(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033838
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 37/12 20060101AFI20240306BHJP
B65H 59/36 20060101ALI20240306BHJP
B65H 57/06 20060101ALI20240306BHJP
B65H 57/28 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C03B37/12 Z
B65H59/36
B65H57/06
B65H57/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137707
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石野 光洋
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 智基
(72)【発明者】
【氏名】三村 智通
【テーマコード(参考)】
3F110
3F111
【Fターム(参考)】
3F110BA04
3F110CA01
3F110CA04
3F110DA05
3F110DB04
3F111AA08
3F111AB10
3F111AC08
3F111BB10
3F111DA03
3F111DB00
(57)【要約】
【課題】トラバースを通過する際のガラスストランドの暴れを抑制可能としたガラス繊維の製造装置を提供する。
【解決手段】ガラス繊維の製造装置11は、複数のガラスフィラメントFを集束させてガラスストランドSを形成するギャザリングシュー14と、ガラスストランドSの延在方向と交差する方向に沿ってガラスストランドSを往復移動させるトラバース20と、ガラスストランドSを巻き取るコレット16と、コレット16に対するトラバース20の距離を変動させる駆動装置17と、トラバース20と共にコレット16に対する距離が変動するように設けられ、トラバース20の往復移動方向に沿って延在するとともにガラスストランドSと常時摺接するタッチバー21と、ガラスストランドSからタッチバー21に掛かる圧力を検出する圧力センサ22と、圧力センサ22にて検出された圧力に基づいて駆動装置17を制御する制御部18とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラスフィラメントを集束させてガラスストランドを形成するギャザリングシューと、
前記ガラスストランドの延在方向と交差する方向に沿って前記ガラスストランドを往復移動させるトラバースと、
前記トラバースを通過した前記ガラスストランドを巻き取るコレットと、
前記コレットに対する前記トラバースの距離を変動させる駆動装置と、を備えたガラス繊維の製造装置であって、
前記トラバースと共に前記コレットに対する距離が変動するように設けられ、前記トラバースの往復移動方向に沿って延在するとともに、前記ガラスストランドと常時摺接するタッチバーと、
前記ガラスストランドから前記タッチバーに掛かる圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにて検出された圧力に基づいて前記駆動装置を制御する制御部と、を備えるガラス繊維の製造装置。
【請求項2】
前記トラバースは、前記ガラスストランドが通過するとともに前記ガラスストランドと係合する係合溝を有し、
前記タッチバーは、前記ガラスストランドが前記係合溝の底部と接触することを阻害する位置に配置されている、請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項3】
前記タッチバーは、前記トラバースよりも下流に設けられている、請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記タッチバーにおける延在方向の両端部に設けられている、請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。
【請求項5】
トラバースによってガラスストランドの延在方向と交差する方向に沿って前記ガラスストランドを往復移動させつつ、前記トラバースを通過した前記ガラスストランドをコレットで巻き取る巻き取り工程を備えたガラス繊維の製造方法であって、
