擦係数が小さい材質としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、フッ素樹脂(PTFE)、あるいは、ポリエチレン(PE)などが用いられてもよい。
【0106】
また、別の構成例として、第2傾斜部1031の斜面となる上面に、1個または2個以上の回転可能なコロが備えられてもよい。
また、別の構成例として、第2傾斜部1031の斜面となる上面において、その表面に複数の凸部を設けて、当該表面と媒体との接触面積を小さくして抵抗を小さくすることで、摩擦係数を小さくする構成が用いられてもよい。
【0107】
以上のように、プリンターでは、第7媒体移動部1011によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
第2傾斜部1031によって、排出口112から排出された媒体をより前方に移動し易くすることができる。
なお、第7媒体移動部1011は、例えば、電動の駆動部が不要な構成とすることが可能である。
【0108】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0109】
ここで、第7媒体移動部1011は、例えば、図7および図8に示される第1媒体移動部131、図11Aに示される第2A媒体移動部511a、図11Bに示される第2B媒体移動部511b、または、図11Cに示される第2C媒体移動部511cとともにプリンターに備えられてもよい。
また、第7媒体移動部1011は、例えば、図12に示される第3媒体移動部611、図13に示される第4媒体移動部711、図14に示される第5媒体移動部811、または、図15に示される第6媒体移動部911とともにプリンターに備えられてもよい。
なお、複数の媒体移動部の構成が一体として備えられる場合、これら複数の構成がまとめて1つの媒体移動部であると捉えられてもよい。
【0110】
図17は、実施形態の変形例に係る第8媒体移動部1111の外観斜視図である。
図17には、説明の便宜上、図1と同様なXYZ直交座標系を示してある。
また、図17には、説明の便宜上、図1と同様な第1方向D1を示してある。
【0111】
図17には、第6メイン排紙トレイ1121を概略的に示してある。
第6メイン排紙トレイ1121は、例えば、図7および図8に示されるレール351を備えていない点を除いて、概略的に、図1などに示される第1メイン排紙トレイ431と同様な構成を有している。
【0112】
第8媒体移動部1111は、第3傾斜部1131を備える。
図17の例では、第6メイン排紙トレイ1121の上面の一部に、第3傾斜部1131が備えられている。
ここで、第3傾斜部1131は、第6メイン排紙トレイ1121の上面の左右方向の中央を含んで当該上面の左右方向のうちの一部の幅を有している。当該幅は、所定の媒体の幅よりも広い。当該所定の媒体は、例えば、L判のサイズの紙であるが、他のサイズの媒体であってもよい。
第3傾斜部1131は、第1方向D1に向かって下方に傾斜する。
第3傾斜部1131は、プリンターの第1方向D1に向かって開口する凹部の底面の少なくとも一部に設けられる。第3傾斜部1131は、当該底面において、所定の幅を有する傾斜した凹部を形成する。
【0113】
図17の例では、第7媒体P71を示してある。排出口から排出された第7媒体P71は、第3傾斜部1131によって、第1方向D1に移動させられる。
図17の例では、第7媒体P71は、L判のような小さいサイズの紙である。
【0114】
なお、第3傾斜部1131の斜面となる上面は、滑り易い構成とされてもよい。
例えば、第3傾斜部1131の斜面となる上面は、他の部分よりも摩擦係数が小さい材質で構成されてもよい。
一例として、第3傾斜部1131または少なくとも当該上面の材質として、摩擦係数が小さい材質が用いられる。
他の例として、当該上面に対して、その上側に、摩擦係数が小さい材質のシート部材が貼り付け等により設けられてもよい。
摩擦係数が小さい材質としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、フッ素樹脂(PTFE)、あるいは、ポリエチレン(PE)などが用いられてもよい。
【0115】
また、別の構成例として、第3傾斜部1131の斜面となる上面に、1個または2個以上の回転可能なコロが備えられてもよい。
また、別の構成例として、第3傾斜部1131の斜面となる上面において、その表面に複数の凸部を設けて、当該表面と媒体との接触面積を小さくして抵抗を小さくすることで、摩擦係数を小さくする構成が用いられてもよい。
【0116】
以上のように、プリンターでは、第8媒体移動部1111によって、簡単な構成で、印刷後に排出される媒体を手前側に移動させる。
