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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033950
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】粉体回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20240306BHJP
   B65G 65/38 20060101ALI20240306BHJP
   B01J 4/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B01J4/00 105D
B65G65/38
B01J4/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137884
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】597009046
【氏名又は名称】日本アイリッヒ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】内藤 雅元
【テーマコード(参考)】
3F075
4G068
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BB01
3F075CA08
3F075CB01
3F075CB04
3F075CB12
3F075CD08
4G068AA02
4G068AA07
4G068AB22
4G068AC10
4G068AC16
4G068AD36
4G068AE02
4G068AE05
4G068AE10
4G068AF27
4G068AF31
4G068AF37
(57)【要約】
【課題】粉体を容器から自動で取り出すことが可能な粉体回収装置を提供する。
【解決手段】粉体回収装置は、容器3を戴置するためのテーブル1と、テーブル1を回転させる回転装置2と、容器3から粉体を取り出す吸引装置5と、を備える。吸引装置5は、真空源51と、容器3に差し込まれる吸引ノズル53と、吸引ノズル53を容器3に対して進退させることが可能なノズル移動装置47と、を備えている。粉体回収装置は、容器3が戴置されたテーブル1を回転させながら、吸引ノズル53を容器3内で進退させて、粉体を容器3から取り出す。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が解放された有底容器に収容された粉体を、該容器の上部から取り出す粉体回収装置であって、
前記容器を戴置するためのテーブルと、
前記テーブルを回転させる回転装置と、
前記容器から粉体を取り出す吸引装置と、を備え、
前記吸引装置は、
真空源と、
前記容器に差し込まれる吸引ノズルと、
前記吸引ノズルから前記真空源まで延びる吸引ラインと、
前記吸引ノズルを前記容器に対して進退させることが可能なノズル移動装置と、を備えており、
前記容器が戴置されたテーブルを回転させながら、前記吸引ノズルを前記容器内で進退させて、前記粉体を前記容器から取り出す、粉体回収装置。
【請求項2】
前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備える、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項3】
前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備える、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項4】
前記吸引装置、前記ノズル移動装置、および前記回転装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備え、
前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備え、
前記制御装置は、前記粉体の性状に応じて、前記吸引ノズルの進退速度、および/または前記テーブルの回転速度を調整する、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項5】
前記吸引装置、前記ノズル移動装置、および前記回転装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記吸引装置は、前記吸引ラインに配置された粉体吸引検知センサを備え、
前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備え、
前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備え、
前記粉体吸引検知センサは、前記吸引ラインを搬送される前記粉体を検出し、
前記制御装置は、前記粉体吸引検知センサの出力信号に応じて、前記吸引ノズルの進退速度、および/または前記テーブルの回転速度を調整する、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項6】
前記吸引装置、前記ノズル移動装置、および前記回転装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記吸引装置は、前記吸引ノズルに取り付けられた粉体検出センサを備え、
前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備え、
前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備え、
前記粉体検出センサは、前記容器に収容された粉体の上面を検出し、
前記制御装置は、前記粉体検出センサの出力信号に応じて、前記吸引ノズルの進退速度、および/または前記テーブルの回転速度を調整する、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項7】
前記吸引装置の動作中に前記容器の上部の周囲を囲い、前記容器から漏洩した前記粉体の飛散を防止するブロッカーをさらに備える、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項8】
前記テーブルを、前記容器を該テーブルに戴置するための容器設置位置と、前記吸引装置が前記容器から粉体を取り出す回収位置と、の間で移動させるテーブル移動機構をさらに備える、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項9】
前記吸引ノズルを支持する支持フレームをさらに備え、
前記支持フレームは、
少なくとも2つの脚部と、
前記脚部の鉛直方向の長さを調整する長さ調整機構と、を有する、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記粉体吸引検知センサからの出力信号に基づいて、前記粉体の取り出し完了を検知し、
前記粉体の取り出し完了が検知されたら、取り出し完了信号を生成する、請求項5に記載の粉体回収装置。
【請求項11】
前記テーブルに取り付けられたロードセルと、
前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記テーブルに戴置された前記容器内の粉体の重量を測定する演算装置と、をさらに備える、請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項12】
前記演算装置は、前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記粉体の取り出し速度を算出する、請求項11に記載の粉体回収装置。
【請求項13】
前記演算装置は、前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記粉体の取り出し完了を検知する、請求項11に記載の粉体回収装置。
【請求項14】
前記演算装置は、
前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記粉体の粉体の取り出し量が所定の量に達したか否かを監視し、
前記粉体の取り出し量が前記所定の量に到達したときに、前記吸引装置の動作を停止させる停止信号を生成する、請求項11に記載の粉体回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体が収容される容器から該粉体を自動で取り出す粉体回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体は、医薬品、化学薬品、食品、化粧品、ファインケミカル、鋳物、建築材料、および塗料などの様々な産業分野で用いられている。また、近年では、粉砕技術や合成技術の進歩に伴って、粉体の微細化が進んでおり、粉体の粒子径はナノ単位まで至っている。このような微細な粉体材料は、例えば、原料撹拌装置を用いて製造することができる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
原料撹拌装置は、軸線周りに回転駆動される回転容器と、該回転容器の上部開口を開閉する蓋部材と、を備えている。原料撹拌装置で処理される原料は、回転容器に投入され、その後、回転容器を所定の回転速度で回転させることにより、造粒、コーティング、混合、混練、撹拌、乾燥などの各種処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-17923号公報
