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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033850
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】テントとその設営方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/04 20060101AFI20240306BHJP
   E04H 15/34 20060101ALI20240306BHJP
   E04H 15/54 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E04H15/04
E04H15/34 Z
E04H15/54
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137725
(22)【出願日】2022-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】300042694
【氏名又は名称】株式会社 ホーペック
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】濱口 幸生
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA00
2E141AA01
2E141AA02
2E141BB01
2E141CC05
2E141FF01
2E141GG03
2E141GG08
2E141HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】災害避難所や作業小屋、倉庫などに使える大きさであっても、人手作業だけですばやく設営・解体できるテントを提供する。
【解決手段】展開状態での全体的な矩形をなす膜体Sと、その周縁部を地面GLに固定設置するためのアンカーAと、地面に据え立て固定された左右一対ずつ少なくとも2組のポール34L、34Rと、その各ポールの先端部と手元部へ何れも上下2段ずつ取り付けられた滑車37a、37c並びに手動式ウインチ38a、38cと、屋根12の棟になる上段の中央部P1から、上段の滑車37aを経て上段のウインチ38aまで巻き掛けられた第1ロープL1と、屋根の軒桁になる下段の左右両サイド部P3から、下段の滑車37cを経て下段のウインチ38cまで巻き掛けられた第2ロープL3とを備え、ウインチ38a、38cのすべてを一斉に手動操作して、第1、2ロープL1、L3を巻き取ることにより、膜体Sを吊り揚げ立体化した。
【選択図】図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面(GL)に展開された扁平な折りたたみ状態でのほぼ矩形な平面形状をなす膜体(S)と、
その折りたたみ状態にある膜体(S)の周縁部を地面(GL)に固定するためのアンカー(A)と、
上記膜体(S)の周辺部へ向かい合う左右一対ずつの少なくとも2組として、地面(GL)に据え立て固定されたポール(34L)(34R)と、
その各ポール(34L)(34R)の先端側へ少なくとも上下2段として軸支されたロープ移動案内用滑車(37a)(37b)(37c)と、
同じく各ポール(34L)(34R)の手元側へ少なくとも上下2段として軸支されたロープ巻取り用のオートロック機構付き手動式ウィンチ(38a)(38b)(38c)と、
上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げた時に屋根(12)の棟となる上段位置の中央部(P1)から、向かい合う左右一対ずつのポール(34L)(34R)における上段の滑車(37a)を経由して、上段のウィンチ(38a)まで巻き掛け配線された膜体吊持用の第1ロープ(L1)と、
同じく膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げた時に屋根(12)の母屋となる中段位置の左右両サイド部(P2)から、向かい合う左右一対ずつのポール(34L)(34R)における中段の滑車(37b)を経由して、中段のウィンチ(38b)まで巻き掛け配線された膜体吊持用の第2ロープ(L2)と、
上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げた時に屋根(12)の軒桁となる下段位置の左右両サイド部(P3)から、やはり向かい合う左右一対ずつのポール(34L)(34R)における下段の滑車(37c)を経由して、下段のウィンチ(38c)まで巻き掛け配線された膜体吊持用の第3ロープ(L3)とを備え、
上記ポール(34L)(34R)のウィンチ(38a)(38b)(38c)をすべて一斉に回動操作して、第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)を巻き取ることにより、上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げ立体化した張設状態に保つ一方、
その立体化した張設状態のロックを解くことにより、上記膜体(S)を地面(GL)へ吊り降ろして折りたたむことができるように定めたことを特徴とするテント。
【請求項2】
地面(GL)から吊り揚げ立体化した張設状態の膜体(S)が、小屋組の屋根(12)のみならず、その地面(GL)に固定された周縁部へ行く程下広がりとなるスカート状の前後両壁面(11F)(11R)と左右両サイド壁面(13L)(13R)をも備え、
その前後両壁面(11F)(11R)の何れか一方又は双方に出入り口(27)と、左右両サイド壁面(13L)(13R)の何れか一方又は双方に換気窓(26)若しくは採光窓を各々設置したことを特徴とする請求項1記載のテント。
【請求項3】
請求項1に記載された屋根(12)の母屋となる中段位置の左右両サイド部(P2)から中段の滑車(37b)を経由して、中段のウインチ(38b)まで巻き掛け配線される膜体吊持用の第2ロープ(L2)を省略し、
請求項1に記載の第1ロープ(L1)を、屋根(12)の棟となる上段位置の中央部(P1)から上段の滑車(37a)を経由して、上段のウインチ(38a)まで巻き掛け配線すると共に、
請求項1に記載の第3ロープ(L3)を第2ロープ(L3)として、屋根(12)の軒桁となる下段位置の左右両サイド部(P3)から下段の滑車(37c)を経由して、下段のウインチ(38c)まで巻き掛け配線して、
その膜体吊持用の第1、2ロープ(L1)(L3)を巻き取ることにより、地面(GL)から吊り揚げ立体化した張設状態にある膜体(S)の屋根(12)を、前後方向から見てほぼ二等辺三角形の小屋組に造形したことを特徴とする請求項1記載のテント。
【請求項4】
展開された扁平な折りたたみ状態での平面形状がほぼ矩形な膜体(S)を、地面(GL)から吊り揚げた時に前後両壁面(11F)(11R)になる前後一対の膜体(Sf)(Sr)と、同じく地面(GL)から吊り揚げた時に連続する屋根(12)と左右両サイド壁面(13L)(13R)になる少なくとも1つの中間膜体(Sm)とに分割形成して、
上記前後一対の膜体(Sf)(Sr)とその相互間に介在する中間膜体(Sm)との隣り合う同士並びに隣り合う中間膜体(Sm)同士を、左右方向に沿ってほぼ平行に延在するスライドファスナー(14)によって、各々着脱自在に接続一体化すると共に、
その膜体(S)のスライドファスナー(14)による接続部と対応位置する周辺部へ、向かい合う左右一対ずつのポール(34L)(34R)を据え立て固定したことを特徴とする請求項1又は3記載のテント。
【請求項5】
少なくとも1つの中間膜体(Sm)における地面(GL)から吊り揚げた時に、屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と母屋になる中段位置の左右両サイド部(P2)と軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計5個所か、又は同じく屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計3個所へ、
水抜き間隔(d)を保つ複数の骨材受け入れ用筒袋(15)を、前後方向に沿ってほぼ平行に各々配列配置して、
上記中間膜体(Sm)の骨材になる少なくとも1つのFRPパイプ(16)を、その筒袋(15)の内部へ抜き差し自在に差し込み貫通させたことを特徴とする請求項4記載のテント。
【請求項6】
少なくとも1つの中間膜体(Sm)における地面(GL)から吊り揚げた時に、屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と母屋になる中段位置の左右両サイド部(P2)と軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計5個所か、又は同じく屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計3個所へ、
その中間膜体(Sm)の骨材になる少なくとも1つのFRPパイプ(16)を前後方向に沿ってほぼ平行に各々配列設置し、
上記中間膜体(Sm)とその骨材のFRPパイプ(16)が1つである場合には、膜体吊持用となる第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部と連結すべき端部ハンガージョイント(Je)の一対を、そのFRPパイプ(16)の前端部と後端部へ各々抜き差し自在に差し込み固定する一方、
同じく中間膜体(Sm)とその骨材のFRPパイプ(16)が複数である場合には、膜体吊持用となる第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部と連結すべき端部ハンガージョイント(Je)の一対を、その前側FRPパイプ(16)の前端部と後側FRPパイプ(16)の後端部へ各々抜き差し自在に差し込み固定すると共に、
やはり膜体吊持用となる第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部と連結すべき中間ハンガージョイント(Jm)の所要数を、上記前側FRPパイプ(16)と後側FRPパイプ(16)との相互間に介在するFRPパイプ(16)同士の隣り合う継ぎ目部又は接続部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定したことを特徴とする請求項4記載のテント。
【請求項7】
前後一対の膜体(Sf)(Sr)における中間膜体(Sm)と接続される上端部を、各々補強帯(30)によって縁取り、
その上端部の縁取り補強帯(30)に向かって、同じく前後一対の膜体(Sf)(Sr)の下端部から各々複数ずつの保形補強帯(31)を配列設置すると共に、
