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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033999
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】歯車装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20240306BHJP
   F16H 1/46 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137968
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】宮地 駿
(72)【発明者】
【氏名】音在 啓太郎
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA36
3J027FB32
3J027GA01
3J027GC03
3J027GC24
3J027GC26
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE01
3J027GE07
3J027GE12
3J027GE23
3J027GE29
(57)【要約】
【課題】軸方向における軸部材の長さ、および、軸方向におけるキャリアの厚みが大きくなることに起因して、軸方向において装置が大型化することを抑制することが可能な歯車装置を提供する。
【解決手段】この歯車装置100は、中心軸線60回りに回転する伝達歯車1と、伝達歯車1に噛み合いながら軸線61回りに回転するとともに、中心軸線60回りに公転する公転歯車2と、外周面3aに公転歯車2が設けられた円筒状軸部材3と、円筒状軸部材3の一方側と他方側とに設けられ、中心軸線60回りに回転する一対のキャリアと、円筒状軸部材3の内側に設けられ、一対のキャリアを接続する第1キャリア接続部材6と、軸方向において、一対のキャリアの間の位置で、かつ、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの間の位置に設けられ、円筒状軸部材3を第1キャリア接続部材6に対して相対回転可能に支持する軸受7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線回りに回転する伝達歯車と、
前記伝達歯車に噛み合いながら軸線回りに回転するとともに、前記中心軸線回りに公転する公転歯車と、
円筒形状を有し、外周面に前記公転歯車が設けられた円筒状軸部材と、
前記円筒状軸部材の一方側と他方側とに設けられ、前記中心軸線回りに回転する一対のキャリアと、
前記円筒状軸部材の内側に設けられ、前記一対のキャリアを接続するキャリア接続部材と、
軸方向において、前記一対のキャリアの間の位置で、かつ、前記円筒状軸部材の内周面、および、前記キャリア接続部材の外周面の間の位置に設けられ、前記円筒状軸部材を前記キャリア接続部材に対して相対回転可能に支持する軸受と、を備える、歯車装置。
【請求項2】
前記円筒状軸部材の外側に設けられ、前記中心軸線回りに回転する外歯歯車をさらに備え、
前記軸受は、軸方向において、前記外歯歯車に対応する位置に設けられている、請求項1に記載の歯車装置。
【請求項3】
前記一対のキャリアは、前記キャリア接続部材の一方側に設けられた第1キャリアと、前記キャリア接続部材の他方側に設けられた第2キャリアとを含み、
前記外歯歯車は、前記第1キャリアに回転を伝達する第1入出力外歯歯車と、前記第2キャリアに回転を伝達する第2入出力外歯歯車と、を含み、
前記軸受は、軸方向において、前記第1入出力外歯歯車に対応する位置に設けられた第1軸受と、前記第2入出力外歯歯車に対応する位置に設けられた第2軸受とを含む、請求項2に記載の歯車装置。
【請求項4】
前記第1軸受は、軸方向における前記第1入出力外歯歯車に対応する位置において、前記円筒状軸部材の内周面、および、前記キャリア接続部材の外周面の各々と接触した状態で設けられており、
前記第2軸受は、軸方向における前記第2入出力外歯歯車に対応する位置において、前記円筒状軸部材の内周面、および、前記キャリア接続部材の外周面の各々と接触した状態で設けられている、請求項3に記載の歯車装置。
【請求項5】
前記キャリア接続部材は、前記第1キャリアおよび前記第2キャリアとは別体で構成されており、一方側の端部である第1端部が前記第1キャリアに保持されており、他方側の端部である第2端部が前記第2キャリアに保持されている、請求項4に記載の歯車装置。
【請求項6】
前記第1キャリアには第1凹部が設けられており、
前記第2キャリアには第2凹部が設けられており、
前記キャリア接続部材は、前記第1端部が前記第1凹部に圧入された状態で保持されており、前記第2端部が前記第2凹部に圧入された状態で保持されている、請求項5に記載の歯車装置。
【請求項7】
前記第1凹部に対する前記第1端部の圧入代の長さは、軸方向における前記第1軸受の長さよりも小さく、前記第2凹部に対する前記第2端部の圧入代の長さは、軸方向における前記第2軸受の長さよりも小さい、請求項6に記載の歯車装置。
【請求項8】
前記軸受は、ラジアル方向からの荷重を受けるラジアルベアリングである、請求項1に記載の歯車装置。
【請求項9】
前記円筒状軸部材は、偏心部を有し、
前記外歯歯車は、前記偏心部に取り付けられ、前記偏心部の偏心回転に連動して揺動回転するように構成されており、
前記一対のキャリアは、前記外歯歯車の揺動回転が伝達されることにより回転するように構成されており、
前記キャリア接続部材は、前記一対のキャリアの回転を同期させるように構成されている、請求項2に記載の歯車装置。
【請求項10】
前記公転歯車は、前記円筒状軸部材と一体形成されている、請求項1に記載の歯車装置。
【請求項11】
前記公転歯車は、軸方向において、前記第1軸受と前記第2軸受との間の位置に設けられている、請求項4に記載の歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車装置に関し、特に、複数のキャリアを有する歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来複数のキャリアを有する歯車装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、外筒と、キャリアと、キャリア軸受と、入力軸と、クランク軸と、第1クランク軸受と、第2クランク軸受と、第1外歯歯車と、第2外歯歯車と、第1ころ軸受と、第2ころ軸受と、伝達歯車とを備える歯車装置が開示されている。上記特許文献1に開示されているキャリアは、伝達歯車を基準として、一方側と他方側との両側に設けられており、シャフト部によって接続されている。また、上記特許文献1に開示されている構成では、第1クランク軸受が、クランク軸の一方側端部を軸支持するとともに、第2クランク軸受が、クランク軸の他方側の端部を軸支持している。また、上記特許文献1に開示されている構成では、第1クランク軸受および第2クランク軸受の各々は、キャリアに設けられた凹部に設けられている。また、上記特許文献1に開示されている構成では、入力軸から入力されたトルクは、伝達歯車を介して、クランク軸に伝達される。また、クランク軸に伝達されたトルクは、第1外歯歯車および第2外歯歯車を介して、キャリアに伝達される。具体的には、第1外歯歯車から一方側のキャリアにトルクが伝達される。また、第2外歯歯車から、他方側のキャリアにトルクが伝達される。