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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033860
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】過渡電圧保護デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01T 4/12 20060101AFI20240306BHJP
   H01T 1/20 20060101ALI20240306BHJP
   H01T 2/02 20060101ALI20240306BHJP
   H01T 4/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01T4/12 F
H01T1/20 F
H01T2/02 F
H01T4/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137739
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 駿介
(72)【発明者】
【氏名】早津 匡人
(72)【発明者】
【氏名】平場 颯汰
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚義
(57)【要約】
【課題】クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する過渡電圧保護デバイスを提供する。
【解決手段】過渡電圧保護デバイス1は、空洞Sが内部に形成されている素体2と、一対の内部電極5,6と、放電補助部7と、を備える。内部電極5は端縁5aを有し、内部電極6は端縁6aを有する。一対の内部電極5,6は、端縁5aの一部5aと端縁6aの一部6aとが空洞S内において第一方向D1で互いに対向するように、素体2内に配置されている。放電補助部7は、一部5a及び一部6aと接するように、素体2内に配置されている。端縁5aは角部5f,5fを含む端5fを含む。端縁6aは角部6f,6fを含む端6fを含む。放電補助部7は、第二方向D2で互いに対向すると共に空洞S内に露出する一対の端縁7c,7dを有する。一部5aは角部5f,5fを含まない。一部6aは角部6f,6fを含まない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞が内部に形成されている素体と、
前記素体上に配置されている一対の外部電極と、
それぞれが端縁を有し、それぞれの前記端縁の一部が前記空洞内において第一方向で互いに対向するように前記素体内に配置されている一対の内部電極と、
前記一対の内部電極のそれぞれが有する前記端縁の前記一部と接するように前記素体内に配置されている放電補助部と、を備え、
前記一対の内部電極のそれぞれが有する前記端縁は、
前記素体の外表面に露出すると共に前記一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されている第一端と、
前記第一端とは反対側に位置していると共に角部を含む第二端と、を含み、
前記放電補助部は、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向すると共に前記空洞内に露出する一対の端縁を有し、
前記一対の内部電極のそれぞれが有する前記端縁の前記一部は、前記角部を含まない、過渡電圧保護デバイス。
【請求項2】
前記放電補助部は、前記第一方向で互いに対向すると共に前記一対の内部電極のうち対応する内部電極にそれぞれ接している別の一対の端縁を有する、請求項1に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項3】
前記放電補助部は、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向に沿った断面において、湾曲している、請求項1又は2に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項4】
前記一対の内部電極は、前記第三方向に沿った前記断面において、湾曲している、請求項3に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項5】
前記一対の内部電極は、前記第三方向に沿った前記断面において、前記放電補助部に沿うように湾曲している、請求項4に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項6】
前記一対の内部電極の前記端縁の前記一部の間において、前記放電補助部の前記第二方向での長さは、前記放電補助部の前記一対の端縁と前記空洞の前記第二方向における両端のうち、互いに対応する端縁と端との前記第二方向での間隔より大きい、請求項1に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項7】
空洞が内部に形成されている素体と、
前記素体上に配置されている一対の外部電極と、
第一方向で互いに対向するように前記素体内に配置されていると共に前記空洞に露出している一対の内部電極と、
前記一対の内部電極と接するように前記素体内に配置されている放電補助部と、を備え、
前記一対の内部電極のそれぞれは、
前記一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されている第一端と、
前記第一端とは反対側に位置していると共に角部を含む第二端と、を有し、
前記放電補助部は、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向している一対の端縁を有し、
前記一対の端縁は、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向から見て、前記空洞の内側に位置しており、
前記角部は、前記空洞に露出していないと共に前記放電補助部に接していない、過渡電圧保護デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過渡電圧保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