したがって、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、媒体が印刷後に排出されたことをユーザーにとって把握し易くすることができる。
また、例えば、L判のように小さいサイズの媒体についても、印刷後に排出された媒体をユーザーにより取り出し易くすることができる。
第3傾斜部1131によって、排出口112から排出された媒体をより前方に移動し易くすることができる。
なお、第8媒体移動部1111は、例えば、電動の駆動部が不要な構成とすることが可能である。
【0117】
例えば、媒体の排出口の位置が奥まった箇所にあるプリンターにおいて、小サイズの媒体が排出されたことを把握し易くすることができ、当該媒体を取り出し易くすることができる。
なお、プリンターを構成する媒体排出装置においても、プリンターと同様な効果を奏することができる。
【0118】
ここで、図17の例では、第1方向D1に向かって開口する凹部において、L判などの小サイズの媒体に対応するために左右方向の一部に傾斜部を設ける場合を示したが、他の構成例として、左右方向の全部にわたって傾斜部を設ける構成が用いられてもよい。
また、当該凹部において左右方向の全部にわたって傾斜部を設ける構成として、図16に示されるように排出口の位置から傾斜部を設ける構成のほか、排出口から第1方向D1に所定の距離だけ離隔した位置から傾斜部を設ける構成が用いられてもよい。
【0119】
ここで、第8媒体移動部1111は、例えば、図7および図8に示される第1媒体移動部131、図11Aに示される第2A媒体移動部511a、図11Bに示される第2B媒体移動部511b、または、図11Cに示される第2C媒体移動部511cとともにプリンターに備えられてもよい。
また、第8媒体移動部1111は、例えば、図12に示される第3媒体移動部611、図13に示される第4媒体移動部711、図14に示される第5媒体移動部811、図15に示される第6媒体移動部911、または、図16に示される第7媒体移動部1011とともにプリンターに備えられてもよい。
なお、複数の媒体移動部の構成が一体として備えられる場合、これら複数の構成がまとめて1つの媒体移動部であると捉えられてもよい。
【0120】
以上のように、プリンターでは、各種の媒体移動部によって、例えば、ユーザーに意識させることなく、小さい媒体の排出時の視認性を改善することができる。
【0121】
例えば、図2に示されるように紙送りローラー151が後ろ側に配置されたプリンターでは、給紙から印刷排紙までの経路を短くすることができる一方、第2排紙ローラー153が奥まった位置にあるため、紙のサイズによっては排紙されたかどうかの確認がユーザーにとって難しい場合があった。さらに、プリンターの前面に角度調整可能なパネルが備えられているような場合には、当該パネルの角度によっては、当該パネルの影によってL判などのサイズの媒体の視認性が低下してしまう。
【0122】
これに対して、以上の実施形態に係るプリンターでは、各種の媒体移動部が用いられることで、小さいサイズの媒体であっても、印刷終了後に排紙される媒体の位置を手前側に移動させることができ、ユーザーにとって排出された媒体の確認が容易になる。
媒体移動部としては、例えば、重力も含めて媒体に加えられる力の総合力が、当該媒体の重心を第1方向D1に相当する手前側に向かわせる力となる、ように構成される。
【0123】
なお、以上に示される各種の媒体移動部は、例えば、互いに組み合わせが可能な2以上の媒体移動部が1つのプリンターに備えられてもよい。この場合、これら2以上の媒体移動部の配置関係としては、互いに組み合わせが可能な任意の配置が用いられてもよい。また、これら2以上の媒体移動部は、別々の構成部として捉えられてもよく、あるいは、これら2以上の媒体移動部が一体の媒体移動部として捉えられてもよい。
【0124】
以上、実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0125】
付記として、構成例A1~構成例A11を示す。
[構成例A1]
第1方向に向かって開口する凹部を有する筐体と、
前記凹部内に開口し、記録部により記録が行われた媒体が前記第1方向に向かって排出される排出口と、
前記凹部内に設けられ、前記排出口から排出された前記媒体の重心位置よりも前記第1方向において上流である付与位置に力を付与することで、前記媒体を前記第1方向に向かわせる媒体移動部と、
を備える媒体排出装置。
【0126】
[構成例A2]
前記媒体移動部は、前記凹部の開口よりも前記排出口に近い位置において前記凹部の下方から上方に突出可能な突出部を有し、
前記突出部は、前記付与位置に接触することで前記媒体を前記第1方向に向かわせる、
[構成例A1]に記載の媒体排出装置。
【0127】
[構成例A3]
