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特開2024-33929ガスタービンの性能評価方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラム、及びこの方法を実行する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033929
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ガスタービンの性能評価方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラム、及びこの方法を実行する装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240306BHJP
【FI】
G01M99/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137855
(22)【出願日】2022-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 真一
(72)【発明者】
【氏名】新名 裕大
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD05
2G024BA11
2G024CA17
2G024FA06
2G024FA11
(57)【要約】
【課題】ガスタービンの性能評価に適正な評価指標値を得る。
【解決手段】ガスタービンの性能評価方法では、静定判定用データを取得すると共に指標値用データを取得するデータ取得工程と、前記データ取得工程で取得したデータを記憶するデータ記憶工程と、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうち、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かに応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定工程と、前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程と、を実行する。前記静定判定用データは、静翼の内側シュラウドとロータ軸との間のキャビティ温度を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮して圧縮空気を生成できる圧縮機と、前記圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成できる燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備え、
前記タービンは、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周を覆うタービンケーシングと、前記タービンケーシングの内周側に設けられている複数の静翼列と、前記タービンケーシングから排気された燃焼ガスである排気ガスが流通可能な排気ダクトと、を有し、
複数の静翼列は、前記軸線が延びる軸線方向に互に間隔をあけて並び、
前記複数の静翼列は、いずれも、前記軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有し、
前記静翼は、前記軸線に対する径方向に垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向に延びている翼体と、前記翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有し、
前記ロータは、前記軸線を中心として前記軸線方向に延びるロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有し、
前記複数の動翼列のそれぞれは、前記複数の静翼列のうち、いずれの一の静翼列に対して前記軸線方向における軸線上流側と軸線下流側とのうちで前記軸線下流側に配置され、
前記複数の動翼列は、いずれも、前記周方向に並ぶ複数の動翼を有する、
ガスタービンの性能評価方法において、
前記ガスタービンが静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービンの性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶工程と、
前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定工程と、
前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程と、
を実行し、
前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列のうちで最も前記軸線下流側の動翼列である最終段動翼列を通過した排気ガスの温度である第一排気ガス温度と前記排気ガスの温度であって前記第一排気ガス温度が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差、又は、前記静翼の前記内側シュラウドと前記ロータ軸との間のキャビティ温度である、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記静定判定工程は、
前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間で静定しているか否かを判定する短期静定判定工程と、
前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間よりも長い第二期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間で静定しているか否かを判定する長期静定判定工程と、
前記静定判定用データが前記第一期間及び前記第二期間で静定していると判定されたことを条件にして、前記ガスタービンが静定状態であると判定するタービン静定判定工程と、
を含む、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項3】
請求項1に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ取得工程では、前記少なくとも一の静定判定用データとして、前記排気ガス温度差と前記キャビティ温度とを含む複数種類の静定判定用データを取得し、
前記静定判定工程は、
前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが前記複数種類の静定判定用データ毎に予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定工程と、
前記データ種別判定工程で前記排気ガス温度差と前記キャビティ温度とが静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービンが静定状態であると判定するタービン静定判定工程と、
を含む、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項4】
請求項3に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ種別判定工程は、前記複数種類の静定判定用データ毎に実行する、短期静定判定工程、及び長期静定判定工程を含み、
前記短期静定判定工程では、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間で静定しているか否かを判定し、
前記長期静定判定工程では、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間よりも長い第二期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間で静定しているか否かを判定し、
前記タービン静定判定工程では、前記複数種類の静定判定用データのいずれもが前記第一期間及び前記第二期間で静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービンが静定状態であると判定する、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ取得工程では、複数種類の静定判定用データとして、さらに、前記ガスタービンの出力と前記圧縮機が吸い込む空気の温度とのうち、少なくとも一方を取得する、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ判定工程は、期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化工程と、前記平滑化工程で平滑化された前記静定判定用データと前記判定時の前記静定判定用データとの差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する前記変動幅の範囲内に収まっていると判定する判定工程と、を含む、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項7】
請求項2又は4に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記短期静定判定工程は、判定前処理工程と、第一期間判定工程とを含み、
前記判定前処理工程は、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定前処理時から過去の期間であって前記第一期間より短い第三期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化工程と、前記複数の時刻毎の前記静定判定用データのうちで最新の静定判定用データと該平滑化工程で平滑化された前記静定判定用データとの差の絶対値を求める差演算工程と、を含み、
判定時から過去の前記第一期間内で、前記判定前処理工程を複数回実行し、
前記第一期間判定工程は、前記第一期間内で実行された複数回の前記判定前処理工程で得られた各差の絶対値を平滑化する平滑化工程と、該平滑化工程で平滑化された差の絶対値が予め定められた値に未満の場合に、前記静定判定用データが静定していると判定する判定工程と、を含む、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項8】
請求項6に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記平滑化工程では、対象の複数のデータの指数移動平均値を求め、該指数移動平均値を、対象の複数のデータを平滑化したデータとする、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ取得工程では、前記指標値用データとして、前記圧縮機が吸い込む吸気の温度である吸気温度、前記吸気の圧力である吸気圧力、前記圧縮機が吐出した圧縮空気の温度である吐出空気温度、前記圧縮空気の圧力である吐出圧力、前記燃焼器に流入する燃料流量、前記第二排気ガス温度、前記ガスタービンの出力を取得し、
前記評価指標値算出工程では、前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記吸気温度、前記吸気圧力、前記吐出空気温度、前記吐出圧力、前記燃料流量、前記第二排気ガス温度、及び前記ガスタービンの出力を用いて、前記燃焼器からの燃焼ガスが流入する前記タービンの入口における燃焼ガスの温度であるタービン入口温度を求める、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ取得工程では、前記指標値用データとして、前記圧縮機が吸い込む吸気の温度である吸気温度、前記吸気の圧力である吸気圧力、前記圧縮機が吐出した圧縮空気の温度である吐出空気温度、前記圧縮空気の圧力である吐出圧力、前記燃焼器に流入する燃料流量、前記第二排気ガス温度、前記ガスタービンの出力を取得し、
前記評価指標値算出工程では、前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記吸気温度、前記吸気圧力、前記吐出空気温度、前記吐出圧力、前記燃料流量、前記第二排気ガス温度、及び前記ガスタービンの出力を用いて、前記タービンの効率を求める、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項11】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービンの性能評価方法において、
前記データ取得工程では、前記指標値用データとして、前記圧縮機が吸い込む吸気の温度である吸気温度、前記吸気の圧力である吸気圧力、前記圧縮機が吐出した圧縮空気の温度である吐出空気温度、及び前記圧縮空気の圧力である吐出圧力を取得し、
前記評価指標値算出工程では、前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記吸気温度、前記吸気圧力、前記吐出空気温度、前記吐出圧力を用いて、前記評価指標値の一種である前記圧縮機の効率を求める、
ガスタービンの性能評価方法。
【請求項12】
空気を圧縮して圧縮空気を生成できる圧縮機と、前記圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成できる燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備え、
前記タービンは、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周を覆うタービンケーシングと、前記タービンケーシングの内周側に設けられている複数の静翼列と、前記タービンケーシングから排気された燃焼ガスである排気ガスが流通可能な排気ダクトと、を有し、
複数の静翼列は、前記軸線が延びる軸線方向に互に間隔をあけて並び、
前記複数の静翼列は、いずれも、前記軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有し、
前記静翼は、前記軸線に対する径方向に垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向に延びている翼体と、前記翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有し、
前記ロータは、前記軸線を中心として前記軸線方向に延びるロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有し、
前記複数の動翼列のそれぞれは、前記複数の静翼列のうち、いずれの一の静翼列に対して前記軸線方向における軸線上流側と軸線下流側とのうちで前記軸線下流側に配置され、
前記複数の動翼列は、いずれも、前記周方向に並ぶ複数の動翼を有する、
ガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記ガスタービンが静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービンの性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶工程と、
前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定工程と、
前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程と、
をコンピュータに実行させ、
前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列のうちで最も前記軸線下流側の動翼列である最終段動翼列を通過した排気ガスの温度である第一排気ガス温度と前記排気ガスの温度であって前記第一排気ガス温度が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差、又は、前記静翼の前記内側シュラウドと前記ロータ軸との間のキャビティ温度である、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記静定判定工程は、
前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間で静定しているか否かを判定する短期静定判定工程と、
前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間よりも長い第二期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間で静定しているか否かを判定する長期静定判定工程と、
前記静定判定用データが前記第一期間及び前記第二期間で静定していると判定されたことを条件にして、前記ガスタービンが静定状態であると判定するタービン静定判定工程と、
を含む、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項14】
請求項12に記載のガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記データ取得工程では、前記少なくとも一の静定判定用データとして、前記排気ガス温度差と前記キャビティ温度とを含む複数種類の静定判定用データを取得し、
前記静定判定工程は、
前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが前記複数種類の静定判定用データ毎に予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定工程と、
