(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033948
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/02 20060101AFI20240306BHJP
A47C 3/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A47C7/02 A
A47C3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137880
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】北條 英
(72)【発明者】
【氏名】上野 雄平
(72)【発明者】
【氏名】新村 直也
【テーマコード(参考)】
3B091
【Fターム(参考)】
3B091BA02
(57)【要約】
【課題】支持フレームに対して座を簡単に取り付けることができる椅子を提供する。
【解決手段】椅子の座Bが、合成樹脂により形成され座受フレーム部3に支持された座ベースを備え、座ベースが、座受フレーム部3と係合し得る下向き部分が設けられたベース本体部と、左右に対をなして設けられベース本体部よりも下方に膨出した左右の膨出部42と、左右の膨出部42よりも前方に配設され座受フレーム部3に係合して当該座受フレーム部3の下方への移動を規制し得る移動規制部43と、左右の膨出部42よりも後方にのみ配設され座受フレーム部3に挿通されたねじv2が螺着されるナット部とを備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームに座を支持させた椅子であって、
前記支持フレームが、左右に対をなす前の脚フレーム部と、左右に対をなす後の脚フレーム部と、これら前後の脚フレーム部に連設された座受フレーム部とを備えたものであり、
前記座が、合成樹脂により形成され前記座受フレーム部に支持された座ベースを備えたものであり、
前記座ベースが、前記座受フレーム部と係合し得る下向き部分が設けられたベース本体部と、左右に対をなして設けられ前記ベース本体部よりも下方に膨出した左右の膨出部と、これら左右の膨出部よりも前方又は後方の何れか一方に配設され前記座受フレーム部に係合して当該座受フレーム部の下方への移動を規制し得る移動規制部と、他方にのみ配設され前記座受フレーム部に挿通されたねじが螺着されるナット部とを備えている椅子。
【請求項2】
前記移動規制部が前記左右の膨出部よりも前方に配設されたものであり、前記ナット部が前記左右の膨出部よりも後方に配設されたものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記移動規制部が、前記ベース本体部から下方に突設された起立壁状部分と、この起立壁状部分の下端部から前記左右の膨出部の方向に片持ち状に延設された延設壁とを備えたものである請求項1記載の椅子。
【請求項4】
前記座ベースが、前記ナット部よりも外側に配設され前記座受フレーム部の外側に沿うように前記ベース本体部から下方に突設された外壁部を備えている請求項1記載の椅子。
【請求項5】
前記座ベースが、前記左右の膨出部の間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部と、前記左右の膨出部と前記移動規制部との間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部とを備えている請求項1記載の椅子。
【請求項6】
前記座ベースが、前記左右の膨出部の間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部と、前記左右の膨出部と前記移動規制部との間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部と、前記左右の膨出部と前記外壁部との間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る左右方向に延びた第三凹陥部を備えている請求項4記載の椅子。
【請求項7】
前記座ベースに、底面視において略H字状をなし前記座受フレーム部を収容し得る凹陥部が形成されている請求項1記載の椅子。
【請求項8】
同一構造をなす他の椅子に対して上下方向にスタッキング可能に構成されたものであって、
スタッキング状態において、前記左右の膨出部の下面が前記他の椅子における座の上面に当接するものである請求項1記載の椅子。
【請求項9】
前記座受フレーム部が、前記左右の膨出部における前側及び後側にそれぞれ配設され左右方向に略水平に延びてなる前後の座受フレーム部分と、これら前後の座受フレーム部分を繋ぐように前後方向に略水平に延びてなり前記左右の膨出部間に配設された中央の座受フレーム部分とを備えたものである請求項1記載の椅子。
