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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033938
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】スポイト容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/18 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D47/18 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137865
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB17
3E084DB18
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB03
3E084HD01
3E084JA20
3E084KA01
3E084KA20
3E084KB02
3E084LA15
3E084LA17
3E084LD29
(57)【要約】
【課題】しごき突片を設けていても、容器本体に対するスポイト管の抜き差し時に、空気が容器本体の内外に流通しにくくなるのを抑制する。
【解決手段】容器本体2と、内キャップ50と、スポイト管60と、外キャップ10と、作動部材30と、操作部材40と、しごき筒部材70と、を備え、内キャップおよび作動部材のうち、いずれか一方には、内側がスポイト管の上端開口に連通する作動空間Sとされた摺動筒部33が設けられるとともに、いずれか他方には、作動部材が内キャップに対して上下動するのに伴い、摺動筒部の内周面を摺動して作動空間を拡縮するピストン80が設けられ、しごき筒部材の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、スポイト管の外周面に当接するしごき突片71が形成され、しごき突片は、周方向の一方側から他方側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜した突条状に形成されるとともに、周方向に沿って3つ以上設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の口部に着脱可能に外装され、容器軸回りの回転に伴い前記口部に着脱される内キャップと、
前記内キャップから下方に向けて延び、下端開口が前記容器本体内に位置するスポイト管と、
前記内キャップに、所定量以上の容器軸回りの回転が規制された状態で、容器軸回りに回転可能に外装された外キャップと、
前記外キャップ内に設けられ、前記外キャップに対する容器軸回りの回転が規制されるとともに、前記内キャップに対して容器軸回りに回転することで前記内キャップに対して上下動する作動部材と、
前記作動部材に取付けられ、前記作動部材との間に、前記スポイト管の上端開口に連通する拡縮空間を画成する操作部材と、
前記口部に固定され、内側に前記スポイト管が挿通されたしごき筒部材と、を備え、
前記内キャップおよび前記作動部材のうちのいずれか一方には、内側が前記スポイト管の上端開口に連通する作動空間とされた摺動筒部が設けられるとともに、前記内キャップおよび前記作動部材のうちのいずれか他方には、前記作動部材が前記内キャップに対して上下動するのに伴い、前記摺動筒部の内周面を摺動して前記作動空間を拡縮するピストンが設けられ、
前記しごき筒部材の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、前記スポイト管の外周面に当接するしごき突片が形成され、
前記しごき突片は、周方向の一方側から他方側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜した突条状に形成されるとともに、周方向に沿って3つ以上設けられている、スポイト容器。
【請求項2】
周方向で互いに隣り合う前記しごき突片のうち、周方向の一方側に位置する前記しごき突片における周方向の他端縁と、周方向の他方側に位置する前記しごき突片における周方向の一端縁と、は、径方向から見た平面視で、上下方向に延びる同一の直線上に位置している、請求項1に記載のスポイト容器。
【請求項3】
