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  • 特開-装飾品の製造方法 図1
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  • 特開-装飾品の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033841
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】装飾品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A44C 27/00 20060101AFI20240306BHJP
   B24B 19/03 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A44C27/00
B24B19/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137712
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】321013255
【氏名又は名称】川西 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】川西 規雄
【テーマコード(参考)】
3B114
3C049
【Fターム(参考)】
3B114AA16
3B114AA21
3B114JA00
3B114JB00
3C049AA03
3C049CA01
3C049CA03
3C049CA06
3C049CB01
3C049CB03
(57)【要約】
【課題】被加工物の表面に装飾溝を形成することにより装飾品を製造する装飾品の製造方法であって、意図した形状の装着溝を高精度且つ効率的に形成可能な装飾品の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】被加工物の表面に装飾溝を研削加工して形成することにより装飾品を製造する装飾品の製造方法であって、前記被加工物の表面における前記装飾溝を形成する予定の線状又は帯状の範囲である加工予定部に、該加工予定部に沿う予備溝を形成する予備加工工程と、該被加工物の後、前記被加工物に前記加工予定部に沿って前記装飾溝を形成する本加工工程とを有し、前記予備溝は、その断面積が前記装飾溝の断面積よりも小さく、且つ、その断面形状が前記装飾溝の断面形状とは非相似となる異形の形状に成形された。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の表面に装飾溝を形成することにより装飾品を製造する装飾品の製造方法であって、
前記被加工物の表面における前記装飾溝を形成する予定の線状又は帯状の範囲である加工予定部に、該加工予定部に沿う予備溝を形成する予備加工工程と、
該被加工物の後、前記被加工物に前記加工予定部に沿って前記装飾溝を形成する本加工工程とを有し、
前記予備溝は、その断面積が前記装飾溝の断面積よりも小さく、且つ、その断面形状が前記装飾溝の断面形状とは非相似となる異形の形状に成形された
ことを特徴とする装飾品の製造方法。
【請求項2】
前記予備溝が角溝状又はU字溝状に成形され、
前記装飾溝の断面がV字状に成形され、
前記予備溝の幅方向の中心位置が、前記装飾溝の幅方向におけるV字状断面の底側の位置に配された
請求項1に記載の装飾品の製造方法。
【請求項3】
前記被加工物の前記加工予定部に、前記予備溝よりも広い断面積を有する中仕上げ溝を、該加工予定部に沿って研削して形成する中仕上げ工程と、
中仕上げ工程の後、前記被加工物の前記加工予定部に、前記中仕上げ溝よりも広い断面積を有する仕上げ溝を、該加工予定部に沿って研削して形成する仕上げ工程と、
仕上げ工程の後、前記仕上げ溝を構成する凹状面を研磨することにより、最終仕上げ溝を得る最終仕上げ工程と、
最終仕上げ工程の後、前記最終仕上げ溝を構成する凹状面に鏡面仕上げをして前記装飾溝を得る最終鏡面仕上げ工程とを、前記本加工工程として、有する
請求項1又は2の何れかに記載の装飾品の製造方法。
【請求項4】
ワーク支持台によって姿勢変更可能に支持された被加工物における前記加工予定部に、姿勢変更を行いながら、マーキングを行って溝形成の準備を行う準備工程を有する
