(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033907
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】剪定機
(51)【国際特許分類】
A01G 3/08 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A01G3/08 503B
A01G3/08 503A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137824
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】籾山 寛
(57)【要約】
【課題】枝の剪定作業や枝打ち作業時時の操作性が良好であり、地面や載置台等に載置した際も転倒し難い剪定機を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、剪定機が提供される。この剪定機は、先端側に剪定刃を有する剪定機構と、剪定機構の基端側に接続されたポールと、ポールの中心軸に対して略直交する側方に突出し、端部が中心軸から離間する第1の位置と、端部が中心軸に接近する第2の位置との間で変位可能に設けられたフックを有するフック機構とを備える。フックは、基端側から先端側に向かう方向の第1の外力が付与された場合、第1の位置を維持し、先端側から基端側に向かう方向及び/又は側方から中心軸に向かう方向の第2の外力が付与された場合、第1の位置から第2の位置に変位するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剪定機であって、
先端側に剪定刃を有する剪定機構と、
前記剪定機構の基端側に接続されたポールと、
前記ポールの中心軸に対して略直交する側方に突出し、端部が前記中心軸から離間する第1の位置と、前記端部が前記中心軸に接近する第2の位置との間で変位可能に設けられたフックを有するフック機構とを備え、
前記フックは、前記基端側から前記先端側に向かう方向の第1の外力が付与された場合、前記第1の位置を維持し、前記先端側から前記基端側に向かう方向及び/又は前記側方から前記中心軸に向かう方向の第2の外力が付与された場合、前記第1の位置から前記第2の位置に変位するように構成されている、剪定機。
【請求項2】
請求項1に記載の剪定機において、
前記フックは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で回動するように構成されている、剪定機。
【請求項3】
請求項2に記載の剪定機において、
更に、前記第1の位置において、前記フックに当接して前記フックの回動を阻止する第1の当接部を有する、剪定機。
【請求項4】
請求項2に記載の剪定機において、
更に、前記第2の位置において、前記フックに当接して前記フックの回動を阻止する第2の当接部を有する、剪定機。
【請求項5】
請求項1に記載の剪定機において、
前記フックは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で、前記中心軸に対して略直交する方向に沿ってスライドするように構成されている、剪定機。
【請求項6】
請求項1に記載の剪定機において、
前記フック機構は、更に、前記フックを前記第2の位置から前記第1の位置に向かって付勢する付勢部材を有する、剪定機。
【請求項7】
請求項1に記載の剪定機において、
前記フックは、その長手方向のサイズが前記先端側から前記基端側に向かって増大している、剪定機。
【請求項8】
請求項1に記載の剪定機において、
前記フックの前記端部は、直線状又は湾曲凸状の端面を有する、剪定機。
【請求項9】
請求項1に記載の剪定機において、
前記フック機構は、前記剪定機構と前記ポールとの接続部又はその付近に設けられている、剪定機。
【請求項10】
請求項1に記載の剪定機において、
前記剪定刃は、前記中心軸に沿った方向を長軸とする楕円軌道に沿って回転するように構成されている、剪定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、草刈りや枝葉の剪定作業、樹木の枝打ち作業等に用いられる剪定器具が知られている(特許文献1参照)。この剪定器具は、器具部分と、器具部分に接続されたポールとを備える。
また、剪定器具は、器具部分又はポールに配置されたフック組立体を備える。フック組立体を使用することにより、木に引っかかった剪定後の枝を引き落とすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者の検討によれば、フック組立体のサイズが大きいと、剪定後の枝を引き落し易いが、剪定器具を剪定目的の枝に到達させる際に邪魔になる。一方、フック組立体のサイズが小さいと、剪定器具を剪定目的の枝に到達させる際に邪魔になり難いが、剪定後の枝の引き落しが難しくなる。
また、フック組立体のサイズが大きいと、剪定器具を地面や載置台に載置した際に、剪定器具がバランスを崩して転倒してしまう。
【0005】
なお、特許文献1には、フック組立体を手動で回動可能に構成した例も開示されているが、フック組立体の回動操作をするために、剪定作業等を一時中断する必要が生じる。
