(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033799
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】吊り足場組立装置および吊り足場拡張方法
(51)【国際特許分類】
E04G 3/30 20060101AFI20240306BHJP
E04G 3/24 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E04G3/30 301N
E04G3/30 301E
E04G3/24 302H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137632
(22)【出願日】2022-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月16日~17、新型吊足場見学会、ガイナリース岡山ヤード
(71)【出願人】
【識別番号】393000445
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】真田 孝範
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003EB02
(57)【要約】
【課題】吊り足場を拡張する作業の作業性を向上可能な吊り足場組立装置を提供する。
【解決手段】吊り足場組立装置1は、設置済足場支持枠101に着脱可能に取り付けられる取付部2と、取付部2に接続され、複数の他の足場支持部材110を連結することによって構成された拡張用足場支持枠101aを設置済の吊り足場100の外方に搬送する搬送部と3とを有する。搬送部3は、設置済の吊り足場100の外方に延びるアーム部5と、アーム部5に沿って移動し、拡張用足場支持枠101aを保持する保持部7と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の足場支持部材が連結されることによって構成された設置済足場支持枠を有する設置済の吊り足場に対し、他の足場支持部材をさらに連結して前記設置済の吊り足場を拡張するための吊り足場組立装置であって、
前記設置済足場支持枠に着脱可能に取り付けられる取付部と、
前記取付部に接続され、複数の前記他の足場支持部材を連結することによって構成された拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する搬送部と、
を有し、
前記搬送部は、
前記設置済の吊り足場の外方に延びるアーム部と、
前記拡張用足場支持枠を保持しつつ前記アーム部に沿って移動する保持部と、
を有する、
吊り足場組立装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吊り足場組立装置において、
前記搬送部は、吊り足場の水平方向と、前記アーム部が延びる方向とがなす角度を変更する角度調整部を有する、
吊り足場組立装置。
【請求項3】
請求項1に記載の吊り足場組立装置において、
前記アーム部は、前記アーム部に対する前記保持部の位置を固定する固定部を有する、
吊り足場組立装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吊り足場組立装置において、
前記搬送部は、前記取付部に対して、吊り足場の上下方向に延びる軸線周りに回転可能に接続されている、
吊り足場組立装置。
【請求項5】
請求項2に記載の吊り足場組立装置において、
前記搬送部は、
前記取付部に接続され、且つ、下端部に前記アーム部の基端部が接続された上下方向に延びる柱状の第1支持部と、
前記第1支持部の上端部と前記アーム部の先端部とを連結する棒状の第2支持部と、
を有し、
前記第2支持部は、
前記第1支持部との接続位置である第1接続位置から前記アーム部との接続位置である第2接続位置までの長さを変更可能に構成され、
前記角度調整部は、
前記第2支持部において前記第1接続位置から前記第2接続位置までの長さを変更することによって、吊り足場の水平方向と前記アーム部が延びる方向とがなす角度を変更する、
吊り足場組立装置。
【請求項6】
複数の足場支持部材が連結されることによって構成された設置済足場支持枠を有する設置済の吊り足場に対し、他の足場支持部材をさらに連結して前記設置済の吊り足場を拡張するための吊り足場拡張方法であって、
複数の足場支持部材を互いに連結することにより、前記設置済足場支持枠に対して連結される拡張用足場支持枠を組み立てる足場支持枠組立工程と、
前記拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する吊り足場組立装置を、前記設置済足場支持枠に取り付ける取付工程と、
前記吊り足場組立装置によって、前記拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する搬送工程と、
前記吊り足場組立装置によって外方に搬送された前記拡張用足場支持枠を、前記設置済足場支持枠に連結する連結工程と、
を有する、
吊り足場拡張方法。
【請求項7】
請求項6に記載の吊り足場拡張方法において、
前記取付工程では、少なくとも2つの前記吊り足場組立装置を前記設置済足場支持枠に取り付け、
前記搬送工程では、前記少なくとも2つの前記吊り足場組立装置によって、1つの前記拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送し、
前記連結工程では、前記少なくとも2つの前記吊り足場組立装置によって前記外方に搬送された前記拡張用足場支持枠を、前記設置済足場支持枠に連結する、
吊り足場拡張方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置済の吊り足場を拡張するための吊り足場組立装置および吊り足場拡張方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吊り足場を拡張する際に、吊り足場を構成する部材を設置済の吊り足場の外方に送り出す吊り足場の組立工法が知られている。例えば、特許文献1には、複数の主単管と、前記主単管に結束される複数の副単管とによって足場枠が構成された吊り足場の組立方法において、前記副単管を吊り足場の外方に送り出す方法が開示されている。
【0003】