前記巻き取り工程では、前記ガラスストランドと摺接するタッチバーに掛かる圧力を検出し、その圧力に基づいて前記コレットに対する前記トラバースの距離を変動させる、ガラス繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス繊維の製造装置としては、ガラスストランドの延在方向と交差する方向に沿ってガラスストランドを往復移動させるトラバースと、トラバースを通過したガラスストランドを巻き取るコレットとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなガラス繊維の製造装置では、ガラスストランドがコレットに綾掛けされながら巻き取られることによって、ガラス繊維が筒状に巻かれた塊であるケーキが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなガラス繊維の製造装置では、コレットにガラスストランドが巻き取られていく際に、製造途中のケーキの径が徐々に大きくなっていくため、コレットに対するトラバースの距離を徐々に広げる必要がある。そして、この際の製造方法としては、例えば、レーザーによって製造途中のケーキの外表面までの距離を計測し、その計測結果に基づいてコレットに対するトラバースの距離を最適な距離に変動させることが考えられる。しかし、ケーキの外表面は凹凸があることなどから、ケーキの外表面までの距離を高精度に計測できないことがある。よって、コレットに対するトラバースの距離が最適な距離から外れることがある。すると、トラバースを通過する際のガラスストランドのテンションが変化してしまうことによって、トラバースを通過する際にガラスストランドが大きく捩れるように暴れてしまうことがある。詳しくは、ガラスストランドは、トラバースが往復移動する際の反転する動きによって左右に振られることになるが、このときのテンションが良好に保たれていないと、大きく捩れるように暴れてしまうことになる。すると、例えば、ガラスストランドを構成するガラスフィラメントの等長性が低下してしまう。言い換えると、ガラスストランドを構成する複数のガラスフィラメントの長さがばらついてしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、トラバースを通過する際のガラスストランドの暴れを抑制可能としたガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記課題を解決するガラス繊維の製造装置は、複数のガラスフィラメントを集束させてガラスストランドを形成するギャザリングシューと、前記ガラスストランドの延在方向と交差する方向に沿って前記ガラスストランドを往復移動させるトラバースと、前記トラバースを通過した前記ガラスストランドを巻き取るコレットと、前記コレットに対する前記トラバースの距離を変動させる駆動装置と、を備えたガラス繊維の製造装置であって、前記トラバースと共に前記コレットに対する距離が変動するように設けられ、前記トラバースの往復移動方向に沿って延在するとともに、前記ガラスストランドと常時摺接するタッチバーと、前記ガラスストランドから前記タッチバーに掛かる圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサにて検出された圧力に基づいて前記駆動装置を制御する制御部と、を備える。
【0007】
同構成によれば、ガラスストランドからタッチバーに掛かる圧力に基づいて制御部によって駆動装置が制御されてコレットに対するトラバースの距離が変動される。よって、コレットに対するトラバースの距離を良好な距離に保つことができ、トラバースを通過する際のガラスストランドのテンションを良好に保つことができる。よって、トラバースを通過する際のガラスストランドの捩れるような暴れを抑制することができ、例えば、ガラスストランドを構成するガラスフィラメントの等長性を高くすることができる。
【0008】
[2]上記[1]に記載のガラス繊維の製造装置において、前記トラバースは、前記ガラスストランドが通過するとともに前記ガラスストランドと係合する係合溝を有し、前記タッチバーは、前記ガラスストランドが前記係合溝の底部と接触することを阻害する位置に配置されていることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、タッチバーは、ガラスストランドがトラバースにおける係合溝の底部と接触することを阻害する位置に配置されるため、係合溝内におけるガラスストランドの動作範囲が抑制される。よって、トラバースを通過する際のガラスストランドの暴れをより抑制することができる。
【0010】
[3]上記[1]または[2]に記載のガラス繊維の製造装置において、前記タッチバーは、前記トラバースよりも下流に設けられていることが好ましい。
同構成によれば、タッチバーは、トラバースよりも下流に設けられるため、トラバースと接触した後であってコレットに巻き取られる直前のガラスストランドと摺接する。よって、圧力センサは、コレットに巻き取られる直前のガラスストランドからタッチバーに掛かる圧力を検出することができ、コレットに対するトラバースの距離をより良好な距離に保つことができる。