知られている過渡電圧保護デバイスは、空洞が内部に形成されている素体と、素体上に配置されている一対の外部電極と、素体内に配置されている一対の内部電極及び放電補助部と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。一対の内部電極のそれぞれは、端縁を有する。それぞれの端縁の一部は、空洞内において、互いに対向する。放電補助部は、一対の内部電極のそれぞれが有する端縁の上記一部と接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/098944号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一対の内部電極のそれぞれが有する端縁の一部が互いに対向している方向に交差する方向において、放電補助部の長さが空洞の長さより大きい構成では、互いに対向する、端縁の一部の間で、放電補助部は、空洞に露出しない領域を有する。本構成では、放電補助部が有する、空洞に露出している領域だけでなく、空洞に露出しない上記領域が、放電を誘発することがある。空洞に露出しない上記領域間での放電は、空洞を介して生じないため、クランプ電圧が素体の抵抗値に影響を受けるおそれがある。この場合、クランプ電圧にばらつきが生じるおそれがある。
【0005】
本発明の各態様は、クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する過渡電圧保護デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る過渡電圧保護デバイスは、空洞が内部に形成されている素体と、素体上に配置されている一対の外部電極と、素体内に配置されている一対の内部電極及び放電補助部と、を備える。一対の内部電極のそれぞれは、端縁を有する。一対の内部電極は、それぞれの端縁の一部が空洞内において第一方向で互いに対向するように、素体内に配置されている。放電補助部は、一対の内部電極のそれぞれが有する端縁の上記一部と接するように、素体内に配置されている。一対の内部電極のそれぞれが有する端縁は、第一端と第二端とを含む。第一端は、素体の外表面に露出すると共に一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されている。第二端は、第一端とは反対側に位置していると共に角部を含む。放電補助部は、第一方向に交差する第二方向で互いに対向すると共に空洞内に露出する一対の端縁を有する。一対の内部電極のそれぞれが有する端縁の上記一部は、上記角部を含まない。
【0007】
上記一つの態様では、放電補助部は、第二方向で互いに対向すると共に空洞内に露出する一対の端縁を有する。したがって、第二方向において、放電補助部の長さは空洞の長さより小さい。互いに対向する、端縁の上記一部の間で、放電補助部は、空洞に露出しない領域を有しない。この結果、上記一つの態様は、空洞を介さない放電を生じさせがたい。
一対の内部電極のそれぞれが有する端縁の上記一部は、空洞内において互いに対向し、かつ、第二端の角部を含まない。したがって、角部は、空洞に露出していないと共に放電補助部に接していない。この結果、上記一つの態様は、放電補助部が有する空洞に露出している領域において、放電を確実に生じさせる。放電補助部が有する空洞に露出している領域は、単に「露出領域」と称されることがある。
以上のことから、上記一つの態様は、クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する。
【0008】
上記一つの態様では、放電補助部は、第一方向で互いに対向すると共に一対の内部電極のうち対応する内部電極にそれぞれ接している別の一対の端縁を有してもよい。
放電補助部が上記別の一対の端縁を有する構成は、上記露出領域において、放電をより一層確実に生じさせる。したがって、本構成は、クランプ電圧にばらつきが生じるのをより一層抑制する。
【0009】
上記一つの態様では、放電補助部は、第一方向及び第二方向に交差する第三方向に沿った断面において、湾曲していてもよい。
放電補助部が、上述したように湾曲している構成は、一対の内部電極の対向面積を増加させやすい。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0010】
上記一つの態様では、一対の内部電極は、第三方向に沿った断面において、湾曲していてもよい。
一対の内部電極が、上述したように湾曲している構成は、一対の内部電極の対向面積を増加させやすい。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0011】
上記一つの態様では、一対の内部電極は、第三方向に沿った断面において、放電補助部に沿うように湾曲していてもよい。
一対の内部電極が、上述したように、放電補助部に沿うように湾曲している構成は、一対の内部電極の対向面積をより一層増加させやすい。したがって、本構成は、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制し得る。
【0012】
上記一つの態様では、一対の内部電極の端縁の上記一部の間において、放電補助部の第二方向での長さは、放電補助部の一対の端縁と空洞の第二方向における両端のうち、互いに対応する端縁と端との第二方向での間隔より大きくてもよい。
上述したように放電補助部の第二方向での長さが上記間隔より大きい構成は、上記露出領域において、放電をより一層確実に生じさせる。したがって、本構成は、クランプ電圧にばらつきが生じるのをより一層抑制する。
【0013】
