(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033811
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】パッケージ型気体圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20240306BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20240306BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F04B41/00 Z
F04B39/00 101Z
F04C29/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137648
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】時野 祐吾
(72)【発明者】
【氏名】原島 寿和
(72)【発明者】
【氏名】大城 竜亮
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚博
(72)【発明者】
【氏名】梶江 雄太
【テーマコード(参考)】
3H003
3H076
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AC01
3H003BA00
3H003CD01
3H003CD05
3H003CE01
3H076BB01
3H076CC47
3H076CC91
3H076CC99
3H129AA03
3H129AB01
3H129BB21
3H129CC02
3H129CC06
3H129CC09
3H129CC22
3H129CC28
(57)【要約】
【課題】騒音の低減を図りつつ健全な冷却性能を維持することが可能なパッケージ型気体圧縮機を提供する。
【解決手段】パッケージ型気体圧縮機は、圧縮機本体2と冷却ファン7と空冷式の熱交換器4、5とこれらを収容する筐体1とを備える。筐体1は構成機器を取り囲む側面に冷却風の吸気口17を有する。圧縮機本体2は筐体1内の下部に配置され、冷却ファン7は圧縮機本体2よりも上方に配置されかつ回転軸線Afが筐体1の高さ方向に直交するように配置される。熱交換器4、5は冷却ファン7の吸込側の位置に配置される。吸気口17は筐体の高さ方向において圧縮機本体2と重なるように設けられかつ熱交換器4、5よりも冷却ファン7に近い位置に設けられる。圧縮機本体2は、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向において熱交換器4、5と筐体1の側面のうちの熱交換器4、5の冷却風の流入側に対向する対向面15との間の領域に重なるように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を圧縮する圧縮機本体と、
回転軸線の周りに回転することで冷却風を生起する冷却ファンと、
前記冷却風が通過することで前記圧縮機本体から導入される流体を冷却する空冷式の熱交換器と、
前記圧縮機本体と前記冷却ファンと前記熱交換器とを収容する筐体とを備え、
前記筐体は、前記圧縮機本体と前記冷却ファンと前記熱交換器とを取り囲む側面に前記冷却風の吸気口を有し、
前記圧縮機本体は、前記筐体内の下部に配置され、
前記冷却ファンは、前記圧縮機本体よりも上方に配置され、かつ、前記回転軸線が前記筐体の高さ方向に直交するように配置され、
前記熱交換器は、前記冷却ファンの吸込側の位置に配置され、
前記吸気口は、前記筐体の高さ方向において前記圧縮機本体と重なるように設けられ、かつ、前記熱交換器よりも前記冷却ファンに近い位置に設けられ、
前記圧縮機本体は、前記冷却ファンの前記回転軸線の延在方向において、前記熱交換器と前記筐体の前記側面のうちの前記熱交換器の前記冷却風の流入側に対向する対向面との間の領域に重なるように配置されている
ことを特徴とするパッケージ型気体圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記吸気口は、前記筐体に1つのみ形成されている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項3】
請求項2に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記吸気口は、前記筐体の前記側面のうちの前記冷却ファンの前記回転軸線の延在方向に位置する部分に設けられている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項4】
請求項2に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記吸気口は、前記筐体の前記側面のうちの前記冷却ファンの前記回転軸線に対して直交する方向の部分に設けられている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項5】
請求項3に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記圧縮機本体は、スクリュー式であり、その軸方向が前記冷却ファンの前記回転軸線と平行になるように配置されている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項6】
請求項1に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記吸気口は、前記筐体に複数形成され、
