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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033817
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】内容物収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/12 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D47/12
B65D47/12 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137664
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】紀陸 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】吉野 慶
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB06
3E084BA02
3E084CA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA02
3E084JA20
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】収容した内容物がある程度の粘性をもつ場合でも容器本体から容易に取り出すことができる内容物収容容器を提案する。
【解決手段】内容物収容容器10は、上部開口1aを有する周壁と、周壁の下端を閉鎖して周壁との間に内容物を収める収容空間Sを区画する底壁1eとを有する容器本体1と、上部開口1aを覆って容器本体1に装着されるキャップ3と、容器本体1とキャップ3との間に配置され、すくなくとも容器本体1にキャップ3を装着した状態において容器本体1に接触するシール部を有する中間部材2と、を備え、中間部材2は、長尺状をなしていて収容空間Sに挿入される取り出し部2dと、シール部と取り出し部2dとを一体に連結し、取り出し部2dの長さ方向に沿う向きに延伸可能な連結部2eとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する周壁と、該周壁の下端を閉鎖して該周壁との間に内容物を収める収容空間を区画する底壁とを有する容器本体と、
前記上部開口を覆って前記容器本体に装着されるキャップと、
前記容器本体と前記キャップとの間に配置され、すくなくとも該容器本体に該キャップを装着した状態において該容器本体に接触するシール部を有する中間部材と、を備え、
前記中間部材は、長尺状をなしていて前記収容空間に挿入される取り出し部と、前記シール部と該取り出し部とを一体に連結し、該取り出し部の長さ方向に沿う向きに延伸可能な連結部とを有する、内容物収容容器。
【請求項2】
前記連結部は、前記取り出し部の長さ方向に沿う向きに弾性変形可能である、請求項1に記載の内容物収容容器。
【請求項3】
前記キャップは、前記中間部材を保持可能な係止部を有し、
前記シール部は、前記キャップを前記容器本体に装着した際に該容器本体に保持されるように構成され、
前記キャップを前記容器本体から取り外すと、前記容器本体に保持された前記シール部によって、前記係止部に保持された前記中間部材が前記キャップから前記容器本体に移行する、請求項1に記載の内容物収容容器。
【請求項4】
前記連結部は、前記取り出し部と前記シール部とを全周に亘って一体に連結している、請求項1に記載の内容物収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する容器本体と、容器本体に装着されるキャップとを備える内容物収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、例えば美容液、乳液等の化粧料や薬剤を内容物として収容する内容物収容容器が使用されている。例えば特許文献1には、比較的少量の内容物を収容するものとして、上部開口の直径が小さい細口の容器本体を備える内容物収容容器が示されている。この内容物収容容器は、容器本体に装着したキャップを取り外した後、容器本体を上下逆さまにすることによって内容物を吐出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-083429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内容物がある程度の粘性をもつ場合や上部開口の直径が小さい場合には、容器本体を上下逆さまにしても、内容物が中々出てこないことがある。