IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-過渡電圧保護デバイス 図1
  • 特開-過渡電圧保護デバイス 図2
  • 特開-過渡電圧保護デバイス 図3
  • 特開-過渡電圧保護デバイス 図4
  • 特開-過渡電圧保護デバイス 図5
  • 特開-過渡電圧保護デバイス 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033858
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】過渡電圧保護デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01T 4/12 20060101AFI20240306BHJP
   H01T 1/20 20060101ALI20240306BHJP
   H01T 2/02 20060101ALI20240306BHJP
   H01T 4/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01T4/12 F
H01T1/20 F
H01T2/02 F
H01T4/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137737
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚義
(72)【発明者】
【氏名】早津 匡人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 駿介
(72)【発明者】
【氏名】平場 颯汰
(57)【要約】
【課題】機械的強度を向上する過渡電圧保護デバイスを提供する。
【解決手段】過渡電圧保護デバイス1は、内部に空洞Sが形成されている素体2と、素体2上に配置されている一対の外部電極と、互いに対向するように素体2内に配置されていると共に一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ接続されている一対の内部電極5,6と、を備えている。素体2は、空洞Sを画成すると共に互いに対向している面21a及び内壁面20bを有している。一対の内部電極5,6は、空洞Sに露出していると共に面21a上に配置されている。面21aと内壁面20bとが互いに対向している方向に沿った断面において、面21aの輪郭と内壁面20bの輪郭とは、互いに異なる形状を呈している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞が形成されている素体と、
前記素体上に配置されている一対の外部電極と、
互いに対向するように前記素体内に配置されていると共に前記一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ接続されている一対の内部電極と、を備え、
前記素体は、前記空洞を画成すると共に互いに対向している第一内壁面及び第二内壁面を有し、
前記一対の内部電極は、前記空洞に露出していると共に前記第一内壁面上に配置されており、
前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、前記第一内壁面の輪郭と前記第二内壁面の輪郭とは、互いに異なる形状を呈している、過渡電圧保護デバイス。
【請求項2】
前記一対の内部電極のうち少なくとも一方の内部電極は、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向で、互いに対向している第一面及び第二面を有し、
前記第一面は、前記第一内壁面と接しており、
前記第二面は、
前記空洞に露出していると共に前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に対して傾斜している、請求項1に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項3】
前記一対の内部電極のそれぞれは、前記第一面及び前記第二面を有し、
各前記第二面は、前記一対の内部電極が互いに対向している方向で、互いに対向している、請求項2に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項4】
前記一対の内部電極のそれぞれは、前記空洞に露出していると共に前記第一面と前記第二面とを接続している側縁を有し、
各前記側縁は、前記一対の内部電極が対向している前記方向で、互いに対向しており、
前記一対の内部電極のそれぞれの厚さは、前記側縁に近付くにしたがって、小さくなっている、請求項2に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項5】
前記素体は、前記一対の内部電極と接している放電補助部を有し、
前記放電補助部は、前記空洞を画成する前記第一内壁面を構成している、請求項1に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項6】
前記放電補助部は、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、湾曲している、請求項5に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項7】
前記一対の内部電極は、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、前記放電補助部に沿うように湾曲している、請求項6に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項8】
前記一対の内部電極のそれぞれは、前記空洞に露出していると共に前記第一面と前記第二面とを接続している側縁を有し、
前記第二面は、前記空洞に露出している第一部分及び第二部分を含み、
前記第一部分は、前記第二部分よりも前記側縁寄りに位置しており、
前記第一部分と前記第二内壁面との最短距離は、前記第二部分と前記第二内壁面との最短距離より大きい、請求項2に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項9】
前記第二面は、
前記空洞に露出している第一領域と、
前記空洞に露出していない第二領域と、を含み、
前記第一領域と前記第二領域とでは、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に対する傾きの度合いが互いに異なっている、請求項2に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項10】
前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、前記第二内壁面の輪郭は、略直線状を呈している、請求項1~9のいずれか一項に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項11】
前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、前記第二内壁面の輪郭は、前記第一内壁面に向かって突出している、請求項1~9のいずれか一項に記載の過渡電圧保護デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過渡電圧保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
