(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003398
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】積層コアの製造方法及び積層コア
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102509
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】服部 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】南梨 智宏
(72)【発明者】
【氏名】坂井 秀徳
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP07
5H615SS05
5H615SS17
5H615SS19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】周方向位置による積層コアの軸方向の長さのばらつきが少ない積層コアの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の環状のコア板が積層された積層体を有する積層コアの製造方法は、環状のヨーク部を有するコア板を形成するコア板形成工程と、ヨーク部が軸方向に並んだ状態でコア板を複数積層することにより、ヨーク部によってヨークを構成するとともに、コア板を複数積層した状態で軸方向にかしめることにより、ヨークの径方向外方及びヨークの少なくとも一方に、複数のかしめ部を形成する積層体形成工程と、積層体の外周面のうち、複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を軸方向に沿ってそれぞれ溶接する溶接工程と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の環状のコア板が積層された積層体を有する積層コアの製造方法であって、
環状のヨーク部を有する前記コア板を形成するコア板形成工程と、
前記ヨーク部が軸方向に並んだ状態で前記コア板を複数積層することにより、前記ヨーク部によってヨークを構成するとともに、前記コア板を複数積層した状態で前記軸方向にかしめることにより、前記ヨークの径方向外方及び前記ヨークの少なくとも一方に、複数のかしめ部を形成する積層体形成工程と、
前記積層体の外周面のうち、前記複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿ってそれぞれ溶接する溶接工程と、
を有する、積層コアの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の積層コアの製造方法において、
前記積層体形成工程では、前記複数のかしめ部を前記積層体の周方向に等間隔に形成する、積層コアの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積層コアの製造方法において、
前記溶接工程では、前記かしめ部が前記軸方向に並んだ状態で前記積層体を複数積層し、前記積層体の外周面のうち、前記軸方向に並ぶ前記かしめ部の径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿って溶接する、積層コアの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の積層コアの製造方法において、
前記溶接工程では、積層されている複数の前記積層体を前記軸方向に加圧した状態で、前記複数の積層体の外周面を前記軸方向に沿って溶接する、積層コアの製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の積層コアの製造方法において、
前記コア板形成工程では、前記ヨーク部から径方向外方に突出する複数の突出部を有する前記コア板を形成し、
前記積層体形成工程では、前記突出部がそれぞれ前記軸方向に並んだ状態で前記コア板を複数積層することにより、前記突出部によって複数の耳部を構成するとともに、複数積層された前記コア板に、前記かしめ部として、耳かしめ部及び本体かしめ部の少なくとも一方を形成し、
前記耳かしめ部は、前記ヨークにおける前記耳部の径方向内方又は前記耳部に位置し、
前記本体かしめ部は、前記積層体を前記軸方向から見て、前記積層体において周方向に隣り合う前記耳部の間に位置し、
前記溶接工程では、前記積層体の外周面のうち、前記複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿って溶接する、積層コアの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の積層コアの製造方法において、
前記溶接工程では、前記積層コアの外周面を、前記積層コアの前記軸方向の一端から他端まで、溶接する、積層コアの製造方法。
【請求項7】
複数の環状のコア板が厚み方向に積層された積層体と、前記積層体の外周面上に位置し、前記コア板を前記積層体の軸方向に接続する溶接部とを有する積層コアであって、
前記コア板は、環状のヨーク部を有し、
前記積層体は、軸方向に並ぶ前記ヨーク部によって構成されるヨークと、前記厚み方向に積層された複数の前記コア板を前記軸方向に接続するかしめ部を複数有し、
複数の前記かしめ部は、前記ヨークの径方向外方、又は前記ヨークの少なくとも一方に位置し、
前記溶接部は、前記複数のかしめ部の径方向外方に位置し、前記積層体の外周面上に前記軸方向に延びている、