また、各キャリアに伝達されたトルクは、一方側のキャリアから、ロボットアームなどに伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-185986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示されている構成では、第1クランク軸受が、クランク軸の一方側端部を軸支持するとともに、第2クランク軸受が、クランク軸の他方側の端部を軸支持している。そのため、軸線に沿った方向におけるクランク軸の長さが大きくなる。また、上記特許文献1に開示されている構成では、第1クランク軸受および第2クランク軸受の各々は、キャリアに設けられた凹部に設けられている。そのため、第1クランク軸受および第2クランク軸受を設けるために、キャリアの軸方向における凹部の大きさ(深さ)が大きくなり、軸方向におけるキャリアの厚みが大きくなる。したがって、上記特許文献1に開示されている構成では、軸方向におけるクランク部材(軸部材)の長さ、および、軸方向におけるキャリアの厚みが大きくなることに起因して、軸方向において装置が大型化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、軸方向における軸部材の長さ、および、軸方向におけるキャリアの厚みが大きくなることに起因して、軸方向において装置が大型化することを抑制することが可能な歯車装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における歯車装置は、中心軸線回りに回転する伝達歯車と、伝達歯車に噛み合いながら軸線回りに回転するとともに、中心軸線回りに公転する公転歯車と、円筒形状を有し、外周面に公転歯車が設けられた円筒状軸部材と、円筒状軸部材の一方側と他方側とに設けられ、中心軸線回りに回転する一対のキャリアと、円筒状軸部材の内側に設けられ、一対のキャリアを接続するキャリア接続部材と、軸方向において、一対のキャリアの間の位置で、かつ、円筒状軸部材の内周面、および、キャリア接続部材の外周面の間の位置に設けられ、円筒状軸部材をキャリア接続部材に対して相対回転可能に支持する軸受と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記一の局面における歯車装置は、軸方向において、一対のキャリアの間の位置で、かつ、円筒状軸部材の内周面、および、キャリア接続部材の外周面の間の位置に設けられ、円筒状軸部材をキャリア接続部材に対して相対回転可能に支持する軸受を備える。これにより、軸受を一対のキャリアの各々に配置することなく、かつ、軸方向において円筒状軸部材の内側に軸受を配置することができる。その結果、キャリアに凹部を設けて凹部に軸受を配置する構成と比較して、キャリアの厚みが大きくなることを抑制することができる。また、軸方向において、円筒状軸部材の外側に軸受を配置する構成と比較して、軸方向における円筒状軸部材の長さが大きくなることを抑制することができる。これらの結果、軸方向における軸部材の長さ、および、軸方向におけるキャリアの厚みが大きくなることに起因して、軸方向において装置が大型化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による歯車装置の軸方向に沿った断面図である。
図2】一実施形態による歯車装置の円筒状軸部材の配置を説明するための拡大した断面図である。
図3】一実施形態による歯車装置の軸方向と直交する方向に沿った断面図である。
図4】一実施形態による歯車装置における軸方向に沿った断面図のうち、円筒状軸部材を拡大した断面図である。
図5】比較例による歯車装置の軸方向に沿った断面図において、軸部材を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
まず、図1図4を参照して、本発明の一実施形態による歯車装置100(図1参照)の構成について説明する。本実施形態による歯車装置100は、モータ、エンジン、および、タービンのうちの、少なくともいずれかを備える回転機械に設けられる減速機である。回転機械は、たとえば、ロボットアームや航空機などの回転部(旋回部)である。
【0012】
図1に示すように、歯車装置100は、伝達歯車1と、公転歯車2と、円筒状軸部材3と、一対のキャリアと、第1キャリア接続部材6と、軸受7と、を備える。また、本実施形態では、歯車装置100は、外歯歯車10を備える。本実施形態では、一対のキャリアは、第1キャリア4と、第2キャリア5とを含む。また、軸受7は、第1軸受8と、第2軸受9とを含む。また、外歯歯車10は、第1入出力外歯歯車11と、第2入出力外歯歯車12とを含む。なお、第1キャリア接続部材6は、特許請求の範囲の「キャリア接続部材」の一例である。
【0013】
また、本実施形態では、歯車装置100は、入力シャフト13と、出力シャフト14と、複数の第3軸受15と、第2キャリア接続部材16と、外筒17と、複数のキャリアピン18と、を備える。なお、本実施形態において、中心軸線60が延びる方向を、X方向とする。X方向のうち、一方側の方向を、X1方向とし、他方側の方向をX2方向とする。また、X方向と直交する方向を、Y方向とし、Y方向の一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。また、中心軸線60は、外筒17の中心軸線である。
【0014】
本実施形態による歯車装置100は、入力シャフト13が回転することにより、伝達歯車1が回転する。伝達歯車1が回転することにより、公転歯車2が回転する。公転歯車2が回転することにより、外歯歯車10が揺動する。揺動した外歯歯車10は、キャリアピン18と噛み合うことで、中心軸線60回りに回転する。外歯歯車10が中心軸線60回りに回転することにより、円筒状軸部材3が中心軸線60回りに回転(公転)する。円筒状軸部材3が中心軸線60回りに公転することによって一対のキャリアが中心軸線60回りに回転する。一対のキャリアが回転することにより、出力シャフト14に対してトルクが伝達される。
【0015】
伝達歯車1は、中心軸線60回りに回転するように構成されている。本実施では、伝達歯車1は、入力シャフト13の中心よりもX1方向側の位置において、入力シャフト13に一体的に形成されている。伝達歯車1は、いわゆる、サンギアである。
【0016】
公転歯車2は、伝達歯車1に噛み合いながら軸線61回りに回転するとともに、中心軸線60回りに公転するように構成されている。すなわち、軸線61は、円筒状軸部材3とともに、中心軸線60回りに公転する。本実施形態では、公転歯車2は、円筒状軸部材3と一体形成されている。公転歯車2は、いわゆる、遊星歯車である。また、本実施形態では、公転歯車2は、軸方向(X方向)において、第1軸受8と第2軸受9との間の位置に設けられている。
【0017】
円筒状軸部材3は、円筒形状を有している。円筒状軸部材3は、軸線61回りに回転可能に設けられている。また、円筒状軸部材3は、複数の軸受7によって回転支持されている。また、円筒状軸部材3は、公転歯車2を介して、入力シャフト13と接触している。円筒状軸部材3は、入力シャフト13が中心軸線60回りに回転することにより、軸線61回りに回転する。また、円筒状軸部材3は、外歯歯車10の揺動によって、中心軸線60回りに公転する。
【0018】
一対のキャリアは、円筒状軸部材3の一方側と他方側とに設けられ、中心軸線60回りに回転するように構成されている。本実施形態では、一対のキャリアは、外歯歯車10の揺動が伝達されることにより回転するように構成されている。
【0019】
また、本実施形態では、一対のキャリアは、第1キャリア接続部材6の一方側(X1方向側)に設けられた第1キャリア4と、第1キャリア接続部材6の他方側に設けられた第2キャリア5(X2方向側)とを含む。
【0020】