前記データ種別判定工程で前記複数種類の静定判定用データの全てが静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービンが静定状態であると判定するタービン静定判定工程と、
を含む、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記データ種別判定工程は、前記複数種類の静定判定用データ毎に実行する、短期静定判定工程、及び長期静定判定工程を含み、
前記短期静定判定工程では、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間で静定しているか否かを判定し、
前記長期静定判定工程では、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間よりも長い第二期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間で静定しているか否かを判定し、
前記タービン静定判定工程では、前記複数種類の静定判定用データのいずれもが前記第一期間及び前記第二期間で静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービンが静定状態であると判定する、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記データ取得工程では、複数種類の静定判定用データとして、さらに、前記ガスタービンの出力と前記圧縮機が吸い込む空気の温度とのうち、少なくとも一方を取得する、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項17】
請求項12から15のいずれか一項に記載のガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記データ判定工程は、期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化工程と、前記平滑化工程で平滑化された前記静定判定用データと前記判定時の前記静定判定用データとの差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する前記変動幅の範囲内に収まっていると判定する判定工程と、を含む、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のガスタービンの性能評価プログラムにおいて、
前記平滑化工程では、対象の複数のデータの指数移動平均値を求め、該指数移動平均値を、対象の複数のデータを平滑化したデータとする、
ガスタービンの性能評価プログラム。
【請求項19】
空気を圧縮して圧縮空気を生成できる圧縮機と、前記圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成できる燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備え、
前記タービンは、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周を覆うタービンケーシングと、前記タービンケーシングの内周側に設けられている複数の静翼列と、前記タービンケーシングから排気された燃焼ガスである排気ガスが流通可能な排気ダクトと、を有し、
複数の静翼列は、前記軸線が延びる軸線方向に互に間隔をあけて並び、
前記複数の静翼列は、いずれも、前記軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有し、
前記静翼は、前記軸線に対する径方向に垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向に延びている翼体と、前記翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有し、
前記ロータは、前記軸線を中心として前記軸線方向に延びるロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有し、
前記複数の動翼列のそれぞれは、前記複数の静翼列のうち、いずれの一の静翼列に対して前記軸線方向における軸線上流側と軸線下流側とのうちで前記軸線下流側に配置され、
前記複数の動翼列は、いずれも、前記周方向に並ぶ複数の動翼を有する、
ガスタービンの性能評価装置において、
前記ガスタービンが静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービンの性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得可能なデータ取得部と、
前記データ取得部で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶部と、
前記データ記憶部が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定部と、
前記静定判定部で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出部と、
を備え、
前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列のうちで最も前記軸線下流側の動翼列である最終段動翼列を通過した排気ガスの温度である第一排気ガス温度と前記排気ガスの温度であって前記第一排気ガス温度が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差、又は、前記静翼の前記内側シュラウドと前記ロータ軸との間のキャビティ温度である、
ガスタービンの性能評価装置。
【請求項20】
請求項19に記載のガスタービンの性能評価装置において、
前記静定判定部は、
前記データ記憶部が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間で静定しているか否かを判定する短期静定判定部と、
前記データ記憶部が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間よりも長い第二期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間で静定しているか否かを判定する長期静定判定部と、
前記静定判定用データが前記第一期間及び前記第二期間で静定していると判定されたことを条件にして、前記ガスタービンが静定状態であると判定するタービン静定判定部と、
を有する、
ガスタービンの性能評価装置。
【請求項21】
請求項19に記載のガスタービンの性能評価装置において、
前記データ取得部は、前記少なくとも一の静定判定用データとして、前記排気ガス温度差と前記キャビティ温度とを含む複数種類の静定判定用データを取得可能であり、
前記静定判定部は、
前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが前記複数種類の静定判定用データ毎に予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定部と、
前記データ種別判定部で前記排気ガス温度差と前記キャビティ温度とが静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービンが静定状態であると判定するタービン静定判定部と、
を有する、
ガスタービンの性能評価装置。
【請求項22】
請求項21に記載のガスタービンの性能評価装置において、
前記データ種別判定部は、前記複数種類の静定判定用データ毎に判定を実行する、短期静定判定部、及び長期静定判定部を含み、
前記短期静定判定部は、前記データ記憶部が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間で静定しているか否かを判定し、
前記長期静定判定部は、前記データ記憶部が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間よりも長い第二期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間で静定しているか否かを判定し、
前記タービン静定判定部は、前記複数種類の静定判定用データのいずれもが前記第一期間及び前記第二期間で静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービンが静定状態であると判定する、
ガスタービンの性能評価装置。
【請求項23】
請求項19から22のいずれか一項に記載のガスタービンの性能評価装置において、
前記データ判定部は、期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化部と、前記平滑化部で平滑化された前記静定判定用データと前記判定時の前記静定判定用データとの差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する前記変動幅の範囲内に収まっていると判定する判定部と、を含む、
ガスタービンの性能評価装置。
【請求項24】
請求項23に記載のガスタービンの性能評価装置において、
前記平滑化部は、対象の複数のデータの指数移動平均値を求め、該指数移動平均値を、対象の複数のデータを平滑化したデータとする、
ガスタービンの性能評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンの性能評価方法、この方法をコンピュータに実行させるプログラム、及びこの方法を実行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスにより駆動するタービンと、を備える。
【0003】
このようなガスタービンの性能は、圧縮機効率やタービン効率等の評価指標値で評価される。これらの評価指標値は、ガスタービンの各種状態量等を測定する測定器からのデータである指標値用データから求められる。ガスタービンが過渡状態であるとき、複数の測定器からのデータのそれぞれは、安定していない。このため、ガスタービンが過渡状態であるときの複数の測定器からのデータを用いて、タービン効率等の評価指標値を求めても、性能評価に適正な評価指標値を得ることができない。
【0004】
そこで、以下の特許文献1では、原子力プラント等のプラントからプロセスデータが静定しているか否かを判定し、このプロセスデータが静定していると判定した時点のこのプロセスデータ又は他のプロセスデータに基づいて、プラントの性能を評価する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-217617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ガスタービンの性能評価に適正な評価指標値を得て、適正にガスタービンの性能を評価できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための一態様としてのガスタービンの性能評価方法は、以下のガスタービンに適用される。
このガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成できる圧縮機と、前記圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成できる燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備える。前記タービンは、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周を覆うタービンケーシングと、前記タービンケーシングの内周側に設けられている複数の静翼列と、前記タービンケーシングから排気された燃焼ガスである排気ガスが流通可能な排気ダクトと、を有する。複数の静翼列は、前記軸線が延びる軸線方向に互に間隔をあけて並ぶ。前記複数の静翼列は、いずれも、前記軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有する。前記静翼は、前記軸線に対する径方向に垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向に延びている翼体と、前記翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有する。前記ロータは、前記軸線を中心として前記軸線方向に延びるロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有する。前記複数の動翼列のそれぞれは、前記複数の静翼列のうち、いずれの一の静翼列に対して前記軸線方向における軸線上流側と軸線下流側とのうちで前記軸線下流側に配置されている。前記複数の動翼列は、いずれも、前記周方向に並ぶ複数の動翼を有する。
以上のガスタービンの性能評価方法では、前記ガスタービンが静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービンの性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得するデータ取得工程と、前記データ取得工程で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶工程と、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定工程と、前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程と、を実行する。前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列のうちで最も前記軸線下流側の動翼列である最終段動翼列を通過した排気ガスの温度である第一排気ガス温度と前記排気ガスの温度であって前記第一排気ガス温度が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差、又は、前記静翼の前記内側シュラウドと前記ロータ軸との間のキャビティ温度である。
【0008】
ガスタービンの評価指標値として代表的な値として、タービン単独の効率であるタービン効率がある。このタービン効率は、タービン入口温度と第二排気ガス温度とを用いて求められる。なお、タービン入口温度とは、燃焼器からの燃焼ガスが流入するタービンの入口における燃焼ガスの温度である。
【0009】
タービン入口温度が変化して、静翼の内側シュラウドとロータ軸との間のキャビティに流入する燃焼ガスの流量が変化すると、前述したタービン効率を求める際に用いる第二排気ガス温度も変化する。このため、キャビティに流入する燃焼ガスの流量が変化している過程で得られたタービン入口温度及び第二排気ガス温度等を用いて、タービン効率を求めても、このタービン効率は適切なタービン効率とは言えない。
【0010】
第二排気ガス温度は、第一排気ガス温度が測定される位置よりも、最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である。このため、タービン入口温度の変化に対する第二排気ガス温度の変化の応答性は、タービン入口温度の変化に対する第一排気ガス温度の変化の応答性よりも低い。よって、タービン入口温度が変化すると、第一排気ガス温度と第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差も変化する。このため、排気ガス温度差が変化している過程で得られたタービン入口温度及び第二排気ガス温度等を用いて、タービン効率を求めても、このタービン効率は適切なタービン効率とは言えない。
【0011】
そこで、本態様では、静定判定用データの一種として、キャビティ温度又は排気ガス温度差を取得し、この排気ガス温度差が静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率を求める。よって、本実施形態では、性能評価に適切な評価指標値を求めることができる。
【0012】
前記目的を達成するための一態様としてのガスタービンの性能評価プログラムは、以下のガスタービンに適用される。
このガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成できる圧縮機と、前記圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成できる燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備える。前記タービンは、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周を覆うタービンケーシングと、前記タービンケーシングの内周側に設けられている複数の静翼列と、前記タービンケーシングから排気された燃焼ガスである排気ガスが流通可能な排気ダクトと、を有する。複数の静翼列は、前記軸線が延びる軸線方向に互に間隔をあけて並ぶ。前記複数の静翼列は、いずれも、前記軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有する。前記静翼は、前記軸線に対する径方向に垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向に延びている翼体と、前記翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有する。前記ロータは、前記軸線を中心として前記軸線方向に延びるロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有する。前記複数の動翼列のそれぞれは、前記複数の静翼列のうち、いずれの一の静翼列に対して前記軸線方向における軸線上流側と軸線下流側とのうちで前記軸線下流側に配置されている。前記複数の動翼列は、いずれも、前記周方向に並ぶ複数の動翼を有する。
