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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033842
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】テント型除菌設備
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20240306BHJP
   E04H 15/10 20060101ALI20240306BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240306BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20240306BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20240306BHJP
【FI】
A61L2/18
E04H15/10
F24F7/06 B
F24F7/10 101A
F24F7/06 C
F24F8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137715
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】522346707
【氏名又は名称】株式会社長沼工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】矢野裕二
(72)【発明者】
【氏名】多田紗弥香
【テーマコード(参考)】
2E141
3L058
4C058
【Fターム(参考)】
2E141BB01
2E141BB05
2E141CC01
2E141CC05
2E141GG11
3L058BF03
3L058BF06
3L058BF09
3L058BG05
4C058AA28
4C058BB07
4C058DD06
4C058DD11
4C058JJ07
4C058JJ22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イベント会場等の建物の通路や出入口に設置され、そのイベントの入場者の平均的な身長を考慮して、除菌液の微細粒子で構成される湿った層の高さを調整できるようにしたテント型除菌設備を提供する。
【解決手段】除菌設備は、内部に人体の除菌空間を有し、イベント会場等の建物の通路や出入口に設置されるテント型除菌設備であって、前記除菌空間を囲う天井部、側壁部および底壁部を持つ、非通気性のシートで形成された折り畳み可能な除菌空間形成部材、前記除菌空間に、人体に無害な除菌液の微細粒子を連続して噴霧する除菌液噴霧ユニット、および前記除菌空間の上部に加圧空気を供給して、該除菌空間の上部に陽圧を形成して、前記除菌空間の高さ方向中央部分から下方部分の少なくとも下方部分に、前記除菌液噴霧ユニットから噴霧された微細粒子の層である除菌液微細粒子層を形成するための加圧空気供給ユニットを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に人体の除菌空間を有し、イベント会場等の建物の通路や出入口に設置されるテント型除菌設備であって、
前記除菌空間を囲う天井部、側壁部および底壁部を持つ、非通気性のシートで形成された折り畳み可能な除菌空間形成部材、
前記除菌空間に、人体に無害な除菌液の微細粒子を連続して噴霧する除菌液噴霧ユニット、および
前記除菌空間の上部に加圧空気を供給しして、該除菌空間の上部に陽圧を形成して、前記除菌空間の高さ方向中央部分から下方部分の少なくとも下方部分に、前記除菌液噴霧ユニットから噴霧された微細粒子の層である除菌液微細粒子層を形成するための加圧空気供給ユニット
を備えていることを特徴とする除菌設備。
【請求項2】
前記除菌液が混合酸化剤溶液である請求項1の除菌設備。
【請求項3】
前記除菌液がアルカリ性電解水である請求項1の除菌設備。
【請求項4】
前記除菌液噴霧ユニットは、噴霧する除菌液の微細粒子の径を調節するため、噴霧圧力を調節するための噴霧圧力調節手段を備えている請求項1の除菌設備。
【請求項5】