第1キャリア4は、外筒17と同軸上に設けられている。すなわち、第1キャリア4は、中心軸線60と同軸上に設けられている。また、第1キャリア4は、中心軸線60回りに回転可能に構成されている。具体的には、第1キャリア4は、第1入出力外歯歯車11の揺動、および、第2入出力外歯歯車12の揺動に伴って円筒状軸部材3が中心軸線60回りに回転することにより、円筒状軸部材3からトルクが伝達され、中心軸線60回りに回転する。すなわち、第1キャリア4は、第1入出力外歯歯車11の揺動、および、第2入出力外歯歯車12の揺動の両方が伝達されることにより、外筒17に対して相対回転するように構成されている。
【0021】
また、本実施形態では、第1キャリア4は、X方向において、第1入出力外歯歯車11と、出力シャフト14との間の位置に配置されている。
【0022】
第2キャリア5は、外筒17と同軸上に設けられている。すなわち、第2キャリア5は、中心軸線60と同軸上に設けられている。また、第2キャリア5は、中心軸線60回りに回転可能に構成されている。具体的には、第2キャリア5は、第1入出力外歯歯車11の揺動、および、第2入出力外歯歯車12の揺動に伴って円筒状軸部材3が中心軸線60回りに回転することにより、円筒状軸部材3からトルクが伝達され、中心軸線60回りに回転する。すなわち、第2キャリア5は、第1入出力外歯歯車11の揺動、および、第2入出力外歯歯車12の揺動が伝達されることにより、外筒17に対して相対回転するように構成されている。
【0023】
また、本実施形態では、第2キャリア5は、外筒17の内部において、第2入出力外歯歯車12よりもX2方向側に配置されている。
【0024】
第1キャリア接続部材6は、筒状形状を有している。本実施形態では、第1キャリア接続部材6は、円筒状軸部材3の内側に設けられ、一対のキャリアを接続するように構成されている。すなわち、第1キャリア接続部材6は、一対のキャリアの回転を同期させるように構成されている。本実施形態では、第1キャリア接続部材6は、第1キャリア4および第2キャリア5に接続されている。本実施形態では、第1キャリア接続部材6は、第1キャリア4および第2キャリア5とは別体で構成されている。第1キャリア接続部材6が第1キャリア4および第2キャリア5に接続される構成の詳細については、後述する。
【0025】
軸受7は、円筒状軸部材3を第1キャリア接続部材6に対して相対回転可能に支持するように構成されている。また、軸受7は、軸方向において、外歯歯車10に対応する位置に設けられている。本実施形態では、軸受7は、外歯歯車10に対応する位置に設けられた複数の軸受7を含む。具体的には、軸受7は、軸方向(X方向)において、第1入出力外歯歯車11に対応する位置に設けられた第1軸受8と、第2入出力外歯歯車12に対応する位置に設けられた第2軸受9とを含む。本実施形態では、軸受7は、ラジアル方向(Y方向)からの荷重を受けるラジアルベアリングである。すなわち、第1軸受8および第2軸受9の各々は、ラジアルベアリングである。
【0026】
外歯歯車10は、円筒状軸部材3の外側に設けられ、中心軸線60回りに回転するように構成されている。本実施形態では、外歯歯車10は、Y方向における円筒状軸部材3の外側に設けられている。また、本実施形態では、外歯歯車10は、後述する円筒状軸部材3の偏心部に取り付けられ、偏心部の偏心回転に連動して偏心揺動するように構成されている。
【0027】
外歯歯車10は、第1キャリア4に回転を伝達する第1入出力外歯歯車11と、第2キャリア5に回転を伝達する第2入出力外歯歯車12と、を含む。第1入出力外歯歯車11は、円筒状軸部材3に取り付けられている。また、第2入出力外歯歯車12は、円筒状軸部材3に取り付けられている。
【0028】
本実施形態では、第1入出力外歯歯車11は、X方向において、公転歯車2と第1キャリア4との間の位置に配置されている。また、第1入出力外歯歯車11は、内歯車(キャリアピン18)に噛み合いながら回転するように構成されている。すなわち、第1入出力外歯歯車11は、外筒17に対して相対回転可能に構成されている。本実施形態では、第1入出力外歯歯車11は、キャリアピン18との噛み合いの位置が変化しながら回転する。具体的には、第1入出力外歯歯車11は、回転角度に応じて、対応する位置に設けられたキャリアピン18と噛み合いながら回転する。すなわち、第1入出力外歯歯車11は、円筒状軸部材3が中心軸線60回りに回転することにより、中心軸線60回りを揺動回転する。
【0029】
また、本実施形態では、第2入出力外歯歯車12は、X方向において、第2キャリア5と公転歯車2との間の位置に配置されている。また、第2入出力外歯歯車12は、内歯車(キャリアピン18)に噛み合いながら回転するように構成されている。すなわち、第2入出力外歯歯車12は、外筒17に対して相対回転可能に構成されている。本実施形態では、第2入出力外歯歯車12は、キャリアピン18との噛み合いの位置が変化しながら回転する。具体的には、第2入出力外歯歯車12は、回転角度に応じて、対応する位置に設けられたキャリアピン18と噛み合いながら回転する。すなわち、第2入出力外歯歯車12は、円筒状軸部材3が中心軸線60回りに回転することにより、中心軸線60回りに揺動回転する。なお、第2入出力外歯歯車12は、第1入出力外歯歯車11と位相がずれた状態で、内歯車に噛み合っている。第1入出力外歯歯車11および第2入出力外歯歯車12が揺動する構成の詳細については、後述する。
【0030】
入力シャフト13は、外筒17と同軸上に設けられている。すなわち、入力シャフト13は、中心軸線60と同軸上に設けられている。また、入力シャフト13は、中心軸線60周りに回転可能に設けられている。また、入力シャフト13は、外筒17に対して相対回転可能に構成されている。入力シャフト13は、X2方向側から外筒17に挿入されている。入力シャフト13の中心よりもX1方向側の位置には、伝達歯車1が設けられている。本実施形態では、入力シャフト13と伝達歯車1とは、一体的に形成されている。また、伝達歯車1は、公転歯車2と係合している。したがって、入力シャフト13を回転させると、入力シャフト13とともに、円筒状軸部材3が回転する。
【0031】
出力シャフト14は、外筒17と同軸上に設けられている。すなわち、出力シャフト14は、中心軸線60と同軸上に設けられている。また、出力シャフト14は、中心軸線60周りに回転可能に設けられている。また、出力シャフト14は、外筒17に対して相対回転可能に構成されている。実施形態では、出力シャフト14の一方側(X1方向側)の端部14aが、外筒17からX1方向側に向けて突出している。また、出力シャフト14の他方側(X2方向側)の端部14bは、第1キャリア4に接続されている。これにより、第1キャリア4から出力シャフト14に対してトルクが伝達されるように構成されている。本実施形態では、出力シャフト14は、第1キャリア4と一体的に形成されている。なお、出力シャフト14は、第1キャリア4と別体で形成されていてもよい。
【0032】
第2キャリア接続部材16は、円筒形状を有している。第2キャリア接続部材16は、一対のキャリアとは別体で形成されている。また、第2キャリア接続部材16は、一対のキャリアに接続された状態で固定されている。
【0033】
また、第2キャリア接続部材16は、第1キャリア4と第2キャリア5との回転を同期させるように構成されている。したがって、第2キャリア接続部材16は、第1キャリア4および第2キャリア5の回転に伴って、中心軸線60回りに公転するように構成されている。なお、第2キャリア接続部材16が一対のキャリアに接続される構成の詳細については、後述する。
【0034】