別の一つの態様に係る過渡電圧保護デバイスは、空洞が内部に形成されている素体と、素体上に配置されている一対の外部電極と、素体内に配置されている一対の内部電極及び放電補助部と、を備える。空洞が内部に形成されている素体と、素体上に配置されている一対の外部電極と、第一方向で互いに対向するように素体内に配置されていると共に空洞に露出している一対の内部電極と、一対の内部電極と接するように素体内に配置されている放電補助部と、を備える。一対の内部電極のそれぞれは、第一端と第二端とを有する。第一端は、一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されている。第二端は、第一端とは反対側に位置していると共に角部を含む。放電補助部は、第一方向に交差する第二方向で互いに対向している一対の端縁を有する。一対の端縁は、第一方向及び第二方向に交差する第三方向から見て、空洞の内側に位置する。上記角部は、空洞に露出していないと共に放電補助部に接していない。
【0014】
上記別の一つの態様では、放電補助部が有する一対の端縁は、第三方向から見て、空洞の内側に位置する。したがって、第二方向において、放電補助部の長さは空洞の長さより小さい。互いに対向する、一対の内部電極の間で、放電補助部は、空洞に露出しない領域を有しない。この結果、上記一つの態様は、空洞を介さない放電を生じさせがたい。
第二端が含む上記角部は、空洞に露出していないと共に放電補助部に接していない。したがって、上記一つの態様は、放電補助部が有する空洞に露出する領域において、放電を確実に生じさせる。
以上のことから、上記別の一つの態様は、クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の各態様は、クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する過渡電圧保護デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る過渡電圧保護デバイスを示す斜視図である。
図2図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、一対の内部電極と放電補助部とを示す図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿った断面構成を示す図である。
図5図5は、図1のV-V線に沿った断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1図5を参照して、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイス1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイスを示す斜視図である。図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。図3は、一対の内部電極と放電補助部とを示す図である。図4は、図1のIV-IV線に沿った断面構成を示す図である。図5は、図1のV-V線に沿った断面構成を示す図である。
【0019】
図1及び図2に示されるように、過渡電圧保護デバイス1は、素体2と、一対の外部電極3,4と、一対の内部電極5,6と、放電補助部7と、を備えている。過渡電圧保護デバイス1は、不図示の電子機器に実装される。過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧から電子機器を保護する。過渡電圧保護デバイス1が保護する電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。過渡電圧は、たとえば、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)に起因する。
【0020】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状は、たとえば、角部及び稜線部が面取されている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。素体2は、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の側面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有する。本実施形態では、一対の側面2e,2fは第一方向D1で互いに対向し、一対の端面2a,2bは第二方向D2で互いに対向し、一対の側面2c,2dは第三方向D3で互いに対向している。一対の端面2a,2b及び四つの側面2c,2d,2e,2fは、素体2の外表面を構成している。四つの側面2c,2d,2e,2fは、それぞれ端面2a及び端面2bと隣り合うと共に、端面2aと端面2bとを接続するように第二方向D2に延在している。四つの側面2c,2d,2e,2fのうちの一側面は、過渡電圧保護デバイス1が実装される電子機器と対向する実装面として規定される。
【0021】
図2に示されるように、素体2は、第三方向D3に複数の絶縁体層20が積層されて構成されている。素体2は、積層されている複数の絶縁体層20を有する。素体2では、各絶縁体層20は、各絶縁体層20の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各絶縁体層20は、たとえば、絶縁体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体として構成されている。
【0022】
絶縁体材料は、たとえば、セラミック材料を含む。セラミック材料は、たとえば、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、MnCO、SrCO、CaCO、BaCO、Al、ZrO、及びBからなる群から選ばれる。絶縁体層20は、単独のセラミック材料からなっていてもよいし、二種類以上のセラミック材料からなっていてもよい。絶縁体層20は、ガラスを含有していてもよい。絶縁体層20は、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO又はCuO)を含有していてもよい。
【0023】
第一方向D1は、素体2の幅方向であり、第二方向D2は、素体2の長さ方向であり、第三方向D3は、素体2の高さ方向である。素体2の幅は、たとえば、0.3mm以上1.2mm以下である。素体2の長さは、たとえば、0.6mm以上2.0mm以下である。素体2の高さは、たとえば、0.2mm以上1.2mm以下である。本実施形態では、素体2の幅は1.0mmであり、素体2の長さは0.5mmであり、素体2の高さは0.5mmである。