本発明では上記事情に鑑み、枝の剪定作業や枝打ち作業時時の操作性が良好であり、地面や載置台等に載置した際も転倒し難い剪定機を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、剪定機が提供される。この剪定機は、先端側に剪定刃を有する剪定機構と、剪定機構の基端側に接続されたポールと、ポールの中心軸に対して略直交する側方に突出し、端部が中心軸から離間する第1の位置と、端部が中心軸に接近する第2の位置との間で変位可能に設けられたフックを有するフック機構とを備える。フックは、基端側から先端側に向かう方向の第1の外力が付与された場合、第1の位置を維持し、先端側から基端側に向かう方向及び/又は側方から中心軸に向かう方向の第2の外力が付与された場合、第1の位置から第2の位置に変位するように構成されている。
【0007】
かかる態様によれば、枝の剪定作業や枝打ち作業時時の操作性が良好であり、地面や載置台等に載置した際も転倒し難い剪定機を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る剪定機の斜視図である。
【
図5】
図5は、フック機構の構成を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、フック機構の他の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュ-タが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサ-バからダウンロ-ド可能に提供されてもよいし、外部のコンピュ-タで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピュ-ティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハ-ドウェア資源と、これらのハ-ドウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィ-ルドプログラマブルゲ-トアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る剪定機の斜視図である。
図2は、
図1に示す剪定機の平面図である。
図3は、
図1に示す剪定機の側面図である。
図4は、剪定機構の平面図である。
図5は、フック機構の構成を示す分解斜視図である。
なお、以下の説明では、各図に示すように、X軸、Y軸及びZ軸を設定して方向を特定する。したがって、X軸方向正側が「先端側」に、X軸方向負側が「基端側」に相当する。
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る剪定機1は、剪定機構10と、剪定機構10のX軸方向負側(基端側)に接続されたポール(操作桿)20と、ポール20のX軸方向負側(手元側)に接続された駆動機構30とを備えている。
【0014】
剪定機構10は、そのX軸方向正側(先端側)に剪定刃111を有している。本実施形態では、剪定機構10の剪定部11は、連続移動する剪定刃111を有するチェーンソーである。
この剪定機構10は、ギアボックス12内のスプロケットに係合したチェンがガイドプレート112の周囲に沿って摺動することで、チェンに装着された剪定刃111が連続移動する。すなわち、剪定刃111は、ポール20の中心軸Oに沿った方向を長軸とする楕円軌道に沿って回転するように構成されている。
なお、剪定部11は、例えば、中心軸Oに沿って往復動可能な剪定刃を有する鋸であってもよく、中心軸Oを介して開閉可能な剪定刃を有する鋏であってもよく、中心軸Oに対して平行又は傾斜する回転軸を中心に回転可能な剪定刃を有する円盤等であってもよい。
【0015】
駆動機構30は、剪定機構10を駆動するための原動機を有している。原動機には、エンジン又は電動モータを使用することができる。
原動機がエンジンの場合には、駆動機構30は、エンジンの動作燃料を貯留する燃料タンクを備える。一方、原動機が電動モータの場合には、駆動機構30は、電動モータに電気供給するためのバッテリを備える。
なお、駆動機構30は、ポール20から分離して、操作者が背負ったり腰に巻き付けたりすることにより、身体に装着するように構成してもよい。
駆動機構30が発生する動力は、ポール20の内部に配備されたフレキシブル伝動軸(図示せず。)を介してポール20のX軸方向正側に装備された剪定機構10のギアボックス12に伝動される。
【0016】
ポール20には、中心軸Oに沿ってX軸方向正側から負側に向かって順に、第1のグリップ21、ハンドル22、操作部23及び第2のグリップ25が設けられている。
グリップ21は、ポール20の外周を被覆するように設けられている。また、ハンドル22は、環状をなす湾曲させたパイプ状の部材で構成され、中心軸Oと略直交するように設けられている。第2のグリップ25と、第1のグリップ21又はハンドル22とを把持して剪定作業を行えば、その作業性を高めることができるとともに、安全性も高い。
操作部23には、駆動機構30のオン/オフや変速を行う操作ボタン等が設けられている。第2のグッリプ25を把持すれば、操作部23を安全に操作し易い。
かかる剪定機1によれば、操作者が左右一方の手で第2のグリップ25を把持し、他方の手で第1のグリップ21又はハンドル22(好ましくはハンドル22)を把持した状態で、剪定機構10を上又は横に向けて、樹木の剪定作業や枝打ち作業等を行うことができる。
また、グリップ21とハンドル22との間には、異なる種類の剪定機構10(剪定部11)が接続されたポール20を付け替えて固定するための固定機構24が設けられている。なお、ポール20が伸縮可能な機構を有する場合、固定機構24の操作によりポール20を伸縮させる構成とすることができる。