請求項1乃至3の何れかに記載の装飾品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はネックレス,ブレスレット,ペンダント,ピアス等の身飾品やオブジェ等の置物類に使用される各種宝玉やガラス等の装飾品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリスタルガラス等の被加工物の表面に、装飾用の溝(装飾溝)を研削加工する加工工程を有し、この装飾溝によって幾何学的なカット模様を施して切子身飾品(装飾品)とした装飾品の製造方法が従来公知である。
【0003】
さらに、従来公知に方法を改良したものとして、前記加工工程(本加工工程)の他、該本加工工程の前段階において、被加工物の表面における装飾溝を形成する予定の線状又は帯状の範囲である加工予定部に、該加工予定部に沿う予備溝を形成する予備加工工程を、さらに有する装飾品の製造方法が開発され、公知になっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このような装飾品の製造方法によれば、装飾溝を研削する際、それを形成する予定の範囲に予備溝が予め形成されているため、該装飾溝の形成を高精度に行うことが可能になる一方で、装飾溝及び予備溝は、その断面積は前者に比べて後者は小さいものの、その断面形状が互いに相似しているため、装飾溝の研削を開始する際の切れ込み抵抗が大きく、研削効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-30516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被加工物の表面に装飾溝を形成することにより装飾品を製造する装飾品の製造方法であって、意図した形状の装着溝を高精度且つ効率的に形成可能な装飾品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、被加工物の表面に装飾溝を研削加工して形成することにより装飾品を製造する装飾品の製造方法であって、前記被加工物の表面における前記装飾溝を形成する予定の線状又は帯状の範囲である加工予定部に、該加工予定部に沿う予備溝を形成する予備加工工程と、該被加工物の後、前記被加工物に前記加工予定部に沿って前記装飾溝を形成する本加工工程とを有し、前記予備溝は、その断面積が前記装飾溝の断面積よりも小さく、且つ、その断面形状が前記装飾溝の断面形状とは非相似となる異形の形状に成形されたことを特徴としている。
【0008】
前記予備溝が角溝状又はU字溝状に成形され、前記装飾溝の断面がV字状に成形され、前記予備溝の幅方向の中心位置が、前記装飾溝の幅方向におけるV字状断面の底側の位置に配されたものとしてもよい。
【0009】
前記被加工物の前記加工予定部に、前記予備溝よりも広い断面積を有する中仕上げ溝を、該加工予定部に沿って研削して形成する中仕上げ工程と、中仕上げ工程の後、前記被加工物の前記加工予定部に、前記中仕上げ溝よりも広い断面積を有する仕上げ溝を、該加工予定部に沿って研削して形成する仕上げ工程と、仕上げ工程の後、前記仕上げ溝を構成する凹状面を研磨することにより、最終仕上げ溝を得る最終仕上げ工程と、最終仕上げ工程の後、前記最終仕上げ溝を構成する凹状面に鏡面仕上げをして前記装飾溝を得る最終鏡面仕上げ工程とを、前記本加工工程として、有するものとしてもよい。
【0010】
ワーク支持台によって姿勢変更可能に支持された被加工物における前記加工予定部に、姿勢変更を行いながら、マーキングを行って溝形成の準備を行う準備工程を有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成される本発明によれば、被加工物に予め設けられた予備溝によって、該被加工物に装着溝を意図した通りに高精度に形成することが容易になるとともに、予備溝は、その断面積が前記装飾溝の断面積よりも小さく、且つ、その断面形状が装飾溝の断面形状とは非相似の異なる形状に成形されているため、装飾溝の形成する際の切り込み抵抗も相似形状である場合よりは小さく、効率的な形成作業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】マーキング時のワーク及びマーカーの保持状態を説明する説明図である。