積層コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コアの製造方法及び積層コアに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコア板が積層された積層体と、溶接部とを有する固定子積層鉄心が知られている。例えば特許文献1には、複数の金属板が積層された積層体であって、環状の本体部と、前記本体部の外周面から前記本体部の径方向外方に向けて突出する耳金部とを有する積層体と、前記耳金部の外周面に形成された少なくとも一つの第1の溶接部と、前記耳金部の外周面に形成された少なくとも一つの第2の溶接部とを備える固定子積層鉄心が開示されている。
【0003】
前記特許文献1では、前記第1の溶接部は、前記複数の金属板の積層方向に沿う第1の仮想直線上に部分的に位置すると共に、前記積層方向において前記複数の金属板のうち少なくとも二つを接合している。また、前記第2の溶接部は、前記積層方向に沿い且つ前記第1の仮想直線とは異なる第2の仮想直線上に部分的に位置すると共に、前記積層方向において前記複数の金属板のうち少なくとも二つを接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
厚み方向に積層されたコア板をかしめることにより、積層体が得られる。ところで、積層されている複数の前記コア板をかしめた場合、前記コア板のかしめられた部分が厚み方向に変形する場合がある。前記コア板が厚み方向に変形すると、前記積層体を用いて形成される積層コアの軸方向の長さが前記積層コアの周方向位置によってばらつく。そのため、前記周方向位置による前記積層コアの前記軸方向の長さのばらつきが少ない前記積層コアの製造方法が求められている。
【0006】
本発明の目的は、周方向位置による積層コアの軸方向の長さのばらつきが少ない積層コアの製造方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な一実施形態に係る積層コアの製造方法は、複数の環状のコア板が積層された積層体を有する積層コアの製造方法であって、環状のヨーク部を有する前記コア板を形成するコア板形成工程と、前記ヨーク部が軸方向に並んだ状態で前記コア板を複数積層することにより、前記ヨーク部によってヨークを構成するとともに、前記コア板を複数積層した状態で前記軸方向にかしめることにより、前記ヨークの径方向外方及び前記ヨークの少なくとも一方に、複数のかしめ部を形成する積層体形成工程と、前記積層体の外周面のうち、前記複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿ってそれぞれ溶接する溶接工程と、を有する。
【0008】
また、本発明の例示的な一実施形態に係る積層コアは、複数の環状のコア板が厚み方向に積層された積層体と、前記積層体の外周面上に位置し、前記コア板を前記積層体の軸方向に接続する溶接部とを有する。前記コア板は、環状のヨーク部を有する。前記積層体は、軸方向に並ぶ前記ヨーク部によって構成されるヨークと、前記厚み方向に積層された複数の前記コア板を前記軸方向に接続するかしめ部を複数有する。複数の前記かしめ部は、前記ヨーク部の径方向外方、又は前記ヨークの少なくとも一方に位置する。前記溶接部は、複数の前記かしめ部の径方向外方に位置し、前記積層体の外周面上に前記軸方向に延びている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的な一実施形態に係る積層コアの製造方法及び積層コアによれば、周方向位置による前記積層コアの軸方向の長さのばらつきが少ない積層コアが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る積層コアの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る積層コアの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコア板の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る接続部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る積層コアを軸方向から見た図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る積層コアの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る加圧溶接装置の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る加圧溶接装置の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る加圧溶接装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表しているわけではない。
【0012】
なお、以下の説明では、積層体5及び積層コア4の中心軸P1と平行な方向を「軸方向」、中心軸P1に直交する方向を「径方向」、中心軸P1を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。また、周方向のうち、構成部材を所定の方向から見て時計回りの方向を「周方向一方側」、反時計周りの方向を「周方向他方側」と称する。ただし、この方向の定義により、本発明に係る積層コア4の使用時の向きを限定する意図はない。
【0013】
また、以下の説明では、コア板6の「径方向」及び「周方向」は、コア板6の中央に位置する中央孔の中心点P2を中心とした径方向及び周方向を意味する。