その保形補強帯(31)が上記中間膜体(Sm)の骨材になるFRPパイプ(16)の前端部並びに後端部と対応する位置において上記縁取り補強帯(30)と交叉した上端部へ、各々複数ずつのハトメ(32)を点在分布状態に取り付けて、
前後一対の膜体(Sf)(Sr)に付属するハトメ(32)と、上記中間膜体(Sm)の骨材をなすFRPパイプ(16)又はそのFRPパイプ(16)の前端部と後端部に各々差し込み固定されている端部ハンガージョイント(Je)とを、紐やロープ、スリングベルト、その他の索条(33)によって締結したことを特徴とする請求項6記載のテント。
【請求項8】
膜体吊持用となる第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部と各々連結すべく、中間膜体(Sm)の骨材をなすFRPパイプ(16)の前端部と後端部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定される一対の端部ハンガージョイント(Je)を、
何れも一定長さのジョイント本体管(17)と、その本体管(17)の先端側に溶接された断面門字形のチャンネルマスト(18)と、そのマスト(18)へ起伏的な回動自在に枢着されたシャックル(19)とから形作って、
そのシャックル(19)へ上記第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部を各々締結するように定める一方、
上記FRPパイプ(16)へ各々差し込まれることとなるジョイント本体管(17)の基端側に出没ピン(24)を、そのFRPパイプ(16)の対応するピン受け入れ孔(25)と常時係止し得る突出方向へ弾圧付勢された状態に内蔵設置したことを特徴とする請求項6記載のテント。
【請求項9】
膜体吊持用となる第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部と各々連結すべく、中間膜体(Sm)の骨材をなすFRPパイプ(16)同士の隣り合う継ぎ目部又は接続部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定される所要数の中間ハンガージョイント(Jm)を、
何れも一定長さのジョイント本体管(17)と、その本体管(17)の中間部に溶接された断面門字形のチャンネルマスト(18)と、そのマスト(18)へ起伏的な回動自在に枢着されたシャックル(19)とから形作って、
そのシャックル(19)へ上記第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)又は第1、2ロープ(L1)(L3)の先端部を各々締結するように定める一方、
上記FRPパイプ(16)同士の隣り合う継ぎ目部又は接続部へ各々差し込まれることとなるジョイント本体管(17)の前後両端側に一対の出没ピン(24)を、何れもその隣り合うFRPパイプ(16)の対応するピン受け入れ孔(25)と常時係止し得る突出方向へ弾圧付勢された状態に内蔵設置したことを特徴とする請求項6記載のテント。
【請求項10】
アンカー(A)を型鋼材から枠組みされた剛性なベースフレーム(52)として、地面(GL)に埋設一体化する一方、
膜体(S)の周縁部に沿って多数のハトメ(10)を点在分布状態に取り付けて、
その膜体(S)のハトメ(10)を上記ベースフレーム(52)における地面(GL)から露出した水平な囲いレール(58)へ、紐やロープ、スリングベルト、その他の索条(60)によって締結したことを特徴とする請求項1記載のテント。
【請求項11】
地面(GL)に据え立てる各ポール(34L)(34R)を撓み変形可能なFRPパイプとして、その上端部へ行く程太さが段階的に細くなる少なくとも上下2段のポール(34La)(34Ra)(34Lb)(34Rb)(34Lc)(34Rc)から、抜き差し自在に差し込み一本化すると共に、
少なくとも上下2段の滑車(37a)(37b)(37c)を上記少なくとも上下2段のポール(34La)(34Ra)(34Lb)(34Rb)(34Lc)(34Rc)へ各別に設置する一方、
少なくとも上下2段の手動式ウインチ(38a)(38b)(38c)を最下段のポール(34Lc)(34Rc)へ集中的に設置したことを特徴とする請求項1記載のテント。
【請求項12】
膜体(S)を地面(GL)へ展開した扁平な折りたたみ状態でのほぼ矩形な平面形状として、その周縁部を地面(GL)へ浮上しない固定状態に設置する一方、
先端側にロープ移動案内用滑車(37a)(37b)(37c)と手元側にロープ巻取り用のオートロック機構付き手動式ウインチ(38a)(38b)(38c)とが、各々少なくとも同じ上下2段ずつとして軸支されたポール(34L)(34R)の左右一対ずつ少なくとも2組を、上記地面(GL)における膜体(S)の周辺部へ据え立て固定して、
上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げた時に屋根(12)の棟となる上段位置の中央部(P1)から、向かい合う左右一対ずつの上記ポール(34L)(34R)における上段の滑車(37a)を経由して、上段のウインチ(38a)まで膜体吊持用の第1ロープ(L1)を巻き掛け配線し、
同じく膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げた時に屋根(12)の母屋となる中段位置の左右両サイド部(P2)から、向かい合う左右一対ずつのポール(34L)(34R)における中段の滑車(37b)を経由して、中段のウィンチ(38b)まで膜体吊持用の第2ロープ(L2)を巻き掛け配線すると共に、
上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げた時に屋根(12)の軒桁となる下段位置の左右両サイド部(P3)から、やはり向かい合う左右一対ずつの上記ポール(34L)(34R)における下段の滑車(37c)を経由して、下段のウインチ(38c)まで膜体吊持用の第3ロープ(L3)を巻き掛け配線して、
上記ポール(34L)(34R)のウインチ(38a)(38b)(38c)をすべて一斉に回動操作して、第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)を巻き取ることにより、上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げ立体化した張設状態に保つことを特徴とするテントの設営方法。
【請求項13】
請求項12に記載された屋根(12)の母屋となる中段位置の左右両サイド部(P2)から中段の滑車(37b)を経由して、中段のウインチ(38b)まで巻き掛け配線する膜体吊持用の第2ロープ(L2)を省略し、
請求項12に記載の第1ロープ(L1)を、屋根(12)の棟となる上段位置の中央部(P1)から上段の滑車(37a)を経由して、上段のウインチ(38a)まで巻き掛け配線すると共に、
請求項12に記載の第3ロープ(L3)を第2ロープ(L3)として、屋根(12)の軒桁となる下段位置の左右両サイド部(P3)から下段の滑車(37c)を経由して、下段のウインチ(38c)まで巻き掛け配線して、
上記ポール(34L)(34R)のウィンチ(38a)(38c)をすべて一斉に回動操作して、第1、2ロープ(L1)(L3)を巻き取ることにより、上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げ立体化した張設状態に保つことを特徴とする請求項12記載のテントの設営方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に災害時の避難所、現場作業するための仮設小屋や仮設宿舎、建設資材の置き場、倉庫などにふさわしく有用な大きさのテントと、その簡便にすばやく行える設営方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天幕とその支柱が人手の届かない3m程度の地上高さになる大きさのテントとして、その天幕の周辺コーナー部に支柱を立設すると共に、その支柱の上部にロープ支持部(滑車)と下部にロープの張力調整部(ラチェット付きのウインチ)とを設置して、その張力調整部で地面からロープを巻き取ることにより、天幕を吊り揚げる設営方法が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-179107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されたテントとその設営方法の構成では、クレーン車などの重機を使用したり、作業足場を設置したりする必要がなく、地面から人手によりロープを巻き取り操作して、天幕を簡単に吊り揚げ設営できる利便性があるとしても、そのテントは天井になる天幕だけを具備するにとどまり、その内部を包囲する壁面がないため、1~2日間程度の屋外キャンプやイベントなどの日除け(タープ)に使う仮設テントであればともかく、例えば住民の災害避難所や現場作業用の小屋・宿舎、建設資材の置き場、簡易娯楽施設、倉庫などにふさわしい大きさとして、短くとも1ヶ月程度使用することができない。風雨に耐えず、安全性にも劣るからである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題に鑑み、短くとも1ヶ月程度は使用できる中・大型テントの提供を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では地面に展開された扁平な折りたたみ状態でのほぼ矩形な平面形状をなす膜体と、
【0006】
その折りたたみ状態にある膜体の周縁部を地面に固定するためのアンカーと、
【0007】
上記膜体の周辺部へ向かい合う左右一対ずつの少なくとも2組として、地面に据え立て固定されたポールと、
【0008】
その各ポールの先端側へ少なくとも上下2段として軸支されたロープ移動案内用滑車と、
【0009】
同じく各ポールの手元側へ少なくとも上下2段として軸支されたロープ巻取り用のオートロック機構付き手動式ウィンチと、
【0010】
上記膜体を地面から吊り揚げた時に屋根の棟となる上段位置の中央部から、向かい合う左右一対ずつのポールにおける上段の滑車を経由して、上段のウィンチまで巻き掛け配線された膜体吊持用の第1ロープと、
【0011】
同じく膜体を地面から吊り揚げた時に屋根の母屋となる中段位置の左右両サイド部から、向かい合う左右一対ずつのポールにおける中段の滑車を経由して、中段のウィンチまで巻き掛け配線された膜体吊持用の第2ロープと、
【0012】
上記膜体を地面から吊り揚げた時に屋根の軒桁となる下段位置の左右両サイド部から、やはり向かい合う左右一対ずつのポールにおける下段の滑車を経由して、下段のウィンチまで巻き掛け配線された膜体吊持用の第3ロープとを備え、