【請求項10】
前記座受フレーム部が、略外向きコ字状をなす左右一対のフレーム部材を溶接することにより構成されたものである請求項9記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、支持フレームに座を支持させた椅子が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来の椅子では、支持フレームと座とを位置決めさせるための構成が比較的複雑なものとなっていた。
【0004】
しかも、従来の椅子では、支持フレームを座に取り付けるためのねじ数が多いものであり、部品点数の削減が難しいだけでなく組み立てに関する作業工数を抑制し難いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、支持フレームに対して座を簡単に取り付けることができる椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、支持フレームに座を支持させた椅子であって、前記支持フレームが、左右に対をなす前の脚フレーム部と、左右に対をなす後の脚フレーム部と、これら前後の脚フレーム部に連設された座受フレーム部とを備えたものであり、前記座が、合成樹脂により形成され前記座受フレーム部に支持された座ベースを備えたものであり、前記座ベースが、前記座受フレーム部と係合し得る下向き部分が設けられたベース本体部と、左右に対をなして設けられ前記ベース本体部よりも下方に膨出した左右の膨出部と、これら左右の膨出部よりも前方又は後方の何れか一方に配設され前記座受フレーム部に係合して当該座受フレーム部の下方への移動を規制し得る移動規制部と、他方にのみ配設され前記座受フレーム部に挿通されたねじが螺着されるナット部とを備えている椅子である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記移動規制部が前記左右の膨出部よりも前方に配設されたものであり、前記ナット部が前記左右の膨出部よりも後方に配設されたものである請求項1記載の椅子である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記移動規制部が、前記ベース本体部から下方に突設された起立壁状部分と、この起立壁状部分の下端部から前記左右の膨出部の方向に片持ち状に延設された延設壁とを備えたものである請求項1記載の椅子である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記座ベースが、前記ナット部よりも外側に配設され前記座受フレーム部の外側に沿うように前記ベース本体部から下方に突設された外壁部を備えている請求項1記載の椅子である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記座ベースが、前記左右の膨出部の間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部と、前記左右の膨出部と前記移動規制部との間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部とを備えている請求項1記載の椅子である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記座ベースが、前記左右の膨出部の間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部と、前記左右の膨出部と前記移動規制部との間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部と、前記左右の膨出部と前記外壁部との間に設けられ前記座受フレーム部の一部を収容し得る左右方向に延びた第三凹陥部を備えている請求項4記載の椅子である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記座ベースに、底面視において略H字状をなし前記座受フレーム部を収容し得る凹陥部が形成されている請求項1記載の椅子である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、同一構造をなす他の椅子に対して上下方向にスタッキング可能に構成されたものであって、スタッキング状態において、前記左右の膨出部の下面が前記他の椅子における座の上面に当接するものである請求項1記載の椅子である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記座受フレーム部が、前記左右の膨出部における前側及び後側にそれぞれ配設され左右方向に略水平に延びてなる前後の座受フレーム部分と、これら前後の座受フレーム部分を繋ぐように前後方向に略水平に延びてなり前記左右の膨出部間に配設された中央の座受フレーム部分とを備えたものである請求項1記載の椅子である。