【0014】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0015】
(モータ1の構成)
図1は、実施形態に係るモータ1の一例を示す図である。
図1に示すように、モータ1は、ハウジング1a、回転子2及び固定子3を備える。回転子2は、固定子3に対して、中心軸P1を中心として回転する。モータ1は、筒状の固定子3内に、回転子2が中心軸P1を中心として回転可能に配置された、いわゆるインナーロータ型のモータである。
【0016】
回転子2は、シャフト21と、回転子コア22及びマグネット23を備える。回転子2は、固定子3の径方向内方に位置し、固定子3に対して回転可能である。回転子コア22は、円筒状であり、中心軸P1に沿って延びている。
【0017】
中心軸P1に沿って延びるシャフト21は、回転子コア22を軸方向に貫通した状態で回転子コア22に固定される。これにより、回転子コア22は、シャフト21とともに回転する。また、回転子コア22の外周面上には、複数のマグネット23が周方向に所定の間隔で位置する。
【0018】
固定子3は、ハウジング1a内に収容されている。固定子3は、筒状であり、回転子2の径方向外方に位置する。固定子3は、積層コア4及び固定子コイル31を備える。積層コア4は、円筒状であり、軸方向に延びている。
【0019】
(積層コア4)
図2から
図4を用いて、実施形態に係る積層コア4の一例を説明する。
図2及び
図3は、実施形態に係る積層コア4の一例を示す。
図4は、実施形態に係るコア板6の一例を示す。
【0020】
図2及び
図3に示すように、積層コア4は、軸方向に積層された複数の積層体5を有する。積層された複数の積層体5の外周面を軸方向に溶接することによって、積層コア4が形成される。積層コア4を構成する積層体5は、所定の形状に形成されたコア板6を厚み方向に複数積層することによって構成されている。
【0021】
図2に示すように、積層体5は、ヨーク51、複数のティース52及び複数の耳部53を有する。本実施形態の積層体5は4つの耳部53を有する。なお、積層体5が有する耳部53の数は、4つに限られず、1つ以上3つ以下でもよいし、4つより多くてもよい。
【0022】
ヨーク51は、環状である。積層体5を軸方向から見て、ティース52は、ヨーク51から径方向内方に延びている。ティース52は周方向に並んでいる。また、積層体5は、周方向に隣り合うティース52の間に固定子コイル31の一部が収容されるスロット孔54を有する。
【0023】
耳部53は、ヨーク51から径方向外方に延びている。積層体5を軸方向から見て、耳部53は、周方向に等間隔に位置する。それぞれの耳部53は、軸方向に貫通しているボルト挿入孔55を有する。
図3に示すように、複数の積層体5は、耳部53が軸方向に並んだ状態で、積層されている。このように、積層コア4を軸方向から見て、それぞれの積層体5の耳部53の位置は、一致している。なお、積層コア4を軸方向から見て、積層体5の耳部53は、積層体5に対して軸方向一方側に位置する積層体5の耳部53と少なくとも一部は重なるが、完全に一致していなくてもよい。
【0024】
コア板6は、電磁鋼板を打ち抜くことによって形成される。
図4に示すように、コア板6は、ヨーク部61、複数のティース部62及び複数の突出部63を有する。
【0025】
ヨーク部61は環状である。ヨーク部61が軸方向に並んだ状態でコア板6が複数積層されることによって、積層体5のヨーク51が構成される。
【0026】
ティース部62は、ヨーク部61から径方向内方に延びている。コア板6は複数のティース部62を有する。ティース部62が軸方向に並んだ状態でコア板6が複数積層されることによって、積層体5のティース52が構成される。
【0027】
また、コア板6は、周方向に隣り合うティース部62の間に固定子コイル31の一部が収容されるスロット部64を有する。コア板6が複数積層されることによって、スロット部64は、積層体5のスロット孔54を構成する。
【0028】
突出部63は、ヨーク部61から径方向外方に突出している。
図4に示すように、コア板6は複数の突出部63を有する。突出部63は、コア板6において周方向に等間隔に位置する。複数の突出部63がそれぞれ軸方向に並んだ状態でコア板6が複数積層されることによって、積層体5の耳部53が構成される。
【0029】
なお、突出部63は、軸方向に貫通する貫通孔65を有する。貫通孔65が軸方向に並んだ状態でコア板6が複数積層されることにより、貫通孔65は、ボルト挿入孔55を構成する。積層コア4をハウジング1aに固定するためのボルトが、ボルト挿入孔55に挿入される。
【0030】
(かしめ部)
図4及び
図5を用いて、実施形態に係るかしめ部の一例を説明する。
図5は、コア板6に形成される接続部の一例を示す図である。
【0031】
図4に示すように、それぞれのコア板6は、耳接続部66及び本体接続部67を含む。耳接続部66は、ヨーク部61において突出部63の径方向内方に位置する。本体接続部67は、ヨーク部61において周方向に隣り合う突出部63の間に位置する。
【0032】
図5に示すように、耳接続部66及び本体接続部67は、それぞれ、かしめ用凸部68及びかしめ用凹部69を有する。かしめ用凸部68は、コア板6を軸方向他方側から一方側に向かって押し出すことによって形成される。また、コア板6において、かしめ用凸部68に対して軸方向他方側には、かしめ用凹部69が形成される。
【0033】