このガスタービンの性能評価プログラムは、前記ガスタービンが静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービンの性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得するデータ取得工程と、前記データ取得工程で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶工程と、前記データ記憶工程で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程を行い、該データ判定工程の結果に応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定工程と、前記静定判定工程で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程と、をコンピュータに実行させる。前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列のうちで最も前記軸線下流側の動翼列である最終段動翼列を通過した排気ガスの温度である第一排気ガス温度と前記排気ガスの温度であって前記第一排気ガス温度が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差、又は、前記静翼の前記内側シュラウドと前記ロータ軸との間のキャビティ温度である。
【0013】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、前記一態様における性能評価方法と同様、静定判定用データの一種として、キャビティ温度又は排気ガス温度差を取得し、この排気ガス温度差が静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率を求める。よって、本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を求めることができる。
【0014】
前記目的を達成するための一態様としてのガスタービンの性能評価プログラムは、以下のガスタービンに適用される。
このガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成できる圧縮機と、前記圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成できる燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備える。前記タービンは、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周を覆うタービンケーシングと、前記タービンケーシングの内周側に設けられている複数の静翼列と、前記タービンケーシングから排気された燃焼ガスである排気ガスが流通可能な排気ダクトと、を有する。複数の静翼列は、前記軸線が延びる軸線方向に互に間隔をあけて並ぶ。前記複数の静翼列は、いずれも、前記軸線に対する周方向に並ぶ複数の静翼を有する。前記静翼は、前記軸線に対する径方向に垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向に延びている翼体と、前記翼体の径方向内側に設けられている内側シュラウドと、前記翼体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、を有する。前記ロータは、前記軸線を中心として前記軸線方向に延びるロータ軸と、前記ロータ軸に取り付けられている複数の動翼列と、を有する。前記複数の動翼列のそれぞれは、前記複数の静翼列のうち、いずれの一の静翼列に対して前記軸線方向における軸線上流側と軸線下流側とのうちで前記軸線下流側に配置されている。前記複数の動翼列は、いずれも、前記周方向に並ぶ複数の動翼を有する。
このガスタービンの性能評価装置は、前記ガスタービンが静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービンの性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得可能なデータ取得部と、前記データ取得部で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部を含み、該データ判定部による判定結果に応じて、前記ガスタービンが静定状態か否かを判定する静定判定部と、前記静定判定部で前記ガスタービンが静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出部と、を備える。前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列のうちで最も前記軸線下流側の動翼列である最終段動翼列を通過した排気ガスの温度である第一排気ガス温度と前記排気ガスの温度であって前記第一排気ガス温度が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスの温度である第二排気ガス温度との差である排気ガス温度差、又は、前記静翼の前記内側シュラウドと前記ロータ軸との間のキャビティ温度である。
【0015】
本態様では、前記一態様における性能評価方法と同様、静定判定用データの一種として、キャビティ温度又は排気ガス温度差を取得し、この排気ガス温度差が静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率を求める。よって、本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を求めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様では、ガスタービンの性能評価に適正な評価指標値を得て、適正にガスタービンの性能を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示に係る一実施形態におけるガスタービン設備の模式的構成図である。
図2】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの要部断面図である。
図3】本開示に係る一実施形態における性能評価装置の機能ブロック図である。
図4】本開示に係る一実施形態における性能評価装置のハードウェア構成を示す説明図である。
図5】本開示に係る一実施形態における性能評価装置の動作を示すフローチャートである。
図6】時間経過に伴う状態量の変化、単純移動平均の変化、指数移動平均の変化を示すグラフである。
図7】時間経過に伴う状態量の変化の一例を示すグラフである。
図8】本開示に係る一実施形態の変形例における短期静定判定部の機能ブロック図である。
図9】本開示に係る一実施形態の変形例における短期静定判定部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るガスタービンの性能評価方法、この方法を実行するためのプログラム、及びこの方法を実行する性能評価装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
「ガスタービン設備の実施形態」
ガスタービンの性能評価方法、この方法を実行するためのプログラム、及びこの方法を実行する性能評価装置の実施形態を説明する前に、ガスタービンを含むガスタービン設備について説明する。
【0020】
本実施形態のガスタービン設備は、図1に示すように、ガスタービン1と、ガスタービン1の駆動で発電する発電機9と、ガスタービン1中の制御対象を制御する制御装置50と、ガスタービン1の性能を評価する性能評価装置100と、を備える。
【0021】
ガスタービン1は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成する圧縮機10と、燃料供給源からの燃料Fを圧縮空気Acom中で燃焼させて燃焼ガスGを生成する複数の燃焼器20と、燃焼ガスGにより駆動するタービン30と、複数の測定器と、を備える。
【0022】
圧縮機10は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ11と、圧縮機ロータ11を覆う圧縮機ケーシング15と、複数の静翼列16と、この圧縮機ケーシング15の吸込み口に設けられているIGV(inlet guide vane)14と、を有する。このIGV14は、圧縮機ケーシング15内に吸い込まれる空気の流量を調節する。タービン30は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ31と、タービンロータ31を覆うタービンケーシング35と、複数の静翼列36と、を有する。なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。また、軸線方向Daの一方側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadとする。また、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0023】
圧縮機10は、タービン30に対して軸線上流側Dauに配置されている。
【0024】
圧縮機ロータ11とタービンロータ31とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ2を成す。このガスタービンロータ2には、発電機9のロータが接続されている。ガスタービン1は、さらに、中間ケーシング6と、排気ダクト7と、を備える。この中間ケーシング6は、軸線方向Daで、圧縮機ケーシング15とタービンケーシング35との間に配置されている。排気ダクト7は、タービンケーシング35の軸線下流側Dadの縁に接続されている。圧縮機ケーシング15と中間ケーシング6とタービンケーシング35と排気ダクト7とは、互いに接続されてガスタービンケーシング5を成す。
【0025】
圧縮機ロータ11は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸12と、このロータ軸12に取り付けられている複数の動翼列13と、を有する。複数の動翼列13は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列13は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の動翼列13の各軸線下流側Dadには、複数の静翼列16のうちのいずれか一の静翼列16が配置されている。各静翼列16は、圧縮機ケーシング15の内側に設けられている。各静翼列16は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。
【0026】
タービンロータ31は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸32と、このロータ軸32に取り付けられている複数の動翼列33と、を有する。複数の動翼列33は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列33は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼で構成されている。複数の動翼列33の各軸線上流側Dauには、複数の静翼列36のうちのいずれか一の静翼列36が配置されている。各静翼列36は、タービンケーシング35の内側に設けられている。各静翼列36は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼で構成されている。
【0027】
ロータ軸32の外周側とタービンケーシング35の内周側との間であって、軸線方向Daで動翼列33及び静翼列36が配置されている環状の空間は、燃焼器20からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路39を成す。
【0028】
図2に示すように、タービンの動翼列33を構成する複数の動翼34は、いずれも、翼体34aと、プラットフォーム34cと、翼体34aは、断面が翼形を成し、この断面に垂直な径方向Drに延びている。プラットフォーム34cは、翼体34aの径方向内側Driの端に設けられている。このプラットフォーム34cは、燃焼ガス流路39の径方向内側Driの縁の一部を画定する。タービン30の静翼列36を構成する複数の静翼37は、いずれも、翼体37aと、外側シュラウド37bと、内側シュラウド37cと、シール保持部37dと、シール37eと、を有する。翼体37aは、断面が翼形を成し、この断面に垂直な径方向Drに延びている。外側シュラウド37bは、翼体34aの径方向外側Droの端に設けられている。この外側シュラウド37bは、燃焼ガス流路39の径方向外側Droの縁の一部を画定する。また、この外側シュラウド37bは、タービンケーシング35に取り付けられる。内側シュラウド37cは、翼体37aの径方向内側Driの端に設けられている。この内側シュラウド37cは、燃焼ガス流路39の径方向内側Driの縁の一部を画定する。シール保持部37dは、内側シュラウド37cの径方向内側Driに設けられている。シール37eは、シール保持部37dの径方向内側Driに設けられている。このシール37eは、タービンロータ31の外周面と静翼37の径方向内側Driの縁との間をシールする。
【0029】
複数の燃焼器20は、周方向Dcに並んで中間ケーシング6に取り付けられている。燃焼器20は、燃料Fが内部で燃焼する尾筒(又は燃焼筒)22と、この尾筒22内に燃料Fを噴射するバーナ21と、を有する。バーナ21には、燃料ライン8が接続されている。この燃料ライン8には、燃焼器20に供給する燃料Fの流量を調節する燃料弁8vが設けられている。
【0030】
ガスタービン1は、図1に示すように、複数の測定器として、回転数計40と、出力計41と、吸気温度計42と、吸気圧力計43と、吐出空気温度計44と、吐出圧力計45と、燃料流量計46と、第一排気ガス温度計47と、第二排気ガス温度計48と、キャビティ温度計49と、を有する。回転数計40は、ガスタービンロータ2の回転数Nを測定する。出力計41は、ガスタービン出力としての発電機9の出力PWを測定する。吸気温度計42は、圧縮機10が吸い込む空気Aの温度である吸気温度Tiを測定する。吸気圧力計43は、圧縮機10が吸い込む空気Aの圧力である吸気圧力(大気圧)Piを測定する。吐出空気温度計44は、圧縮機10から中間ケーシング6内に吐出された圧縮空気の温度である吐出空気温度Tcを測定する。吐出圧力計45は、圧縮機10から中間ケーシング6内に吐出された圧縮空気の圧力である吐出圧力Pcを測定する。燃料流量計46は、燃焼器20に流入する燃料流量Frを測定する。この燃料流量計46は、燃料ライン8に設けられている。第一排気ガス温度計47は、タービン30の最終段動翼列を通過した直後の燃焼ガスGである排気ガスEGの温度である第一排気ガス温度Te1を測定する。第二排気ガス温度計48は、タービン30から排気ダクト7内に流入した排気ガスEGの温度である第二排気ガス温度Te2を測定する。なお、第二排気ガス温度Te2は、第一排気ガス温度Te1が測定される位置よりも最終段動翼列から離れた位置における排気ガスEGの温度である。言い換えると、第二排気ガス温度Te2は、第一排気ガス温度Te1が測定される位置よりも軸線下流側Dadの位置における排気ガスの温度である。キャビティ温度計49は、図2に示すように、静翼37の内側シュラウド37cとロータ軸32との間の温度であるキャビティ温度Trを測定する。
【0031】
制御装置50は、以上で説明した複数の測定器からのデータ、及び外部からの要求出力等に応じて、燃料弁8vの開度や、IGV14の駆動量等を制御する。
【0032】
ガスタービン1は、この制御装置50による制御で、以下のように動作する。
【0033】
図1に示すように、圧縮機10は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成し、この圧縮空気Acomを中間ケーシング6内に吐出する。中間ケーシング6内の圧縮空気Acomは、燃焼器20内に流入する。燃焼器20には、燃料Fが供給される。燃焼器20のバーナ21は、燃料Fと共に圧縮空気Acomを尾筒22内に噴射する。尾筒22内では、圧縮空気Acom中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスGが生成される。この燃焼ガスGは、尾筒22からタービン30内の燃焼ガス流路39に送られる。燃焼ガスGは、燃焼ガス流路39を軸線下流側Dadへ流れる過程で、タービンロータ31を回転させる。このタービンロータ31の回転で、ガスタービンロータ2に接続されている発電機9のロータが回転する。この結果、発電機9は発電する。タービン30の最終段動翼列を通過した燃焼ガスGである排気ガスEGは、排気ダクト7内に流入する。この排気ガスEGは、例えば、排熱回収ボイラー内を流れた後、煙突から排気される。
【0034】
性能評価装置100は、以上で説明した複数の測定器からのデータに基づき、ガスタービン1の性能評価に用いる評価指標値を求める。
【0035】
「ガスタービンの性能評価方法、この方法を実行するためのプログラム、及びこの方法を実行する性能評価装置の実施形態」