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記座受フレーム部が、略外向きコ字状をなす左右一対のフレーム部材を溶接することにより構成されたものである請求項9記載の椅子である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、支持フレームに対して座を簡単に取り付けることができる椅子を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図18】同実施形態におけるスタッキング状態を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~18を参照して説明する。
【0021】
椅子は、支持フレームAと、支持フレームAに支持された座Bと、支持フレームAに支持された肘掛けGと、肘掛けGを介して支持フレームAに支持された背凭れHを備えたものである。
【0022】
椅子は、
図18に示すように、同一構造をなす他の椅子を上下方向に複数スタッキング可能に構成されている。
【0023】
<<支持フレームA>>
支持フレームAは、金属製のパイプ材により作られたものである。
【0024】
支持フレームAは、左右に対をなす前の脚フレーム部1と、左右に対をなす後の脚フレーム部2と、前後の脚フレーム部1、2に連設された座受フレーム部3とを備えたものである。
【0025】
<前の脚フレーム部1>
前の脚フレーム部1は、上下方向に略直線状に延びてなるものである。前の脚フレーム部1は、側面視において後傾した姿勢をなしている。すなわち、前の脚フレーム部1は、側面視において上方に向かって漸次後側に位置するように構成されている。
【0026】
前の脚フレーム部1は、正面視及び背面視において後の脚フレーム部2よりも内側に配設されている。
【0027】
前の脚フレーム部1の下端には、キャスタCが設けられている。なお、椅子は、前の脚フレーム部1の下端にキャスタCを設けない構成のものであってもよい。
【0028】
<後の脚フレーム部2>
後の脚フレーム部2は、上下方向に略直線状に延びてなるものである。後の脚フレーム部2は、側面視において前傾した姿勢をなしている。すなわち、後の脚フレーム部2は、側面視において上方に向かって漸次前側に位置するように構成されている。
【0029】
後の脚フレーム部2は、正面視及び背面視において前の脚フレーム部1よりも外側に配設されている。
【0030】
後の脚フレーム部2の下端には、キャスタCが設けられている。なお、椅子は、後の脚フレーム部2の下端にキャスタCを設けない構成のものであってもよい。
【0031】
後の脚フレーム部2の前の脚フレーム部1よりも上方に長く延び、その上端部2tは、座Bよりも上に位置するものとなっている。後の脚フレーム部2の上端部2tには、肘掛けGの前端部に設けられたフレーム接続部g1が外嵌されるとともにねじv1により固定されるようになっている。
【0032】
<座受フレーム部3>
座受フレーム部3は、前後の脚フレーム部1、2間を繋ぎ、座Bの下に配設される全体として略H字状をなしたものである。
【0033】
座受フレーム部3は、前の脚フレーム部1に連設され左右方向に延びてなる前の座受フレーム部分31と、後の脚フレーム部2に連設され左右方向に延びてなる後の座受フレーム部分32と、左右方向中央部に配設され前後方向に延びてなり前の座受フレーム部分31と後の座受フレーム部分32との間を繋ぐ中央の座受フレーム部分33とを備えている。
【0034】
この実施形態では、座受フレーム部3が、略外向きコ字状をなす左右一対のフレーム部材Fを溶接することにより構成されている。
【0035】
左右のフレーム部材Fにおける前の外側端部には、前の脚フレーム部1が一体に連設されている。左右のフレーム部材Fにおける後の外側端部は、後の脚フレーム部2における上下方向中間部の内側部に溶接されている。左右のフレーム部材Fにおける内側端部すなわち前後方向に長手をなして延びた部分の内側端部同士は溶接により剛結されている。
【0036】
[前の座受フレーム部分31]
前の座受フレーム部分31は、左右方向に略水平に延びてなり座ベース4における左右の膨出部42の前側に配設されている。
【0037】
前の座受フレーム部分31は、座ベース4の前部に設けられた移動規制部43と係わり合い座ベース4に対して下方への相対移動が規制されるようになっている。
【0038】