図2】(A)はワークに対して予備溝を付する作業状態を示す正面図であり、(B)は予備溝に沿って装飾溝を研削する状態の正面図であり、(C)は装飾溝の仕上げ研摩の状態を示す正面図である。
図3】(A),(B)の夫々は装飾品の例を示す正面側斜視図である。
図4】本発明を適用した装飾品の製造方法の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す通り、クリスタルガラス,水晶,瑪瑙等の材料から構成され且つ球等の粒形状又は塊形状の外形を有するワーク(被加工物)1aがワーク支持具2によって姿勢変更可能に支持して保持され、フェルトペン等から構成されたマーカー3がマーカー支持具4によって姿勢変更可能に支持して保持されている。ワーク1a及びマーカー3は、共に後述するように床面上の移動及び姿勢変更可能に支持されている。
【0014】
ワーク1aの材質,サイズ,形状等は対象物の種類等によって多様であり、サイズとしては数ミリ~数十ミリのものが想定され、このワーク1aの表面に装飾溝6を形成することにより、カット模様の表面に施された装飾品1を得る。
【0015】
装飾品1は、図3(A),(B)に例示されるピアス,ネックレス,ペンダント等に使用される宝玉やクリスタルガラス製の粒状体又は塊状体であり、同図に示す例では表面にV字形(谷状)断面の装飾溝6が研削により形成されている。具体的には、同図(A)に示す例では、装飾溝6によって装飾品1の表面全体に幾何学的なカット模様を形成している。また、同図(B)に示す例では、装飾溝6によって装飾品1の表面の一部に星型のカット模様を形成している他、この装飾品1には、鎖等の素材を挿通する挿通孔5が穿設されている。
【0016】
図1に示す例では、最終加工前の球状のワーク1aが、ワーク支持具2の上端に設けられた受け台7に接着剤やテープ等で着脱可能に固定されており、受け台7自体は支柱8により回転台9上に揺動可能に支持され、ワーク支持台2の下端は定盤等の平坦な床面上を摺動移動可能なベース部11で構成され、回転台9を回転可能に支持している。なお、円柱状に形成され且つ上下方向を向けられた姿勢で前記床面に載置されるベース部11と、該ベース11から上方に突出形成された支柱8と、支柱8の上端側に支持固定された受け台7とから構成されたワーク支持具2を用いてよい。受け台7に固定されたワーク1aは、ワーク支持具2自体を床面に対して軸回りに回動させることにより、位置を変更する他、ワーク支持具2自体を持ち上げて左右や左右に傾斜させワーク1aに対する作業を行う。
【0017】
他方、マーカー支持具4は平坦な床面上を摺動移動するベース部12上に中間の支点軸13を介して左右揺動可能な揺動軸(支持軸)14が上下方向に取付けられ、該揺動軸14の上端には左右方向の軸状の下部フレーム16がボス部17に挿通されて左右スライド及び回動調節可能に支持されている。
【0018】
揺動軸14はベース部12に対して水平回動可能に支持されており、支店軸13のジョイント部分は、水平回動及び前後左右揺動が可能なユニバーサルジョイントを用いることが可能で、この場合は、下部フレーム16はボス部17に対して回動する必要はない。
【0019】
上記下部フレーム16の左右端にはボス状の支持部18を介して上向きのクリップアーム19がそれぞれ左右揺動調節可能に取付けられ、クリップアーム上端に取付けられた左右のクリップ21,21間にフェルトペン等からなるマーカー3の左右端が左右方向に係脱可能に且つ下部フレーム16と略平行に把持されている。
【0020】
この例ではマーカー支持具4の上部はマーカー3を把持した状態において、該マーカー3と、左右のクリップアーム19と、及び下部フレーム16とによって、平行リンクを構成している。この平行リンクによって、マーカー3は、その姿勢を保持させたまま、その上下方向の位置と、自身の軸方向の位置とを変化させることが可能になる。また、この平行リンク自体がベース部12に対して前後揺動(傾動)可能に構成されている。
【0021】