前記特許文献1に開示されている吊り足場の組立方法では、既設の吊り足場を構成している前記副単管の直上に、その副単管と平行に、仮設単管を既設の吊り足場の外方に送り出し可能に構造体に吊設した後、既設の吊り足場を構成しているそれぞれの副単管に接続しようとする新たな副単管の先端部と前記仮設単管の先端部とを連結部材を介して連結し、前記仮設単管と新たな副単管とを既設の吊り足場の外方に送り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示されている吊り足場の組立方法では、既設の吊り足場から新たな副単管を送り出す前に、前記吊り足場の上方に前記仮設単管を吊設し、新たな副単管の先端部と前記仮設単管の先端部とを連結部材によって連結する必要があるとともに、前記吊り足場から前記新たな副単管を送り出した後に、前記連結部材を取り外す必要がある。また、前記特許文献1に開示されている吊り足場の組立方法では、上述の手順によって、前記新たな副単管を一本ずつ前記吊り足場の外方に送り出さなければならない。
【0006】
よって、前記特許文献1の方法では、既設の吊り足場、すなわち、設置済の吊り足場を拡張する際の作業性があまり良くない。そのため、設置済の吊り足場を拡張する作業の作業性を向上可能な吊り足場組立装置が求められている。
【0007】
本発明の目的は、設置済の吊り足場を拡張する作業の作業性を向上可能な吊り足場組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る吊り足場組立装置は、複数の足場支持部材が連結されることによって構成された設置済足場支持枠を有する設置済の吊り足場に対し、他の足場支持部材をさらに連結して前記設置済の吊り足場を拡張するための吊り足場組立装置である。前記吊り足場組立装置は、前記設置済足場支持枠に着脱可能に取り付けられる取付部と、前記取付部に接続され、複数の前記他の足場支持部材を連結することによって構成された拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する搬送部と、を有する。前記搬送部は、前記設置済の吊り足場の外方に延びるアーム部と、前記拡張用足場支持枠を保持しつつ前記アーム部に沿って移動する保持部と、を有する(第1の構成)。
【0009】
上述の吊り足場組立装置では、搬送部は、設置済の吊り足場の外方に延びるアーム部に沿って移動する保持部を有する。前記保持部は、複数の足場支持部材が予め連結された拡張用足場支持枠を保持しつつアーム部に沿って移動する。すなわち、前記搬送部は、複数の足場支持部材によって構成された拡張用足場支持枠を設置済の吊り足場の外方に搬送することができる。したがって、前記吊り足場組立装置を用いて吊り足場を拡張することによって、複数の足場支持部材によって構成された拡張用足場支持枠を、設置済足場支持枠に連結することができる。よって、前記吊り足場組立装置を用いて吊り足場を拡張することによって、設置済足場支持枠に対して足場支持部材を一つずつ連結して吊り足場を拡張する場合に比べて、吊り足場を拡張するための作業を減らして作業時間を短縮することができる。
【0010】
また、前記吊り足場組立装置は、取付部によって、足場支持枠に着脱可能である。すなわち、前記吊り足場組立装置は、設置済足場支持枠に拡張用足場支持枠が連結された後に、取り付けられた設置済足場支持枠から取り外して、拡張用足場支持枠にも取り付けることができる。これにより、吊り足場を拡張する方向に位置する足場支持枠に前記吊り足場組立装置を順次付け替えながら、吊り足場の拡張作業を行うことができる。したがって、前記吊り足場組立装置によって、吊り足場を効率よく拡張することができる。よって、吊り足場を拡張する作業の作業性を向上可能な吊り足場組立装置を提供できる。
【0011】
前記第1の構成の吊り足場組立装置において、前記搬送部は、吊り足場の水平方向と、前記アーム部が延びる方向とがなす角度を変更する角度調整部を有する(第2の構成)。
【0012】
保持部が保持する拡張用足場支持枠は、設置済の吊り足場の外方に搬送された後に、吊り足場を吊る吊り部材が取り付けられる。上述の構成では、吊り足場の水平方向と、前記アーム部が延びる方向とがなす角度を変更することができるので、前記アーム部の先端部の位置を上下方向に移動させることができる。よって、前記アーム部によって設置済の吊り足場の外方に搬送された拡張用足場支持枠のうち前記保持部が保持している部分を上方に移動させることができる。このように前記吊り部材が取り付けられる部分を上方に移動させることができるので、前記拡張用足場支持枠に前記吊り部材を容易に取り付けることができる。したがって、拡張用足場支持枠に吊り部材を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0013】
前記第1の構成の吊り足場組立装置において、前記アーム部は、前記アーム部に対する前記保持部の位置を固定する固定部を有する(第3の構成)。
【0014】
これにより、例えば、アーム部に対する保持部の位置を、前記アーム部の基端部側に固定することができる。よって、設置済足場支持枠に近い位置に前記保持部を位置付けた状態で、前記保持部に拡張用足場支持枠を保持させることができる。すなわち、前記保持部に前記拡張用足場支持枠を保持させる作業を、設置済足場支持枠の近くで行うことができる。したがって、前記保持部に前記拡張用足場支持枠を保持させる作業の作業性を向上させることができる。
【0015】
前記第1から前記第3のいずれか一つの構成の吊り足場組立装置において、前記搬送部は、前記取付部に対して、吊り足場の上下方向に延びる軸線周りに回転可能に接続されている(第4の構成)。
【0016】
これにより、設置済の吊り足場の内側に、アーム部の先端部を位置させることができる。すなわち、前記アーム部の先端部を設置済の吊り足場の内側に配置した状態で、取付部を設置済足場支持枠に取り付けることができる。これにより、前記取付部を設置済足場支持枠に容易に取り付けることができる。
【0017】
前記第2の構成の吊り足場組立装置において、前記搬送部は、前記取付部に接続され、且つ、下端部に前記アーム部の基端部が接続された上下方向に延びる柱状の第1支持部と、前記第1支持部の上端部と前記アーム部の先端部とを連結する棒状の第2支持部と、を有する。前記第2支持部は、前記第1支持部との接続位置である第1接続位置から前記アーム部との接続位置である第2接続位置までの長さを変更可能に構成されている。前記角度調整部は、前記第2支持部において前記第1接続位置から前記第2接続位置までの長さを変更することによって、吊り足場の水平方向と前記アーム部が延びる方向とがなす角度を変更する(第5の構成)。
【0018】