外筒17は、内周面17aに内歯車が設けられている。外筒17は、円筒形状を有している。また、外筒17は、歯車装置100のケースを兼ねている。本実施形態では、外筒17は、内歯車として、複数のキャリアピン18が設けられている。キャリアピン18の配置については、後述する。
【0035】
キャリアピン18は、外筒17の内周面17aに設けられている。キャリアピン18は、X方向において、公転歯車2と第1キャリア4との間の位置に配置されている。また、キャリアピン18は、第1入出力外歯歯車11と係合している。第1入出力外歯歯車11が円筒状軸部材3によって回転され、第1入出力外歯歯車11がキャリアピン18に接触した際に、キャリアピン18から第1入出力外歯歯車11に対して反力が伝達される。
【0036】
また、キャリアピン18は、X方向において、第2キャリア5と公転歯車2との間の位置に配置されている。また、キャリアピン18は、第2入出力外歯歯車12と係合している。第2入出力外歯歯車12が円筒状軸部材3によって回転され、第2入出力外歯歯車12がキャリアピン18に接触した際に、キャリアピン18から第2入出力外歯歯車12に対して反力が伝達される。
【0037】
第3軸受15は、円筒状軸部材3を、外歯歯車10に対して相対回転可能に回転支持している。本実施形態では、第3軸受15は、円筒状軸部材3の外周面3aと、外歯歯車10の内周面との間の位置に設けられている。第3軸受15は、たとえば、ラジアルベアリングである。第3軸受15の詳細な配置などについては、後述する。
【0038】
図2に示すように、円筒状軸部材3は、外周面3aに公転歯車2が設けられている。また、本実施形態では、円筒状軸部材3は、偏心部を有している。具体的には、円筒状軸部材3は、軸方向に並ぶように配設された第1偏心部3cと第2偏心部3dとを有する。
【0039】
第1偏心部3cは、公転歯車2よりもX1方向側に配置されている。また、第2偏心部3dは、公転歯車2よりもX2方向側に配置されている。第1偏心部3cと、第2偏心部3dとは、互いに位相が異なった状態で、円筒状軸部材3に設けられている。第1偏心部3cと、第2偏心部3dとは、たとえば、180度位相がずれた状態で、円筒状軸部材3に設けられている。
【0040】
また、図2に示すように、第1キャリア4には、第1凹部4aが設けられている。また、第2キャリア5には、第2凹部5aが設けられている。
【0041】
また、第1キャリア接続部材6は、一方側(X1方向側)の端部である第1端部6aが、第1キャリア4に保持されている。また、第1キャリア接続部材6は、第1キャリア接続部材6の他方側(X2方向側)の端部である第2端部6bが第2キャリア5に保持されている。
【0042】
本実施形態では、第1キャリア接続部材6の第1端部6aは、第1キャリア4の第1凹部4aに挿入された状態で第1キャリア4に固定されている。また、第1キャリア接続部材6の第2端部6bは、第2キャリア5の第2凹部5aに挿入された状態で固定されている。第1端部6aおよび第2端部6bは、それぞれ、第1凹部4aおよび第2凹部5aに対してどのように固定されてもよい。本実施形態では、第1キャリア接続部材6は、第1端部6aが第1凹部4aに圧入された状態で保持されており、第2端部6bが第2凹部5aに圧入された状態で保持されている。
【0043】
また、軸受7は、軸方向(X方向)において、一対のキャリアの間の位置で、かつ、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの間の位置に設けられている。
【0044】
具体的には、第1軸受8は、軸方向(X方向)における第1入出力外歯歯車11に対応する位置において、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの各々と接触した状態で設けられている。すなわち、第1軸受8は、円筒状軸部材3を、第1キャリア接続部材6に対して相対回転可能に回転支持している。
【0045】
また、第2軸受9は、軸方向における第2入出力外歯歯車12に対応する位置において、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの各々と接触した状態で設けられている。すなわち、第2軸受9は、円筒状軸部材3を、第1キャリア接続部材6に対して相対回転可能に回転支持している。
【0046】
また、図2に示すように、第1入出力外歯歯車11は、第1偏心部3cに取り付けられている。本実施形態では、第1入出力外歯歯車11には、第1開口部11aが設けられている。第1入出力外歯歯車11は、第1開口部11aに第1偏心部3cが挿通された状態で、第1偏心部3cに設けられている。本実施形態では、第1偏心部3cと第1開口部11aとの間には、第3軸受15が設けられている。したがって、第1入出力外歯歯車11は、第1偏心部3cの偏心回転に連動して偏心揺動するように構成されている。
【0047】
また、図2に示すように、第3軸受15は、円筒状軸部材3の外周面3aと、第1入出力外歯歯車11の内周面11cの各々と接触した状態で、第1入出力外歯歯車11に対して円筒状軸部材3を相対回転可能に回転支持している。
【0048】
また、第2入出力外歯歯車12は、第2偏心部3dに取り付けられている。具本実施形態では、第2入出力外歯歯車12には、第1開口部12aが設けられている。第2入出力外歯歯車12は、第1開口部12aに第2偏心部3dが挿通された状態で、第2偏心部3dに設けられている。本実施形態では、第2偏心部3dと第1開口部12aとの間には、第3軸受15が設けられている。したがって、第2入出力外歯歯車12は、第2偏心部3dの偏心回転に連動して偏心揺動するように構成されている。
【0049】
また、第3軸受15は、円筒状軸部材3の外周面3aと、第2入出力外歯歯車12の内周面12cの各々と接触した状態で、第2入出力外歯歯車12に対して円筒状軸部材3を相対回転可能に回転支持している。
【0050】
再び図1を参照する。図1に示すように、本実施形態では、第1キャリア4には、第3凹部4bが設けられている。また、第2キャリア5には、第4凹部5bが設けられている。
【0051】
また、図1に示すように、第2キャリア接続部材16は、一方側(X1方向側)の端部である第1端部16aが、第1キャリア4の第3凹部4bに挿入された状態で、第1キャリア4に固定されている。また、第2キャリア接続部材16は、他方側(X2方向側)の端部である第2端部16bが、第2キャリア5の第4凹部5bに挿入された状態で、第2キャリア5に固定されている。第2キャリア接続部材16の第1端部16aおよび第2端部6bは、第3凹部4bおよび第4凹部5bに対して、どのように固定されていてもよい。本実施形態では、第2キャリア接続部材16の第1端部16aおよび第2端部6bは、第3凹部4bおよび第4凹部5bに対して、圧入された状態で固定されている。
【0052】
また、図1に示すように、第1入出力外歯歯車11には、第2開口部11bが設けられている。また、第2開口部11bには、第2キャリア接続部材16が挿通されている。なお、第2キャリア接続部材16は、隙間が生じた状態で、第2開口部11bに挿通されている。
【0053】
また、図1に示すように、第2入出力外歯歯車12には、第2開口部12bが設けられている。また、第2開口部12bには、第2キャリア接続部材16が挿通されている。なお、第2キャリア接続部材16は、隙間が生じた状態で、第2開口部12bに挿通されている。
【0054】
本実施形態による歯車装置100は、入力シャフト13が中心軸線60回り回転する際のトルクが、伝達歯車1を介して公転歯車2に伝達される。公転歯車2に伝達されたトルクにより、公転歯車2とともに円筒状軸部材3が第1キャリア接続部材6に対して、軸線61回りの回転方向に相対回転する。円筒状軸部材3が回転することにより、第1偏心部3c(図2参照)および第2偏心部3d(図2参照)を介して、第1入出力外歯歯車11および第2入出力外歯歯車12が偏心揺動する。