前記加圧空気供給ユニットは、前記除菌空間外の空気を取り入れ、それを加圧して加圧空気として前記除菌空間に供給する請求項1の除菌設備。
【請求項6】
前記加圧空気供給ユニットは、外部から取り入れた空気を除菌を含めた清浄化を行う清浄化手段を備えている請求項5の除菌設備。
【請求項7】
前記除菌液微細粒子層の高さを調節するため、前記除菌空間の下部から排気を行う排気手段を設けた請求項1の除菌設備。
【請求項8】
前記除菌液微細粒子層を照明する照明手段を備えた請求項1の除菌設備。
【請求項9】
前記除菌液噴霧ユニットは、除菌液供給源とエアコンプレッサと噴霧口とこれらを接続する流路を備え、前記噴霧口が、前記側壁部に設けられている請求項1の除菌設備。
【請求項10】
除菌液供給源は、除菌液タンクまたは保菌液生成装置である請求項9の殺菌システムユニット。
【請求項11】
前記底壁部上に配置され、この底壁部表面から上方に所定間隔置かれた上面が除菌空間内の歩行面を形成するスペーサー敷物を有し、このスペーサー敷物の表面の歩行面が除菌効果を有する被覆層で覆われている請求項1の除菌設備。
【請求項12】
前記加圧空気供給ユニットは、前記除菌空間外から取り入れた空気を除菌するための除菌手段を備えている請求項5の除菌設備。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テント型除菌設備に関し、さらに詳細には、内部に人体の除菌空間を有し、イベント会場等の建物の通路や出入口に設置されるテント型除菌設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院の隔離病棟における出入口や一般病棟との連絡通路、或は、集中治療室や無菌室の出入口などのように、外部から内部に、又は、その逆、或は、前記内部や外部の種々の菌やウイルスなどが他の場所へ散逸したり侵入するのを、その場所に出入りする人や物に付着している菌やウイルスを殺菌したり滅菌する処理(以下、単に「殺菌」という)できるようにした殺菌システムのユニットが知られている。
ところで、例えば塩素系の溶液を殺菌有効成分とする「殺菌水」と呼ばれる液体(以下、本明細書では「殺菌水」という)は、レストラン等の厨房内や厨房器具の殺菌処理、野菜や食肉などを始めとする加工食品の加工工程での殺菌、或は、病院等を始めとする各種施設での殺菌など、各方面での殺菌処理に利用されている。
【0003】
一方、法定伝染病など伝染性の高い疾病の罹患者は総合病院などの隔離病棟に隔離して治療が施されるが、隔離病棟と一般病棟を連結する廊下や通路は、開閉できる一般的な扉や気密扉などで仕切られているだけであるため、前記扉の開閉時に、病原菌やその他の細菌などの病原菌や汚染物質などが一般病棟と隔離病棟の間で往来してしまい、単に不衛生であるに止まらず、病原菌が拡散してしまうという問題を孕んでいる。
【0004】
そこで、特開2009-261595号公報では、例えば既設の隔離病棟と一般病棟の間を繋ぐ通路や出入口などに、一例としてプレハブ式で組立て分解自在にユニット化した殺菌システムを設置することにより、前記病棟間で病原菌などが往来して人に感染することや外部へ飛散することを殺菌して防ぐようにしたユニットタイプの殺菌システムを提供することを、課題として、次のような通路用殺菌システムが提案されている。
【0005】
すなわち、上記公開公報で提案された課題を解決することを目的としてなされた通路用殺菌システム、建物の通路や出入口に設置されて人が通行できる大きさの断面略口状をなす通路空間を形成する壁面体と、前記通路空間の前後開口部に配置される開閉できる扉やエアカーテンなどによる内外遮蔽体と、前記空間内に次亜塩素酸ナトリウムなどの少なくとも殺菌有効成分を含む人畜無害の殺菌用薬液(以下、単に「殺菌水」という)を噴霧する殺菌水の噴霧手段とを備え、病棟などを連結する通路に、前記壁面体と内外遮蔽体を組立てた通路空間を殺菌空間として形成し、当該殺菌空間に前記殺菌水を噴霧するため前記噴霧手段を配備して適宜のタイミングで作動させることにより、当該殺菌空間内に人などに付着して存在する各種の菌を殺菌乃至滅菌処理するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