なお、前の座受フレーム部分31は、ねじ挿通孔が設けられていないものとなっている。この実施形態では、前の座受フレーム部分31は、座ベース4に対してねじ止め不要に構成されている。
【0039】
[後の座受フレーム部分32]
後の座受フレーム部分32は、左右方向に略水平に延びてなり座ベース4における左右の膨出部42の後側に配設されている。
【0040】
後の座受フレーム部分32は、座ベース4の後部に設けられた外壁部44の前側に配設されている。
【0041】
後の座受フレーム部分32には、左右の二箇所に上下方向に貫通したねじ挿通孔hが設けられている。後の座受フレーム部分32は、ねじ挿通孔hに挿通されたねじv2により、座ベース4に設けたナット部nに対して螺着されるものとなっている。
【0042】
[中央の座受フレーム部分33]
中央の座受フレーム部分33は、前後方向に略水平に延びてなり座ベース4における左の膨出部42と右の膨出部42との間に配設されている。
【0043】
中央の座受フレーム部分33は、前後方向に延び左右に並んだ二本のパイプ材によって構成されている。
【0044】
なお、中央の座受フレーム部分33は、ねじ挿通孔が設けられていないものとなっている。この実施形態では、中央の座受フレーム部分33は、座ベース4に対してねじ止め不要に構成されている。
【0045】
<<座B>>
座Bは、平面視において略矩形状をなしたものである。座Bの後端部は、後方に向かって凸をなすように緩やかに湾曲した形状をなしている。座Bは、座本体Dと、座本体Dに装着された座カバーEを備えたものである。
【0046】
<座本体D>
座本体Dは、合成樹脂により形成された座ベース4と、座ベース4に支持された座クッション5と、座クッション5の上部及び外側部を覆う内側カバー6を備えたものである。
【0047】
[座ベース4]
座ベース4は、座受フレーム部3に支持された合成樹脂成形品である。座ベース4は、下面側に座受フレーム部3が収容されるように下方に開放され上方に凹んだ凹陥部Jが設けられている。
【0048】
座ベース4には、座カバーEの連結具8に対応する位置に、連結具8を取り付け可能な取付部Rが設けられている。
【0049】
座ベース4は、上面側に座クッション5が載設される載置部を有するとともに下面側に座受フレーム部3と係合し得る下向き部分41sが設けられたベース本体部41と、左右に対をなして設けられベース本体部41よりも下方に膨出した左右の膨出部42と、左右の膨出部42よりも前方に配設され座受フレーム部3を構成する前の座受フレーム部分31に係合して当該前の座受フレーム部分31の下方への相対移動を規制し得る移動規制部43と、左右の膨出部42よりも後方に配設された外壁部44とを備えている。
【0050】
ベース本体部41は、基盤の役割を担うものである。ベース本体部41は、上面側に座クッション5が載せ置かれるものとなっている。ベース本体部41は、左右の膨出部42における下面42sよりも上に配設された下向き面状をなす下向き部分41sを有している。座受フレーム部3は、ベース本体部41の下向き部分41sに対して係合するものとなっている。
【0051】
ベース本体部41の下向き部分41sは、座受フレーム部3の形状に対応させて底面視において略H字状をなしている。ベース本体部41の下向き部分41sには、左右の膨出部42よりも後方に位置する部分の左右二箇所にナット部nが設けられている。
【0052】
ナット部nは、図示しない金属製の板ナットを含んで構成されている。ナット部nは、左右の膨出部42の後の二箇所のみに設けられている。すなわち、ナット部nは、左右の膨出部42よりも後方であり且つ外壁部44よりも前方に位置する下向き部分41sにのみ配設されている。ナット部nには、後の座受フレーム部分32に設けられたねじ挿通孔hに挿通されたねじv2が螺着されるようになっている。
【0053】
ベース本体部41の周縁部には、座クッション5の周縁部を支持する鍔状部分41tが設けられている。鍔状部分41tは、内側カバー6の端縁部6eを位置決めする起立壁i1の上端縁から外側方に延設されたものである。鍔状部分41tの端縁には、座クッション5と係合し得るサポート壁41hが立設されている。
【0054】
ベース本体部41の周縁部には、鍔状部分41tよりも内側に、内側カバー6の端縁部6eを位置決めする位置決め手段Iが設けられている。位置決め手段Iは、内側カバー6に設けられた紐締め式の端縁部6eの内方及び下方への移動を規制することにより当該端縁部6eを位置決めし得るものである。
【0055】
位置決め手段Iは、外側方を向く起立面mを有した起立壁i1と、起立壁i1から外側方に突設された複数の突起i2とを備えている。
【0056】
起立壁i1は、ベース本体部41における周縁部の全域に配設されている。起立壁i1は、左右の膨出部42、移動規制部43、及び、外壁部44よりも外側に設けられている。