【0055】
第1入出力外歯歯車11が偏心揺動することにより、キャリアピン18からの反力が第1入出力外歯歯車11に伝達される。キャリアピン18から反力が伝達された第1入出力外歯歯車11は、中心軸線60回りに回転する。第1入出力外歯歯車11が中心軸線60回りに回転すると、円筒状軸部材3も中心軸線60回りに回転(公転)する。この際、円筒状軸部材3の公転に伴って、第1キャリア4も中心軸線60回りに回転する。第1キャリア4が回転した際のトルクは、出力シャフト14に伝達される。
【0056】
また、第2入出力外歯歯車12が偏心揺動することにより、キャリアピン18からの反力が第2入出力外歯歯車12に伝達される。キャリアピン18から反力が伝達された第2入出力外歯歯車12は、中心軸線60回りに回転する。第2入出力外歯歯車12が中心軸線60回りに回転すると、円筒状軸部材3も中心軸線60回りに回転(公転)する。この際、円筒状軸部材3の公転に伴って、第2キャリア5も中心軸線60回りに回転する。第2キャリア5が回転した際のトルクは、第2キャリア接続部材16および第1キャリア4を介して、出力シャフト14に伝達される。このようにして、入力シャフト13から入力されたトルクは、出力シャフト14に伝達される。
【0057】
図3は、軸方向(X方向)と直交する方向(Y方向)において、伝達歯車1と公転歯車2とが噛み合う位置の断面図である。図3に示すように、歯車装置100は、1つの入力シャフト13と、1つの伝達歯車1と、複数の公転歯車2と、複数の円筒状軸部材3と、複数の第1キャリア接続部材6と、複数の第2キャリア接続部材16とを備える。本実施形態では、歯車装置100は、3つの公転歯車2と、3つの円筒状軸部材3と、3つの第1キャリア接続部材6と、3つの第2キャリア接続部材16とを備えている。3つの公転歯車2と、3つの円筒状軸部材3と、3つの第1キャリア接続部材6とは、同心円状に設けられている。また、3つの公転歯車2と、3つの円筒状軸部材3と、3つの第1キャリア接続部材6とは、外筒17の周方向において略等間隔に配置されている。また、3つの第2キャリア接続部材16は、3つの円筒状軸部材3および3つの第1キャリア接続部材6とは異なる位置において、外筒17の周方向において略等間隔に配置されている。なお、歯車装置100が備える円筒状軸部材3の個数、第1キャリア接続部材6の個数、および、第2キャリア接続部材16の個数は、3つに限定されない。
【0058】
また、図3に示すように、キャリアピン18は、外筒17の内周面17aにおいて、外筒17の周方向に所定の間隔で設けられている。なお、図3に示すキャリアピン18の配置間隔および個数は、あくまで一例であり、図3の例に限定されない。また、図3に示す伝達歯車1の歯の数は、あくまで一例であり、図3に示す個数に限定されない。また、図3に示す公転歯車2の歯の数は、あくまで一例であり、図3に示す個数に限定されない。
【0059】
図3に示すように、伝達歯車1は、3つの公転歯車2と係合している。したがって、伝達歯車1が回転することにより、3つの公転歯車2が連動して回転する。
【0060】
(軸方向の大きさの比較)
次に、図4および図5を参照して、本実施形態による歯車装置100(図4参照)の軸方向(X方向)における大きさ(長さ)と、比較例による歯車装置200(図5参照)のの軸方向(X方向)における大きさ(長さ)とについて、説明する。
【0061】
図4は、本実施形態による歯車装置100の断面図のうちの、円筒状軸部材3を拡大した断面図である。
【0062】
図4に示すように、第1凹部4aに対する第1端部6aの圧入代20の長さ20aは、軸方向における第1軸受8の長さ30よりも小さい。また、第2凹部5aに対する第2端部6bの圧入代21の長さ21aは、軸方向における第2軸受9の長さ31よりも小さい。
【0063】
また、図4に示すように、第1軸受8および第2軸受9は、軸方向における円筒状軸部材3の長さ22の内側の位置に配置されている。
【0064】
図5は、比較例による歯車装置200の断面図である。なお、図5は、比較例による歯車装置200が備える軸部材42を拡大した断面図である。
【0065】
図5に示すように、比較例による歯車装置200は、伝達歯車40と、公転歯車41と、軸部材42と、第1キャリア43と、第2キャリア44と、第1軸受45と、第2軸受46と、第1外歯歯車47と、第2外歯歯車48と、入力シャフト49と、第3軸受50と、外筒51と、キャリアピン52と、を備える。
【0066】
比較例による伝達歯車40、公転歯車41、第1外歯歯車47、第2外歯歯車48、入力シャフト49、第3軸受50、外筒51、および、キャリアピン52は、それぞれ、実施形態による伝達歯車1、公転歯車2、第1入出力外歯歯車11、第2入出力外歯歯車12、入力シャフト13、第3軸受15、外筒17、および、キャリアピン18と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
比較例による第1キャリア43は、第1凹部43aが設けられている。第1軸受45は、第1凹部43aに設けられている。
【0068】
また、比較例による第2キャリア44は、第2凹部44aが設けられている。第2軸受46は、第2凹部44aに設けられている。
【0069】
比較例による歯車装置200では、第1軸受45および第2軸受46は、ラジアル方向(Y方向)の荷重、および、スラスト方向(X方向)の荷重を受けるように構成されている。すなわち、比較例による第1軸受45および第2軸受46は、円錐ころ軸受である。
【0070】
比較例による軸部材42は、一方側の端部42aにおいて第1軸受45に回転支持されているとともに、他方側の端部42bにおいて第2軸受46に回転支持されている。したがって、軸部材42の端部42aは、少なくとも、第1軸受45の軸方向の長さ23と同等の長さが必要となる。また、軸部材42の端部42bも、同様に、少なくとも、第2軸受46の軸方向の長さ24と同等の長さが必要となる。したがって、本実施形態による円筒状軸部材3(図4参照)の軸方向の長さ22(図4参照)よりも、比較例による軸部材42の軸方向の長さ25の方が、大きくなる。
【0071】
また、比較例による第1キャリア43は、第1軸受45の軸方向の長さ23に対応した深さの第1凹部43aが設けられている。第2キャリア44も、第1キャリア43と同様に、第2軸受46の軸方向の長さ24に対応した深さの第2凹部44aが設けられている。比較例による第1軸受45および第2軸受46は、スラスト方向の荷重を受けるように構成されているため、スラスト方向の荷重に耐えることが可能な軸方向の長さに設計されている。
【0072】
一方、図4に示す本実施形態による第1キャリア4は、第1キャリア接続部材6を圧入するための第1凹部4aが設けられている。また、本実施形態による第2キャリア5は、第1キャリア接続部材6を圧入するための第2凹部5aが設けられている。第1凹部4aおよび第2凹部5aは、圧入された第1キャリア接続部材6が抜けない程度の深さを有していればよい。したがって、本実施形態による第1キャリア4の厚みは、比較例による第1キャリア43の厚みよりも、小さくすることができる。また、本実施形態による第2キャリア5の厚みは、比較例による第2キャリア44の厚みよりも小さくすることができる。
【0073】
したがって、本実施形態による歯車装置100は、比較例による歯車装置200よりも、円筒状軸部材3の軸方向の長さを小さくすることができる。また、第1キャリア4および第2キャリア5の軸方向の厚みを小さくすることができる。そのため、本実施形態による歯車装置100は、比較例による歯車装置200よりも、小型化を図ることができる。