第2支持部における第1支持部との接続位置からアーム部との接続位置までの長さを変更することにより、前記アーム部の先端部の位置を上下方向に移動させることができる。これにより、前記アーム部によって設置済の吊り足場の外方に搬送されて設置済足場支持枠に連結された拡張用足場支持枠が前記保持部によって保持されている部分を、上下方向に容易に移動させることができる。したがって、吊り足場を吊る吊り部材を、前記拡張用足場支持枠に取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る吊り足場拡張方法は、複数の足場支持部材が連結されることによって構成された設置済足場支持枠を有する設置済の吊り足場に対し、他の足場支持部材をさらに連結して前記設置済の吊り足場を拡張するための吊り足場拡張方法である。前記吊り足場拡張方法は、複数の足場支持部材を互いに連結することにより、前記設置済足場支持枠に対して連結される拡張用足場支持枠を組み立てる足場支持枠組立工程と、前記拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する吊り足場組立装置を、前記設置済足場支持枠に取り付ける取付工程と、前記吊り足場組立装置によって、前記拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する搬送工程と、前記吊り足場組立装置によって外方に搬送された前記拡張用足場支持枠を、前記設置済足場支持枠に連結する連結工程と、を有する(第1の方法)。
【0020】
上述の吊り足場拡張方法では、まず、複数の足場支持部材が互いに連結された足場支持枠を予め組み立てる。前記吊り足場拡張方法は、吊り足場組立装置によって、予め組み立てられた足場支持枠を設置済の吊り足場の外方に搬送する。これにより、前記吊り足場拡張方法では、設置済足場支持枠に対して、前記予め組み立てられた足場支持枠を、順次連結することができる。したがって、前記吊り足場拡張方法では、設置済足場支持枠に対して足場支持部材を一つずつ連結して吊り足場を拡張する場合に比べて、吊り足場を拡張するための作業を減らして作業時間を短縮することができる。よって、吊り足場を拡張する作業の作業性を向上可能な吊り足場拡張方法を提供できる。
【0021】
前記第1の方法において、前記取付工程では、少なくとも2つの前記吊り足場組立装置を前記設置済足場支持枠に取り付ける。前記搬送工程では、前記少なくとも2つの前記吊り足場組立装置によって、1つの前記拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する。前記連結工程では、前記少なくとも2つの前記吊り足場組立装置によって前記外方に搬送された前記拡張用足場支持枠を、前記設置済足場支持枠に連結する(第2の方法)。
【0022】
この方法により、少なくとも2つの吊り足場組立装置によって、拡張用足場支持枠を設置済の吊り足場の外方に容易に搬送することができる。しかも、前記少なくとも2つの吊り足場組立装置によって、前記拡張用足場支持枠を安定して支持できるため、前記拡張用足場支持枠を前記設置済足場支持枠に容易に連結することができる。したがって、吊り足場の拡張作業の作業性をより向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態に係る吊り足場組立装置は、設置済足場支持枠に着脱可能に取り付けられる取付部と、前記取付部に接続され、拡張用足場支持枠を前記設置済の吊り足場の外方に搬送する搬送部と、を有する。前記搬送部は、前記設置済の吊り足場の外方に延びるアーム部と、前記拡張用足場支持枠を保持しつつ前記アーム部に沿って移動する保持部と、を有する。
【0024】
この構成により、拡張用足場支持枠を設置済の吊り足場の外方に送り出して、設置済足場支持枠に対して連結することができる。また、吊り足場を拡張する方向に位置する足場支持枠に前記吊り足場組立装置を順次付け替えながら、吊り足場の拡張作業を行うことができる。よって、吊り足場の拡張作業の作業性を向上可能な吊り足場組立装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、吊り足場の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、吊り足場を拡張する方法を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、設置済足場支持枠に拡張用足場支持枠を連結する様子を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、吊り足場に取り付けられた状態の実施形態1に係る吊り足場組立装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、搬送部が吊り足場の上下方向に延びる軸線周りに回転する様子を説明する吊り足場組立装置の平面図である。
【
図7】
図7は、アーム部の先端部が上下に移動する様子を説明する吊り足場組立装置の側面図である。
【
図8】
図8は、保持部がアーム部に沿って移動する様子を説明する吊り足場組立装置の側面図である。
【
図9】
図9は、保持部に拡張用足場支持枠を保持させる様子を示す図である。
【
図10】
図10は、搬送部が拡張用足場支持枠を吊り足場の外方に搬送する様子を示す図である。
【
図13】その他の実施形態に係る吊り足場組立装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態1)
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0027】
なお、以下の説明では、足場板102が延びる方向を水平方向と称し、足場板102の厚み方向を上下方向と称する。なお、水平方向は、地面に対して水平な方向だけでなく、吊り足場100として機能する程度に地面に対して傾いた方向も含む。また、上下方向は、鉛直方向または前記水平方向に直交する方向である。
【0028】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0029】
(吊り足場の構成)
本実施形態に係る吊り足場組立装置1は、設置済の吊り足場100を拡張するために用いられる装置である。最初に、
図1から
図4を参照して、吊り足場組立装置1によって拡張される吊り足場100について簡単に説明する。
図1は、吊り足場100の概略構成を示す斜視図である。
図1では、吊り足場100の一部を示している。吊り足場100は、構造物に対してワイヤ及びチェーンなどの吊り部材108を用いて吊り下げられることにより、前記構造物の下方に設置される。吊り足場100は、例えば、橋梁等の構造物の工事などのように、地面に足場を設置するのが困難な作業環境で用いられる。
【0030】
吊り足場100は、足場支持枠101と、複数の足場板102と、を有する。足場支持枠101は、水平方向に延びる複数の足場支持部材110が互いに連結されることにより枠状に構成されている。詳細には、複数の足場支持部材110は、水平方向且つ所定の方向に延びる複数の柱状の第1支持部材111と、第1支持部材111が延びる方向と交差する方向に延びる複数の柱状の第2支持部材112とを含む。第2支持部材112の長手方向の端部が一対の第1支持部材111にそれぞれ接続されることにより、枠状の足場支持枠101が構成される。
