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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033792
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H03H9/19 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137621
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 敦司
(72)【発明者】
【氏名】磯畑 健作
(72)【発明者】
【氏名】松川 典仁
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA01
5J108BB02
5J108CC04
5J108CC10
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE09
5J108EE18
5J108FF06
5J108GG03
(57)【要約】
【課題】支持応力による振動への影響を低減し、主振動の漏洩を抑制する振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイス1は、振動片20と、振動片20を収容する容器10と、振動片20と容器10とを接合する接着部材50と、を備え、振動片20は、第1励振電極31が設けられた第1主面21aと、第2励振電極32が設けられ第1主面21aと表裏関係にある第2主面21bと、第1励振電極31及び第2励振電極32によって励振される厚み滑り振動の変位方向に沿う第1方向に延在する側面25と、を含み、第1方向と交差する方向である第2方向を長手方向とする振動部21と、振動部21の側面25から第2方向に延出する連結腕22と、連結腕22から第1方向に延出する第1支持腕23を含み、第1方向に沿って延在し、接着部材50を介して容器10に接合される支持部24と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動片と、前記振動片を収容する容器と、前記振動片と前記容器とを接合する接着部材と、を備え、
前記振動片は、
第1励振電極が設けられた第1主面と、第2励振電極が設けられ前記第1主面と表裏関係にある第2主面と、前記第1励振電極及び前記第2励振電極によって励振される厚み滑り振動の変位方向に沿う第1方向に延在する側面と、を含み、前記第1方向と交差する方向である第2方向を長手方向とする振動部と、
前記振動部の前記側面から前記第2方向に延出する連結腕と、
前記連結腕から前記第1方向に延出する第1支持腕を含み、前記第1方向に沿って延在し、前記接着部材を介して前記容器に接合される支持部と、を有する、
振動デバイス。
【請求項2】
平面視において、前記接着部材が前記支持部と接合されている領域の接着面積が、前記支持部の面積の20%以上である、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記連結腕は、前記側面における前記第1方向と反対方向側のコーナー部から延出している、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項4】
平面視において、前記接着部材は、前記連結腕より前記第1方向側に位置している、
請求項3に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記支持部は、前記連結腕から前記第1方向とは反対方向の第3方向に延出する第2支持腕を含む、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記支持部は、前記接着部材を介して前記容器に接着される第1支持主面と、前記第1支持主面と表裏関係にある第2支持主面と、前記第1励振電極と電気的に接続された第1支持電極と、前記第2励振電極と電気的に接続されて前記第1支持電極より前記第1方向側に位置する第2支持電極と、を含み、
前記第1支持電極及び前記第2支持電極は、前記第1支持主面に設けられており、
前記接着部材は、第1接着剤と、前記第1接着剤から離間して配置された第2接着剤と、を含み、
前記第1接着剤及び前記第2接着剤は、導電性接着剤であり、
前記第1支持電極は、前記第1接着剤を介して前記容器と接着され、
前記第2支持電極は、前記第2接着剤を介して前記容器と接着される、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記支持部は、第1支持主面と、前記第1支持主面と表裏関係にあり、前記接着部材を介して前記容器に接着される第2支持主面と、前記第1励振電極と電気的に接続された第1支持電極と、前記第2励振電極と電気的に接続されて前記第1支持電極より前記第1方向側に位置する第2支持電極と、を含み、
前記第1支持電極及び前記第2支持電極は、前記第1支持主面に設けられており、
前記第1支持電極及び前記第2支持電極は、ボンディングワイヤーを介して前記容器に電気的に接続されている、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記接着部材は、非導電性接着剤である、