【0011】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載のガラス繊維の製造装置において、前記圧力センサは、前記タッチバーにおける延在方向の両端部に設けられていることが好ましい。
【0012】
同構成によれば、圧力センサは、タッチバーにおける延在方向の両端部に設けられているため、例えば、タッチバーの中央に設けられている場合に比べて、ガラスフィラメントの冷却用の水等が掛かりにくくなる。よって、圧力センサの耐久性を高くすることができる。
【0013】
[5]上記課題を解決するガラス繊維の製造方法は、トラバースによってガラスストランドの延在方向と交差する方向に沿って前記ガラスストランドを往復移動させつつ、前記トラバースを通過した前記ガラスストランドをコレットで巻き取る巻き取り工程を備えたガラス繊維の製造方法であって、前記巻き取り工程では、前記ガラスストランドと摺接するタッチバーに掛かる圧力を検出し、その圧力に基づいて前記コレットに対する前記トラバースの距離を変動させる。
【0014】
同方法によれば、ガラスストランドからタッチバーに掛かる圧力に基づいてコレットに対するトラバースの距離が変動される。よって、コレットに対するトラバースの距離を良好な距離に保つことができ、トラバースを通過する際のガラスストランドのテンションを良好に保つことができる。よって、トラバースを通過する際のガラスストランドの捩れるような暴れを抑制することができ、例えば、ガラスストランドを構成するガラスフィラメントの等長性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法によれば、トラバースを通過する際のガラスストランドの暴れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態のガラス繊維の製造装置を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のガラス繊維の製造装置を示す概略正面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のトラバース及びタッチバーの一部拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ガラス繊維の製造装置、及びガラス繊維の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0018】
(ガラス繊維の製造装置11の全体の構成)
図1及び
図2に示すように、ガラス繊維の製造装置11は、ブッシング12と、アプリケータ13と、ギャザリングシュー14と、クレードル15と、コレット16と、駆動装置17と、制御部18とを備える。また、クレードル15は、クレードル本体19と、トラバース20と、タッチバー21と、圧力センサ22とを備える。
【0019】
ブッシング12は、下方に複数のノズルを有し、溶融ガラスが供給されるとともに、ノズルから下方に複数のガラスフィラメントFが引き出される箱状容器である。なお、
図1及び
図2では、複数のガラスフィラメントFをまとめて模式的に図示している。言い換えると、
図1及び
図2では、複数のガラスフィラメントFの一番外側だけを図示し、ガラスフィラメントFの通過する範囲を図示している。アプリケータ13は、駆動ローラーを有し、ガラスフィラメントFに集束剤を塗布する装置である。ギャザリングシュー14は、集束剤が塗布された複数のガラスフィラメントFを集束させつつ束ねてガラスストランドSを形成する装置である。ガラスフィラメントF及びガラスストランドSは、例えばEガラス(汎用の無アルカリガラス)、Aガラス(耐アルカリ性ガラス)、Cガラス(耐酸性のアルカリ石灰含有ガラス)、Dガラス(低誘電率ガラス)、Sガラス(高強度、高弾性率ガラス)、Tガラス(高強度、高弾性率ガラス)、Hガラス(高誘電率ガラス)等から構成される。
【0020】
トラバース20は、ガラスストランドSの延在方向と交差する方向であって、水平な第1方向X1(
図2参照)に沿って移動可能にクレードル本体19に設けられている。トラバース20は、図示しないトラバース駆動装置の動作によって第1方向X1に沿って往復移動することで、ガラスストランドSを第1方向X1に沿って往復移動させる。
【0021】
コレット16は、図示しないコレット駆動装置の動作によって第1方向X1に沿った軸中心に回転することで、トラバース20を通過したガラスストランドSを巻き取る。ガラスストランドSは、コレット16に綾掛けされながら巻き取られることによって、ケーキ23とされる。
【0022】
(クレードル15の詳細な説明)