前記筐体内に遮音板が前記吸気口の少なくとも1つに対向するように配置されている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項7】
請求項1に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記冷却ファンは、遠心ファンであり、
前記筐体の上面に前記冷却風の排気口が形成されている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項8】
請求項7に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記冷却風を前記筐体の前記排気口に導く排気ダクトを前記筐体内に備え、
前記排気ダクトは、中心線が前記筐体の高さ方向に延在するように構成され、
前記冷却ファンは、前記排気ダクト内に収容され、
前記冷却ファンは、前記回転軸線が前記排気ダクトの前記中心線に対して前記冷却ファンの回転方向が前記筐体の高さ方向の下方を向く領域側にオフセットされるように配置されている
パッケージ型気体圧縮機。
【請求項9】
請求項1に記載のパッケージ型気体圧縮機であって、
前記圧縮機本体に供給する流体を貯留するタンクを前記筐体内に備え、
前記タンクは、前記冷却ファンの前記回転軸線の延在方向において、前記熱交換器と前記筐体の前記側面のうちの前記対向面との間の領域に重なるように配置されている
パッケージ型気体圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ型気体圧縮機に係り、更に詳しくは、パッケージ内部の構成機器を空冷するパッケージ型気体圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ型気体圧縮機は、気体を圧縮する圧縮機本体、圧縮機本体を駆動する原動機、圧縮機本体から吐出された圧縮気体又は圧縮機本体に供給される油を冷却するための熱交換器などの構成機器を、パッケージの内部に収容したものである。パッケージ型気体圧縮機では、構成機器が高温になるのを防ぐために、冷却ファンによって生起された冷却風をパッケージの内部に流通させることで放熱を図ることが多い。
【0003】
パッケージの内部に冷却風を流通させるパッケージ型気体圧縮機として、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載のパッケージ形圧縮機においては、圧縮機本体及びモータを一体化した本体ユニットを下部に収納する筐体(パッケージ)の一側面及び他の側面にそれぞれ第1の冷却風入口及び第2の冷却風入口が形成されていると共に、筐体の上面に冷却風出口が形成されている。また、筐体の上部に設けたファンダクトの内部には冷却ファンが収納されており、冷却ファンはその回転軸が鉛直方向に延在するように配置されている。ファンダクトの吐出口の上側かつ冷却風出口の下側には空冷式の熱交換器が配置されている。当該パッケージ形圧縮機においては、冷却ファンによって、第1及び第2の冷却風入口から取り込まれて冷却風出口から排出される冷却風の流れが誘起されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のパッケージ形圧縮機においては、筐体(パッケージ)に複数の冷却風入口(吸気口)を形成してパッケージの総開口面積を大きくすることで、本体ユニットを冷却する冷却性能の向上を図っている。しかし、吸気口の総開口面積が大きくなる分、吸気口から放出される騒音も大きくなる傾向にある。特許文献1に記載のパッケージ形圧縮機において、パッケージの内部の構成機器の配置を変更することなく、騒音を低減するために吸気口の総開口面積を減らすと、パッケージの内部に取り込まれる冷却風の流量が減少することで冷却性能が低下してしまう懸念がある。このため、騒音低減と冷却性能の両立が求められている。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、騒音の低減を図りつつ冷却性能の健全性を維持することが可能なパッケージ型気体圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいる。その一例を挙げるならば、気体を圧縮する圧縮機本体と、回転軸線の周りに回転することで冷却風を生起する冷却ファンと、前記冷却風が通過することで前記圧縮機本体から導入される流体を冷却する空冷式の熱交換器と、前記圧縮機本体と前記冷却ファンと前記熱交換器とを収容する筐体とを備え、前記筐体は、前記圧縮機本体と前記冷却ファンと前記熱交換器とを取り囲む側面に前記冷却風の吸気口を有し、前記圧縮機本体は、前記筐体内の下部に配置され、前記冷却ファンは、前記圧縮機本体よりも上方に配置され、かつ、前記回転軸線が前記筐体の高さ方向に直交するように配置され、前記熱交換器は、前記冷却ファンの吸込側の位置に配置され、前記吸気口は、前記筐体の高さ方向において前記圧縮機本体と重なるように設けられ、かつ、前記熱交換器よりも前記冷却ファンに近い位置に設けられ、前記圧縮機本体は、前記冷却ファンの前記回転軸線の延在方向において、前記熱交換器と前記筐体の前記側面のうちの前記熱交換器の前記冷却風の流入側に対向する対向面との間の領域に重なるように配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一例によれば、圧縮機本体の上方に配置した冷却ファンを回転軸線が筐体の高さ方向に直交するように配置し、熱交換器を冷却ファンの吸込側の位置に配置し、かつ、吸気口を熱交換器よりも冷却ファンに近い位置で圧縮機本体の高さに設けることで、冷却風の流れが筐体内の下部から上部側へU字状に折り返され熱交換器の広い領域において流入するように転向される。