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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003396
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】乗用型苗植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102507
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】奥平 雄右
(72)【発明者】
【氏名】名本 学
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064CA02
2B064CA09
2B064CA15
2B064CA22
2B064CA29
2B064CB09
(57)【要約】
【課題】乗用型苗植機に装備した予備苗載部の2つの積載台が機体前後方向に同一平面状に連なる状態と折り畳んだ状態に切り換えるものがある。2つの積載台を設けた予備苗載部を装備した小型の乗用型苗植機であり、安価で小さな圃場での機体の取り回しも良い。然しながら、2つの積載台を機体前後方向に同一平面状に連なる状態にして2つの苗箱を前後に載置して田植作業を行うが、予備苗載部に苗箱が2つしか載置できず、苗供給作業の効率が悪いものであった。そこで、苗供給作業の効率が良い予備苗載部を装備した乗用型苗植機を提供する。
【解決手段】走行車体に苗植付部30と苗箱Nを載置する積載台51を設けた予備苗載部50を装備した乗用型苗植機において、積載台51に、積載台51の下方位置に収納した収納状態(イ)と積載台51から突出し苗箱Nが載置できる載置状態(ロ)に切り換え自在の補助台53を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)に苗植付部(30)と苗箱(N)を載置する積載台(51)を設けた予備苗載部(50)を装備した乗用型苗植機において、積載台(51)に積載台(51)の下方位置に収納した収納状態(イ)と積載台(51)から突出し苗箱(N)が載置できる載置状態(ロ)に切り換え自在の補助台(53)を設けたことを特徴とする乗用型苗植機。
【請求項2】
予備苗載部(50)が複数の積載台(51)を平面視で重複した積層状態と前後方向に連なる展開状態に切り替え自在とし、展開状態で後方に位置する積載台(51)に補助台(53)を後方に向けて突出して載置状態(ロ)に切り換えるように設けたことを特徴とする請求項1に記載の乗用型苗植機。
【請求項3】
載置状態(ロ)にした補助台(53)に載置した苗箱(N)の後部が補助台(53)の後部から後方に突出した状態であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗用型苗植機。
【請求項4】
積載台(51)の下面に設けたスライド支持ステー(54)に補助台(53)が前後方向にスライド自在に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗用型苗植機。
【請求項5】
積載台(51)の下面に設けたスライド支持ステー(54)に補助台(53)が前後方向にスライド自在に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の乗用型苗植機。
【請求項6】
補助台(53)を設けた積載台(51)に苗が入っている苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも下方に位置し、空の苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも上方に位置するローラ(55)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗用型苗植機。
【請求項7】
補助台(53)を設けた積載台(51)に苗が入っている苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも下方に位置し、空の苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも上方に位置するローラ(55)を設けたことを特徴とする請求項3に記載の乗用型苗植機。
【請求項8】
補助台(53)を設けた積載台(51)に苗が入っている苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも下方に位置し、空の苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも上方に位置するローラ(55)を設けたことを特徴とする請求項4に記載の乗用型苗植機。
【請求項9】