【0017】
剪定機1は、更にフック機構40を備えている。本実施形態では、フック機構40は、剪定機構10のギアボックス12のX軸方向負側(基端側)に設けられている。
図5に示すように、ギアボックス12のX軸方向負側の下部には、平板状の取付部13がZ軸方向負側に向かって突出形成されている。
この取付部13には、円筒状の軸部131がY軸方向正側に向かって突出形成されている。軸部131の内周面には、ネジ溝131aが形成されている。
また、取付部13には、Y軸方向に沿って貫通する貫通孔132が形成されている。
なお、ギアボックス12の軸部131に臨む2つの面は、後述するフック41が当接する当接面121、122を構成している。当接面121は、X軸に略直交する面であり、当接面122は、Z軸に略直交する面である。したがって、当接面121と当接面122とは、互いに略直交している。
【0018】
かかる取付部13に、フック機構40が取り付けられている。フック機構40は、フック41と、トーションばね(付勢部材)42と、ネジ43とを有している。
フック41は、細幅の板状部材で構成され、そのZ軸方向正側の端部に、厚さが薄い薄肉部411を有している。
この薄肉部411には、トーションばね42を保持する円筒状の保持部412がY軸方向負側に向かって突出形成されている。保持部412及び薄肉部411には、それらを連続して貫通する貫通孔412aが形成されている。貫通孔412aには、軸部131が挿入される。
フック41は、
図4に示すように、その長手方向のサイズがX軸方向正側から負側(先端側から基端側)に向かって増大している。本実施形態では、フック41は、その端部に、湾曲凸状の端面414を有している。また、フック41は、そのX軸方向負側に、湾曲凹状の側面415を有している。
【0019】
トーションばね42は、線材が円筒状に巻回されてなるばね本体421と、ばね本体421に連続し、Y軸方向負側に延びる端部422と、ばね本体421に連続し、X軸方向負側に延びる端部423とを有している。また、端部422は、そのY軸方向の途中でX軸方向正側に向かって屈曲している。
トーションばね42のばね本体421を、フック41の保持部412の外周に配置する。この状態で、端部422を貫通孔132に挿通し、屈曲部分を貫通孔132のY軸方向負側の周縁に引っ掛けるとともに、保持部412の貫通孔412aに軸部131を挿入する。このとき、トーションばね42の端部423は、フック41の段差部413に当接する。そして、ネジ43を貫通孔412aに挿通し、ネジ部431のネジ山を軸部131のネジ溝131aに螺合させる。
これにより、フック41(フック機構40)がギアボックス12の取付部13に取り付けられる。
【0020】
かかる構成のフック機構40によれば、フック41は、Z軸方向負側(ポール20の中心軸Oに対して略直交する側方)に突出し、端部が中心軸Oから離間する第1の位置と、端部が中心軸Oに接近する第2の位置との間で回動可能(変位可能)に設けられている。
フック41の取付部13に回動可能に装着されている側の端部を「装着端部」と、フック41の取付部13と反対側の端部を「自由端部」とも記載する。
そして、フック41は、第1の位置(
図4に示す位置)において、ギアボックス12の当接面(第1の当接部)121に当接し、第2の位置(中心軸Oと略平行となる位置)において、ギアボックス12の当接面(第2の当接部)122に当接する。したがって、フック41の自由端部は、Z軸負側を向く位置と、X軸負側を向く位置との間(ほぼ90°)の範囲で回動することができる。
【0021】
このようなフック41は、
図4に示すように、X軸方向負側から正側(基端側から先端側)に向かう方向Aの第1の外力が付与された場合、ギアボックス12の当接面121に当接することにより、第1の位置を維持するように構成されている。すなわち、第1の位置において、当接面121は、フック41の回動を阻止する。
一方、フック41は、X軸方向正側から負側(先端側から基端側)に向かう方向B及び/又はZ軸方向負側から正側(側方から中心軸O)に向かう方向Cの第2の外力が付与された場合、第1の位置から第2の位置に回動(変位)するように構成されている。なお、第2の位置において、フック41は、ギアボックス12の当接面122に当接することにより、自由端部のZ軸方向正側へのそれ以上の回動が阻止(規制)される。
また、フック41が第2の位置にあるとき、トーションばね42は、その抗力に抗して圧縮されて圧縮状態となっている。この状態で、トーションばね42は、フック41を第2の位置から第1の位置に向かって付勢する。このため、方向B及び/又は方向Cの第2の外力が除去されると、フック41は、トーションばね42の付勢力により、第2の位置から第1の位置に回動(変位)することができる。
【0022】
剪定機1は、原動機に電動モータを使用する場合、電動モータの作動を制御する制御基板(図示せず。)を内蔵している。この制御基板には、演算素子と、記憶素子とが実装されている。
演算素子は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等で構成される。演算素子は、記憶素子に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、剪定機1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶素子に記憶されているソフトウェアによる情報処理が演算素子によって具体的に実現される。