【0031】
図1に示すように、第1支持部材111は、長手方向に所定の間隔をあけて位置する複数のフランジ状の接続部113を有する。
図2に示すように、接続部113は、第1支持部材111の外周面から水平方向、上方向、及び、下方向に突出した突出部を有する。第2支持部材112は、接続部113のうち水平方向に突出する横突出部113aに連結されている。
【0032】
図1に示すように、接続部113のうち、上方向に突出する上突出部113bには、吊り足場100を吊る吊り部材108を取り付けることができる。また、上突出部113bには、後述する吊り足場組立装置1の取付部2(
図5参照)及び保持部7(
図9参照)を取り付けることができる。
【0033】
複数の足場板102は、足場支持枠101によって水平方向に延びるように支持されている。詳細には、複数の足場板102は、足場支持枠101の第2支持部材112に架け渡されている。複数の足場板102は、第2支持部材112に対して固定されている。複数の足場板102は、吊り足場100で作業する作業員に対する作業場の床面を構成する。以下では、複数の足場板102が固定され、且つ、吊り部材108によって構造物から吊られた吊り足場、すなわち、設置済の吊り足場を、単に吊り足場100と称する。また、設置済の吊り足場である吊り足場100を構成している足場支持枠101を、設置済足場支持枠101と称する。
【0034】
図3及び
図4は、上述の構成を有する吊り足場100を拡張する方法を模式的に示す図である。
図4では、説明のため、足場板102を二点鎖線で示している。また、
図4では、説明のため、吊り足場100を吊っている吊り部材108を省略している。
【0035】
図3に示すように、吊り足場100は、構造物Tの下方に吊り部材108によって吊られている。
図3及び
図4に示すように、吊り足場100は、吊られた状態で、設置済足場支持枠101に拡張用足場支持枠101aを連結することにより拡張される。
【0036】
図4に示すように、拡張用足場支持枠101aは、1つの第1支持部材111aと、複数の第2支持部材112aとを有する。複数の第2支持部材112aの長手方向の端部のうち一方の端部は、第1支持部材111aに接続されている。複数の第2支持部材112aの長手方向の端部のうち他方の端部は、開放されている。拡張用足場支持枠101aの第1支持部材111aは、設置済足場支持枠101の第1支持部材111と同様、複数のフランジ状の接続部113を有する。
【0037】
吊り足場100は、本実施形態に係る吊り足場組立装置1(
図5参照)を用いて拡張される。吊り足場組立装置1を用いて吊り足場100を拡張する方法の詳細は、後述する。
【0038】
(吊り足場組立装置)
次に、
図5から
図10を参照して、吊り足場組立装置1について説明する。
【0039】
図5は、吊り足場組立装置1の斜視図である。
図5に示すように、吊り足場組立装置1は、取付部2と、搬送部3とを有する。取付部2は、設置済足場支持枠101に着脱可能に取り付けられる。搬送部3は、取付部2に接続されている。搬送部3は、アーム部5と、保持部7とを有する。アーム部5は、取付部2が取り付けられた足場支持枠101の外方に延びている。保持部7は、アーム部5に沿ってアーム部5の延伸方向に移動する。保持部7は、設置済足場支持枠101に連結される拡張用足場支持枠101aを保持可能である。保持部7は、拡張用足場支持枠101aを保持した状態で、アーム部5に沿って、吊り足場100の外方に移動する。これにより、保持部7によって保持された拡張用足場支持枠101aが、吊り足場100の外方に搬送される。
【0040】
本実施形態では、取付部2は、第1部材21と、第2部材22と、第3部材23と、第4部材24とを有する。第1部材21、第2部材22、第3部材23及び第4部材24は、円筒状のパイプである。取付部2は、第1部材21、第2部材22、第3部材23及び第4部材24がそれらの端部で互いに接続されたフレーム状である。
【0041】
詳細には、第1部材21及び第2部材22は、平行に配置されている。第1部材21は、第2部材22よりも長さが長い。第3部材23は、第1部材21の長手方向の端部のうち一方の端部と、第2部材22の長手方向の端部のうち一方の端部とに接続されている。第3部材23は、第1部材21及び第2部材22に対して直交する方向に延びるように配置されている。
【0042】
第4部材24は、第1部材21の長手方向の端部のうち他方の端部と、第2部材22の長手方向の端部のうち他方の端部とに接続されている。第4部材24は、第1部材21及び第2部材22の間を、第1部材21及び第2部材22の軸方向に対して傾斜する方向に延びるように配置されている。
【0043】
取付部2は、第1部材21及び第2部材22が上下方向に延びるように、それらの下端部が吊り足場100に着脱可能に取り付けられる。詳細には、第1部材21及び第2部材22の長手方向の端部のうち第3部材23が接続されている端部が、足場支持枠101の第1支持部材111の接続部113に連結される。すなわち、吊り足場組立装置1は、取付部2を介して、足場支持枠101に対して着脱可能に装着される。以下の説明では、吊り足場100に装着された状態の吊り足場組立装置1の上下方向を、吊り足場組立装置1の上下方向とする。
【0044】
取付部2は、設置済足場支持枠101に連結された拡張用足場支持枠101aに対しても取り付けることができる。これにより、吊り足場100を拡張する方向に位置する設置済足場支持枠101に吊り足場組立装置1を順次付け替えながら、吊り足場100を拡張することができる。したがって、吊り足場組立装置1によって、吊り足場100を効率よく拡張することができる。
【0045】
本実施形態では、搬送部3は、柱状の第1支持部4と、柱状のアーム部5と、棒状の第2支持部6と、保持部7と、複数の取っ手部8とを有する。搬送部3は、第1支持部4、アーム部5及び第2支持部6が互いに接続されることによって、第2支持部6を斜辺とする略直角三角形状の形状を有する。
【0046】
詳細には、第1支持部4は、上下方向に延びるように配置されている。第1支持部4は、取付部2の第1部材21に対して平行に延びるように第1部材21に接続されている。第1支持部4は、第1部材21の外周を、第1部材21の周方向に回転可能に、第1部材21に接続されている。すなわち、搬送部3は、
図6に示すように、取付部2の第1部材21の軸周りに回転する。
【0047】
これにより、吊り足場100の内側に、アーム部5の先端部を位置させることができる。すなわち、アーム部5の先端部を吊り足場100の内側に配置した状態で、取付部2を設置済足場支持枠101に取り付けることができる。これにより、取付部2を設置済足場支持枠101に容易に取り付けることができる。