【0074】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
上記実施形態では、歯車装置100は、中心軸線60回りに回転する伝達歯車1と、伝達歯車1に噛み合いながら軸線61回りに回転するとともに、中心軸線60回りに公転する公転歯車2と、円筒形状を有し、外周面3aに公転歯車2が設けられた円筒状軸部材3と、円筒状軸部材3の一方側と他方側とに設けられ、中心軸線60回りに回転する一対のキャリアと、円筒状軸部材3の内側に設けられ、一対のキャリアを接続する第1キャリア接続部材6と、軸方向において、一対のキャリアの間の位置で、かつ、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの間の位置に設けられ、円筒状軸部材3を第1キャリア接続部材6に対して相対回転可能に支持する軸受7と、を備える。
【0076】
これにより、軸受7を一対のキャリアの各々に配置することなく、かつ、軸方向において円筒状軸部材3の内側に軸受7を配置することができる。その結果、キャリアに凹部を設けて凹部に軸受7を配置する構成と比較して、キャリアの厚みが大きくなることを抑制することができる。また、軸方向において、円筒状軸部材3の外側に軸受7を配置する構成と比較して、軸方向における円筒状軸部材3の長さが大きくなることを抑制することができる。これらの結果、軸方向における軸部材(円筒状軸部材3)の長さ、および、軸方向におけるキャリアの厚みが大きくなることに起因して、軸方向において装置が大型化することを抑制することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0078】
すなわち、本実施形態では、上記のように、円筒状軸部材3の外側に設けられ、中心軸線60回りに回転する外歯歯車10をさらに備え、軸受7は、軸方向(X方向)において、外歯歯車10に対応する位置に設けられている。これにより、軸方向において、外歯歯車10に対応する位置に軸受7が設けられているので、軸受7は、軸方向において外歯歯車10に対応する位置において、円筒状軸部材3を支持することができる。したがって、円筒状軸部材3が回転することによって、円筒状軸部材3から外歯歯車10に対してトルクが伝達される際に、円筒状軸部材3において不要な振動が生じることを抑制することができる。その結果、円筒状軸部材3に不要な振動が生じることを抑制することが可能となるので、歯車装置100に不要な振動が生じることを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、一対のキャリアは、第1キャリア接続部材6の一方側に設けられた第1キャリア4と、第1キャリア接続部材6の他方側に設けられた第2キャリア5とを含み、外歯歯車10は、第1キャリア4に回転を伝達する第1入出力外歯歯車11と、第2キャリア5に回転を伝達する第2入出力外歯歯車12と、を含み、軸受7は、軸方向において、第1入出力外歯歯車11に対応する位置に設けられた第1軸受8と、第2入出力外歯歯車12に対応する位置に設けられた第2軸受9とを含む。これにより、たとえば、第1入出力外歯歯車11、および、第2入出力外歯歯車12の両方を支持する1つの軸受と比較して、第1軸受8および第2軸受9の軸方向の長さを小さくすることができる。その結果、第1軸受8および第2軸受9の長さが大きくなることに起因して、歯車装置100の組み立て性が低下することを抑制しつつ、軸方向において歯車装置100が大型化することを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、第1軸受8は、軸方向における第1入出力外歯歯車11に対応する位置において、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの各々と接触した状態で設けられており、第2軸受9は、軸方向における第2入出力外歯歯車12に対応する位置において、円筒状軸部材3の内周面3b、および、第1キャリア接続部材6の外周面6cの各々と接触した状態で設けられている。これにより、第1軸受8および第2軸受9により、円筒状軸部材3を第1キャリア接続部材6に対して容易に相対回転させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、第1キャリア接続部材6は、第1キャリア4および第2キャリア5とは別体で構成されており、一方側の端部である第1端部6aが第1キャリア4に保持されており、他方側の端部である第2端部6bが第2キャリア5に保持されている。ここで、第1キャリア接続部材6と第1キャリア4とが一体的に形成されている場合、または、第1キャリア接続部材6と第2キャリア5とが一体的に形成されている場合、第1キャリア接続部材6と、第1キャリア4または第2キャリア5と、が一体形成された部品の軸方向の長さが大きくなる。この場合、上記一体形成された部品の取り回しが煩雑になる。そこで、上記のように構成することにより、第1キャリア接続部材6と第1キャリア4とが一体形成されている構成、または、第1キャリア接続部材6と第2キャリア5とが一体形成されている構成と比較して、軸方向における部品の長さが大きくなることに起因して、歯車装置100の組み立て性が低下することを抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、第1キャリア4には第1凹部4aが設けられており、第2キャリア5には第2凹部5aが設けられており、第1キャリア接続部材6は、第1端部6aが第1凹部4aに圧入された状態で保持されており、第2端部6bが第2凹部5aに圧入された状態で保持されている。これにより、第1キャリア接続部材6の第1端部6aおよび第2端部6bが、それぞれ、第1凹部4aおよび第2凹部5aに圧入されることにより、第1キャリア接続部材6が第1キャリア4および第2キャリア5に接続されるので、第1キャリア4および第2キャリア5を第1キャリア接続部材6によって容易に接続することができる。また、第1キャリア接続部材6の第1端部6aおよび第2端部6bが、それぞれ、第1凹部4aおよび第2凹部5aに圧入されることにより、第1キャリア接続部材6が第1キャリア4および第2キャリア5に接続されるので、たとえば、第1キャリア接続部材6を第1キャリア4および第2キャリア5にねじ止めする構成と比較して、部品点数が増加することを抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、第1凹部4aに対する第1端部6aの圧入代20の長さ20aは、軸方向における第1軸受8の長さ30よりも小さく、第2凹部5aに対する第2端部6bの圧入代21の長さ21aは、軸方向における第2軸受9の長さ31よりも小さい。これにより、たとえば、第1凹部4aに第1軸受8を配置し、第2凹部5aに第2軸受9を配置することにより、軸部材を回転支持する構成と比較して、第1凹部4aの軸方向(X方向)の大きさ(深さ)、および、第2凹部5aの軸方向の大きさ(深さ)を小さくすることができる。したがって、軸方向における第1キャリア4の厚み、および、第2キャリア5の厚みを小さくすることができる。その結果、軸方向における第1キャリア4の厚み、および、第2キャリア5の厚みが大きくなることに起因して、軸方向において歯車装置100が大型化することを抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、軸受7は、ラジアル方向からの荷重を受けるラジアルベアリングである。