【特許文献2】特開2016-2536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉体は、通常、容器に収容されており、粉体を加工および/または処理するためには、容器から粉体を取り出す必要がある。容器から取り出された粉体は、該粉体の加工装置、または粉体の処理装置に搬送される。例えば、粉体の造粒、コーティング、混合、混練、撹拌、乾燥などの各種処理を原料撹拌装置で行うためには、容器から粉体を取り出して、該粉体を原料撹拌装置の回転容器に搬送する必要がある。
【0006】
微細な粉体材料はこれまでにない優れた特性や物性を示すことが知られている一方で、空気中に飛散すると、浮遊した粉体材料が人体に取り込まれ、人体に悪影響を及ぼすことがある。例えば、医薬品分野でも、高い薬理活性を持つ微細な粉体材料の取り扱いが進んでいるが、これら微細な粉体材料は、患者以外の人体には有害な場合もある。
【0007】
従来は、作業者が容器の内部を確認しながら吸引治具を用いて、粉体を容器から取り出している。この場合、作業者が粉体に暴露されるだけでなく、作業者が常時取り出し作業を行うため、作業者の負担が大きい。
【0008】
そこで、本発明は、粉体を容器から自動で取り出すことが可能な粉体回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、上部が解放された有底容器に収容された粉体を、該容器の上部から取り出す粉体回収装置であって、前記容器を戴置するためのテーブルと、前記テーブルを回転させる回転装置と、前記容器から粉体を取り出す吸引装置と、を備え、前記吸引装置は、真空源と、前記容器に差し込まれる吸引ノズルと、前記吸引ノズルから前記真空源まで延びる吸引ラインと、前記吸引ノズルを前記容器に対して進退させることが可能なノズル移動装置と、を備えており、前記容器が戴置されたテーブルを回転させながら、前記吸引ノズルを前記容器内で進退させて、前記粉体を前記容器から取り出す、粉体回収装置が提供される。
【0010】
一態様では、前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備える。
一態様では、前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備える。
【0011】
一態様では、前記粉体回収装置は、前記吸引装置、前記ノズル移動装置、および前記回転装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備え、前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備え、前記制御装置は、前記粉体の性状に応じて、前記吸引ノズルの進退速度、および/または前記テーブルの回転速度を調整する。
一態様では、前記粉体回収装置は、前記吸引装置、前記ノズル移動装置、および前記回転装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、前記吸引装置は、前記吸引ラインに配置された粉体吸引検知センサを備え、前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備え、前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備え、前記粉体吸引検知センサは、前記吸引ラインを搬送される前記粉体を検出し、前記制御装置は、前記粉体吸引検知センサの出力信号に応じて、前記吸引ノズルの進退速度、および/または前記テーブルの回転速度を調整する。
一態様では、前記粉体回収装置は、前記吸引装置、前記ノズル移動装置、および前記回転装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、前記吸引装置は、前記吸引ノズルに取り付けられた粉体検出センサを備え、前記ノズル移動装置は、前記吸引ノズルの進退速度を変更可能な速度調整機構を備え、前記回転装置は、前記テーブルの回転速度を変更可能な回転速度調整機構を備え、前記粉体検出センサは、前記容器に収容された粉体の上面を検出し、前記制御装置は、前記粉体検出センサの出力信号に応じて、前記吸引ノズルの進退速度、および/または前記テーブルの回転速度を調整する。
【0012】
一態様では、前記粉体回収装置は、前記吸引装置の動作中に前記容器の上部の周囲を囲い、前記容器から漏洩した前記粉体の飛散を防止するブロッカーをさらに備える。
一態様では、前記粉体回収装置は、前記テーブルを、前記容器を該テーブルに戴置するための容器設置位置と、前記吸引装置が前記容器から粉体を取り出す回収位置と、の間で移動させるテーブル移動機構をさらに備える。
【0013】
一態様では、前記粉体回収装置は、前記吸引ノズルを支持する支持フレームをさらに備え、前記支持フレームは、少なくとも2つの脚部と、前記脚部の鉛直方向の長さを調整する長さ調整機構と、を有する。
一態様では、前記制御装置は、前記粉体吸引検知センサからの出力信号に基づいて、前記粉体の取り出し完了を検知し、前記粉体の取り出し完了が検知されたら、取り出し完了信号を生成する。
【0014】
一態様では、前記粉体回収装置は、前記テーブルに取り付けられたロードセルと、前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記テーブルに戴置された前記容器内の粉体の重量を測定する演算装置と、をさらに備える。
一態様では、前記演算装置は、前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記粉体の取り出し速度を算出する。
一態様では、前記演算装置は、前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記粉体の取り出し完了を検知する。
一態様では、前記演算装置は、前記ロードセルの出力信号に基づいて、前記粉体の粉体の取り出し量が所定の量に達したか否かを監視し、前記粉体の取り出し量が前記所定の量に到達したときに、前記吸引装置の動作を停止させる停止信号を生成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容器が戴置されたテーブルを回転させ、該容器に挿入された吸引装置の吸引ノズルを動作させることで、粉体を容器から自動で取り出すことができる。さらに、粉体を自動で容器から取り出すことができるので、容器の周辺で作業する人員が不要であり、その結果、作業員が粉体に暴露されることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る粉体回収装置の正面図である。
図2図2は、図1に示す粉体回収装置の側面図である。
図3図3は、図1および図2に示す粉体回収装置の系統図である。
図4図4は、テーブルの上面を模式的に示す図である。
図5図5(a)は、第2フレーム構造体の一例を模式的に示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す第2フレーム構造体を模式的に示す上面図である。
図6図6は、図1および図2に示す吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図7図7は、一実施形態に係る真空源を示す模式図である。
図8図8は、他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図9図9は、図8のA-A線断面図である。
図10図10は、図7に示すノズル台の概略上面図である。
図11図11は、吸引ノズルが回動する様子を示す模式図である。
図12図12(a)は、吸引ノズルの吸引口の一例を示す模式図であり、図12(b)は、吸引ノズルの吸引口の他の例を示す模式図である。
図13図13(a)は、吸引ノズルの吸引口のさらに他の例を示す模式図であり、図13(b)は、図13(a)に示す吸引口が開いた状態を示す模式図である。
図14図14は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図15図15は、図14に示す吸引ノズルを上方に移動させた状態を示す模式図である。
図16図16は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図17図17は、アタッチメントに取り付けられる他のスクレーパの一例を示す模式図である。
図18図18(a)は、図16に示すスクレーパの変形例を模式的に示す斜視図であり、図18(b)は、図18(a)に示すスクレーパを模式的に示す断面図である。
図19図19(a)は、図18(a)および図18(b)に示す篩いの変形例を示す模式図であり、図19(b)は、図18(a)および図18(b)に示す篩いの他の変形例を示す模式図である。
図20図20は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図21図21は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図22図22は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図23図23は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