【0048】
第1支持部4の上端部には、第1接続部41が固定されている。第1支持部4は、第1接続部41を介して、第2支持部6と接続される。第1支持部4及び第2支持部6の接続部分の詳細な構成は後述する。
【0049】
図5に示すように、アーム部5は、第1支持部4の下端部に接続され、第1支持部4と交差する方向に延びる。アーム部5は、第1支持部4に対してピン接合されている。すなわち、アーム部5は、第1支持部4に対する角度を変更可能なように、第1支持部4に対して回転自在に接続されている。これにより、アーム部5の先端部は、
図7に示すように、上下方向に移動可能である。
【0050】
図5に示すように、アーム部5の先端部には、第2接続部51が固定されている。アーム部5は、第2接続部51を介して、第2支持部6と接続される。アーム部5及び第2支持部6の接続部分の詳細な構成は後述する。
【0051】
本実施形態では、アーム部5は、レール52と、ストッパ53とを有する。レール52は、アーム部5の下側に設けられ、アーム部5の長手方向に沿って延びている。レール52には、後述する保持部7が移動可能に取り付けられている。レール52は、一般的なレールと同様の構成を有する。したがって、レール52の詳細な説明は、省略する。
【0052】
ストッパ53は、アーム部5に沿って移動する保持部7の移動を規制する。本実施形態では、ストッパ53は、アーム部5の第1支持部4側に設けられ、保持部7の位置を第1支持部4側に固定する。ストッパ53は、本発明の固定部である。
【0053】
図5に示すように、第2支持部6は、第1支持部4の上端部とアーム部5の先端部とを連結する。第2支持部6における長手方向の両端部のうち一方の端部は、第1接続部41を介して、第1支持部4に接続されている。第2支持部6における長手方向の端部のうち他方の端部は、第2接続部51を介して、アーム部5に接続されている。第2支持部6と第1支持部4との接続部分、及び、第2支持部6とアーム部5との接続部分の詳細な構成は後述する。
【0054】
第2支持部6は、第1支持部4及びアーム部5に接続された状態で、第2支持部6の軸周りに回転可能である。本実施形態では、第2支持部6には、第2支持部6を軸周りに回転させる操作部である第1回転操作部62、第2回転操作部63及び第3回転操作部64が設けられている。
【0055】
第1回転操作部62は、第2支持部6における前記一方の端部の先端に設けられている。第2回転操作部63は、第2支持部6における前記他方の端部の先端に設けられている。本実施形態では、第1回転操作部62及び第2回転操作部63は、第2支持部6を軸方向に見て多角形状である。よって、工具などを用いて第1回転操作部62及び第2回転操作部63を回転させることにより、第2支持部6を、第2支持部の軸周りに回転させることができる。なお、第1回転操作部62及び第2回転操作部63は、工具などを用いて回転させることができる形状であれば、他の形状でであってもよい。
【0056】
第3回転操作部64は、第2支持部6の外周面上に設けられている。第3回転操作部64は、第2支持部6を、第2支持部6の軸周りに回転させるように操作者が把持して操作する操作部である。すなわち、工具などを用いることなく、操作者が第3回転操作部64を把持して操作することによって、第2支持部6を、第2支持部6の軸周りに回転させることができる。
【0057】
本実施形態では、第3回転操作部64は、第2支持部6の外周面から第2支持部6の軸方向に対して直交する方向に延びる2つの棒状の部材によって構成されている。第3回転操作部64は、第2支持部6に対して回転不能に固定されている。したがって、前記2つの棒状の部材を、第2支持部6の周方向に回転させることにより、第2支持部6を、第2支持部6の軸周りに回転させることができる。第3回転操作部64は、第2支持部6の外周面上で第1回転操作部62に近い位置に設けられている。なお、第3回転操作部は、操作者が把持して、第2支持部6の軸周りに第2支持部6を回転させることができる形状であればよい。第3回転操作部は、操作者が把持して、第2支持部6を第2支持部6の軸周りに回転させることができる位置に設けられていればよい。
【0058】
保持部7は、チェーン71と、吊り金具72とを有する。チェーン71は、上側がアーム部5のレール52に接続されている。チェーン71の下側には、吊り金具72が接続されている。吊り金具72には、第1支持部材111aの接続部113を取り付けることができる。すなわち、保持部7は、第1支持部材111を保持することができる。
図8に示すように、保持部7は、アーム部5のレール52に沿って移動する。
【0059】
複数の取っ手部8は、第1取っ手部81及び第2取っ手部82の2つの取っ手部を含む。第1取っ手部81は、アーム部5の長手方向の中央部分から上方に延びている角柱部材の上端部に設けられている。第2取っ手部82は、第1支持部4の外周面上に設けられている。複数の取っ手部8は、吊り足場組立装置1の操作者が把持可能である。これにより、保持部7に第1支持部材111を保持させる作業、取付部2に対して搬送部3を回転させる作業、及び、第2支持部6を、第2支持部6の軸周りに回転させる作業などの作業性を向上することができる。なお、複数の取っ手部8は、搬送部3における他の位置に設けられていてもよい。
【0060】
本実施形態では、搬送部3は、第1支持部4に対するアーム部5の角度を変更する角度調整部9を有する。すなわち、角度調整部9は、水平方向と、アーム部5が延びる方向とがなす角度を変更する。角度調整部9によってアーム部5の先端部は上下方向に移動する。角度調整部9の詳細な構成は、後述する。
【0061】
(アーム部、第1支持部及び第2支持部の接続構造)
次に、第2支持部6及び第1支持部4の接続構造と、第2支持部6及びアーム部5の接続構造について説明する。
【0062】
図5に示すように、第1支持部4の第1接続部41は、第2支持部6が貫通する貫通孔が設けられた回転部41aを有する。回転部41aは、第1接続部41に対する前記貫通孔の貫通方向が変化するように、第1接続部41にピン接合されている。
【0063】
アーム部5の第2接続部51は、第2支持部6が貫通する貫通孔が設けられた回転部51aを有する。回転部51aは、第2接続部51に対する前記貫通孔の貫通方向が変化するように、第2接続部51にピン接合されている。回転部51aの前記貫通孔は、内周面にメスねじが設けられている。
【0064】
図5及び
図7に示すように、第2支持部6は、アーム部5と接続される下側の端部の外周面に、長手方向に延びるオスねじ61が設けられている。
【0065】
第2支持部6の上側の端部は、第1接続部41の回転部41aの前記貫通孔を貫通している。第2支持部6は、上側の端部に位置する第1接続位置P1で、第1接続部41に対して、軸方向の移動が規制されるとともに、第2支持部6の軸周りに回転可能に接続されている。