【0024】
外部電極3,4は、素体2上に配置されている。外部電極3,4は、第二方向D2において互いに対向するように素体2上に配置されている。外部電極3,4は、素体2の第二方向D2の両端部に配置されている。外部電極3,4は、第二方向D2において互いに離間している。
【0025】
外部電極3は、端面2aに配置されている。外部電極3は、内部電極5と接続されている。外部電極3は、内部電極5と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極3は、端面2aを覆っている。外部電極3は、四つの側面2c,2d,2e,2fの各一部も覆っている。四つの側面2c,2d,2e,2fの、外部電極3に覆われている各一部は、対応する側面2c,2d,2e,2fにおいて、端面2a寄りに位置している。外部電極3は、端面2aの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2a寄りの端部とに配置されている。
【0026】
外部電極4は、端面2bに配置されている。外部電極4は、内部電極6と接続されている。外部電極4は、内部電極6と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極4は、端面2bを覆っている。外部電極4は、四つの側面2c,2d,2e,2fの各一部も覆っている。四つの側面2c,2d,2e,2fの、外部電極4に覆われている各一部は、対応する側面2c,2d,2e,2fにおいて、端面2b寄りに位置している。外部電極4は、端面2bの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2b寄りの端部とに配置されている。
【0027】
内部電極5,6は、第一方向D1において、互いに対向するように素体2内に配置されている。各内部電極5,6は、第二方向D2に延在している。内部電極5は、側面2e寄りに配置されている。内部電極6は、側面2f寄りに配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3において、同じ高さ位置、すなわち、同じ積層位置に配置されている。図2に示されるように、内部電極5,6は、互いに同じ絶縁体層20上に配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3、すなわち、絶縁体層20の積層方向の略中央に配置されている。
【0028】
図3に示されるように、内部電極5は、互いに対向している一対の端縁5a,5bと、互いに対向している一対の面5c,5dと、を有する。一対の端縁5a,5bは、第一方向D1で互いに対向し、一対の面5c,5dは第三方向D3で互いに対向している。本実施形態では、端縁5aは、一対の端5e,5fを含む。内部電極5は、一対の端縁5a,5b及び一対の面5c,5dに加えて、一対の端5e,5fを有する。端縁5aは、内部電極6と対向している。各端縁5a,5bは、面5c及び面5dのそれぞれと隣り合っている。
【0029】
端5eは、素体2の外表面に露出している。端5eは、端面2aに露出している。端5eは、外部電極3に接続されている。本実施形態では、端5eは、外部電極3と直接接続されている。端5eは、外部電極3と接続されている接続端を構成する。端5eは、内部電極5の一方の端だけでなく、内部電極5の一方の端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端5eは、第二方向D2に上記所定の長さを有する。
【0030】
本実施形態では、端5eは、端面2aに露出している面5eと、内部電極6寄りに位置していると共に第二方向D2に延在している部分5eと、部分5eとは反対側に位置していると共に第二方向D2に延在している部分5eと、を含む。端縁5aは、端5eのうち、部分5eを含む。端5eは、端縁5aに含まれている部分と、端縁5aに含まれていない部分と、を含む。
【0031】
端5fは、端5eとは、第二方向D2において反対側に位置している。端5fは、素体2内に位置しており、素体2の外表面には露出していない。端5fは、各端面2a,2bから離間している。端5fは、素体2に埋まっており、素体2のみと接している。第三方向D3から見て、端5fは、外部電極4と離間しており、外部電極4と重なっていない。端5eと同様に、端5fも、内部電極5の他方の端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端5fも、第二方向D2に上記所定の長さを有する。
【0032】
本実施形態では、端5fは、内部電極5の先端面を構成する面5fと、内部電極6寄りに位置していると共に第二方向D2に延在している部分5fと、部分5fとは反対側に位置していると共に第二方向D2に延在している部分5fと、角部5f,5fと、を含む。角部5fは、面5fと部分5fとの間に位置している。面5f及び部分5fは、角部5fと隣り合っている。角部5fは、面5fと部分5fとの間に位置している。面5f及び部分5fは、角部5fと隣り合っている。端縁5aは、端5fのうち、部分5fを含む。端5fは、端縁5aに含まれている部分と、端縁5aに含まれていない部分と、を含む。たとえば、端5eが第一端を構成する場合、端5fが第二端を構成する。
【0033】
図3に示されるように、内部電極6は、互いに対向している一対の端縁6a,6bと、互いに対向している一対の面6c,6dと、を有する。一対の端縁6a,6bは第一方向D1で互いに対向し、一対の面6c,6dは第三方向D3で互いに対向している。本実施形態では、端縁6aは、一対の端6e,6fを含む。内部電極6は、一対の端縁6a,6b及び一対の面6c,6dに加えて、一対の端6e,6fを有する。端縁6aは、内部電極5と対向している。各端縁6a,6bは、面6c及び面6dのそれぞれと隣り合っている。
【0034】
端6eは、素体2の外表面に露出している。端6eは、端面2bに露出している。端6eは、外部電極4に接続されている。本実施形態では、端6eは、外部電極4と直接接続されている。端6eは、外部電極4と接続されている接続端を構成する。端6eは、内部電極6の一方の端だけでなく、内部電極6の一方の端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端6eは、第二方向D2に上記所定の長さを有する。