さらに、熱交換器と筐体の側面との間の領域に重なるように圧縮機本体を配置することで、U字状に折り返される冷却風の領域に圧縮機本体が位置するので、回転軸線が筐体の高さ方向に延在するように冷却ファンを配置し且つ冷却ファンの下流側に熱交換器を配置する構成の場合よりも、圧縮機本体に対する冷却性能を高めることができる。したがって、吸気口の開口面積の低減などによって騒音の低減を図りつつ、冷却性能の健全性を維持することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機を背面側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示す第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の背面図である。
【
図3】
図1に示す第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の上面図である。
【
図4】
図1に示す第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の一部を構成する冷却ファン及び吸排気ダクトを右側面パネル側から見た図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の変形例に係るパッケージ型気体圧縮機を示す上面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるパッケージ型気体圧縮機の実施形態について図面を用いて例示説明する。本実施の形態では、気体圧縮機としてスクリュー式の圧縮機を例に挙げて説明する。しかし、本発明は、スクロール式やレシプロ式、ターボ式の圧縮機にも適用することが可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の構成について
図1~
図3を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機を背面側から見た斜視図である。
図2は
図1に示す第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の背面図である。
図3は
図1に示す第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の上面図である。
図4は
図1に示す第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の一部を構成する冷却ファン及び吸排気ダクトを右側面パネル側から見た図である。
図1においては、パッケージ及びダクトが透視された状態である。
図2においては、背面パネル及びダクトが透視された状態である。
図3においては、上面パネルが透視あれた状態である。
図4においては、排気ダクトが透視された状態である。なお、本説明において、左右方向はパッケージ型気体圧縮機を正面側から見たときの方向を示している。
【0012】
図1において、パッケージ型気体圧縮機は、パッケージとしての筐体1の内部に圧縮機本体2を含む各種の構成機器を収容したものである。パッケージ型気体圧縮機の構成機器としては、気体を圧縮する圧縮機本体2、圧縮機本体2を駆動する原動機3、圧縮機本体2から吐出された圧縮気体(流体)を冷却するエアクーラ4、圧縮機本体2に供給する潤滑油(流体)を冷却するオイルクーラ5、圧縮機本体2に供給する潤滑油(流体)を一時的に貯留するオイルタンク6、筐体1の内部に冷却風を生起する冷却ファン7、原動機3及び冷却ファン7の駆動を制御する制御回路を有する始動盤8などがある。圧縮機本体2は、例えば、捩じれた歯を有するスクリューロータを備えたスクリュー式の圧縮機である。原動機3は、例えば、回転軸線Am(
図2及び
図3参照)の周りに回転する電動モータである。エアクーラ4は、冷却風が通過することで圧縮機本体2から導入される圧縮気体を冷却する空冷式の熱交換器であり、冷却風が流入する流入面4aを有している。オイルクーラ5は、冷却風が通過することで圧縮機本体2から導入される潤滑油を冷却する空冷式の熱交換器であり、冷却風が流入する流入面5aを有している。冷却ファン7は、例えば、回転軸線Af(
図2及び
図3参照)の周りに回転する遠心ファンである、ファンモータが内部に収納されている。
【0013】
筐体1は、例えば、ベース11と、ベース11の周縁から立ち上がり、構成機器2、3、4、5、6、7、8を取り囲む筒状の側面パネルと、側面パネルの上端開口を閉塞する上面パネル12とを有している。ベース11は、例えば、上面側から見たときに矩形状に形成されている。側面パネルは、例えば、正面パネル13と、正面パネル13に対向する背面パネル14と、正面パネル13の左側端部と背面パネル14の左側端部とを繋ぐ左側面パネル15と、正面パネル13の右側端部と背面パネル14の右側端部とを繋ぐ右側面パネル16とで構成されている。正面パネル13には、図示しない操作スイッチやモニタなどが配置されている。
【0014】
圧縮機本体2と電動モータ3は、互いの軸方向が平行になるように一体化されて本体ユニットを構成している。本体ユニット2、3は、
図1及び
図2に示すように、筐体1内の下部側、例えばベース11上に配置されている。本体ユニット2、3は、圧縮機本体2の軸方向及び電動モータ3の回転軸線Amがベース11の設置面に対して略平行になるように横置きになっている。本体ユニット2、3は、
図1及び