【0013】
上記ポールのウィンチをすべて一斉に回動操作して、第1~3ロープを巻き取ることにより、上記膜体を地面から吊り揚げ立体化した張設状態に保つ一方、
【0014】
その立体化した張設状態のロックを解くことにより、上記膜体を地面へ吊り降ろして折りたたむことができるように定めたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2では地面から吊り揚げ立体化した張設状態の膜体が、小屋組の屋根のみならず、その地面に固定された周縁部へ行く程下広がりとなるスカート状の前後両壁面と左右両サイド壁面をも備え、
【0016】
その前後両壁面の何れか一方又は双方に出入り口と、左右両サイド壁面の何れか一方又は双方に換気窓若しくは採光窓を各々設置したことを特徴とする。
【0017】
請求項3では請求項1に記載された屋根の母屋となる中段位置の左右両サイド部から中段の滑車を経由して、中段のウインチまで巻き掛け配線される膜体吊持用の第2ロープを省略し、
【0018】
請求項1に記載の第1ロープを、屋根の棟となる上段位置の中央部から上段の滑車を経由して、上段のウインチまで巻き掛け配線すると共に、
【0019】
請求項1に記載の第3ロープを第2ロープとして、屋根の軒桁となる下段位置の左右両サイド部から下段の滑車を経由して、下段のウインチまで巻き掛け配線して、
【0020】
その膜体吊持用の第1、2ロープを巻き取ることにより、地面から吊り揚げ立体化した張設状態にある膜体の屋根を、前後方向から見てほぼ二等辺三角形の小屋組に造形したことを特徴とする。
【0021】
請求項4では展開された扁平な折りたたみ状態での平面形状がほぼ矩形な膜体を、地面から吊り揚げた時に前後両壁面になる前後一対の膜体と、同じく地面から吊り揚げた時に連続する屋根と左右両サイド壁面になる少なくとも1つの中間膜体とに分割形成して、
【0022】
上記前後一対の膜体とその相互間に介在する中間膜体との隣り合う同士並びに隣り合う中間膜体同士を、左右方向に沿ってほぼ平行に延在するスライドファスナーによって、各々着脱自在に接続一体化すると共に、
【0023】
その膜体のスライドファスナーによる接続部と対応位置する周辺部へ、向かい合う左右一対ずつのポールを据え立て固定したことを特徴とする。
【0024】
請求項5では少なくとも1つの中間膜体における地面から吊り揚げた時に、屋根の棟になる上段位置の中央部と母屋になる中段位置の左右両サイド部と軒桁になる下段位置の左右両サイド部との合計5個所か、又は同じく屋根の棟になる上段位置の中央部と軒桁になる下段位置の左右両サイド部との合計3個所へ、
【0025】
水抜き間隔を保つ複数の骨材受け入れ用筒袋を、前後方向に沿ってほぼ平行に各々配列配置して、
【0026】
上記中間膜体の骨材になる少なくとも1つのFRPパイプを、その筒袋の内部へ抜き差し自在に差し込み貫通させたことを特徴とする。
【0027】
請求項6では少なくとも1つの中間膜体における地面から吊り揚げた時に、屋根の棟になる上段位置の中央部と母屋になる中段位置の左右両サイド部と軒桁になる下段位置の左右両サイド部との合計5個所か、又は同じく屋根の棟になる上段位置の中央部と軒桁になる下段位置の左右両サイド部との合計3個所へ、
【0028】
その中間膜体の骨材になる少なくとも1つのFRPパイプを前後方向に沿ってほぼ平行に各々配列設置し、
【0029】
上記中間膜体とその骨材のFRPパイプが1つである場合には、膜体吊持用となる第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部と連結すべき端部ハンガージョイントの一対を、そのFRPパイプの前端部と後端部へ各々抜き差し自在に差し込み固定する一方、
【0030】
同じく中間膜体とその骨材のFRPパイプが複数である場合には、膜体吊持用となる第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部と連結すべき端部ハンガージョイントの一対を、その前側FRPパイプの前端部と後側FRPパイプの後端部へ各々抜き差し自在に差し込み固定すると共に、
【0031】
やはり膜体吊持用となる第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部と連結すべき中間ハンガージョイントの所要数を、上記前側FRPパイプと後側FRPパイプとの相互間に介在するFRPパイプ同士の隣り合う継ぎ目部又は接続部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定したことを特徴とする。
【0032】
請求項7では前後一対の膜体における中間膜体と接続される上端部を、各々補強帯によって縁取り、
【0033】
その上端部の縁取り補強帯に向かって、同じく前後一対の膜体の下端部から各々複数ずつの保形補強帯を配列設置すると共に、
【0034】
その保形補強帯が上記中間膜体の骨材になるFRPパイプの前端部並びに後端部と対応する位置において上記縁取り補強帯と交叉した上端部へ、各々複数ずつのハトメを点在分布状態に取り付けて、
【0035】
前後一対の膜体に付属するハトメと、上記中間膜体の骨材をなすFRPパイプ又はそのFRPパイプの前端部と後端部に各々差し込み固定されている端部ハンガージョイントとを、紐やロープ、スリングベルト、その他の索条によって締結したことを特徴とする。
【0036】
請求項8では膜体吊持用となる第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部と各々連結すべく、中間膜体の骨材をなすFRPパイプの前端部と後端部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定される一対の端部ハンガージョイントを、
【0037】
何れも一定長さのジョイント本体管と、その本体管の先端側に溶接された断面門字形のチャンネルマストと、そのマストへ起伏的な回動自在に枢着されたシャックルとから形作って、
【0038】
そのシャックルへ上記第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部を各々締結するように定める一方、
【0039】
上記FRPパイプへ各々差し込まれることとなるジョイント本体管の基端側に出没ピンを、そのFRPパイプの対応するピン受け入れ孔と常時係止し得る突出方向へ弾圧付勢された状態に内蔵設置したことを特徴とする。
【0040】
請求項9では膜体吊持用となる第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部と各々連結すべく、中間膜体の骨材をなすFRPパイプ同士の隣り合う継ぎ目部又は接続部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定される所要数の中間ハンガージョイントを、
【0041】
何れも一定長さのジョイント本体管と、その本体管の中間部に溶接された断面門字形のチャンネルマストと、そのマストへ起伏的な回動自在に枢着されたシャックルとから形作って、
【0042】
そのシャックルへ上記第1~3ロープ又は第1、2ロープの先端部を各々締結するように定める一方、
【0043】
上記FRPパイプ同士の隣り合う継ぎ目部又は接続部へ各々差し込まれることとなるジョイント本体管の前後両端側に一対の出没ピンを、何れもその隣り合うFRPパイプの対応するピン受け入れ孔と常時係止し得る突出方向へ弾圧付勢された状態に内蔵設置したことを特徴とする。
【0044】
請求項10ではアンカーを型鋼材から枠組みされた剛性なベースフレームとして、地面に埋設一体化する一方、
【0045】
膜体の周縁部に沿って多数のハトメを点在分布状態に取り付けて、
【0046】
その膜体のハトメを上記ベースフレームにおける地面から露出した水平な囲いレールへ、紐やロープ、スリングベルト、その他の索条によって締結したことを特徴とする。
【0047】
請求項11では地面に据え立てる各ポールを撓み変形可能なFRPパイプとして、その上端部へ行く程太さが段階的に細くなる少なくとも上下2段のポールから、抜き差し自在に差し込み一本化すると共に、
【0048】
少なくとも上下2段の滑車を上記少なくとも上下2段のポールへ各別に設置する一方、
【0049】
少なくとも上下2段の手動式ウインチを最下段のポールへ集中的に設置したことを特徴とする。
【0050】
請求項12では膜体を地面へ展開した扁平な折りたたみ状態でのほぼ矩形な平面形状として、その周縁部を地面へ浮上しない固定状態に設置する一方、
【0051】
先端側にロープ移動案内用滑車と手元側にロープ巻取り用のオートロック機構付き手動式ウインチとが、各々少なくとも同じ上下2段ずつとして軸支されたポールの左右一対ずつ少なくとも2組を、上記地面における膜体の周辺部へ据え立て固定して、
【0052】
上記膜体を地面から吊り揚げた時に屋根の棟となる上段位置の中央部から、向かい合う左右一対ずつの上記ポールにおける上段の滑車を経由して、上段のウインチまで膜体吊持用の第1ロープを巻き掛け配線し、、
【0053】
同じく膜体を地面から吊り揚げた時に屋根の母屋となる中段位置の左右両サイド部から、向かい合う左右一対ずつのポールにおける中段の滑車を経由して、中段のウィンチまで膜体吊持用の第2ロープを巻き掛け配線すると共に、
【0054】
上記膜体を地面から吊り揚げた時に屋根の軒桁となる下段位置の左右両サイド部から、やはり向かい合う左右一対ずつの上記ポールにおける下段の滑車を経由して、下段のウインチまで膜体吊持用の第3ロープを巻き掛け配線して、
【0055】
上記ポールのウインチをすべて一斉に回動操作して、第1~3ロープを巻き取ることにより、上記膜体を地面から吊り揚げ立体化した張設状態に保つことを特徴とする。
【0056】
更に、請求項13では請求項12に記載された屋根の母屋となる中段位置の左右両サイド部から中段の滑車を経由して、中段のウインチまで巻き掛け配線する膜体吊持用の第2ロープを省略し、
【0057】
請求項12に記載の第1ロープを、屋根の棟となる上段位置の中央部から上段の滑車を経由して、上段のウインチまで巻き掛け配線すると共に、
【0058】
請求項12に記載の第3ロープを第2ロープとして、屋根の軒桁となる下段位置の左右両サイド部から下段の滑車を経由して、下段のウインチまで巻き掛け配線して、
【0059】
上記ポールのウィンチをすべて一斉に回動操作して、第1、2ロープを巻き取ることにより、上記膜体を地面から吊り揚げ立体化した張設状態に保つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0060】