【0066】
第2支持部6の下側の端部のオスねじ61は、第2接続部51の回転部51aの前記貫通孔におけるメスねじと螺合している。すなわち、第2支持部6の下側の端部は、第2接続部51に対して、第2支持部6の軸周りに回転可能に接続されている。
【0067】
よって、第2支持部6は、第1支持部4の第1接続部41及びアーム部5の第2接続部51に接続された状態で、第2支持部6の軸周りに回転することができる。第2支持部6が前記軸周りに回転することにより、第2支持部6の長手方向に第2接続部51が移動する。よって、第2支持部6における第2接続部51との接続位置である第2接続位置P2は、第2支持部6の軸方向に移動する。これにより、第2支持部6において第1接続位置P1から第2接続位置P2までの長さが変更される。
【0068】
上述したように、第2支持部6には、第2支持部6を、第2支持部6の軸周りに回転させる、第1回転操作部62、第2回転操作部63及び第3回転操作部64が設けられている。すなわち、第1回転操作部62、第2回転操作部63及び第3回転操作部64を操作することによって、第2支持部6において第1接続位置P1から第2接続位置P2までの長さが変更される。
【0069】
(角度調整部)
本実施形態では、角度調整部9は、第2支持部6のオスねじ61と、アーム部5の第2接続部51の回転部51aにおける前記貫通孔の内周に設けられたメスねじによって構成されている。すなわち、第2支持部6のオスねじ61と、アーム部5の前記メスねじによって、吊り足場100の水平方向とアーム部5が延びる方向とがなす角度を変更することができる。
【0070】
上述したように、第2支持部6を前記軸周りに回転させることにより、第2支持部6における第2接続部51に対する接続位置である第2接続位置P2は、第2支持部6の軸方向に移動する。これにより、第2支持部6において第1接続位置P1から第2接続位置P2までの長さが変更される。
【0071】
第2支持部6における第1支持部4との第1接続位置P1から第2支持部6におけるアーム部5との第2接続位置P2までの長さを短くすることにより、第1支持部4に対するアーム部5の角度が小さくなる。第1接続位置P1から第2接続位置P2までの長さを長くすることにより、第1支持部4に対するアーム部5の角度が大きくなる。すなわち、角度調整部9によって、吊り足場100の水平方向とアーム部5が延びる方向とがなす角度が変更される。
【0072】
角度調整部9によって、吊り足場100の水平方向とアーム部5が延びる方向とがなす角度を変更することによりアーム部5の先端部は上下方向に移動する。アーム部5の先端部を上下方向に移動させることにより、アーム部5に接続されている保持部7を上下方向に移動させることができる。
【0073】
保持部7には、拡張用足場支持枠101aの第1支持部材111aの接続部113が取り付けられる。よって、保持部7を上下方向に移動させることにより、保持部7が保持している部分、すなわち、第1支持部材111aを上下方向に移動させることができる。
【0074】
第1支持部材111aの他の接続部113には、吊り足場100を吊っている吊り部材108が取り付けられる。角度調整部9は、吊り部材108が取り付けられる接続部113を有する第1支持部材111aを上方に移動させることができる。吊り部材108が取り付けられる接続部113を有する第1支持部材111aを上方に移動させておくことで、接続部113に吊り部材108を容易に取り付けることができる。したがって、角度調整部9によって、拡張用足場支持枠101aに吊り部材108を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0075】
なお、アーム部5の先端部を上下方向に移動させると、アーム部5及び第1支持部4がなす角度、アーム部5及び第2支持部6がなす角度、第1支持部4及び第2支持部6がなす角度は、それぞれ変化する。
【0076】
本実施形態では、上述したように、アーム部5と第1支持部4とは、ピン接合されている。第1支持部4は、第2支持部6との接続部分に、第1支持部4に対してピン接合された回転部41aを有する。アーム部5は、第2支持部6との接続部分に、アーム部5に対してピン接合された回転部51aを有する。すなわち、第1支持部4、アーム部5及び第2支持部6は、互いに回転自在に接続されている。これにより、アーム部5と第1支持部4との接続部分、第1支持部4と第2支持部6との接続部分、及び、アーム部5と第2支持部6との接続部分に、角度変化による負荷が生じることが防止される。
【0077】
以上の構成を有する吊り足場組立装置1は、
図9に示すように、取付部2を介して、設置済足場支持枠101に装着される。足場組立装置1を設置済足場支持枠101に装着した状態で、アーム部5は、吊り足場100の外方に延びている。保持部7は、拡張用足場支持枠101aを保持可能である。
図10に示すように、保持部7に拡張用足場支持枠101aを保持させた状態で、保持部7は、アーム部5に沿って、吊り足場100の外方に移動可能である。これにより、吊り足場組立装置1は、吊り足場100の外方に、拡張用足場支持枠101aを搬送することができる。
【0078】
すなわち、足場組立装置1では、搬送部3によって、複数の足場支持部材110が予め連結された拡張用足場支持枠101aを設置済足場支持枠101の外方に搬送することができる。したがって、吊り足場組立装置1を用いて吊り足場を拡張することによって、複数の足場支持部材110によって構成された拡張用足場支持枠101aを、設置済足場支持枠101に連結することができる。よって、吊り足場組立装置1を用いて吊り足場を拡張することによって、設置済足場支持枠101に対して足場支持部材110を一つずつ連結して吊り足場100を拡張する場合に比べて、吊り足場100を拡張するための作業を減らして作業時間を短縮することができる。よって、吊り足場を拡張する作業の作業性を向上可能な吊り足場組立装置1を提供できる。
【0079】
(吊り足場拡張方法)
次に、
図4、
図9から
図11、及び、
図12Aから
図12F参照して、吊り足場組立装置1を用いて吊り足場100を拡張する方法について説明する。
図11は、吊り足場拡張方法のフロー図である。
図12Aから
図12Fは、吊り足場100を拡張する方法を説明する模式図である。なお、
図12Aから
図12Fでは、説明のため、吊り足場組立装置1の取付部2を簡略化している。また、
図12Aから
図12Eでは、吊り足場100を吊っている吊り部材108の記載を一部省略している。
【0080】
図11に示すように、吊り足場拡張方法は、足場支持枠組立工程S1と、取付工程S2と、搬送工程S3と、連結工程S4と、吊り部材取付工程S5と、を有する。