前記突出部の少なくとも一部は、前記第1方向に向かって下方に傾斜する傾斜部を有する、
[構成例A2]に記載の媒体排出装置。
【0128】
[構成例A4]
前記排出口から排出された前記媒体を受容可能な受容部を更に備え、
前記受容部は、
前記凹部の底面の少なくとも一部を構成する第1受容部と、
前記第1受容部に収納される収納位置と、少なくとも一部が前記第1受容部から前記第1方向に突出する支持位置と、の間で変位可能な第2受容部と、を有し、
前記突出部は、前記第2受容部の変位に連動して、前記凹部の底面から突出する位置である突出位置と、前記突出位置から下方に退避した位置である退避位置と、の間を移動する
[構成例A2]または[構成例A3]に記載の媒体排出装置。
【0129】
[構成例A5]
前記突出部は、
前記第2受容部の前記支持位置から前記収納位置への変位に連動して、前記退避位置から前記突出位置に移動し、
前記第2受容部の前記収納位置から前記支持位置への変位に連動して、前記突出位置から前記退避位置に移動する、
[構成例A4]に記載の媒体排出装置。
【0130】
[構成例A6]
前記媒体移動部は、前記凹部の底面より下方に設けられる回転軸を中心に回転することで、前記媒体の後端を前記第1方向に押圧する押圧部を有する、
[構成例A1]から[構成例A5]のいずれか1項に記載の媒体排出装置。
【0131】
[構成例A7]
前記媒体移動部は、前記排出口から排出された前記媒体を前記第1方向に搬送する搬送ベルトを有する、
[構成例A1]から[構成例A6]のいずれか1項に記載の媒体排出装置。
【0132】
[構成例A8]
前記媒体移動部は、前記排出口から排出された前記媒体に対して、第1方向成分を有する方向に空気を排出する空気排出部を有する、
[構成例A1]から[構成例A7]のいずれか1項に記載の媒体排出装置。
【0133】
[構成例A9]
前記媒体移動部は、前記第1方向に向かって下方に傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記凹部の底面の少なくとも一部に設けられる
[構成例A1]から[構成例A8]のいずれか1項に記載の媒体排出装置。
【0134】
[構成例A10]
前記媒体に記録を行う記録部と、
[構成例A1]から[構成例A9]のうちいずれか一項に記載の媒体排出装置と、を備え、
前記記録部は、前記筐体内に収容される、
記録装置。
【0135】
[構成例A11]
前記記録部は、前記媒体に液体を吐出することで前記記録を行う液体吐出部を有する、
[構成例A10]に記載の記録装置。
【符号の説明】
【0136】
1…プリンター、11…筐体、21…底部、31…媒体排出装置、32…記録部、111…第1凹部、112…排出口、131…第1媒体移動部、151…紙送りローラー、152…第1排紙ローラー、153…第2排紙ローラー、171…プラテン、211…液体吐出部、311…突出部、312…第1傾斜部、321…第1移動部材、322…回転部材、323…支持部材、331…第1軸部材、332…第2軸部材、341…第1レバー、351…レール、411…排紙トレイ、431…第1メイン排紙トレイ、432…サブ排紙トレイ、471…蓋部、511a…第2A媒体移動部、511b…第2B媒体移動部、511c…第2C媒体移動部、521…第2移動部材、531…第3軸部材、541…第2レバー、571…第4軸部材、591…第5軸部材、611…第3媒体移動部、621…第2メイン排紙トレイ、622…第2凹部、631…第1回転軸、632…第1押圧部、711…第4媒体移動部、731…第2回転軸、741…第2-1押圧部、742…第2-2押圧部、743…第2-3押圧部、811…第5媒体移動部、821…第3メイン排紙トレイ、831…搬送ベルト、851…回転駆動部、911…第6媒体移動部、921…第4メイン排紙トレイ、931…空気排出部、951…第1壁部、952…第1孔部、1011…第7媒体移動部、1021…第5メイン排紙トレイ、1022…第3凹部、1031…第2傾斜部、1111…第8媒体移動部、1121…第6メイン排紙トレイ、1131…第3傾斜部、D1…第1方向、D21…第2方向、D31…第3方向、E1…段差、G1…重心、H1…付与位置、P1…第1媒体、P21…第2媒体、P31…第3媒体、P31a…第3a媒体、P41…第4媒体、P51…第5媒体、P61…第6媒体、P71…第7媒体、R1…第1回転方向、R21…第2回転方向、W1…第1空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
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図15
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