請求項1の上記構成によれば、扁平な折りたたみ状態でのほぼ矩形な平面形状の周縁部を地面に固定された膜体(テント生地)が、屋根の棟になる上段位置の中央部と母屋になる中段位置の左右両サイド部と軒桁になる下段位置の左右両サイド部との合計5個所において、各々第1~3ロープにより地面から吊り揚げ立体化されているため、災害時の避難所や現場作業用の小屋・仮設宿舎、倉庫、簡易娯楽施設などとして使える中・大型テントを得られるのである。
【0061】
しかも、そのテントの張力は手動式ウィンチの回動操作程度によって調整することができると共に、そのテントの全重量が上記5個所を吊持する第1~3ロープと、左右一対ずつ少なくとも2組のポールに分散して受担されるため、風圧に耐える屋根の安定な保形状態を維持することができる。
【0062】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、出入り口や換気窓又は採光窓の設置により、上記避難所や仮設宿舎などとしての使用を行いやすく、またテントの使用中において前後方向や左右方向(横方向)から突風(強風)を受けることがあっても、これをそのスカート状の傾斜面に沿って、自ずと上方へ受け流すことができる効果もある。
【0063】
請求項3の構成を採用するならば、請求項1の構成に比し、その膜体の吊り揚げ個所が合計3個所となり、膜体吊持用ロープが上下2段の第1、2ロープとなるに過ぎず、その他の構成は請求項1と同一であるため、その請求項1と同じ上記効果を期待することができる。
【0064】
特に、請求項4の構成を採用するならば、上記膜体が前後一対の膜体とその前後相互間に介在する少なくとも1つの中間膜体に分割形成されていると共に、その隣り合う膜体同士がスライドファスナーを介して着脱自在に接続一体化されるようになっているため、上記中間膜体の使用個数によってテントの大きさを大小調整することができるばかりでなく、その接続状態を解くことにより、テントの構成部材を軽量に持ち運びしたり、小型コンパクトに保管したりすることもでき、取扱い上の利便性に著しく優れる。
【0065】
また、請求項5の構成を採用するならば、複数の骨材受け入れ用筒袋が上記中間膜体の前後方向に沿って、ほぼ平行に配列設置されており、その各列の筒袋内に骨材となるFRPパイプが差し込み貫通されているため、そのFRPパイプによって上記中間膜体に屋根となる小屋組の骨格を形成することができ、その小屋組における保形状態の安定性と耐久強度がますます向上する。
【0066】
しかも、上記骨材のFRPパイプはその筒袋から抜き取ることもできるようになっているため、その中間膜体が前後一対の膜体と分割されていることとも相俟って、テントを地面に吊り降ろした後の折りたたみ扁平化やその構成部材の分解などを便利良く行える効果がある。
【0067】
請求項6の構成を採用するならば、上記中間膜体の骨材となるFRPパイプの配列設置によって、その屋根となる小屋組の骨格を形成しつつも、そのFRPパイプへ差し込み固定した端部ハンガージョイントや中間ハンガージョイントにより、上記第1~3ロープにおける先端部との連結を確実に安定良く行え、その第1~3ロープによる吊り揚げと吊り降ろしの円滑化に役立つ。
【0068】
その場合、特に中間ハンガージョイントは第1~3ロープとの連結に資するばかりでなく、上記中間膜体に配列設置されている前側FRPパイプと後側FRPパイプとの相互間に介在するFRPパイプの隣り合う同士を接続する(継ぎ足す)ことにも役立つのである。
【0069】
請求項7の構成を採用するならば、前後一対の膜体に中間膜体のような骨材となるFRPパイプが設置されていなくても、その中間膜体に配列されたFRPパイプの端部又はそのFRPパイプに差し込み固定された端部ハンガージョイントと、前後一対の膜体の上端部へ点在分布状態に対応設置されたハトメとを、ロープや紐、その他の索条で連結することにより、屋根を形成する中間膜体と一緒に、その前後一対の膜体も円滑に安定良く吊り揚げ又は吊り降ろすことができる。
【0070】
また、請求項8や請求項9の構成を採用するならば、端部ハンガージョイントと中間ハンガージョイントとの何れにあっても、そのシャックルに上記第1~3ロープの先端部を締結するようになっているため、そのロープの摩耗を効果的に防止することができ、耐用性の向上に役立つ。
【0071】
しかも、ジョイント本体管を上記骨材のFRPパイプへ差し込みさえすれば、出没ピンがそのFRPパイプの対応するピン受け入れ孔へ自ずと係止して、確実な抜け止め状態に保たれるため、組立作業を便利良く行える。
【0072】
請求項10の構成を採用するならば、上記扁平な折りたたみ状態でのほぼ矩形な膜体の周縁部を、アンカーとなるベースフレームの囲いレールへロープや紐などの索条で締結することにより、吊り揚げ時や使用中に地面から浮上しない固定状態に保つことができるほか、地面へ吊り降ろした折りたたみ状態の膜体が突風(強風)を受けて飛散してしまうおそれも、上記ベースフレームの囲いレールへ締結する同じ索条を利用して防止できる効果がある。
【0073】
更に、請求項11の構成を採用するならば、膜体(テント生地)に受ける風圧をそのFRPパイプから成るポールの弾性変形作用によって、自ずと効果的に逃がすことができ、倒壊するおそれはない。
【0074】
しかも、上記ポールは少なくとも上下2段として抜き差し自在に差し込み一本化されており、同じく少なくとも上下2段の滑車が各ポールへ別個に設置されているため、テントの荷重を各ポールに分担させることができる一方、少なくとも上下2段の手動式ウィンチは一括して最下段のポールへ集中的に設置することにより、1人の作業者が地面からすべて容易に操作できるのである。
【0075】
他方、請求項12や請求項13の設営方法によれば、地面に据え立て固定したポールの本数と少なくとも同じ人数の作業者が、オートロック機構付きの手動式ウィンチを一斉に回動操作して、第1~3ロープや第1、2ロープを巻き取り(引っ張り)又は繰り出す(緩める)ことにより、膜体(テント生地)を地面から吊り揚げ又は地面へ吊り降ろすようになっているため、その膜体から張設されるテントが災害時の避難所や作業小屋・仮設宿舎、建設資材の置き場、倉庫、簡易娯楽施設、その他の中・大型であっても、短時間での能率良く設営又は解体することができ、天候の急変や台風などに対応しやすい。
【0076】
その場合、上記膜体の張力はウィンチによるロープの巻き取り度合いに応じて調整することができ、そのウィンチがオートロック機構を具備していることも、すばやい設営に役立つ。クレーン車などの重機を使用せず、言わば人手作業のみによって設営する方法であるため、設営場所の制約などを受けない効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の第1実施形態に係るテントの設営状態を示す全体概略斜面図である。
図2図1の模式化した正面図である。
図3図1の平面図である。
図4図3の側面図である。
図5】テントの膜体(テント生地)を分解して示す平面図である。
図6図3の6-6線に沿う一部を切り欠いた拡大断面図である。
図7】中間ハンガージョイントを抽出して示す斜面図である。
図8図6の8-8線に沿う拡大断面図である。
図9】端部ハンガージョイントを抽出して示す斜面図である。
図10図3の10-10線に沿う部分拡大断面図である。
図11】3本継ぎポールを示す拡大正面図である。
図12】ポールに対する滑車の取付状態を示す正面図である。
図13図12の13-13線断面図である。
図14】同じくポールに対するウィンチの取付状態を示す正面図である。
図15図14の15-15線断面図である。
図16】地面に対する膜体の設置アンカーとなるベースフレームの枠組み状態を示す平面図である。
図17図16の17-17線に沿う部分拡大断面図である。
図18】上記ベースフレームの囲いレールに対する膜体の巻き付け締結状態を示す部分拡大正面図である。
図19図18の19-19線に沿う拡大断面図である。
図20】上記ベースフレームの枠内に対する膜体の展開した敷設準備状態を模式化して示す全体概略斜面図である。
図21図20の正面図である。
図22図21の準備状態から膜体を吊り揚げる途中の正面図である。
図23図22に引き続き膜体を吊り揚げ完了した張設状態の正面図である。
図24】突風によるテントの変形作用を説明するための正面図である。
図25】本発明の第2実施形態を示す図2に対応する正面図である。
図26図25の平面図であって、図3と対応する。
図27】本発明の第3実施形態を示す図1に対応する全体概略斜面図である。
図28図27の正面図であって、図2図25と対応する。
図29図28の平面図であって、図3図26と対応する。
図30】コーナー部ハンガージョイントを抽出して示す斜面図である。
図31図29の一部を抽出して示す拡大平面図である。
図32図27の一部を抽出して示す拡大斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。図1~4は本発明の第1実施形態に係るテント(T)を示しており、(S)はそのテント(T)の膜体(テント生地)であって、布地やビニールシート、帆布、その他の適当なシート素材から、地面(GL)に展開された扁平な折りたたみ状態での全体的なほぼ矩形の平面形状に作成されている。
【0079】
(10)はその膜体(S)の周縁部に沿って点在分布状態に取り付けられた多数のハトメであり、地面(GL)へ膜体(S)を浮上しないよう固定設置するために、後述の紐やロープ、スリングベルト、その他の索条によってアンカー(A)へ締結される。
【0080】
上記テント(T)の膜体(S)としてはその全体の一枚物であっても勿論良いが、図示の実施形態では目標とするテント(T)の大きさが左右横幅(上記矩形の長辺)(X):約10m、前後長さ(奥行)(同じく矩形の短辺)(Y):約7.4m、地上高さ(Z):約3mとして寸法化されている関係上、その設営現場への運搬や設営作業上の取り扱いなどを容易化するために、上記膜体(S)を図5に示すように分割形成している。
【0081】
つまり、膜体(S)を地面(GL)から後述するように吊り揚げ立体化した時、テント(T)の前後両壁面(11F)(11R)になる前後一対の膜体(Sf)(Sr)と、連続する屋根(12)と左右両サイド壁面(13L)(13R)になる少なくとも1つ(図例では2つ)の中間膜体(Sm)に分割形成しており、その前側膜体(Sf)と後側膜体(Sr)との相互間に介在する中間膜体(Sm)の使用個数によって、テント(T)の上記前後長さ(奥行)(Y)を長く(増加)又は短く(減少)調整することができるようになっている。
【0082】
因みに、図5に示した前後一対の膜体(Sf)(Sr)は互いに実質上同一であり、2つ(複数)の中間膜体(Sm)もすべて実質上同一であって、その各中間膜体(Sm)の前後長さ(奥行)が約2.5mに寸法化されているため、これを言わば単位長さ(奥行)(W)として、テント(T)を前後方向への長いトンネル状に増設可能である。