補助台(53)を設けた積載台(51)に苗が入っている苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも下方に位置し、空の苗箱(N)を載置している状態では苗箱(N)の載置面よりも上方に位置するローラ(55)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の乗用型苗植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備苗載部を装備した乗用型苗植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場を走行しながら苗を植え付ける乗用型苗植機において、走行車体に2つの積載台を設けた予備苗載部を装備し、該2つの積載台が機体前後方向に同一平面状に連なる状態と折り畳んだ状態に切り換えるものがある(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-057556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの積載台を設けた予備苗載部を装備した小型の乗用型苗植機であり、安価で小さな圃場での機体の取り回しも良い。
【0005】
然しながら、2つの積載台を機体前後方向に同一平面状に連なる状態にして2つの苗箱を前後に載置して田植作業を行うが、予備苗載部に苗箱が2つしか載置できず、苗供給作業の効率が悪いものであった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、苗供給作業の効率が良い予備苗載部を装備した乗用型苗植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、走行車体2に苗植付部30と苗箱Nを載置する積載台51を設けた予備苗載部50を装備した乗用型苗植機において、積載台51に積載台51の下方位置に収納した収納状態(イ)と積載台51から突出し苗箱Nが載置できる載置状態(ロ)に切り換え自在の補助台53を設けた乗用型苗植機である。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、積載台51に積載台51の下方位置に収納した収納状態(イ)と積載台51から突出し苗箱Nが載置できる載置状態(ロ)に切り換え自在の補助台53を設けたので、補助台53を載置状態(ロ)に切り換えることにより更にもう1つの苗箱Nを載置することができて苗供給作業の効率が良い。
【0009】
請求項2記載の発明は、予備苗載部50が複数の積載台51を平面視で重複した積層状態と前後方向に連なる展開状態に切り替え自在とし、展開状態で後方に位置する積載台51に補助台53を後方に向けて突出して載置状態(ロ)に切り換えるように設けた請求項1に記載の乗用型苗植機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、載置状態(ロ)にした補助台53に載置した苗箱Nの後部が補助台53の後部から後方に突出した状態である請求項1または請求項2に記載の乗用型苗植機である。
【0011】
請求項4記載の発明は、積載台51の下面に設けたスライド支持ステー54に補助台53が前後方向にスライド自在に支持されている請求項1または請求項2に記載の乗用型苗植機である。
【0012】
請求項5記載の発明は、積載台51の下面に設けたスライド支持ステー54に補助台53が前後方向にスライド自在に支持されている請求項3に記載の乗用型苗植機である。
【0013】
請求項6記載の発明は、補助台53を設けた積載台51に苗が入っている苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも下方に位置し、空の苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも上方に位置するローラ55を設けた請求項1または請求項2に記載の乗用型苗植機である。
【0014】
請求項7記載の発明は、補助台53を設けた積載台51に苗が入っている苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも下方に位置し、空の苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも上方に位置するローラ55を設けた請求項3に記載の乗用型苗植機である。
【0015】
請求項8記載の発明は、補助台53を設けた積載台51に苗が入っている苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも下方に位置し、空の苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも上方に位置するローラ55を設けた請求項4に記載の乗用型苗植機である。
【0016】