図3に示すように、左側面パネル15と右側面パネル16との間で左右方向(筐体1の幅方向)に延在するように配置されていると共に、筐体1内における正面パネル13よりも背面パネル14に近い位置(背面パネル14側)に配置されている。本体ユニット2、3は、圧縮機本体2が左側面パネル15側に電動モータ3が右側面パネル16側に位置するように配置されている。
【0015】
筐体1内における正面パネル13側には、例えば
図1及び
図3に示すように、オイルタンク6及び始動盤8が配置されている。オイルタンク6は、例えば、圧縮機本体2に隣り合うように左側面パネル15側に配置されている。オイルタンク6は、例えば
図1及び
図2に示すように、上下方向に延在する容器であり、ベース11上に設置されている。始動盤8は、例えば
図1~
図3に示すように、ベース11上に設置され、正面パネル13に沿って電動モータ3に隣り合うように右側面パネル16側に配置されている。
【0016】
筐体1内の上部側には、
図1及び
図2に示すように、冷却ファン7、エアクーラ4、オイルクーラ5が配置されている。すなわち、冷却ファン7、エアクーラ4、オイルクーラ5は、本体ユニット2、3よりも上方に位置している。冷却ファン7は、
図1~
図3に示すように、回転軸線Afが筐体1の高さ方向に直交するように配置され、かつ、電動モータ3の回転軸線Am(圧縮機本体2の軸方向)に略平行になるように配置されている。すなわち、冷却ファン7は、回転軸線Afが左右方向(筐体1の幅方向)に延在するように配置されている。冷却ファン7は、例えば、左右方向(筐体1の幅方向)の位置が電動モータ3の一部に重なるように配置されていると共に、吸込側が圧縮機本体2(左側面パネル15)に向くように配置されている。
【0017】
冷却ファン7の吸込側(冷却風の流れの上流側)には、エアクーラ4及びオイルクーラ5が配置されている。エアクーラ4及びオイルクーラ5は、ファン吸入ダクト21を介して冷却ファン7に接続されている。ファン吸入ダクト21は、エアクーラ4及びオイルクーラ5から冷却ファン7への冷却風の流れを整流するものである。エアクーラ4及びオイルクーラ5はそれぞれ、冷却風の流入面4a及び流入面5aが冷却ファン7の回転軸線Afに対して直交するように配置されている。エアクーラ4とオイルクーラ5は、例えば、冷却ファン7の回転軸線Afに対して並列に配置されおり、互いの流入面4a、5aが冷却風の1つの流入面を構成している。エアクーラ4及びオイルクーラ5は、例えば
図2及び
図3に示すように、左右方向(筐体1の幅方向)の位置が圧縮機本体2の一部に重なるように配置されている。詳細には、
図2及び
図3に示すように、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向において、エアクーラ4及びオイルクーラ5と左側面パネル15(筐体1の側面パネルのうち、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向であってエアクーラ4及びオイルクーラ5の冷却風の流入側に対向する側面パネル)との間の領域に重なるように圧縮機本体2が配置されている。また、エアクーラ4及びオイルクーラ5のうちオイルクーラ5側に冷却ファン7の回転軸線Afが位置するように配置されている。
【0018】
冷却ファン7は、例えば
図1に示すように、筐体内に配置された排気ダクト22の内部に収容されている。排気ダクト22は、その出口部が筐体1の上面パネル12の排気口19に接続されており、冷却ファン7から吐出される冷却風を排気口19に導くものである。排気ダクト22は、例えば、流路断面が矩形状である角ダクトであり、中心線Cdが筐体1の高さ方向(上下方向)に延在するように構成されている。冷却ファン7は、例えば、
図4に示すように、右側面パネル16側から見たときに、反時計回りに回転するように構成されている。冷却ファン7は、
図3及び
図4に示すように、回転軸線Afが排気ダクト22の中心線Cdに対して交差せずに正面パネル13側にオフセットされるように排気ダクト22内に配置されている。つまり、冷却ファン7は、回転軸線Afが排気ダクト22の中心線Cdに対して、回転軸線Afの延在方向の一方側から見たときに冷却ファン7の回転方向が筐体の高さ方向の下方を向く領域側へオフセットされるように排気ダクト内に配置される。
【0019】
筐体1の側面パネルのうちの右側面パネル16における下部側かつ背面パネル14側には、
図1~
図3に示すように、筐体1内に外気(冷却風)を取り込むための吸気口17が設けられている。すなわち、吸気口17は、筐体1の高さ方向(上下方向)において本体ユニット2、3と重なるように設けられていると共に、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向に位置するように設けられている。また、吸気口17は、本体ユニット2、3のうちの電動モータ3に近い側に設けられている。すなわち、吸気口17は、エアクーラ4及びオイルクーラ5よりも冷却ファン7に近い位置に設けられている。本実施の形態の筐体1には、吸気口17が1つのみ形成されている。筐体1の上面パネル12には、冷却風を筐体1の外部へ排出するための排気口19が設けられている。
【0020】
次に、第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機の動作及び作用効果を
図1~
図4を用いて説明する。なお、
図2中、破線の矢印は冷却風の流れを示している。
図3中、破線の白抜き矢印は冷却風の流れを示している。
【0021】
上述の構成のパッケージ型気体圧縮機においては、