【0083】
(14)は上記前後一対の膜体(Sf)(Sr)と中間膜体(Sm)との隣り合う同士並びにその隣り合う中間膜体(Sm)同士を各々着脱自在に接続一体化する複数列のスライドファスナーであり、図例ではその合計3列が左右方向に沿ってほぼ平行に延在する。そのため、上記テント(T)は屋根(12)のみならず、その周囲に連続する左右両サイド壁面(13L)(13R)と前後両壁面(11F)(11R)も具備することになる。
【0084】
詳細は図示省略するが、各スライドファスナー(14)の互いに噛合する一対のエレメント(務歯)が上記膜体(Sf)(Sr)(Sm)同士の隣り合う一方と他方に各々縫製されており、その操作摘まみ(スライダー)によって着脱することができるようになっているのである。尚、そのスライドファスナー(14)の縫製部はポリウレタン樹脂やポリ塩化ビニール樹脂などのコーティング又はラミネートによって防水されている。
【0085】
また、膜体(S)を地面(GL)から後述のように吊り揚げ立体化した時、テント(T)における屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と、母屋になる中段位置の左右両サイド部(P2)と、軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計5個所には、何れも水抜き間隔(d)を保って整然と言わば点在分布する複数の骨材受け入れ用筒袋(15)が、その膜体(S)の表面(上面)に対する熱融着や縫製などにより、上記スライドファスナー(14)と直交する前後方向に沿ってほぼ平行に配列設置されている。
【0086】
その場合にも上記膜体(S)としては全体の一枚物であって良いが、図示の実施形態では図5から明白なように、予め分割形成された上記前後一対の膜体(Sf)(Sr)とその相互間に介在する少なくとも1つ(図例では2つ)の中間膜体(Sm)のうち、テント(T)の屋根(12)を小屋組に形作る中間膜体(Sm)だけについて、その上中下の3段になる高さ位置の上記中央部(P1)と左右両サイド部(P2)(P3)との合計5個所へ、骨材受け入れ用となる断面Ω形筒袋(15)の複数ずつ(図例では4つずつ)を配列設置している。
【0087】
そして、上記テント(T)の屋根(12)を形成する中間膜体(Sm)の中央部(P1)と左右両サイド部(P2)(P3)との合計5個所に各々配列設置された複数ずつの筒袋(15)内には、その中間膜体(Sm)の骨材となるFRPパイプ(16)が各々前後方向に沿って抜き差し自在に差し込み貫通されている。FRPパイプ(16)はその文字通り、ガラス繊維やカーボン繊維、その他の繊維強化樹脂パイプであって、中間膜体(Sm)の上記前後長さ(奥行)(W)(先に例示した約2.5m)と同じ一定の長さを有している。
【0088】
図示実施形態の場合、上記中間膜体(Sm)が図5のように2つ(前後一対)あり、その隣り合う中間膜体(Sm)同士を上記スライドファスナー(14)によって接続した状態のもとでは、その両中間膜体(Sm)における上記中央部(P1)と左右両サイド部(P2)(P3)の筒袋(15)に各々通し込まれたFRPパイプ(16)同士が対応合致する位置関係として、前後方向への一直線に整然と並ぶことになる。
【0089】
(Jm)はその2つ(複数)の中間膜体(Sm)における隣り合うFRPパイプ(16)同士を連結一本化する(継ぎ足す)ための中間ハンガージョイント、(Je)は各FRPパイプ(16)の端部ハンガージョイントであって、その何れのハンガージョイント(Jm)(Je)も後述する膜体吊持用第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)の先端部と連結される。
【0090】
上記中間ハンガージョイント(Jm)は図6~8に示す如く、好ましくはステンレス鋼管から成る一定長さのジョイント本体管(17)と、その本体管(17)の中間部に溶接された断面門字形のチャンネルマスト(18)と、そのマスト(18)へ跨る状態として起伏的な回動自在に枢着されたシャックル(19)とを備え、そのジョイント本体管(17)の前後両端側が上記中間膜体(Sm)におけるFRPパイプ(16)同士の隣り合う前後相互間(継ぎ目部/接続部)へ、抜き差し自在に差し込み固定されると共に、そのシャックル(19)に第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)の先端部が縛り付け状態に締結されるようになっている。(20)はシャックル(19)の枢支ボルト(ウィットねじ)である。
【0091】
つまり、上記FRPパイプ(16)へ差し込まれるジョイント本体管(17)の前後両端側にはブッシュ(21)が図6のように、望ましくはロールピン(22)を介して回動不能に嵌め込み固定されている。(23)はそのブッシュ(21)に内蔵された圧縮コイルバネであり、これによる背圧を付与された出没ピン(24)が、そのジョイント本体管(17)の円周面から常時突出して、FRPパイプ(16)の円周面に対応形成されているピン受け入れ孔(25)へ、安定良く係止する付勢状態(抜け止め状態)に保たれている。
【0092】
上記端部ハンガージョイント(Je)は図9に示す如く、中間ハンガージョイント(Jm)よりも短い一定長さのジョイント本体管(17)を備え、その先端(一端)側にチャンネルマスト(18)を介してシャックル(19)が枢着されている一方、基端(他端)側に出没ピン(24)を備えたブッシュ(21)が嵌め込み一体化されており、そのブッシュ(21)も含むその他の構成は上記中間ハンガージョイント(Jm)と同一であるため、その中間ハンガージョイント(Jm)と同一の図示符号を記入するにとどめる。
【0093】
このような構成を備えた互いに同じ端部ハンガージョイント(Je)の一対は、図5、6のように前後対称の状態として、そのジョイント本体管(17)の基端側が上記中間膜体(Sm)における前側FRPパイプ(16)の前端部と後側FRPパイプ(16)の後端部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定されると共に、そのジョイント本体管(17)の先端側にあるシャックル(19)に、やはり第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)の先端部が締結されるようになっている。
【0094】
上記中間ハンガージョイント(Jm)と端部ハンガージョイント(Je)との何れにあっても、そのジョイント本体管(17)に内蔵設置されている出没ピン(24)を、圧縮コイルバネ(23)の弾圧付勢力に抗して、ジョイント本体管(17)の内部へ押し込み沈没させることにより、上記FRPパイプ(16)との抜け止め状態を解き、引き抜くことができる。
【0095】
尚、テント(T)の屋根(12)を形成する中間膜体(Sm)が1つである場合には、その骨材となるFRPパイプ(16)の隣り合う同士を連結する必要がないので、その1つのFRPパイプ(16)の前後両端部へ一対の上記端部ハンガージョイント(Je)を、その前後対称となる状態に差し込み固定使用すれば足り、上記中間ハンガージョイント(Jm)の設置を省略することができる。
【0096】
上記膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げ立体化した時、その少なくとも1つの中間膜体(Sm)における屋根(12)の軒桁となる左右両サイド部(P3)から地面(GL)までの下側は、テント(T)の左右両サイド壁面(13L)(13R)となり、後述するように地面(GL)へ固定されることにより、下広がりスカート状の傾斜壁面として、強風を斜め上方へ滑らかに受け流し、風圧を逃すことができるようになっている。(26)はこのようなテント(T)の左右両サイド壁面(13L)(13R)となる中間膜体(Sm)に設置された換気窓又は採光窓を示している。
【0097】
また、同じく膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げ立体化した時に、テント(T)の前後両壁面(11F)(11R)となる前後一対の膜体(Sf)(Sr)も、その下端部が地面(GL)に固定されることによって、下広がりスカート状の傾斜壁面をなすように設定されている。その前後一対の膜体(Sf)(Sr)には出入り口(27)が設置されている。(28)はその出入り口(27)のカバーであり、スライドファスナー(29)によって開閉されるようになっている。
【0098】
尚、図示の実施形態では上記換気窓又は採光窓(26)を左右両サイド壁面(13L)(13R)に設置し、上記出入り口(27)を前後両壁面(11F)(11R)に設置しているが、その換気窓又は採光窓(26)を左右何れか一方のサイド壁面に、また出入り口(27)を前後何れか一方の壁面に各々設置してもさしつかえない。
【0099】
上記前後一対の膜体(Sf)(Sr)は中間膜体(Sm)と別個なものとして、その隣り合う中間膜体(Sm)とスライドファスナー(14)により接続一体化されるが、その中間膜体(Sm)のような骨材となる上記FRPパイプ(16)を具備していないため、これによって形成される前後両壁面(11F)(11R)の吊持強度や吊持状態の安定性などに劣り、その前後両壁面(11F)(11R)の不正変形を生じやすい。
【0100】
たとえ、下広がりスカート状に傾斜する前後両壁面(11F)(11R)として、強風を斜め上方へ滑らかに受け流し、風圧を逃すことができるとしても、その前後一対の膜体(Sf)(Sr)の荷重が中間膜体(Sm)との接続部をなすスライドファスナー(14)や中間膜体(Sm)の骨材受け入れ用筒袋(15)などに集中してしまい、その荷重を骨材であるFRPパイプ(16)やその端部ハンガージョイント(Je)、これに締結された第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)に直接受担させることができない。
【0101】
(30)はその対策として、前後一対の膜体(Sf)(Sr)における中間膜体(Sm)との接続部(前後両壁面の上端部)を縁取る如く、そのスライドファスナー(14)のエレメント(務歯)と並列する左右方向への延在状態に各々縫製又は熱融着された縁取り補強帯、(31)は前後一対の膜体(Sf)(Sr)の周縁部(前後両壁面の下端部)から上端部の上記縁取り補強帯(30)に向かう配列として、その両膜体(Sf)(Sr)に各々縫製又は熱融着された複数ずつの保形補強帯であり、皺寄りなどの不正変形を防止する。
【0102】
しかも、その複数ずつ配列された保形補強帯(31)の上端部は図1、3、5に示唆する如く、上記中間膜体(Sm)の骨材をなすFRPパイプ(16)へ前後対称の状態として各々差し込み固定されている端部ハンガージョイント(Je)と対応する位置において、上記縁取り補強帯(30)と交叉されている。