請求項7に記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記支持部は、前記接着部材を介して前記容器に接着される第1支持主面と、前記第1支持主面と表裏関係にある第2支持主面と、前記第1励振電極と電気的に接続された第1支持電極と、前記第2励振電極と電気的に接続されて前記第1支持電極より前記第1方向側に位置する第2支持電極と、を含み、
前記第1支持電極は、前記第1支持主面に設けられており、
前記第2支持電極は、前記第2支持主面に設けられており、
前記接着部材は、導電性接着剤であり、
前記第1支持電極は、前記接着部材を介して前記容器に電気的に接続されており、
前記第2支持電極は、ボンディングワイヤーを介して前記容器に電気的に接続されている、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記接着部材は、第1接着剤と、前記第1接着剤から離間して配置された第2接着剤と、前記第1接着剤及び前記第2接着剤から離間して配置された第3接着剤と、を含む、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項11】
前記支持部は、前記接着部材を介して前記容器に接着される第1支持主面と、前記第1支持主面と表裏関係にある第2支持主面と、前記第1励振電極と電気的に接続された第1支持電極と、前記第2励振電極と電気的に接続されて前記第1支持電極より前記第1方向側に位置する第2支持電極と、を含み、
前記第1支持電極及び前記第2支持電極は、前記第1支持主面に設けられており、
前記第1支持電極は、前記第1接着剤を介して前記容器と接着され、
前記第2支持電極は、前記第2接着剤を介して前記容器と接着され、
前記第1支持主面は、前記第3接着剤を介して前記容器と接着され、
前記第1接着剤及び前記第2接着剤は、導電性接着剤であり、
前記第3接着剤は、非導電性接着剤である、
請求項10に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の励振電極が設けられた振動部と、振動部から離間して伸びる支持部と、支持部の一端と振動部の端部とを連結するように伸びる連結部を備え、一対の励振電極から支持部の接合面までそれぞれ引出電極が引き出された構成とする圧電振動片を搭載することで、支持応力による振動への影響が抑制された振動デバイスである圧電デバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-186196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の圧電デバイスは、支持応力による主振動である厚み滑り振動への影響を抑制することはできるが、圧電振動片の連結部が厚み滑り振動する方向である水晶結晶のX軸に沿って振動部から延出しているため、振動漏れが大きくなり易く、振動特性が劣化するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動デバイスは、振動片と、前記振動片を収容する容器と、前記振動片と前記容器とを接合する接着部材と、を備え、前記振動片は、第1励振電極が設けられた第1主面と、第2励振電極が設けられ前記第1主面と表裏関係にある第2主面と、前記第1励振電極及び前記第2励振電極によって励振される厚み滑り振動の変位方向に沿う第1方向に延在する側面と、を含み、前記第1方向と交差する方向である第2方向を長手方向とする振動部と、前記振動部の前記側面から前記第2方向に延出する連結腕と、前記連結腕から前記第1方向に延出する第1支持腕を含み、前記第1方向に沿って延在し、前記接着部材を介して前記容器に接合される支持部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る振動デバイスの構成を示す平面図。
図2図1中のA-A線断面図。
図3図1中のB-B線断面図。
図4】振動片の支持部の面積と接着部材の接着面積とを説明する平面図。
図5】支持腕の面積と接着部材の接着面積との面積比に対するスプリアス振動のQ値の関係を示す図。
図6】第2実施形態に係る振動デバイスの構成を示す平面図。
図7】第3実施形態に係る振動デバイスの構成を示す平面図。
図8】第4実施形態に係る振動デバイスの構成を示す平面図。
図9】第5実施形態に係る振動デバイスの構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る振動デバイス1について、図1図4を参照して説明する。本実施形態の振動デバイス1では、振動片20としてATカットの水晶片を一例として挙げ説明する。
【0008】
尚、図1において、振動デバイス1の内部構成を説明する便宜上、リッド13を取り外した状態を図示している。また、振動片20としてのATカット水晶振動片は、XZ面の主面がX、Y、Zの結晶軸のX軸を中心としてZ軸からY軸方向に約35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカット水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用い、以降の各図には、互いに直交するX軸、Y’軸、及びZ’軸を図示している。また、振動片20の長手方向をZ’軸に沿った方向として「Z’方向」、振動片20の厚み方向をY’軸に沿った方向として「Y’方向」、Y’軸及びZ’軸に垂直な方向をX軸に沿った方向として「X方向」と言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、Y’方向のプラス側を「上」、Y’方向のマイナス側を「下」とも言う。また、本明細書では、第1方向がX方向又はプラスX方向であり、第1方向と交差する第2方向がZ’方向であり、第1方向とは反対方向の第3方向がX方向又はマイナスX方向である。