図1に示す圧縮機本体2が電動モータ3によって駆動されることで気体を圧縮し、圧縮機本体2から吐出された高温の圧縮気体がエアクーラ4に導入される。このとき、圧縮機本体2自体が気体の圧縮により加熱されると共に、電動モータ3自体も発熱する。また、オイルタンク6のオイルがオイルクーラ5を介して圧縮機本体2に供給され、圧縮機本体2で高温になったオイルがオイルタンク6に戻る。
【0022】
このとき、冷却ファン7が駆動されることで、筐体1内に冷却風が生起される。この冷却風によって、圧縮機本体2及び電動モータ3が冷却されると共に、エアクーラ4を流れる圧縮気体及びオイルクーラ5を流れるオイルが冷却される。
【0023】
具体的には、
図2及び
図3に示すように、筐体1の右側面パネル16の下部側に設けられた吸気口17から冷却風(外気)が流入し、左側面パネル15に向かって流れる。吸気口17から流入した冷却風は、先ず、吸気口17と同じような高さにある電動モータ3と始動盤8の領域を流れた後に、圧縮機本体2及びオイルタンク6の領域を流れる。すなわち、冷却風は、筐体1内の下部側において、圧縮機本体2及び電動モータ3の軸方向(本体ユニットの延在方向)に沿って流れる。これにより、電動モータ3、始動盤8、圧縮機本体2、オイルタンクが冷却される。この冷却風は、左側面パネル15の近傍において筐体1内の下部側から上部側にU字状に折り返すように転向し、エアクーラ4及びオイルクーラ5を通過してから冷却ファン7に吸い込まれる。冷却ファン7に吸い込まれた冷却風は、排気ダクト22を介して筐体1の上面パネル12の排気口19から排出される。
【0024】
本実施の形態においては、冷却ファン7の回転軸線Afが筐体1のベース11の設置面に対してと平行になるように冷却ファン7を設置していると共に、冷却ファン7の吸込側に熱交換器であるエアクーラ4及びオイルクーラ5を配置している。この構成により、冷却風の流れが筐体1の下部側から上部側へU字状に折り返すように転向すると共に、エアクーラ4の流入面4a及びオイルクーラ5の流入面5aの広い範囲を通過することで冷却風の速度分布(圧力損失)の偏りが緩和されるように冷却ファン7の上流側の冷却風の流れが整流される。このため、冷却ファンの回転軸線が筐体1の上下方向に延在するように冷却ファンを配置する構成の場合よりも、筐体1の下部側から上部側へ転向する冷却風の流れの径が小さくなると共に、冷却ファン7の上流側の冷却風は、エアクーラ4及びオイルクーラ5が冷却ファン7の吐出側に配置される構成の場合よりも広い領域に亘って流れる。このため、筐体1の下部側から上部側へ転向してエアクーラ4及びオイルクーラ5に向かう冷却風は、圧縮機本体2の左側面パネル15側の端部の位置及びオイルタンク6の配置位置の付近まで流れるようになり、圧縮機本体2及びオイルタンク6が効率的に冷却される。
【0025】
また、この構成の場合、筐体1の下部側から上部側へU字状に折り返す領域の冷却風の速度が筐体1の下部側を流れるときよりも速くなる。そこで、本実施の形態においては、筐体1の上面側から見たときに、オイルクーラ5と左側面パネル15(冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向であって吸込側に位置する側面パネル)との間に圧縮機本体2の大部分及びオイルタンク6を配置している。この場合、圧縮機本体2及びオイルタンク6の位置において、冷却風が筐体1の下部側から上部側へU字状に折り返すように転向される。したがって、圧縮機本体2及びオイルタンク6が相対的に速い速度の冷却風によって効率的に冷却される。
【0026】
また、上述したように、回転軸線Afが筐体1のベース11の設置面に平行になるように冷却ファン7を設置している。この構成の場合、回転軸線が筐体1の上下方向に延在するように冷却ファンを配置する構成の場合よりも、排気口19の開口面積を小さくすることが可能である。このため、排気口19の開口面積を小さくすることで、排気口19を介する騒音を低減することが可能である。
【0027】
また、本実施の形態においては、冷却ファン7の吸込側に配置したエアクーラ4及びオイルクーラ5を並列にしている。この構成の場合、冷却ファン7の上流側のエアクーラ4及びオイルクーラ5によって整流される冷却風の領域が広くなる。これにより、冷却ファン7の配置の自由度が高くなる。
【0028】
また、本実施の形態においては、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向の一方側から見たときに、上下方向に延在する排気ダクト22の中心線Cdに対して回転軸線Afが冷却ファン7の回転方向が下方を向く側へオフセットされるように冷却ファン7が排気ダクト22内に配置されている。この構成の場合、冷却ファン7から吐出されて排気口19に向かって上側へ流れる冷却風の流路の方が下側へ向かって流れる冷却風の流路よりも大きくなるので、冷却風の圧力損失が小さくなり、冷却風の風量を増加させることができる。
【0029】
また、本実施の形態においては、並列に配置したエアクーラ4及びオイルクーラ5のうちオイルクーラ5側に冷却ファン7の回転軸線Afが位置するように冷却ファン7を配置している。この構成により、エアクーラ4よりも熱交換量が多いオイルクーラ6に対してエアクーラ4よりも冷却風の風量を増やすことができる。
【0030】
ところで、パッケージ型気体圧縮機において、吸気口が形成されているパッケージの側面は、吸気が阻害されないように、設置場所に存在する壁面に対して一定の距離をあける必要がある。すなわち、パッケージ型気体圧縮機は、パッケージの吸気口に応じて設置位置に制限がある。本実施の形態においては、筐体1に対して1つの吸気口17のみを設けている。このため、吸気口17を設けた右側面パネル16以外の筐体1の側面パネル13、14、15は、パッケージ型気体圧縮機の設置場所に存在する壁面に対して所定の距離をあける必要がない。したがって、パッケージ型気体圧縮機の設置場所に対する制約が少なく、パッケージ型気体圧縮機の設置場所の自由度が大きく、かつ、設置場所の省スペース化が可能である。