請求項9記載の発明は、補助台53を設けた積載台51に苗が入っている苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも下方に位置し、空の苗箱Nを載置している状態では苗箱Nの載置面よりも上方に位置するローラ55を設けた請求項5に記載の乗用型苗植機である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の側面図である。
図2】同乗用型田植機の予備苗載部の斜視図である。
図3】同乗用型田植機の積載台の側面図である。
図4】同乗用型田植機のローラ部の側面図である。
図5】同乗用型田植機の積載台の側面図である。
図6】同乗用型田植機の第2実施形態を示す積載台の側面図である。
図7】同第2実施形態を示すローラ部の側面図である。
図8】同乗用型田植機の線引きマーカの作用説明用の側面図である。
図9】同乗用型田植機の水車状のマーカの拡大側面図である。
図10】同乗用型田植機の他の実施形態を示す水車状のマーカの拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本願の開示する乗用型苗植機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
図1を参照して実施形態に係る乗用型苗植機としての乗用型田植機1の全体構成について説明する。
【0020】
乗用型田植機1は、圃場を走行可能な走行車体2を備える。走行車体2は、左右一対の前輪3と、左右一対の後輪4とを備える。なお、走行車体2は、たとえば、前輪3および後輪4が駆動する四輪駆動となる。走行車体2の後部には、昇降装置20によって昇降駆動される苗植付部30が設けられる。
【0021】
走行車体2は、機体フレーム5と、機体フレーム5上に設けられたエンジンEと、エンジンEで発生した動力を駆動輪および苗植付部30に伝達する動力伝達装置6とを備える。すなわち、動力源であるエンジンEで発生した動力は、走行車体2を前進または後進させるために使用されるだけでなく、苗植付部30を駆動するためにも使用される。
【0022】
エンジンEは、左右方向における走行車体2の中央部で、走行車体2に搭乗した作業者が足を載せるフロアステップ7よりも上方に突出した位置に配置される。なお、エンジンEとしては、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。フロアステップ7は、前後方向において、走行車体2の前部に設けられる。フロアステップ7は、走行車体2の前部からエンジンEの後部にかけて設けられる。
【0023】
フロアステップ7は、機体フレーム5上に取り付けられる。フロアステップ7のうち、たとえば、後述する操縦席9付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0024】
また、フロアステップ7の前部には、フロントステップ7Fが設けられ、フロアステップ7の左右外側には左右拡張サイドステップ7Sが設けられている。なお、フロアステップ7の後部には、後輪4のフェンダを兼ねるリヤステップ7Rが設けられ、左右拡張サイドステップ7Sの外側部には、作業者が車体に乗降する乗降ステップ7Jが設けられている。
【0025】
エンジンEは、エンジンカバー8に覆われている。エンジンカバー8の上方には操縦席9が設けられる。動力伝達装置6は、エンジンEから動力が伝達されるベルト式動力伝達部6aと、エンジンEからベルト式動力伝達部を介して伝達される動力を変速する変速装置である油圧式無段変速機と、ミッションケース6bとを備える。
【0026】
油圧式無段変速機は、たとえば、HSTといわれる静油圧式無段変速機である。油圧式無段変速機は、主変速レバーが操作されることで、出力(回転速度)と出力方向(回転方向)とを変更可能である。すなわち、油圧式無段変速機は、回転速度や回転方向を変更することで、走行車体2の前後進や走行速度を変更可能である。
【0027】
ミッションケース6bには、油圧式無段変速機によって変速されたエンジンEからの動力を各部に伝達する伝動装置が設けられる。ミッションケース6bは、走行時や作業時における走行速度を切り替える副変速機構を備える。ミッションケース6bは、副変速レバーが操作されると、走行車体2の走行速度を、たとえば、植付作業時の走行速度よりも高速な走行速度、植付作業時における苗植付速度などに切り替え可能である。
【0028】
走行車体2は、フロアステップ7上に操縦席9を備える。操縦席9は、作業者が操縦時に着席する座席である。
【0029】
走行車体2は、操縦席9の前方に、ステアリングハンドル10や植付レバーなどを備える。ステアリングハンドル10は、走行車体2のボンネット11に設けられ、作業者に操作されることで、走行車体2を操舵するものである。なお、植付レバーは、クラッチレバーであり、ボンネット11に設けられ、苗植付部30を昇降させたり、苗植付部30による苗の植え付けを開始および停止させるために操作するレバーである。
【0030】