これにより、たとえば、軸受7がスラスト方向の荷重を受けるスラストベアリングと比較して、軸方向における軸受7の長さを小さくすることができる。その結果、軸方向における軸受7の長さが大きくなることに起因して、軸方向において歯車装置100が大型化することを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、円筒状軸部材3は、偏心部を有し、外歯歯車10は、偏心部に取り付けられ、偏心部の偏心回転に連動して揺動回転するように構成されており、一対のキャリアは、外歯歯車10の揺動回転が伝達されることにより回転するように構成されており、第1キャリア接続部材6は、一対のキャリアの回転を同期させるように構成されている。これにより、いわゆる、偏心揺動型の歯車装置において、軸方向(X方向)における長さが大きくなることに起因して、軸方向において装置が大型化することを容易に抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、公転歯車2は、円筒状軸部材3と一体形成されている。ここで、公転歯車2は、伝達歯車1と噛み合った状態で回転する。したがって、歯車装置100を組み立てる際に、公転歯車2と伝達歯車1との位相を合わせる必要がある。そのため、たとえば、公転歯車2と円筒状軸部材3とが別体で、円筒状軸部材3にスプラインを設けて公転歯車2を円筒状軸部材3に設ける構成の場合、スプラインと公転歯車2との位相、および、公転歯車2と伝達歯車1との位相を合わせる必要があり、組み立て性が低下する。そこで、上記のように構成することにより、公転歯車2と円筒状軸部材3とが一体形成されているため、歯車装置100を組み立てる際に、公転歯車2と伝達歯車1との位相を合わせるだけでよいので、歯車装置100の組み立て性が低下することを抑制することができる。また、たとえば、公転歯車2と円筒状軸部材3とが別体の構成と比較して、部品点数が増加することを抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、公転歯車2は、軸方向において、第1軸受8と第2軸受9との間の位置に設けられている。これにより、公転歯車2が第1軸受8と第2軸受9との間の位置に設けられていない構成と比較して、第1軸受8にかかる荷重と、第2軸受9にかかる荷重とに差異が生じることを抑制することができる。その結果、第1軸受8および第2軸受9にかかる荷重の差異に起因して、歯車装置100に不要な振動が生じることを抑制することができる。
【0088】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
たとえば、上記実施形態では、外歯歯車10が、第1入出力外歯歯車11と、第2入出力外歯歯車12とを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、外歯歯車10は、1つの外歯歯車であってもよい。この場合、軸受7は、1つの外歯歯車に対応した位置に設けられる1つの軸受であればよい。
【0090】
また、上記実施形態では、軸受7が、第1軸受8および第2軸受9を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、軸受7は、第1入出力外歯歯車11、および、第2入出力外歯歯車12の両方を回転支持する1つの軸受であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第1キャリア接続部材6が、第1キャリア4および第2キャリア5と別体で構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1キャリア接続部材6は、第1キャリア4、または、第2キャリア5のどちらかと、一体的に形成されていてもよい。しかしながら、第1キャリア接続部材6が、第1キャリア4、または、第2キャリア5のどちらかと、一体的に形成されていている場合、歯車装置100の組み立て性が低下する。したがって、第1キャリア接続部材6が、第1キャリア4および第2キャリア5と別体で構成されることが好ましい。
【0092】
また、上記実施形態では、第1キャリア接続部材6が、第1凹部4aおよび第2凹部5aに圧入されることにより、第1キャリア4および第2キャリア5に固定される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。第1キャリア接続部材6は、第1キャリア4および第2キャリア5に対して、どのような手法で固定されていてもよい。第1キャリア接続部材6は、第1キャリア4および第2キャリア5に対して、たとえば、ねじ止め、接合などにより固定されていてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、第1凹部4aに対する第1端部6aの圧入代20の長さ20aが、軸方向における第1軸受8の長さ30よりも小さい構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、圧入代20の長さ20aは、第1軸受8の長さ30と同じか、第1軸受8の長さ30よりも大きくてもよい。しかしながら、圧入代20の長さ20aが、第1軸受8の長さ30と同じか、第1軸受8の長さ30よりも大きい場合、第1キャリア4の軸方向(X方向)の厚みが大きくなる。したがって、第1凹部4aに対する第1端部6aの圧入代20の長さ20aは、軸方向における第1軸受8の長さ30よりも小さいことが好ましい。
【0094】
また、上記実施形態では、第2凹部5aに対する第2端部6bの圧入代21の長さ21aが、軸方向における第2軸受9の長さ31よりも小さい構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、圧入代21の長さ21aは、軸方向における第2軸受9の長さ31と同じか、軸方向における第2軸受9の長さ31よりも大きくてもよい。しかしながら、圧入代21の長さ21aが、第2軸受9の長さ31と同じか、第2軸受9の長さ31よりも大きい場合、第2キャリア5の軸方向(X方向)の厚みが大きくなる。したがって、第2凹部5aに対する第2端部6bの圧入代21の長さ21aは、軸方向における第2軸受9の長さ31よりも小さいことが好ましい。
【0095】
また、上記実施形態では、第1軸受8および第2軸受9が、ラジアルベアリングである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1軸受8および第2軸受9は、ラジアルベアリング以外の軸受であってもよい。たとえば、第1軸受8および第2軸受9は、ラジアル方向の荷重とスラスト方向の荷重とを受ける、円錐ころ軸受であってもよい。しかしながら、第1軸受8および第2軸受9が、円錐ころ軸受の場合、ラジアル方向における第1軸受8および第2軸受9の大きさ(長さ)が大きくなる。この場合、歯車装置100のラジアル方向の大きさが大きくなる。したがって、第1軸受8および第2軸受9は、ラジアルベアリングであることが好ましい。
【0096】
また、上記実施形態では、公転歯車2と、円筒状軸部材3とが一体的に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、公転歯車2と、円筒状軸部材3とは、別体で形成されていてもよい。この場合、たとえば、円筒状軸部材3に軸方向のスプラインを形成し、はめ込みによって公転歯車2を円筒状軸部材3に設ければよい。しかしながら、公転歯車2と円筒状軸部材3とが別体で、円筒状軸部材3にスプラインを設けて公転歯車2を円筒状軸部材3に設ける構成の場合、スプラインと公転歯車2との位相、および、公転歯車2と伝達歯車1との位相を合わせる必要があり、組み立て性が低下する。したがって、公転歯車2と円筒状軸部材3とは、一体的に形成されていることが好ましい。