【0103】
その場合、上記FRPパイプ(16)は図1~3のように、中間膜体(Sm)における屋根(12)の棟になる中央部(P1)と母屋になる左右両サイド部(P2)と軒桁になる左右両サイド部(P3)との合計5個所を、前後方向に沿って延在しているため、上記縁取り補強帯(30)と交叉する保形補強帯(31)の上端部が、前後一対の膜体(Sf)(Sr)に5個所ずつ存在することになっている。
【0104】
(32)はこのような5個所ずつ存在する保形補強帯(31)の折り返し重合された上端部へ、点在分布状態に取り付けられたハトメであり、その前後一対の膜体(Sf)(Sr)に付属設置されたハトメ(32)と、上記中間膜体(Sm)の骨材をなすFRPパイプ(16)又はそのFRPパイプ(16)に差し込み固定された上記端部ハンガージョイント(Je)の就中ジョイント本体管(17)とが、図10のように紐やロープ、スリングベルト、その他の索条(33)によって縛り付け状態に締結されている。
【0105】
その結果、骨材を具備しない前後一対の膜体(Sf)(Sr)でも、上記中間膜体(Sm)の骨材であるFRPパイプ(16)やその端部ハンガージョイント(Je)を介して、第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)により確実に安定良く吊持することができ、その前後一対の膜体(Sf)(Sr)の荷重が上記スライドファスナー(14)や骨材受け入れ用筒袋(15)などに集中することはなく、その荷重が上記FRPパイプ(16)やその端部ハンガージョイント(Je)などに効率良く分散されるのである。
【0106】
更に、(34L)(34R)は上記のように構成された膜体(テント生地)(S)を地面(GL)から吊り揚げた状態に支持するため、テント(T)における屋根(12)の棟よりも背高い地上高さ(例えば5m)(H)として、その膜体(S)の周辺部に据え立て固定された左右一対ずつ少なくとも2組(合計4本)のポールであり、その上端(先端)側からの撓み変形可能なFRPパイプから成る。そのFRPパイプとしては、特にGFRP又は/及びCFRPを採用することが好ましい。
【0107】
図示の実施形態では既に説明したように、膜体(S)が前後一対の膜体(Sf)(Sr)とその相互間に介在する2つの中間膜体(Sm)に分割形成されており、その隣り合う膜体(Sf)(Sr)(Sm)同士がスライドファスナー(14)を介して着脱自在に接続されていることとの対応関係上、図1~3から明白なように、そのスライドファスナー(14)による接続部と対応する位置に左右一対ずつ3組(合計6本)のポール(34L)(34R)が据え立て固定されている。
【0108】
その場合、図2~4では一例として、地面(GL)における上記膜体(Sf)(Sr)(Sm)同士の接続部と対応位置する周辺部へ、コンクリートを流し込むことによりアンカー基礎(35)を塑造し、その内部へアンカー(A)となるポール据立て鋼管杭(36)を埋設一体化して、その鋼管杭(36)へ各ポール(34L)(34R)を抜き差し自在に差し込み垂立させている。
【0109】
上記FRPパイプから成るポール(34L)(34R)としては、その一本物であってもさしつかえないが、テント設営現場への運搬や設営作業上の取り扱いなどを容易化するために、図11のような上端(先端)部へ行く程太さが徐々(段階的)に細くなる複数本(図例では3本)のFRPパイプから、抜き差し自在に差し込み一本化することが好ましい。
【0110】
因みに、図11に例示したFRPパイプの3本継ぎポール(34L)(34R)では、その上段ポール(34La)(34Ra)の長さが約1m、中段ポール(34Lb)(34Rb)と下段ポール(34Lc)(34Rc)の長さが何れも約2mに各々寸法化されている。
【0111】
何れにしても、上記中間膜体(Sm)の前後長さ(奥行)(W)(先に例示した約2.5m)を一定単位の前後相互間隔として確保し乍ら並ぶ左右一対ずつ3組(合計6本)の各ポール(34L)(34R)の先端(上端)側には、ロープ移動案内用滑車(37a)(37b)(37c)が少なくとも上下2段(図例では上中下の3段)として各々軸架されている一方、同じく各ポール(34L)(34R)の地面(GL)から作業者が手動操作できる手元(下端)側には、ロープ巻き取り用のオートロック機構付きウインチ(38a)(38b)(38c)が上記滑車(37a)(37b)(37c)と同じ少なくとも上下2段(図例ではやはり上中下の3段)として各々軸支されている。
【0112】
念のため言えば、ここに滑車(37a)(37b)(37c)と手動式ウインチ(38a)(38b)(38c)の設置個数は図1~4からも確認できるように、上記膜体(テント生地)(S)の就中中間膜体(Sm)を第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)によって地面(GL)から吊り揚げる位置が、屋根(12)の棟に相当する上段位置の中央部(P1)と母屋に相当する中段位置の左右両サイド部(P2)と軒桁に相当する下段位置の左右両サイド部(P3)との3段に位置設定された個数と符合している。
【0113】
その場合、図示省略するが、図11に例示した3本継ぎポール(34L)(34R)における上段ポール(34La)(34Ra)と中段ポール(34Lb)(34Rb)と下段ポール(34Lc)(34Rc)の各々上端部へ、上中下3段の滑車(37a)(37b)(37c)を取り付けると共に、最も太い下段ポール(34Lc)(34Rc)の手元(下端)部へ上中下3段のウインチ(38a)(38b)(38c)をすべて集中的に設置することが好ましい。
【0114】
上記膜体(テント生地)(S)の吊り揚げ荷重を上中下の各ポール(34La)(34Ra)(34Lb)(34Rb)(34Lc)(34Rc)に分担させて、一本物のポールに集中することを防ぐことができるほか、最も太い下段ポール(34Lc)(34Rc)に安定良く固定されたすべてのウインチ(38a)(38b)(38c)を、作業者が1人で回動操作して、膜体(S)を便利良く吊り揚げることもできるからである。
【0115】
上記3段の滑車(37a)(37b)(37c)はすべて同一であって、図12、13に抽出して示す如く、その水平な枢支ボルト(39)の軸受アーム(40)が、上記ポール(34L)(34R)に挟み付け固定されたクランプ金具(41)から一体的に張り出すチャンネルブラケット(42)の先端部へ、水平の枢支ピン(43)を介して上下方向への揺動自在に取り付けられており、その滑車(37a)(37b)(37c)の遊転によって上記第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)を各々円滑に移動案内する。
【0116】
また、上記3段の手動式ウィンチ(38a)(38b)(38c)も悉く同一であって、図14、15に抽出して示すように、その巻取りドラム(44)を軸受けするチャンネルフレーム(45)には、図外のラチェットやワンウェイクラッチなどから成るオートロック機構を内蔵したボックス(46)が取り付けられている。
【0117】
(47)はそのチャンネルフレーム(45)の背後から一体的に張り出す取付フランジであり、上記ポール(34L)(34R)に挟み付け固定されたクランプ金具(48)から対応的に張り出す取付フランジ(49)と接合の上、複数の固定ボルト(50)によって着脱自在に取り付け固定されている。
【0118】
そして、上記ボックス(46)から派出する回動レバー(51)の操作により巻取りドラム(44)を回動させて、上記第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)を各々巻き取り、その回動レバー(51)の操作手を放せば、その巻取り状態が自ずとロック(停止)されるようになっている。尚、上記滑車(37a)(37b)(37c)とウィンチ(38a)(38b)(38c)は何れもポール(34L)(34R)に対して、その設置高さの調整自在である。
【0119】
先には、テント(T)の膜体(テント生地)(S)がその全体の周縁部に取り付けられた多数のハトメ(10)を利用して、地面(GL)に固定設置される旨を説明したが、そのためのアンカー(A)は図16~19に抽出して示す剛性なベースフレーム(52)として、好ましくはH型鋼やその他の型鋼材から上記膜体(S)の全体的な平面形状と対応するほぼ矩形に枠組みされており、地面(GL)へ浮上しない固定状態に埋設されることとなる。(53)は枠内へ縦横交錯状態に組み付け一体化された補強桟である。
【0120】
その場合、図2~4に基づいて、アンカー(A)となるポール据立て鋼管杭(36)を、アンカー基礎(35)のコンクリート内へ埋め込み固定し、その鋼管杭(36)へ上記ポール(34L)(34R)を各々差し込み状態に据え立てる旨を説示したが、これとは別な構成の一例として、図16~19に示す如く、上記左右一対ずつ少なくとも2組(図例では3組)のポール(34L)(34R)を据え立てるべく、そのためのベースプレート(鋼板)(54)を上記ベースフレーム(52)へ複数の固定ボルト(55)により組付け一体化して、その地面(GL)への埋没状態に固定維持しても良い。(56)はその締結ナットである。
【0121】
(57)はその各ベースプレート(54)に溶接されたポール据立て筒、(58)はこれと干渉しない関係状態として、上記ベースフレーム(52)の上面に沿い固定横架された水平な丸棒状の囲いレールであり、これは地面(GL)から露出しているが、上記前後一対の膜体(Sf)(Sr)に設けられた出入り口(27)と対応位置する個所だけは、その出入りのために欠落されている。(59)はその囲いレール(58)の支持ステーであり、上記ベースフレーム(52)から一定間隔おきに多数垂立されている。
【0122】
そして、上記膜体(S)の周縁部に沿って点在分布状態に取り付けられた多数のハトメ(10)が、その膜体(S)の地面(GL)に対する設置アンカー(A)として機能するベースフレーム(52)の水平な囲いレール(58)へ、図18、19に示すような紐やロープ、スリングベルト、その他の索条(60)によって、好ましくは連続的な巻き付け状態に締結されており、その状態において上記膜体(S)が地面(GL)から吊り揚げ立体化されるようになっている。
【0123】
尚、上記ポール(34L)(34R)を図2~4のようにアンカー(A)となるポール据立て鋼管杭(36)へ差し込み垂立させる一方、上記ベースフレーム(52)に代わる多数のペグ(図示省略)を地面(GL)における膜体(S)の周辺部へ点在分布状態に打ち込み固定し、その膜体(S)の周縁部に点在分布する上記ハトメ(10)をそのペグへ直接に、又は上記ベースフレーム(52)の囲いレール(58)に代わる図外の囲いロープなどを介して取り付けても良い。