前記しごき突片における径方向の内端面に、径方向の内側に向けて突出し、かつ前記しごき突片より上下方向の大きさが小さい弾性変形可能な薄肉突片が設けられている、請求項1または2に記載のスポイト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポイト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、スポイト管を有するスポイト容器が用いられている。特許文献1の構成では、外キャップ(蓋カバー)を容器本体に対して回転させると、外キャップが容器本体に対して上昇するとともに、スポイト管に内容物が吸い上げられる。その後、操作部(押釦)を外キャップに対して押下することで、内容物を吐出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-33056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスポイト容器では、容器本体内から引き出したスポイト管の外周面に、内容物が付着している場合が想定される。
これを解決するために、内側にスポイト管が挿通されるしごき筒部材を口部に固定しておき、スポイト管を容器本体内から引き出すときに、しごき筒部材の内周面に形成されたしごき突片を、スポイト管の外周面に摺接させ、スポイト管の外周面に付着していた内容物をしごき落とすことが考えられる。
しかしながら、この場合、スポイト管を容器本体内に差し込むときに、しごき突片が、スポイト管の外周面に摺接することで、容器本体内の空気が排出されにくくなり、容器本体の内圧が上昇するおそれが考えられ、スポイト管を容器本体内から引き出すときには、しごき突片が、スポイト管の外周面に摺接することで、容器本体内に空気が流入しにくくなり、容器本体の内圧が下降するおそれが考えられる。外キャップを容器本体に対して上昇させて、スポイト管内に内容物を吸い上げる際、容器本体の内圧が上昇している場合、吸い上げられる内容物の量が規定量より多くなり、容器本体の内圧が下降している場合、吸い上げられる内容物の量が規定量より少なくなる。
【0005】
本発明は、容器本体に対するスポイト管の抜き差し時に、空気が容器本体の内外に流通しにくくなるのを抑制しつつ、スポイト管を容器本体内から引き出すときに、スポイト管の外周面に付着していた内容物をしごき落とすことができるスポイト容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るスポイト容器は、内容物を収容する有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に着脱可能に外装され、容器軸回りの回転に伴い前記口部に着脱される内キャップと、前記内キャップから下方に向けて延び、下端開口が前記容器本体内に位置するスポイト管と、前記内キャップに、所定量以上の容器軸回りの回転が規制された状態で、容器軸回りに回転可能に外装された外キャップと、前記外キャップ内に設けられ、前記外キャップに対する容器軸回りの回転が規制されるとともに、前記内キャップに対して容器軸回りに回転することで前記内キャップに対して上下動する作動部材と、前記作動部材に取付けられ、前記作動部材との間に、前記スポイト管の上端開口に連通する拡縮空間を画成する操作部材と、前記口部に固定され、内側に前記スポイト管が挿通されたしごき筒部材と、を備え、前記内キャップおよび前記作動部材のうちのいずれか一方には、内側が前記スポイト管の上端開口に連通する作動空間とされた摺動筒部が設けられるとともに、前記内キャップおよび前記作動部材のうちのいずれか他方には、前記作動部材が前記内キャップに対して上下動するのに伴い、前記摺動筒部の内周面を摺動して前記作動空間を拡縮するピストンが設けられ、前記しごき筒部材の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、前記スポイト管の外周面に当接するしごき突片が形成され、前記しごき突片は、周方向の一方側から他方側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜した突条状に形成されるとともに、周方向に沿って3つ以上設けられている。
【0007】
上記態様によれば、容器本体に対して外キャップを容器軸回りに回転させると、所定量の範囲内で外キャップが内キャップに対して回転する。このとき、外キャップに対する回転が規制された作動部材も、内キャップに対して回転しながら上昇する。これにより、ピストンおよび摺動筒部が互いに摺接し、作動空間の容積の増大に伴って作動空間内が負圧となる。したがって、作動空間に連通しているスポイト管内も負圧となり、スポイト管の下端開口から容器本体の内容物を吸い上げることができる。この際、作動空間の容積の増大量は、ピストンに対する摺動筒部の上昇量に基づいて決まるため、外キャップを内キャップに対して所定量回転させる操作により、スポイト管内に略定量の内容物を吸い上げることができる。