知られている過渡電圧保護デバイスは、素体と、素体上に配置されている一対の外部電極と、互いに対向するように素体内に配置されている一対の内部電極と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。素体の内部には、空洞が形成されている。一対の内部電極は、一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されていると共に空洞に露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5459295号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスについて調査研究を行った。その結果、本発明者らは以下の知見を得て、本発明を想到するに至った。
【0006】
過渡電圧保護デバイスでは、素体の内部に形成されている空洞が、過渡電圧保護デバイスの機械的強度に影響を与える。空洞は、素体の、互いに対向している第一内壁面及び第二内壁面によって画成される。本発明者らは、上記第一内壁面及び第二内壁面に着目した。その結果、本発明者らは、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第一内壁面の輪郭と第二内壁面の輪郭とが互いに異なる形状を呈している構成では、過渡電圧保護デバイスの機械的強度が向上し得ることを見出した。すなわち、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第一内壁面の輪郭と第二内壁面の輪郭とが互いに異なる形状を呈している構成は、過渡電圧保護デバイスの機械的強度を向上し得る。
【0007】
一つの態様に係る過渡電圧保護デバイスは、素体と、素体上に配置されている一対の外部電極と、互いに対向するように素体内に配置されている一対の内部電極と、を備えている。素体の内部には、空洞が形成されている。一対の内部電極は、一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ接続されている。素体は、空洞を画成すると共に互いに対向している第一内壁面及び第二内壁面を有している。一対の内部電極は、空洞に露出していると共に第一内壁面上に配置されている。第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第一内壁面の輪郭と第二内壁面の輪郭とは、互いに異なる形状を呈している。
【0008】
上記一つの態様では、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第一内壁面の輪郭と第二内壁面の輪郭とは、互いに異なる形状を呈している。したがって、上記一つの態様は、機械的強度を向上し得る。
【0009】
上記一つの態様では、一対の内部電極のうち少なくとも一方の内部電極は、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向で、互いに対向している第一面及び第二面を有していてもよい。第一面は、第一内壁面と接していてもよい。第二面は、空洞に露出していると共に第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に対して傾斜していてもよい。
過渡電圧が一対の外部電極に印加される場合、一対の内部電極のうち互いに対向していると共に空洞が露出している部分にて、放電が生じる。一対の内部電極の対向面積が小さい場合、放電が局所的に集中し、過渡電圧保護特性が劣化するおそれがある。第二面が第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に対して傾斜している構成では、第二面が第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に対して直交している構成と比して、一対の内部電極の対向面積が増加する。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制する。
【0010】
上記一つの態様では、一対の内部電極のそれぞれは、第一面及び第二面を有していてもよい。各第二面は、一対の内部電極が互いに対向している方向で、互いに対向していてもよい。
一対の内部電極のそれぞれが第二面を有しており、各第二面が一対の内部電極が互いに対向している方向で、互いに対向している構成では、一対の内部電極の対向面積がより一層増加する。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制する。
【0011】
上記一つの態様では、一対の内部電極のそれぞれは、空洞に露出していると共に第一面と第二面とを接続している側縁を有していてもよい。各側縁は、一対の内部電極が対向している方向で、互いに対向していてもよい。一対の内部電極のそれぞれの厚さは、側縁に近付くにしたがって、小さくなっていてもよい。
一対の内部電極のそれぞれの厚さが、側縁に近付くにつれてしたがって、小さくなっている構成では、一対の内部電極の対向面積が増加しやすい。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0012】
上記一つの態様では、素体は、一対の内部電極と接している放電補助部を有していてもよい。放電補助部は、空洞を画成する第一内壁面を構成していてもよい。
放電補助部が空洞を画成する第一内壁面を構成している構成では、放電が一対の内部電極間で確実に生じる。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性を確実に向上する。
【0013】
上記一つの態様では、放電補助部は、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、湾曲していてもよい。
放電補助部が、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、湾曲している構成では、一対の内部電極の対向面積が増加しやすい。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0014】
上記一つの態様では、一対の内部電極は、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、放電補助部に沿うように湾曲していてもよい。
一対の内部電極が、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、放電補助部に沿うように湾曲している構成では、一対の内部電極の対向面積がより一層増加しやすい。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制し得る。
【0015】
上記一つの態様では、一対の内部電極のそれぞれは、空洞に露出していると共に第一面と第二面とを接続している側縁を有していてもよい。第二面は、空洞に露出している第一部分及び第二部分を含んでいてもよい。第一部分は、第二部分よりも側縁寄りに位置していてもよい。第一部分と第二内壁面との最短距離は、第二部分と第二内壁面との最短距離より大きくてもよい。