【0097】
また、上記実施形態では、第2キャリア接続部材16が、第3凹部4bおよび第4凹部5bに圧入されることにより、第1キャリア4および第2キャリア5に固定される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。第2キャリア接続部材16は、第1キャリア4および第2キャリア5に対して、どのような手法で固定されていてもよい。第2キャリア接続部材16は、第1キャリア4および第2キャリア5に対して、たとえば、ねじ止め、接合などにより固定されていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、円筒状軸部材3が、第1偏心部3cおよび第2偏心部3dを有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。円筒状軸部材3は、第1偏心部3cおよび第2偏心部3dを有していなくてもよい。すなわち、歯車装置100は、偏心揺動型の歯車装置でなくてもよい。たとえば、歯車装置100は、遊星歯車装置であってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、伝達歯車1と入力シャフト13とが、一体的に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、伝達歯車1と入力シャフト13とは、別体で構成されていてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、歯車装置100が、入力シャフト13を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、歯車装置100は、入力シャフト13を備えていなくてもよい。この場合、伝達歯車1に対して、シャフトが挿入可能な孔部、または、凹部を設け、外部の駆動装置などのシャフトを挿入するように構成すればよい。
【0101】
また、上記実施形態では、歯車装置100が、出力シャフト14を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、歯車装置100は、出力シャフト14を備えていなくてもよい。この場合、トルクを伝達する外部の装置のシャフトを、第1キャリア4に接続することにより、外部の装置に対してトルクを伝達するように構成すればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、歯車装置100が、減速機である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。歯車装置100は、出力シャフト14が回転することにより生じたトルクを、入力シャフト13に伝達する、いわゆる、増速機であってもよい。
【0103】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0104】
(項目1)
中心軸線回りに回転する伝達歯車と、
前記伝達歯車に噛み合いながら中心軸線回りに回転するとともに、前記中心軸線回りに公転する公転歯車と、
円筒形状を有し、外周面に前記公転歯車が設けられた円筒状軸部材と、
前記円筒状軸部材の一方側と他方側とに設けられ、前記中心軸線回りに回転する一対のキャリアと、
前記円筒状軸部材の内側に設けられ、前記一対のキャリアを接続するキャリア接続部材と、
軸方向において、前記一対のキャリアの間の位置で、かつ、前記円筒状軸部材の内周面、および、前記キャリア接続部材の外周面の間の位置に設けられ、前記円筒状軸部材を前記キャリア接続部材に対して相対回転可能に支持する軸受と、を備える、歯車装置。
【0105】
(項目2)
前記円筒状軸部材の外側に設けられ、前記中心軸線回りに回転する外歯歯車をさらに備え、
前記軸受は、軸方向において、前記外歯歯車に対応する位置に設けられている、項目1に記載の歯車装置。
【0106】
(項目3)
前記一対のキャリアは、前記キャリア接続部材の一方側に設けられた第1キャリアと、前記キャリア接続部材の他方側に設けられた第2キャリアとを含み、
前記外歯歯車は、前記第1キャリアに回転を伝達する第1入出力外歯歯車と、前記第2キャリアに回転を伝達する第2入出力外歯歯車と、を含み、
前記軸受は、軸方向において、前記第1入出力外歯歯車に対応する位置に設けられた第1軸受と、前記第2入出力外歯歯車に対応する位置に設けられた第2軸受とを含む、項目2に記載の歯車装置。
【0107】
(項目4)
前記第1軸受は、軸方向における前記第1入出力外歯歯車に対応する位置において、前記円筒状軸部材の内周面、および、前記キャリア接続部材の外周面の各々と接触した状態で設けられており、
前記第2軸受は、軸方向における前記第2入出力外歯歯車に対応する位置において、前記円筒状軸部材の内周面、および、前記キャリア接続部材の外周面の各々と接触した状態で設けられている、項目3に記載の歯車装置。
【0108】
(項目5)
前記キャリア接続部材は、前記第1キャリアおよび前記第2キャリアとは別体で構成されており、一方側の端部である第1端部が前記第1キャリアに保持されており、他方側の端部である第2端部が前記第2キャリアに保持されている、項目3または4に記載の歯車装置。
【0109】
(項目6)
前記第1キャリアには第1凹部が設けられており、
前記第2キャリアには第2凹部が設けられており、
前記キャリア接続部材は、前記第1端部が前記第1凹部に圧入された状態で保持されており、前記第2端部が前記第2凹部に圧入された状態で保持されている、項目5に記載の歯車装置。
【0110】
(項目7)
前記第1凹部に対する前記第1端部の圧入代の長さは、軸方向における前記第1軸受の長さよりも小さく、前記第2凹部に対する前記第2端部の圧入代の長さは、軸方向における前記第2軸受の長さよりも小さい、項目6に記載の歯車装置。
【0111】
(項目8)
前記軸受は、ラジアル方向からの荷重を受けるラジアルベアリングである、項目1~7のいずれか1項に記載の歯車装置。
【0112】
(項目9)
前記円筒状軸部材は、偏心部を有し、
前記外歯歯車は、前記偏心部に取り付けられ、前記偏心部の偏心回転に連動して揺動回転するように構成されており、
前記一対のキャリアは、前記外歯歯車の揺動回転が伝達されることにより回転するように構成されており、
前記キャリア接続部材は、前記一対のキャリアの回転を同期させるように構成されている、項目2に記載の歯車装置。
【0113】
(項目10)
前記公転歯車は、前記円筒状軸部材と一体形成されている、項目1~9のいずれか1項に記載の歯車装置。
【0114】
(項目11)
前記公転歯車は、軸方向において、前記第1軸受と前記第2軸受との間の位置に設けられている、項目4~7のいずれか1項に記載の歯車装置。
【符号の説明】
【0115】
1 伝達歯車
2 公転歯車
3 円筒状軸部材
3a 外周面(円筒状軸部材の外周面)
3b 内周面(円筒状軸部材の内周面)
4 第1キャリア
4a 第1凹部
5 第2キャリア
5a 第2凹部
6 第1キャリア接続部材(キャリア接続部材)
6a 第1端部(第1キャリア接続部材の一方側の端部)
6b 第2端部(第1キャリア接続部材の他方側の端部)
6c 外周面(キャリア接続部材の外周面)
7 軸受
8 第1軸受
9 第2軸受
10 外歯歯車
11 第1入出力外歯歯車
12 第2入出力外歯歯車
20 圧入代(第1凹部に対する第1端部の圧入代)
21 圧入代(第2凹部に対する第2端部の圧入代)
30 圧入代の長さ(第1凹部に対する第1端部の圧入代の長さ)
31 圧入代の長さ(第2凹部に対する第2端部の圧入代の長さ)
60 中心軸線
61 軸線
100 歯車装置
図1
図2
図3
図4
図5