【0035】
本実施形態では、端6eは、端面2bに露出している面6eと、内部電極5寄りに位置していると共に第二方向D2に延在している部分6eと、部分6eとは反対側に位置していると共に第二方向D2に延在している部分6eと、を含む。端縁6aは、端6eのうち、部分6eを含む。端6eは、端縁6aに含まれている部分と、端縁6aに含まれていない部分と、を含む。
【0036】
端6fは、端6eとは、第二方向D2において反対側に位置している。端6fは、素体2内に位置しており、素体2の外表面には露出していない。端6fは、各端面2a,2bから離間している。端6fは、素体2に埋まっており、素体2のみと接している。第三方向D3から見て、端6fは、外部電極3と離間しており、外部電極3と重なっていない。端6eと同様に、端6fも、内部電極6の他方の端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端6fも、第二方向D2に上記所定の長さを有する。
【0037】
本実施形態では、端6fは、内部電極6の先端面を構成する面6fと、内部電極5寄りに位置していると共に第二方向D2に延在している部分6fと、部分6fとは反対側に位置していると共に第二方向D2に延在している部分6fと、角部6f,6fと、を含む。角部6fは、面6fと部分6fとの間に位置している。面6f及び部分6fは、角部6fと隣り合っている。角部6fは、面6fと部分6fとの間に位置している。面6f及び部分6fは、角部6fと隣り合っている。端縁6aは、端6fのうち、部分6fを含む。端6fは、端縁6aに含まれている部分と、端縁6aに含まれていない部分と、を含む。たとえば、端6eが第一端を構成する場合、端6fが第二端を構成する。
【0038】
外部電極3,4及び内部電極5,6は、導電材料を含む。導電材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又は、Wを含む。導電材料は、たとえば、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又は、Ag/Pt合金を含んでもよい。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに同じ導電材料を含んでもよい。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに異なる導電材料を含んでいてもよい。
【0039】
外部電極3,4は、たとえば、素体2の外表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成される。外部電極3,4を形成するための導電性ペーストは、上記導電材料を含む。内部電極5,6は、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与された導電性ペーストを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。導電性ペーストは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。内部電極5,6を形成するための導電性ペーストも、上記導電材料を含む。
【0040】
図2図5に示されるように、放電補助部7は、素体2内に配置されている。放電補助部7は、素体2の外表面から離間している。放電補助部7は、素体2から露出していない。放電補助部7は、互いに対向している一対の端縁7a,7bと、互いに対向している一対の端縁7c,7dと、を有する。一対の端縁7a,7bは第一方向D1で互いに対向し、一対の端縁7c,7dは第二方向D2で互いに対向している。放電補助部7は、第三方向D3から見て、四つの端縁7a,7b,7c,7dで規定される矩形状を呈している。矩形状は、角が丸められている形状、及び、角が取られている形状を含む。放電補助部7は、素体2の外表面から離間している。放電補助部7は、素体2から露出していない。
【0041】
放電補助部7は、互いに対向している一対の面7e,7fを更に有する。一対の面7e,7fは第三方向D3で互いに対向している。面7eは、内部電極5,6と接している。面7eは、内部電極5の面5c及び内部電極6の面6cと接している。内部電極5,6は、面7e上に配置されている。面7eは、内部電極5,6に覆われている領域と、内部電極5,6から露出している領域と、を含む。面7fは、素体2と接している。面7fの全体は、素体2に覆われている。放電補助部7は、内部電極5,6に接していると共に内部電極5,6を互いに接続している。内部電極5と内部電極6とは、放電補助部7を介して互いに連結されている。放電補助部7は、内部電極5,6と共に、過渡電圧サプレッサを構成している。過渡電圧サプレッサは、過渡電圧吸収性能を有する。
【0042】
放電補助部7の幅は、たとえば、0.03mm以上0.9mm以下である。放電補助部7の長さは、たとえば、0.03mm以上1.6mm以下である。放電補助部7の厚さは、たとえば、0.5μm以上10μm以下である。本実施形態では、放電補助部7の幅、長さ及び厚さは、それぞれ、0.2mm、0.3mm及び2μmである。放電補助部7の幅、長さ、及び厚さは、たとえば、それぞれ、第一方向D1での長さ、第二方向D2での長さ、及び第三方向D3での長さで規定される。
【0043】
放電補助部7は、絶縁体及び金属粒子を含む。絶縁体は、たとえば、セラミック材料からなる。セラミック材料は、たとえば、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、MnCO、SrCO、CaCO、BaCO、Al、ZrO、及びBからなる群から選ばれる。放電補助部7は、この群から選ばれる一種類のセラミック材料のみを含んでもよいし、この群から選ばれる二種類以上のセラミック材料を含んでもよい。金属粒子は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又は、Ag/Pt合金を含む。放電補助部7は、半導体粒子を含んでもよい。半導体粒子は、たとえば、RuOからなる。放電補助部7は、ガラスを含んでもよい。