【0124】
次に、上記第1実施形態の構成に基づいてテント(T)の設営方法を説明する。そのテント(T)の膜体(テント生地)(S)は図5のように分割形成されているため、これを予め組み立てるべく、前後一対の膜体(Sf)(Sr)とその相互間に介在する2つ(複数)の中間膜体(Sm)とを、スライドファスナー(14)によって接続一体化する一方、これと相前後して、その中間膜体(Sm)における5個所を前後方向に沿って並ぶ骨材受け入れ用筒袋(15)内へ、骨材となるFRPパイプ(16)を通し込むと共に、前側FRPパイプ(16)と後側FRPパイプ(16)との隣り合う接続部(継ぎ目部)へ差し込み固定した中間ハンガージョイント(Jm)により、そのFRPパイプ(16)同士を連結一本化する。
【0125】
また、その前側FRPパイプ(16)の前端部と後側FRPパイプ(16)の後端部へ各々端部ハンガージョイント(Je)を差し込み固定すると共に、その前後一対の端部ハンガージョイント(Je)を差し込み固定すると共に、その前後一対の端部ハンガージョイント(Je)に対して前後一対の膜体(Sf)(Sr)の上端部に付属しているハトメ(32)を、各々索条(33)により締結して、テント(T)の連続した屋根(12)と左右両サイド壁面(13L)(13R)になる中間膜体(Sm)と、同じくテント(T)の前後両壁面(11F)(11R)になる前後一対の膜体(Sf)(Sr)とを、一緒に安定良く吊持できる状態に準備する。
【0126】
そして、テント(T)を設営する現場の地面(GL)へ、図20、21の概略模式図に示す如く、その膜体(テント生地)(S)の設置アンカー(A)となるベースフレーム(52)を埋め込み固定し、上記のように準備した膜体(S)をそのベースフレーム(52)の枠内へ、展開した扁平な折りたたみ状態に敷いて、その膜体(S)の周縁部に点在分布している多数のハトメ(10)を、上記ベースフレーム(52)の地面(GL)から露出している囲いレール(58)へ、索条(60)での巻き付け状態に締結して、地面(GL)から浮上(剥離)しないように固定維持する。
【0127】
他方、先端(上端)側にロープ移動案内用滑車(37a)(37b)(37c)と手元(下端)側にロープ巻取り用ウィンチ(38a)(38b)(38c)とを、何れも上中下の3段として設置した左右一対ずつ3組(合計6本)のポール(34L)(34R)を、上記ベースフレーム(52)における就中ベースプレート(54)のポール据立て筒(57)へ、抜き差し自在に差し込み垂立させて、その3段の手動式ウィンチ(38a)(38b)(38c)から各々滑車(37a)(37b)(37c)を経て繰り出した膜体吊持用第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)の先端部を、上記中間膜体(Sm)における地面(GL)からの吊り揚げ時に、屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と母屋になる中段位置の左右両サイド部(P2)と軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計5個所に各々存在している上記FRPパイプ(16)の中間ハンガージョイント(Jm)と前後一対の端部ハンガージョイント(Je)へ、何れも縛り付け状態に連結しておく。
【0128】
そこで、上記左右一対ずつ3組(合計6本)の据え立てポール(34L)(34R)について、その1本ずつを担当する作業者の少なくとも6人が、各ポール(34L)(34R)に設置されているウィンチ(38a)(38b)(38c)の回動レバー(51)を一斉に手動操作して、好ましくは第1ロープ(L1)から第2ロープ(L2)を経て第3ロープ(L3)へと順次巻き取ることにより、上記膜体(テント生地)(S)を吊り揚げるのである。
【0129】
そうすれば、膜体(S)はその周縁部において地面(GL)への固定状態に保たれているため、全体として図21から図22、23のように自ずと立体化され、その中間膜体(Sm)がテント(T)における小屋組の屋根(12)と左右両サイド壁面(13L)(13R)になり、前後一対の膜体(Sf)(Sr)が同じくテント(T)の前後両壁面(11F)(11R)になって、ここに出入り口(27)から内部へ出入りできるテント(T)の張設状態が完成する。
【0130】
その設営作業中、テント(T)の張力は上記ウィンチ(38a)(38b)(38c)のロープ巻き取り操作によって強く(緊張)又は弱く(弛緩)調整することができる。
【0131】
また、テント(T)は屋根(12)の小屋組を形成する上記5個所において、第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)により吊持されると共に、その5個所には屋根(12)となる中間膜体(Sm)の骨材(FRPパイプ)(16)が、前後方向への平行な5列に延在しているため、上記第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)の張力とその配線を受け持つポール(34L)(34R)の弾力性が各FRPパイプ(16)を通じて、テント(T)の全重量を分散することになり、そのテント(T)の安定な立体形状を保持することができる。
【0132】
更に言えば、テント(T)の設営した使用状態において突風(強風)を受けたような場合、その膜体(テント生地)(S)を吊持している第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)が、ポール(34L)(34R)を強く引っ張ることになり、ポール(34L)(34R)に曲げ応力が発生するけれども、そのポール(34L)(34R)は撓み変形し得るFRPパイプから成るため、その弾性によって上記膜体(S)を図24の鎖線で示す如く、受風面の角度が小さく緩やかとなるように変形させることができ、突風(強風)がなくなれば、自ずと復元し、倒壊するおそれはない。
【0133】
この点、図24の鎖線はテント(T)における左右両サイド壁面(13L)(13R)の何れか一方(横方向)から突風(強風)を受けた場合の変形状態を示唆しているが、前後両壁面(11F)(11R)の何れか一方(言わば縦方向)から突風(強風)を受けた場合でも、ポール(34L)(34R)は自ずと撓み変形することになるため、あたかも「柳に風」の如く、そのテント(T)の受ける風圧を逃すことができることに変わりはない。
【0134】
既述のように、テント(T)の前後両壁面(11F)(11R)と左右両サイド壁面(13L)(13R)が何れも、その地面(GL)に固定された周縁部へ行く程、徐々に下広がりとなるスカート状に形成されていることも、突風(強風)を斜め上方へ受け流すことに役立ち、その風圧を効果的に逃すことができる。
【0135】
何れにしても、上記手動式ウィンチ(38a)(38b)(38c)はラチェットやワンウェイクランチなどのオートロック機構(図示省略)を具備しており、その回動レバー(51)から上記第1~3ロープ(L1)(L2)(L3)の巻き取り操作手を放せば、そのロープ(L1)(L2)(L3)の巻き取りと延いては膜体(テント生地)(S)の吊り揚げが自ずとロック(停止)されるようになっているため、テント(T)の設営作業を短時間での能率良く便利に行える。
【0136】
先に例示した数値の大きさとして、災害時の避難所や作業小屋、仮設宿舎、倉庫などとして使える中・大型のテント(T)を、上記据立てポール(34L)(34R)の本数と同じ人数の作業者が、手動式ウィンチ(38a)(38b)(38c)の操作のみにより吊り揚げてすばやく設営できるのであり、クレーン車などの重機を使用したり、作業足場を設置したりする必要がないので、そのための経費を負担したり、設営場所の制約を受けたりすることもない。
【0137】
尚、作業者の一人ずつが各ポール(34L)(34R)に設置されているウィンチ(38a)(38b)(38c)の回動レバー(51)をやはり一斉に手動操作して、望ましくは第1ロープ(L1)から第2ロープ(L2)を経て第3ロープ(L3)へと順次繰り出す(弛緩させる)ことにより、上記吊り揚げ設営された状態にあるテント(T)の膜体(テント生地)(S)を、地面(GL)へすばやく吊り降ろして、全体の扁平な折りたたみ状態に戻すことができ、その後必要に応じて上記膜体(S)を分解することにより、軽量に持ち運んだり、小型コンパクトに格納したりすることも可能である。
【0138】
次に、図25、26は本発明に係るテント(T)の第2実施形態を示しており、これでは上記第1実施形態を示した図2、3との比較から明白なように、膜体(テント生地)(S)の就中中間膜体(Sm)によって形作られる屋根(12)の小屋組を、前後方向から見てほぼ二等辺三角形に造形すべく、その屋根(12)の棟になる上段位置の中央部(P1)と軒桁になる下段位置の左右両サイド部(P3)との合計3個所へ、骨材受け入れ用筒袋(15)の複数ずつを配列設置し、その筒袋(15)内へ中間膜体(Sm)の骨材となるFRPパイプ(16)を各々通し込むことにより、そのFRPパイプ(16)の3列を前後方向に沿って平行に延在させている。
【0139】
そして、地面(GL)に据え立て固定した各ポール(34L)(34R)の先端(上端)側へ滑車(37a)(37c)と手元(下端)側へ手動式ウィンチ(38a)(38c)とを、その何れも上下2段に各々軸支して、上記中間膜体(Sm)の中央部(P1)から上段の滑車(37a)を経て上段のウィンチ(38a)まで、膜体吊持用の第1ロープ(L1)を巻き掛け配線すると共に、同じく中間膜体(Sm)の上記左右両サイド部(P3)から下段の滑車(37c)を経由して下段のウィンチ(38c)まで、膜体吊持用の第2ロープ(L3)を巻き掛け配線しており、その第1、2ロープ(L1)(L3)の巻き取りによって地面(GL)から膜体(テント生地)(S)を吊り揚げ立体化するようになっている。
【0140】
つまり、上記第1実施形態に係るテント(T)の構成中、中間膜体(Sm)における屋根(12)の母屋となる中段位置の左右両サイド部(P2)から、中段の滑車(37b)を経由して中段のウィンチ(38b)まで巻き掛け配線される第2ロープ(L2)が、省略されているのであり、上記第1実施形態に説示した上中下の3段から第2実施形態の上下2段に言わば変わった分だけ、必要な構成部材の個数が減少している。
【0141】
また、第2実施形態のテント(T)では前側膜体(Sf)と後側膜体(Sr)との相互間に介在する中間膜体(Sm)の個数が3つ(複数)に増加されており、これと対応してスライドファスナー(14)や据え立てポール(34L)(34R)、中間ハンガージョイント(Jm)などの設置個数も増加している。
【0142】