このような場合には、例えば上下逆さまにした容器本体を上下に振る等の操作を行わなければならない。また容器本体を上下に振ることにより、内容物が周囲に飛び散るおそれがある。なお、容器本体の周壁の厚みを薄くすれば、この周壁を圧搾することによって内容物を取り出すことは可能である。しかし、内容物が高価な化粧品等の場合は、このように周壁の厚みを薄くすると容器本体の質(高級感)が損なわれるため、この対応は万全であるとは言えない。
【0005】
このような点に鑑み、本発明は、収容した内容物がある程度の粘性をもつ場合でも容器本体から容易に取り出すことができる内容物収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上部開口を有する周壁と、該周壁の下端を閉鎖して該周壁との間に内容物を収める収容空間を区画する底壁とを有する容器本体と、
前記上部開口を覆って前記容器本体に装着されるキャップと、
前記容器本体と前記キャップとの間に配置され、すくなくとも該容器本体に該キャップを装着した状態において該容器本体に接触するシール部を有する中間部材と、を備え、
前記中間部材は、長尺状をなしていて前記収容空間に挿入される取り出し部と、前記シール部と該取り出し部とを一体に連結し、該取り出し部の長さ方向に沿う向きに延伸可能な連結部とを有する、内容物収容容器である。
【0007】
前記連結部は、前記取り出し部の長さ方向に沿う向きに弾性変形可能であることが好ましい。
【0008】
前記キャップは、前記中間部材を保持可能な係止部を有し、
前記シール部は、前記キャップを前記容器本体に装着した際に該容器本体に保持されるように構成され、
前記キャップを前記容器本体から取り外すと、前記容器本体に保持された前記シール部によって、前記係止部に保持された前記中間部材が前記キャップから前記容器本体に移行することが好ましい。
【0009】
前記連結部は、前記取り出し部と前記シール部とを全周に亘って一体に連結していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内容物収容容器は、内容物を収める収容空間に挿入される長尺状の取り出し部を備えているため、この取り出し部を使うことにより、収容空間に収められた内容物を掻き出すようにして取り出すことができる。また取り出し部は、中間部材における容器本体に接触するシール部に対して連結部を介して一体に連結しているため、部品点数の増加を招くことがない。また連結部は、取り出し部の長さ方向に沿う向きに延伸可能であるため、連結部に対して取り出し部を前進させることができ、これにより取り出し部の先端を収容空間の奥まで容易に入れることができるため、内容物を取り出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る内容物収容容器の第一実施形態に関し、中間部材を取り付けたキャップを容器本体に装着する状態を示した断面図である。
図2図1に示した内容物収容容器に関し、(a)はキャップを容器本体に装着した状態を示した図であり、(b)はキャップを容器本体から取り外した状態を示した図であり、(c)は中間部材を容器本体から取り外す状態を示した図である。
図3図2に示した内容物収容容器に関し、(a)は中間部材を取り外した後、取り出し部を容器本体に挿入した状態を示した図であり、(b)は取り出し部で掻き出すようにして容器本体から内容物を取り出す状態を示した図である。
図4】本発明に係る内容物収容容器の第二実施形態に関し、中間部材を取り付けたキャップを容器本体に装着する状態を示した断面図である。
図5図4に示した内容物収容容器に関し、(a)はキャップを容器本体に装着した状態を示した図であり、(b)はキャップを容器本体から取り外した状態を示した図であり、(c)は中間部材を容器本体から取り外した状態を示した図である。
図6図5に示した内容物収容容器に関し、(a)は中間部材を取り外した後、取り出し部を容器本体に挿入した状態を示した図であり、(b)は取り出し部で掻き出すようにして容器本体から内容物を取り出す状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係る内容物収容容器について説明する。なお本明細書等においては、容器本体を水平面に載置する正立姿勢での位置関係で説明を行う。また本明細書等における上下方向とは、図示した軸線O(後述する容器本体1の軸線)に沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0013】