複数のコア板6を厚み方向に積層する場合、コア板6の耳接続部66のかしめ用凸部68は、コア板6に対して軸方向一方側に位置するコア板6の耳接続部66のかしめ用凹部69に嵌められる。複数積層されたコア板6の耳接続部66を軸方向にかしめた部分が、耳かしめ部71である。耳かしめ部71は、ヨーク51においてそれぞれの耳部53に対して径方向内方に位置する。
【0034】
また、複数のコア板6を厚み方向に積層する場合、コア板6の本体接続部67のかしめ用凸部68は、コア板6に対して軸方向一方側に位置するコア板6の本体接続部67のかしめ用凹部69に嵌められる。複数積層されたコア板6の本体接続部67を軸方向にかしめた部分が、本体接続部67である。本体かしめ部72は積層体5のヨーク51に位置する。なお、本体かしめ部72は、ヨーク51の径方向の中央よりも径方向外方に位置する。
【0035】
このように、積層体5は、かしめ部として、耳かしめ部71及び本体かしめ部72を含む。
図3に示すように、耳かしめ部71及び本体かしめ部72を含む複数のかしめ部が積層体5の周方向に等間隔に形成されている。また、積層体5を軸方向から見て、耳かしめ部71及び本体かしめ部72は、周方向において、交互に位置する。
【0036】
(溶接部8)
次に、
図3及び
図6を用いて、実施形態に係る積層コア4の溶接部8の一例を説明する。
図6は、積層コア4を軸方向から見た図である。
【0037】
積層コア4は、複数の溶接部8を有する。溶接部8は、軸方向に積層された積層体5の外周面上に位置し、コア板6を軸方向に接続している。すなわち、溶接部8は、積層体5の外周面のうち軸方向に沿って溶接された部分である。
図3に示すように、それぞれの溶接部8は、積層コア4の軸方向の一端から他端まで延びている。
【0038】
具体的に、溶接部8は、積層コア4の外周面のうち耳部53の外周面に位置する。
図6の白抜矢印は、溶接部8の位置を示している。
図6に示すように、積層コア4を軸方向から見て、積層コア4は、全ての耳部53において、耳部53の外周面のうち最も径方向外方に位置する突出端部53aに対して周方向の一方側の外周面に位置する溶接部8を有する。
【0039】
また、
図3及び
図6に示すように、積層コア4は、外周面のうち、複数の本体かしめ部72の径方向外方に位置する部分にも溶接部8を有する。つまり、積層コア4は、ヨーク51の外周面にも溶接部8を有する。
【0040】
(積層コア4の製造方法)
次に、実施形態に係る積層コア4の製造方法を、
図7から
図10を用いて詳細に説明する。
図7は、実施形態に係る積層コア4の製造方法の一例を示す図である。
図8から
図10は、実施形態に係る加圧溶接装置9の一例を示す図である。
【0041】
まず、コア板6が電磁鋼板から切り出される。このように、電磁鋼板から切り出してコア板6を形成する工程が
図7に示すステップS1のコア板形成工程である。
【0042】
例えば、図示しないプレス加工装置は、コア板6用の金型を用いて、耳接続部66及び本体接続部67を形成し、環状のヨーク部61、ヨーク部61から径方向外方に突出する突出部63及びティース部62を有するコア板6を形成する。
【0043】
次に、所定枚数のコア板6を厚み方向に積層することにより、積層体5が形成される。このようにコア板形成工程で形成された複数のコア板6を積層して積層体5を形成する工程が
図7に示すステップS2の積層体形成工程である。
【0044】
積層体形成工程では、突出部63が軸方向に並んだ状態でコア板6を複数積層することにより、突出部63による耳部53が構成される。具体的に、複数の突出部63がそれぞれ軸方向に並んだ状態でコア板6を複数積層することにより、周方向に等間隔に並ぶ複数の耳部53が構成される。
【0045】
また、積層体形成工程では、ヨーク部61が軸方向に並んだ状態でコア板6を複数積層することにより、ヨーク51が構成される。さらに、積層体形成工程では、コア板6のかしめ用凸部68が、コア板6に対して軸方向一方側に位置するコア板6のかしめ用凹部69に嵌められる。
【0046】
所定枚数のコア板6の積層が完了すると、複数積層されたコア板6がかしめられる。例えば、複数積層されたコア板6を軸方向に加圧することにより、複数のコア板6がかしめられる。その結果、複数のコア板6が厚み方向に接続された積層体5が形成される。
【0047】
コア板6を複数積層した状態で軸方向にかしめた結果、耳かしめ部71が、ヨーク51においてそれぞれの耳部53に対して径方向内方に形成される。このように、耳かしめ部71は、耳接続部66がかしめられた部分であり、耳部53に対して径方向内方に位置する。なお、耳接続部66を突出部63に形成することにより、耳かしめ部71は、耳部53に形成されてもよい。
【0048】
また、それぞれのコア板6の本体接続部67が軸方向にかしめられることにより、本体かしめ部72がヨーク51に形成される。このように、本体かしめ部72は、本体接続部67がかしめられた部分であり、周方向に隣り合う耳かしめ部71の間に位置する。
【0049】
このように、積層体形成工程では、コア板6を複数積層した状態で軸方向にかしめることにより、ヨーク51の径方向外方に位置する耳部53及びヨーク51の少なくとも一方に、複数のかしめ部が形成される。前記複数のかしめ部は、耳かしめ部71及び本体かしめ部72を含む。
【0050】
前記複数のかしめ部は、積層体5の周方向に等間隔に形成される。具体的に、耳かしめ部71及び本体かしめ部72は、積層体5の周方向において、交互に形成される。積層体5に形成される耳かしめ部71の数は、本体かしめ部72の数と同じである。
【0051】
なお、耳かしめ部71及び本体かしめ部72の両方ではなく、一方のみが積層体5に形成されてもよい。つまり、積層体形成工程では、複数積層されたコア板6に、かしめ部として、耳かしめ部71及び本体かしめ部72の少なくとも一方のみが形成されてもよい。