その後、外キャップの回転をさらに継続すると、外キャップおよび内キャップが一体に容器本体に対して回転することとなり、内キャップが容器本体の口部から離脱され、スポイト管が容器本体内から引き出される。この際、しごき筒部材の内周面に形成されたしごき突片が、スポイト管の外周面に摺接することで、スポイト管の外周面に付着していた内容物がしごき落とされる。
しごき突片が、周方向の一方側から他方側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜した突条状に形成されるとともに、周方向に沿って3つ以上設けられているので、スポイト管を容器本体内に差し込むときに、容器本体内の空気が、しごき突片が設けられた上下方向の位置において、周方向の複数個所から上方に排出され、スポイト管を容器本体内から引き出すときには、これらの複数個所から空気が容器本体内に流入することとなり、特に内容物の粘度が高くても、スポイト管を容器本体内に差し込んだときに、容器本体の内圧が上昇したり、スポイト管を容器本体内から引き出したときに、容器本体の内圧が下降したりするのを抑制することができる。
【0008】
周方向で互いに隣り合う前記しごき突片のうち、周方向の一方側に位置する前記しごき突片における周方向の他端縁と、周方向の他方側に位置する前記しごき突片における周方向の一端縁と、は、径方向から見た平面視で、上下方向に延びる同一の直線上に位置してもよい。
【0009】
スポイト管を容器本体内に差し込むときに、容器本体内の空気が、しごき突片が設けられた上下方向の位置において、周方向の複数個所から迂回を抑えて上方に向けて円滑に排出されやすくなり、また、複数のしごき突片を、スポイト管の外周面に周方向の全長にわたって隙間無く摺接させることが可能になり、スポイト管の外周面に付着していた内容物を確実にしごき落とすことができる。
【0010】
前記しごき突片における径方向の内端面に、径方向の内側に向けて突出し、かつ前記しごき突片より上下方向の大きさが小さい弾性変形可能な薄肉突片が設けられてもよい。
【0011】
しごき突片における径方向の内端面に、径方向の内側に向けて突出し、かつしごき突片より上下方向の大きさが小さい薄肉突片が設けられているので、スポイト管を容器本体内から引き出すときに、薄肉突片が、弾性変形した状態でスポイト管の外周面に摺接することとなり、スポイト管を容器本体内から引き出すときに、必要となる引き上げ力を抑えつつ、スポイト管の外周面に付着していた内容物をしごき落としやすくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、容器本体に対するスポイト管の抜き差し時に、空気が容器本体の内外に流通しにくくなるのを抑制しつつ、スポイト管を容器本体内から引き出すときに、スポイト管の外周面に付着していた内容物をしごき落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るスポイト容器において、容器軸を中心に互いに90°離れた各部分を示す縦断面図である。
図2A図1の作動部材の半縦断面図である。
図2B図2AのII-II線矢視断面図である。
図3A図1の押釦の上面図である。
図3B図3Aの押釦の半縦断面図である。
図4A図1の内キャップの上面図である。
図4B図4Aの内キャップの側面図である。
図5図1のしごき筒部材の一部の展開模式図である。
図6図1のしごき筒部材の拡大図である。
図7図1のスポイト容器のVII-VII線矢視図である。
図8図1において外キャップ等を90°緩み側に回転させ、操作部材および作動部材を上昇させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態のスポイト容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、スポイト容器1は、容器本体2と、外キャップ10と、押釦20と、作動部材30と、操作部材40と、内キャップ50と、スポイト管60と、しごき筒部材70と、ピストン80と、を備えている。
【0015】
容器本体2は有底筒状に形成され、容器本体2に内容物が収容される。容器本体2の口部2aの外周面に雄ねじ部が形成されている。
内容物としては、例えば薬液、および液体化粧料等が挙げられる。本実施形態におけるスポイト容器1の構成部品は、樹脂材料により形成されている。本実施形態のスポイト容器1は、金属製の部材(コイルスプリング等)を有していない。