図1図3は、本発明に係る内容物収容容器の第一実施形態を示している。本実施形態の内容物収容容器10は、容器本体1と、中間部材2と、キャップ3で構成されている。容器本体1とキャップ3は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成され、中間部材2は、弾性を有する素材(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)エラストマーなど)で形成されている。
【0014】
容器本体1は、図1に示すように上部開口1aを有する円筒状の周壁を備えている。本実施形態の周壁は、上部周壁1bと下部周壁1cで構成されている。図示したように上部周壁1bと下部周壁1cは、内径は同一である一方、上部周壁1bの外径は下部周壁1cよりも小さくなっていて、上部周壁1bの厚みは下部周壁1cよりも薄くなっている。上部周壁1bの外周面には、雄ねじ部1dが設けられている。
【0015】
下部周壁1cの下方には、下部周壁1cを閉鎖する円板状の底壁1eが設けられている。上部周壁1b、下部周壁1c、及び底壁1eの内側には、収容空間Sが区画形成されている。収容空間Sには、例えば美容液、乳液等の化粧料や薬剤等の内容物Nが収容される。
【0016】
本実施形態の容器本体1は、所謂細口の容器であって、上部開口1aの直径は約10mmである。
【0017】
中間部材2は、図1に示すように軸線Oに沿って延在する円筒状の筒状壁2aを備えている。筒状壁2aの上端には径方向外側に向けて延在するフランジ2bが設けられている。また筒状壁2aの外周面には、径方向外側に向けて膨出させた凸状部2cが設けられている。なお凸状部2cは、筒状壁2aの全周に亘って設けられていてもよいし、周方向に間欠状に設けられていてもよい。本実施形態の中間部材2において、筒状壁2aの外径は上部周壁1bの内径と略同一であるが、凸状部2cにおける径方向最外部での外径は、上部周壁1bの内径よりも大きくなっている。なお、筒状壁2a、フランジ2b、及び凸状部2cは、本明細書等における「シール部」に相当する部位である。
【0018】
また中間部材2は、長尺状をなし、後述するように収容空間Sに収容された内容物Nを取り出す際に使用される取り出し部2dを備えている。図示は省略するが、本実施形態の取り出し部2dは、横断面形状が矩形状になるものである。なお取り出し部2dの形状は任意に変更可能であって、横断面形状は円形状、多角形状でもよい。また取り出し部2dは、中実状であるものに限られず、中空状(例えば下端が閉鎖されて上端が解放されたもの)でもよい。
【0019】
更に中間部材2は、筒状壁2aの下端と、取り出し部2dにおける長さ方向中間部(本実施形態においては、取り出し部2dの全長に対して上端から1/3程度の部位)とを、全周に亘って一体に連結する連結部2eを備えている。本実施形態の連結部2eは、筒状壁2aの下端から下方に向って段階的に縮径するように蛇腹状に形作られている。すなわち連結部2eは、弾性を有する素材で形成されていること、及び蛇腹状になっていることから、軸線Oに沿う向きに延伸可能(筒状壁2aに対して取り出し部2dを前進可能)且つ弾性変形可能(取り出し部2dを前進させた力を取り除くと初期の状態に復元する)である。なお、以下の説明においては、連結部2eが取り出し部2dに連結する部分を起点として、その下方に位置する部分を下部取り出し部2d1と称し、その上方に位置する部分を上部取り出し部2d2称する。
【0020】
キャップ3は、軸線Oを中心とする円板状の天壁3aを備えている。天壁3aの外縁部には、下方に向けて延在する円筒状のキャップ周壁3bが設けられている。
【0021】
キャップ周壁3bの内周面における下方には、雌ねじ部3cが設けられている。雌ねじ部3cは、雄ねじ部1dに螺合する形状で形作られている。雌ねじ部3cの上方には、キャップ周壁3bの内周面から径方向内側に向けて突出する係止部3dが設けられている。係止部3dは、図示したようにフランジ2bを係止する部位である。そして係止部3dの上方には、フランジ2bの上方への移動を阻止するリブ3eが設けられている。本実施形態においては、周方向に間隔をあけて複数のリブ3eが設けられている。
【0022】