上記システムユニットは、建物の通路や出入口に設置されて人が通行できる大きさの断面略口状をなす通路空間を形成する壁面体と、前記通路空間の前後開口部に配置される開閉できる扉やエアカーテンなどによる内外遮蔽体と、前記空間内に次亜塩素酸ナトリウムなどの少なくとも殺菌有効成分を含む人畜無害の殺菌用薬液(以下、単に「殺菌水」という)を噴霧する殺菌水噴霧手段とを備え、病棟などを連結する通路に、前記壁面体と内外遮蔽体を組立てた通路空間を殺菌空間として形成し、当該殺菌空間に前記殺菌水を噴霧するため前記噴霧手段を配備して適宜のタイミングで作動させることにより、当該殺菌空間内に人などに付着して存在する各種の菌を殺菌乃至滅菌処理することができるようにしたので、例えば病院においては連絡通路を介して一方の病棟から他方の病棟に雑菌を始めとする諸々の病原菌やウィルスなどの有害物質が侵入したり外部に飛散することを防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記システムユニットは、上記のような構造であるので、殺菌空間内に人などに付着して存在する各種の菌を殺菌乃至滅菌処理する効果が見込まれるが、殺菌液が、人の頭や顔までにも噴霧されてしまい、殺菌される側の人間に安全性の不安感を持たせたり、感覚的に顔や頭髪が濡れるという不快感を持たせてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、イベント会場等の建物の通路や出入口に設置され、そのイベントの入場者の平均的な身長を考慮して、除菌液の微細粒子で構成される湿った層の高さを調整できるようにしたテント型除菌設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題は下記(1)~(12)の構成の本発明によるテント型除菌設備により達成される。
(1)
内部に人体の除菌空間を有し、イベント会場等の建物の通路や出入口に設置されるテント型除菌設備であって、
前記除菌空間を囲う天井部、側壁部および底壁部を持つ、非通気性のシートで形成された折り畳み可能な除菌空間形成部材、
前記除菌空間に、人体に無害な除菌液の微細粒子を連続して噴霧する除菌液噴霧ユニット、および
前記除菌空間の上部に加圧空気を供給しして、該除菌空間の上部に陽圧を形成して、前記除菌空間の高さ方向中央部分から下方部分の少なくとも下方部分に、前記除菌液噴霧ユニットから噴霧された微細粒子の層である除菌液微細粒子層を形成するための加圧空気供給ユニット
を備えていることを特徴とする除菌設備。
(2)
前記除菌液が混合酸化剤溶液である前記(1)の除菌設備。
(3)
前記除菌液がアルカリ性電解水である前記(1)の除菌設備。
(4)
前記除菌液噴霧ユニットは、噴霧する除菌液の微細粒子の径を調節するため、噴霧圧力を調節するための噴霧圧力調節手段を備えている前記(1)の除菌設備。
(5)
前記加圧空気供給ユニットは、前記除菌空間外の空気を取り入れ、それを加圧して加圧空気として前記除菌空間に供給する前記(1)の除菌設備。
(6)
前記加圧空気供給ユニットは、外部から取り入れた空気を除菌を含めた清浄化を行う清浄化手段を備えている前記(5)の除菌設備。
(7)
前記除菌液微細粒子層の高さを調節するため、前記除菌空間の下部から排気を行う排気手段を設けた前記(1)の除菌設備。
(8)
前記除菌液微細粒子層を照明する照明手段を備えた前記(1)の除菌設備。
(9)
前記除菌液噴霧ユニットは、除菌液供給源とエアコンプレッサと噴霧口とこれらを接続する流路を備え、前記噴霧口が、前記側壁部に設けられている前記(1)の除菌設備。
(10)
除菌液供給源は、除菌液タンクまたは保菌液生成装置である前記(9)の殺菌システムユニット。
(11)
前記底壁部上に配置され、この底壁部表面から上方に所定間隔置かれた上面が除菌空間内の歩行面を形成するスペーサー敷物を有し、このスペーサー敷物の表面の歩行面が除菌効果を有する被覆層で覆われている前記(1)の除菌設備。
(12)
前記加圧空気供給ユニットは、前記除菌空間外から取り入れた空気を除菌するための除菌手段を備えている前記(5)の除菌設備。
【発明の効果】
【0010】
本発明のテント型除菌設備によれば、上記したように、除菌液噴霧ユニットから除菌空間に噴出させた除菌液微細粒子を、加圧空気供給ユニットからの加圧空気により、除菌液微細粒子を除菌空間の高さ方向中央部以下に高密度で偏位させることにより、比較的下方に位置する除菌液微細粒子層を形成する。