【0081】
足場支持枠組立工程S1では、複数の足場支持部材110を互いに連結することにより、設置済足場支持枠101に対して連結される拡張用足場支持枠101aを組み立てる。詳細には、
図4に示すように、1つの第1支持部材111aに複数の第2支持部材112aの長手方向の端部のうち一方の端部を接続することにより、拡張用足場支持枠101aを得る。なお、複数の第2支持部材112aの長手方向の端部のうち他方の端部は、開放されている。
【0082】
取付工程S2では、複数の吊り足場組立装置1の取付部2を、設置済足場支持枠101のうち、吊り足場100を拡張したい方向に位置する第1支持部材111に取り付ける。本実施形態では、
図9に示すように、吊り足場100を拡張したい方向に位置する1つの第1支持部材111の離隔した位置に、2つの吊り足場組立装置1の取付部2がそれぞれ取り付けられる。なお、取付工程S2は、足場支持枠組立工程S1よりも前に行ってもよい。
【0083】
搬送工程S3では、
図12Aに示すように、2つの吊り足場組立装置1によって、1つの拡張用足場支持枠101aを吊り足場100の外方に搬送する。詳細には、
図9に示すように、2つの吊り足場組立装置1の保持部7を、拡張用足場支持枠101aの第1支持部材111aにおける2つの接続部113に取り付ける。これにより、2つの吊り足場組立装置1によって、拡張用足場支持枠101aが2点で保持される。次に、
図12Bに示すように、拡張用足場支持枠101aを、設置済足場支持枠101の外方に押す。保持部7は、拡張用足場支持枠101aを保持しつつレール52に沿って移動する。これにより、
図10に示すように、拡張用足場支持枠101aが、吊り足場100の外方に搬送される。
【0084】
連結工程S4では、
図12Cに示すように、外方に搬送された拡張用足場支持枠101aを、設置済足場支持枠101に連結する。詳細には、拡張用足場支持枠101aの第2支持部材112aの開放端を、設置済足場支持枠101の第1支持部材111に接続する。その後、
図12Dに示すように、設置済足場支持枠101に連結された拡張用足場支持枠101aに足場板102aを固定する。
【0085】
次に、吊り部材取付工程S5では、設置済足場支持枠101に連結された拡張用足場支持枠101aに吊り部材108を取り付ける。詳細には、
図12Eに示すように、第2支持部6を軸周りに回転させることにより、保持部7を上方に移動させる。これにより、設置済足場支持枠101に連結された拡張用足場支持枠101aのうち保持部7が保持している部分が上方に移動する。次に、上方に移動した拡張用足場支持枠101aの接続部113(
図9参照)に吊り部材108を取り付ける。拡張用足場支持枠101aの接続部113に吊り部材108が取り付けられた後に、保持部7を下方に移動させる。これにより、拡張用足場支持枠101aは、保持部7によって支持された状態から、吊り部材108によって支持された状態になる。
【0086】
以上の工程によって、吊り足場100が拡張される。その後、
図12Fに示すように、設置済足場支持枠101から吊り足場組立装置1の取付部2を取り外す。
【0087】
吊り足場組立装置1の取付部2は、設置済足場支持枠101に対して着脱自在である。したがって、取り外された吊り足場組立装置1の取付部2は、吊り足場100をさらに拡張したい方向に位置する足場支持枠101に取り付けることができる。このように、吊り足場100を拡張する方向に位置する足場支持枠101に順次吊り足場組立装置1を付け替えながら、足場支持枠101に拡張用足場支持枠101aを順次連結することにより、吊り足場100を拡張することができる。
【0088】
上述の吊り足場拡張方法では、複数の足場支持部材110が互いに連結された拡張用足場支持枠101aを予め組み立てる。前記吊り足場拡張方法は、吊り足場組立装置1によって、予め組み立てられた拡張用足場支持枠101aを設置済の吊り足場100の外方に搬送する。
【0089】
これにより、前記吊り足場拡張方法では、設置済足場支持枠101に対して、予め組み立てられた拡張用足場支持枠101aを、順次連結することができる。したがって、前記吊り足場拡張方法では、設置済足場支持枠101に対して足場支持部材110を一つずつ連結して吊り足場100を拡張する場合に比べて、吊り足場100の拡張するための作業を減らして作業時間を短縮することができる。よって、吊り足場100の拡張作業の作業性を向上可能な吊り足場拡張方法を提供できる。
【0090】
また、本実施形態では、2つの吊り足場組立装置1によって、拡張用足場支持枠101aを設置済の吊り足場100の外方に搬送する。これにより、拡張用足場支持枠101aを、設置済の吊り足場100の外方に、容易に搬送することができるとともに、設置済足場支持枠101に、容易に連結することができる。したがって、吊り足場100の拡張作業の作業性をより向上することができる。
【0091】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0092】
前記実施形態1では、取付部2は、第1部材21、第2部材22、第3部材23及び第4部材24が互いに接続されたフレーム状である。しかしながら、取付部は、足場支持枠に取付可能な構成を有していればよい。例えば、取付部は、1つの部材によって構成されていてもよい。取付部は、フレーム状でなくてもよい。
【0093】
前記実施形態1では、取付部2の第1部材21は、上下方向に延びている。しかしながら、第1部材21は、上下方向に延びていなくてもよい。取付部は、吊り足場の上下方向に延びる軸線周りに回転可能なように搬送部を支持できる構成を有していればよい。
【0094】
前記実施形態1では、搬送部3は、略直角三角形状の形状を有する。しかしながら、搬送部は、他の形状であってもよい。
【0095】
前記実施形態1では、搬送部3は、取付部2に接続されるとともにアーム部5が接続される第1支持部4を有する。しかしながら、搬送部は、第1支持部を有さなくてもよい。この場合、アーム部は、取付部に直接接続されてもよい。
【0096】
前記実施形態1では、搬送部3は、角度調整部9を有する。しかしながら、搬送部は、角度調整部を有さなくてもよい。
【0097】
前記実施形態1では、角度調整部9は、第2支持部6のオスねじ61と、アーム部5の第2接続部51の回転部51aにおける前記貫通孔の内周に設けられたメスねじによって構成されている。すなわち、第2支持部6のオスねじ61がアーム部5のメスねじに対して回転することにより、第2支持部6におけるアーム部5との接続位置が移動し、その結果、アーム部5の先端部が上下方向に移動することによって実現されている。しかしながら、角度調整部は、アーム部の先端部の位置を上下方向に移動させる他の手段によって実現されてもよい。