【0031】
なお、本実施の形態においては、電動モータ3の回転方向と冷却ファン7の回転方向を逆回転にするように構成することが可能である。この場合、電動モータ3と冷却ファン7の振動が相殺されることで、パッケージ型気体圧縮機の全体の振動を低減することができる。
【0032】
上述したように、第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機は、気体を圧縮する圧縮機本体2と、回転軸線Afの周りに回転することで冷却風を生起する冷却ファン7と、冷却風が通過することで圧縮機本体2から導入される圧縮気体及び潤滑油(流体)を冷却する空冷式のエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)と、圧縮機本体2と冷却ファン7とエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)とを収容する筐体1とを備える。筐体1は、圧縮機本体2と冷却ファン7とエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)とを取り囲む側面13、14、15、16に冷却風の吸気口17を有する。圧縮機本体2は、筐体1内の下部に配置される。冷却ファン7は、圧縮機本体2よりも上方に配置され、かつ、回転軸線Afが筐体1の高さ方向に直交するように配置される。エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)は、冷却ファン7の吸込側の位置に配置される。吸気口17は、筐体1の高さ方向において圧縮機本体2と重なるように設けられ、かつ、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)よりも冷却ファン7に近い位置に設けられる。圧縮機本体2は、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向において、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)と筐体1の側面13、14、15、16のうちのエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)の冷却風の流入側に対向する対向面である左側面パネル15との間の領域に重なるように配置されている。
【0033】
この構成によれば、圧縮機本体2の上方に配置した冷却ファン7を回転軸線Afが筐体1の高さ方向に直交するように配置し、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)を冷却ファン7の吸込側の位置に配置し、かつ、吸気口17をエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)よりも冷却ファン7に近い位置で圧縮機本体2の高さに設けることで、冷却風の流れが筐体1内の下部から上部側へU字状に折り返されエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)の広い領域において流入するように転向される。さらに、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)と筐体1の左側面パネル15(側面)との間の領域に重なるように圧縮機本体2を配置することで、U字状に折り返される冷却風の領域に圧縮機本体2が位置するので、回転軸線が筐体1の高さ方向に延在するように冷却ファンを配置し且つ冷却ファンの下流側に熱交換器を配置する構成の場合よりも、圧縮機本体2に対する冷却性能を高めることができる。したがって、吸気口17の開口面積の低減などによって騒音の低減を図りつつ、冷却性能の健全性を維持することができる。
【0034】
また、本実施の形態に係るパッケージ型気体圧縮機においては、吸気口17が筐体1に1つのみ形成されている。この構成によれば、パッケージ型気体圧縮機の設置の制約が軽減されるので、パッケージ型気体圧縮機の設置の自由度を高めることができ、パッケージ型気体圧縮機の設置スペースの低減が可能である。
【0035】
また、本実施の形態においては、吸気口が筐体1の側面13、14、15、16のうちの冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向に位置する部分である右側面パネル16に設けられている。この構成によれば、吸気口17から冷却ファン7に向かう冷却風の流れが冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向に沿って流れるので、筐体1内における冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向の一端側から他端側までに亘って広く冷却することができる。
【0036】
また、本実施の形態に係る圧縮機本体2は、スクリュー式であり、その軸方向が冷却ファン7の回転軸線Afと平行になるように配置されている。この構成によれば、圧縮機本体2の軸方向が冷却風の流れに沿うように配置されるので、圧縮機本体2の全長に亘って冷却され、効率な冷却が可能となる。
【0037】
また、本実施の形態に係るパッケージ型気体圧縮機においては、冷却ファン7が遠心ファンであり、筐体1の上面パネル12(上面)に冷却風の排気口19が形成されている。この構成によれば、排気口を冷却ファン7の軸方向に設ける場合よりも、排気口19の開口面積を小さくできるので、騒音の低減が可能となる。