クレードル本体19は、第1方向X1と直交する水平な第2方向X2(
図1参照)に沿って移動可能に設けられている。
【0023】
図3に示すように、トラバース20は、ガラスストランドSが通過するとともにガラスストランドSと係合する係合溝24を有する。係合溝24は、第2方向X2におけるコレット16側に開口するように形成されている。ガラスストランドSは、トラバース20が第1方向X1に沿って往復移動する際の主に反転時に係合溝24の側部25と係合しつつ、第1方向X1に沿って往復移動されることになる。なお、
図2では、反転時のトラバース20及びガラスストランドSを2点鎖線で模式的に図示している。
【0024】
タッチバー21は、圧力センサ22を介してクレードル本体19に固定されている。タッチバー21は、円柱状に形成されている。タッチバー21は、例えば、真鍮よりなる。一般に、真鍮のモース硬度は、ガラスストランドSのモース硬度より低いため、ガラスストランドSがタッチバー21と摺接することに起因する、ガラスストランドSの損傷を抑制することができる。また、真鍮のモース硬度と、ガラスストランドSのモース硬度の差は比較的小さいため、ガラスストランドSがタッチバー21と摺接することに起因する、タッチバー21の経時劣化も抑制することができる。タッチバー21は、軸中心が第1方向X1に沿って設けられている。すなわち、タッチバー21は、トラバース20の往復移動方向に沿って延在している。タッチバー21は、トラバース20の往復移動範囲より長く形成されている。そして、タッチバー21は、ガラスストランドSと常時摺接するように設けられている。タッチバー21は、トラバース20よりも下流に設けられている。言い換えると、タッチバー21は、トラバース20よりも下方に設けられている。また、タッチバー21は、ガラスストランドSが係合溝24の底部26と接触することを阻害する位置に配置されている。すなわち、タッチバー21は、ガラスストランドSが係合溝24の底部26と接触する前にガラスストランドSと接触することで、ガラスストランドSから圧力Aを受ける位置に配置されている。これにより、タッチバー21は、ガラスストランドSと常時摺接することになる。なお、本実施形態において、タッチバー21はそれ自体が回転しないように固定されているが、それに限定されない。タッチバー21は、長手方向に沿った中心軸の周りに回転可能なように取り付けられていてもよい。このようにすれば、タッチバー21がガラスストランドSの紡糸方向に回転するため、ガラスストランドSとタッチバー21の摺接が抑制され、タッチバー21の経時劣化を抑制することができる。
【0025】
圧力センサ22は、タッチバー21における延在方向の両端部に設けられている。そして、圧力センサ22は、ガラスストランドSからタッチバー21に掛かる圧力Aを検出する。
【0026】
駆動装置17は、クレードル本体19を第2方向X2に沿って移動させることで、コレット16に対するトラバース20の距離を変動させる。なお、タッチバー21は、トラバース20と共にクレードル本体19に固定されるため、トラバース20と共にコレット16に対する距離が変動する。なお、
図1では第2方向X2は水平方向となっているが、これに限定されない。例えば、クレードル本体19を斜め方向(斜め上方または斜め下方)に移動させてもよい。この場合、クレードル本体19を直線的に移動させてもよいし、円弧を描くように移動させてもよい。
【0027】
制御部18は、圧力センサ22にて検出された圧力Aに基づいて駆動装置17を制御する。詳しくは、制御部18は、圧力センサ22にて検出された圧力Aに基づいて、圧力Aが予め設定した値となるように駆動装置17を制御する。具体的には、例えば、制御部18は、圧力センサ22にて検出された圧力Aに基づいて、圧力Aが予め設定した一定の値に近づくように駆動装置17を制御して、クレードル本体19をコレット16から徐々に遠ざける。
【0028】
(ガラス繊維の製造方法とその作用)
ガラス繊維の製造方法は、トラバース20を通過したガラスストランドSをコレット16で巻き取る「巻き取り工程」を備える。そして、「巻き取り工程」では、ガラスストランドSと摺接するタッチバー21に掛かる圧力Aを検出し、その圧力Aに基づいてコレット16に対するトラバース20の距離を変動させる。
【0029】
本実施形態のガラス繊維の製造方法は、上記したガラス繊維の製造装置11を用いて実行される。
コレット16にガラスストランドSが巻き取られていく際、製造途中のケーキ23の径は徐々に大きくなる。これにより、タッチバー21に掛かる圧力Aが大きくなろうとするが、制御部18によって駆動装置17が制御されることでクレードル本体19がコレット16から徐々に遠ざけられて、タッチバー21に掛かる圧力Aが大きくなることが抑制される。これにより、コレット16に対するトラバース20の距離が良好な距離に保たれながら、ケーキ23が製造される。