図24図24は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る粉体回収装置の正面図である。図2は、図1に示す粉体回収装置の側面図である。図3は、図1および図2に示す粉体回収装置の系統図である。本実施形態に係る粉体回収装置で取り扱われる粉体の種類、性状、および大きさは、特に限定されるものではなく、粉体回収装置は、任意の粉体を扱うことができる。
【0018】
図1および図2に示すように、粉体回収装置は、粉体を収容する容器3が戴置されるテーブル1と、テーブル1を、その中心軸周りに回転させる回転装置2と、粉体を回転装置2によって回転される容器3から取り出すための吸引装置5と、を備えている。容器3は、上部が解放された有底円筒形状を有しており、その内部に粉体を収容する。容器3の例としては、ドラム缶またはペール缶が挙げられる。なお、容器3の形状、容量、および種類は、テーブル1の上面に戴置可能であり、かつその上部が解放されている限り任意である。例えば、容器3は、四角形の水平断面形状を有していてもよい。容器3は、その中心軸線がテーブル1の中心軸線と一致するように、テーブル1の上面に戴置されるのが好ましい。
【0019】
図4は、テーブルの上面を模式的に示す図である。テーブル1は、その上面に形成された複数の(図示した例では、3つの)ねじ孔の群1a,1b,1cを有している。各ねじ孔群1a,1b,1cは、テーブル1の中心CPに対して同心状に配置されている。ねじ孔群1a,1b,1cには、容器3の底を固定するためのガイド爪(固定具)20がねじ込まれる。図4では、ねじ孔群1aにガイド爪20がねじ込まれた例を示している。ガイド爪20によって、テーブル1に戴置された容器3の姿勢が安定する。ガイド爪20がねじ込まれるねじ孔群1a,1b,1cは、容器3の外径に応じて選択される。このような構成によって、異なる大きさを有する容器3を安定してテーブル1に戴置させることができる。
【0020】
図1および図2に示す回転装置2は、テーブル1の下面に固定されたモータである。回転装置2の種類は、テーブル1を容器3とともに回転可能である限り任意である。例えば、回転装置2は、モータと複数のギアとの組み合わせであってもよいし、モータ、複数のプーリ、および複数のプーリのうちの2つに架け回される1つ、または複数のベルトの組み合わせであってもよい。回転装置2を駆動すると、テーブル1は、その上面に戴置された容器3とともに回転する。
【0021】
図1および図2に示すように、粉体回収装置は、回転装置2に接続される制御装置8を備えており、制御装置8は、回転装置2の回転速度および回転方向を自在に制御するように構成されている。本実施形態では、モータである回転装置2は、その回転速度および回転方向を自在に調整可能なインバータ2a(図3参照)を有している。インバータ2aは、テーブル1の回転速度および回転方向を調整可能な回転速度調整機構として機能する。なお、図1乃至図3では、図が煩雑にならないように、制御装置8から回転装置2に延びる信号線の図示を省略している。以下の図面でも同様に、制御装置8から延びる信号線の図示を省略している。
【0022】
図1および図2に示すように、吸引装置5は、真空源51と、容器3に差し込まれる吸引ノズル53と、吸引ノズル53から真空源51まで延びる吸引ライン58と、を少なくとも備えている。吸引装置5も制御装置8に接続されており、制御装置8は、吸引装置5の動作を制御するように構成されている。制御装置8が吸引装置5の真空源51を起動すると、容器3内の粉体が空気とともに吸引ノズル53の先端に形成された開口(吸引口)から吸引ライン58に吸い込まれる。以下の説明では、吸引ノズル53から吸い込まれて、吸引ライン58を流れる粉体を含む空気を「混合空気」と称することがある。
【0023】
粉体回収装置は、真空源51および回収容器65を支持する第1フレーム構造体23と、吸引ノズル53およびテーブル1を支持する第2フレーム構造体24と、からなる支持フレーム22を備えている。一実施形態では、第1フレーム構造体23と第2フレーム構造体24を一体に構成してもよい。さらに、第1フレーム構造体23と第2フレーム構造体24の一方または両方に、キャスターなどの粉体回収装置の移動を容易にする治具(図示せず)を取り付けてもよい。
【0024】
図5(a)は、第2フレーム構造体の一例を模式的に示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す第2フレーム構造体を模式的に示す上面図である。図5(a)に示す第2フレーム構造体24は、複数の(図示した例では、2つの)脚部24aを有している。さらに、一方の脚部24aには、テーブル1を水平方向に移動可能なテーブル移動機構27が取り付けられている。テーブル移動機構27は、テーブル1を、容器3をその上面に戴置するための容器設置位置と、吸引装置5が容器3から粉体を取り出す回収位置と、の間で移動させる機構である。本実施形態では、テーブル移動機構27は、第2フレーム構造体24の脚部24aと、テーブル1とを連結するヒンジ機構であり、第2フレーム構造体24の脚部24aを中心にテーブル1を水平方向に回動させる。図5(b)には、容器設置位置に移動されたテーブル1を仮想線(点線)で示している。テーブル移動機構27によって、容器3を容易にテーブル1に戴置させることができる。
【0025】
図示はしないが、テーブル移動機構27は、テーブル1に連結されるスライドレール機構であってもよい。
【0026】
図5(a)に示すように、第2フレーム構造体24の各脚部24aには、該脚部24aの鉛直方向の長さを調整する長さ調整機構24bが設けられている。本実施形態では、各脚部24aは、ベース脚部24a1と、ベース脚部24a1に進退自在に挿入される挿入脚部24a2とに分割されており、長さ調整機構24bは、ベース脚部24a1に対して挿入脚部24a2を進退させることが可能なモータである。長さ調整機構24bによって、テーブル1に戴置される容器3に対する吸引ノズル53の鉛直方向の位置を調整することができる。
【0027】
図5(b)に示すように、第2フレーム構造体24は、脚部24aの上端に取り付けられたフランジ24cを有する。吸引ノズル53は、フランジ24cに設けられた貫通孔を介して第2フレーム構造体24に支持されている。貫通孔の位置が異なる複数のフランジ24cを用意しておくことで、容器3に対する吸引ノズル53の水平方向の位置を変更することができる。
【0028】
図3に示すように、吸引装置5は、さらに、吸引ライン58に配置され、粉体を捕集する捕集器の一例であるフィルター55を備えている。フィルター55は、吸引ライン58を流れる混合空気から粉体を分離して捕集する。混合空気から粉体を分離可能である限り、捕集器はフィルター55に限定されない。例えば、捕集器は、サイクロンなどの固体分離装置であってもよい。本実施形態では、フィルター55は、第1フレーム構造体23に取り付けられている。
【0029】
図3に示すように、フィルター55には、逆洗ライン60と回収ライン61とが連結されている。逆洗ライン60は、図示しない気体供給源に接続されている。さらに、逆洗ライン60には、開閉バルブ62が配置されている。回収ライン61の末端には回収容器65が連結される。本実施形態では、回収容器65も第1フレーム構造体23に取り付けられている。制御装置8は、真空源51の動作を停止させた後で、開閉バルブ62を開くことで、フィルター55に加圧気体を供給し、捕集された粉体を回収ライン61を介して回収容器65に搬送する。本実施形態では、回収容器65も第1フレーム構造体23に取り付けられている。
【0030】
図6は、図1および図2に示す吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。図6に示すように、吸引ノズル53は、第2フレーム構造体24のフランジ24cの上面に取り付けられたノズル台30と、第2フレーム構造体24のフランジ24cの下面に取り付けられたシール台40とに支持されている。ノズル台30は、その内部に形成された第1部屋30a内に、第1リップシール32および第1摺動シール33と、を有する第1シール部31を備えている。
【0031】
吸引ノズル53は、その外周を覆うノズルカバー54を備えている。第1リップシール32の外周面および第1摺動シール33の外周面は、それぞれ、ノズル台30の内面に固定されている。第1リップシール32の内周面および第1摺動シール33の内周面(すなわち、第1シール部31)は、ノズルカバー54の外周面に当接しており、ノズルカバー54とノズル台30の内面との間の隙間をシールしつつ、ノズルカバー54を支持している。第1シール部31によって、第1部屋30aから空気が漏洩することが防止される。なお、ノズル台30は、その上部に形成された分割ラインDLで二分割可能に構成されている。分割ラインDLで分割されるノズル台30の上部と下部は、図示しないボルトなどの締結具で互いに固定される。このような構成により、第1リップシール32および第1摺動シール33の取付およびメンテナンスを容易に行うことができる。
【0032】
シール台40は、その内部に形成された第2部屋40aに配置された第2摺動シール42と、シール台40の底壁に形成された貫通孔に配置された第2リップシール43と、を有する第2シール部41を備えている。第2摺動シール42の下面は、シール台40の底壁の上面に固定されており、第2摺動シール42の内周面は、吸引ノズル53の外周面に当接している。第2リップシール43の外周面は、シール台40の底壁に形成された貫通孔に固定されており、第2リップシール43の内周面は、吸引ノズル53の外周面に当接している。第2シール部41は、シール台40と吸引ノズル53との間の隙間をシールしつつ、吸引ノズル53を支持している。