【0052】
続いて、耳部53が軸方向に並んだ状態で積層体5を複数積層する。そして、積層された複数の積層体5を軸方向に加圧した状態で、複数の積層体5の外周面のうち、耳部53の外周面と本体かしめ部72の径方向外方に位置する部分とが軸方向に沿って溶接される。このように、積層体5の外周面のうち、耳かしめ部71及び本体かしめ部72を含む複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を軸方向に沿ってそれぞれ溶接する工程が
図7に示すステップS3の溶接工程である。
【0053】
例えば、図示しないロボットアームを用いて、複数の積層体5が軸方向に積層される。なお、積層体5は、ロボットアーム以外の機構を用いて、複数積層されてもよい。積層体5は、隣接する積層体5に対して、積層体5を軸方向から見て時計方向又は反時計方向に90度回転させた状態で、積層される。
【0054】
具体的に、積層体5は、複数の耳部53がそれぞれ軸方向に並んだ状態で複数積層される。また、積層体5は、ヨーク51が軸方向に並んだ状態で複数積層される。また、積層体5は、耳かしめ部71がそれぞれ軸方向に並んだ状態で複数積層される。さらに、積層体5は、本体かしめ部72がそれぞれ軸方向に並んだ状態で複数積層される。
【0055】
所定個数の積層体5の積層が完了すると、複数積層された積層体5の外周面が軸方向に沿って溶接される。本実施形態の積層コア4の製造方法では、複数積層された積層体5の外周面のうち、それぞれの耳部53の外周面が軸方向に沿って溶接される。溶接工程では、積層された複数の積層体5を軸方向から見て、複数の耳部53の外周面のうち耳部53の最も径方向外方に位置する突出端部53aに対して周方向の一方側又は他方側の部分が溶接される。
【0056】
図6は、積層体5を軸方向から見て、全ての耳部53において、耳部53の外周面のうち最も径方向外方に位置する突出端部53aに対して周方向の一方側の部分が溶接される例を示す。
【0057】
また、積層体5の外周面のうち、軸方向に並んでいる本体かしめ部72の径方向外方に位置する部分が軸方向に沿って溶接される。
【0058】
図8及び
図9は、積層体5を溶接する加圧溶接装置9の一例を示す図である。加圧溶接装置9は、テーブル91、加圧部92及び複数の照射ユニット93を有する。なお、
図8及び
図9では、照射ユニット93の図示を省略している。
【0059】
複数の積層体5は、前記ロボットアームによって、加圧溶接装置9のテーブル91の平面上で積層される。
【0060】
テーブル91は、複数の位置ずれ抑制ピン94を有する。複数の位置ずれ抑制ピン94は、軸方向に延びている。
図8において破線で示すように、位置ずれ抑制ピン94は、それぞれ、積層体5の耳部53のボルト挿入孔55に挿入される。これにより、テーブル91に載置された複数の積層体5の径方向への位置ずれが抑制される。
【0061】
加圧部92は、テーブル91の載置台上で複数積層された積層体5を、軸方向に加圧する。
図8及び
図9の例では、加圧部92は、複数積層された積層体5を上方から下方に加圧する。加圧部92は、不図示の加圧用モータ、移動部95、スライド部96、接触押圧部97及び位置決め部98を有する。
【0062】
次に、加圧溶接装置9の動作を説明する。加圧を行う際に、前記加圧用モータが回転し、移動部95が下方に移動する。
図9は、移動部95が下方に移動した状態の一例を示す。スライド部96は、移動部95による荷重が作用することで下方にスライドする。接触押圧部97は、板状であり、スライド部96の下面側に位置する。接触押圧部97は、複数積層された積層体5と対向する。
【0063】
位置決め部98は、移動部95の移動に伴って軸方向に移動する。具体的に、スライド部96及び接触押圧部97は、軸方向に貫通し、位置決め部98が通る位置決め部用貫通孔98aを有する。加圧のために移動部95が移動すると、位置決め部98は、複数積層された積層体5の内側に挿入される。これによって、加圧溶接前の複数積層された積層体5の径方向への位置ずれが抑制される。
【0064】
移動部95が積層体5に向けて移動することにより、接触押圧部97は、複数積層された積層体5のうち最も上方に位置する積層体5の軸方向の端面と接触する。これにより、複数積層された積層体5が加圧される。複数積層された積層体5への荷重が所定値に到達すると、移動部95が停止する。このように、複数積層された積層体5は、軸方向に加圧される。
【0065】
図10に示すように、加圧溶接装置9は、複数の照射ユニット93、軸方向移動部99及び周方向移動部910を有する。
図10に示すように、それぞれの照射ユニット93は、積層体5を軸方向から見て、軸方向に垂直な方向から積層体5を挟んで対向している。本実施形態の加圧溶接装置9は、2つの照射ユニット93を有する。なお、加圧溶接装置9が有する照射ユニット93は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0066】
また、
図10に示すように、それぞれの照射ユニット93は、複数のレーザ照射部93aを有する。本実施形態の照射ユニット93は、2つのレーザ照射部93aを有する。なお、照射ユニット93が有するレーザ照射部93aは、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0067】
レーザ照射部93aは、それぞれレーザ光を照射する。レーザ光の照射によって、積層体5の外周面の溶接が可能である。1つの照射ユニット93が含む複数のレーザ照射部93aの光軸は、積層体5を軸方向から見て、平行である。
【0068】