【0030】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)ガラスストランドSからタッチバー21に掛かる圧力Aに基づいて制御部18によって駆動装置17が制御されてコレット16に対するトラバース20の距離が変動される。よって、コレット16に対するトラバース20の距離を良好な距離に保つことができ、トラバース20を通過する際のガラスストランドSのテンションを良好に保つことができる。よって、トラバース20を通過する際のガラスストランドSの捩れるような暴れを抑制することができ、例えば、ガラスストランドSを構成するガラスフィラメントFの等長性を高くすることができる。
【0031】
(2)タッチバー21は、ガラスストランドSがトラバース20における係合溝24の底部26と接触することを阻害する位置に配置されるため、係合溝24内におけるガラスストランドSの動作範囲が抑制される。よって、トラバース20を通過する際のガラスストランドSの暴れをより抑制することができる。
【0032】
(3)タッチバー21は、トラバース20よりも下流に設けられるため、トラバース20と接触した後であってコレット16に巻き取られる直前のガラスストランドSと摺接する。よって、圧力センサ22は、コレット16に巻き取られる直前のガラスストランドSからタッチバー21に掛かる圧力Aを検出することができ、コレット16に対するトラバース20の距離をより良好な距離に保つことができる。
【0033】
(4)圧力センサ22は、タッチバー21における延在方向の両端部に設けられているため、例えば、タッチバー21の中央に設けられている場合に比べて、ガラスフィラメントFの冷却用の水等が掛かりにくくなる。よって、圧力センサ22の耐久性を高くすることができる。
【0034】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、トラバース20は係合溝24を有し、タッチバー21はガラスストランドSが係合溝24の底部26と接触することを阻害する位置に配置されているとしたが、これに限定されず、他の構成に変更してもよい。例えば、タッチバー21は、ガラスストランドSが係合溝24の底部26と接触した部位の下流でガラスストランドSと接触する位置に配置されていてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、タッチバー21は、トラバース20よりも下流に設けられるとしたが、これに限定されず、トラバース20よりも上流に設けられていてもよい。言い換えると、タッチバー21は、トラバース20よりも上方に設けられていてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、圧力センサ22は、タッチバー21における延在方向の両端部に設けられているとしたが、これに限定されず、例えば、タッチバー21の中央に設けられていてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、タッチバー21は、円柱状に形成されているとしたが、これに限定されず、他の形状としてもよい。なお、タッチバー21においてガラスストランドSと摺接する部位は曲面であることが好ましい。このようにすれば、ガラスストランドSがタッチバー21と摺接することに起因する、ガラスストランドSの損傷を抑制することができる。
【0038】
・上記実施形態では、タッチバー21は、真鍮よりなるとしたが、これに限定されず、他の材料よりなるものとしてもよい。その場合、ガラスストランドSがタッチバー21と摺接することに起因する、ガラスストランドSの損傷を抑制する観点から、タッチバー21を構成する材料の硬度は、ガラスストランドSの硬度より低いことが好ましい。また、ガラスストランドSがタッチバー21と摺接することに起因する、タッチバー21の経時劣化を抑制する観点から、タッチバー21を構成する材料のモース硬度と、ガラスストランドSのモース硬度の差は小さいことが好ましい。具体的には、タッチバー21を構成する材料と、ガラスストランドSのモース硬度の差は、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることさらに好ましい。タッチバー21を構成する材料のモース硬度は3~5であることが好ましく、3~4であることがより好ましい。
【符号の説明】
【0039】
11…ガラス繊維の製造装置、14…ギャザリングシュー、16…コレット、17…駆動装置、18…制御部、20…トラバース、21…タッチバー、22…圧力センサ、24…係合溝、26…底部、A…圧力、F…ガラスフィラメント、S…ガラスストランド。