このような形態になる内容物収容容器10は、まず図1に示すようにキャップ3に中間部材2を取り付けておくことが好ましい。中間部材2をキャップ3の内側に挿入すると、フランジ2bの上面がリブ3eの下面に接触し、またフランジ2bの下面が係止部3dに係止されるため、キャップ3で中間部材2を保持することができる。
【0023】
そして、図1に示すように収容空間Sに所定量の内容物Nを収容した後、図2(a)に示すように下部取り出し部2d1を収容空間Sに挿入して雄ねじ部1dに対して雌ねじ部3cを螺合させると、上部開口1aを覆って容器本体1にキャップ3を装着することができる。容器本体1にキャップ3を装着した際、本実施形態の筒状壁2aは、全周に亘って上部周壁1bの内周面に接触し、フランジ2bは、全周に亘って上部周壁1bの上端面に接触する。また凸状部2cは、容器本体1にキャップ3を装着した際、押し潰されるようにして上部周壁1bの内周面に接触する。すなわち、内容物収容容器10を傾倒姿勢や倒立姿勢に変位させても、上部周壁1bの内周面、及び上部周壁1bの上端面を伝って内容物Nが外部へ流れ出すことがない。また本実施形態においては、連結部2eが筒状壁2aと取り出し部2dとを全周に亘って一体に連結しているため、収容空間Sは中間部材2によって気密且つ液密に閉鎖されている。従って、揮発性の内容物Nを収容する場合でも、気化した内容物Nの外部への漏れ出しを抑制することができる。なお、容器本体1にキャップ3を装着した際、図2(a)に示すように下部取り出し部2d1の下端は底壁1eの上面に接触し、取り出し部2dは筒状壁2aに対して上方へ移動している。すなわち連結部2eは、上方に向けて弾性変形している。またこの状態おいて、上部取り出し部2d2の上端は天壁3aの近傍に位置していて、上部取り出し部2d2は、キャップ3の内側に収容されている。
【0024】
内容物収容容器10から内容物Nを取り出すにあたっては、容器本体1に対してキャップ3を回転させて雄ねじ部1dと雌ねじ部3cとの螺合を解除し、図2(b)に示すように容器本体1からキャップ3を取り外す。本実施形態においては、凸状部2cが押し潰されるようにして上部周壁1bの内周面に接触していて、係止部3dによるフランジ2bを係止する際の保持力よりも、凸状部2cが上部周壁1bの内周面に接触することによる保持力の方が大きくなっている。このため、容器本体1からキャップ3を取り外すと、当初はキャップ3に保持されていた中間部材2は、容器本体1へ移行する。
【0025】
その後はフランジ2bに指をかけてこれを持ち上げると、フランジ2bとともに筒状壁2aも持ち上げられるため、図2(c)に示すように容器本体1から中間部材2を取り外すことができる状態になる。容器本体1から中間部材2を取り外すにあたっては、上部取り出し部2d2を指で摘まんでこれを持ち上げてもよい。なお、連結部2eは取り出し部2dにおける長さ方向中間部に連結していて、フランジ2bと上部取り出し部2d2は、連結部2eによって収容空間Sと区画されている。また本実施形態の連結部2eは、筒状壁2aと取り出し部2dとを全周に亘って一体に連結している。すなわち、収容空間Sに収容された内容物Nは、連結部2eを越えて流れ出すことがなく、それ故、フランジ2bや上部取り出し部2d2に内容物Nが付着することがないため、フランジ2bや上部取り出し部2d2を指で摘まんでも、内容物Nによって指が汚れることはない。
【0026】
その後は、図3(a)に示すように容器本体1を傾倒姿勢に変位させる。内容物Nがある程度の粘性をもつ場合にはそのままでは収容空間Sから出てこないものの、図示したように下部取り出し部2d1を容器本体1の内側に挿入し、図3(b)に示すように下部取り出し部2d1で掻き出すようにして内容物Nを収容空間Sから取り出すことができる。なお本実施形態の下部取り出し部2d1は、図2(c)に示すように連結部2eが復元した状態で容器本体1の内側に挿入した際、下部取り出し部2d1の下端が底壁1eの上面に接触しても、凸状部2cは上部周壁1bの内周面に接触しない状態にある。すなわち、内容物Nを掻き出すにあたって下部取り出し部2d1を容器本体1の内側に深く差し込んでも、凸状部2cが上部周壁1bに引っ掛かることがなく、それ故、内容物Nを掻き出す際の下部取り出し部2d1の動作が妨げられることがないため、作業性よく内容物Nを掻き出すことができる。
【0027】