第一部分と第二内壁面との最短距離が、第二部分と第二内壁面との最短距離より大きい構成は、第二面が第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に対して傾斜している構成を確実に実現する。
【0016】
上記一つの態様では、第二面は、空洞に露出している第一領域と、空洞に露出していない第二領域と、を含んでいてもよい。第一領域と第二領域とでは、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に対する傾きの度合いが互いに異なっていてもよい。
【0017】
上記一つの態様では、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第二内壁面の輪郭は、略直線状を呈していてもよい。
第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第二内壁面の輪郭が、略直線状を呈している構成は、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスを確実に実現する。
【0018】
上記一つの態様では、第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第二内壁面の輪郭は、第一内壁面に向かって突出していてもよい。
第一内壁面と第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、第二内壁面の輪郭が、第一内壁面に向かって突出している構成は、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスを確実に実現する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一つの態様は、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態に係る過渡電圧保護デバイスを示す斜視図である。
図2図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、一対の内部電極と放電補助部とを示す図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿った断面構成を示す図である。
図5図5は、図1のV-V線に沿った断面構成を示す図である。
図6図6は、本実施形態の変形例に係る過渡電圧保護デバイスの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1図5を参照して、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイス1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイスを示す斜視図である。図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。図3は、一対の内部電極と放電補助部とを示す図である。図4は、図1のIV-IV線に沿った断面構成を示す図である。図5は、図1のV-V線に沿った断面構成を示す図である。
【0023】
図1及び図2に示されるように、過渡電圧保護デバイス1は、素体2と、一対の外部電極3,4と、一対の内部電極5,6と、を備えてる。過渡電圧保護デバイス1は、不図示の電子機器に実装される。過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧から電子機器を保護する。過渡電圧保護デバイス1が保護する電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。過渡電圧は、たとえば、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)に起因する。
【0024】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状は、たとえば、角部及び稜線部が面取されている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。素体2は、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の側面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。本実施形態では、一対の端面2a,2bは第一方向D1で互いに対向し、一対の側面2e,2fは第二方向D2で互いに対向し、一対の側面2c,2dは第三方向D3で互いに対向している。一対の端面2a,2b及び四つの側面2c,2d,2e,2fは、素体2の外表面を構成している。四つの側面2c,2d,2e,2fは、それぞれ端面2a及び端面2bと隣り合うと共に、端面2aと端面2bとを接続するように第一方向D1に延在している。四つの側面2c,2d,2e,2fのうちの一側面は、過渡電圧保護デバイス1が実装される電子機器と対向する実装面として規定される。
【0025】
図2に示されるように、素体2は、本体部20を有している。本体部20は、第三方向D3に複数の絶縁体層20aが積層されて構成されている。本体部20は、積層されている複数の絶縁体層20aを含んでいる。本体部20では、各絶縁体層20aは、各絶縁体層20aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。各絶縁体層20aは、たとえば、絶縁体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体として構成されている。本体部20は、一対の端面2a,2bと、四つの側面2c,2d,2e,2fを含む。
【0026】
絶縁体材料は、たとえば、セラミック材料を含む。セラミック材料は、たとえば、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、MnCO、SrCO、CaCO、BaCO、Al、ZrO、及びBからなる群から選ばれる。絶縁体層20aは、単独のセラミック材料からなっていてもよいし、二種類以上のセラミック材料からなっていてもよい。絶縁体層20aは、ガラスを含有していてもよい。絶縁体層20aは、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO又はCuO)を含有していてもよい。
【0027】
第一方向D1は、素体2の長さ方向であり、第二方向D2は、素体2の幅方向であり、第三方向D3は、素体2の高さ方向である。素体2の長さは、たとえば、0.6mm以上2.0mm以下である。素体2の幅は、たとえば、0.3mm以上1.2mm以下である。素体2の高さは、たとえば、0.2mm以上1.2mm以下である。本実施形態では、素体2の長さは1.0mmであり、素体2の幅は0.5mmであり、素体2の高さは0.5mmである。
【0028】
外部電極3,4は、素体2上に配置されている。外部電極3,4は、第一方向D1において互いに対向するように素体2上に配置されている。外部電極3,4は、素体2の第一方向D1の両端部に配置されている。外部電極3,4は、第一方向D1において互いに離間している。
【0029】