なお、演算素子は、単一であることに限定されず、機能ごとに複数の演算素子を設けるようにしてもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0023】
記憶素子は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、演算素子によって実行される剪定機1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステ-トドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレ-ジデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施することができる。
また、記憶素子は、演算素子によって実行される剪定機1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0024】
次に、剪定機1の使用方法(作用)について説明する。
例えば、枝葉の剪定作業や樹木の枝打ち作業を行う場合、剪定機構10の剪定部11を、枝同士の間を通過させて、剪定目的の枝に到達させる。
このとき、第1の位置にあるフック41は、周辺の枝に接触して、方向Bの第2の外力を受ける。これにより、フック41は、第2の位置に向けて回動するので、接触した枝に引っかかることが防止され、よって、剪定目的の枝に到達させることができる。
特に、フック41は、その自由端部に、湾曲凸状の端面414を有するため、接触した枝に対する移動(摺動)が円滑になされるため、これに引っかかることがより確実に防止される。
【0025】
また、剪定後の枝は、周辺の枝に引っ掛かって地面に落下できない場合がある。この場合、フック41を剪定後の枝に引っ掛けて、引き落す作業を行う。このとき、第1の位置にあるフック41のX軸方向負側を剪定後の枝に引っ掛けて引っ張る。これにより、フック41には、方向Aの第1の外力が付与されるが、フック41は、ギアボックス12の当接面121に当接するため、その回動が規制される。よって、剪定後を引き落す作業を確実に行うことができる。
特に、フック41は、そのX軸方向負側に、湾曲凹状の側面415を有するため、剪定後の枝により確実に引っ掛けることができる。この引っ掛けた状態を良好に維持する観点から、側面415には、複数の溝や複数の突起の形成、柔軟性を有する部材の貼着等による滑り止め構造を形成するようにしてもよい。
【0026】
更に、剪定作業や枝打ち作業を終了した後には、剪定機1を地面や載置台等に載置する。このとき、フック41には、方向Cの第2の外力が付与されるが、第1の位置から第2の位置に向けて回動する。このため、フック41が邪魔になって、剪定機1が転倒するのを防止することができる。
フック41は、第2の位置に至ると、ギアボックス12の当接面122に当接するため、その回動が規制される。また、ギアボックス12には、
図4に示すように、Z軸方向負側に脚部123が突出形成されている。したがって、剪定機1を地面や載置台等に載置した際には、第2の位置にあるフック41と脚部123とを、剪定機1を安定的に支持する支持機構として機能させることができる。
【0027】
フック機構40は、次のような構成とすることもできる。
図6は、フック機構の他の構成を示す斜視図である。
図6に示す構成では、ギアボックス12のX軸方向負側(基端側)の下部に、ガイド14が設けられている。このガイド14は、Z軸方向に沿って延在するガイド棒141及びガイド溝142を有している。
フック41は、平板状の部材で構成され、そのZ軸方向に沿って、ガイド棒141が挿入される穴部41aが形成されている。フック41は、その厚さ方向をガイド溝142の幅方向として、ガイド溝142に挿入されている。
また、
図6に示す構成例では、フック41の自由端部は、直線状の端面414を有している。
【0028】
なお、図示しないが、
図6に示す第1の位置において、フック41がガイド14から離脱するのを阻止する阻止構造が設けられている。
また、フック41とガイド14との間の所定の箇所には、フック41をZ軸方向正側から負側に向かって付勢する付勢部材(例えば、コイルばね等)が設けられている。
かかる構成のフック機構40によれば、フック41は、Z軸方向負側(ポール20の中心軸Oに対して略直交する側方)に突出し、端部が中心軸Oから離間する第1の位置と、第1の位置よりZ軸方向正側であって、端部が中心軸Oに接近する第2の位置との間でスライド可能(変位可能)に設けられている。すなわち、フック41は、Z軸方向(中心軸Oに対して略直交する方向)に沿ってスライド可能に設けられている。
【0029】
このようなフック41は、X軸方向負側から正側(基端側から先端側)に向かう方向Aの第1の外力が付与された場合、ギアボックス12の当接面(ガイド溝142の底面である第1の当接部)121に当接することにより、第1の位置を維持するように構成されている。
一方、フック41(端面414)は、X軸方向正側から負側(先端側から基端側)に向かう方向B及び/又はZ軸方向負側から正側(側方から中心軸O)に向かう方向Cの第2の外力が付与された場合、第1の位置から第2の位置にスライド(変位)するように構成されている。なお、第2の位置において、フック41は、ギアボックス12の当接面(第2の当接部)122に当接することにより、自由端部のZ軸方向正側へのそれ以上のスライドが規制される。
【0030】