以下、以上で説明したガスタービンの性能評価方法、この方法を実行するためのプログラム、及びこの方法を実行する性能評価装置の実施形態について、主として、図3図7を参照して説明する。
【0036】
性能評価装置100は、機能的には、図3に示すように、データ取得部110と、データ記憶部115と、静定判定部120と、評価指標値算出部130と、出力部140と、を有する。
【0037】
データ取得部110は、ガスタービン1が静定しているか否かを判定するための静定判定用データと、ガスタービン1の性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データと、を取得する。
【0038】
静定判定用データとしては、出力計41で測定されたガスタービン出力としての発電機9の出力PW、吸気温度計42で測定された吸気温度Ti、第一排気ガス温度計47で測定された第一排気ガス温度Te1と第二排気ガス温度計48で測定された第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Td(=(Te1-Te2))、及び、キャビティ温度計49で測定されたキャビティ温度Trがある。
【0039】
指標値用データとしては、回転数計で測定されたガスタービンロータの回転数N、出力計41で測定されたガスタービン出力としての発電機9の出力PW、吸気温度計42で測定された吸気温度Ti、吸気圧力計43で測定された吸気圧力Pi、吐出空気温度計44で測定された吐出空気温度Tc、吐出圧力計45で測定された吐出圧力Pc、燃料流量計46で測定された燃料流量Fr、第二排気ガス温度計48で測定された第二排気ガス温度Te2Te2がある。
【0040】
このデータ取得部110は、複数の測定器からのデータを受け付けるデータ受付部111と、演算部112と、を有する。演算部112は、複数の第一排気ガス温度計47で測定された温度の平均値を求め、この平均値を第一排気ガス温度Te1とする。この演算部112は、さらに、第一排気ガス温度Te1と第二排気ガス温度計48からの第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Tdを求める。
【0041】
データ記憶部115は、データ取得部110が取得した複数種類の静定判定用データ及び複数種類の使用値用データを時系列に記憶する。
【0042】
静定判定部120は、データ記憶部115に記憶された複数種類の静定判定用データ毎の時系列データに基づき、ガスタービン1が静定状態であるか否かを判定する。
【0043】
この静定判定部120は、複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定部121と、ガスタービン1が静定状態であるか否かを判定するタービン静定判定部129と、を有する。
【0044】
データ種別判定部121は、複数種類の静定判定用データ毎に判定を実行する、短期静定判定部122、及び長期静定判定部125を有する。
【0045】
短期静定判定部122は、データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における静定判定用データのうちから、判定時tjから予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の静定判定用データが静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部123を有する。このデータ判定部123は、平滑化部124aと、判定部124bと、を有する。平滑化部124aは、第一期間T1中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化する。判定部124bは、平滑化部124aで平滑化された静定判定用データMA1と判定時tjの静定判定用データXtjとの差の絶対値|MA1-Xtj|が予め定められた値ε1未満であるか否かを判定する。判定部124bは、この絶対値|MA1-Xtj|が予め定められた値ε1未満である場合に、第一期間T1中の複数の時刻毎の静定判定用データがこの静定判定用データに対する変動幅の範囲内に収まっていると判定する、言い換えると、この場合にこの静定判定用データが第一期間T1で静定していると判定する。
【0046】
長期静定判定部125は、データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第二期間T2における複数の時刻毎の静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の静定判定用データが静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部126を有する。この第二期間T2は、第一期間T1より長い期間である。このデータ判定部126は、平滑化部127aと、判定部127bと、を有する。平滑化部127aは、第二期間T2中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化する。判定部27bは、平滑化部127aで平滑化された静定判定用データMA2と判定時tjの静定判定用データXtjとの差の絶対値|MA2-Xtj|が予め定められた値ε2未満であるか否かを判定する。判定部127bは、この絶対値|MA2-Xtj|が予め定められた値ε2未満である場合に、第二期間T2中の複数の時刻毎の静定判定用データがこの静定判定用データに対する変動幅の範囲内に収まっていると判定する、言い換えると、この場合にこの静定判定用データが第二期間T2で静定していると判定する。
【0047】
データ種別判定部121は、さらに、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定部122での判定及び長期静定判定部125での判定が完了したか否かを判定する判定完了判定部128を有する。
【0048】
タービン静定判定部129は、複数種類の静定判定用データのいずれもが第一期間T1及び第二期間T2で静定していると判定されることを条件として、ガスタービン1が静定状態であると判定する。
【0049】
評価指標値算出部130は、静定判定部120でガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における指標値用データを用いて、評価指標値を求める。評価指標値としては、例えば、圧縮機効率、タービン出力、タービン入口温度、タービン効率等がある。なお、タービン入口温度とは、燃焼器20からの燃焼ガスが流入するタービン30の入口における燃焼ガスの温度である。
【0050】
出力部140は、外部からの指示に応じて、評価指標値算出部130が求めた評価指標値を出力する。
【0051】
以上で説明した性能評価装置100は、コンピュータである。このため、この性能評価装置100は、ハードウェア的には、図4に示すように、コンピュータ本体101と、キーボードやマウス等の入力装置109aと、表示装置109bと、を有する。コンピュータ本体101は、各種演算を行うCPU(Central Processing Unit)102と、CPU102のワークエリアになるメモリ等の主記憶装置103と、ハードディスクドライブ装置等の補助記憶装置104と、ディスク型記憶媒体Dに対してデータの記憶処理や再生処理を行う記憶・再生装置105と、入力装置109a及び表示装置109bの入出力インタフェース106と、複数の測定器と信号線を介して接続されている設備インタフェース107と、ネットワークNを介して外部と通信するための通信インタフェース108と、を備えている。
【0052】
複数の測定器は、信号線で制御装置50と接続されている。このため、性能評価装置100の設備インタフェース107は、制御装置50から複数の測定器からのデータを受信してもよい。
【0053】
補助記憶装置104には、ガスタービン1の固有データ104aや、性能評価プログラム104b等が予め格納されている。固有データ104aや性能評価プログラム104b等は、例えば、記憶・再生装置105を介して、ディスク型記憶媒体Dから補助記憶装置104に取り込まれる。なお、固有データ104aや性能評価プログラム104b等は、通信インタフェース108を介して外部の装置から補助記憶装置104に取り込まれてもよい。
【0054】
図3を用いて説明した性能評価装置100の各機能要素のうち、データ取得部110のデータ受付部111は、設備インタフェース107、及び、性能評価プログラム104bを実行するCPU102を有して構成される。また、データ取得部110の演算部112、静定判定部120、及び評価指標値算出部130は、性能評価プログラム104bを実行するCPU102と、このCPU102のワークエリアである主記憶装置103と、を有して構成される。データ記憶部115は、性能評価プログラム104bを実行するCPU102と、このCPU102のワークエリアである主記憶装置103と、補助記憶装置104と、を有して構成される。出力部140は、性能評価プログラム104bを実行するCPU102と、このCPU102のワークエリアである主記憶装置103と、表示装置109bと、入出力インタフェース106と、を有して構成される。
【0055】
次に、以上で説明した性能評価装置100の動作について、図5に示すフローチャートで説明する。
【0056】
まず、データ取得部110が、複数種の静定判定用データ、及び、複数種の指標値用データを取得する(データ取得工程S10)。このデータ取得工程S10は、データ受付工程S11と、演算工程S12と、を含む。データ受付工程S11では、データ受付部111が複数の測定器からのデータを受け付ける。演算工程S12では、演算部112が、データ受付工程S11で受け付けたデータのうち、複数の第一排気ガス温度計47で測定された温度の平均値を求め、この平均値を第一排気ガス温度Te1とする。さらに、この演算部112は、第一排気ガス温度Te1と第二排気ガス温度計48からの第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Tdを求める。この排気ガス温度差Tdは、前述したように、静定判定用データのうちの一つである。
【0057】
データ記憶部115は、データ取得部110が取得した複数種類の静定判定用データ及び複数種類の指標値用データを時系列に記憶する(データ記憶工程S15)。
【0058】
静定判定部120は、データ記憶部115に記憶された複数種類の静定判定用データ毎の時系列データに基づき、ガスタービン1が静定状態であるか否かを判定する(静定判定工程S20)。
【0059】
この静定判定工程S20では、データ種別判定部121が複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定する(データ種別判定工程S21)。さらに、この静定判定工程S20では、タービン静定判定部129が、ガスタービン1が静定状態であるか否かを判定する(タービン静定判定工程S29)。
【0060】
データ種別判定工程S21では、複数種類の静定判定用データ毎に、短期静定判定部122が短期静定判定工程S22を実行すると共に、長期静定判定部125が長期静定判定工程S25を実行する。
【0061】
短期静定判定工程S22では、短期静定判定部122のデータ判定部123が、データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における静定判定用データのうちから、判定時tjから予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定する(データ判定工程S23,S26)。ここで、第一期間T1は、例えば、10分~30分程度の期間である。
【0062】
短期静定判定工程S22におけるデータ判定工程S23では、短期静定判定部122の平滑化部124aが第一期間T1中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化する(平滑化工程S24a)。さらに、データ判定工程S23では、短期静定判定部122の判定部124bが平滑化部124aで平滑化された静定判定用データMA1と判定時tjの静定判定用データXtjとの差の絶対値|MA1-Xtj|が予め定められた値ε1未満であるか否かを判定する(判定工程S24b)。判定部124bは、この絶対値|MA1-Xtj|が予め定められた値ε1未満である場合に、第一期間T1中の複数の時刻毎の静定判定用データがこの静定判定用データに対する変動幅の範囲内に収まっていると判定する、言い換えると、この場合にこの静定判定用データが第一期間T1で静定していると判定する。
【0063】
平滑化工程S24aで、複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化する方法としては、複数の時刻毎の静定判定用データを単純移動平均する方法、複数の時刻毎の静定判定用データを加重移動平均する方法、複数の時刻毎の静定判定用データを指数移動平均する方法等がある。平滑化部124aは、以上のいずれかの方法で、複数の時刻毎の静定判定用データの平均値を求め、この平均値を、複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとする。
【0064】
ここで、単純移動平均、及び指数移動平均について説明する。仮に、期間中のサンプル数をnとする。また、図6に示すように、時刻t0~時刻t50では、データとしての状態量xが0で、時刻t51以降、データとしての状態量Xが100とする。
【0065】
判定時(tj)の単純移動平均(SMAtj)は、以下の式で求められる。
SMAtj={Xtj+X(tj-1)+X(tj-2) …+X(tj-(n-2))+X(tj-(n-1))}/n
【0066】
このため、図6に示すように、単純移動平均SMAの値は、状態量Xが0から100になった時刻t51以降で、時間経過に伴って直線的に増加する。
【0067】
判定時(tj)の指数移動平均(EMAtj)は、以下の式で求められる。
EMAtj = EMA(tj-1)×(1-α)+Xtj×α
= EMA(tj-1)+α×(Xtj-EMA(tj-1))
※定数αは、サンプル数に応じて変わる1未満の値
【0068】
よって、例えば、判定時(tj)がt52のときの指数移動平均(EMAt52)は、以下のように表すことができる。
EMAt52 = EMA(t51)+α×(X(t52)-EMA(t51))
また、判定時(tj)がt53のときの指数移動平均(EMAt53)は、以下のように表すことができる。
EMAt53 = EMA(t52)+α×(X(t53)-EMA(t52))
【0069】
以上で示したように、指数移動平均EMAの値における複数のサンプル毎の状態量の割合のうちで、判定時に近いサンプルの状態量ほど、その割合が指数関数的に多くなる。
【0070】
このため、図6に示すように、状態量Xが0から突然100になった時刻t51を判定時tjとすると、この判定時tjにおける指数移動平均EMAtjの値が同判定時tjにおける単純移動平均SMAtjの値より大きくなる。その後、指数移動平均EMAの値は、判定時tjの時刻tが進むに連れて、対応判定時tjにおける単純移動平均SMAの値との差が徐々に小さくなる。
【0071】
仮に、図7に示すように、期間T中の複数の状態量Xのうちで、判定時tjの状態量Xtjがほぼ所定値Xpの値で、この判定時tjに近い時刻t(j-1),t(j-2),t(j-3)における数個の状態量が所定値Xpを基準にして大きく異なる値で、他の時刻t(j-4),t(j-5),…,t(j-(n-1))における全ての状態量がほぼ所定値Xpの値であるとする。この場合、期間T中の各時刻の状態量Xに関する指数移動平均EMAの値は、期間T中の各時刻の状態量Xに関する単純移動平均SMAの値よりも大きくなる。このため、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとして、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを単純移動平均SMAの値を用いると、静定判定用データが期間中で静定していると判定される場合でも、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとして、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを指数移動平均EMAの値を用いると、静定判定用データが期間中で静定していないと判定されることがある。
【0072】
このため、平滑化部124aは、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとして、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データの指数移動平均EMAの値を用いることが好ましい。
【0073】
長期静定判定工程S25では、長期静定判定部125のデータ判定部126が、データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における静定判定用データのうちから、判定時tjから予め定められた過去の第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定する(データ判定工程S26)。ここで、第二期間T2は、例えば、60分~120分程度の期間である。
【0074】