1つの照射ユニット93は、複数のレーザ照射部93aを含むので、積層体5の外周面に対して複数箇所を同時に溶接可能である。
図10に示すように、照射ユニット93は、耳部53の外周面と、ヨーク51の外周面を同時に溶接できる。
【0069】
さらに、複数の照射ユニット93は、それぞれレーザ光を同時に照射可能である。これにより、複数の照射ユニット93は、積層されている複数の積層体5を軸方向から見て、複数の耳部53のうち少なくとも一部の耳部53の外周面を同時に溶接できる。
図10は、積層体5を軸方向から見て、複数の照射ユニット93が中心軸P1を挟んで対向する耳部53を同時に溶接する例を示す。
【0070】
また、複数の照射ユニット93は、何れかの耳部53を溶接しつつ、ヨーク51の複数箇所を同時に溶接可能である。
【0071】
また、
図6、
図10に示すように、それぞれのレーザ照射部93aは、積層体5を軸方向から見て、積層体5の外周面に対して外周面の法線方向からレーザ光を照射する。これにより、焦点が溶接箇所に合いやすい及び照射面積を確保しやすいというメリットが得られる。よって、積層体5の外周面を効率よく溶接することができる。
【0072】
軸方向移動部99は、それぞれの照射ユニット93を軸方向に移動させる。照射ユニット93を軸方向に移動させることによって、複数積層されている積層体5を軸方向に加圧した状態で、積層体5の外周面を軸方向に沿って溶接することができる。これにより、コア板6を積層体5の軸方向に接続する溶接部8が形成される。
【0073】
具体的に、溶接工程では、外周面は、複数積層された積層体5の軸方向の一端から他端まで、軸方向に溶接される。これにより、軸方向に複数の積層体5が接続された積層コア4が形成される。
【0074】
周方向移動部910は、それぞれの照射ユニット93を周方向に移動させる。複数積層された積層体5の軸方向の一端から他端までの溶接が完了すると、周方向移動部910は、積層体5の外周面に沿って、照射ユニット93を移動可能させ、次の溶接位置に照射ユニット93を移動させる。例えば、
図10に実線と破線で示すように、周方向移動部910は、積層体5を軸方向から見て、中心軸P1を中心として、90度単位で複数の照射ユニット93を周方向に移動させることができる。このように、加圧溶接装置9は、複数の照射ユニット93を周方向に移動させることにより、周方向でレーザ光の照射位置を移動可能である。
【0075】
なお、全ての溶接部8の形成が完了すると、移動部95が上方に移動し、積層コア4に対する加圧が解除される。
【0076】
上述のように、実施形態に係る積層コア4の製造方法は、以下のような特徴を有することが可能である。
【0077】
(1)複数の環状のコア板6が積層された積層体5を有する積層コア4の製造方法であって、この製造方法は、環状のヨーク部61を有する前記コア板6を形成するコア板形成工程と、前記ヨーク部61が軸方向に並んだ状態で前記コア板6を複数積層することにより、前記ヨーク部61によってヨーク51を構成するとともに、前記コア板6を複数積層した状態で前記軸方向にかしめることにより、前記ヨーク51の径方向外方及び前記ヨーク51の少なくとも一方に、複数のかしめ部を形成する積層体形成工程と、前記積層体の外周面のうち、前記複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿ってそれぞれ溶接する溶接工程と、を有する。
【0078】
前記複数のかしめ部は、耳かしめ部71及び本体かしめ部72の少なくとも一方である。この構成によれば、積層体5の外周面に近い位置に形成された前記複数のかしめ部に対して径方向外方を溶接することにより、かしめ部を形成する際にコア板6が変形した場合でも、積層コア4の軸方向の長さが積層コア4の周方向位置によってばらつくのを抑制できる。よって、寸法精度の高い積層コア4を製造することができる。
【0079】
(2)(1)に記載の積層コア4の製造方法において、前記積層体形成工程では、前記複数のかしめ部を前記積層体5の周方向に等間隔に形成する。
【0080】
この構成によれば、周方向に並ぶ前記複数のかしめ部の径方向外方の部分が軸方向に沿って溶接される。これにより、積層コア4の軸方向の長さが積層コア4の周方向位置によってばらつくのを抑制できる。また、前記かしめ部が周方向に等間隔に位置する。これにより、積層コア4は、周方向において溶接される部分の位置のバランスがよい。よって、周方向における形状、重量のバランスがよく、振動が少ない積層コア4を製造することができる。
【0081】
(3)(1)又は(2)に記載の積層コア4の製造方法において、前記溶接工程では、前記かしめ部が前記軸方向に並んだ状態で前記積層体5を複数積層し、前記積層体5の外周面のうち、前記軸方向に並ぶ前記かしめ部の径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿って溶接する。
【0082】
この構成によれば、積層コア4を軸方向に加圧した状態で、積層体5の外周面が溶接される。これにより、積層されている複数のコア板6を軸方向に加圧しつつ、積層体5を溶接することができる。よって、かしめられた部分の軸方向への変形量を減少させた状態で溶接することができ、積層コア4の軸方向の長さが周方向位置によってばらつくのを抑制できる。従って、寸法精度の高い積層コア4を製造することができる。
【0083】
(4)(3)に記載の積層コア4の製造方法において、前記溶接工程では、積層されている複数の前記積層体5を前記軸方向に加圧した状態で、前記複数の積層体5の外周面を前記軸方向に沿って溶接する。
【0084】