また、フック41が第2の位置にあるとき、付勢部材は、その抗力に抗して圧縮されて圧縮状態となっている。この状態で、付勢部材は、フック41を第2の位置から第1の位置に向かって付勢する。このため、方向B及び/又は方向Cの第2の外力が除去されると、フック41は、付勢部材の付勢力により、第2の位置から第1の位置にスライド(変位)することができる。
なお、フック41の端面414は、湾曲凹状をなしていてもよい。この場合、剪定機構10の剪定部11を、枝同士の間を通過させる際に、端面414に引っ掛かり易くすることができる。これにより、方向Bの第2の外力を方向Cの第2の外力に変換させ易く、よってフック41をより確実にZ軸方向正側にスライドさせることができるようになる。
【0031】
以上のような剪定機1によれば、フック41が外力により第1の位置と第2の位置とに変位するように構成したので、枝の剪定作業や枝打ち作業時時の操作性が良好であり、地面や載置台等に載置した際も転倒し難くすることができる。
なお、上記実施形態では、フック機構40がギアボックス12のX軸方向負側の下部に設けられているが、設置位置はこれに限定されない。ただし、フック機構40は、剪定機構10とポール20との接続部又はその付近に設けるようにすることが好ましく、例えば、ポール20のX軸方向正側の端部、剪定機構10とポール20との接続部、ギアボックス12のX軸方向正側の下部(脚部123付近)等とすることができる。
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0032】
(1)剪定機であって、先端側に剪定刃を有する剪定機構と、前記剪定機構の基端側に接続されたポールと、前記ポールの中心軸に対して略直交する側方に突出し、端部が前記中心軸から離間する第1の位置と、前記端部が前記中心軸に接近する第2の位置との間で変位可能に設けられたフックを有するフック機構とを備え、前記フックは、前記基端側から前記先端側に向かう方向の第1の外力が付与された場合、前記第1の位置を維持し、前記先端側から前記基端側に向かう方向及び/又は前記側方から前記中心軸に向かう方向の第2の外力が付与された場合、前記第1の位置から前記第2の位置に変位するように構成されている、剪定機。
【0033】
(2)上記(1)に記載の剪定機において、前記フックは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で回動するように構成されている、剪定機。
【0034】
(3)上記(2)に記載の剪定機において、更に、前記第1の位置において、前記フックに当接して前記フックの回動を阻止する第1の当接部を有する、剪定機。
【0035】
(4)上記(2)又は(3)に記載の剪定機において、更に、前記第2の位置において、前記フックに当接して前記フックの回動を阻止する第2の当接部を有する、剪定機。
【0036】
(5)上記(1)に記載の剪定機において、前記フックは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で、前記中心軸に対して略直交する方向に沿ってスライドするように構成されている、剪定機。
【0037】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の剪定機において、前記フック機構は、更に、前記フックを前記第2の位置から前記第1の位置に向かって付勢する付勢部材を有する、剪定機。
【0038】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の剪定機において、前記フックは、その長手方向のサイズが前記先端側から前記基端側に向かって増大している、剪定機。
【0039】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の剪定機において、前記フックの前記端部は、直線状又は湾曲凸状の端面を有する、剪定機。
【0040】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の剪定機において、前記フック機構は、前記剪定機構と前記ポールとの接続部又はその付近に設けられている、剪定機。
【0041】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の剪定機において、前記剪定刃は、前記中心軸に沿った方向を長軸とする楕円軌道に沿って回転するように構成されている、剪定機。
もちろん、この限りではない。
【0042】
既述のとおり、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を何ら限定するものではない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 :剪定機
10 :剪定機構
11 :剪定部
111 :剪定刃
112 :ガイドプレート
12 :ギアボックス
121 :当接面
122 :当接面
123 :脚部
13 :取付部
131 :軸部
131a :ネジ溝
132 :貫通孔
14 :ガイド
141 :ガイド棒
142 :ガイド溝
20 :ポール
21 :第1のグリップ
22 :ハンドル
23 :操作部
24 :固定機構
25 :第2のグリップ
30 :駆動機構
40 :フック機構
41 :フック
41a :穴部
411 :薄肉部
412 :保持部
412a :貫通孔
413 :段差部
414 :端面
415 :側面
42 :トーションばね
421 :ばね本体
422 :端部
423 :端部
43 :ネジ
431 :ネジ部
A :方向
B :方向
C :方向
O :中心軸