【0044】
放電補助部7は、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与されたスラリーを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。スラリーは、上記セラミック材料及び金属粒子を含む。スラリーは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。
【0045】
図3図5に示されるように、素体2の内部には、空洞Sが形成されている。空洞Sは、素体2の外表面から離間している。空洞Sを画成する面は、素体2の内壁と、内部電極5の端縁5a及び面5dと、内部電極6の端縁6a及び面6dと、を含む。空洞Sを画成する面は、放電補助部7の内部電極5,6から露出している領域も含む。放電補助部7の、内部電極5,6から露出している領域が、空洞Sに露出している領域である。放電補助部7は、空洞Sに露出している領域を有する。
【0046】
第三方向D3から見て、空洞Sの第一方向D1における端S1は、内部電極5の端縁5bより内側に位置している。第三方向D3から見て、空洞Sの第一方向D1における端S2は、内部電極6の端縁6bより内側に位置している。第三方向D3から見て、空洞Sの第二方向D2における端S3は、内部電極6の端6fより内側に位置している。第三方向D3から見て、空洞Sの第二方向D2における端S4は、内部電極5の端5fより内側に位置している。
【0047】
空洞Sは、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与された有機ラッカーを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。空洞Sは、有機ラッカーの焼失により形成される。有機ラッカーは、有機溶剤及び有機バインダを含む。有機ラッカーは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。
【0048】
図3図5に示されるように、内部電極5の端縁5a及び内部電極6の端縁6aは、空洞Sに露出している。本実施形態では、端縁5aの一部5a及び端縁6aの一部6aが、空洞Sに露出している。一部5aと一部6aとは、空洞S内において、互いに対向している。一部5aと一部6aとは、第一方向D1において、互いに対向している。一部5a及び一部6aは、放電補助部7と接している。放電補助部7は、一部5a及び一部6aと接するように素体2内に配置されている。一部5a及び一部6aは、放電補助部7と接している部分と、放電補助部7と接していない部分と、を含む。
【0049】
上述したように、空洞Sの端S4は内部電極5の端5fより内側に位置しているので、空洞Sに露出している一部5aは端5f及び端5fが含む角部5f,5fを含まない。同様に、空洞Sの端S3は内部電極6の端6fより内側に位置しているので、空洞Sに露出している一部6aは端6f及び端6fが含む角部6f,6fを含まない。したがって、角部5f,5f及び角部6f,6fは、空洞Sに露出していない。
【0050】
図3に示されるように、第三方向D3から見て、放電補助部7の一対の端縁7a,7bは、空洞Sの内側に位置している。本実施形態では、第三方向D3から見て、端縁7aが端S1より内側に位置しており、端縁7bが端S2より内側に位置している。上述したように、第三方向D3から見て、端S1は内部電極5の端縁5bより内側に位置しており、端S2は内部電極6の端縁6bより内側に位置している。したがって、第三方向D3から見て、端縁7aは端縁5bより内側に位置しており、端縁7bは端縁6bより内側に位置している。端縁7aは、内部電極5と接している。端縁7aは、内部電極5の周縁の内側に位置している。端縁7bは、内部電極6と接している。端縁7bは、内部電極6の周縁の内側に位置している。内部電極5の周縁は端縁5a,5b及び面5e,5fによって規定され、内部電極6の周縁は端縁6a,6b及び面6e,6fによって規定される。
【0051】
放電補助部7の一対の端縁7c,7dは、空洞Sに露出している。本実施形態では、一対の端縁7c,7dの一部が、空洞Sに露出している。一対の端縁7c,7dは、空洞Sに露出している部分と、空洞Sに露出していない部分と、を含む。一対の端縁7c,7dのうち、空洞Sに露出していない部分が、内部電極5,6と接している。
【0052】
第三方向D3から見て、放電補助部7の一対の端縁7c,7dも、空洞Sの内側に位置している。本実施形態では、第三方向D3から見て、端縁7cが端S3より内側に位置しており、端縁7dが端S4より内側に位置している。上述したように、第三方向D3から見て、端S3は内部電極6の端6fより内側に位置しており、端S4は内部電極5の端5fより内側に位置している。したがって、第三方向D3から見て、端縁7cは端6fより内側に位置しており、端縁7dは端5fより内側に位置している。端5f及び端6fは、放電補助部7と接していない。端5fが含む角部5f,5f及び端6fが含む角部6f,6fは、放電補助部7と接していない。
【0053】
図3及び図4に示されるように、内部電極5の端縁5aの一部5aと内部電極6の端縁6aの一部6aとの間において、放電補助部7の第二方向D2での長さd1は、放電補助部7の端縁7cと空洞Sの端S3との第二方向D2での間隔d2及び放電補助部7の端縁7dと空洞Sの端S4との第二方向D2での間隔d3より大きい。上述したように、放電補助部7の長さは、放電補助部7の第二方向D2での長さd1により規定される。したがって、放電補助部7の長さは、間隔d2及び間隔d3より大きい。間隔d2と間隔d3とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
図4は、素体2を空洞Sが形成されている位置において、第二方向D2に直交する平面で切断されることにより得られる断面を、第一方向D1のうち内部電極6から内部電極5に向かう方向に見た図である。本実施形態では、上記断面を、第一方向D1のうち内部電極5から内部電極6に向かう方向に見た場合であっても、一部5aと一部6aとの間では、長さd1と間隔d2及び間隔d3の関係は、上述した関係と同様である。