外部電極3は、端面2aに配置されている。外部電極3は、内部電極5と接続されている。外部電極3は、内部電極5と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極3は、端面2aを覆っている。外部電極3は、四つの側面2c,2d,2e,2fの各一部も覆っている。四つの側面2c,2d,2e,2fの、外部電極3に覆われている各一部は、対応する側面2c,2d,2e,2fにおいて、端面2a寄りに位置している。外部電極3は、端面2aの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2a寄りの端部とに配置されている。
【0030】
外部電極4は、端面2bに配置されている。外部電極4は、内部電極6と接続されている。外部電極4は、内部電極6と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極4は、端面2bを覆っている。外部電極4は、四つの側面2c,2d,2e,2fの各一部も覆っている。四つの側面2c,2d,2e,2fの、外部電極4に覆われている各一部は、対応する側面2c,2d,2e,2fにおいて、端面2b寄りに位置している。外部電極4は、端面2bの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2b寄りの端部とに配置されている。
【0031】
内部電極5,6は、第二方向D2において、互いに対向するように素体2内に配置されている。各内部電極5,6は、第一方向D1に延在している。内部電極5は、側面2e寄りに配置されている。内部電極6は、側面2f寄りに配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3において、同じ高さ位置、すなわち、同じ積層位置に配置されている。図2に示されるように、内部電極5,6は、互いに同じ絶縁体層20a上に配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3、すなわち、絶縁体層20aの積層方向の略中央に配置されている。
【0032】
図3に示されるように、内部電極5は、一対の端5a,5bと、互いに対向している一対の側縁5c,5dと、互いに対向している一対の面5e,5fと、を有している。側縁5cは内部電極6と対向している。各側縁5c,5dは、面を構成していてもよい。各側縁5c,5dは、面5e及び面5fのそれぞれと隣り合っている。内部電極5は、端面2b及び側面2c,2d,2e,2fから離間している。たとえば、面5eが第一面を構成する場合、面5fが第二面を構成する。
【0033】
端5aは、端面2aに露出している。端5aは、外部電極3と接続されている。本実施形態では、端5aは、外部電極3と直接接続されている。端5aは、外部電極3と接続されている接続端を構成する。端5aは、先端面を構成していてもよい。端5bは、端5aとは、第一方向D1において反対側に位置している。端5bは、素体2内に位置しており、素体2の外表面には露出していない。端5bは、各端面2a,2bから離間している。本実施形態では、端5bは、内部電極5の先端だけでなく、内部電極5の先端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端5bは、第一方向D1に上記所定の長さを有している。端5bは、素体2に埋まっており、素体2のみと接している。第三方向D3から見て、端5bは、外部電極4から離間しており、外部電極4と重なっていない。端5bは、内部電極5の先端のみで構成されていてもよい。この場合、端5bは、先端面のみを構成していてもよい。
【0034】
図3に示されるように、内部電極6は、一対の端6a,6bと、互いに対向している一対の側縁6c,6dと、互いに対向している一対の面6e,6fと、を有している。側縁6cは内部電極5と対向している。各側縁6c,6dは、面を構成していてもよい。各側縁6c,6dは、面6e及び面6fのそれぞれと隣り合っている。内部電極6は、端面2a及び側面2c,2d,2e,2fから離間している。たとえば、面6eが第一面を構成する場合、面6fが第二面を構成する。
【0035】
端6aは、端面2bに露出している。端6aは、外部電極4と接続されている。本実施形態では、端6aは、外部電極4と直接接続されている。端6aは、外部電極4と接続されている接続端を構成する。端6aは、先端面を構成していてもよい。端6bは、端6aとは、第一方向D1において反対側に位置している。端6bは、素体2内に位置しており、素体2の外表面には露出していない。端6bは、各端面2a,2bから離間している。本実施形態では、端6bは、内部電極6の先端だけでなく、内部電極6の先端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端6bは、第一方向D1に上記所定の長さを有している。端6bは、素体2に埋まっており、素体2のみと接している。第三方向D3から見て、端6bは、外部電極3から離間しており、外部電極3と重なっていない。端6bは、内部電極6の先端のみで構成されていてもよい。この場合、端6bは、先端面のみを構成していてもよい。
【0036】
外部電極3,4及び内部電極5,6は、導電材料を含んでいる。導電材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又は、Wを含む。導電材料は、たとえば、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又は、Ag/Pt合金を含んでいてもよい。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに同じ導電材料を含んでいてもよい。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに異なる導電材料を含んでいてもよい。
【0037】
外部電極3,4は、たとえば、素体2の外表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成される。外部電極3,4を形成するための導電性ペーストは、上記導電材料を含む。内部電極5,6は、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与された導電性ペーストを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。導電性ペーストは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。内部電極5,6を形成するための導電性ペーストも、上記導電材料を含む。
【0038】
図2図5に示されるように、素体2は、放電補助部21を有している。放電補助部21は、素体2内に配置されている。放電補助部21は、本体部20に連続するように、素体2の内部に配置されている。放電補助部21は、第三方向D3から見て、矩形状を呈している。放電補助部21は、第一方向D1に延在している一対の長辺と、第二方向D2に延在している一対の短辺とを含む。放電補助部21の平面形状は、放電補助部21を第三方向D3から見たときの形状を示す。矩形状は、角が丸められている形状、及び、角が取られている形状を含む。放電補助部21は、素体2の外表面から離間している。放電補助部21は、素体2から露出していない。
【0039】