【0016】
外キャップ10、押釦20、作動部材30、操作部材40、内キャップ50、スポイト管60、およびピストン80は、容器本体2に着脱可能に装着されたスポイトアセンブリ3を構成している。
【0017】
(方向定義)
容器本体2およびスポイト管60それぞれの中心軸線は、共通の軸線上に位置している。以下、この軸線を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って、容器本体2の口部2a側を上側、容器本体2の底部側を下側という。上下方向から見て容器軸Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
周方向に沿う一方側を「緩み側」という場合がある。作動部材30を内キャップ50に対して緩み側に回転させると、作動部材30が内キャップ50に対して上昇し、内キャップ50を口部2aに対して緩み側に回転させると、内キャップ50が口部2aに対して上昇する。
周方向に沿う他方側を「締込側」という場合がある。作動部材30を内キャップ50に対して締込側に回転させると、作動部材30が内キャップ50に対して下降し、内キャップ50を口部2aに対して締込側に回転させると、内キャップ50が口部2aに対して下降する。
【0018】
図1および図8において、容器軸Oに対して右側の図形と左側の図形とは、容器軸Oを中心に互いに90°離れた各部分を表している。
【0019】
内キャップ50は、図1図4Aおよび図4Bに示されるように、環状の内キャップ頂壁53および内キャップ周壁51を有する有頂筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。内キャップ50は、口部2aに着脱可能に外装され、容器軸O回りの回転に伴い口部2aに着脱される。図示の例では、内キャップ周壁51の内周面に、口部2aの外周面に形成された雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されている。
内キャップ頂壁53には、雄ねじ筒54と、保持筒部57と、連通筒部58と、が形成されている。雄ねじ筒54、保持筒部57、および連通筒部58は、容器軸Oと同軸に配設されている。
雄ねじ筒54は、内キャップ頂壁53から上方に向けて延び、外周面に雄ねじ部が形成されている。連通筒部58は、内キャップ頂壁53の内周縁部から下方に向けて延びている。保持筒部57は、内キャップ頂壁53の内周縁部から上方に向けて延びている。
【0020】
内キャップ周壁51の上部の外周面には、2つの解除凹部51bが周方向に間隔を空けて形成されている。解除凹部51bは、内キャップ頂壁53の上面に開口している。解除凹部51bは、径方向の外側から見て周方向に長い長方形状を呈する。解除凹部51bの内面のうち、径方向の外側を向く面は、後述する下降規制部25より径方向の内側に位置している。
【0021】
内キャップ周壁51の下部の外周面には、2つの周規制凹部51aが周方向に間隔を空けて形成されている。周規制凹部51aおよび解除凹部51bそれぞれの周方向の中央部は、互いに一致している。周規制凹部51aの周方向の長さは、解除凹部51bの周方向の長さより短くなっている。周規制凹部51aの径方向の深さは、解除凹部51bの径方向の深さより浅くなっている。周規制凹部51aは、解除凹部51bの内面のうち、上方を向く面に開口している。周規制凹部51aは、容器軸Oを中心に約90°の角度範囲にわたって設けられている。
【0022】
内キャップ周壁51の下端開口縁に、下方に向けて突出した弾性突起51cが形成されている。内キャップ周壁51の下端部において、弾性突起51cの直上に位置する部分に、径方向に貫く貫通孔51dが形成されている。弾性突起51cおよび貫通孔51dはそれぞれ、2つ設けられ、容器軸Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。
【0023】
弾性突起51cは、図7に示されるように、口部2aの外周面において、雄ねじ部より下方に位置する部分に、周方向に間隔をあけて設けられた、乗越え突起2bと回り止め2cとにより周方向に挟まれている。内キャップ50を口部2aに対して周方向に沿う締込側に向けて回転させると、弾性突起51cが回り止め2cに周方向に突き当たり、これ以上の内キャップ50の口部2aに対する回転移動が規制される。内キャップ50を口部2aに対して周方向に沿う緩み側に向けて回転させると、貫通孔51dが上下方向に潰されながら、弾性突起51cが乗越え突起2bを周方向に乗越え、内キャップ50が口部2aから離脱される。