【0009】
本実施形態の振動デバイス1は、図1図2、及び図3に示すように、振動片20と、振動片20を収容する容器10と、振動片20と容器10とを接合する接着部材50と、を有する。
【0010】
振動片20は、厚み滑り振動の変位方向に沿う第1方向であるX方向に延在する側面25を含み、X方向と交差する第2方向であるZ’方向を長手方向とする振動部21と、振動部21の側面25からプラスZ’方向に延出する連結腕22と、連結腕22からプラスX方向に延出する第1支持腕23を含み、プラスX方向に沿って延在し、接着部材50を介して容器10に接合される支持部24と、を有する。
【0011】
振動部21は、第1主面21aと、第1主面21aと表裏関係にある第2主面21bと、を有し、第1主面21aに第1励振電極31が設けられ、第2主面21bに第2励振電極32が設けられている。そのため、第1励振電極31及び第2励振電極32によって、X方向を変位方向とする厚み滑り振動を励振させることができる。
【0012】
連結腕22は、振動部21の側面25におけるX方向と反対方向側のコーナー部、つまり、マイナスX方向側のコーナー部からプラスZ’方向に延出している。
【0013】
支持部24は、接着部材50を介して容器10に接合される第1支持主面23aと、第1支持主面23aと表裏関係にある第2支持主面23bと、を有し、第1支持主面23aには、第1励振電極31と電気的に接続された第1支持電極35と、第2励振電極32と電気的に接続されて第1支持電極35よりプラスX方向側に位置する第2支持電極36と、が設けられている。
【0014】
尚、第1励振電極31と第1支持電極35とは、連結腕22の第1連結主面22aに設けられた第1リード電極33を介して電気的に接続され、第2励振電極32と第2支持電極36とは、連結腕22の第2連結主面22b及び支持部24の第2支持主面23bに設けられた第2リード電極34を介して電気的に接続されている。また、第1支持主面23aに設けられた第2支持電極36と支持部24の第2支持主面23bに設けられた第2リード電極34とは、支持部24の側面に設けられた図示しない側面電極を介して電気的に接続されている。
【0015】
接着部材50は、連結腕22よりプラスX方向側に位置し、導電性接着剤であり、連結腕22よりプラスX方向側に位置し、第1接着剤51と、第1接着剤51から離間して配置された第2接着剤52と、を含む。また、第1接着剤51及び第2接着剤52は、導電性接着剤である。第1支持電極35は、第1接着剤51を介して容器10と接合され、第2支持電極36は、第2接着剤52を介して容器10と接合されている。尚、具体的には、支持部24に設けられた第1支持電極35及び第2支持電極36は、それぞれ第1接着剤51及び第2接着剤52を介して容器10に設けられた内部電極14,15に電気的に接続され、且つ、機械的に接合されている。そのため、振動片20は、支持部24を固定部とする片持ち構造で容器10内に接合される。
【0016】
本実施形態の振動片20は、振動部21と支持部24とを連結する連結腕22が振動部21の側面25から第2方向であるZ’方向のプラス方向に延出しているため、X方向を変位方向とする厚み滑り振動が支持部24へ振動漏れするのを抑制することができる。
【0017】
次に、接着部材50の接着面積A3と主振動の近傍に生ずるスプリアス振動のQ値との関係について、図4及び図5を参照して説明する。
【0018】
振動片20は、振動部21、連結腕22、及び第1支持腕23を含む支持部24で構成され、支持部24の面積A0は、平面視で、連結腕22からプラスX方向に延出した部分であり、図4に示すように、ハッチングした部分である。
【0019】
また、支持部24と接合されている領域の接着部材50の接着面積A3は、平面視で、ハッチングで示した第1接着剤51の接着面積A1と第2接着剤52の接着面積A2とを加算した値である。
【0020】
次に、振動片20の支持腕23の面積A0に対する接着部材50の接着面積A3の面積比(A3/A0)と面積比(A3/A0)が10%におけるスプリアス振動のQ値をQ0として基準とするスプリアス振動のQ値比(Q/Q0)との関係は、図5に示すように、面積比(A3/A0)が20%以上において、面積比(A3/A0)が10%の場合に比べ、約60%以下となる傾向を示している。
【0021】
これは、面積比(A3/A0)が20%以上となると、接着部材50にダンピング効果が生じ、スプリアスの振動を減衰させるためで、接着部材50の支持部24と接合されている領域の接着面積A3を、支持部24の面積A0の20%以上とすることで接着部材50のダンピング効果により不要な振動であるスプリアス振動を抑制することができる。従って、本実施形態では、接着部材50の支持部24と接合されている領域の接着面積A3は、支持部24の面積A0の20%以上である。
【0022】
尚、面積比(A3/A0)が30%以上であると、面積比(A3/A0)が10%の場合に比べ、スプリアス振動のQ値が約40%以下となる。そのため、接着部材50の支持部24と接合されている領域の接着面積A3は、支持部24の面積A0の30%以上であることがより望ましい。
【0023】
また、本実施形態では、接着部材50の支持腕23と接合されている領域の接着面積A3は、支持腕23の面積A0の70%以下であっても良い。このようにすることで、第1接着剤51と第2接着剤52とがショートすることを防止し易くなる。