また、走行車体2は、主変速レバーと、副変速レバーとを備える。主変速レバー(HSTレバーともいう)は、走行車体2の前後進および走行速度を変更する場合に操作されるレバーである。副変速レバーは、走行車体2の走行速度を、走行する場所(圃場や路上)に応じた速度に切り替える場合に操作されるレバーである。
【0031】
また、ボンネット11は、フロアステップ7から上方に突出して設けられ、フロントカバー11aに覆われている。ボンネット11には、たとえば、表示部(メータパネル)が設けられる。表示部は、操縦席9に着席して前方を向いた作業者と対面するように、後下がりに傾斜した表示面を有する。
【0032】
表示部は、たとえば、圃場面に直進の目安となる進行基準線を形成する後述する線引きマーカが走行車体の左右側部に出ていることを検知するマーカセンサ、植付レバーの操作位置を検知する植付レバーポジションセンサ、施肥装置40の貯留ホッパ41に貯留された肥料が所定量を下回ったことを検知する肥料切れセンサ、貯留ホッパ41から送られた肥料が供給経路に詰まったことを検知する肥料詰まりセンサなどの各種センサ類からの情報を表示する。
【0033】
乗用型田植機1は、昇降装置20と、苗植付部30とを備える。昇降装置20は、昇降リンク21を備える。昇降リンク21は、走行車体2の後部と苗植付部30とを連結する平行リンクであり、走行車体2の後部のリンクフレームと苗植付部30とのそれぞれに対して上下方向に回動自在に連結されることで、走行車体2に対して苗植付部30を昇降可能に連結する。
【0034】
また、昇降装置20は、油圧式の昇降シリンダ22を備える。昇降シリンダ22は、植付レバーが操作されて油圧バルブが切り替えられることで、伸縮動作する。昇降シリンダ22は、伸縮動作することで昇降リンク21を駆動して、苗植付部30を昇降させる。すなわち、昇降シリンダ22は、植付レバーが操作されることで、苗植付部30を上昇させた非作業位置、苗植付部30を下降させた対地作業位置(植付位置)に切り替える。
【0035】
苗植付部30は、上記したように、昇降リンク21を介して走行車体2の後部に取り付けられる。苗植付部30は、たとえば、複数の列(条)で苗を植え付けることが可能である。苗植付部30は、苗載置台31と、フロート32と、植付装置33とを備える。
【0036】
苗載置台31は、機体の左右方向において、植付条数分の苗載せ面を有する。各苗載せ面は、上下方向に複数枚のマット苗(土付きマット苗)を載置可能な後下がりの傾斜面である。
【0037】
フロート32は、走行車体2の移動に伴い圃場(水田)の圃場面上を滑走しながら整地する。フロート32は、機体の左右方向において、機体中央部に配置されるセンターフロートと、センターフロートを挟んで左右方向の外側に配置されるサイドフロートとを備える。なお、図示の例では、乗用型田植機1は、整地装置である整地ロータ13をさらに備える。
【0038】
フロート32の各フロート(センターフロートおよびサイドフロート)は、圃場面の凹凸に応じて前部が上下動するように、走行車体2に回動自在に取り付けられる。
【0039】
植付作業時には、センターフロートの前部の上下動が回動センサによって検知され、回動センサの検知結果に応じて制御部によって昇降シリンダ22の伸縮動作を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部30を昇降させ、苗の植え付け深さを調節することができる。
【0040】
植付装置33は、苗載置台31の植付支持フレームによって支持されることで、苗載置台31の下方に配置される。植付装置33は、苗載置台31に載置された苗を圃場に植え付ける。植付装置33は、植込杆331と、ロータリーケース332と、植付ケース333とを備える。植込杆331は、苗載置台31に載置されたマット苗から苗をとって圃場面に植え付ける。
【0041】
ロータリーケース332は、植付ケース333を回転可能に支持する。ロータリーケース332には、植込杆331の回転速度を変化させながら植込杆331を回転させることが可能な不等速伝動機構が設けられる。植込杆331は、ロータリーケース332に対する回転角度によって回転速度を変えながら回転する。
【0042】
乗用型田植機1は、施肥装置40を備える。施肥装置40は、圃場に肥料を散布する装置である。乗用型田植機1においては、苗植付部30によって圃場に苗を植え付けながら、施肥装置40によって圃場に肥料を散布する。施肥装置40は、たとえば、走行車体2の後部上方であり操縦席9の後方に設けられる。施肥装置40は、肥料を貯留する貯留ホッパ41を備える。
【0043】
乗用型田植機1は、走行車体2の前側における左右側部に各々予備苗載部50を備える。予備苗載部50は、2つの積載台51を備える。
【0044】
ここで、図2図5に基づいて、予備苗載部50の詳細構成を説明する。
【0045】
予備苗載部50の積載台51は、パレット状であり、一対の左右側壁51aと底面51bと後部壁51cを備える。