長期静定判定工程S25におけるデータ判定工程S26では、長期静定判定部125の平滑化部127aが第二期間T2中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化する(平滑化工程S27a)。さらに、データ判定工程S26では、長期静定判定部125の判定部127bが平滑化部127aで平滑化された静定判定用データMA2と判定時tjの静定判定用データXtjとの差の絶対値|MA2-Xtj|が予め定められた値ε2未満であるか否かを判定する(判定工程S27b)。判定部127bは、この絶対値|MA2-Xtj|が予め定められた値ε2未満である場合に、第二期間T2中の複数の時刻毎の静定判定用データがこの静定判定用データに対する変動幅の範囲内に収まっていると判定する、言い換えると、この場合にこの静定判定用データが第二期間T2で静定していると判定する。
【0075】
なお、長期静定判定部125の平滑化部127aも、短期静定判定部122の平滑化部124aと同様、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとして、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データの指数移動平均EMAの値を用いることが好ましい。
【0076】
短期静定判定工程S22での判定及び長期静定判定工程S25での判定が終了すると、判定完了判定部128が、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定工程S22での判定及び長期静定判定工程S25での判定が完了したか否かを判定する(判定完了判定工程S28)。この判定完了判定工程S28で、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定工程S22での判定及び長期静定判定工程S25での判定が完了していないと判定した場合、短期静定判定工程S22及び長期静定判定工程S25に戻る。短期静定判定工程S22では、データ記憶部115が記憶している複数種の静定判定用データのうちで、短期静定判定工程S22での判定を行っていない静定判定用データを抽出し、この静定判定用データについて判定する。また、長期静定判定工程S25でも、データ記憶部115が記憶している複数種の静定判定用データのうちで、長期静定判定工程S25での判定を行っていない静定判定用データを抽出し、この静定判定用データについて判定する。この判定完了判定工程S28で、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定工程S22での判定及び長期静定判定工程S25での判定が完了したと判定した場合、データ種別判定工程S21が終了する。
【0077】
データ種別判定工程S21における判定完了判定工程S28で、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定工程S22での判定及び長期静定判定工程S25での判定が完了したと判定した場合、タービン静定判定部129は、全種類の静定判定用データが静定しているか否かを判定する(タービン静定判定工程S29)。ここでは、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定工程S22で静定していると判定され、且つ長期静定判定工程S25で静定していると判定されると、全種類の静定判定用データが静定していると判定する。タービン静定判定部129が、全種類の静定判定用データが静定していないと判定すると、データ取得工程S10に戻り、このデータ取得工程S10で、新たな時刻における複数種の静定判定用データ及び複数種の指標値用データが取得される。一方、タービン静定判定部129は、全種類の静定判定用データが静定していると判定すると、ガスタービン1が静定状態であるとする。
【0078】
以上で、静定判定工程S20が終了する。
【0079】
静定判定工程S20でガスタービン1が静定状態であると判定されると、評価指標値算出部130は、ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時tjにおける複数種の指標値用データをデータ記憶部115から抽出し、複数種の指標値用データを用いて、評価指標値を求める(評価指標値算出工程S30)。評価指標値としては、前述したように、例えば、圧縮機効率、タービン出力、タービン入口温度、タービン効率等がある。
【0080】
判定時tjにおける圧縮機効率ηcは、判定時tjに吸気温度計42で測定された吸気温度Ti、判定時tjに吐出空気温度計44で測定された吐出空気温度Tc、及び、判定時tjにおける理想吐出空気温度Tcrを用いて、以下の式で求められる。
ηc=(Tc-Ti)/(Tcr-Ti)
なお、判定時tjにおける理想吐出空気温度Tcrは、判定時tjにおける吸気温度Tiの空気を、判定時tjにおける圧縮機10の圧力比まで断熱圧縮したときの温度である。判定時tjにおける圧縮機10の圧力比は、判定時tjに吸気圧力計43で測定された吸気圧力Piと判定時tjに吐出圧力計45で測定された吐出圧力Pcとの比(Pc/Pi)である。よって、圧縮機効率ηcは、吸気温度Ti、吸気圧力Pi、吐出空気温度Tc、及び吐出圧力Pcを用いて求められる。
【0081】
タービン30単独の出力PWであるタービン出力PWtを求める際には、まず、判定時tjにおける圧縮機駆動力PWcを求める。判定時tjにおける圧縮機駆動力PWcは、判定時tjにおける吸気温度Ti、判定時tjにおける吐出空気温度Tc、判定時tjにおける吸気流量Q、及び、空気の比熱caを用いて、以下の式で求められる。
PWc=Q×ca×(Tc-Ti)
なお、判定時tjにおける吸気流量Qは、以下のように求められる。吸気流量Qと吸気温度Ti及び吸気圧力Piとの関係は、圧縮機10それぞれにおいて予め定まっている。そこで、この関係を用いて、判定時tjに吸気温度計42で測定された吸気温度Ti及び判定時tjに吸気圧力計43で測定された吸気圧力Piに対応する吸気流量Qが求められる。
【0082】
タービンPWtは、以上で説明した判定時tjにおける圧縮機駆動力PWc、及び、判定時tjに出力計41で測定されたガスタービン1全体の出力である発電機PWを用いて、以下の式で求められる。
PWt=PW+PWc
【0083】
判定時tjにおけるタービン入口温度Ttinは、判定時tjにおける吸気流量Q、判定時tjに燃料流量計46で測定された燃料流量Fr、判定時tjに第二排気ガス温度計48で測定された第二排気ガス温度Te2、燃焼ガスの比熱cg、判定時におけるタービン出力PWtを用いて、以下の式で求められる。
PWt=(Q+Fr)×cg×(Ttin-T2)
なお、吸気流量Qは、前述したように、吸気温度Ti及び吸気圧力Piで求められる。また、タービン出力PWtは、発電機出力PW、吸気温度Ti、及び吐出空気温度Tcで求められる。このため、判定時tjにおけるタービン入口温度Ttinは、判定時tjにおける吸気温度Ti、判定時tjにおける吸気圧力Pi、判定時tjにおける吐出空気温度Tc、判定時tjに燃料流量計46で測定された燃料流量Fr、及び、判定時tjに第二排気ガス温度計48で測定された第二排気ガス温度Te2を用いて求められる。また、タービン30を構成する部品のうちで、高温の燃焼ガスに接する動翼や静翼を冷却するため、圧縮機10で圧縮された空気の一部を用いる場合、タービン入口温度Ttinを求める際には、この空気の温度及び流量も考慮される。
【0084】
判定時におけるタービン効率ηtは、判定時tjにおけるタービン入口温度Ttin、判定時tjに第二排気ガス温度計48で測定された第二排気ガス温度Te2、判定時tjにおける理想排気ガス温度Te2rを用いて、以下の式で求められる。
ηt=(Ttin-T2)/(Ttin-Te2r)
なお、判定時tjにおける理想排ガス温度Te2rは、判定時tjにおけるタービン入口温度Ttinの燃焼ガスを、判定時tjにおけるタービン30の膨張比で断熱膨張したときの温度である。判定時tjにおけるタービン30の膨張比は、判定時tjに吸気圧力計43で測定された吸気圧力Piと、判定時tjに吐出圧力計45で測定された吐出圧力Pcから燃焼器の圧力損失分だけ低い圧力Ptinと、の比(Ptin/Pi)である。よって、タービン効率ηtは、タービン入口温度Ttin、第二排気ガス温度Te2、吸気圧力Pi、及び吐出圧力Pcを用いて求められる。なお、タービン30を構成する部品のうちで、高温の燃焼ガスに接する動翼や静翼を冷却するため、圧縮機10で圧縮された空気の一部を用いる場合には、この空気の温度及び流量も考慮される。
【0085】
出力部140は、外部からの指示に応じて、評価指標値算出部130が求めた複数種類の評価指標値を出力する。
【0086】
以上で、性能評価装置100の動作説明を終了する。
【0087】
本実施形態において、キャビティ温度計49で測定されたキャビティ温度Trは、制御装置50が燃料流量等を定める際、タービンロータ31のロータ軸を燃焼ガスの熱から保護する観点で用いられる。
【0088】
タービン入口温度Ttinが高まると、タービンケーシング35の熱膨張によりこのタービンケーシング35内径が大きくなると共に、タービンロータ31のロータ軸32の熱膨張によりこのロータ軸32の外径が大きくなる。タービンケーシング35の熱容量は、ロータ軸32の熱容量に比べて小さいため、タービン入口温度Ttinが高まると、先にタービンケーシング35の内径が大きくなり、その後、ロータ軸32の外径が大きくなる。よって、タービン入口温度Ttinが高まると、タービンケーシング35の内径とロータ軸32の外径との差が一時的に大きくなり、その後、この差が小さくなる。このため、タービン入口温度Ttinが高まると、図2に示すように、タービンケーシング35の径方向内側Driに取り付けられている静翼のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法が、一時的に大きくなり、その後、この隙間寸法が小さくなる。静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法が大きくなると、燃焼ガス流路39内の燃焼ガスGの一部が、この静翼37の内側シュラウド37cとこの静翼37の軸線上流側Dauに隣接する動翼34のプラットフォーム34cとの隙間から、この静翼37の内側シュラウド37cとロータ軸32との間のキャビティに流入する燃焼ガスGの流量が多くなる。この結果、静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法が大きくなると、キャビティ温度Trが上昇する。よって、キャビティ温度Trは、静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法に対して相関性を有する。
【0089】
タービン入口温度Ttinが変化して、キャビティに流入する燃焼ガスGの流量が変化すると、前述したタービン効率ηtを求める際に用いる第二排気ガス温度Te2も変化する。このため、キャビティに流入する燃焼ガスGの流量が変化している過程で得られたタービン入口温度Ttin及び第二排気ガス温度Te2等を用いて、タービン効率ηtを求めても、このタービン効率ηtは適切なタービン効率とは言えない。
【0090】
そこで、本実施形態では、静定判定用データの一種として、キャビティ温度Trを取得し、このキャビティ温度Trが静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率ηtを求めている。よって、本実施形態では、性能評価に適切なタービン効率ηtを求めることができる。
【0091】
本実施形態において、第一排気ガス温度計47で測定された第一排気ガス温度Te1は、制御装置50が、周方向Dcに並ぶ複数の燃焼器20のうちで、いずれの燃焼器20が故障したか否かを判断するために用いられる。このため、第一排気ガス温度計47は、最終段動翼列よりも軸線下流側Dadの位置であって、周方向Dcに並ぶ複数の燃焼器20のそれぞれからタービンケーシング35内の燃焼ガス流路39内に流入した燃焼ガスが周方向Dcであまり混じり合っていないと想定される位置での排気ガスの温度を第一排気ガス温度Te1として測定する。また、第二排気ガス温度計48で測定された第二排気ガス温度Te2は、制御装置50が燃料流量等を定める際、排気ダクト7を排気ガスの熱から保護する観点で用いられる。このため、第二排気ガス温度計48は、最終段動翼列よりも軸線下流側Dadの位置であって、周方向Dcに並ぶ複数の燃焼器20のそれぞれから燃焼ガス流路39内に流入した燃焼ガスGが周方向Dcで十分に混じり合っていると想定される位置での排気ガスEGの温度を第二排気ガス温度Te2として測定する。
【0092】
第二排気ガス温度計48は、第一排気ガス温度計47よりも軸線下流側Dadに位置しているため、タービン入口温度Ttinが変化した後に、第一排気ガス温度計47で測定された第一排気ガス温度Te1が変化しても、第二排気ガス温度計48で測定される第二排気ガス温度Te2は直ちに変化しない。すなわち、タービン入口温度Ttinの変化に対する第二排気ガス温度Te2の変化の応答性は、タービン入口温度Ttinの変化に対する第一排気ガス温度Te1の変化の応答性よりも低い。よって、タービン入口温度Ttinが変化すると、第一排気ガス温度Te1と第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Tdも変化する。このため、排気ガス温度差Tdが変化している過程で得られたタービン入口温度Ttin及び第二排気ガス温度Te2等を用いて、タービン効率ηtを求めても、このタービン効率ηtは適切なタービン効率とは言えない。
【0093】
そこで、本実施形態では、静定判定用データの一種として、排気ガス温度差Tdを取得し、この排気ガス温度差Tdが静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率ηtを求めている。よって、本実施形態では、性能評価に適切なタービン効率ηtを求めることができる。
【0094】
ところで、タービン入口温度Ttinが変化してから排気ガス温度差Tdがほぼ一定になる時間は、数十秒である。また、タービン入口温度Ttinが変化してからキャビティ温度Trがほぼ一定になる時間が数十分以上である。しかも、排気ガス温度差Tdがほぼ一定になっていても、キャビティ温度Trがほぼ一定になっているとは限らない。逆に、キャビティ温度Trがほぼ一定になっていても、排気ガス温度差Tdがほぼ一定になっているとは限らない。このため、ガスタービン1が静定していると判定するためには、静定判定用データとして、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trを取得し、両方の静定判定用データが静定していると判定されることが好ましい。このため、本実施形態では、静定判定用データとして、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trを取得する。
【0095】
静定判定用データは、第一期間T1内で静定している判定される場合でも、第一期間T1より長い第二期間T2内で静定していないと判定される場合がある。逆に、静定判定用データは、第一期間T1内で静定していないと判定される場合でも、第二期間T2内で静定していると判定される場合もある。そこで、本実施形態では、複数種類の静定判定用データ毎に、互い異なる二つの期間中で静定判定用データが静定しているか否かを判定する。このため、本実施形態では、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うことができ、結果として、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0096】
「短期静定判定部の変形例」
図8及び図9を用いて、以上で説明した短期静定判定部の変形例について説明する。
【0097】
図8に示すように、本変形例における短期静定判定部150は、判定前処理部151と、第一期間データ判定部153と、を有する。判定前処理部151は、第一期間T1より短い第三期間T3の平滑化部152aと、差演算部152bと、を有する。ここで、第三期間T3T3は、例えば、3分~8分程度の期間である。第一期間データ判定部153は、第一期間T1の平滑化部154aと、第一期間T1の判定部154bと、を有する。
【0098】
次に、図9に示すフローチャートに従って、本変形例における短期静定判定部150の動作について説明する。
【0099】
本変形例における短期静定判定部150の判定前処理部151は、判定前処理工程S51を実行する。この判定前処理工程S51では、判定前処理部151における第三期間T3の平滑化部154aが、データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における静定判定用データのうちから、判定前処理時から過去の第三期間T3における複数の時刻毎の静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化する(第三期間の平滑化工程S54a)。この判定前処理工程S51では、さらに、判定前処理部151における差演算部152bが、平滑化工程S54aで平滑化された静定判定用データMA3と複数の時刻毎の静定判定用データのうちで最新の静定判定用データXtlとの差の絶対値|MA3-Xtl|を求める。
【0100】