【0024】
容器10は、板状の第1基板11aと枠状で収容空間Sを構成する第2基板11bとを積層してなるベース基板11と、振動片20を収容する収容空間Sを覆うリッド13と、ベース基板11とリッド13とを接合し、収容空間Sを気密状態とする接合部材12と、を有する。
【0025】
また、容器10の第1基板11aの上面には、2つの内部電極14,15が設けられており、第1基板11aの下面には、2つの外部端子16,17が設けられている。内部電極14は、外部端子16とは反対側の端部において、第1接着剤51を介して第1支持電極35と電気的に接続され、内部電極15は、外部端子17とは反対側の端部において、第2接着剤52を介して第2支持電極36と電気的に接続されている。尚、内部電極14と外部端子16とは、第1基板11aを貫通する図示しない貫通電極を介して電気的に接続され、内部電極15と外部端子17とは、第1基板11aを貫通する図示しない貫通電極を介して電気的に接続されている。
【0026】
以上で述べたように本実施形態の振動デバイス1は、振動部21と支持部24とを連結する連結腕22が振動部21の側面25から第2方向であるZ’方向のプラス方向に延出しているため、X方向を変位方向とする厚み滑り振動が支持部24へ振動漏れするのを抑制することができ、振動特性の劣化を低減することができる。そのため、安定な振動特性を有する振動デバイス1を得ることができる。
【0027】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る振動デバイス1aについて、図6を参照して説明する。
尚、図6において、振動デバイス1aの内部構成を説明する便宜上、リッド13を取り外した状態を図示している。
【0028】
本実施形態の振動デバイス1aは、振動片20aの形状と内部電極14aの配置位置が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0029】
本実施形態の振動デバイス1aは、図6に示すように、第1支持腕23に加え、連結腕22から第1方向であるプラスX方向とは反対方向の第3方向であるマイナスX方向に延出する第2支持腕26を含む支持部24を有する振動片20aを備えている。
【0030】
振動片20aは、振動部21と、振動部21の側面25のX方向の中央部からプラスZ’方向に延出する連結腕22と、連結腕22のZ’方向のプラス側端部からプラスX方向に延出する第1支持腕23を含む支持部24aと、連結腕22のZ’方向のプラス側端部からマイナスX方向に延出する第2支持腕26を含む支持部24bと、有する。
【0031】
支持部24aの第1支持主面23aには、第1励振電極31と電気的に接続された第1支持電極35が設けられ、支持部24bの第1支持主面23aには、第2励振電極32と電気的に接続された第2支持電極36が設けられている。
第1支持電極35は、第1接着剤51を介して容器10aに設けられた内部電極15に電気的に接続され、且つ、機械的に接合されている。また、第2支持電極36は、第2接着剤52を介して容器10aの第2支持電極36に対向した位置に設けられた内部電極14aに電気的に接続され、且つ、機械的に接合されている。
【0032】
本実施形態の振動片20aは、振動部21と支持部24a,24bとを連結する連結腕22が振動部21の側面25のX方向の中央部から延出しているので、第1実施形態の連結腕22が振動部21のコーナー部から延出している振動片20に比べ、Y’方向の衝撃やY’軸回りの衝撃に対しての機械的強度を高くすることができる。
【0033】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、振動片20aの衝撃に対しての機械的強度を高めることができる。
【0034】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る振動デバイス1bについて、図7を参照して説明する。
尚、図7において、振動デバイス1bの内部構成を説明する便宜上、リッド13を取り外した状態を図示している。
【0035】
本実施形態の振動デバイス1bは、振動片20が表裏反転し、接着部材50bが非導電性接着剤であり、第1支持電極35及び第2支持電極36がボンディングワイヤー55を介して容器10bに電気的に接続され、内部電極14b,15bの形状が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0036】
本実施形態の振動デバイス1bは、図7に示すように、第1実施形態と同じ振動片20の第2主面21b及び第2支持主面23bが容器10b側に位置するように、表裏反転して配置され、支持部24の第2支持主面23bが接着部材50bを介して容器10bに接合されている。尚、本実施形態では、接着部材50bは非導電性接着剤であるが、これに限定されず、導電性接着剤であっても良い。
【0037】
第1支持主面23aに設けられた第1支持電極35及び第2支持電極36は、容器10b側とは反対側に配置されている。そのため、第1支持電極35と内部電極15bとは、ボンディングワイヤー55を介して電気的に接続され、第2支持電極36と内部電極14bとは、ボンディングワイヤー55を介して電気的に接続されている。
【0038】
第1支持電極35及び第2支持電極36と内部電極14b,15bとがボンディングワイヤー55を介して電気的に接続されているため、支持部24を容器10bに接合する接着部材50bの接着面積A3を大きくすることができ、接着強度をより高め、且つ、接着部材50bのダンピング効果によってスプリアス振動をより抑制することができる。