【0057】
複数の突起i2は、起立壁i1に一定の間隔を空けて配設されている。この実施形態では、ベース本体部41における周縁部の三箇所、すなわち、ベース本体部41における前後方向中央部の左右両端部、及び、左右方向中央部の後端部に、略矩形片状をなす突起i2が配設されている。矩形片状をなす三箇所の突起i2の突出端には、内側カバー6における端縁部6eの離脱を抑制するための離脱抑制凸部pが上方に向かって立設されている。
【0058】
また、ベース本体部41における周縁部の五箇所、すなわち、全体として矩形状をなすベース本体部41における四つの角部、及び、左右方向中央部の前端部に、略三角片状をなす突起i2が配設されている。
【0059】
左右の膨出部42は、左右対称に設けられている。左右の膨出部42は、それぞれ底面視において前後方向に長手をなす略矩形状をなしたものである。左右の膨出部42における内側縁部は座受フレーム部3を構成する中央の座受フレーム部分33に沿うものとなっており、左右の膨出部42における前縁部は座受フレーム部3を構成する前の座受フレーム部分31に沿うものとなっており、左右の膨出部42における後縁部は座受フレーム部3を構成する後の座受フレーム部分32に沿うものとなっている。
【0060】
移動規制部43は、左右の膨出部42よりも前方に配設されたものである。移動規制部43は、ベース本体部41から下方に突設された起立壁状部分43aと、起立壁状部分43aの下端部から左右の膨出部42の方向すなわち後方に片持ち状に延設された延設壁43bとを備えたものである。
【0061】
延設壁43bは、前の座受フレーム部分31における下面に係合することにより、当該前の座受フレーム部分31及び座ベース4の相離れる方向の相対移動を規制し得るものとなっている。
【0062】
外壁部44は、ナット部nを設けた下向き部分41sよりも外側すなわち後側に配設されている。外壁部44の後部は、底面視において後方に向かって凸をなすように湾曲した形状をなしている。
【0063】
外壁部44は、座受フレーム部3を構成する後の座受フレーム部分32の外側に沿うようにベース本体部41から下方に突設されている。座ベース4の後部に配設された外壁部44には、座カバーEに備えた連結具8が取り付けられる取付部Rが設けられている。
【0064】
取付部Rは、座カバーEに設けられた左右一対の連結具8に対応させて左右に対をなして設けられている。すなわち、二つの取付部Rは、左右に間隔を空けて外壁部44に配設されている。
【0065】
取付部Rは、凹み空間rsが形成された凹陥部分r1と、左右方向に延びてなり凹み空間rsを臨むように凹陥部分r1に架設された係合部分r2とを備えている。係合部分r2には、連結具8の本体部81に形成される環状部分81cが係わり合うようになっている。
【0066】
なお、座ベース4における左右の膨出部42、移動規制部43、及び、外壁部44における各基端部近傍の外側面には、座本体Dに装着された座カバー本体7の端縁部7eが当接又は近接するものとなっている。
【0067】
以上の構成をなす座ベース4には、底面視において略H字状をなし座受フレーム部3を収容し得る凹陥部Jが形成されている。凹陥部Jは、下方に開放されたものである。凹陥部Jは、上側に向かってH字状をなすように凹んだ形状をなしている。
【0068】
凹陥部Jは、左右の膨出部42の間に設けられ座受フレーム部3の一部である中央の座受フレーム部分33を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部j1と、左右の膨出部42と移動規制部43との間に設けられ座受フレーム部3の一部である前の座受フレーム部分31を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部j2と、左右の膨出部42と外壁部44との間に設けられ座受フレーム部3の一部である後の座受フレーム部分32を収容し得る左右方向に延びた第三凹陥部j3を備えている。
【0069】
凹陥部Jは、座受フレーム部3が、左右の膨出部42、移動規制部43、及び、外壁部44の各下端部よりも下方に突出しないように当該座受フレーム部3を凹み空間内に収容し得るものとなっている。
【0070】
この実施形態の椅子は、
図18に示すように、同一構造をなす他の椅子に対して上下方向にスタッキングした場合に、他の椅子における座Bの上面に座ベース4を構成する左右の膨出部42、移動規制部43、及び、外壁部44が座受フレーム部3よりも優先して当接するようになっている。
【0071】
[座クッション5]
座クッション5は、発泡材であるウレタンフォーム材を主体に作られたものである。座クッション5の下面は、複数のリブrbが露出された座ベース4の上面側に添接するものとなっている。