放電補助部21の長さは、たとえば、0.03mm以上1.6mm以下である。放電補助部21の幅は、たとえば、0.03mm以上0.9mm以下である。放電補助部21の厚さは、たとえば、0.5μm以上10μm以下である。本実施形態では、放電補助部21の長さ、幅及び厚さは、それぞれ、0.5mm、0.2mm及び2μmである。放電補助部21の長さ、幅、及び厚さは、たとえば、それぞれ、第一方向D1での長さ、第二方向D2での長さ、及び第三方向D3での長さで規定される。
【0040】
放電補助部21は、第三方向D3で、互いに対向している一対の面21a,21bを含む。面21aは、内部電極5,6と接している。内部電極5,6は、面21a上に配置されている。面21aは、内部電極5,6に覆われている部分と、内部電極5,6から露出している部分と、を含む。面21bは、本体部20と連続している。放電補助部21は、内部電極5,6に接しているとともに、内部電極5,6を互いに接続している。内部電極5と内部電極6とは、放電補助部21を介して互いに連結されている。放電補助部21は、内部電極5,6と共に、過渡電圧サプレッサを構成している。過渡電圧サプレッサは、過渡電圧吸収性能を有する。
【0041】
本実施形態では、放電補助部21の第一方向D1の一端は、第一方向D1において、内部電極5の端5bより素体2の内側に位置している。放電補助部21の第一方向D1の他端は、第一方向D1において、内部電極6の端6bより素体2の内側に位置している。第三方向D3から見て、放電補助部21の第二方向D2の一端は、内部電極5の側縁5dと一致している。第三方向D3から見て、放電補助部21の第二方向D2の他端は、内部電極6の側縁6dと一致している。
【0042】
放電補助部21は、絶縁体及び金属粒子を含んでいる。絶縁体は、たとえば、セラミック材料からなる。セラミック材料は、たとえば、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、MnCO、SrCO、CaCO、BaCO、Al、ZrO、及びBからなる群から選ばれる。放電補助部21は、この群から選ばれる一種類のセラミック材料のみを含んでもよいし、この群から選ばれる二種類以上のセラミック材料を含んでもよい。金属粒子は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又は、Ag/Pt合金を含む。放電補助部21は、半導体粒子を含んでもよい。半導体粒子は、たとえば、RuOからなる。放電補助部21は、ガラスを含んでもよい。
【0043】
放電補助部21は、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与されたスラリーを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。スラリーは、上記セラミック材料及び金属粒子を含む。スラリーは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。
【0044】
図3及び図4に示されるように、素体2の内部には、空洞Sが形成されている。空洞Sは、素体2の外表面から離間している。空洞Sを画成する面は、内部電極5の側縁5c及び面5fと、内部電極6の側縁6c及び面6fと、を含む。本体部20は、空洞Sを画成していると共に面21aと第三方向D3で対向している内壁面20bと、空洞Sを画成すると共に第二方向D2で互いに対向している一対の内壁面20cと、を含む。空洞Sを画成する面は、内壁面20b及び一対の内壁面20cと、放電補助部21の面21aとを含む。たとえば、面21aが空洞Sを画成する第一内壁面を構成する場合、内壁面20bが空洞Sを画成する第二内壁面を構成する。
【0045】
図4に示されるように、第三方向D3に沿った断面において、面21aの輪郭と内壁面20bの輪郭とは、互いに異なる形状を呈している。第三方向D3に沿った断面は、図4に示されるように、たとえば、素体2を、空洞Sが形成されている位置において、第一方向D1に直交する平面で切断することにより得られる断面である。面21aの輪郭は、湾曲した形状を呈している。内壁面20bの輪郭は、略直線状を呈している。内壁面20bの輪郭は、第二方向D2に沿った略直線状を呈している。本実施形態では、一対の内壁面20cの輪郭は、第三方向D3に対して傾斜した形状を呈している。一対の内壁面20cの輪郭は、第三方向D3に沿った略直線状を呈していてもよい。第三方向D3に沿った断面は、素体2を、空洞Sが形成されている位置において、第二方向D2に直交する平面で切断することにより得られる断面であってもよい。
【0046】
第三方向D3から見て、空洞Sは、放電補助部21の外縁の内側に位置している。空洞Sは、第一方向D1及び第二方向D2のそれぞれにおいて、放電補助部21より短い。第三方向D3から見て、空洞Sの第二方向D2における一端は、内部電極5の側縁5dより内側に位置している。第三方向D3から見て、空洞Sの第二方向D2における他端は、内部電極6の側縁6dより内側に位置している。
【0047】
空洞Sは、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与された有機ラッカーを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。空洞Sは、有機ラッカーの焼失により形成される。有機ラッカーは、有機溶剤及び有機バインダを含む。有機ラッカーは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。
【0048】
図4に示されるように、放電補助部21は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。放電補助部21は、第三方向D3に沿った断面において、円弧状を呈するように湾曲している。面21a及び面21bは、円弧状を呈するように湾曲している。本実施形態では、面21a及び面21bは、放電補助部21の第二方向D2における両端が先細りとなるように、湾曲している。内部電極5,6も、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。内部電極5,6は、放電補助部21に沿うように湾曲している。内部電極5,6も、放電補助部21と同様に、第三方向D3に沿った断面において。円弧状を呈するように湾曲している。本実施形態では、内部電極5の面5e及び内部電極6の面6eが、放電補助部21の面21aに沿って、円弧状を呈するように湾曲している。
【0049】
図4に示されるように、内部電極5の面5f及び内部電極6の面6fは、第三方向D3に対して傾斜している。面5f及び面6fは、第三方向D3のうち内壁面20bから面21aに向かう方向に傾斜している。上述したように、面5f及び面6fは第三方向D3に対して傾斜しているので、面5fと面6fとは第二方向D2で互いに対向している。空洞S内においては、側縁5c及び側縁6cと、面5f及び面6fとのそれぞれが、第二方向D2で互いに対向している。
【0050】
内部電極5の厚さは、側縁5cに近付くにしたがって、小さくなっている。内部電極5の厚さは、内部電極5の第三方向D3における長さで規定される。本実施形態では、内部電極5の厚さは、内部電極5の第二方向D2における略中央から側縁5cにかけて、小さくなっている。内部電極5の厚さは、側縁5cにおいて、最小となる。内部電極5の厚さは、側縁5cに近付くにしたがって、連続的に小さくなっていてもよく、段階的に小さくなっていてもよい。
【0051】