【0046】
予備苗載部50は、下段の積載台51が機体に固定され、上段の積載台51がリンク機構52にて回動自在に設けられている。
【0047】
即ち、2つの積載台51が上下2段となって平面視で重複した積層状態と、リンク機構52にて上段の積載台51が前方向に回動して下降し直線状に展開した展開状態(2つの積載台51が前後方向に連なり同一平面状になっている状態)に切り替え自在である。
【0048】
なお、上段の積載台51の外側方には、把持部が設けられており、作業者は、該把持部を把持して、上段の積載台51を前方下方に移動させて展開状態に切り替える。
【0049】
下段の積載台51には、苗箱Nを載置する収納自在の補助台53が設けられている。
【0050】
補助台53は、主に空の苗箱Nを載置するものであるが、マット状土付き苗の入った苗箱Nを載置しても良い。
【0051】
補助台53は、ステンレス製の杆体よりなる枠体で形成し、即ち、底面を形成する5本の底面杆体53aの後端を左右杆体53bで連結し、後部左右に苗箱の左右側壁を規制する左右側枠53cを設け、後部に後方程高く傾斜した載置枠53dを設けている。
【0052】
補助台53の底面杆体53aは、積載台51の底面51bの裏面に設けたスライド支持ステー54に前後方向にスライド自在に支持されている。
【0053】
即ち、補助台53は、積載台51の底面51bの下方に収納した収納状態(イ)と積載台51の後部から後方に突出した苗箱Nを載置する載置状態(ロ)に変更できる。
【0054】
補助台53を後方にスライドして載置状態(ロ)にすると、苗箱Nは、前部が底面杆体53aに支持され後部が載置枠53dに支持されて、後部が補助台53後方に突出した後方が高く傾斜した状態で載置される。
【0055】
従って、予備苗載部50は、2つの積載台51と補助台53に3つの苗箱Nを載置することができる。
【0056】
また、載置状態(ロ)にした補助台53に載置した苗箱Nは、後部が補助台53から後方に突出しているので、作業者は該後方に突出した部位を持って補助台53が邪魔にならずに容易に苗箱Nを補助台53から取り出すことができる。
【0057】
また、補助台53のスライド支持ステー54は、積載台51の底面51bの裏面に設けているので、積載台51上の苗箱Nを補助台53に移す時に邪魔にならず作業性が良い。
【0058】
また、補助台53の底面杆体53aの苗箱載置面は積載台51の底面51bの苗箱載置面よりも下方に位置するので、積載台51に載置した苗箱Nからマット状土付き苗を苗掬い板(苗取り板)で取り出す作業の邪魔にならず作業性が良い。
【0059】
また、補助台53を積載台51の底面51bの下方に収納した収納状態(イ)にすると、平面視で積載台51の下方に収まるので、積載台51への苗箱Nの載置や移動や取出し作業の邪魔にならず作業性が良い。
【0060】
更に、予備苗載部50の後方位置(機体に固定の下段の積載台51の後方位置)から、機体に搭乗及び機体から降りるので、補助台53を収納状態(イ)にすると機体への乗降が容易で作業性が良い。
【0061】
そして、補助台53の底面杆体53aの先端(前端)は、下方に向けて折り曲げた折り曲げ部53a’としており、補助台53を収納状態(イ)から載置状態(ロ)に後方に引き出した際に、該折り曲げ部53a’がスライド支持ステー54の前方に設けた後記ローラ支持片56前端に接当してストッパーとしての機能を果たす。
【0062】
また、積載台51の底面51bの後部左右中央位置には、自由回転する回転体であるローラ55が設けられている。
【0063】
ローラ55は、積載台51の底面51bの裏面に設けたローラ支持片56に基部が枢支されたローラ支持杆57先端に遊転自在に設けられている。
【0064】
ローラ支持杆57の先端部は、折り曲げて機体左右方向に向いた支持軸57aになっており、該支持軸57aにローラ55が遊転自在に支持されている。
【0065】
また、ローラ支持杆57の基部は折り曲げて機体左右方向に向いた枢軸57bになっており、該枢軸57bにてローラ支持杆57は上下搖動自在である。
【0066】
よって、ローラ支持杆57先端に設けたローラ55は、上下動自在であり、上動した際には積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも上方に位置し(図3参照)、下動した際には積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも下方に位置する。
【0067】
図4に示すように、ローラ支持杆57の枢軸57bには、巻バネ58を外篏して設けている。
【0068】
巻バネ58の一端はローラ支持杆57に係合させ、他端は機体左右方向に折り曲げてローラ支持片56に係止し、巻バネ58にローラ支持杆57を上方に搖動させる矢印(ハ)方向の付勢力を持たせている。
【0069】