本変形例における短期静定判定部150の第一期間データ判定部153は、第一期間判定工程S53を実行する。この第一期間判定工程S53では、まず、第一期間データ判定部153における第一期間T1の平滑化部154aが、第一期間T1内の全ての第三期間T3に関して、判定前処理工程S51が実行されたか否かを判定する(判定前処理完了の判定工程S54c)。第一期間T1の平滑化部154aは、第一期間T1内の全ての第三期間T3に関して、判定前処理工程S51が実行されていないと判定すると、判定前処理部151が第一期間T1内の全ての第三期間T3に関して判定前処理工程S51を実行するまで待つ。第一期間T1の平滑化部154aは、第一期間T1内の全ての第三期間T3に関して、判定前処理工程S51が実行されたと判定すると、第一期間T1内で実行された全ての判定前処理工程S51で得られた各差の絶対値|MA3-Xtl|を平滑化する(第一期間の平滑化工程S54a)。次に、第一期間T1の判定部154bが、第一期間T1の平滑化工程S54aで平滑化された差の絶対値MA1が予め定められた値ε3未満である否かを判定する(第一期間の判定工程S54b)。第一期間T1の平滑化工程S54aで平滑化された差の絶対値MA1が予め定められた値ε3未満の場合、第一期間T1の判定部154bは、第一期間T1内で、この静定判定用データが静定しているとする。
【0101】
以上で、第一期間判定工程S53が終了して、本変形例における短期静定判定工程S50が終了する。第一期間判定工程S53で静定判定用データが第一期間T1内で静定していると判定されると、前述の実施形態と同様に、全種類の静定判定用データに関して、短期静定判定工程S50での判定が完了したか否かが判定される(判定完了判定工程S28)。
【0102】
本変形例の短期静定判定工程S50では、以上の処理過程で、第一期間T1中の一つの第三期間T3内の静定判定用データが静定していると判定されるような場合でも、第一期間T1中の他の第三期間T3内の静定判定用データが静定していないと判定される場合には、第一期間T1内で、静定判定用データが静定していると判定しない。つまり、本変形例における短期静定判定工程S50では、第一期間T1より短い第三期間T3のみならず、第一期間T1についても考慮する。言い換えると、本変形例における短期静定判定工程S50では、第一期間T1のみならず、第一期間T1より短い第三期間T3を考量する。
【0103】
このため、本変形例では、第一期間T1より短い第三期間T3を考量して、第一期間T1内で静定判定用データが静定しているか否か判定することができる。
【0104】
「その他の変形例」
以上の実施形態及び変形例における第一期間T1は、複数種類の静定判定用データに対して共通する期間である。また、以上の実施形態及び変形例における第二期間T2、及び第三期間T3も、複数種類の静定判定用データに対して共通する期間である。しかしながら、複数種類の静定判定用データ毎に、第一期間T1、第二期間T2、第三期間T3を定めてもよい。但し、この場合も、第二期間T2は第一期間T1より長い期間であり、第三期間T3は第一期間T1より短い期間である必要がある。
【0105】
以上の実施形態及び変形例では、複数種類の静定判定用データに対して、互に異なる二つの期間で、静定しているか否かを判定している。しかしながら、複数種類の静定判定用データに対して、一つの期間のみで、静定しているか否かを判定してもよい。但し、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うためには、複数種類の静定判定用データに対して、互に異なる二つの期間で、静定しているか否かを判定することが好ましい。
【0106】
本開示は、以上で説明した実施形態及び変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0107】
「付記」
以上の実施形態及び変形例におけるガスタービン1の性能評価方法は、例えば、以下のように把握される。
【0108】
(1)第一態様におけるガスタービンの性能評価方法は、以下のガスタービンに適用される。
このガスタービン1は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成できる圧縮機10と、前記圧縮空気Acom中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成できる燃焼器20と、前記燃焼ガスGにより駆動可能なタービン30と、を備える。前記タービン30は、軸線Arを中心として回転可能なロータ31と、前記ロータ31の外周を覆うタービンケーシング35と、前記タービンケーシング35の内周側に設けられている複数の静翼列36と、前記タービンケーシング35から排気された燃焼ガスGである排気ガスEGが流通可能な排気ダクト7と、を有する。複数の静翼列36は、前記軸線Arが延びる軸線方向Daに互に間隔をあけて並ぶ。前記複数の静翼列36は、いずれも、前記軸線Arに対する周方向Dcに並ぶ複数の静翼37を有する。前記静翼37は、前記軸線Arに対する径方向Drに垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向Drに延びている翼体37aと、前記翼体37aの径方向内側Driに設けられている内側シュラウド37cと、前記翼体37aの径方向外側Droに設けられている外側シュラウド37bと、を有する。前記ロータ31は、前記軸線Arを中心として前記軸線方向Daに延びるロータ軸32と、前記ロータ軸32に取り付けられている複数の動翼列33と、を有する。前記複数の動翼列33のそれぞれは、前記複数の静翼列36のうち、いずれの一の静翼列36に対して前記軸線方向Daにおける軸線上流側Dauと軸線下流側Dadとのうちで前記軸線下流側Dadに配置されている。前記複数の動翼列33は、いずれも、前記周方向Dcに並ぶ複数の動翼34を有する。
このガスタービン1の性能評価方法では、前記ガスタービン1が静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービン1の性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得するデータ取得工程S10と、前記データ取得工程S10で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶工程S15と、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S26,S53を行い、該データ判定工程S23,S26,S53の結果に応じて、前記ガスタービン1が静定状態か否かを判定する静定判定工程S20と、前記静定判定工程S20で前記ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程S30と、を実行する。前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列33のうちで最も前記軸線下流側Dadの動翼列33である最終段動翼列を通過した排気ガスEGの温度である第一排気ガス温度Te1と前記排気ガスEGの温度であって前記第一排気ガス温度Te1が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスEGの温度である第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Td、又は、前記静翼37の前記内側シュラウド37cと前記ロータ軸32との間のキャビティ温度Trである。
【0109】
ガスタービン1の評価指標値として代表的な値として、タービン30単独の効率であるタービン効率ηtがある。このタービン効率ηtは、タービン入口温度Ttinと第二排気ガス温度Te2とを用いて求められる。なお、タービン入口温度Ttinとは、燃焼器20からの燃焼ガスGが流入するタービン30の入口における燃焼ガスGの温度である。
【0110】
タービン入口温度Ttinが高まると、タービンケーシング35の熱膨張によりこのタービンケーシング35内径が大きくなると共に、タービンロータ31のロータ軸32の熱膨張によりこのロータ軸32の外径が大きくなる。タービンケーシング35の熱容量は、ロータ軸32の熱容量に比べて小さいため、タービン入口温度Ttinが高まると、先にタービンケーシング35の内径が大きくなり、その後、ロータ軸32の外径が大きくなる。よって、タービン入口温度Ttinが高まると、タービンケーシング35の内径とロータ軸32の外径との差が一時的に大きくなり、その後、この差が小さくなる。このため、タービン入口温度Ttinが高まると、タービンケーシング35の径方向内側Driに取り付けられている静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法が、一時的に大きくなり、その後、この隙間寸法が小さくなる。静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法が大きくなると、燃焼ガス流路39内の燃焼ガスGの一部が、この静翼37の内側シュラウド37cとこの静翼37の軸線上流側Dauに隣接する動翼34のプラットフォーム34cとの隙間から、この静翼37の内側シュラウド37cとロータ軸32との間のキャビティに流入する燃焼ガスGの流量が多くなる。この結果、静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法が大きくなると、キャビティ温度Trが上昇する。よって、キャビティ温度Trは、静翼37のシール37eとロータ軸32との間の隙間寸法に対して相関性を有する。
【0111】
タービン入口温度Ttinが変化して、キャビティに流入する燃焼ガスGの流量が変化すると、前述したタービン効率ηtを求める際に用いる第二排気ガス温度Te2も変化する。このため、キャビティに流入する燃焼ガスGの流量が変化している過程で得られたタービン入口温度Ttin及び第二排気ガス温度Te2等を用いて、タービン効率ηtを求めても、このタービン効率ηtは適切なタービン効率ηtとは言えない。
【0112】
第二排気ガス温度Te2は、第一排気ガス温度Te1が測定される位置よりも、最終段動翼列から離れた位置における排気ガスEGの温度である。このため、タービン入口温度Ttinが変化した後、第一排気ガス温度Te1が変化しても、第二排気ガス温度Te2は直ちに変化しない。すなわち、タービン入口温度Ttinの変化に対する第二排気ガス温度Te2の変化の応答性は、タービン入口温度Ttinの変化に対する第一排気ガス温度Te1の変化の応答性よりも低い。よって、タービン入口温度Ttinが変化すると、第一排気ガス温度Te1と第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Tdも変化する。このため、排気ガス温度差Tdが変化している過程で得られたタービン入口温度Ttin及び第二排気ガス温度Te2等を用いて、タービン効率ηtを求めても、このタービン効率ηtは適切なタービン効率ηtとは言えない。
【0113】
そこで、本態様では、静定判定用データの一種として、キャビティ温度Tr又は排気ガス温度差Tdを取得し、この排気ガス温度差Tdが静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率ηtを求める。よって、本実施形態では、性能評価に適切な評価指標値を求めることができる。
【0114】
(2)第二態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第一態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記静定判定工程S20は、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S53を行い、該データ判定工程S23,S53の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間T1で静定しているか否かを判定する短期静定判定工程S22,S50と、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間T1よりも長い第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S26を行い、該データ判定工程S26の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間T2で静定しているか否かを判定する長期静定判定工程S25と、前記静定判定用データが前記第一期間T1及び前記第二期間T2で静定していると判定されたことを条件にして、前記ガスタービン1が静定状態であると判定するタービン静定判定工程S29と、を含む。
【0115】
静定判定用データは、第一期間T1内で静定していると判定される場合でも、第一期間T1より長い第二期間T2内で静定していないと判定される場合がある。逆に、静定判定用データは、第一期間T1内で静定していないと判定される場合でも、第二期間T2内で静定していると判定される場合もある。これらの場合に、ガスタービン1が静定状態であると判定して、このときの指標値用データを用いて評価指標値を求めても、性能評価に適切な評価指標値を得ることができない。
【0116】
本態様では、静定判定用データが第一期間T1及び第二期間T2で静定していると判定されたことを条件にして、ガスタービン1が静定状態であると判定するので、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0117】
(3)第三態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第一態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ取得工程S10では、前記少なくとも一の静定判定用データとして、前記排気ガス温度差Tdと前記キャビティ温度Trとを含む複数種類の静定判定用データを取得する。前記静定判定工程S20は、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが前記複数種類の静定判定用データ毎に予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S26,S53を行い、該データ判定工程S23,S26,S53の結果に応じて、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定工程S21と、前記データ種別判定工程S21で前記排気ガス温度差Tdと前記キャビティ温度Trとが静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービン1が静定状態であると判定するタービン静定判定工程S29と、を含む。
【0118】
タービン入口温度Ttinが変化してから排気ガス温度差Tdがほぼ一定になる時間は、数十秒である。また、タービン入口温度Ttinが変化してからキャビティ温度Trがほぼ一定になる時間が数十分以上である。しかも、排気ガス温度差Tdがほぼ一定になっていても、キャビティ温度Trがほぼ一定になっているとは限らない。逆に、キャビティ温度Trがほぼ一定になっていても、排気ガス温度差Tdがほぼ一定になっているとは限らない。このため、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trを含む複数種類の静定判定用データを取得し、ガスタービン1が静定していると判定するためには、複数種の静定判定用データが静定していると判定されることが好ましい。このため、本態様では、静定判定用データとして、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trを含む複数種類の静定判定用データを取得し、排気ガス温度差Tdとキャビティ温度Trとが静定していると判定されることを条件として、ガスタービン1が静定状態であると判定する。よって、本態様では、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0119】
(4)第四態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第三態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ種別判定工程S21は、前記複数種類の静定判定用データ毎に実行する、短期静定判定工程S22,S50、及び長期静定判定工程S25を含む。前記短期静定判定工程S22,S50では、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S53を行い、該データ判定工程S23,S53の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間T1で静定しているか否かを判定する。前記長期静定判定工程S25では、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間T1よりも長い第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S26を行い、該データ判定工程S26の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間T2で静定しているか否かを判定する。前記タービン静定判定工程S29では、前記複数種類の静定判定用データのいずれもが前記第一期間T1及び前記第二期間T2で静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービン1が静定状態であると判定する。
【0120】
本態様では、第三態様における性能評価方法と同様に、複数種類の静定判定用データ毎に、静定判定用データが静定しているか否かを判定すると共に、第二態様における性能評価方法と同様に、互いの期間が異なる二つの期間中で静定判定用データが静定しているか否かを判定する。このため、本態様では、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うことができ、結果として、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0121】