【0072】
[内側カバー6]
内側カバー6は、主として座クッション5を保護するためのものである。内側カバー6は、座クッション5の上面及び側面、並びに、座ベース4における鍔状部分41tの下面側を包むように設けられている。
【0073】
内側カバー6は、一定の剛性を有するとともに軽量化に資する不織布を主体に構成されたものである。内側カバー6は、底面側が開放された袋状をなしている。
【0074】
内側カバー6は、座本体Dの下面側に位置し略環状をなすように連続した端縁部6eを有したものである。略環状をなす端縁部6eは、図示しない紐部材により縮径する方向に絞り込まれる構成をなしている。端縁部6eは、座ベース4に設けられた起立壁i1及び突起i2に係合することにより位置決めされている。
【0075】
<座カバーE>
座カバーEは、座Bの好適な外観を形成するためのものである。座カバーEは、座本体Dの外側に装着されるものである。
【0076】
座カバーEは、内側カバー6に覆われた座クッション5を被覆し得るとともに座ベース4に設けられた位置決め手段Iと当該位置決め手段Iにより位置決めされた内側カバー6の端縁部6eを外部から視認不能に被覆し得るものである。
【0077】
座カバーEは、座本体Dの上部及び外側部すなわち座本体Dの上面、側面、及び、周縁部の下面を覆う座カバー本体7と、座カバー本体7の一端部すなわち後部に取り付けられた帯状の部材である本体部81を有する連結具8を備えたものである。
【0078】
[座カバー本体7]
座カバー本体7は、生地を主体に構成されたものである。座カバー本体7は、底面側が開放された袋状をなしている。座カバー本体7は、座本体Dの下面側に位置し略環状をなすように連続した端縁部7eを有したものである。座カバー本体7における端縁部7eの少なくとも一部には、当該端縁部7eを拡縮させ得る伸縮部材たるゴム部材が設けられている。
【0079】
座カバー本体7の端縁部7eは、座本体Dにおける周縁部の下面側に位置するものとなっている。座カバー本体7の端縁部7eは、座本体Dに対して装着された状態において、伸縮部材たるゴム部材71によって縮径する方向に付勢されている。
【0080】
なお、この実施形態では、伸縮部材たるゴム部材71は、座本体Dの他端部すなわち前端部の左右に位置する角部分に対応する端縁部7eの一部分にのみ設けられている。
【0081】
[連結具8]
連結具8は、帯状をなし座ベース4の取付部Rに設けられた係合部分r2と係わり合う環状部分81cを形成し得る本体部81と、本体部81に環状部分81cを形成するために本体部81の所定箇所同士を止着させる止着手段であるスナップボタン82とを備えたものである。
【0082】
本体部81は、生地により作られた帯状のものである。本体部81は、取付部Rの係合部分r2に係合し得る長手寸法に設定されているとともに取付部Rの凹陥部分r1に対して挿通され得る幅寸法に設定されている。
【0083】
スナップボタン82は、係脱可能な一対のスナップボタン構成部材を用いた既知の構成のものである。スナップボタン82は、本体部81の一部を係合部分r2に周回することにより形成される環状部分81cを保持し得るものである。
【0084】
<<座本体Dに対する座カバーEの取り付けについて>>
座本体Dに対して、座カバーEを取り付ける手順は、例えば次のように行われる。
【0085】
まず、座本体Dを準備する。このとき、座クッション5は内側カバー6によって被覆されており、当該内側カバー6の端縁部6eは座ベース4に設けられた位置決め手段Iにより座ベース4の中心部方向に移動しないように位置決めされている。
【0086】
次に、座カバーEの連結具8を、座ベース4の外壁部44に設けられた左右の取付部Rに対して取り付ける。より具体的に言えば、連結具8の本体部81を取付部Rの係合部分r2に囲わせた上で、当該本体部81に形成された環状部分81cを保持するべくスナップボタン82を用いて本体部81の所定箇所同士を連結する。
【0087】
続いて、座本体Dの後部に対して、座カバー本体7の後部を被覆させる。なお、座カバー本体7における後部の端縁部7eには、ゴム部材71が配設されていないものとなっている。
【0088】
その後、座本体Dの前部に対して、座カバー本体7の前部を被覆させる。カバー本体7の前部に位置する端縁部7eには、座本体Dにおける前の両角部に対応させてゴム部材71が配設されている。そのため、カバー本体7の前部を座本体Dに装着する作業は、カバー本体7の前部に位置するゴム部材71を配した端縁部7eを一時的に伸張させることにより行われる。
【0089】
以上の手順を経て、座カバーEは、座本体Dに対して取り付けられるものとなっている。
【0090】
<<座受フレーム部3に対する座Bの取り付けについて>>