この構成によれば、複数の積層体5を軸方向に加圧した状態で、積層体5の外周面が溶接される。これにより、積層されている複数のコア板6を軸方向に加圧しつつ、積層体5を溶接することができる。よって、かしめられた部分の軸方向への変形量を減少させた状態で溶接することができ、積層コア4の軸方向の長さが周方向位置によってばらつくのを抑制できる。従って、寸法精度の高い積層コア4を製造することができる。
【0085】
(5)(1)から(4)に記載の積層コア4の製造方法において、前記コア板形成工程では、前記ヨーク部61から径方向外方に突出する複数の突出部63を有する前記コア板6を形成し、前記積層体形成工程では、前記突出部63がそれぞれ前記軸方向に並んだ状態で前記コア板6を複数積層することにより、前記突出部63によって複数の耳部53を構成するとともに、複数積層された前記コア板6に、前記かしめ部として、耳かしめ部71及び本体かしめ部72の少なくとも一方を形成し、前記耳かしめ部71は、前記ヨーク51における前記耳部53の径方向内方又は前記耳部53に位置し、前記本体かしめ部72は、前記積層体5を前記軸方向から見て、前記積層体5において周方向に隣り合う前記耳部53の間に位置し、前記溶接工程では、前記積層体の外周面のうち、前記複数のかしめ部に対して径方向外方に位置する部分を前記軸方向に沿って溶接する。
【0086】
この構成によれば、積層体5の外周面のうち耳かしめ部71の径方向外方に位置する部分が、軸方向に沿って溶接される。これにより、積層コア4の軸方向の長さが積層コア4の周方向位置によってばらつくのを抑制できる。よって、寸法精度の高い積層コア4を製造することができる。
【0087】
また、積層体の外周面のうち本体かしめ部72の径方向外方に位置する部分が軸方向に沿って溶接される。これにより、積層コアの軸方向の長さが周方向位置によってばらつくのを抑制できる。よって、寸法精度の高い積層コア4を製造することができる。
【0088】
(6)(1)から(5)の何れか1つに記載の積層コア4の製造方法において、前記溶接工程では、複数積層された前記積層体5の前記軸方向の一端から他端まで、前記耳部53の外周面を溶接する。
【0089】
この構成によれば、積層コア4の軸方向の一端から他端までが溶接される。これにより、積層コア4の前記軸方向の一端から他端にわたって、かしめられた部分の変形が抑制される。
【0090】
また、実施形態に係る積層コア4は、以下のような特徴を有することが可能である。
(7)複数の環状のコア板6が厚み方向に積層された積層体5と、前記積層体5の外周面上に位置し、前記コア板6を前記積層体5の軸方向に接続する溶接部8とを有する積層コア4であって、前記コア板6は、環状のヨーク部61を有し、前記積層体5は、軸方向に並ぶ前記ヨーク部61によって構成されるヨーク51と、前記厚み方向に積層された複数の前記コア板6を前記軸方向に接続するかしめ部を複数有し、複数の前記かしめ部は、前記ヨーク51の径方向外方、又は前記ヨーク51の少なくとも一方に位置し、前記溶接部8は、前記複数のかしめ部の径方向外方に位置し、前記積層体5の外周面上に前記軸方向に延びている。
【0091】
なお、前記複数のかしめ部は、耳かしめ部71及び本体かしめ部72の少なくとも一方である。この構成によれば、積層体5の外周面のうち、それぞれのかしめ部の径方向外方に位置する部分を軸方向に沿って溶接することにより、積層コア4の周方向位置による積層コア4の軸方向の長さのばらつきが抑制される。したがって、高い寸法精度を有する積層コア4が得られる。
【0092】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0093】
前記実施形態では、コア板6を複数積層した状態で軸方向にかしめることにより、積層体5は、ヨーク51の径方向外方及びヨーク51の少なくとも一方に形成された複数のかしめ部を有する。前記複数のかしめ部は、ヨーク51において耳部53の径方向内方又は耳部53に位置する耳かしめ部71を含む。積層体5の外周面のうち、耳かしめ部71に対して径方向外方に位置する耳部53が軸方向に沿って溶接される。しかし、積層体の外周面のうち、溶接する部分は、耳部に限られない。例えば、積層体の外周面のうち、耳部以外のかしめ部の径方向外方の部分が溶接されてもよい。また、積層体の外周面のうち、耳部でもなく、かしめ部の径方向外方でもない部分が溶接されてもよい。
【0094】
前記実施形態では、前記複数のかしめ部は、ヨーク51に位置する本体かしめ部72を含んでいる。積層体5のヨーク51の外周面のうち、本体かしめ部72の径方向外方に位置する部分が軸方向に沿って溶接される。しかし、積層体の外周面のうち、本体かしめ部の径方向外方以外の部分が溶接されてもよい。
【0095】
前記実施形態では、積層体5は、耳かしめ部71及び本体かしめ部72の両方を有する。しかし、耳かしめ部及び本体かしめ部のうち一方のみが積層体に複数形成されてもよい。つまり、積層体形成工程では、複数積層されたコア板に、かしめ部として、耳かしめ部及び本体かしめ部の一方のみが複数形成されてもよい。
【0096】
前記実施形態では、積層体5の外周面のうち、耳かしめ部71に対して耳部53及び本体かしめ部72の径方向外方のヨーク51の外周面が溶接される。しかし、積層体の外周面のうち、耳かしめ部の径方向外方に位置する耳部を溶接し、本体かしめ部の径方向外方を溶接しないようにしてもよい。また、積層体の外周面のうち、本体かしめ部の径方向外方の部分を溶接し、耳部を溶接しないようにしてもよい。
【0097】
前記実施形態では、積層体5は、耳かしめ部71及び本体かしめ部72を有する。しかし、積層体は、耳かしめ部及び本体かしめ部以外のかしめ部を有してもよい。
【0098】