(5)第五態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第三態様又は前記第四態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ取得工程S10では、複数種類の静定判定用データとして、さらに、前記ガスタービン1の出力PWと前記圧縮機10が吸い込む空気の温度Tiとのうち、少なくとも一方を取得する。
【0122】
本態様では、複数種類の静定判定用データとして、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trの他に、ガスタービン1の出力PWと圧縮機10が吸い込む空気の温度Tiとのうち、少なくとも一方を取得する。このため、本態様では、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うことができ、結果として、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0123】
(6)第六態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第一態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ判定工程S23,S26は、期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化工程S24a,S27aと、前記平滑化工程S24a,S27aで平滑化された前記静定判定用データと前記判定時の前記静定判定用データとの差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する前記変動幅の範囲内に収まっていると判定する判定工程S24b,S27bと、を含む。
【0124】
(7)第七態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第二態様又は前記第四態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記短期静定判定工程S50は、判定前処理工程S51と、第一期間判定工程S53とを含む。前記判定前処理工程S51は、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定前処理時から過去の期間であって前記第一期間T1より短い第三期間T3における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化工程S52aと、前記複数の時刻毎の前記静定判定用データのうちで最新の静定判定用データと該平滑化工程S52aで平滑化された前記静定判定用データとの差の絶対値を求める差演算工程S52bと、を含む。判定時から過去の前記第一期間T1内で、前記判定前処理工程S51を複数回実行する。前記第一期間判定工程S53は、前記第一期間T1内で実行された複数回の前記判定前処理工程S51で得られた各差の絶対値を平滑化する平滑化工程S54aと、該平滑化工程S54aで平滑化された差の絶対値が予め定められた値に未満の場合に、前記静定判定用データが静定していると判定する判定工程S54bと、を含む。
【0125】
本態様における短期静定判定工程S50では、第一期間T1中の一つの第三期間T3内の静定判定用データが静定していると判定されるような場合でも、第一期間T1中の他の第三期間T3内の静定判定用データが静定していないと判定される場合には、第一期間T1内で、静定判定用データが静定していると判定しない。つまり、本態様における短期静定判定工程S50では、第一期間T1より短い第三期間T3のみならず、第一期間T1についても考慮する。言い換えると、本態様における短期静定判定工程S50では、第一期間T1のみならず、第一期間T1より短い第三期間T3を考量する。
【0126】
このため、本態様では、第一期間T1より短い第三期間T3を考量して、第一期間T1内で静定判定用データが静定しているか否か判定することができる。
【0127】
(8)第八態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第六態様又は前記第七態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記平滑化工程S24a,S27a,S52a,S54aでは、対象の複数のデータの指数移動平均値を求め、該指数移動平均値を、対象の複数のデータを平滑化したデータとする。
【0128】
移動平均値の種類としては、単純移動平均値、加重移動平均値、指数移動平均値がある。指数移動平均値は、この指数移動平均値を得るための複数のサンプル毎の状態量の割合のうちで、判定時に近いサンプルの状態量ほど、その割合が指数関数的に多くなる。このため、これらの種類の移動平均値のうちで、指数移動平均値は、判定時に近いサンプルの状態量の影響が最も高い移動平均値である。
【0129】
例えば、期間中の複数の状態量のうちで、判定時tjの状態量Xtjがほぼ所定値Xpの値で、この判定時tjに近い時刻t(j-1),t(j-2),t(j-3)における数個の状態量が所定値Xpを基準にして大きく異なる値で、他の時刻t(j-4),t(j-5),…,t(j-(n-1))における全ての状態量がほぼ所定値Xpの値であるとする。この場合、判定時tjの状態量Xtjがほぼ所定値Xpの値であっても、期間T中の各時刻の状態量Xに関する指数移動平均EMAの値は、期間T中の各時刻の状態量Xに関する単純移動平均SMAの値よりも大きくなる。このため、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとして、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを単純移動平均SMAの値を用いると、静定判定用データが期間中で静定していると判定される場合でも、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを平滑化したデータとして、期間T中の複数の時刻毎の静定判定用データを指数移動平均EMAの値を用いると、静定判定用データが期間中で静定していないと判定されることがある。
【0130】
よって、対象の複数のデータを平滑化したデータとして、指数移動平均値を用いることで、静定判定用データが静定しているか否かの判定を高精度に行うことができる。
【0131】
(9)第九態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第一態様から前記第八態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ取得工程S10では、前記指標値用データとして、前記圧縮機10が吸い込む吸気の温度である吸気温度Ti、前記吸気の圧力である吸気圧力Pi、前記圧縮機10が吐出した圧縮空気の温度である吐出空気温度Tc、前記圧縮空気の圧力である吐出圧力Pc、前記燃焼器20に流入する燃料流量Fr、前記第二排気ガス温度Te2、前記ガスタービン1の出力PWを取得する。前記評価指標値算出工程S30では、前記静定判定工程S20で前記ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における前記吸気温度Ti、前記吸気圧力Pi、前記吐出空気温度Tc、前記吐出圧力Pc、前記燃料流量Fr、前記第二排気ガス温度Te2、及び前記ガスタービン1の出力PWを用いて、前記燃焼器20からの燃焼ガスが流入する前記タービン30の入口における燃焼ガスの温度であるタービン入口温度Ttinを求める。
【0132】
(10)第十態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ取得工程S10では、前記指標値用データとして、前記圧縮機10が吸い込む吸気の温度である吸気温度Ti、前記吸気の圧力である吸気圧力Pi、前記圧縮機10が吐出した圧縮空気の温度である吐出空気温度Tc、前記圧縮空気の圧力である吐出圧力Pc、前記燃焼器20に流入する燃料流量、前記第二排気ガス温度Te2、前記ガスタービン1の出力PWを取得する。前記評価指標値算出工程S30では、前記静定判定工程S20で前記ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における前記吸気温度Ti、前記吸気圧力Pi、前記吐出空気温度Tc、前記吐出圧力Pc、前記燃料流量、前記第二排気ガス温度Te2、及び前記ガスタービン1の出力PWを用いて、前記タービン30の効率ηtを求める。
【0133】
(11)第十一態様におけるガスタービンの性能評価方法は、
前記第一態様から前記第十態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンの性能評価方法において、前記データ取得工程S10では、前記指標値用データとして、前記圧縮機10が吸い込む吸気の温度である吸気温度Ti、前記吸気の圧力である吸気圧力Pi、前記圧縮機10が吐出した圧縮空気の温度である吐出空気温度Tc、及び前記圧縮空気の圧力である吐出圧力Pcを取得する。前記評価指標値算出工程S30では、前記静定判定工程S20で前記ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における前記吸気温度Ti、前記吸気圧力Pi、前記吐出空気温度Tc、前記吐出圧力Pcを用いて、前記評価指標値の一種である前記圧縮機10の効率ηcを求める。
【0134】
以上の実施形態及び変形例におけるガスタービン1の性能評価プログラム104bは、例えば、以下のように把握される。
【0135】
(12)第十二態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、以下のガスタービンに適用される。
このガスタービン1は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成できる圧縮機10と、前記圧縮空気Acom中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成できる燃焼器20と、前記燃焼ガスGにより駆動可能なタービン30と、を備える。前記タービン30は、軸線Arを中心として回転可能なロータ31と、前記ロータ31の外周を覆うタービンケーシング35と、前記タービンケーシング35の内周側に設けられている複数の静翼列36と、前記タービンケーシング35から排気された燃焼ガスGである排気ガスEGが流通可能な排気ダクト7と、を有する。複数の静翼列36は、前記軸線Arが延びる軸線方向Daに互に間隔をあけて並ぶ。前記複数の静翼列36は、いずれも、前記軸線Arに対する周方向Dcに並ぶ複数の静翼37を有する。前記静翼37は、前記軸線Arに対する径方向Drに垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向Drに延びている翼体37aと、前記翼体37aの径方向内側Driに設けられている内側シュラウド37cと、前記翼体37aの径方向外側Droに設けられている外側シュラウド37bと、を有する。前記ロータ31は、前記軸線Arを中心として前記軸線方向Daに延びるロータ軸32と、前記ロータ軸32に取り付けられている複数の動翼列33と、を有する。前記複数の動翼列33のそれぞれは、前記複数の静翼列36のうち、いずれの一の静翼列36に対して前記軸線方向Daにおける軸線上流側Dauと軸線下流側Dadとのうちで前記軸線下流側Dadに配置されている。前記複数の動翼列33は、いずれも、前記周方向Dcに並ぶ複数の動翼34を有する。
このガスタービン1の性能評価プログラムは、前記ガスタービン1が静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービン1の性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得するデータ取得工程S10と、前記データ取得工程S10で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶工程S15と、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S26,S53を行い、該データ判定工程S23,S26,S53の結果に応じて、前記ガスタービン1が静定状態か否かを判定する静定判定工程S20と、前記静定判定工程S20で前記ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出工程S30と、をコンピュータに実行させる。前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列33のうちで最も前記軸線下流側Dadの動翼列33である最終段動翼列を通過した排気ガスEGの温度である第一排気ガス温度Te1と前記排気ガスEGの温度であって前記第一排気ガス温度Te1が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスEGの温度である第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Td、又は、前記静翼37の前記内側シュラウド37cと前記ロータ軸32との間のキャビティ温度Trである。
【0136】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、第一態様における性能評価方法と同様、静定判定用データの一種として、キャビティ温度Tr又は排気ガス温度差Tdを取得し、この排気ガス温度差Tdが静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率ηtを求める。よって、本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を求めることができる。
【0137】
(13)第十三態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、
前記第十二態様におけるガスタービンの性能評価プログラムにおいて、前記静定判定工程S20は、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S53を行い、該データ判定工程S23,S53の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間T1で静定しているか否かを判定する短期静定判定工程S22,S50と、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間T1よりも長い第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S26を行い、該データ判定工程S26の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間T2で静定しているか否かを判定する長期静定判定工程S25と、前記静定判定用データが前記第一期間T1及び前記第二期間T2で静定していると判定されたことを条件にして、前記ガスタービン1が静定状態であると判定するタービン静定判定工程S29と、を含む。
【0138】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、第二態様における性能評価方法と同様、静定判定用データが第一期間T1及び第二期間T2で静定していると判定されたことを条件にして、ガスタービン1が静定状態であると判定する。よって本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0139】
(14)第十四態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、
前記第十二態様におけるガスタービンの性能評価プログラムにおいて、前記データ取得工程S10では、前記少なくとも一の静定判定用データとして、前記排気ガス温度差Tdと前記キャビティ温度Trとを含む複数種類の静定判定用データを取得する。前記静定判定工程S20は、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが前記複数種類の静定判定用データ毎に予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S26,S53を行い、該データ判定工程S23,S26,S53の結果に応じて、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定工程S21と、前記データ種別判定工程S21で前記複数種類の静定判定用データの全てが静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービン1が静定状態であると判定するタービン静定判定工程S29と、を含む。
【0140】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、第三態様における性能評価方法と同様、静定判定用データとして、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trを含む複数種類の静定判定用データを取得し、複数種類の静定判定用データの全てが静定していると判定されることを条件として、ガスタービン1が静定状態であると判定する。よって、本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0141】
(15)第十五態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、