【0033】
吸引装置5は、さらに、吸引ノズル53を容器3に対して進退させることが可能なノズル移動装置47を有している。本実施形態では、ノズル移動装置47は、吸引ノズル53を容器3の中心軸線と平行な方向に移動させる。ノズル移動装置47の例としては、エアシリンダ、または位置決め用モータとボールねじとの組み合わせなどのリニアアクチュエータが挙げられる。
【0034】
ノズル移動装置47も制御装置8に接続されており、制御装置8はノズル移動装置47の動作を制御するように構成されている。ノズル移動装置47は、吸引ノズル53の進退速度を調整可能な速度調整機構47a(図3参照)を有しているのが好ましい。例えば、制御装置8は、粒度、含水率、および比重などの粉体の性状に基づいて、ノズル移動装置47の動作を制御して吸引ノズル53の進退速度を調整してもよい。この場合、粉体の性状は、予め制御装置8に入力される。ノズル移動装置47がエアシリンダである場合は、速度調整機構47aは、エアシリンダに供給される流体の圧力および/または流量を調整する圧力調整弁であってもよい。ノズル移動装置47が位置決め用モータとボールねじとの組み合わせである場合は、速度調整機構47aは、位置決め用モータに供給する電圧および/または電流を制御可能なインバータであってもよい。さらに、制御装置8は、ノズル移動装置47の出力信号に基づいて、吸引ノズル53の先端の容器3に対する鉛直方向の位置を演算乃至決定してもよい。
【0035】
図6に示すように、吸引ノズル53は、好ましくは、ノズルカバー54の外面に形成されたストッパ57を有する。ストッパ57は、吸引ノズル53の先端が過度に上方に移動することを阻止するための部材である。図6に示すように、ストッパ57は、その上面が第1摺動シール33の下面に接触して、吸引ノズル53が過度に上方に移動することを阻止している。
【0036】
本実施形態では、ストッパ57は、ノズルカバー54と一体に形成されている。一実施形態では、ストッパ57は、ノズルカバー54にはめ込まれるリング状部材であってもよい。
【0037】
容器3から粉体を取り出すときは、制御装置8は、最初に、回転装置2を駆動して、テーブル1と容器3とを回転させる。次いで、制御装置8は、真空源51を駆動するとともに、ノズル移動装置47を用いて吸引ノズル53を所定の時間間隔で徐々に容器3の底面に向けて移動させる。この動作により、容器3に収容される粉体の上部付近から徐々に粉体を取り出すことができる。
【0038】
フィルター55は、粉体を含む混合空気から粉体のみを抽出し、その内部に貯留する。制御装置8は、所定時間だけ真空源51およびノズル移動装置47を駆動した後に、該真空源51およびノズル移動装置47を停止させる。この所定時間は、容器3内の粉体の取り出し時間であり、予め実験などにより決定されている。制御装置8は、所定時間を予め記憶している。
【0039】
次いで、制御装置8は、逆洗ライン60に配置された開閉バルブ62(図1および図2参照)を開き、フィルター55に捕集された粉体を回収ライン61を介して回収容器65に搬送する。
【0040】
本実施形態に係る粉体回収装置によれば、容器3から粉体を迅速かつ確実に取り出すことができるので、粉体の回収効率が向上する。さらに、真空源51の起動・停止、およびノズル移動機構47の起動・停止を少なくとも含む粉体の回収動作は、制御装置8によって自動で制御される。したがって、作業員が容器3から粉体を回収する必要がない。その結果、作業員が粉体に暴露されることが防止される。
【0041】
一実施形態では、制御装置8は、吸引ノズル53の容器3の上部から下部までの複数回の往復移動動作を、ノズル移動装置47を用いて行ってもよい。この複数回の往復移動動作を行うことでも、迅速かつ完全に容器3内の粉体を取り出すことができる。
【0042】
図3に示すように、吸引装置5は、容器3内の粉体の上面を検知可能な粉体検出センサ56を有していてもよい。本実施形態では、粉体検出センサ56は、吸引ノズル53に取り付けられており、吸引ノズル53とともに容器3に対して進退する。粉体検出センサ56の例としては、光学式測距離センサ、赤外センサなどがあげられる。粉体検出センサ56は、制御装置8に接続され、測定値を制御装置8に送信する。制御装置8は、吸引ノズル53の先端が粉体の上面近傍に常に位置するように、粉体検出センサ56の出力信号に基づいてノズル移動装置47の動作を制御する。一実施形態では、制御装置8は、吸引ノズル53の先端が粉体の上面から所定の距離だけ上方に、または下方に位置するように、ノズル移動装置47の動作を制御してもよい。このような構成によっても、迅速かつ完全に容器3内の粉体を取り出すことができる。
【0043】
一実施形態では、吸引装置5は、吸引ライン58に配置された粉体吸引検知センサ52を有していてもよい。粉体吸引検知センサ52は、例えば、光電センサであり、吸引ノズル53とフィルター55との間に配置される。粉体吸引検知センサ52も制御装置8に接続されており、制御装置8にその測定値を送信する。光電センサである粉体吸引検知センサ52は、吸引ライン58を流れる混合流体に光を照射する投光部と、吸引ライン58を通った光を受光する受光部とを備えている。容器3から取り出される粉体の量が少なくなると、粉体吸引検知センサ52が検知する光量が増加し、容器3から取り出される粉体の量が増加すると、粉体吸引検知センサ52が検知する光量が減少する。
【0044】
したがって、制御装置8は、粉体検出センサ52の出力信号に基づいて吸引装置5によって吸引されている粉体の量を決定することができる。そのため、制御装置8は、粉体検出センサ52の出力信号に基づいて、ノズル移動装置47の動作および/または回転装置2の回転速度を調整することができる。例えば、制御装置8は、吸引装置5によって容器3から取り出される粉体の量が所定量に一致するように、粉体検出センサ52の出力信号に基づいてノズル移動装置47の動作および/または回転装置2の回転速度を調整する。このような構成によっても、迅速かつ完全に容器3内の粉体を取り出すことができる。
【0045】
一実施形態では、制御装置8は、粉体検出センサ52の出力信号に基づいて、粉体の取り出し完了を検知してもよい。例えば、制御装置8は、粉体検出センサ52の出力信号に対するしきい値を予め記憶しており、粉体検出センサ52の出力信号がしきい値に到達すると、取り出し完了信号を生成する。取り出し完了信号が生成されると、制御装置8は、吸引装置5および回転装置2の動作を停止させる。一実施形態では、制御装置8は、取り出し完了信号を粉体回収装置の外部に設けた監視装置(図示せず)に送信してもよい。取り出し完了信号を受信した監視装置は、例えば、粉体の取り出しが完了したことを知らせるための警報を発する。この動作により、作業者は、いち早く粉体の取り出しが完了したことを知ることができる。
【0046】
一実施形態では、制御装置8は、粉体検出センサ52の出力信号と、ノズル移動装置47の出力信号と、に基づいて、吸引ライン58の詰まりを検出してもよい。上記したように、制御装置8は、ノズル移動装置47の出力信号に基づいて、容器3に対する吸引ノズル53の先端の鉛直方向の位置を算出乃至決定することができる。そこで、制御装置8は、吸引ノズル53の先端が容器3の底面近傍に位置していないにも拘わらず、粉体検出センサ52が粉体の通過を検知しない場合に、吸引ライン58が粉体によって詰まったと判断する。この場合、制御装置8は、閉塞信号を生成するとともに、警報を発する。一実施形態では、制御装置8は、閉塞信号を粉体回収装置の外部に設けた監視装置(図示せず)に送信してもよい。閉塞信号を受信した監視装置は、例えば、粉体の詰まりが発生したことを知らせるための警報を発し、この警報により、作業者は、いち早く粉体の詰まりが発生したことを知ることができる。
【0047】
図1および図2に示すように、粉体回収装置は、容器3の上部の周囲を囲い、容器3から漏洩した粉体の飛散を防止するブロッカー44をさらに備えてもよい。本実施形態では、ブロッカー44は、可撓性を有する樹脂材料(例えば、ビニル材料)から構成され、円筒形状を有する。ブロッカー44は、第2フレーム構造体24に取り付けられているが、可撓性を有しているため、テーブル移動機構27によって容器3が戴置されたテーブル1を容器設置位置から粉体回収位置に移動させる際に、ブロッカー44が容器3の移動を妨げることがない。
【0048】
図3に示すように、吸引装置5は、粉体吸引検知センサ52の代わりに、またはこれに加えて、容器3からの粉体の取り出しが完了したことを検知するロードセル45を備えていてもよい。図3に示すロードセル45は、テーブル1の上面に取り付けられており、粉体が収容された容器3の重量を監視している。ロードセル45は、制御装置8に接続されており、その測定値を制御装置8に送信する。本実施形態では、制御装置8は、テーブル1に戴置された容器3内の粉体の重量を測定する演算装置としても機能する。
【0049】
真空源51およびノズル移動装置47を駆動すると、粉体が収容された容器3の重量が徐々に減少する。制御装置8は、容器3の重量のしきい値を予め記憶しており、容器3の重量がしきい値に到達すると、真空源51およびノズル移動装置47の動作を停止させるように構成される。すなわち、制御装置8は、ロードセル45の出力信号に基づいて、粉体の取り出し完了を検知する。
【0050】