なお、巻バネ58がローラ支持杆57を上方に搖動させる矢印(ハ)方向の付勢力は、ローラ55上にマット状土付き苗が入っている苗箱Nが載っている状態ではその重みによりローラ55は積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも下方に位置し、ローラ55上にマット状土付き苗が入っていない空の苗箱Nが載っている状態では苗箱Nを持ち上げてローラ55が積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも上方に突出している位置になる強さである。
【0070】
苗供給作業時には、リンク機構52にて上段の積載台51が前方向に回動して下降し直線状に展開した展開状態(2つの積載台51が前後方向に連なり同一平面状になっている状態)に切り替えて、前後の積載台51にマット状土付き苗が入っている苗箱Nを載置している状態で、補助台53を後方にスライドして載置状態(ロ)にする。
【0071】
その時、ローラ55は、後方の積載台51に載置されているマット状土付き苗が入っている苗箱Nの重みで底面51bの苗箱Nの載置面よりも下方に位置する。
【0072】
そして、作業者が苗植付部30の苗載置台31にマット状土付き苗を供給すべく、後方の積載台51に載置されているマット状土付き苗が入っている苗箱Nからマット状土付き苗を苗掬い板で掬い取って取り出すと、苗箱Nは空になり、巻バネ58の付勢力でローラ55は空になった苗箱Nを押し上げる。
【0073】
すると、図5に示すように、ローラ55で押し上げられた空になった苗箱Nの後端は、積載台51の後部壁51cよりも高くなるので、作業者は空になった苗箱Nの底面を遊転するローラ55上をスライドさせて容易に補助台53に移すことができる。
【0074】
そして、前方の積載台51に載置されているマット状土付き苗が入っている苗箱Nを後方の積載台51までスライドさせて、苗箱Nからマット状土付き苗を苗掬い板で掬い取って取り出して苗植付部30の苗載置台31に供給する。
【0075】
図6及び図7は、ローラ55部の第2実施形態を示す。
【0076】
即ち、巻バネ58の一端はローラ支持杆57に係合させ、他端は機体左右方向に折り曲げてローラ支持片56に設けた円弧状切り欠き56aに挿通している。
【0077】
巻バネ58の円弧状切り欠き56aに挿通した他端は、円弧状切り欠き56aに沿って移動自在である。
【0078】
そして、補助台53を積載台51の底面51bの下方に収納した収納状態(イ)では、図7(B)に示すように、巻バネ58の円弧状切り欠き56aに挿通した他端が、円弧状切り欠き56a内でフリー状態となって巻バネ58に付勢力はなくなり、ローラ支持杆57がローラ55の重みで下向きに搖動し、ローラ55は、積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも下方に位置する。
【0079】
そして、補助台53を後方にスライドして載置状態(ロ)にすると、図7(A)に示すように、補助台53の最も短い底面杆体53aの折り曲げ部53a’が巻バネ58の円弧状切り欠き56aに挿通した他端に係合して、円弧状切り欠き56a内で後方に移動させ、巻バネ58にローラ支持杆57を上方に搖動させる矢印(ハ)方向の付勢力を持たせる。
【0080】
なお、巻バネ58がローラ支持杆57を上方に搖動させる矢印(ハ)方向の付勢力は、ローラ55上にマット状土付き苗が入っている苗箱Nが載っている状態ではその重みによりローラ55は積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも下方に位置し、ローラ55上にマット状土付き苗が入っていない空の苗箱Nが載っている状態では苗箱Nを持ち上げてローラ55が積載台51の底面51bの苗箱Nの載置面よりも上方に突出している位置になる強さである。
【0081】
苗供給作業時には、リンク機構52にて上段の積載台51が前方向に回動して下降し直線状に展開した展開状態(2つの積載台51が前後方向に連なり同一平面状になっている状態)に切り替えて、前後の積載台51にマット状土付き苗が入っている苗箱Nを載置している状態で、補助台53を後方にスライドして載置状態(ロ)にする。
【0082】
その時、ローラ55は、後方の積載台51に載置されているマット状土付き苗が入っている苗箱Nの重みで底面51bの苗箱Nの載置面よりも下方に位置する。
【0083】
そして、図6に示すように、作業者が苗植付部30の苗載置台31にマット状土付き苗を供給すべく、後方の積載台51に載置されているマット状土付き苗が入っている苗箱Nからマット状土付き苗を苗掬い板で掬い取って取り出すと、苗箱Nは空になり、巻バネ58の付勢力でローラ55は空になった苗箱Nを押し上げる。
【0084】
すると、ローラ55で押し上げられた空になった苗箱Nの後端は、積載台51の後部壁51cよりも高くなるので、作業者は空になった苗箱Nの底面を遊転するローラ55上をスライドさせて容易に補助台53に移すことができる。
【0085】