前記第十四態様におけるガスタービンの性能評価プログラムにおいて、前記データ種別判定工程S21は、前記複数種類の静定判定用データ毎に実行する、短期静定判定工程S22,S50、及び長期静定判定工程S25を含む。前記短期静定判定工程S22,S50では、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S23,S53を行い、該データ判定工程S23,S53の結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間T1で静定しているか否かを判定する。前記長期静定判定工程S25では、前記データ記憶工程S15で記憶した複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間T1よりも長い第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定工程S26を行い、該データ判定工程S26の結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間T2で静定しているか否かを判定する。前記タービン静定判定工程S29では、前記複数種類の静定判定用データのいずれもが前記第一期間T1及び前記第二期間T2で静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービン1が静定状態であると判定する。
【0142】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、第四態様における性能評価方法と同様、複数種類の静定判定用データ毎に、静定判定用データが静定しているか否かを判定すると共に、互いの期間が異なる二つの期間中で静定判定用データが静定しているか否かを判定する。このため、本態様でも、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うことができ、結果として、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0143】
(16)第十六態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、
前記第十四態様又は前記第十五態様におけるガスタービンの性能評価プログラムにおいて、前記データ取得工程S10では、複数種類の静定判定用データとして、さらに、前記ガスタービン1の出力PWと前記圧縮機10が吸い込む空気の温度Tiとのうち、少なくとも一方を取得する。
【0144】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、第五態様における性能評価方法と同様、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trの他に、ガスタービン1の出力PWと圧縮機10が吸い込む空気の温度Tiとのうち、少なくとも一方を取得する。このため、本態様でも、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うことができ、結果として、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0145】
(17)第十七態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、
前記第十二態様から前記第十六態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンの性能評価プログラムにおいて、前記データ判定工程S23,S26は、期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化工程S24a,S27aと、前記平滑化工程S24a,S27aで平滑化された前記静定判定用データと前記判定時の前記静定判定用データとの差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する前記変動幅の範囲内に収まっていると判定する判定工程S24b,S27bと、を含む。
【0146】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、コンピュータは、第七態様における性能評価方法と同様、第一期間T1より短い第三期間T3を考量して、第一期間T1内で静定判定用データが静定しているか否か判定することができる。
【0147】
(18)第十八態様におけるガスタービンの性能評価プログラムは、
前記第十七態様におけるガスタービンの性能評価プログラムにおいて、前記平滑化工程S24a,S27aでは、対象の複数のデータの指数移動平均値を求め、該指数移動平均値を、対象の複数のデータを平滑化したデータとする。
【0148】
本態様の性能評価プログラムをコンピュータに実行させることで、第八態様における性能評価方法と同様、対象の複数のデータを平滑化したデータとして、指数移動平均値を用いることで、静定判定用データが静定しているか否かの判定を高精度に行うことができる。
【0149】
以上の実施形態及び変形例におけるガスタービン1の性能評価装置100は、例えば、以下のように把握される。
【0150】
(19)第十九態様におけるガスタービンの性能評価装置は、以下のガスタービンに適用される。
このガスタービン1は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成できる圧縮機10と、前記圧縮空気Acom中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成できる燃焼器20と、前記燃焼ガスGにより駆動可能なタービン30と、を備える。前記タービン30は、軸線Arを中心として回転可能なロータ31と、前記ロータ31の外周を覆うタービンケーシング35と、前記タービンケーシング35の内周側に設けられている複数の静翼列36と、前記タービンケーシング35から排気された燃焼ガスGである排気ガスEGが流通可能な排気ダクト7と、を有する。複数の静翼列36は、前記軸線Arが延びる軸線方向Daに互に間隔をあけて並ぶ。前記複数の静翼列36は、いずれも、前記軸線Arに対する周方向Dcに並ぶ複数の静翼37を有する。前記静翼37は、前記軸線Arに対する径方向Drに垂直な断面形状が翼形を成し、前記径方向Drに延びている翼体37aと、前記翼体37aの径方向内側Driに設けられている内側シュラウド37cと、前記翼体37aの径方向外側Droに設けられている外側シュラウド37bと、を有する。前記ロータ31は、前記軸線Arを中心として前記軸線方向Daに延びるロータ軸32と、前記ロータ軸32に取り付けられている複数の動翼列33と、を有する。前記複数の動翼列33のそれぞれは、前記複数の静翼列36のうち、いずれの一の静翼列36に対して前記軸線方向Daにおける軸線上流側Dauと軸線下流側Dadとのうちで前記軸線下流側Dadに配置されている。前記複数の動翼列33は、いずれも、前記周方向Dcに並ぶ複数の動翼34を有する。
ガスタービン1の性能評価装置は、前記ガスタービン1が静定しているか否かを判定するための少なくとも一の静定判定用データを取得すると共に、前記ガスタービン1の性能評価に用いる評価指標値を得るための指標値用データを取得可能なデータ取得部110と、前記データ取得部110で取得したデータを時系列に記憶するデータ記憶部115と、前記データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部123,126,153を含み、該データ判定部123,126,153による判定結果に応じて、前記ガスタービン1が静定状態か否かを判定する静定判定部120と、前記静定判定部120で前記ガスタービン1が静定状態であると判定された判定時における前記指標値用データを用いて、前記評価指標値を求める評価指標値算出部130と、を備える。前記少なくとも一の静定判定用データは、前記複数の動翼列33のうちで最も前記軸線下流側Dadの動翼列33である最終段動翼列を通過した排気ガスEGの温度である第一排気ガス温度Te1と前記排気ガスEGの温度であって前記第一排気ガス温度Te1が測定される位置よりも前記最終段動翼列から離れた位置における排気ガスEGの温度である第二排気ガス温度Te2との差である排気ガス温度差Td、又は、前記静翼37の前記内側シュラウド37cと前記ロータ軸32との間のキャビティ温度Trである。
【0151】
本態様では、第一態様における性能評価方法と同様、静定判定用データの一種として、キャビティ温度Tr又は排気ガス温度差Tdを取得し、この排気ガス温度差Tdが静定していると判定されたことを条件として、この判定時における評価値用データを用いて、評価指標値の一種であるタービン効率ηtを求める。よって、本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を求めることができる。
【0152】
(20)第二十態様におけるガスタービンの性能評価装置は、
前記第十九態様におけるガスタービンの性能評価装置において、前記静定判定部120は、前記データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部123,153を含み、該データ判定部123,153による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間T1で静定しているか否かを判定する短期静定判定部122,150と、前記データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間T1よりも長い第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部126を含み、該データ判定部126による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間T2で静定しているか否かを判定する長期静定判定部125と、前記静定判定用データが前記第一期間T1及び前記第二期間T2で静定していると判定されたことを条件にして、前記ガスタービン1が静定状態であると判定するタービン静定判定部129と、を有する。
【0153】
本態様では、第二態様における性能評価方法と同様、静定判定用データが第一期間T1及び第二期間T2で静定していると判定されたことを条件にして、ガスタービン1が静定状態であると判定する。よって本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0154】
(21)第二十一態様におけるガスタービンの性能評価装置は、
前記第十九態様におけるガスタービンの性能評価装置において、前記データ取得部110は、前記少なくとも一の静定判定用データとして、前記排気ガス温度差Tdと前記キャビティ温度Trとを含む複数種類の静定判定用データを取得可能である。前記静定判定部120は、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが前記複数種類の静定判定用データ毎に予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部123,126,153を含み、該データ判定部123,126,153による判定結果に応じて、前記複数種類の静定判定用データのそれぞれが静定しているか否かを判定するデータ種別判定部121と、前記データ種別判定部121で前記排気ガス温度差Tdと前記キャビティ温度Trとが静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービン1が静定状態であると判定するタービン静定判定部129と、を有する。
【0155】
本態様では、第三態様における性能評価方法と同様、静定判定用データとして、排気ガス温度差Td及びキャビティ温度Trを含む複数種類の静定判定用データを取得し、排気ガス温度差Tdとキャビティ温度Trとが静定していると判定されることを条件として、ガスタービン1が静定状態であると判定する。よって、本態様でも、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0156】
(22)第二十二態様におけるガスタービンの性能評価装置は、
前記第二十一態様におけるガスタービンの性能評価装置において、前記データ種別判定部121は、前記複数種類の静定判定用データ毎に判定を実行する、短期静定判定部122,150、及び長期静定判定部125を含む。前記短期静定判定部122,150は、前記データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の第一期間T1における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部123,153を含み、該データ判定部123,153による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第一期間T1で静定しているか否かを判定する。前記長期静定判定部125は、前記データ記憶部115が記憶している複数の時刻毎における前記静定判定用データのうちから、判定時から予め定められた過去の期間であって前記第一期間T1よりも長い第二期間T2における複数の時刻毎の前記静定判定用データを抽出し、抽出した複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する予め定められた変動幅の範囲内に収まっているか否かを判定するデータ判定部126を含み、該データ判定部126による判定結果に応じて前記静定判定用データが前記第二期間T2で静定しているか否かを判定する。前記タービン静定判定部129は、前記複数種類の静定判定用データのいずれもが前記第一期間T1及び前記第二期間T2で静定していると判定されることを条件として、前記ガスタービン1が静定状態であると判定する。
【0157】
本態様では、第四態様における性能評価方法と同様、複数種類の静定判定用データ毎に、静定判定用データが静定しているか否かを判定すると共に、互いの期間が異なる二つの期間中で静定判定用データが静定しているか否かを判定する。このため、本態様でも、ガスタービン1が静定状態であるか否かの判定を高精度に行うことができ、結果として、性能評価に適切な評価指標値を得ることができる。
【0158】
(23)第二十三態様におけるガスタービンの性能評価装置は、
前記第十九態様から前記第二十二態様のうちのいずれか一態様におけるガスタービンの性能評価装置において、前記データ判定部123,126は、期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データを平滑化する平滑化部124a,127aと、前記平滑化部124a,127aで平滑化された前記静定判定用データと前記判定時の前記静定判定用データとの差の絶対値が予め定められた値未満の場合に、前記期間中の複数の時刻毎の前記静定判定用データが前記静定判定用データに対する前記変動幅の範囲内に収まっていると判定する判定部124b、127bと、を含む。
【0159】
(24)第二十四態様におけるガスタービンの性能評価装置は、
前記第二十三態様におけるガスタービンの性能評価装置において、前記平滑化部124a,127aは、対象の複数のデータの指数移動平均値を求め、該指数移動平均値を、対象の複数のデータを平滑化したデータとする。
【0160】
本態様では、第八態様における性能評価方法と同様、対象の複数のデータを平滑化したデータとして、指数移動平均値を用いることで、静定判定用データが静定しているか否かの判定を高精度に行うことができる。
【符号の説明】
【0161】
1:ガスタービン
2:ガスタービンロータ
5:ガスタービンケーシング
6:中間ケーシング
7:排気ダクト
8:燃料ライン
8v:燃料弁
9:発電機
10:圧縮機
11:圧縮機ロータ
12:ロータ軸
13:動翼列
14:IGV
15:圧縮機ケーシング
16:静翼列
20:燃焼器
21:バーナ
22:尾筒(又は燃焼筒)
30:タービン
31:タービンロータ
32:ロータ軸
33:動翼列
34:動翼
34a:翼体
34c:プラットフォーム
35:タービンケーシング
36:静翼列
37:静翼
37a:翼体
37b:外側シュラウド
37c:内側シュラウド
37d:シール保持部
37e:シール
39:燃焼ガス流路
40:回転数計
41:出力計
42:吸気温度計
43:吸気圧力計
44:吐出空気温度計
45:吐出圧力計
46:燃料流量計
47:第一排気ガス温度計
48:第二排気ガス温度計
49:キャビティ温度計
50:制御装置
100:性能評価装置
101:コンピュータ本体
102:CPU
103:主記憶装置
104:補助記憶装置
104a:固有データ
104b:性能評価プログラム
105:記憶・再生装置
106:入出力インタフェース
107:設備インタフェース
108:通信インタフェース
109a:入力装置
109b:表示装置
110:データ取得部
111:データ受付部
112:演算部
115:データ記憶部
120:静定判定部
121:データ種別判定部
122:短期静定判定部
123:データ判定部
124a:第一期間の平滑化部
124b:第一期間の判定部
125:長期静定判定部
126:データ判定部
127a:第二期間の平滑化部
127b:第二期間の判定部
128:判定完了判定部
129:タービン静定判定部
130:評価指標値算出部
140:出力部
150:短期静定判定部
151:判定前処理部
152a:第三期間の平滑化部
152b:差演算部
153:第一期間データ判定部
154a:第一期間の平滑化部
154b:第一期間の判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9