一実施形態では、演算装置として機能する制御装置8は、ロードセル45の出力信号に基づいて、単位時間あたりの粉体の重量の減少量である粉体の取り出し速度を算出してもよい。この場合、制御装置8は、上記した粉体の性状を予め記憶しているのが好ましい。制御装置8は、容器3から粉体を取り出すたびに、粉体の性状と粉体の取り出し速度とを関連付けたデータを記憶する。このデータは、粉体の取り出し条件の最適化を図る際に好適に利用される。
【0051】
演算装置として機能する制御装置8に、ロードセルの出力信号に基づいた粉体の取り出し量を監視させてもよい。作業者が容器3内から一部の粉体のみを取り出すことを希望することがある。この場合、作業者は、制御装置8に取り出しを希望する量を予め制御装置8に入力しておく。制御装置8は、ロードセル45の出力信号に基づいて、容器3から取り出される粉体の量が作業者によって入力された希望取り出し量に達したか否かを監視している。そして、粉体の取り出し量が希望取り出し量に到達したときに、制御装置8は、少なくとも吸引装置5の動作、すなわち、真空源51の動作を停止させる。
【0052】
図7は、一実施形態に係る真空源を示す模式図である。図7に示す真空源51は、駆動流体によって駆動されるエゼクタである。以下では、真空源51を「エゼクタ51」と称することがある。
【0053】
図7に示すエゼクタ51には、駆動流体ライン25が接続されており、エゼクタ51は、駆動流体ライン25から供給された駆動気体によるエゼクタ効果によって吸引ライン58および吸引ノズル53を介して容器3内に真空を発生させる。駆動流体ライン25には、駆動流体供給バルブ26が配置されており、制御装置8は、駆動流体供給バルブ26の開閉動作を制御するように構成されている。
【0054】
エゼクタ51は、上記したフィルター(捕集器)55が内蔵されており、エゼクタ51には、上記した逆洗ライン60が連結されている。図7に示すエゼクタ51は、図3に示す吸引ライン58の末端に接続される。
【0055】
真空源であるエゼクタ51を駆動する際には、制御装置8は、駆動流体ライン25に配置された駆動流体供給バルブ26を開き、エゼクタ51に駆動気体を供給する。この動作によって、吸引ライン58および吸引ノズル53を介して容器3内に真空が形成され、粉体が容器3から取り出される。吸引ライン58を流れる混合流体に含まれる粉体は、エゼクタ51に内蔵されるフィルター55に捕集され、混合流体に含まれる空気は、駆動気体とともにエゼクタ51から排出される。
【0056】
図7に示すエゼクタ51には、回収バルブ67を介して上記した回収ライン61が連結されている。回収バルブ67は、通常は、閉じられている。フィルター55に捕集された粉体を回収するときは、制御装置8は、開閉バルブ62および回収バルブ67を開き、逆洗ライン60を介してエゼクタ51のフィルター55に供給された加圧気体によって、回収ライン61を介して回収容器65に粉体を搬送する。
【0057】
容器3からの粉体の回収効率を向上させるために、吸引ノズル53は、該吸引ノズル53の側面に設けられ、回転する回転容器の内面および底面に接触するスクレーパ部材を有していてもよい。
【0058】
図8は、他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【0059】
図8に示す吸引装置の吸引ノズル53は、その側面に設けられたスクレーパ部材70を有し、容器3の内周面に近接して配置される。スクレーパ部材70は、回転する容器3の内面および底面に接触し、これら内面および底面に付着した粉体を掻き取ることができる。その結果、粉体の回収効率を向上させることができる。
【0060】
本実施形態では、ノズルカバー54は円筒形状を有しており、ノズルカバー54の外周面にはレバー75が固定されている。ノズルカバー54および吸引ノズル53は、第1シール部31および第2シール部41を介してノズル台30およびシール台40に回動可能に支持されている。
【0061】
第1摺動シール33および第2摺動シール42は、摩擦係数が小さく、かつある程度の硬度を有する材料から構成されるのが好ましい。このような材料は、例えば、すべり軸受の摺動部材(例えば、回転軸に固定されるブッシュ)を形成する樹脂である。このような樹脂の例としては、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テフロン(登録商標)などが挙げられる。
【0062】
吸引ノズル53は、混合流体の流路(図示せず)が形成されるノズル本体69と、ノズル本体69の側面に設けられ、容器3の内面に接触するスクレーパ部材70と、を有している。図8に示す実施形態では、ノズル本体69とスクレーパ部材70は、一体に成形されている。このような構成により、ノズル本体69とスクレーパ70との間に粉体が詰まることが防止される。
【0063】
図9は、図8のA-A線断面図である。図9に示すように、ノズルカバー54に固定されるレバー75は、ノズル台30の側壁に形成された窓30bを通って、該ノズル台30の外部まで延びている。窓30bは、ノズル台30の側壁を貫通しており、かつノズル台の円周方向に沿って延びている。後述するように、レバー75は、窓30bの長手方向(すなわち、ノズル台30の円周方向)に沿って、かつ窓30b内で回動可能である。さらに、レバー75は、長孔75aを有している。長孔75aは、レバー75の上面から下面まで延びる貫通孔であり、レバー75の長手方向(ノズルカバ-54の半径方向に対応する)に沿って延びている。
【0064】
図10は、図8に示すノズル台の概略上面図である。図10に示すように、吸引装置5は、レバー75に連結される付勢機構80をさらに備えている。付勢機構80は、レバー75、および該レバー75が固定されるノズルカバー54を介して、吸引ノズル53のスクレーパ部材70(図8参照)を容器3の内周面に所定の付勢力で付勢する機構である。
【0065】
図10に示す付勢機構80は、レバー75に形成された長孔75aに挿入されるピン81(図9の2点鎖線参照)と、ピン81が連結される棒部材83と、棒部材83を支持する2枚の支持板(支持部材)85,85と、棒部材83に所定の付勢力を付与する付勢部材87と、を備えている。図10に示す実施形態では、ピン81は、棒部材83に設けられた支持フレーム89に固定されている。
【0066】
図示した例では、付勢部材87は、コイルばねであり、以下では、付勢部材87を「コイルばね87」と称することがある。しかしながら、本実施形態において、付勢部材87は、支持板(支持部材)85,85に対する棒部材83の進退を許容しつつ、棒部材83に所定の付勢力を付与できる限り、コイルばねに限定されない。例えば、付勢部材87は、コイルばねとは異なる任意の弾性部材であってもよい。このような弾性部材の例は、板ばね、およびゴムなどの樹脂などが挙げられる。さらに、付勢部材87は、エアシリンダであってもよいし、ダンパーであってもよい。付勢部材87がエアシリンダである場合は、棒部材83は、エアシリンダに供給される流体の圧力に応じた付勢力で棒部材83を付勢する。付勢部材87がダンパーである場合は、棒部材83は、ダンパーの復元力に応じた付勢力で棒部材83を付勢する。
【0067】
コイルばね87の一端は、一方の支持板85に接触しており、コイルばね87の他端は、棒部材83に設けられた板83aに接触している。棒部材83における板83aの位置は、付勢力調整ナット82によって固定されている。付勢力調整ナット82は、板83aと支持フレーム89との間で棒部材83に螺合し、棒部材83の長手方向における板83aの位置決めを行う部材である。コイルばね87は、縮められた状態で板83aと支持板85との間に配置されている。したがって、コイルばね87は、その復元力で板83aを付勢する。この復元力が、コイルばね87が棒部材83に与える付勢力に相当する。
【0068】
棒部材83に螺合する付勢力調整ナット82を、コイルばね87が接触する支持板85に向かって移動させると、コイルばね87の長さが縮み(すなわち、板83aと支持板85との間の距離が減少し)、コイルばね87が棒部材83に与える付勢力が増加する。付勢力調整ナット82を、コイルばね87が接触する支持板85から遠ざけると、コイルばね87の長さが伸びて(すなわち、板83aと支持板85との間の距離が増加し)、コイルばね87が棒部材83に与える付勢力が減少する。すなわち、棒部材83に対する付勢力調整ナット82の位置を変更することによって、コイルばね87の付勢力を調整することができる。
【0069】
本実施形態では、棒部材83は、2枚の支持板85,85を貫通して延びている。コイルばね87が接触する一方の支持板85を貫通して延びる棒部材83の先端には、ノズル位置調整ナット84が螺合されている。ノズル位置調整ナット84は、コイルばね87が接触する支持板85の面とは逆側の面に接触する。
【0070】
棒部材83は、長孔75aに挿入されたピン81を介してレバー75に連結されているため、レバー75は、棒部材83に与えられた付勢力で押圧される。レバー75は、ノズルカバー54に固定されている(図9参照)ため、ノズルカバー54は、レバー75に付与されたコイルばね87の付勢力でノズル台30に対して回動しようとする。ノズルカバー54は、容器3の内周面に近接して配置された吸引ノズル53に連結されているので、吸引ノズル53のスクレーパ部材70(図10参照)を、コイルばね87の付勢力に応じて容器3の内周面に押し付けることができる。
【0071】