前記実施形態では、前記複数のかしめ部は、積層体5の周方向に等間隔に形成される。具体的に、前記実施形態では、耳かしめ部71及び本体かしめ部72を含む複数のかしめ部が積層体5の周方向に等間隔に位置する。しかし、隣り合うかしめ部の周方向の間隔は、異なっていてもよい。
【0099】
前記実施形態では、耳かしめ部71及び本体かしめ部72は、積層体5の周方向において、交互に形成される。しかし、耳かしめ部及び本体かしめ部は、周方向に交互に位置していなくてもよい。耳かしめ部と耳かしめ部とが周方向に隣り合っていてもよいし、本体かしめ部と本体かしめ部とが周方向に隣り合っていてもよい。
【0100】
前記実施形態では、積層体5に形成される耳かしめ部71の数は、本体かしめ部72の数と同じである。しかし、積層体に形成される耳かしめ部の数と本体かしめ部の数は異なっていてもよい。
【0101】
前記実施形態では、積層コア4は、耳部53が軸方向に並んだ状態で積層された複数の積層体5によって構成される。しかし、積層コアが含む積層体は、1つでもよい。
【0102】
前記実施形態では、コア板6は、コア板6において周方向に等間隔に位置する複数の突出部63を有する。突出部63が軸方向に並んだ状態でコア板6が複数積層されることにより、周方向に等間隔に位置する耳部53が積層体5に形成される。しかし、コア板において周方向に隣り合う突出部の間隔は、等間隔でなくてもよい。そして、周方向に隣り合う耳部の間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0103】
前記実施形態では、コア板6を軸方向から見て、1つの本体接続部67が周方向に隣り合う突出部63の間に位置する。また、積層体5を軸方向から見て、1つの本体かしめ部72が、積層体5の周方向に隣り合う耳部53の間に位置する。しかし、本体接続部は、周方向に隣り合う突出部の間に複数位置していてもよい。また、積層体を軸方向から見て、複数の本体かしめ部が、周方向に隣り合う耳部の間に形成されてもよい。
【0104】
前記実施形態では、耳かしめ部71は、全ての耳部53又はヨーク51における全ての耳部53の径方向内方に位置する。しかし、耳かしめ部は、複数の耳部のうち、一部の耳部又はヨークにおける一部の耳部の径方向内方に位置していてもよい。
【0105】
前記実施形態では、前記耳部53の外周面は、複数積層された積層体5の軸方向の一端から他端まで、溶接される。しかし、複数積層された積層体の軸方向の一端から他端までのうち、一部のみが溶接されてもよい。
【0106】
前記実施形態では、
図8及び
図9に示す加圧溶接装置9を用いて、積層体5を加圧する。しかし、
図8及び
図9に示す構成以外の構成によって、積層体が加圧されてもよい。
【0107】
前記実施形態では、複数の照射ユニット93は、積層体5を軸方向から見て、軸方向に垂直な方向から積層体5を挟んで対向している。しかし、複数の照射ユニット93の位置は、
図10に示す例に限られない。例えば、複数の照射ユニット93は、積層体5を軸方向から見て、積層体5を挟んで対向していなくてもよい。
【0108】
前記実施形態では、加圧溶接装置9は、積層されている複数の積層体5の外周面の複数箇所を同時に溶接する。しかし、加圧溶接装置は、複数の積層体の外周面を1箇所ずつ溶接してもよい。
【0109】
前記実施形態では、積層されている複数の積層体5を軸方向から見て、複数の照射ユニット93は、中心軸P1を挟んで対向する耳部53を同時に溶接する例を示す。しかし、照射ユニットは、周方向に隣り合う耳部を溶接してもよい。
【0110】
前記実施形態では、積層体5の外周面のうち、2つの耳部53と、2つの本体かしめ部72の径方向外方が同時に溶接される。しかし、積層体の外周面のうち、3つ以上の耳部が同時に溶接されてもよい。また、積層体の外周面のうち、3つ以上の本体かしめ部72の径方向外方が同時に溶接されてもよい。
【0111】
前記実施形態では、積層体5を軸方向から見て、周方向に並ぶ全ての耳部53が溶接される。しかし、積層体を軸方向から見て、周方向に並ぶ耳部のうち、一部の耳部のみが溶接されてもよい。
【0112】
前記実施形態では、レーザ照射部93aは、積層体5を軸方向から見て、積層体5の外周面に対して外周面の法線方向からレーザ光を照射する。しかし、レーザ照射部は、積層体の外周面に対して外周面の法線方向以外の方向からレーザ光を照射してもよい。
【0113】
前記実施形態では、レーザ光を照射することによって、積層体5の外周面が溶接される。しかし、レーザ溶接以外の溶接方法を用いて、積層体の外周面が溶接されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、積層コアの製造方法、及び、積層コアに利用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 モータ
1a ハウジング
2 回転子
21 シャフト
22 回転子コア
23 マグネット
3 固定子
31 固定子コイル
4 積層コア
5 積層体
51 ヨーク
52 ティース
53 耳部
53a 突出端部
54 スロット孔
55 ボルト挿入孔
6 コア板
61 ヨーク部
62 ティース部
63 突出部
64 スロット部
65 貫通孔
66 耳接続部
67 本体接続部
68 かしめ用凸部
69 かしめ用凹部
71 耳かしめ部(かしめ部)
72 本体かしめ部(かしめ部)
8 溶接部
9 加圧溶接装置
91 テーブル
92 加圧部
93 照射ユニット
93a レーザ照射部
94 位置ずれ抑制ピン
95 移動部
96 スライド部
97 接触押圧部
98 位置決め部
98a 位置決め部用貫通孔
99 軸方向移動部
910 周方向移動部
P1 中心軸
P2 中心点