内部電極6の厚さは、側縁6cに近付くにしたがって、小さくなっている。内部電極6の厚さは、内部電極6の第三方向D3における長さで規定される。本実施形態では、内部電極6の厚さは、内部電極6の第二方向D2における略中央から側縁6cにかけて、小さくなっている。内部電極6の厚さは、側縁6cにおいて、最小となる。内部電極6の厚さは、側縁6cに近付くにしたがって、連続的に小さくなっていてもよく、段階的に小さくなっていてもよい。
内部電極5,6の各厚さは、たとえば、素体2を、内部電極5,6を含む位置において、第一方向D1に直交する平面で切断することにより得られる断面に基づいて測定してもよい。
【0052】
図4に示されるように、面5fは、空洞Sに露出している領域51を含んでいる。面5fは、空洞Sに露出している部分51a,51bを、更に含んでいる。領域51は部分51a,51bを含む。本実施形態では、領域51は、部分51aと部分51bとから、構成されている。部分51aは、第二方向D2において、部分51bより側縁5c寄りに位置している。たとえば、部分51aが第一部分を構成する場合、部分51bが第二部分を構成する。
【0053】
上述したように、内壁面20bの輪郭は第二方向D2に沿った略直線状であり、面5fは第三方向D3に対して傾斜している。部分51aと内壁面20bとの最短距離d1と、部分51bと内壁面20bとの最短距離d2とは、互いに異なっている。本実施形態では、最短距離d1は、最短距離d2より大きい。最短距離d1は部分51aと内壁面20bとの第三方向D3における距離によって規定され、最短距離d2は部分51bと内壁面20bとの第三方向D3における距離によって規定される。
【0054】
面6fは、空洞Sに露出している領域61を含んでいる。面6fは、空洞Sに露出している部分61a,61bを、更に含んでいる。領域61は部分61a,61bを含んでいる。本実施形態では、領域61は、部分61aと部分61bとから、構成されている。部分61aは、第二方向D2において、部分61bより側縁6c寄りに位置している。たとえば、部分61aが第一部分を構成する場合、部分61bが第二部分を構成する。
【0055】
上述したように、内壁面20bの輪郭は第二方向D2に沿った略直線状であり、面6fは第三方向D3に対して傾斜している。部分61aと内壁面20bとの最短距離d3と、部分61bと内壁面20bとの最短距離d4とは、互いに異なっている。本実施形態では、最短距離d3は、最短距離d4より大きい。最短距離d3は部分61aと内壁面20bとの第三方向D3における距離によって規定され、最短距離d4は部分61bと内壁面20bとの第三方向D3における距離によって規定される。
【0056】
最短距離d1は、たとえば、3μm以上40μm以下である。最短距離d2は、たとえば、1μm以上30μm以下である。本実施形態では、最短距離d1は15μmであり、最短距離d2は10μmである。
最短距離d3は、たとえば、3μm以上40μm以下である。最短距離d4は、たとえば、1μm以上30μm以下である。本実施形態では、最短距離d3は15μmであり、最短距離d4は10μmである。
【0057】
図5に示されるように、面5fは、空洞Sに露出していない領域52を含む。本実施形態では、面5fは、空洞Sに露出している領域51と、空洞Sに露出していない領域52と、から構成されている。領域52は、素体2のみと接している。領域52の全体は、素体2に覆われている。図4及び図5に示されるように、領域51と領域52とでは、第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっている。領域52での第三方向D3に対する傾きの度合いは、領域51での第三方向D3に対する傾きの度合いより小さい。本実施形態では、第三方向D3に対する傾きの度合いは、第三方向D3に対する傾きの角度で規定される。領域51と領域52とでは、第三方向D3に対する傾きの角度が互いに異なっている。領域52での第三方向D3に対する傾きの角度は、領域51での第三方向D3に対する傾きの角度より小さい。本実施形態では、領域52での第三方向D3に対する傾きの角度は、略直角である。領域51,52での、第三方向D3に対する傾きの角度は、たとえば、素体2を、領域51,52を含む位置において、第一方向D1に直交する平面で切断することにより得られる断面に基づいて測定してもよい。たとえば、領域51が第一領域を構成する場合、領域52が第二領域を構成する。
【0058】
面6fは、空洞Sに露出していない領域62を含む。本実施形態では、面6fは、空洞Sに露出している領域61と、空洞Sに露出していない領域62と、から構成されている。領域62は、素体2のみと接している。領域62の全体は、素体2に覆われている。領域61と領域62とでは、第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっている。領域62での第三方向D3に対する傾きの度合いは、領域61での第三方向D3に対する傾きの度合いより小さい。領域61と領域62とでは、第三方向D3に対する傾きの角度が互いに異なっている。領域62での第三方向D3に対する傾きの角度は、領域61での第三方向D3に対する傾きの角度より小さい。本実施形態では、領域62での第三方向D3に対する傾きの角度は、略直角である。領域61,62での、第三方向D3に対する傾きの角度は、たとえば、素体2を、領域61,62を含む位置において、第一方向D1に直交する平面で切断することにより得られる断面に基づいて測定してもよい。たとえば、領域61が第一領域を構成する場合、領域62が第二領域を構成する。
【0059】
以上説明したように、過渡電圧保護デバイス1では、第三方向D3に沿った断面において、面21aの輪郭と内壁面20bの輪郭とは、互いに異なる形状を呈している。面21aの輪郭と内壁面20bの輪郭とが同一の形状を呈している構成と比して、過渡電圧保護デバイス1では、空洞Sの体積が小さい傾向がある。空洞Sの体積と過渡電圧保護デバイス1の機械的強度とは関連している。空洞Sの体積が小さい場合、過渡電圧保護デバイスの機械的強度が向上する傾向がある。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、機械的強度を向上し得る。
【0060】
過渡電圧保護デバイス1では、面5f及び面6fのうち少なくとも一方の面が、空洞Sに露出していると共に第三方向D3に対して傾斜している。
過渡電圧が一対の外部電極3,4に印加される場合、一対の内部電極5,6のうち互いに対向していると共に空洞Sに露出している部分にて、放電が生じる。一対の内部電極5,6の対向面積が小さい場合、放電が局所的に集中し、過渡電圧保護特性が劣化するおそれがある。面5f及び面6fのうち少なくとも一方の面が、空洞Sに露出していると共に第三方向D3に対して傾斜している過渡電圧保護デバイス1では、面5f又は面6fが第三方向D3に対して直交している構成と比して、一対の内部電極5,6の対向面積が増加する。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制する。
【0061】
過渡電圧保護デバイス1では、面5f及び面6fのそれぞれが、空洞Sに露出していると共に第三方向D3に対して傾斜している。
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6の対向面積がより一層増加する。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制する。