【0024】
図1に示されるように、ピストン80は、環状に形成され、保持筒部57の上端部に外嵌されて固定されている。ピストン80には、径方向の外側に向けて突出する環状の摺接部81が形成されている。
【0025】
作動部材30は、図1図2Aおよび図2Bに示されるように、作動頂壁32および作動周壁31を有する有頂筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。
作動周壁31の内周面に、内キャップ50の雄ねじ筒54の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されている。これにより、作動部材30は、内キャップ50に対して容器軸O回りに回転することで内キャップ50に対して上下動する。
作動頂壁32に、シール筒34と、摺動筒部33と、複数の通気孔32aと、固定溝35と、が形成されている。
【0026】
シール筒34は、作動頂壁32の下面から下方に向けて突出し、内キャップ50の保持筒部57の上端部内に着脱可能に液密に嵌合されている。
摺動筒部33は、作動頂壁32の下面から下方に向けて突出し、ピストン80の外周面と、内キャップ50の雄ねじ筒54の内周面と、の間に、差し込まれている。摺動筒部33の内側が、スポイト管60の上端開口に連通する作動空間Sとなっている。摺動筒部33の内周面に、ピストン80の摺接部81が気密に上下摺動可能に当接している。これにより、作動部材30が内キャップ50に対して上下動するのに伴い、ピストン80の摺接部81が摺動筒部33の内周面を摺動して作動空間Sを拡縮する。作動空間Sは、摺動筒部33内のうち、ピストン80より上方に位置する部分となっている。
通気孔32aは、作動頂壁32を上下方向に貫いて、作動空間Sに開口している。通気孔32aは、シール筒34の外周面と、摺動筒部33の内周面と、の間に位置している。
固定溝35は、作動頂壁32の上面の外周縁部に形成され、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0027】
作動部材30は、規制突起36aと、回転規制部37と、を有している。
規制突起36aは、作動周壁31の上端部の外周面から径方向の外側に向けて突出している。規制突起36aは、2つ設けられ、容器軸Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。
回転規制部37は、作動周壁31の下端部の外周面に対して径方向の外側に向けて突出し、かつ下方に向けて延びている。回転規制部37は、2つ設けられ、容器軸Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。回転規制部37は、内キャップ50の解除凹部51b内に挿入されている。回転規制部37の外周面に、上下方向の全長にわたって連続して延びる作動縦溝37aが形成されている。
規制突起36aおよび回転規制部37は、周方向の位置を互いに異ならせて配設されている。規制突起36aおよび回転規制部37は、容器軸Oを中心に約90°離れた位置に設けられている。
【0028】
操作部材40は、弾性膜41と、固定部42と、を有し、ゴムあるいはエラストマーなどの弾性体によって形成されている。固定部42は、環状に形成され、弾性膜41よりも肉厚に形成されている。固定部42は、作動部材30の固定溝35に嵌合されて固定されている。弾性膜41は、上方に向けて凸の曲面状(ドーム状)に形成され、固定部42から上方に膨出している。弾性膜41は作動頂壁32の上面を覆っている。
以上より、操作部材40は、作動部材30に取付けられ、作動部材30との間に、スポイト管60の上端開口に連通する拡縮空間Kを画成する。拡縮空間Kは、通気孔32aおよび作動空間Sを通して、スポイト管60の上端開口に連通する。
【0029】
押釦20は、図1図3Aおよび図3Bに示されるように、釦頂壁21および釦周壁24を有する有頂筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。
釦頂壁21の下面に、下方に向けて延びる筒状の押圧部23が形成されている。押圧部23の下端部は、操作部材40の弾性膜41の上面に当接している。
釦周壁24のうち、下部の内径および外径は、上部の内径および外径より大きくなっている。釦周壁24の下部の外周面に、上下方向の全長にわたって連続して延びる釦縦溝24aが形成されている。釦縦溝24aは、2つ設けられ、容器軸Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。