イベント会場等への入場者は、この除菌液微細粒子層を通過することによって、自動的に除菌ができるようになる。
また、前記した除菌液微細粒子層の高さは、例えば、前記加圧空気の加圧の程度によって制御でき、前記入場者等の属性(例えば、身長、車椅子の使用)によって変化させることができる。
したがって、この除菌設備によって除菌を受ける者の頭や顔に除菌液微細粒子が降りかかるようなことがなく、その者に不安感、不快感等を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施の形態によるテント型除菌設備の全体を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示したテント型除菌設備の水平断面図である。
図3図3は、図1に示したテント型除菌設備に使用される除菌液噴霧ユニットの概念を示す正面図である。
図4図4は、図1に示したテント型除菌設備の機能を説明するための説明図である。
図5図5は、図1に示したテント型除菌設備の機能を説明するための説明図であり、除菌空間内陽圧が強い場合に形成される除菌液微細粒子層の状態を示す図である。
図6図6は、図1に示したテント型除菌設備の機能を説明するための説明図であり、除菌空間内陽圧が弱い場合に形成される除菌液微細粒子層の状態を示す図である。
図7図7は、図5に示した除菌空間内陽圧が強い場合に形成される除菌液微細粒子層の状態と、除菌される人間の位置関係示す図であり、またこの図には、除菌液微細粒子層を照明する照明手段を設けた状態で示した。
図8図8は、図6に示した除菌空間内陽圧が弱い場合に形成される除菌液微細粒子層の状態と、除菌される人間の位置関係示す図である。
図9図9は、図1に示したテント型除菌設備の除菌空間形成部材をドーム型とした変形例を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態によるテント型除菌設備について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態によるテント型除菌設備10の斜視図である。
【0013】
テント型除菌設備10は、内部に人体の除菌空間Sを有し、イベント会場等の建物の通路や出入口に設置されるものである。
この除菌設備10は、前記除菌空間Sを囲う除菌空間形成部材20、前記除菌空間Sに、人体に無害な除菌液の微細粒子を連続して噴霧する除菌液噴霧ユニット40(図2等参照)、および前記除菌空間Sの上部に加圧空気を供給する加圧空気供給ユニット60を備えている。
【0014】
前記除菌空間形成部材20は、非通気性シートで形成され、天井部22、側壁部(24、26、28、30)(このうち、24を入口壁、そして26を出口壁と称することがある)および底壁部32を持つ直方体状のものとすることが好ましい。勿論、図9に示すようなドーム状除菌空間形成部材20Aであってもよい。
前記入口壁24には、人間が外部から前記除菌空間S内に入ることを可能にする入口用開口24aおよびこの開口を開閉する開閉幕24bが設けられている。一方、前記出口壁26には、人間が前記除菌空間Sから外部にでることを可能にする出口用開口26aおよびこの開口を開閉する開閉幕26bが設けられている。開閉幕24b、開閉幕26bは、ファスナーでの開閉式のものや、巻き上げ式のものであっても良い。なお、いずれの開口においても前記開閉幕が開放されたとき、内部の空気等が外に出ないようにするエアシャッター等の工夫がされていることが望ましい。なお、出入り口を複数に分割してそれぞれをファスナーで連結し、開くファスナーを選択することにより開口度を調節できるようにすることが好ましい。
【0015】
ここで、非通気性のシートとは、透気度が80000秒/100mL以上であるシートをいう。なお、透気度は、JIS P8117(2009年改正版)にしたがってして測定される値であり、一定の圧力のもとで100mLの空気が6.42cm2の面積を通過する時間として定義される。なお、上記条件を考慮されていれば、例えば、ポリアミド、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニル等の人工繊維や、パルプ、綿、麻、絹及び獣毛等の天然繊維から選ばれた1種又は2種以上を混合した織布、不織布、紙、合成紙等の通気性シートを積層させても良い。
【0016】