【0062】
過渡電圧保護デバイス1では、内部電極5は、空洞Sに露出していると共に面5eと面5fとを接続している側縁5cを有している。内部電極6は、空洞Sに露出していると共に面6eと面6fとを接続している側縁6cを有している。各側縁5c,6cは、第二方向D2で、互いに対向している。内部電極5の厚さは、側縁5cに近付くにしたがって、小さくなっている。内部電極6の厚さは、側縁6cに近付くにしたがって、小さくなっている。
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6の対向面積が増加しやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0063】
過渡電圧保護デバイス1では、素体2は、一対の内部電極5,6と接している放電補助部21を有している。放電補助部21は、空洞Sを画成する内壁面を構成している。
過渡電圧保護デバイス1では、放電が一対の内部電極間で確実に生じる。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性を確実に向上する。
【0064】
過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部21は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6の対向面積が増加しやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0065】
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6は、第三方向D3に沿った断面において、放電補助部21に沿うように湾曲している。
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6の対向面積がより一層増加しやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制し得る。
【0066】
過渡電圧保護デバイス1では、部分51aと内壁面20bとの最短距離d1は、部分51bと内壁面20bとの最短距離d2より大きい。部分61aと内壁面20bとの最短距離d3は、部分61bと内壁面20bとの最短距離d4より大きい。
過渡電圧保護デバイス1は、面5f,6fが第三方向D3に対して傾斜している構成を確実に実現する。
【0067】
過渡電圧保護デバイス1では、領域51と領域52とでは、第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっている。領域61と領域62とでは、第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっている。
過渡電圧保護デバイス1では、領域51,61での第三方向D3に対する傾きの度合いが増加し得る。この場合、一対の内部電極5,6の対向面積が増加しやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0068】
過渡電圧保護デバイス1では、第三方向D3に沿った断面において、内壁面20bの輪郭は、略直線状を呈している。
過渡電圧保護デバイス1は、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスを確実に実現する。
【0069】
過渡電圧保護デバイス1では、領域52での第三方向D3に対する傾きの度合いは、領域51での第三方向D3に対する傾きの度合いより小さい。領域62での第三方向D3に対する傾きの度合いは、領域61での第三方向D3に対する傾きの度合いより小さい。
過渡電圧保護デバイス1では、領域52,62と素体2とが確実に接し、素体2の強度が向上する。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、機械的強度を向上し得る。
【0070】
次に、図6を参照して、過渡電圧保護デバイス1の変形例の構成を説明する。図6は、本実施形態の変形例に係る過渡電圧保護デバイスの断面構成を示す図である。本変形例では、内壁面20bの構成に関して、上述した本実施形態と相違する。以下、上述した本実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。図6は、本変形例に係る過渡電圧保護デバイス1(素体2)を、図4での切断位置に対応する位置で切断したときの断面構成を示す。
【0071】
第三方向D3に沿った断面において、内壁面20bの輪郭は、面21aに向かって突出している。本変形例では、内壁面20bの輪郭の、第二方向D2における中央部分が、面21aに向かって、突出している。内壁面20bの輪郭のうち、面21aに向かって突出する位置は、上述した位置に限定されない。内壁面20bの輪郭のうち、内部電極5寄りに位置する部分が面21aに向かって突出していてもよく、内部電極6寄りに位置する部分が面21aに向かって突出していてもよい。本変形例でも、第三方向D3に沿った断面は、図6に示されるように、たとえば、素体2を、空洞Sが形成されている位置において、第一方向D1に直交する平面で切断することにより得られる断面である。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0073】
面5f及び面6fのそれぞれは、第三方向D3に対して傾斜していなくてもよい。この場合、面5f及び面6fのうち少なくとも一方の面が第三方向D3に対して傾斜していてもよい。あるいは、面5f及び面6fのそれぞれが、第三方向D3に対して直交していてもよい。面5f及び面6fのそれぞれが第三方向D3に対して傾斜している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制する。
【0074】
過渡電圧保護デバイス1では、内部電極5の厚さは、側縁5cに近付くにしたがって、小さくなっていなくてもよい。内部電極6の厚さは、側縁6cに近付くにしたがって、小さくなっていなくてもよい。内部電極5の厚さが側縁5cに近付くにしたがって小さくなっており、内部電極6の厚さが側縁6cに近付くにしたがって小さくなっている過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0075】
過渡電圧保護デバイス1では、素体2は、放電補助部21を有していなくてもよい。素体2が放電補助部21を有している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性を確実に向上する。素体2が放電補助部21を有していない構成では、本体部20が内壁面20bと第三方向D3で対向する別の内壁面を含む。この場合、該別の内壁面は、内壁面20b及び一対の内壁面20cと共に空洞Sを画成する。
【0076】
過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部21は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲していなくてもよい。放電補助部21が第三方向D3に沿った断面において湾曲している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0077】