【0030】
釦周壁24の下部に、係合孔24bと、スリット24cと、が形成されている。
係合孔24bおよびスリット24cは、釦周壁24を径方向に貫いている。係合孔24bおよびスリット24cはそれぞれ、2つ設けられ、容器軸Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。スリット24cは、係合孔24bの周方向の中間部から下方に向けて延びている。スリット24cの周方向における幅は、係合孔24bの周方向における幅よりも小さくなっている。
釦縦溝24aと、係合孔24bおよびスリット24cと、は、周方向の位置を互いに異ならせて配設されている。釦縦溝24aと、係合孔24bおよびスリット24cと、は、容器軸Oを中心に90°離れた位置に設けられている。
【0031】
釦周壁24の下部内に、作動部材30の作動周壁31が上下動可能に挿入されている。係合孔24b内に、作動周壁31に設けられた規制突起36aが上下動可能に挿入されている。規制突起36aは、係合孔24bの内周面のうち、上方を向く下端縁に当接または近接している。上下方向において、係合孔24bの寸法は、規制突起36aの寸法よりも大きい。
【0032】
押釦20は、周方向に間隔をあけて設けられた2つの下降規制部25を有している。下降規制部25は、釦周壁24の下端開口縁から下方に向けて突出し、周方向に延びている。2つの下降規制部25は、径方向で互いに対向している。下降規制部25の下端縁は、内キャップ頂壁53の上面に当接または近接している。これにより、押釦20の内キャップ50に対する下降移動が規制される。下降規制部25は、釦縦溝24a、係合孔24b、およびスリット24cから周方向に離れた位置に設けられている。
【0033】
外キャップ10は、外キャップ周壁11および外キャップ頂壁12を有する有頂筒状に形成されている。外キャップ10は、容器軸Oと同軸に配設されている。
外キャップ頂壁12は環状に形成されている。外キャップ頂壁12内に、釦頂壁21が挿入されている。
外キャップ周壁11は、押釦20、作動部材30、および内キャップ50を径方向の外側から囲っている。外キャップ周壁11の内周面に、上下方向に延びる2本の縦リブ13と、係止突起14と、が形成されている。縦リブ13および係止突起14は、外キャップ周壁11の内周面から径方向の内側に向けて突出している。係止突起14は、縦リブ13よりも下方に位置している。2本の縦リブ13は、容器軸Oを径方向に挟んで互いに対向している。
【0034】
係止突起14には、内キャップ周壁51が、内キャップ周壁51の下方から係止される。これにより、内キャップ50が外キャップ10から下方に離脱することが規制される。
縦リブ13は、押釦20の釦縦溝24a、作動部材30の作動縦溝37a、および内キャップ50の周規制凹部51aに一体に挿入されている。このうち、縦リブ13、釦縦溝24a、および作動縦溝37aそれぞれの周方向の大きさは、互いに同等となっている。これにより、押釦20および作動部材30は、外キャップ10に対する容器軸O回りの回転が規制されている。縦リブ13は、釦縦溝24aおよび作動縦溝37aに上下動可能に挿入されている。
周規制凹部51aの周方向の大きさは、縦リブ13の周方向の大きさより大きくなっており、縦リブ13は、周規制凹部51aにおける周方向の両端部のうち、締込側の端部に位置している。これにより、外キャップ10を周方向に沿う緩み側に向けて回転させると、縦リブ13が、周規制凹部51a内を周方向に沿う緩み側に移動し、外キャップ10が、押釦20および作動部材30とともに、内キャップ50に対して回転する。その後、縦リブ13が、周規制凹部51aにおける周方向に沿う緩み側の端部に到達し、周規制凹部51aの内面に周方向に突き当たると、内キャップ50に対する外キャップ10の回転移動が規制される。つまり、外キャップ10は、内キャップ50に、所定量以上の容器軸O回りの回転が規制された状態で、容器軸O回りに回転可能に外装されている。
【0035】
スポイト管60は、内キャップ50から下方に向けて延び、下端開口が容器本体2内に位置している。スポイト管60の上端部内に、内キャップ50の連通筒部58が嵌合されている。スポイト管60の上端開口は、連通筒部58内および保持筒部57内を通して、作動空間Sおよび拡縮空間Kに連通可能となっている。スポイト管60の上端部に、径方向の外側に向けて突出したフランジ部61が形成されている。フランジ部61は、内キャップ周壁51の上部内に嵌合されて固定されている。
【0036】