前記除菌空間形成部材20を上記のような直方体やドーム状(図9に符号20Aで示した)に保つには、支持柱や吊り下げ具(図示せず)を用いればよい。
【0017】
前記除菌液噴霧ユニット40は、図3に示したように、複数のスプレーノズル(一流体)42が取り付けられたヘッダー管44、除菌液源46とこの除菌液源46からの除菌液を圧送するための高圧加圧ポンプ48からなる加圧除菌液供給装置50、およびこの加圧除菌液供給装置50からの加圧除菌液を前記ヘッダー管44に供給するための管路52を備えている。
前記ヘッダー管44は、図2に示したように、両側壁部28、30の内側近傍に複数本対向して配置することが好ましい。
【0018】
前記除菌液源46としては、除菌液タンクや除菌液生成装置が考えられ、本発明で用いられる除菌液としては、人体に無害な混合酸化剤溶液やアルカリ性電解水等が挙げられる。
ここで、混合酸化剤溶液は、塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで消毒化合物の混合物として生成するもので、主な成分は、塩素及びその誘導体であるClO-HClOおよびCl溶液である。また、大量の二酸化塩素(ClO)、溶存オゾン、過酸化水素水(HO)、酸素が含まれている。このため、混合酸化剤と呼ばれる。高い消毒力を有し、安全性が高い。
一方、アルカリ性電解水は、飲用適の水を電気分解して得られるもので、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムを主成分とする。そのうちでも、除菌性の高いpH10以上の強アルカリ性のものが好ましい。
【0019】
前記のような除菌液は、前記スプレーノズル42から微細粒子として噴霧される。
この微細粒子の径は、20~50μm程度であることが好ましい。微細粒子の径が、上記範囲未満であると、空気に溶けやすく、気流に舞いやすい為その挙動の制御が困難となり、上記範囲を超えると、液滴として落下してしまい後述する除菌液微細粒子層の形成が困難となったり、皮膚や着衣しているものに必要以上に付着して望ましくない。
前記スプレーノズル42は、前記高圧加圧ポンプ48により圧力が調節されて供給された除菌液を上記の範囲の径の微細粒子として噴霧出来るのであるならどのような構造のものであってもよいが、一流体用のものであることが望ましい。
具体的には、このスプレーノズル42は、spraying systems co:japan社製の型番HITJET NOZZLE YB1ss10‐POLを用いることができる。
【0020】
前記ヘッダー管44は、ステンレススチール製や合成樹脂製のものが望ましく、図3に示したように所定高さに水平に配置されることが好ましく、そのため、高さ位置が調節可能な架台45、例えば三脚や入れ子式の支柱等によって支持されている。図に示した例では、三脚を示した。
【0021】
前記加圧空気供給ユニット60は、前記除菌空間形成手段20の上部に設けられた圧送ファン62,この圧送ファン62に除菌された外部からの空気を送り込むための除菌室64、およびこの除菌室64からの空気を前記圧送ファン62に送り込むためのダクト66を備えている。この加圧は1~16Pa程度に行われる。
前記除菌室64は、紫外線ランプ等を用いて紫外線により外部からの空気を除菌する。前記圧送ファン62の送風口にはフィルター袋(図示せず)を設けて、外部空気が持ち込んだ粉塵をトラップするとともに、乱流となっている加圧空気を整流にする。なお、図示した例では、圧送ファン62を前記除菌空間形成手段20の側壁に設けた例について示したが、天井部22に設けてもよい。また、図に示した例では、圧送ファン62を一つのみ設けたものを示したが、除菌液微細粒子層の高さHを一定のものとするには、複数個設けることが好ましい。
【0022】
前記加圧空気供給ユニット60は、図4に示したように、前記除菌空間Sの上部に陽圧の空気層部Pを形成して、前記除菌空間の高さ方向中央部分から下方部分の少なくとも下方部分に、前記除菌液噴霧ユニットから噴霧された微細粒子の層である除菌液微細粒子層Lを形成する。なお、陽圧の層状部Pはほぼ乾燥した層となり、一方、除菌液微細粒子層Lは、湿度がほぼ100%の湿った層となる。したがって、内部で除菌される人間の上部の顔等は、除菌され乾燥した空気層内に位置するので、快適であり、比較的保菌し易い下半身や手指は除菌液微細粒子層内に位置させることができるので、除菌効果が高い。