そして、前方の積載台51に載置されているマット状土付き苗が入っている苗箱Nを後方の積載台51までスライドさせて、苗箱Nからマット状土付き苗を苗掬い板で掬い取って取り出して苗植付部30の苗載置台31に供給する。
【0086】
乗用型田植機1は、苗植付部30の左右両側に次工程での機体中心位置を示す線を引く左右線引きマーカ60を装備する。
【0087】
図8及び図9に示すように、左右線引きマーカ60は、各々苗植付部30左右のフレームに基部が枢支された線引きマーカ支持杆61の先端に回転自在に水車状のマーカ62を設けて構成され、機体内方に上昇させた収納状態(ニ)と水車状のマーカ62が圃場面に設置して圃場に線を引く線引き作用状態(ホ)に切り換え自在に設けられている。
【0088】
そして、水車状のマーカ62の外側面側に泥が飛散するのを防止する防泥板63が外側全面を覆うように装着されている。
【0089】
従って、圃場で苗植付部30を下降させて前進して田植作業を行う際に次工程側の左右線引きマーカ60の片方を線引き作用状態(ホ)にして次工程での機体中心位置を示す線を引くが、畦際で旋回する際に苗植付部30の上昇に併せて線引き作用状態(ホ)の線引きマーカ60を機体内方に上昇させた収納状態(ニ)に切り換える。
【0090】
その線引き作用状態(ホ)から機体内方に向けて収納状態(ニ)に切り換える際に、水車状のマーカ62が抱えている泥土や付着している泥土が機体内方に飛散し、操縦席9に着座して運転している作業者にかかるという課題があった。
【0091】
本実施形態では、水車状のマーカ62の外側面側に泥が飛散するのを防止する防泥板63が外側全面を覆うように装着されているので、水車状のマーカ62が抱えている泥土や付着している泥土が防泥板63により機体内方に飛散することを防止して、操縦席9に着座して運転している作業者に泥土かかることを防止でき、作業性が良い。
【0092】
図10は、水車状のマーカ62の外側面側に装着された防泥板63の他の実施形態を示す。
【0093】
即ち、防泥板63は、円錐台状であり、泥土が付着しにくく泥土を持ち上げることも少ない。従って、更に泥土を機体内方に飛散することを防止できる。
【0094】
乗用型田植機1は、走行車体2前端部に前上方に突出するセンタマスコット支持杆70を設け、該センタマスコット支持杆70上端部に機体左右中心位置を示すセンタマスコット71を設け、センタマスコット支持杆70の中途部の上方位置で機体左右中心位置にモニタ72を設けている。
【0095】
センタマスコット71は、操縦席9に着座して運転している作業者が上記左右線引きマーカ60にて前工程で圃場に引いた機体中心を示す線に合わせて機体を直進操作するためのものである。なお、操縦席9は、機体の左右中心位置にあり、従って、操縦席9に着座して運転している作業者も機体の左右中心位置にいる。
【0096】
モニタ72は、苗切れセンサや肥料切れセンサ等の各種センサの検出結果を表示すると共に、走行車体2の左右両側に設けた左右カメラ支柱80上端に設けた左右カメラ81にて撮影した機体側方の既植苗列を映し出す。
【0097】
圃場が軟弱であったり水深が深くて圃場に左右線引きマーカ60にて線が引けない場合は、該左右カメラ81にて撮影した機体側方の既植苗列をモニタ72に映し出すと共に、モニタ72の左右中心位置で画面下半分にセンターラインを表示する。
【0098】
操縦席9に着座して運転している作業者は、機体を運転しながら前方のモニタ72を見て、モニタ72に映し出された既植苗列とモニタ72に表示されたセンターラインが合致するように機体を操向操作して前進すれば機体は既植苗列に沿って直進できて田植作業が適切に行える。
【0099】
また、モニタ72には、左右両側と上部を覆う庇(日除け及び雨除けカバー)75が設けられている。従って、日差しの強い日や雨の日でも、モニタ72が良く見えて作業性が良い。
【0100】
また、左右カメラ81を機体前方を撮影する状態から機体の側方近くを撮影する状態に切り換えれるようにすれば、植付けた苗を大きくモニタ72に映し出すことができ、苗の植付姿勢のチェックにも用いることができる。
【0101】
乗用型田植機1は、走行車体2後部に立設した後部支柱90の上部に後部カメラ91を設け、機体を畦際で旋回操作するとモニタ72に後部カメラ91で撮影した苗載置台31に載置された苗の映像に切り換える。
【0102】
従って、操縦席9に着座して運転している作業者は、畦際での機体旋回時に苗載置台31の苗の残量を視認でき、苗が少なければ畦際に機体を止めて苗補給作業が適切に行える。この場合、苗載置台31の苗残量センサを廃止することも可能である。
【符号の説明】
【0103】
2 走行車体
30 苗植付部
50 予備苗載部
51 積載台
53 補助台
54 スライド支持ステー
55 ローラ
N 苗箱
(イ) 収納状態
(ロ) 載置状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10