因みに、その第2実施形態に係るテント(T)の大きさは上記第1実施形態と同じ前後長さ(奥行)(W)の中間膜体(Sm)を採用していることに基づき、左右横幅(X):約10m、前後長さ(奥行)(Y):約9.9m、地上高さ(Z):約3mである。
【0143】
尚、第2実施形態におけるその他の構成と組立方法並びに設営方法は、図1~24の上記第1実施形態と実質的に同一であるため、図25、26に図1~24と同一の符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
【0144】
更に、図27~32は本発明に係るテント(T)の第3実施形態を示しており、これでも膜体(テント生地)(S)の吊り揚げによって立体化される屋根(12)の小屋組は、図25に示した上記第2実施形態のそれと同じく、前後方向から見てほぼ二等辺三角形をなすが、左右方向(横方向)から見てもほぼ二等辺三角形をなす点で、上記第1、2実施形態と異なる。
【0145】
つまり、第1、2実施形態における膜体(S)の吊り揚げによって造形される屋根(12)の小屋組では、その棟となる上段位置の中央部(P1)に配列設置されたFRPパイプ(16)(中間膜体の骨材)が、前後方向への一直線に延在するため、その屋根(12)の棟が言わば一定長さの稜線となるに比し、第3実施形態における屋根(12)の小屋組では図27、28のように、その棟が1点となるほぼ四角錐に造形されている。
【0146】
その場合、第3実施形態の膜体(S)も地面(GL)に展開された扁平な折りたたみ状態での全体的なほぼ矩形の平面形状をなすが、第1、2実施形態のような前後一対の膜体(Sf)(Sr)と少なくとも1つの中間膜体(Sm)とに分割形成されておらず、全体としての一枚物であるため、その分割された膜体(Sf)(Sr)(Sm)同士を接続一体化するスライドファスナー(14)を具備していない。
【0147】
但し、その膜体(S)を地面(GL)から吊り揚げ立体化した状態のテント(T)としては、上記四角錐形の屋根(12)のみならず、地面(GL)に固定された周縁部へ行く程徐々に下広がりとなるスカート状の前後両壁面(11F)(11R)と左右両サイド壁面(13L)(13R)も具備している。その屋根(12)の軒桁となる下段位置の周縁部(上記四角錐の底面)から下側が、テント(T)の左右両サイド壁面(13L)(13R)と前後両壁面(11F)(11R)を形成している。
【0148】
そして、その屋根(12)の軒桁となる下段位置の周縁部(上記四角錐における底面の4辺)に沿って、複数ずつの骨材受け入れ用筒袋(15x)(15y)とその骨材のFRPパイプ(16x)(16y)とが、図28、29のように前後方向と左右方向とのほぼ直交する2方向へ配列設置されているところ、その左右一対の2辺に沿って前後方向への平行に延在するFRPパイプ(16y)とその受け入れ用筒袋(15y)に限っては、上記第1、2実施形態における屋根(12)の軒桁となる下段位置の左右両サイド部(P3)に配列設置されたFRPパイプ(16)とその筒袋(15)に相当する。
【0149】
(Jc)は上記屋根(12)の四角錐をなす底面の4辺のうち、その前後方向へ配列設置されたFRPパイプ(16y)と、左右方向へ配列設置されたFRPパイプ(16x)とのほぼ直角に交叉する角隅部に介在するコーナー部ハンガージョイントであり、これは上記第1、2実施形態の端部ハンガージョイント(Je)並びに中間ハンガージョイント(Jm)と異なる形態品として、図30、31のような平面視のほぼL字形に交叉する一定長さのジョイント本体管(17x)(17y)と、その交叉部に溶接された厚肉な板状のコーナーマスト(18)と、そのマスト(18)へボルト・ナット(ネジ締結具)(20)を介して起伏的な回動自在に枢着されたシャックル(19)とから成り、そのL字形のジョイント本体管(17x)(17y)がほぼ直角に交叉する上記FRPパイプ(16x)(16y)同士の隣り合う端部へ、各々抜き差し自在に差し込み固定されることによって、そのFRPパイプ(16x)(16y)の隣り合う同士が連結されるようになっている。
【0150】
その場合、コーナー部ハンガージョイント(Jc)のL字形に交叉するジョイント本体管(17x)(17y)は、上記屋根(12)の軒桁となる下段位置の左右両サイド部(P3)を前後方向へ延在するように配列設置されたFRPパイプ(16y)の前端部と後端部へ、各々差し込み固定されている意味において、上記第1、2実施形態の端部ハンガージョイント(Je)と同じ働きを行っていると同時に、その前後方向に沿って延在するFRPパイプ(16y)と上記左右方向へ延在するFRPパイプ(16x)との隣り合う端部同士を連結している意味では、上記第1、2実施形態の中間ハンガージョイント(Jm)と同じ機能も発揮していると言える。
【0151】
尚、その第3実施形態におけるコーナー部ハンガージョイント(Jc)の出没ピン(24)を備えたブッシュ(21)と、そのジョイント本体管(17x)(17y)に対するブッシュ(21)の嵌め込み構造は、上記第1、2実施形態と同一であって、その出没ピン(24)がやはりFRPパイプ(16x)(16y)の対応するピン受け入れ孔(25)へ、常時係止する弾圧付勢状態に保たれている。
【0152】
何れにしても、そのコーナー部ハンガージョイント(Jc)を形作るジョイント本体管(17x)(17y)のコーナーマスト(18)に枢着されたシャックル(19)には、上記第2実施形態と同様に第2ロープ(L3)の先端部が締結されるようになっている。
【0153】
左右一対ずつの2組(合計4本)として、地面(GL)における膜体(S)の周辺部から据え立て固定されたポール(34L)(34R)の先端(上端)側に滑車(37a)(37c)と、同じく手元(下端)側にオートロック機構付きの手動式ウィンチ(38a)(38c)とが、その何れも上下2段に軸支されていることも、上記第1、2実施形態と同じである。
【0154】
更に、第3実施形態のテント(T)では、上記第1、2実施形態と異なって、図27、29から明白なように、その前後両壁面(11F)(11R)と左右両サイド壁面(13L)(13R)との境界部に4つの壁面保形補強帯(61)と、上記屋根(12)の四角錐をなす四角形な底面の角隅部から、棟となる上段位置の1点(頂点)に向かって延在する4つの屋根保形補強帯(62)とが、その何れも膜体(S)の表面に対する縫製や熱融着などによって配列設置されている。
【0155】
しかも、その各屋根保形補強帯(62)の上端部は図32に抽出拡大して示す如く、センター集束リング(63)に通し込まれた上、吊り輪(64)として折り返し重合されており、その合計4つが集束状態に保持されている。
【0156】
(65)はその各屋根保形補強帯(62)の吊り輪(64)と枢支連結されたシャックルであり、これに対して上記ポール(34L)(34R)における上段のウィンチ(38a)から上段の滑車(37a)を経て繰り出された第1ロープ(L1)の先端部が、図27のように締結されるようになっている。(66)はシャックル(65)の枢支ボルトである。
【0157】
その場合、第3実施形態の膜体(テント生地)(S)から造形される屋根(12)の小屋組が四角錐をなし、その頂点(1点)を吊持するための吊り輪(64)が、膜体吊持用ロープ(L1)(L3)やポール(34L)(34R)と同じ複数存在するとしても、屋根(12)の棟となる上段位置の中央部(P1)に第1ロープ(L1)の先端部が悉く連結されていると言えるため、第1、2実施形態と変わりはない。因みに、上記第3実施形態に係るテント(T)の大きさは一例として、左右横幅(X):約4m、前後長さ(奥行)(Y):約4m、地上高さ(Z):約2.5mである。
【0158】
尚、第3実施形態のテント(T)におけるその他の構成と組立方法並びに設営方法は、上記第1、2実施形態と実質的に同一であるため、その図27~32に図1~26と同一の符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を割愛する。
【符号の説明】
【0159】
(10)(32)・・・ハトメ
(11F)・・・前壁面
(11R)・・・後壁面
(12)・・・屋根
(13L)・・・左サイド壁面
(13R)・・・右サイド壁面
(14)・・・スライドファスナー
(15)(15x)(15y)・・・筒袋
(16)(16x)(16y)・・・FRPパイプ
(17)(17x)(17y)・・・ジョイント本体管
(18)・・・チャンネルマスト
(19)(65)・・・シャックル
(20)(39)(66)・・・枢支ボルト
(21)・・・ブッシュ
(23)・・・圧縮コイルバネ
(24)・・・出没ピン
(25)・・・ピン受け入れ孔
(26)・・・換気窓
(27)・・・出入り口
(30)・・・縁取り補強帯
(31)(61)(62)・・・保形補強帯
(33)(60)・・・索条
(34L)(34R)・・・ポール
(34La)(34Ra)・・・上段ポール
(34Lb)(34Rb)・・・中段ポール
(34Lc)(34Rc)・・・下段ポール
(36)・・・ポール据立て鋼管杭
(37a)・・・上段滑車
(37b)・・・中段滑車
(37c)・・・下段滑車
(38a)・・・上段ウインチ
(38b)・・・中段ウインチ
(38c)・・・下段ウインチ
(44)・・・巻取りドラム
(51)・・・回動レバー
(52)・・・ベースフレーム
(58)・・・囲いレール
(A)・・・アンカー
(d)・・・水抜き間隔
(GL)・・・地面
(H)・・・(ポールの)地上高さ
(Jc)・・・コーナー部ハンガージョイント
(Je)・・・端部ハンガージョイント
(Jm)・・・中間ハンガージョイント
(L1)・・・第1ロープ(上段)
(L2)・・・第2ロープ(中段)
(L3)・・・第3ロープ(下段)
(P1)・・・中央部(屋根の棟/上段位置)
(P2)・・・左右両サイド部(母屋/中段位置)
(P3)・・・左右両サイド部(軒桁/下段位置)
(S)・・・膜体(テント生地)
(Sf)・・・前側膜体
(Sr)・・・後側膜体
(Sm)・・・中間膜体
(T)・・・テント

図1
図2
図3
図4
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図32
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
また、その前側FRPパイプ(16)の前端部と後側FRPパイプ(16)の後端部へ各々端部ハンガージョイント(Je)を差し込み固定すると共に、その前後一対の端部ハンガージョイント(Je)に対して前後一対の膜体(Sf)(Sr)の上端部に付属しているハトメ(32)を、各々索条(33)により締結して、テント(T)の連続した屋根(12)と左右両サイド壁面(13L)(13R)になる中間膜体(Sm)と、同じくテント(T)の前後両壁面(11F)(11R)になる前後一対の膜体(Sf)(Sr)とを、一緒に安定良く吊持できる状態に準備する。