【0038】
また、本実施の形態に係るパッケージ型気体圧縮機は、冷却風を筐体1の排気口19に導く排気ダクト22を筐体1内に備えている。排気ダクト22は、中心線Cdが筐体1の高さ方向に延在するように構成されている。冷却ファン7は、排気ダクト22内に収容され、回転軸線Afが排気ダクト22の中心線Cdに対して冷却ファン7の回転方向が筐体1の高さ方向の下方を向く領域側にオフセットされるように配置されている。
【0039】
この構成によれば、冷却ファン7の回転軸線Afを排気ダクト22の中心線Cdに対してオフセットすることで、排気ダクト22内における遠心ファン7の偏りのある流れの圧損を低減することができる。
【0040】
また、本実施の形態に係るパッケージ型気体圧縮機は、圧縮機本体2に供給する潤滑油(流体)を貯留するオイルタンク6(タンク)を筐体1内に備えている。オイルタンク6(タンク)は、冷却ファン7の回転軸線の延在方向において、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)と筐体1の対向面としての左側面パネル15との間の領域に重なるように配置されている。
【0041】
この構成によれば、U字状に折り返される冷却風の領域にオイルタンク6(タンク)が位置するので、回転軸線が筐体1の高さ方向に延在するように冷却ファンを配置し且つ冷却ファンの下流側に熱交換器を配置する構成の場合よりも、圧縮機本体2に対する冷却性能を高めることができる。
【0042】
[第1の実施形態の変形例]
次に、第1の実施形態の変形例に係るパッケージ型気体圧縮機について
図5を用いて例示説明する。
図5は第1の実施形態の変形例に係るパッケージ型気体圧縮機を示す上面図である。
図5においては、上面パネルが透視された状態である。なお、
図5において、
図1~
図4に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図5に示す第1の実施形態の変形例に係るパッケージ型気体圧縮機が第1の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機(
図3参照)と異なる点は、筐体1Aに形成される吸気口18の位置が異なること及び吸気口18の位置の変更に対して電動モータ3Aが自冷ファン31を有していることである。具体的には、
図3に示す第1の実施形態の筐体1は、右側面パネル16の下部側に吸気口17を有している。それに対して、本変形例に係る筐体1Aは、右側面パネル16に吸気口が無く、背面パネル14の下部側に吸気口18を有している。吸気口18は、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向に対して直交する方向の側面パネルである背面パネル14に設けられている。このため、冷却ファン7によって生起される冷却風の流れを、吸気口18から流入した領域において、冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向に向かって転向させる必要がある。そこで、電動モータ3Aが自冷ファン31を有する構成としている。自冷ファン31は、吸気口18から流入した冷却風を吸引することで、本体ユニット2、3の延在方向(冷却ファン7の回転軸線Afの延在方向)に沿って冷却風を転向させる機能を有している。なお、吸気口18は、その開口中心18aが電動モータ3Aの自冷ファン31よりも右側面パネル16側に位置するように形成されている。
【0044】
本変形例においては、パッケージ型気体圧縮機の設置位置の制約によって、右側面パネル16に吸気口を設けられない場合に有効である。この構成においては、背面パネル14の吸気口18から流入した領域近傍の流れが第1の実施形態の場合と異なることで、電動モータ3及び始動盤8の周囲を流れる冷却風の風量が変化するが、圧縮機本体2及びオイルタンク6側の領域からの下流側の流れはほとんど同じである。
【0045】
上述した第1の実施形態の変形例によれば、第1の実施形態の場合と同様に、冷却風の流れが筐体1A内の下部から上部側へU字状に折り返されエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)の広い領域において流入するように転向される。さらに、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)と筐体1Aの左側面パネル15(側面)との間の領域に重なるように圧縮機本体2を配置することで、U字状に折り返される冷却風の領域に圧縮機本体2が位置するので、回転軸線が筐体1Aの高さ方向に延在するように冷却ファンを配置し且つ冷却ファンの下流側に熱交換器を配置する構成の場合よりも、圧縮機本体2に対する冷却性能を高めることができる。したがって、吸気口18の開口面積の低減などによって騒音の低減を図りつつ、冷却性能の健全性を維持することができる。
【0046】
また、本変形例に係るパッケージ型気体圧縮機においては、吸気口18が筐体1Aの側面13、14、15、16のうちの冷却ファン7の回転軸線Afに対して直交する方向の部分である背面パネル14に設けられている。この構成によれば、パッケージ型圧縮機の設置の制約条件によって、第1の実施形態のように冷却ファン7の回転軸線Afに延在する方向の右側面パネル16に吸気口を設けることができない場合に採用可能な構成である。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機について
図6を用いて例示説明する。
図6は第2の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機を示す上面図である。