【0023】
前記除菌液噴霧ユニット40は、前記高圧加圧ポンプ48を制御して、噴霧圧力を調節するための噴霧圧力調節手段である制御回路49(図3参照)を備え、これにより、噴霧する除菌液の微細粒子の径を調節できるようにしている。
【0024】
前記除菌液微細粒子層Lの高さの調節のための補助として、前記除菌空間形成部材20の側壁部の下部に、前記除菌空間の下部から排気を行う排気手段としての排気窓21を設けることが好ましい。この排気窓21には、上記した出入り口に設けた巻き取り幕を設けて、排気窓21の開度を調節することができるようにすることが好ましい。
【0025】
また、エンタティメント性を醸し出す目的等で、図7に示したように、前記除菌液微細粒子層Lを照明する照明手段31を設けてもよい。この照明手段31としては、消費電力が少なく、長寿命のLED照明が好ましい。また、除菌液には、アロマ剤を添加してもより。
【0026】
さらにまた、前記除菌空間を形成する前記底壁部32上には、この底壁部表面から上方に所定間隔置かれた上面70Sが除菌空間内の歩行面を形成するスペーサー敷物70が敷設されていることが好ましい(図8参照)。このスペーサー敷物70の表面の歩行面70aは、除菌効果(抗菌効果)を有する被覆層で覆われていることが好ましい。スペーサー敷物は、簀の子形状のものや、ハニカム構造の敷物等を用いることができる。
【0027】
本発明の除菌設備10においては、除菌空間S内の除菌液微細粒子層Lの高さHを図5図7に示したように比較的低くしたり、図6図8に示したように比較的高くしたり調節出来るようになっている。
このような、除菌液微細粒子層Lの高さHの調節は、(i)ダクト66から除菌空間S内に供給される加圧空気の空気量を調節して、空気層部Pの陽圧の大きさを制御する方法、(ii)図7および図8に示したよう、ノズル42の高さ位置を調節する方法、(iii)前記排気窓21の開放による除菌液微細粒子の外部への放出量の調節による方法等により行うことが出来る。
【0028】
具体例として、前記(i)のダクト66から除菌空間S内に供給される加圧空気の空気量を調節して、空気層部Pの陽圧の大きさを制御する方法により、除菌液微細粒子層Lの高さHを調節する方法を、さらに詳細に下記する。
まず初めに加圧空気は送らずに、出入口24.26、排気窓21の開口をファスナーで閉鎖する。出入口24.26の開口は複数の開口に分けられ、各々をファスナーで開閉ができ、開口面積を変える事ができる。通常の通路としての開口と、少なくとももう一つの開口をファスナーで開け閉めをする事により、開口面積を調整する事ができる。
ノズル42より除菌液微細粒子を空間全体に噴霧し、空間全体に除菌液微細粒子が充満したら出入口24.26を通常の開口(通路として最小限)をファスナーで開ける。圧送ファン62により加圧空気を送り、加圧空気圧の調整を行いながら除菌液微細粒子層Lの高さを調整する。必要に応じて出入口24.26の開口も追加してファスナーを開けて開口面積を大きくする。又は排気窓図21の開口のファスナーを開けて開口面積を変える事により、更に調整範囲を拡大する事ができる。
高い位置で除菌液微細粒子層を維持した状態を作る場合は、ノズル42高さを架台46の支持材で変える事により、高い位置のノズルから除菌液微細粒子を噴霧する事で床面まで除菌液微細粒子が落ちる時間が長くなり、効率よく噴霧する事ができる。
また、低い位置の除菌液微細粒子層を維持する場合は、低い位置より噴霧する事により、高い位置から噴霧した除菌液微細粒子層を加圧空気圧で押し下げ除菌液微細粒子層を排気する調整をするよりも効率よく低い位置の除菌液微細粒子層を作る事ができる。
【符号の説明】
【0029】
10 除菌設備
20 除菌空間形成部材
22 天井部
24 側壁部
24a 入口用開口
24b 出口用開口
26 側壁部
28 側壁部
30 側壁部
40 除菌液噴霧ユニット
42 スプレーノズル
44 ヘッダー管
45 架台
46 除菌液源
48 高圧加圧ポンプ
49 制御回路
50 加圧除菌液供給装置
52 管路
60 加圧空気供給ユニット
62 圧送ファン
64 除菌室
66 ダクト
70 スペーサー敷物
L 除菌液微細粒子層
P 空気層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9