このような構成によれば、吸引ノズル53は、回転する容器3の内周面のうねりに追従して回動することができる。より具体的には、回転する容器3の内周面が吸引ノズル53のスクレーパ部材70に近づく方向にうねると、吸引ノズル53が付勢機構80によって付与された付勢力に抗して吸引ノズル53の回転中心CPまわりに回動する(図11参照)。このとき、コイルばね87が縮むとともに、レバー75が吸引ノズル53の回転中心CPまわりに回動する。ピン81は、レバー75の回動に応じて長孔75a内を移動する。
【0072】
その後、回転する容器3の内周面が吸引ノズル53のスクレーパ部材70から離れる方向にうねると、吸引ノズル53は、付勢機構80によって付与された付勢力によって容器3の内周面に密着したまま吸引ノズル53の回転中心CPの回転中心CPまわりに回動する。このとき、コイルばね87が伸びるとともに、レバー75が吸引ノズル53の回転中心CPまわりに回動する。ピン81は、レバー75の回動に応じて長孔75a内を移動する。
【0073】
本実施形態では、吸引ノズル53の吸引口は、該吸引ノズル53の側面に形成される。図12(a)は、吸引ノズルの吸引口の一例を示す模式図であり、図12(b)は、吸引ノズルの吸引口の他の例を示す模式図である。
【0074】
図12(a)に示す吸引ノズル53の吸引口53aは、吸引ノズル53の先端から該吸引ノズル53の長手方向に沿って延びる長孔形状を有している。図12(b)に示す吸引ノズル53の吸引口53aは、吸引ノズル53の先端から該吸引ノズル53の長手方向に沿って延びる略三角形状を有している。このように、吸引ノズル53の吸引口53aの形状は、粉体を吸い込むことができる限り任意である。
【0075】
図13(a)は、吸引ノズルの吸引口のさらに他の例を示す模式図であり、図13(b)は、図13(a)に示す吸引口が開いた状態を示す模式図である。図13(a)に示す吸引ノズル53は、その先端が弾性部材53bによって構成されている。吸引口53aは、弾性部材53bに形成された切り込みであり、弾性部材53bの先端は、スクレーパ部材70の下面よりも下方に位置する。吸引ノズル53のスクレーパ部材70の下面が容器3の底面に接触するまで、吸引ノズル53を容器3内に挿入すると、吸引ノズル53の弾性部材が圧縮されて変形することで、切り込みが略菱形に変形する(図13(b)参照)。これにより、吸引ノズル53の吸引口が形成される。
【0076】
図14は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。図15は、図14に示す吸引ノズルを上方に移動させた状態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【0077】
図14に示す例では、ノズルカバー54は、シール台40を貫通して容器3の内部まで延びている。ノズルカバー54の外面に形成されたストッパ57の外周面には、摺動リング76が取り付けられている。摺動リング76の外周面は、ノズル台30の内周面に摺動自在に接触している。ノズル台30の第1部屋30aは、ストッパ57および摺動リング76によって上側部屋30a1と、下側部屋30a2に分割される。なお、本実施形態では、図4に示す第1シール部31の第1摺動シール33が省略されている。
【0078】
ノズル台30の側壁には、上側部屋30a1を外部と連通する貫通孔72が形成されており、貫通孔72には、気体供給ライン74が連結される。さらに、ノズル台30の側壁には、下側部屋30a2を外部と連通させる貫通孔73が形成されている。下側部屋30a2には、付勢部材71であるコイルバネが配置されており、付勢部材71は、ストッパ57とフランジ24cの上面との間に挟まれている。付勢部材71は、ノズルカバー54および吸引ノズル53を上方に押し上げる付勢力をストッパ57に付与する部材である。図示した例では、付勢部材71はコイルバネであるが、付勢部材71は、ノズルカバー54および吸引ノズル53を上方に押し上げる付勢力をストッパ57に付与することができる限り任意の部材を使用することができる。
【0079】
図15に示すように、容器3から粉体の回収を開始する前は、ストッパ57に接触する付勢部材75の付勢力によって、ノズルカバー54および吸引ノズル53がフランジ24cに対して上方に移動させられる。粉体を回収するときは、制御装置8は、気体供給ライン74および貫通孔72を介して圧縮気体を上側部屋30a1に供給する。上側部屋30a1に圧縮気体が供給されると、付勢部材71の付勢力に抗して、ノズルカバー54および吸引ノズル53が容器3の粉体に向けて移動させられる。
【0080】
粉体の回収が完了したら、制御装置8は、圧縮気体の供給を停止する。圧縮気体の供給が停止されると、第1部屋30a内の圧縮気体が下側部屋30a2を外部に連通させる貫通孔73を通って外部に排出される。この動作によって、付勢部材71は、ストッパ57を介してノズルカバー54および吸引ノズル53を上方に押し上げる。本実施形態では、ノズル移動装置47は、上側部屋30a1に圧縮気体を供給する気体供給ライン74と、下側部屋30a2に配置された付勢部材71と、下側部屋30a2に形成された貫通孔73によって構成される。
【0081】
粉体を容器3から回収するときは、制御装置8は、気体供給ライン74を介して上側部屋30a1に供給される圧縮気体の圧力を制御することにより、吸引ノズル53を所定の時間間隔で徐々に容器3の底面に向けて移動させる。さらに、制御装置8は、気体供給ライン74を介して上側部屋30a1に供給される圧縮気体の圧力を制御することにより、吸引ノズル53の容器3の上部から下部までの複数回の往復移動動作を行ってもよい。あるいは、制御装置8は、容器3内の粉体の上面を検知可能な粉体検出センサ56の測定値に基づいて上側部屋30a1に供給される圧縮気体の圧力を制御することにより、吸引ノズル53の先端を粉体の上面近傍に位置させてもよいし、粉体の上面から所定の距離だけ上方にまたは下方に位置させてもよい。
【0082】
図16は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。図16に示す吸引装置5の例は、図4に示す吸引装置5の変形例に相当する。
【0083】
図16に示す吸引装置5は、第2シール部41と吸引ノズル53との間の隙間に、容器3内の粉体が到達することを防止する防塵カバー90を備えている。防塵カバー90によって、容器3内の粉体が第2シール部41を突破して容器3の外部に飛散することが効果的に防止される。
【0084】
本実施形態では、防塵カバー90は、シール台40の外周面に固定された上端と、吸引ノズル53に取り付けられたアタッチメント92の外面に固定された下端と、を有し、逆円錐形状を有する。防塵カバー90によって、容器3の内部は、粉体が存在する撹拌空間3aと、粉体の侵入が阻止された清浄空間3bとに分割される。本実施形態では、清浄空間3bは、シール台40、防塵カバー90、および吸引ノズル53によって区画された空間である。
【0085】
アタッチメント92は、後述する交換式スクレーパを吸引ノズル53に取り付ける際に利用される部品であり、吸引ノズル53の先端部近傍に固定されている。なお、防塵カバー90の取付位置および構成は、第2シール部41と吸引ノズル53との間に粉体が到達することを防止できる限り、任意である。例えば、防塵カバー90の上端は、シール台40の下面に固定されていてもよいし、防塵カバー90の下端は、吸引ノズル53の外周面を取り囲むように、該吸引ノズル53に固定されていてもよい。
【0086】
防塵カバー90は、吸引ノズル53の移動によって変形可能な可撓性および/または伸縮性を有する。例えば、防塵カバー90は、粉体の大きさよりも細かい目を有する布から形成される。防塵カバー90によって、吸引ノズル53の外面に粉体が付着することが防止される。したがって、吸引ノズル53の移動にともなって吸引ノズル53に付着した粉体が第2シール部41に到達することを完全に防止できる。その結果、吸引ノズル53の移動に起因して、粉体が第2シール部41のシール性能、特に、第2リップシール43のシール性能を低下させることが防止される。
【0087】
容器3内から粉体を取り出している間に、防塵カバー90の外面に、粉体が付着するおそれがある。防塵カバー90の外面に粉体が付着したままにすると、粉体の回収率が低下してしまう。そこで、図16に示すように、吸引装置5は、上記清浄空間3bに気体(例えば、圧縮気体、圧縮窒素)を導入する気体供給機構100を有しているのが好ましい。気体供給機構100は、清浄空間3bの内部まで延びる少なくとも1つの気体供給ノズル101と、図示しない気体供給源から気体供給ノズル101まで延びる気体供給ライン102と、気体供給ライン102に配置された開閉弁103と、を備えている。
【0088】
本実施形態では、気体供給ノズル101は、フランジ24cおよびシール台40を貫通しており、シール台40の下面で開口している。開閉弁103は、制御装置8に接続されており、制御装置8は、開閉弁103の開閉動作を制御可能に構成されている。制御装置8が開閉弁103を開くと、気体が清浄空間3bに供給される。制御装置8が開閉弁103を閉じると、清浄空間3bへの気体の供給が停止される。
【0089】
本実施形態では、防塵カバー90は、気体供給機構100から清浄空間3bに供給される気体の通過は許容するが、粉体の通過を阻止する部材から構成される。このような防塵カバー90の材料の例としては、粉体の大きさよりも小さい目を有する布が挙げられる。
【0090】