支持フレームAにおける座受フレーム部3に対して、座Bを取り付ける手順は、例えば次のように行われる。
【0091】
まず、座ベース4に設けられた第二凹陥部j2内に、前の座受フレーム部3が配設されるように座Bを移動させる。
【0092】
次いで、第二凹陥部j2内に配設された前の座受フレーム部3の前端部を移動規制部43に係わり合わせ、第一凹陥部j1、及び、第三凹陥部j3に中央の座受フレーム部分33及び後の座受フレーム部分32が収容されるように座Bを前の座受フレーム部3回りに回動させる。
【0093】
これにより、凹陥部Jに座受フレーム部3の全体が内嵌されることになり、座Bと座受フレーム部3との前後方向及び左右方向の相対移動が規制されることになる。このとき、前の座受フレーム部分31は、移動規制部43によって下方への移動も規制されたものとなっている。
【0094】
最後に、後の座受フレーム部分32をねじv2によりベース本体部41に設けられたナット部nに螺着する。この実施形態では、前の座受フレーム部分31は移動規制部43により下方への移動が規制されているため、後の座受フレーム部分32を座ベース4に対してねじ止めするだけで、座Bを座受フレーム部3に対して固定することができるものとなっている。
【0095】
以上の手順を経て、座Bは、支持フレームAにおける座受フレーム部3に対して取り付けられるものとなっている。
【0096】
<<肘掛けG>>
肘掛けGは、前端部に配設され下方に開放された筒状をなすフレーム接続部g1と、フレーム接続部g1の後端部から後方に延設された起立壁状をなす壁状部g2と、フレーム接続部g1及び壁状部g2の上端部に連設された前後方向に長手をなす肘当て面を有した肘当て部g3を備えている。
【0097】
肘掛けGの前後方向の寸法は比較的短寸に設定されている。椅子は、肘掛けGにおける前側の部位であるフレーム接続部g1を、支持フレームAにおける左右の後脚の上端部2tに接続させている。
【0098】
<<背凭れH>>
背凭れHは、肘掛けGの後端部に連設されている。背凭れHは、支持フレームAに対して肘掛けGを介して間接的に支持されている。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子は、支持フレームAに座Bを支持させたものである。そして、支持フレームAが、左右に対をなす前の脚フレーム部1と、左右に対をなす後の脚フレーム部2と、前後の脚フレーム部1、2に連設された座受フレーム部3とを備えたものである。
【0100】
座Bが、合成樹脂により形成され座受フレーム部3に支持された座ベース4を備えたものであり、座ベース4が、座受フレーム部3と係合し得る下向き部分41sが設けられたベース本体部41と、左右に対をなして設けられベース本体部41よりも下方に膨出した左右の膨出部42と、左右の膨出部42よりも前方に配設され座受フレーム部3に係合して当該座受フレーム部3の下方への移動を規制し得る移動規制部43と、左右の膨出部42の後方にのみ配設され座受フレーム部3に挿通されたねじv2が螺着されるナット部nとを備えている。
【0101】
このため、本実施形態であれば、少なくとも、支持フレームAに対して座Bを簡単に取り付けることができる椅子を提供することができるものとなる。
【0102】
つまり、座受フレーム部3を左右の膨出部42よりも前に設けられた移動規制部43に係わり合わせるとともに左右の膨出部42よりも後においてねじ止めするだけで、支持フレームAに対して座Bを好適に取り付けることができるものとなっている。
【0103】
移動規制部43が左右の膨出部42よりも前方に配設されたものであり、ナット部nが左右の膨出部42よりも後方に配設されたものである。
【0104】
このため、座Bを支持フレームAに対して好適に取り付けることができるだけでなく、座Bの前部に移動規制部43が位置するため、前側から視認された場合の好適な外観を形成するための設計の自由度に優れたものとなる。
【0105】
移動規制部43が、ベース本体部41から下方に突設された起立壁状部分43aと、起立壁状部分43aの下端部から左右の膨出部42の方向すなわち後方に片持ち状に延設された延設壁43bとを備えたものである。
【0106】
このため、移動規制部43は、座受フレーム3の移動すなわち座ベース4に対して下方に相対移動することを好適に抑制し得るものとなっている。
【0107】
しかも、座Bを前方から見た場合には、起立壁状部分43aの前部分が視認されやすいものとなるため、使用者に対して好適な外観を提供し易いものとなっている。
【0108】
座ベース4が、ナット部nよりも外側に配設され座受フレーム部3の外側に沿うようにベース本体部41から下方に突設された外壁部44を備えている。
【0109】