このため、マーカー支持具4によって支持されたマーカー3のペン先(右端)は、ワーク支持具2によって保持されたワーク1aに対して、上下位置、左右位置、前後位置及び姿勢(向き)を変更することが可能になる。これに加えて、ワーク1a自体もワーク支持具2により水平に回動させることや,左右及び前後に揺動させることや、水平方向に摺動させることが可能である。ワーク1aの表面への絵付け(罫書き)を高い自由度で行うことが実現している。
【0022】
尚、ワーク支持具2及びマーカー支持具4の摺動移動以外の動作は、各部のジョイント部における調節ねじやスプリングの介挿等による周知の締付調節機構(図示せず)を用いて一定以上の外力を加えた時に動作可能な構成となっている。
【0023】
そして、ワーク支持具2、マーカー3及びマーカー支持具4によって、該ワーク1aの表面における装飾溝6を形成する予定の線状又は帯状の範囲(加工予定部)に絵付け(マーキング)をする絵付け工程(準備工程)を実行する。この絵付け工程は、装飾溝6を研削する前の準備作業になる。
【0024】
ちなみに、加工予定部はワーク1aの表面に一又は複数存在し、その数は装飾溝6の数と当然同数になる。マーキングは、各加工予定部の全長の一部又は全てに対して実行してもよいし、その一部の加工予定部の全長の一部又は全てに対して実行してもよい。
【0025】
図2(A)はワークに対して予備溝を付する作業状態を示す正面図であり、(B)は予備溝に沿って装飾溝を研削する状態の正面図であり、(C)は装飾溝の仕上げ研摩の状態を示す正面図である。同図では、装飾品1が球状のビーズである例を示している。
【0026】
同図(A)は、準備工程後のワーク1aの表面に絵付けされた絵柄模様等のマークを目印(基準)にしながら、前記加工予定部に予備溝6aを研削して形成する荒削り工程(予備加工工程)の作業状態を示している。この荒削り工程での作業は、装飾溝6を研削する加工である本加工の作業前に行われる予備加工作業になる。
【0027】
予備作業では、ワーク1aを作業者が保持するか、或いはワーク支持具2等のような機械的な支持具により保持させながら、グラインダ23によって予備溝6aを研削して形成する。具体的には、このグラインダ23の回転軸24にチャック26を介して薄刃の研削ホイル(ダイヤモンドホイル)27aが着脱可能に装着し、該研削ホイル27aを、ワーク1aの加工予定部に押圧させた状態で、回転駆動させることによって、該加工予定部に予備溝6aを研削して凹設する。言い換えると、ワーク1aの絵付け加工した位置,サイズ,加工軌跡等に従って予備溝6aを研削する。
【0028】
この研削ホイル27aは、薄い円盤状部材であり、その両面の環状の縁部及びその外周面(以下、単に「周縁部」)には、粗目のダイヤモンド砥粒が付着されている。また、研削ホイル27aの前記周縁部及び外周面を、前記回転軸24の直交し且つ該研削ホイル27aの厚み方向の中心を通過する軸から視た場合の形状は、予備溝6aの断面形状と同一又は略同一の形状をなしている。
【0029】
この予備溝6aは、具体的には、装飾溝6の楔状の断面形状とは非相似の異形な断面形状を有する角溝又はU字溝である。この予備溝6aの断面積は装飾溝6の断面積よりも小さく設定されている。さらに具体的には、予備溝6aの幅が装飾溝6の幅よりも小さく設定され、予備溝6aの深さも装飾溝6の深さよりも浅く設定されている。すなわち、装飾溝6の断面形状の範囲内に、予備溝6aの断面形状の全体が収まっているため、予備溝6aは十分な仕上げ代を残して形成される。
【0030】
ちなみに、予備溝6aは、複数の各加工予定部の全長方向の一部又は全ての範囲に形成してもよいし、その一部の加工予定部の全長方向の一部又は全ての範囲に形成してもよい。
【0031】
同図(B)は、装飾溝6を形成する加工である本加工工程である中仕上げ工程及び仕上げ工程の作業状態を示している。予備加工工程の後に行われる中仕上げ工程では、中仕上げ用の研削ホイル27bによって、ワーク1aの表面に存在する一又は複数の各加工予定部における全長方向の全範囲に、溝(中仕上げ溝)6bを研削して形成する中仕上げ作業が実行される。中仕上げ工程の後に行われる仕上げ工程では、仕上げ用の研削ホイル27cによって、ワーク1aの表面に存在する一又は複数の各加工予定部における全長方向の全範囲に溝(仕上げ溝)6cを研削して形成する中仕上げ作業が実行される。
【0032】