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6が、第三方向D3に沿った断面において、放電補助部21に沿うように湾曲していなくてもよい。一対の内部電極5,6が、第三方向D3に沿った断面において、放電補助部21に沿うように湾曲している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制し得る。
【0078】
過渡電圧保護デバイス1では、部分51aと内壁面20bとの最短距離d1は部分51bと内壁面20bとの最短距離d2より大きくなくてもよい。部分61aと内壁面20bとの最短距離d3は部分61bと内壁面20bとの最短距離d4より大きくなくてもよい。最短距離d1が最短距離d2より大きく、最短距離d3が最短距離d4より大きい過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、面5f,6fが第三方向D3に対して傾斜している構成を確実に実現する。
【0079】
過渡電圧保護デバイス1では、領域51と領域52とでは、第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっていなくてもよい。領域61と領域62とでは、第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっていなくてもよい。領域51と領域52とで第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっており、領域61と領域62とで第三方向D3に対する傾きの度合いが互いに異なっている過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0080】
過渡電圧保護デバイス1では、第三方向D3に沿った断面において、内壁面20bの輪郭は、略直線状を呈していなくてもよい。第三方向D3に沿った断面において、内壁面20bの輪郭が略直線状を呈している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、機械的強度を向上し得る過渡電圧保護デバイスを確実に実現する。
【0081】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
内部に空洞が形成されている素体と、
前記素体上に配置されている一対の外部電極と、
互いに対向するように前記素体内に配置されていると共に前記一対の外部電極のうち対応する外部電極にそれぞれ接続されている一対の内部電極と、を備え、
前記素体は、前記空洞を画成すると共に互いに対向している第一内壁面及び第二内壁面を有し、
前記一対の内部電極は、前記空洞に露出していると共に前記第一内壁面上に配置されており、
前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している方向に沿った断面において、前記第一内壁面の輪郭と前記第二内壁面の輪郭とは、互いに異なる形状を呈している、過渡電圧保護デバイス。
(付記2)
前記一対の内部電極のうち少なくとも一方の内部電極は、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向で、互いに対向している第一面及び第二面を有し、
前記第一面は、前記第一内壁面と接しており、
前記第二面は、前記空洞に露出していると共に前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に対して傾斜している、付記1に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記3)
前記一対の内部電極のそれぞれは、前記第一面及び前記第二面を有し、
各前記第二面は、前記一対の内部電極が互いに対向している方向で、互いに対向している、付記2に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記4)
前記一対の内部電極のそれぞれは、前記空洞に露出していると共に前記第一面と前記第二面とを接続している側縁を有し、
各前記側縁は、前記一対の内部電極が対向している前記方向で、互いに対向しており、
前記一対の内部電極のそれぞれの厚さは、前記側縁に近付くにしたがって、小さくなっている、請求項2に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記5)
前記素体は、前記一対の内部電極と接している放電補助部を有し、
前記放電補助部は、前記空洞を画成する前記第一内壁面を構成している、付記1~4のいずれか一つの付記に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記6)
前記放電補助部は、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、湾曲している、付記5に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記7)
前記一対の内部電極は、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、前記放電補助部に沿うように湾曲している、付記6に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記8)
前記一対の内部電極のそれぞれは、前記空洞に露出していると共に前記第一面と前記第二面とを接続している側縁を有し、
前記第二面は、前記空洞に露出している第一部分及び第二部分を含み、
前記第一部分は、前記第二部分よりも前記側縁寄りに位置しており、
前記第一部分と前記第二内壁面との最短距離は、前記第二部分と前記第二内壁面との最短距離より大きい、付記2~7のいずれか一つの付記に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記9)
前記第二面は、
前記空洞に露出している第一領域と、
前記空洞に露出していない第二領域と、を含み、
前記第一領域と前記第二領域とでは、前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に対する傾きの度合いが互いに異なっている、付記2~8のいずれか一つの付記に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記10)
前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、前記第二内壁面の輪郭は、略直線状を呈している、付記1~9のいずれか一つの付記に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記11)
前記第一内壁面と前記第二内壁面とが互いに対向している前記方向に沿った前記断面において、前記第二内壁面の輪郭は、前記第一内壁面に向かって突出している、付記1~9のいずれか一つの付記に記載の過渡電圧保護デバイス。
【符号の説明】
【0082】
1…過渡電圧保護デバイス、2…素体、3,4…外部電極、5,6…内部電極、5c,6c…側縁、5e,5f,6e,6f…面、20b…内壁面、21…放電補助部、21a…面、51,52,61,62…領域、51a,51b,61a,61b…部分、d1,d2,d3,d4…最短距離、S…空洞。
図1
図2
図3
図4
図5
図6