制御装置8が開閉弁103を操作して、気体を清浄空間3bに供給すると、気体は清浄空間3bから防塵カバー90を通過して容器3内に流れ込む。この際に、防塵カバー90に付着した粉体が防塵カバー90から撹拌空間3aに脱落する。その結果、粉体の回収率を向上させることができる。
【0091】
制御装置8は、開閉弁103を所定時間の間開けたままにしておき、連続して気体を清浄空間3bに供給してもよいし、開閉弁103の開閉動作を繰り返して、間欠的に気体を清浄空間3bに供給してもよい。
【0092】
図16に示す防塵カバー90を、図8に示す吸引装置5に設けてもよいし、図14および図15に示す吸引装置5に設けてもよい。さらに、図16に示す気体供給機構100も、図8に示す吸引装置5に設けてもよいし、図14および図15に示す吸引装置5に設けてもよい。
【0093】
図16に示す例では、吸引ノズル53の先端には、アタッチメント92を介してスクレーパ94が取り付けられている。スクレーパ94は、アタッチメント92にボルトなどの固定具(図示しない)を介して固定される。本実施形態では、スクレーパ94は、アタッチメント92の下端に固定され、逆円錐形状を有しているが、スクレーパ94の取付位置および形状はこの例に限定されない。例えば、スクレーパ94をアタッチメント92の外面に固定してもよい。スクレーパ94の形状は、容器3から吸引される粉体の性状(例えば、粒径、比重、形状など)に応じて選択される。
【0094】
図17は、アタッチメントに取り付けられる他のスクレーパの一例を示す模式図である。図17に示すスクレーパ94’は、円筒形状のスクレーパ本体95から外方に突出する2本の案内アーム96,96を有している。図17に示すスクレーパ94’は、図16に示すスクレーパ94を用いて吸引される粉体の比重よりも小さな比重を有する粉体を吸引するのに適している。吸引装置5を動作させると、容器3内の粉体は、2本の案内アーム96,96に案内されてスクレーパ本体95に吸引される。したがって、粉体を効率的に容器3から吸引することができる。
【0095】
本実施形態では、アタッチメント92の固定具を取り外すだけで、スクレーパ94をスクレーパ94’に容易に交換することができる。すなわち、吸引装置5のスクレーパ94を、簡単な操作で粉体の性状に適したスクレーパ94’に交換することができる。さらに、スクレーパ94(94’)をアタッチメント92から容易に取り外すことができるので、スクレーパ94(94’)のメンテナンスが容易になる。
【0096】
図18(a)は、図16に示すスクレーパの変形例を模式的に示す斜視図であり、図18(b)は、図18(a)に示すスクレーパを模式的に示す断面図である。図18(a)および図18(b)に示すように、スクレーパ94とアタッチメント92との間に配置される篩い98を設けてもよい。図示した例では、篩い98は、平板形状を有しており、ボルトなどの固定具を用いて、スクレーパ94の上端に固定されている。篩い98によって、所望の大きさ以下の粉体を容器3から吸引することができる。
【0097】
篩い98を設ける場合は、スクレーパ94は、篩い98を介してアタッチメント92に固定される。図示はしないが、篩い98を図17に示すスクレーパ94’に固定してもよい。
【0098】
図19(a)は、図18(a)および図18(b)に示す篩いの変形例を示す模式図であり、図19(b)は、図18(a)および図18(b)に示す篩いの他の変形例を示す模式図である。図19(a)に示すように、篩い98は、上に凸の円錐形状を有していてもよいし、図19(b)に示すように、篩い98は、下に凸の円錐形状を有していてもよい。図19(a)および図19(b)に示す篩い98は、図18(a)および図18(b)に示す篩い98よりも大きな粉体のろ過面積を有する。そのため、粉体の目詰まりを効果的に防止することができる。
【0099】
図20は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。図20に示す吸引装置5の例は、図4に示す吸引装置5の変形例に相当し、図16で示した吸引装置5と同様に、アタッチメント92に取り付けられた交換式スクレーパ94を有する。図示はしないが、アタッチメント92と交換式スクレーパ94とを省略してもよい。交換式スクレーパ94を省略する場合、以下の説明では、スクレーパ94は吸引ノズル53と読み替えられる。
【0100】
図20に示す吸引装置5は、容器3に対する吸引ノズル53の角度を変更する傾斜台110を有している。本実施形態では、吸引装置5は、ノズル台30およびシール台40が固定される支持プレート111を有している。支持プレート111は、ノズル台30が固定される上面と、シール台40が固定される下面とを有しており、傾斜台110は、フランジ24cの上面と、支持プレート111の下面に挟まれるように、フランジ24cに固定される。
【0101】
傾斜台110は、フランジ24cの上面と平行な下面と、フランジ24cの上面に対して傾斜する上面と、を有する円筒形状を有している。図20に示すように、支持プレート111を傾斜台110の上面に固定すると、吸引ノズル53は、容器3に対して斜めに延びる。本実施形態では、吸引ノズル53は、その先端が容器3の半径方向内側に向かうように、容器3の下面(または、フランジ24cに)に対して斜めに延びている。図示はしないが、吸引ノズル53は、その先端が容器3の半径方向外側に向かうように、容器3の下面(または、フランジ24cに)に対して斜めに延びていてもよい。さらに、吸引ノズル53は、その先端が容器3の半径方向からずれるように延びていてもよい。
【0102】
容器3内で製造された粉体の回収率を向上させるためには、スクレーパ94(または、吸引ノズル53)の先端は、できるだけ容器3の底面に近接させることが好ましい。一方で、スクレーパ94の先端を、容器3の底面に近づけすぎると、スクレーパ94の先端と容器3の底面との間の隙間が小さくなり、期待通りに粉体を吸引できなくなる。さらに、容器3を回転させて粉体を吸引している間に、スクレーパ94と容器3の底面との間の隙間に存在する粉体に多大な摩擦力が発生するおそれがある。この場合、スクレーパ94の先端および/または容器3の底面が傷つくか、または劣化してしまう。
【0103】
本実施形態によれば、スクレーパ94が容器3の底面に対して斜めに配置されているため、粉体を容易にスクレーパ94の入口から吸引することができる。さらに、粉体の回収中、スクレーパ94の下端のみが容器3の底面と近接する。したがって、スクレーパ94の先端および/または容器3の底面の劣化を抑制することができる。
【0104】
フランジ24cに対する傾斜角度が異なる上面を有する複数の傾斜台110を用意しておけば、容器3の底面に対する吸引ノズル53の傾斜角度を、粉体の性状に応じた最適な傾斜角度に容易に変更することができる。一方で、傾斜台110を交換することで、容器3の底面に対する吸引ノズル53の傾斜角度が変わると、スクレーパ94の先端と容器3の底面との間の距離が変わり、スクレーパ94が容器3の底面に接触するおそれがある。そこで、図20に示すように、吸引ノズル53の下方への移動を制限する下限ストッパ機構120を有しているのが好ましい。
【0105】
図20に示す下限ストッパ機構120は、吸引ノズル53に固定された支持アーム121と、支持アーム121を貫通して延びるストッパボルト122と、ストッパボルト122に螺合する調整ナット123と、を備える。支持アーム121は、吸引ノズル53の外面に固定されている。調整ナット123を一方向(例えば、時計回り)に回すと、ストッパボルト122が支持アーム121に対して下方に移動し、調整ナット123を他方向(例えば、反時計回り)に回すと、ストッパボルト122が支持アーム121に対して上方に移動する。ノズル移動装置47により吸引ノズル53を下方に移動させたときに、ストッパボルト122の先端がノズル台30の上面に接触して、吸引ノズル53の下方への移動が阻止される。このような下限ストッパ機構120によって、容器3の底面に対するスクレーパ94の先端の位置を調整することができる。
【0106】
本実施形態では、下限ストッパ機構120は、傾斜台110を有する吸引装置5に設けられているが、下限ストッパ機構120を、図4に示す吸引装置5に設けてもよいし、図8に示す吸引装置5に設けてもよいし、図14および図15に示す吸引装置5に設けてもよい。
【0107】
図21は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。図21に示す吸引装置5の例は、図4に示す吸引装置5の変形例に相当する。
【0108】
図21に示す吸引装置5は、吸引ノズル53の先端部から、容器3内の粉体に圧縮気体(例えば、圧縮空気または圧縮窒素)を噴射する気体噴射機構130を備えている。図21に示す気体噴射機構130は、吸引ノズル53の先端部に取り付けられた気体噴射ブロック131と、該気体噴射ブロック131に圧縮気体を供給する気体供給ライン132と、を備える。
【0109】
本実施形態では、気体供給ライン132は、気体供給源(図示せず)からフランジ24cまで延びる第1供給配管135と、フランジ24cに形成された貫通孔136と、フランジ24cから気体噴射ブロック131まで延びる第2供給配管137と、から構成される。貫通孔136は、第1供給配管135と第2供給配管137とを連通させる流路として機能する。第1供給配管135には、制御装置8(図1参照)に接続された開閉弁139が配置されており、制御装置8は、開閉弁139の動作を制御可能に構成されている。第2供給配管137は、好ましくは、吸引ノズル53の進退移動に伴って変形可能な可撓性チューブから構成される。