【0054】
放電補助部7の長さを示す長さd1は、上述したように、たとえば、0.03mm以上1.6mm以下である。間隔d2は、たとえば、0mm以上0.6mm以下である。間隔d3は、たとえば、0mm以上0.6mm以下である。本実施形態では、長さd1は0.3mmであり、間隔d2は0.1mmであり、間隔d3は0.1mmである。
【0055】
図5に示されるように、放電補助部7は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。図5で示される第三方向D3に沿った断面は、素体2を、空洞Sが形成されている位置において、第一方向D1に直交する平面で切断することにより得られる断面である。放電補助部7は、第三方向D3に沿った断面において、円弧状を呈するように湾曲している。面7e及び面7fは、円弧状を呈するように湾曲している。内部電極5,6も、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。内部電極5,6は、第三方向D3に沿った断面において、放電補助部7に沿うように湾曲している。本実施形態では、内部電極5の面5cの一部及び内部電極6の面6cの一部が、放電補助部7の面7eに沿うように、湾曲している。
【0056】
以上説明したように、過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部7は、第二方向D2で互いに対向すると共に空洞S内に露出する一対の端縁7c,7dを有する。したがって、第二方向D2において、放電補助部7の長さは空洞Sの長さより小さい。互いに対向する、端縁5aの一部5aと端縁6aの一部6aとの間で、放電補助部7は、空洞Sに露出しない領域を有しない。この結果、過渡電圧保護デバイス1は、空洞Sを介さない放電を生じさせがたい。
過渡電圧保護デバイス1では、端縁5aの一部5a1と端縁6aの一部6a1とは空洞S内において互いに対向し、かつ、一部5a1は端5fの角部5f,5fを含まないと共に一部6aは端6fの角部6f,6fを含まない。したがって、角部5f,5f及び角部6f,6fは、空洞Sに露出していないと共に放電補助部7に接していない。この結果、過渡電圧保護デバイス1は、放電補助部7が有する空洞Sに露出している領域において、放電を確実に生じさせる。
以上のことから、過渡電圧保護デバイス1は、クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する。
【0057】
過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部7は、第一方向D1で互いに対向する一対の端縁7a,7bを有する。端縁7aは、内部電極5と接している。端縁7bは、内部電極6と接している。
過渡電圧保護デバイス1は、放電補助部7が有する空洞Sに露出している領域において、放電をより一層確実に生じさせる。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、クランプ電圧にばらつきが生じるのをより一層抑制する。
【0058】
過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部7は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。
過渡電圧保護デバイス1は、一対の内部電極5,6の対向面積を増加させやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0059】
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲している。
過渡電圧保護デバイス1は、一対の内部電極5,6の対向面積を増加させやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0060】
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6は、第三方向D3に沿った断面において、放電補助部7に沿うように湾曲している。
過渡電圧保護デバイス1は、一対の内部電極5,6の対向面積をより一層増加させやすい。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制し得る。
【0061】
過渡電圧保護デバイス1では、内部電極5の端縁5aの一部5aと内部電極6の端縁6aの一部6aとの間において、放電補助部7の第二方向D2での長さd1は、放電補助部7の端縁7cと空洞Sの端S3との第二方向D2での間隔d2及び放電補助部7の端縁7dと空洞Sの端S4との第二方向D2での間隔d3より大きい。
過渡電圧保護デバイス1は、放電補助部7が有する空洞Sに露出している領域において、放電をより一層確実に生じさせる。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、クランプ電圧にばらつきが生じるのをより一層抑制する。
【0062】
過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部7が有する一対の端縁7c,7dは、第三方向D3から見て、空洞Sの内側に位置する。したがって、第二方向D2において、放電補助部7の長さは空洞Sの長さより小さい。互いに対向する、一対の内部電極5,6の間で、放電補助部7は、空洞Sに露出しない領域を有しない。この結果、過渡電圧保護デバイス1は、空洞Sを介さない放電を生じさせがたい。
過渡電圧保護デバイス1では、角部5f,5f及び角部6f,6fは、空洞Sに露出していないと共に放電補助部7に接していない。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、放電補助部7が有する空洞Sに露出する領域において、放電を確実に生じさせる。
以上のことから、過渡電圧保護デバイス1は、クランプ電圧にばらつきが生じるのを抑制する。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0064】