しごき筒部材70は口部2aに固定され、しごき筒部材70内にスポイト管60が挿通されている。しごき筒部材70の内周面と、スポイト管60の外周面と、の間には、径方向の隙間が設けられている。
しごき筒部材70の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、スポイト管60の外周面に当接するしごき突片71が形成されている。しごき突片71は、しごき筒部材70の下端部に形成されている。しごき筒部材70の内周面のうち、しごき突片71より下方に位置する部分は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
【0037】
しごき突片71は、内キャップ周壁51の下端部と同等の上下方向の位置に位置しており、しごき筒部材70の内周面と、スポイト管60の外周面と、の間の隙間のうち、しごき突片71より上方に位置する部分(以下、液溜め空間という)Xの容積が広く確保されている。
これにより、スポイト管60を容器本体2内に差し込んだときに、スポイト管60の外周面に付着していた内容物が、しごき突片71にしごかれて、しごき突片71上の液溜め空間Xに溜まっても、周方向で隣り合うしごき突片71同士の間の空気流路を確保しやすくなる。
【0038】
そして、本実施形態では、しごき突片71は、図5に示されるように、周方向の一方側から他方側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜した突条状に形成されるとともに、周方向に沿って3つ以上設けられている。周方向で互いに隣り合うしごき突片71のうち、周方向の一方側に位置するしごき突片71における周方向の他端縁と、周方向の他方側に位置するしごき突片71における周方向の一端縁と、は、径方向から見た平面視で、上下方向に延びる同一の直線上Lに位置している。
【0039】
図6に示されるように、しごき突片71のうち、上端面は径方向の内側に向かうに従い下方に向けて延び、下端面は径方向に沿って延び、径方向の内端面は、上下方向に沿って延びている。しごき突片71のうち、上端面と径方向の内端面との接続部分は、径方向の内側に向かう斜め上方に向けて突の曲面状に形成されている。
しごき突片71における径方向の内端面に、径方向の内側に向けて突出し、かつしごき突片71より上下方向の大きさが小さい薄肉突片72が設けられている。薄肉突片72は弾性変形可能に形成されている。薄肉突片72は、しごき突片71における周方向の全長にわたって連続して設けられている。
【0040】
次に、以上のように構成されたスポイト容器1の作用について説明する。
【0041】
外キャップ10を容器本体2に対して周方向に沿う緩み側に回転させると、縦リブ13が、釦縦溝24aおよび作動縦溝37aに挿入されていることから、外キャップ10とともに押釦20および作動部材30が容器本体2に対して回転する。この際、縦リブ13が、内キャップ50の周規制凹部51aにおける周方向に沿う緩み側の端部に到達するまでは、外キャップ10は内キャップ50に対して空転する。これにより、縦リブ13が、内キャップ50の周規制凹部51aにおける周方向に沿う緩み側の端部に到達するまでは、外キャップ10、押釦20、および作動部材30が、内キャップ50に対して回転する。
【0042】
作動部材30が、内キャップ50に対して回転すると、作動部材30の作動周壁31が、内キャップ50の雄ねじ筒54に螺着されていることから、作動部材30が内キャップ50に対して上昇する。このとき、作動部材30に固定されている操作部材40が、押釦20の押圧部23を押し上げることで、押釦20も上昇する。その結果、図8に示すように、釦頂壁21が、外キャップ頂壁12から上方に突出するとともに、作動部材30のシール筒34が、内キャップ50の保持筒部57内から上方に離脱する。また、作動部材30の摺動筒部33が、ピストン80の摺接部81に摺接しつつ上昇することで、作動空間Sの容積が増大し、作動空間S内が負圧となる。このため、スポイト管60の下端開口から容器本体2内の内容物が吸い上げられる。スポイト管60内に吸い上げられる内容物の量は、ピストン80に対する摺動筒部33の上昇量によって定まる。したがって、スポイト容器1は、略定量の内容物をスポイト管60内に吸い上げることができる。この際、作動周壁31と内キャップ50の雄ねじ筒54との螺着状態は維持される。
【0043】
縦リブ13が、内キャップ50の周規制凹部51aにおける周方向に沿う緩み側の端部に到達したときには、押釦20の下降規制部25は、内キャップ50の解除凹部51bと上下方向で対向している。これにより、押釦20を押下すると、下降規制部25が解除凹部51b内に進入し、押釦20の内キャップ50に対する下降移動が許容される。