図6においては、上面パネルが透視された状態である。なお、
図6において、
図1~
図5に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図6示す第2の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機が第1の実施形態(
図3参照)と異なる点は、筐体1Bの吸気口の数を1つから2つ増やしたこと及び吸気口の数を増加させたことに対して遮音板24を配置したことである。具体的には、筐体1Bは、右側面パネル16に形成した吸気口17に加えて、筐体1Bの背面パネル14の下部側に形成された吸気口18を有している。すなわち、筐体1Bは、異なる位置に形成された2つの吸気口17、18を有している。追加された吸気口18は、背面パネル14における右側面パネル16側に形成されており、本体ユニット2、3の電動モータ3側の端部に対応する位置に配置されている。背面パネル14の吸気口18は、例えば、右側面パネル16の吸気口17よりも開口面積が小さくなるように形成されている。右側面パネル16の吸気口17と本体ユニット2、3の電動モータ3との間には遮音板24が配置されている。遮音板24は、右側面パネル16の吸気口17に対向するように配置され、吸気口17から放出される騒音を低減させるものである。
【0049】
本実施の形態においては、右側面パネル16の吸気口17から流入する冷却風が遮音板24などにより阻害されることで風量が低下しても、背面パネル14の吸気口18から流入する冷却風によって補うことで、電動モータ3の周囲を流れ冷却風の風量を必要分確保することが可能である。
【0050】
なお、本実施の形態においては、背面パネル14の吸気口18の近傍に遮音板を配置する構成も可能である。
【0051】
上述した第2の実施形態に係るパッケージ型気体圧縮機によれば、第1の実施形態の場合と同様に、冷却風の流れが筐体1B内の下部から上部側へU字状に折り返されエアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)の広い領域において流入するように転向される。さらに、エアクーラ4及びオイルクーラ5(熱交換器)と筐体1Bの左側面パネル15(側面)との間の領域に重なるように圧縮機本体2を配置することで、U字状に折り返される冷却風の領域に圧縮機本体2が位置するので、回転軸線が筐体1Bの高さ方向に延在するように冷却ファンを配置し且つ冷却ファンの下流側に熱交換器を配置する構成の場合よりも、圧縮機本体2に対する冷却性能を高めることができる。したがって、吸気口17、18の開口面積の低減などによって騒音の低減を図りつつ、冷却性能の健全性を維持することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るパッケージ型気体圧縮機においては、吸気口17、18が筐体1Bに複数形成されている。また、筐体1内に遮音板24が吸気口17、18の少なくとも1つに対向するように配置されている。
【0053】
この構成によれば、吸気口17、18の総開口面積を増加させて冷却性能を向上させつつ、遮音板24により騒音の低減を図ることができる。
【0054】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。すなわち、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0055】
例えば、上述した実施形態及びその変形例においては、冷却ファン7を遠心ファンとする構成の例を説明した。しかし、冷却ファンを軸流ファンや斜流ファンとして構成することも可能である。
【0056】
また、上述した実施形態及びその変形例においては、筐体1が直方体状に形成され、側面パネルが正面パネル13と背面パネル14と左側面パネル15と右側面パネル16とで構成されている例を示した。しかし、パッケージの形状は任意であり、パッケージの側面パネルが多角形状の筒状や円筒状である構成も可能である。
【0057】
また、上述した実施形態及びその変形例においては、エアクーラ4とオイルクーラ5が冷却ファン7の回転軸線Afに対して並列に配置されている構成の例を示した。しかし、エアクーラ4とオイルクーラ5を並列配置すると筐体1内に収容不能な場合などでは、エアクーラ4とオイルクーラ5を冷却ファン7の回転軸線Afに対してタンデム(直列)に配置する構成も可能である。
【0058】
また、上述した実施形態及びその変形例に対して、筐体1内の構成機器2、3、4、5、6、7、8の配置や筐体1の吸気口17及び排気口19の形成位置を前後方向(筐体1の奥行方向)又は左右方向(筐体1の幅方向)について反転する構成も可能である。
【0059】
また、上述した第1の実施形態及びその変形例においては、筐体1、1A内に遮音板やドライヤーを配置する構成も可能である。ドライヤーは、圧縮機本体2から吐出された圧縮気体の水分を除去するものである。また、上述した第1の実施形態においては、その変形例と同様に、電動モータ3が自冷却ファンを有する構成も可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1B…筐体、 2…圧縮機本体、 3…電動モータ、 4…エアクーラ(熱交換器)、 5…オイルクーラ(熱交換器)、 6…オイルタンク(タンク)、 7…冷却ファン、 13…正面パネル(側面)、 14…背面パネル(側面)、 15…左側面パネル(側面、対向面)、 16…右側面パネル(側面)、 17…吸気口、 18…吸気口、 19…排気口、 22…排気ダクト、 Af…回転軸線、 Cd…中心線。