【0110】
図21に示す例では、気体噴射ブロック131は、吸引ノズル53の外面に取り付けられた円筒形状を有し、第2供給配管137は、気体噴射ブロック131の上面に設けられた接続口131aに図示しない継手などを介して連結される。気体噴射ブロック131は、その下面に形成された噴射口131bを有しており、さらに、接続口131aと噴射口131bとを連通させる圧縮気体の流路131cをその内部に有している。図示した気体噴射ブロック131は、1つの噴射口131bを有しているが、噴射口131bの数は任意である。例えば、気体噴射ブロック131は、その周方向に沿って等間隔に配置された複数の(例えば、2つの)噴射口131bを有していてもよい。この場合、流路131cは、接続口131aから各噴射口131bまで延びる。一実施形態では、噴射口131bは、気体噴射ブロック131の全周にわたって延びる溝であってもよい。
【0111】
気体供給ライン132から気体噴射ブロック131に供給された圧縮空気は、噴射口131bから容器3内の粉体に向けて噴射される。圧縮気体は、好ましくは、吸引ノズル53の進退方向と平行な方向に噴射される。
【0112】
気体噴射ブロック131の噴射口131bから圧縮気体を噴射させながら、吸引ノズル53を粉体に向けて移動させると、粉体に衝突した圧縮気体が粉体の上面を抉るように変形させることができる。その結果、吸引ノズル53の先端を粉体の中に容易に侵入させることができる。特に、粉体の粘度が高い場合に、吸引ノズル53の粉体への侵入を容易にさせるために、制御装置8は、吸引ノズル53の粉体に向けた移動にあわせて、気体噴射機構130を動作させる。具体的には、制御装置8は、ノズル移動装置47を動作させて吸引ノズル53を下方に移動させつつ、第1供給配管135に配置された開閉弁139を開き、気体噴射ブロック131の噴射口131bから圧縮気体を噴射させる。
【0113】
図22は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。図22に示す吸引装置5は、図16を参照して説明された防塵カバー90、アタッチメント92、およびスクレーパ94と、図21を参照して説明された気体噴射機構130とを備えている。特に説明しない本実施形態の構成は、図16および図21を参照して説明された実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【0114】
図22に示す実施形態では、気体噴射機構130の第2供給配管137がアタッチメント92に接続され、上記少なくとも1つの噴射口はスクレーパ94の下面に形成されている。すなわち、本実施形態では、気体噴射ブロック131は、アタッチメント92とスクレーパ94の組み合わせにより構成される。言い換えれば、アタッチメント92とスクレーパ94の組み合わせが気体噴射ブロック131を兼ねる。
【0115】
図22に示す例では、第2供給配管137は、防塵カバー90によって区画された清浄空間3b内に位置しており、アタッチメント92の上面に連結される。貫通孔136は、フランジ24cとシール台40とを貫通している。第2供給配管137を清浄空間3b内に配置させると、第2供給配管137の外面が粉体で汚染されることが防止される。
【0116】
図22で仮想線(2点鎖線)で示すように、第2供給配管137を撹拌空間3aに配置してもよい。この場合、第2供給配管137は、防塵カバー90を避けるように、アタッチメント92の側面に連結され、貫通孔136は、フランジ24cのみを貫通する。
【0117】
気体噴射ブロック131の接続口と噴射口を連通させる流路は、アタッチメント92とスクレーパ94の内部に形成される。第2供給配管137を撹拌空間3aに配置する場合、第2供給配管137は、スクレーパ94の側面に連結されてもよい。この場合、スクレーパ94のみが気体噴射ブロック131として機能する。気体噴射ブロック131の接続口と噴射口は、スクレーパ94に形成され、接続口と噴射口を連通させる流路は、スクレーパ94の内部にのみ形成される。
【0118】
図示はしないが、上述した気体噴射機構130を、図8図14、および図20に示す吸引装置5に設けてもよい。
【0119】
図23は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。図23に示す吸引装置5の例は、図4に示す吸引装置5の変形例に相当する。
【0120】
図23に示す吸引装置5は、フランジ24cに対する吸引ノズル53の位置(進退量)を測定可能な位置センサ140と、フランジ24cに対する容器3内の粉体の上面の位置を検出可能な測距離センサ145と、を備えている。位置センサ140は、フランジ24cの上面に設けられた支柱141に固定されており、吸引ノズル53の外面に固定されたドグのフランジ24cに対する位置を検出可能な近接センサである。
【0121】
本実施形態では、ドグとして、上記下限ストッパ機構120の支持アーム121を利用している。図示はしないが、位置センサ140用の専用のドグを吸引ノズル53の外面に固定してもよい。位置センサ140として用いられる近接センサの例としては、赤外センサ、磁気センサ、光学センサなどが挙げられる。支柱141に固定された位置センサ140は、制御装置8(図1参照)に接続されており、該位置センサ140が検知したドグの位置を測定して、制御装置8に送信する。制御装置8は、位置センサ140の測定値から、フランジ24cに対する吸引ノズル53の位置を算出する(間接的に測定する)ことができる。
【0122】
測距離センサ145は、フランジ24cの下面に固定されており、容器3内の粉体の上面とフランジ24cの下面との間の距離を計測する。測距離センサ145の例としては、赤外センサ、光学センサなどが挙げられる。測距離センサ145も制御装置8(図1参照)に接続されており、その測定値を制御装置8に送信する。
【0123】
制御装置8は、測距離センサ145の測定値に基づいて、容器3内の、フランジ24cからの粉体の上面までの距離を算出し、算出された距離に基づいて、ノズル移動装置47を操作することが可能に構成されている。この操作により、容器3内の粉体(の上面)に対する吸引ノズル53の位置を制御することができる。位置センサ140は、フランジ24cに対する吸引ノズル53の進退量をリニアに監視する。この場合、制御装置8は、位置センサ140の測定値に基づいて、ノズル移動装置47を操作して(例えば、フィードバック制御して)、粉体に対する吸引ノズル53の位置を正確に調整することができる。本実施形態では、位置センサ140、測距離センサ145、およびノズル移動装置47が、粉体の上面に対する吸引ノズル53の先端の位置を調整するノズル位置調整装置を構成する。
【0124】
このような構成によれば、容器3内の粉体に対する吸引ノズル53の先端の位置を任意に制御することができる。その結果、容器3内の粉体の一部のみを容易に回収することができる。容器3から回収された粉体の一部は、例えば、サンプリング、粉体検査などに利用できる。さらには、容器3に粉体が過剰に投入された場合に、所望量の粉体だけを容器3から回収することもできる。あるいは、容器3内の粉体の一部を他の装置に移動して、さらなる処理を実行することもできる。
【0125】
図24は、さらに他の実施形態に係る吸引装置の吸引ノズルの周辺を模式的に示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図23に示した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。図24に示す吸引装置5の例は、図23に示す吸引装置5の変形例に相当する。
【0126】
図24に示すノズル位置調整機構は、位置センサ140の代わりに、複数の位置センサ140A,140B,140C,140D,140Eを備えている点で、図23に示す実施形態と異なる。図示した例では、吸引装置5は、5つの位置センサ140A,140B,140C,140D,140Eを有しているが、位置センサの数は任意である。
【0127】
制御装置8は、測距離センサ145の測定値に基づいて、容器3内の、フランジ24cからの粉体の上面までの距離を算出し、算出された距離に基づいて、吸引ノズル53の所望の移動量に相当する位置センサを複数の位置センサ140A,140B,140C,140D,140Eから選択する。次いで、制御装置8は、選択された位置センサがドグを検出するまでノズル移動装置47を動作させる。
【0128】
このような構成でも、容器3内の粉体に対する吸引ノズル53の先端の位置を任意に制御することができる。その結果、容器3内の粉体の一部のみを容易に回収することができるし、所望量の粉体だけを容器3から回収することもできる。
【0129】
図示はしないが、上述したノズル位置調整機構を、図8図14図16図20、および図21に示す吸引装置5に設けてもよい。
【0130】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0131】
1 テーブル
2 回転装置
3 容器
5 吸引装置
30 ノズル台
31 第1シール部
40 シール台
41 第2シール部
45 ロードセル
51 真空源
52 粉体吸引検知センサ
53 吸引ノズル
54 ノズルカバー
55 フィルター(捕集器)
56 粉体検出センサ
57 ストッパ
58 吸引ライン
60 逆洗ライン
61 回収ライン
65 回収容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24