中仕上げ工程及び仕上げ工程では、回転軸24に装着された研削ホイル27b,27cの少なくとも一部を、加工予備部に予め凹設された溝6a,6bに挿入して押圧した状態で、該研削ホイル27b,27cを回転駆動させることによって、その溝6a,6bの幅及び深さが増加するように研削して溝6b,6cを順次凹設する。
【0033】
これらの作業時、研削ホイル27b,27cの回転数は、予備溝6aを研削する際の研削ホイル27aの回転数よりも低速に設定されている。また、これらの作業によって凹設される溝6b,6cの断面形状は、研削ホイル27b,27cの周縁部を、回転軸24と直交し且つ研削ホイル27b,27cの厚み方向の中心を通過する軸から視た形状と同一又は略同一の形状をなし、具体的には、これらの溝6b,6cがV字状の断面形状を有している。
【0034】
ちなみに、本例では、中仕上げ用の研削ホイル27bに用いられるダイヤモンド粒子は、前記研削ホイル27aのものよりも細かいもの(粒度の番手が大きいもの)になる。仕上げ用の研削ホイル27cに用いられるダイヤモンド砥粒は、中仕上げ用の研削ホイル27bのものよりもさらに細かいもの(粒度の番手が大きいもの)になる。すなわち、作業の工程が進むのに伴って研削ホイル27b,27cの砥粒粒度を順次増加させている。逆に、研削ホイル27b,27cの回転速度は作業の工程が進むのに伴って順次減少させることが望ましく、溝6b,6cの断面のV字の角度も装飾溝6のV字断面の角度に順次近づけても良い。
【0035】
ちなみに、装飾溝6の断面のV字の角度は、ワーク1a(装飾品1)のサイズや材質や外形の装飾性等によって異なるが、例えば60°~120°の範囲内で適宜設定される。また、上記研削に使用される研摩材は装飾部材の材質等により、ダイヤモンド砥粒以外に例えば金剛砂その他の砥粒が用いられる。
【0036】
同図(C)は、装飾溝6を形成する加工である本加工工程である最終仕上げ工程及び最終鏡面仕上げ工程の作業状態を示している。仕上げ工程の後に行われる最終仕上げ工程では、ワーク1aの表面に形成された各仕上げ溝27cを構成する凹状面を、その全長方向の全体に亘り、最終仕上げ用の研削ホイル27dにより研磨することによって、溝(最終仕上げ溝)6dを形成する最終仕上げ作業が実行される。最終仕上げ工程の後に行われる最終鏡面仕上げ工程では、ワーク1aの表面に形成された各最終仕上げ溝27dを構成する凹状面を、その全長方向の全体に亘り、最終鏡面仕上げ用の研削ホイル27eにより研磨して鏡面仕上げすることよって、最終鏡面仕上げ溝6eを形成する最終鏡面仕上げ作業が実行される。
【0037】
最終仕上げ溝27dの断面形状は、装飾溝6の断面形状と同一又は略同一の形状をなしている。最終仕上げ溝27dを鏡面仕上げしてなる最終鏡面仕上げ溝27eは、上述した装飾溝6になる。これらを研磨(研削)する上述の研削ホイル27d,27eの基材は、共に比較的軟質で弾力性のある木材、プラスチック材又はゴム材等からなる。
【0038】
最終仕上げ用の研削ホイル27dの基材の周縁部には、仕上げ用の研削ホイル27cに用いるものよりもさらに細かい(番手が大きい)砥粒が付着されている。最終鏡面仕上げ用の研削用ホイル27eの基材の周縁部には、最終仕上げ用の研削ホイル27dに用いるものよりもさらに細かい(番手が大きい)砥粒が研磨材として付着されている。この研摩材としては、鏡面仕上げ用に適した任意の材料が使用される。
【0039】
図4は本発明を適用した装飾品の製造方法の手順を示すフロー図である。上述した構成によれば、装飾品1の製造方法は、準備工程である前記絵付け工程(準備工程)と、該絵付け工程後に行われる荒削り工程(予備加工工程)と、該荒削り工程後に行われる中仕上げ工程(本加工工程)と、該中仕上げ工程後に行われる仕上げ工程(本加工工程)と、該仕上げ工程後に行われる最終仕上げ工程(本加工工程)と、該最終仕上げ工程後に行われる最終鏡面仕上げ工程(本加工工程)とを有している。
【0040】
ワーク1は、これらの工程を経ることによって、図3に示す装飾品となる。
【0041】
ちなみに、予備溝の幅方向における中心位置は、装飾溝の幅方向におけるV字状断面の底側の位置と一致するように配置構成されている。
【符号の説明】
【0042】
1 装飾品
1a ワーク(被加工物)
2 ワーク支持具
3 マーカー
4 マーカー支持具
6 装飾溝
6a 予備溝
図1
図2
図3
図4