端縁7aは内部電極5と接していなくてもよく、端縁7bは内部電極6と接していなくてもよい。この場合、端縁7aは第一方向D1において内部電極5の端縁5bより外側に位置していてもよく、端縁7bは第一方向D1において内部電極6の端縁6bより外側に位置していてもよい。端縁7aが内部電極5と接していると共に端縁7bが内部電極6と接している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、クランプ電圧にばらつきが生じるのをより一層抑制する。
【0065】
放電補助部7は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲していなくてもよい。放電補助部7が第三方向D3に沿った断面において湾曲している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0066】
一対の内部電極5,6は、第三方向D3に沿った断面において、湾曲していなくてもよい。一対の内部電極5,6が第三方向D3に沿った断面において湾曲している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化を抑制し得る。
【0067】
一対の内部電極5,6は、第三方向D3に沿った断面において、放電補助部7に沿うように湾曲していなくてもよい。一対の内部電極5,6が第三方向D3に沿った断面において放電補助部7に沿うように湾曲している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性の劣化をより一層抑制し得る。
【0068】
内部電極5の端縁5aの一部5aと内部電極6の端縁6aの一部6aとの間では、放電補助部7の第二方向D2での長さd1は、放電補助部7の端縁7cと空洞Sの端S4との第二方向D2での間隔d2及び放電補助部7の端縁7dと空洞Sの端S3との第二方向D2での間隔d3より大きくなくてもよい。長さd1が間隔d2及び間隔d3より大きい過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、クランプ電圧にばらつきが生じるのをより一層抑制する。
【0069】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す態様の開示を含む。
(付記1)
空洞が内部に形成されている素体と、
前記素体上に配置されている一対の外部電極と、
それぞれが端縁を有し、それぞれの前記端縁の一部が前記空洞内において第一方向で互いに対向するように前記素体内に配置されている一対の内部電極と、
前記一対の内部電極のそれぞれが有する前記端縁の前記一部と接するように前記素体内に配置されている放電補助部と、を備え、
前記一対の内部電極のそれぞれが有する前記端縁は、
前記素体の外表面に露出すると共に前記一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されている第一端と、
前記第一端とは反対側に位置していると共に角部を含む第二端と、を含み、
前記放電補助部は、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向すると共に前記空洞内に露出する一対の端縁を有し、
前記一対の内部電極のそれぞれが有する前記端縁の前記一部は、前記角部を含まない、過渡電圧保護デバイス。
(付記2)
前記放電補助部は、前記第一方向で互いに対向すると共に前記一対の内部電極のうち対応する内部電極にそれぞれ接している別の一対の端縁を有する、付記1に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記3)
前記放電補助部は、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向に沿った断面において、湾曲している、付記1又は2に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記4)
前記一対の内部電極は、前記第三方向に沿った前記断面において、湾曲している、付記3に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記5)
前記一対の内部電極は、前記第三方向に沿った前記断面において、前記放電補助部に沿うように湾曲している、付記4に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記6)
前記一対の内部電極の前記端縁の前記一部の間において、前記放電補助部の前記第二方向での長さは、前記放電補助部の前記一対の端縁と前記空洞の前記第二方向における両端のうち、互いに対応する端縁と端との前記第二方向での間隔より大きい、付記1~6のいずれか一つの付記に記載の過渡電圧保護デバイス。
(付記7)
空洞が内部に形成されている素体と、
前記素体上に配置されている一対の外部電極と、
第一方向で互いに対向するように前記素体内に配置されていると共に前記空洞に露出している一対の内部電極と、
前記一対の内部電極と接するように前記素体内に配置されている放電補助部と、を備え、
前記一対の内部電極のそれぞれは、
前記一対の外部電極のうち対応する外部電極に接続されている第一端と、
前記第一端とは反対側に位置していると共に角部を含む第二端と、を有し、
前記放電補助部は、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向している一対の端縁を有し、
前記一対の端縁は、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向から見て、前記空洞の内側に位置しており、
前記角部は、前記空洞に露出していないと共に前記放電補助部に接していない、過渡電圧保護デバイス。
【符号の説明】
【0070】
1…過渡電圧保護デバイス、2…素体、3,4…外部電極、5,6…内部電極、5a,6a…端縁、5a,6a…一部、5e,5f,6e,6f…端、5f,5f,6f,6f…角部、7…放電補助部、7a,7b,7c,7d…端縁、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、d1…長さ、d2,d3…間隔、S…空洞、S3,S4…端。
図1
図2
図3
図4
図5