【0039】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、スプリアス振動を抑制することができる。
【0040】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る振動デバイス1cについて、図8を参照して説明する。
尚、図8において、振動デバイス1cの内部構成を説明する便宜上、リッド13を取り外した状態を図示している。
【0041】
本実施形態の振動デバイス1cは、第2支持電極36cが第2支持主面23bに配置され、第2支持電極36cがボンディングワイヤー55を介して容器10cに電気的に接続され、内部電極15cの形状が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0042】
本実施形態の振動デバイス1cは、図8に示すように、第2支持電極36cが第2支持主面23bに配置され、第2支持電極36cがボンディングワイヤー55を介して容器10cに電気的に接続されている。
【0043】
支持部24は、第1支持主面23a側を導電性接着剤である接着部材50を介して容器10cに接合されている。より具体的には、第1支持主面23aに設けられた第1支持電極35が接着部材50cを介して容器10cに設けられた内部電極14に電気的に接続され、第1支持電極35が設けられていない第1支持主面23aの一部が接着部材50cを介して容器10cに接合されている。そのため、接着部材50cの接着面積A3を大きくすることができ、接着強度をより高め、且つ、接着部材50cのダンピング効果によってスプリアス振動をより抑制することができる。
【0044】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、スプリアス振動をより抑制することができる。尚、本実施形態では、1つの接着部材50cで支持腕23を容器10cに接合しているが、第1実施形態と同様に2つの接着部材50cで支持腕23を容器10cに接合してても構わない。
【0045】
5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係る振動デバイス1dについて、図9を参照して説明する。
尚、図9において、振動デバイス1dの内部構成を説明する便宜上、リッド13を取り外した状態を図示している。
【0046】
本実施形態の振動デバイス1dは、第1接着剤51と第2接着剤52との間に第3接着剤53が配置されていること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0047】
本実施形態の振動デバイス1dは、図9に示すように、支持部24を容器10に接着する接着部材50dが第1接着剤51と、第1接着剤51から離間して配置された第2接着剤52と、第1接着剤51及び第2接着剤52から離間して配置された第3接着剤53と、含む。より具体的には、第1接着剤51と第2接着剤52との間に第3接着剤53が配置されている。
【0048】
第1接着剤51は、導電性接着剤であり、支持部24の第1支持主面23aに設けられた第1支持電極35と容器10に設けられた内部電極14とを電気的に接続している。第2接着剤52は、導電性接着剤であり、支持部24の第1支持主面23aに設けられた第2支持電極36と容器10に設けられた内部電極15とを電気的に接続している。第3接着剤53は、非導電性接着剤であり、支持部24の第1支持主面23aに設けられた第1支持電極35と第2支持電極36との間と容器10とを接合している。
【0049】
第1接着剤51と第2接着剤52との間に非導電性接着剤である第3接着剤53を配置することで、第1支持電極35と第2支持電極36とのショートを防止しつつ接着部材50dの接着面積A3を大きくすることができ、接着強度をより高め、且つ、接着部材50dのダンピング効果によってスプリアス振動をより抑制することができる。尚、本実施形態では、第3接着剤53を非導電性接着剤とすることで電極間のショートを防止できるが、必ずしもこれに限定されない。第1接着剤51と第3接着剤53との距離、および第2接着剤52と第3接着剤53との距離を十分に確保すれば、第3接着剤53は導電性接着剤であっても良い。
【0050】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、スプリアス振動をより抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,1a,1b,1c,1d…振動デバイス、10…容器、11…ベース基板、11a…第1基板、11b…第2基板、12…接合部材、13…リッド、14,15…内部電極、16,17…外部端子、20…振動片、21…振動部、21a…第1主面、21b…第2主面、22…連結腕、22a…第1連結主面、22b…第2連結主面、23…第1支持腕、23a…第1支持主面、23b…第2支持主面、24…支持部、25…側面、31…第1励振電極、32…第2励振電極、33…第1リード電極、34…第2リード電極、35…第1支持電極、36…第2支持電極、50…接着部材、51…第1接着剤、52…第2接着剤、A0…面積、A1,A2,A3…接着面積、S…収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9