【0044】
周規制凹部51aにおける周方向に沿う緩み側の端部に到達した縦リブ13を、周規制凹部51aの内面に周方向に突き当てた状態からさらに、外キャップ10を、容器本体2に対して周方向に沿う緩み側に向けて回転させると、外キャップ10とともに内キャップ50が回転する。これにより、内キャップ50が、容器本体2に対して周方向に沿う緩み側に向けて回転し、スポイトアセンブリ3が、容器本体2から上方に離脱可能となる。そして、スポイトアセンブリ3を容器本体2に対して引き上げると、しごき筒部材70の内周面に形成されたしごき突片71が、スポイト管60の外周面に摺接することで、スポイト管60の外周面に付着していた内容物をしごき落とす。
【0045】
スポイトアセンブリ3を容器本体2から取り外した後、例えば外キャップ10を把持しながら釦頂壁21を押し込むと、押圧部23が弾性膜41を下方に押圧する。押圧部23と作動部材30との間で操作部材40が上下方向に挟まれ、弾性膜41が下方に弾性変形し、拡縮空間Kの容積が小さくなる。その結果、拡縮空間Kの空気が、通気孔32aおよび作動空間Sを通して、スポイト管60の上端開口に流入することで、スポイト管60内に保持されていた内容物が、スポイト管60の下端開口から吐出される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のスポイト容器1は、しごき突片71が、周方向の一方側から他方側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜した突条状に形成されるとともに、周方向に沿って3つ以上設けられているので、スポイト管60を容器本体2内に差し込むときに、容器本体2内の空気が、しごき突片71が設けられた上下方向の位置において、周方向の複数個所から上方に排出され、スポイト管60を容器本体2内から引き出すときには、これらの複数個所から空気が容器本体2内に流入することとなり、特に内容物の粘度が高くても、スポイト管60を容器本体2内に差し込んだときに、容器本体2の内圧が上昇したり、スポイト管60を容器本体2内から引き出したときに、容器本体2の内圧が下降したりするのを抑制することができる。
【0047】
周方向で互いに隣り合うしごき突片71のうち、周方向の一方側に位置するしごき突片71における周方向の他端縁と、周方向の他方側に位置するしごき突片71における周方向の一端縁と、が、径方向から見た平面視で、上下方向に延びる同一の直線上Lに位置している。これにより、スポイト管60を容器本体2内に差し込むときに、容器本体2内の空気が、しごき突片71が設けられた上下方向の位置において、周方向の複数個所から迂回を抑えて上方に向けて円滑に排出されやすくなり、また、複数のしごき突片71を、スポイト管60の外周面に周方向の全長にわたって隙間無く摺接させることが可能になり、スポイト管60の外周面に付着していた内容物を確実にしごき落とすことができる。
【0048】
しごき突片71における径方向の内端面に、径方向の内側に向けて突出し、かつしごき突片71より上下方向の大きさが小さい薄肉突片72が設けられているので、スポイト管60を容器本体2内から引き出すときに、薄肉突片72が、弾性変形した状態でスポイト管60の外周面に摺接することとなり、スポイト管60を容器本体2内から引き出すときに、必要となる引き上げ力を抑えつつ、スポイト管60の外周面に付着していた内容物をしごき落としやすくすることができる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
例えば、摺動筒部33を内キャップ50に設け、ピストン80を作動部材30に設けてもよい。
作動部材30は、シール筒34を有しなくてもよい。
内キャップ50に、解除凹部51bを設けなくてもよい。
周方向で互いに隣り合うしごき突片71のうち、周方向の一方側に位置するしごき突片71における周方向の他端縁を、周方向の他方側に位置するしごき突片71における周方向の一端縁より、周方向の他方側に位置させてもよい。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 スポイト容器
2 容器本体
2a 口部
10 外キャップ
30 作動部材
33 摺動筒部
40 操作部材
50 内キャップ
60 スポイト管
70 しごき筒部材
71 しごき突片
72 薄肉突片
80 ピストン
K 拡縮空間
L 直線
O 容器軸
S 作動空間
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8