次に、図4図6を参照しながら本発明に係る内容物収容容器の第二実施形態である内容物収容容器11について、上述した内容物収容容器10と相違する点を中心に説明する。本実施形態の内容物収容容器11は、上述した容器本体1とキャップ3を備えるとともに、上述した中間部材2に替えて中間部材4を備えている。なお内容物収容容器11で用いたキャップ3のリブ3eは、内容物収容容器10で用いたものに対し、上部に対する下部の幅が狭くなって段差状になっている点が相違する。
【0028】
中間部材4は、中間部材2と同様に、弾性を有する素材で形成されている。本実施形態の中間部材4は、図4に示すように軸線Oに沿って延在する円筒状の筒状壁4aを備えている。筒状壁4aの上端には径方向外側に向けて延在するフランジ4bが設けられている。また筒状壁4aの外周面には、径方向外側に向けて膨出し、上述した凸状部2cよりも大きさが小さい凸状部4cが設けられている。なお凸状部4cは、筒状壁4aの全周に亘って設けられていてもよいし、周方向に間欠状に設けられていてもよい。本実施形態の中間部材4において、筒状壁4aの外径は上部周壁1bの内径と略同一であるが、凸状部4cにおける径方向最外部での外径は、上部周壁1bの内径よりも大きくなっている。なお、筒状壁4a、フランジ4b、及び凸状部4cは、本明細書等における「シール部」に相当する部位である。
【0029】
また中間部材4は、長尺状をなす取り出し部4dを備えている。図示は省略するが、本実施形態の取り出し部4dも取り出し部2dと同様に、横断面形状が矩形状になるものである。なお取り出し部4dの形状は任意に変更可能であって、横断面形状は円形状、多角形状でもよいし、中実状や中空状でもよい。
【0030】
更に中間部材4は、筒状壁4aの上端と、取り出し部4dにおける長さ方向中間部(本実施形態においては、取り出し部4dの全長に対して上端から1/4程度の部位)とを、全周に亘って一体に連結する連結部4eを備えている。本実施形態の連結部4eは、上方に向けて突出する薄肉の半球殻状に形作られている。すなわち連結部4eは、弾性を有する素材で形成されていること、及び薄肉の半球殻状であって内側につぶれるように変形可能な形状であることから、軸線Oに沿う向きに延伸可能(筒状壁4aに対して取り出し部4dを前進可能)且つ弾性変形可能(取り出し部4dを前進させた力を取り除くと初期の状態に復元する)である。なお、以下の説明においては、連結部4eが取り出し部4dに連結する部分を起点として、その下方に位置する部分を下部取り出し部4d1と称し、その上方に位置する部分を上部取り出し部4d2と称する。
【0031】
このような形態になる内容物収容容器11は、中間部材4をキャップ3の内側に挿入すると、図4に示すようにフランジ4bの上面がリブ3eの下面に接触し、またフランジ4bの下面が係止部3dに係止されるため、キャップ3で中間部材4を保持することができる。
【0032】
そして、図4に示すように収容空間Sに所定量の内容物Nを収容した後、図5(a)に示すように下部取り出し部4d1を収容空間Sに挿入して雄ねじ部1dに対して雌ねじ部3cを螺合させると、上部開口1aを覆って容器本体1にキャップ3を装着することができる。容器本体1にキャップ3を装着した際、本実施形態の筒状壁4aは、全周に亘って上部周壁1bの内周面に接触し、フランジ4bは、全周に亘って上部周壁1bの上端面に接触する。また凸状部4cは、容器本体1にキャップ3を装着した際、押し潰されるようにして上部周壁1bの内周面に接触する。すなわち、内容物収容容器10を傾倒姿勢や倒立姿勢に変位させても、上部周壁1bの内周面、及び上部周壁1bの上端面を伝って内容物Nが外部へ流れ出すことがない。また連結部4eが筒状壁4aと取り出し部4dとを全周に亘って一体に連結し、収容空間Sは中間部材4によって気密且つ液密に閉鎖されているため、揮発性の内容物Nを収容する場合でも、気化した内容物Nの外部への漏れ出しを抑制することができる。なお、容器本体1にキャップ3を装着した際、図5(a)に示すように下部取り出し部4d1の下端は底壁1eの上面に接触する又は近接する状態にあり、連結部4eは、図5(a)に示す状態において殆ど弾性変形していない状態にある。またこの状態おいて、上部取り出し部4d2の上端は天壁3aの近傍に位置していて、上部取り出し部4d2は、キャップ3の内側に収容されている。
【0033】
内容物収容容器10から内容物Nを取り出すにあたっては、容器本体1に対してキャップ3を回転させて雄ねじ部1dと雌ねじ部3cとの螺合を解除し、図5(b)に示すように容器本体1からキャップ3を取り外す。本実施形態においては、凸状部4cが押し潰されるようにして上部周壁1bの内周面に接触していて、係止部3dによるフランジ4bを係止する際の保持力よりも、凸状部4cが上部周壁1bの内周面に接触することによる保持力の方が大きくなっているため、容器本体1からキャップ3を取り外すと、当初はキャップ3に保持されていた中間部材4は、容器本体1へ移行する。