【0098】
前記実施形態1では、搬送部3は、アーム部5及び第1支持部4がなす角度が変化するように構成されている。しかしながら、搬送部は、アーム部及び第1支持部がなす角度が変化しないように構成されていてもよい。
【0099】
すなわち、アーム部は、第1支持部に固定されていてもよいし、例えば、
図13に示す吊り足場組立装置201の搬送部203のように、アーム部205は、第3支持部206を介して第1支持部204に固定されていてもよい。吊り足場組立装置201の搬送部203は、第1支持部204と、アーム部205と、第3支持部206と、保持部7と、複数の取っ手部208とを有する。第3支持部206は、アーム部205の上面に固定されているとともに、基端部が第1支持部204に固定されている。
【0100】
このように、アーム部205及び第1支持部204がなす角度を変化させる角度調整機能を有していない吊り足場組立装置201には、
図13に示すように、第3支持部206の先端部にフック261が設けられていてもよい。フック261にチェーンなどを取り付けて、搬送部203を上方から吊って、他の装置によって前記チェーンを巻き上げることにより、アーム部205の先端部を上方に移動させることができる。これにより、実施形態1の吊り足場組立装置1と同様に、保持部7に保持されている拡張用足場支持枠を上方に移動させることができる。これにより、拡張用足場支持枠に、吊り足場を吊るための吊り部材を容易に取り付けることができる。
【0101】
なお、吊り足場組立装置201の搬送部203は、実施形態1の吊り足場組立装置1の搬送部3とは異なり、第1支持部204の上端部及びアーム部205の先端部を連結する第2支持部を有さない。したがって、吊り足場組立装置201の上下方向の長さは、実施形態1の吊り足場組立装置1に比べて、短い。よって、吊り足場組立装置201は、例えば、吊り足場組立装置201が取り付けられる設置済足場支持枠と、吊り足場が吊られている構造物の下面との距離が短い作業環境でも用いることができる。
【0102】
前記実施形態1では、アーム部5は、保持部7が移動するレール52を有する。しかしながら、アーム部は、保持部を移動させることができる構成を有していればよく、レールを有さなくてもよい。例えば、アーム部は、保持部が移動できる溝を有してもよい。
【0103】
前記実施形態1では、アーム部5は、レール52を移動する保持部7の位置を固定するストッパ53を有する。しかしながら、アーム部は、ストッパを有さなくてもよい。なお、アーム部5がストッパ53を有することにより、例えば、拡張用足場支持枠101aを保持部7に保持させる際に、保持部7を、設置済足場支持枠101の近い位置に固定することができる。したがって、保持部7に拡張用足場支持枠101aを保持させる作業の作業性を向上させることができる。
【0104】
前記実施形態1では、アーム部5は、保持部7の位置を第1支持部4側に固定するストッパ53を有する。しかしながら、アーム部は、保持部の位置を他の位置に固定するストッパを有してもよい。アーム部は、保持部の位置を複数の位置に固定可能な複数のストッパを有してもよい。
【0105】
前記実施形態1では、第2支持部6は、第1回転操作部62、第2回転操作部63及び第3回転操作部64の3つの回転操作部を有する。しかしながら、第2支持部は、1つまたは2つの回転操作部を有してもよい。第2支持部は、回転操作部を有さなくてもよい。
【0106】
前記実施形態1では、保持部7が移動するレール52は、アーム部5の下側に設けられている。しかしながら、レールは、アーム部の下側以外の位置に設けられていてもよい。
【0107】
前記実施形態1では、吊り足場100は、2つの吊り足場組立装置1を用いて拡張される。しかしながら、吊り足場は、1つの吊り足場組立装置を用いて拡張されてもよい。吊り足場は、3つ以上の吊り足場組立装置を用いて拡張されてもよい。
【0108】
前記実施形態1では、拡張用足場支持枠101aを保持する保持部7は、アーム部5に沿って移動する。拡張用足場支持枠101aは、保持部7の移動によって設置済の吊り足場100の外方に搬送される。しかしながら、保持部はアーム部の先端に固定されていて、アーム部の長さが変わる構成であってもよい。この場合、アーム部の長さが変わることによって、拡張用足場支持枠が設置済の吊り足場の外方に搬送される。
【0109】
前記実施形態1では、吊り足場組立装置1は、2つの取っ手部8を有する。しかしながら、吊り足場組立装置は、取っ手部を有さなくてもよい。吊り足場組立装置は、1つまたは3つ以上の取っ手部を有してもよい。
【0110】
前記実施形態1では、吊り足場組立装置1は、1つの第1支持部材111aと、複数の第2支持部材112aとによって構成された拡張用足場支持枠101aを、吊り足場100の外方に搬送する。しかしながら、吊り足場組立装置は、複数の第1支持部材と、複数の第2支持部材とによって構成された拡張用足場支持枠を、吊り足場の外方に搬送してもよい。吊り足場組立装置は、複数の第1支持部材と、1つの第2支持部材とによって構成された拡張用足場支持枠を、吊り足場の外方に搬送してもよい。
【0111】
前記実施形態1では、吊り足場組立装置1によって、吊り足場100を、水平方向且つ第1支持部材111の長手方向に対して直交する方向に拡張する方法を説明した。しかしながら、吊り足場組立装置は、吊り足場を、水平方向且つ第1支持部材の長手方向に拡張する際に用いられてもよい。
【0112】
前記実施形態では、吊り足場組立装置1は、設置済みの吊り足場100を拡張する際に用いられる。しかしながら、吊り足場組立装置は、吊り足場を組み立てる際に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、設置済の吊り足場を拡張する装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1、201 吊り足場組立装置
2 取付部
3、203 搬送部
4、204 第1支持部
5、205 アーム部
6 第2支持部
7 保持部
8、208 取っ手部
9 角度調整部
21 第1部材
22 第2部材
23 第3部材
24 第4部材
41 第1接続部
41a 回転部
51 第2接続部
51a 回転部
52 レール
53 ストッパ(固定部)
62 第1回転操作部
63 第2回転操作部
64 第3回転操作部
71 チェーン
72 吊り金具
81 第1取っ手部
82 第2取っ手部
100 足場
101 設置済足場支持枠
101a 拡張用足場支持枠
102、102a 足場板
108 吊り部材
110 足場支持部材
111、111a 第1支持部材
112、112a 第2支持部材
113 接続部
113a 横突出部
113b 上突出部
206 第3支持部
261 フック
P1 第1接続位置
P2 第2接続位置