このため、座受フレーム部3を座ベース4に対して好適に位置決めし得るものとなっている。
【0110】
また、外壁部44を利用して座Bの機能性向上の資する好適を設けやすいものとなっている。この実施形態では、外壁部44に、座カバーEの連結具8を取り付けるための取付部Rが設けられており、座カバーEにより覆われてなる座Bを好適に提供し得るものとなっている。
【0111】
座ベース4が、左右の膨出部42の間に設けられ座受フレーム部3の一部である中央の座受フレーム部分33を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部j1と、左右の膨出部42と移動規制部43との間に設けられ座受フレーム部3の一部である前の座受フレーム部分31を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部j2とを備えている。
【0112】
このため、第一、第二凹陥部j1、j2により、座受フレーム部3を座ベース4に対して好適に位置決めし得るものとなっている。
【0113】
座ベース4が、左右の膨出部42の間に設けられ座受フレーム部3の一部である中央の座受フレーム部分33を収容し得る前後方向に延びた第一凹陥部j1と、左右の膨出部42と移動規制部43との間に設けられ座受フレーム部3の一部である前の座受フレーム部分31を収容し得る左右方向に延びた第二凹陥部j2と、左右の膨出部42と外壁部44との間に設けられ座受フレーム部3の一部である後の座受フレーム部分32を収容し得る左右方向に延びた第三凹陥部j3を備えている。
【0114】
このため、第一、第二、第三凹陥部j1、j2、j3により、座受フレーム部3を座ベース4に対して好適に位置決めし得るものとなっている。
【0115】
座ベース4に、底面視において略H字状をなし座受フレーム部3を収容し得る凹陥部Jが形成されている。
【0116】
このため、凹陥部Jにより、座受フレーム部3を座ベース4に対して好適に位置決めし得るものとなっている。
【0117】
同一構造をなす他の椅子に対して上下方向にスタッキング可能に構成されたものであって、スタッキング状態において、左右の膨出部42の下面42sが他の椅子における座Bの上面に当接するものである。
【0118】
このため、この実施形態であれば、左右の膨出部42の下面42sを他の椅子の座面に当接されることにより、安定したスタッキング姿勢を採り得るものとなっている。
【0119】
座受フレーム部3が、左右の膨出部42における前側及び後側にそれぞれ配設され左右方向に略水平に延びてなる前後の座受フレーム部分31、32と、前後の座受フレーム部分31、32を繋ぐように前後方向に略水平に延びてなり左右の膨出部42間に配設された中央の座受フレーム部分33とを備えたものである。
【0120】
このため、座受フレーム部3は、座ベース4を位置決めさせるための好適な構成を備えたものとなっている。
【0121】
座受フレーム部3が、略外向きコ字状をなす左右一対のフレーム部材Fを溶接することにより構成されたものである。
【0122】
このため、全体として着座者を支持する強度に優れたH字状をなす座受フレーム部3を好適に構成し得るものとなっている。
【0123】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0124】
座受フレーム部の形状は、上述した実施形態に示されたものに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の形状を採り得るものである。
【0125】
座ベースの移動規制部は、左右の膨出部よりも前方又は後方の何れか一方に配設されたものであればよく、ナット部は左右の膨出部よりも他方に配設されていればよい。
【0126】
例えば、座ベースの移動規制部が、左右の膨出部よりも後方に配設され、ナット部が左右の膨出部よりも前方に配設されたものであってもよい。
【0127】
移動規制部の具体的形状は、座受フレーム部に係合して当該座受フレーム部の下方への移動を規制し得るものであればどのような形状のものであってもよい。
【0128】
座ベースが、外壁部を備えていないものであってもよい。
【0129】
座ベースの外壁部は、ナット部よりも外側に配設され座受フレーム部の外側に沿うようにベース本体部から下方に突設されたものであればよい。
【0130】
例えば、座ベースの外壁部が、左右の膨出部よりも前に配設されたものであってもよい。
【0131】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0132】
A…支持フレーム
B…座
D…座本体
E…座カバー
3…座受フレーム部
4…座ベース
7…座カバー本体
8…連結具
41…ベース本体部
42…左右の膨出部
43…移動規制部
44…外壁部