【0034】
その後はフランジ4bに指をかけてこれを持ち上げる、又は上部取り出し部4d2を指で摘まんでこれを持ち上げることにより、容器本体1から中間部材4を取り外すことができる。本実施形態の中間部材4も上述した中間部材2と同様、フランジ4bと上部取り出し部4d2は、連結部4eによって収容空間Sと区画されている。また本実施形態の連結部4eは、筒状壁4aと取り出し部4dとを全周に亘って一体に連結している。従って、収容空間Sに収容された内容物Nは、連結部4eを越えて流れ出すことがなく、それ故、フランジ4bや上部取り出し部4d2に内容物Nが付着することがないため、フランジ4bや上部取り出し部4d2を指で摘まんでも、内容物Nによって指が汚れることはない。
【0035】
その後は、図6(a)に示すように容器本体1を傾倒姿勢に変位させ、図示したように下部取り出し部4d1を容器本体1の内側に挿入する。ところで本実施形態の中間部材4は、図5(c)に示すように下部取り出し部4d1を容器本体1の内側に挿入した際、筒状壁4aが上部周壁1bの外側にある状態では、下部取り出し部4d1の下端は底壁1eまで到達していない。しかし連結部4eは、上述したように軸線Oに沿う向きに弾性変形可能であるため、上部取り出し部4d2を容器本体1の内側に押し込むように操作すると、図6(a)に示すように連結部4eが撓んで下部取り出し部4d1の下端が底壁1eまで届くようになる。従って、この状態で内容物Nを掻き出すように取り出し部4dを動かすことで、図6(b)に示すように収容空間Sから内容物Nを取り出すことができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0037】
例えば上述した中間部材2、4は、凸状部2c、4cを省略したものでもよい。また中間部材2、4は、筒状壁2a、4aと凸状部2c、4cを省略してフランジ2b、4bのみとし、キャップ3を容器本体1に装着することによってフランジ2b、4bが上部周壁1bの上端部とリブ3eに挟持されてシール部として機能するものでもよいし、フランジ2b、4bと凸状部2c、4cを省略して筒状壁2a、4aが上部周壁1bの内周面に接触してシール部として機能するものでもよい。また本発明におけるシール部は、すくなくとも容器本体1にキャップ3を装着した状態において容器本体1に接触するものであればよく、例えば筒状壁2a、4aを、容器本体1に中間部材2、4を取り付けた状態(キャップ3は装着していない)においては上部周壁1bに対して非接触である一方、キャップ3を容器本体1に装着すると、中間部材2、4に作用する押付力で筒状壁2a、4aが拡径して上部周壁1bの内周面に接触するように構成してもよい。
【0038】
また連結部2e、4eは、筒状壁2a、4aと取り出し部2d、4dとを全周に亘って一体に連結するものに限られず、筒状壁2a、4aと取り出し部2d、4dとを周方向に間欠状に連結するものでもよい。
【0039】
容器本体1における上部開口1aの直径は、上述した寸法に限られず適宜変更可能である。なお、上部開口1aの直径がある程度大きくなると、取り出し部2d、4dを用いずとも、容器本体1を傾倒姿勢に変位させるだけで内容物Nを取り出すことができる。また上部開口1aの直径がある程度大きくなれば、取り出し部2d、4dを使用せずに指を直接挿入することでも内容物Nを取り出すことができる。一方、上部開口1aの直径が小さすぎると、取り出し部2d、4dの太さも細くなりすぎるため、強度等の点で実用的であるとは言えない。従ってこれらの点を考慮した場合、本発明を適用した内容物収容容器における上部開口の直径は、例えば5mm以上30mm以下の範囲が好適である。
【符号の説明】
【0040】
1:容器本体
1a:上部開口
1b:上部周壁(周壁)
1c:下部周壁(周壁)
1d:雄ねじ部
1e:底壁
2、4:中間部材
2a、4a:筒状壁(シール部)
2b、4b:フランジ(シール部)
2c、4c:凸状部(シール部)
2d、4d:取り出し部
2d1、4d1:下部取り出し部
2d2、4d2:上部取り出し部
2e、4e:連結部
3:キャップ
3a:天壁
3b:キャップ周壁
3c:雌ねじ部
3d:係止部
3e:リブ
10、11:内容物収容容器
N:内容物
O:軸線
S:収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6